【実施例】
【0064】
以下、本発明の具体的態様を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0065】
<積層型感光体>
(実施例1)
導電性基体としては、φ30mm×長さ252.6mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。
【0066】
(電荷輸送層)
正孔輸送材料としての下記構造式(H−5)で示される化合物100質量部と、樹脂バインダーとしての下記構造式(BD−1)で示されるポリカーボネート樹脂(粘度換算分子量5万)100質量部とを、テトラヒドロフラン800質量部に溶解した後、シリコーンオイル(KP−340、信越ポリマー(株)製)を0.1質量部加えて、塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に塗工し、100℃で30分間乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。
【0067】
(電荷発生層)
正孔輸送材料としての上記構造式(H−5)で示される化合物7.0質量部と、電子輸送材料としての下記構造式(E−2)で示される化合物3質量部と、樹脂バインダーとしての上記構造式(BD−1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂9.6質量部と、シリコーンオイル(KF−54、信越ポリマー(株)製)0.04質量部と、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部とを、テトラヒドロフラン80質量部に溶解させ、電荷発生物質としてのY型チタニルフタロシアニン(CG−1)0.3質量部を添加した後、サンドグラインドミルにより分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記電荷輸送層上に塗布し、温度110℃で30分間乾燥することにより膜厚15μmの電荷発生層を形成して、膜厚30μmの積層型電子写真用感光体を得た。
【0068】
(実施例2)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0069】
(実施例3)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0070】
(実施例4)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0071】
(実施例5)
実施例1で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0072】
(実施例6)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0073】
(実施例7)
実施例2で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例2と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0074】
(実施例8)
実施例3で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例3と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0075】
(実施例9)
実施例4で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例4と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0076】
(実施例10)
実施例5で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は実施例5と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0077】
(実施例11)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0078】
(実施例12)
実施例2で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例2と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0079】
(実施例13)
実施例3で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例3と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0080】
(実施例14)
実施例4で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例4と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0081】
(実施例15)
実施例5で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は実施例5と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0082】
(実施例16)
実施例6で使用した電荷輸送材料を特開2001−228637号公報に記載されたX型無金属フタロシアニン(CG−2)に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0083】
(実施例17)
実施例6で使用した電荷輸送材料をヒドロキシガリウムフタロシアニン(CG−3)に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0084】
(実施例18)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−2)で示される樹脂に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0085】
(実施例19)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−3)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0086】
(実施例20)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−4)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0087】
(実施例21)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−5)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0088】
(実施例22)
実施例6の電荷発生層に使用した上記構造式(BD−1)で示される樹脂を、下記構造式(BD−6)で示される化合物に変えた以外は実施例6と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0089】
(比較例1)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−R1)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0090】
(比較例2)
実施例1で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、下記構造式(E−R2)で示される化合物に変えた以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0091】
<単層型感光体>
(参考例23)
導電性基体としては、φ30mm×長さ244.5mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。
【0092】
正孔輸送材料としての上記構造式(H−5)で示される化合物7.0質量部と、電子輸送物質としての上記構造式(E−2)で示される化合物3質量部と、樹脂バインダーとしての上記構造式(BD−1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度換算分子量5万)9.6質量部と、シリコーンオイル(KF−54、信越ポリマー(株)製)0.04質量部と、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.1質量部とを、テトラヒドロフラン80質量部に溶解させ、電荷発生物質としての実施例16記載のX型無金属フタロシアニン(CG−2)0.3質量部を添加した後、サンドグラインドミルにより分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に塗工し、温度100℃で60分間乾燥することにより、膜厚約25μmの単層型感光層を形成して、正帯電単層型電子写真用感光体を得た。
【0093】
(参考例24)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0094】
(参考例25)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0095】
(参考例26)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0096】
(参考例27)
参考例23で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0097】
(参考例28)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−5)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0098】
(参考例29)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0099】
(参考例30)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0100】
(参考例31)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0101】
(参考例32)
参考例28で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は参考例28と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0102】
(参考例33)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、構造式(E−11)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0103】
(参考例34)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−1)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0104】
(参考例35)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−20)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0105】
(参考例36)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−14)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0106】
(参考例37)
参考例33で使用した上記構造式(H−5)で示される化合物を、構造式(H−27)で示される化合物に変えた以外は参考例33と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0107】
(比較例3)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、上記構造式(E−R1)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0108】
(比較例4)
参考例23で使用した上記構造式(E−2)で示される化合物を、上記構造式(E−R2)で示される化合物に変えた以外は参考例23と同様の方法で、電子写真用感光体を作製した。
【0109】
(感光体の評価)
(疲労特性(電気特性))
実施例1〜22および比較例1、2の感光体については、ブラザー工業(株)製の市販の26枚機のモノクロレーザープリンタ(HL−2240)に組み込んで、10℃20%RHの低温低湿環境下にて、10秒間欠で印字面積率4%の画像を5,000枚まで印刷し、現像部での電位変化量を測定した。
【0110】
参考例23〜37および比較例3、4の感光体については、ブラザー工業(株)製の市販の16枚機のカラーLEDプリンタ(HL−3040)に組み込んで、10℃20%RHの低温低湿環境下にて、10秒間欠で印字面積率4%の画像を5,000枚まで印刷し、黒色トナーの感光体の現像部での電位変化量を測定した。
【0111】
これらの評価結果を、下記の表13、14中に示す。
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
上記表中から明らかなように、感光層に、特定の電荷発生材料および電子輸送材料の組合せを用いた各実施例および参考例の感光体においては、これとは異なる組合せを用いた各比較例の感光体と比べて、低温環境下での電位変動が抑制されていることが確認された。