特許第6558414号(P6558414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558414
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20190805BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   A01D41/12 H
   F01N3/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-166083(P2017-166083)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-41628(P2019-41628A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2017年9月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 章史
(72)【発明者】
【氏名】竹内 賢一朗
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】水島 淳
【審査官】 後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/099081(WO,A1)
【文献】 特開2016−042850(JP,A)
【文献】 特開2016−185128(JP,A)
【文献】 特開2012−147735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00−41/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンが設置された機体フレームに設けられ、脱穀装置により脱穀された穀粒を貯留するグレンタンクと、
前記グレンタンクの後方に立設され、当該グレンタンクに貯留された穀粒を排出する排出オーガの揚穀部と、
前記エンジンの排気ガスを、尿素水から発生するアンモニアを用いて還元して浄化処理する尿素SCR触媒を含む排気ガス浄化装置と、
前記グレンタンクの底部に有した傾斜底壁と、当該傾斜底壁の下方に形成される収納空間内に配置され、前記尿素SCR触媒に供給する尿素水を貯留する尿素水タンクと、
前記揚穀部の後方位置に配設された、前記揚穀部を駆動する駆動モータのモータケースの側面に形成された挿通孔に挿通可能な係合片を有し、該係合片を前記挿通孔に挿通することにより水平に保持して設置され、給水用または給油用のタンクを載置可能な作業用トレイと、
前記揚穀部および前記収納空間の後部を一体的に覆うように開閉自在に設けられ、開放した際に、前記収納空間の後部から前記尿素水タンクの給水口が露出するカバーと
前記収納空間の長手側を覆うタンクカバーとを備え、
前記尿素水タンクは、
前記収納空間に臨んで前記傾斜底壁に設けられた籾取出口および当該籾取出口を前後に挟んで設けられた籾袋係止フックよりも後方に配置されており、前記給水口が後方へ向くように配置されるとともに、当該給水口は、前記グレンタンクの後側面よりも前方に配置され、
前記カバーを開放した状態で、前記尿素水タンクの前記給水口の後方に、前記作業用トレイを設置可能な作業空間が形成される構成とし、燃料タンクの給油口および前記尿素水タンクの前記給水口を前記作業空間に設置された前記作業用トレイに指向するように設けて、前記作業用トレイに給水用または給油用のタンクを載置して給水作業または給油作業を可能としており、
前記タンクカバーは、
前記尿素水タンクを吊支するために前記グレンタンクの前記傾斜底壁に着脱自在に連結されるとともに、連結杆を介してカバー係止ステーが連結された保持ステーを介して前記グレンタンクに着脱自在に取付けられた、コンバイン。
【請求項2】
前記傾斜底壁の内部に配設され、前記グレンタンク内の穀粒を前記揚穀部へ向けて搬送する螺旋機構と、当該螺旋機構の下部を覆う開閉自在な螺旋カバーと、当該螺旋カバーを開閉するための開閉機構とをさらに備え、
前記尿素水タンクと前記傾斜底壁との間には、前記開閉機構を操作するための操作空間が形成された請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンクを前記機体フレームの外側に向けて縦軸回動可能に設け、
前記尿素水タンクに連結される複数のホースを、前記グレンタンクの後側面に沿わせて配索した請求項に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記グレンタンク側に設けられ、前記機体フレームに設けたロック孔に挿通可能なロックピンと、
前記ロックピンを上下移動させるモータと、
前記グレンタンクの外側面に設けられ、前記モータを駆動させる操作スイッチと、
前記グレンタンク内の穀粒量を検出する籾センサと、
前記籾センサが所定量以上の穀粒量を検出している場合に、前記操作スイッチの操作に拘わらず、前記モータの駆動を禁止する制御部とを備える請求項1からのいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近年強化されつつある排ガス規制に適応するために、エンジンの排気ガスを浄化処理する排気ガス浄化装置を機体フレーム上に設けたコンバインがある。そして、かかる排気ガス浄化装置には、尿素水溶液(以下、「尿素水」という)から生成されるアンモニアを排気ガス中の窒素酸化物と反応させて浄化処理する尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒を含むものがある。
【0003】
排ガス浄化装置が尿素SCR触媒を含んで構成される場合、尿素SCR触媒に供給するための尿素水を貯留する尿素水タンクが適宜設置されるが、尿素水タンクの設置場所として、例えば、機体後部であって、グレンタンクの底部に有した傾斜底壁と機体フレームとの間の空間に配設したものがある(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−42850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような従来のコンバインでは、尿素水タンクへの注水作業や尿素水タンクのメンテナンス性について、さらなる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、尿素水タンクに関する作業性やメンテナンス性を向上させることのできるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、グレンタンク(8)と、排出オーガ(9)の揚穀部(9a)と、排気ガス浄化装置と、尿素水タンク(20)と、作業用トレイ(95)と、カバー(91)と、タンクカバー(92)とを備えるコンバイン(1)とする。グレンタンク(8)は、エンジン(11)が設置された機体フレーム(2)に設けられ、脱穀装置(6)により脱穀された穀粒を貯留する。揚穀部(9a)は、前記グレンタンク(8)の後方に立設され、当該グレンタンク(8)に貯留された穀粒を排出する排出オーガ(9)の揚穀部(9a)である。排気ガス浄化装置は、前記エンジン(11)の排気ガスを、尿素水から発生するアンモニアを用いて還元して浄化処理する尿素SCR触媒を含む。尿素水タンク(20)は、前記グレンタンク(8)の底部に有した傾斜底壁(81)と、当該傾斜底壁(81)の下方に形成される収納空間(93)内に配置され、前記尿素SCR触媒に供給する尿素水を貯留する。作業用トレイ(95)は、前記揚穀部(9a)の後方位置に配設された、前記揚穀部(9a)を駆動する駆動モータ(900)のモータケース(901)の側面に形成された挿通孔に挿通可能な係合片を有し、該係合片を前記挿通孔に挿通することにより水平に保持して設置され、給水用または給油用のタンクを載置可能である。カバー(91)は、前記揚穀部(9a)および前記収納空間(93)の後部(94)を一体的に覆うように開閉自在に設けられ、開放した際に、前記収納空間(93)の後部(94)から前記尿素水タンク(20)の給水口(21)が露出する。また、前記尿素水タンク(20)は、前記収納空間(93)に臨んで前記傾斜底壁(81)に設けられた籾取出口(83)および当該籾取出口(83)を前後に挟んで設けられた籾袋係止フック(84)よりも後方に配置されており、前記給水口(21)が後方へ向くように配置されるとともに、当該給水口(21)は、前記グレンタンク(8)の後側面よりも前方に配置され、前記カバー(91)を開放した状態で、前記尿素水タンク(20)の前記給水口(21)の後方に、前記作業用トレイ(95)を設置可能な作業空間(100)が形成される構成とし、燃料タンクの給油口および前記尿素水タンク(20)の前記給水口(21)を前記作業空間(100)に設置された前記作業用トレイ(95)に指向するように設けて、前記作業用トレイ(95)に給水用または給油用のタンクを載置して給水作業または給油作業を可能としており、前記タンクカバー(92)は、前記収納空間(93)の長手側を覆い、前記尿素水タンク(20)を吊支するために前記グレンタンク(8)の前記傾斜底壁(81)に着脱自在に連結されるとともに、連結杆(24)を介してカバー係止ステー(23),(23)が連結された保持ステー(22),(22)を介して前記グレンタンク(8)に着脱自在に取付けられたコンバイン(1)とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記傾斜底壁(81)の内部に配設され、前記グレンタンク(8)内の穀粒を前記揚穀部(9a)へ向けて搬送する螺旋機構(40)と、当該螺旋機構(40)の下部を覆う開閉自在な螺旋カバー(85)と、当該螺旋カバー(85)を開閉するための開閉機構(86)とをさらに備え、前記尿素水タンク(20)と前記傾斜底壁(81)との間には、前記開閉機構(86)を操作するための操作空間(800)が形成された請求項1に記載のコンバイン(1)とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記グレンタンク(8)を前記機体フレーム(2)の外側に向けて縦軸回動可能に設け、前記尿素水タンク(20)に連結される複数のホース(300)を、前記グレンタンク(8)の後側面(82)に沿わせて配索した請求項に記載のコンバイン(1)とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記グレンタンク(8)側に設けられ、前記機体フレーム(2)に設けたロック孔(220)に挿通可能なロックピン(210)と、前記ロックピン(210)を上下移動させるモータ(230)と、前記グレンタンク(8)の外側面に設けられ、前記モータ(230)を駆動させる操作スイッチ(240)と、前記グレンタンク(8)内の穀粒量を検出する籾センサ(250)と、前記籾センサ(250)が所定量以上の穀粒量を検出している場合に、前記操作スイッチ(240)の操作に拘わらず、前記モータ(230)の駆動を禁止する制御部(200)とを備える請求項1からのいずれか1項に記載のコンバイン(1)とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、排出オーガ9の揚穀部9aを覆うカバー91を開放すれば、尿素水タンク20の給水口21が露出するため、給水作業が行いやすくなる。また、揚穀部9aを覆うカバー91により尿素水タンク20の給水口21も覆うことができるため、給水口21およびその周辺部への藁屑等の塵埃の堆積を少なくすることができる。また、必要時に作業用トレイ95を作業空間100に設置して、これらに給水用または給油用のタンクを載置することで、尿素水タンク20への給水や燃料タンクへの燃料補充を容易に行うことができる。
【0015】
また、尿素水タンク20の給水口21は、グレンタンク8の後側面82よりも前方に位置しているため、例えば藁屑などが給水口21のキャップなどに堆積することを少なくすることができる。
【0016】
また、揚穀部9aを覆うカバー91を開放することで、給水口21の後方に作業空間が形成されるので、この作業空間に作業用トレイ95を設置し、この作業用トレイ95を利用して給水口21からの給水作業を容易に行うことができる。また、尿素水タンク20が籾取出口83からの残留穀粒の袋取り作業の邪魔になりにくくなる。
【0017】
さらに、尿素水タンク20が配設されないままタンクカバー92が取付けられることはなく、尿素水タンク20が配設されず、排気ガス浄化装置が十分に機能せずにエンジントラブルを起こすようなおそれを未然に防止することができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、尿素水タンク20と傾斜底壁81の間に形成された操作空間を利用して、グレンタンク8内の穀粒を揚穀部9aに向けて搬送する螺旋機構40の下部を覆う螺旋カバー85の開閉操作を容易に行え、グレンタンク8内に残留する穀粒を排出させて、次の圃場での収穫作業時における混種(品種の異なる穀粒が混ざること)を防止できる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加えて、グレンタンク8の後側面に沿わせてホース300を配索することで、ホース300が絡まるような不具合を未然に防止できるとともに、グレンタンク8を縦軸回動させた場合でも、ホース300の移動を最小限に抑えることができ、ホース300が損傷するような不具合を少なくすることができる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、請求項1からのいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、グレンタンク8内に所定量以上の穀粒が貯留されている状態では、グレンタンク8を機体外側方へ縦軸回動させることができないので、縦軸およびグレンタンク8の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A図1Aは、実施形態に係るコンバインの右側面図である。
図1B図1Bは、同上のコンバインの後部を覆うカバーが開いた状態を示す右側面図である。
図2図2は、同上のコンバインの背面図である。
図3図3は、同上のコンバインの平面図である。
図4図4は、同上のコンバインの要部を示す説明図である。
図5A図5Aは、同上のコンバインのグレンタンクと尿素水タンクの位置関係を背面視で示す説明図である。
図5B図5Bは、同上のコンバインのグレンタンクと尿素水タンクの位置関係を側面視で示す説明図である。
図6A図6Aは、同上のコンバインの尿素水タンクとカバーとを背面視で示す説明図である。
図6B図6Bは、同上のコンバインの尿素水タンクとカバーとを側面視で示す説明図である。
図7A図7Aは、同上のコンバインが備える泥除けカバーを背面視で示す説明図である。
図7B図7Bは、同上の泥除けカバーを平面視で示す説明図である。
図8A図8Aは、他の実施形態に係るコンバインのグレンタンク旋回機構を正面視で示す説明図である。
図8B図8Bは、同上のグレンタンク旋回機構を構成する籾センサの配置を示す説明図である。
図9図9は、同上の他の実施形態に係るコンバインの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、かつ、容易なもの、或いは実質的に同一のものいわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0023】
図1Aは、実施形態に係るコンバインの右側面図、図1Bは、同コンバインの後部を覆うカバーが開いた状態を示す右側面図、図2は、同コンバインの背面図、そして、図3は、同コンバインの平面図である。なお、以下の説明では、コンバイン1の通常の使用態様時における前後方向、左右方向、上下方向を、各部位におけるそれぞれの前後方向、左右方向、上下方向として説明する。
【0024】
このうち、「前方」は、刈り取り作業時におけるコンバイン1の進行方向であり、「後方」は、その逆方向である。「左方」は、前方に向かって左手方向であり、「右方」は、その逆方向である。また、「下方」は、重力が作用する方向であり、「上方」はその逆方向である。なお、これらの方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、コンバイン1を指して「機体」という場合がある。
【0025】
<コンバイン1の全体構成>
まず、コンバイン1の全体構成を簡単に説明する。コンバイン1は、図1A図1B図2、および図3に示すように、機体フレーム2と、機体フレーム2の下方に設けられた走行装置3と、機体フレーム2の上部および機体フレーム2の前方に設けられた各種作業装置と、機体フレーム2の上部前側に設けられたキャビン7とを備える。なお、キャビン7には、各種操作レバーおよび計器類が設けられる。
【0026】
走行装置3は、機体フレーム2上に設置されたエンジン11から動力が伝達されて周回する左右一対のクローラベルト3aを備える。走行装置3は、クローラベルト3aが周回することで機体を走行させる。クローラベルト3aは、ゴム等の弾性体により無端状に形成される。また、走行装置3は、機体の前後方向に、クローラベルト3aを回転させる駆動輪3bと、クローラベルト3aに張力を与える緊張輪3cとを備える。
【0027】
各種の作業装置としては、たとえば、機体フレーム2の前方に設けられた刈取装置4と、機体フレーム2の上部左側に設けられた脱穀装置6と、機体フレーム2の上部右側に設けられたグレンタンク8と、脱穀装置6およびグレンタンク8の上方に配置され、グレンタンク8に貯留された穀粒を排出する穀粒排出オーガ(揚穀部9aおよび搬送部9b)9とがある。なお、作業装置としては、機体フレーム2上におけるキャビン7の左側に穀稈搬送装置(不図示)も設けられている。
【0028】
そして、刈取装置4では穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈は、穀稈搬送装置5で脱穀装置6に向けて搬送され、脱穀装置6で脱穀および選別した穀粒は、グレンタンク8で貯留される。グレンタンク8に貯留された穀粒は、穀粒排出オーガ9により機体外部に排出される。穀粒排出オーガ9は、グレンタンク8の後方に立設された揚穀部9aと、この揚穀部9aに連通連結して前方へ延在する搬送部9bと、この搬送部9bの先端に連接された排出筒9cを備える。
【0029】
刈取装置4は、圃場の穀稈を分草する分草杆4aと、分草された穀稈を引き起こす引起装置4bと、引き起こされた穀稈の根元を切断する刈刃とを備える。刈取装置4では、圃場に植立する穀稈を分草杆4aで分草し、分草した穀稈を引起装置4bで引き起こし、引き起こした穀稈を刈刃で刈り取る。なお、刈り取られた穀稈は、穀稈搬送装置5によって脱穀装置6に向けて搬送される。
【0030】
脱穀装置6では、脱穀の後に選別部で選別した穀粒を、揚穀装置でグレンタンク8に送り込む。グレンタンク8では、貯留した穀粒を、グレンタンク8の後方(機体フレーム2の後方)に設けられた穀粒排出オーガ9の揚穀部9aに送り込む。揚穀部9aでは、送り込まれた穀粒を上方へ向けて搬送し、搬送部9bに送り込む。搬送部9bでは、送り込まれた穀粒を略水平方向へ搬送し、先端部に設けられた排出筒9cから排出する。
【0031】
ところで、図1Aに示すように、揚穀部9aの下半部を含む大部分は、通常の作業時などにおいては開閉自在なカバー91により覆われている。そして、例えば、メンテナンス時や、後述するように、排気ガス浄化装置の尿素水タンク20に給水したり、燃料補給をしたりする際に、カバー91を開放すると(図3の矢印参照)、揚穀部9aの下部およびその近傍に配置される機器類や装置類などが露出する(図1Bおよび図2を参照)。
【0032】
また、機体フレーム2の上部前側に設けられたキャビン7内には、図示を省略した操縦席や各種操縦用レバー、計器類および操作パネル、さらには各種情報を表示可能なモニタなどが設けられる。
【0033】
また、図1Aおよび図1Bに示すように、機体フレーム2上におけるキャビン7の下方には、エンジンルーム10が設けられる。エンジンルーム10には、動力源であるエンジン11の他、エンジン11を冷却するためのラジエータなどが収容されている。
【0034】
エンジンルーム10に配設されたエンジン11は、ディーゼルエンジンであり、グレンタンク8の前方に設けられたエンジンルーム10に収容される。ここでは、エンジン11を機体フレーム2上の右側に設置し、機体フレーム2上に設けられた排気ガス浄化装置(不図示)に接続している。
【0035】
排気ガス浄化装置は、エンジン11の排気管に接続されており、排気ガス中の粒子状物質を除去するDPF(Diesel Particulate Filter)と、尿素水を用いた選択触媒還元で浄化処理する、すなわち、DPF通過後の排気ガス中の窒素酸化物に、尿素水が加水分解されて発生したアンモニアを反応させて無害な窒素に変換する尿素SCR触媒とを備える。
【0036】
また、図1Bおよび図2に示すように、排気ガス浄化装置の周辺機器として、尿素SCR触媒に供給される尿素水を貯留するための尿素水タンク20が設けられる。尿素水タンク20は、尿素水の劣化を抑えることができるように、エンジン11からの熱(排熱)の影響が受けにくいように、エンジン11から離れた位置に設けられることが好ましい。
【0037】
本実施形態では、尿素水タンク20は、機体フレーム2上においてグレンタンク8が設けられる側、すなわち機体の右側であって、グレンタンク8の後部近傍に配置している。
【0038】
<尿素水タンク20の配置>
ここで、尿素水タンク20の配置等について、具体的に説明する。図4は、コンバイン1の要部を示す説明図である。また、図5Aは、コンバイン1のグレンタンク8と尿素水タンク20の位置関係を背面視で示す説明図、図5Bは、同側面視で示す説明図である。また、図6Aは、コンバイン1の尿素水タンク20とタンクカバー92とを背面視で示す説明図、図6Bは、同側面視で示す説明図である。
【0039】
グレンタンク8は、機体フレーム2上に、左側に設けられた脱穀装置6と対向する右側に設けられており(図3参照)、図5Aに示すように、左右に傾斜底壁81,81が形成された船底状の底部を有する。このように、グレンタンク8の底部が傾斜底壁81,81を有する構造とすることで、グレンタンク8に貯留される穀粒の下方への流れを良くすることができる。
【0040】
本実施形態では、右側の傾斜底壁81の傾斜を左側よりも急斜面として、図5Aおよび図5Bに示すように、かかる右側の傾斜底壁81の下方に形成された収納空間93に尿素水タンク20を配設している。かかる構成により、グレンタンク8の必要容量を確保しながら、尿素水タンク20を配置するスペースを機体フレーム2上に確保することができる。
【0041】
図1Aおよび図1Bに示すように、収納空間93は、グレンタンク8と略同長さで、グレンタンク8の内側に向けて凹状に形成されるとともに、長手側をタンクカバー92で覆うとともに、グレンタンク8の後部側の一部を閉塞板98で覆っている(図4参照)。
【0042】
タンクカバー92は、図6Aに示すように、角部が面取りされた断面視略L字状に形成されており、グレンタンク8に対して尿素水タンク20を保持する保持ステー22を介して着脱自在に取付けられる。すなわち、図6Aおよび図6Bに示すように、グレンタンク8の傾斜底壁81に、略U字状に形成した保持ステー22,22の基部を着脱自在に連結し、かかる保持ステー22,22に尿素水タンク20を前後で吊支している。そして、かかる保持ステー22,22には、前後の2つのカバー係止ステー23,23が連結杆24を介して連結されている。
【0043】
したがって、保持ステー22,22をグレンタンク8に取付けて、尿素水タンク20を配設することのできる状態になければ、タンクカバー92を取付けることができない。すなわち、タンクカバー92を取付けた状態では収納空間93内を目視することはできないが、タンクカバー92を取付けるためには、尿素水タンク20を保持するための保持ステー22,22をグレンタンク8に装着しなければならないため、収納空間93に尿素水タンク20が配設されないままタンクカバー92が取付けられてしまい、排気ガス浄化装置が十分に機能せずにエンジントラブルを起こすようなおそれを未然に防止することができる。
【0044】
このように、尿素水タンク20は、グレンタンク8の右側の傾斜底壁81の下方に形成された収納空間93において、グレンタンク8に吊支状体で配設されるとともにタンクカバー92により、外側方および下方が覆われている。そのため、例えば、走行装置3のクローラベルト3aからの泥はねを防ぐことができ、尿素水タンク20を衛生的に保つことができる。
【0045】
他方、図5Aに示すように、グレンタンク8の傾斜底壁81の内部には、グレンタンク8内の穀粒を揚穀部9aへ向けて搬送する螺旋機構40が配設されており、かかる螺旋機構40の下部を、螺旋カバー85により開閉自在にカバーしている。本実施形態では、開閉自在な螺旋カバー85を、トッグル機構などを備えた開閉機構86により開閉できるようにしている。
【0046】
そして、収納空間93において、尿素水タンク20とグレンタンク8の傾斜底壁81との間には、開閉機構86を操作するための操作空間800が形成されている。したがって、かかる操作空間800を利用することで、螺旋機構40の下部を覆う螺旋カバー85の開閉操作を容易に行うことができ、グレンタンク8内に残留する穀粒を排出させて、次の圃場での収穫作業時において、品種の異なる穀粒が混ざってしまう混種を防止することができる。
【0047】
また、グレンタンク8の後部には、尿素水タンク20を配設した収納空間93と揚穀部9aとの後部開口94を一体的に覆う開閉自在なカバー91が設けられている。カバー91は、図3に示すように、断面視略L字状に形成されるとともに、取っ手910が取付けられており、図2に示すように、上下に設けられた回動軸915,915を介して開閉自在に設けられる。
【0048】
かかるカバー91を開放すると、収納空間93の後部、すなわち、グレンタンク8の後側面82と収納空間93の後部を覆う閉塞板98との間に形成された後部開口94から尿素水タンク20の給水口21が露出する。
【0049】
尿素水タンク20は、図5Aおよび図5Bに示すように、所定の幅と高さと長さを有する矩形箱型に形成され、後面と上面とを結ぶように形成された傾斜面に、開蓋自在にキャップが取付けられた給水口21が設けられている。
【0050】
かかる給水口21が後方へ向くように、尿素水タンク20が収納空間93内に配置されている。そして、尿素水タンク20の給水口21は、図5Bに示すように、グレンタンクの後側面82よりも前方に配置されている。
【0051】
したがって、尿素水タンク20の給水口21に、あるいは給水口21に取付けられたキャップなどに、藁屑などが堆積することを少なくすることができる。
【0052】
また、図4に示すように、カバー91を開放した際には、尿素水タンク20の給水口21の後方に、例えば、尿素水タンク20への給水用あるいは燃料タンクへの燃料補充用のポリタンクなどを載置する作業用トレイ95を設置可能な作業空間100が形成されるようになっている。
【0053】
図4に示すように、作業空間100には、揚穀部9aの後方位置に、この揚穀部9aの螺旋機構を駆動する駆動モータ900が配設されており、かかる駆動モータ900のモータケース901に作業用トレイ95を着脱自在に取付可能としている。ここでは、モータケース901の側面に挿通孔(不図示)を形成し、かかる挿通孔に、作業用トレイ95の一側縁に突設した係合片を挿通して作業用トレイ95を水平に保持可能としている。
【0054】
また、図示するように、作業空間100には、燃料タンク(不図示)の給油口96が臨んでおり、かかる給油口96も尿素水タンク20の給水口21も、いずれも作業用トレイ95を指向するように設けられる。また、作業用トレイ95は、ポリタンクの高さなどを考慮して、給水口21および給油口96よりも低い位置に水平に保持可能に構成されている。したがって、カバー91を開放して作業空間100を確保し、作業用トレイ95を設置すると、尿素水タンク20への給水作業にしても、燃料タンクへの給油作業にしても、いずれも容易に行うことができる。図4中、符号97は、給油時に跳ねたり垂れたりした油を受けるゴム部材を示す。
【0055】
また、図4に示すように、尿素水タンク20に連通連結される複数のホース300を、グレンタンク8の後側面82に沿わせて配索している。複数のホース300は、例えば、排ガス浄化装置の尿素SCR触媒と連結する尿素水循環ホースやエンジン11の冷却水を循環させる冷却水ホースなどである。このように、尿素水タンク20に連結されるホース300は、収納空間93の後部開口94から機体左側へと屈曲されてグレンタンク8の後側面82に沿って配索されるとともに、クランプ310により保持されている。
【0056】
かかる構成により、例えば、グレンタンク8を旋回可能、すなわち水平方向へ回動可能な構成(他の実施形態を参照)とした場合でも、グレンタンク8を縦軸回動させてもホース300の移動量を最小限にとどめることができ、ホース300が損傷するような不具合を少なくすることができる。そして、ホース300の長さについても可及的に短くすることができ、ホース300が絡まるような不具合を未然に防止することができる。
【0057】
上述してきたように、尿素水タンク20の給水口21や燃料タンクの給油口、穀粒排出オーガ9の揚穀部9aの螺旋機構を駆動する駆動モータ900などが露出する作業空間100は、通常、カバー91により覆われている。したがって、これらを外部からの衝撃から保護することができるとともに、外観的な見栄えも向上させることができる。
【0058】
また、揚穀部9aを覆うカバー91を開放することで、給水口21の後方に作業空間100が形成されるので、メンテナンスなどの作業性も良好となり、例えば、この作業空間100に作業用トレイ95を設置し、この作業用トレイ95を利用して給水口21からの給水作業を容易に行うことができる。
【0059】
なお、カバー91を開閉自在に支持する下側の回動軸915(図2参照)は、尿素水タンク20の給水口21が臨設された後部開口94を避ける位置、具体的には、後部開口94よりも機体外側かつ上方位置に設けている。そのため、給水口21が臨設された後部開口94の全体が作業空間100に面することとなり、回動軸915が注水作業の邪魔になることはない。
【0060】
また、図5Bに示すように、尿素水タンク20は、収納空間93に臨むようにグレンタンク8の右側の傾斜底壁81に設けられた籾取出口83および当該籾取出口83を前後に挟んで設けられる籾袋係止フック84よりも後方に配置されている。
【0061】
すなわち、グレンタンク8の右側の傾斜底壁81には、グレンタンク8に残ってしまった籾などを取り出すための籾取出口83と、籾を収容する籾袋500を係止する複数の籾袋係止フック84が設けられている。籾を取り出す場合、タンクカバー92を外して作業するのであるが、本実施形態では、尿素水タンク20を、これら籾取出口83や籾袋係止フック84よりも後方に配置している。したがって、尿素水タンク20が、籾取出し作業の邪魔になりにくくなるため、より円滑に作業を行うことができる。なお、籾取出口83は、その構造の詳細についての説明は省略するが、グレンタンク8に形成した開口部に開閉自在なシャッターを設けるとともに、シャッターを介して排出される籾等を機体外方に案内するスライダ部83aを備えている。
【0062】
また、本実施形態に係るコンバイン1は、上述してきた尿素水タンク20と、走行装置3のクローラベルト3aとの間に、泥除けカバー400を設けている。図7Aは、コンバイン1が備える泥除けカバー400を背面視で示す説明図、図7Bは、泥除けカバー400を平面視で示す説明図である。
【0063】
図7Aおよび図7Bに示すように、泥除けカバー400は、機体フレーム2の右側に設けられており、クローラベルト3aの外縁よりもわずかに突出する幅を有する。かかる泥除けカバー400を設けることで、タンクカバー92との協働により、収納空間93内にクローラベルト3aからの泥はねが浸入することをより確実に防止することができる。そのため、収納空間93内に配設された尿素水タンク20を衛生的に保持することができる。
【0064】
ところで、泥除けカバー400の上面401については、図7Aに示すように、機体外方に向けて下り勾配を有する傾斜面としている。傾斜面とすることで、泥除けカバー400上に藁屑などのゴミの堆積を防止することができる。本実施形態では、泥除けカバー400の上面401の傾斜角度を、この泥除けカバー400の上方に位置する籾取出口83のスライダ部の傾斜角度と略同等とすることで、籾取出口83からの籾取出し作業を邪魔することがないようにしている。
【0065】
(他の実施形態)
上述してきた実施形態では、グレンタンク8は機体フレーム2上に固設されたものとして説明したが、グレンタンク8は、機体フレーム2上の作業位置から機体フレーム2の外側方のメンテナンス位置まで回動可能に構成することもできる。図8Aは、他の実施形態に係るコンバイン1のグレンタンク旋回機構を正面視で示す説明図、図8Bは、同グレンタンク旋回機構を構成する籾センサ250の配置を示す説明図である。また、図9は、他の実施形態に係るコンバイン1の右側面図である。なお、図8A図9において、先の実施形態と同様な機能を有する要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施形態に係るグレンタンク8は、グレンタンク旋回機構によって、タンク後部に設けた縦軸(不図示)である旋回軸を中心として、水平方向へ旋回(回動)可能に構成されており、図8Aに示すように、閉鎖時には、タンク前側面87の上部に設けられた固定フック260が機体側フレーム(不図示)側に係合してロック状態にあるとともに、ロックピン210が機体フレーム2に設けたロック孔220に挿通される。このように、グレンタンク8は、閉鎖時には二重ロックがかかった状態となって、意図せずに旋回するようなことを可及的に防止している。
【0067】
また、本実施形態では、図8Aおよび図9に示すように、グレンタンク旋回機構を制御する制御部200を備えており、所定の条件が満たされない限り、ロックピン210の解除ができないように構成されている。
【0068】
すなわち、グレンタンク旋回機構は、固定フック260と、この固定フック260にリンク280を介して連結するレバー270とに加え、グレンタンク8側に設けられたロックピン210と、機体フレーム2に設けたロック孔220と、ロックピン210を上下移動させるモータ230と、グレンタンク8の側面に設けられ、スイッチオンになるとモータ230を駆動させる操作スイッチ240(図9参照)とを備える。
【0069】
さらに、グレンタンク旋回機構は、図8Bおよび図9に示すように、グレンタンク8内の穀粒量を検出する籾センサ250と、籾センサ250が所定量以上の穀粒量を検出している場合、操作スイッチ240の操作に拘わらず、モータ230の駆動を禁止する制御部200とを備えている。
【0070】
かかる構成により、グレンタンク8内における籾の残存量を籾センサ250により検出し、所定量以上の籾が収容されている場合は、制御部200はモータ230の駆動を禁止して、ロックピン210がロック孔220から抜けないようにしている。このように、グレンタンク8を旋回させる場合は、グレンタンク8内から大部分の籾が排出されていることが条件となる。
【0071】
このように、本実施形態によれば、グレンタンク8内に所定量以上の穀粒が貯留されている状態では、グレンタンク8を機体外側方へ縦軸回動させることができないので、縦軸およびグレンタンク8の損傷を防止することができる。
【0072】
籾が所定量以下となって、グレンタンク8を旋回させる場合は、図9に示すように、グレンタンク8の右側面に設けられた操作スイッチ240を押下することで、ロックピン210を上方へ移動させてロック孔220から抜き、固定フック260に連動連結するレバー270を操作して固定フック260によるロックを解除してグレンタンク8を旋回可能な状態にすることができる。なお、操作スイッチ240が故障したりしてもグレンタンク8の旋回が可能なように、ロックピン210は手動により上下動可能に構成することが好ましい。
【0073】
また、ロックピン210の位置を検出するセンサ(不図示)等を設けてグレンタンク旋回機構の制御部200と接続しておくとともに、かかる制御部200とエンジン11を制御するエンジン制御部(不図示)とを接続して、ロックピン210がロック孔220にきちんと挿通されている状態にない場合は、エンジン11の始動を禁止するように構成することもできる。かかる構成とすることにより、グレンタンク8が開くおそれのある状態で走行したりすることを未然に防止することができる。
【0074】
また、逆に、エンジン11が始動している場合は、ロックピン210を移動させるモータ230の駆動を禁止するようにして、走行中に誤ってグレンタンク8を旋回可能な状態にすることを防止することもできる。
【0075】
また、コンバイン1の動作モードの一つとしてグレンタンク8の清掃モードを設定しておき、かかる清掃モードが設定されている場合は、制御部200あるいはエンジン制御部は、エンジン11が始動中であってもモータ230を駆動可能とすることもできる。
【0076】
なお、制御部200とエンジン制御部とを別体とはせずに、一つの制御部によってエンジン11の制御およびグレンタンク旋回機構の制御を行うようにすることもできる。
【0077】
ところで、本実施形態においても、尿素水タンク20は、グレンタンク8の傾斜底壁81の下方に形成された収納空間93内に配設されているが、グレンタンク8の旋回の邪魔になることはない。すなわち、尿素水タンク20は、グレンタンク8に吊支された状態であるため、グレンタンク8が旋回軸を中心に旋回する際には尿素水タンク20も一緒に旋回することになる。
【0078】
上述した実施形態より、以下のコンバイン1が実現できる。
【0079】
(1)エンジン11が設置された機体フレーム2に設けられ、脱穀装置6により脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク8と、グレンタンク8の後方に立設され、当該グレンタンク8に貯留された穀粒を排出する穀粒排出オーガ9の揚穀部9aと、エンジン11の排気ガスを、尿素水から発生するアンモニアを用いて還元して浄化処理する尿素SCR触媒を含む排気ガス浄化装置と、前記グレンタンク8の底部に有した傾斜底壁81と、当該傾斜底壁81の下方に形成される収納空間93内に配設され、尿素SCR触媒に供給する尿素水を貯留する尿素水タンク20と、揚穀部9aおよび収納空間93の後部を一体的に覆う開閉自在なカバー91とを備え、カバー91を開放した際に、収納空間93の後部開口94から尿素水タンク20の給水口21が露出するコンバイン1。
【0080】
(2)上記(1)の構成において、尿素水タンク20は、給水口21が後方へ向くように配置されるとともに、当該給水口21は、グレンタンク8の後側面82よりも前方に配置されたコンバイン1。
【0081】
(3)上記(2)の構成において、カバー91を開放した状態で、給水口21の後方に、作業用トレイ95を設置可能な作業空間100が形成される構成としたコンバイン1。
【0082】
(4)上記(3)の構成において、尿素水タンク20は、収納空間93に臨んで傾斜底壁81に設けられた籾取出口83および当該籾取出口83を前後に挟んで設けられた籾袋係止フック84よりも後方に配置されたコンバイン1。
【0083】
(5)上記(4)の構成において、傾斜底壁81の内部に配設され、前記グレンタンク8内の穀粒を揚穀部9aへ向けて搬送する螺旋機構40と、当該螺旋機構40の下部を覆う開閉自在な螺旋カバー85と、当該螺旋カバー85を開閉するための開閉機構86とをさらに備え、尿素水タンク20と傾斜底壁81との間には、開閉機構86を操作するための操作空間800が形成されたコンバイン1。
【0084】
(6)上記(5)の構成において、グレンタンク8を機体フレーム2の外側に向けて縦軸回動可能に設け、尿素水タンク20に連結される複数のホース300を、グレンタンク8の後側面82に沿わせて配索したコンバイン1。
【0085】
(7)上記(1)から(6)のいずれかの構成において、グレンタンク8側に設けられ、機体フレーム2に設けたロック孔220に挿通可能なロックピン210と、ロックピン210を上下移動させるモータ230と、グレンタンク8の側面に設けられ、モータ230を駆動させる操作スイッチ240と、グレンタンク8内の穀粒量を検出する籾センサ250と、籾センサ250が所定量以上の穀粒量を検出している場合、操作スイッチ240の操作に拘わらず、モータ230の駆動を禁止する制御部200とを備えるコンバイン1。
【0086】
なお、上述してきた実施形態のさらなる変形例や効果は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細、及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲、及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 コンバイン
2 機体フレーム
8 グレンタンク
9a 揚穀部
20 尿素水タンク
21 給水口
40 螺旋機構
81 傾斜底壁
82 後側面
83 籾取出口
84 籾袋係止フック
85 螺旋カバー
86 開閉機構
91 カバー
93 収納空間
94 後部開口
200 制御部
210 ロックピン
220 ロック孔
230 モータ
240 操作スイッチ
250 籾センサ
300 ホース
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9