(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記乾燥室本体の開口部と該開口部を閉塞する開閉手段との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機。
上記乾燥室本体には、乾燥室本体内に空気を導入する吸気口と、乾燥室本体内の湿気を含んだ空気を乾燥室本体外に排出する排気口と、が備えられていて、上記吸気口と排気口のいずれか一方または双方には、加熱によって被乾燥物から発生した蒸気を乾燥室本体外に排出する送風手段が接続されており、
上記吸気口及び排気口には、空気の通過は許容するが、マイクロ波の通過は許容しない通気口を有するパンチング板が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機。
上記支持部における支持台と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とする請求項10記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、被乾燥物を収容する容器を、マイクロ波を透過しないステンレス等の金属製容器に変更すれば、上記高温での加熱に耐えられるようになり容器の熱変形等は生じない。
しかし、上記特許文献1〜3のように上部が開口する金属製容器に、水分を含んだ被乾燥物を収容し、マイクロ波を照射すると共に、周囲の壁面に配置したヒータにより加熱したり、加熱気体源から加熱空気を供給して熱風により加熱したとしても、容器の内側面や底面と接する部分の被乾燥物の乾燥温度の低下を防止して被乾燥物をムラなく均一に、そして効率良く乾燥させることは困難である。
また、上記特許文献4のようにマイクロ波と電気ヒータを併用することで、マイクロ波のみでは乾燥が困難な部位の乾燥を、電気ヒータによる輻射熱で補填することも考えられる。そして、この場合マイクロ波の照射方向と電気ヒータの加熱方向及び加熱範囲との関係が重要となる。
しかし、特許文献4ではマイクロ波の照射方向と電気ヒータの加熱方向を同方向にとり、容器底面部側からマイクロ波を照射して透過させて乾燥を行う構成が採用されている。したがって、金属製容器を使用した場合、マイクロ波が容器底面部で反射してしまうため、被乾燥物の所望の乾燥状態は得られない。
一般に、上部が開口する金属製容器に、水分を含んだ被乾燥物を収容し、マイクロ波を照射した場合、容器の金属部に接する部分の温度が上昇し難いことがわかっている。
すなわち、誘電体にマイクロ波電界を加えた場合の誘電体中で熱に変わる電力損失Pは、下記の数式によって求められる。
【数1】
【0006】
上記の数式中マイクロ波エネルギーの電界強度Eは、金属面では短絡されているので「0」になる。したがって、金属製容器内に水分を含んだ被乾燥物を入れ、上部からマイクロ波を照射した場合、該金属製容器の内側面や底面と接する部分では上式の電界強度Eが「0」であるため殆ど発熱しなくなることから、被乾燥物の温度上昇は金属部では非常に緩慢になり、被乾燥物を所定の温度に上昇させて所定の水分量にするのに長時間を要することになる。
【0007】
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、被乾燥物を高温で乾燥させても容器の熱変形等を生じさせることがなく、容器の内側面や底面と接する部分の被乾燥物の乾燥温度の低下を防止して被乾燥物をムラなく均一に、そして効率良く乾燥させることができるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機及び該マイクロ波・ヒータ併用乾燥機を使用することによって実行される被乾燥物の乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、被乾燥物を収容する金属製容器と、
上記金属製容器をセットしたり搬入・搬出させる際に出入り口となる、少なくとも1つの開口部を備えた乾燥室本体と、
上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体内に遮蔽空間を形成する開閉手段と、
上記乾燥室本体に対して取り付けられ、該乾燥室本体内に収容される被乾燥物に向けてマイクロ波を照射して被乾燥物を乾燥させるマイクロ波照射装置と、
上記乾燥室本体内に設置され、上記金属製容器の底面部を電熱ヒータによって加熱することで被乾燥物を乾燥させるヒータユニットと、を具備し、
上記乾燥室本体の内部には、マイクロ波照射装置のマイクロ波の照射口が形成されている部分から、該照射口を取り囲むように金属製容器に向かって延びる垂れ壁が設けられており、
上記垂れ壁の金属製容器側端部は、乾燥室本体の内部においてセットまたは移動する金属製容器の周縁部に臨むように接近状態で設けられていて、
上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、被乾燥物を収容する金属製容器と、
上記金属製容器をセットする開口部を備えた乾燥室本体と、
上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体内に遮蔽空間を形成する開閉扉と、
上記乾燥室本体に対して取り付けられ、該乾燥室本体内に収容される被乾燥物に向けてマイクロ波を照射して被乾燥物を乾燥させるマイクロ波照射装置と、
上記乾燥室本体内に設置され、上記金属製容器の底面部を電熱ヒータによって加熱することで被乾燥物を乾燥させるヒータユニットと、を具備し、
上記乾燥室本体の内部には、マイクロ波照射装置のマイクロ波の照射口が形成されている部分から、該照射口を取り囲むように金属製容器に向かって延びる垂れ壁が設けられており、
上記垂れ壁の金属製容器側端部は、乾燥室本体の内部においてセットする金属製容器の周縁部に臨むように接近状態で設けられていて、
上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、被乾燥物を収容する金属製容器と、
上記金属製容器を搬入・搬出させる開口部を備えた乾燥室本体と、
上記開口部に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体内に遮蔽空間を形成する開閉シャッターと、
上記乾燥室本体に対して取り付けられ、該乾燥室本体内に収容される被乾燥物に向けてマイクロ波を照射して被乾燥物を乾燥させるマイクロ波照射装置と、
上記乾燥室本体内に設置され、上記金属製容器の底面部を電熱ヒータによって加熱することで被乾燥物を乾燥させるヒータユニットと、
上記金属製容器を上記乾燥室本体内に搬入して搬送方向に向けて搬送させる搬送手段と、を具備し、
上記乾燥室本体には、上記マイクロ波照射装置とヒータユニットによって構成されるマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットが上記金属製容器の搬送方向に沿って複数組配置されており、上記被乾燥物は、これら複数組のマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットの存する領域を順次移動しながら乾燥が実行されるように構成されていて、
上記乾燥室本体の内部には、マイクロ波照射装置のマイクロ波の照射口が形成されている部分から、該照射口を取り囲むように金属製容器に向かって延びる垂れ壁が設けられており、
上記垂れ壁の金属製容器側端部は、乾燥室本体の内部において移動する金属製容器の周縁部に臨むように接近状態で設けられていて、
上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記ヒータユニットは、上記金属製容器の底面部に熱伝導もしくは輻射熱を作用させるように配置される複数本の電熱ヒータと、
上記電熱ヒータの熱伝導もしくは輻射熱の作用面を除く、電熱ヒータの周囲を包むように配置される断熱材と、
上記電熱ヒータの熱伝導もしくは輻射熱の作用面を除く、上記断熱材の周囲を囲むようにその外方に配置される断熱材カバーと、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記ヒータユニットは、上記電熱ヒータの熱伝導もしくは輻射熱の作用面付近の温度を計測する熱電対と、
上記熱電対によって計測された温度に基づいて上記電熱ヒータのヒータ出力を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項6によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項
1記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記乾燥室本体の開口部と該開口部を閉塞する開閉手段との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項7によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項1〜
6のいずれかに記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記乾燥室本体には、乾燥中の被乾燥物の品温を計測する放射温度計と、
上記放射温度計によって計測された被乾燥物の品温に基づいて上記マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波出力を制御する制御装置と、を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項8によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項1〜
7のいずれかに記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記乾燥室本体には、乾燥室本体内に空気を導入する吸気口と、乾燥室本体内の湿気を含んだ空気を乾燥室本体外に排出する排気口と、が備えられていて、上記吸気口と排気口のいずれか一方または双方には、加熱によって被乾燥物から発生した蒸気を乾燥室本体外に排出する送風手段が接続されており、
上記吸気口及び排気口には、空気の通過は許容するが、マイクロ波の通過は許容しない通気口を有するパンチング板が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項9によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項
1または6記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記乾燥室本体は、上記開閉手段により上記開口部を閉塞した状態で減圧雰囲気下での使用に耐えられる気密構造と耐圧構造とを有しており、
上記乾燥室本体には、上記開口部を閉塞した状態で上記乾燥室本体内を減圧雰囲気にする減圧装置が接続されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項10によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項
1記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記金属製容器は、上面が開放された箱状の容器本体と、該容器本体の開放された上面部の周囲に設けられる周縁部と、を備えており、
上記周縁部のうち、上記容器本体の左右
の側縁部における前端面と後端面は開放されていて、上記乾燥室本体の内部に設けられている支持部に対して、セット・取出し方向ないし搬入・搬出方向に沿う前後方向に移動可能な係合状態で上記
左右の側縁部は設置されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項11によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項
10記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記支持部における支持台と金属製容器の周縁部との間には、第1チョークと第2チョークとが向かい合わせになるようにそれぞれ周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構が配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項12によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機は、請求項
3記載のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、上記支持台は、上記金属製容器の搬送方向に沿って敷設される支持レールによって構成されており、
上記搬送手段は、上記支持レール上に整列配置されている複数の金属製容器の全部またはその一部に作用して金属製容器に送り力を付与する係止爪と、
上記係止爪を保持して所定ストローク、送り方向と戻し方向とに係止爪を移動させる操作ロッドと、
駆動源となる駆動モータと、
上記駆動モータの出力軸の回転を上記操作ロッドの送り方向ないし戻し方向の直線運動に変換する揺動クランク機構と、を備え、
上記係止爪は、上記操作ロッドに対して回動接続ピンを介して回動可能に接続されており、操作ロッドを戻し方向に移動させると、上記係止爪は金属製容器に対する係止が解除される係止解除位置に移行し、操作ロッドを送り方向に移動させると、上記係止爪は金属製容器に対する係止が実行される係止位置に移行するように構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
【0021】
【0022】
【発明の効果】
【0023】
そして、上記手段によって以下のような効果が得られる。
まず、本発明のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機において、被乾燥物を収容する容器として金属製容器を適用したから、上述したシリカゲルや無機触媒粉末のように高温での乾燥が必要な場合でも容器に熱変形等は生じない。
また、マイクロ波照射装置とヒータユニットとを併用し、これらを被乾燥物の効率的な乾燥が実現できる適所に配置する構成を採用したことにより、マイクロ波照射装置のみでは、乾燥が困難になる金属製容器の内側面や底面と接する部分でも良好な被乾燥物の乾燥状態が得られるようになる。したがって、被乾燥物の乾燥効率が向上し、乾燥時間の短縮を図ることが可能になる。
【0024】
また、上記構成を開口部に開閉扉を取り付けたバッチ式のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機に適用した場合には、比較的構造が簡単で場所をとらない、被乾燥物の高温での乾燥に対応可能なマイクロ波・ヒータ併用乾燥機を提供することが可能になる。
また、上記構成を開口部に開閉シャッターを取り付け、搬送手段を備えた連続式のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機に適用した場合には、大量の被乾燥物を連続的に高温で乾燥させることができる乾燥処理能力に優れたマイクロ波・ヒータ併用乾燥機を提供することが可能になる。
【0025】
また、ヒータユニットを電熱ヒータと断熱材と断熱材カバーとを備えることによって構成した場合には、電熱ヒータの熱伝導もしくは輻射熱を、金属製容器の底面部に作用させて、マイクロ波のみでは乾燥が困難であった部位の乾燥を補填して被乾燥物の良好な乾燥状態を得ることができる。
また、上記電熱ヒータの周囲を断熱材で包むことにより、電熱ヒータの熱伝導もしくは輻射熱を効率良く必要な部位に集中させて作用させることができる。また、断熱材カバーを備えたことにより、上記断熱材の電熱ヒータからの脱落や外部への飛散を防止することができる。
【0026】
また、上記ヒータユニットに対して更に熱電対と、電熱ヒータのヒータ出力を制御する制御装置とを備えた場合には、熱電対によって得られた輻射熱の作用面付近の温度情報に基づいて電熱ヒータのヒータ出力のON、OFFを切り替えたり、ヒータ出力を微調整することで電熱ヒータの加熱温度が常に一定になるように保つことが可能になる。
【0027】
また、上記乾燥室本体の開口部と開閉手段との間に、ダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構を配置した場合には、乾燥室本体の開口部からのマイクロ波の漏洩が高レベルで高周波回路的に防止されるようになる。
また、同部位にシール構造が設けられている場合には、該シール構造がマイクロ波に曝されることによって生ずるシール部材の劣化が低減されて乾燥室本体内の気密性が長期に亘って持続されるようになる。
【0028】
また、上記乾燥室本体の内部に、金属製容器側端部が金属製容器の周縁部に臨むように接近させた状態で、マイクロ波照射装置の照射口を取り囲む、垂れ壁を設けた場合には、マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波の外部への飛散を防止して、当該マイクロ波を金属製容器内に導いて被乾燥物の乾燥効率を向上させることが可能になる。
また、上記垂れ壁の金属製容器側端部と金属製容器の周縁部との間に、ダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構を配置した場合には、上記垂れ壁と金属製容器の隙間からマイクロ波が漏洩して垂れ壁の外方空間に回り込む事態が防止される。したがって、マイクロ波の漏洩が一層低減されるようになる。
【0029】
また、乾燥中の被乾燥物の品温を計測する放射温度計と、計測した品温に基づいてマイクロ波出力を制御する制御装置と、を備えた場合には、被乾燥物の乾燥品質や外観に大きく影響する被乾燥物の品温の変動を検知し、常に被乾燥物の品温が一定の範囲に収まるようにマイクロ波出力とヒータ出力を随時調整しながら被乾燥物の乾燥を実行することが可能になる。
【0030】
また、吸気口と排気口とを備え、上記吸気口と排気口のいずれか一方または双方に送風手段が接続された構成のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機を採用した場合には、マイクロ波及び電熱ヒータの熱伝導もしくは輻射熱によって被乾燥物から発生した蒸気を乾燥室本体外に排出しながらの乾燥が可能になる。
したがって、被乾燥物への水分の再付着が防止されて効率の良い被乾燥物の乾燥が実行できるようになる。
また、乾燥室本体に対して設けられる吸気口及び排気口に対してパンチング板を設けた場合には、乾燥室本体外へのマイクロ波の漏洩が更に一層、防止されるようになる。
【0031】
また、乾燥室本体を気密構造と耐圧構造にし、乾燥室本体に減圧装置を接続した構成のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機を採用した場合には、乾燥室本体内の温度を低く抑えた状態での乾燥が可能になり、被乾燥物の風味や成分等を壊すことなく、高品質で外観が優れた乾燥品を得ることが可能になる。
また、上記金属製容器を上面が開放された容器本体と、該容器本体の上面部の周囲に設けられる周縁部と、を備えた構成とし、上記容器本体の左右の側縁部の前端面と後端面を開放して乾燥室本体内の支持部に対して前後方向に移動可能な係合状態で設置するようにした場合には、金属製容器のセット及び取り出しや搬入及び搬出が容易かつ円滑に行われるようになる。
【0032】
また、上記支持部における支持台と金属製容器の周縁部との間に、ダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構を配置した場合には、上記支持台と金属製容器の隙間からマイクロ波が漏洩してヒータユニット側に回り込む事態が防止される。したがって、マイクロ波に曝されることによって生じる配線被覆の劣化や電気的な悪影響が一層低減されるようになる。
【0033】
また、上記支持台を金属製容器の搬送方向に沿って敷設される支持レールによって構成し、上記搬送手段を係止爪と操作ロッドと駆動モータと揺動クランク機構とを備える構成にし、係止爪を回動させて係止位置と係止解除位置とを切り替えられるように構成した場合には、高温での使用に耐えられ、金属製容器の安定した円滑な送りが可能な搬送手段を提供することが可能になる。
【0034】
【0035】
以上のように本発明のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機によると、150℃ないし300℃といった高温で被乾燥物を乾燥させても、被乾燥物を収容する容器に熱変形等を生じさせることがない。また、金属製容器の内側面や底面と接する部分での被乾燥物の乾燥温度の低下が防止できるから、被乾燥物をムラなく均一に、そして効率良く乾燥させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、
図1〜
図10に示す第1の実施の形態を例にとって、最初に本発明のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機の構成と作動態様を説明し、次に部分的構成を異にする
図11〜
図15に示す第2の実施の形態の構成について説明し、続いて
図16に基づいて第3の実施の形態として本発明の被乾燥物の乾燥方法を構成する各工程の内容について説明する。
次に、
図17〜
図23に示す第4の実施の形態のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機の構成と作動態様を前記第1の実施の形態との差異を中心に説明し、更に
図24及び
図25に基づいてヒータユニットの効果を試すために行った比較試験の内容と結果について説明する。
【0038】
(1)第1の実施の形態(
図1〜
図10参照)
本発明のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1は、被乾燥物Aを収容する金属製容器59と、上記金属製容器59をセットしたり、搬入・搬出させる際に出入り口となる、少なくとも1つの開口部3を備えた乾燥室本体5と、上記開口部3に開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体5内に遮蔽空間を形成する開閉手段7と、上記乾燥室本体5に対して取り付けられ、該乾燥室本体5内に収容される被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射して被乾燥物Aを乾燥させるマイクロ波照射装置9と、上記乾燥室本体5内に設置され、上記金属製容器59の底面部59bを電熱ヒータ75の熱伝導もしくは輻射熱によって加熱することで被乾燥物Aを乾燥させるヒータユニット71と、を具備することによって基本的に構成されている。
【0039】
また、
図1〜
図10に示す第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aは、いわゆるバッチ式のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機であって、アングル材等を矩形枠状に組み立てることによって構成される支持架台23を備えており、該支持架台23の前室左方の中央部に、上記乾燥室本体5と開閉手段7の一例である開閉扉7aを備える乾燥室25が配置されている。
また、上記乾燥室本体5の天板上部には、マイクロ波照射装置9の主要な構成部材となる、一例として可変出力が3000Wのマイクロ波発振装置10が一基配置されている。
尚、図示しないスタラファンと該スタラファンを駆動するためのモータとが、適宜配置されていてもよい。
【0040】
また、上記前室の天板上部右方には、上記乾燥室本体5から延びる排気管路54と接続される排風機55が取り付けられている。
また、前室右方の中央部には、前面にモニタと各種の操作ボタンが配置され、内部に各種の制御を司る制御装置32が配置された制御ボックス31が設けられている。
開閉扉7は、一例として右辺部に配置されているヒンジ部43を支点として回動する片開き式の矩形板状の扉によって構成されている。ヒンジ部43は上下に2個設けられており、これらのヒンジ部43を介して上記乾燥機本体5と開閉扉7は、約180°の範囲に亘って回動し得るように接続されている。
【0041】
また、開閉扉7の前面中央には点検窓39が設けられており、乾燥中の被乾燥物A等の様子を外部から観察できるように構成されている。
また、開閉扉7の左方の自由端寄りの高さ方向の中央部には、開閉扉7を開閉する際の手掛かりとなるグリップ41が設けられており、開閉扉7の上縁と下縁には、一例として回転式のロックハンドル45が設けられている。
【0042】
尚、上記ロックハンドル45は、先端部に設けられる係止爪47が乾燥室本体5の開口部3における上縁と下縁の中央部に設けられている係止フック49に係止されることによって開閉扉7の閉塞状態がロックできるように構成されている。
また、開閉扉7の背面の外周には、
図1中、破線で示すようにマイクロ波漏洩防止機構21が設けられており、更に該マイクロ波漏洩防止機構21の外周には、
図10に示すように開閉扉7を閉塞状態にした時、乾燥室本体5の開口部3の周囲のシール面61に当接する一例としてリング状のゴムパッキンによって構成されるシール部材11を備えるシール構造13が設けられている。
【0043】
マイクロ波漏洩防止機構21は、上記開口部3と上記シール構造13との中間経路63上に設けられており、上記開口部3側に位置する第1チョーク17と、上記シール構造13側に位置する第2チョーク19とが向かい合わせになるように周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のシール構造になっている。
具体的には、
図10に示すように開閉扉7の背面に沿うように配置された遮蔽板65の一端縁から基端部69を垂直に立ち上げ、該基端部69の先端を90°内側に折り曲げることによって先端部67を形成することで断面L字状の第1チョーク17を設けている。
同様に上記遮蔽板65の他端縁に上記第1チョーク17と同形状、同サイズの第2チョーク19を設け、上記第1チョーク17と第2チョーク19とを対向する位置に配置することによってマイクロ波漏洩防止機構21が構成されている。
【0044】
尚、上記第1チョーク17の先端部67と第2チョーク19の先端部67との間にはギャップGが形成されており、該ギャップGの中点Oから第1チョーク17及び第2チョーク19のそれぞれの先端部67と基端部69の接続点Bまでの距離L1は、上記中点Oから遮蔽板65側に引いた垂線と遮蔽板65の対向面との接点Cまでの距離L2とほぼ等しく、共に使用するマイクロ波の波長λの1/4程度の長さになるように設定されている。
因みに、このような寸法設定を採用することによって、上記中間経路63中に上記波長λの1/4の長さの迂回路が形成され、該迂回路での反射波と上記接続点Bから中点Oに向かう波との位相差が上記波長λの1/2になって互いに打ち消し合うことになり、乾燥室25の外部へのマイクロ波の漏洩が防止されるのである。
【0045】
次に、
図4〜
図6に基づいて乾燥室本体5の内部構造について説明する。まず、乾燥室本体5の一例として天板部には、上述したようにマイクロ波照射装置9のマイクロ波発振装置10が取り付けられていて、乾燥室本体5の天板部に一例として形成されている照射口15から乾燥室本体5の内部に向けてマイクロ波が照射されるように構成されている。
また、上記照射口15には、一例としてポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))製のシートTが貼設されており、マイクロ波発振装置10から発振されたマイクロ波は通すが、乾燥によって被乾燥物Aから発生した蒸発水分のマイクロ波発振装置10側への進入を防止している。
【0046】
また、本実施の形態では、乾燥室本体5の内部を上下に仕切る、中央部が開口された支持板81aが設けられている。そして、該支持板81aの開口部周縁の上面には、一例として前後方向に延びるレール状の支持台81bが配設されており、該支持台81bにも上述した開閉扉7に適用したのと同様の
図9に示す、ダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構21Aが適用されている。
尚、上記支持板81aと支持台81bは、後述する金属製容器59を乾燥室本体5内にセットしたり、搬送方向Yに搬送するための支持部81を構成しており、このうち支持台81bは、本実施の形態では後述するように金属製容器59を支持する支持部材としての機能と、金属製容器59を乾燥室本体5内にセットしたり、乾燥室本体5内から外部に取り出す際の案内部材としての機能を有している。
また、本実施の形態では、支持板81aの開口部周縁であって、後縁側と前縁側にも前後方向に延びるレール状の支持台81bを配設することが可能であり(一例として前縁側については開閉扉7を利用し、また、周縁部83の前縁部83aや後縁部83bが支持台81bの上面側に差し込まれるようにする等の構成が考えられる)、該支持台81bにも上述した開閉扉7に適用したのと同様の
図9に示す、ダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構21Aを適用することができる。
【0047】
また、本発明の特徴的構成の一つであるヒータユニット71は、後述する金属製容器59の底面部59bに一例として輻射熱を作用させるように配置される、一例として門型をした複数本の電熱ヒータ75と、該電熱ヒータ75から放出される輻射熱の作用面となる上面を除く、電熱ヒータ75の周囲を包むように配置される断熱材77と、上記電熱ヒータ75から放出される輻射熱の作用面となる上面を除く、上記断熱材77の周囲を囲むようにその外方に配置される断熱材カバー78と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0048】
また、本実施の形態では、上記電熱ヒータ75の周辺の温度を計測する熱電対73と、上記熱電対73によって計測された温度に基づいて上記電熱ヒータ75のヒータ出力を制御する制御装置32と、を更に備えることによって構成されている。
電熱ヒータ75としては、赤外線照射式の電熱ヒータが使用でき、一例として定格出力が0.75kwで最大1000℃程度まで加熱できるものを前後に15本、所定ピッチで並設したものを適用した。
【0049】
断熱材77としては、高温での使用に耐えられる無機繊維断熱材である綿状またはシート状のセラミックファイバーが一例として適用できる。また、断熱材カバー78としては、一例としてステンレス鋼板によって容器状に成形された図示のような形状のカバーが適用できる。
因みに、断熱材77を設けることで、電熱ヒータ75から放出される輻射熱を効率良く必要な部位に集中させて作用させることが可能になり、断熱材カバー78を設けることで、上記断熱材77の電熱ヒータ75からの脱落や外部への飛散を防止することが可能になる。
【0050】
また、上記電熱ヒータ75と金属製容器59の底面部59bの下面との間には、10mm程度の隙間を設けることが望ましい。このような隙間を設けることで、金属製容器59の底面部59bの過剰な温度上昇を防止すると共に、該底面部59bと該底面部59bに連なる側面部59aとに作用させる必要な輻射熱が得られるようにしている。
【0051】
熱電対73は、最大で1000℃程度まで加熱できる電熱ヒータ75周辺の高温の温度を計測できる種々のタイプの温度計が適用できる。
そして、該熱電対73と上記電熱ヒータ75から延びる配線74は、一例として乾燥室本体5の底板部に形成される開口を通って乾燥室本体5の外部に引き出されて、上述した制御ボックス31内の制御装置32に接続される。
【0052】
また、本実施の形態では、上記照射口15が形成されている乾燥室本体5の天板部から、該照射口15を取り囲むように下方に延びる垂れ壁93が設けられている。
垂れ壁93は、一例としてステンレス鋼製の角筒状の部材によって形成されており、該垂れ壁93の金属製容器59側端部となる下端部は、上述した支持部81によって支持される後述する金属製容器59の周縁部83に臨むように接近状態で設けられている。
【0053】
また、上記垂れ壁93の下端部と金属製容器59の周縁部83との間には、上述した支持台81bと同様、上記開閉扉7に設けられていたのと同様のダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構21Bが、一例として上記垂れ壁93の下端部に形成されているフランジ部95を利用して設けられている。
尚、上述した支持台81bに適用したマイクロ波漏洩防止機構21Aと、上記垂れ壁93の下端部に設けられているマイクロ波漏洩防止機構21Bは、互いの第1チョーク17と第2チョーク19がそれぞれ向かい合わせになる配置で一例として設けられており、上記マイクロ波漏洩防止機構21Bと金属製容器59の周縁部83との隙間は、10mm程度になるように設定されていて、垂れ壁93内への空気の進入は許容するが、垂れ壁93外へのマイクロ波の漏洩を防止し得る寸法になっている。
【0054】
また、本実施の形態では、乾燥室本体5の一例として天板部には、乾燥中の被乾燥物Aの品温を計測する放射温度計79が設けられており、該放射温度計79によって計測された被乾燥物Aの品温情報は、制御装置32に送られ、この品温情報に基づいて、上記マイクロ波照射装置9から照射されるマイクロ波出力を制御し得るように構成されている。
この他、乾燥室本体5の一例として左側板部には、乾燥室本体5内に空気を導入する吸気口52aが備えられており、乾燥室本体5の一例として天板部には、乾燥室本体5内の湿気を含んだ空気を乾燥室本体5外に排出する排気口53aが備えられている。
そして、上記吸気口52aは上記垂れ壁93の外側に位置しており、上記排気口53aは上記垂れ壁93の内側に位置している。これにより、吸気口52aから乾燥室本体5内に流入した空気は、上記垂れ壁93の下端部と金属製容器59の周縁部83との間の隙間(この隙間に上述したマイクロ波漏洩防止機構21Bが設けられている)を通って垂れ壁93の内部に流入し、上記排気口53aを通って乾燥室本体5外に排気されるように構成されている。
【0055】
また、上記吸気口52a及び排気口53aには、空気の通過は許容するが、マイクロ波の通過は許容しない口径2mm程度の通気口57aを有するパンチング板57が設けられており、乾燥室本体5外へのマイクロ波の漏洩を更に多重的に防止している。
また、上記吸気口52aには、吸気筒52が乾燥室本体5の外方に張り出すように設けられており、該吸気筒52の外方端には、金網58が取り付けられていて、乾燥室本体5内への異物の混入を防止している。
【0056】
また、上記排気口53aには、排気筒53が上記吸気筒52と同様、乾燥室本体5の外方に張り出すように設けられている。そして、該排気筒53の外方端にも金網58が取り付けられていて、同じく、乾燥室本体5内への異物の混入を防止している。
また、上記排気筒53には、排気管路54の一端が接続されており、該排気管路54の他端は、送風手段の一例である排風機55に接続されている。
【0057】
次に、
図7及び
図8に基づいて、本発明の特徴的構成の一つである金属製容器59について説明する。金属製容器59はステンレス鋼製で、上面が開放された箱状の容器本体82と、該容器本体82の開放された上面部の周囲に設けられる周縁部83と、を備えることによって構成されている。
容器本体82は、底面部59bが上面部に比べて幾分、窄まった浅底の角箱状の部材で、底面部59bの内寸が上述したように、400mm×400mm程度で高さが90mm程度の大きさの部材である。
【0058】
また、周縁部83は、それぞれ少なくとも水平支持面を有する前縁部83aと、後縁部83bと、左側縁部83cと、右側縁部83d、(左側縁部83cと、右側縁部83dについては、それぞれ断面門型をしている)を矩形枠状に組み立てることによって構成されており、左右の側縁部83c、83dの幅寸法は、これらと直交する方向に配置される前縁部83a及び後縁部83bに比べて幅広に設定されている。
また、左右の側縁部83c、83dの前端面と後端面は開放されていて、セット・取出し方向ないし搬入・搬出方向に沿う前述した乾燥室本体5の内部に設けられている支持部81の支持台81bに対して、前後方向に移動可能な係合状態で上記左右の側縁部83c、83dは設置されるように構成されている。
【0059】
また、上述したように乾燥室本体5の開口部3に設けられる開閉扉7の背面にもダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構21が設けられており、このマイクロ波漏洩防止機構21によって開閉扉7側からのマイクロ波の漏洩を防止している。尚、開閉扉7の背面に設けられるマイクロ波漏洩防止機構21の高さ位置は、開閉扉7の開閉の邪魔にならない、余裕を持った位置に設定されている。
【0060】
上記金属製容器59に収容される被乾燥物Aとしては、湿気を嫌う食品等の乾燥剤として広く使用されているビーズ状のシリカゲルが一例として適用できる。シリカゲルは二酸化珪素を主成分とする物理的乾燥剤であり、物質が化学反応等によって変化することはなく、シリカゲルの有する毛細孔に水蒸気を吸着させることによって除湿を実行する。
また、シリカゲルは吸湿能力に優れ、安全であり、比較的安価で加熱によって再生が可能なことから経済性にも優れている。そして、本実施の形態では使用によって吸湿したシリカゲルを被乾燥物Aとして乾燥させ、上述したシリカゲルの再生にマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aを使用して、シリカゲルの乾燥に必要な150℃以上の高温での乾燥を実現している。
【0061】
そして、このようにして構成される本実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aによると、被乾燥物Aを150℃以上の高温で乾燥させても容器の熱変形等を生じさせることがなく、マイクロ波のみでは乾燥が困難であった容器の内側面や底面と接する部分の被乾燥物Aの乾燥温度の低下を防止して被乾燥物Aをムラなく均一に、そして効率良く乾燥させることが可能になる。
【0062】
(2)第2の実施の形態(
図11〜
図15参照)
本発明の第2の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Bは、第1の実施の形態と同様、バッチ式のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機である。そして、上述した第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aと基本的に同様の構成を有しており、その一部において構成が相達している。したがって、ここでは上記第1の実施の形態において既に説明した本実施の形態と同様の構成については説明を省略し、第2の実施の形態特有の構成を中心に説明する。
【0063】
即ち、本実施の形態では、乾燥室本体5が開閉扉7により開口部3を閉塞した状態で減圧雰囲気下での使用に耐えられる気密構造と耐圧構造とを備えている。そして、乾燥室25には減圧装置301が接続されており、減圧雰囲気下での乾燥が実行できるように構成されている。
尚、
図14では真空用コネクタ329、真空ポンプ331、真空経路333及び制御弁335のみを備える概念的な減圧装置301Aを図示しているが、このような構成の減圧装置301Aに限らず、所望の減圧作用を発揮する種々の構成の減圧装置301を採用することが可能である。
例えば、
図15に示すような減圧装置301Bを採用することも可能である。
【0064】
この減圧装置301Bは、水封式真空ポンプ305と循環式給排水装置307とを備えることによって基本的に構成されており、更に両者の間に給水経路309と排水経路311が配設されている。
水封式真空ポンプ305は、水蒸気や水滴を含んだ気体の排気等に利用されるポンプで、シリンダに対して偏心して取り付けられる羽根車の回転を利用してシリンダの内壁に封水リングを形成し、該封水リングと羽根車の羽根によって囲まれた空間の容積変化を利用してポンプ作用を行うようにしたものである。
【0065】
循環式給排水装置307は、支持架台303の内部に上部タンク313と下部タンク315を備えることによって一例として構成されており、上部タンク313には、外部から水を供給するための給水ノズル317と、上部タンク313内の水位を計測するためのボールタップ319と、上部タンク313内の水温を計測するための温度センサ321と、が配置されている。
一方、下部タンク315内には、水中ポンプ323が配置されており、上述した水封式真空ポンプ305から排出され、排出経路311を通って下部タンク315内に貯った水を汲み上げて上部タンク313に供給できるように構成されている。
【0066】
尚、上記水中ポンプ323と上部タンク313とを接続する循環経路325の途中には、一例としてモータによって駆動される三方弁327が配置されており、当該三方弁327を適宜切り替えることによって、上記水中ポンプ323によって汲み上げた水を上部タンク313内に供給したり、外部に排水できるように構成されている。
また、上部タンク313内の底部から上述した給水経路309が延びており、該給水経路309の他端が上述した水封式真空ポンプ305に接続されている。更に、上記乾燥室本体5と水封式真空ポンプ305を接続している排出経路235の途中には、外部から空気を取り込んで経路内の圧力を調整するニードル弁247が配置されている。
【0067】
また、本実施の形態では、上記第1の実施の形態において設けられていた吸気筒52、排気筒53、排気管路54、排風機55等の構成部材は設けられておらず、これらに代わる構成部材として以下に述べるような構成部材が設けられている。
即ち、乾燥室本体5の一例として向って左側の側面に対して、乾燥室25内に搬送用の窒素ガス等を充填するためのガス導入部35が二組設けられている。そして、該各ガス導入部35にはそれぞれガス導入管36が接続されており、各ガス導入管36の途中にはガスの導入量を調整するガス導入調整弁37が各別に配置されている。
【0068】
そして、このようにして構成される第2の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Bによっても、上記第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施の形態では減圧雰囲気下での低温での乾燥が実行できるから乾燥後の乾燥品Dの品質や外観、風味等が問題となるイチゴ等の果物を原料とする乾燥食品等の製造にマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Bを使用することも可能になる。
【0069】
(3)第3の実施の形態(
図16参照)
本発明の被乾燥物の乾燥方法は、金属製容器59に被乾燥物Aを収容して乾燥室本体5内にセットまたは搬入する乾燥準備工程S1と、乾燥室本体5内にセットまたは搬入された被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射して被乾燥物Aを乾燥させるマイクロ波乾燥工程S2と、乾燥室本体5内にセットまたは搬入された金属製容器59の底面部59bを電熱ヒータ75によって加熱することで被乾燥物Aを乾燥させるヒータ乾燥工程S3と、を備えることによって基本的に構成されている。
【0070】
そして、本発明では、上記マイクロ波乾燥工程S2とヒータ乾燥工程S3とを同時に実行することによって、被乾燥物Aを乾燥させるように構成されている。
また、本実施の形態では、被乾燥物Aとして吸湿したシリカゲルを一例として使用し、上述した第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aを使用することによって実行される被乾燥物の乾燥方法を示している。以下、この被乾燥物の乾燥方法を構成している各工程の内容について(a)乾燥の準備と、(b)乾燥の実行と、の2段階に分けて具体的に説明する。
【0071】
(a)乾燥の準備
まず、乾燥準備工程S1において、上述した金属製容器59に所定量の被乾燥物Aである、使用によって吸湿したシリカゲルを収容する。次に、グリップ41を握って開閉扉7を開けて乾燥室本体5の開口部3を開放させた状態にし、垂れ壁93の下端部のマイクロ波漏洩防止機構21Bと、支持台81bとして機能するマイクロ波漏洩防止機構21Aと、の間の隙間に金属製容器59の左右の側縁部83c、83dを差し込み、奥部側に押し込んで金属製容器59を乾燥室本体5内にセットする。
続いて、グリップ41を再び握って開閉扉7を閉め、ロックハンドル45を所定の方向に回して開閉扉7をロックする。
【0072】
(b)乾燥の実行
次に、制御ボックス31の前面の操作ボタン等を操作してマイクロ波照射装置9、ヒータユニット71、排風機55を起動して運転を開始する。マイクロ波照射装置9によって照射されたマイクロ波は、照射口15を通って乾燥室本体5内に流入する。
乾燥室本体5内に流入したマイクロ波は、垂れ壁93によって外方への移動が規制され、更に、金属製容器59側端部のマイクロ波漏洩防止機構21Bによってマイクロ波の漏洩が高周波的に防止されて金属製容器59内に至り、被乾燥物Aである吸湿したシリカゲルに照射されて効率の良いマイクロ波による加熱が実行されてシリカゲルは乾燥される。尚、乾燥中のマイクロ波出力は放射温度計79によって計測された被乾燥物Aの品温情報に基づいて制御装置32で制御されている。
【0073】
また、上記マイクロ波による加熱と同時に、ヒータユニット71によるヒータ加熱が実行される。即ち、熱電対73で計測した電熱ヒータ75の周辺の温度に基づいて電熱ヒータ75のヒータ出力のON、OFFを切り替えたり、ヒータ出力を微調整する制御が制御装置32によって実行されて、ヒータユニット71による加熱温度がほぼ一定の温度になるように保持する。このように、電熱ヒータ75の温度を管理し、金属製容器59の底面部に理想的な温度を提供することが可能になる。
これにより、上記マイクロ波照射装置9のみでは乾燥が困難であった金属製容器59の内側面や底面と接する部分の被乾燥物Aの乾燥が、電熱ヒータ75の熱伝導もしくは輻射熱によって良好な状態で実行される。
【0074】
したがって、金属製容器59内の被乾燥物Aは常時150℃程度の高温での乾燥状態が維持されて加熱され、金属製容器59内で活発な被乾燥物Aの水分蒸発が実行されて効率的でムラのない均一な乾燥が行われる。
また、被乾燥物Aから発生した蒸気は、排風機55によって生起される搬送風に乗って乾燥室本体5の天板部の排気口53aに運ばれ、パンチング板57、排気筒53、排気管路54を通って外部に排出される。
そして、予め設定された設定時間の経過によって運転を停止し、マイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aを使用した一連の乾燥が終了する。
【0075】
(4)第4の実施の形態(
図17〜
図23参照)
本発明の第4の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Cは、大量の被乾燥物Aの乾燥を目的にした、連続式のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機である。
したがって、被乾燥物Aの連続的な乾燥を可能にする構成が付加されており、上述した第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aよりも大型で処理能力が大きく、例えば無機触媒粉末の製造ライン等にも対応できる仕様のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機になっている。
【0076】
尚、このマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Cに求められる基本的構成は、上述した第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aや第2の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Bと同様である。
したがって、ここでは上記第1の実施の形態と第2の実施の形態において既に説明した構成については説明を省略し、本実施の形態において新たに備えた構成や上記実施の形態との構成の変更点を中心に説明する。
【0077】
まず、本実施の形態では、金属製容器59Aとして上述した実施の形態において使用した
図8に示す金属製容器59よりも幅広で、左右の側縁部83c、83dに対して一例として平面視門型形状の取っ手85、85を備えた金属製容器59Aが採用されている。
また、乾燥室本体5は、一例として上記金属製容器59Aを11個収容できる大きさの搬送方向Yに長い、角筒形状を有しており、その前端面には金属製容器59Aを搬入するための開口部3Aが設けられており、一方、後端面には金属製容器59Aを搬出するための開口部3Bが形成されている。
【0078】
また、これらの開口部3A、3Bのそれぞれには、開閉手段7の一例である開閉シャッター7b、7bが取り付けられている。尚、図示は省略するが、上記2つの開口部3A、3Bと2つの開閉シャッター7b、7bの間にも上述した開口部3と開閉扉7aとの間に設けられていたのと同様のマイクロ波漏洩防止機構21が設けられていることが望ましい。
上記乾燥室本体5は、上述した11個の金属製容器59Aに対応した11の領域に区画されており、これらの領域の各々には、一例としてマイクロ波出力が1.9kwの4基のマイクロ波照射装置9と1組のヒータユニット71によって構成されているマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUが配置されている。
【0079】
また、上記乾燥室本体5の下方には、同じく金属製容器59Aの搬送方向Yに長い支持架台23が設けられており、該支持架台23の後方からその内部、更に乾燥室本体5の上方空間を利用して、前記11組のマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUに対応した位置に同じく11組の排風ユニットWが設けられている。該排風ユニットWは、上記支持架台23の後方に配置される送風手段の一例である吸気用熱風ファン103とヒータ105と、該吸気用熱風ファン103から延び、上記支持架台23の内部を通って上記乾燥室本体5の一例として底板部の吸気口106に接続されている送風ダクト107と、を備えている。
また、乾燥室本体5の一例として天板部には排気口109が形成されており、該排気口109に接続される排風量調整ダンパ111と、上方から後方にかけて延びる排風ダクト113と、を備えることによって排風ユニットWが構成されている。
【0080】
また、上記支持架台23を利用して金属製容器59Aを乾燥室本体5内に搬入して搬送方向Yに向けて搬送させる搬送手段115が備えられている。具体的には、本実施の形態では支持台81bが金属製容器59Aの搬送方向Yに沿って敷設される支持レール81cによって構成されている。
そして、上記搬送手段115は、上記支持レール81c上に整列配置されている複数(一例として11個)の金属製容器59Aを搬送方向Yに移動させるための手段であって、本実施の形態では一例として上記金属製容器59Aの取っ手85に2ヶ所ずつ作用して該金属製容器59Aに送り力Fを付与する一例として三角形板状の係止爪117と、これらの係止爪117を保持して所定ストローク、送り方向Y1と戻し方向Y2とに一体に移動させる2本の操作ロッド119と、駆動源となる駆動モータ121と、該駆動モータ121の出力軸の回転を一例としてチェーン駆動伝達機構を介して上記操作ロッド119の送り方向Y1ないし戻し方向Y2の直線運動に変換する揺動クランク機構123と、を備えることによって構成されている。
なお、搬送手段115としては、上記の実施の形態のものに限られず、例えば、チェーンコンベヤを利用した搬送手段等を採用することも可能である。
【0081】
また、搬送方向Yの下流側の3組のマイクロ波・ヒータ併用乾燥ユニットUのマイクロ波照射装置9には、他のマイクロ波照射装置9よりも長い導波管125が設けられており、これらの導波管125におけるマイクロ波発振装置10寄りの端部には、乾燥が進むとマイクロ波の反射波が増大するため、マイクロ波発振装置10にマイクロ波の反射波が戻らないようにするためのアイソレータ127が配置されている。
そして、このようにして構成されるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Cによって、例えば被乾燥物Aである無機触媒粉末を乾燥させる場合には、所定量の被乾燥物Aを金属製容器59Aに入れ、支持レール81c上にセットする。次に、開口部3Aを閉塞している開閉シャッター7bを開け、搬送手段115の駆動モータ121を駆動する。
【0082】
上記駆動モータ121の出力軸はチェーン駆動伝達機構を介して揺動クランク機構123に伝達される。そして、該揺動クランク機構123によって直線運動に変換された力が操作ロッド119に伝達され、該操作ロッド119は係止爪117を一体に伴なって送り方向Y1に所定ストローク移動する。
これに伴い、乾燥室本体5の搬入側の開口部3Aの手前に待機していた金属製容器59Aは、係止爪117が回動接続ピン118を中心に回動して係止位置に移行し、取っ手85に係止されることで送り力Fが付与される。そして、金属製容器59Aは、該開口部3Aを通って乾燥室本体5内に進入し、乾燥室本体5内の上流側の最初の乾燥領域で停止する。
【0083】
次に、開閉シャッター7bを閉めて搬入側の開口部3Aを閉塞する。尚、この時搬出側の開口部3Bは開閉シャッター7bによって閉塞されたままである。
次に、マイクロ波照射装置9とヒータユニット71とを駆動し、約5分間、被乾燥物Aの重量等に基づいて定められる所定の出力でのマイクロ波乾燥と約300℃の乾燥温度でのヒータ乾燥を同時に実行する。更に、排風ユニットWを駆動し、乾燥室本体5内にヒータ105によって所定の温度(例えば200℃程度)に加熱された所定流量(例えば5.5m
3/ min程度 )の空気を取り込んで乾燥によって発生した乾燥室本体5内の蒸気を結露させ ないよう、排風ダクト113に接続される図示しない排気集合ダクトの上流位置での温度が80℃、相対湿度が100%より僅かに低い温度(結露しない限界の湿度)になるように設定して排気風量調整ダンパ111によってその風量を調整しながら排風ダクト113から外部に排出する。
【0084】
尚、送風ダクト107を通って乾燥室本体5内に送られてきたヒータ105によって加熱された空気は、
図21に示すように乾燥室本体5内の支持部材間の隙間を通って、支持部81の上方空間に流入し、更に垂れ壁93と金属製容器59Aとの間の隙間を通って垂れ壁93の内方空間に流入する。そして、垂れ壁93内において発生した蒸気を伴って、上記排気口109から排風ダクト113を通って外部に排出される。
また、上記の乾燥時間を利用して、搬送手段115の駆動モータ121が逆方向に回転させて操作ロッド119を戻し方向Y2に移動させる。これに伴い、上記係止爪117は回動接続ピン118を中心に所定の角度回動し係止解除位置に至る。以下、同様の動作を所定回数繰り返すと、被乾燥物Aは搬送方向Yの最下流位置の乾燥領域に到達し、同じく約5分間のマイクロ波乾燥とヒータ乾燥とが実行される。したがって、本実施の形態では、トータルの乾燥時間が約55分となる。
尚、上述したように一例として11に区画した各領域での水分の蒸発量は一様でなく、最初の1つ目と2つ目の領域で被乾燥物A中の水分を常温から沸点まで昇温させる(したがって蒸発量は僅か)。次の3つ目の領域から蒸発が活発になり、4つ目〜7つ目位の領域で蒸発が最も活発になる。そして、8つ目の領域から蒸発が激減し、最後の11個目の領域でその水分量を0にすることを目標にしている。
【0085】
また、本実施の形態では、乾燥前の被乾燥物Aの重量を図示しないロードセル等によって計測し、該計測した重量に基づいてマイクロ波出力またはマイクロ波の照射時間を設定している。したがって被乾燥物Aの重量が10%少なければマイクロ波の照射時間を10%短くして4.5分にしたり、マイクロ波出力を10%小さくする等、設定を変えて乾燥を実行する。一方、電熱ヒータ71は、熱電対73で計測した温度情報に基づいてヒータ出力のON、OFFの切り替えとヒータ出力の微調整を行い、常時約300℃の乾燥温度が保持されるようにする。
【0086】
上記乾燥終了後、搬出側の開口部3Bを閉塞していた開閉シャッター7bを開け、搬送手段115の駆動モータ121を駆動して金属製容器59Aを所定ストローク、搬送方向Yに移動させると、該金属製容器59Aは、開口部3Bを通って乾燥室本体5の外部に搬出される。
以上で、被乾燥物Aの乾燥が終了し、所定水分量まで乾燥が高められた乾燥品Dが得られる。尚、ここで得られた乾燥品Dは、次工程の焼成工程に移行し、該焼成工程で焼成処理が実行されて焼成品である無機触媒粉末に加工される。
【0087】
そして、このようにして構成される第4の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Cによっても、上記第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aと同様の作用、効果が発揮される。
更に、本実施の形態では連続式のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機としたことにより、約5分間隔で順次、乾燥品Dが製造されるため、極めて効率的で大量生産に対応した被乾燥物Aの高温での乾燥処理が実行される。
【0088】
(5)ヒータユニットの効果の検証(
図24及び
図25参照)
次に、上記ヒータユニット71の効果を試すために行った比較試験の内容と結果について説明する。
本比較試験では、上記第1の実施の形態によるマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1Aを使用して、ヒータユニット71を作動させない場合と、作動させた場合で、金属製容器59の底面部59bの温度にどのような違いがあるかを、熱電対73で電熱ヒータ75の周辺の温度を計測しながら、設定加熱温度90℃になるまでの時間を比較した。
【0089】
比較試験の結果は、
図24及び
図25に示す通りであり、ヒータユニット71を作動させない場合には、
図24に示すように40℃以上での温度上昇の勾配が緩く、設定加熱温度90℃に達するのに約1時間を要している。
これに対し、ヒータユニット71を作動させた場合には、
図25に示すように40℃以上での温度上昇の勾配が急になり、約40分で設定加熱温度90℃に達している。したがって、ヒータユニット71を設け、作動させることによって、マイクロ波のみでは乾燥が困難であった金属製容器59の側面部59aと底面部59bの加熱がヒータユニット71によって補填されて、被乾燥物Aの乾燥がムラなく均一に効率的に実施されることが実証された。
【0090】
尚、本発明のマイクロ波・ヒータ併用乾燥機1及び被乾燥物の乾燥方法は、上記の実施の形態のものに限定されずその発明の要旨内での変更が可能である。
例えば、ヒータユニット71の加熱源として採用した赤外線照射式の電熱ヒータ75に代えて、他のタイプの電熱ヒータ、ガスバーナ、IH(induction heating)ヒータ、蒸気加熱を利用したヒータ等を採用したり、これらタイプの違う複数のヒータを併用して使用することが可能である。
また、ヒータユニット71は、金属製容器59の底面部59bに輻射熱を作用させるように配置される構成に代えて、金属製容器59の底面部59bに熱伝導を作用させるように配置される構成とすることが可能である。具体的には、金属製容器59の底面部59bに電熱ヒータ75を直接接触させる構成とする。この場合も、金属製容器59の底面部59bに必要な熱量を与えることができる。
また、ヒータユニット71の形状やヒータユニット71を設置する位置と範囲についても任意であり、設置位置は底面部のみとすることが可能であるし、底面部のみならず側面部を含む範囲に設置することが可能である。
【0091】
また、マイクロ波発振装置10の容量や数、電熱ヒータ75の出力の大きさや数は、乾燥する被乾燥物Aの量や種類あるいは乾燥室本体5の大きさ等の違いに応じて適宜調整できる。また、上述した金属製容器59の大きさも上記説明の中で明記した大きさに限らず、例えば幅を700mm、奥行きを400mm、深さを150mmに変更したり、幅を500mm、奥行きを400mm、深さを150mmにする等、適宜のサイズに変更することが可能である。
更に、金属製容器59の形状も浅底の円筒形状にする等、他の形状であっても構わない。
この他、乾燥室25内で発生した蒸気の排除手段としては、上述した第1の実施の形態で採用した気流導入方式に限らず、コールドトラップ方式でも良く、開閉扉7の開閉構造も片開き方式に限らず、両開き方式であっても良いし、スライド開閉方式であっても構わない。