(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558591
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】プラスチックフィルムを巻き取るための機械におけるリールの動力化群
(51)【国際特許分類】
B65H 18/10 20060101AFI20190805BHJP
B65H 18/06 20060101ALI20190805BHJP
F16H 7/02 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
B65H18/10
B65H18/06
F16H7/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-544734(P2016-544734)
(86)(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公表番号】特表2016-535712(P2016-535712A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2014002524
(87)【国際公開番号】WO2015043730
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月11日
(31)【優先権主張番号】MI2013A001577
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516065559
【氏名又は名称】コリネス エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ペッチェティ,エラルド
【審査官】
五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−071152(JP,U)
【文献】
特開2002−114417(JP,A)
【文献】
特開平11−079496(JP,A)
【文献】
特開2003−128345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00
B65H 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビン上にプラスチックフィルムを巻き取るための機械のリールの動力化群であって、少なくとも2本のスピンドル(16、17、18)が前記機械のフレーム(12)に拘束される中央シャフト(15)のまわりで回転プレート(14)に配置され、モータ(86、86’、86’’)が前記スピンドル(16、17、18)のそれぞれを回転運動させるために備えられており、
前記モータ(86、86’、86’’)のそれぞれが、前記フレーム(12)に拘束され、前記フレーム(12)の外側で中央シャフト(15)と一列に並べられる中央デフレクタユニット(83)が備えるベルトによって前記スピンドル(16、17、18)のそれぞれに連結され、歯付ベルト(89、89’、89’’;95、95’、95’’)が、前記中央デフレクタユニット(83)を、一方では前記スピンドル(16、17、18)に、他方では前記モータ(86、86’、86’’)に連結し、
前記中央デフレクタユニット(83)が、中空の第1同軸シャフト(93)、中空の第2同軸シャフト(93’)、及び、中空の第3同軸シャフト(93’’)を備え、
前記第1同軸シャフト(93)は、前記中央シャフト(15)の延長部分(92)の外径より大きい内径を有し、前記延長部分(92)の外面上で回転することができ、
前記第2同軸シャフト(93’)は、前記第1同軸シャフト(93)の外径より大きい内径を有し、軸方向において前記第1同軸シャフト(93)の中間領域に配置され、前記第1同軸シャフト(93)の外面上で回転することができ、
前記第3同軸シャフト(93’’)は、前記第2同軸シャフト(93’)の外径より大きい内径を有し、軸方向において前記第2同軸シャフト(93’)の中間領域に配置され、前記第2同軸シャフト(93’)の外面上で回転することができ、
前記延長部分(92)の軸方向において、1組の第1ベアリング(99)の間に前記第1同軸シャフト(93)の一部が配置され、1組の第2ベアリング(99’)の間に前記第2同軸シャフト(93’)の一部が配置され、1組の第3ベアリング(99’’)の間に前記第3同軸シャフト(93’’)の一部が配置され、
前記中央デフレクタユニット(83)と前記スピンドル(16、17、18)の間の歯付ベルト(95、95’、95’’)における正確な張力付与を保証するために、回転プレート(14)上にベルト張力付与装置(97、97’、97’’)を、前記中央デフレクタユニット(83)と前記スピンドル(16、17、18)の間にさらに備え、
前記回転プレートが、互いに対して120°の間隔で設置される3本のスピンドル(16、17、18)を支持し、前記中央デフレクタユニット(83)が、3本の第1、第2、第3同軸シャフト(93、93’、93’’)の両端部に拘束される3対の第1、第2、第3歯付プーリ(91、94;91’、94’;91’’、94’’)をそれぞれ支持する3本の中空の第1、第2、第3同軸シャフト(93、93’、93’’)を備え、
前記3対の第1、第2、第3歯付プーリ(91、94;91’、94’;91’’、94’’)が、軸方向に向けられた3組の第1、第2、第3ボルト(100、100’、100’’)によって、前記第1、第2、第3同軸シャフト(93、93’、93’’)の端部に拘束されることを特徴とする、リール動力化群。
【請求項2】
第1、第2、第3ベアリング(99、99’、99’’)が、前記第1、第2、第3同軸シャフト(93、93’、および93’’)上で順に連結される第1、第2、第3歯付プーリ(91および94、91’および94’、ならびに91’’および94’’)の本体に位置する形づくられたキャビティ(101)に収容されることを特徴とする、
請求項1に記載のリール動力化群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビン上にプラスチックフィルムを巻き取るための機械におけるリールの動力化群に関する。
【背景技術】
【0002】
ボビン上にプラスチックフィルムを巻き取るための機械の分野において、スピンドルに設けられるリールが考えられ、それは最後の所望のボビン上へのプラスチックフィルムの巻取りを実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この目的のために、個々のリールの個々のスピンドルを動かすための、ボビンの形成において何の問題もなく正常に作動することが可能で、このように得られるモータが考えられている。
【0004】
これらの巻取り機械において、非常に迅速なボビン取替えサイクルを実現する必要性は、同様に迅速な取替えシーケンスを有するニーズにつながる。これらのシーケンス中、リールのスピンドル、すなわちリール上に形成されているボビンは、接触シリンダとの接触を失い、よって、いわゆる「空気」巻取りがもたらされる。
【0005】
これは、当該のリールのスピンドルに直接連結される、周波数制御されたモータによる動力化を有する必要性を伴う。さらにまた、(通常は、非常に迅速な取替えシーケンスを有する必要性のために特に使用される「リボルバ」タイプの)巻取り群と同一の構成は、リールスピンドルの外側の回転中心に対するリールスピンドルの相対的な回転を強要する。
【0006】
これは、個々のリールの個々のスピンドルに連結されるモータを有し、前記回転中心のまわりを回転させる必要性に至る可能性がある。
【0007】
この種の実施形態は、上記モータのすべての制御部分(周波数バリエータ、制御CPU、リモートスイッチなど)の、リールの外側に回転中心を有する軸において組み立てられる回転プレート上での組立てを示す。
【0008】
この配置は、これらの構成要素に、またモータ自体に信号および供給電力を伝達するために、(通常は水銀タイプの)回転接合を使用する必要性に至る。
【0009】
この構成は結果的に、特にこの場合(最大800m/分以上)のように非常に高速時に、かなり大きくそして有害な振動を有する非常に高い危険性を伴う。
【0010】
これらの振動は、システムの回避不能な不均衡によって引き起こされる。実際、このようなシステムは、一方では、上記構成要素によって示されるかなりの一定重量を有し、機械の支持構造に対して片持ちにされて不可避的に組み立てられる。他方で、システムは、第2の均一なかなりの重量を有するが、それは作動段階の間、非常に可変であり、巻き取られるボビンによって示されるリールの個々のスピンドルに対するバランスも失う。
【0011】
本発明の一般的な目的は、非常に単純で、経済的で、そして特定の機能的な方法で、既知の技術の上記欠点を解決することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、フレームに対して回転する重い片持ち構成要素を有しない、ボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械におけるリールの動力化群を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、特に回転部分における重量の配置の変化による振動を排除する、ボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械におけるリールの動力化群を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的に鑑み、本発明によると、添付の特許請求の範囲に記載される特徴を有する、ボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械におけるリールの動力化群が考えられる。
【0015】
本発明の構造的特徴および機能特徴、ならびに既知の技術に関する利点は、本発明に従って作成されるボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械におけるリールの動力化群の実施形態を示す添付図面を参照して、以下の説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によって作成される、ボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械におけるリールの動力化群を備える巻取り機械の部分を示す概略立側面図である。
【
図2】
図1のいくつかの部分の拡大図であり、より良好な理解のために部分的に断面図として示されており、個々のモータのそれぞれのリールおよびスピンドルへの連結を示す。
【
図3】本発明によって作成される、ボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械におけるリールの動力化群の側面図である。
【
図4】本発明の動力化群の部分を形成する、3本の同軸のシャフトを有する中央デフレクタユニットの拡大断面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に
図1を参照すると、これは、主に本発明によって作成されるリールの動力化群90を備える領域における、ボビン上へのプラスチックフィルムの巻取り機械の一部を示す概略立側面図を示す。
【0018】
リールの動力化群90は、巻取り機械のフレームの肩部を形成する2つの垂直支柱12、13からなる構造の外側に配置される。
【0019】
第1の支柱12は、第2の支柱13によってその他の端部で支持される中央シャフト15を、回転支持プレート14上で片持ち支持する。
【0020】
中央シャフト15のまわりを回転するプレート14は、巻取りリールを完全なものにする、互いに対して120°の間隔で配置される3本のスピンドル、16、17、および18も支持する。
【0021】
このシステムは、リールの総数(例では3であるが、一般に2〜4の間で変えることができる)と同じ回数、繰り返される。
【0022】
図は、3つのリール16、17、および18の示される例において、スピンドル16、17、および18の独立した回転運動のための3台のモータ86、86’、および86’’を存在させる方法を示す。第1の支柱12のブラケット87の例において、3台のモータ86、86’、および86’’は機械のフレームに固定される。
【0023】
実際、本発明は、特に上記の振動および欠点を防止するための、すなわち、機械の支持構造に確実に固定される、固定位置でのリールのモータおよび関連する指揮制御構成要素の組立てによる、「静的な」解決方法を提案する。
【0024】
これは、存在するリールのスピンドル16、17、および18のすべてへのベルトによって、個別のモータ86、86’、および86’’から来る動きを伝えるために、中央シャフト15と一列に並べられる、中央デフレクタユニット83を考える新しく独創的な解決方法のために実現できる。
【0025】
図2は、そのスピンドル16を有する単一のリール、ならびに、本発明によって作成されるリールの動力化群90および上記の中央デフレクタユニット83の配置の部分によるその機能的原理を、非常に明確に示す。
【0026】
例において、モータ86は、このリールのスピンドル16の回転運動を実現する。実際、プーリ88はモータ86のシャフトに挿入され、歯付ベルト89を制御する。
【0027】
モータ86のシャフトに挿入されるこのプーリ88は、シャフト15の延長部分92の軸上に組み立てられるプーリ91への歯付ベルト89によって順番に連結される。より詳細には、機械の構造または第1の支柱12の外側で、すでに述べたように、リールのスピンドルを支持する回転プレート14の回転中心を形成する、中央シャフト15と一列に並べられる中央デフレクタユニット83が存在する。
【0028】
特に、プーリ91は、中央デフレクタユニット83のシャフト93上へ、一体的に挿入される。さらなるプーリ94も、中央デフレクタユニット83の前記シャフト93上へ挿入され、次に、その他の端部で上記リールのスピンドル16の延長部分に挿入されるプーリ96上に巻き取られる歯付ベルト95の端部を支配する。
【0029】
本発明による上記のリールの動力化群90およびデフレクタユニットの配置のこの部分は、(示されるように通常は3であるが、一般に2〜4の間で変化する)リールの総数と同じ回数、繰り返され、完全なリールの動力化群を形成する。
【0030】
示される実施形態において、拡大断面詳細図である
図4で明確に明らかであるように、中央デフレクタユニット83は3本の同軸のシャフトを有する。
【0031】
図において、説明および図示される別個のスピンドル16、17、および18については、添字なしあるいは1つまたは2つの添字(’)などが付いた参照番号が使用されている。
【0032】
3本の同軸シャフトを有する前記中央デフレクタユニット83は、スピンドル16、17、および18を支持する回転プレート14のより簡単な回転を、フレームの肩部12に固定されるモータ86、86’、86’’と逆に回転プレート14上に存在するリール16、17、および18との間の別個の接続ベルト89、89’、89’’および95、95’、95’’について何も問題なく、可能にする。
【0033】
同軸シャフト93、93’、および93’’は中空であり、延長部分92に対して往復の独立した回転を可能にするように、エンドベアリング99、99’、および99’’を挿入して中央シャフト15の延長部分92に設置される。
【0034】
図4は、第1のモータ86から来る動きの伝達と協働する2つの歯付エンドプーリ91および94を配置し、第1のシャフト93の両端部でボルト100によって固定されて、同軸に向けられる、この中央デフレクタユニット83が、どのように作られるかを示す。第1のシャフト93は、他のシャフトより小さい外径と、延長部分92の外径よりわずかに大きい内径とを有する。エンドベアリング99は、モータ86の回転の間、プーリ91および94および中空のシャフト93のより簡単な回転を可能にする。同様に中空であり、回転を可能にするエンドベアリング99’によって支持される第2のシャフト93’は、第1のシャフト93の中間領域の上に設置される。この第2の中空シャフト93’は、両端部でボルト100’によって固定され、第2のモータ86’によって与えられる回転を伝えるプーリ91’および94’を支持する。
【0035】
最後に、第3のシャフト93’’は中空であり、より大きな内径を有し、第2のシャフト93’の外面上で回転することができる。この第3のシャフト93’’も、ボルト100’’で両端部に固定され、第3のモータ86’’によって与えられる回転を伝えることを可能にするプーリ91’’および94’’を支持する。
【0036】
3本の同軸のシャフトによるこの配置は、本発明の動力化群の部分を形成して、フレームの支柱12の外側の方へ片持ちにされ、動きのより簡単な伝達を可能にする。
【0037】
示されるように、ベアリング99、99’、および99’’は、中空シャフト93、93’、および93’’上に連続的に設置されるさまざまなプーリ91および94、91’および94’、ならびに91’’および94’’の本体に位置する形づくられたキャビティ101に収容される。
【0038】
図3は、(上でも述べられた)3つのリールおよび関連する独立したスピンドルを有する実施形態に関する例を明確に示し、それぞれは、前で述べられて列挙された要素を備え、それらによって特徴づけられる。
【0039】
特に、ベルト張力付与装置97(すなわち「案内車」)がこの
図3に示され、それは同軸シャフトを有する中央デフレクタユニット83のプーリとスピンドル16、17、および18に挿入されたプーリとの間の歯付伝動ベルトの正確な張力付与を保証するために好適である。また、これらのベルト張力付与装置は、要素が組み立てられるときに正常な構築許容値によって不可避的に形成される、または、記載されるシステムに含まれる伝達構成要素の消耗によって生成される可能性のある間隙を埋め合わせるのにも役立つ。
【0040】
同じように、同軸シャフトを有する中央デフレクタユニット83のプーリとモータ86、86’、86’’に挿入されたプーリとの間に設置される歯付伝動ベルトについては、位置決め装置98、たとえば
図3にも示されるねじを考えることができる。
【0041】
このように、たとえば、同軸シャフトを有する中央デフレクタユニット83は、シャフト15の延長部分92の軸において、より大きい直径を有するシャフト93に加えて、シャフト93と同軸で、より小さい直径を有する、さらなるシャフト93’および93’’も考える。
【0042】
このように、シャフト93’は、モータ86’で駆動された、ベルト89’および95’による、たとえばスピンドル17への動きの伝達のために挿入された2つのプーリ91’および94’も支持する。
【0043】
この配置は、プーリ96’’が挿入されているスピンドル18のためにも繰り返され、それはシャフト93’’に配置されるプーリ94’’によって順に駆動されるベルト95’’からの動きを受ける。このシャフト93’’は、モータ86’’のシャフトに直接挿入されるプーリ88’によって制御される歯付ベルト89’によって順番に駆動される、別の挿入されたプーリ91’’を支持する。
【0044】
したがって、本発明によると、リールのスピンドルの駆動モータはフレームに固定され、この配置は任意の振動の生成を防止する。実際、関連する回転質量は、リールのスピンドルの位置における変化を示さない。
【0045】
巻取り機械は結果的に、フィルムが巻き取られるボビンの可変サイズによって形成される回転錘の変化ともよくバランスがとれていて、作動可能である。
【0046】
したがって、説明の導入部で言及された目的が実現される。
【0047】
本発明の群を作成するための構造の形態、さらに材料および組立てモードは、単に例示的かつ非限定的な目的のために図面に示されるものと、明らかに異なることができる。
【0048】
したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。