(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の腹部側に位置する前身頃外装体(10)と、着用者の背部側に位置する後身頃外装体(20)と、着用者の股下に位置する吸収性本体(30)とを備える使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体(30)は、前記前身頃外装体(10)と前記後身頃外装体(20)の両方又はいずれか一方の外装体に対し、前記使い捨ておむつの幅方向に延びる山折部(41)及び谷折部(42)を有する連結部(40)を介して連結されており、
前記連結部(40)は、
前記山折部(41)と谷折部(42)との間に位置する中間領域(43)と、
前記谷折部(42)から前記前身頃外装体(10)及び前記後身頃外装体(20)側に向かって上方に延び各外装体(10,20)の肌非対向面側に接合された内側領域(44)と、
前記山折部(41)から前記吸収性本体(30)側に向かって下方に延び、前記吸収性本体(30)の肌非対向面側に接合された外側領域(45)とに区分されており、
前記連結部(40)に、図柄(49)が印刷されている
使い捨ておむつ。
前記中間領域(43)の肌対向面(43c)、及び当該肌対向面(43c)と対面する対面部位(44b)の両方又はいずれか一方の少なくとも一部には、他の部位と識別可能な識別手段(48)が設けられている
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
前記識別手段(48)は、文字、図形、記号、模様、凹凸パターン、前記外装体を構成するシート部材とは異なる素材、若しくは前記外装体を構成するシート部材とは異なる色彩、又はこれらの結合を含む
請求項2に記載の使い捨ておむつ。
前記中間領域(43)は、前記連結部(40)が前記山折部(41)及び前記谷折部(42)において折り畳まれた状態において、当該中間領域(43)の肌対向面側に対面する部位と肌非対向面側に対面する部位の両方又はいずれか一方の部位に対して、剥離可能又は剥離不能に接合された接合領域(43a)を有する
請求項2から請求項4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0020】
本願明細書において、「長手方向」とは、使い捨ておむつの前後方向であり、使い捨ておむつの前身頃と後身頃とを結ぶ方向を意味する。また、「幅方向」とは、長手方向に平面的に直交する方向を意味する。本願の図において、「長手方向」はY軸で示され、「幅方向」はX軸で示されている。
本願明細書において、「肌対向面」とは、使い捨ておむつの着用状態において、着用者の肌に向かい合う面を意味する。また、「肌非対向面」とは、使い捨ておむつの着用状態において、着用者の肌に向かい合わない面、すなわち肌対向面の反対側の面を意味する。
本願明細書において、「A〜B」とは、「A以上B以下」であることを意味する。
【0021】
[1.外装体及び吸収性本体]
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの外観斜視図である。また、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつの展開図であり、おむつを肌対向面側から平面視した状態を示している。また、
図3は、
図1に示した使い捨ておむつの縦断面図であり、
図1に示したIII−IIIの切断線における断面構造を示している。本願明細書では、本発明がパンツ型の使い捨ておむつに適用された場合を例に挙げて、本発明についての説明を行う。ただし、本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに限られず、テープ型の使い捨ておむつにも適用可能である。
【0022】
図1から
図3に示されるように、本発明に係る使い捨ておむつ100は、長手方向(Y軸方向)に、着用者の腹部に接する前身頃1、着用者の背部に接する後身頃2、及びこれら前身頃1及び後身頃2の間に位置する股下部3に区分される。本実施形態において、前身頃1には前身頃外装体10が位置し、後身頃2には後身頃外装体20が位置する。また、股下部3には吸収性本体30が位置しており、この吸収性本体30は、股下部3を中心として、前身頃1及び後身頃2にかけて長手方向に延在している。このため、吸収性本体30は、前身頃1側の端部が前身頃外装体10と厚み方向に重なり、他方で後身頃2側の端部が後身頃外装体20と厚み方向に重なる。本発明において、前身頃外装体10、後身頃外装体20、及び吸収性本体30は、基本的に別体として構成されている。本実施形態において、各外装体10,20は、平面視において幅方向に長い略矩形状に形成されている。また、吸収性本体30は、平面視において長手方向に長い略矩形状に形成されている。ただし、各外装体10,20及び吸収性本体30の形状は図示したものに限られず、本発明の機能を発揮できる範囲において適宜変形させることができる。
【0023】
また、前身頃外装体10と後身頃外装体20の幅方向(X軸方向)の左右両端部には、サイドシール部4が設けられている。このサイドシール部4において、前身頃外装体10と後身頃外装体20の左右両端の対面する部位が互いに接合される。接合方法は、例えば、ヒートシールや、超音波シール、あるいはホットメルト接着剤等を利用した接着など、公知の方法を採用することができる。
図1に示されるように、前身頃外装体10と後身頃外装体20がサイドシール部4において接合されることで、これらの外装体10,20が環状に繋がる。そして、前身頃外装体10と後身頃外装体20の上縁によって、ウエスト開口部5が画定される。また、前身頃外装体10の下端部から後身頃外装体20の下端部にかけて吸収性本体30が架け渡されるようにして配設されている。このため、吸収性本体30の左右両側縁及び各外装体10,20の下縁によって、左右のレッグ開口部6が画定される。着用者は、ウエスト開口部5から両脚部を挿入し、左右のレッグ開口部6から片足ずつ出すことで、パンツ型の使い捨ておむつ100を装着できる。
【0024】
図3に示されるように、各外装体10,20は、肌対向面側に位置するインナーシート11,21と、肌非対向面側に位置するアウターシート12,22と、インナーシートとアウターシートの間に位置する一又は複数のウエスト伸縮部材13,23を備える。ウエスト伸縮部材13,23が複数である場合には、長手方向に所定の間隔を空けて配置される。各ウエスト伸縮部材13,23は、おむつの幅方向に伸張した状態で、インナーシート11,21とアウターシート12,22の間に挟み込んで固定されている。例えば、伸長状態のウエスト伸縮部材13,23にホットメルト接着剤などを直接塗布し、この接着剤が塗布されたものをインナーシート11,21とアウターシート12,22との間に配置すればよい。これにより、ウエスト伸縮部材13,23が収縮したときに、インナーシート11,21とアウターシート12,22とが撓んで複数の細かいシワ(ウエストギャザー)を形成する。ウエスト伸縮部材13,23を配置する本数は特に限定されないが、例えば3〜20本又は4〜15本が好ましい。
【0025】
インナーシート11,21及びアウターシート12,22を形成するシート部材は、公知の物を利用することができ、特に限定されないが、肌触りの良い不織布で形成することが好ましい。不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。また、ウエスト伸縮部材13,23としては、公知の弾性伸縮部材を利用することができるが、例えば糸状弾性ゴムを好適に用いることができる。このようなゴム材としては、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
【0026】
また、
図3に示されるように、アウターシート12,22をインナーシート11,21よりも長手方向の上方に向かって延出させ、この延出部分をウエスト開口部5の端縁において肌対向面側に折り返し、インナーシート11,21の肌対向面に接合してもよい。このようにすることで、ウエスト開口部5の肌触りを柔らかくすることができる。
【0027】
図3に示されるように、吸収性本体30は、基本的に、体液を吸収して保持する吸収体31と、この吸収体31の肌対向面を被覆する液透過性のトップシート32と、この吸収体31の肌非対向面を被覆する液不透過性のバックシート33を備えている。トップシート32とバックシート33とは、吸収体31の周縁部で接合されている。着用者の股下から排泄された体液は、トップシート32を透過して吸収体31へと導かれ、バックシート33によって外部への漏出が阻止される。
【0028】
吸収体31は、尿などの体液を吸収し、吸収した体液を保持するための部材である。吸収体31は、通常、吸収性材料をティシューペーパなどのコアラップシートで被包することにより構成されている。吸収体31を構成する吸収性材料には、公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては、例えば、フラップパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることとしてもよい。また、吸収性材料には、フラップパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は、通常、単層又は複数層のマット状に形成されたものが用いられる。吸収体31の形状は、適宜、使い捨ておむつの形状や、大きさ、用途に合せて設計することができる。例えば、吸収体31の形状は、
図2に示されるように、砂時計型としてもよいし、一般的に使用されている、矩形型、楕円形型、又はひょうたん型とすることとしてもよい。
【0029】
トップシート32は、着用者の股下の肌に直接接し、尿などの体液を吸収体31へ透過させるための部材である。このため、トップシート32は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。なお、本願明細書において、「液透過性」とは、例えば、標準の大気圧下において、常温の水を5mlその上に載せた場合に、1分未満の時間で水を透過する性質を意味する。また、トップシート32を構成する液透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0030】
バックシート33は、トップシート32を透過して吸収体31に吸収された体液が、外部に漏出することを防止する。このため、バックシート33は、液不透過性材料によって構成される。本願明細書において、「液不透過性」とは、例えば、標準の大気圧下において、常温の水を5mlその上に載せた場合に、1分以上経過してもその水を透過しない性質を意味する。バックシート33を構成する液不透過材料の例は、ポリエチレン樹脂などからなるプラスチックフィルムである。特に、バックシート33としては、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0031】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、バックシート33の肌非対向面側に、カバーシート34を有していている。カバーシート34は、バックシート33を覆いその手触りを良くするために、バックシート33の肌非対向面に貼り合わされる。カバーシート34を構成する材料としては,織布や不織布を用いればよい。特に,カバーシート34を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0032】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、立体ギャザーを構成するための部材を有している。立体ギャザーは,吸収体31の左右両側縁に沿っては配置された撥水性を持つ一対のサイドシート35と、このサイドシート35の幅方向内側の端縁に配置された一又は複数の立体ギャザー伸縮部材36によって構成される。サイドシート35は、トップシート32の肌対向面に対して長手方向に沿って固定された固定部と、この固定部よりも幅方向内側に位置しトップシート32に固定されない自由端部を有している。そして、このサイドシート35の自由端部には、長手方向に沿って立体ギャザー伸縮部材36が伸長状態で固定されている。このため、立体ギャザー伸縮部材36が収縮すると、その収縮力を受けてサイドシート35の自由端部が立ち上がり、立体ギャザーを形成する。このようにして形成された立体ギャザーは,吸収体31の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した体液の横漏れを防止するための防漏壁として機能する。
【0033】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、吸収性本体30の幅方向の左右両側縁に沿ってレッグ伸縮部材37を有している。レッグ伸縮部材37は、例えばサイドシート35の肌非対向面に長手方向に沿った伸長状態で固定されている。レッグ伸縮部材37が収縮すると、サイドシート35が撓んで複数の細かいシワ(レッグギャザー)を形成する。
【0034】
[連結部]
本発明に係る使い捨ておむつ100は、さらに、吸収性本体30を前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方の外装体に連結するための連結部40を備える。本願明細書で説明する実施形態では、連結部40として、吸収性本体30と前身頃外装体10とを連結する前側連結部材40A、及び吸収性本体30と後身頃外装体20とを連結する後側連結部材40Bが設けられている。なお、本発明において、連結部40は、前身頃1側と後身頃2側との少なくとも一方に設けられていればよい。特に、連結部40は、少なくとも吸収性本体30と後身頃外装体20とを連結するものが設けられていることが好ましい。
【0035】
また、
図3の断面図に示されるように、本実施形態において、前側連結部材40Aは、前身頃外装体10及び吸収性本体30とは別体の部材であり、同様に、後側連結部材40Bは、後身頃外装体20及び吸収性本体30とは別体の部材である。ただし、図示は省略するが、前側連結部材40A(連結部40)は、前身頃外装体10と一体の部材として形成されていてもよいし、吸収性本体30と一体の部材として形成されていてもよい。同様に、後側連結部材40B(連結部40)は、後身頃外装体20と一体の部材として形成されていてもよいし、吸収性本体30と一体の部材として形成されていてもよい。
【0036】
図2及び
図3に示されるように、前側と後側の各連結部材40A,40Bは、各外装体10,20及び吸収性本体30の肌非対向面側に配置され、幅方向において各外装体10,20とほぼ同じ幅に形成されている。本実施形態では、各連結部材40A,40Bは、平面視において幅方向に長い略矩形状に形成されている。各連結部材40A,40Bは各外装体10,20の長手方向の一部と重畳し、当該重畳部分を除く部分で、各連結部材40A,40Bの幅方向両端部がサイドシールされている。すなわち、各連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部は各外装体10,20と当該重畳部分を除く部分にサイドシール部4が設けられている。また、各外装体10,20の幅方向両端部は各連結部材40A,40Bと重畳部分を除く部分がサイドシール部4となっている。前側連結部材40Aと後側連結部材40Bが、この左右のサイドシール部4において互いに接合されることでパンツ型をなす。
【0037】
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bは、略断面N字型に折り畳まれており、各連結部材40A,40Bの上端において肌対向面側の領域が各外装体10,20に接合され、各連結部材40A,40Bの下端において肌対向面側の領域が吸収性本体30に接合されている。具体的に説明すると、連結部材40A,40Bは、着用状態において上向きに凸となる山折部41と、着用状態において下向きに凸となる谷折部42とを有する。本実施形態では、山折部41と谷折部42を比較すると、相対的に、山折部41が肌非対向面側に位置し、谷折部42が肌対向面側に位置している。これらの山折部41と谷折部42は、各連結部材40A,40Bの幅方向に沿って直線状に延びている。従って、これらの山折部41及び谷折部42に沿って折り畳むことで、各連結部材40A,40Bは略断面N字型となり、3層に積層する部分を含むものとなる。本願明細書では、山折部41及び谷折部42に沿って折り畳み可能となった各連結部材40A,40Bの構造を、「タック」と称している。本実施形態では、各連結部材40A,40Bは略断面N字型としたが、これに限定されず、略断面逆N字型や、タックを複数有する構造としてもよい。
【0038】
また、
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42を境界線として、中間領域43と、内側領域44と、外側領域45とに区分することができる。中間領域43は、山折部41と谷折部42との間に位置する領域である。また、内側領域44は、谷折部42から各外装体10,20側に向かって上方に延び、当該外装体の肌非対向面側に接合された接合部位44aを有する領域である。なお、
図3の例では、内側領域44の全域が接合部位44aとなっているが、内側領域44は少なくとも一部が各外装体10,20に接合されていればよい。また、外側領域45は、山折部41から吸収性本体30側に向かって下方に延び、当該吸収性本体30の肌非対向面側に接合される接合部位45aを持つ領域である。なお、
図3の例では、外側領域45の下端側(股下部側)の領域の一部が接合部位45aとなっているが、外側領域45はその全域が吸収性本体30に接合されていてもよい。ここで説明した各接合部位44a,45aは、ホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現できる。
【0039】
図3に示した例において、各連結部材40A,40Bの内側領域44は、各外装体10,20の長手方向の下端部の肌非対向面に接合されている。また、各連結部材40A,40Bの外側領域45は、吸収性本体30の長手方向の上端部の肌非対向面に接合されている。このようにして、各連結部材40A,40Bは、各外装体10,20と吸収性本体30とを連結するように作用する。なお、ここでは、各連結部材40A,40Bの内側領域44が各外装体10,20の下端側に接合されている例を示している。ただし、この内側領域44は、各外装体10,20の上端側に接合することもできる。内側領域44を各外装体10,20の肌非対向面のどの位置に接合するかは、ある程度自由に設計可能である。
【0040】
また、
図2に戻って説明すると、各連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42において折り畳まれた状態となっている。この状態で、中間領域43は、幅方向の全域のうちの少なくとも一部分において、その肌対向面側に対面する部位に対して剥離可能に接合された接合領域43aを有している。また、
図2に示した例では、中間領域43には接合領域43aが部分的に形成されており、その部分を除く部分が非接合領域43bとなっている。例えば、
図3の例を参照して説明すると、中間領域43の肌対向面側には内側領域44が位置しており、
図2に示した接合領域43aにおいては、少なくとも中間領域43と内側領域44とが接合されている。なお、接合領域43aにおいて、中間領域43は、内側領域44に代えて、あるいは内側領域44と共にその肌非対向面側に位置する外側領域45あるいは吸収性本体30と接合されていてもよい。このように、接合領域43aにおいて、各連結部材40A,40Bは、折り畳まれた状態に固定されて、不用意に展開しないように制限されている。この接合領域43aを剥離することで、各連結部材40A,40Bを展開させることが可能となる。なお、
図3は、この非接合領域43bにおける縦断面図を示している。
【0041】
図2においては、概念的に接合領域43aに網掛けを施して示している。ここに示された例では、接合領域43aは、各連結部材40A,40Bと各外装体10,20が厚み方向に重なった領域のうち、吸収性本体30が位置する領域の幅方向左右両側に設けられており、吸収性本体30とは重ならないように配置されている。つまり、平面視において、各外装体10,20、各連結部材40A,40B、及び吸収性本体30が重なる部位の長手方向範囲は、非接合領域43bとなっている。このように、接合領域43aは、吸収性本体30と重ならない範囲で、幅方向に一定の幅を持つ領域として画定されていてもよい。ただし、パンツ型おむつにおいては、前述したサイドシール部4自体が接合領域43aとして機能する。このため、パンツ型おむつでは、サイドシール部4とは別にホットメルト接着剤などを利用して、連結部材40A,40Bと各外装体10,20とを接合する必要性は必ずしもないといえる。つまり、
図2において網掛けで示した接合領域43aは省略可能である。
【0042】
上記の構成によれば、吸収性本体30と外装体10,20の間に連結部40を別体で設けタックを形成することで、タックの展開性が良化される。つまり、吸収性本体30が引っ張られたときに、連結部40が追従してタックが展開するため、タックを展開させやすくなるといえる。そして、タックが展開されれば、タックが着用者の着ている衣服等によって押されたときにポンプの様に機能して、おむつの内部に溜まった湿気を排出する効果も期待できる。また、各連結部材40A,40Bによって、各外装体10,20と吸収性本体30を連結しておくことで、タックをなす各連結部材40A,40Bを展開させたときに、各外装体10,20と吸収性本体30とを長手方向に離間させ、使い捨ておむつの長手方向に伸長させることができる。
図4及び
図5は、各連結部材40A,40Bが展開して、これらの連結部材によって画定されていた空間が広がり、各外装体10,20と吸収性本体30とが離間した様子を概念的に示している。このように、必要に応じて各連結部材40A,40Bのタックが展開可能な構成となっていることで、着用者の動きに応じて各外装体10,20や吸収性本体30が追従するようになり、着用者の肌とおむつの間に隙間が生じることを効果的に防止できる。また、着用者の肌に対するおむつのフィット性が高まるため、着用感が向上する。前述した接合領域43aが剥離可能なものである場合、この接合領域43aを剥離させることで、
図4及び
図5に示したように各連結部材40A,40Bを展開させることができる。また、前述した接合領域43aが剥離不能ものである場合、非接合領域43bにおいて、
図4に示したように各連結部材40A,40Bを展開させることができる。
【0043】
また、
図2に示されるように、各連結部材40A,40Bを山折部41及び谷折部42沿って完全に折り畳んだ状態において、各外装体10,20が、吸収性本体30の長手方向の端部の肌対向面を覆うことが好ましい。つまり、幅方向に沿って延びる各連結部材40A,40Bの山折部41(
図3参照)と、長手方向に沿って延びる接合領域43aの縁と、中間領域43と、外側領域45とにより、下向きの開口部を持つ空間が画定される。そして、この空間内に吸収性本体30の長手方向の端部を収容することができる。また、図示は省略するが、ここで画定された空間内に、吸収性本体30を構成する吸収体31の長手方向端部が収容されていてもよい。これにより、吸収性本体30の長手方向に沿って流れてきた体液や軟便を空間内に収容することが可能となり、外部への漏れ出すことを防止できる。
【0044】
なお、中間領域43は、接合領域43aにおいて、内側領域44又は外側領域45に対して、剥離不能に接合してもよい。この場合には、非接合領域43bにおいては、中間領域43が肌対向面側及び肌非対向面側に位置する部位に対して接合されていないため、各連結部材40A,40Bは必要に応じて自由に展開することが可能である。この場合、例えば着用者が運動を始めると、非接合領域43bにおいて各連結部材40A,40Bのタックが展開する。着用者の運動により、各連結部材40A,40Bの非展開状態と展開状態が繰り返されると、各連結部材によって画定される空間が広がったり狭まったりするために、各連結部材のタック部分がポンプの様に機能して、この空間内に溜まった空気を排出していく。このようにしてタックの展開を利用することで、各連結部材40A,40Bの空間内に溜まった湿気を容易に排出し、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。また、連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部にも外装体10,20との重畳部分を除いてサイドシールをしたが、当該重畳部分を外装体10,20と共に剥離可能又は剥離不能にサイドシールしてもよい。当該重畳部分を外装体10,20と共にサイドシールした場合、接合領域43aを省略することができる。また、連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部の長手方向全域を外装体10,20とは別に剥離不能にサイドシールするようにしてもよい。
【0045】
このように、中間領域43とその対面部位を接合する接合領域43aは、剥離可能な仮接合と剥離不能な接合のいずれであってもよい。ここで説明した接合領域43aにおける剥離可能な仮接合と剥離不能な接合は、いずれもホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現することができ、その接着剤の塗布量や接着力を調整して剥離可能なものと剥離不能なものを選択すればよい。剥離可能な接合状態とは、例えば、予め剥離することが想定されており、中間領域43やその対面部位を構成するシート部材に裂損や破損を生じさせずに両者を剥離することのできる接合状態を意味する。これに対して、剥離不能な接合状態とは、例えば、予め剥離することが想定されておらず、剥離しようとすると中間領域43やその対面部位を構成するシート部材に裂損や破損が生じる接合状態を意味する。なお、接合領域43aは中間領域43の全域に亘っていてもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43をその対面部位に対して剥離可能に接合する(すなわち仮接合)するものである。また、接合領域43aは中間領域43をその対面部位に対して剥離不能に接合するものであってもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43に部分的に設けられたものとなる。
【0046】
[連結部のシート積層構造]
続いて、
図6を参照して、連結部40(連結部材40A,40B)を構成するシート部材等の構造について説明する。
図6は、
図3に示した後側連結部材40Bの周囲を拡大して示したものである。以下では、後側連結部材40Bの構造を例に上げて説明するが、ここで説明する後側連結部材40Bの構造は前側連結部材40Aにも適用することができる。
【0047】
図6に示されるように、後側連結部材40Bは、厚み方向に少なくとも2枚のシート部材が積層された構造を有している。つまり、
図6に示した例において、後側連結部材40Bは、防漏シート51と、その肌非対向面側に貼り合わされた外面シート52を有している。
【0048】
防漏シート51は、液不透過性のシート部材であり、後側連結部材40Bから体液が漏れ出すことを防止する目的で配置されている。防漏シート51は、前述したバックシート33と同様に、ポリエチレン樹脂などからなるプラスチックフィルムを採用することが好ましい。特に、防漏シート51としては、後側連結部材40Bの通気性を確保するために、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。防漏シート51が通気性及び液不透過性を有するシート部材で形成されていることで、後側連結部材40Bに達した体液の漏れを防止しつつ、この部位に蒸れが発生するのを抑制することができる。
【0049】
外面シート52は、主として不織布から構成されたシート部材であり、防漏シート51の肌非対向面における手触りを良化する目的で配置されている。ここで用いられる不織布は特に限定されないが、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。基本的に、外面シート52としては、液透過性及び通気性を有し手触りの良いシート部材が採用される。
【0050】
図6に示されるように、外面シート52は、ウエスト開口部5側に向かって長手方向に延出し、防漏シート51の上端縁51aを被覆している。具体的に説明すると、後側連結部材40Bの内側領域44の接合部位44aにおいて、外面シート52は、防漏シート51の上端縁51aを超えて延出した上側延出部52aを有している。
図6に示した例において、外面シート52は、この上側延出部52aにおいて後身頃外装体20の肌非対向面に直接接合されることとなる。
【0051】
図6では、使い捨ておむつの長手方向において、内側領域44の接合部位44a全体の長さを符号P
1で示し、接合部位44aに位置する防漏シート51の長さを符号Q
1で示し、外面シート52の上側延出部52aの長さを符号R
1で示している。例えば、接合部位44aの長さP
1は、15mm以上であることが好ましく、15〜50mm、20〜45mm、又は25〜40mmとすることができる。また、防漏シート51の接合長さQ
1は、10mm以上であることが好ましく、10〜40mm、15〜35mm、又は20〜30mmとすることができる。上側延出部52aの長さR
1は、1mm以上であることが好ましく、1〜30mm、3〜25mm、又は5〜20mmとすることができる。また、接合部位44a全体の長さP
1に対する上側延出部52aの長さR
1の割合(R
1/P
1)は、5%以上であることが好ましく、5〜60%、10〜50%とすることができ、30〜60%であることが特に好ましい。
【0052】
また、
図6に示されるように、外面シート52は、股下部3側に向かって長手方向に延出し、防漏シート51の下端縁51bを被覆している。具体的に説明すると、後側連結部材40Bの外側領域45の接合部位45aにおいて、外面シート52は、防漏シート51の下端縁51bを超えて延出した下側延出部52bを有している。
図6に示した例において、外面シート52は、この下側延出部52bにおいて後身頃外装体20の肌非対向面に直接接合されることとなる。
【0053】
図6では、使い捨ておむつの長手方向において、外側領域45の接合部位45a全体の長さを符号P
2で示し、接合部位45aに位置する防漏シート51の長さを符号Q
2で示し、外面シート52の下側延出部52bの長さを符号R
2で示している。例えば、接合部位45aの長さP
2は、15mm以上であることが好ましく、15〜50mm、20〜45mm、又は25〜40mmとすることができる。また、防漏シート51の接合長さQ
2は、10mm以上であることが好ましく、10〜40mm、15〜35mm、又は20〜30mmとすることができる。下側延出部52bの長さR
2は、1mm以上であることが好ましく、1〜30mm、3〜25mm、又は5〜20mmとすることができる。また、接合部位45a全体の長さP
2に対する下側延出部52bの長さR
2の割合(R
2/P
2)は、5%以上であることが好ましく、5〜60%、10〜50%とすることができ、30〜60%であることが特に好ましい。
【0054】
なお、
図6では、外面シート52が、使い捨ておむつの長手方向においてウエスト開口部5側と股下部3側の両方で防漏シート51よりも延出している例を示した。ただし、外面シート52は、使い捨ておむつの長手方向においてウエスト開口部5側と股下部3の少なくともいずれか一方で防漏シート51よりも延出してればよい。つまり、外面シート52は、上側延出部52aと下側延出部52bの少なくともいずれか一方を有してればよい。
【0055】
上記のように、外面シート52を防漏シート51よりも延出させ、その端縁を覆うようにすることで、防漏シート51が露出することを回避できる。手触りの良い外面シート52によってその端縁を覆うことにより、手触りや外観を良化できる。
【0056】
また、
図3から
図6に示されるように、本実施形態において、使い捨ておむつの前側と後側の各連結部材40A,40Bは、山折部41に沿って配置された一又は複数の連結部伸縮部材46を有していることが好ましい。連結部伸縮部材46は、糸状弾性ゴムなどの弾性伸縮部材であり、使い捨ておむつの幅方向に沿った伸長状態で山折部41に配置されている。前述したとおり、各連結部材40A,40Bは、防漏シート51と外面シート52とを積層して構成されているため、この連結部伸縮部材46は防漏シート51と外面シート52の間に固定すればよい。この山折部41に沿って連結部伸縮部材46を配置しておくことで、この連結部伸縮部材46の収縮作用により、各連結部材40A,40Bの中間領域43と各外装体10,20との間に隙間が生じにくくなる。このため、おむつの外観が良化するとともに、フィット性が向上する。
【0057】
また、
図1及び
図2に示されるように、各連結部材40A,40Bには、幅方向に沿って延びる複数のタミー伸縮部材47が、使い捨ておむつの長手方向に所定の間隔を空けて配置されている。タミー伸縮部材47は、使い捨ておむつの幅方向に沿って伸張した状態で各連結部材40A,40Bに固定されている。ただし、タミー伸縮部材47は、各連結部材40A,40Bの幅方向の中央には配置されていないか、若しくは伸縮性を発現しないように例えば部分的に切断されている。つまり、タミー伸縮部材47は、基本的に吸収性本体30の幅方向両側に位置することとなる。なお、吸収性本体30の幅方向両端にタミー伸縮部材47が一部重なっていてもよい。各タミー伸縮部材47は、前述した連結部伸縮部材46と同様に、防漏シート51と外面シート52の間に固定すればよい。タミー伸縮部材47が収縮すると、連結部材40A,40Bが撓んで複数の細かいシワ(タミーギャザー)を形成する。
【0058】
[識別手段及び図柄]
図7は、連結部材40A,40Bを抽出して示している。
図7(a)は、連結部材40A,40Bを折り畳む前の展開状態を模式的に示しており、
図7(b)及び
図7(c)は、それぞれ連結部材40A,40Bを折り畳む様子を段階的に示している。
【0059】
図7に示されるように、連結部材40A,40Bには、図柄49が印刷されている。図柄49は、文字、図形、記号、模様若しくは色彩又はこれらの結合を含むものである。
図7に示された例において、図柄49は、連結部材40A,40Bの外側領域45の肌非対向面に印刷されている。特に、図柄49は、印刷をくっきりとさせるために、防漏シート51の肌非対向面に印刷されていることが好ましい。例えば
図1に示したように、連結部材40A,40Bの外側領域45の肌非対向面は、着用状態において前身頃1側又は後身頃2側から視認することのできる部位である。このため、連結部材40A,40Bの外側領域45に任意の図柄49を印刷できるようにしておくことで、使い捨ておむつのデザインの自由度を高めることができる。また、外側領域45における防漏シート51の肌非対向面に図柄49を印刷することで、図柄印刷用のプラスチックフィルムを別途用意する必要がなくなるため、使い捨ておむつの構成物品の点数を減らすことができる。また、図柄印刷用のプラスチックフィルムを別途設けると、シート部材が重なる枚数が多くなり通気性や柔軟性が低下するという懸念があったが、上記構成によればこのような問題を解消できる。
【0060】
図7に示されるように、連結部材40A,40Bは、山折部41(破線)と谷折部42(一点鎖線)を有している。また、連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42を境界として、それらの間に位置する中間領域43と、谷折部42よりもウエスト開口部側に位置する内側領域44と、山折部41よりも股下部側に位置する外側領域45とに区分されている。ここで、
図7に示した例では、中間領域43の肌対向面43cに識別手段48が設けられている。また、谷折部42に沿って連結部材40A,40Bを折り畳んだ状態において、中間領域43の肌対向面43cに対面する対面部位44bにも識別手段48が設けられている。
図7に示した例では、内側領域44の肌非対向面が、中間領域43の肌対向面43cに対面することとなる。このため、内側領域44の肌非対向面が「対面部位44b」となる。なお、ここにいう「対面部位44b」は、内側領域44の肌非対向面に限られず、例えば各外装体10,20の肌非対向面も「対面部位44b」となり得る。なお、識別手段48は必須の構成要素ではなく、省略することも可能である。
【0061】
識別手段48は、連結部材40A,40Bに形成されたタックの展開状態を使い捨ておむつの着用者又は補助者に認知させることを主たる目的として設けられる。つまり、
図7(c)及び
図1に示したように、連結部材40A,40Bが山折部41及び谷折部42に沿って折り畳まれた状態では、識別手段48は外部から視認できないか、若しくは視認困難な位置に設けられている。これに対して、
図7(a)、
図7(b)、及び
図5に示したように、連結部材40A,40Bが展開すると、この識別手段48を外部から視認できるか、又は視認しやすくなる。このように、タックが展開したときにはじめて外部に露出することとなる部位(43c,44b)に識別手段48を付与しておくことで、着用者又は補助者はこの識別手段48を目印としてタックの展開状態を認知することができる。
【0062】
識別手段48は、他の部位と識別可能な態様で示される。識別手段48の例は、文字、図形、記号、模様、凹凸パターン、外装体を構成するシート部材とは異なる素材、若しくは外装体を構成するシート部材とは異なる色彩、又はこれらの結合である。「文字」とは、日本語及び外国語の字及び数字を含む。「図形」は、直線、曲線、円形、楕円形、三角形、四角形、及びその他の多角形だけでなく、動物や、植物、人工物、及びキャラクターなどの絵柄を含む。「記号」は、一定の事柄を指し表すために描かれた図像であり、例えばピクトグラムを含む。「模様」は、所定の図形などが反復性をもって描かれた装飾である。
図7に示された例では、識別手段48として斜線模様が採用されている。「凹凸パターン」とは、シート部材に付与された凹凸であり、特に凹凸によって模様が形成されていることが好ましい。凹凸パターンの例としては、周面に凹凸を備える一対のエンボスロールの間、あるいは当該エンボスロールと周面に平滑面を備えるアンビルロールとの間にシート部材を導入することによって形成されたエンボスパターンを挙げることができる。「外装体を構成するシート部材とは異なる素材」とは、外装体を構成するシート部材と区別することのできる素材であり、原材料が異なることにより見た目や触感が異なるものばかりでなく、原材料が同じであっても製造方法や加工方法が異なることによって見た目や触感が異なっているものも含む。「外装体を構成するシート部材とは異なる色彩」とは、外装体を構成するシート部材と見分けることのできる色彩であり、単に色相が異なる色彩ばかりでなく、同じ色相であっても彩度又は明度が意図的に異なるものとされた色彩は「異なる色彩」である。また、外装体を構成するシート部材が複数の異なる色彩を持つ場合、識別手段48としては、これらの複数の色彩のうち外装体に占める割合が最も大きい色彩と「異なる色彩」を採用すればよい。一般的に、外装体は白色のシート部材で構成される。そこで、中間領域43の肌対向面43cやその対面部位44bに着色を施す場合には、白色以外の色彩を採用することが好ましい。なお、「白色」とは、CIE−L
*a
*b
*表色系におけるL
*値が85以上の色である。
【0063】
また、識別手段48は、中間領域43の肌対向面43cやその対面部位44bの両方又はいずれか一方に設けられていればよい。また、識別手段48は、中間領域43の肌対向面43cやその対面部位44bの全域に設けられている必要はなく、少なくとも部分的に設けられていればよい。ただし、
図7に示したように、中間領域43の肌対向面43cやその対面部位44bの全域に識別手段48を設けることで、タックの展開状態を分かりやすく示すことができる。また、中間領域43の肌対向面43cやその対面部位44bに設けられた識別手段48と同じものは、使い捨ておむつのその他の部位には設けられていないことが好ましい。これにより、タックが展開したときに識別手段48を目立たせることができる。
【0064】
また、前述したとおり、連結部材40A,40Bは、防漏シート51の肌非対向面に外面シート52を貼り合わせて構成されたものである。防漏シート51は、プラスチックフィルムなどからなり、外面シート52は不織布などからなる。この場合に、識別手段48は、防漏シート51の肌非対向面に付与されたものであることが好ましい。例えば、文字や図形などの識別手段48を防漏シート51に印刷することとしてもよい。また、表面に文字や図形など印刷され裏面に糊が塗布されたシールを識別手段48として利用し、このシールを防漏シート51に貼付することとしてもよい。防漏シート51の肌非対向に付与(印刷等)された識別手段48は、外面シート52を透過して着用者や補助者に視認される。なお、外面シート52としては、この識別手段48が視認できる程度に目付量の低い不織布を採用すればよい。このように、防漏シート51はプラスチックフィルムなどによって構成されているものであるため、識別手段48をくっきりと付与することができる。また、識別手段48が付与された防漏シート51を外面シート52で被覆することで、例えば識別手段48を印刷する際に使用されたインクなどが着用者の被覆に付着することを防止できる。
【0065】
[第1の変形例]
続いて、
図8を参照して、各連結部材40A,40Bの第1の変形例について説明する。
図8は、後側連結部材40Bの断面構造を拡大して示したものであるが、ここで説明する後側連結部材40Bの構造は前側連結部材40Aにも適用できる。
【0066】
図8に示されるように、後側連結部材40Bは、
図6等に示した構成に加えて、さらに内面シート53を有している。内面シート53は、防漏シート51の肌対向面に貼り合わされた部材である。内面シート53は、主として不織布から構成されたシート部材であり、防漏シート51の肌対向面における肌触りを良化する目的で配置されている。ここで用いられる不織布は特に限定されないが、外面シート52と同様に、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。基本的に、内面シート53としては、液透過性及び通気性を有し肌触りの良いシート部材が採用される。
図8に示した例では、内面シート53が、後身頃外装体20の肌非対向面に直接接合されることとなる。
【0067】
内面シート53は、前述した外面シート52と同様に、防漏シート51よりもウエスト開口部5側に向かって長手方向に延出しており、防漏シート51の上端縁51aを被覆している。具体的に説明すると、後側連結部材40Bの内側領域44の接合部位44aにおいて、内面シート53は、防漏シート51の上端縁51aを超えて延出した上側延出部53aを有している。前述したとおり、外面シート52も上側延出部52aを有している。このため、内面シート53の上側延出部53aと外面シート52の上側延出部52aとが重なる領域が存在し、この領域において両方の上側延出部52a,53aが互いに接合されている。内面シート53の上側延出部53aに関し、内側領域44の接合部位44a全体の長さP
1や、接合部位44aに位置する防漏シート51の長さQ
1、内面シート53の上側延出部53aの長さR
1については、前述した外面シート52と同程度とすればよい。
【0068】
また、内面シート53は、前述した外面シート52と同様に、防漏シート51よりも股下部3側に向かって長手方向に延出しており、防漏シート51の下端縁51bを被覆している。具体的に説明すると、後側連結部材40Bの外側領域45の接合部位45aにおいて、内面シート53は、防漏シート51の下端縁51bを超えて延出した下側延出部53bを有している。前述したとおり、外面シート52も下側延出部52bを有している。このため、内面シート53の下側延出部53bと外面シート52の下側延出部52bとが重なる領域が存在し、この領域において両方の下側延出部52b,53bが互いに接合されている。内面シート53の下側延出部53bに関し、外側領域45の接合部位45a全体の長さP
2や、接合部位45aに位置する防漏シート51の長さQ
2、内面シート53の下側延出部53bの長さR
2については、前述した外面シート52と同程度とすればよい。
【0069】
[第2の変形例]
続いて、
図9を参照して、本発明に係る使い捨ておむつの第2の変形例について説明する。なお、ここで説明する後身頃2側の構造は前身頃1側にも適用できる。
図9に示されるように、後側連結部材40Bは、
図6で説明した構成に加えて、内面防漏シート54を有している。内面防漏シート54は、防漏シート51の肌対向面に貼り合わされた液不透過性のシート部材である。内面防漏シート54としては、前述した防漏シート51と同じ素材のシート部材を用いることができる。
図9に示した例において、防漏シート51、外面シート52、及び内面防漏シート54の上端縁は揃ったものとなっている。また、この例では、防漏シート51と外面シート52の下端縁も揃っている。ただし、内面防漏シート54は、その下端縁側が吸収性本体30の肌非対向面に到達して接合される程度の長さを有しているものの、防漏シート51と外面シート52よりも短いものとなっている。
【0070】
また、
図9に示した例は、
図6に示した構成と比較し、吸収性本体30の構造が異なる。すなわち、この例では、吸収性本体30が備えるバックシート33が、吸収性本体33の長手方向の端縁まで到達していない。バックシート33の長手方向の端縁33aは、トップシート32に接合されたものではなく、吸収体31の肌非対向面に接合されている。ただし、カバーシート34は、吸収性本体33の長手方向の端縁にまで達しており、トップシート32の長手方向の端部に接合されている。このように、
図9に示した例では、吸収体33の肌非対向面がバックシート33によって被覆されていない、バックシートの不存在領域33bが敢えて形成されている。このバックシートの不存在領域33bは、比較的通気性と柔軟性に劣るバックシート33が存在しないため、通気性に優れ、また柔軟性が高くなっているといえる。
【0071】
上記構成のように、吸収性本体30の長手方向の端部に、吸収体33の肌非対向面がバックシート33によって被覆されていないバックシートの不存在領域33bが形成されていても、
図9の例では、防漏シート51及び内面防漏シート54がその代わりを果たす。つまり、バックシートの不存在領域33bの厚み方向には、少なくとも後側連結部材40Bに含まれる防漏シート51が重なっているため、バックシート33が設けられていなくても、この領域33bから体液が漏洩することを防ぐことができる。防漏シート51及び内面防漏シート54は、バックシートの不存在領域33bにおいて、カバーシート34の肌非対向面に接合されていることが好ましい。このように、バックシートの不存在領域33bの敢えて形成することで、吸収性本体30の端部における通気性と柔軟性を高めることができる。さらに、バックシートの不存在領域33bに防漏シート51及び/又は内面防漏シート54を重ねて配置することで、バックシート33の代わりとして機能するため、この領域33bからの体液の漏洩を防ぐことができる。
【0072】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。