(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間領域(43)は、前記連結部(40)が前記山折部(41)及び前記谷折部(42)において折り畳まれた状態において、前記吸収体(31)の前記凹部(38)又は前記貫通部が形成された領域と厚み方向に重なる
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
前記中間領域(43)は、前記連結部(40)が前記山折部(41)及び前記谷折部(42)において折り畳まれた状態において、当該中間領域(43)の肌対向面側に対面する部位と肌非対向面側に対面する部位の両方又はいずれか一方の部位に対して、剥離可能又は剥離不能に接合された接合領域(43a)を有しており、
前記接合領域(43a)は、前記中間領域(43)と前記吸収性本体(31)とが厚み方向に重ならない領域に位置している
請求項2に記載の使い捨ておむつ。
前記吸収体(31)は、前記前身頃外装体(10)側と前記後身頃外装体(20)側の両方又はいずれか一方の端部に、前記使い捨ておむつの長手方向の中央部における当該吸収体(31)の厚みよりも当該吸収体(31)の厚みが薄い薄肉領域(39)、又は、前記使い捨ておむつの長手方向の中央部における当該吸収体(31)の坪量よりも当該吸収体(31)の坪量が小さい低坪量領域を有する
請求項1から請求項4のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、使い捨ておむつの後身頃に複数のタックを形成することで、着用者の身体の伸びに合せておむつを追従させることができるため、おむつのフィット感や着用感を向上させることができる。しかしながら、このタックは後身頃を構成するシート部材を折り畳んで形成されたものであるため、シート部材が重なった部位において通気性が低下し、着用者の肌とおむつの間に湿気が溜まって、蒸れによる不快感を着用者に与えるおそれがあった。また、タックの数が複数である場合、通気性の低下はより顕著な問題となる。
【0005】
そこで、本発明は、前身頃外装体、後身頃外装体、及び吸収性本体に分離された使い捨ておむつにおいて、タックが形成された部位の通気性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使い捨ておむつに関する。本発明の使い捨ておむつは、着用者の腹部側に位置する前身頃外装体10と、着用者の背部側に位置する後身頃外装体20と、着用者の股下に位置する吸収性本体30とを備える。また、吸収性本体30は、吸収体31と、吸収体31の肌対向面を被覆する液透過性のトップシート32と、吸収体31の肌非対向面を被覆する液不透過性のバックシート33とを有する。本発明は、パンツ型の使い捨ておむつとテープ型の使い捨ておむつのいずれにも適用することができる。パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃外装体10と後身頃外装体20とが使い捨ておむつの幅方向の左右両側に設けられたサイドシール部において接合されることで略環状に繋がり、着用者の腹周りに位置するウエスト開口部と、着用者の両脚部周りに位置するレッグ開口部が形成されるタイプのおむつである。テープ型の使い捨ておむつは、前身頃外装体10と後身頃外装体20の外装体の一方における幅方向の両側端部に左右一対以上の止着テープが取り付けられており、この止着テープを外装体の他方に止め付けることにより、着用者の股下に装着されるタイプのおむつである。
【0007】
吸収性本体30は、前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方の外装体に対し、使い捨ておむつの幅方向に延びる山折部41及び谷折部42を有する連結部40を介して連結されている。ここにいう「山折部」とは着用状態において上向きに凸となる折り返し部分であり、「谷折部」とは着用状態において下向きに凸となる折り返し部分である。また、この連結部40は、前身頃外装体10、後身頃外装体20、及び吸収性本体30から分離された別個独立の部材であってもよいし、吸収性本体30と一体となった部材であってもよいし、外装体と一体となった部材であってもよい。なお、本願明細書において、単に「外装体」というときは、前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方を指している。
【0008】
上記の構成のように、吸収性本体30と外装体10,20の間に連結部40を設け、この連結部40にタックを形成することで、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。
【0009】
また、連結部40に山折部41と谷折部42とからなるタックを形成することで、この山折部41と着用者の肌との間に空間が生じる。このようなタック内部の空間は、着用状態において使い捨ておむつ内に溜まった湿気を拡散する効果がある。すなわち、タック内部の空間に湿気が導入されると、この湿気はタック内部の空間に沿って使い捨ておむつの幅方向に広がる。このため、連結部40にタックを形成しておくことで、おむつの通気性が向上し、着用状態の快適性を高めることができる。
【0010】
ただし、使い捨ておむつの着用状態では、タックが衣服によって厚み方向に潰されて、タックと着用者の肌との間に空間が生まれにくくなり、そこに湿気が溜まることも懸念される。そこで、本発明において、吸収体31は、少なくとも、連結部40が位置する前身頃外装体10側と後身頃外装体20側の両方又はいずれか一方の端部に、当該吸収体31の厚み方向に窪んだ凹部38、又は当該吸収体31の厚み方向に貫通した貫通部を有する。なお、ここにいう「凹部」は、吸収体31を構成する吸収性材料を圧搾することによって形成された溝であってもよい。また、「凹部」は、吸収体31の表面の大部分の領域と比較して小さい一部領域が窪んでいる態様において、当該小さい一部領域が凹部を構成していてもよいし、吸収体31の表面の大部分の領域と比較して小さい一部領域が凸になっている態様において、当該表面の大部分が「凹部」を構成してもよい。「貫通部」は、吸収体31の厚み方向に亘って吸収性材料およびその他の材料が存在しない領域である。貫通部は、貫通孔であってもよいし、スリットであってもよい。
【0011】
上記構成のように、連結部40が設けられている側の吸収体31の長手方向端部に凹部38又は貫通部を形成しておくことで、この凹部38又は貫通部によってタックと着用者の肌との間に隙間を確保することができる。これにより、連結部40が折り畳まれている状態の通気性を改善することができる。また、連結部40のタックが衣服によって押し潰されている状態であっても、吸収体31の端部に凹部38又は貫通部を形成しておくことで、タックと着用者の肌との間に隙間が生じこととなるため、そこに湿気が溜まることを防止できる。なお、本発明において、吸収体31の長手方向端部とは、吸収体31の長手方向の長さを100%としたとき、例えば、長手方向の各端縁から中央方向に30%の長さを有し、吸収体31の全幅と同じ幅を有する各領域であってもよい。凹部38は、端部のみでなく、吸収体31の全域に亘って形成されていてもよい。また、後述するように、凹部38は、着用者側面とは反対側である反着用者側面に形成されていてもよく、通気性を改善することができる。さらに、吸収体31が凹部38を有する場合、凹部38は、使い捨ておむつの長手方向の中央部から端部に向かって深さが浅くなるように形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明において、連結部40は、山折部41と谷折部42との間に位置する中間領域43を有する。中間領域43は、連結部40が山折部41及び谷折部42において折り畳まれた状態において、吸収体31の凹部38又は貫通部が形成された領域と厚み方向に重なることが好ましい。このようにすれば、吸収体31の端部が連結部40のタックによって形成される空間に挿入されている状態となる。これにより、吸収体31の長手方向に流れた体液や軟便をタック内部の空間に導入することができ、吸収体31により体液や軟便を吸収することができるため、体液の漏洩を防止できる。また、このように吸収体31の端部がタックと重なっている場合であっても、その端部には凹部38又は貫通部が形成されているため、その部分における通気性を確保することができる。
【0013】
本発明において、連結部40の中間領域43は、連結部40が山折部41及び谷折部42において折り畳まれた状態において、この中間領域43の肌対向面側に対面する部位と肌非対向面側に対面する部位の両方又はいずれか一方の部位に対して、剥離可能又は剥離不能に接合された接合領域43aを有することが好ましい。なお、中間領域43は、接合領域43aにおいて、肌対向面側に対面する部位だけでなく、肌非対向面側に対面する部位と接合されていてもよい。この場合に、接合領域43aは、連結部40の中間領域43と吸収性本体31とが厚み方向に重ならない領域に位置していることが好ましい。このように、連結部40が剥離可能な接合領域43aによって対面部位と接合されている場合、この接合領域43aを必要に応じて剥離することによって、連結部40を使い捨ておむつの長手方向に展開することが可能となる。また、連結部40が剥離不能な接合領域43aによって対面部位と部分的に接合されている場合、必要に応じて、連結部40を非接合領域43bにおいて使い捨ておむつの長手方向に展開することが可能となる。なお、パンツ型の使い捨ておむつにおいては、いわゆるサイドシール部4が、ここにいう接合領域43aとして機能するものであると解釈することもできる。
【0014】
本発明において、吸収性本体30の吸収体31は、連結部40の山折部41において折り返されていることとしてもよい。つまり、吸収性本体30の吸収体31は、連結部40の山折部41を超えて長手方向に長く延在し、吸収体31の一部が山折部41に沿って折り返され、厚み方向に二重に重なることとなる。なお、本発明において、折り返されていることとは、必ずしも完全なN字型になっていることのみに限定されず、長手方向に沿って面が反転していればよい。例えば、山折部41と谷折部42は、U字型の折返部と逆U字型の折返部とからなるものであってもよい。
【0015】
上記構成のように、吸収体31の一部が連結部40の山折部41に沿って折り返されていることで、吸収体31の剛性によってタック内部の空間を確実に保持することができる。このため、使い捨ておむつの外面側から厚み方向に外力を受けても、タック内部の空間が潰れにくくなる。そうすると、使い捨ておむつ内に溜まった湿気がタック内部の空間に導入され、この空間に沿っておむつの幅方向に拡散し外部に排出されやすくなる。その結果、おむつの内部の通気性が向上し、おむつの快適性を高めることができる。
【0016】
本発明において、吸収体31は、前身頃外装体10側と後身頃外装体20側の両方又はいずれか一方の端部に、使い捨ておむつの長手方向の中央部における当該吸収体31の厚みよりも当該吸収体31の厚みが薄い薄肉領域39、又は、使い捨ておむつの長手方向の中央部における当該吸収体31の坪量よりも当該吸収体31の坪量が小さい低坪量領域を有することが好ましい。薄肉領域39とは、吸収体31の厚みが長手方向の中央部よりも薄くなった部分であり、吸収体31の長手方向の端部に位置している。低坪量領域とは、吸収体31の坪量が長手方向の中央部よりも小さい部分であり、吸収体31の長手方向の端部に位置している。吸収体31は、使い捨ておむつの外装体(前身頃外装体10と後身頃外装体20)により着用者に接せられることになるが、使い捨ておむつの吸収体がない領域とある領域との間で段差が生じる。段差がある状態で着用者が座ったり寝たりすると、段差により着用者の肌に局所的に圧力が掛かり、痛みや不快感や違和感が生じてしまう場合がある。吸収体31の輪郭(端部)が薄いか又は坪量が小さいことにより、段差によって肌に局所的に圧力が掛かることを防止できる。同様の理由により、吸収体31が凹部38又は貫通部を有する場合、凹部38及び貫通部の周辺領域は、薄肉領域39又は低坪量領域になっていてもよい。凹部38及び貫通部とそれ以外との部分の段差により、着用者の肌に局所的に圧力が掛かることを防止できるからである。
【0017】
上記構成のように、吸収体31の長手方向の端部の厚みを薄くすること又は端部の坪量を小さくすることで、この端部付近の通気性を良化することができる。特に、前述したように、吸収体31の端部が連結部40の山折部41に沿って折り返されている形態においては、吸収体31の折り返し部分を薄肉領域39又は低坪量領域としておくことが有効である。吸収体31の長手方向の中央部の厚みは、通常3〜6mmであり、好ましくは4〜5mmである。この場合、薄肉領域39の厚さは1〜4mmであることが好ましい。薄肉領域39の厚さがこの範囲内であることにより、吸収体31の型崩れが生じにくくなる。吸収体31が端部に低坪量領域を有する場合、低坪量領域の坪量は、長手方向の中央部における吸収体31の坪量を100%としたときに、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜75%、さらに好ましくは30〜70%である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前身頃外装体、後身頃外装体、及び吸収性本体に分離された使い捨ておむつにおいて、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0021】
本願明細書において、「長手方向」とは、使い捨ておむつの前後方向であり、使い捨ておむつの前身頃と後身頃とを結ぶ方向を意味する。また、「幅方向」とは、長手方向に平面的に直交する方向を意味する。本願の図において、「長手方向」はY軸で示され、「幅方向」はX軸で示されている。
本願明細書において、「肌対向面」とは、使い捨ておむつの着用状態において、着用者の肌に向かい合う面を意味する。また、「肌非対向面」とは、使い捨ておむつの着用状態において、着用者の肌に向かい合わない面、すなわち肌対向面の反対側の面を意味する。
本願明細書において、「A〜B」とは、「A以上B以下」であることを意味する。
【0022】
[外装体及び吸収性本体]
図1は、本発明の一実施形態に係る使い捨ておむつの外観斜視図である。また、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつの展開図であり、おむつを肌対向面側から平面視した状態を示している。また、
図3は、
図1に示した使い捨ておむつの縦断面図であり、
図1に示したIII−IIIの切断線における断面構造を示している。本願明細書では、本発明がパンツ型の使い捨ておむつに適用された場合を例に挙げて、本発明についての説明を行う。ただし、本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに限られず、テープ型の使い捨ておむつにも適用可能である。
【0023】
図1から
図3に示されるように、本発明に係る使い捨ておむつ100は、長手方向(Y軸方向)に、着用者の腹部に接する前身頃1、着用者の背部に接する後身頃2、及びこれら前身頃1及び後身頃2の間に位置する股下部3に区分される。本実施形態において、前身頃1には前身頃外装体10が位置し、後身頃2には後身頃外装体20が位置する。また、股下部3には吸収性本体30が位置しており、この吸収性本体30は、股下部3を中心として、前身頃1及び後身頃2にかけて長手方向に延在している。このため、吸収性本体30は、前身頃1側の端部が前身頃外装体10と厚み方向に重なり、他方で後身頃2側の端部が後身頃外装体20と厚み方向に重なる。本発明において、前身頃外装体10、後身頃外装体20、及び吸収性本体30は、基本的に別体として構成されている。本実施形態において、各外装体10,20は、平面視において幅方向に長い略矩形状に形成されている。また、吸収性本体30は、平面視において長手方向に長い略矩形状に形成されている。ただし、各外装体10,20及び吸収性本体30の形状は図示したものに限られず、本発明の機能を発揮できる範囲において適宜変形させることができる。
【0024】
また、前身頃外装体10と後身頃外装体20の幅方向(X軸方向)の左右両端部には、サイドシール部4が設けられている。このサイドシール部4において、前身頃外装体10と後身頃外装体20の左右両端の対面する部位が互いに接合される。接合方法は、例えば、ヒートシールや、超音波シール、あるいはホットメルト接着剤等を利用した接着など、公知の方法を採用することができる。
図1に示されるように、前身頃外装体10と後身頃外装体20がサイドシール部4において接合されることで、これらの外装体10,20が環状に繋がる。そして、前身頃外装体10と後身頃外装体20の上縁によって、ウエスト開口部5が画定される。また、前身頃外装体10の下端部から後身頃外装体20の下端部にかけて吸収性本体30が架け渡されるようにして配設されている。このため、吸収性本体30の左右両側縁及び各外装体10,20の下縁によって、左右のレッグ開口部6が画定される。着用者は、ウエスト開口部5から両脚部を挿入し、左右のレッグ開口部6から片足ずつ出すことで、パンツ型の使い捨ておむつ100を装着できる。
【0025】
図3に示されるように、各外装体10,20は、肌対向面側に位置するインナーシート11,21と、肌非対向面側に位置するアウターシート12,22と、インナーシートとアウターシートの間に位置する一又は複数のウエスト伸縮部材13,23を備える。ウエスト伸縮部材13,23が複数である場合には、長手方向に所定の間隔を空けて配置される。各ウエスト伸縮部材13,23は、おむつの幅方向に伸張した状態で、インナーシート11,21とアウターシート12,22の間に挟み込んで固定されている。例えば、伸長状態のウエスト伸縮部材13,23にホットメルト接着剤などを直接塗布し、この接着剤が塗布されたものをインナーシート11,21とアウターシート12,22との間に配置すればよい。これにより、ウエスト伸縮部材13,23が収縮したときに、インナーシート11,21とアウターシート12,22とが撓んで複数の細かいシワ(ウエストギャザー)を形成する。ウエスト伸縮部材13,23を配置する本数は特に限定されないが、例えば3〜20本又は4〜15本が好ましい。
【0026】
インナーシート11,21及びアウターシート12,22を形成するシート部材は、公知の物を利用することができ、特に限定されないが、肌触りの良い不織布で形成することが好ましい。不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。また、ウエスト伸縮部材13,23としては、公知の弾性伸縮部材を利用することができるが、例えば糸状弾性ゴムを好適に用いることができる。このようなゴム材としては、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。
【0027】
また、
図3に示されるように、アウターシート12,22をインナーシート11,21よりも長手方向の上方に向かって延出させ、この延出部分をウエスト開口部5の端縁において肌対向面側に折り返し、インナーシート11,21の肌対向面に接合してもよい。このようにすることで、ウエスト開口部5の肌触りを柔らかくすることができる。
【0028】
図3に示されるように、吸収性本体30は、基本的に、体液を吸収して保持する吸収体31と、この吸収体31の肌対向面を被覆する液透過性のトップシート32と、この吸収体31の肌非対向面を被覆する液不透過性のバックシート33を備えている。トップシート32とバックシート33とは、吸収体31の周縁部で接合されている。着用者の股下から排泄された体液は、トップシート32を透過して吸収体31へと導かれ、バックシート33によって外部への漏出が阻止される。
【0029】
吸収体31は、尿などの体液を吸収し、吸収した体液を保持するための部材である。吸収体31は、通常、吸収性材料をティシューペーパなどのコアラップシートで被包することにより構成されている。吸収体31を構成する吸収性材料には、公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては、例えば、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることとしてもよい。また、吸収性材料には、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は、通常、単層又は複数層のマット状に形成されたものが用いられる。吸収体31の形状は、適宜、使い捨ておむつの形状や、大きさ、用途に合せて設計することができる。例えば、吸収体31の形状は、
図2に示されるように、砂時計型としてもよいし、一般的に使用されている、矩形型、楕円形型、又はひょうたん型とすることとしてもよい。また、
図2に示されるように、吸収体31は、長手方向の端部に凹部38が形成されている。
図2においては、凹部38が形成された形態が示されているが、同じ位置に貫通部が形成されていてもよい。凹部38について、詳しくは後述する。
【0030】
トップシート32は、着用者の股下の肌に直接接し、尿などの体液を吸収体31へ透過させるための部材である。このため、トップシート32は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。なお、本願明細書において、「液透過性」とは、例えば、標準の大気圧下において、常温の水を5mlその上に載せた場合に、1分未満の時間で水を透過する性質を意味する。また、トップシート32を構成する液透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0031】
バックシート33は、トップシート32を透過して吸収体31に吸収された体液が、外部に漏出することを防止する。このため、バックシート33は、液不透過性材料によって構成される。本願明細書において、「液不透過性」とは、例えば、標準の大気圧下において、常温の水を5mlその上に載せた場合に、1分以上経過してもその水を透過しない性質を意味する。バックシート33を構成する液不透過材料の例は、ポリエチレン樹脂などからなるプラスチックフィルムである。特に、バックシート33としては、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0032】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、バックシート33の肌非対向面側に、カバーシート34を有している。カバーシート34は、バックシート33を覆いその手触りを良くするために、バックシート33の肌非対向面に貼り合わされる。カバーシート34を構成する材料としては,織布や不織布を用いればよい。特に,カバーシート34を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0033】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、立体ギャザーを構成するための部材を有している。立体ギャザーは,吸収体31の左右両側縁に沿っては配置された撥水性を持つ一対のサイドシート35と、このサイドシート35の幅方向内側の端縁に配置された一又は複数の立体ギャザー伸縮部材36によって構成される。サイドシート35は、トップシート32の肌対向面に対して長手方向に沿って固定された固定部と、この固定部よりも幅方向内側に位置しトップシート32に固定されない自由端部を有している。そして、このサイドシート35の自由端部には、長手方向に沿って立体ギャザー伸縮部材36が伸長状態で固定されている。このため、立体ギャザー伸縮部材36が収縮すると、その収縮力を受けてサイドシート35の自由端部が立ち上がり、立体ギャザーを形成する。このようにして形成された立体ギャザーは,吸収体31の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した体液の横漏れを防止するための防漏壁として機能する。
【0034】
また、吸収性本体30は、上記構成に加えて、吸収性本体30の幅方向の左右両側縁に沿ってレッグ伸縮部材37を有している。レッグ伸縮部材37は、例えばサイドシート35の肌非対向面に長手方向に沿った伸長状態で固定されている。レッグ伸縮部材37が収縮すると、サイドシート35が撓んで複数の細かいシワ(レッグギャザー)を形成する。
【0035】
[連結部]
本発明に係る使い捨ておむつ100は、さらに、吸収性本体30を前身頃外装体10と後身頃外装体20の両方又はいずれか一方の外装体に連結するための連結部40を備える。本願明細書で説明する実施形態では、連結部40として、吸収性本体30と前身頃外装体10とを連結する前側連結部材40A、及び吸収性本体30と後身頃外装体20とを連結する後側連結部材40Bが設けられている。なお、本発明において、連結部40は、前身頃1側と後身頃2側との少なくとも一方に設けられていればよい。特に、連結部40は、少なくとも吸収性本体30と後身頃外装体20とを連結するものが設けられていることが好ましい。
【0036】
また、
図3の断面図に示されるように、本実施形態において、前側連結部材40Aは、前身頃外装体10及び吸収性本体30とは別体の部材であり、同様に、後側連結部材40Bは、後身頃外装体20及び吸収性本体30とは別体の部材である。ただし、図示は省略するが、前側連結部材40A(連結部40)は、前身頃外装体10と一体の部材として形成されていてもよいし、吸収性本体30と一体の部材として形成されていてもよい。同様に、後側連結部材40B(連結部40)は、後身頃外装体20と一体の部材として形成されていてもよいし、吸収性本体30と一体の部材として形成されていてもよい。
【0037】
図2及び
図3に示されるように、前側と後側の各連結部材40A,40Bは、各外装体10,20及び吸収性本体30の肌非対向面側に配置され、幅方向において各外装体10,20とほぼ同じ幅に形成されている。各連結部材40A,40Bは各外装体10,20の長手方向の一部と重畳し、当該重畳部分を除く部分で、各連結部材40A,40Bの幅方向両端部がサイドシールされている。すなわち、各連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部は各外装体10,20と当該重畳部分を除く部分にサイドシール部4が設けられている。また、各外装体10,20の幅方向両端部は各連結部材40A,40Bと重畳部分を除く部分がサイドシール部4となっている。前側連結部材40Aと後側連結部材40Bが、この左右のサイドシール部4において互いに接合されることでパンツ型をなす。
【0038】
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bは、略断面N字型に折り畳まれており、各連結部材40A,40Bの上端において肌対向面側の領域が各外装体10,20に接合され、各連結部材40A,40Bの下端において肌対向面側の領域が吸収性本体30に接合されている。具体的に説明すると、連結部材40A,40Bは、着用状態において上向きに凸となる山折部41と、着用状態において下向きに凸となる谷折部42とを有する。本実施形態では、山折部41と谷折部42を比較すると、相対的に、山折部41が肌非対向面側に位置し、谷折部42が肌対向面側に位置している。これらの山折部41と谷折部42は、各連結部材40A,40Bの幅方向に沿って直線状に延びている。従って、これらの山折部41及び谷折部42に沿って折り畳むことで、各連結部材40A,40Bは略断面N字型となり、3層に積層する部分を含むものとなる。本願明細書では、山折部41及び谷折部42に沿って折り畳み可能となった各連結部材40A,40Bの構造を、「タック」と称している。本実施形態では、各連結部材40A,40Bは略断面N字型としたが、これに限定されず、略断面逆N字型や、タックを複数有する構造としてもよい。
【0039】
また、
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42を境界線として、中間領域43と、内側領域44と、外側領域45とに区分することができる。中間領域43は、山折部41及び谷折部42の間に位置する領域である。また、内側領域44は、谷折部42から各外装体10,20側に向かって上方に延び、当該外装体の肌非対向面側に接合された接合部位44aを有する領域である。なお、
図3の例では、内側領域44の全域が接合部位44aとなっているが、内側領域44は少なくとも一部が各外装体10,20に接合されていればよい。また、外側領域45は、山折部41から吸収性本体30側に向かって下方に延び、当該吸収性本体30の肌非対向面側に接合される接合部位45aを持つ領域である。なお、
図3の例では、外側領域45の下端側(股下部側)の領域の一部が接合部位45aとなっているが、外側領域45はその全域が吸収性本体30に接合されていてもよい。ここで説明した各接合部位44a,45aは、ホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現できる。
【0040】
図3に示した例において、各連結部材40A,40Bの内側領域44は、各外装体10,20の長手方向の下端部の肌非対向面に接合されている。また、各連結部材40A,40Bの外側領域45は、吸収性本体30の長手方向の上端部の肌非対向面に接合されている。このようにして、各連結部材40A,40Bは、各外装体10,20と吸収性本体30とを連結するように作用する。なお、ここでは、各連結部材40A,40Bの内側領域44が各外装体10,20の下端側に接合されている例を示している。ただし、この内側領域44は、各外装体10,20の上端側に接合することもできる。内側領域44を各外装体10,20の肌非対向面のどの位置に接合するかは、ある程度自由に設計可能である。
【0041】
また、
図2に戻って説明すると、各連結部材40A,40Bは、山折部41及び谷折部42において折り畳まれた状態となっている。この状態で、中間領域43は、幅方向の全域のうちの少なくとも一部分において、その肌対向面側に対面する部位に対して剥離可能に接合された接合領域43aを有している。また、
図2に示した例では、中間領域43には接合領域43aが部分的に形成されており、その部分を除く部分が非接合領域43bとなっている。例えば、
図3の例を参照して説明すると、中間領域43の肌対向面側には内側領域44が位置しており、
図2に示した接合領域43aにおいては、少なくとも中間領域43と内側領域44とが接合されている。なお、接合領域43aにおいて、中間領域43は、内側領域44に代えて、あるいは内側領域44と共にその肌非対向面側に位置する外側領域45あるいは吸収性本体30と接合されていてもよい。このように、接合領域43aにおいて、各連結部材40A,40Bは、折り畳まれた状態に固定されて、不用意に展開しないように制限されている。この接合領域43aを剥離することで、各連結部材40A,40Bを展開させることが可能となる。なお、
図3は、この非接合領域43bにおける縦断面図を示している。
【0042】
図2においては、概念的に接合領域43aに網掛けを施して示している。ここに示された例では、接合領域43aは、各連結部材40A,40Bと各外装体10,20が厚み方向に重なった領域のうち、吸収性本体30が位置する領域の幅方向左右両側に設けられており、吸収性本体30とは重ならないように配置されている。つまり、平面視において、各外装体10,20、各連結部材40A,40B、及び吸収性本体30が重なる部位の長手方向範囲は、非接合領域43bとなっている。このように、接合領域43aは、吸収性本体30と重ならない範囲で、幅方向に一定の幅を持つ領域として画定されていてもよい。ただし、パンツ型おむつにおいては、前述したサイドシール部4自体が接合領域43aとして機能する。このため、パンツ型おむつでは、サイドシール部4とは別にホットメルト接着剤などを利用して、連結部材40A,40Bと各外装体10,20とを接合する必要性は必ずしもないといえる。つまり、
図2において網掛けで示した接合領域43aは省略可能である。
【0043】
上記の構成によれば、吸収性本体30と外装体10,20の間に連結部40を別体で設けタックを形成することで、タックの展開性が良化される。つまり、吸収性本体30が引っ張られたときに、連結部40が追従してタックが展開するため、タックを展開させやすくなるといえる。そして、タックが展開されれば、タックが着用者の着ている衣服等によって押されたときにポンプの様に機能して、おむつの内部に溜まった湿気を排出する効果も期待できる。また、各連結部材40A,40Bによって、各外装体10,20と吸収性本体30を連結しておくことで、タックをなす各連結部材40A,40Bを展開させたときに、各外装体10,20と吸収性本体30とを長手方向に離間させ、使い捨ておむつの長手方向に伸長させることができる。
図4及び
図5は、接合領域43aを剥離することで各連結部材40A,40Bが展開して、これらの連結部材によって画定されていた空間が広がり、各外装体10,20と吸収性本体30とが離間した様子を概念的に示している。このように、必要に応じて各連結部材40A,40Bのタックが展開可能な構成となっていることで、着用者の動きに応じて各外装体10,20や吸収性本体30が追従するようになり、着用者の肌とおむつの間に隙間が生じることを効果的に防止できる。また、着用者の肌に対するおむつのフィット性が高まるため、着用感が向上する。前述した接合領域43aが長手方向に剥離可能なものである場合、この接合領域43aを剥離させることで、
図4及び
図5に示したように各連結部材40A,40Bを展開させることができる。
【0044】
また、
図2及び
図3に示されるように、各連結部材40A,40Bを山折部41及び谷折部42に沿って完全に折り畳んだ状態において、各連結部材40A,40Bが、吸収性本体30の長手方向の端部の肌対向面を覆うことが好ましい。すなわち、各連結部材40A,40Bを折り畳んだ状態においては、連結部40の中間領域43が、吸収性本体30の吸収体31と厚み方向に重なることが好ましい。この場合、
図3に示されるように、肌対向面側から順に、外装体10,20、連結部材の外側領域44、連結部材の中間領域43、吸収性本体の吸収体31、連結部材の外側領域45が厚み方向に重なることとなる。これにより、吸収性本体の吸収体31の長手方向端部が、各連結部材40A,40Bに形成されたタック内部の空間内に収容された様な状態となる。なお、ここにいう「タック内部の空間」とは、各連結部材40A,40Bの中間領域43と外側領域45の間において、山折部41の下方に広がる下向きの開口を持つ空間である。そして、このようなタック内部の空間に、吸収性本体30を構成する吸収体31の長手方向端部が収容されていることが好ましい。これにより、吸収性本体30の長手方向に沿って流れてきた体液や軟便を空間内に収容することが可能となり、外部への漏れ出すことを防止できる。
【0045】
また、各連結部材40A,40Bが折り畳まれた状態にあるときに空間が形成されることで、着用状態において使い捨ておむつの内部に溜まった湿気がこの空間に導かれる。そして、このタック内部の空間は使い捨ておむつの幅方向に広がっている。このため、この空間に導入された湿気を使い捨ておむつの幅方向に拡散させることができる。その結果、特に吸収性本体30の長手方向端部付近の通気性が改善され、使い捨ておむつの内部が蒸れにくくなる。
【0046】
また、
図2に示されるように、吸収性本体30の幅方向左右両側に接合領域43が設けられている場合、幅方向に沿って延びる各連結部材40A,40Bの山折部41(
図3参照)と、長手方向に沿って延びる接合領域43aの縁と、中間領域43と、外側領域45とにより、下向きの開口部を持つ空間が画定される。そして、この空間内に吸収性本体30の長手方向の端部を収容することができる。特に、ここで画定された空間内には、吸収性本体30を構成する吸収体31の長手方向端部が収容されていることが好ましい。
【0047】
なお、中間領域43は、接合領域43aにおいて、内側領域44又は外側領域45に対して、剥離不能に接合してもよい。この場合には、非接合領域43bにおいては、中間領域43が肌対向面側及び肌非対向面側に位置する部位に対して接合されていないため、各連結部材40A,40Bは必要に応じて自由に展開することが可能である。この場合、例えば着用者が運動を始めると、非接合領域43bにおいて各連結部材40A,40Bのタックが展開する。着用者の運動により、各連結部材40A,40Bの非展開状態と展開状態が繰り返されると、各連結部材によって画定される空間が広がったり狭まったりするために、各連結部材のタック部分がポンプの様に機能して、この空間内に溜まった空気を排出していく。このようにしてタックの展開を利用することで、各連結部材40A,40Bの空間内に溜まった湿気を容易に排出し、タックが形成された部位の通気性を高めることができる。また、連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部にも外装体10,20との重畳部分を除いてサイドシールをしたが、当該重畳部分を外装体10,20と共に剥離可能又は剥離不能にサイドシールしてもよい。当該重畳部分を外装体10,20と共にサイドシールした場合、接合領域43aを省略することができる。また、連結部材40A,40Bの幅方向の左右両端部の長手方向全域を外装体10,20とは別に剥離不能にサイドシールするようにしてもよい。
【0048】
このように、中間領域43とその対面部位を接合する接合領域43aは、剥離可能な仮接合と剥離不能な接合のいずれであってもよい。ここで説明した接合領域43aにおける剥離可能な仮接合と剥離不能な接合は、いずれもホットメルト接着剤などの公知の接着剤を利用して実現することができ、その接着剤の塗布量や接着力を調整して剥離可能なものと剥離不能なものを選択すればよい。剥離可能な接合状態とは、例えば、予め剥離することが想定されており、中間領域43やその対面部位を構成するシート部材に裂損や破損を生じさせずに両者を剥離することのできる接合状態を意味する。これに対して、剥離不能な接合状態とは、例えば、予め剥離することが想定されておらず、剥離しようとすると中間領域43やその対面部位を構成するシート部材に裂損や破損が生じる接合状態を意味する。なお、接合領域43aは中間領域43の幅方向全域に亘っていてもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43をその対面部位に対して剥離可能に接合(すなわち仮接合)するものである。また、接合領域43aは中間領域43をその対面部位に対して剥離不能に接合するものであってもよいが、その場合、接合領域43aは、中間領域43の幅方向に部分的に設けられたものとなる。
【0049】
[連結部のシート積層構造]
続いて、
図6を参照して、連結部40(連結部材40A,40B)を構成するシート部材等の構造について説明する。
図6は、
図3に示した後側連結部材40Bの周囲を拡大して示したものである。以下では、後側連結部材40Bの構造を例に上げて説明するが、ここで説明する後側連結部材40Bの構造は前側連結部材40Aにも適用することができる。
【0050】
図6に示されるように、後側連結部材40Bは、厚み方向に少なくとも2枚のシート部材が積層された構造を有している。つまり、
図6に示した例において、後側連結部材40Bは、防漏シート51と、その肌非対向面側に貼り合わされた外面シート52を有している。
【0051】
防漏シート51は、液不透過性のシート部材であり、後側連結部材40Bから体液が漏れ出すことを防止する目的で配置されている。防漏シート51は、前述したバックシート33と同様に、ポリエチレン樹脂などからなるプラスチックフィルムを採用することが好ましい。特に、防漏シート51としては、後側連結部材40Bの通気性を確保するために、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。防漏シート51が通気性及び液不透過性を有するシート部材で形成されていることで、後側連結部材40Bに達した体液の漏れを防止しつつ、この部位に蒸れが発生するのを抑制することができる。
【0052】
外面シート52は、主として不織布から構成されたシート部材であり、防漏シート51の肌非対向面における手触りを良化する目的で配置されている。ここで用いられる不織布は特に限定されないが、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布などを挙げることができる。基本的に、外面シート52としては、液透過性及び通気性を有し手触りの良いシート部材が採用される。
【0053】
また、
図3から
図6に示されるように、本実施形態において、使い捨ておむつの前側と後側の各連結部材40A,40Bは、山折部41に沿って配置された一又は複数の連結部伸縮部材46を有していることが好ましい。連結部伸縮部材46は、糸状弾性ゴムなどの弾性伸縮部材であり、使い捨ておむつの幅方向に沿った伸長状態で山折部41に配置されている。前述したとおり、各連結部材40A,40Bは、防漏シート51と外面シート52とを積層して構成されているため、この連結部伸縮部材46は防漏シート51と外面シート52の間に固定すればよい。この山折部41に沿って連結部伸縮部材46を配置しておくことで、この連結部伸縮部材46の収縮作用により、各連結部材40A,40Bの中間領域43と各外装体10,20との間に隙間が生じにくくなる。このため、おむつの外観が良くとともに、フィット性が向上する。
【0054】
また、
図1及び
図2に示されるように、各連結部材40A,40Bには、幅方向に沿って延びる複数のタミー伸縮部材47が、使い捨ておむつの長手方向に所定の間隔を空けて配置されている。タミー伸縮部材47は、使い捨ておむつの幅方向に沿って伸張した状態で各連結部材40A,40Bに固定されている。ただし、タミー伸縮部材47は、各連結部材40A,40Bの幅方向の中央部には配置されていないか、若しくは伸縮性を発現しないように例えば部分的に切断されている。つまり、タミー伸縮部材47は、基本的に吸収性本体30の幅方向両側に位置することとなる。なお、吸収性本体30の幅方向両端にタミー伸縮部材47が一部重なっていてもよい。各タミー伸縮部材47は、前述した連結部伸縮部材46と同様に、防漏シート51と外面シート52の間に固定すればよい。タミー伸縮部材47が収縮すると、連結部材40A,40Bが撓んで複数の細かいシワ(タミーギャザー)を形成する。
【0055】
[吸収体の凹部]
図2から
図6を参照して、吸収性本体30の吸収体31に形成された凹部38について説明する。吸収体31は、凹部38において、隣接する周囲の部位と比較して厚み方向に窪んでいる。例えば、凹部38は、吸収体31を構成する吸収性材料を圧搾することによって形成された溝状のものであってもよい。或いは、吸収体31が凹部38をあらかじめ有するように、吸収体31を形成してもよい。また、吸収体31は、凹部38に代えて、厚み方向に貫通する貫通部を有していてもよい。貫通部の例は、貫通孔又はスリットである。凹部38が溝状である場合には、吸収体31の肌対向面を窪ませたものであることが好ましいが、吸収体31の肌非対向面を窪ませたものであってもよく、また肌対向面と肌非対向面の両方を窪ませたものであってもよい。吸収性本体は、厚み方向に空気を通すため、吸収体31の裏面側に凹部がある場合であっても、湿気が、一旦厚み方向に抜け、その後、吸収体とバックシートとの間に存在する凹部を通って、吸収体の端部まで流れて連結部に到達することができる。そのため、凹部38が反着用者面側に形成されていても、湿気が溜まることを防止する効果が発揮される。また、凹部38が溝状である場合、凹部38が形成された部位の吸収体31の厚みは、凹部38が形成されていない部位の吸収体31の厚みを100%としたときに、10〜90%、15〜80%、又は20〜70%とすればよい。
【0056】
また、凹部38は、吸収体31の長手方向の端部に形成される。具体的には、凹部38は、吸収体31が各連結部材40A,40B及び各外装体10,20と重なる範囲内(
図2に示した前身頃1及び後身頃2の範囲内)に形成されることが好ましい。特に、凹部38は、少なくとも、吸収体31が各外装体10,20と重なる範囲内に形成されることが好ましい。
図2に示した例では、前身頃1と後身頃2の両方に連結部材40A,40Bが設けられている。このため、吸収体31の凹部38も、前身頃1側の端部と後身頃2側の端部の両方に形成されていることが好ましい。ただし、吸収体31の凹部38は、少なくとも、連結部材40A,40Bが設けられている側の端部に形成されていればよい。このため、必ずしも吸収体31の長手方向の両方の端部に凹部38を形成する必要はない。
【0057】
図2に示した例において、凹部38は線状に形成されており、複数の線状の凹部38が交差して格子状のパターンをなしている。具体的に説明すると、
図2の例では、複数の線状の凹部38が斜方形格子状のパターンを形成している。ここにいう「斜方形格子状のパターン」とは,平面視において、長手方向及び幅方向に対して傾斜した方向(つまり斜め方向)に延びる複数の線状の凹部38が交差して、斜方形状(菱形状)の非凹部領域が区画されるパターンをいう。なお、非凹部領域とは、吸収体31のうちの凹部38が形成されていない領域である。また、図示は省略するが、複数の線状の凹部38は、方形格子状のパターンで形成することもできる。ここにいう「方形格子状のパターン」とは、平面視において、長手方向と平行に延びる複数の線状の凹部38と幅方向と平行に延びる複数の線状の凹部38とが交差して、方形状(四角形状)の非凹部領域が区画されるパターンをいう。このように、斜方形格子状や方形格子状など、複数の凹部38を格子状のパターンで形成することで、吸収性本体30の肌触りと通気性を良化することができる。ただし、凹部38の形状は、上記した格子状のパターンに限られない。例えば、凹部38は、長手方向に沿って延びる1つの直線であってもよいし、長手方向に沿って平行に延びる複数の直線であってもよい。いずれのパターンにおいても、凹部38の中には、吸収体31の長手方向の端縁に達しているものが含まれていることが好ましい。つまり、吸収体31の長手方向の端面にも、凹部38が形成されていることが好ましい。
【0058】
本発明の使い捨ておむつは、各連結部材40A,40Bに形成されたタック内部の空間におむつ内の空気を導入することで通気性を高めることとしている。ただし、使い捨ておむつの着用状態では、タックが衣服によって厚み方向に潰されて、タックと着用者の肌との間に空間が生まれにくくなり、そこに湿気が溜まることも懸念される。そこで、前述したように、吸収体31の長手方向の端部に一又は複数の凹部38を形成することにより、着用状態であっても、この凹部38を通じてタック内部の空間に空気が導入されるようにしている。このため、この凹部38は、通気溝として機能するものである。このように、連結部40が設けられている側の吸収体31の長手方向端部に凹部38を形成しておくことで、この凹部38によって着用者の肌との間に隙間を確保することができるため、連結部40が折り畳まれている状態の通気性を改善することができる。また、使い捨ておむつの着用状態で連結部40のタックが衣服によって潰されている状態であっても、吸収体31の端部に凹部38を形成しておくことで、タックと着用者の肌との間に隙間が生じこととなるため、そこに湿気が溜まることを防止することができる。貫通部は、凹部38と同様に、湿気がたまることを防止する効果があり、通気性の改善に寄与する。
【0059】
[変形例]
続いて、
図7を参照して、本発明に係る使い捨ておむつの変形例について説明する。
図7は、後身頃2側の断面構造を拡大して示したものであるが、ここで説明する後身頃2側の構造は前身頃1側にも適用できる。
【0060】
図7に示した例では、
図6に示した例と比較して、吸収性本体30が長手方向に長く延出している。すなわち、
図7に示されるように、吸収性本体30は後側連結部材40Bの肌対向面に接合されているものであるが、この吸収性本体30が後側連結部材40Bの山折部41を超えて中間領域43にまで延在している。このため、吸収性本体30は、後側連結部材40Bの外側領域45だけでなく、中間領域43の肌対向面にも接合されている。言い換えると、後側連結部材40Bは、外側領域45が吸収性本体30に対する接合部位45aを有するとともに、中間領域43も吸収性本体30に対する接合部位43cを有していることとなる。なお、吸収性本体30の長手方向の端縁は、後側連結部材40Bの中間領域43に位置していることが好ましい。つまり、吸収性本体30は、後側連結部材40Bの谷折部42は超えない長さであることが好ましい。
【0061】
また、
図7に示した例では、吸収性本体30の吸収体31が、後側連結部材40Bの山折部41を超えて中間領域43まで延在している。このため、吸収体31は、後側連結部材40Bの山折部41に沿って肌対向面側に向かって折り返された折返部31aを有する。従って、吸収体31は、折返部31aが形成された部位において、厚み方向に二層に重なることとなる。吸収体31はフラッフパルプ等の吸収性材料を含んで構成された所定の厚みを持つ部材であるため、吸収性31を山折部41で折り返すと、この吸収体31の剛性によってタックの内部空間が広がることとなる。特に、吸収体31が山折部41で折り返されていることで、タックが外部から押圧された場合であっても、タックの内部空間が潰れにくくなる。このため、
図7に示した変形例では、タックの内部空間が比較的に広く維持されるため、このタック付近の通気性を高めることができる。
【0062】
また、
図7に示した例において、吸収性本体30の吸収体31は、長手方向の端部に薄肉領域39を有している。薄肉領域39は、少なくとも使い捨ておむつの長手方向の中央部における吸収体31の厚みよりも、吸収体31の厚みが薄くなった部分である。薄肉領域39は、例えば、吸収体31を構成する吸収性材料を圧搾して形成することができる。薄肉領域39は、吸収体31の長手方向の端部に位置し、吸収体31の幅方向全域に亘って延びる帯状の領域であることが好ましい。薄肉領域39における吸収体31の厚みは、長手方向の中央部における吸収体31の厚みを100%としたときに、10〜80%、20〜75%、又は30〜70%とすればよい。なお、この薄肉領域39にも、先述した凹部38を形成することができる。
【0063】
薄肉領域39は、吸収体31のうち、前身頃外装体10側と後身頃外装体20側の両方又はいずれか一方の端部に設けることができる。特に、薄肉領域39は、連結部材40A,40Bが設けられている側の端部に設けることが好ましい。このように、連結部材40,40Bが設けられている側の端部に薄肉領域39を設けて、吸収体31の厚みを一部薄くすることで、この端部における通気性を高めることができる。
【0064】
また、
図7に示されるように、薄肉領域39は、吸収体31の端部のうち、後側連結部材40Bの山折部41に沿って折り返される部位に形成されている好ましい。具体的には、吸収体31の折返部31aに薄肉領域39が形成されていることが好ましく、さらに、山折部41に沿って吸収体31が折り返されている状態において、この折返部31aと対面する部位(重なる部位)に薄肉領域39が形成されていることが好ましい。このように、山折部41の近傍に位置する吸収体31の部位を薄肉領域39とすることで、この山折部41に沿って吸収体31を折り返しやすくなる。また、吸収体31の折返部31aとその対面部位を薄肉領域39とすることで、吸収体31の端部を山折部41に沿って折り返したときに、その厚みが大きくなり過ぎることを回避できる。このため、吸収体31を折り返した場合であっても着用感を損なうことを回避できる。
【0065】
上記
図7の例おいては、吸収体31が薄肉領域39を有している場合の説明を示したが、吸収体31は、薄肉領域39に代えて、使い捨ておむつの長手方向の中央における当該吸収体(31)の坪量よりも当該吸収体(31)の坪量が小さい低坪量領域を有していてもよい。低坪量領域が存在していることにより、吸収体31が薄肉領域39を有する場合と同様に、吸収体31の折り返し易さ及び着用感が改善される。低坪量領域は、例えば、吸収体の端部における吸収体の密度を低くすることにより形成することができる。低坪量領域は、長手方向の中央部における吸収体31の坪量を100%としたときに、50〜80%、20〜75%、又は30〜70%の坪量を有していてもよい。低坪量領域における吸収体31の厚みは、長手方向の中央部における吸収体31の厚みと同じであってもよいし、異なっていてもよい。低坪量領域は、吸収体31の長手方向の端部に位置し、吸収体31の幅方向全域に亘って延びる帯状の領域であることが好ましい。薄肉領域39のその他の好ましい実施形態は低坪量領域にも適用することができる。吸収体31は、薄肉領域39と低坪量領域の両方を有していてもよい。
【0066】
図7に示した変形例について、その他の構成は、
図1から
図6を参照して説明した実施形態と同じ構成を採用することができる。
【0067】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。