特許第6558499号(P6558499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6558499電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558499
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 5/047 20060101AFI20190805BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20190805BHJP
   G03G 5/05 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G03G5/047
   G03G5/06 315Z
   G03G5/06 372
   G03G5/06 312
   G03G5/06 313
   G03G5/05 101
【請求項の数】5
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2018-528413(P2018-528413)
(86)(22)【出願日】2017年5月12日
(86)【国際出願番号】JP2017018100
(87)【国際公開番号】WO2018016156
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2018年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2016-144853(P2016-144853)
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信二郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 清三
(72)【発明者】
【氏名】小川 祐治
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−181585(JP,A)
【文献】 特開2004−269441(JP,A)
【文献】 特開2009−292802(JP,A)
【文献】 特開2012−137667(JP,A)
【文献】 特開2009−222894(JP,A)
【文献】 特開2015−094839(JP,A)
【文献】 特開2007−011356(JP,A)
【文献】 特開2004−310089(JP,A)
【文献】 特開2004−170984(JP,A)
【文献】 特開2000−019748(JP,A)
【文献】 特開2005−208618(JP,A)
【文献】 特開2005−208617(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0211413(US,A1)
【文献】 特開2004−038167(JP,A)
【文献】 特開2007−322576(JP,A)
【文献】 特開2014−146001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 5/04−5/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、を含む電子写真用感光体において、
前記感光層が、少なくとも正孔輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷発生層と、が順次積層されてなる積層型正帯電の感光層であり、
前記電荷発生層が、チタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を前記電荷発生材料として含むとともに、前記電子輸送材料として下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含む電子写真用感光体。
(式中、RおよびRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、RとRとは同一であっても異なっていてもよい)
【請求項2】
前記正孔輸送材料としてアリールアミン化合物を含む請求項記載の電子写真用感光体。
【請求項3】
前記電荷輸送層が、前記正孔輸送材料としての下記一般式(2)〜(5)で示される化合物のうちのいずれか一種と、前記樹脂バインダーとしての下記一般式(6)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを含み、前記電荷発生層が、前記電荷発生材料としてのチタニルフタロシアニンと、前記正孔輸送材料としての下記一般式(2)〜(5)で示される化合物のうちのいずれか一種と、前記電子輸送材料としての下記構造式(E−2)、(E−5)、(E−11)で示される化合物のうちのいずれか一種と、前記樹脂バインダーとしての下記一般式(6)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂と、を含む請求項1または2記載の電子写真用感光体。
(式中、RaおよびRdは、水素原子、炭素数1〜6の枝分かれしていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいスチリル基であり、RbおよびRcは、水素原子、炭素数1〜6の枝分かれしていてもよいアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基であり、ReおよびRfは、水素原子、炭素数1〜6の枝分かれしていてもよいアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいスチリル基、置換基を有してもよい4−フェニルブタジエン基であり、x、y、pは0〜5の整数、zは0〜4の整数、lは0〜2の整数、mは1〜4の整数である)
(式中、RおよびRは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、Xは酸素原子、硫黄原子または−CRであり、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基若しくは置換基を有してもよいフェニル基であるか、または、RとRとが環状に結合して炭素数4〜6の置換基を有してもよいシクロアルキル基を形成していてもよく、RとRとは同一であっても異なっていてもよい)
【請求項4】
導電性基体上に感光層を備える電子写真用感光体の製造方法において、
前記感光層が、少なくとも正孔輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷発生層と、が順次積層されてなる積層型正帯電の感光層であり、
前記電荷発生材料としてチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を用いるとともに、前記電子輸送材料として下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を用いて、前記電荷発生層を形成する工程を含む電子写真用感光体の製造方法。
(式中、RおよびRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、RとRとは同一であっても異なっていてもよい)
【請求項5】
請求項1記載の電子写真用感光体を搭載してなる電子写真装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンターや複写機、ファックスなどに用いられる電子写真用感光体(以下、単に「感光体」とも称する)、その製造方法および電子写真装置に関し、特には、特定の電子輸送材料を感光層に有することにより優れた電気特性を安定して実現できる電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真用感光体は、導電性基体上に、光導電機能を有する感光層を設置した構造を基本構造とする。近年、電荷の発生や輸送を担う機能成分として有機化合物を用いる有機電子写真用感光体について、材料の多様性や高生産性、安全性などの利点により、研究開発が活発に進められ、複写機やプリンターなどへの適用が進められている。
【0003】
一般に、感光体には、暗所で表面電荷を保持する機能や、光を受容して電荷を発生する機能、さらには、発生した電荷を輸送する機能が必要である。かかる感光体としては、これらの機能を併せ持った単層の感光層を備えた、いわゆる単層型感光体と、主として光受容時の電荷発生の機能を担う電荷発生層と、暗所で表面電荷を保持する機能および光受容時に電荷発生層にて発生した電荷を輸送する機能を担う電荷輸送層とに機能分離した層を積層した感光層を備えた、いわゆる積層型(機能分離型)感光体とがある。
【0004】
このうち感光体表面の帯電特性を正帯電として使用する正帯電型有機感光体には、以下のように、大きく分けて4種類の層構成のものがあり、従来より種々提案されてきている。一つ目は、導電性基体上に、電荷輸送層および電荷発生層を順次積層した2層構成の機能分離型感光体である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。二つ目は、上記2層構成の上に表面保護層を積層した3層構成の機能分離型感光体である(例えば、特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)。三つ目は、一つ目とは逆に、電荷発生層および電荷(電子)輸送層を順次積層した逆積層の2層構成の機能分離型感光体である(例えば、特許文献6および特許文献7参照)。四つ目は、電荷発生材料、正孔輸送材料および電子輸送材料を同一層中に分散した単層型感光体である(例えば、特許文献6および特許文献8参照)。なお、上記4種類の分類においては、下引き層の有無は考慮しない。
【0005】
このうち、最後の四つ目の単層型感光体については、詳細な検討がなされ、一般的に広く実用化が進められている。その大きな理由は、この単層型感光体が、正孔輸送材料の正孔輸送機能と比較して、輸送能において劣る電子輸送材料の電子輸送機能を、正孔輸送材料が補完する構成をとっていることにあると考えられる。この単層型感光体においては、分散型であるが故に、膜中内部でもキャリア発生は起きるが、感光層の表面近傍に近づくほどキャリア発生量が大きく、正孔輸送距離と比較して電子輸送距離は小さくてすむので、電子輸送能は正孔輸送能ほど高い必要はないものと考えられる。これにより、他の三つのタイプと比較して、実用上十分な環境安定性および疲労特性を実現している。
【0006】
しかし、単層型感光体においては、単一膜にキャリア発生およびキャリア輸送の両機能を持たせていることから、塗布工程の簡素化が可能であって高い良品率および工程能力を得やすいという長所を持つ反面、高感度化・高速化を図るために正孔輸送材料および電子輸送材料の両者を単一層内に多く含有させることで結着樹脂の含有量が低下して、耐久性が低下するという問題があった。よって、単層型感光体において、高感度・高速化と高耐久との両立を図ることには限界があった。
【0007】
そのため、近年の装置の小型化や高速化、高解像度化、カラー化に対応する感度、耐久性および耐汚染性を両立するためには、従来の単層型正帯電有機感光体では対応が困難であり、新たに、電荷輸送層と電荷発生層とを順次積層した積層型正帯電感光体についても提案されている(例えば、特許文献9および特許文献10参照)。この積層型正帯電感光体の層構成は、上述の一つ目の層構成に類似するものであるが、電荷発生層に含まれる電荷発生材料を少なくするとともに電子輸送材料を含有させ、下層の電荷輸送層に近い厚膜化ができる他、電荷発生層内の正孔輸送材料の添加量を少なくできるため、電荷発生層内の樹脂比率を従来の単層型より多く設定でき、高感度化と高耐久化との両立が図りやすい構成となっている。
【0008】
また、カラープリンターの発展や普及率の向上に伴い、印字速度の高速化や装置の小型化および省部材化が進んでおり、様々な使用環境への対応も求められている。このような状況の中、繰り返し使用や使用環境(室温および環境)の変動による画像特性や電気特性の変動が小さい感光体に対する要求が顕著に高まっており、従来の技術では、これらの要求を同時に十分には満足できなくなってきている。特に、低温環境下での感光体の電位変動により発生する印字濃度の低下の問題は、解消を求められている。
【0009】
具体的な改良方法として、例えば、特許文献11には、電荷発生材料としてブタンジオール付加チタニルフタロシアニンを用い、電荷輸送材料としてナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物を組合せることで、環境変動に対して高感度で極めて安定な電子写真用感光体が見出された旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平05−30262号公報
【特許文献2】特開平04−242259号公報
【特許文献3】特公平05−47822号公報
【特許文献4】特公平05−12702号公報
【特許文献5】特開平04−241359号公報
【特許文献6】特開平05−45915号公報
【特許文献7】特開平07−160017号公報
【特許文献8】特開平03−256050号公報
【特許文献9】特開2009−288569号公報
【特許文献10】国際公開第2009/104571号パンフレット
【特許文献11】特開2015−94839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前述のような低温環境下での感光体の電位変動により発生する印字濃度の低下を抑制して、低温環境下でも安定した印字濃度を実現できる電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、感光層が、電荷発生材料として所定のフタロシアニン化合物を含むとともに、電子輸送材料として所定のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含むものとすることで、低温環境下でも安定した印字濃度が得られる電子写真用感光体が提供できることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明の第一の態様は、導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、を含む電子写真用感光体において、
前記感光層が、少なくとも正孔輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷発生層と、が順次積層されてなる積層型正帯電の感光層であり、
前記電荷発生層が、チタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を前記電荷発生材料として含むとともに、前記電子輸送材料として下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含むものである。
(式中、RおよびRは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、RとRとは同一であっても異なっていてもよい)
【0014】
ここで、前記電荷輸送層が、前記正孔輸送材料としての下記一般式(2)〜(5)で示される化合物のうちのいずれか一種と、前記樹脂バインダーとしての下記一般式(6)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを含み、前記電荷発生層が、前記電荷発生材料としてのチタニルフタロシアニンと、前記正孔輸送材料としての下記一般式(2)〜(5)で示される化合物のうちのいずれか一種と、前記電子輸送材料としての下記構造式(E−2)、(E−5)、(E−11)で示される化合物のうちのいずれか一種と、前記樹脂バインダーとしての下記一般式(6)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂と、を含むことがより好ましい。
(式中、RaおよびRdは、水素原子、炭素数1〜6の枝分かれしていてもよいアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいスチリル基であり、RbおよびRcは、水素原子、炭素数1〜6の枝分かれしていてもよいアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基であり、ReおよびRfは、水素原子、炭素数1〜6の枝分かれしていてもよいアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいスチリル基、置換基を有してもよい4−フェニルブタジエン基であり、x、y、pは0〜5の整数、zは0〜4の整数、lは0〜2の整数、mは1〜4の整数である)
(式中、RおよびRは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、Xは酸素原子、硫黄原子または−CRであり、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基若しくは置換基を有してもよいフェニル基であるか、または、RとRとが環状に結合して炭素数4〜6の置換基を有してもよいシクロアルキル基を形成していてもよく、RとRとは同一であっても異なっていてもよい)
【0016】
また、本発明の第二の態様の電子写真用感光体の製造方法は、導電性基体上に感光層を備える電子写真用感光体の製造方法において、
前記感光層が、少なくとも正孔輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料および樹脂バインダーを含む電荷発生層と、が順次積層されてなる積層型正帯電の感光層であり、
前記電荷発生材料としてチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を用いるとともに、前記電子輸送材料として上記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を用いて、前記電荷発生層を形成する工程を含むものである。
【0017】
さらに、本発明の第三の態様の電子写真装置は、上記電子写真用感光体を搭載してなるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、低温環境下での感光体の電位変動により発生する印字濃度の低下を抑制して、低温環境下でも安定した印字濃度を実現できる電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の電子写真用感光体の一例を示す模式的断面図である。
図2】本発明の電子写真用感光体の他の例を示す模式的断面図である。
図3】本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の電子写真用感光体の具体的な実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。本発明は、以下の説明により何ら限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の電子写真用感光体の一例を示す模式的断面図であり、正帯電型の単層型電子写真用感光体を示す。図示するように、正帯電単層型感光体においては、導電性基体1の上に、下引き層2と、電荷発生機能および電荷輸送機能を兼ね備えた単層型の感光層3とが、順次積層されている。
【0022】
また、図2は、本発明の電子写真用感光体の他の例を示す模式的断面図であり、正帯電型の積層型電子写真用感光体を示す。図示するように、正帯電積層型感光体においては、円筒形の導電性基体1の表面上に、下引き層2を介して、電荷輸送機能を備えた電荷輸送層4と、電荷発生機能を備えた電荷発生層5とが順次積層されてなる積層型正帯電の感光層6が、配置されている。なお、下引き層2は、必要に応じ設ければよい。
【0023】
本発明の実施形態の感光体は、感光層が、チタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を電荷発生材料として含むとともに、電子輸送材料として上記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含む。感光層に、特定の電荷発生材料および電子輸送材料を組み合わせて用いたことで、低温環境下での感光体の電位変動を抑制して、これに起因する印字濃度の低下を抑制し、印字濃度が安定した感光体を実現することが可能となった。
【0024】
ここで、チタニルフタロシアニンとしては、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、アモルファス型チタニルフタロシアニン、特開平8−209023号公報、米国特許第5736282号明細書および米国特許第5874570号明細書に記載のCuKα:X線回析スペクトルにてブラッグ角2θが9.6°を最大ピークとするチタニルフタロシアニン等を用いることができる。また、無金属フタロシアニンとしては、例えば、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン等を用いることができる。
【0025】
また、電子輸送材料としての上記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物の具体例としては、下記構造式(E−1)〜(E−176)で示される化合物が挙げられる。これらのうち、塗布液とする際の溶解性からR、Rのいずれかもしくは両方がアルキル基である構造が好ましい。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
【表10】
【0036】
【表11】
【0037】
【表12】
【0038】
導電性基体1は、感光体の電極としての役目と同時に感光体を構成する各層の支持体ともなっており、円筒状、板状、フィルム状などのいずれの形状でもよい。導電性基体1の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属類、または、ガラス、樹脂などの表面に導電処理を施したもの等を使用できる。
【0039】
下引き層2は、樹脂を主成分とする層やアルマイトなどの金属酸化皮膜からなるものである。かかる下引き層2は、導電性基体1から感光層への電荷の注入性の制御や、導電性基体の表面の欠陥の被覆、感光層と導電性基体1との接着性の向上などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層2に用いられる樹脂材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分子や、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子が挙げられ、これらの樹脂は単独、または、適宜組み合わせて混合して用いることができる。また、これらの樹脂に、二酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物を含有させて用いてもよい。
【0040】
(正帯電単層型感光体)
正帯電単層型感光体の場合、単層型感光層3が、上記特定の電荷発生材料および電子輸送材料を含む感光層となる。正帯電単層型感光体において、単層型感光層3は、主として電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料(アクセプター性化合物)および樹脂バインダーを単一層に含む単層型正帯電の感光層である。
【0041】
単層型感光層3の電荷発生材料としては、チタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を含むことが必要であるが、他の汎用の電荷発生材料の1種以上を併用してもよい。他の電荷発生材料としては、例えば、上記以外の他のフタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アントアントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、多環キノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、キナクリドン顔料等を使用することができる。特に、アゾ顔料としては、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン顔料としては、N,N’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−3,4:9,10−ペリレン−ビス(カルボキシイミド)、他のフタロシアニン系顔料としては、ε型銅フタロシアニン等の銅フタロシアニンを用いることができる。電荷発生材料は感光層の総量に対して0.1〜20質量%添加されていれば効果があり、チタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニン以外の電荷発生材料は電荷発生材料の総量が20質量%となる範囲まで添加することが可能である。
【0042】
単層型感光層3の電子輸送材料としては、上記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含むことが必要であるが、他の汎用の電子輸送材料の1種以上を併用してもよい。他の電子輸送材料としては、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水琥珀酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸、マロノニトリル、トリニトロフルオレノン、トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、チオピラン系化合物、キノン系化合物、ベンゾキノン化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、スチルベンキノン系化合物、アゾキノン系化合物等を組合せて使用することができる。一般式(1)の電子輸送材料は感光層の総量に対して1〜50質量%添加されていれば効果があり、一般式(1)以外の電子輸送材料は電子輸送材料の総量が50質量%となる範囲まで添加することが可能である。
【0043】
単層型感光層3の正孔輸送材料としては、例えば、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、オキサゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、スチリル化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等を使用することができ、中でも、アリールアミン化合物が好ましい。これら正孔輸送材料は、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することが可能である。正孔輸送材料としては、光照射時に発生する正孔の輸送能力が優れている他、電荷発生材料との組み合せにおいて好適なものが好ましい。
【0044】
好適な正孔輸送材料としては、上記一般式(2)〜(5)で示されるものが挙げられる。また、好適な正孔輸送材料の具体的な例としては、下記式(H−1)〜(H−30)のアリールアミン化合物を含むことが好ましい。正孔輸送材料をアリールアミン化合物とすると、環境特性の安定について、より好適である。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
単層型感光層3の樹脂バインダーとしては、ビスフェノールA型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型−ビフェニル共重合体、ビスフェノールZ型−ビフェニル共重合体などの他の各種ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを用いることができる。さらに、分子量の異なる同種の樹脂を混合して用いてもよい。
【0049】
好適な樹脂バインダーとしては、上記一般式(6)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。好適な樹脂バインダーのより具体的な例としては、下記構造式(B−1)〜(B−10)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0050】
単層型感光層3における電荷発生材料の含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には0.1〜20質量%、より好適には0.5〜10質量%である。単層型感光層3における正孔輸送材料の含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には3〜80質量%、より好適には5〜60質量%である。単層型感光層3における電子輸送材料の含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には1〜50質量%、より好適には5〜40質量%である。単層型感光層3における樹脂バインダーの含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には10〜90質量%、より好適には20〜80質量%である。
【0051】
単層型感光層3の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには3〜100μmの範囲が好ましく、5〜40μmの範囲がより好ましい。
【0052】
(正帯電積層型感光体)
正帯電積層型感光体の場合、電荷輸送層4と電荷発生層5とからなる積層型正帯電の感光層6が、上記特定の電荷発生材料および電子輸送材料を含む感光層となる。正帯電積層型感光体において、電荷輸送層4は、少なくとも正孔輸送材料および樹脂バインダーを含み、電荷発生層5は、少なくとも電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料および樹脂バインダーを含む。
【0053】
電荷輸送層4における正孔輸送材料および樹脂バインダーとしては、単層型感光層3について挙げたものと同様の材料を用いることができる。
【0054】
電荷輸送層4における正孔輸送材料の含有量としては、電荷輸送層4の固形分に対して、好適には10〜80質量%、より好適には20〜70質量%である。電荷輸送層4における樹脂バインダーの含有量としては、電荷輸送層4の固形分に対して、好適には20〜90質量%、より好適には30〜80質量%である。
【0055】
さらに、電荷輸送層4の膜厚としては、実用上有効な表面電位を維持するためには3〜50μmの範囲が好ましく、15〜40μmの範囲がより好ましい。
【0056】
電荷発生層5における正孔輸送材料および樹脂バインダーとしては、単層型感光層3について挙げたものと同様の材料を用いることができる。また、電荷発生層5における電荷発生材料についても、単層型感光層3と同様に、上記特定の電荷発生材料に加えて、他の汎用の電荷発生材料の1種以上を併用することができる。さらに、電荷発生層5における電子輸送材料についても、単層型感光層3と同様に、上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物に加えて、他の汎用の電子輸送材料の1種以上を併用することができる。各材料の含有量、および、電荷発生層5の膜厚についても、単層型感光体の単層型感光層3と同様とすることができる。
【0057】
本発明の実施形態においては、積層型または単層型のいずれの感光層中にも、形成した膜のレベリング性の向上や潤滑性の付与を目的として、シリコーンオイルやフッ素系オイル等のレベリング剤を含有させることができる。さらに、膜硬度の調整や摩擦係数の低減、潤滑性の付与等を目的として、複数種の無機酸化物を含ませることができる。シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の金属硫化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物の微粒子、または、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂粒子、フッ素系クシ型グラフト重合樹脂等を含有させてもよい。さらにまた、必要に応じて、電子写真特性を著しく損なわない範囲で、その他公知の添加剤を含有させることもできる。
【0058】
また、感光層中には、耐環境性や有害な光に対する安定性を向上させる目的で、酸化防止剤や光安定剤などの劣化防止剤を含有させることができる。このような目的に用いられる化合物としては、トコフェロールなどのクロマノール誘導体およびエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体、エーテル化化合物、ジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、フェニレンジアミン誘導体、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
【0059】
(感光体の製造方法)
本発明の実施形態の感光体は、電荷発生材料としてチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンからなる群から選ばれるいずれか一種を用いるとともに、電子輸送材料として上記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を用いて、感光層を形成することにより、製造することができる。感光体の製造方法は、導電性基体を準備する工程と、上記特定の電荷発生材料および電子輸送材料、並びに、任意の正孔輸送材料および樹脂バインダーを、溶媒中に溶解、分散させた塗布液を準備する工程と、を含んでもよい。
【0060】
具体的には、単層型感光体は、上記特定の電荷発生材料および電子輸送材料、並びに、任意の正孔輸送材料および樹脂バインダーを、溶媒中に溶解、分散させて単層型感光層の形成用塗布液を調製し準備する工程と、この単層型感光層の形成用塗布液を、導電性基体の外周に、所望に応じ下引き層を介して塗工、乾燥させ感光層を形成する工程と、を含む方法により、製造することができる。
【0061】
また、積層型感光体の場合、まず、任意の正孔輸送材料および樹脂バインダーを溶媒に溶解させて電荷輸送層の形成用塗布液を調製し準備する工程と、この電荷輸送層の形成用塗布液を、導電性基体の外周に、所望に応じ下引き層を介して塗工、乾燥させ電荷輸送層を形成する工程と、を含む方法により、電荷輸送層を形成する。次に、上記電荷発生材料および電子輸送材料、並びに、任意の正孔輸送材料および樹脂バインダーを、溶媒中に溶解、分散させて電荷発生層の形成用塗布液を調製し準備する工程と、この電荷発生層の形成用塗布液を、上記電荷輸送層上に塗工、乾燥させ電荷発生層を形成する工程と、を含む方法により電荷発生層を形成する。このような製造方法により実施形態の積層型感光体を製造することができる。これら塗布液は、浸漬塗布法または噴霧塗布法等の種々の塗布方法に適用することが可能であり、いずれかの塗布方法に限定されるものではない。また、塗布液の調製に用いるに用いる溶媒の種類や、塗工条件、乾燥条件等についても、常法に従い適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0062】
(電子写真装置)
本発明の実施形態の電子写真用感光体は、各種マシンプロセスに適用することにより所期の効果が得られるものである。具体的には、ローラやブラシなどの帯電部材を用いた接触帯電方式、コロトロンやスコロトロンなどを用いた非接触帯電方式等の帯電プロセス、並びに、非磁性一成分、磁性一成分、二成分などの現像剤を用いた接触現像および非接触現像方式などの現像プロセスにおいても、十分な効果を得ることができる。
【0063】
本発明の実施形態の電子写真装置は、上記電子写真用感光体を搭載してなる。図2に、本発明の電子写真装置の一構成例の概略構成図を示す。図示する電子写真装置60は、導電性基体1と、その外周面上に被覆された下引き層2および感光層300とを含む、本発明の実施形態の感光体7を搭載する。この電子写真装置60は、感光体7の外周縁部に配置された、図示する例ではローラ状の帯電部材21と、この帯電部材21に印加電圧を供給する高圧電源22と、像露光部材23と、現像ローラ241を備えた現像器24と、給紙ローラ251および給紙ガイド252を備えた給紙部材25と、転写帯電器(直接帯電型)26と、から構成される。電子写真装置60は、さらに、クリーニングブレード271を備えたクリーニング装置27と、除電部材28とを含んでもよい。また、本発明の実施形態の電子写真装置60は、カラープリンタとすることができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の具体的態様を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0065】
<積層型感光体>
(実施例1)
導電性基体としては、φ30mm×長さ252.6mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。
【0066】
(電荷輸送層)
正孔輸送材料としての下記構造式(H−5)で示される化合物100質量部と、樹脂バインダーとしての下記構造式(BD−1)で示されるポリカーボネート樹脂(粘度換算分子量5万)100質量部とを、テトラヒドロフラン800質量部に溶解した後、シリコーンオイル(KP−340、信越ポリマー(株)製)を0.1質量部加えて、塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に塗工し、100℃で30分間乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
【0067】
(電荷発生層)
正孔輸送材料としての上記構造式(H−5)で示される化合物7.0質量部と、電子輸送材料としての下記構造式(E−2)で示される化合物3質量部と、樹脂バインダーとしての上記構造式(BD−1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂9.6質量部と、シリコーンオイル(KF−54、信越ポリマー(株)製)0.04質量部と、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部とを、テトラヒドロフラン80質量部に溶解させ、電荷発生物質としてのY型チタニルフタロシアニン(CG−1)0.3質量部を添加した後、サンドグラインドミルにより分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記電荷輸送層上に塗布し、温度110℃で30分間乾燥することにより膜厚15μmの電荷発生層を形成して、膜厚30μmの積層型電子写真用感光体を得た。
【0068】
(実施例2)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0069】
(実施例3)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0070】
(実施例4)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0071】
(実施例5)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0072】
(実施例6)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0073】
(実施例7)
実施例2で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例2と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0074】
(実施例8)
実施例3で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例3と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0075】
(実施例9)
実施例4で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例4と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0076】
(実施例10)
実施例5で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例5と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0077】
(実施例11)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0078】
(実施例12)
実施例2で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例2と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0079】
(実施例13)
実施例3で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例3と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0080】
(実施例14)
実施例4で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例4と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0081】
(実施例15)
実施例5で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例5と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0082】
(実施例16)
実施例6で使用した電荷輸送材料を特開2001−228637号公報に記載されたX型無金属フタロシアニン(CG−2)に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0083】
(実施例17)
実施例6で使用した電荷輸送材料をヒドロキシガリウムフタロシアニン(CG−3)に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0084】
(実施例18)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−2)で示される樹脂に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0085】
(実施例19)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−3)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0086】
(実施例20)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−4)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0087】
(実施例21)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−5)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0088】
(実施例22)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−6)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0089】
(比較例1)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−R1)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0090】
(比較例2)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−R2)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0091】
<単層型感光体>
(参考例23)
導電性基体としては、φ30mm×長さ244.5mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。
【0092】
正孔輸送材料としての上記構造式(H−5)で示される化合物7.0質量部と、電子輸送物質としての上記構造式(E−2)で示される化合物3質量部と、樹脂バインダーとしての上記構造式(BD−1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度換算分子量5万)9.6質量部と、シリコーンオイル(KF−54、信越ポリマー(株)製)0.04質量部と、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部とを、テトラヒドロフラン80質量部に溶解させ、電荷発生物質としての実施例16記載のX型無金属フタロシアニン(CG−2)0.3質量部を添加した後、サンドグラインドミルにより分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に塗工し、温度100℃で60分間乾燥することにより、膜厚約25μmの単層型感光層を形成して、正帯電単層型電子写真用感光体を得た。
【0093】
(参考例24)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0094】
(参考例25)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0095】
(参考例26)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0096】
(参考例27)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0097】
(参考例28)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0098】
(参考例29)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0099】
(参考例30)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0100】
(参考例31)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0101】
(参考例32)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0102】
(参考例33)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0103】
(参考例34)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0104】
(参考例35)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0105】
(参考例36)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0106】
(参考例37)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0107】
(比較例3)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、上記構造式(E−R1)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0108】
(比較例4)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、上記構造式(E−R2)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0109】
(感光体の評価)
(疲労特性(電気特性))
実施例1〜22および比較例1、2の感光体については、ブラザー工業(株)製の市販の26枚機のモノクロレーザープリンタ(HL−2240)に組み込んで、10℃20%RHの低温低湿環境下にて、10秒間欠で印字面積率4%の画像を5,000枚まで印刷し、現像部での電位変化量を測定した。
【0110】
参考例23〜37および比較例3、4の感光体については、ブラザー工業(株)製の市販の16枚機のカラーLEDプリンタ(HL−3040)に組み込んで、10℃20%RHの低温低湿環境下にて、10秒間欠で印字面積率4%の画像を5,000枚まで印刷し、黒色トナーの感光体の現像部での電位変化量を測定した。
【0111】
これらの評価結果を、下記の表13、14中に示す。
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
上記表中から明らかなように、感光層に、特定の電荷発生材料および電子輸送材料の組合せを用いた各実施例および参考例の感光体においては、これとは異なる組合せを用いた各比較例の感光体と比べて、低温環境下での電位変動が抑制されていることが確認された。
【符号の説明】
【0115】
1 導電性基体
2 下引き層
3 単層型感光層
4 電荷輸送層
5 電荷発生層
6 積層型正帯電の感光層
7 感光体
21 帯電部材
22 高圧電源
23 像露光部材
24 現像器
241 現像ローラ
25 給紙部材
251 給紙ローラ
252 給紙ガイド
26 転写帯電器(直接帯電型)
27 クリーニング装置
271 クリーニングブレード
28 除電部材
60 電子写真装置
300 感光層
図1
図2
図3