【実施例1】
【0027】
以下に、本発明の第1実施例である栽培装置100について、
図1乃至
図3に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明の第1実施例の栽培装置100の概略を示す平面図であり、
図2は、
図1に示す符号2−2で視た概略断面図であり、
図3は、取り外した状態の蓋部材140を示す概略平面図である。
【0028】
本発明の第1実施例である栽培装置100は、
図1乃至
図3に示すように、植物支持体110と、培養液用容器120と、シート状給液用導液材130と、蓋部材140とを備えている。
このうち、植物支持体110は、植物PTを支持するものであり、培養液用容器120の内部に配設されている。
【0029】
本実施例では、植物支持体110は、一例として、脚部111を有している。
脚部111は、植物支持体110の下方に設けられ、下方へ延びて培養液用容器120の底部121と接触している。
つまり、植物支持体110は、培養液用容器120の内部の培養液FLに浮いている構成ではなく、培養液用容器120の底部121に立って植物PTを支持する構成である。
【0030】
培養液用容器120は、培養液FLを貯えるものであり、所謂、水槽の役割を果たす。
本実施例の培養液用容器120は、一例として、培養液FLを培養液用容器120の外部へ排出する排液口122と、培養液FLを培養液用容器120の内部へ供給する給液口123とを有している。
本実施例では、培養液FLの水位WLを一定にするように制御されているものとする。
【0031】
シート状給液用導液材130は、培養液FLを植物PTへ導くものである。
本実施例のシート状給液用導液材130は、毛管現象で液体を吸い上げて移動させるフェルトや不織布である。
蓋部材140は、培養液用容器120を覆うものである。
図3に示すように、シート状給液用導液材130の両側の端部131が、培養液用容器120の内部の培養液FLに浸かるとともに、シート状給液用導液材130の中央部132が、植物支持体110の上に配設されている。
【0032】
本実施例では、植物PTの根PT1が、シート状給液用導液材130の中央部132の上に設置されている。
さらに、蓋部材140が、培養液用容器120に対して着脱自在に培養液用容器120の長手方向Dに複数配設されている。
具体的には、
図1および
図2に示すように、左側蓋部材140A、中央蓋部材140B、右側蓋部材140Cの3つが配設されている。
さらに、
図3に示すように、左側蓋部材140A、中央蓋部材140B、右側蓋部材140Cがそれぞれ、培養液用容器120の長手方向Dの端部に切り欠き部141を有している。
そして、隣り合う蓋部材140の切り欠き部141が互いに対向して配設され、互いに対向した切り欠き部141が植物PTの茎PT2の周囲を囲っている。
なお、本実施例では、隣り合う蓋部材140の切り欠き部141同士が植物PTの茎PT2の周囲を囲っている構成としたが、蓋部材140の切り欠き部141および端部が植物PTの茎PT2の周囲を囲う構成でもよい。
【0033】
これにより、雨が降ったときに雨が蓋部材140に当たる。
その結果、雨水が培養液用容器120の内部に入ってしまうことを回避して微生物の発生や培養液FLの濃度が薄くなるなどの不都合を防止できる。
さらに、蓋部材140を培養液用容器120から取り外すときに植物PTを移動させる必要がない。
その結果、容易に蓋部材140を培養液用容器120から取り外すことができる。
また、蓋部材140を培養液用容器120から取り外すことで内部の様子を目視可能となる。
その結果、容易に培養液用容器120の内部を確認して点検することができる。
【0034】
なお、蓋部材140を発泡スチロールで形成し、切り欠き部141における茎PT2と接触する箇所に凹凸を設けてもよい。
この凹凸が茎PT2と接触することにより適度に変形して切り欠き部141と茎PT2との隙間が出来るだけ小さくなる。
つまり、茎PT2を傷つけることなく、植物PTをサポートすることができる。
【0035】
さらに、本実施例では、栽培装置100が、浮力式水位計150をさらに備え、浮力式水位計150が、培養液用容器120の内部の培養液FLの水位WLを計るように構成されている。
具体的には、浮力式水位計150が、培養液用容器120の内部の培養液FLから上方へ延びて蓋部材140の貫通穴142を介して突出自在に設けられている。
これにより、培養液用容器120の内部の培養液FLの水位WLの変化に伴って浮力式水位計150の位置が変化して浮力式水位計150の上端の突出量が変わる。
その結果、ユーザが蓋部材140を開けずに培養液FLの水位WLを把握することができる。
【0036】
また、本実施例では、蓋部材140が、点検用開口143と、点検用開口143に対して着脱自在な開口用蓋144とを有している。
これにより、ユーザが培養液用容器120の内部を視認可能となる。
その結果、蓋部材140の全体を培養液用容器120から取り外すことなく容易に培養液用容器120の内部を確認して点検することができる。
さらに、点検用開口143を介して培養液FLを補給可能となる。
その結果、ユーザが蓋部材140の全体を培養液用容器120から取り外すことなく容易に培養液FLを補給することができる。
なお、点検用開口143の縁部は、下方へいくに従って開口面積が小さくなるように傾斜している。
他方、開口用蓋144の縁部は、上方へいくに従って蓋面積が大きくなるように傾斜している。
したがって、開口用蓋144が点検用開口143の内部に落ちてしまう虞がない。
【0037】
さらに、本実施例では、前述したように、植物支持体110が、脚部111を有して培養液用容器120の底部121と接触した状態で植物PTを支持している。
これにより、植物支持体110が蓋部材140に対して変位しない。
その結果、植物PTの枝や茎PT2が傷つくことを回避できる。
【0038】
また、栽培方法としては、本実施例の栽培装置100の構成を前提にして、シート状給液用導液材130が、培養液用容器120の内部の培養液FLを吸い上げる(培養液吸い上げ工程)。
そして、シート状給液用導液材130が、培養液吸い上げ工程で吸い上げた培養液FLを
植物支持体110の上方の植物PTへ供給する(培養液供給工程)。
また、雨が降ったときに、蓋部材140が、雨水を蓋部材140の上から培養液用容器120の外側の下方へ案内する(雨水移動工程)。
【0039】
このようにして得られた本発明の第1実施例である栽培装置100は、植物PTを支持する植物支持体110と、培養液FLを貯える培養液用容器120と、培養液FLを植物PTへ導くシート状給液用導液材130と、培養液用容器120を覆う蓋部材140とを備え、シート状給液用導液材130の少なくとも一つの端部131が、培養液用容器120の内部の培養液FLに浸かるとともに、シート状給液用導液材130の中央部132が、植物支持体110の上に配設され、植物PTの根PT1が、シート状給液用導液材130の中央部132の上に設置され、蓋部材140が、培養液用容器120に対して着脱自在に培養液用容器120の長手方向Dに複数配設されているとともに、培養液用容器120の長手方向Dの端部に切り欠き部141を有し、隣り合う蓋部材140の切り欠き部141同士または切り欠き部141および端部が植物PTの茎PT2の周囲を囲っていることにより、雨が降ったときに雨水が培養液用容器120の内部に入ってしまうことを回避して微生物の発生や培養液FLの濃度が薄くなるなどの不都合を防止し、容易に蓋部材140を培養液用容器120から取り外すとともに、容易に培養液用容器120の内部を確認して点検することができる。
【0040】
さらに、培養液用容器120の内部の培養液FLの水位WLを計る浮力式水位計150をさらに備え、浮力式水位計150が、培養液用容器120の内部の培養液FLから上方へ延びて蓋部材140の貫通穴142を介して突出自在に設けられていることにより、ユーザが蓋部材140を開けずに培養液FLの水位WLを把握することができる。
【0041】
また、蓋部材140が、点検用開口143と、点検用開口143に対して着脱自在な開口用蓋144とを有していることにより、ユーザが蓋部材140の全体を培養液用容器120から取り外すことなく容易に培養液用容器120の内部を確認して点検するとともに培養液FLを補給することができる。
【0042】
さらに、植物支持体110が、培養液用容器120の底部121と接触した状態で植物PTを支持していることにより、植物PTの枝や茎PT2が傷つくことを回避できる。
【0043】
また、本発明の第1実施例である栽培方法は、植物支持体110と培養液用容器120とシート状給液用導液材130と培養液用容器120を覆う蓋部材140とを備え、蓋部材140が、培養液用容器120に対して着脱自在に培養液用容器120の長手方向Dに複数配設されているとともに、培養液用容器120の長手方向Dの端部に切り欠き部141を有し、隣り合う蓋部材140の切り欠き部141同士または切り欠き部141および端部が植物PTの茎PT2の周囲を囲っている構成の栽培装置100を用いた栽培方法であって、シート状給液用導液材130が、培養液用容器120の内部の培養液FLを吸い上げる培養液吸い上げ工程と、シート状給液用導液材130が、培養液吸い上げ工程で吸い上げた培養液FLを
植物支持体110の上方の植物PTへ供給する培養液供給工程と、蓋部材140が、雨水を蓋部材140の上から培養液用容器120の外側の下方へ案内する雨水移動工程とを具備していることにより、雨が降ったときに雨水が培養液用容器120の内部に入ってしまうことを回避して微生物の発生や培養液FLの濃度が薄くなるなどの不都合を防止し、容易に蓋部材140を培養液用容器120から取り外すとともに、容易に培養液用容器120の内部を確認して点検することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0044】
続いて、本発明の第2実施例である栽培装置200について、
図4および
図5に基づいて説明する。
ここで、
図4は、本発明の第2実施例の栽培装置200の概略を示す平面図であり、
図5は、本発明の第2実施例の栽培装置200の概略を示す断面図である。
第2実施例の栽培装置200は、第1実施例の栽培装置100のシート状給液用導液材130の中央部132の上の植物PTの根PT1の上に防根シートを載置するとともに、蓋部材140の上に紐状の雨水用導水材を配設したものであり、多くの要素について第1実施例の栽培装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
【0045】
本発明の第2実施例である栽培装置200は、
図4および
図5に示すように、植物支持体210と、培養液用容器220と、シート状給液用導液材230と、蓋部材240とを備えている。
【0046】
本実施例では、植物PTの根PT1が、植物PTの根PT1の進入を防ぐ防根シート260によって包まれている。
技術的思想としては、植物PTの根PT1の進入を防ぐ防根シート260が、シート状給液用導液材230の中央部232の上の植物PTの根PT1の上に載置されていればよい。
これにより、植物PTの根PT1が防根シート260とシート状給液用導液材230との間に沿って成長する。
その結果、植物PTの根PT1が蓋部材240と絡まるように接触してしまうことを回避して蓋部材240が培養液用容器220に対して外せなくなってしまうことを回避できる。
【0047】
なお、植物PTの根PT1が、植物PTの根PT1の進入を防ぐ防根シート260によって包まれていることにより、植物PTの根PT1がシート状給液用導液材230の内部に入り込んでしまうことが回避される。
その結果、植物PTを持ち上げて容易にシート状給液用導液材230の中央部232から離して移動させることができる。
技術的思想としては、植物PTの根PT1の進入を防ぐ防根シート260が、シート状給液用導液材230の中央部232と、植物PTの根PT1との間に載置されていればよい。
【0048】
さらに、本実施例では、紐状の雨水用導水材270が、蓋部材240の上に配設されている。
そして、雨水用導水材270の一端271側が、互いに対向した切り欠き部241の上において植物PTの茎PT2と結ばれている。
他方、雨水用導水材270の他端272側が、蓋部材240の端部から培養液用容器220の外側へ延設されている。
これにより、蓋部材240の上で溜まろうとする雨水が表面張力や毛管現象によって雨水用導水材270に吸い寄せられるように移動して重力によって他端272側へ移動する。
その結果、蓋部材240の上の雨水を培養液用容器220の外側の下方へ流して雨水が培養液用容器220の内部に浸入することをより確実に回避できる。
【0049】
なお、植物支持体210を、一例として発泡スチロールで形成して、培養液用容器220の内部の培養液FLに浮かべてもよい。
そして、植物支持体210が、培養液用容器220の内部の培養液FLの上に浮かんだ状態で植物PTを支持する。
つまり、植物支持体210の浮力を利用して植物PTおよびシート状給液用導液材230を支持する構成としてもよい。
これにより、培養液FLの量に応じて植物支持体210が高さ方向に変位してシート状給液用導液材230が培養液FLと常に接触する。
その結果、培養液FLを植物PTの根PT1へ安定して供給することができる。
【0050】
このようにして得られた本発明の第2実施例である栽培装置200は、植物PTの根PT1の進入を防ぐ防根シート260をさらに備え、防根シート260が、シート状給液用導液材230の中央部232の上の植物PTの根PT1の上に載置されていることにより、植物PTの根PT1が蓋部材240と絡まるように接触することを回避して蓋部材240が培養液用容器220に対して外せなくなってしまうことを回避できる。
【0051】
また、防根シート260が、シート状給液用導液材230と蓋部材240との間において植物PTの根PT1を包み込んでいることにより、植物PTの根PT1が蓋部材240およびシート状給液用導液材230と絡まるように接触してしまうことを回避して蓋部材240が培養液用容器220に対して外せなくなることを回避でき、さらに、植物PTがシート状給液用導液材230に対して外せなくなることを回避して植物PTを栽培装置200から出して自由に持ち運ぶことができる。
【0052】
さらに、紐状の雨水用導水材270をさらに備え、雨水用導水材270が、蓋部材240の上に配設され、雨水用導水材270の一端271側が、互いに対向した切り欠き部241の上において植物PTの茎PT2と結ばれ、雨水用導水材270の他端272側が、蓋部材240の端部から培養液用容器220の外側へ延設されていることにより、蓋部材240の上の雨水を培養液用容器220の外側の下方へ流して雨水が培養液用容器220の内部に浸入することをより確実に回避できるなど、その効果は甚大である。