(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通話で既に使用されているチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えて、他方式と電波干渉する可能性のない空きチャネルが所定数以下にならないようにすることを特徴とする請求項5に記載のコードレス電話システム。
前記他方式のコードレス電話システムが、J−DECT方式のコードレス電話システムであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のコードレス電話システム。
前記チャネル記憶部が、PHS基地局とPHS端末間で使用する無線通信のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルと他方式と電波干渉する可能性のないチャネルに分け、それぞれをチャネルテーブルとして格納していることを特徴とする請求項8に記載の電波干渉回避方法。
前記チャネル切替ステップは、通話中のチャネル切替で、切替先チャネルでのエラーフレームが許容値を超えた場合、切替先チャネルの情報を保持して切替元チャネルに切り戻し、再度のチャネル切替では、前記切替先チャネル以外のチャネルに切り替えることを特徴とする請求項8または9に記載の電波干渉回避方法。
前記チャネル切替ステップは、チャネル割当をトリガとして、他方式と電波干渉する可能性のない通話中のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載の電波干渉回避方法。
前記チャネル切替ステップは、一定時間間隔のトリガ信号により、他方式と電波干渉する可能性のない通話中のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載の電波干渉回避方法。
前記チャネル切替ステップは、通話で既に使用されているチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えて、他方式と電波干渉する可能性のない空きチャネルが所定数以下にならないようにすることを特徴とする請求項12に記載の電波干渉回避方法。
前記他方式のコードレス電話システムが、J−DECT方式のコードレス電話システムであることを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1つに記載の電波干渉回避方法。
【背景技術】
【0002】
1995年以降、1.9 GHz帯は、社団法人電波産業会にて策定された標準規格RCR STD-28に準拠の第二世代コードレス電話システム(Personal Handy-Phone System、以下、PHSと称する)用の帯域として使用されてきたが、2011年に、同一帯域を使用する無線規格として、日本版 Digital Enhanced Cordless Telecommunications方式(以下、J-DECTと称する)が新たに制度化され、これ以降、1.9 GHz帯はこれら2つの電話システムで共用されることになった。
【0003】
図16は、ここで共用されている1.9 GHz帯でのPHSとJ-DECTそれぞれにおけるチャネル割り当てを示す。同図に示すように、1893.5 MHz〜1906.1 MHzの帯域の中に、PHSでは、通信用に40波、制御用に2波が割り当てられている。一方、J-DECTでは、同じ帯域の中に、通信と制御の両方を兼ねた5波が割り当てられている。
【0004】
ところで、PHSでは、全ての発呼・着呼の制御を、制御用の2波を用いて行い、かつ制御用の2波について電波干渉回避の処理を行わないので、J-DECTとの電波干渉により制御用の2波が使用不能になると、電話システム自体が使用不能になってしまう。このような事態を回避するために、J-DECT導入の際にはPHS保護規定が設けられ、J-DECT側でPHSの制御用の2波の電波を検知した場合には、これと電波干渉する可能性のある3波(F2, F3, F4)の使用を停止することがARIB規格にて定められている。このため、PHSとJ-DECTが混在した環境において、実際に電波干渉が発生する可能性があるのは、J-DECTのF1チャネルとPHSのCH255〜CH5、およびJ-DECTのF5とPHSのCH23〜CH28のみである。
【0005】
PHSとJ-DECTが共用する帯域で発生する電波干渉を回避する仕組みは、非特許文献1,2(PHSおよびJ-DECTの各標準規格)で各々規定されている。
【0006】
特許文献1には、J-DECT側での電波干渉を回避する技術が記載され、特許文献2,3には、PHS側での電波干渉を回避する技術が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、PHS保護規定によりPHSにおける制御用の2波についてはJ-DECTから電波干渉を受けない仕組みが確保されており、これに伴い、制御用の2波の近くの通信用18波についても、J-DECTから電波干渉を受けることはない。結局、PHSにおいてJ-DECTと実質的に電波干渉する可能性があるのは、通信用の12波のみである。
【0010】
また、PHS側においては、通話中に電波干渉が発生した場合に時間軸上で電波干渉のないタイミングに移動するスロット切替、および周波数軸上で電波干渉のないチャネルに移動するチャネル切替の仕組みが規定されているため、無線資源に余裕がある場合であれば、すなわち、時間軸上にも周波数軸上にも空きがない場合を除いて、電波干渉を回避することができる。
【0011】
すなわち、PHS基地局は、通話中のエラーフレームの発生状況および受信レベルを監視する仕組みを持ち、受信レベルが十分に高いにも拘わらず所定数以上のエラーフレームが検出された場合には、周波数チャネルと時間軸上のスロットのどちらか一方もしくは両方を切り替えてチャネル切替を行う。より具体的には、PHS基地局は、任意の周波数チャネルと時間軸上のスロットの組み合わせにおける電波干渉の発生状況を常時モニタするための空きチャネル検出の仕組みを持ち、チャネル切替では、例えば、空きチャネル検出により生成された各周波数チャネルおよび時間軸上のスロットでの電波干渉の発生状況に関するテーブルを用いて、電波干渉が最も少ない周波数チャネルと時間軸上のスロットの組み合わせを使用することで、電波干渉の回避を実現する。
【0012】
この電波干渉の回避の仕組みは、J-DECTの無線フレームをPHS側の空きチャネル検出の仕組みを用いて確実に検出できることを前提としているが、実際には、J-DECTの無線フレームの中には、PHS側の空きチャネル検出で確実には検出できないものがある。
【0013】
以下、この内容についてより詳細に説明する。
【0014】
図17は、PHSにおける空きチャネル検出(キャリアセンス)の仕組みを示し、
図18は、PHS側でJ-DECTの音声用フレームを検出するメカニズムを示し、
図19は、PHS側でJ-DECTの映像用フレームを検出するメカニズムを示し、
図20は、PHS側でJ-DECTの制御用フレームの検出に失敗するメカニズムを示している。
【0015】
図17に示すように、PHSでは、全ての無線フレーム(ガード期間25μsを含む)の時間長は625μsの整数倍であり、空きチャネル検出を各スロットの前縁、中央、後縁の3つのタイミングで行うことが規定されている。これら3つのタイミングの時間間隔は、約310μs であり、PHSの干渉波であれば、この仕組みにより同期干渉、非同期干渉を問わず、干渉波を必ず検出することができる。
【0016】
一方、J-DECTの無線フレームの時間長は、
図18、
図19に示すように、音声フレームで約450μs 、画像フレームで約750μs であり、これらの時間長は、PHS側の空きチャネル検出タイミングの時間間隔(約310μs)よりも大きいので、PHS側では、これらの無線フレームを必ず検出することができる。ところが、J-DECTでは、アイドル時、すなわち通話や画像伝送を行わない場合、親機は、
図20に示すように、その存在を周囲に報知するための制御フレームを10ms周期で送信し、この制御フレームの時間長は、約100μsであるので、PHS側の空きチャネル検出の仕組みでは、これを見逃す可能性が大きい。尚、ここではJ-DECT方式がF1chを使用しており、PHS側がch1に対して空きチャネル検出を行う様子を示している。J-DECT方式のF1chと、PHS方式のch1は電波干渉しあうチャネルである。
【0017】
このように、PHS側の空きチャネル検出では、J-DECTの制御フレームを確実には検出することができず、PHSがJ-DECTの制御フレームが存在する周波数チャネルと時間軸上のスロットの組み合わせを使用する可能性があり、これにより、電波干渉が発生する可能性がある。
【0018】
このようなPHSとJ-DECTの電波干渉が発生するのは、主に発呼時または着呼時であり、以下に説明するように、発呼時または着呼時に電波干渉が発生すると、発呼不能または着呼不能となる可能性がある。
【0019】
PHS基地局は、発呼・着呼時に使用するチャネルをPHS端末と共有するためのチャネル割当動作を行う。それに先立ってPHS基地局は、空きチャネル判定を行うが、そこでJ-DECTとの電波干渉を検出できないと、PHS基地局は、電波干渉があるチャネルでも当該チャネルを空きチャネルと判定し、割当チャネルとして選択することがある。電波干渉があるチャネルが割当チャネルとして選択されると、チャネル割当動作後に、割当チャネルの周波数帯域において電波干渉が発生して発呼・着呼に失敗する可能性がある。
【0020】
図21は、PHSの発呼がJ-DECTとの電波干渉によって失敗する場合のシーケンスを示す。このシーケンスは、RCR STD-28規格に基づく。なお、
図21において、Seq1,Seq2は、PHSの制御用の2波(ch12またはch18)を用いて通信をするため、J-DECTとの電波干渉は発生しない。
【0021】
発呼に際し、まず、PHS端末がPHS基地局に対してリンクチャネル確立要求信号を送信する(Seq1)。PHS基地局は、アイドル状態のスロットを利用して空きチャネル検出を実施する。ここでは、PHS基地局が空きチャネル検出の結果、ch1を割り当てようとして動作中であり、J-DECTがF1chを使用して制御信号を送信しているものとする。PHSのコードレス電話システムが使用するch1とJ-DECTが使用するF1chとは互いに電波干渉しあう周波数帯域である。
【0022】
上記したように、PHSの空きチャネル検出は、約310μsの間隔で実行され、J-DECTの制御フレームは、時間長が100μsであるので、PHSとJ-DECTのデジタルコードレス電話システムが共存する環境下において、PHS側が空きチャネル判定を実行するタイミングによっては、PHSとJ-DECTが同一周波数帯域を使用しているにも拘わらず電波干渉が検出できない場合がある。
【0023】
電波干渉が検出できない場合、J-DECTがF1chを使用して制御信号を送信しているにも拘わらず、PHS基地局は、PHS端末にch1を割り当てるように、PHS端末にリンクチャネル割当信号を送信する(Seq2)。
【0024】
Seq3の同期バースト信号の送受信以下では、PHSのch1が使用される。この時、J-DECTは、依然としてF1chで制御フレームを送信し続けているので、電波干渉が発生し、例えば、Seq3の同期バースト信号の送受信に失敗する。
【0025】
PHS側がJ-DECTとの電波干渉を検出し、信号の送受信に失敗した場合、通話時であれば信号の再送や、使用する周波数を切り替えて通話を維持するメカニズムが働く。しかし、発呼・着呼時に関しては、使用する周波数を切り替えるメカニズムがなく、通信を維持するためのメカニズムは、信号の再送だけである。ところが、信号の送受信中に電波干渉が発生し、送受信に失敗した場合、送受信に失敗した時と同じ周波数帯域で信号を再送しても引き続き電波干渉が発生する可能性が高いため、連続的に信号の送受信に失敗し、結果として発呼・着呼に失敗してしまう。
図21は、再送を行っても同期バースト信号の受信を繰り返し、発呼に失敗する場合のシーケンスを示している。
【0026】
特許文献2は通話中のチャネル切替方法に着目したものであり、発呼・着呼時の電波干渉は防ぐことができない。特許文献3では、J-DECTの無線フレームをPHS側の空きチャネル検出の仕組みを用いて確実に検出できることを前提としているが、実際には、前述したようにJ-DECTの無線フレームの中には、PHS側の空きチャネル検出で確実には検出できないものがあるためJ-DECTの電波干渉を受ける可能性がある。
【0027】
本発明の目的は、上記課題を解決し、PHSと他方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアが重複して電波干渉が発生する場合であっても、その電波干渉によるPHSの発呼・着呼不能を防止できるコードレス電話システム、電波干渉回避方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決するため、本発明は、PHS方式のコードレス電話システムにおいて、PHS基地局は、自PHS基地局が現在発呼中であるか、着呼中であるか、通話中であるかの状態を判別する状態判別部と、PHS方式のコードレス電話システムの各チャネルが、他方式のコードレス電話システムのチャネルと電波干渉する可能性のあるチャネルであるか否かの情報を保持するチャネル記憶部と、前記チャネル記憶部に保持されているチャネルについて、それぞれのチャネルが空いているか使用中であるかの情報を格納するチャネル資源管理部と、PHS基地局がPHS端末と通信する際に使用するチャネルの割当および切替を行うチャネル切替部と、前記チャネル切替部によって通話中にチャネルを切り替えた後、チャネルの切り戻りが発生した際に、切り戻りが発生したチャネルを保持するチャネル切り戻り管理部を備え、前記チャネル切替部は、前記チャネル記憶部および前記チャネル資源管理部の情報を参照し、前記状態判別部により発呼中あるいは着呼中が判別された場合には、他方式のコードレス電話システムのチャネルと電波干渉する可能性のないチャネルを選択して割り当て、前記状態判別部により通話中が判別された場合には、通話中のチャネルを、適宜、他方式のコードレス電話システムのチャネルと電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替え、また、通話品質の悪化に応じて、他方式のコードレス電話システムのチャネルと電波干渉する可能性のないチャネルから選択して切り替えることを特徴とする。
【0029】
ここで、前記チャネル記憶部が、PHS基地局とPHS端末間で使用する無線通信のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルと他方式と電波干渉する可能性のないチャネルに分け、それぞれをチャネルテーブルとして格納することが好ましい。
【0030】
また、前記チャネル切替部が、通話中のチャネル切替で、切替先チャネルでのエラーフレームが許容値を超えた場合、切替先チャネルの情報を保持して切替元チャネルに切り戻し、再度のチャネル切替では、前記切替先チャネル以外のチャネルに切り替えることも好ましい。
【0031】
また、前記チャネル切替部が、チャネル割当をトリガとして、他方式と電波干渉する可能性のない通話中のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えることも好ましい。
【0032】
また、前記チャネル切替部が、一定時間間隔のトリガ信号により、他方式と電波干渉する可能性のない通話中のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えることも好ましい。
【0033】
さらに、通話で既に使用されているチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えて、他方式と電波干渉する可能性のない空きチャネルが所定数以下にならないようにすることも好ましい。
【0034】
ここで、前記他方式のコードレス電話システムは、例えば、J-DECT方式のコードレス電話システムである。
【0035】
なお、本発明は、PHS方式のデジタルコードレス電話システムにおける電波干渉回避方法あるいはプログラムとしても実現できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、PHSの通信エリアに他方式のデジタルコードレス電話システム、例えば、J-DECT方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアが重複して存在するような場合であっても、PHSで発呼・着呼が発生した場合のリンクチャネル割当においては、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉の可能性のないチャネルを選択して割り当てるので、発呼・着呼不能となることを防止できる。
【0037】
ここで、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉の可能性のないチャネルを割り当てた結果、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉の可能性のないチャネル資源が所定数以下に減少した場合、通話中の、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉の可能性のないチャネルを、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉が発生する可能性のある周波数チャネルに切り替えることにより、十分な通話キャパシティを得ることができる。
【0038】
また、通話中に、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉の可能性のあるチャネルに切り替えると、他方式のデジタルコードレス電話システムの制御フレームの存在により電波干渉が発生する場合があるが、チャネル切替後に電波干渉により通信不能となって元のチャネルへの切り戻りが発生した場合、次のチャネル切替では、先のチャネルとは異なるチャネルに切り替えるようにすることにより、他方式のデジタルコードレス電話システムとの電波干渉を回避することができる。なお、切り戻りした場合、切り戻り先のチャネルは元々通話品質が担保されているため、通話を問題なく継続することができる。
【0039】
さらに、本発明におけるチャネル選択および切替の動作は、ソフトウェアの変更のみで実現することが可能であるので、低廉なコストで実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明を適用できるPHS方式のデジタルコードレス電話システムを概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明が適用されたPHS基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】チャネル記憶部が保持する情報の例を示す図である。
【
図4】PHSとJ-DECTのチャネル割当および電波干渉状況を示す説明図である。
【
図5】チャネル資源管理部に格納された情報の例を示す図である。
【
図6】本発明に係るコードレス電話システムの発呼時の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明に係るコードレス電話システムにおける発呼時のチャネル割当の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】チャネル資源管理部に格納された情報の具体例を示す図である。
【
図9】チャネル資源管理部に格納された情報の他の具体例を示す図である。
【
図10】チャネル資源管理部に格納された情報のさらに他の具体例を示す図である。
【
図11】チャネル資源管理部に格納された情報の更新の例を示す図である。
【
図12】チャネル資源管理部に格納された情報のさらに他の具体例を示す図である。
【
図13】本発明に係るコードレス電話システムの着呼時のチャネル割当の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図14】本発明に係るコードレス電話システムにおける着呼時のチャネル割当の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明に係るコードレス電話システムの通話中の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図16】PHSとJ-DECTが共用する帯域におけるチャネル配置を示す説明図である。
【
図17】PHSにおけるキャリアセンスの仕組みを示す説明図である。
【
図18】PHS側でJ-DECTの音声用フレームを検出するメカニズムを示す説明図である。
【
図19】PHS側でJ-DECTの映像用フレームを検出するメカニズムを示す説明図である。
【
図20】PHS側でJ-DECTの制御用フレームの検出に失敗するメカニズムを示す説明図である。
【
図21】PHSの発呼がJ-DECTとの電波干渉によって失敗する場合を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
【0042】
図1は、本発明を適用できるPHS方式のデジタルコードレス電話システムを概略的に示すブロック図である。
【0043】
デジタルコードレス電話システムは、主装置10、PHS基地局20(20-1,20-2,・・・,20-n)およびPHS端末30(30-1,30-2,・・・,30-m)を備え、例えば、事業者用デジタルコードレス電話システムとして構成される。
【0044】
主装置10は、システム全体を統合的に制御し、PHS基地局20は、主装置10に接続されてPHS端末30間の通話チャネルを確立する。これによりPHS端末30は、PHS基地局20を介して互いに通話できる。なお、PHS基地局20は、少なくとも1つあればよく、PHS端末30は、ユーザ間での通話に必要な数だけある。一般的には、1つのPHS基地局20の通信エリア内に複数のPHS端末30が存在する。
【0045】
以下、このデジタルコードレス電話システムに本発明を適用した実施形態について説明する。
【0046】
図2は、PHS基地局20の構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
本例のPHS基地局20は、状態判別部200、チャネル記憶部210、チャネル切替部220、チャネル資源管理部230、およびキャリアセンス部240と、チャネル切り戻り管理部250を備える。
【0048】
状態判別部200は、PHS基地局20が現在発呼中であるか、着呼中であるか、通話中であるかのPHS基地局20自身の状態を判別する。この判別の結果は、チャネル切替部220がチャネル割当を行う際に参照される。
【0049】
チャネル記憶部210は、PHS方式での各チャネルが他方式、例えば、J-DECT方式のチャネルと電波干渉する可能性のあるチャネルであるか否かの情報を保持する。
【0050】
図3は、チャネル記憶部210が保持する情報の例を示す。
【0051】
チャネル記憶部210は、PHS基地局20とPHS端末30間で使用する無線通信のチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルと他方式と電波干渉する可能性のないチャネルに分け、それぞれ「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」として保持する。
【0052】
図4は、PHS方式とJ-DECT方式のチャネル割当および電波干渉状況を示す説明図である。
【0053】
図4に示すように、PHS方式のチャネル255ch,1ch〜5chとJ-DECT方式のF1chとが電波干渉する可能性があり、PHS方式のチャネル23ch〜28chとJ-DECT方式のF5chとが電波干渉する可能性がある。したがって、チャネル記憶部210の「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」は、1ch〜5ch,23ch〜28ch,255chの情報を保持し、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」は、6ch〜11ch,13ch〜17ch,19ch〜22ch,29ch〜37ch,251ch〜254chの情報を保持する。なお、12ch,18chの情報は、制御用として使用されるチャネルであるので、どちらのテーブルにも保持されない。
【0054】
チャネル切替部220は、状態判別部200での判別の結果に応じて、チャネル記憶部210の「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」および「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」から1つのチャネルを選択し、該チャネルをPHS基地局20とPHS端末30間で使用する通信チャネルとして割り当てる。この際、チャネル資源管理部230とチャネル切り戻り管理部250を参照し、空いていると判断されたチャネルで、かつ切り戻りが発生していないチャネルを選択する。チャネル切替部220によって切り替えたチャネルにおいて切り戻りが発生した場合は、チャネル切り戻り管理部250に切り戻りが発生した際のチャネル・スロット番号の情報を記録する。切り戻りが発生しなかった場合は、切り戻り管理部250の情報を消去する。
【0055】
チャネル資源管理部230は、チャネル記憶部210に格納されている全てのチャネルについて、それぞれのチャネルが使用できるかどうかの情報を格納する。この情報は、チャネル切替部220がチャネルを選択する際に参照される。
【0056】
図5は、チャネル資源管理部230が格納する情報の例を示す。
【0057】
チャネル資源管理部230は、PHS基地局20とPHS端末30間で使用される無線通信のチャネルが現在使用中であれば、該チャネルに対する使用状況に「使用中」を格納し、そうでなければ「空き」を格納する。
【0058】
キャリアセンス部240は、例えば、定期的にキャリアセンスを行い、その結果、受信レベルが予め設定された閾値以上であるか否かにより、PHS基地局20とPHS端末30間で使用される無線通信のチャネルが現在使用中であるかどうかを判別する。すなわち、キャリアセンスの結果、受信レベルが予め設定された閾値以上であるチャネルを使用中と判断し、それ以外のチャネルを空きと判断する。この判別の結果に従ってチャネル資源管理部230の情報が更新される。
【0059】
チャネル切り戻り管理部250は、J-DECT方式のデジタルコードレス電話システムとの電波干渉が発生する可能性のある周波数チャネルにチャネル切り替えを行った後、電波干渉により通信不能となって切り戻りが発生した周波数チャネル、時間軸上スロットの情報を保持するために使用する。次にチャネル切替が発生した場合は、チャネル切り戻り管理部250上にあるチャネル・スロットを回避して選択することで連続して電波干渉が発生することを防ぐことができる。この情報は、チャネル切替後に切り戻りが発生しなかった場合削除される。
【0060】
以下、本発明に係るPHS方式のデジタルコードレス電話システムにおける動作を説明する。
【0061】
上述したように、PHS方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアに他方式のデジタルコードレス電話システム、例えば、J-DECT方式のデジタルコードレス電話システムの通信エリアが重複する場合、PHSの発呼・着呼を正常に行えない事態が発生する可能性がある。この事態が発生するのは、PHSのキャリアセンスでは、J-DECT方式のデジタルコードレス電話システムが待機状態であると、電波干渉の検出に失敗する場合があり、その失敗により、発呼・着呼の動作中に電波干渉が発生することに起因する。
【0062】
そこで、発呼・着呼では、PHS方式のデジタルコードレス電話システムが他の方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉する可能性のないチャネルを選択して割り当てる。これにより、電波干渉を問題とすることなく、発呼・着呼を確実に行うことができる。なお、発呼・着呼後の通話でPHS端末30が使用しているチャネルを、適宜、他の方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉の可能性のあるチャネルに切り替えることにより、十分な通話キャパシティを得ることができる。
【0063】
以上のように、本発明では、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」を優先的に使用してチャネル割当を行うので、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」が保持するチャネルを全て使用してしまうことがあり、そのままでは新たな発呼・着呼が不可能となる。そこで、かかる事態を回避するために、適宜、通話中の、他方式のデジタルコードレス電話システムと電波干渉する可能性のないチャネルを、電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えて、電波干渉する可能性のないチャネルを空ける。これについては、後で具体的に説明する。
【0064】
以上の動作は、PHS基地局20に状態判別部200とチャネル記憶部210を備えることにより可能となる。
【0065】
すなわち、チャネル記憶部210は、「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」および「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」に、それぞれ他方式と電波干渉する可能性があるチャネルの情報と他方式と電波干渉する可能性がないチャネルの情報を保持するので、状態判別部200がPHS基地局20の着呼・発呼中を判別した場合、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」から他方式と電波干渉する可能性のないチャネルを選択してPHS端末30との通信チャネルに割り当てる。これにより、電波干渉を問題とせずに発呼・着呼を確実に行うことができる。
【0066】
このようにすることにより、電波干渉がないか、あっても電波干渉レベルが十分に低いことを確認済みのチャネルを割り当てるため、電波干渉が問題になることはないので、PHS方式の空きチャネル検出によりJ-DECT方式との電波干渉の検出を行わなくとも、発呼・着呼を確実に行うことができる。
【0067】
図6は、本発明に係るPHS方式のデジタルコードレス電話システムの発呼時の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0068】
まず、PHS端末30がPHS基地局20に対してリンク確立要求信号を送信する(Seq1)。PHS基地局20は、リンクチャネル確立要求を受信すると、チャネル記憶部210の「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」に保持されているチャネルの内、チャネル資源管理部230の使用状況が「空き」となっている1つのチャネルを選択し、当該PHS端末30との通信に割り当てる(Seq2)。なお、以上の通信は、制御チャネルを用いて行われる。
【0069】
Seq3以降の通信は、Seq2で割り当てられたチャネルを用いて行われる。このシーケンスは、RCR STD-28で規定されている発呼時のシーケンスと同様であるので、説明を省略する。呼が確立し、Seq10で通話開始となれば、状態判別部200は、発呼が完了して通話中となったことを判別する。
【0070】
図7は、本発明に係るPHS方式のデジタルコードレス電話システムにおける発呼時のチャネル割当の動作の一例を示すフローチャートである。
【0071】
PHS基地局20は、PHS端末30からリンクチャネル確立要求を受信すると、まず、チャネル記憶部210の「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中にあるチャネルの内、チャネル資源管理部230の使用状況が「空き」となっているチャネルがあるかどうか調べる(S1)。例えば、
図8に例示するように、チャネル2124が「空き」であると、S1の条件が成立する。S1の条件が成立した場合には、空きチャネル2124をPHS端末30との通信に割り当てる。
【0072】
S1の条件が成立しない場合、例えば、
図9に示すように、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に空きチャネルがない場合には、チャネル資源管理部230およびチャネル記憶部210を参照し、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に通話中のチャネルがあるかどうか、さらに「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中に「空き」チャネルがあるかどうか調べる(S2)。
図9の例では、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に通話中のチャネルがあり、また、「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中に「空き」チャネル2112があるので、S2の条件が成立する。S2の条件が成立した場合には、先に確立した1つの呼が通話で使用しているチャネルを選択する(S3)。呼の選択基準としては、例えば呼が確立した時刻を記録しておき、先に最後に確立した呼を選んでもよい。ここで、例えば、
図10に示すように、チャネル2122が選択されたとすると、次に、
図11に示すように、他PHS端末30が通話中のチャネル2122を「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中の空きとなっているチャネル2112に切り替える(S4)。この切替により、チャネル2112は「使用中」に更新され、チャネル2122は「空き」に更新される。チャネル切替後、切り替えたチャネルで切り戻りが発生したかどうかを調べる(S5)。S5の条件が成立した場合、すなわちチャネル切り戻りが発生した場合、切り戻りが発生したチャネル・スロット番号を「チャネル切り戻り管理部250」に記録する。S5の条件が成立しなかった場合、すなわちチャネル切り戻りが発生しなかった場合、「チャネル切り戻り管理部250」の情報を削除する(S7)。これにより、リンクチャネル確立要求を送信したPHS端末30との通信に空きチャネル2122を割り当てることができる。
【0073】
S2の条件が成立しなかった場合には、チャネル割当を失敗とする。
図12は、S2の条件が成立しない場合のチャネル資源管理部230の情報の例を示している。この例では、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」および「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中のチャネルは、全て「使用中」であり、S2の条件が成立しないので、チャネル割当は失敗となる。
【0074】
図13は、本発明に係るPHS方式のデジタルコードレス電話システムの着呼時の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0075】
PHS基地局20がPHS端末30に対して着呼信号を送信すると(Seq1)、PHS端末30は、PHS基地局20に対してリンクチャネル確立要求信号を送信する(Seq2)。PHS基地局20は、リンクチャネル確立要求を受信すると、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」に保持されているチャネルの内、チャネル資源管理部230の使用状況が「空き」となっている1つのチャネルを選択し、当該PHS端末30との通信に割り当てる(Seq3)。なお、以上の通信は、制御チャネルを用いて行われる。
【0076】
Seq4以降の通信は、Seq3で割り当てられたチャネルを用いて行われる。このシーケンスは、RCR STD-28で規定されている着呼時のシーケンスと同様であるので、説明を省略する。呼が確立し、Seq10で通話開始となれば、状態判別部200は、発呼が完了して通話中となったことを判別する。
【0077】
図14は、本発明に係るPHS方式のデジタルコードレス電話システムにおける着呼時のチャネル割当の動作の一例を示すフローチャートである。
【0078】
PHS基地局20は、PHS端末30に対して着呼信号を送信し、それに対するリンクチャネル確立要求信号を受信すると、まず、チャネル記憶部210の「他方式と電波干渉する可能性のないテーブル212」に保持されているチャネルの内、チャネル資源管理部230の使用状況が「空き」となっているチャネルがあるかどうか調べる(S1)。例えば、
図8に例示するように、チャネル2124が「空き」であると、S1の条件が成立する。S1の条件が成立した場合には、空きチャネル2124をPHS端末30との通信に割り当てる。
【0079】
S1の条件が成立しない場合、例えば、
図9に示すように、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に空きチャネルがない場合、チャネル資源管理部230およびチャネル記憶部210を参照し、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に通話中のチャネルがあるかどうか、さらに「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中に「空き」チャネルがあるかどうか調べる(S2)。
図9の例では、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に通話中のチャネルがあり、また、「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中に空きチャネル2112があるので、S2の条件が成立する。S2の条件が成立した場合には、先に確立した呼が通話で使用しているチャネルを選択する(S3)。呼の選択基準としては、例えば呼が確立した時刻を記録しておき、先に最後に確立した呼を選んでもよい。ここで、
図10に示すように、チャネル2122が選択されたとすると、次に、
図11に示すように、他PHS端末30が通話中のチャネル2122を「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中の空きとなっているチャネル2112に切り替える(S4)。この切替により、チャネル2112は「使用中」に更新され、チャネル2122は「空き」に更新される。チャネル切替後、切り替えたチャネルで切り戻りが発生したかどうかを調べる(S5)。S5の条件が成立した場合、すなわちチャネル切り戻りが発生した場合、切り戻りが発生したチャネル・スロット番号を「チャネル切り戻り管理部250」に記録する。S5の条件が成立しなかった場合、すなわちチャネル切り戻りが発生しなかった場合、「チャネル切り戻り管理部250」の情報を削除する(S7)。これにより、リンクチャネル確立要求を送信したPHS端末30との通信に空きチャネル2122を割り当てることができる。
【0080】
S2の条件が成立しなかった場合には、チャネル割当を失敗とする。
図12は、S2の条件が成立しない場合のチャネル資源管理部230の情報の例を示している。この例では、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」および「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中のチャネルは、全て「使用中」であり、S2の条件が成立しないので、チャネル割当は失敗となる。
【0081】
以上の発呼・着呼時のチャネル割当によれば、全てのチャネルが使用済でない限り、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」に保持されている空きチャネルに新たな発呼・着呼を割り当てることができ、あるいは、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」のチャネルを「空き」チャネルにして、それに新たな発呼・着呼を割り当てることができる。
【0082】
図15は、本発明に係るPHS方式のデジタルコードレス電話システムの通話中の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0083】
通話中では、上記したように、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」のチャネルを「空き」チャネルとするために、チャネル切替を行い、また、以下に説明するように、通話品質の悪化などが生じた場合にチャネル切替を行う。
【0084】
PHS基地局20とPHS端末30が通話中(Seq1)に通話品質の悪化などが生じると、PHS端末30からPHS基地局20に対してTCH(通話チャネル)切替要求信号が送信される(Seq2)。
【0085】
PHS基地局20は、PHS端末30からTCH切替要求信号を受信すると、チャネル資源管理部230が使用可能(空き)であって、チャネル記憶部210に保持されているチャネルの中から適宜のチャネルを切替先チャネルとして選択し、PHS端末20に対して該選択したチャネルの情報を含んだTCH切替指示信号を送信し(Seq3)、続いて、切替元チャネルを使用して同期バースト信号をPHS端末30に送信する(Seq4)。
【0086】
PHS基地局20は、前記切替先チャネルでPHS端末30から送信される同期バースト信号を待ち受ける(Seq5)。ここで、切替先チャネルは、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」から選択することが好ましいが、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」に「空き」チャネルがなければ、「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」から選択すればよい。
【0087】
PHS基地局20は、切替先チャネルで同期バースト信号を受信した後、同期バースト信号をPHS端末30に送信する(Seq6)。その後、RCR STD-28で規定されている通話時のシーケンス(Seq7,Seq8)に従って切替先チャネルでの通話中となる。
【0088】
以上のように、PHS基地局20が発呼・着呼の場合、当該PHS端末20との通信に割り当てるチャネルを「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」から選択し、通話中の通話品質の悪化などの場合であれば、「他方式と電波干渉する可能性がないチャネルテーブル212」から適宜チャネルを選択して当該PHS端末20の通信に割り当てるので、他方式のデジタルコードレス電話システムとの電波干渉なく発呼・着呼を行うことができる。なお、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」に「空き」チャネルがない場合は、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」のチャネルで確立している呼のチャネルを、適宜「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」のチャネルに切り替えることで、通話キャパシティを十分に保つことができる。
【0089】
以上実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、種々に変形されたものも含む。
【0090】
例えば、上記実施形態では、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に空きチャネルがない場合、新たな発呼・着呼が発生したときに、他PHS端末30が通話中のチャネルを「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中の空きチャネルに切り替え、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に空きチャネルを創出するようにしているが、適宜のタイミングで、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中に空きチャネルを創出するようにしてもよい。例えば、一定時間間隔のトリガを与えることにより、そのタイミングで、PHS端末30が通話で使用している、他方式と電波干渉する可能性のないチャネルを、「他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルテーブル211」中の空きチャネルに切り替えるようにしてもよい。これによれば、例えば、新しく確立された呼の通話で使用されているチャネルを、他方式と電波干渉する可能性のあるチャネルに切り替えて、「他方式と電波干渉する可能性のないチャネルテーブル212」中の「空きチャネル」が所定数以下にならないようにすることができる。
【0091】
また、上記のチャネル選択の際、チャネル記憶部210やテーブル211やテーブル212中の全てのチャネルを選択の対象としてもよいし、チャネル記憶部210やテーブル211やテーブル212中の一部のチャネルを選択の対象としてもよい。
【0092】
上記実施形態は、本発明がPHS方式のデジタルコードレス電話システムとして実現された場合であるが、本発明は、PHS方式のデジタルコードレス電話システムにおける電波干渉回避方法あるいはプログラムとしても実現できる。
【0093】
また、他方式のデジタルコードレス電話システムがJ-DECT方式のデジタルコードレス電話システムであるとして説明したが、本発明は、一般的に、他方式のデジタルコードレス電話システムがPHS方式のデジタルコードレス電話システムの一部チャネルと電波干渉の可能性のあるシステムの場合に有効である。