(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のブレーキ制御装置のように、電動モータの出力軸の内部に入力部材を挿通した場合には、電動モータのコイルやケースなどの部品が入力部材の外周全体に配置されることになるため、電動モータが大型化している。したがって、従来のブレーキ制御装置では、電動モータのレイアウト性が良くないとともに、ブレーキ制御装置全体が大型化し、ブレーキ制御装置の重量が増加するという問題がある。
また、従来のブレーキ制御装置では、電子制御装置のハウジングが電動モータの径方向の外側に配置されるとともに、ハウジングのコネクタが該ハウジングの側面から突出している。このため、ブレーキ制御装置は、入力部材の径方向のみならずハウジングの幅方向に大型化してしまい、車両に搭載するときのレイアウト性が低くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、小型化および軽量化するとともに、車両への搭載性を向上させることができるブレーキ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明は、マスタシリンダへの出力を制御するブレーキ制御装置である。前記ブレーキ制御装置は、
ブレーキ操作子に接続された入力部材と、電力の供給によって駆動力を発生する電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータの駆動力を前記マスタシリンダに出力する出力部材と、を備えている。また、前記ブレーキ制御装置は、
前記入力部材の少なくとも一部および前記出力部材を収容する収容室が内部に形成された基体と、前記入力部材の移動量に応じて前記電動アクチュエータを制御する電子制御装置を備えている。前記電子制御装置は、電気配線部材の接続部に接続するコネクタが設けられたハウジングを有している。前記電動アクチュエータおよび前記電子制御装置は、前記基体の外面に形成される取付面に取り付けられている。そして、前記コネクタは、前記ハウジングの前記取付面側の面である底面から突出して設けられている。
前記基体の前記取付面には、前記コネクタとの干渉を避ける逃げ部が形成されている。
【0008】
この構成では、電動アクチュエータと電子制御装置とが基体の外面に形成される取付面に取り付けられているため、電動アクチュエータおよび電子制御装置のレイアウト性を高めることができる。これにより、電動アクチュエータの小型化および軽量化を図ることができる。また、コネクタをハウジングの底面から突出するように設けたため、ブレーキ制御装置をハウジングの幅方向に小型化することができる。
すなわち、本発明によれば、小型化および軽量化するとともに、車両への搭載性を向上させることができるブレーキ制御装置を提供できる。
【0010】
また、電子制御装置を基体の取付面に取り付ける際に、基体の取付面とコネクタとの干渉を避けつつ、コネクタを基体側へ突出させることができる。このため、ハウジングの底面と基体の取付面との接触面積を確保しつつ、ハウジングの小型化を実現できる。
【0011】
前記ブレーキ制御装置において、前記コネクタは、前記ハウジングの前記底面の一端側に設けられているとよい。また、前記基体の前記取付面と前記ハウジングとの固定部は、少なくとも前記コネクタを挟んで両側に配置されているとよい。
【0012】
この構成では、基体の取付面に逃げ部を形成した場合であっても、ハウジングを基体の取付面に安定して固定することができる。
【0013】
前記ブレーキ制御装置において、前記ハウジングの前記底面と前記基体の前記取付面との間をシールする無端状のシール部材を備えているとよい。また、前記コネクタは、前記シール部材の外側に配置されているとよい。
【0014】
この構成では、シール部材がコネクタを避けるように形成されているため、シール部材は、ハウジングの底面と基体の取付面との間を、コネクタの部分を避けて良好にシールすることができる。
【0015】
本発明の一側面に係る前記ブレーキ制御装置において、前記電動アクチュエータおよび前記電子制御装置は、前記マスタシリンダの中心軸を含む平面で区画した二つの領域のうちの一方の領域に隣り合って配置されてい
る。また、コネクタは、前記ハウジングの前記底面における前記電動アクチュエータ側とは反対側に設けられてい
る。
【0016】
この構成では、電動アクチュエータと電子制御装置とをブレーキ制御装置の片側の領域のみにコンパクトにレイアウトできるとともに、コネクタに接続部を介して接続される電気配線部材の取り回しのスペースを確保することができる。したがって、ブレーキ制御装置の車両への搭載性をより向上させることができる。
【0017】
前記ブレーキ制御装置において、前記電動アクチュエータおよび前記電子制御装置の両方が、共通の前記取付面に取り付けられているとよい。
【0018】
この構成では、前記電動アクチュエータおよび前記電子制御装置のそれぞれを基体に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0019】
本発明の一側面に係る前記ブレーキ制御装置において、前記取付面は、前記出力
部材の軸方向と平行に形成されてい
る。
【0020】
この構成では、ブレーキ制御装置の軸方向長さを小さくでき、電動アクチュエータと電子制御装置とを基体の外面に安定して配置することができる。
【0021】
本発明の一側面に係る前記ブレーキ制御装置において、前記取付面は、
前記ブレーキ制御装置の車両への搭載時において前記ブレーキ操作子側から見て前記基体の右側面または左側面に配置されてい
る。
【0022】
この構成では、マスタシリンダの上部にリザーバタンク等が設けられる場合であっても、リザーバタンク等との干渉を避けて電動アクチュエータと電子制御装置とを配置することができる。
【0023】
本発明の一側面に係る前記ブレーキ制御装置において、前記電動アクチュエータの重心は、前記電子制御装置の重心よりも前記ブレーキ制御装置の車体への取付け側に近い方に配置されてい
る。
【0024】
この構成では、重量の大きい電動アクチュエータの振動を効果的に抑制でき、ブレーキ制御装置を安定して保持することができる。
【0025】
本発明の一側面に係る前記ブレーキ制御装置は、前記電動アクチュエータの駆動力を前記出力部材に伝達する駆動伝達機構を備えてい
る。また、前記電動アクチュエータは電動モータであ
る。そして、前記電動モータの出力軸の軸方向と、前記出力部材の軸方向とが直交してい
る。
【0026】
この構成では、駆動伝達機構を用いて、電動モータの出力軸の軸方向が出力部材の軸方向と直交して配置されているため、電動アクチュエータとしての電動モータのレイアウト性を高めることができる。
【0027】
前記ブレーキ制御装置において、前記駆動伝達機構は、前記電動モータの前記出力軸の回転力を前記出力部材の軸線回りの回転力に変換するウォームギヤ機構を有しているとよい。また、前記駆動伝達機構は、前記出力部材の軸線回りの回転力を前記出力部材の軸方向の力に変換し、前記出力部材を軸方向に移動させる変換機構を有しているとよい。
【0028】
この構成によれば、電動モータの出力軸の軸方向と出力部材の軸方向とが直交する場合でも、ウォームギヤ機構を用いることによって、電動モータの駆動力を出力部材に効率良く伝達することができる。さらに、ウォームギヤ機構は、減速比が大きいため、駆動伝達機構を小型化することができる。
【0029】
前記ブレーキ制御装置において、前記基体と前記マスタシリンダとは、複数の連結部において連結されているとよい。そして、前記複数の連結部は、
前記マスタシリンダの中心軸に沿う方向から見て、前記マスタシリンダの中心軸に対して点対称に配置されているとよい。
【0030】
この構成では、ブレーキ制御装置を車両に搭載する際に、マスタシリンダに対する基体の取り付け向きを選択できるので、エンジン等の周辺部品の配置に応じたレイアウトに変更することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、小型化および軽量化するとともに、車両への搭載性を向上させることができるブレーキ制御装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のブレーキ制御装置の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態のブレーキ制御装置1は、車両のマスタシリンダ(ブレーキシステム)への出力を制御する制動倍力装置(ブレーキブースター)である。
【0034】
本実施形態のブレーキ制御装置1は、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等のほか、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車にも搭載することができる。
【0035】
ブレーキ制御装置1は、
図6に示すように、基体10と、入力部材2と、伝達部材21と、出力部材7と、電動モータ3と、電動モータ3の駆動力を出力部材7に伝達する駆動伝達機構4と、電動モータ3を制御する電子制御装置5と、を備えている。
なお、本実施形態において、前後方向、左右方向および上下方向とは、ブレーキ制御装置1を車両に搭載したときの方向である。
【0036】
ブレーキ制御装置1は、
図1に示すように、マスタシリンダ8の後端部に取り付けられる。ブレーキ制御装置1は、通常のブレーキ操作時に電動モータ3の駆動力をマスタシリンダ8に出力することで、ブレーキペダルP(特許請求の範囲における「ブレーキ操作子」)に対する操作力(踏力)を軽減する。また、ブレーキ制御装置1は、自動ブレーキ制御時に電動モータ3の駆動力をマスタシリンダ8に出力することで、ブレーキ装置に制動力を発生させる。
【0037】
マスタシリンダ8は、
図6に示すように、シリンダ本体8b内に形成されたシリンダ穴内をピストン8aが摺動することで、ブレーキシステムの液圧路にブレーキ液圧を発生させる。
マスタシリンダ8のシリンダ本体8bの上面には、
図1に示すように、リザーバ9が取り付けられている。リザーバ9は、ブレーキ液を貯溜する容器であり、リザーバ9内のブレーキ液はマスタシリンダ8内の圧力室に補給される。
【0038】
基体10は、金属製の箱体であり、左右方向よりも前後方向に大きく形成されている。基体10の内部には、
図6に示すように、収容室15が形成されている。収容室15は、入力部材2、出力部材7および駆動伝達機構4が収容される空間である。
【0039】
基体10は、前側基体11と後側基体12とに分割されている。後側基体12の前端部は、前側基体11の後端開口部に挿入されている。後側基体12の前端開口部は、前側基体11内に開口している。前側基体11の内部空間と後側基体12の内部空間とによって、収容室15が形成されている。
【0040】
また、前側基体11の外周面に形成された連結用フランジ部11aと、後側基体12の外周面に形成された連結用フランジ部12aとが前後方向に重ね合わされており、前後の連結用フランジ部11a,12aは複数の取付ボルトB1によって連結されている(
図5参照)。
【0041】
図3に示すように、前側基体11の右側部には、平板状の取付部13が形成されている。取付部13の右側面13a(外面)の法線は、左右方向に延びており、前後方向に対して直交している。取付部13の右側面13a(外面)は、基体10の軸方向(前後方向)に平行に配置されている。取付部13の右側面13aは、電動モータ3および電子制御装置5の両方を取り付けるための共通の取付面(一つの取付面)となる。
取付部13は、前後方向よりも上下方向が大きく形成されている(
図5参照)。取付部13は、基体10の上端部よりも上方に突出するとともに、基体10の下端部よりも下方に突出している。
【0042】
図6に示すように、前側基体11の前後方向の中間部の上端部には、ギヤ収容部16が形成されている。ギヤ収容部16内には、
図4に示すように、左右方向に延びている円筒状の空間が形成されている。ギヤ収容部16には、電動モータ3の出力軸3aおよび駆動伝達機構4のウォームギヤ43が収容される。
ギヤ収容部16の内部空間の底部は収容室15に連通している。また、ギヤ収容部16の右端部は、取付部13の右側面13aに開口している。つまり、取付部13の右側面13aにはギヤ収容部16の開口部16aが形成されている。
【0043】
図5に示すように、基体10の後面10bの中央部には、円筒部14が突出している。円筒部14には、
図6に示すように、収容室15の後端部が形成されている。円筒部14の後端面14aの中央部から収容室15に通じる連通穴14bが形成されている。
【0044】
基体10の後面10bは、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュボードの前面に取り付けられる。
図1に示すように、基体10の後面10bには複数のスタッドボルトB2が立設されている。
基体10をダッシュボードの前面に取り付けるときには、円筒部14をダッシュボードの開口部に挿入するとともに、各スタッドボルトB2をダッシュボードの取付穴に挿入する。各スタッドボルトB2は車体フレームに固着する。
【0045】
基体10の前面10aは、
図2に示すように、複数のボルトB3によってマスタシリンダ8の後端面に取り付けられている(
図3参照)。
基体10の前面10aの中央部には、
図6に示すように、収容室15に通じる開口部10gが形成されている。この開口部10gは、マスタシリンダ8のシリンダ穴(図示せず)の後端部に連通している。マスタシリンダ8のピストン8aは、基体10の開口部10gを通じて収容室15内に突出している。
【0046】
入力部材2は、ブレーキペダルPに入力された踏力を、伝達部材21を介して出力部材7に伝達するための軸部材である。入力部材2は、基体10の収容室15内に収容されている。
【0047】
入力部材2は、ブレーキペダルPのプッシュロッドP1の前端部が接続されている入力ロッド22と、入力ロッド22の後部に外嵌されている磁石ホルダ25と、を備えている。
【0048】
入力ロッド22は、前後方向に延びている軸部材であり、軸方向の略中間部にはフランジ部22aが形成されている。
入力ロッド22の後端部は円筒部14の連通穴14bに挿入されている。入力ロッド22の後端面の凹部には、プッシュロッドP1の前端部が内嵌されている。
【0049】
磁石ホルダ25は、入力ロッド22の後部を囲む円筒状の部材である。磁石ホルダ25は、入力ロッド22および磁石ホルダ25を貫いているピン25bによって入力ロッド22に接続されている。
磁石ホルダ25は、円筒部14の連通穴14bに挿通されており、連通穴14bに対して前後方向に摺動自在である。
磁石ホルダ25の外周面には、磁石25a(
図5参照)が取り付けられている。
【0050】
伝達部材21は、ブレーキペダルPに入力された踏力および電動モータ3の駆動力を出力部材7に伝達するための軸部材である。
伝達部材21は、円筒状の部材であり、中心部に挿通穴21aが貫通している。伝達部材21は、入力ロッド22の前部に外嵌されている。
【0051】
伝達部材21の前端面の中央部には、前側凹部21bが形成されている。挿通穴21aの前端部は、前側凹部21bの底面の中央部に開口している。
伝達部材21の後端面の中央部には、後側凹部21cが形成されている。挿通穴21aの後端部は、後側凹部21cの底面の中央部に開口している。
【0052】
伝達部材21の挿通穴21aには、入力ロッド22の前部が挿入されている。入力ロッド22は、伝達部材21の挿通穴21aに対して前後方向に摺動自在である。
伝達部材21の後側凹部21c内には、入力ロッド22のフランジ部22aが収容されている。
後側凹部21cの底面と、入力ロッド22のフランジ部22aの前面との間には、第二コイルばね24bが介設されている。第二コイルばね24bは、伝達部材21に対して前方に移動した入力ロッド22を後方に押し戻すものである。
【0053】
入力ロッド22のフランジ部22aの後方には、入力ロッド22の抜け止めとなるストッパリング22bが設けられている。ストッパリング22bの外周縁部は、後側凹部21cの内周面に形成された溝部に嵌合されている。ストッパリング22bに入力ロッド22が挿通されている。ストッパリング22bの内径は、入力ロッド22のフランジ部22aの外径よりも小さく形成されている。
【0054】
入力ロッド22のフランジ部22aがストッパリング22bに当接した状態では、入力ロッド22の前端部は、前側凹部21bの底面よりも後方に位置する。つまり、入力ロッド22の後退限では、入力ロッド22の前端部は、挿通穴21a内に収容された状態(挿通穴21a内に没入した状態)となる。
【0055】
伝達部材21の前端部には、フランジ部21eが形成されている。伝達部材21のフランジ部21eの前面と、収容室15の前壁部の内面との間には、第一コイルばね24aが介設されている。第一コイルばね24aは、前方に移動した伝達部材21を後方に押し戻すものである。
【0056】
出力部材7は、伝達部材21に入力された踏力および電動モータ3の駆動力をマスタシリンダ8のピストン8aに伝達(出力)するための軸部材である。出力部材7は、前後方向に延びており、後端部は拡径されている。出力部材7の後端部は、伝達部材21の前側凹部21bに内嵌されている。
出力部材7は、伝達部材21の前側凹部21bに保持されており、伝達部材21の前面から前方に向けて突出している。そして、出力部材7の前端部は、マスタシリンダ8のピストン8aに当接している。
出力部材7の後端面と前側凹部21bの底面との間には、ゴム製の弾性部材23が介設されている。
【0057】
基体10の円筒部14の後端面14aには、
図5に示すように、ストロークセンサ6が複数のボルトB4によって取り付けられている。ストロークセンサ6は、入力部材2の移動量を検出している。つまり、ストロークセンサ6は、ブレーキペダルPの操作量(ストローク量)を検出している。
ストロークセンサ6は、磁石ホルダ25が前後方向に移動したときの磁石25aによる磁力線の変化を検出することで、入力部材2の移動量を検出する。ストロークセンサ6で検出された移動量は、電子制御装置5に出力される。
【0058】
基体10の円筒部14の後端部には、
図6に示すように、円筒状の保護ブーツ26が取り付けられている(
図1参照)。保護ブーツ26は、前後方向に伸縮自在なゴム製のカバーである。磁石ホルダ25およびストロークセンサ6は保護ブーツ26に覆われている。
【0059】
電動モータ3は、
図4に示すように、基体10の右側部の取付部13に取り付けられている。電動モータ3は、電子制御装置5によって制御される電動アクチュエータ(電動サーボモータ)である。電動アクチュエータとしての電動モータ3は、電力の供給によって駆動力を発生する。
電動モータ3は、取付部13の右側面13aの上部領域に取り付けられている。また、電動モータ3から突出した出力軸3aは、取付部13の開口部16aを通じてギヤ収容部16に挿入されている。
出力軸3aの軸方向L2は左右方向に延びており、出力部材7および入力部材2の軸方向L1(前後方向)に対して直交している(
図2参照)。
【0060】
駆動伝達機構4は、
図6に示すように、電動モータ3の出力軸3aの回転力を出力部材7および入力部材2の軸線回りの回転力に変換するウォームギヤ機構47と、出力部材7および入力部材2の軸線回りの回転力を出力部材7の軸方向の力に変換し、出力部材7を軸方向に移動させる変換機構46と、を備えている。
【0061】
ウォームギヤ機構47は、ウォームホイール41と、電動モータ3の出力軸3a(
図4参照)に接続されたウォームギヤ43と、を備えている。
【0062】
ウォームホイール41は、円筒部材42と、円筒部材42の外周面の全周に設けられた歯部41aとを備えている。
円筒部材42は、前側基体11の内面にベアリング42aを介して取り付けられており、ウォームホイール41は前後方向の軸線回りに回転自在である。ウォームホイール41は、出力部材7の外周を囲んでいる。
【0063】
ウォームギヤ43は、
図4に示すように、左右方向に延びており、ギヤ収容部16内に収容されている。
ウォームギヤ43の左右の両端部は、ギヤ収容部16の内面にベアリング49,49を介して取り付けられている。ウォームギヤ43は、ギヤ収容部16内で左右方向の軸線回りに回転自在である。
ウォームギヤ43の右端部は、円筒状の連結部材48を介して、電動モータ3の出力軸3aの先端部に接続されている。これにより、ウォームギヤ43は、出力軸3aに連動して左右方向の軸線回りに回転する。
【0064】
ウォームギヤ43の軸方向(左右方向)と、ウォームホイール41の軸方向(前後方向)とは直交している。ウォームギヤ43はウォームホイール41の上部に噛み合っている。そして、ウォームギヤ43の左右方向の軸線回りの回転がウォームホイール41の前後方向の軸線回りの回転に変換される。
【0065】
変換機構46は、ウォームホイール41に接続された回転筒体44と、伝達部材21に外嵌されている直動筒体45と、回転筒体44と直動筒体45との間に設けられたボールねじ機構46aと、を備えている。
【0066】
回転筒体44は、後側基体12の内面にベアリング44aを介して取り付けられており、回転筒体44は前後方向の軸線回りに回転自在である。
回転筒体44の中心軸とウォームホイール41の中心軸とは同一軸線上に配置されている。回転筒体44は、伝達部材21の外周を囲んでいる。伝達部材21のフランジ部21eは、回転筒体44よりも前側に配置されている。
【0067】
回転筒体44とウォームホイール41とは、キー部材である接続部材44bによって回転方向に係合されている。したがって、回転筒体44とウォームホイール41とは、前後方向の軸線回りに連動して回転する。なお、回転筒体44とウォームホイール41とを一体に成形してもよい。
【0068】
直動筒体45は、
図6に示すように、伝達部材21に外嵌されている円筒状の部材である。直動筒体45は、伝達部材21のフランジ部21eよりも後方に配置されている。直動筒体45の前端面は、伝達部材21のフランジ部21eの後面に当接している。
直動筒体45は、基体10(後側基体12)に対して回転不可かつ前後方向に移動自在に取り付けられている。
【0069】
ボールねじ機構46aは、回転筒体44の回転運動を直動筒体45の直線運動に変換するものである。
ボールねじ機構46aは、回転筒体44の内周面に形成された保持溝と、直動筒体45の外周面に形成されたねじ溝と、保持溝およびねじ溝の間に挿入された複数のボールと、を備えている。
【0070】
変換機構46では、回転筒体44が前後方向の軸線回りに正回転すると、ボールねじ機構46aによって直動筒体45が前方に押し出されて、直動筒体45が前方に移動する。
また、変換機構46では、回転筒体44が前後方向の軸線回りに逆回転すると、ボールねじ機構46aによって直動筒体45が後方に押し出されて、直動筒体45が後方に移動する。
【0071】
電子制御装置5は、入力部材2の移動量に応じて電動モータ3の駆動を制御するものであり、
図4に示すように、回路基板51と、回路基板51を収容するハウジング52と、を備えている。
回路基板51は、ストロークセンサ6から得られた情報や予め記憶させておいたプログラムなどに基づいて電動モータ3の駆動を制御する。
【0072】
ハウジング52は、基体10の取付部13の右側面13aに取り付けられている合成樹脂製の箱体である。ハウジング52は、取付部13の右側面13a全体を覆っている。
ハウジング52内の下部空間には、回路基板51が収容され、ハウジング52内の上部空間には電動モータ3が収容されている。
ハウジング52は、基部55と、モータハウジング部56と、電子制御装置ハウジング部57と、蓋部材58とを備えている。基部55、モータハウジング部56および電子制御装置ハウジング部57は、一体成形されている。
このように、本実施形態のハウジング52は、回路基板51を収容するケースであるとともに、電動モータ3を収容するケースも兼ねている。ただし、モータハウジング部56と電子制御装置ハウジング部57とは、別々のケースから構成されていてもよい。
【0073】
基部55は基体10の取付部13に取り付けられる部位である。基部55は、フランジ状を呈しており、取付部13の外形状に対応する外形状を有している。
【0074】
モータハウジング部56は、電動モータ3を収容する部位である。モータハウジング部56の上部の内側形状は、
図7に示すように、電動モータ3の略三角状のフランジ頂部35aが配置される形状とされている。フランジ頂部35aにはモータ固定用の図示しないボルト締結部(ボルト孔)が形成されている。また、モータハウジング部56の前側部の内側形状は、電動モータ3の前フランジ部35bが配置される形状とされている。さらに、モータハウジング部56の後側部の内側形状は、電動モータ3の後フランジ部35cが配置される形状とされている。前フランジ部35bおよび後フランジ部35cには、モータ固定用の図示しないボルト締結部(ボルト孔)がそれぞれ形成されている。一方、基体10の取付部13には、
図3に示すように、前記した各ボルト締結部に対応して3つのボルト挿入部13e(図では2つのみ図示)が突設されている。電動モータ3は、各ボルト挿入部13eから挿通される固定用のボルトを各ボルト締結部に螺合することによって、基体10の取付部13に固定される。
【0075】
図4に示すように、モータハウジング部56の収容空間と電子制御装置ハウジング部57の収容空間とは、連通空間59を通じて連通している。連通空間59には、電動モータ3へのハーネス31が配置されている。ハーネス31は、連通空間59を通じてモータハウジング部56の収容空間から電子制御装置ハウジング部57の収容空間に延在している。ハーネス31は、電子制御装置5の給電コネクタ接続端子52gに電気的に接続されている。電動モータ3を駆動するための電力(電流)は、ハーネス31を通じて電子制御装置5から電動モータ3に供給される。
【0076】
電子制御装置ハウジング部57は、電子制御装置5として機能する回路基板51や機能部品を収容する部位である。電子制御装置ハウジング部57は、基部55に立設された周壁部57aと、周壁部57aの内側に設けられた仕切壁57bと、を備えている。周壁部57aの開口縁部には段差部57nが形成されている。段差部57nには、回路基板51が装着されている。周壁部57aの内側には、
図7に示すように、機能部品として、給電コネクタ接続端子52g、ストロークセンサ接続端子52h、コモンコイル52i等が収容されている。これらの機能部品は、仕切壁57bに取り付けられている。
【0077】
蓋部材58は、
図4に示すように、周壁部57aの開口縁にシール部材S2を介して取り付けられる。蓋部材58は、金属製の部材、例えば、アルミニウム部材から形成されている。蓋部材173は、
図5に示すように、ボルトB5によって、ハウジング52とともに取付部13に取り付けられる。
【0078】
ハウジング52には、
図4に示すように、電気配線部材53の接続部54に接続する筒状のコネクタ52aが設けられている。電気配線部材53は、給電ケーブルや信号ケーブルを含むハーネスである。接続部54は、電気配線部材53の端部に設けられたハーネス側コネクタである。ハウジング52のコネクタ52aに電気配線部材53の接続部54が接続されると、コネクタ52a内に位置する端子52e(
図1および
図7参照)と接続部54内に位置する端子(図示せず)とが電気的に接続される。ただし、
図4等では端子52eの図示を省略している。
【0079】
コネクタ52aは、ハウジング52における基体10の右側面13a側の面である底面52bから該底面52bに垂直な方向に突出して設けられている。
図4では、底面52bは、ハウジング52の左側面(基体10側の側面)に相当しており、コネクタ52aは、底面52bから左方に向けて突出している。コネクタ52aは、ハウジング52の本体とは別体に形成されて、ハウジング52の本体に溶着や接着等によって接合されている。ただし、コネクタ52aは、ハウジング52の本体と一体成形されていてもよい。
【0080】
ハウジング52を取り付ける基体10の右側面13aには、コネクタ52aとの干渉を避ける逃げ部13b(
図6参照)が形成されている。逃げ部13bは、基体10の取付部13の下端部に、コネクタ52aを避けて切り欠くように形成された凹部である。コネクタ52aは、
図6に示すように、逃げ部13bを通じて、基体10の直下に向けて突出している。
【0081】
コネクタ52aは、ハウジング52の底面52bの一端側に設けられている。具体的には、コネクタ52aは、ハウジング52の底面52bにおける電動モータ3側とは反対側の端部(
図4では下端部)に設けられている。
【0082】
ハウジング52は、基体10の右側面13aに、おねじ部材B5(
図5参照)によって固定されている。ハウジング52には、おねじ部材B5が挿通される複数の貫通孔52c(
図7参照)が形成されている。貫通孔52cは、例えばハウジング52にインサート成形等によって埋設された金属製の円筒部材の内面によって与えられる。一方、基体10には、おねじ部材B5が螺合する複数のねじ孔13c(
図6参照)が形成されている。基体10のねじ孔13cは、基体10の右側面13aとハウジング52との固定部として機能する。
【0083】
図6に示すように、基体10のねじ孔13cは、少なくともコネクタ52aを挟んで両側に配置されている。言い換えれば、基体10の逃げ部13bの左右両側に、それぞれねじ孔13cが配置されている。そして、ハウジング52のコネクタ52aの少なくとも一部が、基体10の右側面13aの下端部に位置する一対のねじ孔13cの中心同士を結ぶ仮想直線よりも上側に入り込んでいる。
【0084】
ブレーキ制御装置1は、
図4に示すように、ハウジング52の底面52bと基体10の右側面13aとの間をシールするゴム製の無端状のシール部材S1を備えている。シール部材S1は、
図7に示すように、ハウジング52の底面52bに形成された周溝52fに装着されている。周溝52fは、ハウジング52の基体10側の開口を囲むように形成されている。周溝17aは、モータハウジング部56と電子制御装置ハウジング部57とに亘って形成されている。つまり、ハウジング52は、取付部13の右側面13aに対して共通のシール部材S1でシールされている。そして、ハウジング52のコネクタ52aは、底面52b側から見てシール部材S1の外側に配置されている。
【0085】
本実施形態のブレーキ制御装置1では、
図3に示すように、電動モータ3および電子制御装置5は、マスタシリンダ8の中心軸X1を含む平面で区画した二つの領域のうちの一方の領域に隣り合って配置されている。マスタシリンダ8の中心軸X1は、出力部材7および入力部材2の軸方向L1(
図2、
図4参照)と一致している。ここでは、基体10の右側に電動モータ3および電子制御装置5が配置されている。つまり、マスタシリンダ8の中心軸X1を含む鉛直面(鉛直方向に沿う平面)Fで区画した二つの領域のうちの右側の領域に電動モータ3および電子制御装置5が配置されている。また、電動モータ3および電子制御装置5は上下に並設されている。
【0086】
また、
図2に示すように、電動モータ3の重心G1は、電子制御装置5の重心G2よりもブレーキ制御装置1の車体への取付け側、すなわちダッシュボードの前面に近い方に配置されている。
【0087】
図2〜
図3に示すように、基体10とマスタシリンダ8とは、複数(ここでは二つ)の連結部において着脱自在に連結されている。マスタシリンダ8の後部には、基体10を固定するためのフランジ部81が設けられている。連結部は、ボルトB3と、基体10の前面10aに形成されボルトB3が螺合されるねじ孔(図示せず)と、マスタシリンダ8のフランジ部81に形成されボルトB3が挿通する挿通孔82とから構成される。そして、前記した複数の連結部は、基体10がマスタシリンダ8の中心軸X1回りに向きを変えてマスタシリンダ8に取付可能に設けられている。具体的には、基体10とマスタシリンダ8との複数の連結部(ボルトB3,B3による締結部)は、マスタシリンダ8の中心位置に対して点対称に配置されている。ここでは、二つの連結部が、電動モータ3および電子制御装置5がマスタシリンダ8の右側の領域および左側の領域のいずれか一つに選択的に配置可能に設けられている。
【0088】
したがって、ブレーキ制御装置1では、マスタシリンダ8に対して基体10の取り付け向きを前後方向の軸線(マスタシリンダ8の中心軸X1)回りに半周移動させた状態でも、基体10とマスタシリンダ8とは、二つの連結部において互いに連結することができる。
すなわち、
図3に示すマスタシリンダ8と基体10との連結状態から、マスタシリンダ8に対して基体10の取り付け向き(周方向位置)を前後方向の軸線回りに半周移動させると、基体10の左側(マスタシリンダ8の左側の領域)に電動モータ3および電子制御装置5を配置することができる(
図8参照)。
ただし、
図3では、連結部は二つ設けられているが、これに限定されるものではない。連結部は、例えば同一円周上に等角度間隔に4つ設けられていてもよく、この場合、基体10がマスタシリンダ8の中心軸X1回りに90°の倍数だけ向きを変えてマスタシリンダ8に取付可能となる。
【0089】
次に、ブレーキ制御装置1の動作の概略について説明する。
車両の非制動時には、
図6に示すように、ブレーキ制御装置1の伝達部材21および直動筒体45は、第一コイルばね24aの付勢力よって、後方に向けて押し出されており、収容室15の後壁部の内面に設けたストッパ45aに当接している。また、入力ロッド22のフランジ部22aは、第二コイルばね24bの付勢力によって、伝達部材21に対して後方に押し出されている。これにより、フランジ部22aと後側凹部21cの底面との間に隙間が形成されるとともに、入力ロッド22の前端部と弾性部材23との間に隙間が形成されている。
【0090】
次に、ブレーキペダルPが踏み込まれると、入力ロッド22は前方に向けて移動し、入力ロッド22の前端部が弾性部材23に当接する。これにより、ブレーキペダルPに弾性部材23の反力が作用する。また、入力ロッド22のフランジ部22aが伝達部材21に当接し、伝達部材21が前方に向けて押し出される。
【0091】
また、入力ロッド22に連動して磁石ホルダ25が前方に移動すると、磁石25a(
図5参照)の磁力線の変化をストロークセンサ6が検出し、入力部材2の前方への移動量が電子制御装置5に出力される。電子制御装置5は、ストロークセンサ6の検出結果に応じて、電動モータ3を駆動させ、出力軸3aを正回転させる。
【0092】
出力軸3aの左右方向の軸線回りの回転力は、ウォームギヤ機構47によって前後方向の軸線回りの回転力に変換され、回転筒体44が前後方向の軸線回りに回転する。さらに、回転筒体44の回転力は、ボールねじ機構46aを介して直動筒体45に伝達され、直動筒体45が前方に向けて直進移動する。これにより、直動筒体45が伝達部材21のフランジ部21eを前方に向けて押圧し、伝達部材21とともに出力部材7が前方に向けて押し出される。
【0093】
そして、出力部材7によってマスタシリンダ8のピストン8aが前方に向けて押し出され、マスタシリンダ8内にブレーキ液圧が発生する。このように、通常時のブレーキ操作時には、ブレーキペダルPの踏力および電動モータ3の駆動力によってマスタシリンダ8内にブレーキ液圧が発生する。つまり、通常時のブレーキ操作時には、電動モータ3の駆動力によってマスタシリンダ8への出力がアシストされる。
【0094】
次に、車両の液圧制御装置によって自動ブレーキ制御が作動した場合には、電子制御装置5は、液圧制御装置からの信号に基づいて、電動モータ3を駆動させ、出力軸3aを正回転させる。前記した通常時のブレーキ操作と同様に、出力軸3aの回転力は、駆動伝達機構4によって直動筒体45に伝達され、直動筒体45が前方に向けて直線移動する。そして、直動筒体45が伝達部材21のフランジ部21eを前方に向けて押圧する。このように、自動ブレーキ制御時には、電動モータ3の駆動力のみによって伝達部材21および出力部材7が前方に向けて押し出され、マスタシリンダ8内にブレーキ液圧が発生する。
【0095】
次に、システムが非動時(OFF状態)にブレーキペダルPを踏み込んだ場合(例えば、電力が得られていない場合など)には、ブレーキペダルPの踏力によって、入力ロッド22が前方に移動する。そして、入力ロッド22によって伝達部材21および出力部材7が前方に向けて押し出され、出力部材7によってマスタシリンダ8のピストン8aが前方に向けて押し出される。つまり、入力ロッド22から伝達部材21を介して出力部材7に力を伝達することができる。このように、システムが非動時には、運転者の踏力のみによって、マスタシリンダ8内にブレーキ液圧が発生する。
【0096】
以上説明した本実施形態に係るブレーキ制御装置1では、
図4に示すように、電動モータ3および電子制御装置5は、基体10の外面に形成される取付面としての右側面13aに取り付けられている。電子制御装置5は、コネクタ52aが設けられたハウジング52を有しており、コネクタ52aは、ハウジング52における基体10の右側面13a側の面である底面52bから突出して設けられている。
【0097】
このような本実施形態によれば、電動モータ3と電子制御装置5とが基体10の右側面13aに取り付けられているため、電動モータ3および電子制御装置5のレイアウト性を高めることができる。これにより、電動モータ3の小型化および軽量化を図ることができる。また、コネクタ52aをハウジング52の底面52bから突出するように設けたため、ブレーキ制御装置1をハウジング52の幅方向に小型化することができる。ここで、ハウジング52の幅方向とは、出力部材7および入力部材2の中心軸(軸方向L1)をハウジング52の底面52bに投影した線に対して底面52bの平面内において直交する方向をいう。
すなわち、本実施形態によれば、小型化および軽量化するとともに、車両への搭載性を向上させることができるブレーキ制御装置1を提供できる。
【0098】
また、本実施形態では、基体10の右側面13aには、
図4および
図6に示すように、コネクタ52aとの干渉を避ける逃げ部13bが形成されている。これにより、電子制御装置5を基体10の右側面13aに取り付ける際に、基体10の右側面13aとコネクタ52aとの干渉を避けつつ、コネクタ52aを基体10側へ突出させることができる。このため、ハウジング52の底面52bと基体10の右側面13aとの接触面積を確保しつつ、ハウジング52の小型化を実現できる。
【0099】
また、本実施形態では、
図6に示すように、基体10の右側面13aとハウジング52との固定部として機能する基体10のねじ孔13cは、少なくともコネクタ52aを挟んで両側に配置されている。このため、基体10の右側面13aに逃げ部13bを形成した場合であっても、ハウジング52を基体10の右側面13aに安定して固定することができる。
【0100】
また、本実施形態では、
図7に示すように、シール部材S1がコネクタ52aを避けるように形成されている。このため、シール部材S1は、ハウジング52の底面52bと基体10の右側面13aとの間を、コネクタ52aの部分を避けて良好にシールすることができる。
【0101】
また、本実施形態では、
図4に示すように、電動モータ3および電子制御装置5は、マスタシリンダ8の右側の領域に隣り合って配置され、コネクタ52aは、ハウジング52の底面52bにおける電動モータ3側とは反対側に設けられている。このため、電動モータ3と電子制御装置5とをブレーキ制御装置1の片側の領域のみにコンパクトにレイアウトできるとともに、コネクタ52aに接続部54を介して接続される電気配線部材53の取り回しのスペースを確保することができる。したがって、ブレーキ制御装置1の車両への搭載性をより向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、電動モータ3および電子制御装置5の両方が、基体10における共通の取付面としての右側面13aに取り付けられている。このため、電動モータ3および電子制御装置5のそれぞれを基体10に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態では、
図2に示すように、電動モータ3および電子制御装置5を取り付ける取付面としての基体10の右側面13aは、出力部材7および入力部材2の軸方向L1と平行に配置されている。このため、ブレーキ制御装置1の軸方向長さを小さくでき、電動モータ3と電子制御装置5とを基体10の外面に安定して配置することができる。
【0104】
また、本実施形態では、
図3に示すように、電動モータ3および電子制御装置5を取り付ける取付面は、ブレーキ制御装置1の車両への搭載時における基体10の右側面13aに配置されている。このため、マスタシリンダ8の上部にリザーバ9等が設けられる場合であっても、リザーバ9等との干渉を避けて電動モータ3と電子制御装置5とを配置することができる。
【0105】
また、本実施形態では、
図2に示すように、電動モータ3の重心G1は電子制御装置5の重心G2よりも車体への取付け側に近い方に配置されている。このため、重量の大きい電動モータ3の振動を効果的に抑制でき、ブレーキ制御装置1を安定して保持することができる。
【0106】
また、本実施形態では、
図2に示すように、駆動伝達機構4(
図4および
図6参照)を用いて、電動モータ3の出力軸3aの軸方向L2が出力部材7および入力部材2の軸方向L1と直交して配置されている。このため、電動アクチュエータとしての電動モータ3のレイアウト性を高めることができる。
【0107】
また、本実施形態によれば、電動モータ3の出力軸3aの軸方向L2と出力部材7の軸方向L1とが直交する場合でも、
図4に示すように、ウォームギヤ機構47を用いることによって、電動モータ3の駆動力を出力部材7に効率良く伝達することができる。さらに、ウォームギヤ機構47は、減速比が大きいため、駆動伝達機構4を小型化するとともに、電動モータ3の負荷を下げることができ、電動モータ3を小型化することができる。
【0108】
また、本実施形態では、
図3に示すように、基体10とマスタシリンダ8とを連結する二つの連結部(ボルトB3,B3による締結部)は、基体10がマスタシリンダ8の中心軸X1回りに向きを変えてマスタシリンダ8に取付可能に設けられている。このため、ブレーキ制御装置1を車両に搭載する際に、マスタシリンダ8に対する基体10の取り付け向きを選択できるので、エンジン等の周辺部品の配置に応じたレイアウトに変更することができる。
【0109】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0110】
例えば、前記した実施形態では、
図4に示すように、ハウジング52の底面52bの外周部は、一つの平面を呈しているが、例えば周溝52fが設けられる面とコネクタ52aが設けられる面との間に、底面52bに垂直な方向の段差が形成されていてもよい。
【0111】
また、前記した実施形態では、
図2に示すように、電動モータ3の出力軸3a(
図4参照)の軸方向L2と、出力部材7および入力部材2の軸方向L1とが直交しているが、その交差角度は限定されるものではない。
【0112】
また、前記した実施形態では、
図3に示すように、マスタシリンダ8の右側の領域において、上側に電動モータ3が配置され、下側に電子制御装置5が配置されている。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、マスタシリンダ8の右側の領域において、上側に電子制御装置5が配置され、下側に電動モータ3が配置されてもよい。そして、この場合に、マスタシリンダ8に対して基体10の取り付け向き(周方向位置)を前後方向の軸線回りに例えば半周移動させると、マスタシリンダ8の左側の領域において、上側に電動モータ3が配置され、下側に電子制御装置5が配置されることとなる。
【0113】
また、前記した実施形態では、基体10の右側に電動モータ3および電子制御装置5が配置されているが、マスタシリンダ8に対して基体10の向きを前後方向の軸線回りに移動させることで、基体10の上側、左側または下側に電動モータ3および電子制御装置5を配置することができる。
【0114】
また、前記した実施形態では、
図6に示すように、出力部材7と伝達部材21とが別体に形成されているが、出力部材7と伝達部材21とを一体に形成してもよい。