特許第6558791号(P6558791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6558791
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20190805BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-527477(P2019-527477)
(86)(22)【出願日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2019017740
【審査請求日】2019年5月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515084812
【氏名又は名称】OMリサーチ&コンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 裕敬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 輝俊
(72)【発明者】
【氏名】能登 匡洋
(72)【発明者】
【氏名】山下 幹夫
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−216115(JP,A)
【文献】 特開2007−128169(JP,A)
【文献】 特開2016−38823(JP,A)
【文献】 特開2002−230179(JP,A)
【文献】 特開2002−49660(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0091113(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0116486(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設における食品衛生に関する複数の検査項目と、前記施設が属する集団の種類により仕分けられる属性とを記憶する記憶部と、
前記属性を指定する操作と、検査リストを生成させる操作とを受け付ける画面を表示端末に表示させる表示制御部と、
前記画面において属性が指定されると、当該属性に対応付けて記憶されている検査項目を表す検査リストを生成して出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記検査項目を表示し且つ前記属性を指定する操作を受け付ける検査端末への操作により指定された属性に基づく前記検査リストを前記検査端末に対して出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記属性が、過去に検査された検査項目であることを示し、
前記出力部は、前記過去に検査された検査項目であることを示す属性が指定されると当該検査項目の過去の検査結果を表す検査リストを出力する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記過去に検査された検査項目及び過去の検査結果を、現在の検査項目及び検査結果と並べて表した検査リストを出力する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、過去の検査結果が特定の結果であったものだけを表す検査リストを出力する
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、検査項目の一覧を第1表示領域に表す検査リストを出力する場合に、前記第1表示領域に表した検査項目のうち特定の属性に対応付けられた検査項目を第2表示領域にまとめて表した検査リストを出力し、
前記第2表示領域に表された検査項目への検査の結果を、前記一覧に表された当該検査項目への検査の結果として反映する反映部を備える
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記検査項目の入力事項として写真入力を含む前記検査リストを出力し、
写真を必要とする検査結果の入力があるが写真入力がない検査項目がある場合に、その検査項目をユーザに報知する報知部を備える
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検査項目を表示させる検査端末の位置を取得する位置取得部を備え、
前記出力部は、前記検査端末の位置との距離が条件を満たす検査対象の属性に対応付けられた検査項目を表した検査リストを前記検査端末に対して出力する
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
出力された前記検査リストに含まれる検査項目に付加するコメントを取得するコメント取得部を備え、
前記出力部は、前記コメントが付加された検査項目を含む検査リストを出力する
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
食品衛生に関する検査が行われる施設が属する集団の種類により仕分けられる属性を指定する操作と、検査リストを生成させる操作とを受け付ける画面を表示手段に表示させる処理と、
前記画面において指定された前記属性を示す属性データを、前記属性に対応付けて複数の検査項目を記憶する情報処理装置に送信する処理と、
前記情報処理装置が前記属性データにより示される属性に対応付けて記憶している検査項目を表す検査リストを出力してきた場合に、当該検査リストを表示手段に表示させる処理と
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
ユーザ端末及びサーバ装置を備えるシステムであって、
前記ユーザ端末は、食品衛生に関する検査が行われる施設が属する集団の種類により仕分けられる属性を指定する操作と、検査リストを生成させる操作とを受け付ける画面を表示し、前記画面において指定された属性を示す属性データを前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、施設における食品衛生に関する複数の検査項目と、前記属性とを記憶し、前記画面において属性が指定されると、当該属性に対応付けて記憶している検査項目を表す検査リストを生成して出力し、
前記ユーザ端末は、出力されてきた前記検査リストを表示する
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品衛生管理に関する。
【背景技術】
【0002】
食品衛生管理に関する技術として、特許文献1には、食品を取り扱う事業所及びその従業者の衛生管理の状態の検査結果が、重要度に応じて決められている所定の基準値と比較して悪い結果である場合に、所定の通知先にアラートを通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−216115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)の義務化により、多くの食品関連事業者によるHACCPを含む衛生管理業務の増加が見込まれている。例えば、製品を提供するまでの各工程について継続的な監視及び記録を行うため、食品の安全性に関わる様々な項目についての検査が行われる。ここで、各事業者に求められる検査項目は、事業者毎に異なる場合がある。
そこで、本発明は、食品衛生管理のために必要な検査項目の利用を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、施設における食品衛生に関する複数の検査項目と、前記施設が属する集団の種類により仕分けられる属性とを記憶する記憶部と、前記属性を指定する操作と、検査リストを生成させる操作とを受け付ける画面を表示端末に表示させる表示制御部と、前記画面において属性が指定されると、当該属性に対応付けて記憶されている検査項目を表す検査リストを生成して出力する出力部とを備える情報処理装置を提供する。
【0007】
また、前記属性に、検査対象となる施設が属するグループが含まれてもよい。
【0008】
また、前記属性が、過去に検査された検査項目であることを示し、前記出力部は、前記過去に検査された検査項目であることを示す属性が指定されると当該検査項目の過去の検査結果を表す検査リストを出力してもよい。
【0009】
また、前記出力部は、前記過去に検査された検査項目及び過去の検査結果を、現在の検査項目及び検査結果と並べて表した検査リストを出力してもよい。
【0010】
また、前記出力部は、過去の検査結果が特定の結果であったものだけを表す検査リストを出力してもよい。
【0011】
また、前記出力部は、検査項目の一覧を第1表示領域に表す検査リストを出力する場合に、前記第1表示領域に表した検査項目のうち特定の属性に対応付けられた検査項目を第2表示領域にまとめて表した検査リストを出力し、前記第2表示領域に表された検査項目への検査の結果を、前記一覧に表された当該検査項目への検査の結果として反映する反映部を備えてもよい。
【0013】
また、前記出力部は、前記検査項目の入力事項として写真入力を含む前記検査リストを出力し、写真を必要とする検査結果の入力があるが写真入力がない検査項目がある場合に、その検査項目をユーザに報知する報知部を備えてもよい。
【0014】
また、前記検査項目を表示させる検査端末の位置を取得する位置取得部を備え、前記出力部は、取得された前記検査端末の位置との距離が条件を満たす検査対象の属性に対応付けられた検査項目を表した検査リストを前記検査端末に対して出力してもよい。
【0015】
また、出力された前記検査リストに含まれる検査項目に付加するコメントを取得するコメント取得部を備え、前記出力部は、前記コメントが付加された検査項目を含む検査リストを出力してもよい。
また、本発明は、コンピュータに、食品衛生に関する検査が行われる施設が属する集団の種類により仕分けられる属性を指定する操作と、検査リストを生成させる操作とを受け付ける画面を表示手段に表示させる処理と、前記画面において指定された前記属性を示す属性データを、前記属性に対応付けて複数の検査項目を記憶する情報処理装置に送信する処理と、前記情報処理装置が前記属性データにより示される属性に対応付けて記憶している検査項目を表す検査リストを出力してきた場合に、当該検査リストを表示手段に表示させる処理とを実行させるためのプログラムを提供する。
また、本発明は、ユーザ端末及びサーバ装置を備えるシステムであって、前記ユーザ端末は、食品衛生に関する検査が行われる施設が属する集団の種類により仕分けられる属性を指定する操作と、検査リストを生成させる操作とを受け付ける画面を表示し、前記画面において指定された属性を示す属性データを前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置は、施設における食品衛生に関する複数の検査項目と、前記属性とを記憶し、前記画面において属性が指定されると、当該属性に対応付けて記憶している検査項目を表す検査リストを生成して出力し、前記ユーザ端末は、出力されてきた前記検査リストを表示するシステムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、食品衛生管理のために必要な検査項目の利用を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例に係る検査支援システムの全体構成の一例を表す図
図2】サーバ装置のハードウェア構成の一例を表す図
図3】検査端末のハードウェア構成の一例を表す図
図4】各装置が実現する機能構成を表す図
図5】記憶された検査項目の一例を表す図
図6】表示された操作画像の一例を表す図
図7】抽出された検査項目の例を表す図
図8】表示された検査リストの一例を表す図
図9】入力操作が行われた状態の検査リストの一例を表す図
図10】検査結果テーブルの一例を表す図
図11】表示された集計結果の一例を表す図
図12A】前回の検査結果の表示の一例を表す図
図12B】前回の検査結果の表示の一例を表す図
図13】検査処理における各装置の動作手順の一例を表す図
図14】変形例の検査画面の一例を表す図
図15】変形例の検査画面の一例を表す図
図16】変形例の検査画面の一例を表す図
図17】変形例の検査画面の一例を表す図
図18】変形例で実現される機能構成を表す図
図19A】検査項目へのコメント付加を説明するための図
図19B】検査項目へのコメント付加を説明するための図
図19C】検査項目へのコメント付加を説明するための図
図19D】検査項目へのコメント付加を説明するための図
【符号の説明】
【0018】
1…検査支援システム、10…サーバ装置、20…検査端末、101…項目記憶部、102…項目抽出部、103…検査画像生成部、104…検査画像出力部、105…検査履歴蓄積部、106…分析処理部、107…位置取得部、201…検査画像表示部、202…指定操作受付部、203…リスト管理部、204…入力操作受付部、205…集計処理部、206…測位部。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[1]実施例
図1は実施例に係る検査支援システム1の全体構成の一例を表す。検査支援システム1は、食品を扱う施設等における食品衛生(食品によって健康が害されることがない安全な状態を保つこと)の管理に関する業務の1つである検査業務を支援するシステムである。検査業務とは、施設等における食品衛生の状態が食品を摂取する人の安全のために求められる基準(例えばHACCPで定められた基準)を満たしているか否かを検査する業務であり、食品衛生に影響を与える様々な検査項目についての検査が行われる。
【0020】
検査支援システム1は、ネットワーク2と、サーバ装置10と、検査端末20とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10が有線通信で(無線通信でもよい)、検査端末20が無線通信でアクセスしている。
【0021】
検査端末20は、検査業務を行う検査員が利用する端末であり、スマートフォン及びタブレット端末のように持ち運び可能ないわゆるモバイル端末である。検査員は、検査対象の施設において検査端末20に検査項目の一覧である検査リストを表示させ、各検査項目の実施状況を検査端末20に入力して記録する。検査員は、例えば、検査対象施設で働く従業員又は食品衛生管理を支援する事業を行う事業者の社員等のうち検査作業を担当する者である。
【0022】
図1では、検査端末20を1台しか表していないが、検査対象となる施設が多く存在する場合や検査対象の施設が広く複数個所同時に検査を行う場合は、複数の検査端末20を複数の検査員がそれぞれ利用して複数の検査が並行して行われる。サーバ装置10は、1台又はそれら複数の検査端末20による検査に関する情報を管理する処理等を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。検査に関する情報とは、先に述べた検査項目及び各検査項目に対する検査結果等である。
【0023】
例えば検査員が検査対象の施設の検査を行う場合、サーバ装置10は、その施設において必要な検査項目を含む検査リストを検査端末20に送信する。検査作業が完了すると、検査結果が検査端末20からサーバ装置10に送信されてくる。サーバ装置10は、送信されてきた検査結果を記憶し、過去の履歴として検査結果を閲覧させる処理や統計的な傾向を分析する処理などを行う。
【0024】
図2はサーバ装置10のハードウェア構成の一例を表す。サーバ装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備える。
【0025】
プロセッサ11は、プログラム及びデータ等をストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、読み出したプログラム等に従って各種の処理を実行する。メモリ12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。ストレージ13は、ハードディスクドライブ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。
【0026】
通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。プロセッサ11及びメモリ12等の各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0027】
図3は検査端末20のハードウェア構成の一例を表す。検査端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、入力装置25と、出力装置26と、バス27とを備えるコンピュータである。図2に同名のハードウェアが表されているプロセッサ21等は、性能及び仕様等の違いはあるが、図2と同種のハードウェアである。
【0028】
入力装置25は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタン、センサなど)である。入力装置25は、写真を撮影する撮像装置(デジタルカメラなど)を含んでいる。出力装置26は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。なお、入力装置25及び出力装置26は、一部又は全部が一体となった構成(例えばディスプレイ及びタッチパネルが一体となったタッチスクリーン)であってもよい。
【0029】
検査支援システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0030】
図4は各装置が実現する機能構成を表す。サーバ装置10は、項目記憶部101と、項目抽出部102と、検査画像生成部103と、検査画像出力部104と、検査履歴蓄積部105と、分析処理部106とを備える。検査端末20は、検査画像表示部201と、指定操作受付部202と、リスト管理部203と、入力操作受付部204と、集計処理部205とを備える。なお、図4では検査端末20が1台だけ表されているが、機能構成が共通する検査端末20が2台以上備えられていてもよい。
【0031】
項目記憶部101は、上述した検査リストで用いられる可能性がある検査項目を記憶する。検査リストに含まれる検査項目は、検査対象となる施設によって異なる場合があるため、本実施例においては、広範囲な検査項目が準備されており、その中から適宜選択できるようになっている。例えば飲食店が保健所から営業許可を取得するための食品衛生上の基準は自治体によって異なる場合がある。
【0032】
そのため、各飲食店が所在する地域の自治体で定められた基準を満たしているか否かを確認可能な検査項目とする必要があるが、本実施例においては、地域に応じた検査項目が選択できるようになっている。また、飲食店営業、喫茶店営業、食品製造業及び食品販売業等のように業種によっても保健所から営業許可を取得するための食品衛生上の基準が異なる場合がある。
【0033】
また、いくつもの地域に店舗を構えるチェーン店や組合に属する事業者のようにグループ(企業グループ又は組合グループ等)に属する店舗では、地域によらずグループで統一した食品衛生上の基準を満たすことが義務付けられている場合がある。その場合は、グループの基準を満たしているか否かを確認可能な検査項目とする必要がある。本実施例においては、それらの場合も、業種やグループに応じた検査項目が選択できるようになっている。なお、上述した地域等の他にも、HACCPに基づく検査やHACCPの考え方を取り入れた検査など種々の検査基準に応じた検査項目が選択できるようになっていてもよい。
【0034】
項目記憶部101は、上記のとおり様々な基準があることを想定して検査が求められる可能性がある検査項目を予め記憶する。ここで、検査項目とは、検査の際に用いられる質問、アンケート等を表す言葉であって、所定の言語の文や句またはその意図を記号などによって示したものである。言語や記号はいずれか一方を用いても、双方を用いてもよい。なお、記号を用いた場合は、検査項目を周囲の人に知られないようにする場合などに好適である。
【0035】
この実施例では、検査項目を日本語の言葉によって表示するようにしているが、言語や記号などを音声によって発音するように構成してもよい。検査項目の例としては、例えば「手洗い専用シンクを利用している」あるいは、「〇〇は常になされてますか」「温度は〇〇度以上ですか」「湿度は〇〇〜〇〇の範囲に入っていますか」というように検査すべき内容が文章で表されている。
【0036】
検査項目に対しては、検査結果が入力されるようになっており、入力された結果は記憶されるようになっている(詳細は後述)。検査結果は、「はい」、「いいえ」の2択や、その他の選択肢を増やして3択以上で表されてもよいし、5段階、10段階のように程度を示す数値や記号によって表されてもよい。本実施例では、「はい」と回答される検査項目は検査結果が「OK」であったことを示し、「いいえ」と回答される検査項目は検査結果が「NG」であったことを示す2択を採用している。
【0037】
図5に本実施例において記憶される検査項目の一覧を示す。ここでは、各検査項目を「K−1」、「K−2」、「K−3」、・・・というように記号及び数字で表しているが、実際に記憶されているのは質問等を示す文章である。図5に示すように、項目記憶部101は、各検査項目に対して検査対象の属性を対応付けて記憶している。検査対象とは、検査項目の質問やアンケート等が何について行われるかを示すものである。つまり、各検査項目には、何らかの関連する検査対象が存在する。
【0038】
検査対象には様々なものがなり得るため、検査項目も多数必要になる場合がある。そこで、検査支援システム1においては、検査対象を特定するための言葉(以下「属性」と言う)を定義しておき、定義された属性に検査項目を対応付けることで、多数ある検査項目を整理可能としている。検査対象は、例えば、設備、場所、人などの検査が行われる物理的なものを示す属性や、手洗い、服装、日付管理、保管状態、温度状態など検査の内容を示す属性によって特定される。
【0039】
また、検査が行われる施設が属する業種や地域、グループ(企業グループ又は組合グループ等)などによって何を検査対象にするかが決まる場合もあるので、検査対象は、それらの業種や地域、グループなどを示す属性によっても特定可能である。検査支援システム1においては、検査対象を特定するためのこれらの属性が、前述した検査対象の1又は複数の属性として定義されている。
【0040】
なお、上記の各例では、何らかの共通性を有する検査対象の属性がその共通性を表す言葉によって示されたが、それに限らず、例えば何らかの共通性を有する検査対象の属性がその共通性とは関係のない任意の言葉(例えば単なる記号等)によって示されてもよい。また、共通性を有しない検査対象(例えばランダムに選ばれる検査対象)の属性が任意に定められる言葉(単なる記号等)によって示されてもよい。いずれの場合も、検査項目に関連する検査対象の1又は複数の属性がその検査項目に対応付けられることで、検査項目の整理が可能になる。
【0041】
また、各属性はさらに任意の区分で仕分けができるようになっており、各区分には任意の名称(以下「区分名称」と言う)が付けられている。本実施例では、図5に示すように、従業員、食材、器具・食器、保管状況、環境などの属性は「大項目」という区分名称で仕分けられ、手洗い、服装等の属性は「中項目」という区分名称で仕分けられている。
【0042】
大項目及び中項目は、本実施例においては、互いに共通性を有する検査対象(例えば「従業員」であれば従業員に関係する検査対象、「手洗い」であれば手洗いに関係する検査対象)を仕分ける区分名称である。大項目及び中項目として仕分けられた属性に対応付けられた検査項目は、検査対象が共通性を有するため、まとめて検査しやすくなっている(例えば「食材」という大項目の検査項目は、食材が保管されている場所でまとめて検査することができるなど)。
【0043】
また、地域を示す属性(「A市」等)、業種を示す属性(「飲食店」等)、及びグループを示す属性(「Bグループ」等)は、それぞれ「地域」「業種」「グループ」という区分名称で仕分けられている。地域、業種及びグループは、検査対象となる施設が属する集団の種類で属性を仕分ける区分名称である。集団においては、前述したように事業を行うために満たす必要がある食品衛生の独自の基準が定められている場合がある。
【0044】
そのため、地域、業種及びグループの各属性は、各々に対応する食品衛生の基準を満たすことを確認するために必要な検査項目に対応付けられている。例えば、図5の例では、「A市」という地域の属性が、A市で定められた食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目のうちの1つである検査項目「K1−3」に対応付けられている。
【0045】
また、「飲食店」という業種の属性が、飲食店向けに定められた食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目のうちの1つである検査項目「K1−6」に対応付けられている。また、「Bグループ」というグループの属性が、Bグループの傘下の店舗等に求められる食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目のうちの1つである検査項目「K2−3」に対応付けられている。
【0046】
また、各区分名称には、「全て」及び「N/A」という属性が含まれている。「全て」は該当する区分名称の属性の全てが含まれることを意味する(「地域」であれば「A市」を含む全ての地域の属性が含まれる)。つまり、例えば「全て」という地域の属性に対応付けられた検査項目は、検査が行われる施設が属する地域がどこであるかに関わらず必要となることを意味する。
【0047】
なお、図5の例では、例えば「地域」の区分名称の属性であれば「A市」という1つの属性又は「全て」という全ての属性だけが検査項目に対応付けられているが、これに限らない。例えば地域の属性として、「A市、C市」という2つの属性や3つ以上の属性が検査項目に対応付けられていてもよい。そうすることで、複数の地域で共通して必要な検査項目を表すことができる。
【0048】
また、「N/A」は、該当する区分名称の属性が存在しないこと(つまり該当なし)を意味する。つまり、例えば、検査項目「K2−3」には「Bグループ」というグループの属性が対応付けられているが、地域及び業種としては「N/A」が対応付けられている。これは、Bグループ傘下の店舗等であれば、その地域や業種に関係なく検査項目「K2−3」の検査が必要となることを意味する。
【0049】
なお、検査項目「K2−3」には「地域」及び「業種」の属性が対応付けられていないが、例えば「A市」という地域の属性と「飲食店」という業種の属性の両方に対応付けられた検査項目があってもよい。その検査項目は、例えばA市が飲食店向けに定めた食品衛生上の基準を満たすために必要な検査項目を意味する。同様に、「地域」、「業種」及び「グループ」の属性がいずれも対応付けられた検査項目があってもよい。
【0050】
以上のとおり、項目記憶部101は、食品衛生に関する複数の検査項目と、それら複数の検査項目の各々が関連する検査対象の属性(検査項目に関連する検査対象の属性が複数あればいずれか1以上の属性)とを互いに対応付けて記憶する。項目記憶部101は本発明の「記憶部」の一例である。ここでいう「複数の属性」とは、「大項目」に区分される「従業員」及び「食材」等、「中項目」に区分される「手洗い」及び「服装」等、「地域」に区分される「全て」及び「A市」等、「業種」に区分される「全て」及び「飲食店」等、「グループ」に区分される「全て」及び「Bグループ」等である。
【0051】
検査端末20では、項目記憶部101に記憶されている検査項目の一覧を表す検査リストを表示させるための操作が行われる。検査端末20の検査画像表示部201は、検査に関係する各種の画像を表示する。検査画像表示部201は、例えば、検査リストを表示させる操作を受け付けるための操作画像を表示する。
【0052】
図6は表示された操作画像の一例を表す。図6の例では、検査画像表示部201は、「検査対象の属性を指定してください。」という文字列と、施設名の入力欄A1と、地域の属性の指定欄A2と、業種の属性の指定欄A3と、グループの属性の指定欄A4と、検査リストの生成ボタンB1とを含む検査画面を表示している。検査画像表示部201は、入力欄、各指定欄及びボタンの表示範囲を指定操作受付部202に通知する。
【0053】
指定操作受付部202は、通知された表示範囲への操作を、検査対象の属性を指定する指定操作として受け付ける。各指定欄への操作は、文字列を入力する操作でもよいし、プルダウンされた属性の候補のいずれかを選択する操作でもよい。指定欄で属性を指定する操作(図6の例では「A市」及び「飲食店」が指定されている)と生成ボタンB1を押す操作とが行われたとする。
【0054】
指定操作受付部202は、それらの操作を属性の指定操作として受け付け、入力された施設名及び指定された属性を示す属性データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の項目抽出部102は、送信されてきた属性データを受け取ると、受け取った属性データが示す属性に対応付けて項目記憶部101に記憶されている検査項目を抽出する。項目抽出部102は、指定された属性によって異なる検査項目群を抽出する。
【0055】
図7は抽出された検査項目の例を表す。例えば「A市の飲食店」が属性として指定された場合、項目抽出部102は、「A市」に対応付けられた「K1−3」及び「飲食店」に対応付けられた「K1−6」という検査項目を含む検査項目群を抽出する。また、項目抽出部102は、「A市の喫茶店」が属性として指定された場合、「A市」に対応付けられた「K1−3」は含むが「飲食店」に対応付けられた「K1−6」は含まない検査項目群を抽出する。
【0056】
また、項目抽出部102は、「C市の飲食店」が属性として指定された場合、「A市」に対応付けられた「K1−3」は含まないが「飲食店」に対応付けられた「K1−6」を含む検査項目群を抽出する。また、項目抽出部102は、「A市のグループB傘下の喫茶店」が属性として指定された場合、「飲食店」に対応付けられた「K1−6」は含まないが、「A市」に対応付けられた「K1−3」と、「グループB」に対応付けられた「K2−3」を含む検査項目群を抽出する。
【0057】
また、項目抽出部102は、「C市のグループB傘下の喫茶店」が属性として指定された場合、「A市」に対応付けられた「K1−3」と「飲食店」に対応付けられた「K1−6」は含まないが、「グループB」に対応付けられた「K2−3」を含む検査項目群を抽出する。なお、項目抽出部102は、「全て」という属性に対応付けられた各検査項目を、いずれの検査項目群にも含めて抽出する。
【0058】
なお、項目抽出部102は、例えば「A市、C市」に対応付けられた検査項目がある場合には、「A市」が指定された場合も「C市」が指定された場合もその検査項目を抽出する。一方、項目抽出部102は、例えば「A市」及び「飲食店」に対応付けられた検査項目がある場合には、「A市」だけが指定された場合も「飲食店」だけが指定された場合もその検査項目を抽出せず、「A市」と「飲食店」の両方が指定された場合にその検査項目を抽出する。
【0059】
項目抽出部102は、受け取った属性データが示す施設名に対応する施設IDを発行し、施設名及び施設IDを互いに対応付けて自装置に記憶させておく。以降は、各施設のデータは施設IDに対応付けて管理される。項目抽出部102は、上記のとおり検査項目を抽出すると、抽出した検査項目を検査対象の施設IDと共に検査画像生成部103に供給する。
【0060】
検査画像生成部103は、食品衛生の検査に関係する検査画像を生成する機能であり、例えば、供給された検査項目を一覧として表す検査リストを検査画像として生成する。検査画像生成部103は、例えば、施設名及び検査リストをブラウザに表示する際のデザインを表すHTML(HyperText Markup Language)文書と、各検査項目への入力結果を格納する検査結果テーブルとを含むリストデータを生成することで、検査リストを生成する。
【0061】
検査画像生成部103は、生成したリストデータを検査画像出力部104に供給する。検査画像出力部104は、検査画像生成部103により生成された検査画像を出力する機能であり、例えば、供給されたリストデータを、属性の指定元である検査端末20に対して出力することで、検査リストという検査画像を出力する。検査端末20のリスト管理部203は、出力されてきたリストデータを受け取ると、受け取ったリストデータが示す検査リスト及び検査結果テーブルを記憶して管理する。
【0062】
リスト管理部203は、記憶したリストデータが示すHTML文書を検査画像表示部201に供給する。検査画像表示部201は、供給されたHTML文書が示す施設名及び検査リストを検査画像として表示する。
図8は表示された検査リストの一例を表す。図8の例では、検査画像表示部201は、大項目である「従業員」のタブT1、「食材」のタブT2、「器具・食器」のタブT3、「保管状況」のタブT4及び「環境」のタブT5と、後述する「判定」のタブT6を含む検査リストを、タブT1を開いた状態で表示している。
【0063】
「従業員」の表示領域C1には、中項目の「手洗い」の表示領域D1、「服装」の表示領域D2及び「手指目視検査」の表示領域D3等が含まれている。各中項目の表示領域には、検査項目「K−1」及び「K−2」等が表示されている。表示領域C1をスクロールさせると、表示されていない中項目の表示領域及び検査項目が表示される。検査項目の左側には、検査結果の入力操作を受け付けるNGボタンE1、写真ボタンE2、コメントボタンE3及びOKボタンE4が表示されている。
【0064】
図9は入力操作が行われた状態の検査リストの一例を表す。NGボタンE1が押されると、「×」マーク(検査結果がNGであることを示すマーク)が表示され、OKボタンE4が押されると、「〇」マーク(検査結果がOKであることを示すマーク)が表示される。また、写真ボタンE2が押されると、写真入力欄E5が表示される。写真入力欄E5は、検査対象となる現場の写真を添付する領域である。
【0065】
写真入力欄E5をタップすると、例えば検査端末20の撮像装置が起動されてユーザの操作により写真を撮影し、撮影された写真が写真入力欄E5に表示される。なお、写真入力欄E5をタップした場合に検査端末20に記憶されている撮影済みの写真を取り込めるようにしてもよい。
【0066】
コメントボタンE3が押されると、コメント入力欄E6及びコメント例文一覧E7が表示される。コメント入力欄E6には、手入力でコメントを入力してもよいし、コメント例文一覧E7に含まれている例文を選択することでコメントを入力してもよい。検査画像表示部201は、各ボタン及び各入力欄の表示範囲を入力操作受付部204に通知する。
【0067】
入力操作受付部204は、通知された表示範囲への操作を、検査結果の入力操作として受け付ける。入力操作受付部204は、入力操作を受け付けると、受け付けた入力操作の結果を検査画像表示部201に供給し、検査画像表示部201は、入力操作の結果を表示する。また、入力操作受付部204は、受け付けた入力操作の結果をリスト管理部203にも供給する。
【0068】
リスト管理部203は、供給された入力操作の結果を検査結果として、記憶している検査結果テーブルに反映する。
図10は検査結果テーブルの一例を表す。検査結果テーブルには、「施設ID」、「検査回数」、「検査項目」、「NG」、「OK」、「写真」、「コメント」及び「入力日時」がそれぞれ対応付けて格納されている。
【0069】
「施設ID」及び「検査回数」は、検査画像生成部103が検査結果テーブルを生成する際に格納されている。図10の例では、該当する施設IDの検査結果テーブルを初めて生成したので、「1」回が「検査回数」として格納されている。「NG」の入力は「×」、「OK」の入力は「〇」で表されている。写真は画像データのファイル名で、コメントはテキストデータのファイル名で表されている。入力日時は年月日で表されているが、詳細な時刻まで表されていてもよい。
【0070】
集計処理部205は、検査結果テーブルに格納された検査結果を参照して、検査結果の集計処理を行う。集計処理とは、共通の検査結果(例えばOKの検査結果)の件数を合計した値を集計値として算出する処理である。また、集計処理には、算出した集計値に基づいてさらに別の値を算出する処理も含まれる。具体的には、集計処理部205は、OKの検査結果を集計し、検査項目の全体数に対するOKの集計値の割合(以下「評価率」と言う)を大項目毎及び全体について算出する処理を行う。
【0071】
評価率は、この値が高いほど衛生管理のために実施すべき作業が実施されていることを意味する値であり、より安全な食品の供給が期待できることを示す指標として利用可能である。集計処理部205は、評価率の算出において、各検査項目の検査結果を一律ではなく重みを付けて扱う。例えば検査項目が50個ある場合、一律に扱うと1つのNGにつき評価率が2%減少する。
【0072】
これに対し、各検査項目に重みを付けることで、例えば重要度が高い検査項目がNGだと3%減少し、重要度が低い検査項目だと1%減少するというように評価率が算出される。重要度とは、例えば、食品衛生に対する影響が大きい検査項目ほど重要度が高いという意味である。重要度を加味した重み付けをすることで、重要度を加味しない場合に比べて、評価率の上記指標としての信頼性を高めることができる。
【0073】
検査画像表示部201は、図8に表す「判定」のタブT6を押す操作が行われると、集計処理部205に集計処理を要求する。検査画像表示部201は、要求に応答して供給される集計結果を表示する。
図11は表示された集計結果の一例を表す。検査画像表示部201は、大項目毎の評価率を示す結果表F1と、大項目毎の評価率を示すレーダーチャートF2とを表示している。
【0074】
また、検査画像表示部201は、全体の評価率を「総合評価」として示し、総合評価に応じて決まる呼称である「優秀店」及び総合評価に応じて決まる評価ランクの「S」という文字列を表示している。これらの呼称及び評価ランクは、総合評価の値に応じて例えば「優秀店」及び「S」、「優良店」及び「A」、「良店」及び「B」、「要改善点」及び「C」というように定められる。
【0075】
検査画面に表示されている確定ボタンB2を押す操作が行われると、入力操作受付部204がこの操作を検査結果の入力を確定させる確定操作として受け付け、リスト管理部203は、検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の検査履歴蓄積部105は、送信されてきた結果データが示す検査結果テーブルを記憶することで、記憶した検査結果テーブルに格納された検査結果を検査の履歴として蓄積する。蓄積された検査結果には、施設ID及び検査回数が含まれているため、どの施設の何回目の検査結果であるかが分かるようになっている。
【0076】
分析処理部106は、検査履歴蓄積部105に蓄積された検査結果に基づいて、検査結果の傾向等を分析する処理を行う。分析処理部106は、例えば、各施設における評価率の平均値、最大値及び最小値等を分析に利用可能な値として算出する。また、分析処理部106は、例えば、属性(大項目、中項目、地域、業種及びグループ等)が共通する検査項目における評価率の平均値等を算出してもよい。算出された値は、地域、業種及びグループ等における食品衛生の維持及び向上の役割を持つ組織等で役立てられる。
【0077】
上記の例では、検査画像生成部103が、複数の大項目の検査項目を表す検査リストを予め生成したが、大項目毎に検査リストを生成してもよい。例えば、項目抽出部102は、属性データを受け取ると、図8に表すように初期状態で表示される「従業員」に対応付けられた検査項目だけを抽出する。こうして抽出された検査項目を表す検査リストでも、図8に表す表示が可能である。
【0078】
そして、例えば「食材」のタブT2を選択する操作が行われると、その操作を、「食材」という属性を指定する操作として指定操作受付部202が受け付ける。すると、項目抽出部102が「食材」に対応付けられた検査項目だけを抽出し、「食材」の検査項目を表す検査リストが表示される。以上のとおり、検査リストの生成方法には、全ての大項目の検査リストを予め生成する第1の方法と、大項目が指定されたときに該当する検査リストを生成する第2の方法とがある。
【0079】
いずれの方法が用いられた場合でも、検査画像出力部104は、検査対象の属性(複数の属性のうちのいずれか)が指定されるとその属性に対応付けて記憶されている検査項目を一覧として表す検査リストを出力する。第1の方法の場合、「地域」、「業種」、「グループ」が指定されると、指定された属性に対応付けられた検査項目を表す検査リストが新たに生成されて出力される。
【0080】
一方、図8に表す検査画面上で「大項目」が指定された場合、指定された大項目に対応付けられた検査項目の検査リストとして、既に生成されて出力された検査リストが画面上に表される。これに対し、第2の方法の場合、「地域」、「業種」、「グループ」及び「大項目」のいずれが指定された場合も、指定された属性に対応付けられた検査項目を表す検査リストが新たに生成されて出力される。
【0081】
このように、検査画像出力部104は、検査端末20を表示手段として検査リストを出力してすぐにその検査リストを表示させる場合もあれば、検査端末20を記憶手段として検査リストを出力して後からその検査リストを表示させる場合もある。いずれの場合も、検査対象の属性を指定するだけで必要な検査項目を表す検査リストが出力されるので、必要な検査項目を個々に選択する場合に比べて、食品衛生管理のために必要な検査項目の利用を容易にすることができる。
【0082】
また、検査画像出力部104は、検査端末20への操作により指定された属性に基づく検査リスト(指定された属性に対応付けられた検査項目の一覧を表した検査リスト)をその検査端末20に対して出力している。検査端末20は、上記のとおり検査項目を表示する機能(検査画像表示部201)及び属性を指定する操作を受け付ける機能(指定操作受付部202)を有している。これにより、検査端末20を用いて検査を行う検査員が、例えばシステム担当者に依頼をしなくても、新たに検査対象となる施設に合った検査リストを検査端末20に表示させることができる。
【0083】
また、検査対象の属性には、検査対象となる施設が属する地域、業種及びグループが含まれる。これにより、必要な検査項目を個々に選択する場合に比べて、地域毎、業種毎及びグループ毎の検査項目の利用を容易にすることができる。なお、検査対象の属性は、これらに限らず、他にも規模(床面積、席数及び従業員数等)及び立地条件(繁華街、街道沿い及び地下等)等が用いられてもよい。いずれも、必要とされる検査項目に違いが生じる場合には、属性として検査項目を対応付けておくことで、検査項目の利用を容易にすることができる。
【0084】
上記の例では1回目の検査リストの出力について説明したが、2回目以降は次のように検査リストが出力される。検査画像生成部103は、検査結果テーブルを生成する際に検査履歴蓄積部105を参照して同じ施設IDを格納する検査結果が蓄積されている場合は、そのうちの最大の検査回数(前回の検査回数)に1を加えた検査回数(今回の検査回数)を格納する検査結果テーブルを生成する。
【0085】
そして、検査画像生成部103は、ユーザの操作により前回の検査結果を表示可能なHTML文書を生成する。検査画像表示部201は、このHTML文書に基づいて、前回の検査結果を表示する。
図12A図12Bは前回の検査結果の表示の一例を表す。図12Aでは、検査画像表示部201が、「食材」の検査リストを表示する検査画面に、前回の検査結果の表示ボタンB3を表示している。
【0086】
表示ボタンB3を押す操作が行われると、検査画像表示部201は、図12Bに表すように、今回の検査項目及び検査結果と、前回の検査項目及び検査結果とを並べて示す検査リストを表示する。以上で述べた前回の検査結果の表示においては、検査履歴蓄積部105が、複数の検査項目を検査回数に対応付けて記憶している。この場合の検査履歴蓄積部105は本発明の「記憶部」の一例である。
【0087】
記憶されている検査回数は、各検査項目の検査対象である施設の属性であり、各検査項目にとっては、検査対象の施設において過去に検査された検査項目であることを示す属性である。指定操作受付部202は、表示ボタンB3を押す操作を、過去に検査された検査項目であることを示す属性を指定する操作として受け付ける。こうして過去に検査された検査項目という属性が指定されると、検査画像出力部104は、その検査項目の過去の検査結果を表す検査リストを出力する。
【0088】
より詳細には、検査画像出力部104は、図12Bに表すように、過去に検査された検査項目及び過去の検査結果を、現在の検査項目及び検査結果と並べて表した検査リストを出力する。検査画像表示部201は、前回の検査結果についても、写真入力欄及びコメント入力欄を表示する。また、検査画像表示部201は、前回の検査結果の非表示ボタンB4を表示して、非表示ボタンB4が操作されると図12Aの検査画面に戻して表示する。
【0089】
単に過去の検査結果が表示されるだけでも、過去の検査結果を参考にしながら今回の検査を行うことができる。本実施例では、さらに現在と過去の検査結果を並べて表すことで、過去の検査結果を見ながら今回の検査項目を入力することができるため、例えば過去と今回の検査結果が別画面で表示される場合に比べて、過去の検査結果を参考にした入力を容易にすることができる。
【0090】
サーバ装置10及び検査端末20は、上記の構成に基づいて、検査リストを表示して検査結果を蓄積する検査処理を行う。
図13は検査処理における各装置の動作手順の一例を表す。図13の動作手順は、例えば、検査員が検査端末20を操作して図6に表す操作画像を表示させることを契機に開始される。
【0091】
まず、検査端末20(指定操作受付部202)は、検査対象の属性を指定する指定操作を受け付ける(ステップS11)。次に、検査端末20(指定操作受付部202)は、指定された属性を示す属性データをサーバ装置10に送信する(ステップS12)。サーバ装置10(項目抽出部102)は、送信されてきた属性データが示す属性に対応付けて項目記憶部101に記憶されている検査項目を抽出する(ステップS13)。
【0092】
続いて、サーバ装置10(検査画像生成部103)は、抽出された検査項目を一覧として表す検査リスト及び検査結果テーブルを含むリストデータを生成する(ステップS14)。そして、サーバ装置10(検査画像出力部104)は、生成されたリストデータを検査端末20に対して出力する(ステップS15)。検査端末20(リスト管理部203)は、出力されてきたリストデータを記憶する(ステップS16)。
【0093】
次に、検査端末20(検査画像表示部201)は、記憶されたリストデータが示す検査リストを表示する(ステップS17)。続いて、検査端末20(入力操作受付部204)は、検査結果の入力操作を受け付ける(ステップS21)。次に、検査端末20(リスト管理部203)は、入力操作の結果を検査結果として検査結果テーブルに反映する(ステップS22)。
【0094】
続いて、検査端末20(集計処理部205)は、検査結果テーブルに格納された検査結果を参照して、検査結果の集計処理を行う(ステップS23)。次に、検査端末20(検査画像表示部201)は、集計処理の結果を表示する(ステップS24)。続いて、検査端末20(入力操作受付部204)は、検査結果の入力を確定させる確定操作を受け付ける(ステップS31)。
【0095】
次に、検査端末20(リスト管理部203)は、検査結果テーブルを示す結果データをサーバ装置10に送信する(ステップS32)。サーバ装置10(検査履歴蓄積部105)は、送信されてきた結果データが示す検査結果テーブルに格納された検査結果を検査の履歴として蓄積する(ステップS33)。ステップS33の後は、上述した分析処理や2回目以降の検査に関する処理が行われる。
【0096】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0097】
[2−1]まとめ表示
検査画像出力部104は、実施例では、「従業員」及び「食材」等の所定の属性に対応付けられた検査項目の一覧を共通の表示領域に表す検査リストを出力した。その場合に、検査画像出力部104は、共通の表示領域に表した検査項目のうち特定の属性に対応付けられた検査項目を別の表示領域に表した検査リストを出力してもよい。
【0098】
図14は本変形例の検査画面の一例を表す。図14の例では、検査画像出力部104が、「ヒアリング」という所定の属性に対応付けられた検査項目をタブT7により表示される表示領域C2(「別の表示領域」の一例)に表した検査リストを出力している。「ヒアリング」とは、現場の従業員から話を聞いて確認すべき検査項目のことである。図14の例では、図5に表す検査対象の属性に加えて、「ヒアリング」という属性が検査項目に対応付けられているものとする。
【0099】
図14の例のようにヒアリングが必要な検査項目を別の表示領域にまとめて表示することで、それらの検査項目が別々の表示領域に表示される場合に比べて、通常業務で多忙な従業員から話を聞く時間を短くすることができる。本変形例では、リスト管理部203が、図11に表す確定ボタンB2が操作されなくても、検査結果が入力される度に入力された検査結果を示す結果データをサーバ装置10に送信する。
【0100】
検査履歴蓄積部105は、送信されてきた結果データが示す検査結果を、現時点での検査の履歴として蓄積すると共に、検査画像生成部103に供給する。検査画像生成部103は、別の表示領域に表された検査項目への検査の結果を、共通の表示領域に表されたその検査項目への検査の結果として反映した検査リストを表すHTML文書を生成する。検査画像生成部103は本発明の「反映部」の一例である。
【0101】
生成されたHTML文書を含むリストデータを検査画像出力部104が出力することで、例えば図14の例で「K1−16」という検査項目の検査結果が入力されると、「従業員」のタブを開いたときに、「K1−16」の検査結果が入力された状態の検査リストが表示される。以上のとおり検査結果の入力を別の表示領域にも反映させることで、同じ検査項目の入力を2回行わせることを防ぎ、2重入力による検査結果の不整合の発生を防ぐことができる。
【0102】
なお、特定の属性は「ヒアリング」に限らない。例えば従業員全員について確認しなければならない検査項目がある場合、項目記憶部101が「全員確認」という属性を該当する検査項目に対応付けて記憶しておき、検査画像出力部104が「全員確認」に対応付けられた検査項目を別の表示領域に表した検査リストを出力してもよい。この場合、確認漏れがあって再度全員に確認を行うという労力の無駄の発生を防ぐことができる。
【0103】
また、検査結果がまだ入力されていない検査項目(つまり「未検査」)という属性が特定の属性として用いられてもよい。その場合、「未検査」という属性は、検査履歴蓄積部105が検査項目に対応付けて記憶する。この場合の検査履歴蓄積部105は本発明の「記憶部」の一例である。検査画像出力部104は、未検査という属性に対応付けて検査履歴蓄積部105に記憶されている検査項目を一覧として表す検査リストを出力する。
【0104】
図15は本変形例の検査画面の別の一例を表す。図15の例では、検査画像出力部104が、「未検査」という所定の属性に対応付けられた検査項目をタブT8により表示される表示領域C8(「別の表示領域」の一例)に表した検査リストを出力している。図15の例のように未検査の検査項目を別の表示領域にまとめて表示することで、それらの検査項目が別々の表示領域に表示される場合に比べて、未検査の検査項目に対する検査作業を効率よく行うことができる。
【0105】
[2−2]過去の結果の表示
検査画像出力部104は、実施例では、前回の検査結果を表す検査リストを出力したが、これに限らず、例えば過去の複数回(特定の回数又は全て)の検査結果を表す検査リストを出力してもよい。また、検査画像出力部104は、過去の検査結果が特定の結果であったものだけを表す検査リストを出力してもよい。
【0106】
特定の結果とは、例えばNGの検査結果、写真を添付された検査結果及びコメントが入力された検査結果等である。なお、写真及びコメントは検査結果がOKの場合にも入力される場合があるものとする。
図16は本変形例の検査画面の一例を表す。図16の例では、検査画像出力部104が、前回の検査結果のうちNGの検査結果を特定の結果として検査リストを出力している。図16の例では、「前回NG」というタブT9が加えられており、タブT9を選択すると前回NGだった検査結果だけが大項目に関係なくまとめて表示される。
【0107】
このように検査リストが出力されることで、過去に特定の結果であった検査項目を重点的に検査することができる。なお、図16の例において、前回NGであった検査項目は、上述した変形例で述べたまとめ表示(共通の表示領域とは別の表示領域にまとめた表示)が行われている。図16の例の場合も、まとめ表示された検査項目の検査結果が共通の表示領域における検査項目の検査結果に反映されてもよい。
【0108】
[2−3]写真入力忘れ防止
実施例では、検査画像出力部104が、検査項目の入力事項として写真入力を含む前記検査リストを出力している。一方、検査結果がNGである場合、現状が分かるように写真の入力が義務付けられている場合がある。
【0109】
そこで、例えば検査画像生成部103及び検査画像出力部104が協働して、写真を必要とする検査結果が入力されたが写真入力がない検査項目がある場合に、その検査項目をユーザ(例えば検査員)に報知する報知画像を出力してもよい。この場合の検査画像生成部103及び検査画像出力部104は本発明の「報知部」の一例である。例えばNG項目に写真入力がない状態で図11に表す確定ボタンB2が押されたとする。
【0110】
検査履歴蓄積部105は、送信されてきた結果データを検査画像生成部103に供給する。検査画像生成部103は、供給された結果データが示す検査結果テーブルにおいて、NGが「×」だが写真が格納されていない検査項目がある場合、その旨を示す報知画像を生成する。生成された報知画像を検査画像出力部104が検査端末20に対して出力し、検査画像表示部201が出力されてきた報知画像を表示する。
【0111】
図17は本変形例の検査画面の一例を表す。図17の例では、「写真が入力されていないNG項目があります。」という文字列を含む報知画像G1が表示されている。報知画像G1には、写真が入力されていないNG項目へのリンクL1、L2、L3が含まれている。例えば「K3−5」という検査項目が表されたリンクL1を押す操作が行われると、検査画像表示部201は、「K3−5」を含む「器具・食器」のタブを開いて「K3−5」を表示する。
【0112】
「K3−5」での写真の入力が終わると、検査画像表示部201は、再び報知画像G1を表示する。引き続き残りの検査項目について写真入力がされることで、報知画像G1の表示が終了する。以上のとおり報知画像が出力されることで、検査結果として必要な写真の入力忘れを防止することができる。
【0113】
また、図17の例では、検査画像生成部103及び検査画像出力部104は、写真入力がない検査項目へのリンクを含む報知画像を出力している。これにより、報知画像にリンクが含まれない場合に比べて、写真入力の手間を減らすことができる。なお、写真入力がない検査項目の報知方法は上記方法に限らない。検査画像生成部103及び検査画像出力部104は、報知画像に代えて又は加えて報知音を示す音データを生成して出力してもよい。
【0114】
また、検査画像生成部103及び検査画像出力部104は、確定ボタンB2が押されたときではなく、例えば或る大項目に写真入力がないNGの検査項目が残っている状態で別の大項目のタブを選択したとき又は検査リストを表示するアプリケーション(ブラウザ等)を終了する操作が行われたとき等に報知してもよい。いずれの場合も、検査員が検査対象の施設にいる間に報知されることが望ましい。
【0115】
[2−4]属性の指定方法
実施例では、図6に表す検査画面で「地域」、「業種」及び「グループ」が属性として指定されたが、この時点で「大項目」及び「中項目」が指定されてもよい。その場合、検査画像出力部104は、指定された大項目及び中項目に絞り込んだ検査リストを出力する。例えば、店舗の従業員が一度に全ての検査項目を検査せずに何日かかけて検査を行うといった場合に、当日行う検査項目に絞り込んだ検査リストへのカスタマイズを検査の度に行うことができる。
【0116】
また、実施例では、検査員が検査端末20を操作して属性を指定したが、属性の指定方法はこれに限らない。例えば検査対象の施設の従業員が検査を行うため、検査事業者が検査端末20を従業員に貸し出す場合がある。その場合は、検査事業者の作業員が予め検査端末20を操作して属性を指定して、検査リストを表示可能にしておいてもよい。
【0117】
また、従業員の所有する端末を検査端末20として用いる場合、検査事業者が所有する別の端末を操作して属性を指定して、検査リストを表示可能にしておいてもよい。この場合、該当する検査対象の検査リストを表示するためのアクセス情報(URL(Uniform Resource Locator)、ユーザID及びパスワード等)が従業員に伝えられて、伝えられたアクセス情報を用いて従業員が検査端末20に検査リストを表示させる。
【0118】
また、検査対象の施設の名称等(名称又はID)と属性とを予め対応付けておき、施設の名称等を入力させることで間接的に検査対象の属性を指定させてもよい。例えば図5に表すBグループに属する全店舗の施設の名称等をBグループに対応付けてサーバ装置10が記憶しておく。そして、該当する施設の名称等が入力されると、項目抽出部102が、入力された名称等の施設が属するBグループが属性として指定されたと判断して検査項目を抽出する。
【0119】
[2−5]接近による検査リスト表示
検査員が検査端末20と共に検査対象の施設に接近することを契機に、該当する施設の検査リストが表示されてもよい。
図18は本変形例で実現される機能構成を表す。図18では、図4に表す各部に加えて位置取得部107を備えるサーバ装置10aと、測位部206を備える検査端末20aとが表されている。
【0120】
本変形例では、例えば図6に表す検査画面において、検査対象の属性として検査対象の施設の位置を表す情報(住所等)も入力可能になっているものとする。入力された住所は、例えばリスト管理部203が結果データに含めてサーバ装置10aに送信する。検査履歴蓄積部105は、検査結果に対応付けて検査対象の施設の位置情報を蓄積する。こうして施設の位置情報が記憶された後、検査端末20aが該当施設に接近したとする。
【0121】
検査端末20aの検査画像表示部201は、ユーザ操作により検査画像の表示を始めると、自端末の位置の測定を測位部206に要求する。測位部206は、検査画像表示部201からの要求を受け取ると、GPS(Global Positioning System)等の測位センサを用いて自端末の位置を測定する。測位部206は、測定した位置を示す位置データを生成してサーバ装置10aに送信する。
【0122】
サーバ装置10aの位置取得部107は、受け取った位置データを示す位置を、検査項目を表示させる検査端末20の位置として取得する。位置取得部107は本発明の「位置取得部」の一例である。位置取得部107は取得した位置を検査履歴蓄積部105に供給する。検査履歴蓄積部105は、蓄積している施設の位置情報から、供給された位置との距離が条件を満たすものを検索する。
【0123】
距離の条件は、例えば全ての施設で共通の閾値であるが、施設毎に定められた閾値であってもよい。検査履歴蓄積部105は、位置情報が条件を満たす位置情報が見つかった場合、その位置情報に対応付けて蓄積している施設の検査結果を検査画像生成部103に供給する。検査画像生成部103は、供給された検査結果が示す検査項目を一覧として表す検査リストを生成する。
【0124】
検査画像出力部104は、こうして生成された検査リスト、すなわち、位置取得部107により取得された検査端末20aの位置との距離が条件を満たす検査対象の施設の属性に対応付けられた検査項目を表した検査リストを検査端末20aに対して出力する。検査端末20aの検査画像表示部201は、出力されてきた検査リストを表示する。これにより、検査員が検査対象の施設の属性の指定や名称等の入力を行わなくても、検査対象の施設の近くで検査画像を表示させるだけで、その施設に合った検査リストを表示させることができる。
【0125】
[2−6]施設毎の項目抽出
項目記憶部101は、上記の各例とは異なる属性に対応付けて検査項目を記憶してもよい。項目記憶部101は、例えば、検査が行われる施設を識別する施設IDを区分名称とし、各施設の具体的な施設ID(「ID001」等)を属性として、その施設で必要な検査項目に対応付けて記憶してもよい。その場合、例えば施設独自の検査を行いたい事業者があった場合でも、その施設に合った検査項目を含む検査リストを出力することができる。
【0126】
[2−7]検査項目の検査員によるカスタマイズ
実施例では、検査項目自体は予め項目記憶部101に記憶されているものしか利用できなかったが、例えば検査員が他の検査員に伝えたい注意点等を示すコメントを付加した検査項目を追加できるようにしてもよい。
【0127】
ここでいうコメントの付加とは、例えば、検査項目を表す文章にコメントを含めることである。なお、検査項目の文章に含まれなくても、検査項目を補足することが明らかな態様(例えば検査項目を指し示す吹き出しにコメントを表す態様)でコメントを表示させることもコメントの付加に含まれるものとする。
図19A図19B図19C図19Dは検査項目へのコメント付加を説明するための図である。
【0128】
検査端末20の検査画像表示部201は、例えば、図19Aに表すように、NGボタンE1が操作された検査項目の表示欄にコメントの付加ボタンB5を表示する。付加ボタンB5を押す操作が行われると、検査画像表示部201は、図19Bに表すように、「検査項目に付加するコメントの入力」及び「コメント付き検査項目を表示する属性の指定」という文字列を含む付加画像G2を表示する。
【0129】
付加画像G2には、コメントの入力欄A11と、区分名称の指定欄A12と、属性の指定欄A13と、確定ボタンB6が含まれている。例えば検査員が特定の店舗(図19Aの例ではレストランU)で検査項目K5−4の検査の際に注意すべき点に気付いた場合、その注意点を入力欄A11に入力し、「施設ID」を区分名称として指定欄A12で指定し、その店舗の施設IDを指定欄A13で指定する。
【0130】
図19Bの状態で確定ボタンB6を押す操作が行われると、リスト管理部203は、検査結果テーブルにおいて、コメント付加の対象となった検査項目に対応付けて、入力された付加コメント及び指定された属性を格納する。検査履歴蓄積部105は、検査端末20から送信されてくる検査結果テーブルに付加コメント及び属性が格納されている場合、格納されている付加コメントを、検査画像出力部104により出力された検査リストに含まれる検査項目に対するコメントとして取得する。この場合の検査履歴蓄積部105は本発明の「コメント取得部」の一例である。
【0131】
検査履歴蓄積部105は、取得した付加コメント及び属性を付加対象の検査項目に対応付けて項目記憶部101に供給する。項目記憶部101は、供給された検査項目及び付加コメントからコメント付き検査項目を生成し、図19Cに表すように、コメント付き検査項目及び属性を互いに対応付けて記憶する。その際、項目記憶部101は、コメントが付加される前の検査項目については、図19Cに表すように、コメント付き検査項目に対応付けられた属性(この例では「ID005」)を除いた他の属性(この例では「ID005」以外の施設ID)に対応付けて記憶する。
【0132】
本変形例では、図6に表す操作画像において施設名及び属性が指定された場合に、検査画像生成部103が、指定された施設IDを格納する検査結果が検査履歴蓄積部105に蓄積されていても(つまり2回目以降の検査であっても)、項目抽出部102から供給される検査項目も用いて検査リストを生成する。図19の例において施設名としてレストランUが指定された場合であれば、コメント付き検査項目(図19Cに表す「K5−4(コメント付加)」)が抽出される。
【0133】
これにより、検査画像出力部104は、抽出されたコメント付き検査項目、すなわち、検査員によるコメントが付加された検査項目を含む検査リストを出力する。検査端末20の検査画像表示部201は、出力されてきた検査リストを図19Dに表すように表示する。この例では、「フード裏の汚れを見落としやすいので特に注意」というコメントが付加された検査項目K5−4が表示されている。
【0134】
なお、レストランUが指定されない場合は、「K5−4(コメント付加)」ではなく元の「K5−4」が抽出されるので、コメントが付加されていない通常の検査項目が表示されることになる。以上のとおりコメント付き検査項目を含む検査リストが出力されることで、例えば検査員が変わっても、過去に他の検査員により把握された注意事項を、コメント付加が行われない場合に比べて容易に引き継がせることができる。
【0135】
なお、上記の例では付加画像G2の指定欄A12及びA13において施設IDが属性として指定されたが、例えばグループが指定されてもよい。その場合、例えばあるグループの傘下の店舗には必ず設置されている設備の検査において注意すべき事項がある場合に、その注意事項を関係する検査員で共有することができる。
【0136】
また、上記の例ではコメントの入力と共に属性が指定されたが、属性が指定されなくてもよい。属性の指定がない場合は、元の検査項目はコメントが付加された新たな検査項目に更新されることになる。その場合でも、例えば検査員のコメントによって検査項目の内容を精査してより適切な表現にしてゆくことができる。
【0137】
[2−8]機械検査
各検査項目の検査を人ではなく機械(コンピュータ)が行ってもよい。その場合、サーバ装置は、例えば、写真を解析して食品衛生の検査を行う検査機能を備える。検査機能は、例えば、予め検査対象(場所、設備及び食品等)の様々な状態の写真を「OK」又は「NG」に対応付けて記憶しておく。
【0138】
そして、検査機能は、例えば検査履歴蓄積部105に蓄積されている検査結果に含まれる検査対象の写真を参照し、記憶している写真のうち算出される特徴量が検査対象の写真に類似するものを特定する。検査機能は、特定した写真が「OK」に対応付けられいれば「OK」と判断し、特定した写真が「NG」に対応付けられいれば「NG」と判断する。また、検査機能は、さらに、人が行った検査結果を参考にして、検査結果の判断方法を学習(いわゆる機械学習を)してもよい。
【0139】
検査機能は、機械学習の方法として、例えば、ニューラルネットワーク(Neural Network)、その階層をさらに深くした深層学習(Deep Learning)、SVM(Support Vector Machine)、クラスタ分析又はベイジアンネットワーク等の手法を用いる。また、検査機能は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)の技術が発展した際には、検査の判断方法を学習させた人工知能の技術を用いて検査結果を判断してもよい。
【0140】
なお、全ての検査項目を機械検査するのではなく、人と機械検査で検査項目を分担してもよい。また、機械検査がされた検査項目を人が確認して精査するようにしてもよく、そうすることで、検査員の検査の傾向を検査機能に学習させてもよい。いずれの場合でも、検査の現場で必要な画像を撮影したり従業者にヒアリングをしたりする作業は検査員が行わなければならないので、検査員は、他の作業の時間を確保するために検査機能を利用すればよい。
【0141】
[2−9]各機能を実現する装置
図4に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する機能を検査端末20が実現してもよい。その場合、検査端末20が本発明の「情報処理装置」の一例となり、検査端末20の検査画像出力部104が自装置の表示手段に検査リストを出力する。また、検査端末20が実現する機能の一部(例えば集計処理部205)をサーバ装置10が実現してもよい。
【0142】
また、反対に、サーバ装置10が実現する機能の一部(例えば項目抽出部102、検査画像生成部103及び検査画像出力部104)を検査端末20が実現してもよい。その場合、検査端末20は、サーバ装置10に記憶されている検査項目及び属性を取得して自装置のメモリに一時的に記憶させ、検査項目の抽出、検査リストの生成及び検査リストの出力を行う。この場合の検査端末20も本発明の「情報処理装置」の一例となる。
【0143】
また、サーバ装置10が実現する機能を2以上の装置で分担して実現してもよいし、検査端末20が実現する機能を2以上の装置で分担して実現してもよい。また、例えば上記の変形例では検査画像生成部103が、別の表示領域に表された検査項目への検査の結果を、共通の表示領域に表されたその検査項目への検査の結果として反映したが、この反映を行う反映部を別途設けてもよい。
【0144】
また、上記の変形例では検査画像生成部103及び検査画像出力部104が協働して写真入力がない検査項目をユーザに報知したが、この報知を行う報知部を別途設けてもよい。また、上記の変形例では検査履歴蓄積部105が検査端末の位置との距離が条件を満たす施設の位置情報を検索したが、この検索を行う検索部を別途設けてもよい。いずれの場合も、検査支援システム1の全体で図4に表す各機能が実現されていればよい。
【0145】
[2−10]発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置10及び検査端末20等の情報処理装置の他、各情報処理装置を備える情報処理システム(検査支援システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、各情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。本発明として捉えられるプログラムは、プログラムを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、ダウンロードしたプログラムをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【要約】
食品衛生管理のために必要な検査項目の利用を容易にすること。
項目記憶部101は、食品衛生に関する複数の検査項目を各々が関連する検査対象の複数の属性のいずれかに対応付けて記憶する。指定操作受付部202は、検査対象の属性を指定する指定操作を受け付ける。検査画像出力部104は、検査端末20への操作により指定された属性に対応付けられた検査項目を表した検査リストをその検査端末20に対して出力する。入力操作受付部204は、検査結果の入力操作を受け付ける。集計処理部205は、検査結果の集計処理を行う。リスト管理部203は、検査結果を示す結果データをサーバ装置10に送信する。検査履歴蓄積部105は、送信されてきた結果データが示す検査結果を検査の履歴として蓄積する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D