特許第6558547号(P6558547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558547
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】スクリュープレスの運転方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/14 20060101AFI20190805BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20190805BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20190805BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20190805BHJP
   C02F 11/125 20190101ALI20190805BHJP
【FI】
   B30B9/14 H
   B01D29/30 501
   C02F11/125
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-196968(P2016-196968)
(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公開番号】特開2018-58083(P2018-58083A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】西原 康昭
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−58039(JP,A)
【文献】 特開昭56−001296(JP,A)
【文献】 特開2004−313820(JP,A)
【文献】 特開2010−247044(JP,A)
【文献】 特開2013−233517(JP,A)
【文献】 特開昭58−54999(JP,A)
【文献】 特開平8−281766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/14
B01D 29/17 − 29/37
C02F 11/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを張設した外筒(4)の内部に、スクリュー軸(6)を配設し、ろ過室(7)に供給した原液をスクリーンで固液分離しつつろ過室(7)の固形分を搬送して排出口(28)から脱水ケーキを排出するスクリュープレスの運転方法において、
スクリュー軸(6)および外筒(4)の回転を停止した状態で原液を供給し、
ろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)未満のときは、原液供給を続け、
ろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)以上のときは、予め定めた時間だけ原液供給を停止した静置の状態で脱水し、
静置後にろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)未満のときは、原液供給を開始し、
静置後にろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)以上のときは、予め定めた分だけスクリュー軸(6)を回転させ、ろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)未満になるまで継続する
ことを特徴とするスクリュープレスの運転方法。
【請求項2】
前記静置後にろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)以上のときは、予め定めた分だけ外筒(4)を回転させ、
外筒(4)を回転後にろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)未満のときは、原液供給を開始し、
外筒(4)を回転後にろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)以上のときは、予め定めた分だけスクリュー軸(6)を回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスの運転方法。
【請求項3】
前記スクリュー軸(6)を回転させてろ過圧(P)が基準ろ過圧力(P0)未満となり、
スクリュー軸(6)の回転数(N)が基準回転数(N0)を超えているときは、原液供給を開始し、
スクリュー軸(6)の回転数(N)が基準回転数(N0)以下のときは、予め定めた分だけスクリュー軸(6)の逆転あるいは外筒(4)の回転を組み合わせて行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスクリュープレスの運転方法。
【請求項4】
前記外筒(4)を、前半部の濃縮ゾーン(A)の外筒(4a)と後半部のろ過・脱水ゾーン(B)の外筒(4b)に分割し、それぞれ個別に回転させる
ことを特徴とする請求項2または3に記載のスクリュープレスの運転方法。
【請求項5】
外筒(4,4a,4b)の回転は、予め定めた正転と逆転の組み合わせである
ことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のスクリュープレスの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汚泥発生量の少ない処理場で稼動するスクリュープレスにおいて、汚泥の供給量および脱水ケーキの排出量を減少させた制御方法によりろ過室に長時間滞留させるスクリュープレスの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水、し尿、あるいは食品生産加工排水等の有機性汚泥を濃縮・脱水するスクリュープレスは一般に知られている。スクリュープレスは連続的に汚泥を濃縮・脱水する装置であるため、連続的に汚泥をスクリュープレスに供給し、連続的に脱水ケーキをスクリュープレスから排出している。
そのため、処理場の汚泥発生量が減少してスクリュープレスへの供給量が不足した場合、空運転となり安定性が悪くなるのでスクリュープレスの運転を停止する。その後、ある程度まで汚泥貯留量が増加すると運転を再開する。
前記運転方法は、スクリュープレスの前段に設置したホッパの液面位置を検出し、液面位置が下限水位以下まで低下したときにスクリュープレスの回転を停止させる技術として特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3760083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、運転中に汚泥の供給が途切れた場合、脱水装置内に空気が混入して安定した脱水ケーキが生成できなくなるため、汚泥を一時貯留するホッパの貯留量を基準として運転/停止の判断を行っている。しかし、一旦スクリュープレスの運転を停止すると、脱水機のろ過室(円筒ストレーナに相当)内の圧力、目詰まり等の脱水状況が時間の経過とともに変動し、再運転時には排出口から排出される脱水ケーキの含水率が安定しない。
【0005】
一般的にスクリュープレスの安定運転には、運転開始から1〜3時間程度を必要とするので、頻繁にスクリュープレスの運転/停止を行うような小規模の処理場には不向きであるといわれてきた。
【0006】
この発明は、汚泥発生量の少ない処理場で稼動するスクリュープレスにおいて、スクリュープレスから排出する汚泥の脱水性を安定させるために、ろ過室での滞留時間を長くして脱水ケーキの排出量を抑え、スクリュープレスの連続運転状態を維持し続けるスクリュープレスの運転方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、スクリーンを張設した外筒の内部に、スクリュー軸を配設し、ろ過室に供給した原液をスクリーンで固液分離しつつろ過室の固形分を搬送して排出口から脱水ケーキを排出するスクリュープレスの運転方法において、スクリュー軸および外筒の回転を停止した状態で原液を供給し、ろ過圧が基準ろ過圧力未満のときは、原液供給を続け、ろ過圧が基準ろ過圧力以上のときは、予め定めた時間だけ原液供給を停止した静置の状態で脱水し、静置後にろ過圧が基準ろ過圧力未満のときは、原液供給を開始し、静置後にろ過圧が基準ろ過圧力以上のときは、予め定めた分だけスクリュー軸を回転させるもので、スクリュープレスへの供給量およびスクリュープレスからの排出量を極力減少させる運転を行うので、汚泥供給量の変動によるスクリュープレスの運転/停止がなく、安定した脱水運転が継続できる。
【0008】
静置後にろ過圧が基準ろ過圧力以上のときは、予め定めた分だけ外筒を回転させて再静置し、再静置後にろ過圧が基準ろ過圧力未満のときは、原液供給を開始し、再静置後にろ過圧が基準ろ過圧力以上のときは、予め定めた分だけスクリュー軸を回転させるとともに、スクリュー軸を回転させる際に、予め定めたスクリュー軸の逆転あるいは外筒の回転を組み合わせて行うので、ろ過室内での圧密度が向上し、低含水率の脱水ケーキを生成できる。
【0009】
外筒を、前半部の濃縮ゾーンの外筒と後半部のろ過・脱水ゾーンの外筒に分割し、それぞれ個別に回転させ、また、外筒の回転は、予め定めた正転と逆転の組み合わせであるので、ろ過室内で一方から圧密されている原液を供給側に搬送することで圧密度を向上するための正転と、ろ過室内のケーキを排出側に搬送することで原液の供給側に空隙を生じさせる逆転により、更に固液分離が促進される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、スクリュープレスへの供給量およびスクリュープレスからの排出量を極力減少させる運転を行うので、汚泥発生量の少ない処理場でもスクリュープレスへの汚泥供給が途切れることがない。したがって、汚泥供給量の変動によるスクリュープレスの運転/停止がなく、安定した脱水運転が継続できる。また、スクリュープレス運転立ち上げ時の手間や脱水不安定時間がないので、維持管理が容易となる。ろ過室に長時間滞留させることにより、ろ過室内での圧密度が向上し、低含水率の脱水ケーキを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るスクリュープレスの一部縦断側面図である。
図2】同じく、スクリュープレスの排出側の拡大図である。
図3】本発明に係る運転制御システム図である。
図4】本発明に係る制御のフローチャートである。
図5】本発明に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1はスクリュープレスの一部縦断側面図である。
符号1はスクリュープレスであって、前後のフレーム2、3に支架されているスクリーンを周部に張設した円筒状の外筒4の内部に、スクリュー羽根5を巻き掛けたスクリュー軸6を配設している。スクリュー軸6は汚泥の供給側からケーキの排出側に向って拡大させており、外筒4とスクリュー軸6との間のろ過室7を供給側から脱水側に向って減少させている。なお、スクリュー軸6に巻き掛けたスクリュー羽根5の先端部に濃縮ゾーンAの始端部からろ過・脱水ゾーンBの終端部に渡って、ゴム等の弾力性を有する一連のスクレーパーを配設してもよい。
【0013】
図2はスクリュープレスの供給側の拡大図である。
外筒4の供給側にフランジ8が連結しており、フランジ8がフレーム2に設けた回転板軸受9に軸支している。このフランジ8にスプロケット10が嵌着しており、フレーム2の架台11に載置した正逆転可能な外筒駆動機12のスプロケット13にチエーン14掛けしている。外筒4に内設したスクリュー軸6の始端部に汚泥の供給管15が連結しており、この供給管15に嵌着した軸受16を外筒4に連結したフランジ8で回動自在に軸支している。供給管15と接続するスクリュー軸6に汚泥の供給路17を設けており、濃縮ゾーンAの始端側のろ過室7に供給孔17aが開口している。汚泥の供給孔17aがスクリュー軸6に形成されているため、汚泥がスクリュー羽根5の回転の影響を受けることなく供給され、凝集剤によって凝集した軟弱なフロックが破壊されることがなく、脱水性が損なわれることがない。
【0014】
図3はスクリュープレスの排出側の拡大図である。
外筒4に連結した回転板18がフレーム3に配設した回転板軸受19に軸支している。外筒4に内設したスクリュー軸6の後端部にスクリュー駆動軸20が連結している。図1に示すように、スクリュー駆動軸20はフレーム3の架台21に設けた軸受22に軸支している。このスクリュー駆動軸20にスプロケット23が嵌着しており、フレーム3の架台24に載置したスクリュー駆動機25のスプロケット26にチエーン27掛けしている。外筒4に内設したスクリュー軸6をスクリュー駆動機25で回転させて、スクリュー羽根5でろ過室7内の汚泥を供給側からケーキの排出側に向って移送させながら、外筒4のスクリーンからろ液を排出する。
【0015】
外筒4の排出口28に背圧調整用のプレッサー29が配設しており、プレッサー29はフレーム3に配設したプレッサー移動軸30に移動自在に支架している。プレッサー29はフレーム3に配設したシリンダー31で移動させ、排出口28の開口量を調節しながらろ過室7のケーキに背圧を加えて水分を均一化させ、ろ過・脱水ゾーンBの外筒4b内に背圧を加えて、固液分離を促進させて水分を調整する。
【0016】
図1に示すように、円筒状の外筒4が前半部の濃縮ゾーンAの外筒4aと後半部のろ過・脱水ゾーンBの外筒4bに分割されており、濃縮ゾーンAの外筒4aとろ過・脱水ゾーンBの外筒4bの間に中間軸受28が介装している。外筒駆動機12に連動連結した濃縮ゾーンA側の外筒4aが、ろ過・脱水ゾーンB側の外筒4bと接離自在に回転できるようにしている。
【0017】
図4はこの発明に係るシステム図である。
工場や処理場で発生する汚泥原液は、一時的に原液貯留槽32に貯留される。その後、原液供給ポンプ33により原液貯留槽32から原液供給管34を介してスクリュープレス1に供給される。必要に応じて凝集混和槽35を介装し、高分子凝集剤にて原液を調質してもよい。スクリュープレス1の前段の原液供給管34には、スクリュープレス1への圧入圧力(ろ過圧力)を計測するための圧力計36を配設している。圧入圧力の計測値は制御装置37に送信されており、制御装置37は受信した計測値に応じて原液供給ポンプ33、外筒駆動機12、スクリュー駆動機25に指示を出し、スクリュープレス1の運転制御を行っている。
【0018】
汚泥原液をスクリュープレス1に圧入し、ろ過室7が所定のろ過圧力に達すると、原液の供給を停止する。原液の供給を停止した後、一定時間の静置による重力脱水や、外筒4あるいはスクリュー軸6を回転させることでろ過室7内の圧密された原液の固液分離を促進する。
原液供給や脱水ケーキの排出を可能な限り減少させることで、汚泥原液の発生量が少ない処理場でもスクリュープレス1を停止させることなく運転状態を継続できる。
【実施例】
【0019】
図5はこの発明に係るフローチャートである。この発明は、外筒4が回転自在のスクリュープレス1の実施例であり、外筒4が固定されているスクリュープレス1については、外筒4の回転に関するフローがないものとする。
A.初期設定
汚泥性状やスクリュープレス1の型式に応じて、スクリュープレス1の基準ろ過圧力P0を設定する。本実施例ではろ過圧力をスクリュープレス1の前段に配設している圧力計36にてリアルタイムに計測している。
また、静置中に重力によりろ過を行う静置時間、外筒4の回転速度および回転時間、スクリュー軸6の基準回転数N0、スクリュー軸6の回転数Nおよび回転時間を設定する。
さらに、ろ過圧力Pおよびスクリュー軸6の回転数Nの計測時間を設定する。
【0020】
B.原液供給
スクリュー軸6および外筒4の回転を停止した状態にて、原液供給ポンプ33から原液をスクリュープレス1に供給する。本実施例では凝集混和槽35を介して調質した原液を供給している。供給した原液の固形分はろ過室7に残留して水分は外筒4のスクリーンから透過する。原液供給を続けると、ろ過室7内で固形分が徐々に圧密されてろ過圧力Pが上昇していく。圧力計36にてろ過圧力Pを計測し、その計測値を制御装置37に送信する。
【0021】
C.ろ過圧力比較
制御装置37にて計測したろ過圧力P1と予め定めた基準ろ過圧力P0とを比較する。制御装置37で比較した結果、ろ過圧力P1が基準ろ過圧力P0より小さい(P1<P0)場合は、フローチャートのBへ移行し、原液供給ポンプ33での原液供給を継続する。
ろ過圧力P1が基準ろ過圧力P0以上(P0≦P1)に達した場合は、原液供給ポンプ33の運転を停止し、フローチャートのDへ移行する。
【0022】
D.静置
スクリュープレス1への原液供給を停止し、重力ろ過により脱水を行う。予め定めた時間だけ静置し、その間のろ過圧力を計測し、その計測値を制御装置37に送信する。
【0023】
E.ろ過圧力比較
静置後のスクリュープレス1のろ過室7内のろ過圧力P2と予め定めた基準ろ過圧力P0とを比較する。制御装置37で比較した結果、ろ過圧力P2が基準ろ過圧力P0より小さい(P2<P0)場合は、フローチャートのBへ移行し、原液供給ポンプ33での原液供給を再開する。
ろ過圧力P2が基準ろ過圧力P0以上(P0≦P2)を維持する場合は、フローチャートのFへ移行する。
【0024】
F.外筒回転
予め定めた所定の回転数で外筒4を回転し、ろ過室7内の原液の重力ろ過を促進させる。このとき、ろ過室7内で一方から圧密されている原液を供給側に搬送することで更に固液分離を促進させて圧密度を向上するための正転と、ろ過室7内のケーキを排出側に搬送することでろ過室7の供給側に空隙を生じさせる逆転を組み合わせて回転させる。外筒4は濃縮ゾーンAの外筒4aのみを回転させてもよい。
それぞれの外筒4,4aの回転速度、回転時間等はスクリュープレス1の能力や原液性状に応じて予め定める。
なお、外筒4が固定されているスクリュープレス1については、このフローを省略する。
【0025】
G.ろ過圧力比較
外筒4を回転させた後のスクリュープレス1のろ過室7内のろ過圧力P3と予め定めた基準ろ過圧力P0とを比較する。制御装置37で比較した結果、ろ過圧力P3が基準ろ過圧力P0より小さい(P3<P0)場合は、フローチャートのBへ移行し、原液供給ポンプ33での原液供給を再開する。
ろ過圧力P3が基準ろ過圧力P0以上(P0≦P3)を維持する場合は、フローチャートのHへ移行する。
【0026】
H.スクリュー軸回転(正転)
予め定めた所定の回転数でスクリュー軸6を回転し、ろ過室7内の原液を排出側に搬送するとともに排出口28から脱水ケーキを排出する。
スクリュー軸6の回転速度および回転時間等はスクリュープレス1の能力や原液性状に応じて予め定める。
スクリュー軸6が所定の回転で運転を行った後、フローチャートのIへ移行する。
【0027】
I.ろ過圧力比較
スクリュー軸6を回転させた後のスクリュープレス1のろ過室7内のろ過圧力P4と予め定めた基準ろ過圧力P0とを比較する。制御装置37で比較した結果、ろ過圧力P4が基準ろ過圧力P0以上(P0≦P4)を維持する場合は、フローチャートのHへ移行し、スクリュー軸6の回転を継続する。
ろ過圧力P4が基準ろ過圧力P0より小さい(P4<P0)場合は、フローチャートのJへ移行し、フローチャートHで回転させたスクリュー軸6の回転数を比較する。
【0028】
J.スクリュー軸回転数比較
フローチャートHで回転させたスクリュー軸6の回転数Nと予め定めた基準回転数N0とを比較する。制御装置37で比較した結果、スクリュー軸6の回転数Nが基準回転数N0より多い(N0<N)場合は、フローチャートのBへ移行する。
スクリュー軸6の回転数Nが基準回転数N0以下(N≦N0)の場合は、フローチャートのKへ移行する。
【0029】
K.外筒回転・スクリュー軸逆回転
ろ過室7内の原液を排出側に搬送して脱水ケーキを排出した結果、ろ過室7内の圧密された原液を崩す恐れがあるため、スクリュー軸6の逆転あるいは外筒4の正転を組み合わせて行い、ろ過室7内で一方から圧密されている原液を供給側に搬送することで圧密度を向上させる。外筒4はろ過・脱水ゾーンBの外筒4bのみを回転させてもよい。
また、スクリュー軸6の逆転、外筒4の回転についての開始、回転速度および回転時間等もスクリュープレス1の能力や原液性状に応じて予め定める。
なお、外筒4が固定されているスクリュープレス1については、外筒4の回転に関するフローを省略する。
スクリュー軸6および外筒4,4bが所定の回転で運転を行った後、フローチャートのBへ移行する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明に係るスクリュープレスの運転方法は、流入する汚泥量が少ない処理場でも安定した脱水性能を維持できる有用な運転方法となるものである。また、スクリュープレス運転立ち上げ時の手間や脱水不安定時間がないので維持管理が容易となり、脱水機前段・後段を含めた処理場全体の管理性が向上するものである。
【符号の説明】
【0031】
1 スクリュープレス
4,4a,4b 外筒
6 スクリュー軸
7 ろ過室
28 排出口
N 回転数
N0 基準回転数
P ろ過圧力
P0 基準ろ過圧力
A 濃縮ゾーン
B ろ過・脱水ゾーン
図1
図2
図3
図4
図5