(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記袋詰め装置において前記袋に収容された前記積層食品の重量を測定し、測定結果に基づいて前記袋詰め装置から排出された前記積層食品を仕分けする仕分け装置をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層食品袋詰めシステム。
前記積み重ね装置の近傍に配置され、前記第1ハンドが前記一の積層食品を持ち上げる前に前記他の積層食品の押さえ操作を開始し、前記第1ハンドが前記一の積層食品を前記他の積層食品に載置した後に前記他の積層食品の前記押さえ操作を解放する押さえユニットをさらに有する
ことを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の積層食品袋詰めシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、積層食品の一例であるサンドイッチを袋詰めする場合について説明する。
【0012】
<1.サンドイッチ袋詰めシステムの全体構成>
図1は、積層食品袋詰めシステムの一例であるサンドイッチ袋詰めシステムの全体構成の一例を表す説明図である。このサンドイッチ袋詰めシステムは、前工程のカット機(図示省略)で2つに分割されたサンドイッチSをそれらの積層方向に積み重ねて1組とし、その1組のサンドイッチを1つの袋Bに袋詰めして後工程の袋閉じ機(図示省略)に送り出す作業を自動的に行う機械システムである。
【0013】
サンドイッチ袋詰めシステム1においては、前工程のカット機から後工程の袋閉じ機へ向かう各サンドイッチSの搬送方向上流側(
図1中左側)から下流側(
図1中右側)に向けて、トラバーサ2、搬送コンベア3、包装装置4、及び仕分け装置5が配置されている。搬送コンベア3は、2つの搬送ラインLを構成するように2列配置されている。また、各搬送ラインLでは、それぞれ搬送方向上流側から下流側に向けて、位置検出カメラ6、位置矯正装置7、二段重ね装置8、及び袋入れ装置9が配置されている。なお、搬送ラインLの数は2に限らず3以上としてもよいし、トラバーサ2を設置せずに1つの搬送ラインLを前工程のカット機から直接接続するよう配置してもよい。
【0014】
トラバーサ2(分配装置の一例)は、前工程のカット機(図示省略)における送出口11から一定時間間隔で送出されるサンドイッチSを、上記2つの搬送ラインLの搬送コンベア3にそれぞれ一定時間間隔で分配して送出する。なお、このトラバーサ2については、後述の
図4にて詳述する。
【0015】
搬送コンベア3(搬送装置の一例)は、例えば環状に形成されたベルトをその内周側に配置したローラで循環動作させるいわゆる無限軌道のベルトコンベア装置であり、ベルト上に載置したサンドイッチSを略直線軌道で搬送する。なお、この搬送動作については、各作業工程間の同期を考慮して間欠的に搬送してもよいし、連続的に搬送してもよい。また、ベルトコンベア以外の搬送装置を使用してもよい。
【0016】
包装装置4(袋詰め装置の一例)は、内部に貯留された複数の袋Bから1つずつ開口、保持、整形し、上記袋入れ装置9と協働してサンドイッチSの袋詰めを行う。
【0017】
仕分け装置5は、上記包装装置4におけるサンドイッチSの袋詰め状態と重量を検出し、その検出結果に基づいて当該サンドイッチSを廃棄するか後工程の袋閉じ機に送出するかの仕分け作業を行う。仕分け装置5は、仕分けマニピュレータ51と、状態検出カメラ52と、第3ロボットコントローラ53とを備えている。第3ロボットコントローラ53は、第2判定部54と、重量判定部55と、仕分け制御部56を有する。
【0018】
仕分けマニピュレータ51は、アーム先端部にロボットハンドを備えた例えば6軸アームロボットであり、包装装置4から排出された袋詰め状態のサンドイッチSを把持して後工程の袋閉じ機又は廃棄場所のいずれかに仕分けするように移送する。このとき、包装装置4に配置された状態検出カメラ52が、袋Bの底部(先端部)におけるサンドイッチSの袋詰め状態を撮像する。上記第2判定部54は、状態検出カメラ52による撮像画像を画像解析して袋詰め状態の良否を判定する。また、仕分けマニピュレータ51には重量センサ57が設けられており、サンドイッチSの重量を測定する。その測定結果に基づいて、上記重量判定部55が基準重量の範囲内にあるか否かを判定する。上記仕分け制御部56は、第2判定部54と重量判定部55の判定結果に基づいて、袋詰め状態が良好かつ基準重量範囲内にあるサンドイッチSだけを後工程の袋閉じ機に移送し、その他のものを別途図示しない廃棄場所に移送するように仕分けマニピュレータ51を制御する。
【0019】
上記の第2判定部54と重量判定部55と仕分け制御部56は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータとして構成される第3ロボットコントローラ53のソフトウェア処理により実装されるが、その一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。なお、上記の重量センサ57及び重量判定部55においては、タクトタイムの短縮化を図るために、仕分けマニピュレータ51でサンドイッチSを持ち上げた際の慣性力を検出し、その検出結果に基づいて当該サンドイッチSの重量を判定してもよい。
【0020】
位置検出カメラ6(位置センサの一例)は、搬送コンベア3上に載置されたサンドイッチSを上方からの平面視で撮像し、規定の配置位置に対する実際のサンドイッチSの配置位置のズレ量を検出する。
【0021】
位置矯正装置7(位置決め装置の一例)は、上記位置検出カメラ6で検出したサンドイッチSの配置位置のズレ量に基づいて、当該サンドイッチSの配置位置を規定の配置位置に矯正する。なお、この位置矯正装置7については、後述の
図5にて詳述する。
【0022】
二段重ね装置8(積み重ね装置の一例)は、後述するように隣接して配置された2つのサンドイッチSに対して、一方のサンドイッチSの上に他方のサンドイッチSを積み重ねる(積載する)作業を行う。二段重ね装置8は、積載マニピュレータ81と、押さえユニット82と、第1ロボットコントローラ83とを備えている。第1ロボットコントローラ83は、積載マニピュレータ81を制御する装置であり、図示するように各搬送ラインLそれぞれに設けた積載マニピュレータ81に対して同一の第1ロボットコントローラ83で制御してもよいし、各積載マニピュレータ81に対応して個別に第1ロボットコントローラ83を設けてもよい。なお、この二段重ね装置8については、後述の
図8〜
図11にて詳述する。
【0023】
袋入れ装置9(移送装置の一例)は、搬送コンベア3上に積載された状態の1組のサンドイッチSをまとめて把持、移送し、上記包装装置4で開口、保持、整形された袋Bの内部に挿入して袋詰めする作業を行う。袋入れ装置9は、移送マニピュレータ91と、突き当てユニット92と、第2ロボットコントローラ93とを備えている。第2ロボットコントローラ93は、移送マニピュレータ91を制御する装置であり、図示するように各搬送ラインLそれぞれに設けた移送マニピュレータ91に対して同一の第2ロボットコントローラ93で制御してもよいし、各移送マニピュレータ91に対応して個別に第2ロボットコントローラ93を設けてもよい。なお、この袋入れ装置9については、後述の
図12〜
図23にて詳述する。
【0024】
なお、サンドイッチ袋詰めシステム1は、システム全体の動作を制御する上位コントローラ100を有している。上位コントローラ100は、上記の第1〜3ロボットコントローラ83,93,53等を制御すると共に、トラバーサ2、搬送コンベア3、包装装置4等のその他の装置(又はそのコントローラ)を制御して、システム全体の動作を統括的に制御する。なお、上位コントローラ100が、上記の第1〜3ロボットコントローラ83,93,53の一部又は全部の機能を代替してもよい。
【0025】
<2.サンドイッチの構成>
次に、上記サンドイッチ袋詰めシステム1の作業対象物であるサンドイッチSの構成の一例について説明する。
図2は、前工程のカット機から送り出された1組のサンドイッチSの構成の一例を表す平面図であり、
図3(a)は単体のサンドイッチSの平面図、
図3(b)は単体のサンドイッチSの側面図である。
【0026】
サンドイッチSは、複数枚のパン材S1の間に例えば肉、野菜、総菜、調味料などを含んだ具材S2を挟んで重ね合わせた積層食品である。
図2に示す例では、平面視で同じ大きさの矩形形状(図示する例では正方形)に成形された2枚の略平板形状のパン材S1が、平面視で互いに位置が一致するように重ねられ、それらの縁部を除いた内部領域に具材S2が挟まれている(透過ハッチング部分参照)。前工程のカット機では、全体が矩形形状であるサンドイッチSが一方の対角線上で切断され、略直角三角形状となった2つのサンドイッチSが互いに切断面Scどうしを対向させるように隣接して配置された状態で送出される。
【0027】
このように分割されたサンドイッチSの単体で見ると、
図3(a)に示すように、切断面Sc(直角三角形の斜辺部分)では具材S2が表面に露出する一方、他の側面(直角を挟む他の2辺部分)では具材S2が縁部より内側に充填されている。また、この具材S2が充填されていない領域、つまり上記他の側面近傍においては、
図3(b)に示すように、下方のパン材S1と当該サンドイッチSの載置面F(例えば搬送コンベア3のベルト表面)との間に隙間dが生じた状態となる。これは、例えばパン材S1が弾性を備える一方、それに密着する具材S2が塑性を備えていることで、カット機での圧接切断によりサンドイッチSの内部に残留応力が生じること等に起因する。なお、具材S2が露出している上記切断面部分においては、この隙間dはほとんど生じない。
【0028】
本実施形態では、以上のような構成である略直角三角形状の2つのサンドイッチSが、互いに切断面Scどうしを対向させるように隣接して配置された状態で、かつ、他の側面近傍において載置面Fと隙間dを空けた状態で、カット機から送出される。2つのサンドイッチSは、この配置状態と隙間dを維持したままトラバーサ2を介して搬送コンベア3上に搬入される。そして、サンドイッチ袋詰めシステム1は、隣接した状態で搬送されるこれら2つのサンドイッチSを1組とし、平面視での配置を一致させるように重ね合わせた状態で、同等の形状である袋Bに袋詰めする作業を行う。
【0029】
<3.トラバーサの構成>
サンドイッチSの袋詰め作業においては、各作業工程のサイクルタイムを短縮化(高タクト化)することが要望されている。しかしながら、袋詰め作業の各作業工程のうち、主にサンドイッチSを積み重ねる作業工程については高タクト化が難しい。そこでサンドイッチ袋詰めシステム1では、前工程のカット機から一定時間間隔で送出されるサンドイッチSをトラバーサ2で複数の搬送ラインLに分配し、各搬送ラインLで積み重ね作業とその前後の工程を並列化して行うことで、サイクルタイムの短縮化(高タクト化)を可能としている。
【0030】
図4は、上記トラバーサ2の構成の一例を示す平面図である。
図4に示すように、トラバーサ2は、基台21と、基台21上に並行に配置された2つの駆動レール22A,22Bと、これら2つの駆動レール22A,22Bとそれぞれ直交する方向で配置された2つの分配コンベア23A,23Bとを有している。
【0031】
トラバーサ2の上流側(
図4中左側)には、基台21の長手方向中央位置に前工程のカット機の送出口11(カット機のコンベア出口)が配置され、トラバーサ2の下流側(
図4中右側)には、基台21の長手方向両端位置のそれぞれに2つの搬送ラインLの搬入口31A,31B(搬送コンベア3の入口)が配置されている。2つの駆動レール22A,22Bは、例えば回転型モータ及び送りネジの組み合わせやリニアモータなどからなる長尺状の直動アクチュエータであり、いずれも基台21の長手方向と平行に配置されている。そのうちの一方の駆動レール22Aが、上記送出口11と一方の搬入口31Aとの間を渡すように配置され、他方の駆動レール22Bが、上記送出口11と他方の搬入口31Bとの間を渡すように配置されている。
【0032】
2つの分配コンベア23A,23Bは、基台21の幅方向(
図4中左右方向)における送出口11と搬入口31A,31Bの間の離間距離と略同じ長さのベルトコンベア装置である。分配コンベア23A,23Bは、対応する駆動レール22A,22B上で基台21の長手方向(
図4中上下方向)に移動可能となっている。つまり、一方の分配コンベア23Aは送出口11から一方の搬入口31Aまで移動可能であり、他方の分配コンベア23Bは送出口11から他方の搬入口31Bまで移動可能となっている。
【0033】
上記の送出口11(カット機のコンベア出口)、2つの分配コンベア23A,23B、2つの搬入口31A,31B(搬送コンベア3の入口)のいずれもベルトコンベア装置で構成されており、アライメントが一致するように配置された2つのベルトコンベア装置の間でサンドイッチSの受け渡しが可能となっている。トラバーサ2では、送出口11から一定時間間隔で1組のサンドイッチSが送出されるのに同期して、2つの分配コンベア23A,23Bが交互に送出口11と搬入口31A,31Bとの間を往復する。これにより、トラバーサ2は、1箇所の送出口11から一定時間間隔で送出されるサンドイッチSの組を、交互に2つの搬送ラインに分配して略等間隔に送り出すことができる。
【0034】
<4.位置矯正装置の構成>
各搬送ラインLにおけるサンドイッチSの積み重ね作業工程では、後述するように積載マニピュレータ81を用いたサンドイッチSの把持操作を行うことから、搬送コンベア3上における各サンドイッチSの配置位置や向きが規定の状態と高い精度で一致していることが好ましい。しかしながら、上述したように各搬送ラインLにサンドイッチSが搬入されるまでに、カット機での切断や、ベルトコンベア装置間のサンドイッチSの受け渡し(送出口11→分配コンベア23A,23B、分配コンベア23A,23B→搬入口31A,31B)が行われているため、サンドイッチSは規定の配置位置(X軸方向、Y軸方向)や向き(Z軸周りのθ方向)から多少のズレが生じている場合がある。そこでサンドイッチ袋詰めシステム1では、各搬送ラインLの二段重ね装置8より搬送方向上流側において、位置検出カメラ6がサンドイッチSの配置位置のズレ量を検出し、この検出したズレ量に基づいて位置矯正装置7が当該サンドイッチSの実際の配置位置を規定の配置位置に矯正する。
【0035】
図5は、上記位置矯正装置7の構成の一例を表す平面図であり、
図6は矯正ハンドの正面図、
図7は矯正ハンドによるサンドイッチSの配置位置の矯正工程を平面視で表す説明図である。
図5に示すように、位置矯正装置7は、搬送コンベア3の側方に設置された矯正マニピュレータ71と、この矯正マニピュレータ71のアーム先端部に装着された矯正ハンド72とを有している。
【0036】
矯正マニピュレータ71は、例えばスカラロボットであり、搬送コンベア3上における可動領域でアーム先端部の矯正ハンド72に対する水平移動、昇降移動、及び回転動作を行うことができる。なお、矯正マニピュレータ71には、スカラロボット以外にも垂直多関節型ロボット等を使用してもよい。
【0037】
図6及び
図7に示すように、矯正ハンド72は、矯正マニピュレータ71のアーム先端部に装着されるハンド基部73と、このハンド基部73の両側(
図6中の左右方向両側)にそれぞれ2つずつ(計4つ)設けられたエアシリンダ74と、そのうちの2つのエアシリンダ74の可動部にそれぞれ固定された一対のアングル部材75と、他の2つのエアシリンダ74の可動部にそれぞれ固定された一対のヘラ部材76とを有している。
【0038】
エアシリンダ74は、2つ1組としてそれらの可動部が水平な同一方向に伸縮可能に配置されており、それらの2組が互いに逆方向に向けて伸縮可能な配置で設けられている。
【0039】
アングル部材75は、2つの直線部の一端どうしを直角に連結した部材である。一対のアングル部材75は、互いにそれぞれの開口部側(直角の内角型)を対向させる配置でそれぞれ異なる組のエアシリンダ74の可動部に固定されており、それらエアシリンダ74の協働した伸縮動作によって当該一対のアングル部材75は平面視で互いに離間、近接するよう開閉移動する。
【0040】
ヘラ部材76は、例えば全体が剛性を有する金属薄板で構成されており、その下端部は鉛直方向(下方向)との間の角度が直角よりやや小さい鋭角となる方向に延びる平板形状となっている。一対のヘラ部材76は、互いにそれぞれの下端先端部を対向させる配置でそれぞれ異なる組のエアシリンダ74の可動部に固定されており、それらエアシリンダ74の協働した伸縮動作によって当該一対のヘラ部材76は平面視で互いに離間、近接するよう開閉移動する。
【0041】
一対のアングル部材75と一対のヘラ部材76は、
図7に示すように、平面視で見たそれぞれの開閉方向が重複一致しており、各ヘラ部材76の方が各アングル部材75より外側(ハンド基部73より遠い側)で開閉移動する。
【0042】
搬送コンベア3によりサンドイッチSが位置矯正装置7に搬入される際及び搬出される際には、矯正ハンド72が上昇してサンドイッチSより上方に位置する。そして、位置矯正装置7によりサンドイッチSを位置決めする際には、一対のアングル部材75が1組のサンドイッチSより大きく余裕を持って離間した状態で、矯正マニピュレータ71が各アングル部材75の間にサンドイッチSが配置するよう水平移動させてから近傍まで降下させる(
図7(a)参照)。次に、上流側の位置検出カメラ6で検出したサンドイッチSの配置位置(X軸方向、Y軸方向)や向き(Z軸周りのθ方向)のズレ量に基づいて、各アングル部材75どうしを近接させて離間距離を調整する(
図7(b)参照)。
【0043】
しかし、このときサンドイッチSのパン材S1には載置面Fとの間の摩擦が大きく生じるため、一対のアングル部材75の近接動作だけではサンドイッチSの形を崩してしまう。このため一対のアングル部材75を近接移動させる際には、同時に一対のヘラ部材76も近接させてそれらの下端先端部をサンドイッチSと載置面Fとの間の隙間d(上記
図3参照)へ挿入させる。ここでヘラ部材76の下端先端部の下面と載置面Fとの間の迎え角と、当該下端先端部の上面とサンドイッチSとの間の逃げ角がそれぞれ適切であることで、ヘラ部材76がサンドイッチSのパン材S1を傷つけることなく(いわゆるヘラのように機能して)サンドイッチSと載置面Fとの隙間へ円滑に挿入される。このように各アングル部材75と各ヘラ部材76が同時に互いに近接するように水平移動することで、サンドイッチSと載置面Fとの間の摩擦を大きく軽減させ、1組のサンドイッチSの配置位置を規定の配置位置に円滑に矯正できる。
【0044】
そして矯正ハンド72をサンドイッチSから外す際には、先に一対のヘラ部材76を離間動作させてそれぞれの下端先端部をサンドイッチSの平面視領域から引き抜き(
図7(c)参照)、次いで一対のアングル部材75を離間動作させてサンドイッチSから離す(
図7(d)参照)。これにより、形を崩すことなくサンドイッチSの位置を規定の配置位置に維持させたまま矯正ハンド72を外すことができる。その後に矯正マニピュレータ71が矯正ハンド72をサンドイッチSより上方に上昇させることで、搬送コンベア3によるサンドイッチSの搬送が可能となる。
【0045】
<5.二段重ね装置の構成>
本実施形態では、上述したように、2つのサンドイッチSは互いに切断面Scどうしを対向させるように配置された状態で前工程のカット機から搬出されるため、袋詰めする前段階として、2つのサンドイッチSを平面視での配置を一致させて積層方向に積み重ねる。このとき、二段重ね装置8は一方のサンドイッチS(
図8に示す例の右上側)を把持して持ち上げ、これを180°回転させてから他方のサンドイッチS(
図8に示す例の左下側)の上方で平面視配置を一致させ、その上に載置する。
【0046】
しかしながら、サンドイッチS全体は柔軟物であって形が崩れやすく、特に全体を覆うパン材S1自体は若干の弾性を有するものの傷つきやすい材質となっている。また、上述したようにサンドイッチSの切断面Scには具材S2が露出していることから、積層方向に過剰な圧力をかけると具材S2が切断面Scから膨出してしまう。このため、一般的なロボットハンドなどを用いてサンドイッチS全体を把持し、上述した移動動作や回転動作を高タクトで行うとサンドイッチSの品質を損ねやすい。そこで二段重ね装置8では、サンドイッチSの構造に対応してその把持に適した二段重ね用ハンドを積載マニピュレータ81に装着し、品質を損なうことなく高タクトでサンドイッチSの把持と操作を可能としている。
【0047】
図8は、上記二段重ね装置8の構成の一例を表す平面図であり、
図9(a)及び
図9(b)は二段重ね用ハンドの開放状態を表す正面図と側面図、
図10(a)及び
図10(b)は二段重ね用ハンドの把持状態を表す正面図と側面図、
図11(a)及び
図11(b)は平面視で見たサンドイッチSの開放状態と把持状態を表す説明図である。
【0048】
図8に示すように、二段重ね装置8は、搬送コンベア3の側方に設置された積載マニピュレータ81と、この積載マニピュレータ81のアーム先端部に装着された二段重ね用ハンド84と、積載マニピュレータ81の近傍に配置された押さえユニット82と、第1ロボットコントローラ83(上記
図1参照;
図8中では図示省略)とを有している。
【0049】
積載マニピュレータ81は、例えばスカラロボットであり、搬送コンベア3上における可動領域でアーム先端部の二段重ね用ハンド84に対する水平移動、昇降移動、及び回転動作を行うことができる。二段重ね用ハンド84及び積載マニピュレータ81は、第1ロボットコントローラ83により制御される。なお、積載マニピュレータ81には、スカラロボット以外にも垂直多関節型ロボット等を使用してもよい。
【0050】
押さえユニット82は、積載マニピュレータ81の動作に同期して、被積載対象のサンドイッチS(他の積層食品の一例;以下適宜「サンドイッチSb」という)の上面を押さえ板(図示省略)で押さえる。この押さえユニット82は、二段重ね用ハンド84が積載対象のサンドイッチS(一の積層食品の一例;以下適宜「サンドイッチSt」という)を持ち上げる前にサンドイッチSbの押さえ操作を開始し、二段重ね用ハンド84がサンドイッチStをサンドイッチSbに載置した後にサンドイッチSbの押さえ操作を解放する。
【0051】
図9及び
図10に示すように、二段重ね用ハンド84(第1ハンドの一例)は、積載マニピュレータ81のアーム先端部に装着されるハンド基部85と、このハンド基部85の両側面にそれぞれ設けられた昇降駆動機構86及び開閉駆動機構87と、昇降駆動機構86の可動部に固定された押さえ部材88と、開閉駆動機構87の2箇所の可動部にそれぞれ固定された一対の支持部材89とを有している。
【0052】
昇降駆動機構86(第1駆動機構の一例)は、例えば図示しないモータ、ピニオン、及びラックなどで構成されており、上記押さえ部材88をサンドイッチSの積層方向に昇降移動させる。押さえ部材88は、下面に3つの当接部88aを備えた平板部材であり、昇降駆動機構86によってサンドイッチSに平行な姿勢を維持したまま昇降移動する。3つの当接部88aは、平面視において積載対象のサンドイッチStの各角部(2つの鋭角部と1つの直角部)に対応する位置に配置されており、押さえ部材88の降下時には各当接部88aの下端面がサンドイッチStの各角部近傍を上方から当接する(
図11参照)。これにより、当接部88aはパン材S1の間の具材S2の充填領域を避けてパン材S1のみ積層されている箇所を押圧することができる。
【0053】
開閉駆動機構87(第2駆動機構の一例)は、例えば図示しないモータ、ピニオン、及びラックなどで構成されており、上記一対の支持部材89をサンドイッチSの積層方向に垂直な方向で互いに離間、近接するよう開閉移動させる。一対の支持部材89は、例えば全体が剛性を有する金属材料で構成されており、開閉方向(
図9中左右方向)で対向するように配置されている。一対の支持部材89のそれぞれは、開閉駆動機構87の可動部に固定されてサンドイッチSの積層方向(
図9における上下方向)に延びる平板形状の第1延設部89aと、この第1延設部89aの下端から当該第1延設部89aとの間の角度が直角よりやや大きい鈍角となる方向に延びる平板形状の第2延設部89bを有している。また、上記押さえ部材88は、一対の第1延設部89aの間の空間で昇降移動する。
【0054】
図9(a)及び
図11(a)に示すように、一対の支持部材89の開放状態では、一対の第2延設部89bの各先端部どうしが、サンドイッチSに触れない程度に広く離間した配置となる。このため、一対の支持部材89が開放状態となっている間に、サンドイッチSに触れることなく二段重ね用ハンド84を昇降移動させることができる。
図9(a)に示すように、積載マニピュレータ81が二段重ね用ハンド84を最も下方に降下させた際には、各第2延設部89bの先端部が載置面Fに接触する。
【0055】
この降下した状態で、開閉駆動機構87により一対の支持部材89を接近させると、
図10(a)及び
図11(b)に示すように、一対の第2延設部89bの各先端部がサンドイッチSと載置面Fとの間の隙間(上記
図3(b)の隙間d参照)に挿入される。このとき、各第2延設部89bの下面と載置面Fとの間の迎え角と、各第2延設部89bの上面とサンドイッチSとの間の逃げ角がそれぞれ適切であることで、各第2延設部89bがサンドイッチSのパン材S1を傷つけることなく(いわゆるヘラのように機能して)サンドイッチSと載置面Fとの隙間へ円滑に挿入される。
【0056】
また、以上のように一対の第2延設部89bを接近させる際には、
図10(a)及び
図11に示すように、同時に昇降駆動機構86が押さえ部材88を降下させて3つの当接部88aをそれぞれサンドイッチSの各角部近傍に上方から当接させる。これにより、
図11(b)に示すように、一対の第2延設部89bは、サンドイッチSの切断面Sc以外の2つの側面Sa(平面視で直角を挟む2辺部分)の中間位置から上記3つの当接部88aによる当接位置を回避するようにサンドイッチSの下部に挿入される。
【0057】
以上のような構成により、二段重ね用ハンド84は、積載対象のサンドイッチStを損傷させることなく高タクトで把持できる。この把持状態では、一対の第2延設部89bがサンドイッチSを下方から支持し、3つの当接部88aがそれぞれサンドイッチSの各角部を上方から押圧している。これにより、各第2延設部89bと各当接部88aは、パン材S1の間の具材S2の充填領域をなるべく避けつつサンドイッチSを積層方向で挟むことができ、切断面Scにおけるパン材S1からの具材S2の膨出を抑えつつサンドイッチSを安定して把持できる。
【0058】
また、以上のような二段重ね用ハンド84の把持を安定して行うために、第1ロボットコントローラ83の第1トルク制御部83a(
図1参照)は、押さえ部材88が所定の押圧力で押さえるように昇降駆動機構86のモータに対してトルク制御(圧力制御)を行う。また、第1ロボットコントローラ83の位置制御部83b(
図1参照)は、各第2延設部89bがサンドイッチSの下部に所定量だけ挿入されるように開閉駆動機構87のモータに対して位置制御を行う。
【0059】
そして、第1ロボットコントローラ83は、積載対象のサンドイッチStを把持した状態の二段重ね用ハンド84を持ち上げて180°回転させる動作と、被積載対象のサンドイッチSbと平面視における配置を一致させるように移動する動作と、サンドイッチStをサンドイッチSb上へ載置させる動作と、把持を解放する動作とを順に実行することにより、2つのサンドイッチSの二段重ね作業を円滑かつ正確に行うことができる。
【0060】
なお、上記の第1トルク制御部83aと位置制御部83bは、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータとして構成される第1ロボットコントローラ83のソフトウェア処理により実装されるが、その一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0061】
<6.袋入れ装置の構成>
サンドイッチSを包装する袋Bは、例えば透過性のあるフィルム状の材料からなり、一端が鋭角をなす底部として閉塞されて、他端の開口部からサンドイッチSが挿入される形状を有する。サンドイッチSは、袋Bの内部にできるだけ隙間が形成されないように収容されるのが好ましい。これは、包装後のサンドイッチSの形を崩さずに運搬できるようにすると共に、商品棚に陳列した際に外部からの具材S2の視認を容易として商品としての美観をよくするためである。また、サンドイッチSが袋Bの内部に隙間無く収容されてない場合には、後工程の袋閉じ機における袋閉じ作業にも影響が及ぶ可能性がある。
【0062】
そこで袋入れ装置9では、サンドイッチSと袋Bの形状に対応して袋詰めに適した袋詰め用ハンドを移送マニピュレータに装着することで、きれいでかつ高タクトなサンドイッチSの袋詰め作業を可能としている。
【0063】
図12は、上記袋入れ装置9の構成の一例を表す平面図であり、
図13(a)及び
図13(b)は両開き構造の袋詰め用ハンドの開放状態と把持状態を表す正面図、
図14(a)及び
図14(b)は片開き構造の袋詰め用ハンドの開放状態と把持状態を表す正面図、
図15は袋詰め用ハンドがサンドイッチSを把持する際の動作を説明する説明図、
図16(a)及び
図16(b)は突き当てユニットにおけるサンドイッチSの突き当て状態を表す上面図と側面図、
図17(a)及び
図17(b)は袋詰め用ハンドで把持する前後でのサンドイッチSの積層方向の幅寸法の変化を表す説明図である。
【0064】
図12に示すように、袋入れ装置9は、搬送コンベア3の側方に設置された移送マニピュレータ91と、この移送マニピュレータ91のアーム先端部に装着された袋詰め用ハンド94と、搬送コンベア3上で移送マニピュレータ91の近傍に配置された突き当てユニット92と、第2ロボットコントローラ93(上記
図1参照;
図12中では図示省略)とを有している。
【0065】
移送マニピュレータ91は、例えば6軸多関節アームロボットであり、搬送コンベア3と包装装置4の間の領域で袋詰め用ハンド94に対する水平移動、昇降移動、及び回転動作を行うことができる。袋詰め用ハンド94及び移送マニピュレータ91は、第2ロボットコントローラ93により制御される。
【0066】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、袋詰め用ハンド94(第2ハンドの一例)は、移送マニピュレータ91のアーム先端部に装着されるハンド基部96と、ハンド基部96に設けられた開閉駆動機構97と、開閉駆動機構97の可動部に固定された一対のトング部材98とを有している。開閉駆動機構97(第3駆動機構の一例)は、例えばモータ、ピニオン97a、及びラック97bなどで構成されており、上記一対のトング部材98を互いに離間、近接するように開閉移動させる。一対のトング部材98は、例えば全体が剛性を有する平板金属からなり、互いに上記の開閉方向(
図13中の上下方向)で対向するように配置されている。各トング部材98は、それぞれ同じ大きさ及び同じ形状に形成されている(後述の
図15、
図19参照)。トング部材98の形状の詳細については後述する。なお、
図13に示す例の開閉駆動機構97では、2つのラック97bを介して2つのトング部材98を互いに遠近移動させるいわゆる両開きの構成としているが、例えば
図14に示すように一方のトング部材98を固定しておき、他方のトング部材98だけを遠近移動させるいわゆる片開きの構成としてもよい。
【0067】
図15に示すように、袋詰め用ハンド94は、一対のトング部材98の対向方向(開閉方向)を上下方向に合わせた姿勢で、下方に位置するトング部材98をサンドイッチSと載置面F(例えば搬送コンベア3のベルト表面)の間に挿入し、その後に各トング部材98を互いに近接させることで1組のサンドイッチSの全体を積層方向に挟むよう把持する。このとき、下方のトング部材98をサンドイッチSと載置面Fの間に挿入する際に、その挿入方向の逆側に位置する突き当てユニット92が、サンドイッチSに接触して当該サンドイッチSの位置ずれを防ぐ。本実施形態では、積み重ねられた状態のサンドイッチSが
図15中の右上方向に切断面Sc、左下方向に直角部が位置する配置となっており、トング部材98はサンドイッチSの直角部から挿入される。突き当てユニット92は、サンドイッチSの切断面Scに合わせた傾斜角(搬送方向に対する傾斜角)となるように、搬送コンベア3上に配置される。
図15の左側に示すように、搬送コンベア3はサンドイッチSが突き当てユニット92に付き当たる直前にサンドイッチSの搬送移動を止める。袋詰め用ハンド94は、この状態でサンドイッチSを把持する。
【0068】
ここで、上述したようにサンドイッチSの切断面Scには内部の具材S2が露出しており、機械部品である突き当てユニット92の表面に調味料などを含む具材S2が繰り返し付着することは衛生上好ましくない。そこで突き当てユニット92は、
図16に示すように、上下方向(サンドイッチSの積層方向)に沿って3つの接触部92aと2箇所のスリット部92bを交互に配置している。つまり、棒状部材である3つの接触部92aがそれぞれサンドイッチSのパン材S1に対応した高さで水平に設けられ、それらの間の具材S2に対応する位置にスリット部92bが形成されている。これにより、突き当てユニット92は、サンドイッチSの切断面Scに対して具材S2には触れず、硬質部分であるパン材S1のみに接触してサンドイッチS全体の位置ずれを防ぐことができる。
【0069】
一対のトング部材98がサンドイッチSを積層方向で挟持した際には、開閉駆動機構97がそれらトング部材98の間に所定の把持力を付加する。この把持力の付加制御は、第2ロボットコントローラ93の第2トルク制御部93a(
図1参照)が開閉駆動機構97のモータに対してトルク制御を行うことで実行される。把持力を付加した際には、
図17(a)及び
図17(b)に示すように、サンドイッチSの積層方向の幅寸法Wが幅寸法W’に圧縮される。この圧縮された幅寸法W’が適切な場合に、サンドイッチSを袋Bの内部に収容できる。
【0070】
なお、具材S2の充填量や充填状態などによるサンドイッチSの個体差により、同じ所定の把持力で把持しても袋Bに収容不可能な過大な幅寸法W’となる場合がある。そこで、例えば開閉駆動機構97のモータに連動したエンコーダなどでモータ回転位置を検出し、この検出結果に基づいて第2ロボットコントローラ93の第1判定部93b(
図1参照)がトング部材98の開閉距離、つまりサンドイッチの幅寸法W’を算出して当該サンドイッチSの袋Bへの収容の可否を判定する。第2ロボットコントローラ93は、この判定結果に基づいて、幅寸法W’が適正であるサンドイッチSだけを包装装置4へ移送し、幅寸法W’が異常であるサンドイッチSを別途図示しない廃棄場所に移送するように移送マニピュレータ91を制御する。
【0071】
なお、上記の第2トルク制御部93aと第1判定部93bは、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータとして構成される第2ロボットコントローラ93のソフトウェア処理により実装されるが、その一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0072】
<7.袋詰め作業の詳細>
次に、上記袋詰め用ハンド94を用いたサンドイッチSの袋詰め作業の詳細について説明する。上述したように、包装状態のサンドイッチSを商品棚に陳列した際に外部から具材S2を容易に視認でき全体の美観がよくなるように、サンドイッチSは袋Bの内部にできるだけ隙間ができないように(言い換えると袋Bの内部容積に対して高い占積率となるように)袋詰めされるのが好ましい。本実施形態では、
図18に示すように、一端が鋭角をなす底部B1として閉塞され、他端が開口部B2として開口する形状の袋Bが用いられる。そして、略直角三角形状であるサンドイッチSを上記のように袋詰めするには、袋Bの内部形状はサンドイッチSの外形と完全に一致するのではなく、底部B1の先端角度θbが対応するサンドイッチSの先端角度θsと同等、または、より好ましくは先端角度θsより小さく形成されているとよい。このような形状の袋Bの内部に、柔軟物であるサンドイッチSをきれいにしかも高タクトで袋詰めするための作業内容の詳細を、以下に説明する。
【0073】
まず、比較例として、人手による手作業で袋詰めする場合の作業内容を
図19、
図20に示す。
【0074】
図19(a)及び
図19(b)に示すように、作業者はトング12を用いてサンドイッチSを積層方向に把持する。この手作業で用いるトング12は、先端角度θt1が袋底部B1の先端角度θbより少し小さい(つまりθt1<θb<θs)略直角三角形の2枚の平板を弾性ヒンジを介して連結したものであり、作業者による弾性ヒンジの握りにより開閉するものである。作業者は最初に、各平板とサンドイッチSのそれぞれの先端部頂点と斜辺(切断面Sc)を略一致させた状態で把持し、当該サンドイッチSを袋Bの内部に挿入する。このときは、上述したように、底部B1の先端角度θbが対応するサンドイッチSの先端角度θsより小さく形成されているため、サンドイッチSの先端が袋底部B1の先端に到達する前にサンドイッチSの上端部が袋Bの内部に接触してしまい、奥まで挿入することができない。仮にそのまま押し込んだ場合には、サンドイッチSの切断面Scから露出した具材S2が袋Bの内面に付着してしまう可能性がある。
【0075】
そこで作業者は、
図20(a)及び
図20(b)に示すように、一旦トング12を軽く開放して少しだけ引き戻し、各平板とサンドイッチSのそれぞれの底辺を一致させるように把持し直す。そして、袋Bの開口部B2の上辺を少し持ち上げつつ、底辺どうしを滑らせるように再度サンドイッチSを袋Bの内部に挿入する。このとき袋Bの開口部B2の上辺を持ち上げていることで、袋Bの斜辺部とサンドイッチSの切断面Scとの間に空間的な余裕ができ、また袋底部B1の先端角度θbがサンドイッチSの先端角度θsと同等以上になる。このため、具材S2の接触を回避できるとともにサンドイッチSの先端を袋底部B1の先端に到達させることができる。
【0076】
以上の比較例では計2回の挿入動作を必要としたが、本実施形態では袋詰め用ハンド94を用いた1回の挿入動作により上記比較例と同等の袋詰め状態を実現する。
図21は、袋詰め用ハンド94のトング部材98の形状と把持状態の一例を説明する説明図、
図22は袋Bの開口状態の一例を説明する説明図、
図23はサンドイッチSの挿入動作の一例を説明する説明図である。
【0077】
図21に示すように、袋詰め用ハンド94が備える一対のトング部材98(開閉駆動機構97は図示省略)は、いずれも略五角形形状の平板部材であり、開閉方向(図の紙面垂直方向、図中のサンドイッチSの積層方向)で対向するよう配置されている。一対のトング部材98が十分に離間した状態でサンドイッチSを積層方向で挟み込み、そのままトング部材98どうしを接近させてサンドイッチSを把持する。このときトング部材98は、サンドイッチSの積層方向から見て、サンドイッチSの挿入方向の先端部の頂点Seと各トング部材98の先端部の頂点98aとが一致し、かつサンドイッチSの切断面Scとトング部材98の斜辺部である突き当て面98bとが一致するように、当該サンドイッチSを把持する。ここでトング部材98の形状は、先端角度θt2が対応するサンドイッチSの先端角度θsより小さくなっており、
図21の右側に示すように上記の把持状態ではサンドイッチSの直角部がトング部材98からはみ出す形状となっている。なお、上述したように各トング部材98の突き当て面98bとサンドイッチSの切断面Scが一致するよう把持するために、前述の
図15に示したようにトング部材98の突き当て面98bがサンドイッチSと共に突き当てユニット92に突き当てられる。
【0078】
一方、包装装置4においては、
図22(a)及び
図22(b)に示すように、袋Bは開口され、図示しない保持部によって開口部B2が鉛直上方を向くように保持される。なお、
図22(a)は、他図と同様に底部B1を左側に、開口部B2を右側(または紙面手前側)に位置させた状態で示している。また保持部は、袋Bを保持すると共に、袋底部B1の先端角度θbを対応するサンドイッチSの先端角度θsとほぼ同じ角度θb’となるように広げ、整形する。このとき、
図22(b)に示すように、整形後の袋Bは袋底部B1の先端角度を広げたことでその分だけ開口部B2の幅が窄まり狭くなるが、サンドイッチSのパン材S1が弾性を有するため袋Bの形状に倣って変形する。
【0079】
移送マニピュレータ91は、このような状態で保持される袋Bの開口部B2に対して、上記
図21で示した把持状態のサンドイッチSをトング部材98ごと挿入する。このとき、
図23(a)に示すように、一度の挿入操作だけでサンドイッチSとトング部材98の先端部が袋底部B1の先端部に到達するまで円滑に挿入することができる。また、袋底部B1の先端角度θb’はサンドイッチSの先端角度θsまで広げられているため、サンドイッチSの側面Saと袋B内部の底辺を滑らせるように挿入することで、切断面Scにおいて露出した具材S2が袋Bの内面へ付着するのを防止できる。そして、その後にトング部材98を袋Bから抜き出した際には、パン材S1の弾性で幅寸法が回復することにより、サンドイッチS全体が袋Bの内部で高い占積率でパンパンに詰め込まれた状態となる。
【0080】
以上のようにして、袋詰め用ハンド94は、先端角度θbがサンドイッチSの先端角度θsよりも小さい袋Bの内部に、一度の挿入操作で、具材S2の付着を抑えつつ円滑に、且つできるだけ隙間を作らずに、サンドイッチSを袋入れすることができる。
【0081】
<8.本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態のサンドイッチ袋詰めシステム1は、サンドイッチSを搬送する搬送コンベア3と、搬送コンベア3により搬送される一のサンドイッチSを他のサンドイッチSに積み重ねる二段重ね装置8と、二段重ね装置8により積み重ねられた複数のサンドイッチSを把持し、搬送コンベア3から移送する袋入れ装置9と、サンドイッチSを包装するための袋Bを保持し、袋入れ装置9により移送された複数のサンドイッチSを袋Bに収容する包装装置4と、を有する。
【0082】
サンドイッチSは、2枚のパン材S1がその間に具材S2を挟むように積層されて製造され、複数のサンドイッチSが横並びに配置されて袋詰めされる。本実施形態においては、複数のサンドイッチSが二段重ね装置8により積み重ねられ、積み重ねられた状態のサンドイッチSが袋入れ装置9により把持されて搬送コンベア3から移送され、包装装置4により袋Bに収容されて袋詰めされる。このようにして、サンドイッチSを人手を介することなく自動で袋詰めすることができるので、サンドイッチ製造ラインの自動化を促進できる。
【0083】
また、本実施形態では特に、サンドイッチ袋詰めシステム1は、搬送コンベア3、二段重ね装置8、及び袋入れ装置9を備えた複数の搬送ラインLと、前工程のカット機から供給されるサンドイッチSを、複数の搬送ラインLのそれぞれの搬送コンベア3に分配して略等間隔に送り出すトラバーサ2と、をさらに有し、複数の搬送ラインLのそれぞれの袋入れ装置9は、包装装置4により保持された袋Bに対して交互にサンドイッチSを移送する。これにより、高タクト化が困難なサンドイッチSの積み重ね作業を複数の搬送ラインLで並列化させることができ、サンドイッチ袋詰めシステム1全体の工程能力を搬送ラインLの数に応じて増大することができる。したがって、ニーズに応じた工程能力を確保しつつ自動化を促進できる。
【0084】
また、本実施形態では特に、サンドイッチ袋詰めシステム1は、搬送コンベア3の搬送方向において二段重ね装置8の上流側に配置され、サンドイッチSの位置を検出する位置検出カメラ6と、二段重ね装置8の上流側に配置され、位置検出カメラ6の検出結果に基づいてサンドイッチSを所定の位置に位置決めする位置矯正装置7と、をさらに有する。
【0085】
搬送コンベア3上のサンドイッチSは、前工程のカット機による切断や搬送コンベア3による搬送動作によって位置(X軸及びY軸方向)や向き(Z軸回りのθ方向)にズレが生じる場合がある。本実施形態では、位置検出カメラ6でサンドイッチSの位置を検出して位置矯正装置7で位置決めするので、搬送コンベア3上のサンドイッチSの位置や向きにズレが生じても自動で矯正できる。また、二段重ね装置8の上流側で位置決めすることにより、下流側の装置で行われる作業(二段重ね装置8による積み重ね作業や袋入れ装置9による把持作業)の作業精度を向上できる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0086】
また、本実施形態では特に、サンドイッチ袋詰めシステム1は、包装装置4において袋Bに収容されたサンドイッチSの重量を測定し、測定結果に基づいて包装装置4から排出されたサンドイッチSを仕分けする仕分け装置5をさらに有する。これにより、例えば具材S2の量が適正である場合にはサンドイッチSを後工程の袋閉じ機に搬送し、具材S2の量が適正でない場合にはサンドイッチSを廃棄場所に排出する等の仕分けが可能となる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0087】
また、本実施形態では特に、二段重ね装置8は、一のサンドイッチStを持ち上げて他のサンドイッチSbに載置する二段重ね用ハンド84を有し、二段重ね用ハンド84は、サンドイッチSの積層方向に駆動され、サンドイッチSの上部を押さえる押さえ部材88と、積層方向に垂直な方向に開閉駆動され、サンドイッチSの下部を支持する一対の支持部材89と、を有する。
【0088】
仮に、サンドイッチSがずれて積み重ねられた場合、袋詰め時にサンドイッチSの先端が袋Bの先端まで到達しなかったり、包装された状態において隣接するサンドイッチS間に段差が生じる等により、サンドイッチSの品質が低下する可能性がある。このため、積み重ね作業は精度良く行われるのが好ましい。本実施形態によれば、二段重ね用ハンド84によりサンドイッチSの積み重ねを行う際に、一対の支持部材89によりサンドイッチSの下部を支持するのに加えて、押さえ部材88によりサンドイッチSの上部を押さえる。このようにしてサンドイッチSを上下から挟んで保持することにより、二段重ね用ハンド84が移動や回転を行う際にもサンドイッチSを安定して保持することが可能となり、サンドイッチSの落下や位置ずれを防止できる。したがって、積み重ねの作業精度を向上できる。
【0089】
また、本実施形態では特に、搬送コンベア3は、切断面Scが対向するように配置され、積層方向から見た形状が略直角三角形状である一対のサンドイッチSを搬送し、二段重ね用ハンド84は、一対のサンドイッチSのうちの一方のサンドイッチStを持ち上げて回転させて他方のサンドイッチSbに載置し、押さえ部材88は、サンドイッチStの3つの角部近傍にそれぞれ当接する当接部88aを有する。
【0090】
一般にサンドイッチSは、四角形状の2枚のパン材S1がその間に具材S2を挟むように積層され、対角線に略沿って切断されることで、直角三角形状の一対のサンドイッチSが製造される。ここで、四角形状の2枚のパン材S1と具材S2が積層されたサンドイッチSでは、中央部分においては具材S2が充填されているが、4辺の側面近傍においては具材S2がほとんど存在せず、ほぼパン材S1のみが積層された状態となる。このようなサンドイッチSが対角線に沿って切断されて生成された直角三角形状のサンドイッチSでは、切断面Scの両端を除く部分では充填された具材S2が露出した状態となるが、切断面Scの両端近傍や、切断面以外の2辺の側面Sa近傍では具材S2がほとんど存在しない。その結果、直角三角形状のサンドイッチSの3つの角部近傍には具材S2がほとんど存在せず、ほぼパン材S1のみが積層された状態となる。
【0091】
本実施形態によれば、押さえ部材88の当接部88aを上記3つの角部近傍に配置することにより、具材S2のはみ出しを防止しつつサンドイッチSを押さえることができる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0092】
また、本実施形態では特に、一対の支持部材89は、サンドイッチSの切断面Sc以外の2つの側面Saの中間位置から当接部88aによる当接位置を回避するように、サンドイッチSの下部に挿入される。
【0093】
直角三角形状のサンドイッチSにおいては、具材S2が充填された中央部分及び当接部88aによる当接位置(3つの角部近傍)ではパン材S1が搬送コンベア3の載置面Fに接触するが、切断面Sc以外の2辺の側面Sa近傍ではパン材S1が載置面Fから若干浮いた状態となる。このとき、パン材S1が載置面Fに接触している箇所に支持部材89(第2延設部89b)を挿入するとパン材S1を損傷する可能性があるため、パン材S1と載置面Fの間に隙間dがある箇所に支持部材89を挿入するのが好ましい。
【0094】
本実施形態によれば、一対の支持部材89を切断面Sc以外の2つの側面Saの中間位置から挿入することで、上記浮いた状態となることで形成された隙間dを利用して支持部材89を挿入でき、且つ、上記当接部88aによる当接位置を回避するように挿入するので、パン材S1の損傷を回避しつつ支持部材89を挿入できる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0095】
また、本実施形態では特に、支持部材89は、サンドイッチSの積層方向に延びる第1延設部89aと、第1延設部89aに接続されると共に第1延設部89aとの間の角度が鈍角となる方向に延び、サンドイッチSの下部に挿入される第2延設部89bと、を有する。これにより、支持部材98の第1延設部89aと第2延設部89bの角度を直角にする場合に比べて、第2延設部89bをサンドイッチSの下部に挿入し易くすることができる。
【0096】
また、本実施形態では特に、二段重ね装置8は、押さえ部材88を駆動する昇降駆動機構86と、支持部材89を開閉駆動する開閉駆動機構87と、押さえ部材88が所定の押圧力で押さえるように昇降駆動機構86に対してトルク制御を行う第1トルク制御部83a、及び、支持部材89がサンドイッチSの下部に所定量だけ挿入されるように開閉駆動機構87に対して位置制御を行う位置制御部83bを備えた第1ロボットコントローラ83と、を有する。
【0097】
押さえ部材88を駆動する昇降駆動機構86に対してトルク制御を行うことにより、サンドイッチSを一定の力で押さえることができると共に、微妙な力加減の制御が可能となる。また、支持部材89を開閉駆動する開閉駆動機構87に対して位置制御を行うことにより、サンドイッチSを安定して保持でき且つパン材S1の損傷を回避できる位置(3つの当接部88aによる当接位置を結んだ領域(具材分布領域)の内側且つ中央部分に到達しない位置)まで挿入されるように支持部材89の挿入量を制御できる。さらに、昇降駆動機構86及び開閉駆動機構87にサーボモータを使用することにより、例えば厚みの異なるサンドイッチS(具材S2の量や種類、パン材S1の厚み等が異なるサンドイッチS)にもパラメータを変更するのみで容易に対応できる。
【0098】
また、本実施形態では特に、サンドイッチ袋詰めシステム1は、二段重ね装置8の近傍に配置され、二段重ね用ハンド84が一のサンドイッチStを持ち上げる前に他のサンドイッチSbの押さえ操作を開始し、二段重ね用ハンド84が一のサンドイッチStを他のサンドイッチSbに載置した後に他のサンドイッチSbの押さえ操作を解放する押さえユニット82をさらに有する。これにより、二段重ね用ハンド84により一のサンドイッチStを持ち上げて他のサンドイッチSbに積み重ねる際に、他のサンドイッチSbに位置ずれが生じるのを防止できる。したがって、積み重ねの作業精度をさらに向上できる。
【0099】
また、本実施形態では特に、袋入れ装置9は、複数のサンドイッチSを把持する一対のトング部材98を備えた袋詰め用ハンド94と、一対のトング部材98をサンドイッチSの積層方向に開閉駆動する開閉駆動機構97と、一対のトング部材98が所定の把持力で把持するように開閉駆動機構97に対してトルク制御を行う第2トルク制御部93aを備えた第2ロボットコントローラ93と、を有する。
【0100】
本実施形態によれば、一対のトング部材98が所定の把持力で把持するように開閉駆動機構97に対してトルク制御を行うので、柔軟物であるサンドイッチSに対して一定の力で押圧しつつ把持することができ、サンドイッチSの落下や位置ずれを防止できる。したがって、袋詰めの作業精度を向上できる。また、開閉駆動機構97にサーボモータを使用することにより、厚みの異なるサンドイッチS(具材S2の量や種類、パン材S1の厚み等が異なるサンドイッチS)にもパラメータを変更するのみで容易に対応できる。
【0101】
また、本実施形態では特に、一対のトング部材98は、サンドイッチSの積層方向から見た形状が直角部と2つの鋭角部を備えた略直角三角形状であるサンドイッチSを把持し、トング部材98は、サンドイッチSの積層方向から見た先端部の角度(先端角度θt2)がサンドイッチSの鋭角部の角度(先端角度θs)よりも小さい形状を有する。これにより、底部B1の先端角度θbがサンドイッチSの先端角度θsよりも小さい又は等しい袋Bに対しても、サンドイッチSの先端部(鋭角部)が袋Bの先端部に到達するようにサンドイッチSを収容することができる。その結果、サンドイッチSを袋Bに隙間無くパンパンに詰まった状態(高占積状態)とすることができ、包装後のサンドイッチSを視覚的に美味しく見せることができる。
【0102】
また、本実施形態では特に、トング部材98は、サンドイッチSの積層方向から見て、サンドイッチSの鋭角部(先端部)の頂点Seとトング部材98の先端部の頂点98aとが一致し、且つ、サンドイッチSの切断面Scとトング部材98の突き当て面98b(斜辺)とが一致するようにサンドイッチSを把持した際に、サンドイッチSの直角部がトング部材98からはみ出す形状を有する。
【0103】
仮に、サンドイッチSを袋Bに挿入する際に、サンドイッチSの切断面Scから露出した具材S2が袋Bに接触すると、サンドイッチSと袋Bが付着してサンドイッチSの先端部が袋Bの先端部に到達できなくなると共に、具材S2の付着により包装後の見栄えが低下する可能性がある。
【0104】
本実施形態によれば、サンドイッチSの鋭角部の頂点Seとトング部材98の先端部の頂点98aとが一致し、且つ、サンドイッチSの切断面Scとトング部材98の突き当て面98bとが一致するようにトング部材98でサンドイッチSを把持するので、具材S2が袋Bに接触しないようにしつつサンドイッチSの先端部が袋底部B1の先端部に到達するようにサンドイッチSを袋Bに挿入することができる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0105】
また、トング部材98の形状を、上記のようにサンドイッチSを把持した際にサンドイッチSの直角部がはみ出す形状とすることにより、底部B1の先端角度θbがサンドイッチSの先端角度θsよりも小さい又は等しい袋Bの場合でも、サンドイッチSのはみ出した部分(具材S2が入っていない部分)を袋Bの形状に倣わせることで、サンドイッチSを傷つけることなく袋底部B1の先端まで挿入することができる。
【0106】
また、本実施形態では特に、袋入れ装置9の近傍に配置され、トング部材98をサンドイッチSの下部に挿入する際にサンドイッチSの切断面Scが突き当てられる突き当てユニット92をさらに有し、突き当てユニット92は、サンドイッチSのパン材S1部分に接触する複数の接触部92aと、複数の接触部92aの間に形成されたスリット部92bと、を有する。
【0107】
本実施形態によれば、トング部材98でサンドイッチSを把持する際に、サンドイッチSの切断面Scとトング部材98の突き当て面98bを突き当てユニット92に突き当てることで、両面を容易に一致させることができるので、トング部材98とサンドイッチSの位置決めが容易となる。また、突き当てユニット92をスリット構造とすることで、サンドイッチSのパン材S1部分にのみ接触させて具材S2に接触させないようにすることができるので、衛生面においてもサンドイッチSの品質を確保できる。
【0108】
また、本実施形態では特に、一対のトング部材98は、トング部材98の先端部が袋Bの先端部に到達するまでの間に、把持されたサンドイッチSの切断面から露出した具材S2が袋Bに接触しないように、袋Bに挿入される。これにより、サンドイッチSと袋Bの付着を防止できるので、サンドイッチSを袋Bの先端まで挿入できる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0109】
また、本実施形態では特に、第2ロボットコントローラ93は、第2トルク制御部93aにより一対のトング部材98が所定の把持力で把持した際のサンドイッチSの積層方向の幅寸法W’を検出し、袋Bへの収容の可否を判定する第1判定部93bを有する。これにより、把持したサンドイッチSを袋Bに確実に収容することが可能となり、信頼性を向上できる。
【0110】
また、本実施形態では特に、包装装置4は、袋Bの開口部B2が上方を向くように袋Bを保持する保持部を有する。本実施形態によれば、開口部B2が上方を向くように袋Bを保持するので、上方からのアクセスが容易となり、袋詰めの作業性を向上できる。また、収用後のサンドイッチSは重力により袋Bの先端側(底部B1側)に保持されるので、袋詰め用ハンド94のトング部材98を引き抜く際のサンドイッチSの袋Bからの飛び出しや位置ずれを防止できる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0111】
また、本実施形態では特に、袋Bは、積層方向から見た形状が直角部と2つの鋭角部を備えた略直角三角形状であるサンドイッチSを包装するための袋Bであり、包装装置4は、保持部に保持された袋Bの底部B1の先端角度θbをサンドイッチSの先端角度θsと略一致するように整形する。これにより、底部B1の先端角度θbがサンドイッチSの先端角度θsよりも小さい袋Bの場合でも、サンドイッチSを袋Bの先端まで挿入することができる。
【0112】
また、本実施形態では特に、サンドイッチ袋詰めシステム1は、サンドイッチSが収容された袋Bの先端部を撮像する状態検出カメラ52と、状態検出カメラ52の撮像結果に基づいて、サンドイッチSの袋詰めの適否を判定する第2判定部54を備えた第3ロボットコントローラ53と、を有する。これにより、サンドイッチSが袋Bの先端まで挿入されているか否かをチェックすることができる。その結果、サンドイッチSが袋Bの先端まで挿入されている場合には後段の仕分け装置5によりサンドイッチSを後工程(袋閉じ機)に排出し、サンドイッチSが袋Bの先端まで挿入されていない場合には仕分け装置5によりサンドイッチSを廃棄場所に排出する等が可能となる。したがって、サンドイッチSの品質を確保でき、信頼性を向上できる。
【0113】
<9.変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0114】
例えば、上記の実施形態では、袋詰めする対象の食品がサンドイッチSであったがこれに限られない。他にも、例えばハンバーガーやライスバーガー等、同様の積層構造を有する食品、同様の平面視三角形状の食品、同様の柔軟物の食品などの袋詰め作業に対しても、本システムのいずれかの装置やユニットを適用することで製造ラインの自動化を促進できる。
【0115】
また、作業対象のサンドイッチSについても、上述した2枚のパン材S1の間の1箇所で具材S2を挟む3層構造に限られず、3枚以上のパン材S1の間の2箇所で具材S2を挟む5層構造であったり、それ以上の層構造のものに適用しても同様の効果を得ることができる。また、1つの袋Bに収容するサンドイッチSの数も2つ1組に限られず、3つ以上を1組として1つの袋Bに収容してもよい。また、システム中における製造ラインも2ラインに限られず、トラバーサ2の構成次第で3ライン以上設けてもよいし、パン材S1や具材S2が異なる種類のサンドイッチSを組み合わせて同じ袋Bに収容するといった複合的な製造ラインを構成してもよい。この複合的な製造ラインとしては、1つの搬送ラインLに異なる種類のサンドイッチを交互に搬送して二段重ね装置8がサンドイッチSを搬送方向前後に移送することで積み重ねてもよいし、または種類ごとに搬送ラインLを並行して設けて二段重ね装置8がそれらの搬送ライン間に渡ってサンドイッチSを移送して積み重ねてもよい。
【0116】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0117】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0118】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。