(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本発明はこの実施の形態により限定されるものではない。
【0013】
<処方薬管理装置の構成>
本発明の実施の形態に係る処方薬管理装置の構成例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る処方薬管理装置100の構成の一例を示す図である。
【0014】
処方薬管理装置100は、入力部10、記憶部20、制御部30、表示部40を有する。
【0015】
入力部10は、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置である。入力部10は、ユーザ(例えば、薬剤師など)からの指示操作、選択操作などを受け付け、受け付けた操作の内容を制御部30に出力する。
【0016】
例えば、入力部10は、ユーザが、処方情報の入力操作を受け付け、その処方情報を制御部30に出力する。処方情報は、例えば、患者の属性を示す情報(例えば、患者名、性別、年齢、体重等)、患者に処方された薬剤(処方薬ともいう)の名称を示す情報、患者の病名を示す情報、その薬剤の処方量を示す情報などを含む。入力部10は、処方情報を取得する取得部の一例に相当する。
【0017】
記憶部20は、種々の情報を記憶するメモリまたはハードディスク装置などの記憶デバイスである。記憶部20は、例えば、薬剤に関する薬剤情報21、患者に関する患者情報22、薬剤の通常用量に関する通常用量情報23を記憶する。これらの情報は、必要に応じ、制御部30の制御によって更新されてもよい。
【0018】
ここで、記憶部20が記憶する薬剤情報21、患者情報22、通常用量情報23の具体例について図面を用いて説明する。
【0019】
まず、薬剤情報21について
図2を用いて説明する。
図2は、薬剤情報21の例を示す図である。
【0020】
図2に示すように、薬剤情報21は、薬剤名210、禁忌薬剤名211などの情報を含む。
【0021】
薬剤名210は、薬剤の名称を示す情報である。
【0022】
禁忌薬剤名211は、薬剤名210に示される薬剤との併用を避けるべき薬剤の名称を示す情報(禁忌情報の一例)である。
図2の例では、禁忌薬剤名211として1つの名称(「薬剤W」)を示しているが、禁忌薬剤名211は、複数あってもよい。
【0023】
なお、薬剤情報21は、
図2に示した薬剤名210、禁忌薬剤名211以外の情報を含んでもよい。例えば、薬剤情報21は、薬剤を識別可能なコード、薬剤の成分、薬剤の効能効果などを示す情報を含んでもよい。
【0024】
次に、患者情報22について
図3を用いて説明する。
図3は、患者情報22の例を示す図である。
【0025】
図3に示すように、患者情報22は、患者名220、性別221、年齢222、体重223、病名224、処方薬剤名225、処方歴226などの情報を含む。
【0026】
患者名220は、患者の氏名を示す情報(患者属性情報の一例)である。
【0027】
性別221は、患者の性別を示す情報(患者属性情報の一例)である。
【0028】
年齢222は、患者の年齢を示す情報(患者属性情報の一例)である。
【0029】
体重223は、患者の体重を示す情報(患者属性情報の一例)である。体重223の単位は、キログラム(kg)である。
【0030】
病名224は、患者の病気の名称を示す情報である。
【0031】
処方薬剤名225は、病名224に示される病気に対して過去に処方された薬剤の名称を示す情報(処方済薬剤情報の一例)である。
【0032】
処方歴226は、処方薬剤名225に示される薬剤が処方された年月日の情報である。
【0033】
なお、患者情報22は、
図3に示した患者名220、性別221、年齢222、体重223、病名224、処方薬剤名225、処方歴226以外の情報を含んでもよい。例えば、患者情報22は、患者の体表面積、患者の副作用歴、患者の持つアレルギーなどを示す情報を含んでもよい。また、患者情報22は、患者名220とは別に、患者を識別可能なコードを含んでもよい。
【0034】
次に、通常用量情報23について
図4を用いて説明する。
図4は、通常用量情報23の例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、通常用量情報23は、薬剤名230、適応症名231、性別232、年齢233、体重234、最小通常用量235、最大通常用量236の情報を含む。
【0036】
薬剤名230は、薬剤の名称を示す情報(薬剤識別情報の一例)である。
【0037】
適応症名231は、薬剤名230に示される薬剤の適応症の名称を示す情報である。
【0038】
性別232は、患者の性別を示す情報(患者属性情報の一例)である。
【0039】
年齢233は、患者の年齢を示す情報(患者属性情報の一例)である。
【0040】
体重234は、患者の体重を示す情報(患者属性情報の一例)である。体重234の単位は、キログラム(kg)である。
【0041】
最小通常用量235は、薬剤名230に示される薬剤の通常用量の最小量を示す情報である。この最小量は、予め設定された量とする。最小通常用量235の単位は、ミリグラム(mg)である。最小通常用量235は、1回あたりの通常用量でもよいし、1日あたりの通常用量でもよい。
【0042】
最大通常用量236は、薬剤名230に示される薬剤の通常用量の最大量を示す情報である。この最大量は、予め設定された量とする。最大通常用量236の単位は、ミリグラム(mg)である。最大通常用量236は、1回あたりの通常用量でもよいし、1日あたりの通常用量でもよい。
【0043】
なお、通常用量情報23は、
図4に示した薬剤名230、適応症名231、性別232、年齢233、体重234、最小通常用量235、最大通常用量236以外の情報を含んでもよい。例えば、通常用量情報23は、薬剤名230に示される薬剤を最小通常用量235を下回って服用すべきと判断された場合の最小量を示す最小投与量、薬剤名230に示される薬剤を最大通常用量236を上回って服用すべきと判断された場合の最大量を示す最大投与量などを示す情報を含んでもよい。
【0044】
また、通常用量情報23は、薬剤名230とともに、または、薬剤名230の代わりに、薬剤を識別可能な識別コード(薬剤識別情報の一例)を含んでもよい。
【0045】
以上、記憶部20が記憶する薬剤情報21、患者情報22、通常用量情報23の具体例について説明した。上述した薬剤情報21、患者情報22、および通常用量情報23に含まれる情報は、ユーザからの入力を受けて、制御部30が更新してもよいし、図示しない通信部を介して外部装置から情報を受信して、制御部30が更新してもよい。
【0047】
制御部30は、処方薬管理装置100が行う各処理を制御するプロセッサなどの制御デバイスである。制御部30は、処方監査部31、通常用量特定部32を有する。
【0048】
処方監査部31は、入力部10が受け付けた処方情報と、記憶部20から読み出した薬剤情報21および患者情報22とに基づいて、今回処方された薬剤と過去に処方された薬剤との併用に問題があるか否かを判定し、その判定結果を表示するように表示部40を制御する。この制御の詳細については後述する。
【0049】
通常用量特定部32は、入力部10が受け付けた処方情報と、記憶部20から読み出した通常用量情報23とに基づいて、今回処方された薬剤の通常用量を特定し、その特定結果を表示するように表示部40を制御する。この制御の詳細については後述する。
【0050】
なお、制御部30は、入力部10が受け付けたユーザからの指示操作等に基づいて、記憶部20に記憶された薬剤情報21、患者情報22、通常用量情報23を更新する処理なども行ってもよい。
【0051】
表示部40は、ディスプレイなどの表示装置である。表示部40は、制御部30の制御によって情報の表示を行う。表示部40が表示する情報の詳細については後述する。
【0052】
<処方薬管理装置の動作>
本発明の実施の形態に係る処方薬管理装置の動作例について説明する。以下では、動作例として、処方監査処理および通常用量特定処理のそれぞれの処理手順について説明する。
【0053】
処方監査処理の処理手順について、
図2、
図3を用いて説明する。
【0054】
まず、入力部10は、ユーザにより手動で入力された処方情報を受け付ける。この処方情報には、例えば、患者の氏名、性別、年齢、体重、患者に処方された薬剤の名称などの情報が含まれる。
【0055】
次に、処方監査部31は、処方情報に含まれる薬剤の名称に対応する薬剤情報21を記憶部20から読み出す。また、処方監査部31は、処方情報に含まれる患者の氏名に対応する患者情報22を記憶部20から読み出す。
【0056】
次に、処方監査部31は、薬剤情報21の禁忌薬剤名211が患者情報22の処方薬剤名225に登録されているか否かを判定する。
【0057】
判定の結果、禁忌薬剤名211が処方薬剤名225に登録されていない場合、処方監査部31は、今回処方された薬剤と過去に処方された薬剤との併用に問題が無い旨を示す情報(例えば、メッセージ等)を生成し、その情報を表示部40に表示させる。
【0058】
一方、判定の結果、禁忌薬剤名211が処方薬剤名225に登録されている場合、処方監査部31は、今回処方された薬剤と過去に処方された薬剤との併用に問題がある旨を示す情報(例えば、メッセージ等)を生成し、その情報を表示部40に表示させる。
【0059】
なお、禁忌薬剤名211が処方薬剤名225に登録されている場合、処方監査部31は、更に、処方歴226の最新の年月日から現在の年月日までの経過期間が所定期間を超えているか否かを判定してもよい。そして、経過期間が所定期間を超えていれば、処方監査部31は、今回処方された薬剤と過去に処方された薬剤との併用に問題が無い旨を示す情報を生成し、その情報を表示部40に表示させるようにてしてもよい。一方、経過期間が所定期間を超えていなければ、処方監査部31は、今回処方された薬剤と過去に処方された薬剤との併用に問題がある旨を示す情報を生成し、その情報を表示部40に表示させるようにしてもよい。
【0060】
このような処方監査処理の処理手順により、ユーザは、今回処方された薬剤と、過去に処方された薬剤との併用に問題があるか否かを容易に把握することができる。なお、上記処方監査処理は一例であり、上記説明に限定されない。
【0061】
以上、処方監査処理の処理手順について説明した。
【0062】
次に、通常用量特定処理の処理手順について、
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の実施形態における通常用量特定処理の処理手順の一例を示す図である。以下に説明する通常用量特定処理は、処方監査処理において今回処方された薬剤と過去に処方された薬剤との併用に問題が無いと判定された場合に行われてもよいし、処方監査処理とは関係なく単独で行われてもよい。
【0063】
まず、入力部10は、ユーザにより手動で入力された処方情報を受け付ける(ステップS11)。この処方情報には、例えば、患者の氏名、性別、年齢、体重、患者に処方された薬剤の名称などの情報が含まれる。
【0064】
次に、通常用量特定部32は、処方情報に含まれる薬剤の名称に対応する通常用量情報23を記憶部20から読み出す(ステップS12)。例えば、処方情報に薬剤の名称として「薬剤X」が含まれる場合、通常用量特定部32は、
図4に示した通常用量情報23のうち、薬剤名230の「薬剤X」に対応する適応症名231、性別232、年齢233、体重234、最小通常用量235、最大通常用量236の各情報を全て読み出す。
【0065】
次に、通常用量特定部32は、処方情報と通常用量情報23に基づいて、今回処方された薬剤の通常用量を特定する(ステップS13)。このステップの詳細については
図6を用いて後述する。
【0066】
次に、通常用量特定部32は、特定した通常用量の情報を含む画像情報を生成する(ステップS14)。このステップの詳細については
図6を用いて後述する。
【0067】
次に、通常用量特定部32は、生成した画像情報の表示を行うように表示部40を制御する(ステップS15)。これにより、表示部40には、今回処方された薬剤の通常用量が表示される。この表示部40の表示画面の詳細については
図7〜
図13を用いて後述する。
【0068】
以上、通常用量特定処理の処理手順について説明した。
【0069】
次に、上述した通常用量判定処理のステップS13およびステップS14の詳細について、
図6を用いて説明する。
図6は、ステップS13、S14の処理手順の一例を示す図である。
図6のステップS21〜S23、S25、S27、S28、S30は、
図5に示したステップS13に対応する。また、
図6のステップS24、S26、S29、S31は、
図5に示したステップS14に対応する。
【0070】
まず、通常用量特定部32は、
図5のステップS11において入力された処方情報に病名が含まれているか否かを判定する(ステップS21)。ここでいう病名とは、患者がかかっている病気の名称である。
【0071】
ステップS21の判定処理の結果、処方情報に病名が含まれている場合(ステップS21:YES)、フローはステップS27へ進む。ステップS27以降については後述する。
【0072】
一方、ステップS21の判定処理の結果、処方情報に病名が含まれていない場合(ステップS21:NO)、フローはステップS22へ進む。
【0073】
次に、通常用量特定部32は、
図5のステップS11において入力された処方情報に処方量が含まれているか否かを判定する(ステップS22)。ここでいう処方量とは、患者に処方された薬剤の量である。
【0074】
ステップS22の判定処理の結果、処方情報に処方量が含まれている場合(ステップS22:YES)、フローはステップS25へ進む。ステップS25以降については後述する。
【0075】
一方、ステップS22の判定処理の結果、処方情報に処方量が含まれていない場合(ステップS22:NO)、フローはステップS23へ進む。
【0076】
処方情報に、病名が含まれておらず(ステップS21:NO)、かつ、処方量が含まれていない場合(ステップS22:NO)、通常用量特定部32は、記憶部20から読み出した通常用量情報23において、処方された薬剤に対応付けられている全ての適応症のそれぞれについて、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重に対応する通常用量を特定する(ステップS23)。ここで特定される通常用量は、
図4に示した最小通常用量235と最大通常用量236である。例えば、処方情報に含まれる薬剤の名称が「薬剤X」であり、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重がそれぞれ「男性」、「1才」、「7.2kg」である場合、通常用量特定部32は、
図4に示した通常用量情報23において、「薬剤X」に対応する適応症名「a」について最小通常用量「5.0mg」、最大通常用量「8.5mg」を特定する。同様に、通常用量特定部32は、「薬剤X」に対応する適応症名「b」についても、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重に対応する最小通常用量および最大通常用量を特定する。
【0077】
そして、通常用量特定部32は、特定した全ての適応症の通常用量の情報、および、入力された処方情報を含む第1の画像情報を生成する(ステップS24)。その後、表示部40は、通常用量特定部32の制御により、第1の画像情報の表示を行う。
【0078】
ここで、第1の画像情報の表示例について
図7を用いて説明する。
図7は、表示部40の画面に表示された第1の画像情報の一例を示す図である。
【0079】
図7に示すように、表示部40の画面には、患者の属性を示す患者属性情報50として、患者名51、性別52、年齢53、体重54が表示される。患者名51、性別52、年齢53、体重54は、処方情報として入力された情報である。
【0080】
また、
図7に示すように、表示部40の画面には、薬剤名56が表示される。薬剤名56は、処方情報として入力された情報である。なお、
図7の例では、処方情報として入力されなかった病名55および処方量57は表示されない。
【0081】
また、
図7に示すように、表示部40の画面には、薬剤名56の全ての適応症名58が表示され、適応症名58ごとに通常用量59がグラフで表示される。適応症名58は、薬剤名56に基づいて通常用量情報23において特定された情報である。通常用量59は、処方情報として入力された患者の性別、年齢、体重に基づいて通常用量情報23において特定された情報である。
図7の例では、通常用量59として、矩形画像60a〜60cが表示されている。矩形画像60aは、適応症aの最小通常用量から最大通常用量までの範囲を示している。矩形画像60bは、適応症bの最小通常用量から最大通常用量までの範囲を示している。矩形画像60cは、適応症cの最小通常用量から最大通常用量までの範囲を示している。
【0082】
このような表示画面により、ユーザは、処方された薬剤の全ての適応症の最小通常用量と最大通常用量を直感的に把握できる。
【0083】
以上、第1の画像情報の表示例について説明した。以下、
図6のフローの説明に戻る。
【0084】
処方情報に、病名が含まれておらず(ステップS21:NO)、かつ、処方量が含まれている場合(ステップS22:YES)、通常用量特定部32は、記憶部20から読み出した通常用量情報23において、処方された薬剤に対応付けられている全ての適応症のそれぞれについて、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重に対応する通常用量を特定する(ステップS25)。ここで特定される通常用量は、
図4に示した最小通常用量235と最大通常用量236である。ここでの最小通常用量235および最大通常用量236の特定方法の具体例については、上記ステップS23と同様であるので、その説明は省略する。
【0085】
そして、通常用量特定部32は、特定した全ての適応症の通常用量の情報、および、入力された処方情報を含む第2の画像情報を生成する(ステップS26)。その後、表示部40は、通常用量特定部32の制御により、第2の画像情報の表示を行う。
【0086】
ここで、第2の画像情報の表示例について
図8を用いて説明する。
図8は、表示部40の画面に表示された第2の画像情報の一例を示す図である。
【0087】
図8に示すように、表示部40の画面には、
図7と同様に、患者属性情報50(患者名51、性別52、年齢53、体重54)および薬剤名56が表示される。
【0088】
また、
図8に示すように、表示部40の画面には、処方量57が表示される。処方量57は、処方情報として入力された情報である。なお、
図8の例では、処方情報として入力されなかった病名55は表示されない。
【0089】
また、
図8に示すように、表示部40の画面には、
図7と同様に、薬剤名56の全ての適応症名58が表示され、適応症名58ごとに通常用量59(矩形画像60a〜60c)がグラフで表示される。
図8の例では、さらに、処方量57を示す矩形画像70(第2の画像の一例)が表示される。矩形画像70は、矩形画像60bおよび矩形画像60cに重畳して表示される。
【0090】
このような表示画面により、ユーザは、処方された薬剤の全ての適応症の最小通常用量と最大通常用量を直感的に把握でき、かつ、適応症ごとに処方量が適切であるか否か(処方量が最小通常用量と最大通常用量の間の範囲内であるか否か)を直感的に把握できる。
【0091】
以上、第2の画像情報の表示例について説明した。以下、
図6のフローの説明に戻る。
【0092】
ステップS21の判定処理の結果、処方情報に病名が含まれている場合(ステップS21:YES)、通常用量特定部32は、処方情報に処方量が含まれているか否かを判定する(ステップS27)。ここでいう処方量とは、患者に処方された薬剤の量である。
【0093】
ステップS27の判定処理の結果、処方情報に処方量が含まれている場合(ステップS27:YES)、フローはステップS30へ進む。ステップS30以降については後述する。
【0094】
一方、ステップS27の判定処理の結果、処方情報に処方量が含まれている場合(ステップS27:NO)、フローはステップS28へ進む。
【0095】
処方情報に、病名が含まれており(ステップS21:YES)、かつ、処方量が含まれていない場合(ステップS27:NO)、通常用量特定部32は、記憶部20から読み出した通常用量情報23において、処方された薬剤に対応付けられている適応症のうち、入力された病名と同じ名称である適応症について、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重に対応する通常用量を特定する(ステップS28)。ここで特定される通常用量は、
図4に示した最小通常用量235と最大通常用量236である。例えば、処方情報に含まれる薬剤の名称、病名がそれぞれ「薬剤X」、「b」であり、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重がそれぞれ「男性」、「1才」、「7.2kg」である場合、通常用量特定部32は、
図4に示した通常用量情報23において、適応症名「b」のみについて、「男性」、「1才」、「7.2kg」に対応する最小通常用量(図示略)および最大通常用量(図示略)を特定する。すなわち、この場合では、通常用量特定部32は、適応症名「b」以外の適応症については、最小通常用量および最大通常用量を特定しない。
【0096】
そして、通常用量特定部32は、特定した適応症の通常用量の情報、および、入力された処方情報を含む第3の画像情報を生成する(ステップS29)。その後、表示部40は、通常用量特定部32の制御により、第3の画像情報の表示を行う。
【0097】
ここで、第3の画像情報の表示例について
図9を用いて説明する。
図9は、表示部40の画面に表示された第3の画像情報の一例を示す図である。
【0098】
図9に示すように、表示部40の画面には、
図7と同様に、患者属性情報50(患者名51、性別52、年齢53、体重54)および薬剤名56が表示される。
【0099】
また、
図9に示すように、表示部40の画面には、病名55が表示される。病名55は、処方情報として入力された情報である。なお、
図9の例では、処方情報として入力されなかった処方量57は表示されない。
【0100】
また、
図9に示すように、表示部40の画面には、入力された病名55と同じ名称の適応症名58のみが表示され、その適応症名58に対応する通常用量59(矩形画像60b)のみがグラフで表示される。矩形画像60bは、矩形画像60bに重畳して表示される。
【0101】
このような表示画面により、ユーザは、入力された適応症の最小通常用量と最大通常用量を直感的に把握できる。
【0102】
以上、第3の画像情報の表示例について説明した。以下、
図6のフローの説明に戻る。
【0103】
処方情報に、病名が含まれており(ステップS21:YES)、かつ、処方量が含まれている場合(ステップS27:YES)、通常用量特定部32は、記憶部20から読み出した通常用量情報23において、処方された薬剤に対応付けられている適応症のうち、入力された病名と同じ名称の適応症について、処方情報に含まれる患者の性別、年齢、体重に対応する通常用量を特定する(ステップS30)。ここで特定される通常用量は、
図4に示した最小通常用量235と最大通常用量236である。ここでの最小通常用量235および最大通常用量236の特定方法の具体例については、上記ステップS28と同様であるので、その説明は省略する。
【0104】
そして、通常用量特定部32は、特定した適応症の通常用量の情報、および、入力された処方情報を含む第4の画像情報を生成する(ステップS31)。その後、表示部40は、通常用量特定部32の制御により、第4の画像情報の表示を行う。
【0105】
ここで、第4の画像情報の表示例について
図10、
図11を用いて説明する。
図10および
図11は、表示部40の画面に表示された第4の画像情報の一例を示す図である。
【0107】
図10に示すように、表示部40の画面には、
図7と同様に、患者属性情報50(患者名51、性別52、年齢53、体重54)および薬剤名56が表示される。
【0108】
また、
図10に示すように、表示部40の画面には、病名55および処方量57が表示される。病名55および処方量57は、処方情報として入力された情報である。
【0109】
また、
図10に示すように、表示部40の画面には、入力された病名55と同じ名称の適応症名58が表示され、適応症名58に対応する通常用量59(矩形画像60b)がグラフで表示される。
図9の例では、さらに、処方量57を示す矩形画像71(第2の画像の一例)が表示される。
【0110】
次に、
図11について説明する。
図10では、入力された処方量57が通常用量59の範囲内である場合の表示例を示したが、
図11では、入力された処方量57が通常用量59の範囲外である場合の表示例を示す。
【0111】
図11に示すように、表示部40の画面には、
図10と同様に、適応症名58に対応する通常用量59(矩形画像60b)が表示されるが、処方量57を示す矩形画像71が矩形画像60bに重畳されずに表示される。
【0112】
このような表示画面により、ユーザは、入力された適応症の最小通常用量と最大通常用量を直感的に把握でき、かつ、入力された処方量が適切であるか否か(処方量が最小通常用量と最大通常用量の間の範囲内であるか否か)を直感的に把握できる。
【0113】
なお、上述した第4の画像情報の表示例では、
図10、
図11に示すように、適応症名58として、入力された病名55と同じ「b」のみを表示し、通常用量59として、矩形画像60bのみを表示する例としたが、例えば、
図8と同様に、入力された薬剤名56に対応付けられている全ての適応症名58(a〜c)と、それらに対応する通常用量59(矩形画像60a〜60c)とを表示してもよい。
【0114】
その場合において、入力された処方量57が、入力された病名55の通常用量59の範囲外であるときは、入力された病名55と同じ適応症名58およびそれに対応する通常用量59を、他の適応症名58およびそれに対応する通常用量59と異なる形態(例えば、色、模様、形状など)で表示してもよい。この例を
図12に示す。
【0115】
図12は、入力された処方量57(80mg)が、入力された病名55(b)の通常用量59の範囲外である場合の表示例を示している。
図12に示すように、適応症名58においてbがa、cと異なる形態で表示され、かつ、通常用量59において矩形画像60bが矩形画像60a、60cと異なる形態で表示されている。すなわち、入力された病名55と同じ適応症名58であるbのみがa、cとは異なる形態で表示されている。これにより、ユーザは、入力された処方量が適切ではないことをさらに直感的に把握できる。なお、
図12の例では、適応症名58および通常用量59の両方を異なる形態で表示するとしたが、適応症名58および通常用量59のいずれかのみを異なる形態で表示するようにしてもよい。
【0116】
以上説明したように、本実施の形態の処方薬管理装置100によれば、ユーザは、処方された薬剤の適応症の最小通常用量と最大通常用量を直感的に把握でき、かつ、処方された薬剤の処方量が通常用量として適切であるか否かを直感的に把握できる。
【0117】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、所定の適応症の最小通常用量から最大通常用量までの範囲を示す画像(例えば、矩形画像60a〜60c)および処方量を示す画像(例えば、矩形画像70、71)を矩形としたが、これに限定されない。画像の形状は、例えば、楕円、直線、矢印、その他の形状であってもよい。
【0119】
例えば、上記実施の形態では、ユーザが入力部10において手動で処方情報を入力する例について説明したが、処方情報を電子データで構成してもよい。その場合、例えば、処方薬管理装置100は、所定の通信網を介して情報を受信可能な受信部(取得部の一例)を備え、その受信部により処方情報を取得してもよい。または、例えば、処方薬管理装置100は、記録媒体から情報を読み取り可能な読取部(取得部の一例)を備え、その読取部により記録媒体から処方情報を取得してもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、処方情報として、処方された薬剤の名称の情報および患者の属性情報の全部(例えば、年齢、性別、体重を示す情報)が入力された場合に、その処方情報に基づいて、処方された薬剤の適応症の最小通常用量および最大通常用量が特定されるとしたが、これに限定されない。例えば、処方された薬剤の名称の情報とともに、患者の属性情報の少なくとも1つ(例えば、年齢、性別、体重のいずれか1つを示す情報)が入力された場合でも、処方された薬剤の適応症の最小通常用量および最大通常用量が特定されるようにしてもよい。その場合、通常用量特定部32が特定に用いる通常用量情報では、薬剤名、その適応症、および年齢ごとに、標準的な最小通常用量および標準的な最大通常用量が対応付けられていればよい。また、上記通常用量情報では、薬剤名、その適応症、および性別ごとに、標準的な最小通常用量および標準的な最大通常用量が対応付けられていればよい。または、上記通常用量情報では、薬剤名、その適応症、および体重ごとに、標準的な最小通常用量および標準的な最大通常用量が対応付けられていればよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、処方情報として、処方された薬剤の名称の情報および患者の属性情報が入力された場合に、その処方情報に基づいて、処方された薬剤の適応症の最小通常用量および最大通常用量が特定されるとしたが、患者の属性情報の入力がなくても、処方された薬剤の名称の情報に基づいて、その薬剤の適応症の最小通常用量および最大通常用量が特定されるようにしてもよい。この場合、通常用量特定部32が特定に用いる通常用量情報では、薬剤名およびその適応症ごとに、標準的な最小通常用量および標準的な最大通常用量が対応付けられていればよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、通常用量59として、最小通常用量および最大通常用量をグラフで表示するとしたが、それらとともに最小投与量および最大投与量をグラフで表示してもよい。上述したとおり、最小投与量とは、最小通常用量を下回って服用すべきと判断された場合の最小量であり、最大投与量とは、最大通常用量を上回って服用すべきと判断された場合の最大量である。この最小投与量および最大投与量は、予め設定された量とする。最大投与量および最大投与量は、通常用量情報23において、薬剤名およびその適応症ごとに、または、薬剤名、その適応症、患者の性別、年齢、体重ごとに、登録されている。最小投与量および最大投与量の表示例を
図13に示す。
【0123】
図13は、
図10に示した表示例においてさらに最小投与量および最大投与量が表示された例を示す。
図13に示すように、矩形画像60bの両端には、矩形画像60bと異なる形態の矩形画像80aおよび矩形画像80bが表示されている。矩形画像80aは、最小投与量と最小通常用量との間の範囲を示している。矩形画像80bは、最大投与量と最大通常用量との間の範囲を示している。これにより、ユーザは、処方された薬剤の適応症について、最小通常用量および最大通常用量だけでなく、最小投与量および最大投与量も直感的に把握できる。なお、ここで説明した最小投与量および最大投与量の画像表示は、
図7〜
図9、
図11〜
図12においても適用可能である。また、最小投与量および最大投与量を示す画像の形状は、矩形に限定されない。
【0124】
また、上記実施の形態では、処方薬管理装置100が入力部10、記憶部20、表示部40を備える構成としたが、入力部10、記憶部20、表示部40のうち少なくとも一部は、処方薬管理装置100とは別に設けられてもよい。また、上記実施の形態では、制御部30が処方監査部31、通常用量特定部32を備える構成としたが、制御部30は、少なくとも通常用量特定部32を備えればよい。
【0125】
以上、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した処方薬管理装置100の各機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。
【0126】
具体的には、コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)が、記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。