(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のパターンが形成された第1の被印刷物に版を用いて第2のパターンを形成するときに、前記第1のパターン及び前記第2のパターンの位置合せを行うための装置であって、
前記第1のパターンが形成されかつ前記第2のパターンがまだ形成されていない前記第1の被印刷物の全面をスキャンした全体画像である第1の画像、及び前記版により前記第2のパターンが形成された第2の被印刷物の全面をスキャンした全体画像であって、前記第2のパターンが識別可能な第2の画像を取得する画像取得部と、
前記第1の画像及び前記第2の画像のアライメント計算を行うアライメント処理部と、
前記アライメント計算の結果に基づいて前記第1の画像及び前記第2の画像を重ね合わせて、仮想の全面印刷結果画像を作成する印刷結果画像取得部と、
前記版を用いて前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するか否かを定める判定部と、
を備え、
前記判定部が、前記仮想の印刷結果画像に示された前記第1のパターン及び前記第2のパターンの位置関係に基づいて、前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するか否かを定めることを特徴とする、印刷用アライメント装置。
ラインカメラを更に備え、前記ラインカメラと被印刷物とを相対的に移動させながら撮影することにより、前記被印刷物の全体画像を取得することを特徴とする、請求項1に記載の印刷用アライメント装置。
前記判定部が前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成しないと定めたとき、前記仮想の印刷結果画像を用いて、前記第2のパターンを形成しないと定めた原因を報知する制御処理を行うことを特徴とする、請求項4または5に記載の印刷用アライメント装置。
前記判定部が所定回数以上繰り返して前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成しないと定めたとき、前記版または前記第1の被印刷物の交換の必要性を報知する制御処理を行うことを特徴とする、請求項4から6の何れか1項に記載の印刷用アライメント装置。
前記印刷部が、前記版を用いてパターンが形成されていない被印刷物に前記第2のパターンを形成して前記第2の被印刷物を形成し、前記画像取得部が、該第2の被印刷物の全体画像を撮影することにより前記第2の画像を取得することを特徴とする、請求項8に記載の印刷装置。
前記印刷部が、前記版を用いて、前記第1のパターンが形成されかつ前記第2のパターンがまだ形成されていない前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成したとき、
前記画像取得部が、前記第2のパターンが形成された被印刷物の全体画像を取得し、取得された前記全体画像から前記第2のパターンを識別することにより、次の前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するために用いる前記第2の画像を取得することを特徴とする、請求項8に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施態様1に係る印刷用アライメント装置では、第1のパターンが形成された第1の被印刷物に版を用いて第2のパターンを形成するときに、前記第1のパターン及び前記第2のパターンの位置合せを行うための装置であって、
前記第1のパターンが形成されかつ前記第2のパターンがまだ形成されていない前記第1の被印刷物の全体画像である第1の画像、及び前記版により前記第2のパターンが形成された第2の被印刷物の全体画像であって、前記第2のパターンが識別可能な第2の画像を取得する画像取得部と、
前記第1の画像及び前記第2の画像のアライメント計算を行うアライメント処理部と、
前記アライメント計算の結果に基づいて前記第1の画像及び前記第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成する印刷結果画像取得部と、を備える。
【0016】
ここで、被印刷物の材料としては、紙、布、木材、樹脂、金属をはじめとする印刷可能な任意の材料を適用可能であり、被印刷物の形状としては、シート状、平板状(例えば、基板)のものだけに限られず、円筒状のものをはじめとする曲面を有する任意の立体形状のものを被印刷物として用いることができる。また、第1のパターンには、第1の被印刷物に印刷されたパターン(図形、文字、模様等)や回路パターンだけでなく、ビアホールやアライメントマークをはじめとする第1の被印刷物に予め設けられた任意のものが含まれる。第2のパターンは、版を用いて形成されるものであり、パターンの形成方法としては、平板印刷(例えば「オフセット印刷」)、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷(例えば「スクリーン印刷」)を例示することができるが、これに限られるものではない。
画像取得部は、撮影や画像データからの抽出により、所定の画像を形成し、その画像データを記憶する装置である。この場合、画像取得部が、カメラやその付帯設備から構成される撮影装置を含む場合もあり得るし、撮影装置を含まない場合もあり得る。
【0017】
本実施態様によれば、第1のパターンが形成された被印刷物の全体画像(第1の画像)、及び版により第2のパターンが形成された被印刷物の全体画像であって、第2のパターンが識別可能な全体画像(第2の画像)を取得し、取得した第1の画像及び第2の画像のアライメント計算を行って、その結果に基づいて第1の画像及び第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成する。よって、この仮想の印刷結果画像を用いて、第1のパターン及び第2のパターンの位置ズレを検証して、実際の印刷を実行してよいか否かの判断や、アライメントの再調整を行ったりすることができる。
従って、本印刷を行ってパターンのズレのチェックをする必要がないので、高い精度を要する印刷や、伸縮変形する材料を用いる印刷においても、不良品を出さずに、版と被印刷物との間の最適なアライメントが可能となる。
【0018】
ここで、「版と被印刷物との間のアライメント」は、被印刷物上の適切な場所に版に設けられたパターンが形成されるように、被印刷物と版との間の位置調整を行うことを意味する。アライメントを取ることには、被印刷物を載置したテーブルや版を載置したテーブルを実際に動かして位置合わせを行う場合も含まれるし、本実施態様のように、画像上で被印刷物や版を動かして、仮想の位置合わせを行う場合も含まれる。
【0019】
本発明の実施態様2に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様1において、ラインカメラを更に備え、前記ラインカメラと被印刷物とを相対的に移動させながら撮影することにより、前記被印刷物の全体画像を取得する。
【0020】
ここで、ラインカメラは、撮影素子として一次元センサが備えられており、ラインカメラと被印刷物とを相対的に移動させながら撮影することにより、所望の2次元画像を撮影することができる。なお、必要な解像度に合わせて複数台のラインカメラを用いてもよい。高解像度画像を用いることで、アライメント計算を高精度化することができる。
【0021】
本実施態様では、ラインカメラを用いることにより、コンパクトな光学系で高い分解能が得られる。更に、撮影可能な被印刷物として、長手方向において任意の長さの被印刷物の撮影を行うことができ、形状もシート状や平板状の被印刷物だけでなく、円筒状の被印刷物や、巻き取られたロールから順次引き出された連続的な被印刷物の撮影も可能である。
また、ラインカメラを印刷後の被印刷物の検査にも用いる場合には、1台のラインカメラを様々な用途に利用できるので、装置のコストダウンを図ることができる。
【0022】
本発明の実施態様3に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様1または2において、前記仮想の印刷結果画像を含む所定の画像を表示するための表示部と、前記版を用いて前記第1の被印刷物に前記第2のパターンの形成を行うか否かを定める判定部と、を更に備え、前記判定部が、操作手段から送信された信号に基づいて、前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するか否かを定める。
【0023】
ここで、操作手段から送信される信号としては、スイッチ操作、キーボード操作、タッチパネルの操作等に基づいて送信される信号を例示できる。ただし、これに限られるものではなく、例えば、音声によりデータ入力した信号も含まれる。
本実施態様では、表示部により操作者が仮想の印刷結果画像を視認可能であり、判定部が、操作手段から送信された信号に基づいて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり本印刷を実行するかどうかを定めるので、仮想の印刷結果画像を用いて、不良品を出さずに確実に印刷の可否を定めることができる。
【0024】
本発明の実施態様4に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様1または2において、前記版を用いて前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するか否かを定める判定部を更に備え、
前記判定部が、前記仮想の印刷結果画像に示された前記第1のパターン及び前記第2のパターンの位置関係に基づいて、前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するか否かを定める。
【0025】
本実施態様では、判定部が、仮想の印刷結果画像に示された第1のパターン及び第2のパターンの位置関係に基づいて、所定のアルゴリズム等を用いて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり本印刷を実行するかどうかを定めるので、不良品を出さずに確実に印刷の可否を定めることができる。
【0026】
本発明の実施態様5に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様3または4において、前記判定部が前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成すると定めたとき、前記アライメント計算の結果に基づくデータ及び印刷指令信号を出力する制御処理を行う。
ここで、アライメント計算の結果に基づくデータとは、アライメント計算によって得られた、第1のパターン及び第2のパターンの位置のズレを補正するための制御データである。例えば、位置のズレを補正するための版や被印刷物の移動量(例えば、平行移動や回転移動の量)の情報を含み、更に詳細には、版や被印刷物が載置されたテーブルを所定量移動させるための制御データとすることができる。印刷用アライメント装置の制御部は、記憶手段に記憶されたアライメント計算の結果に基づくデータを読み出して、印刷指令信号と共に外部へ送信することができる。
【0027】
本実施態様によれば、判定部が第1の被印刷物に第2のパターンを形成すると定めたとき、アライメント計算の結果に基づくデータ及び印刷指令信号を出力するので、印刷機構を用いて、不良品を出さずに確実に実際の印刷を実施することができる。
【0028】
本発明の実施態様6に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様3から5の何れかにおいて、前記判定部が前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成しないと定めたとき、前記アライメント処理部が、前記第1の画像及び前記第2の画像を用いて、アライメント再計算を行い、前記印刷結果画像取得部が、前記アライメント再計算の結果に基づいて前記第1の画像及び前記第2の画像を重ね合わせて、新たな前記仮想の印刷結果画像を作成する。
【0029】
本実施態様によれば、判定部が第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと定めたとき、再び、第1の画像及び第2の画像を用いて、アライメント再計算を行って、新たな仮想の印刷結果画像を作成する。よって、本印刷を実行する前に何度でも再アライメントが可能であり、高い精度を要する印刷や、伸縮変形する材料を用いる印刷においても、不良品を出さずに確実に最適なアライメントが可能である。
【0030】
本発明の実施態様7に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様6において、前記判定部が前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成しないと定めたとき、警告報知のための制御処理を行う。
【0031】
ここで、警告報知のための制御処理としては、警告音をはじめとする音声を用いた報知や、表示装置に警告を示す等の画像を用いた報知や、振動等を発生させて行う報知が考えられるがこれに限られるものではない。
【0032】
本実施態様によれば、判定部が第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと定めたとき、警告報知のための制御処理を行うので、間違って実際の印刷が行われて、不良品が生じる等の不具合が生じることを未然に防ぐことができる。
【0033】
本発明の実施態様8に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様6または7において、前記判定部が前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成しないと定めたとき、前記仮想の印刷結果画像を用いて、前記第2のパターンを形成しないと定めた原因を報知する制御処理を行う。
【0034】
本実施態様によれば、判定部が第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと定めたとき、仮想の印刷結果画像を用いて、第2のパターンを形成しないと定めた原因を報知する制御処理を行うので、例えば、アライメント再計算や次の印刷時において、アライメント計算のための的確なパラメータの選択に役立てることができる。
【0035】
本発明の実施態様9に係る印刷用アライメント装置は、上記の実施態様6から8の何れかにおいて、前記判定部が所定回数以上繰り返して前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成しないと定めたとき、前記版または前記第1の被印刷物の交換の必要性を報知する制御処理を行う。
【0036】
判定部が所定回数以上繰り返して第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと定めたとき、つまり繰り返しアライメントの再計算を行っても、印刷可能なアライメントが実現できない場合には、版が消耗、損傷している場合や、第1の被印刷物の変形(例えば、一部が伸びたり、そりが生じたり、波うちが生じる等)が生じている場合が推定される。よって、本実施態様においては、版または第1の被印刷物の交換の必要性を報知する制御処理を行って、的確な対処が行われるようにすることができる。
【0037】
本発明の実施態様10に係る印刷装置では、上記の実施態様1から9の何れかの印刷用アライメント装置と、
前記印刷用アライメント装置からの出力信号に基づいて、前記版を用いて被印刷物に所定のパターンを形成する印刷部と、を備えている。
【0038】
本実施態様によれば、上記の印刷用アライメント装置を備えているので、高い精度を要する印刷や、伸縮変形する材料を用いる印刷においても、不良品を出さずに、版と被印刷物との間の最適なアライメントが可能となる。
【0039】
本発明の実施態様11に係る印刷装置は、上記の実施態様10において、前記印刷部が、前記版を用いてパターンが形成されていない被印刷物に前記第2のパターンを形成して前記第2の被印刷物を形成し、前記画像取得部が、該第2の被印刷物の全体画像を撮影することにより前記第2の画像を取得する。
【0040】
本実施態様によれば、パターンが形成されていないブランクの被印刷物に対して第2のパターンの試し刷りを行い、この試し刷り結果から第2の画像を取得するので、シンプルな方法で確実に第2の画像を得ることができる。
【0041】
本発明の実施態様12に係る印刷装置は、上記の実施態様11において、新たな前記版を用いた印刷を開始するとき(版替え時)に、前記第2の画像を取得する。
【0042】
本実施態様によれば、新たな版を用いた印刷を開始するときに第2の画像を取得する。よって、その後、新たな第1の被印刷物に第2のパターン形成するとき、第2の画像を取得する工程は省略できるので、効率的な印刷を行うことができる。
【0043】
本発明の実施態様13に係る印刷装置は、上記の実施態様10において、前記印刷部が、前記版を用いて、前記第1のパターンが形成されかつ前記第2のパターンがまだ形成されていない前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成したとき、
前記画像取得部が、前記第2のパターンが形成された被印刷物の全体画像を取得し、取得された前記全体画像から前記第2のパターンを識別することにより、次の前記第1の被印刷物に前記第2のパターンを形成するために用いる前記第2の画像を取得する。
【0044】
本実施態様によれば、画像取得部により取得された第2のパターンが形成された被印刷物の全体画像、つまり実際の印刷で第1のパターン上に第2のパターンが形成された被印刷物の全体画像を用いて、そこから第2のパターンを識別して、次の印刷のための第2の画像を取得することができるので、不良品を出さない効率的な印刷を実現できる。特に、直近の版の状態を反映した第2の画像が取得できるので、同じ版で多くの印刷を行っても、パターンのズレの問題が生じずに印刷を継続できる。
【0045】
本発明の実施態様に係る印刷用アライメント方法は、第1のパターンが形成された被印刷物に版を用いて第2のパターンを形成するときに、前記第1のパターン及び前記第2のパターンの位置合せを行うための方法であって、
前記版を用いて、パターンが形成されていない被印刷物または前記第1のパターンが形成されかつ前記第2のパターンがまだ形成されていない被印刷物に、前記第2のパターンを形成して第2の被印刷物を形成するステップ1Aと、
前記版により前記第2のパターンが形成された前記第2の被印刷物の全体画像であって、前記第2のパターンが識別可能な第2の画像を取得するステップ1Bと、
前記第1のパターンが形成されかつ前記第2のパターンがまだ形成されていない第1の被印刷物の全体画像である第1の画像を取得するステップ2と、
前記第1の画像及び前記第2の画像のアライメント計算を行うステップ3と、
前記アライメント計算の結果に基づいて前記第1の画像及び前記第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成するステップ4と、を含む。
【0046】
本実施態様によれば、本印刷を行ってパターンのズレのチェックをする必要がないので、高い精度を要する印刷や、伸縮変形する材料を用いる印刷においても、不良品を出さずに、版と被印刷物との間の最適なアライメントが可能となる。
次に、本発明の実施形態に係る印刷用アライメント装置、及びこのアライメント装置を備えた印刷装置、並びに印刷用アライメント方法について、図面を用いながら詳細に説明する。
【0047】
(印刷装置の説明)
始めに
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る印刷用アライメント装置を備えた印刷装置の概要を説明する。
図1は、印刷装置の全体構造を示す斜視図である。本実施形態では、スクリーン印刷機を例にとって説明するが、これに限られるものではなく、平板印刷(例えば「オフセット印刷」)、凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷以外の孔版印刷をはじめとするその他の任意の印刷技術を用いることができる。
【0048】
図1に示す印刷装置4は、本体42の内部に制御装置(図示せず)を備え、印刷用アライメント装置は、主にこの制御装置、ラインカメラ16、表示装置18、アライメントテーブル搬送機構14等により構成される。本実施形態においては、印刷用アライメント装置は、印刷装置4から独立した個別の装置ではなく、印刷装置4に含まれる装置として示される。印刷用アライメント装置の構成については、
図3の制御ブロック図を用いて追って詳細に述べる。
図1において、印刷装置4の構造体としては、下側の箱状の本体42及びその上側に伸びたフレーム部44から構成されている。この本体42の上面に、アライメントテーブル搬送機構14により、セット位置及び印刷位置の間を移動するアライメントテーブル12が備えられている。このアライメントテーブル12は多軸アライメントテーブルであり、ワーク載置部12Aが、互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動可能であり、θ角方向にも回転可能になっている。更に、ワーク載置部12Aが、上下方向(Z軸方向)にも移動可能になっている。
【0049】
アライメントテーブル12がセット位置にいるときに、手動またはワーク取付/取外し装置により、ワーク(被印刷物)50をアライメントテーブル12のワーク載置部12Aの上にセットする。ワーク(被印刷物)50は、ワーク載置部12Aの上の所定の位置に位置決めされてセットされる。例えば、ワーク(被印刷物50)の端部を、ワーク載置部12Aの位置決め突起部に当接させることにより位置決めを行ったり、ワーク載置部12Aに備えられたセンタリング機構で、ワーク(被印刷物50)を所定のセンター位置に配置することもできる。更に、ワーク(被印刷物)50及びワーク載置部12Aに示されたマーキングを重ね合わせて、位置決めをすることもできる。例えば、ワーク(被印刷物)50の四隅のアライメントマークを使って位置合わせをしてもよい。このとき、セット位置上方に備えられた、アライメントカメラ52を用いることができる。なお、このアライメントカメラ52は、撮影素子が二次元に並んだエリアカメラを用いている。
【0050】
このようなワーク載置部12Aは、上述のように、X、Y、θ方向に移動可能であるが、各々の値が初期値になった初期状態からどれだけ移動したか、正確に移動量を検出できるようになっている。また、ワーク載置部12Aの上下方向(Z軸方向)の移動も、ワーク載置部12Aの位置が正確に把握できるようになっている。
このワーク載置部12AのX、Y、θ及びZ方向の移動には、サーボモータ、リニアモータをはじめとする任意のアクチュエータを用いることができる。また、アライメントテーブル12を、セット位置及び印刷位置の間を移動するアライメントテーブル搬送機構14についても、電動モータ、サーボモータ、リニアモータをはじめとする任意のアクチュエータを用いて駆動することができる。
【0051】
本実施形態に係る印刷装置4では、セット位置及び印刷位置の中間位置の上方に、ラインカメラ16が備えられている。ラインカメラ16は、撮影素子として一次元センサが備えられており、本実施形態では、アライメントテーブル搬送機構14によって、ワーク(被印刷物)50を載置したアライメントテーブル12がX軸方向に移動することにより、ワーク(被印刷物)50の全体画像を撮影することができる。つまり、ラインカメラ16とワーク(被印刷物)50とを相対的に移動させながら撮影することにより、所望の二次元画像を撮影することができる。
例えば、ワーク(被印刷物)50が載置されたアライメントテーブル12が、セット位置から印刷位置に移動するとき、予めパターン(例えば「第1のパターン」)が形成されたワーク(被印刷物)50の全体画像を撮影することができる。また、印刷位置でワーク(被印刷物)50にパターン(例えば「第2のパターン」)が形成された後、ワーク(被印刷物)50が載置されたアライメントテーブル12が、印刷位置からセット位置に移動するときに、実際の印刷によりパターン(第2のパターン)が形成されたワーク(被印刷物)50の全体画像を撮影することができる。
【0052】
印刷位置のアライメントテーブル12の上方には、印刷機構10が備えられている。本実施形態では、印刷機構10は、版6がセットされる版保持テーブル(図示せず)と、版の上面を摺動するスキージ8と、必要に応じて、インクや半田ペーストの供給機構と、を有する。
アライメントテーブル12がアライメントテーブル搬送機構14によりセット位置から印刷位置に移動したとき、ワーク載置部12Aが上方(Z方向)に移動して、ワーク(被印刷物)50が版6の直下の印刷ポジションにセットされる。その後、スキージ8が版6の上面に接しながら動くことにより、版6の上面のインクや半田ペーストが描画部分(目止めされていない孔)から押し出されて、ワーク(被印刷物)50に定着する。これにより、版6に設けられたパターンがワーク(被印刷物)50に形成されて、印刷が行われる。
ここで、スキージ8は、例えば、リニアモータにより駆動することができる。版6がセットされる版保持テーブルは、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aと同様に、X、Y及びθ方向にも移動可能にすることもできる。
【0053】
なお、版6は、版保持テーブルの所定の位置に位置決めされてセットされる。例えば、版6の端部を、版保持テーブルの位置決め突起部に当接させることにより位置決めを行ったり、版保持テーブルに備えられたセンタリング機構で、版6を所定のセンター位置に配置することもできる。更に、版6及び版保持テーブルに示されたマーキングを重ね合わせて、位置決めをすることもできる。例えば、版6の四隅のアライメントマークを使って位置合わせをしても良い。
以上のように、印刷位置において、版保持テーブルの所定の位置にセットされた版6と、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aの所定の位置にセットされたワーク(被印刷物)50と間の相対的な位置関係は、制御装置により正確に把握される。よって、この相対的な位置関係に基づいて、ワーク載置部12AをX、Y及びθ方向に移動させて、版6とワーク(被印刷物)50との間のアライメントを取ることができる。
【0054】
また、印刷装置4には表示装置18が備えられており、例えば、ラインカメラ16で撮影したワーク(被印刷物)50の全体像を表示することができる。よって、印刷位置で印刷が行われたワーク(被印刷物)50が、印刷位置からセット位置へ戻るときに、ラインカメラ16により撮影したワーク(被印刷物)50の全体画像を表示することにより、操作者が印刷結果を確認して検査することができる。なお、表示装置18としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイをはじめとする任意の表示装置や、通信手段で接続した外部のパソコン等を用いることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る印刷装置4において、セット位置において、アライメントテーブル12にワーク(被印刷物)50をセットし、印刷位置において、版保持テーブルに版6をセットする。そして、アライメントテーブル搬送機構14により、アライメントテーブル12を印刷位置に移動し、版6とワーク(被印刷物)50との間のアライメント計算の計算結果に基づいて、アライメントテーブル12のワーク載置部12AがX、Y及びθ方向に動く。そして、ワーク載置部12Aが上方に移動して、ワーク載置部12Aに載置されたワーク(被印刷物)50が版6の直下にセットされる。そして、スキージ8が動いて印刷が行われる。その後、ワーク載置部12Aが下方に移動し、アライメントテーブル搬送機構14により、アライメントテーブル12が印刷位置からセット位置に移動し、セット位置でワーク載置部12Aからワーク(被印刷物)50が取り外されて、1つのワーク(被印刷物)50の印刷が終了する。また、ワーク(被印刷物)50が載置されたアライメントテーブル12が、ラインカメラ16の位置を通過するときに、印刷前または印刷後のワーク(被印刷物)の全体画像を撮影することができる。
【0056】
(アライメントの説明)
次に、従来から実施されているアライメントについて、
図2A〜2Dを用いて説明する。ここでは、ワーク載置部12AをX、Y及びθ方向に動かして、版6とワーク(被印刷物)50との間のアライメントを取る一例を示している。
図2A〜2Dは、印刷のためにアライメント計算を行って、それに応じてアライメントテーブルを移動する一例を示す図であり、
図2Aは、ワーク及びアライメントテーブルを示す模式図であり、
図2Bは、ワーク基準位置及びテーブル座標を登録するところを示す模式図であり、
図2Cは、ワーク基準位置のズレ量を算出するところを示す模式図であり、
図2Dは、ワーク基準位置のズレ量を用いてアライメント計算を行って、アライメントテーブルを動かすところを示す模式図である。
【0057】
図2Aにおいて、基準位置A及び基準位置Bは、例えば、2つのアライメントカメラ52の光軸の位置(レンズの中心点)である。また、基準位置A及び基準位置Bと印刷位置に設置された版6の位置との間で、所定の対応関係を有している。ワーク(被印刷物)50の対角コーナー部には、2つのワーク基準位置1及び2(ワーク内の任意の位置に設けた「アライメントマーク」でもよい)が設けられている。なお、2点の位置を定めれば、平面上のワーク(被印刷物)50の位置が確定する。図の右側には、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aの平面図を示し、アライメントのためにワーク載置部12Aが移動する方向である、X軸方向、Y軸方向及びθ角方向が示されている。
【0058】
図2Bでは、上述のワーク(被印刷物)50のワーク基準位置1及び2を画像処理エリア上に登録する。次に、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aの座標であるアライメントテーブル座標を登録する。基本的に、△X=0、△Y=0、△θ=0の初期状態におけるワーク載置部12Aの座標が登録される。
なお、「登録する」とは、制御装置の記憶手段にデータを保管することを意味し、登録においては、操作者が値をインプットして登録することもできるし、アライメントカメラ52で撮影された画像の処理により位置情報を登録することもできる。例えば、ティーチングした位置に基づくパターンマッチングで、所定の位置情報を登録することができる。
【0059】
図2Cでは、アライメントカメラ52の撮影位置に対応した基準位置Aと、登録されたワーク(被印刷物)50のワーク基準位置1との間のズレ量△A、及び基準位置Bと、登録されたワーク(被印刷物)50のワーク基準位置2との間のズレ量△Bを算出するところを示す。なお、予め設定した基準位置A及びBの代わりに、版6に設けられた基準位置を登録して、登録された位置に基づいて算出された位置と、ワーク(被印刷物)50のワーク基準位置1及び2との間のズレ量を算出することもできる。
次に、
図2Dでは、これらのズレ量の合計が最も小さくなるようにアライメント計算し、そのアライメント計算の結果に基づいて、ワーク載置部12AをX、Y及びθ方向に移動させて、アライメントを行うところを示す。具体的には、ワーク(被印刷物)50のワーク基準位置1と基準位置Aとの間のズレ量△A(△Ax、△Ay)、及びワーク(被印刷物)50のワーク基準位置2と基準位置Bとの間のズレ量△B(△Bx、△By)が最小となるように、ワーク載置部12Aを移動させる。例えば、(△Ax+△Ay)+(△Bx+△By)→0となる座標へ、ワーク載置部12Aを移動させる。
【0060】
以上のようにして、実際に版6とワーク(被印刷物)50との間のアライメントが実現できる。仮に、ワーク(被印刷物)50に予め第1のパターンが形成され、版6に第2のパターンが設けられている場合に、上記アライメント方法で第1のパターンと第2のパターンの版合わせを行ったとする。ワーク(被印刷物)50も版6も変形が極めて小さい場合には、ワーク基準位置1、2及び基準位置A、Bに基づくアライメント計算で、第1のパターンと第2のパターンとの間のズレが許容範囲内となり、実際に印刷を行っても問題は生じない。
しかし、ワーク(被印刷物)50が伸縮変形する材料(例えば、紙、樹脂フィルムのような、伸び、そり、波打ち等が生じる材料)の場合や、何度も使用したため版6が変形している場合には、版6に設けられたパターン(第2のパターン)と、予めワーク(被印刷物)50に形成されているパターン(第1のパターン)とが一致せず、実際に印刷を行うとパターンの位置ズレが許容範囲を超えて、不良品が生じる場合がある。特に、回路基板のような高い印刷精度を要する場合には、ワーク(被印刷物)50や版6のわずかな変形も問題になる。
【0061】
(アライメント装置及び印刷装置の制御的構成の説明)
そこで、本発明の一実施形態に係る印刷装置では、
図3の制御ブロック図に示すようなアライメント装置を備える。
図3に示す印刷装置4は、アライメント装置2及び印刷部40から構成されているが、機械的な構造は、
図1に示す印刷装置4と同様である。
<アライメント装置の説明>
アライメント装置2は、第1のパターンが形成された第1のワーク(第1の被印刷物)に、第2のパターンが設けられた版6を用いて第2のパターンを形成するときに、第1のパターン及び第2のパターンの位置合せを行うための装置である。アライメント装置2では、アライメントマーク等だけでなく、ワーク(被印刷物)に形成されるパターンを用いて位置合せを行うことができる。
図3に示すように、アライメント装置2は、制御装置20と、ラインカメラ16と、アライメントカメラ52と、表示装置18とを備える。また、ラインカメラ16を用いてワーク(被印刷物)の全体画像を撮影する場合には、アライメントテーブル搬送機構14も用いるため、アライメントテーブル搬送機構14もアライメント装置2の一部と言うことができる。なお、ラインカメラ16や表示装置18は、アライメント装置2だけでなく、印刷装置4のその他の用途にも用いられる。
【0062】
アライメント装置2の制御装置20は、ラインカメラ16及びアライメントテーブル搬送機構14を用いて、第1のパターンが形成されかつ第2のパターンがまだ形成されていない第1のワーク(第1の被印刷物)の全体画像である第1の画像、及び版6により第2のパターンが形成された第2のワーク(第2の被印刷物)の全体画像であって、第2のパターンが識別可能な第2の画像を取得する画像取得部22を備える。
例えば、第2のパターンが設けられた版6を新たに用いる場合に、一度だけ、何もパターンが形成されていないブランクのワーク(被印刷物)に試し刷りを行って、第2のパターンが形成されたワーク(被印刷物)の全体画像を取得して、第2の画像を取得することが考えられる。また、第1の画像については、第1のパターンが形成されかつ第2のパターンがまだ形成されていない第1のワーク(第1の被印刷物)の1つ1つを印刷するたびに、第1の画像を取得することが考えられる。
【0063】
更に、制御装置20は、第1の画像及び第2の画像のアライメント計算を行うアライメント処理部24と、アライメント計算の結果に基づいて第1の画像及び第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成する印刷結果画像取得部26とを備える。
ここで第1の画像または第2の画像を取得するとは、撮影を行って、画像データを制御装置20内の記憶手段に保管することを意味する。よって、保管した画像データを記憶手段から読み出して、その後の制御処理に用いることができる。ワーク(被印刷物)の全体画像は、上述のように、ラインカメラ16及びアライメントテーブル搬送機構14を用いて取得することができる。
なお、
図3に示す画像取得部22は制御装置20の一部を構成する制御手段であって、ラインカメラ16やアライメントカメラ52のようなカメラや、テーブル搬送機構14のような付帯設備から構成される撮影装置を含まない。ただし、これに限られるものではなく、画像取得部22が撮影装置を含む場合もあり得る。
【0064】
図1に示すセット位置において、ワーク(被印刷物)を、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aの所定の位置にセットし、版6を、版保持テーブルの所定に位置にセットし、ワーク(被印刷物)のワーク基準位置及びワーク載置部12Aのテーブル座標をアライメント装置2に登録したとき、アライメント装置2が第1の画像及び第2の画像のアライメント計算を行うことができる。このアライメント計算は、
図2A〜
図2Dに示すような、ワーク(被印刷物)50に設けられたワーク基準位置(「アライメントマーク」でもよい)を用いて行うこともできるし、後述するように、ワーク(被印刷物)50に形成されたパターンを用いて行うこともできる。
【0065】
ワーク基準位置を用いたアライメント計算としては、コーナー部に位置するワーク基準位置1及び2を用いたアライメント計算を挙げることができる。1つの方法は、
図2Cに示す場合と同様に、ワーク(被印刷物)のワーク基準位置1及び2と、予め定められた基準位置A及びBとの間のズレ量△A及び△Bを算出し、ズレ量の合計が最も小さくなる、つまり、△A+△B→0となるように、アライメント量(つまりX、Y及びθ方向の移動量)を計算する。
またはワーク(被印刷物)のワーク基準位置1及び2と、版の基準位置(計算で求められるテーブル上の座標位置)との間のズレ量△A及び△Bを算出し、ズレ量の合計が最も小さくなる、つまり、△A+△B→0となるように、アライメント量(つまりX、Y及びθ方向の移動量)を計算する。
ただし、アライメント装置2は、実際に版6を用いて試し刷りを行い、第2のパターンが形成された第2のワーク(第2の被印刷物)の全体画像である第2の画像を取得しているので、第1のワーク(第1の被印刷物)のワーク基準位置と、第2のワーク(第2の被印刷物)のワーク基準位置との間のズレ量△を算出することもできる。この場合には、実際の版6の状態に即したより正確なアライメントが実現できる。よって、この場合にも、第1のワーク(第1の被印刷物)の基準位置及び第2のワーク(第2の被印刷物)の基準位置のズレ量が最も小さくなる、つまり、△A+△B→0となるように、アライメント量(つまりX、Y及びθ方向の移動量)を計算する。
なお、
図5及び
図6を用いて後述するように、ワーク(被印刷物)のワーク基準位置ではなく、実際にワーク(被印刷物)に形成されたパターンまたはその一部を用いて、ズレ量を算出してアライメント計算を行うこともできる。
【0066】
このとき、従来の版合わせでは
図2Dに示すように、実際にワーク載置部12Aを移動させているが、本実施形態では、画像上で仮想的にワーク載置部12Aを移動する仮想の版合わせを行う。アライメント計算の結果に基づいて、印刷結果画像取得部26により、アフィン変換等を用いて、第1の画像をX、Y及びθ角方向に移動させた画像データを作成し、これに第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成し記憶手段に保管する。
つまり、アライメント装置2を用いることにより、アライメント計算の結果に基づいて、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aを実際に移動させて、印刷機構10を用いて実際に印刷を行った場合(本印刷)と同様の印刷結果を、画像上で得ることができる。
【0067】
アライメント装置2の制御装置20は、この仮想の印刷結果画像を、表示装置18に表示するための制御処理を行う表示部30を備える。更に詳細に述べれば、制御装置20の記憶手段に保管された仮想の印刷結果画像の画像データを読み出して、この画像データを表示用駆動部に送信することにより、表示装置18に表示することができる。これにより、操作者は、仮想の印刷結果画像を視認可能であり、目視で第1のパターン及び第2のパターンの位置ズレを確認することができる。
制御装置20は、版6を用いて第1の被印刷物に第2のパターンの形成を行うか否か、つまり実際に印刷を行うか否かを定める判定処理を行う判定部28を備える。この判定処理は、マニュアルモードの判定処理とオートモードの判定処理とがある。
【0068】
マニュアルモードでは、操作者が、表示装置18に表示された仮想の印刷結果画像を見て、第1のパターン及び第2のパターンの位置ズレを確認し、これに基づいて、実際に印刷を行うか否かの情報を、操作手段を用いてアライメント装置2にインプットする。操作手段の操作としては、スイッチ操作、キーボード操作、タッチパネルの操作を例示できるが、これに限られるものではなく、音声を用いてインプットすることもできる。
このマニュアルモードの判定処理については、
図5及び
図6を用いて追って詳細に説明する。なお、第1の被印刷物に第2のパターンを形成すると判別したときには、以下の印刷部40の説明に示すように、本印刷を実行し、第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと判別したときには、アライメント計算をやり直す制御処理を行う。この制御処理については、
図4を用いて追って詳細に説明する、
【0069】
一方、オートモードでは、判定部28が、記憶手段から読み出された仮想の印刷結果画像の画像データを用いて、画像処理により得られた第1のパターン及び第2のパターンの位置関係に基づいて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり実際に印刷を行うか否か定める制御処理を行う。このオートモードの判定処理については、
図5及び
図6を用いて追って詳細に説明する。なお、第1の被印刷物に第2のパターンを形成すると判別したときには、以下の印刷部40の説明に示すように、本印刷を実行し、第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと判別したときには、アライメント計算をやり直す制御処理を行う。この制御処理については、
図4を用いて追って詳細に説明する、
【0070】
<印刷部の説明>
印刷部40は、主に、印刷制御部60と、印刷制御部60からの信号に基づいて作動する印刷機構10、アライメントテーブル12及びアライメントテーブル搬送機構14を備える。なお、印刷制御部60には、その他のアクチュエータやセンサも接続されているが、ここでは説明を省略する。
アライメント装置2の制御装置20の判定部28により、第1の被印刷物に第2のパターンを形成する、つまり実際に印刷を行うと判断されたとき、アライメント処理部24により算出されたアライメント計算の結果に基づくデータ及び印刷指令信号が、アライメント装置2の制御装置20から印刷部40の印刷制御部60に送信される。ここで、アライメント計算の結果に基づくデータとは、アライメント計算によって得られた、第1のパターン及び第2のパターンの位置のズレを補正するための制御データである。例えば、位置のズレを補正するための版や被印刷物の移動量(例えば、平行移動や回転移動の量)の情報を含む。更に詳細に述べれば、アライメント計算の結果に基づくデータとして、版6やワーク(被印刷物)50が載置されたテーブルを所定量移動させるための制御データ(例えば、△X、△Y、△θ)とすることができる。
印刷用アライメント装置2の制御装置20は、記憶手段に記憶されたアライメント計算の結果に基づくデータを読み出して、印刷指令信号と共に印刷部40の印刷制御部60に送信する。なお、なお、アライメント装置2の制御装置20及び印刷部40の印刷制御部60の間の信号の送受信は、各々の制御装置に設けられた送信手段、受信手段によって実施される。
【0071】
アライメント装置2の制御装置20から受信した信号に基づき、印刷制御部60から信号が送信され、アライメントテーブル搬送機構14によりアライメントテーブル12がセット位置から印刷位置に移動する(印刷指令信号を受信する前に、既に印刷位置に移動している場合もあり得る)。そして、アライメント計算の結果に基づいて、アライメントテーブル12のワーク載置部12AがX、Y、θ方向に移動して、実際のアライメントを行い、更にワーク載置部12Aが上昇して(Z軸方向の移動)、版6直下の印刷ポジションにセットされる。そして、印刷機構10のスキージ8が移動して、第1の被印刷物に第2のパターンが形成される。つまり、実際に印刷(本印刷)が行われる。
その後、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aが下降し(Z軸方向の移動)、アライメントテーブル搬送機構14により、アライメントテーブル12が印刷位置からセット位置に移動する。その後、手動またはワーク取出/取外し装置により、第2のパターンが形成されたワーク(被印刷物)が取り出されて、次のワーク(被印刷物)の印刷のための処理が開始される。
【0072】
(印刷用アライメント方法及び印刷方法の説明)
次に、
図4を用いて、
図3に示すアライメント装置2を用いたアライメント方法及び印刷方法の説明を行う。
図4に示す印刷用アライメント方法及び印刷方法では、ワーク(被印刷物)として、PETフィルムまたはポリイミドフィルムの基板を用いて、スクリーン印刷で印刷を行う場合を例にとって説明する。
図4で用いる印刷装置4は、
図1及び
図3に示すように、アライメント装置2、スキージ8を含む印刷機構10、多軸のアライメントテーブル(X、Y、θ、Z方向の移動可能)12、ラインカメラ16、表示装置18等を含む。
【0073】
<ステップ1の説明>
始めに、
図4の左上に示す工程a(ステップ1A)及び工程b(ステップ1B)で構成されるステップ1を説明する。本実施形態では、ステップ1(工程a〜b)は、原則として、新しい版6に替えたときに1回だけ、アライメント装置2の画像取得部22によって実施される。まず、a「何もパターンが形成されていないブランクの基板に、第2のパターンの試し刷りを行う工程」を実施する。つまり、次の版である第2のパターンが設けられた版6を用いて、パターンが形成されていないワーク(被印刷物)に第2のパターンを形成して第2のワーク(第2の被印刷物)を得るステップ1Aを行う。
【0074】
更に詳細に述べれば、ブランクのワーク(被印刷物)をアライメントテーブル12のワーク載置部12Aにセットする。このとき、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aは、X=0、Y=0、θ=0の初期状態になっており、上述と同様の方法で、ワーク(被印刷物)をワーク載置部12Aの所定に位置に位置決めしてセットする。また、第2のパターンが設けられた版6を版保持テーブルの所定に位置にセットし、実際に試し刷りをして、ブランクのワーク(被印刷物)に第2のパターンを形成して、第2のワーク(第2の被印刷物)を得る。
このとき、版6もブランクのワーク(被印刷物)も変形が生じていない場合には、アライメントテーブル12が初期状態で試し刷りを行うことができる。
版6またはブランクのワーク(被印刷物)に多少の変形がある場合には、必要に応じて、
図2A〜2Dに示すようなアライメントを行った後に試し刷りを行うこともできる。この場合には、アライメントテーブル12は初期状態でなく、X、Y及びθの少なくとも1つが0以外の値となっている。なお、初期状態であるか否かに関わらず、X、Y及びθの値が、制御装置20の記憶手段に記憶される。このX、Y及びθのデータを、以下の説明ではテーブル位置P2と称する。
【0075】
次に、b「第2のワーク(第2の被印刷物)を全面スキャンする工程」を実施する。つまり、テーブル位置P2における、版により第2のパターンが形成された第2のワーク(第2の被印刷物)の全体画像である、第2の画像を撮影して、その画像データを記憶手段に保管する(つまり、第2の画像を取得する)ステップ1Bを行う。
以上のように、何もパターンの形成されていないブランク基板に、第2のパターンを形成するので、第2の画像では第2のパターンが識別可能になっている。
【0076】
<ステップ2の説明>
次に、
図4の左下に示す工程c(ステップ2A)及び工程d(ステップ2B)で構成されるステップ2を説明する。本実施形態では、ステップ2(工程c〜d)はアライメント装置2の画像取得部22によって実施され、原則として、新しい第1のワーク(第1の被印刷物)を印刷するたびに行う。まず、c「第1のパターンを印刷済みの基板をセットする工程」を実施する。つまり、第1のパターンが形成されかつ第2のパターンがまだ形成されていない第1のワーク(第1の被印刷物)をセットするステップ2Aを行う。このとき、ステップ1Aと同様に、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aは、X=0、Y=0、θ=0の初期状態になっており、上述と同様の方法で、ワーク(被印刷物)をワーク載置部12Aの所定の位置に位置決めしてセットする。
ただし、必要に応じて、
図2A〜2Dに示すようなアライメントを行うこともできる。この場合には、アライメントテーブル12は初期状態でなく、X、Y及びθの少なくとも1つが0以外の値となっている。なお、初期状態であるか否かに関わらず、X、Y及びθの値が、制御装置20の記憶手段に記憶される。このX、Y及びθのデータを、以下の説明ではテーブル位置P1と称する。
【0077】
次に、d「セットされた第1のワーク(第1の被印刷物)を全面スキャンする工程」を実施する。つまり、テーブル位置P1における、第1のパターンが予め形成された第1のワーク(第1の被印刷物)の全体画像である、第1の画像を撮影して、その画像データを記憶手段に保管する(つまり、第1の画像を取得する)ステップ2Bを行う。
【0078】
<ステップ3の説明>
次に、e「記憶手段から第1の画像の画像データ及び第2の画像の画像データを読み出して、第1の画像及び第2の画像のアライメント計算を行う工程」であるステップ3を実施する。このステップ3は、アライメント処理部24によって実施される。アライメント計算は、例えば、ワーク(被印刷物)50に設けられたワーク基準位置(「アライメントマーク」でもよい)を用いて行う場合であれば、第1の画像に示された第1のワーク(第1の被印刷物)のワーク基準位置1及び2(
図2A参照)と、これに対応する第2の画像に示された第2のワーク(第2の被印刷物)のワーク基準位置1及び2との間のズレ量△1(△1x、△1y)及びズレ量△2(△2x、△2y)を算出し、ズレ量の合計が最も小さくなる、つまり、(△1x+△1y)+(△2x+△2y)→0となるように、アライメント量(つまりアライメントに必要なX、Y及びθ方向の移動量)を計算する。これにより、第1のワーク(第1の被印刷物)と第2のパターンが設けられた版6との間のアライメント計算が実現できる。
なお、ワーク(被印刷物)のワーク基準位置ではなく、後述するように、実際にワーク(被印刷物)に形成されたパターンまたはパターンの一部を用いて、ズレ量を算出してアライメント計算を行うこともできる。
【0079】
ワーク基準位置のズレ量を用いる場合、またはパターンのズレ量を用いる場合の何れの場合においても、
工程bで第2画像を取得したときのテーブル位置をP2(X、Y、θの値)、
工程dで第1画像を取得したときのテーブル位置をP1(X、Y、θの値)、
アライメント計算の結果得られたアライメント量をD(ΔX、ΔY、Δθ)とすると、
後述するステップ7において、本印刷時(位置合わせ状態)におけるアライメントテーブル12の移動量Tは、
T=D+(P2−P1)、
となる。
なお、アライメントテーブル12が初期状態の場合には、P1やP2の値は0となり、以下のステップ4の説明においては、初期状態の場合を例にとって説明する。
【0080】
<ステップ4の説明>
次に、f「初期状態で撮影された第1の画像について、アライメント計算で算出されたアライメント量D(X、Y及びθの値)に基づき、T(=D+(P2−P1))だけアライメントテーブル12のワーク載置部12Aを移動させた場合の画像を形成する画像位置合わせの工程」を行う。具体的には、アフィン変換等で第1の画像を平行移動及び/又は回転して、アライメント計算の結果に基づいて移動させた(アライメント変換した)第1の画像を得る。そして、g「アライメント計算の結果に基づいて移動させた第1の画像に第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成する画像重ね合わせ工程」を実施する。このf「画像位置合わせ工程」及びg「画像重ね合わせ工程」により、アライメント装置2の印刷結果画像取得部26によって実施されるステップ4が構成される。
【0081】
画像を重ね合わせる具体的な方法としては、例えば、閾値等を用いた画像判別処理(画素毎にパターン部分か否かを判別する処理)によって、各画像データから第1のパターン及び第2のパターンの画像データを抽出し、抽出した第1のパターンの画像の上に抽出した第2のパターンを上書きする(プロットする)ことによって実現することができる。
上述の実施形態では、第1の画像をアライメント変換して、アライメント変換した第1の画像の上に第2の画像を重ね合わせているが、これに限られるものではなく、第2の画像をアライメント変換して重ね合わせることもできるし、第1の画像及び第2の画像の両方をアライメント変換して、アライメント変換した両画像を重ね合わせることもできる。後者の場合は、ワーク(被印刷物)及び版の両方のテーブルを移動させてアライメントする場合に該当する。
【0082】
<ステップ5の説明>
次に、h「仮想の印刷結果画像を表示装置18に表示する工程」であるステップ5を実施する。このステップ5は、アライメント装置2の表示部30の制御処理により実現される。これにより、操作者は、表示装置18に映し出された仮想の印刷結果画像により、第1のパターン及び第2のパターンの位置ズレを容易に確認することができる。
【0083】
<ステップ6の説明>
次に、i「アライメント計算に基づく仮想の位置合わせ結果が許容範囲内か否かを判断して、許容範囲内であると判別したときには印刷を行うための指令を行い、許容範囲内ではないと判別したときには、アライメント再計算を行うための指令を行う判断処理」であるステップ6を実施する。この場合、マニュアルモードの判断処理であれば、表示装置18に表示された仮想の印刷結果画像を視認した操作者が操作手段を操作する。そして、操作手段から送信された信号に基づいて、アライメント装置2の判定部28が、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり実際に印刷を行うか否か定める。また、オートモードの判定処理であれば、アライメント装置2の判定部28が、仮想の印刷結果画像を用いた画像処理で得られた、第1のパターン及び第2のパターンの位置関係に基づいて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否かを定める判断処理を行う。
【0084】
<マニュアルモード及びオートモードの判断処理の説明>
次に、
図5及び
図6を用いて、実際にワーク(被印刷物)に形成されたパターンを用いてズレ量を算出し、アライメント計算を行ったり、ズレ量が許容範囲以内であるか否か判断する場合の制御処理を説明する。ここで、
図5は、第1のパターン及び第2のパターンが反転形状の場合を示す図であり、
図6は、第1のパターンと第2のパターンが異なる異形画像の場合を示す図である。なお、
図6には、アライメント計算の一例を示す図が示されているが、このアライメント計算は、上述のような、最初のステップ3におけるアライメント計算に用いることができるし、後述のような、ステップ6で再アライメントが必要と判断された場合の再アライメント計算に用いることもできる。
【0085】
ここで、マニュアルモード及びオートモードの判断処理について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5の左上の図に示すように、第1のパターンが形成されかつ第2のパターンが形成されていない第1のワーク(第1の被印刷物)の全体画像である第1の画像を、ラインカメラ16を用いて取得し、アライメント計算に基づいて仮想のアライメントを行った後の画像を形成する(
図4のc、d及びfに示す工程に対応)。また、
図5の左下の図に示すように、実際に印刷を行って第2のパターンが形成された第2のワーク(第2の被印刷物)の全体画像である第2の画像を、ラインカメラ16を用いて取得する(
図4のa及びbに示す工程に対応)。なお、この第2の画像を取得する制御処理は、基本的に版替えに1回行う。
そして、
図5の右上の図に示すように、仮想のアライメント後の第1の画像に第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を取得する(
図4のe、f及びgに示す工程に対応)。
【0086】
図6においても同様であり、第1のパターンが設けられた版(左上の図参照)を用いて、矢印の下の左中の図に示すように、第1のパターンが形成された第1のワーク(被印刷物)の全面画像を撮影して第1の画像を取得する (
図4のc及びdに示す工程に対応)。一方、第2のパターンが設けられた版(右上の図参照)を用いて、矢印の下の右下の図に示すように、第2のワーク(被印刷物)に試し刷りを行い、第2のパターンが形成された第2のワーク(被印刷物)の全面画像を撮影して第2の画像を取得する(
図4のa及びbに示す工程に対応)。なお、この第2の画像を取得する制御処理は、基本的に版替え後に1回行う。
そして、
図6の下図に示すように、仮想のアライメント後の第1の画像に第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を取得する(
図4のe、f及びgに示す工程に対応)。
【0087】
マニュアルモードの場合には、
図5の右上、右下の図、または
図6の下図に示すように、表示装置18に映し出された仮想の印刷結果画像の中の所定の領域について、操作者が目視で、第1のパターン及び第2のパターンのズレが許容範囲内であるか否か判断する。
図5及び6では、ズレを確認する箇所の例として3カ所を示しているが、これに限られるものではなく、更に多くの箇所を確認して判断することもできるし、画像を全体的に把握して判断することもできる。このような目視の判断の結果を、操作者は操作手段の操作でアライメント装置2にインプットする。
【0088】
オートモードの場合には、判断部28が、
図5の右上図または
図6の下図に示すようなA点、B点及びC点の3カ所を抽出し、この3点について、画像処理により、第1のパターン及び第2のパターンのズレ量を算出し、例えば、個々のズレ量が所定の閾値以内にあるか否かに基づいて、ズレが許容範囲内であるか否か判断することができる。更に、3カ所のズレ量の合計値が所定の閾値以内にあるか否かで、ズレが許容範囲内であるか否か判断することもできるし、その他の任意のアリゴリズムを用いて判断することもできる。
また、ズレの判断に用いる箇所は、例えば、パターンにおける重要度の高い部分、パターンが微細な部分、第1のパターン及び第2のパターンのクリアランスが小さい部分等の判定基準に基づいて定めることができる。ただし、これに限られるものではなく、その他の任意の基準で抽出箇所を選択することができる。例えば、パターン全面におけるズレ量の面積の総和を計算し、ズレ面積の総和が所定の閾値以内にあるか否かで判断してもよい。
【0089】
図5に示すような第1のパターン及び第2のパターンが同一の場合(反転画像)であっても、
図6に示すような第1のパターン及び第2のパターンが異なる場合(異形画像)であっても、パターンの位置ズレを適確に判定するため、予め対応位置(例えば、A点、B点及びC点)の画像を第1の画像と第2の画像それぞれについてティーチングしておく必要がある。そのティーチングした対応位置の画像を基にパターンマッチングをかけて、第1の画像、第2の画像が各対応位置において相対的にどれだけズレているかを求めることができる。
【0090】
<ステップ7の説明>
再び
図4の説明に戻り、ステップ6に引き続いて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成する、つまり実際に印刷を行うと判別したとき、j「第1のパターンを印刷済みの基板に第2のパターンを印刷する工程」であるステップ7を実施する。つまり、実際に、第1の被印刷物に第2のパターンを形成する本印刷を行う。
具体的には、上述のように、アライメント計算の結果に基づくデータ及び印刷指令信号が、アライメント装置2の制御装置20から印刷部40の印刷制御部60に送信され、これに基づき、アライメントテーブル12のワーク載置部12AがX、Y、θ方向に移動して、実際のアライメントを行い、印刷機構10のスキージ8が移動して、第1の被印刷物に第2のパターンが形成される、つまり実際に印刷が行われる。
【0091】
<ステップ3〜6の繰り返しの説明>
次に、ステップ6で、第1の被印刷物に第2のパターンを形成しない、つまり実際に印刷を行わないと定めたときには、ステップ3〜6を繰り返す制御処理を行う。具体的には、第1の画像及び第2の画像を用いてアライメント再計算を行うステップ3を行い、このアライメント再計算の結果に基づいて第1の画像及び第2の画像を重ね合わせて、新たな仮想の印刷結果画像を作成するステップ4を行う。そして、新たな仮想の印刷結果画像を表示装置18に表示するステップ5を行い、再び、判定部28が、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり実際に印刷を行うか否か判断するステップ6を行う。
【0092】
アライメント再計算に関しては、ステップ6の判断処理と同様に、マニュアルモード及びオートモードがある。マニュアルモードでは、操作者が、パターンのズレ量が許容範囲内に入るように、アライメントテーブル12のワーク載置部12AのX、Y、θ方向の移動量や、移動量を計算するためのデータを、操作手段を用いてアライメント装置2にインプットする。このインプットされたデータに基づいて、アライメント装置2のアライメント処理部24がアライメント再計算を行う。
一方、オートモードでは、アライメント装置2のアライメント処理部24が、所定のアリゴリズムを用いて、パターンのズレ量が許容範囲内に入るように、アライメントテーブル12のワーク載置部12AのX、Y、θ方向の移動量を算出するアライメント再計算を行う。
このアライメント再計算の具体例については、
図6を用いて追って詳細に説明する。
【0093】
本実施形態においては、基本的には、アライメント再計算に基づく仮想の版合わせの結果が許容範囲内に入るまで、ステップ3〜6の処理を繰り返す。ただし、所定回数以上繰り返して第1の被印刷物に第2のパターンを形成しない(実際に印刷を行わない)と定めたときには、表示装置18等を用いて、版6または第1のワーク(第1の被印刷物)の交換の必要性を報知する制御処理を行うこともできる。
【0094】
つまり繰り返しアライメントの再計算を行っても、印刷可能なアライメントが実現できない場合には、版が消耗、損傷している場合や、第1のワーク(第1の被印刷物)の変形(例えば、一部が伸びたり、そりが生じたり、波うちが生じる等)が生じている場合が推定される。
よって、版または第1の被印刷物の交換の必要性を報知する制御処理を行って、的確な対処が行われるようにすることができる。
【0095】
(アライメント再計算の説明)
次に、
図6を用いて、アライメント再計算の具体例について説明する。上述のように、
図6に示すアライメント計算は、最初のステップ3に示すアライメント計算で用いることができるが、ここでは、最初のステップ3に示すアライメント計算では、ワーク(被印刷物)のコーナー部に示された3カ所のワーク基準位置を用いてアライメント計算を行った場合に基づいて説明する。そのアライメント計算の結果、
図4のステップ6で第1の被印刷物に第2のパターンを形成しない、つまり印刷を行わないと判別し、ステップ3に戻って、今度は、ワーク(被印刷物)に形成されたパターンの対応位置のズレ量に基づいてアライメント再計算を行う場合を示す。
【0096】
図6では、第1のパターン及び第2のパターンが互いに組み合う櫛形の形状を有している場合を示す。
図6の左上には、予め第1のパターン(Eの形状のパターン)を形成するための第1の版が示され、矢印の下には、その第1の版によって第1のワークに形成された第1のパターンの全体画像を撮影して、第1の画像を取得したところを示す。
図6の右上には、第2のパターン(Eの形状に組み合う櫛形パターン)を形成するための版6が示され、矢印の下には、何もパターンが形成されていないブランクのワークに、版6を用いて第2のパターンが形成された(実際に試し刷りされた)第2のワーク(第2の被印刷物)の全体画像を撮影して、第2の画像を取得したところを示す。
【0097】
そして、
図6の下図には、第1の画像及び第2の画像を用いて形成された仮想の印刷結果画像を示す。つまり、第1の画像に示された第1のワーク(第1の被印刷物)のコーナー部に示された3カ所のワーク基準位置と、第2の画像に示された第2のワーク(第2の被印刷物)のコーナー部に示された3カ所(A点、B点及びC点)のワーク基準位置と間のズレ量を算出し、このズレ量が最小になるようにアライメント計算を行う。そして、第1の画像を算出されたアライメント量(X、Y及びθの値)だけ移動させて、仮想のアライメントを行った場合の第1の画像を形成し、この仮想のアライメント後の第1の画像に第2の画像を重ね合わせて得られた仮想の印刷結果画像を示す。
この仮想の印刷結果画像では、形成されたパターンにおいて、事前のティーチングに基づいてアライメント装置2の判定部28で抽出された、A点でのズレ量△A(△Ax、△Ay)、B点でのズレ量△B(△Bx、△By)、及びC点でのズレ量△C(△Cx、△Cy)が許容範囲内になく、
図4のステップ6の判断で印刷を行わないと判別された場合を示す。
図6に示す例では、ステップ3に戻って実施するアライメント再計算において、最小二乗法等を用いて、△A、△B、△Cが最小になるように、アライメントテーブル12のワーク載置部12Aの移動量(X、Y、θ)を再計算しているところを示している。
【0098】
仮に、第1のパターン(Eの形状のパターン)が形成された第1のワーク(第1の被印刷物)に変形がなく、第2のパターンが設けられた版6にも変形が無ければ、第1のワーク(第1の被印刷物)及び第2のワーク(第2の被印刷物)のワーク基準位置を用いたアライメント計算に基づいて形成した仮想の印刷結果画像は、△A、△B、△Cが所定の公差内に収まり、
図4のステップ6の判断で、許容範囲内にあると判別されることになる。しかし、例えば、第1のワーク(第1の被印刷物)が、第1のパターンを形成するときの印刷時に変形が生じていたり、版6が消耗している場合には、△A、△B、△Cが許容範囲内にないと判別される場合がある。そのような場合には、最小二乗法等の手法により、△A、△B、△Cを指定範囲内に収める仮想の版合わせを再び行って、実用上問題の生じない印刷結果が得られるようにすることができる。オートモードでは所定のアルゴリズムを用いてアライメント再計算を行うことができる。例えば、再計算を行う度に、閾値を自動的に変更(ズレの許容条件を緩くしていく等)してもよいし、基準位置を変更(基準位置の数を減らしていく、または予めティーチングしておいた複数の基準位置から、アライメント計算に用いる基準位置の組み合わせをランダムに変更する等)してもよい。
なお、第1のワーク(第1の被印刷物)の変形は個々に異なるので、新しい第1のワーク(第1の被印刷物)を印刷するごとに、
図4に示す制御処理を行う必要がある。版6については、原則として、新たな版を用いるごとに、1回試し刷りを行って第2の画像を取得すればよいが、多数の第1のワーク(第1の被印刷物)を印刷する場合には、版の変形も無視できない状況になることも考えられるので、所定の印刷回数ごとに、第2の画像を取得することも考えられる。
【0099】
以上のように、上述の実施形態によれば、第1のパターンが形成された第1のワーク(第1の被印刷物)の全体画像である第1の画像、及び版6により第2のパターンが形成されたワーク(被印刷物)の全体画像であって、第2のパターンが識別可能な第2の画像を取得し、取得した第1の画像及び第2の画像のアライメント計算を行って、その結果に基づいて第1の画像及び第2の画像を重ね合わせて、仮想の印刷結果画像を作成する。よって、この仮想の印刷結果画像を用いて、第1のパターン及び第2のパターンの位置ズレを検証して、実際の印刷を実行してよいか否かの判断や、アライメントの再調整を行ったりすることができる。
従って、本印刷を行ってパターンのズレのチェックをする必要がないので、高い精度を要する印刷や、伸縮変形する材料を用いる印刷においても、不良品を出さずに、版と被印刷物との間の最適なアライメントが可能である。
【0100】
マニュアルモードでは、表示部30により、操作者が仮想の印刷結果画像を視認可能であり、判定部28が、操作手段から送信された信号に基づいて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり本印刷を実行するかどうかを定めるので、不良品を出さずに、確実に印刷の可否を定めることができる。
【0101】
オートモードでは、判定部28が、仮想の印刷結果画像に示された第1のパターン及び第2のパターンの位置関係に基づいて、所定のアルゴリズム等を用いて、第1の被印刷物に第2のパターンを形成するか否か、つまり本印刷を実行するかどうかを定めるので、不を定めるので、不良品を出さずに、確実に印刷の可否を定めることができる。
【0102】
上述の実施形態によれば、判定部28が第1の被印刷物に第2のパターンを形成すると定めたとき、アライメント計算の結果に基づくデータ及び印刷指令信号を出力するので、印刷部40により、不良品を出さずに、確実に実際の印刷を実施することができる。
【0103】
上述の実施形態によれば、判定部28が第1の被印刷物に第2のパターンを形成しないと定めたとき、再び、第1の画像及び第2の画像を用いて、アライメント再計算を行って、新たな仮想の印刷結果画像を作成する。よって、本印刷を実行する前に何度でも再アライメントが可能であり、高い精度を要する印刷や、高い精度を要する印刷や、伸縮変形する材料を用いる印刷においても、不良品を出さずに、確実に最適なアライメントが可能となる。
【0104】
上述の実施形態によれば、パターンが形成されていないブランクのワーク(被印刷物)に対して第2のパターンの試し刷りを行い、この試し刷り結果から第2の画像を取得するので、シンプルな方法で確実に第2の画像を得ることができる。
【0105】
更に、新たな版6を用いた印刷を開始するとき(版替え時)に第2の画像を取得し、その後、新たな第1の被印刷物に第2のパターン形成するとき、第2の画像を取得する工程は行わずに、第1の画像のみを取得すればよいので、効率的な印刷を行うことができる。
【0106】
また、上述の実施形態では、ラインカメラ16を用いることにより、コンパクトな光学系で高い分解能が得られる。更に、後述するように、撮影可能な被印刷物として、長手方向において任意の長さの被印刷物の撮影を行うことができ、形状もシート状や平板状の被印刷物だけでなく、円筒状の被印刷物や、巻き取られたロールから順次引き出された連続的な被印刷物の撮影も可能である。また、ラインカメラを、アライメント装置だけでなく、印刷後の被印刷物の検査にも用いる場合には、1台のラインカメラを様々な用途に利用できるので、装置のコストダウンを図ることができる。
なお、必要な解像度に合わせて複数台のラインカメラを用いてもよい。高解像度画像を用いることで、アライメント計算を高精度化することができる。
【0107】
(第2の画像の取得に関するその他の実施形態の説明)
上述の実施形態では、版替えをして新たな版を用いるときに、一度だけ第2の画像を取得しているが、これに限られるものではない。例えば、
図1に示すように、印刷装置4にラインカメラ16を備える場合には、第1のパターンが形成された第1のワーク(第1の被印刷物)に実際の印刷を行って、第2のパターンを形成したときに、印刷済みのワーク(被印刷物)を印刷位置からセット位置に移動させるときに、ラインカメラ16で撮影を行って、第1のパターン及び第2のパターンが形成された検査用のワーク(被印刷物)の全体画像を取得することができる。
もし、このワーク(被印刷物)の全体画像から、第2のパターンを識別できれば、次に印刷する第1のワーク(第1の披印刷物)の仮想の版合わせのために、第2のパターンが識別可能な第2の画像として用いることができる。例えば、第2のパターンだけを抽出した画像を形成すれば、上述の何もパターンが形成されていないブランクのワーク(被印刷物)に、試し刷りで第2のパターンを形成して、第2の画像を取得した場合と同様の結果が得られる。なお、第2のパターン以外のパターンが残っていても、第2のパターンが識別可能であれば、第2の画像として用いることができる。
【0108】
この第2の画像を用いて、次の第1のワーク(第1の被印刷物)の印刷のために、
図4に示すような仮想の版合わせを行えば、直近の版の状態を反映させたアライメントが可能である。よって、仮に多くの第1のワーク(第1の被印刷物)を印刷する場合であっても、版6の劣化・変形に追従した第2の画像を用いることができるため、問題なく印刷を継続できる。
【0109】
以上のように、本実施形態によれば、実際の印刷で、第1のパターン上に第2のパターンが形成された被印刷物の全体画像を用いて、そこから第2のパターンを識別して、次の印刷のための第2の画像を取得することができるので、不良品を出さない効率的な印刷を実現できる。特に、直近の版の状態を反映した第2の画像が取得できるので、同じ版で多くの印刷を行っても、パターンのズレの問題が生じずに印刷を継続できる。
【0110】
(アライメント装置のその他の実施形態の説明)
【0111】
図4のステップ6の判断で、判定部28が第1のワーク(第1の被印刷物)に第2のパターンを形成しない、つまり実際の印刷を行わないと定めたとき、警告報知のための制御処理を行うことが考えられる。ここで、警告報知のための制御処理としては、警告音をはじめとする音声を用いた報知や、表示装置18に警告を示す画像を表示する報知や、振動等を発生させて行う報知が考えられるが、これに限られるものではない。
本実施形態によれば、アライメント装置2の判定部28が第1のワーク(第1の被印刷物)に第2のパターンを形成しないと定めたとき、警告報知のための制御処理を行うので、間違って実際の印刷が行われて、不良品が生じる等の不具合が生じることを、未然に防ぐことができる。
【0112】
更に、
図4のステップ6の判断で、判定部28が第1のワーク(第1の被印刷物)に第2のパターンを形成しない、つまり実際の印刷を行わないと定めたとき、仮想の印刷結果画像を用いて、第2のパターンを形成しないと定めた原因を報知する制御処理を行うこともできる。具体的には、例えば、
図5の右下の図において、ズレが許容範囲内にない部分をマークや着色で示して、操作者が容易に識別できるようにすることが考えられる。またワーク全面におけるズレの分布や強弱を色の変化として仮想の印刷結果画像上に表示してもよい。これにより版の伸縮の傾向などを確認することもできる。
本実施形態によれば、アライメント装置2の判定部28が第1のワーク(第1の被印刷物)に第2のパターンを形成しないと定めたとき、仮想の印刷結果画像を用いて、第2のパターンを形成しないと定めた原因を報知する制御処理を行うので、例えば、アライメント再計算や次の印刷時において、アライメントのための的確なパラメータの選択に役立てることができる。
【0113】
(印刷装置のその他の実施形態の説明)
上述の実施形態においては、ワーク(被印刷物)が載置されたアライメントテーブル12を移動させてアライメントを行っているが、これに限られるものではなく、版がセットされた版保持テーブル側を移動させてアライメントを行うこともできるし、ワーク(被印刷物)側及び版側の両方のテーブルを移動させてアライメントを行うこともできる。仮想のアライメントも同様である。
上述の実施形態においては、アライメント装置が印刷装置の中に含まれる実施形態を示したが、これに限られるものではなく、印刷装置と個別のアライメント装置を構成することもできる。例えば、制御部、表示装置及び撮影装置を備えた個別のアライメント装置が考えられる。撮影装置としては、ラインカメラと走査機構を備えたスキャナータイプのものや、撮影素子が二次元に並んだエリアカメラを用いることができる。
また、基本的に、アライメント装置が制御部だけを備え、印刷装置と電気的に接続することにより、印刷装置に設けられた装置を用いて、上述と同様の制御処理を行うことも考えられる。
上述の実施形態においては、スクリーン印刷の場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、平板印刷(例えば「オフセット印刷」)、凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷以外の孔版印刷をはじめとするその他の任意の印刷方法に適用することができる。
なお、
図2A〜2Dに示すアライメント計算や、
図6に示すアライメント再計算はあくまで一例であって、その他の任意のアライメントの計算方法を適用できる。
【0114】
(ワークまたは版のその他の実施形態の説明)
上述の実施形態では、ワーク(被印刷物)及び版として、シート状、平板状のものを用いているが、それに限られるものではく、下記のような円筒状のような立体的な形状のものも用いることができる。
<円筒形のワークを用いる場合の説明>
図7には、平板状のスクリーン印刷の版6を用いて、円筒状のワーク(被印刷物)50に”K”の形状のパターンを形成する場合を示す。この場合、スキージ8の移動に同期して、円筒状のワーク(被印刷物)50も回転することにより、印刷が実施される。
図7(a)及び(b)は、スキージ8が版6に設けられたパターンの直近まで移動して、ワーク(被印刷物)にパターンを形成する直前の状態を示す。
図7(a)は、パターンを形成直前の状態を示す斜視図であり、
図7(b)は側面図である。
図7(c)及び(d)は、スキージ8が版6に設けられたパターンの上を移動して、ワーク(第1の被印刷物)にパターンが形成された直後の状態を示す。
図7(c)は、パターンが形成された直後の状態を示す斜視図であり、
図7(d)は側面図である。
【0115】
このとき、
図7(b)及び(d)に示すように、ラインカメラ16により、パターンが形成された円筒状のワーク(被印刷物)を円筒全周にわたって撮影できるので、第1の画像及び第2の画像を取得して、仮想の印刷結果画像を作成することができる。ラインカメラ16の光軸を円筒状のワーク(被印刷物)の法線方向に一致させることによって、ワーク(被印刷物)に形成されたパターン画像を正確に撮影することができる。
このような円筒形のような立体形状のワーク(被印刷物)の表面であっても、上述の実施形態を適用すれば、不良品を出さずに、最適なアライメントが可能であり、重ね塗りによる複雑なパターンを有する製品を得ることができる。
【0116】
(円筒形の版を用いる場合の説明)
図8には、円筒状のスクリーン印刷の版6を用いて、長手方向に連続したシート状のワーク(被印刷物)50に”K”の形状のパターンを形成する場合を示す。
図8(a)は、パターンを形成する状態を示す斜視図であり、
図8(b)は側面図である。
図8(b)に示すように、本実施形態では、版6は中空の円筒形状を有しており、版6の内部にインクが塗布され、スキージ8が円筒形の版6の内部に配置されている。円筒状の版6が回転することにより、連続的にシート状のワーク(被印刷物)50にパターンを形成できる。このとき、円筒状の版6の回転に同期して、ワーク(被印刷物)50が移動することにより、印刷が実施される。なお、
図8(b)に示すように、版6のパターンを転写する領域の反対側に、シート状のワーク(被印刷物)50を支え、かつ搬送するロール54が備えられている。
【0117】
また、版6の内面に連続的にインクを供給する機構を備えれば、円筒状の版6及びロール54の回転によって、任意の長さの連続したシート状のワーク(被印刷物)50にパターンを形成することができる。このとき、ロールに巻き取られたワーク(被印刷物)50を引き出しながら円筒状の版6で印刷し、その後、再び別のロールで巻き取るような所謂ロールツーロールの連続印刷も可能である。
このとき、
図8(b)に示すように、ラインカメラ16により、パターンが形成された連続したシート状のワーク(被印刷物)を全長にわたって撮影できる。特に、版6よりも上流側に配置されたラインカメラ16で第1の画像を取得し、版6よりも下流側に配置されたラインカメラ16で第2の画像を取得して、仮想の印刷結果画像を作成することができる。
このような円筒形のような立体形状の版を用いても、上述の実施形態を適用すれば、不良品を出さずに、最適なアライメントが可能であり、長尺のワーク(被印刷物)に対して的確な重ね塗りを実現できる。
【0118】
本発明の実施態様、実施形態を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施態様、実施形態における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。