特許第6558655号(P6558655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6558655-オプトエレクトロニクス半導体チップ 図000002
  • 特許6558655-オプトエレクトロニクス半導体チップ 図000003
  • 特許6558655-オプトエレクトロニクス半導体チップ 図000004
  • 特許6558655-オプトエレクトロニクス半導体チップ 図000005
  • 特許6558655-オプトエレクトロニクス半導体チップ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558655
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体チップ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20190805BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20190805BHJP
   H01L 33/42 20100101ALI20190805BHJP
   H01L 33/14 20100101ALI20190805BHJP
【FI】
   H01L33/38
   H01L33/32
   H01L33/42
   H01L33/14
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-567749(P2017-567749)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公表番号】特表2018-519668(P2018-519668A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2016066659
(87)【国際公開番号】WO2017009377
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2017年12月27日
(31)【優先権主張番号】102015111301.5
(32)【優先日】2015年7月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ゲールケ カイ
【審査官】 大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0028379(US,A1)
【文献】 特開2003−133590(JP,A)
【文献】 特開2008−192710(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102012112771(DE,A1)
【文献】 国際公開第98/042030(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/024375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 第1の導電型の第1の半導体領域(21)と、第2の導電型の第2の半導体領域(23)と、前記第1の半導体領域(21)および前記第2の半導体領域(23)の間に位置している活性領域(22)と、
− 前記第1の半導体領域(21)に所々で直接的に位置し、前記第1の半導体領域(21)に電流を印加するために設けられている第1の電気コンタクト層(31)と、
所々で前記第2の半導体領域(23)上に直接的に配置され、前記第2の半導体領域(23)に電流を印加するために設けられている第2の電気コンタクト層(33)と、
− 少なくとも2つの金属製電流供給ライン(41、43)と、
− 前記第2の半導体領域(23)を所々で直接被覆し、前記第2の半導体領域(23)の上方に突起し、かつ前記第2の半導体領域(23)のための前記2つの金属製電流供給ライン(41、43)のうちの第1の金属製電流供給ライン(43)の下方に位置している絶縁層(5)と、を備え、
第1および第2の電気コンタクト層(31、33)は、それぞれ、透明導電性酸化物から製造されており、
− 前記第1の電気コンタクト層(31)は、電流が前記第1の金属製電流供給ライン(43)から前記第1の電気コンタクト層(31)にさらには前記第2の電気コンタクト層(33)にさらには前記第2の半導体領域(23)に流れるように、前記絶縁層(5)の領域において前記第2の電気コンタクト層(33)を直接被覆しており、かつ前記絶縁層(5)を包み込んでおり
− 前記第1の電気コンタクト層(31)の厚さ(D1)は、前記第2の電気コンタクト層(33)の厚さ(D3)より少なくとも3倍、最大で20倍大きく、
− 前記第1の電気コンタクト層(31)は、前記2つの金属製電流供給ライン(41、43)および前記絶縁層(5)の近くの位置に限定して設けられている、
オプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項2】
前記第1の金属製電流供給ライン(43)から前記第2の半導体領域(23)への、前記第2の半導体領域(23)に直交する方向における電流の印加が前記絶縁層(5)によって防止されており、
前記第2の電気コンタクト層(33)は、前記第1の金属製電流供給ライン(43)からの電流を横方向に広げ、
平面視における前記第1の電気コンタクト層(31)は、前記絶縁層(5)を少なくとも200nm、最大で前記絶縁層(5)の幅(B)の90%分横方向に越えて延出している、
請求項1に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項3】
断面視における前記第1の電気コンタクト層(31)は、前記絶縁層(5)側から連続的に薄くなっており、かつV字形に先細りになっており、
平面視における前記第1の電気コンタクト層(31)は、前記絶縁層(5)を前記幅(B)の少なくとも15%分横方向に越えて延出しており、
前記幅(B)は、5μm以上100μm以下である、
請求項2に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項4】
前記第1および第2のコンタクト層(31、33)の厚さ(D1、D3)は、前記絶縁層(5)の厚さ(D5)より小さい、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項5】
前記第1の電気コンタクト層(31)の厚さ(D1)は、50nm以上500nm以下であり、前記第2の電気コンタクト層(33)の厚さ(D3)は、5nm以上70nm以下であり、
前記絶縁層(5)の厚さ(D5)は、100nm以上1μm以下である、
請求項4に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項6】
前記第1の電気コンタクト層(31)の材料の平均粒径は、前記第2の電気コンタクト層(33)の材料の平均粒径より小さい、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項7】
前記第1および第2の電気コンタクト層(31、33)は、同じ基材から製造されるが、ドーピング、平均粒径、導電率、電気接触抵抗、および表面粗さの少なくとも1つの特性において異なる、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項8】
前記第1および第2の電気コンタクト層(31、33)は、スズ含有量が少なくとも3%、最大で10%である酸化インジウムスズから製造されており、
前記絶縁層(5)は、二酸化ケイ素から製造されており、前記半導体領域(21、23)および前記活性領域(22)は、AlInGaN材料系をベースにしている、
請求項7に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項9】
前記第1および第2の電気コンタクト層(31、33)は、互いに異なる材料から製造されており、一方の電気コンタクト層が酸化インジウムスズを含み、他方の電気コンタクト層が酸化亜鉛を含む、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項10】
断面視における前記絶縁層(5)は、前記第2の半導体領域(23)から遠ざかる方向において、前記絶縁層(5)の平均厚さ(D5)まで連続的に狭くなっており、また前記絶縁層(5)にはアンダーカットが存在しない、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項11】
平面視における2つの前記半導体領域(21、23)の最大で20%は、前記第1の電気コンタクト層(31)によって被覆されており、
平面視における前記第2の半導体領域(23)の少なくとも90%は、前記第2の電気コンタクト層(33)によって被覆されている、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項12】
n型接触領域において、前記第1の電気コンタクト層(31)は前記第1の半導体領域(21)および前記2つの金属製電流供給ライン(41、43)のうちの第2の金属製電流供給ライン(41)のみに直接隣接しており、前記第1の半導体領域(21)はn型にドープされており、
前記絶縁層(5)の位置では、前記第1の電気コンタクト層(31)は、前記第1の電気コンタクト層自体の材料によっては前記n型接触領域に接続されていない、
請求項1〜11のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項13】
平面視における前記n型接触領域は、p型にドープされた前記第2の半導体領域(23)によって四方を包囲されていることにより、前記n型接触領域は、前記第2の半導体領域(23)の凹部に位置している、
請求項12に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項14】
前記絶縁層(5)の領域において、構成要素である第1の半導体領域(21)、活性領域(22)、第2の半導体領域(23)、絶縁層(5)、第2の電気コンタクト層(33)、第1の電気コンタクト層(31)、および、前記第2の半導体領域(23)のための前記第1の金属製電流供給ライン(43)は、特定した順序で前記第2の半導体領域(23)に直交する方向に互いに直後に後続しており、
前記第1の半導体領域(21)のための電気接触領域において、構成要素である第1の半導体領域(21)、第1の電気コンタクト層(31)、および、前記第1の半導体領域(21)のための前記第2の金属製電流供給ライン(41)は、特定した順序で前記第1の半導体領域(21)に直交する方向に互いに直後に後続している、
請求項1〜13のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【請求項15】
前記第1の電気コンタクト層(31)は、平面視において、前記絶縁層(5)を、少なくとも0.5μm、最大で20μmまたは前記絶縁層(5)の平均幅の少なくとも60%、横方向に越えて延在している、
請求項1〜14のいずれか一項に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オプトエレクトロニクス半導体チップを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】国際公開第2015/078919号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外部量子効率が高いオプトエレクトロニクス半導体チップを提供することが達成すべき目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、特に、独立特許請求項に記載の特徴を有するオプトエレクトロニクス半導体チップによって達成される。好ましいさらなる発展形態が従属請求項の主題である。
【0005】
少なくとも一実施形態によれば、本オプトエレクトロニクス半導体チップは、発光ダイオードチップ、レーザーダイオードチップ、または受光素子である。本半導体チップは特に好ましくは、発光ダイオードチップとして、電磁放射を出射するために設計されている。例えば、本半導体チップは、目的とする用途において、最大強度の波長が少なくとも350nmもしくは400nm、および/または最大で550nm、480nm、もしくは460nmである放射を出射する。
【0006】
少なくとも一実施形態によれば、本オプトエレクトロニクス半導体チップは、半導体積層体を備える。半導体積層体は、好ましくはIII−V族化合物半導体材料をベースとする。例えば、III−V族化合物半導体材料は、AlIn1−n−mGaN等の窒化物化合物半導体材料、AlIn1−n−mGaP等のリン化物化合物半導体材料、またはAlIn1−n−mGaAs等のヒ化物化合物半導体材料である(各式中、0≦n≦1、0≦m≦1、m+n≦1)。この場合、上記半導体材料は、有意量混合されたホウ素をさらに含んでいても、ドーパントをさらに含んでいてもよい。しかしながら、結晶格子の本質的な構成成分(すなわち、B、Al、As、Ga、In、N、および/またはP)の一部分が微量のさらなる物質によって置換および/または補完されうるとしても、簡潔にするために、結晶格子の本質的な構成成分のみが示されている。
【0007】
少なくとも一実施形態によれば、半導体積層体は、第1の導電型の第1の半導体領域および第2の異なる導電型の第2の半導体領域を備える。ここで、導電型とは、「n導電型」または「p導電型」を示す。好ましくは、第1の半導体領域はn型に、第2の半導体領域はp型にドープされている。
【0008】
少なくとも一実施形態によれば、第1の半導体領域と第2の半導体領域との間に活性領域が存在している。活性領域は好ましくは、動作中に半導体チップによって出射される放射を発生するように設計されている。したがって、上記2つの半導体領域およびこれらの領域の間の活性領域は、半導体積層体の成長方向に沿って積層配置されている。活性領域は好ましくは、上記2つの半導体領域に直接隣接している。
【0009】
少なくとも一実施形態によれば、本オプトエレクトロニクス半導体チップは、第1の電気コンタクト層を備える。第1の電気コンタクト層は、第1の半導体領域に所々で直接的に位置している。さらに、この電気コンタクト層は、第1の半導体領域への電流の印加のために使用されるように構成されている。したがって、特に、第1の電気コンタクト層は、電気接触抵抗および電気的仕事関数に関して第1の半導体領域に適合されている。特に、電流は、第1の電気コンタクト層のみを介して第1の半導体領域に直接印加される。
【0010】
少なくとも一実施形態によれば、本半導体チップは、第2の電気コンタクト層を有する。第2の電気コンタクト層は、第2の半導体領域に所々で直接的に位置しており、第2の半導体領域に電流を印加するように構成されている。特に、電流は、第2の電気コンタクト層のみを介して第2の半導体領域に直接印加される。
【0011】
少なくとも一実施形態によれば、本半導体チップは、少なくとも2つの金属製電源ラインを有する。特に「金属製」とは、電源ラインが1種類以上の金属からなり、オーム性の電流導通特性を示すことを意味する。電源ラインをコンタクトメタライゼーションとすることができる。電源ラインは、第1の電気コンタクト層の上に直接的に、好ましくは第1の電気コンタクト層の上のみに位置していることが好ましい。好ましくは、第1のおよび/または第2の電気コンタクト層への電流注入は、電源ラインのみによって行われる。特に、電源ラインの1つがアノードコンタクトとして設計されており、電源ラインのさらなる1つがカソードコンタクトとして設計されている。電源ラインによって、外部からオプトエレクトロニクス半導体チップに電気接続することができる。
【0012】
少なくとも一実施形態によれば、本半導体チップは、少なくとも1つの電気絶縁層を備える。本半導体チップの目的の用途において、電気絶縁層を通る電流フローは抑制される。絶縁層は、第2の半導体領域に所々で直接的に位置しており、したがって、第2の半導体領域を所々で被覆している。
【0013】
少なくとも一実施形態によれば、絶縁層は、第2の半導体領域の上方に突起している。これは、絶縁層を設けるための凹部またはくぼみが第2の半導体領域に無い状態で、絶縁層が第2の半導体領域に形成されていることを意味し得る。例えば、光取出し効率を高めるために、第2の半導体領域の絶縁層が位置していない残部領域に粗面化部を設ける場合、絶縁層はそのような粗面化部の上方に突起している。
【0014】
少なくとも一実施形態によれば、絶縁層は、第2の半導体領域が電気接続される電流供給ラインの下方に配置されている。換言すれば、絶縁層はこの場合、第2の半導体領域と、上記関連する電流供給ラインとの間に位置している。この場合、絶縁層は好ましくは、当該電流供給ラインと物理的に接触していない。特に、第1の電気コンタクト層の材料および第2の電気コンタクト層の材料はいずれも、当該電流供給ラインと絶縁層との間に存在する。
【0015】
少なくとも一実施形態によれば、上記2つのコンタクト層は、それぞれ、1種類以上の透明導電性酸化物(略してTCO)から製造されている。透明導電性酸化物は、一般に金属酸化物(例えば酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウム、または酸化インジウムスズ(ITO))である。金属と酸素の二元化合物(ZnO、SnO、またはIn)に加えて、TCOの群には、金属と酸素の三元化合物(例えば、ZnSnO、CdSnO、ZnSnO、MgIn、GaInO、ZnIn、またはInSn12)、または様々な透明導電性酸化物の混合物も含まれる。さらに、TCOは、必ずしも化学量論的組成に一致しておらず、p型にドープされることも、n型にドープされることもできる。
【0016】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層は、絶縁層の領域において第2のコンタクト層を被覆している。この場合、好ましくは、第2のコンタクト層は絶縁層の上に直接的に位置しており、第1のコンタクト層は第2のコンタクト層の上に直接的に位置している。したがって、電流の印加は、第2の半導体領域のための金属製電流供給部から第1のコンタクト層に、第1のコンタクト層から第2のコンタクト層に、第2のコンタクト層から横方向にシフトして第2の半導体領域に行われる。
【0017】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層は、絶縁層を包み込んでいる(mantles)。換言すれば、第2の半導体領域の上方に絶縁層によって形成された隆起部(elevation)を、第1のコンタクト層がキャップまたは天井のように被覆している。具体的には、平面視において、第1のコンタクト層の材料は絶縁層全体に亘って位置し、好ましくは第2のコンタクト層の材料も同様に絶縁層全体に亘って位置している。
【0018】
少なくとも一実施形態では、本オプトエレクトロニクス半導体チップは、第1の導電型の第1の半導体領域および第2の導電型の第2の半導体領域を備える。これらの2つの半導体領域の間には、好ましくは可視光を発生するように設計された活性領域が存在している。第1の電気コンタクト層が第1の半導体領域に所々で直接的に位置しており、第1の電気コンタクト層は、第1の半導体領域に電流を印加するために設けられている。さらに、第2の電気コンタクト層が第2の半導体領域に所々で直接的に位置しており、第2の半導体領域には、第2のコンタクト層を介して電流が供給される。さらに、本半導体チップは、2つの金属製電源ラインと、絶縁層とを有する。絶縁層は第2の半導体領域を所々で直接的に被覆しており、また、第2の半導体領域の上方に突起している。さらに、絶縁層は、第2の半導体領域のための電流供給ラインの下方に位置している。これらの2つのコンタクト層は、それぞれ、透明導電性酸化物から製造されており、第1のコンタクト層は、絶縁層の領域において第2のコンタクト層および絶縁層自体を直接的に包み込んでいる。
【0019】
特に、サファイア成長基板を備える発光ダイオードチップ(略してLEDチップ)が電気絶縁層を有し、電気絶縁層によって、金属製電源ラインから半導体積層体への直接の電流フローが防止されている。そのような絶縁層によって、金属製電源ラインの直下での光の発生が防止される。光がこの領域で発生する場合、この光のわずかな部分のみがLEDチップから取り出されることになる。また、金属構造による吸収が比較的大きい。横方向の電流拡散を実現するために、上記絶縁層は、透明導電層によって被覆されており、この場合、この透明導電層は、対応する半導体領域のためのコンタクト層に相当する。しかしながら、透明導電性酸化物から作られるコンタクト層の光透過率は、高い導電率では比較的低く、逆も同様に成り立つ。放射吸収を減少するために、薄いコンタクト層が高い光取出し効率を実現するために有利である。しかしながら、薄いコンタクト層の場合、絶縁層を被覆する際に問題が生じ、コンタクト層と金属製電源ラインとの間の電気的接触が絶縁層の領域において遮断される可能性がある。これは、半導体チップの製造における低収率に結びつく可能性がある。
【0020】
本明細書に記載の半導体チップの場合、絶縁層が第1のコンタクト層によって局所的にさらに包み込まれているので、第2の半導体領域に亘って平面的に伸長する第2のコンタクト層を、相当薄いものとすることができる。第2のコンタクト層による電源ラインから第2の半導体領域への連続的な電気的接触を実現することができなくても、絶縁層を包み込む第1のコンタクト層によって連続的な電気的接触が確保される。
【0021】
少なくとも一実施形態によれば、第2の半導体領域のための電流供給ラインから第2の半導体領域への電流の印加が、第2の半導体領域に直交する方向において絶縁層によって防止されている。換言すれば、この場合、電流は、電流供給ラインによって第2のコンタクト層に印加され、第2のコンタクト層は、第2の半導体領域の全域に横方向に電流を拡散する。したがって、第2の半導体領域の2次元的通電が可能である。横方向の導電率、すなわち、半導体積層体の成長方向に直交する方向における導電率は、第2のコンタクト層における導電率が第2の半導体領域における導電率の少なくとも10倍または100倍大きい。
【0022】
少なくとも一実施形態によれば、平面視における第1のコンタクト層は、絶縁層を少なくとも200nm、0.5μm、1μm、または5μm横方向に越えて延出している。代替的または追加的に、平面視における第1のコンタクト層の絶縁層を越える延出部は、最大で100μm、50μm、20μm、または10μmである。さらに、代替的または追加的に、同様に平面視における第1のコンタクト層が絶縁層を越えて延出している長さを、絶縁層の平均幅の少なくとも1%、5%、15%、もしくは20%、および/または最大で150%、90%、または60%とすることができる。平面視における第1のコンタクト層が絶縁層を越えて延出する、このような延出長さによって、一方では確実に第2の半導体領域に電流を注入することができ、他方では第1のコンタクト層による吸収損失を低く抑えることができる。
【0023】
少なくとも一実施形態によれば、断面における第1のコンタクト層は、絶縁層側から見てV字形であり、連続的に細くなっている。換言すれば、第1のコンタクト層の厚さは、絶縁層から遠ざかる方向に小さくなっている。
【0024】
少なくとも一実施形態によれば、平面視における絶縁層の幅は、少なくとも5μmまたは20μmである。代替的または追加的に、絶縁層の幅は、最大で0.2mm、0.1mm、50μm、または30μmである。
【0025】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層の厚さは、第2のコンタクト層の厚さより少なくとも2倍、3倍、または5倍大きい。代替的または追加的に、第1のコンタクト層の厚さは、第2のコンタクト層の厚さより最大で20倍、15倍、または10倍大きい。
【0026】
少なくとも一実施形態によれば、上記2つのコンタクト層の厚さは、それぞれ、絶縁層の厚さより小さい。この場合、絶縁層の厚さは、第1のコンタクト層の厚さよりも、好ましくは少なくとも1.5倍、2倍、もしくは3倍、および/または最大で5倍、3.5倍、もしくは2倍大きい。
【0027】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層の厚さは、少なくとも30nm、50nm、もしくは100nm、および/または最大で500nm、300nm、もしくは150nmである。また、第2のコンタクト層の厚さを少なくとも5nm、10nm、もしくは15nm、および/または最大で100nm、70nm、50nm、もしくは30nmとすることができる。言い換えると、第2のコンタクト層は比較的薄い。
【0028】
少なくとも一実施形態によれば、絶縁層の厚さは、少なくとも70nm、100nm、または150nmである。代替的または追加的に、絶縁層の厚さは、最大で1μm、500nm、または300nmである。特に、絶縁層の厚さは、絶縁層に全反射され、動作中に半導体チップにおいて発生する光のエバネセント場の侵入深さよりも、絶縁層の厚さが大きくなるように選択されている。この場合、光の侵入深さは、具体的には放射強度が1/eまで落ちる深さである。絶縁層をブラッグ鏡として設計することもできる。
【0029】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層の材料の平均粒径は、第2のコンタクト層の材料の平均粒径より小さい。例えば、第1のコンタクト層の材料の平均粒径は、少なくとも5nmもしくは10nm、および/または最大で50nmもしくは20nmである。さらに、第2のコンタクト層の材料の粒径を、少なくとも1nm、100nm、200nm、もしくは1μm、および/または最大で2μm、1μm、0.5μm、もしくは2nmとすることができる。
【0030】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層および第2のコンタクト層は、同じ基材から製造されている。基材は、例えば酸化亜鉛または酸化インジウムスズである。
【0031】
少なくとも一実施形態によれば、これらの2つのコンタクト層は、ドーピング、平均粒径、導電率、電気接触抵抗、表面粗さの1つ以上の特性において互いに異なる。例えば、第2のコンタクト層の表面粗さは、第1のコンタクト層の表面粗さより大きい。
【0032】
少なくとも一実施形態によれば、両方のコンタクト層は、酸化インジウムスズから作られている。この場合、スズ含有量は、好ましくは少なくとも3%もしくは5%、および/または最大で10%もしくは8%である。この場合、好ましくは、第1のコンタクト層のほうが第2のコンタクト層よりもスズの割合が高い(例えば、スズ含有量が少なくとも0.5パーセントポイントまたは少なくとも1パーセントポイント大きい)。この場合、スズ含有量は、特に重量パーセントに関する。
【0033】
少なくとも一実施形態によれば、絶縁層は、電気絶縁性の酸化物、窒化物、または酸窒化物から構成されている。特に、絶縁層は、二酸化ケイ素または窒化アルミニウムから製造されている。絶縁層の材料は、好ましくは、動作中に半導体チップにおいて発生した放射を透過させる。
【0034】
少なくとも一実施形態によれば、上記2つのコンタクト層は、異なる材料から製造されている。例えば、コンタクト層の一方が酸化インジウムスズ(略してITO)を含み、他方のコンタクト層が酸化亜鉛を含む。
【0035】
少なくとも一実施形態によれば、断面視における絶縁層は、第2の半導体領域から遠ざかる方向において少なくとも絶縁層の平均厚さまで狭くなっている。絶縁層にはアンダーカットが存在しないことが好適である。「アンダーカット」という用語は、上から見たときに、絶縁層の全側面を視認することができないことを意味することができる。代替的に、絶縁層が、例えば絶縁層の製造方法に起因するそのようなアンダーカットを有することも可能である。
【0036】
少なくとも一実施形態によれば、第1のコンタクト層は、平面視において、2つの半導体領域の最大で20%、10%、または5%を被覆している。代替的または追加的に、この被覆率は、少なくとも0.5%、1%、または2%である。換言すれば、この場合、第1の半導体領域のための接触領域を除いて、半導体積層体には平面視において第1のコンタクト層が実質的に存在しない。
【0037】
少なくとも一実施形態によれば、第2のコンタクト層は、平面視において、第2の半導体領域の最大で90%または95%を被覆しているか、あるいは、第2の半導体領域の全体をも被覆している。これにより、確実に電流が第2のコンタクト層によって横方向に効率的に拡散される。この場合、第2の半導体領域の縁部に第2のコンタクト層および第1のコンタクト層が存在しないことが可能である。その結果、そのような縁部付近では第2の半導体領域に通電されないようにすることができる。例えば、幅が少なくとも1μmもしくは2μmおよび/または最大で5μmもしくは3μmであるストリップ状の縁部に、第2のコンタクト層が存在しない。
【0038】
少なくとも一実施形態によれば、本半導体チップはn型接触領域を有し、n型接触領域では、第1のコンタクト層が第1の半導体領域に接触しており、電流が第1の半導体領域に印加される。n型接触領域は、平面視において第2の半導体領域によって四方を包囲されている。換言すれば、n型接触領域は、第2の半導体領域の凹部に位置している。あるいは、n型接触領域は、平面視において半導体積層体の縁部に位置することもできる。2箇所以上のn型接触領域が存在することもできる。
【0039】
少なくとも一実施形態によれば、第2の半導体領域のための電流供給ラインは、電流拡散構造を形成している。例えば、第2の半導体領域のための電流供給ラインは、半導体積層体に亘って伸長するウェブ部の形で構築されている。この場合、平面視における半導体積層体の、好ましくは最大で10%もしくは5%および/または少なくとも2%もしくは4%が、電流供給ラインによって被覆されている。
【0040】
少なくとも一実施形態によれば、第1の半導体領域、活性領域、第2の半導体領域、絶縁層、第2のコンタクト層、第1のコンタクト層、第2の半導体領域のための金属製電流供給ラインが、絶縁層の領域において第2の半導体領域に直交する方向に、特定した順序で直接的に重ねられている。
【0041】
少なくとも一実施形態によれば、本半導体チップは、第1の半導体領域のための電気接触領域において、第1の半導体領域、第1のコンタクト層、第1の半導体領域のための金属製電流供給部を有し、これらの構成要素は、特定した順序で第1の半導体領域に直交する方向に互いに直後に後続している。
【0042】
以下、本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップについて、例示的な実施形態に基づいて図面を参照しながら詳細に説明する。各図において同一の参照番号は、同一の要素を示す。しかしながら、この場合、各要素の関係は正しい縮尺では示されておらず、むしろ、個々の要素は、理解しやすいように誇張した大きさで示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップの例示的な実施形態の概略断面図である。
図1B】本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップの例示的な実施形態の概略平面図である。
図2】本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップの例示的な実施形態の概略断面図である。
図3】本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップの例示的な実施形態の概略断面図である。
図4】本明細書に記載のオプトエレクトロニクス半導体チップの例示的な実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
オプトエレクトロニクス半導体チップ1の例示的な実施形態が、図1Aの断面図および図1Bの平面図に概略的に示される。
【0045】
半導体積層体2がキャリア6に設けられている。キャリア6を成長基板とすることができる。半導体積層体2は、n型にドープされた第1の半導体領域21およびp型にドープされた第2の半導体領域23を備える。半導体領域21、23の間には、光(特に青色光)を発生するための活性領域22が位置している。半導体積層体2は、AlInGaN材料系をベースにしている。半導体積層体2の厚さは、例えば約8μmである。
【0046】
半導体積層体2は、金属製電流供給ライン41および43を介して外部から電気的に接触される。電流供給ライン41および43は、好ましくは、複数種類の金属を含み、特にアルミニウム、金、白金、チタン、ルテニウム、および/またはタングステンの多層システムである。n型にドープされた第1の半導体領域には、第1の電流供給部41を介して電流が供給され、p型にドープされた第2の半導体領域23には、第2の電流供給ライン43を介して電流が供給される。
【0047】
電気絶縁層5(具体的には、二酸化ケイ素から作られた電気絶縁層)が、第2の半導体領域23に位置している。絶縁層5は、第2の半導体領域23と第2の電流供給ライン43との間に位置している。絶縁層5によって、平面視において第2の電流供給ライン43の下方で活性領域22において放射が発生することが防止されている。
【0048】
断面視における絶縁層5は、活性領域22に直交する軸に対して対称的に形成されている。図1Aによれば、絶縁層5は台形状であり、第2の半導体領域23から遠ざかる方向に先細りになっている。第2の半導体領域23に直接接する絶縁層5の幅Bは、例えば約20μmであり、絶縁層5の厚さD5は、例えば約250nmである。絶縁層5は透光性材料から作られ、また、絶縁層5の、半導体積層体2において発生した放射の吸収係数は、好ましくは最大で400/cmまたは120/cmである。この場合、例えば、最大で放射の0.3%または1%が絶縁層に吸収される。
【0049】
第2の半導体領域23を介した電流の横方向の広がりは、第2の半導体領域23に平面的に設けられた第2のコンタクト層33によって実現される。半導体積層体2において発生した放射の少なくとも一部は、第2のコンタクト層33を通過して半導体チップ1から出射される。第2のコンタクト層33は、具体的にはITOで作られている。
【0050】
第2のコンタクト層33の高透明性を実現し、かつ半導体チップ1からの放射の高い光取出し効率を実現するために、第2のコンタクト層33には、半導体積層体2の放射出口面20において小さな厚さD3しかない。好ましくは、厚さD3は約15nmから約60nmまでの値、特に約20nmである。第2のコンタクト層33の厚さが小さいため、第2のコンタクト層33に破砕またはクラックが生じることなく、第2の半導体領域23の上方に伸長する絶縁層5を包み込むことには問題がある。そのようなクラックによって、第2のコンタクト層33しか存在しない場合、電流供給ライン43から第2の半導体領域23への電気接続が危うくなる。
【0051】
第2の半導体領域23と第2の電流供給ライン43との電気接続を確立するために、絶縁層5は、第1のコンタクト層31によってさらに被覆されている。第1のコンタクト層31は、第1の半導体領域21へのn型接触を提供するためのコンタクト層である。第2の半導体領域23の凹部に位置するn型接触領域では、第1のコンタクト層31が、第1の半導体領域21に局所的に直接設けられている。このn型接触領域において、第1の電流供給ライン41が直接的に第1のコンタクト層31の次に設けられている。
【0052】
第1のコンタクト層31の厚さD1は、好ましくは第2のコンタクト層33の厚さD3より少なくとも3倍大きい。具体的には、第1のコンタクト層31の厚さD1は、約100nm〜約150nmである。第1のコンタクト層31は、平面視において、絶縁層5を完全に被覆し、絶縁層5の側面を所々で横方向に越えて伸長している。したがって、放射出口面20における第2の電流供給ライン43と第2のコンタクト層33との信頼性の高い電気接続が確実に提供される。
【0053】
絶縁層5から遠ざかる方向において、第1のコンタクト層31は、放射出口面20において連続的に先細りになっている。換言すれば、第1のコンタクト層31は、平面視において絶縁層5に隣接した位置にある、いくつかの領域において三角形の断面を有し、最大幅が絶縁層5付近で実現されている。電流は、第1のコンタクト層31から第2の半導体領域23に直接的には注入されず、第1のコンタクト層31から第2のコンタクト層33に注入されるのみである。
【0054】
n型接触領域では、第1のコンタクト層31は、好ましくは完全に第2の半導体領域23の凹部に位置している。この凹部は、例えば、平面視において矩形の基面を有する。図1Bとは異なり、この凹部を、平面視において半導体積層体2の縁部に移すこともできる。図1Bとは異なり、基面を円形とすることも、楕円形とすることも、六角形とすることもできる。第1の電流供給ライン41は、好ましくは第2の半導体領域23の上記凹部を越えて延出している。第2の電源供給ライン43は、ストライプ形状であることが好ましく、放射出口面20を横切る電流分布のために設定される。図1Bにおいて第2の電流供給ライン43の垂直に延びるウェブ部と水平に延びるウェブ部が当接する領域において、第2の電流供給ライン43は、例えば、ボンディングワイヤ(図示せず)を取り付けることができる拡幅部を有することができる。
【0055】
好ましくは、平面視における第2の電流供給ライン43は、四方から第1のコンタクト層31の材料で包囲されている。絶縁層5の上の第1のコンタクト層31は、n型接触領域の第1のコンタクト層31に直接電気接続されておらず、活性領域22を通して間接的に電気接続されるのみである。
【0056】
図1で示されるように、半導体チップ1では、好ましくは第2のコンタクト層33が最初に設けられ、第2のコンタクト層33の後にのみ第1のコンタクト層31が設けられている。第1のコンタクト層31を設ける際、対応してマスクが形成されることにより、第1のコンタクト層31が十分に構造化されて設けられている。絶縁層5の位置の第1のコンタクト層31のフランク角を、例えば、アンダーカットを有するフォトマスクによって調節することができ、この場合、コンタクト層31および33は好ましくはスパッタリングによって設けられている。例えば、アンダーカットを有するそのようなマスクは、特許文献1から既知であり、マスク形状、およびマスクを利用して各種材料を設けることに関する特許文献1の開示内容は参照により援用される。
【0057】
2つのコンタクト層31および33は、例えば、いずれもITOから形成されている。しかしながら、好ましくは、2つのコンタクト層31および33には異なる方法パラメータが適用されていることにより、第1のコンタクト層31はn型コンタクトとして、第2のコンタクト層33はp型コンタクトとして製造されている。
【0058】
図2は、半導体チップ1のさらなる例示的な実施形態を示す。図1とは対照的に、絶縁層5の断面は、略矩形である。その結果、絶縁層5の側面の一部のみを、相対的に薄い第2のコンタクト層33で被覆することができる。絶縁層5の側面を介した電気接続は、断面視において略台形である第1のコンタクト層31によって実現される。
【0059】
他のすべての例示的な実施形態のように、絶縁層5の幅を第2の電流供給ライン43の幅より大きい幅とすることができる。したがって、平面視における電流供給ライン43は、至る所で絶縁層5から延出している。
【0060】
図3に示される半導体チップ1の例示的な実施形態では、絶縁層5は、断面視においてアンダーカットを有する。換言すれば、アンダーカットの領域では、平面視において絶縁層5の材料が絶縁層5の側面の他の部分を被覆している。したがって、アンダーカットの領域では、第2のコンタクト層33が非常に薄いため、第2のコンタクト層33の材料を絶縁層5に成膜することができない。有意に厚い第1のコンタクト層31によって、アンダーカット領域は包み込まれる。例えば、第1のコンタクト層31は、絶縁層の領域において略矩形の外形を有する。その結果、第1のコンタクト層31は、わずかにしか絶縁層5を越えて延出していない。
【0061】
図4に関連して示された例示的な実施形態では、第1のコンタクト層31は、絶縁層5の位置において、放射出口面20の上に相対的に遠くまで伸長している比較的大きな尾部(tails)を有する。その結果、第1のコンタクト層31から第2のコンタクト層33への比較的緩やかな移行を実現することができる。平面視において絶縁層5を越える第1のコンタクト層31の尾部は、絶縁層5の幅の約50%になる。第2のコンタクト層33は、絶縁層5の両側に略対称的に、また同じ様に延びている。第1のコンタクト層31のこのような尾部は、他のすべての例示的な実施形態に存在することができる。
【0062】
図1図4では、絶縁層5は、各実施形態において単層として表されている。単層の形態から離れて、各実施形態において絶縁層5を複数の部分層から構成することができる。その場合、例えば、絶縁層5は、放射の反射を改良するためにブラッグ鏡を有することができる。コンタクト層31および33は、単層としてのみ形成されていることが特に好ましい。しかしながら、任意選択的に、例示から離れて、コンタクト層31および33の一方または両方を複数の部分層から構成することができる。
【0063】
本明細書に記載の発明は、例示的な実施形態に基づく説明によって制限されない。むしろ、本発明は、任意の新規な特徴および特徴の組合せ(特に特許請求項中の特徴の任意の組合せを含む)を、当該特徴または特徴の当該組合せそれ自体が特許請求項または例示的実施形態に明示的に特定されていないとしても包含するものである。
【0064】
本特許出願は、独国特許出願第102015111301.5号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0065】
1 オプトエレクトロニクス半導体チップ
2 半導体積層体
20 放射出口面
21 第1のn型にドープされた半導体領域
22 活性領域
23 第2のp型にドープされた半導体領域
31 TCOから作られた第1の電気コンタクト層
33 TCOから作られた第2の電気コンタクト層
41 n型ドープ半導体領域のための電流供給部
43 p型ドープ半導体領域のための電流供給部
5 絶縁層
6 キャリア
B 絶縁層の幅
D1 第1のコンタクト層の厚さ
D3 第2のコンタクト層の厚さ
D5 絶縁層の厚さ
図1A
図1B
図2
図3
図4