(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558573
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ステンレス用スケール除去剤
(51)【国際特許分類】
C11D 3/04 20060101AFI20190805BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20190805BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20190805BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20190805BHJP
C11D 3/06 20060101ALI20190805BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20190805BHJP
C23G 1/08 20060101ALI20190805BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
C11D3/04
C11D3/20
C11D1/88
C11D3/33
C11D3/06
C11D17/08
C23G1/08
B08B3/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-150294(P2015-150294)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-31267(P2017-31267A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000234166
【氏名又は名称】伯東株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118706
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 陽
(72)【発明者】
【氏名】北折 典之
(72)【発明者】
【氏名】大西 則彦
【審査官】
林 建二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−117116(JP,A)
【文献】
特許第5650860(JP,B1)
【文献】
特開2005−232585(JP,A)
【文献】
特開昭59−020479(JP,A)
【文献】
特開昭56−133478(JP,A)
【文献】
特公昭36−015906(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
C23G 1/00−5/06
B08B 3/00−3/14
B23K 31/00
C02F 5/00
C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸、クエン酸、及び両性界面活性剤、並びにEDTA又はその塩、を含む水溶液であって、さらに塩酸及び硝酸塩を含むことを特徴とするステンレス用スケール除去剤。
【請求項2】
前記硝酸の濃度は2質量%以上15質量%以下、前記クエン酸の濃度は7質量%以上20質量%以下、前記EDTA又はその塩の濃度は0.6質量%以上1.7質量%以下、前記両性界面活性剤の濃度は3.0質量%以上10質量%以下である請求項1に記載のステンレス用スケール除去剤。
【請求項3】
前記塩酸の濃度は0.05質量%以上1.5重量%以下、前記硝酸塩は硝酸カリウムであって5質量%以上10質量%以下である請求項1又は2に記載のステンレス用スケール除去剤。
【請求項4】
更にシュウ酸及びリン酸を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のステンレス用スケール除去剤。
【請求項5】
シュウ酸の濃度は0.05質量%以上1.5重量%以下、リン酸の濃度は5質量%以上10質量%以下である請求項4に記載のステンレス用スケール除去剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼の溶接時やレーザー加工時に生じるスケールの除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼は鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含む合金であり、クロムが合金表面に不動態皮膜を形成することにより、内部への酸化が防止される。このため、優れた耐食性を有している。さらに、クロムとともにニッケルを添加することにより、耐食性を大幅に向上させることができる。ステンレス鋼は耐食性に優れた衛生的な材料として、食品製造設備や厨房器具などの工業分野だけでなく、一般家庭におけるキッチンセット等にも広く利用されている。
【0003】
ステンレス鋼の接合は、一般には溶接によって行われているが、ステンレス鋼自体の融点は高いため、かなりの高温を要する。このため、溶接部位は激しく酸化されて著しい変色をする。この変色部分はスケールと呼ばれており、直接人体や環境などに悪影響を及ぼすことはないが、美観が大きく損なわれてしまう。また、レーザーによるステンレス鋼の切断加工時も同様なスケールを生じる。このため、従来より、ステンレスの溶接やレーザー加工を行った後に、スケール除去剤によるスケールの除去が行われている。
【0004】
ステンレス鋼のスケールは化学的に安定な化合物であるため、フッ化水素酸と硝酸の混合溶液という、金属に対して極めて腐食性の強い組成のスケール除去剤が用いられている。しかし、フッ化水素酸は人体に極めて有害なガスであり、スケール除去作業には換気設備や廃ガス処理設備が必要となり、問題となっていた。それにもかかわらず、フッ化水素酸と硝酸の混合溶液からなるスケール除去剤は、さらなる改良が行われており(特許文献1)、現在も使用されている。
【0005】
一方、フッ化水素酸を全く含んでいないステンレス用スケール除去剤も知られている(特許文献2)。しかし、このスケール除去剤を用いた場合には、高いスケール除去効果が得られず、スケールを除去することにより金属光沢が失われてしまうという問題があった。
この点、本件発明者が開発したスケール除去剤(特許文献3)は、フッ化水素酸を全く含まず、しかも高いスケール除去効果が得られる。しかし、このスケール除去剤を常温で使用した場合は処理時間が長くなり、短時間で処理するには40〜80℃の加温が必要であることから、温度制御設備が必要となるという問題があった。また、低温下で白色の沈殿物を生ずるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−13183号公報
【特許文献2】特開2005−232585号公報
【特許文献3】特開2012−117116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、有害なフッ化水素酸を含んでおらず、室温でステンレス鋼の溶接時のスケールを除去することができ、低温下においても沈殿物が生じないステンレス用スケール除去剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来の課題を解決すべく、自らが開発した特許文献3に記載の硝酸、クエン酸、キレート剤及び界面活性剤を含む水溶液からなるスケール除去剤の更なる改良をについて鋭意研究を行った。その結果、更に塩酸及び硝酸塩を共存させることによって、常温でステンレス鋼の溶接時のスケールをきれいに除去することができ、しかも低温下での沈殿物の発生を防止できることを見出した。
すなわち、本発明のステンレス用スケール除去剤は、硝酸、クエン酸、キレート剤、及び両性界面活性剤を含む水溶液であって、さらに塩酸及び硝酸塩を含むことを特徴とする。
【0009】
このステンレス用スケール除去剤によれば、浸漬処理だけでステンレスの溶接部のスケールをきれいに除去することができる。また、フッ化水素酸を全く使用していないため、作業環境が大幅に改善される。さらには、スケール除去に要する時間が短く、室温下で行うことができるため、温度制御設備が不要となる。また、スケール除去剤が−5℃でも沈殿物を生じないため、冬季の保管も容易になる。
【0010】
本発明者の試験結果によれば、前記硝酸の濃度は3.5質量%以上10質量%以下、前記クエン酸の濃度は10質量%以上20質量%以下、前記キレート剤の濃度は0.6質量%以上1.7質量%以下、前記両性界面活性剤の濃度は3.0質量%以上10質量%以下であれば、優れたスケール除去能を発揮することができる。
【0011】
また、前記塩酸の濃度は0.05質量%以上1.5重量以下、硝酸塩は硝酸カリウムを用いることができ、その濃度は5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。この濃度範囲内であれば、特に優れたスケール除去機能を発揮できる。
【0012】
また、本発明のステンレス用スケール除去剤において、更にシュウ酸とリン酸を含む水溶液とすることが好ましい。こうであれば、ステンレスの溶接加工時のスケールのみならず、ステンレス鋼のレーザー加工時のスケールもきれいに除去できることとなる。この場合において、シュウ酸の濃度はは0.05質量%以上1.5重量%以下、リン酸の濃度は5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のスケール除去剤の実施形態及び実施例について詳述する。
【0014】
(スケール除去剤の成分)
本発明のステンレス用スケール除去剤は、硝酸、クエン酸、キレート剤、及び両性界面活性剤を含む水溶液であって、さらに塩酸及び硝酸塩を含む。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、これらのほかに、着色料、メチルアルコールやエチルアルコール等のアルコール類、等を添加してもよい。また、キレート剤や両性界面活性剤は、複数の種類のものが含まれていてもよい。
【0015】
本発明のスケール除去剤に含まれる硝酸の濃度については、2質量%以上15質量%以下とすることが好ましく、さらに好ましいのは3.5質量%以上10質量%であり、最も好ましいのは4質量%以上6質量%以下である。2質量%未満ではステンレスの溶接スケールの除去が不完全となるおそれがある。また、硝酸の濃度を6質量%を超えて高くしてもスケールの除去効果はそれほど変化はなく、かえって環境負荷が増加するという問題が生ずる。
【0016】
また、本発明のスケール除去剤に含まれるクエン酸の濃度については、7質量%以上20質量%であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。クエン酸の濃度が7質量%未満であると、スケールが発生していた部分とスケールが発生していなかった部位との間で色に差が生ずる。一方、クエン酸が20質量%を超えるとスケールの除去効果が低下する。
【0017】
また、本発明のスケール除去剤に含まれるキレート剤は、ステンレス鋼から除去されたスケールがステンレス鋼に再付着することを防止するために添加される。キレート剤の濃度は0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がさらに好ましく、0.6質量以上1.7質量%以下が最も好ましい。キレート剤の種類については特に限定はないが、例えばエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、キトサンなどを用いることができる。
【0018】
また、本発明のスケール除去剤には両性界面活性剤が含まれている。両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタインを主成分とするアンヒトール20HD(花王株式会社製)が好適に用いられる。アンヒトール20HDを用いた場合、本発明のスケール除去剤に含まれる両性界面活性剤の濃度については、3.0質量%未満では界面活性剤添加によるスケールの除去効果が不十分となり、10質量%を超えるとスケールの除去効果がかえって低下する。したがって、両性界面活性剤の濃度は、3.0〜10質量%とするのが好ましい。
【0019】
また、本発明のスケール除去剤に含まれる硝酸塩は硝酸のアルカリ金属塩を用いることができ、特に好ましいのは硝酸カリウムである。硝酸カリウムの濃度は5質量%以上10質量%以下が好ましい、5重量%未満ではスケール除去が不十分となるおそれがあり、10質量%を超える処理後の金属光沢が失われるおそれがある。
【0020】
また、本発明のスケール除去剤には、更に塩酸及びリン酸を含んでいることが好ましい。本発明者らの試験結果によれば、塩酸及びリン酸をさらに添加することにより、室温下においてレーザー加工部のスケールを効率的に除去することが可能となる。塩酸の濃度は
を0.05質量%以上1.5重量%以下が好ましく、リン酸の濃度は5質量%以上10質量%以下が好ましい。塩酸の濃度が2質量%以上となると、処理後における金属光沢が失われる。
【0021】
また、本発明のスケール除去剤において溶媒となる水としては純水が好ましいが、価格の観点から、水道水や工業用水を用いることもできる。
【0022】
(スケール除去剤の調製方法)
本発明のスケール除去剤の調製方法に特に制限はないが、通常、水に硝酸、塩酸を加えて均一に混合し、そこにクエン酸、EDTA及び硝酸カリウムを投入し均一に溶解して本発明のスケール除去剤を調製する。更にリン酸とシュウ酸を加える場合は、通常、リン酸を投入して均一に混合した後、シュウ酸を投入し均一に溶解するのが好ましい。また、硝酸カリウムに替えてその配合量に相当する硝酸と水酸化カリウムを配合することもできる。尚、調製容器及び接液機器には樹脂コーティング、ガラスライニング又はプラスチック製を用いることが好ましい。
【0023】
(スケール除去剤の使用方法)
スケール除去剤を浴槽に入れておき、ここにステンレスを溶接した被処理物を浸漬処理する。この時、特に加熱を要することはなく、したがってスケール除去処理における加温設備等は不要となる。このため、処理施設の設置面積も小さくなる。また、傾斜、垂直部位の溶接部に対する適用において液体のスケール除去剤に増粘剤を配合して液だれを防止する手法は、本技術分野では従来から通常行われてきたことであり、本発明のスケール除去剤に増粘剤を配合して該適用に供することを妨げない。
【0024】
(スケール除去剤の保管方法)
本発明のスケール除去剤は、−5℃となっても沈殿を生ずることはない。これに対して、塩酸及び硝酸塩を含まない、特許文献3に記載のスケール除去剤では、−5℃にすると白色沈殿が生じる。従って、本発明のスケール除去剤の使用が想定される日本国内の冬季の保管に対しても、従来のスケール防止剤より取り扱い性が向上した。
【実施例】
【0025】
<スケール除去剤の調製>
硝酸、クエン酸、EDTA・2Na及びアンヒトール20-HD(ラウリルヒドロキシスルホベタイン)を含有する、以下の組成のベース水溶液を調製し、さらにこのベース溶液に塩酸、硝酸カリウム、シュウ酸及びリン酸に所定量を必要に応じて添加し、更に純水を加えて、下記表1に示す組成の実施例及び比較例のスケール除去剤を調製した。
<ベース水溶液>
硝酸 8.35重量部
クエン酸 16.40重量部
EDTA 0.19重量部
アンヒトール20-HD 3.70重量部
(ラウリルヒドロキシスルホベタイン)
純水 45.00重量部
【0026】
【表1】
【0027】
−評 価−
上記のようにして調製した実施例及び比較例のスケール除去剤から何種類かを選定し、(1)ステンレス鋼溶接部のスケール除去試験、(2)ステンレス鋼のレーザー加工時のスケール除去試験、及び、(3)低温における安定性試験を行った。以下、それらの3試験についての詳細を以下に示す。
【0028】
(1)ステンレス鋼溶接部のスケール除去試験
2枚のステンレス鋼(SUS304、厚さ5mm、縦3cm、横5cm)の板をアーク溶接し、これを試験片とした。そして、各試験片を20℃に保った実施例1〜9及び比較例1〜3のスケール除去剤200mL中に60分間浸漬した。その後、水で十分に洗浄した。スケール除去の評価方法としては、可視領域における分光式色差計(日本電色 NF333)を用い、溶接部分の表面反射率を8mm径のプローブを用いて測定し、目標値の反射率(電解研磨後の試験片の反射率)と比較することで、スケール除去効果を評価した。また、スケール除去効果を数値で示すために、除去率を算出した。算出式には(1)式を用いた。なお、表面反射率の測定は、それぞれの試験片について4点測定し、そのときの測定範囲は、可視光領域である400〜700nmとした。結果を表2に示す。
【0029】
【数1】
【0030】
【表2】
【0031】
(結 果)
実施例1〜9については77%以上の良好なスケール除去率を示した。
また、比較例1の除去率は80%であるのに対し、比較例1に塩酸を0.85重量%加えた比較例2の除去率は46%に低下した。一方、比較例1に硝酸カリウムを9.38重量%加えた比較例3の除去率は77%であり、比較例1とほぼ同等であった。比較例1〜3と、実施例1〜3との結果から、比較例1に塩酸と硝酸カリウムを加えた実施例1〜3の除去率は、98%〜120%という良好な除去率となった。
以上の結果から、比較例1のスケール除去剤に更に塩酸と硝酸カリウムを加えることにより、スケール除去機能が良くなるという特異な相乗効果が明らかとなった。
また、実施例1〜4のスケール除去剤では、全て98%以上の高いスケール除去率を示すが、実施例1〜3では処理後に金属光沢を有していたのに対し、実施例4では処理後に金属光沢を失っていた。したがって、塩酸の配合量は0.05重量%以上1.5重量%以下が好ましい範囲と判定された。
また、塩酸濃度を0.85重量%とし、硝酸カリウムの濃度を変化させた実施例5〜9では、硝酸カリウムが5重量%以上とした実施例6〜9において95%以上の優れた除去率を示すが、実施例9では処理後に金属光沢を失っていた。したがって、硝酸カリウムの添加量は5重量%以上10質量%以下が好ましいことが分かった。
【0032】
(2)ステンレス鋼レーザー加工時スケール除去試験
ステンレス鋼(SUS304 10mm×10mm×3mm)を2B法(冷間圧延,熱処理,酸洗い後,軽く冷間圧延して光沢をあげる処理)によって表面仕上げを行った後、レーザービームによって切断(三菱電機ML2512LX,出力670W,切断速度1500mm/min(酸素吹き付け))したものを試験片とし、ステンレス鋼溶接部のスケール除去試験の場合と同様のスケール除去試験を行った。スケール除去剤は実施例7,8,10及び比較例1,4のものを用いた。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
(結 果)
その結果、比較例1のスケール除去剤では、ステンレス鋼レーザー加工時のスケールの除去率は31%と低く、常温処理でのスケールの除去は困難であった。
また、シュウ酸とリン酸が添加されているが、塩酸と硝酸カリウムが添加されていない比較例4では除去率が14%となり、さらに低下した。
また、塩酸と硝酸カリウムが添加されているが、シュウ酸及びリン酸が添加されていない実施例7及び8では、除去率それぞれ57%、66%となり、比較例1や比較例4よりは向上した。
さらに、塩酸、硝酸カリウム、シュウ酸及びリン酸が添加された実施例10では105%となり、ステンレス鋼レーザー加工時のスケールに対しても常温浸漬によって優れたスケール除去機能を発揮することが分かった。即ち、本発明のスケール除去剤における塩酸と硝酸塩に更にシュウ酸とリン酸を加えた場合の特異な相乗効果が明示された。
【0035】
(3)低温における安定性試験
低温におけるスケール除去剤の安定性を評価するため、実施例1,3,6,7、8及び10の各スケール除去剤を250mLのガラス瓶に200mL投入して蓋をし、−5℃の恒温槽内に静置した。48時間後の状況を目視確認した。また、比較として、特許文献3の実施例1に記載された下記表4の比較例5に示す組成のスケール除去剤を調製し、同様の試験を行った。
【0036】
【表4】
【0037】
その結果、表5に示すように、塩酸及び硝酸カリウムを添加した実施例1,3,6,7、8及び10では、沈殿物は生じなかったのに対し、比較例5では白色沈殿物が認められた。これらの結果から、塩酸及び硝酸カリウムをさらに添加することにより、低温安定性が良好となることが分かった。
【0038】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のスケール除去剤は、ステンレス溶接部やレーザー加工部のスケールを除去してするために、好適に用いることができる。