特許第6558601号(P6558601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6558601開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558601
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/18 20060101AFI20190805BHJP
   B65H 59/38 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   D02J1/18 Z
   D02J1/18 A
   B65H59/38 A
   B65H59/38 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-136975(P2017-136975)
(22)【出願日】2017年7月13日
(65)【公開番号】特開2019-19418(P2019-19418A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】399126134
【氏名又は名称】株式会社ハーモニ産業
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【弁理士】
【氏名又は名称】中出 朝夫
(72)【発明者】
【氏名】新河戸 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】杉吉 康二
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/015184(WO,A1)
【文献】 特表2007−518890(JP,A)
【文献】 特開2002−53266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G1/00−3/48
D02J1/00−13/00
B65H59/00−59/40
D01G1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行する複数本の強化繊維束(F・F…)がそれぞれ開繊されてシート体が形成される開繊装置において、各強化繊維束(F)毎に独立して張力を調整可能な機構であって、
全ての強化繊維束(F)の進行方向の前後に、回転数が相異なる低速ロール(1)と高速ロール(2)とが横断的に配設され、かつ、各強化繊維束(F)毎に低速ロール(1)または高速ロール(2)の何れか一方の表面に圧接可能なニップロール(3・3…)が配設されている一方、
前記高速ロール(2)の下流側には、強化繊維束(F)の張力を検出可能なセンサー(4・4…)が各強化繊維束(F)毎にそれぞれ配設されており、
このセンサー(4)からの信号により、前記低速ロール(1)または高速ロール(2)の何れか一方の表面にニップロール(3)が選択的に圧接されることによって、当該強化繊維束(F)の走行速度が増減して張力が調整可能であって、
かつ、前記センサー(4)の下流側には、空気流により強化繊維束(F)が開繊可能な風洞装置(5)が配設されており、
この風洞装置(5)の下流側には、シート状に開繊された強化繊維束(F)が引き取られる引取ロール(6)が配設されており、
前記低速ロール(1)と高速ロール(2)と引取ロール(6)との全ての回転軸に、単一のモータ(7)のトルクが同時に伝達されて、一定の回転比で連動可能であることを特徴とする開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構。
【請求項2】
低速ロール(1)と高速ロール(2)との外周が同径であって、かつ、各ロールの回転軸には歯数の異なる歯車がそれぞれ配設されており、
モータ(7)のトルクが伝達体(71)を介して前記各歯車に同時に伝達されることによって一定の回転比で連動可能であることを特徴とする請求項1記載の開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構。
【請求項3】
ニップロール(3)が、圧接体(31・31)が連結されて構成されており、低速ロール(1)または高速ロール(2)の外周面を選択的に圧接可能であることを特徴とする請求項1または2記載の開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構。
【請求項4】
高速ロール(2)の下流側には、ダンサーロール(41・41…)が各繊維束毎に独立して配設されており、このダンサーロール(41)の上下位置によって、センサー(4)が張力を検出可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開繊装置の改良、更に詳しくは、単一のモータで簡素に構成されており、強化繊維束の張力を独立して高精度に制御することができる開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FRPの中間材料であるプリプレグシートを製造するために、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維等のフィラメント数の多い強化繊維束を、風洞装置の空気流によって幅広に開繊してシート状に形成する開繊装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる開繊装置において、並行する複数の強化繊維束を同時に開繊して、部位によって粗密(開繊ムラ)のない所定幅のシートを得るためには、各強化繊維束の張力が一定になるように走行させる必要があり、その精度を上げるためには、各強化繊維束毎に独立して張力を調整することが好ましい。
【0004】
しかしながら、このように独立して張力を調整するためには、送り出すローラの回転速度をそれぞれに制御するため、それぞれにモータを配設する必要があるため、同期させるのが困難であって、十分な精度が出せないとともに、製造コストが不可避的に嵩んでしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−9357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の開繊装置に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、単一のモータで簡素に構成されており、強化繊維束の張力を独立して高精度に制御することができる開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、並行する複数本の強化繊維束F・F…がそれぞれ開繊されてシート体が形成される開繊装置において、各強化繊維束F毎に独立して張力を調整可能な機構であって、
全ての強化繊維束Fの進行方向の前後に、回転数が相異なる低速ロール1と高速ロール2とを横断的に配設して、かつ、各強化繊維束F毎に低速ロール1または高速ロール2の何れか一方の表面に圧接可能なニップロール3・3…を配設する一方、
前記高速ロール2の下流側には、強化繊維束Fの張力を検出可能なセンサー4・4…を各強化繊維束F毎にそれぞれ配設して、
このセンサー4からの信号により、前記低速ロール1または高速ロール2の何れか一方の表面にニップロール3を選択的に圧接することによって、当該強化繊維束Fの走行速度が増減して張力が調整可能であって、
かつ、前記センサー4の下流側には、空気流により強化繊維束Fが開繊可能な風洞装置5を配設し、
この風洞装置5の下流側には、シート状に開繊された強化繊維束Fが引き取られる引取ロール6を配設して、
前記低速ロール1と高速ロール2と引取ロール6との全ての回転軸に、単一のモータ7のトルクが同時に伝達されて、一定の回転比で連動可能にするという技術的手段を採用したことによって、開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構を完成させた。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、低速ロール1と高速ロール2との外周を同径にして、かつ、各ロールの回転軸には歯数の異なる歯車をそれぞれ配設して、
モータ7のトルクが伝達体71を介して前記各歯車に同時に伝達されることによって一定の回転比で連動可能にするという技術的手段を採用することができる。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ニップロール3を、圧接体31・31を連結して構成して、低速ロール1または高速ロール2の外周面を選択的に圧接可能にするという技術的手段を採用することができる。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、高速ロール2の下流側には、ダンサーロール41・41…を各繊維束毎に独立して配設して、このダンサーロール41の上下位置によって、センサー4が張力を検出可能にするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、全ての強化繊維束の進行方向の前後に、回転数が相異なる低速ロールと高速ロールとを横断的に配設して、かつ、各強化繊維束毎に低速ロールまたは高速ロールの何れか一方の表面に圧接可能なニップロールを配設する一方、前記高速ロールの下流側には、強化繊維束の張力を検出可能なセンサーを各強化繊維束毎にそれぞれ配設したことによって、
このセンサーからの信号により、前記低速ロールまたは高速ロールの何れか一方の表面にニップロールを選択的に圧接することによって、当該強化繊維束の走行速度が増減して張力が調整可能である。
【0013】
また、前記センサーの下流側には、空気流により強化繊維束が開繊可能な風洞装置を配設し、この風洞装置の下流側には、シート状に開繊された強化繊維束が引き取られる引取ロールを配設して、前記低速ロールと高速ロールと引取ロールとの全ての回転軸に、単一のモータのトルクが同時に伝達されることによって、一定の回転比で連動させることができる。
【0014】
したがって、本発明の開繊装置におけるニップ切替式張力調整機構によれば、単一のモータで簡素に構成されており、強化繊維束の張力を独立して高精度に制御することができることから、開繊ムラの少ない高品質な開繊シートを得ることができる。
【0015】
また、回転機構同士の同期を正確に簡単に図ることができるため、装置の製造コストを軽減し、メンテナンスも容易になることから、産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態のニップ切替式張力調整機構を表わす概略側面図である。
図2】本発明の実施形態のニップ切替式張力調整機構を表わす概略上面図である。
図3】本発明の実施形態のニップロールを表わす側面図である。
図4】本発明の実施形態のニップロールを表わす側面図である。
図5】本発明の実施形態のニップロールの変形例を表わす側面図である。
図6】本発明の実施形態のニップロールの変形例を表わす側面図である。
図7】本発明の実施形態のニップロールの変形例を表わす側面図である。
図8】本発明の実施形態の伝達体の変形例を表わす側面図である。
図9】本発明の実施形態の伝達体の変形例を表わす側面図である。
図10】本発明の実施形態のニップ切替式張力調整機構を複数連結した状態を表わす概略側面図である。
図11】本発明の実施形態のニップ切替式張力調整機構を複数連結した状態を表わす概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図1から図11に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものは低速ロールであり、符号2で指示するのは高速ロールである。これらのロールは表面の円周曲面にウレタン等の摩擦部材を有する部材であって、「高速」「低速」とは、これら前後一対の低速ロール1と高速ロール2との単位時間あたりの回転数の相対的な差を示すものである。
【0018】
また、符号3で指示するものはニップロールであり、このニップロール3は、ローラー式の圧接体31を採用することができ、例えば、昇降操作によって前記ロール表面に圧接させることができる。
【0019】
更にまた、符号4で指示するものはセンサーであり、このセンサー4は、強化繊維束Fの張力を計測する装置である。
【0020】
更にまた、符号5で指示するものは風洞装置であり、この風洞装置5は、強化繊維束Fを空気流によって開繊する装置である。
【0021】
更にまた、符号6で指示するものは引取ロールであり、この引取ロール6は、上下一対のロールにより強化繊維を挟持して、ロール回転により移送することができる。
【0022】
更にまた、符号7で指示するものはモータであり、このモータ7は、電動式の回転駆動装置である。
【0023】
しかして、本発明は、並行する複数本の強化繊維束F・F…がそれぞれ開繊されてシート体が形成される開繊装置において、各強化繊維束F毎に独立して張力を調整可能な機構である。これら強化繊維束Fは各ボビンから解舒されて供給され、強化繊維の種類としては、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維等を採用し、原糸のフィラメント数は数千本(数K)〜数万本(数十K)のものを採用する。
【0024】
そして、全ての強化繊維束Fの進行方向の前後に、回転数が相異なる低速ロール1と高速ロール2とを横断的(直交方向)に配設する(図2参照)。なお、「低速」「高速」とは、これらのロールの回転速さの相対的な違いをいい、ある回転数以上あるいは回転数以下を示すものではない。
【0025】
本実施形態では、かかるロール回転数の差異を設けるために、低速ロール1と高速ロール2との外周を同径にして、かつ、各ロールの回転軸には歯数の異なる歯車をそれぞれ配設することができる。こうすることによって、低速ロール1と高速ロール2とのロール部分には同一材料を使用することができる。
【0026】
また、モータ7のトルクが伝達体71(本実施形態では、歯付ベルト)を介して前記各歯車に同時に伝達されることによって一定の回転比で連動させることができる。この際、歯付ベルトと歯車との噛合により、スリップが防止して回転比を高精度で確実に維持することができる。
【0027】
なお、低速ロール1と高速ロール2と引取ロール6との回転速度の関係は、低速ロール1<引取ロール6<高速ロール2とする必要があり、低速ロール1:引取ロール6:高速ロール2の回転速度の比率は、0.95以上:1:1.05以下程度が好ましい。
【0028】
そして、各強化繊維束F毎に低速ロール1または高速ロール2の何れか一方の表面に圧接可能なニップロール3・3…が配設されている。本実施形態では、低速ロール1および高速ロール2の上方にそれぞれ圧接体31を設け、各圧接体31の昇降運動によって、選択的に圧接することができる。
【0029】
また、前記高速ロール2の下流側には、強化繊維束Fの張力を検出可能なセンサー4・4…が各強化繊維束F毎にそれぞれ配設されている。このセンサー4は、強化繊維束Fの張力や速度を直接的に計測するものを採用することもできるが、本実施形態では、高速ロール2の下流側には、ダンサーロール41・41…を各繊維束毎に独立して配設して、このダンサーロール41の上下位置によって、張力を検出するものを採用する。ダンサーロール41は糸の張力が低い場合には重りが下降し、高い場合には重りが上昇する公知の張力差吸収構造である。
【0030】
次いで、このセンサー4からの信号により、前記低速ロール1または高速ロール2の何れか一方の表面にニップロール3が選択的に圧接されることによって、当該強化繊維束Fの走行速度が増減して張力が調整可能である。即ち、張力が設定値よりも低い場合には、ニップロール3が低速ロール1の表面を圧接することによって、低速ロール1と引取ロール6と間の糸は上流側が速くなるため(引っ張られて)糸の張力を高くすることができ、逆に、張力が設定値よりも高い場合には、ニップロール3が高速ロール2の表面を圧接することによって、高速ロール2と引取ロール6と間の糸は下流側が速くなるため(押し出されて)糸の張力を低くすることができる。
【0031】
そして、前記センサー4の下流側には、空気流により強化繊維束Fが開繊可能な風洞装置5が配設されている。本実施形態では、下方への吸引空気流を発生させる構造のものを採用する。また、本実施形態では、開繊部に対応して(例えば100℃程度の)熱風を強化繊維束Fに吹き付けて加熱する加熱機構8を設けることができる。この際、加熱効率を上げるために、高温雰囲気下の筐体内部を通過させながら吹き付けることもできる。このようにして、開繊される強化繊維束Fを加熱することによって、強化繊維束Fに付着したサイジング剤を軟化させることができる。そのため、拡張領域では繊維が容易に解きほぐされるようになり、開繊領域では繊維が均一に分散されるようになる。なお、加熱機構8は熱風式に限らず加熱加圧ロール等を採用しても良い。
【0032】
この風洞装置5の下流側には、シート状に開繊された強化繊維束Fが引き取られる引取ロール6が配設されており、通常はこの引取ロール6にモータ7を連結して回転駆動させる。
【0033】
そして、前記低速ロール1と高速ロール2と引取ロール6との全ての回転軸に、単一のモータ7のトルクが同時に伝達されて、一定の回転比で連動することができる。こうすることにより、動力源を簡素化してコストダウンが図れるとともに、回転の同期を確実に取ることができるため、張力制御を容易に行うことができる。
【0034】
次に、本実施形態の変形例として、図3および図4に示すように、ニップロール3を、圧接体31・31を(ヒンジ32で)連結して構成して、低速ロール1または高速ロール2の外周面を選択的に圧接可能にすることができる。こうすることによって、一方が上昇するとヒンジ32を介して他方が下降するためレスポンスが早く、また、誤って両方のロールを圧接して糸を損傷するのを防止することができる。更に、図5に示すように、例えば、一方の圧接体31を付勢する付勢手段33を設けることにより、圧接動作に必要な動力を一つにして装置を簡素化することができる。
【0035】
更にまた、本実施形態では、図6および図7に示すように、ニップロール3を、ヒンジ32を支軸とする圧接体31を揺動することによって、低速ロール1または高速ロール2の何れか一方の表面を選択的に圧接することもできる。この場合、低速ロール1と高速ロール2との間隔をできるだけ小さくすることで圧接体31の移動時間を短縮して、切替操作を迅速に行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態におけるモータ7のトルクの伝達体71は、図8に示すように、歯車を採用することも可能であり、更には、図9に示すように、複数本の歯付ベルトによる伝達体71であっても良く、更にまた、図示しないが、歯車と歯付ベルトとを、適宜、組み合わせることもできる。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように構成されたニップ切替式張力調整機構を、図10および図11に示すように、前後に複数個配置することができる。この場合、上流側の風洞装置5を通過した強化繊維束Fは、所謂「予備開繊」の状態であって、所定の精度まで開繊されており、下流側で改めて同工程を行うことによって、開繊ムラの極めて少ない高品質な開繊シートを得ることができるのである。
【0038】
この際、上流側の張力調整機構における低速ロール1A、高速ロール2A、引取ロール6Aの回転速度と、下流側の張力調整機構における低速ロール1B、高速ロール2B、引取ロール6Bの回転速度との関係は、それぞれの張力調整機構において1A<6A<2A、1B<6B<2Bにするとともに、少なくとも6A<6Bにする必要がある。
【0039】
なお、下流側に設置されるニップ切替式張力調整機構においては、予備開繊された強化繊維束Fの幅に応じて、圧接体31等のサイズも変更することができる。強化繊維束Fは所定幅に広がっているが、供給元のボビンは同一であるため張力のバラツキはない。
【0040】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、ロール回転数の差異を設けるために、低速ロール1の外周径を高速ロール2の外周径よりも大きくすることによって、表面の速度差を生じさせることができる。
【0041】
また、低速ロール1と高速ロール2との外周を同径にした場合にあっては、各ロールの回転軸に歯数の異なる歯車をそれぞれ配設することに限らず、各ロールの回転軸に異径のプーリをそれぞれ配設して表面の速度差を生じさせることもできる。
【0042】
更にまた、モータ7は、前記低速ロール1と高速ロール2と引取ロール6との全ての回転軸に、トルクを同時に伝達できるものであれば、必ずしも引取ロール6に連結する必要はなく、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0043】
1(1A・1B) 低速ロール
2(2A・2B) 高速ロール
3 ニップロール
31 圧接体
32 ヒンジ
33 付勢手段
4 センサー
41 ダンサーロール
5 風洞装置
6(6A・6B) 引取ロール
7 モータ
71 伝達体
8 加熱機構
F 強化繊維束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11