特許第6558628号(P6558628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558628
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】作業シート保管ケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/25 20060101AFI20190805BHJP
   B65D 33/14 20060101ALI20190805BHJP
   B65D 33/16 20060101ALI20190805BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20190805BHJP
   A45C 13/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B65D33/25 A
   B65D33/14 Z
   B65D33/16
   A45C11/00 X
   A45C13/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-67573(P2015-67573)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185822(P2016-185822A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】川田 茂弘
(72)【発明者】
【氏名】杉原 晶子
(72)【発明者】
【氏名】喜代濱 進一
(72)【発明者】
【氏名】柳井 裕司
(72)【発明者】
【氏名】内田 章文
(72)【発明者】
【氏名】土井 敏幸
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−179086(JP,A)
【文献】 特開平06−099991(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3181456(JP,U)
【文献】 特開2007−246119(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3063420(JP,U)
【文献】 特開平10−243806(JP,A)
【文献】 実開昭61−019324(JP,U)
【文献】 特開2001−206457(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3050287(JP,U)
【文献】 特表2003−502222(JP,A)
【文献】 特開2005−212856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
A45C 11/00
A45C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のシート体からなり開口を有する袋体と、
この袋体の開口縁又はその近傍に設けられる雌雄咬合型の第1の線ファスナと、
この第1の線ファスナの設置位置よりも前記袋体の内側に配設される雌雄咬合型の第2の線ファスナと、
前記袋体の側縁近傍で、かつ、前記第1の線ファスナと前記第2の線ファスナの間において、前記シート体の重なり部を貫通してなる孔と、
前記孔の周縁を支点にして前記袋体を吊下げ保持した場合に、前記第1の線ファスナと前記第2の線ファスナの間で、かつ、前記孔から可能な限り離れた鉛直下方側の前記シート体に形成される少なくとも1つの水抜き孔と、を備えることを特徴とする作業シート保管ケース。
【請求項2】
合成樹脂製のシート体からなり開口を有する袋体と、
この袋体の開口縁又はその近傍に設けられる雌雄咬合型の第1の線ファスナと、
この第1の線ファスナの設置位置よりも前記袋体の内側に配設される雌雄咬合型の第2の線ファスナと、を備え、
前記第1の線ファスナと前記第2の線ファスナの間に配される前記シート体はメッシュ材からなることを特徴とする作業シート保管ケース。
【請求項3】
前記第1の線ファスナと前記第2の線ファスナとの間に配される前記シート体は、他の領域のシート体よりも厚い、又は、その表面又は内部に補強材を備えている、又は、補強構造を備えている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業シート保管ケース。
【請求項4】
前記第1の線ファスナは、スライダを備えて咬合するスライダ付線ファスナであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の作業シート保管ケース。
【請求項5】
前記スライダの占有領域を除く前記開口の幅は、前記開口を通過する作業シートの一辺の長さよりも大きいことを特徴とする請求項4記載の作業シート保管ケース。
【請求項6】
前記第1の線ファスナと前記第2の線ファスナは前記袋体の周囲のうち連続する半周囲に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の作業シート保管ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用設備等において設備の保守点検に用いられる作業シートの出し入れを容易にしつつ、湿気や雨水から作業シートを保護することができ、その構造が極めてシンプルな作業シート保管ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電用設備の系統操作を行う際に、作業票補助標識(作業シート)を準備し、それを発電用設備におけるバルブ等の操作対象に紐等により吊り下げて(以下、この作業を札掛けとよぶ)、操作忘れを防止するための注意喚起を行っている。
より具体的な作業内容としては、系統操作後の系統復旧時に、上記作業シートが札掛けされたバルブ等を元の状態に戻してから、バルブ等に吊り下げられる作業票補助標識(作業シート)を回収し、最終的に回収された作業票補助標識の数が予め準備した作業票補助標識の数と同じであることを確認することで、操作対象の操作忘れの有無を確認している。
また、発電用設備の定期点検や工事の際にもこの札掛け作業を行うため、作業票補助標識(作業シート)は、通常、屋外で長期間雨曝しになる。
また、特定の操作対象に割り当てられる作業票補助標識(作業シート)が、1枚でない場合もあった。
【0003】
通常、作業票補助標識(作業シート)は、操作内容等をプリントアウトした紙であり、この紙には防水加工等が施されていないので、個々の作業シートを、防水性を有するケースに入れて、雨水等から保護してやる必要があった。
従来、上述のような作業シートの保護ケースとして繰り返し使用が可能な、スライダ付線ファスナを備える袋体を用いていた。また、この場合、この袋体を操作対象であるバルブ等に吊り下げ保持する必要性から、この袋体に紐等を取り付ける必要があった。
ところが、このようなスライダ付線ファスナを備える袋体は、紐等を取り付けるのに適した構成を備えていない。
このため、作業現場では、スライダ付線ファスナを備える袋体の縁部に貫通孔を形成して、紐等の掛着具を取り付けて使用していた。しかしながら、この貫通孔から袋内に雨水が侵入して、作業シートが損傷するなどの不具合が生じ、作業の妨げになっていた。
【0004】
本発明と同じ解決すべき課題を有する先行技術文献は現時点では発見されていないが、関連する技術分野の先行技術としては、特開2002−179086号公報(特許文献1)や、特開2009−120240号公報(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−179086号公報
【特許文献2】特開2009−120240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、スライダ付線ファスナと線ファスナの両者を備える袋体が開示されているものの、この袋体を吊り下げ保持することについては想定されていない。
また、特許文献2には、線ファスナと孔を備えた袋体が開示されているので、特許文献2に開示される発明を用いれば、本発明の目的を達成できるとも考えられる。しかしながら、特許文献2に開示される発明を本発明の代替品として用いる場合は、以下に示すような不具合が生じることが予測される。
特許文献2に開示される発明は、そもそも商品を陳列し、販売する際に使い切りを前提として用いられる袋体である。従って、本発明のような繰り返しの使用にはそもそも適していない。
この点をより具体的に説明すると、特許文献2に開示される発明では、袋体の開口に配されるシート体を折り返して開口を閉止する構造であるため、その開閉作業が煩雑であった。しかも、開口の封止には接着剤が用いられているため、経時変化に伴い接着剤の接着力が低下して、最終的には開口を封止できなくなることが予測される。さらに、特許文献2に開示される発明の場合は、開口近傍に形成される孔はその周囲に補強部材あるいは補強構造を何ら備えていないので、使用開始後ほどなく孔が広がったり、孔が引きちぎれる等の不具合が生じることが予測される。
従って、特許文献2に開示される発明の場合は、利便性が低く、かつ、十分な耐久性も備えていなかった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、シンプルな構成で袋体内に収容される紙片を湿気や雨水から確実に保護することができ、この袋体を吊り下げ保持しておくための紐等の掛着具を取り付け可能で、その際に掛着具による袋体の破損が起こり難く、しかも、開口を繰り返し開閉させても開口の変形や破損が起き難い作業シート保管ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため第1の発明である作業シート保管ケースは、合成樹脂製のシート体からなり開口を有する袋体と、この袋体の開口縁又はその近傍に設けられる雌雄咬合型の第1の線ファスナと、この第1の線ファスナの設置位置よりも袋体の内側に配設される雌雄咬合型の第2の線ファスナと、を有し、袋体は、その側縁近傍で、かつ、第1の線ファスナと第2の線ファスナの間に、シート体の重なり部を貫通してなる孔を備えることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、袋体は作業シートを収納保持するという作用を有する。また、袋体の開口は、作業シートを袋体に出し入れ可能にするという作用を有する。さらに、袋体の開口縁から奥まった位置に配設される第2の線ファスナは、開閉可能に袋体を封止するという作用を有する。
また、上記第2の線ファスナよりも開口縁寄りに取設される第1の線ファスナは、開口縁を開閉させるという作用を有する。さらに、第1の線ファスナは、袋体のより内側に配される第2の線ファスナの意図しない開放を抑制するという作用を有する。
また、第1の線ファスナと第2の線ファスナの間に配されるシート体の重なり部に孔を形成することで、袋体内への雨水等の侵入を防止しながら、袋体に、例えば、紐等の掛着具を直接着脱可能にするという作用を有する。この場合、袋体に紐等の掛着具を取設するためのループ等の構成を付加する必要がなくなる。
さらに、この場合、孔の周囲に第1の線ファスナ及び第2の線ファスナが配されることで、使用時の孔の変形や、孔の周囲のシート体が引きちぎれるのを妨げるという作用を有する。
【0009】
第2の発明である作業シート保管ケースは、第1の発明であって、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体は、他の領域のシート体よりも厚い、又は、その表面又は内部に補強材を備えている、又は、補強構造を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、第1の発明と同じ作用に加えて、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体の強度を向上させるという作用を有する。また、シート体の強度が向上する領域に孔が形成されるので、使用時の孔の変形や、孔の周囲のシート体が引きちぎれるという不具合が生じるのをより確実に抑制するという作用を有する。この結果、第2の発明の耐久性を一層向上させるという作用を有する。
【0010】
第3の発明である作業シート保管ケースは、第1又は第2の発明であって、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体は、少なくとも1つの水抜き孔を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、第1又は第2の発明と同じ作用に加えて、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体に形成される水抜き孔は、孔から浸入する雨水を、袋体の外に排出するという作用を有する。
なお、この水抜き孔は、第3の発明を所望の位置に吊り下げ保持した場合に、孔よりも可能な限り離れた鉛直下方側に形成するとよい。
このような第3の発明によれば、孔から雨水が浸入しても水抜き孔から排出できるので、線ファスナを開放した際に、袋体内に水が浸入するのを防止できる。
【0011】
第4の発明である作業シート保管ケースは、第1乃至第3のいずれかの発明であって、第1の線ファスナは、スライダを備えて咬合するスライダ付線ファスナであることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、第1乃至第3のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、スライダが確実に線ファスナを咬合あるいは開放するように作用する。
【0012】
第5の発明である作業シート保管ケースは、第4の発明であって、スライダの占有領域を除く開口の幅は、開口を通過する作業シートの一辺の長さよりも大きいことを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、第4の発明と同じ作用に加えて、スライダの占有領域を除く開口の幅を、開口を通過する作業シートの一辺の長さよりも大きく設定しておくことで、作業シートの開口の通過をスムーズにするという作用を有する。
【0013】
第6の発明である作業シート保管ケースは、第1乃至第4のいずれかの発明であって、第1の線ファスナと第2の線ファスナは袋体の周囲のうち連続する半周囲に設けられることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、第1乃至第4のそれぞれの発明と同じ作用に加えて、第1の線ファスナと第2の線ファスナが袋体の周囲のうち連続する半周囲に設けられることで、広く開閉するように作用する。
【発明の効果】
【0014】
上述のような第1の発明によれば、袋体への掛着具の着脱が可能で、袋体内への雨水の侵入を確実に防止でき、この袋体内への作業シートの出し入れが容易な作業シート保管ケースを提供することができる。
特に、第1の線ファスナと第2の線ファスナの間に配されるシート体に孔を形成することで、結果的に、孔の周囲が第1の線ファスナ及び第2の線ファスナにより補強されることになる。このため、孔に掛着具を取設した場合に、孔が広がる(変形する)、孔が引きちぎれる等の不具合が起き難くなる。
また、第1の発明によれば、第1の線ファスナと第2の線ファスナを備える既存の密封容器体における、第1の線ファスナと第2の線ファスナの間に配されるシート体を貫通する孔を形成するだけで、上述のような独自の効果を有する作業シート保管ケースを構成することができる。
この場合、その製造時に、第1の線ファスナと第2の線ファスナを備える既存の密封容器体に対し、掛着具を着脱可能にするループ等を取り付ける等のパーツの追加が必要ないので、その構造をシンプルにできるだけでなく、第1の発明の製造コストを廉価にできるというメリットもある。
また、第1の発明は、第2の線ファスナに加えて第1の線ファスナを備えているので、第2の線ファスナで開口を封止した後、さらに、第1の線ファスナによっても袋体の開口縁を封止できる。
この場合、第1の線ファスナにより開口縁又はその近傍が閉止されることで、封止された第2の線ファスナの周囲のシート体に、第2の線ファスナの咬合を解除させるような外力が作用するのを好適に抑制できる。この結果、線ファスナによる水密性を好適に維持できる。
【0015】
第2の発明は、上述の第1の発明と同じ効果に加えて、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体の強度が増すので、袋体の開口の開閉を繰り返す場合や、孔に掛着具を取り付けて使用する場合に、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体が伸びる、裂ける等の不具合を生じるタイミングを遅延させることができる。よって、第2の発明の耐久性を向上できる。
【0016】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明と同じ効果に加えて、第1の線ファスナと第2の線ファスナとの間に配されるシート体に水抜き孔を設けることで、孔から浸入した雨水を外部に排出できる。
この結果、第3の発明における第2の線ファスナの内側の袋体内に雨水を浸入し難くすることができる。これにより、第3の発明による作業シートの保護効果を向上できる。
【0017】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、スライダが線ファスナを確実に咬合あるいは開放するので、より精度高く第1の線ファスナを咬合あるいは開放することができる。
また、第1の線ファスナとして袋体の開口縁又はその近傍に設けられる封止構造として特にスライダ付線ファスナを採用することで、袋体の開口縁を開放する際に、開口縁を引っ張って広げる必要がなくなる。この場合、第1の線ファスナと第2の線ファスナの間のシート体が伸びたり、あるいは、変形したりする恐れが少なくなる。このことは、その内側に配置される第2の線ファスナが伸びたり、あるいは、変形したりするリスクも少なくできることを意味している。よって、第1乃至第3の発明の耐久性を大幅に向上させることができる。
また、袋体の開口縁又はその近傍に設けられる封止構造として特に第1の線ファスナを採用することで、袋体の開口縁を開放する際に、開口縁を引っ張って広げる必要がなくなる。この場合、第1の線ファスナと第2の線ファスナの間のシート体が伸びたり、あるいは、変形したりする恐れが少なくなる。このことは、その内側に配置される第2の線ファスナが伸びたり、あるいは、変形したりするリスクも少なくできることを意味している。よって、第1の発明の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0018】
第5の発明は、上述の第4の発明と同じ効果に加えて、袋体の開口から作業シートを出し入れする際に、作業シートを撓ませる等、変形させる必要がない。従って、第5の発明に作業シートを出し入れする際に、作業シートを破損し難くすることができる。加えて、第5の発明への作業シートの出し入れ作業がスムーズになる。この結果、第5の発明の利便性を向上できる。
【0019】
第6の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、第1の線ファスナと第2の線ファスナが袋体の半周囲で広く開閉するので、袋体の表面積を小さくコンパクトにしても作業シートを容易に収納、交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースの側面図であり、(b)本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースの平面図である。
図2】(a)本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースのスライダ付線ファスナの咬合部の開放状態を示す断面図であり、(b)同咬合部の閉止状態を示す断面図である。
図3】(a)本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースの線ファスナの咬合部の開放状態を示す断面図であり、(b)同咬合部の閉止状態を示す断面図である。
図4】本発明の実施例2に係る作業シート保管ケースの平面図である。
図5】本発明の実施例3に係る作業シート保管ケースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る作業シート保管ケースについて図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
はじめに、図1乃至図3を参照しながら実施例1に係る作業シート保管ケースについて説明する。
図1(a)は本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースの側面図であり、図1(b)は本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースの平面図である。
図1(a),(b)に示すように、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aは、合成樹脂製のシート体2aからなり開口3を有する袋体2と、この袋体2の開口縁又はその近傍に設けられる雌雄咬合型のスライダ付線ファスナ4と、このスライダ付線ファスナ4の配設位置よりも袋体2の内側に配置される雌雄咬合型の線ファスナ5と、からなり、この袋体2は、その側縁2b近傍で、かつ、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に、シート体2aの重なり部を貫通して形成される孔6を備えるものである。
なお、袋体2は、例えば、矩形状のシート体2aを、折り返し部2cを形成しながら2つ折りにし、その側縁2b,2bを熱圧着してシール部2dを形成することで袋体2を形成してもよい。
【0023】
ここで、スライダ付線ファスナ4による開口3の閉止構造について図1,2を参照しながら説明する。
図2(a)は本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースのスライダ付線ファスナの咬合部の開放状態を示す断面図であり、図2(b)は同咬合部の閉止状態を示す断面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図1(a),(b)に示すように、スライダ付線ファスナ4は、主に線ファスナ4aとスライダ4bとにより構成されるものである。また、図2(a),(b)に示すように、スライダ付線ファスナ4における線ファスナ4aは、雌構造4a及び雄構造4aとにより構成され、これらは袋体2を構成するシート体2aの内側面に一体に固設されている。
また、雌構造4a及び雄構造4aはともに合成樹脂製であるため、これらはいずれも適度な変形性を有している。このため、図2(a)に示すように、線ファスナ4aにおける雌構造4aと雄構造4aとを向い合せて、双方を強く押し合わせることで、図2(b)に示すように、雌構造4aと雄構造4aとを咬合させることができる。
【0024】
そして、上述のようなスライダ付線ファスナ4は、雌構造4aと雄構造4aの咬合又はその解除に、スライダ4b(図1を参照)を用いるものである。
具体的には、図1(a)に示すように、スライダ4bはその内部に、雌構造4aと雄構造4aを押し合わせて咬合させる領域と、雌構造4aと雄構造4aを引離して離間させる領域を連続して備えている。
このため、上述のように構成されるスライダ4bを、図1(a)の紙面左方向にスライドさせると、線ファスナ4aは閉じた状態(図2(b)を参照)になる。また、スライダ4bが紙面左側に配される状態からスライダ4bを紙面右方向にスライドさせると、線ファスナ4aは開いた状態(図2(b)を参照)になる。
なお、図2(a),(b)では、雌構造4a及び雄構造4aを鉤状の構造体により構成する場合を例に挙げて説明しているが、雌構造4a及び雄構造4a図2(a),(b)に示される形態に特定する必要はなく、目的とする機能を発揮させることができれば図2(a),(b)に示す以外の構造でもよい。
【0025】
次に、線ファスナ5による開口3の閉止構造について図3を参照しながら説明する。
図3(a)は本発明の実施例1に係る作業シート保管ケースの線ファスナの咬合部の開放状態を示す断面図であり、図3(b)は同咬合部の閉止状態を示す断面図である。なお、図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3に示すように、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの線ファスナ5は、雌構造5a及び雄構造5aにより構成されるものである。また、雌構造5a及び雄構造5aはともに、袋体2を構成するシート体2aの内側に一体に固設されている。
また、この線ファスナ5は、上述のスライダ付線ファスナ4とは異なり、互いに向い合せに配置した雌構造5a及び雄構造5aを、使用者が、例えば、手で押し合わせて咬合させることで、袋体2の開口3を封止することができる。
また、この線ファスナ5は、雌構造5a及び雄構造5aをそれぞれ備えるシート体2aを互いに離間させることでその咬合を解除することができる。すなわち、袋体2の開口3を開放することができる。
【0026】
そして、上述のような実施例1に係る作業シート保管ケース1Aによれば、袋体2の開口3が二重の閉止構造(スライダ付線ファスナ4及び線ファスナ5)を備え、かつ、スライダ付線ファスナ4及び線ファスナ5の間のシート体2aに孔6を備えることで(図1を参照)、例えば、発電用設備のバルブ等に袋体2を吊り下げ保持するための紐等の掛着具を着脱可能に取設することができる。さらに、この場合、孔6は線ファスナ5の外側に形成されるので、袋体2内に雨水が浸入するのを確実に防止できる。
また、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aによれば、袋体2を吊り下げ保持させるための、例えば、紐9等の掛着具を着脱可能に取設するのに必要な構成は、シート体2aに穿設される孔6のみである。
この場合、袋体2に別途ループ等のパーツを付加する場合に比べて、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの製造にかかる原材料費を廉価にできるだけでなく、作業工程もシンプルにできる。
また、線ファスナを二重に備える既存の袋体をそのまま流用して実施例1に係る作業シート保管ケース1Aを製造することができる。
この場合、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの製造コストを一層廉価にできるというメリットを有する。
【0027】
さらに、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aによれば、孔6の周囲にスライダ付線ファスナ4及び線ファスナ5が配設されることで、作業シート保管ケース1Aの使用時に孔6が変形する、孔6が引きちぎれる等の不具合の発生を抑制できる。すなわち、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aによれば、袋体2の耐久性を向上できる。
また、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aでは、開口3の縁部又はその近傍に配される線ファスナ(スライダ付線ファスナ4)は、スライダ4bのスライド操作により開閉されるため、スライダ付線ファスナ4を開閉させるにあたり、その周囲のシート体2aを引っ張る必要が無い。
このため、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aの変形や劣化、並びに、破損を好適に防止できる。
従って、袋体2の開口3縁又はその近傍に設けられる閉止構造をスライダ付線ファスナ4に特定することによっても、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの耐久性を向上できる。但し、このようなスライダ付線ファスナ4を用いることで発揮される効果を考慮しない場合には、開口3の縁部又はその近傍に配される線ファスナとしてスライド付線ファスナを用いなくともよい。
さらに、袋体2の左右側縁2b,2bを熱圧着してこの部分にシール部2dを形成する場合、シール部2dは他の領域のシート体2aよりも相対的に厚くて固いので、このようなシール部2dが孔6の近傍に形成されることによっても、孔6周辺のシート体2aの変形や劣化、並びに、破損を好適に防止できる。よって、袋体2がシール部2dを有する場合、孔6の周囲のシート体2aはシール部2dによっても補強されることになり、これによっても実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの耐久性が向上する。
【0028】
また、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aでは、先の図1に示すように、スライダ4bの占有領域を除く開口3の開口幅Pを、開口3を通過する作業シート7の一辺の長さよりも大きく設定しておいてもよい。
より具体的には、図1に示すように、袋体2内に作業シート7を横長状に配置して収納する場合は、「作業シート7の一辺」は作業シート7の長辺Rとなる。そして、この場合、開口3の幅Pを作業シート7の長辺Rよりも大きく設定しておけばよい。
あるいは、特に図示しないが、袋体2内に作業シート7を縦長状に配置して収納する場合は、「作業シート7の一辺」は作業シート7の短辺Qとなる。そして、この場合、開口3の開口幅Pを作業シート7の長辺Qよりも大きく設定しておけばよい。
このように袋体2の開口3の開口幅Pを、この開口3を通過する「作業シート7の一辺」の長さ(R又はQ)よりも大きく設定しておくことで、作業シート7を撓ませたり、折り曲げたりすることなく袋体2に作業シート7を出し入れすることができる。
この場合、袋体2から作業シート7を出し入れする際に、作業シート7が破損するリスクを大幅に低減できる。よって、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの機能性を向上できる。
【0029】
さらに、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aでは、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aの強度を向上させることで、作業シート保管ケース1Aの耐久性を向上させることができる。これは、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの使用時に、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aに特に大きな負荷がかかるためである。
従って、この領域のシート体2aを補強することで、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの耐久性を向上できる。
より具体的には、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aを、他の領域のシート体2aよりも厚くする、又は、その表面又は内部に補強材を設ける、あるいは、補強構造を備える、ことでこの領域のシート体2aを補強するとよい。
なお、シート体2aの表面又は内部に補強材を設けるとは、例えば、シート体2aの表面に合成樹脂からなるメッシュ材を貼設したり、その厚み方向断面に合成樹脂からなるメッシュ材を封止することである。
また、シート体2aが補強構造を備えるとは、例えば、シート体2aの製造時にシート体2aの厚みの一部を大きくするなどによりメッシュ構造やストライプ構造をシート体2aと一体に形成することである。
いずれも、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aの強度を大幅に向上することができる。これにより、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの耐久性を向上できる。
【0030】
なお、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aは、屋外において雨曝しの状態で使用されることも多いため、作業シート保管ケース1Aを構成する個々のパーツを、耐候性に優れる合成樹脂により構成しても良い。このような合成樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂等が知られている。この場合、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aの耐久性を一層向上できる。
また、作業シート7を収容保持する領域のシート体2aを透光材により構成してもよい。この場合、実施例1に係る作業シート保管ケース1Aに作業シート7を収納したまま、袋体2の外から袋体2内に収容される作業シート7の記載内容を確認することができる。
さらに、シート体2aを透光材で構成する場合は、スライダ付線ファスナ4及び線ファスナ5を構成する、雌構造4aと雄構造4aとを、及び、雌構造5aと雄構造5aとを、それぞれ異なる色の合成樹脂により構成してもよい。
この場合、雌構造4aと雄構造4aとが、及び、雌構造5aと雄構造5aとが、しっかり咬合している場合は、それぞれを構成する合成樹脂の色が混ざり合って見えるので、それぞれの咬合状態を目視により容易に確認できる。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2に係る作業シート保管ケースについて図4を参照しながら詳細に説明する。
図4は本発明の実施例2に係る作業シート保管ケースの平面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る作業シート保管ケース1Bは、上述の実施例1に係る作業シート保管ケース1Aのスライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aが水抜き孔8を備えるものである。
実施例1に係る作業シート保管ケース1Aでは、孔6に、例えば、紐9等の掛着具を取設して、図示しないバルブ等の取付け対象に掛着保持させた場合に、孔6から雨水が浸入してスライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に溜まる可能性がある。
この場合、袋体2の開口3が線ファスナ5により水密に封止されていても、線ファスナ5を構成する雌構造5a及び雄構造5aを引離して開口3を開いた際に、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に溜まった雨水が袋体2の内部に浸入して作業シート7が濡れてしまうという懸念があった。
また、このような事態を回避するためには、袋体2の線ファスナ5を開放する前に、予めスライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に雨水が溜まっていないかを確認し、雨水が溜まっている場合は、その都度開口3から雨水を排出してから線ファスナ5を開放する必要があった。
通常、発電用設備の系統操作時又は工事、あるいは、保守点検時には、一人の作業員が多数のバルブ等の設備を操作する必要があり、その一つ一つに設けられる作業シート保管ケース1Aに対して上述の作業を逐一行うことは極めて煩雑であった。
【0032】
これに対し、実施例2に係る作業シート保管ケース1Bによれば、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間のシート体2aが水抜き孔8を備えているので、孔6から浸入した雨水を水抜き孔8から袋体2の外に排出できる。
この場合、袋体2のスライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に浸入した雨水が、線ファスナ5の開放時に袋体2内に流入するという不具合を回避できる。
よって、実施例2に係る作業シート保管ケース1Bによれば、より高機能な作業シート保管ケースを提供できる。
なお、図4では、袋体2のスライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aにおいて、孔6が形成されない側の側縁2bの一部にシール部2dを形成しないでおき、側縁2bの未接合部を水抜き孔8として用いる場合を例に挙げて説明しているが、水抜き孔8の形態は図4に示されるものに特定される必要はない。より具体的には、孔6から浸入した雨水を外部に排出できるよう構成されるものであれば、袋体2に単に孔を形成しておくだけでもよい。また、この場合、袋体2のシート体2aに形成される水抜き孔8は、重なり合うシート体2aを貫通するものでなくともよい。つまり、重なり合うシート体2aのいずれか一方に水抜き孔8が形成されるだけでも十分に目的を達することができる。
【0033】
さらに、この水抜き孔8は、実施例2に係る作業シート保管ケース1Bの孔6に、例えば、紐9等の掛着具を取設して作業シート保管ケース1Bを、掛着対象に吊り下げ保持した際に、孔6から離れた位置の鉛直下方側に形成されることが望ましい。
この場合、作業シート保管ケース1B掛着対象に吊り下げ保持した状態で、孔6から浸入した雨水を水抜き孔8から効率良く排出することができる。
そして、特に図4に示すように、シート体2aの側縁2bにシール部2dに代えて水抜き孔8を形成する場合は、水抜き用の孔をシート体2aに形成する手間が必要ないので、その製造工程をシンプルにできる。
【0034】
なお、図4に示す実施例2に係る作業シート保管ケース1Bでは、水抜き孔8を1つのみ設ける場合を例に挙げて説明しているが、このような水抜き孔8は複数形成されていてもよい。
さらに、実施例2に係る作業シート保管ケース1Bでは、水抜き孔8を形成する代わりに、スライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aを、十分な強度を有するメッシュ材に置き換えてもよい。
この場合、このメッシュ材の空隙を孔6としても水抜き孔8としても利用できるので、スライダ付線ファスナ4及び線ファスナ5の間に雨水が溜まるという不具合自体が起こらなくなる。
【0035】
よって、上述のような水抜き孔8を備えた実施例2に係る作業シート保管ケース1Bによれば、より機能性の高い作業シート保管ケースを提供できる。
【0036】
最後に、実施例3に係る作業シート保管ケースについて図5を参照しながら詳細に説明する。
図5は本発明の実施例3に係る作業シート保管ケースの平面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、ここでは先に述べた実施例1に係る作業シート保管ケース1Aとの相違点に重点をおいて説明する。
実施例3に係る作業シート保管ケース1Cは、袋体2の周縁にその上端と側縁2bのいずれか一方に形成されるL字形の開口3を備え、この開口3を閉止するための二重の線ファスナ5を備え、さらに、線ファスナ5,5の間でかつ開口3が形成されない側縁2bの近傍に、例えば、紐9等の掛着具を着脱させるための孔6が形成されてなるものである。
つまり、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cでは、袋体2の周縁の半周囲に開口3が形成されている。
【0037】
なお、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cでは、開口3縁側に設けられる線ファスナ5、及び、その内側に配される線ファスナ5の両方が開放された際に、袋体2の開口3を大きく広げることができる。
この場合、袋体2の内部への作業シート7の出し入れが容易になる。より具体的には、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cによれば、袋体2を構成するシート体2aを互いに離間させるように、袋体2の開口3を開放することができる。この結果、袋体2のいずれかの辺にのみ開口3を形成する場合に比べて、開口3が形成される領域が相対的に大きくなるので、袋体2の一辺に形成される開口の幅が作業シート7の一辺よりもさほど大きくなくとも作業シート7の出し入れをスムーズにできる。この結果、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cによれば、コンパクトな作業シート保管ケースを提供できる。
また、L字形の開口3の角部は弧状に形成されているので、直角に形成されるよりも気密性が向上すると共に開閉操作も容易となっている。
【0038】
なお、特に図示しないが、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cの袋体2の開口3が形成されるコーナーに、シート体2a同士の離間を容易にするために、シート体2aに延設されてなるつまみ部を備えていてもよい。この場合、作業者は、つまみ部を挟持して、重ね合されたシート体2aを引離すだけで、容易に実施例3に係る作業シート保管ケース1Cの開口3を開放することができる。よって、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cの開口3の開放作業を一層スムーズにできる。
また、このようなつまみ部及びその基部を形成するシート体2aを補強しておいてもよい。なお、シート体2aの補強方法としては、先の実施例1において述べた方法を支障なく使用できる。この場合、つまみ部の基部の劣化の進行を遅延させることができる。よって、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cの耐久性を向上できる。
【0039】
なお、先の実施例1に係る作業シート保管ケース1Aにおけるスライダ付線ファスナ4と線ファスナ5の間に配されるシート体2aを補強するための構造を、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cにおいて並設される線ファスナ5,5の間に採用してもよい。この場合、実施例3に係る作業シート保管ケース1Aの耐久性を向上できる。
さらに、先の実施例2に係る作業シート保管ケース1Bに設けられる水抜き孔8を実施例3に係る作業シート保管ケース1Cに設けてもよい。なお、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cに水抜き孔8を設ける場合は、孔6から離れた位置に配される線ファスナ5,5の間に配される単数又は複数のシート体2aを貫通してなる水抜き孔8を設けるとよい。
このように、線ファスナ5,5間に配されるシート体2aが水抜き孔8を備えることで、孔6から浸入した雨水が線ファスナ5,5の間に溜まるのを防止できるので、線ファスナ5,5の開放時に雨水で作業シート7が濡れるのを防止できる。
【0040】
また、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cでは、袋体2の最外に配される線ファスナ5に代えて、先の図1に示すスライダ付線ファスナ4を用いてもよい。
この場合、開口3縁の開閉をスライダ4bのスライド動作により行うことができるので、開口3を開放するのに開口3縁を形成するシート体2aを引っ張る必要がなくなる。これにより、袋体2の開口3縁の劣化を好適に防止できるので、実施例3に係る作業シート保管ケース1Cの耐久性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように本発明は、構造がシンプルでかつ製造が容易であり、袋体の開口の周辺が破損し難くて耐久性に優れ、しかも、利便性の高い作業シート保管ケースに関するものであり、発電プラント等の保守点検に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1A〜1C…作業シート保管ケース 2…袋体 2a…シート体 2b…側縁 2c…折り返し部 2d…シール部 3…開口 4…スライダ付線ファスナ 4a…線ファスナ 4a…雌構造 4a…雄構造 4b…スライダ 5…線ファスナ 5a…雌構造 5a…雄構造 6…孔 7…作業シート 8…水抜き孔 9…紐 P…開口幅 Q…短辺 R…長辺
図1
図2
図3
図4
図5