(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。(1)一実施形態による半導体光増幅装置は、半導体光増幅素子と、半導体光増幅素子を収容する第1空間を内部に有する第1パッケージと、半導体光増幅素子と光学的に結合された半導体光素子を収容する第2空間を内部に有する第2パッケージと、第1パッケージ及び第2パッケージの双方に固定され、半導体光増幅素子と半導体光素子とを結ぶ光軸を通過させる光接続部とを備え、光接続部は、光軸が通る空隙を内部に有し、光軸と交差する方向における空隙の最小幅は、光軸と交差する方向における第1空間の幅、及び光軸と交差する方向における第2空間の幅よりも狭い。
【0011】
この半導体光増幅装置では、光接続部を介して第1パッケージ及び第2パッケージとの間を光が通過する。光接続部の空隙の最小幅は、半導体光増幅素子を収容する第1パッケージの第1空間の幅、及び半導体光素子を収容する第2パッケージの第2空間の幅よりも狭い。これにより、半導体光増幅素子の動作時に発生するASEや接続部もしくは発光素子からの迷光の多くが光接続部によって遮られるので、半導体光素子に到達する迷光を低減することができる。従って、この半導体光増幅装置によれば、半導体光増幅素子の動作時に発生するASE等の迷光による半導体光素子の動作への影響を低減することができる。同時に、半導体光増幅素子を収容する第1パッケージと、半導体光素子を収容する第2パッケージとを一体に構成して、半導体光増幅装置の取り扱いを容易にすることができる。
【0012】
(2)第1パッケージは、空隙と接続される第1開口部を第1側壁に有し、第2パッケージは、空隙と接続される第2開口部を第2側壁に有し、第1開口部及び第2開口部のそれぞれには集光レンズが設けられてもよい。これにより、光接続部の空隙において光束の径を絞ることができ、空隙の幅をより狭くすることが可能となる。従って、ASE等の迷光による半導体光素子の動作への影響を更に低減することができる。この場合、空隙は、第1パッケージ側の一端及び第2パッケージ側の他端から該空隙の内部に向けて狭くなっていてもよい。
【0013】
(3)半導体光増幅装置は、第1パッケージは、空隙と接続される第1開口部を第1側壁に有し、第2パッケージは、空隙と接続される第2開口部を第2側壁に有し、一端部から他端部まで延びる配線を有する第1フレキシブル配線基板を更に備え、第1パッケージは、第1側壁と交差する方向に延びる第3側壁と、第3側壁に設けられ、第1パッケージの内側と外側との導電を行う第1接続部とを有し、第2パッケージは、第2側壁と対向する第4側壁と、第4側壁に設けられ、第2パッケージの内側と外側との導電を行う第2接続部とを有し、第1フレキシブル配線基板の一端部は第1パッケージの外側において第1接続部と導電接合されており、第1フレキシブル配線基板の他端部は、第2側壁から第4側壁に向かう方向に引き出されてもよい。これにより、半導体光増幅装置の外部と半導体光増幅装置との電気的な接続を容易にすることができる。
【0014】
(4)第1フレキシブル配線基板は、一端部から第1側壁に沿う方向に延びる部分と、他端部から第1側壁と交差する方向に延びる部分とを有してもよい。例えばこのような構成によって、第1フレキシブル配線基板の他端部と、第2フレキシブル配線基板の他端部との引き出し方向を互いに同じとすることができる。
【0015】
(5)半導体光増幅装置は、第1パッケージ及び第2パッケージを搭載する基板と、基板と第1パッケージとの間に設けられるスペーサと、を更に備えてもよい。この場合、半導体光増幅装置は、第1パッケージに収容されて半導体光増幅素子の温度を制御する温度制御部を更に備え、スペーサは、銅及びタングステンを含む合金、銅及びモリブデンを含む合金、又はアルミニウムからなってもよい。これにより、スペーサの熱伝導性を向上させ、温度制御部の温度制御性能を高めることができる。
【0016】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る半導体光増幅装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体光増幅装置1の構成を示す図である。
図1は側断面図を示し、
図2は平面断面図を示す。また、
図3及び
図4は、半導体光増幅装置1が備える光増幅部2Aの構成を拡大して示す図である。
図3は側断面図を示し、
図4は平面断面図を示す。
図1〜
図4に示されるように、本実施形態の半導体光増幅装置1は、光増幅部2Aと、光受信部3Aと、光接続部14とを備える。光増幅部2Aは、半導体光増幅素子(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)41及び第1パッケージ10を有する。第1パッケージ10は、半導体光増幅素子41を収容する第1空間10aを内部に有する。光受信部3Aは、半導体光増幅素子41と光学的に結合された受光素子アレイ72(半導体光素子)、及び第2パッケージ60を有する。第2パッケージ60は、受光素子アレイ72を収容する第2空間60aを内部に有する。光接続部14は、第1パッケージ10及び第2パッケージ60の双方に固定され、半導体光増幅素子41と受光素子アレイ72とを結ぶ光軸L2を通過させる。
【0018】
光増幅部2Aについて詳細に説明する。
図3及び
図4に示されるように、光増幅部2Aは、第1パッケージ10、光接続部22、半導体光増幅素子41、ガラス窓材51、及び集光レンズ55を有する。
【0019】
第1パッケージ10は、略直方体状の外観を有する中空部材である。第1パッケージ10は、互いに対向する側壁11a及び11b、互いに対向し側壁11a及び11bと交差する方向に延びる側壁11c及び11d、底板11e、並びに天板11fを有する。側壁11bは、本実施形態における第1側壁に相当する。側壁11dは、本実施形態における第3側壁に相当する。第1パッケージ10は、底板11eを除いて、例えば鉄、ニッケル、及びコバルトを含む合金(例えばFe−Ni−Co合金)からなる。底板11eは、例えば熱伝導性に優れた銅及びタングステンを含む合金(例えばCuW合金)からなる。側壁11aは、接合面12aを外面に含む。接合面12aには、光接続部22が固定される。側壁11aには、開口部13aが形成されている。この開口部13aには集光レンズ55が固定されており、半導体光増幅素子41の一端から延びる光軸L1が集光レンズ55を通過する。側壁11bは、接合面12bを外面に含む。接合面12bには、光接続部14を介して光受信部3Aが接合される。また、側壁11bには、開口部13bが形成されている。開口部13bは、本実施形態における第1開口部に相当する。この開口部13bにはガラス窓材51が固定されており、半導体光増幅素子41の他端から光受信部3Aへ延びる光軸L2がガラス窓材51を通過する。
【0020】
第1パッケージ10は、半導体光増幅素子41、サブキャリア42、第1コリメートレンズ43、第2コリメートレンズ44、サーミスタ45、キャリア46、及び温度制御部(TEC:Thermo Electric Cooler)47を収容している。温度制御部47上のキャリア46には、半導体光増幅素子41を搭載したサブキャリア42、第1コリメートレンズ43、第2コリメートレンズ44、サーミスタ45が搭載されている。
【0021】
半導体光増幅素子41は、例えばInP系半導体からなる。半導体光増幅素子41は、n型InP基板上に、n型InPクラッド層、活性層(InGaAsPウエル/InGaAsPバリアからなる多重量子井戸構造)、及びp型InPクラッド層が順に積層された構造を有する。半導体光増幅素子41は、第1端面41aと、第1端面41aに対向する第2端面41bとを有する。半導体光増幅素子41は、第1コリメートレンズ43と第2コリメートレンズ44とによって挟まれ、半導体光増幅素子41の第1端面41aは第1コリメートレンズ43に光学的に結合される。第2端面41bは、第2コリメートレンズ44と光学的に結合される。半導体光増幅素子41の第1端面41a及び第2端面41bからの戻り光を低減させるために、第1端面41a及び第2端面41bは、光軸L1及び光軸L2に垂直な面に対して傾斜して対向している。
【0022】
サブキャリア42は、半導体光増幅素子41を搭載する部材であり、例えばアルミニウム及び窒素を含む材料(一例ではAlN)からなる。キャリア46は、サブキャリア42、第1コリメートレンズ43、第2コリメートレンズ44、及びサーミスタ45を搭載する。温度制御部47は、キャリア46を搭載する。温度制御部47は、半導体光増幅素子41の素子温度を制御する。温度制御部47は、例えばペルチェ素子であることができる。サーミスタ45は、半導体光増幅素子41の素子温度を検知するために、半導体光増幅素子41の近傍に設置される。
【0023】
第1パッケージ10は、側壁11dに設けられて第1パッケージ10の内側と外側との導電を行う第1接続部50を有する。第1接続部50は、フィードスルー54、金属配線52a〜52f、及び外部端子53a〜53fを有する。フィードスルー54は、側壁11dに形成された開口部を貫通するように設けられている。金属配線52a〜52fは、フィードスルー54上に設けられ、それぞれ、温度制御部47、半導体光増幅素子41、サーミスタ45とワイヤを介して電気的に接続される。外部端子53a〜53fは、フィードスルー54上に設けられ、金属配線52a〜52fにそれぞれ接続されている。外部端子53a〜53fは、例えば、半導体光増幅素子41用の駆動端子、温度制御部47用の駆動端子、及びサーミスタ45用の駆動端子として利用される。半導体光増幅素子41およびサーミスタ45は、金属配線52a〜52f及び外部端子53a〜53fのいずれかを介して、光増幅部2Aの外部との間で電気信号の送受信を行う。フィードスルー54は、例えばセラミックからなり、金属配線52a〜52f及び外部端子53a〜53fは、例えばAuからなる。
【0024】
光接続部22は、例えばステンレスからなり、第1パッケージ10の接合面12aに溶接等によって固定され、半導体光増幅素子41の第1端面41aから延びる光軸L1を通過させる。光接続部22は例えば光レセプタクルであることができる。光接続部22の内部には、スタブ24及びアイソレータ25が収容されている。スタブ24は、アイソレータ25と光学的に結合されている。アイソレータ25は、集光レンズ55と光学的に結合されている。スタブ24は、光レセプタクルのための光結合部品であり、例えばセラミックからなる。アイソレータ25は、半導体光増幅素子41の第1端面41aに向かう光を通過させるとともに、半導体光増幅素子41の第1端面41aからの光を遮断する。
【0025】
図1及び
図2に示されるように、光受信部3Aは、第2パッケージ60、光分波器71、受光素子アレイ72、及びトランスインピーダンスアンプ(TIA)73を有する。
【0026】
第2パッケージ60は、略直方体状の外観を有する中空部材である。第2パッケージ60は、例えば鉄、ニッケル、及びコバルトを含む合金(例えばFe−Ni−Co合金)からなる。第2パッケージ60は、互いに対向する側壁61a及び61b、互いに対向し側壁61a及び61bと交差する方向に延びる側壁61c及び61d、底板61e、及び天板61fを有する。側壁61aは、本実施形態における第2側壁に相当する。側壁61bは、本実施形態における第4側壁に相当する。側壁61aは、接合面62aを外面に含む。接合面62aには、光接続部14が固定される。また、側壁61aには、開口部63aが形成されている。開口部63aは、本実施形態における第2開口部に相当する。この開口部63aにはガラス窓材64が固定されており、半導体光増幅素子41の第2端面41bから延びる光軸L2がガラス窓材64を通過する。
【0027】
光分波器71は、第2コリメートレンズ44、ガラス窓材51、光接続部14、及びガラス窓材64を介して半導体光増幅素子41の第2端面41bと光学的に結合されている。光分波器71は、第2端面41bから出射された複数の波長成分を含む光信号を各波長毎に分波する。受光素子アレイ72は、光軸L2と交差する方向に並ぶ複数の受光素子を有し、光分波器71と光学的に結合されている。受光素子アレイ72は、光分波器71によって分波された各波長成分(
図2に各光軸L3を示す)の信号光の強度を、各受光素子において検出する。トランスインピーダンスアンプ73は、受光素子アレイ72と電気的に接続されており、受光素子アレイ72から出力された電流信号である光強度信号を電圧信号に変換し、増幅する。光分波器71はキャリア74上に搭載されている。受光素子アレイ72はベース部材75の側面に固定されており、ベース部材75及びトランスインピーダンスアンプ73はキャリア76上に搭載されている。キャリア74及び76は、例えば熱伝導性に優れた鉄、ニッケル、及びコバルトを含む合金(例えばFe−Ni−Co合金)からなる。なお、本実施形態では光分波器71及び受光素子アレイ72を含むWDM構造を例示したが、これらに代えて、単一の受光素子が設けられてもよい。
【0028】
第2パッケージ60は、側壁61bに設けられて第2パッケージ60の内側と外側との導電を行う第2接続部65を有する。第2接続部65は、金属配線66a〜66g、外部端子67a〜67g、及びフィードスルー68を有する。フィードスルー68は、側壁61bに形成された開口部を貫通するように設けられている。金属配線66a〜66gは、フィードスルー68上に設けられ、受光素子アレイ72及びトランスインピーダンスアンプ73と電気的に接続される。外部端子67a〜67gは、フィードスルー68上に設けられ、金属配線66a〜66gにそれぞれ接続されている。外部端子67a〜67gは、例えば、受光素子アレイ72用の駆動端子、トランスインピーダンスアンプ73からの出力信号を出力するための端子等として利用される。フィードスルー68は例えばセラミックからなり、金属配線66a〜66g及び外部端子67a〜67gは例えばAuからなる。
【0029】
光接続部14は、光軸L2を中心とする略円筒状の部材からなり、その一端が第1パッケージ10の接合面12bに溶接等によって固定されている。光接続部14の他端は、第2パッケージ60の接合面62aに溶接等によって接合されている。光接続部14は、半導体光増幅素子41の第2端面41bから延びる光軸L2を通過させる。光接続部14は、例えばステンレスといった金属からなる。
【0030】
ここで、
図5は、光接続部14付近の構造を拡大して示す断面図である。
図5に示されるように、光接続部14は、光軸L2が通る空隙14aを内部に有する。空隙14aは、その一端において側壁11bの開口部13bと連通し、その他端において側壁61aの開口部63aと連通する。光軸L2と交差する方向における空隙14aの最小幅(最小径)W1は、光軸L2と交差する方向における第1パッケージ10の第1空間10aの幅W2、及び光軸L2と交差する方向における第2パッケージ60の第2空間60aの幅W3よりも狭い。
【0031】
再び
図1を参照する。光増幅部2A及び光受信部3Aは、放熱基板4上に搭載される。放熱基板4は、例えばアルミニウムといった金属からなる。光軸L2から底板11eの底面までの距離が、光軸L2から底板61eの底面までの距離よりも短い場合には、
図2に示されるように、光増幅部2Aの高さを調整するための下板(スペーサ)5が放熱基板4と第1パッケージ10との間に設けられてもよい。下板5は、光増幅部2Aからの放熱のための放熱板としても機能し、例えば銅及びタングステンを含む合金(一例ではCuW合金)、銅及びモリブデンを含む合金(一例ではCuMo合金)、若しくはアルミニウム(Al)からなる。
【0032】
なお、本実施形態では光増幅部2Aの高さを調整するために下板5が設けられているが、下板5(もしくは光増幅部2A)の製造上の厚さ誤差(公差)による高さの微調整が必要な場合には、例えば、下板5と放熱基板4との間の固定材の厚さにより調整することも可能である。しかし、光受信部3Aの発熱量よりも光増幅部2Aの発熱量のほうが大きいので、下板5と放熱基板4との間の固定材を厚くすると、放熱性の低下が問題となる。
【0033】
そこで、このような場合、例えば
図6に示されるように、放熱基板4と光受信部3Aとの間の固定材21(例えば放熱グリス等)の厚さにより光受信部3Aの高さを調整するとよい。具体的には、半導体光増幅装置1を製造する際、まず下板5(若しくは光増幅部2A)と放熱基板4とを互いに固定する。このとき、下板5(若しくは光増幅部2A)と放熱基板4との間に固定材を配置しても良いし、下板5(若しくは光増幅部2A)と放熱基板4とを機械的に固定しても良い。下板5(若しくは光増幅部2A)と放熱基板4との隙間を小さくすることが望ましい。次に、放熱基板4と光受信部3Aとの間に生じた隙間Sに固定材21を流し込み、固化させる。これにより、光増幅部2Aと光受信部3Aとの相対的な高さを好適に調整することができるとともに、光増幅部2Aの放熱性の低下を抑制することができる。
【0034】
好ましくは、下板5の厚さを、光受信部3Aの底面高さと光増幅部2Aの底面高さとの差よりも公差分(例えば1.0mm)だけ厚くするとよい。これにより、下板5と放熱基板4との間には、隙間が生じない。一方、光受信部3Aと放熱基板4との間には、1.0mm〜2.0mmの隙間Sが生じる。この隙間Sに固定材21を充填することによって、光増幅部2Aの放熱性を低下させることなく、光増幅部2Aと光受信部3Aとの相対的な高さを調整することができる。
【0035】
ここで、光増幅部2A及び光受信部3Aと外部との電気的な接続方式について説明する。
図7及び
図8は、光増幅部2Aの外部端子53a〜53fに第1フレキシブル配線基板(FPC:Flexible printed circuits)80Aが取り付けられ、光受信部3Aの外部端子67a〜67gに第2フレキシブル配線基板80Bが取り付けられた様子を示す図である。
図7は側面図を示し、
図8は平面図を示す。
図7及び
図8に示されるように、光増幅部2Aは、第1フレキシブル配線基板80Aを更に備えてもよい。また、光受信部3Aは、第2フレキシブル配線基板80Bを更に備えてもよい。
【0036】
第1フレキシブル配線基板80Aは、一端部81a及び他端部81bを有しており、複数のプリント配線82a〜82fが一端部81aから他端部81bまで延びている。一端部81aは、第1パッケージ10の外側において、第1接続部50と導電接合されている。すなわち、一端部81aにおいて、複数のプリント配線82a〜82fの一端は、それぞれ対応する外部端子53a〜53fと電気的に接合されている。この接合には、半田等の導電性接着材が用いられる。なお、
図7及び
図8ではプリント配線82a〜82fが第1フレキシブル配線基板80Aの外側の面上に設けられているが、プリント配線82a〜82fは第1フレキシブル配線基板80Aの内側の面上に設けられてもよく、或いは第1フレキシブル配線基板80Aの内部に埋め込まれてもよい。
【0037】
第1フレキシブル配線基板80Aは、一端部81aから側壁11b及び11dに沿う方向(天板11fに向かう方向)に延びる部分84aと、他端部81bから側壁11bと交差する方向(天板11f及び天板61fに沿う方向)に延びる部分84bとを有する。第1フレキシブル配線基板80Aがこのような構成を有することにより、第1パッケージ10の側面からの突出量は、フィードスルー54及び第1フレキシブル配線基板80Aの厚みのみとなる。従って、当該通信装置内での他の光学部品や光学装置との距離を短くすることができ、通信装置の小型化に寄与できる。
【0038】
第2フレキシブル配線基板80Bは、一端部85a及び他端部85bを有しており、複数のプリント配線86a〜86fが一端部85aから他端部85bまで延びている。一端部85aは、第2パッケージ60の外側において、第2接続部65と導電接合されている。すなわち、一端部85aにおいて、複数のプリント配線86a〜86fの一端は、それぞれ対応する外部端子67a〜67gと電気的に接合されている。この接合には、半田等の導電性接着材が用いられる。第2フレキシブル配線基板80Bは、外部端子67a〜67gから側壁61bの法線方向に延びている。すなわち、第1フレキシブル配線基板80Aの他端部81bと第2フレキシブル配線基板80Bの他端部85bとは、互いに同一の方向へ引き出されている。
【0039】
以上に説明した本実施形態の半導体光増幅装置1によって得られる効果について説明する。この半導体光増幅装置1では、光接続部14を介して第1パッケージ10及び第2パッケージ60との間を光が通過する。光接続部14の空隙14aの最小幅W1は、半導体光増幅素子41を収容する第1パッケージ10の第1空間10aの幅W2、及び受光素子アレイ72を収容する第2パッケージ60の第2空間60aの幅W3よりも狭い。これにより、半導体光増幅素子41の動作時に発生するASE等の迷光の多くが光接続部14によって遮られるので、受光素子アレイ72に到達するASE等の迷光を低減することができる。従って、この半導体光増幅装置1によれば、半導体光増幅素子41の動作時に発生するASE等の迷光による受光素子アレイ72の動作への影響を低減することができる。同時に、半導体光増幅素子41を収容する第1パッケージ10と、受光素子アレイ72を収容する第2パッケージ60とを一体に構成して、半導体光増幅装置1の取り扱いを容易にすることができる。
【0040】
また、本実施形態のように、第1フレキシブル配線基板80Aの他端部81bと、第2フレキシブル配線基板80Bの他端部85bとが、互いに同じ方向に引き出されてもよい。これにより、半導体光増幅装置1の外部と半導体光増幅装置1との電気的な接続を容易にすることができる。
【0041】
また、本実施形態のように、第1フレキシブル配線基板80Aは、一端部81aから側壁11bに沿う方向に延びる部分84aと、他端部81bから側壁11bと交差する方向に延びる部分84bとを有してもよい。例えばこのような構成によって、第1フレキシブル配線基板80Aの他端部81bと、第2フレキシブル配線基板80Bの他端部85bとの引き出し方向を互いに同じとすることができる。
【0042】
また、本実施形態のように、半導体光増幅装置1は、第1パッケージ10及び第2パッケージ60を搭載する放熱基板4と、放熱基板4と第1パッケージ10との間に設けられる下板(スペーサ)5とを備えてもよい。この場合、半導体光増幅装置1は、第1パッケージ10に収容されて半導体光増幅素子41の温度を制御する温度制御部47を更に備え、下板5は、鉄、ニッケル、及びコバルトを含む合金からなってもよい。これにより、下板5の熱伝導性を向上させ、温度制御部47の温度制御性能を高めることができる。
【0043】
(第1の変形例)
図9は、上記実施形態の第1変形例として、光接続部15の構成を示す断面図である。上記実施形態においては、
図1〜
図4に示された光接続部14に代えて、光接続部15が設けられてもよい。また、
図1〜
図4に示されたガラス窓材51及び64に代えて、集光レンズ56及び69が設けられてもよい。
【0044】
図9に示されるように、光接続部15は、光軸L2を中心とする略円筒状の部材からなり、その一端が第1パッケージ10の接合面12bに溶接等によって固定されている。光接続部15の他端は、第2パッケージ60の接合面62aに溶接等によって接合されている。光接続部15は、半導体光増幅素子41の第2端面41bから延びる光軸L2を通過させる。光接続部15は、例えばステンレスといった金属からなる。光接続部15は、光軸L2が通る空隙15aを内部に有する。空隙15aは、第1パッケージ10側の一端及び第2パッケージ60側の他端と比較して更に狭くなっている部分15bを、集光レンズ56と集光レンズ69との間に有する。そして、光軸L2と交差する方向における空隙15aの最小幅(最小径)W1は、第1パッケージ10の第1空間10aの幅W2、及び第2パッケージ60の第2空間60aの幅W3よりも狭くなっている。
【0045】
本変形例のように、開口部13b及び63aそれぞれには、集光レンズ56及び69それぞれが設けられてもよい。これにより、光接続部15の空隙15aにおいて光束の径を絞ることができ、空隙15aの幅をより狭くすることが可能となる。従って、半導体光増幅素子41からのASE等の迷光による受光素子アレイ72の動作への影響を更に低減することができる。
【0046】
(第2の変形例)
図10は、上記実施形態の第2変形例として、光接続部16の構成を示す断面図である。上記実施形態においては、
図1〜
図4に示された光接続部14に代えて、光接続部16が設けられてもよい。また、
図1〜
図4に示されたガラス窓材51及び64に代えて、集光レンズ56及び69が設けられてもよい。
【0047】
第1変形例と本変形例との相違点は、光接続部の空隙内部の形状である。本変形例の光接続部16は、光軸L2が通る空隙16aを内部に有する。空隙16aは、第1パッケージ10側の一端及び第2パッケージ60側の他端と比較して更に狭くなっている部分16bを、集光レンズ56と集光レンズ69との間に有する。部分16bでは、第1パッケージ10側の空隙16aの一端及び第2パッケージ60側の空隙16aの他端から空隙16aの内部(光接続部16の中心部)に向けて、空隙16aが段階的に狭くなっている。そして、光軸L2と交差する方向における空隙16aの最小幅(最小径)W1は、第1パッケージ10の第1空間10aの幅W2、及び第2パッケージ60の第2空間60aの幅W3よりも狭くなっている。
【0048】
本変形例においても、開口部13b及び63aそれぞれに集光レンズ56及び69それぞれが設けられているので、光接続部16の空隙16aにおいて光束の径を絞ることができ、空隙16aの幅をより狭くすることが可能となる。従って、半導体光増幅素子41からのASE等の迷光による受光素子アレイ72の動作への影響を更に低減することができる。
【0049】
本発明による半導体光増幅装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態では第2パッケージに収容される半導体光素子の例として受光素子アレイを例示したが、本発明において半導体光素子はこれに限られない。例えば半導体光増幅装置が光受信部に代えて光送信部を備える場合、半導体光素子は発光素子であってもよい。
【0050】
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置及び詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲及びその精神の範囲から来る全ての修正及び変更に権利を請求する。