特許第6558762号(P6558762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6558762
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】エレベータおよびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20190805BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B66B3/00 M
   B66B13/14 N
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-143086(P2018-143086)
(22)【出願日】2018年7月31日
【審査請求日】2018年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 萌乃
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−218912(JP,A)
【文献】 特開2017−165541(JP,A)
【文献】 特開2018−115048(JP,A)
【文献】 特開2008−050138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00─ 3/02
B66B 13/00─13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場を撮影するカメラ装置と、
前記カメラ装置で撮影された撮像情報を解析し、前記乗場にいる人を検出すると、さらに、当該検出された人の身長と、移動速度と、前記乗場での滞留時間とを含む特徴情報を取得する画像解析装置と、
前記画像解析装置で前記乗場にいる人が検出されたときに、検出された人の特徴情報に基づいて、当該検出された人が前記エレベータの乗りかごに乗り込む意思があるか否かを判断する乗り込み意思判断部を有するエレベータ制御装置と、
を備えることを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記乗り込み意思判断部は、当該検出された人が「所定値よりも身長が低く、且つ、所定値以上の速度で移動を繰り返しているかもしくは前記乗場に所定時間以上滞留している」、または、「所定値よりも身長が高く、前記乗場に所定時間以上滞留している」条件に該当するときには、当該検出された人は前記エレベータの乗りかごに乗り込む意思がないと判断し、検出された人が当該条件に該当しないときには前記乗りかごに乗り込む意思があると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記カメラ装置は、前記乗りかごのかごドア上部の幕板に設置されて前記乗りかごが戸開しているときに撮影を行い、
前記乗り込み意思判断部は、前記乗りかごが戸開しているときに前記乗場にいる人の乗り込み意思の有無を判断し、
前記エレベータ制御装置は、前記乗り込み意思判断部により、前記乗場で、前記乗りかごに乗り込む意思があると判断された人が検出されているときに、前記乗りかごのかごドアが全開中であれば戸開を延長させ、戸閉動作中であれば反転動作により戸開させる指示を出力する機器動作指示部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記カメラ装置は、前記乗場に設置され、
前記乗り込み意思判断部は、前記乗りかごが戸開したときに、前記乗りかごが前記乗場に着床する前から継続して、「所定値よりも身長が低く、且つ、所定値以上の速度で移動を繰り返しているかもしくは前記乗場に所定時間以上滞留している」、または、「所定値よりも身長が高く、前記乗場に所定時間以上滞留している」条件に該当する人が検出されているときには、当該検出された人は前記エレベータの乗りかごに乗り込む意思がないと判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記乗り込み意思判断部は、前記乗りかごが戸開しているときに前記乗場に設置された乗場呼びボタンが操作されたことを検知すると、前記画像解析装置による解析結果に関わらず、前記乗場に、前記乗りかごに乗り込む意思がある人がいると判断する
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記画像解析装置は、前記乗場にいることを検出した人が直後に前記乗りかごが戸閉するまでに前記乗りかごに乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報をさらに取得して前記エレベータ制御装置に送信し、
前記エレベータ制御装置は、前記画像解析装置から前記乗り込み有無情報を取得して、当該検出された人の特徴情報および前記乗りかごに乗り込む意思の判断結果の情報とともに保持する乗り込み有無情報保持部を有し、
前記乗り込み意思判断部は、前記乗り込み有無情報保持部に保持された情報に基づいて、前回、前記乗りかごが前記乗場に着床して戸開した際に、前記乗りかごに乗り込む意思があると判断したにもかかわらず、直後に前記乗りかごが戸閉するまでに前記乗りかごに乗り込まなかったと判断された人と同一の特徴情報を有する人が、今回、前記乗りかごが前記乗場に着床して戸開した際に検出されると、当該検出された人は前記乗りかごに乗り込む意思がないと判断する
ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記画像解析装置は、前記乗場にいることを検出した人が直後に前記乗りかごが戸閉するまでに前記乗りかごに乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報をさらに取得して前記エレベータ制御装置に送信し、
前記エレベータ制御装置は、前記画像解析装置から前記乗り込み有無情報を取得して、当該検出された人の特徴情報、前記乗りかごに乗り込む意思の判断結果の情報、および前記乗り込み有無情報を取得した日時情報とともに保持する乗り込み有無情報保持部を有し、
前記乗り込み意思判断部は、前記乗り込み有無情報保持部に保持された情報に基づいて、過去の現在時を含む時間帯と同時間帯に、前記乗りかごが前記乗場に着床して戸開した際に、前記乗りかごに乗り込む意思があると判断したにもかかわらず、直後に前記乗りかごが戸閉するまでに前記乗りかごに乗り込まなかったと判断された人と同一の特徴情報を有する人が、今回、前記乗りかごが前記乗場に着床して戸開した際に検出されると、当該検出された人は前記乗りかごに乗り込む意思がないと判断する
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項8】
エレベータの乗場を撮影するカメラ装置で撮影された撮像情報を解析し、前記乗場にいる人を検出すると、さらに、当該検出された人の身長と、移動速度と、前記乗場での滞留時間とを含む特徴情報を取得する画像解析装置に接続されたエレベータ制御装置が、
前記画像解析装置で前記乗場にいる人が検出されたときに、検出された人の特徴情報に基づいて、当該検出された人が前記エレベータの乗りかごに乗り込む意思があるか否かを判断する
ことを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータおよびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータでは、乗りかごが戸開した際に、かご扉や幕板に設置された光軸センサのセンシング情報を用いて該当階の乗場の乗場ドア付近に人がいるか否かを監視している。そして、乗場ドア付近に人がいることを検知すると、当該検知した人をエレベータ利用者と判断し、戸開状態を延長させたり、戸閉動作中のかごドアの動作を反転させて戸開させたり、注意喚起のためのアナウンス情報を出力させたりしている。
【0003】
また近年は、かごドアの幕板にカメラ装置を設置し、戸開中に当該カメラ装置で撮影された撮像情報を用いて乗場内にいる人の動きを監視し、乗りかごに向かって移動してくる人をエレベータの利用意思があると判断することで、さらに精度よく、乗場のエレベータ利用者の安全性および利便性を向上させるための制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−78992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
家族世帯が多く住むマンション等では、エントランスや住戸前にあるエレベータホールで子供が遊んでいることがある。そのため、エレベータの戸開閉が行われているときに、その付近で遊んでいる子供がエレベータの利用意思がないにもかかわらずエレベータ利用者として誤認識され、かご扉の戸開が延長されたり戸閉動作中のかご扉の動作が反転されたりする場合がある。このような誤認識による戸開閉制御が行われると、エレベータの運転効率が低下し、利用者に不都合となるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗場にいるエレベータ利用者を精度よく検出するエレベータおよびエレベータ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータは、エレベータの乗場を撮影するカメラ装置と画像解析装置とエレベータ制御装置とを備える。画像解析装置は、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析し、乗場にいる人を検出すると、さらに、当該検出された人の身長と移動速度と乗場での滞留時間とを含む特徴情報を取得する。エレベータ制御装置は、画像解析装置で乗場にいる人が検出されたときに、検出された人の特徴情報に基づいて、当該検出された人が乗りかごに乗り込む意思があるか否かを判断する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図2】第1実施形態によるエレベータの動作を示すフローチャート。
図3】第2実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図4】第2実施形態によるエレベータの動作を示すフローチャート。
図5】第3実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図6】第3実施形態によるエレベータの動作を示すフローチャート。
図7】第4および第5実施形態によるエレベータの構成を示す全体図。
図8】第4実施形態によるエレベータの動作を示すフローチャート。
図9】第5実施形態によるエレベータの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータ1Aは、建物内の昇降路上部に設置された巻上げ機2と、巻上げ機2にメインロープ3で吊り下げられた乗りかご4と、建物内のエレベータ乗場5に設置された乗場ドア51と、巻上げ機2に信号線で接続されるとともに乗りかご4にテールコード6を介して接続され、昇降路上部に設置されたエレベータ制御装置7Aとを備える。図1においては、説明を簡略化するために乗場5および乗場ドア51を1つのみ示しているが、実際には建物内の各階床に乗場が構成され、それぞれに乗場ドアが設置されてエレベータ制御装置7Aに接続されている。
【0010】
乗りかご4は、かごドア41と、かごドア41の上部の幕板に設置された第1カメラ装置42および第1画像解析装置43を有する。第1カメラ装置42は、かごドア41および乗場ドア51が戸開しているときに、乗場5を撮影する。第1画像解析装置43は、第1カメラ装置42で撮影された撮像情報を解析し、乗場5にいる人を検出すると、さらに、当該検出された人の身長情報と、移動速度情報と、乗場5での滞留時間情報とを含む特徴情報を取得して、解析情報としてエレベータ制御装置7Aに送信する。
【0011】
エレベータ制御装置7Aは、運転状況判断部71と、第1解析情報取得部72と、乗り込み意思判断部73Aと、機器動作指示部74とを有する。運転状況判断部71は、巻上げ機2の動作情報および乗りかご4のかごドア41の動作情報を取得し、これらの動作情報に基づいてエレベータ1Aの運転状況を判断する。第1解析情報取得部72は、テールコード6を介して、第1画像解析装置43で解析された解析情報を取得する。
【0012】
乗り込み意思判断部73Aは、乗りかご4が乗場5に着床して戸開しているときに、第1画像解析装置43から取得した解析情報で乗場5にいる人が検出されている場合に、当該検出された人の特徴情報に基づいて、当該検出された人が乗りかご4に乗り込む意思があるか否かを判断する。
【0013】
機器動作指示部74は、乗り込み意思判断部73Aにより、乗場5で、乗りかご4に乗り込む意思があると判断された人が検出されているときに、かごドア41および乗場ドア51が全開中であれば戸開を延長させ、戸閉動作中であれば反転動作により戸開させる指示を出力する。
【0014】
〈第1実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Aの動作について説明する。本実施形態においてエレベータ1Aの稼動中は、エレベータ制御装置7Aの運転状況判断部71において、巻上げ機2の動作情報および乗りかご4のかごドア41の動作情報が所定時間間隔で取得され、これらの動作情報に基づいてエレベータ1Aの運転状況、例えば、昇降中、乗りかご4が戸開中、戸閉動作中等が判断されている。
【0015】
エレベータ1Aの稼動中に、乗りかご4が乗場5に着床して戸開したときに実行される処理について説明する。図2は、乗りかご4が戸開したときにエレベータ制御装置7Aで実行される処理を示すフローチャートである。
【0016】
まず、乗りかご4が乗場5に着床してかごドア41および乗場ドア51が戸開すると(S1の「YES」)、第1カメラ装置42により乗場5の撮影が開始される。第1カメラ装置42により撮影された撮像情報は、第1画像解析装置43により解析される。ここで、解析処理により乗場5にいる人が検出されると、第1画像解析装置43によりさらに、当該検出された人の身長と、移動速度と、乗場5での滞留時間とを含む特徴情報が取得され、解析情報としてエレベータ制御装置7Aに送信される。
【0017】
エレベータ制御装置7Aでは、第1画像解析装置43から送信された解析情報が第1解析情報取得部72で取得される(S2の「YES」)。そして、乗り込み意思判断部73Aにおいて、運転状況判断部71で判断されたエレベータ1Aの動作状況と、第1解析情報取得部72で取得された解析情報とに基づいて、乗りかご4が乗場5に着床して戸開しているときに乗場5にいる人が検出されたと判断されると(S3の「YES」)、当該検出した人の特徴情報が取得され、さらに当該特徴情報に基づいて当該検出した人が乗りかご4に乗り込む意思があるか否かが判断される。
【0018】
具体的には、乗場5で検出された人の特徴情報として、まず当該検出された人の身長情報が取得される。そして、当該検出された人の身長が所定値よりも低いと判断された場合は(S4の「YES」)、さらに当該検出された人の特徴情報として、当該検出された人の移動速度情報が取得される。そして、当該検出された人が所定値以上の速度で移動を繰り返していると判断された場合は(S5の「YES」)、当該検出された人は乗場5で遊んでいる子供であり、乗りかご4に乗り込む意思がないと判断される(S6)。
【0019】
また、当該検出された人の移動速度が所定値未満である場合は(S5の「NO」)、さらに当該検出された人の特徴情報として、当該検出された人の乗場5での滞留時間情報が取得される。そして、当該検出された人が乗場5に所定時間以上滞留していると判断された場合は(S7の「YES」)、当該検出された人は乗場5に滞留して遊んでいる子供であり、乗りかご4に乗り込む意思がないと判断される(S6)。
【0020】
また、当該検出された人の身長が所定値よりも高く(S4の「NO」)、乗場5に所定時間以上滞留していると判断された場合は(S7の「YES」)、当該検出された人は乗場5に滞留している大人であり、乗りかご4に乗り込む意思がないと判断される(S6)。また、当該検出された人の身長が所定値よりも低く(S4の「YES」)、移動速度が所定値未満であり(S5の「NO」)、且つ、乗場5での滞留時間が所定値未満である場合は(S7の「NO」)、当該検出された人は、乗りかご4に乗り込む意思があると判断される(S8)。また、当該検出された人の身長が所定値よりも高く(S4の「NO」)、乗場5での滞留時間が所定値未満である場合も(S7の「NO」)、当該検出された人は、乗りかご4に乗り込む意思があると判断される(S8)。当該検出された人が乗りかご4に乗り込む意思があると判断されると、機器動作指示部74により、かごドア41および乗場ドア51が全開中であれば戸開を延長させ、戸閉動作中であれば反転動作により戸開させる指示が生成され、乗りかご4に出力される(S9)。
【0021】
ステップS2〜S9の処理はかごドア41および乗場ドア51が戸閉するまで繰り返され(S10の「NO」)、戸閉されると(S10の「YES」)、ステップS1に戻る。また、ステップS2において解析情報が取得されていないとき(S2の「NO」)、およびステップS3で乗場にいる人が検出されていないとき(S3の「NO」)には、ステップS10に移行する。
【0022】
以上の第1実施形態によれば、乗場で遊んでいる子供はエレベータの利用者として検出しないようにすることで、精度よく、エレベータの利用者の利便性を向上させるための制御を行うことができる。
【0023】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータ1Bの構成について、図3を参照して説明する。エレベータ1Bは、エレベータ制御装置7B内に、乗場5の乗場呼びボタン52の操作情報を取得する操作情報取得部75を有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0024】
本実施形態において乗り込み意思判断部73Bは、乗りかご4が戸開しているときに乗場呼びボタン52が操作されたことを検知すると、第1画像解析装置43による解析結果に関わらず、乗場5に、乗りかご4に乗り込む意思がある人がいると判断する。
【0025】
〈第2実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Bの動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においても、エレベータ1Bの稼動中は、第1実施形態と同様にステップS1〜S10の処理が実行される。その際、乗りかご4が戸開しているときに(S1の「YES」)、エレベータ制御装置7Bの操作情報取得部75において、当該乗場5の乗場呼びボタン52の操作情報が取得され、乗場呼び操作が行われたことが検知されると(S11の「YES」)、乗り込み意思判断部73Bにおいて、第1画像解析装置43による解析結果に関わらず、乗場5に、乗りかご4に乗り込む意思がある人がいると判断される(S8)。ステップS11において乗場呼びボタン52の操作情報が取得されていないときには(S11の「NO」)、第1実施形態と同様にステップS2〜S10の処理が実行される。
【0026】
以上の第2実施形態によれば、乗場呼びボタンが操作されたときには当該乗場に利用意思がある利用者いると判断することで、さらに精度よく、エレベータの利用者の利便性を向上させるための制御を行うことができる。
【0027】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータ1Cの構成について、図5を参照して説明する。エレベータ1Cは、かごドア41上部の第1カメラ装置42に替えて第2カメラ装置53が乗場5に設置され、第1画像解析装置43に変えて第2画像解析装置54が乗場5に設置され、エレベータ制御装置7A内の第1解析情報取得部72に替えて第2解析情報取得部76がエレベータ制御装置7Cに設けられている他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0028】
本実施形態において第2カメラ装置53は、乗場5を撮影する。第2画像解析装置54は、第2カメラ装置53で撮影された撮像情報を解析し、乗場5にいる人を検出すると、さらに、当該検出された人の身長情報と、移動速度情報と、乗場5での滞留時間情報とを含む特徴情報を取得し、解析情報としてエレベータ制御装置7Cに送信する。エレベータ制御装置7Cの第2解析情報取得部76は、第2画像解析装置54で解析された解析情報を取得する。乗り込み意思判断部73Cは、第2画像解析装置54から取得した解析情報で乗場5にいる人が検出されている場合に、当該検出された人の特徴情報に基づいて、乗りかごが乗場5に着床する前から継続して、「所定値よりも身長が低く、且つ、所定値以上の速度で移動を繰り返しているかまたは前記乗場に所定時間以上滞留している」または、「所定値よりも身長が高く、乗場5に所定時間以上滞留している」条件に該当するか否かを判断する。そして、継続して当該条件のいずれかに該当するときには検出された人は乗りかご4に乗り込む意思がないと判断し、継続して当該条件に該当しないときには、乗りかご4に乗り込む意思があると判断する。
【0029】
〈第3実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Cの動作について説明する。本実施形態においてエレベータ1Cの稼動中は、エレベータ制御装置7Cの運転状況判断部71においてエレベータ1Cの運転状況が判断されるとともに、第2カメラ装置53で撮影された乗場5の撮像情報が第2画像解析装置54で解析され、生成された解析情報がエレベータ制御装置7Cの第2解析情報取得部76で取得される。本実施形態においてエレベータ制御装置7Cで実行される処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
本実施形態において、エレベータ制御装置7Cでは、第2画像解析装置54から送信された解析情報が第2解析情報取得部76で取得され(S11の「YES」)、当該解析情報に基づいて、乗り込み意思判断部73Cにおいて乗場5にいる人が検出されたと判断されると(S22の「YES」)、当該検出された人の特徴情報が取得される。特徴情報としては、当該検出された人の身長情報と、移動速度情報と、乗場5での滞留時間情報とが取得される。
【0031】
そして、乗り込み意思判断部73Cにおいて、当該検出された人が「所定値よりも身長が低く、且つ、所定値以上の速度で移動を繰り返しているかまたは前記乗場に所定時間以上滞留している」条件に該当すると判断されると(S23の「YES」→S24の「YES」、またはS23の「YES」→S24の「NO」→S25の「YES」)、ステップS26に移行する。ステップS26では、その後かごドア41および乗場ドア51が戸開したときに(S26の「YES」)、ステップS24またはS25で「該当する」と判断された条件と、同じ条件に該当する人が継続して乗場5で検出されているか否かが判断される(S27)。ここで、同じ条件に該当する人が継続して乗場5で検出されているときには(S27の「YES」)、当該検出された人は乗りかご4に乗り込む意思がないと判断される(S28)。
【0032】
また、乗場5で検出された人が、所定値よりも身長が高い(S23の「NO」)かまたは、ステップS24、S25のいずれにも該当しないと判断されると(S24の「NO」→S25の「NO」)、その後かごドア41および乗場ドア51が戸開したときに(S29の「YES」)、第1実施形態で説明したステップS2〜S9と同様の処理が実行される(S30)。この処理は、かごドア41および乗場ドア51が戸閉されるまで繰り返される(S31の「NO」)。また、ステップS17で、同じ条件に該当する人が継続して乗場5で検出されていないとき(S27の「NO」)、および、ステップS28で、当該検出された人が乗りかご4に乗り込む意思がないと判断された後も同様に、かごドア41および乗場ドア51が戸閉されるまで、ステップS2〜S9の処理が繰り返される。
【0033】
また、ステップS26またはS29でかごドア41および乗場ドア51が戸開していないとき(S26の「NO」、S29の「NO」)、およびステップS31でかごドア41および乗場ドア51が戸閉したとき(S31の「YES」)には、ステップS21に戻る。
【0034】
以上の第3実施形態によれば、乗りかごが戸開する前から乗場を撮影してその撮像情報を解析することで、さらに精度よく、乗りかごが戸開した時点で直ちに、エレベータの利用者の利便性を向上させるための制御を行うことができる。
【0035】
上述した第3実施形態において、第2カメラ装置53による撮影処理を、当該乗場5を行先階とするかご呼びが発生してから、当該かご呼びに応答して乗りかご4が乗場5で戸開し戸閉するまで、または、当該乗場5で乗場呼びが発生してから、当該乗場呼び応答して乗りかご4が乗場5で戸開し戸閉するまでの間のみ、実行するようにしてもよい。このように処理を行うことにより、乗りかごが戸開する前から乗場の利用者を検出しつつ、第2カメラ装置53、第2画像解析装置54、およびエレベータ制御装置7Cの処理負荷を低減させることができる。
【0036】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータ1Dの構成について、図7を参照して説明する。エレベータ1Dは、エレベータ制御装置7D内に、乗り込み有無情報保持部77を有する他は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施形態において第1画像解析装置43は、乗場5にいることを検出した人が直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報をさらに取得してエレベータ制御装置7Dに送信する。また、エレベータ制御装置7Dの乗り込み有無情報保持部77は、第1画像解析装置43から乗り込み有無情報を取得して、当該検出された人の特徴情報および乗りかご4に乗り込む意思の判断結果の情報とともに保持する。また、乗り込み意思判断部73Dは、乗り込み有無情報保持部77に保持された情報に基づいて、前回、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に、乗りかご4に乗り込む意思があると判断したにもかかわらず、直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に後込まなかったと判断された人と同一の特徴情報を有する人が、今回、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に検出されると、当該検出された人は乗りかご4に乗り込む意思がないと判断する。
【0038】
〈第4実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Dの動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においても、エレベータ1Dの稼動中は、第1実施形態と同様にステップS1〜S10の処理が実行される。その際、第1画像解析装置43により、乗場5にいることを検出した人が直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報がさらに取得され、エレベータ制御装置7Dに送信される。送信された乗り込み有無情報は、エレベータ制御装置7Dの第1解析情報取得部72で取得され、当該検出された人の特徴情報および乗りかご4に乗り込む意思の判断結果の情報とともに乗り込み有無情報保持部77に保持される。
【0039】
そして、新たに乗りかご4が乗場5で戸開した際に(S1の「YES」)、エレベータ制御装置7Dにおいて、第1画像解析装置43から送信された解析情報が第1解析情報取得部72で取得され(S2の「YES」)、乗場5にいる人が検出されたと判断されると(S3の「YES」)、前回、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に、乗りかご4に乗り込む意思があると判断したにもかかわらず、直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に後込まなかったと判断された人と同一の特徴情報を有する人が、今回、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に検出されたか否かが判断される(S41)。
【0040】
ここで、前回、乗り込む意思があると判断したにもかかわらず乗り込まなかった人と同一の特徴情報を有する人が検出されたと判断されると(S41の「YES」)、当該検出された人は乗場5で遊んでいる人であり前回と同様に乗り込まない可能性が高く、乗りかご4に乗り込む意思がないと判断される(S6)。
【0041】
ステップS41において該当する人が検出されなかったと判断された場合には(S41の「NO」)、第1実施形態で説明したステップS4以降の処理が実行される。そして、当該検出された人が乗りかご4に乗り込む意思があると判断され(S8)、かごドア41および乗場ドア51の戸開閉が制御されると(S9)、第1画像解析装置43において、当該乗り込む意思があると判断された人が、直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報が取得され、エレベータ制御装置7Dに送信される。
【0042】
エレベータ制御装置7Dでは、第1画像解析装置43から取得された乗り込み有無情報が第1解析情報取得部72から取得され、当該検出された人の特徴情報および乗りかご4に乗り込む意思の判断結果の情報とともに乗り込み有無情報保持部77に保持される。保持された乗り込み有無情報は、次回、当該乗場5で乗りかご4が戸開した際に、乗場5で検出された人の乗り込み意思の有無を判断する際に利用される。
【0043】
ステップS2〜S9、S41、およびS42の処理はかごドア41および乗場ドア51が戸閉するまで繰り返され(S10の「NO」)、戸閉されると(S10の「YES」)、ステップS1に戻る。また、ステップS2において解析情報が取得されていないとき(S2の「NO」)、およびステップS3で乗場にいる人が検出されていないとき(S3の「NO」)には、ステップS10に移行する。
【0044】
以上の第4実施形態によれば、前回、当該乗場で乗りかごが戸開した際に、乗り込む意思があると判断したにもかかわらず乗り込まなかった人は、当該乗場で遊んでいる人であると予測してエレベータの利用者として検出しないようにすることで、精度よく、エレベータの利用者の利便性を向上させるための制御を行うことができる。
【0045】
《第5実施形態》
〈第5実施形態によるエレベータの構成〉
本発明の第5実施形態によるエレベータ1Eは、第4実施形態で図7を用いて説明したエレベータ1Dの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置7Eの乗り込み有無情報保持部77は、第1画像解析装置43から乗り込み有無情報を取得して、当該検出された人の特徴情報、乗りかご4に乗り込む意思の判断結果の情報、および乗り込み有無情報を取得した日時情報とともに保持する。また、乗り込み意思判断部73Eは、乗り込み有無情報保持部77に保持された情報に基づいて、過去の現在時を含む時間帯と同時間帯に、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に、乗りかご4に乗り込む意思があると判断したにもかかわらず、直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗り込まなかったと判断された人と同一の特徴情報を有する人が、今回、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に検出されると、当該検出された人は乗りかご4に乗り込む意思がないと判断する。
【0046】
〈第5実施形態によるエレベータの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1Eの動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においても、エレベータ1Eの稼動中は、第1実施形態と同様にステップS1〜S10の処理が実行される。その際、第1画像解析装置43により、乗場5にいることを検出した人が直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報がさらに取得され、エレベータ制御装置7Dに送信される。送信された乗り込み有無情報は、エレベータ制御装置7Dの第1解析情報取得部72で取得され、当該検出された人の特徴情報、乗りかご4に乗り込む意思の判断結果の情報、および乗り込み有無情報を取得した日時情報とともに乗り込み有無情報保持部77に保持される。
【0047】
そして、新たに乗りかご4が乗場5で戸開した際に(S1の「YES」)、エレベータ制御装置7Eにおいて、第1画像解析装置43から送信された解析情報が第1解析情報取得部72で取得され(S2の「YES」)、乗場5にいる人が検出されたと判断されると(S3の「YES」)、過去の現在時を含む時間帯と同時間帯に、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に、乗りかご4に乗り込む意思があると判断したにもかかわらず、直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗り込まなかったと判断された人と同一の特徴情報を有する人が、今回、乗りかご4が乗場5に着床して戸開した際に検出されたか否かが判断される(S43)。
【0048】
ここで、過去の現在時を含む時間帯と同時間帯に、乗り込む意思があると判断したにもかかわらず乗り込まなかった人と同一の特徴情報を有する人が検出されたと判断されると(S43の「YES」)、当該検出された人は乗場5で遊んでいる人であり前回と同様に乗り込まない可能性が高く、乗りかご4に乗り込む意思がないと判断される(S6)。
【0049】
ステップS43において該当する人が検出されなかったと判断された場合には(S43の「NO」)、第1実施形態で説明したステップS4以降の処理が実行される。そして、当該検出された人が乗りかご4に乗り込む意思があると判断され(S8)、かごドア41および乗場ドア51の戸開閉が制御されると(S9)、第1画像解析装置43において、当該乗り込む意思があると判断された人が、直後に乗りかご4が戸閉するまでに乗りかご4に乗り込んだか否かを示す乗り込み有無情報が取得され、エレベータ制御装置7Dに送信される。
【0050】
エレベータ制御装置7Dでは、第1画像解析装置43から取得された乗り込み有無情報が第1解析情報取得部72から取得され、当該検出された人の特徴情報、乗りかご4に乗り込む意思の判断結果の情報、および乗り込み有無情報を取得した日時情報とともに乗り込み有無情報保持部77に保持される。保持された乗り込み有無情報は、次回、当該乗場5で乗りかご4が戸開した際に、乗場5で検出された人の乗り込み意思の有無を判断する際に利用される。
【0051】
ステップS2〜S9、S43、およびS44の処理はかごドア41および乗場ドア51が戸閉するまで繰り返され(S10の「NO」)、戸閉されると(S10の「YES」)、ステップS1に戻る。また、ステップS2において解析情報が取得されていないとき(S2の「NO」)、およびステップS3で乗場にいる人が検出されていないとき(S3の「NO」)には、ステップS10に移行する。
【0052】
以上の第5実施形態によれば、以前の同時間帯に当該乗場で乗りかごが戸開した際に、乗り込む意思があると判断したにもかかわらず乗り込まなかった人は、当該乗場で遊んでいる人であると予測してエレベータの利用者として検出しないようにすることで、精度よく、エレベータの利用者の利便性を向上させるための制御を行うことができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1A,1B,1C,1D,1E…エレベータ、2…巻上げ機、3…メインロープ、4…乗りかご、5…乗場、6…テールコード、7A,7B,7C,7D,7E…エレベータ制御装置、41…かごドア、42…第1カメラ装置、43…第1画像解析装置、51…乗場ドア、52…乗場呼びボタン、53…第2カメラ装置、54…第2画像解析装置、71…運転状況判断部、72…第1解析情報取得部、73A,73B,73C,73D,73E…乗り込み意思判断部、74…機器動作指示部、75…操作情報取得部、76…第2解析情報取得部、77…乗り込み有無情報保持部
【要約】
【課題】 乗場にいるエレベータ利用者を精度よく検出するエレベータおよびエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータは、エレベータの乗場を撮影するカメラ装置と画像解析装置とエレベータ制御装置とを備える。画像解析装置は、カメラ装置で撮影された撮像情報を解析し、乗場にいる人を検出すると、さらに、当該検出された人の身長と移動速度と乗場での滞留時間とを含む特徴情報を取得する。エレベータ制御装置は、画像解析装置で乗場にいる人が検出されたときに、検出された人の特徴情報に基づいて、当該検出された人が乗りかごに乗り込む意思があるか否かを判断する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9