(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を搭載した車両において、ターボ過給機を備えた車両が増加傾向にある。ターボ過給機の中には、比較的大型の低圧側ターボ過給機と、比較的小型の高圧側ターボ過給機とを直列に配置して、低回転域から高回転域まで効率良く過給を行うことができる2ステージターボ過給機がある。2ステージターボ過給機を制御する制御装置は、エンジンの回転数や負荷等に応じて、低圧側ターボ過給機と高圧側ターボ過給機を切り替えて動作させたり、双方を動作させたりしている。
【0003】
2ステージターボ過給機システムは、上記の切り替えや効率良い過給等をするために、以下に説明するように、種々のバイパス経路やバルブ等を有している。例えば高圧側ターボ過給機の高圧側タービンは、高圧側タービンに導く排気ガスの流速を調整する高圧側可変ノズルを有している。また、高圧側タービンへ排気ガスを導く排気経路をバイパスする高圧側タービンバイパス経路や、当該高圧側タービンバイパス経路の開度を調整する高圧側タービンバイパスバルブであるECVを有している。また、高圧側コンプレッサに吸気を導く吸気経路をバイパスする高圧側コンプレッサバイパス経路や、当該高圧側コンプレッサバイパス経路を開閉する(または開度を調整する)高圧側コンプレッサバイパスバルブであるACVを有している。以上の構成により、高圧側タービンバイパス経路とECV、高圧側可変ノズル、高圧側コンプレッサバイパスバルブとACV、を含めた高圧側ターボ過給機によって、高圧側ターボ過給機による過給が制御される。
【0004】
また、2ステージターボ過給機システムにおける低圧側ターボ過給機は、低圧側タービンへ排気ガスを導く排気経路をバイパスする低圧側タービンバイパス経路や、当該低圧側タービンバイパス経路の開度を調整する低圧側タービンバイパスバルブであるEBVを有している。または、低圧側タービンバイパス経路とEBVに代えて、低圧側タービンに導く排気ガスの流速を調整する低圧側可変ノズルを低圧側タービンに有している。以上の構成により、低圧側タービンバイパス経路とEBV、または低圧側可変ノズル、を含めた低圧側ターボ過給機によって、低圧側ターボ過給機による過給が制御される。上記のように、2ステージターボ過給機システムは、構成要素が多くシステム(ハードウェア)が複雑化し、当該システムを制御する制御方法(ソフトウェア)も複雑化する傾向にある。
【0005】
例えば特許文献1には、高圧側タービンバイパス経路と排気バイパスバルブ(ECVに相当)、高圧TC可動ベーン(高圧側可変ノズルに相当)、を含めた高圧側ターボ過給機と、低圧TC可動ベーン(低圧側可変ノズルに相当)を含めた低圧側ターボ過給機とを有する内燃機関用多段過給システムが開示されている。特許文献1では、エンジン回転数と燃料噴射量で示される制御領域を、低回転・小噴射量の領域(低回転低負荷領域)である第1制御領域AR1と、高回転・大噴射量の領域(高回転高負荷領域)である第2制御領域AR2と、第1制御領域AR1と第2制御領域AR2とに挟まれた第3制御領域AR3と、の3つの領域に分割している。そして高圧TC可動ベーン、低圧TC可動ベーン、排気バイパスバルブは、制御領域内における現在の運転状態に応じて予め設定された基本開度に制御され、第1制御領域AR1では高圧TC可動ベーンのみがフィードバック制御され、第2制御領域AR2では低圧TC可動ベーンのみがフィードバック制御され、第3制御領域AR3では排気バイパスバルブのみがフィードバック制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の内燃機関用多段過給システムでは、高圧TC可動ベーン(高圧側可変ノズルに相当)、低圧TC可動ベーン(低圧側可変ノズルに相当)、排気バイパスバルブ(ECV(高圧側タービンバイパスバルブ)に相当)、の2つ以上を同時にフィードバック制御すると、制御が干渉したり発散したりして不安定になり易いため、フィードバック制御する際にはいずれか1つのみをフィードバック制御している。例えば第1制御領域AR1内では、高圧TC可動ベーンがフィードバック制御され、排気バイパスバルブと低圧TC可動ベーンはエンジン回転数と燃料噴射量に応じて予め設定された開度に制御される。また、第2制御領域AR2内では、低圧TC可動ベーンがフィードバック制御され、排気バイパスバルブと高圧TC可動ベーンはエンジン回転数と燃料噴射量に応じて予め設定された開度に制御される。また、第3制御領域AR3内では、排気バイパスバルブがフィードバック制御され、高圧TC可動ベーンと低圧TC可動ベーンはエンジン回転数と燃料噴射量に応じて予め設定された開度に制御される。
【0008】
例えば第1制御領域AR1内でユーザがアクセルペダルを踏み込んで加速を要求すると、実際の過給圧が目標過給圧に対して不足する場合、制御装置は、高圧TC可動ベーンをフィードバック制御して高圧側ターボ過給機による過給圧を持ち上げようとする。しかし、排気バイパスバルブはエンジン回転数と燃料噴射量に応じて予め設定された開度に制御されるので、開く側に制御されてしまう場合がある。この場合、高圧TC可動ベーンのフィードバック制御で過給圧を増量しようとするが、排気バイパスバルブを開く側の制御で過給圧を減量してしまい、結果として加速要求に対する過給性能が低下する場合がある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、高圧側ターボ過給機と低圧側ターボ過給機を有する2ステージターボ過給機を備えた内燃機関の制御方法において、加速要求時における過給性能をより向上させることができる、内燃機関の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御方法は次の手段をとる。まず、本発明の第1の発明は、低圧側ターボ過給機と高圧側ターボ過給機とが直列に配置された2ステージターボ過給機と、前記高圧側ターボ過給機に設けられて高圧側タービンへ導く排気の流速を調整可能な高圧側可変ノズルと、前記高圧側ターボ過給機の前記高圧側タービンをバイパスする高圧側タービンバイパス経路及び当該高圧側タービンバイパス経路の開度を調整可能な高圧側タービンバイパスバルブであるECVと、前記高圧側ターボ過給機の高圧側コンプレッサをバイパスする高圧側コンプレッサバイパス経路、及び当該高圧側コンプレッサバイパス経路の開度を調整可能または開閉可能な高圧側コンプレッサバイパスバルブであるACVと、前記低圧側ターボ過給機の低圧側タービンをバイパスする低圧側タービンバイパス経路及び当該低圧側タービンバイパス経路の開度を調整可能な低圧側タービンバイパスバルブであるEBV、または、前記低圧側ターボ過給機に設けられて低圧側タービンへ導く排気の流速を調整可能な低圧側可変ノズルと、前記高圧側可変ノズルと、前記ECVと、前記ACVと、前記EBVまたは前記低圧側可変ノズルと、を制御する制御装置と、を用いた内燃機関の制御方法であって、前記ACVを開いている場合は、前記制御装置を用いて、前記ECVと、前記高圧側可変ノズルとを、フィードバック制御ではなく予め設定されたそれぞれの開度であるECV設定開度と高圧側可変ノズル設定開度にてそれぞれ制御するとともに、前記低圧側可変ノズルまたは前記EBVをフィードバック制御する、ACV開時ステップと、前記ACVを全閉している場合は、前記制御装置を用いて、前記低圧側可変ノズルまたは前記EBVを、フィードバック制御ではなく予め設定された開度である低圧側可変ノズル設定開度またはEBV設定開度にて制御するとともに、予め設定された実行条件が非成立の場合は前記ECVと前記高圧側可変ノズルの一方を一定開度に制御して他方をフィードバック制御し、前記実行条件が成立している場合は前記ECVと前記高圧側可変ノズルをともにフィードバック制御する、ACV閉時ステップと、を有する、内燃機関の制御方法である。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る内燃機関の制御方法であって、前記ACV閉時ステップにおける前記実行条件が成立した場合とは、フィードバック制御した前記他方が上限または下限に達している場合である、内燃機関の制御方法である。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る内燃機関の制御方法であって、前記一方は前記高圧側可変ノズルであり、前記他方は前記ECVであり、前記ACV閉時ステップにおける前記ECVの制御と前記高圧側可変ノズルの制御において、前記制御装置を用いて、前記ECVをフィードバック制御し、前記ECVの開度が下限に達していない場合は前記高圧側可変ノズルを前記一定開度に制御し、前記ECVの開度が下限に達している場合は前記高圧側可変ノズルをフィードバック制御する、内燃機関の制御方法である。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第3の発明に係る内燃機関の制御方法であって、前記ACV閉時ステップにおける前記ECVの制御と前記高圧側可変ノズルの制御において、前記ACVが開いている状態から全閉状態へとなった時点、及び前記時点から前記高圧側可変ノズルのフィードバック制御を開始するまでは、前記ACVが全閉状態となる直前における前記ACV開時ステップの際の前記高圧側可変ノズル設定開度を、前記高圧側可変ノズルに対する前記一定開度とし、前記高圧側可変ノズルのフィードバック制御を開始した後に前記高圧側可変ノズルのフィードバック制御を中断した場合には、前記中断の直前における前記高圧側可変ノズルの開度を、前記高圧側可変ノズルに対する前記一定開度とする、内燃機関の制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、ACVを全閉している場合は、低圧側可変ノズルまたはEBVをフィードバック制御することなく、予め設定されたそれぞれの設定開度に制御する。また、ECVと高圧側可変ノズルの制御については、実行条件が非成立の場合は一方を一定開度に制御して他方をフィードバック制御し、実行条件が成立している場合は双方をフィードバック制御する。従って、ECVと高圧側可変ノズルの制御について、実行条件非成立時では、他方をフィードバック制御して、一方を「一定開度」に維持しているので、他方のフィードバック制御による過給の増量分を、一方の制御で減量することがない。また実行条件成立時では、双方をフィードバック制御するので、過給が不足している場合は、どちらも過給を増量する側に制御するので、他方(または一方)のフィードバック制御による過給の増量分を、一方(または他方)の制御で減量することがない。このように、高圧側可変ノズルとECV(高圧側タービンバイパスバルブ)の制御をより適切に制御することで、加速要求時における過給性能をより向上させることができる。
【0015】
第2の発明では、一方と他方の双方をフィードバック制御する実行条件の成立時とは、フィードバック制御した他方が上限または下限に達している場合である。つまり、ECVと高圧側可変ノズルにおいて、他方をフィードバック制御して下限または上限にはりついた場合に、一方をフィードバック制御する。すなわち、他方のフィードバック制御で追従しきれない場合に一方のフィードバック制御で追従を継続する。従って、双方をフィードバック制御するにあたり、双方をランダムに増減するのでなく、他方の増減が停止(上限または下限)した場合に一方を増減するようにフィードバック制御する。従って、ECVと高圧側可変ノズルを、干渉や発散等をさせることなく、適切に収束するようにフィードバック制御することができる。
【0016】
第3の発明では、ECVと高圧側可変ノズルの制御を、干渉や発散等をさせることなくより適切に制御し、加速要求時における過給性能をより向上させることができる。
【0017】
第4の発明では、高圧側可変ノズルを制御する際の「一定開度」を、より適切な開度とすることが可能であり、加速要求時における過給性能をより向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
●[内燃機関の制御システムの概略構成(
図1、
図3)と、制御装置50の入出力(
図2)]
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。まず
図1及び
図2を用いて、内燃機関の制御システムの概略構成について説明する。本実施の形態の説明では、内燃機関の例として、車両に搭載された4気筒のエンジン10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。エンジン10には、エンジン10の各気筒45A〜45Dへの吸入空気を導入する吸気管11が接続されている。またエンジン10には、各気筒45A〜45Dからの排気ガスが吐出される排気管12が接続されている。各気筒45A〜45Dには、燃料配管42A〜42Dを介してコモンレール41に接続されたインジェクタ43A〜43Dが設けられている。
【0020】
まず、吸気管に関して説明する。吸気管には、流量検出手段21からエンジン10に向かって(吸気の上流側から下流側に向かって)、吸気管11A、11B、11C、11D、11が順に接続されている。吸気管11Aと吸気管11Bとの間には、低圧側ターボ過給機60の低圧側コンプレッサ65が設けられている。吸気管11Cと吸気管11Dとの間には、高圧側ターボ過給機50の高圧側コンプレッサ55が設けられている。吸気管11には、過給された吸気を冷却するインタークーラ16と、吸気管11の開度を調整可能な電子スロットル装置47が設けられ、排気ガスの一部を吸気管11に戻すためのEGR配管13が接続されている。また吸気管11Bと吸気管11Cとの境界近傍と、吸気管11Dと吸気管11との境界近傍には、高圧側コンプレッサ55をバイパスする高圧側コンプレッサバイパス配管11X(高圧側コンプレッサバイパス経路に相当)が接続されている。そして高圧側コンプレッサバイパス配管11Xには、高圧側コンプレッサバイパス配管11Xを開閉可能な高圧側コンプレッサバイパスバルブであるACV(55V)が設けられている。なお吸気管11B、11C、11D、高圧側コンプレッサバイパス配管11Xは、一体的な構造とされていてもよい。
【0021】
吸気管11Aには、低圧側コンプレッサ65の上流側の吸気の圧力を検出する圧力検出手段65T(圧力センサ等)が設けられている。吸気管11Bには、低圧側コンプレッサ65の下流側(高圧側コンプレッサ55の上流側)の吸気の圧力を検出する圧力検出手段65Q(圧力センサ等)が設けられている。吸気管11には、高圧側コンプレッサ55の下流側の吸気の圧力を検出する圧力検出手段55Q(圧力センサ等)が設けられている。制御手段71は、圧力検出手段65T、65Q、55Qからの検出信号に基づいて、各位置の吸気の圧力を検出可能である。
【0022】
次に排気管に関して説明する。排気管には、エンジン10から低圧側タービン66に向かって(排気の上流側から下流側に向かって)、排気管12、12A、12B、12C、12D、12E、12Fが順に接続されている。排気管12Aと排気管12Bとの間には、高圧側ターボ過給機50の高圧側タービン56が設けられている。排気管12Dと排気管12Eとの間には、低圧側ターボ過給機60の低圧側タービン66が設けられている。また排気管12と排気管12Aとの境界近傍と、排気管12Bと排気管12Cとの境界近傍には、高圧側タービン56をバイパスする高圧側タービンバイパス配管12X(高圧側タービンバイパス経路に相当)が接続されている。そして高圧側タービンバイパス配管12Xには、高圧側タービンバイパス配管12Xの開度を調整可能な高圧側タービンバイパスバルブであるECV(56V)が設けられている。また排気管12Cと排気管12Dとの境界近傍と、排気管12Eと排気管12Fとの境界近傍には、低圧側タービン66をバイパスする低圧側タービンバイパス配管12Y(低圧側タービンバイパス経路に相当)が接続されている。そして低圧側タービンバイパス配管12Yには、低圧側タービンバイパス配管12Yの開度を調整可能な低圧側タービンバイパスバルブであるEBV(66V)が設けられている。なお排気管12A、12B、12C、12D、12E、高圧側タービンバイパス配管12X、低圧側タービンバイパス配管12Yは、一体的な構造とされていてもよい。
【0023】
排気管12Aには、高圧側タービン56の上流側の排気の圧力を検出する圧力検出手段56T(圧力センサ等)が設けられている。排気管12Cには、高圧側タービン56の下流側(低圧側タービン66の上流側)の排気の圧力を検出する圧力検出手段56Q(圧力センサ等)が設けられている。排気管12Fには、低圧側タービン66の下流側の圧力を検出する圧力検出手段66Q(圧力センサ等)が設けられている。制御手段71は、圧力検出手段56T、56Q、66Qからの検出信号に基づいて、各位置の排気の圧力を検出可能である。
【0024】
EGR配管13は、排気管12と吸気管11とを連通し、排気管12内の排気ガスの一部を吸気管11に還流させることが可能である。EGR配管13には、EGRクーラ15、EGR弁14が設けられている。EGR弁14(EGRバルブ)は、EGR配管13におけるEGRクーラ15に近接する排気流入側または排気流出側に配設されており、制御手段71からの制御信号に基づいて、EGR配管13の開度を調整する。EGRクーラ15は、EGR配管13における排気管12の側である排気流入側から排気ガスが流入され、EGR配管13における吸気管11の側である排気流出側から排気ガスを吐出する。またEGRクーラ15には、冷却用のクーラントが供給されている。EGRクーラ15は、いわゆる熱交換機であり、クーラントを用いて、流入された排気ガスを冷却して吐出する。
【0025】
流量検出手段21は、例えば吸入空気の流量を検出可能な流量センサであり、吸気管11Aに設けられている。制御手段71は、流量検出手段21からの検出信号に基づいて、エンジン10が吸入した吸入空気の流量である吸入空気流量を検出することが可能である。
【0026】
回転検出手段22は、例えば内燃機関の回転数(例えばクランク軸の回転数)や回転角度(例えば各気筒の圧縮上死点タイミング)等を検出可能な回転角度センサであり、エンジン10に設けられている。制御手段71は、回転検出手段22からの検出信号に基づいて、エンジン10の回転数や回転角度等を検出することが可能である。
【0027】
大気圧検出手段23は、例えば大気圧センサであり、制御装置70に設けられている。制御手段71は、大気圧検出手段23からの検出信号に基づいて、大気圧を検出することが可能である。
【0028】
アクセルペダル踏込量検出手段25は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御手段71は、アクセルペダル踏込量検出手段25からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。
【0029】
電子スロットル装置47は、吸気管11に設けられており、制御手段71からの制御信号に基づいて吸気管11の開度を調整するスロットルを制御し、吸気流量を調整可能である。制御手段71は、スロットル開度検出手段47S(例えば、スロットル開度センサ)からの検出信号と目標スロットル開度に基づいて、電子スロットル装置47に制御信号を出力して吸気管11の開度を調整可能である。
【0030】
コモンレール41には燃料タンク(図示省略)から燃料が供給され、コモンレール41内の燃料は高圧に維持されて燃料配管42A〜42Dを介してインジェクタ43A〜43Dのそれぞれに供給されている。インジェクタ43A〜43Dは、各気筒45A〜45Dに対応させて設けられており、制御手段71からの制御信号によって各気筒内に所定のタイミングで所定量の燃料を噴射する。
【0031】
低圧側ターボ過給機60と高圧側ターボ過給機50は、直列に配置されて2ステージターボ過給機を構成し、低圧側ターボ過給機60で過給した吸気を、さらに高圧側ターボ過給機50で過給してエンジン10へと圧送することができる。
【0032】
高圧側ターボ過給機50は、高圧側コンプレッサインペラ55Aを有する高圧側コンプレッサ55と、高圧側タービンインペラ56Aを有する高圧側タービン56とを備えている。高圧側タービン56には、高圧側タービンインペラ56Aへ導く排気ガスの流速を制御可能な高圧側可変ノズル53が設けられており、高圧側可変ノズル53は、高圧側駆動手段51(電動モータ等)によって開度が調整される。制御手段71は、高圧側開度検出手段52(ノズル開度センサ等)からの検出信号と目標ノズル開度に基づいて、高圧側駆動手段51に制御信号を出力して高圧側可変ノズル53の開度を調整可能である。高圧側タービン56には、排気管12Aと排気管12Bが接続されている。排気管12Aからの高温高圧の排気ガスは、高圧側タービン56に導入されて高圧側タービンインペラ56A(及び高圧側コンプレッサインペラ55A)を回転駆動して排気管12Bへと吐出される。また制御手段71は、ECV(56V)を制御して、高圧側タービンバイパス配管12Xの開度を調整することができる。制御手段71は、例えばECV(56V)を全閉に制御すると、排気ガスのエネルギーを最大限に利用して高圧側タービン56を駆動することができる。また制御手段71は、例えばECV(56V)を全開に制御すると、排気ガスのほぼ全量を高圧側タービンバイパス配管12Xへと導き、高圧側タービン56の駆動をほぼ停止させることができる。
【0033】
高圧側コンプレッサ55には、吸気管11Cと吸気管11Dが接続されている。そして高圧側コンプレッサ55は、吸気管11Cから吸入空気を吸入して高圧側コンプレッサインペラ55Aにて圧縮し、圧縮した吸入空気を吸気管11Dに吐出することで過給する。制御手段71は、例えばACV(55V)を全閉に制御すると、高圧側コンプレッサ55による過給効果を最大限に利用することができる。また制御手段71は、例えばACV(55V)を全開に制御すると、高圧側コンプレッサ55の回転が低く高圧側コンプレッサ55が吸気抵抗となっている場合では、吸気のほぼ全量を高圧側コンプレッサバイパス配管11Xへと導くことができる。
【0034】
低圧側ターボ過給機60は、低圧側コンプレッサインペラ65Aを有する低圧側コンプレッサ65と、低圧側タービンインペラ66Aを有する低圧側タービン66とを備えている。低圧側タービン66には、排気管12Dと排気管12Eが接続されている。排気管12Dからの排気ガスは、低圧側タービン66に導入されて低圧側タービンインペラ66A(及び低圧側コンプレッサインペラ65A)を回転駆動して排気管12Eへと吐出される。また制御手段71は、EBV(66V)を制御して、低圧側タービンバイパス配管12Yの開度を調整することができる。制御手段71は、例えばEBV(66V)を全閉に制御すると、排気ガスのエネルギーを最大限に利用して低圧側タービン66を駆動することができる。また制御手段71は、例えばEBV(66V)を全開に制御すると、排気ガスのほぼ全量を低圧側タービンバイパス配管12Yへと導き、低圧側タービン66の駆動をほぼ停止させることができる。低圧側コンプレッサ65には、吸気管11Aと吸気管11Bが接続されている。そして低圧側コンプレッサ65は、吸気管11Aから吸入空気を吸入して低圧側コンプレッサインペラ65Aにて圧縮し、圧縮した吸入空気を吸気管11Bに吐出することで過給する。
【0035】
なお、
図1に示す低圧側タービン66と、排気管12D、12Eと、低圧側タービンバイパス配管12Yと、EBV(66V)と、からなる構成を、
図3に示す低圧側タービン66と、低圧側可変ノズル63と、低圧側駆動手段61(電動モータ等)と、低圧側開度検出手段62(ノズル開度センサ等)と、排気管12D、12Eに変更してもよい。
【0036】
制御装置70は、少なくとも、制御手段71、記憶手段73を有している。制御手段71は、例えばCPU(中央処理ユニット)であり、
図2に示すように、上述した各種の検出手段等からの検出信号が入力されて、エンジン10の運転状態を検出し、インジェクタ43A〜43D、EGR弁14、高圧側駆動手段51、電子スロットル装置47、ACV(55V)、ECV(56V)、EBV(66V)を駆動する制御信号を出力する。また制御手段71は、自身がインジェクタ43A〜43Dに出力した制御信号(噴射指令信号)によって、各気筒45A〜45Dに供給した燃料量を検出することが可能である。また制御手段71への入力、及び制御手段71からの出力は、
図1〜
図3の例に限定されず、種々の検出手段(冷却水温度検出手段、NOx検出手段、排気温度検出手段等)、種々のアクチュエータ(各種バルブ、各種ランプ等)が有る。なお
図2中における符号51A、51Bの各部の説明については後述する。
【0037】
記憶手段73は、例えばFlash−ROM等の記憶装置であり、後述する処理を実行するためのプログラムや、各種の特性やデータ等が記憶されている。
【0038】
●[制御手段71の処理手順(
図4)]
次に
図4を用いて、
図1に示す2ステージターボ過給機(高圧側ターボ過給機50と低圧側ターボ過給機60)の制御における、高圧側可変ノズル53、ECV(56V)、ACV(55V)、EBV(66V)(または低圧側可変ノズル63)の制御の処理手順について説明する。
【0039】
例えば、従来では
図5の[制御領域]に示すように、制御領域を、現在のエンジン回転数と現在のエンジン負荷(燃料噴射量)に応じて、領域1〜領域4の、4つの領域に分割している。そして
図5の[領域毎の制御方法]に示すように、領域毎に、高圧側可変ノズル、ECV、ACV、EBV(または低圧側可変ノズル)を、フィードバック制御することなくエンジン回転数とエンジン負荷(燃料噴射量)に応じて求めた「設定値」に基づいた開度、あるいはフィードバック制御による開度、に制御している。
【0040】
従来では、例えば領域2の場合、以下のように、高圧側可変ノズル、ECV、ACV、EBV(または低圧側可変ノズル)が制御される。高圧側可変ノズルは、エンジンの運転状態から求めた高圧側可変ノズル目標開度に追従するようにフィードバック制御される。ECVは、ECVの領域2用に用意されたマップ(エンジン回転数とエンジン負荷に応じた設定値が設定されているマップ)から求められた「設定値」の開度に制御される。ACVは、全閉状態となるように制御される。EBVは、EBVの領域2用に用意されたマップ(エンジン回転数とエンジン負荷に応じた設定値が設定されているマップ)から求められた「設定値」の開度に制御される。
【0041】
図5に示す従来の制御方法では、例えば領域2において、ユーザがアクセルペダルを軽く踏んだ低回転・低負荷状態から、アクセルペダルを大きく踏み込んで低回転・高負荷状態へと加速要求をした場合、制御装置は、加速要求に応じて過給圧を上昇させようとする。この場合、高圧側可変ノズルはフィードバック制御にて過給圧を上昇させる側に制御されるが、ECVは設定値に制御されてしまい、過給圧を低下させる側に制御されてしまう場合がある。このような場合では加速性能が低下するので、好ましくない。過給圧を低下させないように高圧側可変ノズルとECVとの双方をフィードバック制御すると、制御が干渉したり発散したりして不安定になり易い。
【0042】
そこで本願では、上記の加速性能の低下を防止するために、
図6の[制御領域]に示すように、制御領域をACV(55V)を全閉に制御する領域1Aと、ACV(55V)を全開に制御する領域2Aと、の2つの領域に分割している。そして
図6の[領域毎の制御方法]に示すように、領域1Aでは、高圧側可変ノズル53を一定開度またはフィードバック制御にて開度を制御し、ECV(56V)をフィードバック制御にて開度を制御し、EBV(または低圧側可変ノズル)を設定値にて開度を制御する。つまり、従来に対して、高圧側可変ノズル53を一定開度で維持しながらECV(56V)をフィードバック制御、あるいは高圧側可変ノズル53とECV(56V)の双方をフィードバック制御することで、従来で発生していた過給性能の低下を防止する。以下、[領域毎の制御方法]における制御手段71(制御装置70)の処理手順について説明する。制御手段71(制御装置70)は、例えば所定タイミング(例えば数[ms]〜数10[ms]等の所定時間間隔)にて、
図4に示す処理を起動し、起動した場合はステップS10へと処理を進める。
【0043】
ステップS10にて制御手段71は、現在のエンジンの運転状態に対応する制御領域を算出し、ステップS15に進む。制御領域は、例えば
図6に示すように、エンジン回転数とエンジン負荷(燃料噴射量)に応じて、領域1Aと領域2Aに分割されている。制御手段71は、現在のエンジン回転数と、現在の燃料噴射量に基づいた現在のエンジンの運転状態が、領域1Aであるか領域2Aであるか算出する。
【0044】
ステップS15にて制御手段71は、算出した制御領域が領域1Aであるか否かを判定し、領域1Aである場合(Yes)はステップS20に進み、領域1Aでない場合(No)はステップS20Aに進む。
【0045】
ステップS20Aに進んだ場合、制御手段71は、
図6の[領域毎の制御方法]に示されている領域2Aに対応する制御を、順に実施する。まず制御手段71は、ACV(55V)を全開となるように制御してステップS25Aに進む。
【0046】
ステップS25Aにて制御手段71は、EBV(66V)の開度を、EBVフィードバック用プログラムにてフィードバック制御し、あるいは、低圧側可変ノズル63の開度を、低圧側可変ノズルフィードバック用プログラムにてフィードバック制御し、ステップS30Aに進む。なお、EBVフィードバック用プログラム、あるいは低圧側可変ノズルフィードバック用プログラムは、既存のプログラムを流用、あるいは既存のプログラムを変更したプログラム、として利用すればよい。
【0047】
ステップS30Aにて制御手段71は、ECV(56V)の領域2A用に用意されたマップ(エンジン回転数とエンジン負荷に応じた設定値が設定されているマップ)から求められた「設定値(ECV設定開度に相当)」の開度となるように、ECV(56V)を制御し、ステップS40Aに進む。なお、ECV(56V)の領域2A用に用意されたマップは、既存のマップを流用、あるいは既存のマップを変更したマップ、として利用すればよい。
【0048】
ステップS40Aにて制御手段71は、高圧側可変ノズル53の領域2A用に用意されたマップ(エンジン回転数とエンジン負荷に応じた設定値が設定されているマップ)から求められた「設定値(高圧側可変ノズル設定開度に相当)」の開度となるように、高圧側可変ノズル53を制御し、処理を終了する。なお、高圧側可変ノズル53の領域2A用に用意されたマップは、既存のマップを流用、あるいは既存のマップを変更したマップ、として利用すればよい。
【0049】
またステップS20に進んだ場合、制御手段71は、
図6の[領域毎の制御方法]に示されている領域1Aに対応する制御を、順に実施する。まず制御手段71は、ACV(55V)を全閉となるように制御してステップS25に進む。
【0050】
ステップS25にて制御手段71は、EBV(66V)の領域1A用に用意されたマップ(エンジン回転数とエンジン負荷に応じた設定値が設定されているマップ)から求められた「設定値(EBV設定開度に相当)」の開度となるように、EBV(66V)を制御し、ステップS30に進む。なお、EBV(66V)の領域1A用に用意されたマップは、既存のマップを流用、あるいは既存のマップを変更したマップ、として利用すればよい。あるいは、制御手段71は、低圧側可変ノズル63の領域1A用に用意されたマップ(エンジン回転数とエンジン負荷に応じた設定値が設定されているマップ)から求められた「設定値(低圧側可変ノズル設定開度に相当)」の開度となるように、低圧側可変ノズル63を制御し、ステップS30に進む。なお、低圧側可変ノズル63の領域1A用に用意されたマップは、既存のマップを流用、あるいは既存のマップを変更したマップ、として利用すればよい。
【0051】
ステップS30にて制御手段71は、ECV(56V)の開度を、ECVフィードバック用プログラムにてフィードバック制御し、ステップS35に進む。なお、ECVフィードバック用プログラムは、既存のプログラムを流用、あるいは既存のプログラムを変更したプログラム、として利用すればよい。
【0052】
ステップS35にて制御手段71は、フィードバック制御したECV(56V)の開度が、下限開度であるか否かを判定し、下限開度である場合(Yes)はステップS40に進み、下限開度でない場合(No)はステップS45に進む。
【0053】
ステップS40に進んだ場合、制御手段71は、高圧側可変ノズル53の開度を、高圧側可変ノズルフィードバック用プログラムにてフィードバック制御し、処理を終了する。なお、高圧側可変ノズルフィードバック用プログラムは、既存のプログラムを流用、あるいは既存のプログラムを変更したプログラム、として利用すればよい。ECV(56V)のフィードバック制御の結果、ECV(56V)の開度が下限開度に張り付いた場合に高圧側可変ノズル53をフィードバック制御することで、双方の制御の干渉や、双方の制御の発散を防止し、過給圧を上昇させる側へと、適切に制御を行うことができる。
【0054】
ステップS45に進んだ場合、制御手段71は、高圧側可変ノズル53の開度については、新たな制御をせず、現状の開度を維持(一定開度を維持)させて、処理を終了する。例えばACV(55V)が全開状態から全閉状態になった時点では、ACV(55V)が全閉状態になる直前の処理タイミングにおけるステップS40Aのときの開度を維持(一定開度を維持)する。また例えば、ACV(55V)が全開状態から全閉状態になった時点から高圧側可変ノズル53のフィードバック制御が開始されるまでは、ACV(55V)が全閉状態になる直前の処理タイミングにおけるステップS40Aのときの開度を維持(一定開度を維持)する。また例えばステップS40に流れて高圧側可変ノズル53のフィードバック制御を開始した後、次の処理タイミングにてステップS45に流れて高圧側可変ノズル53のフィードバック制御を中断した場合は、中断の直前における高圧側可変ノズルのフィードバック制御のときの開度を維持(一定開度を維持)する。
【0055】
以上に説明した処理では、ECVのフィードバック制御の結果、ECVの開度が下限開度に張り付いた場合に高圧側可変ノズルのフィードバック制御を実行したが、以下のようにステップS30、S35、S40、S45の処理において、ECVと高圧側可変ノズルを入替えてもよい。そして、入替後のステップS30にて高圧側可変ノズルのフィードバック制御の結果、入替後のステップS35にて高圧側可変ノズルの開度が上限開度または下限開度に張り付いた場合に、入替後のステップS40にてECVのフィードバック制御を実行するようにしてもよい。この場合、高圧側可変ノズルの開度が上限開度または下限開度に張り付いていない場合、入替後のステップS45にてECVの開度は現状の開度を維持する(ECVについては、新たな制御をせず、現状の開度を維持させる)。
【0056】
なお、ステップS20A、S25A、S30A、S40Aの処理は、「ACVを開いている場合は、制御装置(制御手段)を用いて、ECVと高圧側可変ノズルとを、フィードバック制御ではなく予め設定されたそれぞれの開度(ECV設定開度と高圧側可変ノズル設定開度)にてそれぞれ制御するとともに、低圧側可変ノズルまたはEBVをフィードバック制御する」というACV開時ステップに相当している。そして当該ACV開時ステップの処理を実行している制御手段71は、
図2に示すACV開時部51Aとして機能する。また、ステップS20、S25、S30、S35、S40、S45の処理は、「ACVを全閉している場合は、制御装置(制御手段)を用いて、低圧側可変ノズルまたはEBVを、フィードバック制御ではなく予め設定された開度である低圧側可変ノズル設定開度またはEBV設定開度にて制御するとともに、予め設定された実行条件が非成立の場合はECVと高圧側可変ノズルの一方を一定開度に制御して他方をフィードバック制御し、前記実行条件が成立している場合はECVと高圧側可変ノズルをともにフィードバック制御する」というACV閉時ステップに相当している。そして当該ACV閉時ステップの処理を実行している制御手段71は、
図2に示すACV閉時部51Bとして機能する。
【0057】
●[本実施の形態の効果(
図7)]
以上に説明した処理による効果を、
図7に示す動作波形の例にて説明する。
図7は、同一の横軸(時間軸)に対して、領域1A内において、ユーザがアクセルペダルを軽く踏んでいる状態(低回転・低負荷の状態)から、アクセルペダルを大きく踏み込んで加速要求をした場合における、アクセルペダル踏込量の状態、エンジン回転数の状態、エンジントルクの状態、過給圧の状態、の例を示している。この場合、領域1A内において、低回転・低負荷の状態から低回転・高負荷の状態へ遷移した後、高回転・高負荷の状態へと遷移する。
【0058】
従来の制御では、例えば
図5の[制御領域]に示す領域2内では、エンジン回転数、エンジントルク、過給圧については、上述したように、高圧側可変ノズルはフィードバック制御にて過給圧を上昇させる側に制御されるが、ECVは設定値に制御されてしまい、過給圧を低下させる側に制御されてしまう場合がある。これにより、点線にて示すように、本実施の形態と比較して、過給圧もエンジントルクもやや低い状態となるのでエンジン回転数の立上りがやや鈍く、加速性能がやや劣る。
【0059】
これに対して本実施の形態の制御では、例えば
図6の[制御領域]に示す領域1A内では、高圧側可変ノズルとECVの制御を適切に制御することが可能となり、エンジン回転数、エンジントルク、過給圧については、実線にて示すように、従来と比較して、過給圧もエンジントルクもより高い値へと向上される。これにより、エンジン回転数の立上りも、従来と比較して、より速く立上り、加速性能が向上されていることがわかる。
【0060】
本発明の内燃機関の制御方法は、本実施の形態で説明した処理、動作、動作波形等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0061】
また、本発明の内燃機関の制御方法を適用する対象制御システムは、
図1の例に示すものに限定されず、種々の内燃機関に適用することが可能である。例えば
図1における低圧側ターボ過給機60及びその周囲の構成を、
図3に示す構成と変更してもよい。
【0062】
また本実施の形態の説明では、ACV(55V)は、全開または全閉のいずれかに制御される例を示したが、全閉〜全開の間の任意の開度に調整できるものでもよい。その際、ステップS20の「全閉」の処理は変わらず、ステップS20Aの「全開」が「(所定のプログラムにて)算出された開度に制御」と変更される。また
図6の[領域毎の制御方法]における領域2AのACVの個所も「全開」から「設定値」へと変更される。
【0063】
本実施の形態の説明では、
図6に示すように、エンジン回転数とエンジン負荷にて領域1Aと領域2Aを設定し、領域1Aと領域2Aにて、高圧側可変ノズル、ECV、ACV、EBV(または低圧側可変ノズル)の制御を切り替える例を説明したが、以下のように制御を切り替えるようにしてもよい。例えば、エンジン回転数とエンジン負荷に応じてECVのベース開度を算出し、ACVが全閉の場合は、「ECVのベース開度≧第1ECV閾値」かつ「ACVの前後の差圧(圧力偏差)≦所定圧力」の場合にACVを全開に切り替える。またACVが全開の場合は、「ECVのベース開度≦第2ECV閾値」の場合にACVを全閉に切り替える。そして、ACVの状態(全閉または全開)に応じて、高圧側可変ノズル、ECV、EBV(または低圧側可変ノズル)の制御を切り替える。このように、高圧側可変ノズル、ECV、ACV、EBV(または低圧側可変ノズル)の制御を切り替える方法は、本実施の形態にて説明した
図6に示す領域で切り替える方法の他にも、種々の方法がある。