(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記他の電子機器と前記デバイス情報が対応つけられた情報は、前記他の電子機器の画像と、前記デバイス情報に対応させた画像情報と、の組み合わせである組み合わせ画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係
る電子機器
、電子機器の制御方
法、プログラム
及び無線通信システムについて、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る無線通信システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
図1(a)、(b)は、本実施形態に係る携帯型の電子機器(以下、便宜的に「携帯機器」と記す)の例を示す概略図であり、
図1(c)〜(e)は本実施形態に係る接続対象となる電子機器(以下、便宜的に「対象機器」と記す)の例を示す概略図である。
図2は、本実施形態に適用される携帯機器及び対象機器の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2(a)は、携帯機器の機能構成の一例を示すブロック図であり、
図2(b)は対象機器の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムは、例えば
図1(a)、(b)に示すように、スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラ等のユーザが携帯して使用する携帯機器(第1の電子機器)100と、例えば
図1(c)〜(e)に示すように、特定の通信規格の無線通信機能を有して携帯機器100と個別に接続することができる1又は複数の対象機器(第2の電子機器)200と、を有している。ここで、対象機器200は、例えばパーソナルコンピュータやプリンタ、無線LAN等のネットワークのアクセスポイントである無線LANルーター等の据置型の電子機器であってもよいし、スマートフォンやタブレット端末、デジタルカメラ、スマートウォッチ等の携帯型の電子機器であってもよい。なお、本実施形態においては、説明を簡明にするために、対象機器200としてプリンタや無線LANルーター等の据置型の電子機器を適用するものとし、携帯型の電子機器を適用する場合には、対象機器200が机上等に載置されて静止した状態、又は、略静止状態にあるものとする。
【0016】
(携帯機器)
携帯機器100は、例えば
図1(a)、(b)に示すように、筐体102に後述する撮像部110の撮像用のカメラレンズ112と、タッチパネル(選択手段)132を備えた表示パネル122とが設けられた外観を有している。例えば
図1(a)に示すように、スマートフォンやタブレット端末等の携帯機器100においては、スレート状の筐体102の一面側(紙面手前側)にタッチパネル132を備えた表示パネル122が設けられ、他面側(紙面奥側)に撮像用のカメラレンズ112が設けられている。また、例えば
図1(b)に示すように、デジタルカメラ等の携帯機器100においては、箱状の筐体102の一面側(紙面奥側)にタッチパネル132を備えた表示パネル122が設けられ、他面側(紙面手前側)に撮像部110の撮像用のカメラレンズ112が設けられている。
【0017】
また、携帯機器100は、
図2(a)に示すように、大別して、撮像部110と、表示部120と、入力操作部130と、通信機能部140と、演算処理部(制御部)150と、メモリ部160と、電源供給部170と、を含む機能構成を有している。
【0018】
撮像部110は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等のイメージセンサを有し、筐体102の他面側に設けられた撮像用のカメラレンズ112を介して、後述する対象機器200を含む被写体を撮像し、撮影された被写体の画像(以下、被写体画像とする)の画像データを取得する。撮像部110により取得される画像データによる被写体画像は、後述する表示部120の表示パネル122にリアルタイムに表示されるとともに、ユーザの入力操作により任意のタイミングの画像データがメモリ部160のデータ保存用メモリ162に保存される。
【0019】
表示部120は、例えば液晶方式や有機EL方式等の表示パネル122を有し、撮像部110により取得される画像データによる被写体画像や、メモリ部160に保存されている画像や映像、後述する通信機能部140を介して外部機器やネットワーク上のサーバ等から取得した画像や映像等を表示する。特に、本実施形態においては、表示部120は、対象機器200を含む被写体を撮像して取得される画像データによる被写体画像に、各対象機器200の後述するデバイス情報を重ね合わせて表示する。また、表示部120は、携帯機器100における各種の動作状態を設定するための操作画像やメニュー画像を表示する。
【0020】
入力操作部130は、表示パネル122の視野側に設けられたタッチパネル(選択手段)132や、筐体102の正面や側面等に設けられた操作スイッチ(押しボタンやスライドボタン、タッチセンサ等)等を有し、表示パネル122に表示された操作画像やメニュー画像あるいは操作スイッチに対してユーザが入力操作を行うことにより、携帯機器100における各種の動作状態が制御される。
【0021】
通信機能部140は、無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の、1又は複数の近距離無線通信規格に対応した通信インターフェース機能を有し、1又は複数の対象機器200のそれぞれに設定された通信規格により、対象機器200と接続して情報やデータの送受信を行う。ここで、携帯機器100と対象機器200との間で行われる近距離無線通信は、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))通信のように、機器相互を直接接続して情報やデータの送受信を行うものであってもよいし、無線LAN通信のように、特定のネットワークを介して機器相互を間接的に接続して情報やデータの送受信を行うものであってもよい。
【0022】
演算処理部150は、CPU(中央演算処理装置)やMPU(マイクロプロセッサユニット)等の演算処理装置であって、メモリ部160のプログラムメモリ164に保存された所定の制御プログラムを実行することにより、撮像部110における撮像動作や、表示部120における表示操作、通信機能部140における送受信動作等の、各構成における動作を制御する。また、演算処理部150は、プログラムメモリ164に保存された所定のアプリケーションプログラムを実行することにより、撮像部110により取得される画像データに基づいて、被写体画像に含まれる対象機器200の外面に設けられた識別情報表示部220の画像における識別情報の解析等に基づいて、当該対象機器200の通信規格を含むデバイス情報を取得する動作を行う。そして、演算処理部150は、対象機器200の画像に、取得した対象機器200のデバイス情報に基づく簡易な情報を重ね合わせて表示パネル122に表示する動作を行う。また、演算処理部150は、ユーザが入力操作部130により指示(又は選択)した対象機器200について、上記取得したデバイス情報に基づく通信規格で情報やデータの送受信を行うように通信機能部140を制御する。なお、演算処理部150における対象機器200の識別処理については、後述する制御方法において詳しく説明する。また、演算処理部150において実行される制御プログラムは、予め演算処理部150の内部に組み込まれているものであってもよい。ここで、対象機器200の識別情報は、例えば、無線通信規格の種類、及び、無線LAN通信におけるアクセスポイントの識別名であるサービスセット識別子SSID(Service Set Identifier)や、ブルートゥース通信におけるデバイスアドレスであるBDアドレスやデバイスネーム等を含む無線接続を確立するために必要な技術情報である。また、デバイス情報は、少なくとも対象機器200の無線通信規格の種類を含む情報である。デバイス情報は、更に、対象機器200の無線通信の有効/無効等の情報を含んでいてもよい。
【0023】
メモリ部160は、大別して、データ保存用メモリ(以下、「データメモリ」と記す)162と、プログラム保存用メモリ(以下、「プログラムメモリ」と記す)164と、作業データ保存用メモリ(以下、「作業用メモリ」と記す)166と、を有している。データメモリ162は、撮像部110により取得された画像データやテキストデータ等の、ユーザが取得した各種のデータや予め用意された各種のデータ等を所定の記憶領域に保存する。
【0024】
プログラムメモリ164は、撮像部110における撮像動作や、表示部120における表示操作、通信機能部140における送受信動作等の、各構成における所定の機能を実現するための制御プログラムを保存する。また、プログラムメモリ164は、撮像部110により取得された画像データによる被写体画像に含まれる対象機器200の識別情報を解析して、対象機器200の画像に対象機器200のデバイス情報を重ね合わせて表示パネル122に表示する機能、及び、ユーザにより選択された対象機器200に、上記のデバイス情報に基づく通信規格で接続する機能を実現するためのアプリケーションプログラム(識別情報解析プログラム)を保存する。
【0025】
作業用メモリ166は、上記の制御プログラムやアプリケーションプログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、データメモリ162は、例えばその一部又は全部がメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、携帯機器100に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0026】
電源供給部170は、携帯機器100の各構成に駆動用の電力を供給する。電源供給部170は、例えば市販の乾電池等の一次電池や、リチウムイオン電池等の二次電池が適用される。また、電源供給部170は、上記の一次電池や二次電池のほか、環境発電技術による電源等を、単独で、あるいは、併用して適用するものであってもよい。
【0027】
(対象機器)
対象機器200は、例えば
図1(c)〜(e)に概略的に示すように、筐体202の外面に、それぞれの対象機器200の識別情報を可視可能に示す識別情報表示部220が設けられた外観を有している。例えば
図1(c)に示した対象機器200においては、識別情報表示部220は、画像認識型拡張現実(AR;Augmented Reality)技術に適用される画像パターンであるARマーカーからなる識別子222を有している。また、例えば
図1(d)に示した対象機器200においては、識別情報表示部220は、自動認識技術に適用されるマトリクス型二次元コードであるQRコード(登録商標)からなる識別子224を有している。また、例えば
図1(e)に示した対象機器200においては、識別情報表示部220は、自動認識技術に適用される縞模様状の一次元コードであるバーコードからなる識別子226を有している。
【0028】
また、対象機器200は、
図2(b)に示すように、大別して、特定機能部210と、識別情報表示部220と、入力操作部230と、通信機能部240と、演算処理部250と、メモリ部260と、電源供給部270と、を含む機能構成を有している。ここで、上述した携帯機器100と同等の構成については、その説明を簡略化する。
【0029】
特定機能部210は、後述する演算処理部250からの指示に従って、対象機器200に固有の機能を実行する。例えば対象機器200がプリンタである場合には、特定機能部210は印刷機能を実行し、無線LANルーターである場合には、特定機能部210は後述する通信機能部240とともに、ネットワークに接続される電子機器の通信状態等を管理及び制御する。
【0030】
識別情報表示部220は、筐体202の外面であって、携帯機器100を携帯したユーザから見通しが効く位置に設けられ、対象機器200の識別情報(SSIDやBDアドレス、デバイスネーム等)を
図1(c)〜(e)に示したような、ARマーカーやQRコード(登録商標)、バーコード等の識別子222〜226により可視可能に表示している。ここで、識別情報表示部220は、例えば筐体202の外面に、識別子222〜226が直接印刷されているものであってもよいし、筐体202の外面に施された模様に識別子222〜226が組み込まれているものであってもよい。また、識別情報表示部220は、例えば筐体202の外面に、識別子222〜226が印刷されたステッカーやシール、タグ等が貼り付けられたり取り付けられたりしているものであってもよい。また、識別情報表示部220は、対象機器200を360°どの方向から見ても識別子222〜226を視認可能とするように、識別子222〜226を筐体202の外面の複数箇所に設けているものであってもよい。
【0031】
入力操作部230は、筐体202に設けられた電源スイッチや操作スイッチを有し、ユーザが入力操作を行うことにより、対象機器200の電源のオン、オフや、無線通信機能や特定機能等における動作状態が制御される。通信機能部240は、無線LANやブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の近距離無線通信規格に対応した通信インターフェース機能を有し、予め設定された通信規格により、携帯機器100と接続して情報やデータの送受信を行う。
【0032】
演算処理部250は、CPUやMPU等の演算処理装置であって、メモリ部260に保存された制御プログラムを実行することにより、特定機能部210における対象機器200に固有の機能の実行や、通信機能部240における情報やデータの送受信動作等作を制御する。メモリ部260は、通信機能部240を介して携帯機器100との間で送受信する各種の情報やデータ、特定機能部210において対象機器200に固有の機能を実行する際に使用する、又は、生成される各種データ等を保存する。また、メモリ部260は、演算処理部250で実行される各種のプログラムを保存する。
【0033】
電源供給部270は、対象機器200の各構成に駆動用の電力を供給する。電源供給部270は、対象機器200がプリンタや無線LANルーター等の据置型の電子機器の場合には、商用交流電源が適用される。なお、対象機器200がスマートフォンやタブレット端末、ノート型のパーソナルコンピュータ等の携帯型の電子機器の場合には、リチウムイオン電池等の二次電池や商用交流電源が適用される。
【0034】
(無線通信システムの制御方法)
次に、上述した携帯機器及び対象機器を備えた無線通信システムにおける制御方法について、図面を参照して説明する。ここでは、特定の通信規格の無線通信を利用して機器相互を接続させる際の制御方法(無線接続制御方法)について説明する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る無線通信システムにおける制御方法の一例を示すフローチャートであり、
図4は、本実施形態に係る無線通信システムにおける無線接続動作の例を示す概略図である。
図4(a)は、本実施形態に係る無線接続動作における対象機器の表示例を示す概略図であり、
図4(b)は、無線接続動作における対象機器の選択例を示す概略図である。
【0036】
本実施形態に係る無線通信システムにおいては、ユーザが携帯する携帯機器100の入力操作部130を操作して、演算処理部150において所定のアプリケーションプログラムを実行させることにより、例えば
図3のフローチャートに示すように、携帯機器100と対象機器200との間で無線接続を確立するため制御動作(無線接続制御動作)を開始する。
【0037】
無線接続制御動作は、まず、例えば
図4(a)に示すように、ユーザが携帯機器100のカメラレンズ112を周辺の被写体に向けて、撮像部110により撮像する。そして、対象機器200の筐体202の外面に設けられた識別情報表示部220の識別子222〜226を撮影された被写体画像の中で探索する(ステップS102)。このとき、携帯機器100の表示パネル122には、撮像部110により撮像された、無線通信の対象機器200を含む周辺の被写体の画像が被写体画像として表示される。
【0038】
次いで、演算処理部150は、撮像部110により撮像された被写体画像中に、無線通信の対象機器200を発見したか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、撮像部110により取得された画像データに対して画像認識処理を実行することにより、被写体画像中に対象機器200に設けられた識別子222〜226を示す画像が存在するか否かを判定する。ここで、識別子222〜226がARマーカーからなるものであるのか、QRコード(登録商標)からなるものであるのか、バーコードからなるものであるのか、更に他の形式によるものであるのかは、通常、撮像部110により撮像を行う時点では不明である。そのため、識別子222〜226を示す画像が存在するか否かの判定においては、ARマーカーの読取技術に適用される画像認識処理や、QRコード(登録商標)やバーコードの読取技術に適用される画像認識処理等、複数の画像認識処理を適用して行われる。
【0039】
次いで、被写体画像中に対象機器200に設けられた識別子222〜226を示す画像が存在しないと判定して、無線通信の対象機器200を発見しない場合(ステップS104のNo)には、演算処理部150は、ステップS102に戻って、識別子を探索する動作を繰り返し実行(継続)する。一方、被写体画像中に対象機器200に設けられた識別子222〜226を示す画像が存在すると判定して、無線通信の対象機器200を発見した場合(ステップS104のYes)には、演算処理部150は、各対象機器200について、識別子222〜226が示す当該対象機器200の識別情報(例えばSSIDやBDアドレス、デバイスネーム等)を読み取る(ステップS106)。ここで、識別子222〜226が示す識別情報の読み取りにおいては、例えば
図4(a)に示すように、識別情報表示部220にARマーカーからなる識別子222が用いられていて、被写体画像中にARマーカーからなる識別子222を示す画像が存在することが検出されている場合には、被写体画像中の識別子222に対してARマーカーの読取技術に適用される画像認識処理が適用される。また、識別情報表示部220に、
図1(d)、(e)に示したようなQRコード(登録商標)やバーコードからなる識別子224、226が用いられていて、被写体画像中にQRコード(登録商標)やバーコードからなる識別子224、226を示す画像が存在することが検出されている場合には、被写体画像中の識別子224、226に対してQRコード(登録商標)やバーコードの読取技術に適用される画像認識処理が適用される。
【0040】
次いで、演算処理部150は、読み取った対象機器200の識別情報を解析することによりデバイス情報として無線通信規格の種類を取得する(ステップS108)。そして、例えば
図4(a)に示すように、表示パネル122に表示された被写体画像中の各対象機器200の画像に、取得したデバイス情報に基づく所定の簡易情報(画像情報)242、244を重ね合わせて表示する(ステップS110)。簡易情報242、244は、無線通信規格の種類に応じて互いに異なっていて、ユーザが無線通信規格の種類を容易に識別することができる画像に設定され、例えば、ブルートゥース通信や無線LAN通信等に対して一般的に使用されているアイコン画像が用いられる。
【0041】
ここで、デバイス情報の取得処理(ステップS108)においては、更に、デバイス情報として、対象機器200において無線通信が有効(すなわち、接続可能状態)であるか、無効(すなわち、接続不可能状態)であるか、を示す、無線通信の有効/無効情報を取得するようにしてもよい。この無線通信の有効/無効情報の取得は、例えば、携帯機器100から対象機器200に対しデバイス検索を行うことによって、対象機器200が、それが有する無線通信規格での通信が可能な状態であるか通信が不可能な状態であるのかを検知することによって行われる。この場合、デバイス情報に基づく簡易情報242、244を重ね合わせて表示する処理(ステップS110)においては、表示パネル122に表示された被写体画像中の各対象機器200の画像に、簡易情報242、244を、対象機器200の無線通信の有効/無効情報を含めた形で、重ね合わせて表示する。例えば
図4(a)において、表示パネル122の左方の対象機器200に重ね合わせて表示された簡易情報242は、携帯機器100とブルートゥース通信を介して接続される電子機器であって、かつ、無線通信が有効状態(すなわち、接続可能状態)であることを示している。また、
図4(a)において、表示パネル122の中央の対象機器200に重ね合わせて表示された簡易情報244は、携帯機器100と無線LAN通信を介して接続される電子機器であって、かつ、無線通信が有効状態(接続可能状態)であることを示している。一方、
図4(a)において、表示パネル122の右方に表示された対象機器200は、簡易情報が表示されておらず、携帯機器100と無線接続される電子機器であるが、無線通信が無効状態であることを示している。すなわち、本実施形態においては、対象機器200の識別情報に含まれる全ての情報を表示するのではなく、無線通信規格の種類や無線通信の有効/無効状態等の、無線接続を確立するために必要な情報のみを、アイコン画像等の簡易情報242、244により、ユーザが容易かつ直感的に理解が可能な形態で表示する。
【0042】
なお、
図4(a)においては、対象機器200のデバイス情報に基づく簡易情報(画像情報)242、244として、ブルートゥース通信や無線LAN通信を示す一般的に使用されているアイコン画像を適用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ユーザが容易かつ直感的に理解することができる周知の図形やマークの画像、簡易な文言や用語等の画像を適用するものであってもよい。また、
図4(a)において、無線通信が無効状態に設定されている対象機器200については簡易情報を表示しない例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、対象機器200の無線通信が無効状態に設定されている場合には、ブルートゥース通信や無線LAN通信等の無線通信規格の種類を示すアイコン画像等の簡易情報を、無線通信が有効状態に設定されている場合の簡易情報242、244よりも薄い濃度で、対象機器200の画像に重ね合わせて表示するようにしてもよい。
【0043】
次いで、演算処理部150は、表示パネル122に表示された対象機器200がユーザにより選択されたか否かを判定する(ステップS112)。具体的には、ユーザは、表示パネル122に表示されている画像を視認して、当該被写体画像中に無線通信の接続先とする対象機器200があり、かつ、当該対象機器200の画像に簡易情報242、244が重ね合わせて表示されて、無線通信が有効状態(接続可能状態)に設定されている場合には、
図4(b)に示すように、当該対象機器200が表示されている領域のタッチパネル132を指FG等でタップする。これにより、当該対象機器200が接続先として選択される。
【0044】
ユーザにより接続先となる対象機器200が選択されない場合(ステップS112のNo)には、演算処理部150は、対象機器200が選択されるまで待機する。一方、ユーザにより接続先となる対象機器200が選択された場合(ステップS112のYes)には、演算処理部150は、読み取った対象機器200の識別情報に基づいて通信機能部140を制御して、当該対象機器200に対して無線接続を要求する動作を開始する(ステップS114)。そして、演算処理部150は、上記の接続要求に対して、接続先となる対象機器200からの応答の有無や応答内容に基づいて、当該対象機器200との無線接続が成功(確立)したか否かを判定する(ステップS116)。
【0045】
対象機器200との無線接続が成功した場合(ステップS116のYes)には、演算処理部150は、一連の無線接続制御動作を終了して、通信機能部140を介して対象機器200との間で各種の情報やデータを送受信する。一方、対象機器200との無線接続が失敗した場合(ステップS116のNo)には、演算処理部150は、表示パネル122に無線接続の失敗(接続エラー)を示す情報を表示して(ステップS118)、ユーザに当該状態を報知して、一連の無線接続制御動作を終了する。ここで、無線接続の失敗を示す情報としては、例えば「接続エラー」等の簡易なメッセージであってもよいし、例えば無線接続の失敗の原因が特定される場合には、「対象機器の電源が入っていません」や「対象機器との距離が接続可能距離を越えています」等の、無線接続が失敗した原因を示す詳細な情報であってもよい。
【0046】
なお、
図3に示したフローチャートにおいては、上記のステップS116、S118の無線接続の正否の判定処理の後、便宜的に一連の制御動作を終了するように表記したが、上記のステップS102に戻って、上述した一連の無線接続制御動作を繰り返し実行するものであってもよい。これにより、無線接続が失敗した場合であっても、ユーザに再度の試行を促して対象機器200との無線接続を成功(確立)するように誘導することができる。
【0047】
また、
図3に示したフローチャートにおいては図示を省略したが、演算処理部150は、上述した一連の制御動作の実行中、当該制御動作を中断又は終了させる入力操作や動作状態の変化を常時又は定期的に監視して、当該入力操作や状態変化を検出した場合には、制御動作を強制的に終了する。具体的には、演算処理部150は、ユーザによる電源スイッチのオフ操作や、電源供給部170における電池残量の低下、実行中の機能やアプリケーションの異常等を検出して、一連の制御動作を強制的に中断して終了する。
【0048】
次に、本実施形態に係る無線通信システムにおける作用効果について、比較例を示して説明する。
図5は、無線通信システムにおける無線接続動作の比較例を示す概略図である。また、
図6は、本実施形態に係る無線通信システムにおける無線接続動作の他の例を示す概略図である。ここで、上述した本実施形態と同等の構成については同一又は同等の符号を付して、その説明を簡略化する。
【0049】
上述した背景技術等にも記載したように、一般に、無線通信を利用して電子機器間で情報やデータを送受信する場合、接続対象となる電子機器を決定する手法として、例えば
図5の比較例に示すように、電子機器100Pの表示パネル122に、接続候補となる全ての電子機器200Pの製品名や型番、そのアドレス、識別情報(ID)等の情報を、一覧形式のデバイスリストDLにより表示する方法が採用されている。このようなデバイスリストDLにおいては、技術的な情報が表示されているに過ぎないため、ユーザは接続候補となる電子機器を直感的に認識することができないうえ、類似するデバイス情報が複数個表示されている場合には接続対象となる電子機器200Pを正確に判断することができず、誤選択により意図しない電子機器200Pに接続してしまったり、接続不能になってしまったりする場合があった。
【0050】
これに対して、本実施形態においては、ユーザが無線接続の接続先となる対象機器200を選択する際に、携帯機器100の撮像部110により、対象機器200の筐体202に設けられた識別情報表示部220の識別子222が読み取られて当該対象機器200の識別情報が解析される。そして、携帯機器100の撮像部110により撮像されて、表示部120に表示された対象機器200の画像に、当該対象機器200の無線通信規格の種類や無線通信の有効/無効状態に関する情報として、アイコン画像等の簡易情報242、246が重ね合わせて表示される。
【0051】
これにより、ユーザは携帯機器100と接続先となる対象機器200との無線通信規格の種類や無線通信の有効/無効等の技術的なデバイス情報について特段意識する必要がなく、撮像範囲内にある対象機器200の画像に重ね合わせて表示された簡易情報242、246を視認することにより、接続先とする対象機器200を直感的かつ正確に認識して選択することができる。したがって、近距離無線通信を利用して電子機器間で情報やデータの送受信を行う際に、誤選択によりユーザの意図しない電子機器に接続してしまったり、接続不能になってしまったりする問題の発生を防止することができ、所望の電子機器間での無線接続を簡易かつ確実に行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、
図4に示したように、対象機器200のデバイス情報に基づく簡易情報242、244を、表示部120の各対象機器200の画像に重ね合わせて表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、表示部120の各対象機器200の画像と、各対象機器200のデバイス情報に基づく簡易情報242、244とが、対応付けて組み合わされた状態で表示されるものであればよい。したがって、例えば
図6に示すように、表示パネル122に表示された被写体画像において、簡易情報242、244を対象機器200の画像からずらして、又は、当該画像の近傍に表示するものであってもよい。この場合、ユーザは接続先となる対象機器200の外形形状の全体を視認することができるので、簡易情報242、244だけでなく外形形状にも基づいて、対象機器200をより直感的かつ正確に認識して選択することができ、所望の電子機器間での無線接続を簡易かつ確実に行うことができる。
【0053】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る無線通信システムの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明に係る無線通信システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
図8は、本実施形態に適用される対象機器の機能構成の一例を示すブロック図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については同一又は同等の符号を付して、その説明を簡略化する。
【0054】
上述した第1の実施形態においては、対象機器の筐体の外面に、ARマーカーやQRコード(登録商標)等からなる識別子222〜226を有する識別情報表示部220を設けた構成を示した。第2の実施形態においては、識別情報表示部220が発光素子や表示部を有し、その発光パターンや表示される画像パターンを、識別情報を示す識別子として機能させることを特徴とする。
【0055】
第2の実施形態に係る無線通信システムは、例えば
図7(a)、(b)に示すように、上述した第1の実施形態と同様に、ユーザが携帯して使用する携帯機器100と、無線通信機能を有して携帯機器100と個別に接続することができる1又は複数の対象機器200と、を有している。ここで、携帯機器100は、第1の実施形態と同等の外観及び機能構成を有している。
【0056】
対象機器200は、筐体202の外面に、識別情報表示部220として、例えば
図7(b)の左方及び右方に示すように、LED(発光ダイオード)等の可視光通信を行うことが可能な発光素子232や、例えば
図7(b)の中央に示すように、液晶方式や有機EL方式、電子ペーパー方式等の表示パネル234が設けられた外観を有している。
【0057】
また、対象機器200は、
図8に示すように、上述した第1の実施形態に示した機能構成に対して、識別情報表示部220が演算処理部250により制御される構成を備えている。具体的には、識別情報表示部220に設けられた発光素子232は、可視光通信の技術を適用して、対象機器200の駆動(電源オン)中は、演算処理部250からの指示に従って一定の時間間隔で、又は、常時、当該対象機器200の識別情報を示す所定の発光パターンで発光動作を行う。また、識別情報表示部220に設けられた表示パネル234は、上述した第1の実施形態に示したARマーカーやQRコード(登録商標)等と同様の画像認識技術や自動認識技術を適用して、対象機器200の駆動(電源オン)中は、演算処理部250からの指示に従って一定の時間間隔で、又は、常時、当該対象機器200の識別情報を示す所定の画像パターンを表示する動作を行う。すなわち、識別情報表示部220における発光素子232の発光パターンや表示パネル234に表示される画像パターンは、第1の実施形態に示した識別子と同等の機能を有している。
【0058】
このような構成を有する対象機器を備えた無線通信システムにおける制御方法は、上述した第1の実施形態に示したフローチャート(
図3参照)において、次のように実行される。すなわち、対象機器200が駆動(電源オン)状態にある場合には、
図7(b)の左方に示すように、識別情報表示部220の発光素子232が所定の発光パターンで発光動作する。また、
図7(b)の中央に示すように、表示パネル234に所定の画像パターンが表示される。これにより、ユーザが携帯する携帯機器100によりこれらの発光パターンや画像パターンが識別子として探索、撮像されて、当該対象機器200の識別情報が読み取られる(ステップS102〜S106に相当する)。そして、演算処理部150は、読み取った対象機器200の識別情報を解析することにより、デバイス情報を取得して(ステップS108)、例えば
図7(a)に示すように、表示パネル122に表示された被写体画像中の、左方及び中央の各対象機器200の画像に、取得したデバイス情報に基づくアイコン画像等の簡易情報242、244をそれぞれ重ね合わせて表示する(ステップS110)。
【0059】
一方、対象機器200が非駆動(電源オフ)状態にある場合には、
図7(b)に示すように、識別情報表示部220の発光素子232は発光動作しない(あるいは、表示パネル234に画像パターンが表示されない)。そのため、携帯機器100により識別情報は読み取られず、
図7(a)に示すように、表示パネル122に表示された被写体画像中の、右方には当該対象機器200の画像のみが表示され、デバイス情報に基づくアイコン画像等の簡易情報は表示されない。
【0060】
以下、上述した第1の実施形態(ステップS112〜S118)と同様に、ユーザが表示パネル122に表示された対象機器200の画像及び簡易情報242、244の表示の有無を視認して、接続先の対象機器200を選択することにより無線接続が確立されて、対象機器200との間で情報やデータの送受信が行われる。
【0061】
このように、本実施形態においては、駆動(電源オン)状態にある対象機器200の識別情報表示部220に設けられた発光素子232や表示パネル234のみが発光動作や表示動作を行う。したがって、各対象機器200の識別情報表示部220における発光動作や表示動作に基づいて、表示部120に表示された被写体画像において、駆動状態にある対象機器200の画像にのみ、当該対象機器200の無線通信規格の種類や無線通信の有効/無効状態に関する情報が、アイコン画像等の簡易情報242、246により重ね合わせて表示される。これにより、ユーザは接続先となる対象機器200の駆動状態や、当該対象機器200との無線通信規格の種類や無線通信の有効/無効等の技術的なデバイス情報について特段意識する必要がなく、表示パネルに表示された被写体画像を視認することにより、無線接続が可能な対象機器200を直感的かつ正確に認識して選択することができ、所望の機器間での無線接続を迅速かつ確実に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態においては、識別情報表示部220に設けられた発光素子232の発光パターンや、表示パネル234に表示される画像パターンを、演算処理部250からの指示に従って、任意に変更することができるので、例えばデバイス情報等が変更設定された場合であっても簡易かつ迅速に対応することができる。また、識別情報表示部220として、電子ペーパー方式等の表示パネル234を適用することにより、識別子としての機能を有する画像パターンの表示に係る消費電力を大幅に削減することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、識別情報表示部220として、発光素子232や表示パネル234が設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、演算処理部250からの指示に従って、対象機器200の識別情報を携帯機器100に通知又は伝達するものであれば他の形態を有するものであってもよいを。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0065】
(付記)
[1]
第1の電子機器と1又は複数の第2の電子機器との間で互いに無線通信を行う無線通信システムにおいて、
前記第2の電子機器は、前記第2の電子機器が行う無線通信の無線通信規格の種類を含む識別情報を表示する識別情報表示部を有し、
前記第1の電子機器は、前記第2の電子機器の前記識別情報表示部が撮影された画像を解析して、前記識別情報から前記無線通信規格の種類を示すデバイス情報を取得する制御部を有することを特徴とする無線通信システム。
【0066】
[2]
前記識別情報表示部は、前記識別情報を示す画像パターンを有する識別子、前記識別情報を示す画像パターンを表示する表示パネル、前記識別情報を示す発光パターンで発光する発光素子、のいずれかを有することを特徴とする[1]に記載の無線通信システム。
【0067】
[3]
前記第1の電子機器は、前記識別情報表示部を含んで前記第2の電子機器を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮影された前記第2の電子機器の画像を表示する表示部と、を有し、
前記制御部は、前記デバイス情報に対応させた画像情報を、前記第2の電子機器の画像に組み合わせて、前記表示部に表示させることを特徴とする[2]に記載の無線通信システム。
【0068】
[4]
前記制御部は、前記デバイス情報として、更に、前記第2の電子機器が、無線通信が有効となっている状態であるか否かを示す無線通信の有効/無効情報を取得し、前記表示部に、前記画像情報を、前記無線通信の有効/無効情報を含めて前記第2の電子機器の画像に組み合わせて、前記表示部に表示させることを特徴とする[3]に記載の無線通信システム。
【0069】
[5]
前記第1の電子機器は、前記表示部に表示されている前記第2の電子機器の画像を選択する選択手段を有し、
前記制御部は、前記選択手段により、前記表示部に表示されている前記第2の電子機器の画像における特定の第2の電子機器が選択された場合に、前記第1の電子機器と前記選択された前記特定の第2の電子機器との間で、前記識別情報に基づいて無線通信を行うように制御することを特徴とする[3]又は[4]に記載の無線通信システム。
【0070】
[6]
前記第2の電子機器の画像に組み合わせて表示される前記画像情報は、前記無線通信規格の種類を示すアイコン画像又は図形であることを特徴とする[3]乃至[5]のいずれかに記載の無線通信システム。
【0071】
[7]
電子機器であって、
無線通信を行う他の電子機器に設けられている、当該他の電子機器が行う無線通信の無線通信規格の種類を含む識別情報を表示する識別情報表示部が撮影された画像の解析に基づいて、前記識別情報から前記無線通信規格を示すデバイス情報を取得する制御部を有することを特徴とする電子機器。
【0072】
[8]
電子機器であって、
前記電子機器が行う無線通信の無線通信規格の種類を含む識別情報を表示する識別情報表示部を有し、
前記識別情報は、他の電子機器において、当該識別情報が撮影された画像が解析されることにより、前記識別情報から前記無線通信規格の種類を示すデバイス情報が取得される形態に形成されていることを特徴とする電子機器。
【0073】
[9]
第1の電子機器と1又は複数の第2の電子機器との間で互いに無線通信を行う無線通信システムの制御方法において、
前記第2の電子機器は、前記第2の電子機器が行う無線通信の無線通信規格の種類を含む識別情報を表示する識別情報表示部を有し、
前記第1の電子機器により、前記第2の電子機器の前記識別情報表示部が撮影された画像を解析して、前記識別情報から前記無線通信規格の種類を示すデバイス情報を取得する、
ことを特徴とする無線通信システムの制御方法。
【0074】
[10]
第1の電子機器と1又は複数の第2の電子機器との間で互いに無線通信を行う無線通信システムの制御プログラムにおいて、
前記第2の電子機器は、前記第2の電子機器が行う無線通信の無線通信規格の種類を含む識別情報を表示する識別情報表示部を有し、
コンピュータに、
前記第1の電子機器により、前記第2の電子機器の前記識別情報表示部が撮影された前記識別情報表示部の画像を解析させて、前記識別情報から前記無線通信規格の種類を示すデバイス情報を取得させる、
ことを特徴とする無線通信システムの制御プログラム。