(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施例>
図1乃至
図2を参照し、本実施例における生体情報出力装置100を説明する。生体情報出力装置100は、人間の身体BDの一部を、直接的または間接的に支持する身体支持部BSを有する機器CHに設置され、その機器CHの使用者の生体情報を検知する。ここで、人間の身体BDの一部を支持する身体支持部BSを有する機器(器具・器械・機械の総称)とは、具体的には、たとえば、人が座る椅子やソファ、人が横たわるベッド、病院内に設置される身体検査機器、車両や航空機内に設置され人が座る座席などを言う。本明細書では、振動を生じさせ易い車両に設置される座席を例に説明する。
【0012】
人間の身体BDの一部を支持する身体支持部BSとは、椅子等では座面や背もたれ面、ベッドではマットレス上面等をいう。身体支持部BSは、人間の身体BDの一部が直接的・間接的のいずれかで接すればよく、人が衣服を着用して間接的に接触して支持することでもよい。身体BDの一部とは、椅子等の座面では臀部や太腿であり、椅子等の背もたれやベッド等では背中が一般的である。
【0013】
使用者の生体情報とは、本明細書においては、心拍数(脈拍数)や脈波の大きさ、呼吸数や呼吸の大きさ、血圧などをいい、これらに由来しない皮膚や筋肉の動きを生じさせる咳やくしゃみなどは含まない。
【0014】
本実施例における生体情報出力装置100は、
図1(A)に示すように、車両に搭載される機器である椅子CH、所謂シートCHの背もたれ部BKに設置されるものである。背もたれ部BKの表面は表皮で覆われており、身体BDの一部が身体支持部BSに接する面はその表皮である。この場合、身体支持部BSは、背もたれ部BKに配置される弾性部材、所謂クッションであり、身体BDの体重の一部を支える。身体BDの一部は、たとえば車両の運転者であるシートCHの使用者の背中である。シートCHは、内部に、強固なフレーム等である支持体SPを備え、生体情報出力装置100は、その支持体SPに取り付けられる。
【0015】
生体情報出力装置100は、
図1(B)および
図2に示すように、生体情報を検知すると共に加速度を検知する検知ユニット90と、検知ユニット90が検知した時系列の生体情報および加速度に基づいて、検知ユニット90が検知した生体情報の信頼度を判別する信頼度判別部30と、検知ユニット90が検知した生体情報などに基づいて生体情報を統合する生体情報統合部40と、身体支持部BSの一部を構成し、身体BDの一部を支持する検知支持部70と、検知ユニット90を搭載する枠体60とを備える。なお、
図1(B)は、
図1(A)に示された椅子CHの背もたれ部BKに設けられた生体情報出力装置100を拡大した断面図である。
【0016】
検知支持部70は、身体支持部BSと同様に身体BDの一部を支持すると共に、検知ユニット90が電波を照射する身体BDの一部を支持する。すなわち、検知支持部70は、シートCHの使用者の生体情報を取得するための身体BDの一部を支持する部分である。検知支持部70は、身体支持部BSと同様の所謂クッションから形成される。
【0017】
枠体60は、硬い金属や樹脂から形成され、検知ユニット90を配置する底部61と、底部61から検知支持部70が身体BDの一部を支持する面まで立ち上る側部62と、側部62の上端において外側に拡がるフランジ部63とを有する。底部61の下面は、シートCHに備えられる強固な支持体SPに取り付けられ、枠体60自体が、シートCHに取り付けられる。側部62は底部61の縁から検知支持部70が身体BDの一部を支持する面までほぼ立ち上っているので、検知ユニット90は、枠体60の中に収められているように配置され、支持体SPに間接的に支持される。
【0018】
側部62の高さは、身体支持部BSの上面とほぼ一致する高さに設けられ、フランジ部63は、側部62の上端において外側に拡がり、身体支持部BSの上面とほぼ一致するように構成される。したがって、身体BDの体重が矢印に示すように身体支持部BSに加わった時には、身体BDは枠体60のフランジ部63に間接的にではあるが密着することとなる。これにより、身体BDの一部と検知ユニット90の距離を一定に保つことで、車両の振動など心拍や呼吸以外に由来する生体表面の変位などの影響を軽減することができると共に、検知ユニット90と生体との距離が変動し正確な生体情報を取得することができない場合があっても、後述するように、心拍や呼吸などの生体情報を正確に検知することができる。
【0019】
検知ユニット90は、使用者の生体情報を検知する非接触式の生体センサ10と、生体センサ10が検知した情報から生体情報を取得するために抽出し、生体情報の信号を出力する生体情報取得部13と、生体センサ10と直接的または間接的に固定された加速度センサ20と、加速度センサ20が検知した情報から生体情報出力装置100が受けている加速度を取得する加速度データ取得部21と、生体センサ10と加速度センサ20を制御する制御部50と、を備える。
【0020】
生体センサ10は、身体支持部BSが支持する身体BDの一部に向けて電波(照射波W1)を照射する照射部11と、照射部11が照射した電波が身体BDの一部で反射した反射波W2を受信する受信部12とを有する。照射する電波(照射波W1)は、生体の皮膚表面で反射する周波数の電波であればなんでもよいが、通常マイクロ波が好ましい。しかし、これに限定されず、たとえば、被服などを透過し身体BDの一部で反射する光を照射して生体情報を検知してもよい。生体情報取得部13は、受信部12が受信した微細に動く生体の皮膚表面からの反射波W2から、心拍や呼吸等の生体情報を検出するために、それらの特徴量等に基づき生体情報を抽出する。そして、生体情報取得部13は、生体の皮膚表面は心拍や呼吸に由来する微細な動きによる、反射波W2の周波数の変化に基づいてその動きを抽出し、抽出した生体情報を生体情報信号として出力する。
【0021】
加速度センサ20は、生体センサ10と間接的に枠体60を介して固定されており、加速度センサ20に付加される加速度は生体センサ10にも付加されることとなる。もちろん、加速度センサ20と生体センサ10は直接的に固定されてもよい。また、加速度センサ20は、枠体60に固定されているため、身体BDの体重が身体支持部BSに加わり、身体BDと枠体60のフランジ部63が密着した場合には、身体BDと一体となった動きをするため、身体BDも含めた加速度を検出することとなる。なお、加速度センサ20は、車両に加わる三次元方向それぞれの(即ち、車両の前後方向、車幅方向、車高方向)加速度を検出する周知の3軸加速度センサである。
【0022】
加速度データ取得部21は、加速度センサ20が検出した情報の内、身体BDとフランジ部63が密着して身体も含めた加速度を検出できるように加速度データを抽出する。特に、身体BDとフランジ部63が密着しておらず、支持体SPから伝わる車両の振動のみによる加速度と、身体BDとフランジ部63が密着して車両の振動に加えて身体も含めた加速度との違いが検出できるように抽出する。たとえば、この違いが、車高方向の加速度に主に検出される場合には、加速度データ取得部21は、車高方向の加速度を抽出し、加速度情報信号としてそれを出力する。
【0023】
信頼度判別部30は、生体センサ10が検知して生体情報取得部が出力した時系列の生体情報の信号および加速度センサ20が検知して加速度データ取得部21が出力した時系列の加速度の信号に基づいて、生体センサ10が検知した生体情報の信頼度を判別する。
図3を参照し、信頼度判別部30が行う信頼度判別について説明する。
図3は、車両が走行中の加速度と生体信号のマトリクスである。
【0024】
走行中の場合、加速度センサ20は、車両の減加速、振動や揺れに伴う加速度と共に、身体BDがフランジ部63に密着することにより車両の振動等に由来する身体BDの加速度も含めて検知する。身体BDがフランジ部63に密着すると、走行時の身体BDの揺れによる衝撃も加速度センサ20が検知する加速度に加わるので、加速度センサ20が検知する加速度(またはその振れ幅)は大きくなる。一方、身体BDがフランジ部63に密着していないと、車両の振動等の加速度のみを検出するので、加速度センサ20が検知する加速度(またはその振れ幅)は小さくなる。
【0025】
また、生体センサ10が検知すべき脈拍などの生体情報は、外乱が少なければ基本的にその生体情報の信号の大きさ(またはその振れ幅)は小さく、車両の振動などの外乱が多いと生体センサ10が検知する生体情報の信号の大きさも大きくなる。そうすると、
図3に示すマトリクスの中では、加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが小さいところ(左下の部分)が、最も信頼度が高い状態であると言える。一方、加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが大きいところ(右上の部分)が、最も信頼度が低い状態であると言える。
【0026】
なお、加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが小さいところ(左上の部分)および加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが大きいところ(右下の部分)は、センサの異常と捉えることができる。加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが小さいところ(左上の部分)は、たとえば、身体BDが検知ユニット90から離れ過ぎていて検知できない場合などである。また、加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが大きいところ(右下の部分)は、たとえば、非常に大きな外部衝撃により、検知ユニット90と身体BDの間が不安的な場合などである。
【0027】
本明細書では、加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが小さい状態を、「第1の状態」と言い、信頼度が高い状態を示す。一方、加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが大きい状態を、「第2の状態」と言い、信頼度が低い状態を示す。加速度や生体信号の大きさの大きい/小さいは、互いに相対的なものであるが、
図4に示すように、その差は明確に現れる。
【0028】
たとえば、
図4(A)と(B)は、第1の状態が多く含まれるグラフを示し、
図4(C)と(D)は、第2の状態が多く含まれるグラフを示す。
図4(A)と(C)は、生体センサ10が検知した生体信号を示すが、
図4(A)が示す生体信号の大きさ(振れ幅)は、
図4(C)が示す生体信号の大きさ(振れ幅)より小さいと言える。また、
図4(B)と(D)は、加速度センサ20が検知した加速度を示すが、
図4(B)が示す加速度の大きさ(振れ幅)は、
図4(D)が示す加速度の大きさ(振れ幅)より大きいと言える。生体信号/加速度の大きさは、たとえば、ある期間における、ピーク値の平均、ピーク値からピーク値の幅の平均、測定値のRMS値(Root Mean Square、二乗平均平方根)などで表すことができる。
【0029】
本実施例の生体情報出力装置100は、検知ユニット90を1つのみ備える。生体情報出力装置100において、「第1の状態」と「第2の状態」を判別するためには、「第1の状態」と「第2の状態」のそれぞれがある程度継続する複数の期間が必要となる。たとえば、
図5に示すように、最初に、加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが小さい状態が継続する期間があり、次に加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが大きい状態が継続する期間があり、さらに次に加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが小さい状態が継続する期間があった場合、最初と3番目の期間を第1の状態の期間(第1の期間)と判別し、2番目の期間を第2の状態の期間(第2の期間)と判別することができる。
【0030】
生体情報統合部40は、信頼度判別部30が判別した信頼度に基づいて、第1の状態(第1の期間)の生体情報と第2の状態(第2の期間)の複数の生体情報を、以下のように統合する。生体情報統合部40は、
図6に示すように、信頼度の高い第1の状態の生体情報と信頼度の低い第2の状態の生体情報とを加重平均演算することにより求める。たとえば、第1の状態と第2の状態の生体情報を十分に判別することができる場合、第1の状態の第1の期間の生体情報だけを用いて平均値を演算してもよい。すなわち、第1の期間の生体情報に重み係数1を、第2の期間の生体情報に重み係数0を用いて計算する。また、十分に第1の状態の生体情報が得られない場合や第1の状態と第2の状態の生体情報を十分に判別できない場合、たとえば、第1の期間と第2の期間の両方の生体情報を用いるが、より信頼度の高い第1の期間の生体情報に重み係数1を、第2の期間の生体情報に重み係数0.1を用いて計算する。そして、生体情報統合部40は、第1の状態の生体情報と第2の状態の生体情報を統合した後、統合後の信頼度の高い生体情報を利用する外部の機関のために出力する。
【0031】
制御部50は、生体センサ10の照射部11が照射波W1を照射するタイミングと加速度センサ20が加速度を検知するタイミングの同期を図り、信頼度判別部30が、同時点での生体情報信号と加速度情報信号を得られるようにする。
【0032】
図7を参照し、生体情報出力装置100の制御方法を説明する。なお、フローチャートにおけるSはステップを示す。生体情報出力装置100の生体情報取得部13は、S100において、制御部50が照射部11に照射波W1を照射させて、受信部12が受光した反射波W2から生体情報を取得する。信頼度判別部30は、S102において、生体情報取得部13が取得した生体情報の大きさを評価する。また、加速度データ取得部21は、S104において、制御部50が加速度センサ20に検知させた加速度の中から必要なデータを抽出し、取得する。信頼度判別部30は、S106において、加速度データ取得部21が取得した加速度の大きさを評価する。信頼度判別部30は、S108において、取得した生体情報の大きさと加速度の大きさに基づいて、上述したように、取得した生体情報の信頼度を判別する。
【0033】
生体情報出力装置100は、S110において、第1の状態か第2の状態かを見分けることができる十分な期間である所定の期間、S100〜S108のステップを繰り返す。そして、生体情報統合部40は、S112において、第1の状態か第2の状態かの信頼度に基づいて、複数の期間の生体情報を統合する。最後に、生体情報出力装置100は、S114において、統合された生体情報を外部へ出力する。
【0034】
上述したように、生体情報出力装置100において、信頼度判別部30は、第1の期間において生体センサ10が検知した生体情報の信号の大きさが、第2の期間において生体センサ10が検知した生体情報の信号の大きさより小さいと判別し、かつ、第1の期間において加速度センサ20が検知した加速度が、第2の期間において加速度センサ20が検知した加速度より大きいと判別した場合、生体情報統合部40は、第1の期間において生体センサ10が検知した生体情報を、第2の期間において生体センサ10が検知した生体情報より大きな重みを付けて演算し、統合後の生体情報を出力する。このように、複数の期間において生体センサから得られる複数の生体情報に基づくことで、一つの検知ユニット90を備えるだけでも、正確な生体情報を出力する生体情報出力装置100を提供することができる。
【0035】
また、生体情報出力装置100と、生体情報出力装置100を直接または間接に支持する支持体SPと、身体支持部BSを含む座面と、を備える椅子CHは、生体を支持すると共に、生体情報を正確に取得することができる。
【0036】
<第二実施例>
図8乃至
図10を参照し、本実施例における生体情報出力装置100Aを説明する。なお、上記実施例との重複記載を避けるため、同じ構成要素には同じ符号を付し、異なる点を中心に述べる。
【0037】
生体情報出力装置100Aは、1つの生体情報出力装置100’’と、1つ以上の生体情報出力装置100’(本実施例では、2つの生体情報出力装置100’)から構成される。生体情報出力装置100’’は、上記実施例の生体情報出力装置100の構成要素をすべて備えるが、自らの検知ユニット90からだけでなく、生体情報出力装置100’から生体情報信号および加速度情報信号を受信する信頼度判別部30Aと、生体情報出力装置100’から生体情報信号を受信する生体情報統合部40Aを備える点で異なる。生体情報出力装置100’は、上記実施例の生体情報出力装置100の構成要素の内、生体情報統合部40と信頼度判別部30を備えず、生体情報出力装置100’’の信頼度判別部30Aに生体情報信号および加速度情報信号を送信し、生体情報統合部40Aに生体情報信号を送信する点で異なっている。
【0038】
すなわち、生体情報出力装置100’’は、生体情報を検知すると共に加速度を検知する検知ユニット90と、自らの検知ユニットおよび生体情報出力装置100’に備えられる他の検知ユニット90が検知した生体情報と加速度に基づいて信頼度を判別する信頼度判別部30Aと、それら複数の検知ユニット90が検知した生体情報を信頼度判別部30Aが判別した信頼度に基づいて統合する生体情報統合部40Aと、身体支持部BSの一部を構成し、身体BDの一部を支持する検知支持部70と、検知ユニット90を搭載する枠体60とを備える。また、生体情報出力装置100’は、生体情報を検知すると共に加速度を検知する検知ユニット90と、身体支持部BSの一部を構成し、身体BDの一部を支持する検知支持部70と、検知ユニット90を搭載する枠体60とを備える。
【0039】
本実施例における生体情報出力装置100Aは、これらそれぞれの装置に含まれる複数の検知ユニット90を備え、1つの信頼度判別部30Aと生体情報統合部40Aを備える。すなわち、生体情報出力装置100Aは、使用者の生体情報を検知する複数の非接触式の生体センサ10と、生体センサ10のそれぞれと直接的または間接的に固定された加速度センサ20と、複数の生体センサ10が検知した生体情報および複数の加速度センサが検知した加速度に基づいて、各生体センサ10が検知した生体情報の信頼度を判別する1つの信頼度判別部30と、信頼度判別部30が判別した信頼度に基づいて複数の生体センサ10が検知した生体情報を統合する1つの生体情報統合部40Aとを備える。
【0040】
生体情報出力装置100Aは、上記実施例と同様、身体支持部BSを有する機器CHAに設置され、その機器CHAの使用者の生体情報を検知する。本実施例における生体情報出力装置100Aは、
図8および
図9(A)に示すように、車両に搭載される機器であるシートCHAの背もたれ部BKに1つの生体情報出力装置100’’を、座面SFに2つの生体情報出力装置100’を備えるものである。身体BDの一部は、生体情報出力装置100’’に対しては、車両の運転者であるシートCHAの使用者の背中であり、生体情報出力装置100’に対しては、使用者の両太腿である。シートCHAは、内部に、強固なフレーム等である支持体SPを備え、生体情報出力装置100’’および生体情報出力装置100’は、その支持体SPに取り付けられる。
【0041】
生体情報出力装置100Aは、それぞれが検知ユニット90を備えるこれら複数の生体情報出力装置により構成される。各装置が備える検知ユニット90は、使用者の生体情報を検知する非接触式の生体センサ10など上記実施例と同じ構成要素を備え、身体BDの一部に向けて照射波W1を照射し、生体の皮膚表面からの反射波W2を受光し生体情報を取得すると共に、身体BDとフランジ部63が密着して車両の振動に加えて身体BDも含めた加速度を取得する。
【0042】
信頼度判別部30Aは、複数の検知ユニット90が出力した生体情報の信号および加速度の信号に基づいて、検知ユニット90が出力した生体情報の信頼度を判別する。
図11を参照し、信頼度判別部30Aが行う信頼度判別について説明する。上記実施例で説明したように、
図11に示すマトリクスの中では、加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが小さいところ(左下の部分)が、最も信頼度が高い状態であり、加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが大きいところ(右上の部分)が、最も信頼度が低い状態であると言える。同様に、加速度の大きさが大きくかつ生体信号の大きさが小さい状態を、「第1の状態」と言い、信頼度が高い状態を示し、加速度の大きさが小さくかつ生体信号の大きさが大きい状態を、「第2の状態」と言い、信頼度が低い状態を示す。
【0043】
本実施例の生体情報出力装置100Aは、複数の検知ユニット90を備えているので、一時点で複数の生体情報等を取得することができ、多くの検知ユニット90をシートCHAに配置すれば一時点で多数の生体情報等を取得可能である。したがって、上記実施例のように「第1の状態」と「第2の状態」が相当期間継続しなくても、複数の検知ユニット90から「第1の状態」の生体情報等と「第2の状態」の生体情報等を取得することができる。さらには、多くの生体情報等を取得できることから両者の中間の状態である「第3の状態」の生体情報等も取得できる。このように、3つの状態に分けた上で、それぞれの状態における生体信号/加速度の大きさは、たとえば、測定値のRMS値(Root Mean Square、二乗平均平方根)などで表すことができる。
【0044】
生体情報統合部40Aは、信頼度判別部30Aが判別した信頼度に基づいて、第1の状態(たとえば、生体情報出力装置100’’の検知ユニット90)の生体情報と第2の状態(たとえば、生体情報出力装置100’の検知ユニット90)の生体情報を、以下のように統合する。生体情報統合部40Aは、
図12に示すように、信頼度の高い第1の状態の生体情報と、信頼度の低い第2の状態の生体情報と、信頼度が中ぐらいの第3の状態の生体情報を加重平均することにより求める。たとえば、第1の状態と第2の状態および第3の状態の生体情報を十分に判別することができる場合、第1の状態の検知ユニット90の生体情報だけを用いて平均値を求めてもよい。すなわち、生体情報出力装置100’’の検知ユニット90の生体情報に重み係数1を、それ以外の検知ユニット90の生体情報に重み係数0を用いて計算する(表中の最上段)。
【0045】
また、十分に第1の状態の生体情報が得られない場合などは、たとえば、第1の状態の検知ユニット90と第3の状態の検知ユニット90の生体情報を用いるが、より信頼度の高い第1の状態の生体情報に重み係数1を、第3の状態の生体情報に重み係数0.5を用いて計算する。また、検知ユニット90の数が少なく十分に生体情報が得られない場合などは、たとえば、第1の状態の検知ユニット90生体情報に重み係数1を、第2の状態の検知ユニット90の生体情報に重み係数0.1を、第3の状態の検知ユニット90の生体情報に重み係数0.5を用いて計算する。なお、生体情報出力装置100Aは、異常状態の生体情報には常に重み係数を0として、異常状態の生体情報を含まないようにする。
【0046】
図13を参照し、生体情報出力装置100Aの制御方法を説明する。生体情報出力装置100Aの各検知ユニット90内の生体情報取得部13は、S200において、制御部50が照射部11に照射波W1を照射させて、受信部12が受光した反射波W2から生体情報を取得する。信頼度判別部30Aは、S202において、生体情報取得部13が取得した生体情報の大きさを評価する。また、各検知ユニット90の加速度データ取得部21は、S204において、制御部50が加速度センサ20に検知させた加速度の中から必要なデータを抽出し、取得する。
【0047】
信頼度判別部30Aは、S206において、加速度データ取得部21が取得した加速度の大きさを評価する。信頼度判別部30Aは、S208において、各検知ユニット90が取得した生体情報の大きさと加速度の大きさに基づいて、上述したように、取得した生体情報の信頼度を判別する。生体情報統合部40Aは、S210において、上述したように、第1の状態〜第3の状態かの信頼度に基づいて、複数の検知ユニット90からの生体情報を統合する。最後に、生体情報出力装置100Aは、S212において、統合された生体情報を外部へ出力する。
【0048】
上述したように、生体情報出力装置100Aにおいて、信頼度判別部30Aは、第1の生体センサ10が検知した生体情報の信号の大きさが、第1とは異なる第2の生体センサ10が検知した生体情報の信号の大きさより小さいと判別し、かつ、第1の生体センサ10に対応する第1の加速度センサ20が検知した加速度が、第2の生体センサ10に対応する第2の加速度センサ20が検知した加速度より大きいと判別した場合、生体情報統合部40Aは、第1の生体センサ10が検知した生体情報を、第2の生体センサ10が検知した生体情報より大きな重みを付けて演算し、統合後の生体情報を出力する。このように、複数の生体センサ10から得られる複数の生体情報に基づくことで、迅速に、正確な生体情報を出力する生体情報出力装置100Aを提供することができる。
【0049】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。