特許第6558809号(P6558809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社eNFCの特許一覧

特許6558809情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
<>
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000002
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000003
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000004
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000005
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000006
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000007
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000008
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000009
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000010
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000011
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000012
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000013
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000014
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000015
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000016
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000017
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000018
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000019
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000020
  • 特許6558809-情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558809
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20190805BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20190805BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20190805BHJP
   H04B 13/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G06Q20/40 300
   G06K7/10 100
   G06K19/077 228
   H04B13/00
【請求項の数】14
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-113128(P2017-113128)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2018-207382(P2018-207382A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2017年6月8日
【審判番号】不服2018-4478(P2018-4478/J1)
【審判請求日】2018年4月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515304710
【氏名又は名称】株式会社eNFC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100185225
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】和城 賢典
【合議体】
【審判長】 佐藤 智康
【審判官】 田中 秀樹
【審判官】 石川 正二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−134928(JP,A)
【文献】 特開2010−164663(JP,A)
【文献】 特開2007−194642(JP,A)
【文献】 特開2006−134086(JP,A)
【文献】 特開2010−62823(JP,A)
【文献】 特開2010−177998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-50/00
G06F 3/02-3/027
G06F 3/01
H04B 13/00
G06K 7/10
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界通信機能を付与することが可能な通信モジュールが接続されることにより全体に電界信号が重畳されて全体が電界通信端末と電界通信可能に構成された情報処理装置であって、
ユーザの操作を受け付ける、第1の入力部および第2の入力部を有する操作部と、
前記第1の入力部に対する第1の操作が実行されたと判定した場合に、電界通信により取得した情報を用いて、第1の処理を実行し、前記第2の入力部に対する第2の操作が実行されたと判定した場合に、電界通信により取得した情報を用いて、第2の処理を実行する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、前記第1の処理および/または前記第2の処理を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作部は、キーボードにより構成され、
前記第1の操作および前記第2の操作は、それぞれ、前記キーボードにおける所定のキーに対する操作である、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作部は、タッチパネルにより構成され、
前記第1の操作および前記第2の操作は、それぞれ、前記タッチパネルにおける所定の領域に対する操作である、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の処理および前記第2の処理の少なくとも一方は電子決済である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の処理および前記第2の処理の少なくとも一方は認証処理である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の処理および前記第2の処理の少なくとも一方は、前記取得した情報に応じた内容の情報をディスプレイに表示する処理である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記操作部に対して実行された操作と、前記取得した情報とを対応付けて記憶部に記憶させる、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
電界通信機能を付与することが可能な通信モジュールが接続されることにより全体に電界信号が重畳されて電界通信端末と電界通信可能に構成され、ユーザの生体情報を取得可能な生体情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得した生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、電界通信により取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を、電界通信により前記電界通信端末から取得する、
情報処理装置。
【請求項10】
前記生体情報取得部は、前記ユーザの指紋に関する情報を取得可能な指紋センサにより構成される、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
ユーザに装着された状態で、電界通信により情報を送信する電界通信端末と、
電界通信機能を付与することが可能な通信モジュールが接続されることにより全体に電界信号が重畳されて全体が前記電界通信端末と電界通信可能に構成された情報処理装置であって、前記電界通信端末から電界通信により前記情報を取得し、第1の入力部に対する第1操作が実行されたと判定した場合に、前記取得した情報を用いて、第1の処理を実行し、第2の入力部に対する第2の操作が実行されたと判定した場合に、前記取得した情報を用いて、第2の処理を実行する情報処理装置と、
を備える情報処理システム。
【請求項12】
ユーザに装着された状態で、電界通信により情報を送信する電界通信端末と、
電界通信機能を付与することが可能な通信モジュールが接続されることにより全体に電界信号が重畳されて前記電界通信端末と電界通信可能に構成され、且つ前記ユーザの生体情報を取得可能な生体情報取得部において、前記電界通信端末から電界通信により前記情報を取得し、前記生体情報取得部により取得した生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、前記取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する情報処理装置であって、前記生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を、電界通信により前記電界通信端末から取得する情報処理装置と、
を備える情報処理システム。
【請求項13】
電界通信機能を付与することが可能な通信モジュールが接続されることにより全体に電界信号が重畳されて全体が電界通信端末と電界通信可能に構成された情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
第1の入力部および第2の入力部を有する操作部に対して実行された操作を検知するステップと、
電界通信により、前記電界通信端末から情報を取得するステップと、
前記第1の入力部に対する第1の操作が実行されたと判定した場合に、前記取得した情報を用いて、第1の処理を実行し、前記第2の入力部に対する第2の操作が実行されたと判定した場合に、前記取得した情報を用いて、第2の処理を実行するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項14】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
電界通信機能を付与することが可能な通信モジュールが接続されることにより全体に電界信号が重畳されて電界通信端末と電界通信可能に構成された生体情報取得部において、ユーザの生体情報を取得するステップと、
前記生体情報取得部において、電界通信により、電界通信端末から情報を取得するステップと、
前記取得された生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、前記取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行するステップと、
を含み、
前記ユーザの生体情報を取得するステップにおいて、前記生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を、電界通信により前記電界通信端末から取得する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界信号を用いた電界通信により取得した情報と、他の入力とに基づいて、所定の処理を実行可能な情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触IC(Integrated Circuit)カードを用いて決済を行う装置が知られている。例えば、特許文献1には、タッチパネルを備える端末装置を用いて購入する商品を選択し、ICカードを用いて決済を行うシステムが開示されている。
【0003】
また、従来、本人の認証を行う装置において、安全性を高めるために、複数の認証方法を組み合わせることが知られている。例えば、特許文献2には、暗証番号による認証と生体認証とを併用した認証装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−215697号
【特許文献2】特開2008−158627号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシステムを用いて決済を行う場合、ユーザは、タッチパネルで操作を行った後、リーダライタにICカードをかざす動作を行う必要がある。ユーザが行う動作を減少させることができれば、ユーザの負担を減らすことができ、ユーザにとって有用性が高まる。
【0006】
また、特許文献2に開示された認証装置を用いて認証を行う場合、ユーザは認証のために複数の動作を行う必要がある。安全性を高めるために複数の認証方法を組み合わせると、認証を行うためにユーザが行う動作は多くなる。しかしながら、動作が増えるほど、ユーザは煩わしさを感じやすくなる。ユーザの動作を増やすことなく、安全性を高めることができれば、ユーザにとって有用性が高まる。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、有用性を向上可能な情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の観点に係る情報処理装置は、
電界通信端末と電界通信可能に構成され、ユーザの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部に対して所定の操作が実行されたことを検知した場合に、電界通信により取得した情報を用いて所定の処理を実行する制御部と、
を備える。
【0009】
また、第2の観点に係る情報処理装置は、
前記制御部は、前記取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する。
【0010】
また、第3の観点に係る情報処理装置は、
前記操作部は、キーボードにより構成され、
前記所定の操作は、前記キーボードにおける所定のキーに対する操作である。
【0011】
また、第4の観点に係る情報処理装置は、
前記操作部は、タッチパネルにより構成され、
前記所定の操作は、前記タッチパネルにおける所定の領域に対する操作である。
【0012】
また、第5の観点に係る情報処理装置は、
前記所定の処理は電子決済である。
【0013】
また、第6の観点に係る情報処理装置は、
前記所定の処理は認証処理である。
【0014】
また、第7の観点に係る情報処理装置は、
前記所定の処理は、前記取得した情報に応じた内容の情報をディスプレイに表示する処理である。
【0015】
また、第8の観点に係る情報処理装置は、
前記制御部は、前記操作部に対して実行された操作と、前記取得した情報とを対応付けて記憶部に記憶させる。
【0016】
また、第9の観点に係る情報処理装置は、
電界通信端末と電界通信可能に構成され、ユーザの生体情報を取得可能な生体情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得した生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、電界通信により取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する制御部と、
を備える。
【0017】
また、第10の観点に係る情報処理装置は、
前記生体情報取得部は、前記ユーザの指紋に関する情報を取得可能な指紋センサにより構成される。
【0018】
また、第11の観点に係る情報処理装置は、
前記制御部は、前記生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を、電界通信により前記電界通信端末から取得する。
【0019】
また、第12の観点に係る情報処理システムは、
ユーザに装着された状態で、電界通信により情報を送信する電界通信端末と、
前記電界通信端末から電界通信により前記情報を取得し、操作部に対して所定の処理が実行されたことを検知した場合に、前記取得した情報を用いて所定の処理を実行する情報処理装置と、
を備える。
【0020】
また、第13の観点に係る情報処理システムは、
ユーザに装着された状態で、電界通信により情報を送信する電界通信端末と、
前記ユーザの生体情報を取得可能な生体情報取得部において前記電界通信端末から電界通信により前記情報を取得し、前記生体情報取得部により取得した生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、前記取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する情報処理装置と、
を備える。
【0021】
また、第14の観点に係る情報処理方法は、
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
操作部に対して実行された操作を検知するステップと、
電界通信により、電界通信端末から情報を取得するステップと、
前記操作部に対して所定の操作が実行されたことを検知した場合に、前記取得した情報を用いて所定の処理を実行するステップと、
を含む。
【0022】
また、第15の観点に係る情報処理方法は、
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
生体情報取得部においてユーザの生体情報を取得するステップと、
前記生体情報取得部において、電界通信により、電界通信端末から情報を取得するステップと、
前記取得された生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、前記取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法によれば、有用性を向上可能である。
【0024】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの概略図である。
図2図1の情報処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3図1の情報処理装置の電界通信装置としての動作の仕組みを説明する概略図である。
図4図3における端末装置の機能を模式的に示す図である。
図5図1の電界通信端末の本体の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6】電界通信端末を誘電体に結合させた状態を模式的に示す図である。
図7】情報処理装置と電界通信端末との間で電界通信を確立可能な結合状態の一例を模式的に示す図である。
図8】情報処理装置と電界通信端末との間で電界通信を確立しない結合状態の一例を模式的に示す図である。
図9】電界通信端末を人体に結合して構成した情報処理システムの一例を模式的に示す図である。
図10図2の情報処理装置の制御部による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの概略図である。
図12図11の情報処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図13図12の情報処理装置の制御部による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムの概略図である。
図15図14の情報処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図16図15の情報処理装置の制御部による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図17】本発明の第4実施形態に係る情報処理システムの概略図である。
図18図17の情報処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図19図18の情報処理装置の制御部による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図20】電界通信端末の一変形例の概略構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理システム1の概略図である。情報処理システム1は、情報処理装置110と、電界通信端末120とを備える。
【0028】
本実施形態において、情報処理装置110は、パーソナルコンピュータにより実現されているとして、以下説明する。ただし、情報処理装置110は、パーソナルコンピュータに限られず、本実施形態において説明する機能を有する端末装置等の任意の装置により実現されてよい。情報処理装置110は、電界信号を用いた電界通信可能に構成されている。
【0029】
電界通信端末120は、ユーザが装着して使用する。電界通信端末120は、例えば手首または腕等に装着される。電界通信端末120は、ユーザに装着された状態で、電界信号を用いた電界通信可能に構成されている。
【0030】
電界通信端末120は、本体121と、装着部122とを備える。本体121は、電界通信端末120が電界通信を行うための各機能部を備える。本体121が備える各機能部の詳細については後述する。装着部122は、ユーザが電界通信端末120の装着状態を維持するための機構である。装着部122は、例えば、ユーザが手首または腕等に巻きつけて装着可能なベルト、リストバンドまたはアームバンドとして構成されている。ただし、装着部122は、ベルトに限られず、ユーザが着脱可能な任意の形態として構成されていてよい。装着部122は、例えば指輪の形状を有し、ユーザの指に着脱可能に構成されていてもよい。本実施形態では、電界通信端末120がユーザの手首に装着されるとして、以下説明する。
【0031】
情報処理装置110と、電界通信端末120とは、誘電体である人体(ユーザ)を伝送媒体として、電界通信を行う。従って、電界通信端末120を装着したユーザが、情報処理装置110に触れたときに、電界通信が実行される。
【0032】
図2は、図1の情報処理装置110の概略構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、情報処理装置110は、制御部111と、操作部112と、記憶部113と、表示部114と、通信モジュール115とを備える。
【0033】
制御部111は、情報処理装置110の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置110の全体を制御および管理するプロセッサである。制御部111は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、例えば記憶部113または外部の記憶媒体に格納される。
【0034】
制御部111は、操作部112に対して所定の処理が実行されたことを検知した場合に、電界通信により電界通信端末120から取得した情報を用いて、所定の処理を実行する。制御部111が実行する処理の詳細については、後述する。
【0035】
操作部112は、ユーザの操作を受け付ける。本実施形態では、操作部112は、例えばキーボードにより構成されていてよい。ただし、操作部112はキーボードに限られず、ユーザの操作を受け付け可能な任意の部材により構成されていてよい。例えば、操作部112は、マウス、操作ボタンおよび操作レバー等により構成されていてよい。ユーザが操作部112に対して操作を実行すると、実行された操作に関する内容を示す信号が制御部111に入力される。
【0036】
記憶部113は、半導体メモリまたは磁気メモリ等で構成することができ、各種情報や情報処理装置110を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部113は、ワークメモリとしても機能してよい。記憶部113は、例えば、制御部111が所定の処理を実行するための条件に関する情報を記憶する。記憶部113は、例えば、操作部112に対して実行された操作のログを記憶してもよい。
【0037】
表示部114は、各種情報を表示する。表示部114は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、または無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等の周知のディスプレイにより構成されていてよい。
【0038】
通信モジュール115は、情報処理装置110を、電界信号による電界通信可能な電界通信装置として機能させる。すなわち、通信モジュール115の入出力端子が情報処理装置110の基板グランドまたは筐体等の金属部に接続され、当該基板グランドまたは筐体等の金属部が結合電極として動作する。これにより、情報処理装置110は、誘電体を通して接触または近接する電界通信端末120との間で電界信号を送受信する。
【0039】
図3は、情報処理装置110の電界通信装置としての動作の仕組みを説明する概略図である。通信モジュール115は、第1入出力端子116aと、送受信機116と、端末線路117とを備える。送受信機116と、端末線路117とは、第1入出力端子116aに電気的に接続されている。送受信機116は、電界通信端末120との通信において、例えば10kHzから10GHzの高周波信号(または高周波電力)を送受信する。第1入出力端子116aは、仮想的なグランドとして機能する端末線路117に接続されている。端末線路117の詳細については後述する。第1入出力端子116aは、端末線路117に代えて、グランドに接続されていてもよい。
【0040】
送受信機116は、第2入出力端子116bに接続されている。第2入出力端子116bは、誘電体と結合する結合電極として機能する。情報処理装置110においては、少なくとも操作部112の一部が第2入出力端子116bとして機能する。情報処理装置110において、全体(本体)が第2入出力端子116bとして機能してもよい。本実施形態では、情報処理装置110の全体が第2入出力端子116bとして機能するとして、以下説明する。第2入出力端子116bが、人体により構成される伝送媒体130に電気的に結合されると、情報処理装置110と、電界通信端末120との間における電界通信が確立される。
【0041】
ここで、仮想的なグランドとして機能する端末線路117について説明する。第1入出力端子116aは、端末線路117と電気的に結合されている。端末線路117は、金属等の導体又は誘電体により構成される。なお、ここでは一例として、送受信機116が高周波信号を送信する場合について説明する。
【0042】
送受信機116が電界通信端末120との電界通信により高周波信号を送信する場合、端末線路117に結合された送受信機116の第1入出力端子116aから端末線路117に電流が流れる。これと同時に、端末線路117に流れる電流と大きさが同じで向きが逆の電流が、第2入出力端子116bから、人体等により構成される伝送媒体130に流れる。このようにして、送受信機116は、高周波信号を伝送媒体130に送り出す。
【0043】
端末線路117は、90度の電気長を有する。90度の電気長とは、第1入出力端子116aに接続された端部117aからもう一方の端部117bまでの線路の長さが、伝送する高周波信号の波長の4分の1の長さ、すなわち、第1入出力端子116aに接続された端部117aからもう一方の端部117bまでに至るあいだに、伝送する高周波信号の位相が90度進む長さである。
【0044】
従って、第1入出力端子116aに接続された端部117aから端末線路117側に流れる電流が、端末線路117のもう一方の端部117bで反射し、一往復してふたたび第1入出力端子116aに接続された端部117aに戻ると、それまでの間に2分の1波長分の距離を経て、位相が180度進む。
【0045】
このとき、図3に示すように、電気長が90度、すなわち長さが伝送する高周波信号の波長の4分の1で、端部117bが開放された端末線路117に、送受信機116が高周波信号を入力するので、端部117bの電圧振幅が最大で電流振幅がゼロ、端部117aの電圧振幅がゼロで電流振幅が最大の定在波が端末線路117に発生し、端部117aに電流が流れる。すなわち、端末線路117が90度の電気長を有する場合には、端部117aの電圧振幅がゼロである一方、電流が流れるので、図4に模式的に示すように、端部117aは、仮想的にグランドに短絡されたように機能する。そのため、端末線路117に接続された第1入出力端子116aは、仮想的にグランドに接続された短絡端子とみなすことができる。
【0046】
図3に示すように、端末線路117の電気長が90度、すなわち、端末線路117の、送受信機116の第1入出力端子116aに接続される端部117aから入力された信号がもう一方の端部117bで反射して一往復してくる反射波の位相が180度のとき、第1入出力端子116aに流れる電流が最大になる。そのため、端末線路117の電気長が90度の場合、最も効率的に電界通信が行われる。ただし、電界通信を行うに際しては、端末線路117の電気長が90度を中心に±45度の範囲内、つまり反射波の位相が90度より大きく270度より小さい範囲内で動作しても、高周波を伝送するための所定の効果を生じる。従って、端末線路117は、90度を中心に±45度の範囲内を含む、ほぼ90度の電気長を有していればよい。また、端末線路117は、((2n+1)・90±45)度の電気長(但し、nは0以上の整数)を有していてもよい。端末線路117は、((2n+1)・90±45)度の電気長を有する場合、図3を参照して説明したのと同様の原理により、仮想的なグランドとして機能する。
【0047】
次に、電界通信端末120の構成について説明する。上述のように、電界通信端末120は、本体121と、装着部122とを備える。
【0048】
図5は、電界通信端末120の本体121の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。本体121は、記憶部123と、送受信機124と、第1結合電極125と、第2結合電極126とを備える。
【0049】
記憶部123は、各種情報を記憶する。記憶部123は、例えばIC(Integrated Circuit)チップにより構成されていてよい。記憶部123は、例えば電界通信端末120と1対1に対応付けられた固有の識別情報(以下「ID」ともいう)を記憶する。IDは、例えば電界通信端末120のユーザと1対1に対応付けられていてもよい。
【0050】
送受信機124は、情報処理装置110との電界通信において、例えば10kHzから10GHzの高周波信号(または高周波電力)を送受信する。送受信機124の機能は、上述した送受信機116と同様であってよい。送受信機124は、第1結合電極125および第2結合電極126と電気的に結合されている。
【0051】
第1結合電極125および第2結合電極126は、ユーザが電界通信端末120を装着した状態(以下「装着状態」ともいう)において、誘電体である人体と結合する結合電極である。すなわち、第1結合電極125および第2結合電極126は、本体121において、装着状態で、ユーザと接触する位置に配置される。
【0052】
電界通信端末120は、図3で説明したものと同様の原理で、電界通信を行うことができる。電界通信を行う際、送受信機124、第1結合電極125および第2結合電極126は、それぞれ図3における送受信機116、第2入出力端子116bおよび第1入出力端子116aに対応する機能を有する。そして、第1結合電極125に接触する人体の一部(例えば手首よりも末端側)が、図3における伝送媒体130として機能し、第2結合電極126に接触する人体の一部(手首よりも末端側を除く体全体)が、図3における端末線路117と同様に機能する。
【0053】
ここで、人体が伝送媒体および端末線路として機能する原理について説明する。図6は、電界通信端末120を誘電体700に結合させた状態を模式的に示す図である。図6では、誘電体700を模式的に円柱形状で示している。
【0054】
図6に示すように、円柱形状の誘電体700は、第1底面(第1端)710aおよび第2底面(第2端)710bを備える。円柱形状の誘電体700の高さは、誘電体700の底面(第1底面710aおよび第2底面710b)の直径よりも長い。以下、円柱の高さ方向を長手方向ともいう。
【0055】
電界通信端末120は、第1結合電極125および第2結合電極126が誘電体700の長手方向に沿って並ぶように、誘電体700に結合される。ここでは、第1底面710aに近い側に第1結合電極125が結合され、第2底面710bに近い側に第2結合電極126が結合されるとする。
【0056】
電界通信端末120が結合された誘電体700において、第1結合電極125が結合された位置よりも第1底面710a側の領域を第1領域700aとし、第2結合電極126が結合された位置よりも第2底面710b側の領域を第2領域700bとする。第1領域700aの高さ(長手方向の長さ)をLaとし、第2領域700bの高さをLbとする。ユーザが、電界通信端末120の第1結合電極125および第2結合電極126を、誘電体700に対して、次に説明する所定の位置に結合させることにより、第1領域700aは伝送媒体として機能し、第2領域700bは端末線路として機能する。
【0057】
ここで、第1領域700aが伝送媒体として機能し、第2領域700bが端末線路として機能するための上記所定の位置について説明する。電界通信端末120は、誘電体700において、長さLbが((2n+1)・90)度の電気長となる位置に結合される。長さLbが((2n+1)・90)度の電気長である場合、図7に示すように第1領域700aが、模式的に示される情報処理装置110本体により構成される第2入出力端子116bと結合すると、電界通信端末120、誘電体700および情報処理装置110により電界通信可能な情報処理システム1が確立される。この場合、図4を参照して説明した原理により、第2領域700bの第2底面710bにおいて、電圧振幅が最大で電流振幅がゼロ、第2領域700bの第2結合電極126が結合された側の端部において、電圧振幅がゼロで電流振幅が最大の定在波が発生する。そのため、送受信機124から、第2結合電極126を介して誘電体700の第2領域700bに向かって電流が流れるとともに、第1結合電極125を介して第1領域700aに向かって電流が流れる。その結果、電界通信端末120は、情報処理装置110との間で、第1領域700aを伝送媒体とした通信を行うことが可能になる。このように、第2領域700bは、図3で示した端末線路117と同様の機能を有する。
【0058】
なお、図3の説明でも述べたように、端末線路117の電気長が90度を中心に±45度の範囲内、つまり反射波の位相が90度より大きく270度より小さい範囲内で動作しても、高周波を伝送するための所定の効果を生じる。そのため、第2領域700bが端末線路として機能するためには、長さLbは、((2n+1)・90±45)度の範囲の電気長となる位置に結合されればよい。
【0059】
ここで、電界通信端末120は、誘電体700において、長さLaが(2n・90)度の電気長となる位置に結合される。仮に、長さLaも、長さLbと同様に((2n+1)・90)度の電気長である場合、図8に示すように第2領域700bが情報処理装置110の第2入出力端子116bと結合すると、第1領域700aが端末線路として機能し、第2領域700bが伝送媒体として機能する。すなわち、この構成では、第1領域700aおよび第2領域700bのいずれも、端末線路として機能し得る。
【0060】
しかしながら、情報処理装置110を、誘電体700において、第1領域700aの長さLaが(2n・90)度の電気長となる位置に結合した場合、第1領域700aの第1結合電極125が結合された側の端部において、図3に示した定在波は発生しない。そのため、図8に示すように第2領域700bが情報処理装置110の第2入出力端子116bと結合しても、第1領域700aは端末線路として機能せず、仮想的なグランドが形成されないので、電界通信端末120と情報処理装置110との間で、通信が確立されない。
【0061】
このように、第1領域700aの長さLaが(2n・90)度の電気長となり、第2領域700bの長さLbが(2(n+1)・90)度の電気長となる位置に電界通信端末120を結合させた場合、誘電体700の第2領域700bは、端末線路として機能するが、誘電体700の第1領域700aは、端末線路として機能しない。そのため、電界通信端末120は、情報処理装置110の第2入出力端子116bが、第1領域700aに結合した場合に通信が確立され、第2領域700bに結合した場合には通信が確立されない。
【0062】
このように、電界通信端末120を誘電体700の所定の位置に結合することにより、誘電体700において、第2入出力端子116bである情報処理装置110本体と結合した際に通信を確立可能な領域と通信を確立不可能な領域とを形成することができる。すなわち、このようにして、誘電体700において通信を確立可能な領域を制限することができる。そのため、電界通信端末120を、誘電体700において上記所定の位置に結合した場合、通信を確立可能な領域を制限できるので、意図しない通信が発生しにくくなり、意図しない情報の漏えいを防止しやすくなる。本実施形態における電界通信端末120によれば、この点において安全性が向上する。
【0063】
なお、電界通信端末120は、第1領域700aの長さLaが第1領域700aにおいて定在波が発生しない長さとなる位置に結合されればよい。そのため、電界通信端末120は、長さLaが(2n・90±45)度の範囲の電気長となる位置に結合されればよい。
【0064】
図9は、電界通信端末120を誘電体である人体720に結合して構成した情報処理システム1の一例を示す図である。図9に示すように、電界通信端末120は、例えば人体の手首等に装着されることによって、第1結合電極125および第2結合電極126と人体720とが結合される。このとき、第1結合電極125および第2結合電極126は、腕の胴体側から末端側に沿って並ぶように、人体720に結合される。電界通信端末120を人体720に結合する場合、電界通信端末120は、例えばリストバンドまたはアームバンド等、手首または腕等に装着可能な態様で形成されてもよい。
【0065】
電界通信端末120を人体720に結合させると、電界通信端末120は、末端側に結合した第1結合電極125から末端(例えば指先)までが図6に示した第1領域700a、胴体側の第2結合電極126から腕、胴体および足の全体が図6に示した第2領域700bとなるよう、所定の周波数の電界信号を使用する。当該所定の周波数は、例えば13.56MHzとすることができる。電界信号の周波数が13.56MHzである場合、胴体側の第2結合電極126を、手首付近で人体720に結合させると、成人の一般的な身長(例えば170cm)の人体720において、第2領域の長さが約90度の電気長となり、第1領域の長さが45度未満の電気長となる。以下、電界通信端末120が使用する信号の周波数は、13.56MHzであるとして説明する。また、末端側の第1結合電極125から末端(例えば指先)までを、人体720の末端側720aといい、胴体側の第2結合電極126から腕、胴体および足の全体を、人体720の胴体側720bという。
【0066】
電界通信端末120を装着した人体720が、例えば指先で情報処理装置110の本体に触れると、人体720の胴体側720bにおいて、定在波が発生し、仮想的なグランドが形成される。すなわち、胴体側720bが端末線路として機能する。また、末端側720aは、伝送媒体として機能する。これにより、伝送媒体として機能する人体720を介して、情報処理装置110と、電界通信端末120との間で電界通信が実現される。
【0067】
本実施形態においては、電界通信端末120を装着した人体720の胴体側720bが第2入出力端子116bと結合しても、末端側720aは、端末線路として機能しないので、通信が確立されない。すなわち、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、電界通信を実現可能な一方で、意図しない通信が発生しにくくなるため、意図しない情報の漏えいを防止しやすくなり、安全性が向上する。
【0068】
本実施形態に係る情報処理システム1において、上述の原理により情報処理装置110と、電界通信端末120との間で電界通信が行われる。電界通信により、情報処理装置110は、電界通信端末120から所定の情報を受信する。情報処理装置110は、例えば、記憶部123に記憶されたIDを受信する。情報処理装置110の制御部111は、操作部112に対して所定の処理が実行されてことを検知し、且つ、電界通信端末120から取得した情報(例えばID)が所定の条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する。
【0069】
ここで、制御部111が実行する処理の詳細について説明する。図10は、情報処理装置110の制御部111による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
制御部111は、操作部112に対して所定の操作が実行されたことを検知した場合に、電界通信により取得した情報を用いて所定の処理を実行する。本実施形態では、制御部111は、電界通信により取得した情報が、取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する。
【0071】
ここでは、一例として、情報処理装置110が、所定の処理として、ログイン処理を行う場合について説明する。情報処理装置110は、特定のユーザのみが認証されてログインし、使用できるとする。情報処理装置110の記憶部113には、情報処理装置110にログイン可能なユーザに対応付けられたIDが予め記憶されている。
【0072】
電界通信端末120を装着したユーザが、操作部112に対して操作を実行したとする。この場合、操作部112は、実行された操作に関する内容を示す信号を制御部111に出力する。制御部111は、操作部112から出力された信号を取得することにより、操作部112に対して実行された操作を検知する(ステップS11)。これにより、制御部111は、例えばキーボードとして構成される操作部112において、どのキーが操作(押下)されたかを検知できる。
【0073】
情報処理装置110は、通信モジュール115の入出力端子が操作部112を含む金属部または誘電体部に接続され、操作部112を電界通信の結合電極として動作させる。例えば、キーボードを電界通信の結合電極として動作させることができる。情報処理装置110は、ユーザが操作部112を操作した際に、人体を伝送媒体として、電界通信端末120と電界通信を実行する。ここでは、キーボードが結合電極となっているため、人体が結合電極であるキーボードに接触または近接したとき、例えばユーザがキーボードの操作をしたとき、情報処理装置110は、人体を伝送媒体として、電界通信端末120と電界通信を実行する。制御部111は、電界通信により、電界通信端末120から、記憶部123に記憶された所定の情報を取得する(ステップS12)。ここでは、所定の情報が、電界通信端末120のID、すなわちユーザに対応付けられたIDであるとして説明する。
【0074】
制御部111は、ステップS11で検知した操作と、ステップS12で取得した情報とに基づき、例えばユーザの認証を行うことができる。本実施形態では、制御部111は、ステップS13およびステップS14により、認証を行う。
【0075】
すなわち、制御部111は、ステップS11で検知した操作が、操作に関する条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。操作に関する条件は、例えば、認証を行うためにユーザが実行することを要求される操作に関する所定の条件である。操作に関する条件は、例えば、キーボードにおける所定のキー(例えばEnterキーまたはスペースキー等)を操作することであってよい。ここでは、操作に関する条件が、Enterキーを押下する操作であるとして説明する。
【0076】
制御部111は、ステップS11で検知した操作が、操作に関する条件を満たすと判定した場合(ステップS13のYes)、ステップS12で取得した情報が、取得情報に関する条件を満たすか否かを判定する(ステップS14)。取得情報に関する条件は、例えば、認証を行うために、電界通信端末120から取得した情報が、予め登録等された情報と一致するか否かを判定するための条件である。
【0077】
例えば、ステップS12において、電界通信端末120から、所定の情報としてIDを取得する場合、制御部111は、ステップS14において、取得したIDが予め情報処理装置110の記憶部113に記憶されているIDと一致するか否かを判定する。制御部111は、例えば、電界通信端末120から取得したIDが記憶部113に記憶されているIDと一致する場合、取得情報に関する条件を満たすと判定する。この場合、電界通信端末120を装着したユーザが、ログイン権限を有する正当なユーザであると判定できる。制御部111は、例えば、電界通信端末120から取得したIDが記憶部113に記憶されているIDと一致しない場合、取得情報に関する条件を満たさないと判定する。この場合、電界通信端末120を装着したユーザが、ログイン権限を有さない不正なユーザであると判定できる。
【0078】
制御部111は、ステップS12で取得した情報が、取得情報に関する条件を満たすと判定した場合(ステップS14のYes)、所定の処理を実行する(ステップS15)。所定の処理は、例えばユーザの認証が成功したことに関する処理であってよい。すなわち、所定の処理は、例えばログイン処理であってよい。所定の処理は、例えば、情報処理装置110にロックがかかっている場合、ロックを解除する処理であってもよい。所定の処理は、例えば認証が成功したことに伴う表示部114の表示を変更する処理を含んでもよい。ここでの表示部114の表示を変更する処理は、認証が成功したことを示す画面をユーザに通知する処理であってよい。
【0079】
一方、制御部111は、ステップS11で検知した操作が、操作に関する条件を満たさないと判定した場合(ステップS13のNo)、ステップS15における所定の処理を実行することなく、このフローを終了する。また、制御部111は、ステップS12で取得した情報が、取得情報に関する条件を満たさないと判定した場合(ステップS14のNo)、ステップS15における所定の処理を実行することなく、このフローを終了する。
【0080】
このように、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、情報処理装置110は、操作部112に対して所定の操作が実行されたことを検知し、電界通信端末120から取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する。これにより、例えば、上述のように予め記憶部113に記憶されていないユーザに対応付けられたIDの電界通信端末120を装着したユーザが操作を操作部112に対して操作を実行した場合には、所定の処理(例えばログイン処理)が実行されない一方、予め記憶部113に記憶されていないユーザに対応付けられたIDの電界通信端末120を装着したユーザが操作部112に対して所定の操作を行うと、所定の処理(例えばログイン処理)が実行される。そのため、不正なユーザによる不正なログインを防止しやすくなるとともに、正当なユーザにとっては、所定の操作(例えばEnterキーの押下)を、あたかもログイン操作であるかのように感じさせることができる。つまり、正当なユーザにとっては、例えばパスワードまたは暗証番号を入力させる等の負担を強いることなく、簡単な操作でログインを実行させることができる。そのため、情報処理システム1によれば、ユーザにとっての利便性および有用性を向上可能である。
【0081】
また、情報処理装置110は、上述のように、操作部112に対して実行された操作が操作に関する条件を満たし、且つ、電界通信により電界通信端末120から取得した情報が取得情報に関する条件を満たした場合に、所定の処理を実行する。そのため、例えば、仮に不正なユーザが、他のユーザに対応付けられたIDを有する電界通信端末120を装着して、情報処理装置110に対して操作を行う場合、不正なユーザは、情報処理装置110が所定の処理を実行するために判定する操作に関する条件を知らなければ、情報処理装置110においてログインすることが難しくなる。これにより、情報処理システム1によれば、システムの安全性を向上することができる。
【0082】
本実施形態において、情報処理装置110は、操作部112に対して実行された操作と、電界通信により電界通信端末120から取得した情報とを対応付けて記憶部113に記憶してもよい。例えば、情報処理装置110は、操作部112であるキーボードに対してユーザが行った操作と、電界通信端末120から取得したIDとを対応付けて記憶部113に記憶してよい。記憶部113に記憶される、キーボードに対してユーザが行った操作は、例えば、キーボード上のどのキーを入力したか等である。これにより、情報処理装置110は、どのIDの電界通信端末120を使用するユーザが、どのような操作を行ったかというログを記録することができる。
【0083】
上記例では、情報処理装置110がパーソナルコンピュータである場合の例について説明したが、情報処理装置110はこれに限られない。例えば、情報処理装置110は、例えば金属、木材または石材等の材料を加工する工作機械として構成することができる。情報処理装置110が工作機械として構成される場合、例えば、工作機械を操作するための操作ボタンまたは操作レバー等が操作部112として機能する。あるいは、操作部112を含む工作機械全体が、電界通信の結合電極として機能してもよい。電界通信端末120を装着したユーザが、操作部112において、工作機械を操作するための操作を行う。このとき、工作機械として構成された情報処理装置110と、電界通信端末120との間で、電界通信が行われる。工作機械は、操作部112を操作するユーザが、予め記憶されたIDに対応付けられたユーザである場合でなければ、所定の処理としての加工処理を開始しない。このような例では、例えば、登録されていないユーザが工作機械を操作することにより、工作機械が動作することを防止しやすくなる。また、使用するために所定の技能を有する工作機械の場合、当該所定の技能を認定されたユーザのみに、工作機械の使用権限を与えることができる。また、例えば複雑な操作を要する工作機械の場合、ユーザが、定められた所定の操作を行った場合(例えば所定の順序で複数の操作ボタンまたは操作レバーを操作した場合等)でなければ、工作機械が動作しないため、工作機械による誤動作を防止しやすくなる。このようにして、工作機械の誤動作による災害または事故を防止しやすくなる。
【0084】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態に係る情報処理システム2の概略図である。情報処理システム2は、情報処理装置210と、電界通信端末120とを備える。電界通信端末120の構成は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0085】
本実施形態において、情報処理装置210は、タッチパネル216を有する表示装置により実現されているとして、以下説明する。具体的には、情報処理装置210は、例えば、携帯電話機、タブレット端末または電子看板等により構成されていてよい。ただし、情報処理装置210は、これらの例に限られず、本実施形態において説明する機能を有する任意の装置により実現されてよい。
【0086】
タッチパネル216は、ユーザの指、ペン、またはスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネル216の検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(または超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、および荷重検出方式等の任意の方式を用いることができる。タッチパネル216は、ディスプレイとしても機能するタッチスクリーンディスプレイとして構成されていてもよい。本実施形態では、タッチパネル216は、タッチスクリーンディスプレイとして構成されているとして、以下説明する。
【0087】
本実施形態において、ユーザは、情報処理装置210を用いて、インターネットを介した商品の購入(「オンラインショッピング」とも呼ばれる)を行うことができる。すなわち、本実施形態において、情報処理装置210は、タッチパネル216に対するユーザの操作入力に基づいて、インターネットを介して購入可能な商品を表示し、購入を希望する商品の入力を受け付けることができる。また、情報処理装置210は、電子マネーを用いた電子決済の処理を実行することができる。
【0088】
情報処理装置210は、電界信号を用いた電界通信可能に構成されている。情報処理装置210内の通信モジュール215の入出力端子は情報処理装置210のグランドまたは筐体等に接続され、これにより、情報処理装置210は電界通信の結合電極として動作する。すなわち、情報処理装置210と、電界通信端末120とは、誘電体である人体(ユーザ)を伝送媒体として、電界通信を行うことができる。従って、電界通信端末120を装着したユーザが、情報処理装置210に触れたときに、電界通信が実行される。情報処理装置210は、その一部、例えばタッチパネル216のみが、電界通信可能に構成されていてもよい。
【0089】
図12は、図11の情報処理装置210の概略構成を示す機能ブロック図である。図12に示すように、情報処理装置210は、制御部211と、操作部212と、記憶部213と、通信部214と、通信モジュール215とを備える。
【0090】
制御部211は、情報処理装置210の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置210の全体を制御および管理するプロセッサである。制御部211は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、例えば記憶部213または外部の記憶媒体に格納される。
【0091】
制御部211は、操作部212に対して所定の処理が実行されてことを検知した場合に、電界通信により電界通信端末120から取得した情報を用いて、所定の処理を実行する。制御部211が実行する処理の詳細については、後述する。
【0092】
操作部212は、ユーザの操作を受け付ける。本実施形態では、操作部212は、例えばタッチパネル216により構成されている。本実施形態では、タッチパネル216がタッチスクリーンディスプレイとして構成されているため、操作部212は、情報を表示する表示部としても機能する。なお、操作部212はタッチパネル216に限られず、ユーザの操作を受け付け可能な任意の部材により構成されていてよい。
【0093】
操作部212を構成するタッチパネル216には、制御部211の制御により、オンラインショッピングを行うための様々な情報が表示される。タッチパネル216には、例えば、商品を検索および選択するための入力ボタンが表示される。タッチパネル216には、例えば、商品に関する情報が表示される。商品に関する情報は、例えば商品名、商品の価格、商品に関する説明文および商品の写真等を含む。タッチパネル216には、例えば、商品の購入を決定するための入力ボタンが表示される。商品の購入を決定するための入力ボタンには、例えば、「購入する」等の文字が表示されてよい。
【0094】
通信部214は、例えばサーバ等の外部装置と有線通信または無線通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。通信部214は、例えば、オンラインショッピングで販売される商品に関する情報を、外部装置から受信したり、ユーザにより入力された商品の購入に関する情報を、外部装置に送信したりする。
【0095】
記憶部213および通信モジュール215の構成および機能については、それぞれ第1実施形態における記憶部113および通信モジュール115と同様であってよいため、ここではその詳細な説明を省略する。なお、本実施形態では、記憶部213には、各電界通信端末120のIDの他、当該IDに対応付けられたユーザの購入履歴に関する情報、および電子マネーに関する情報が記憶されている。購入履歴に関する情報は、ユーザが過去に購入した商品に関する情報であり、購入した時期、購入した商品の内容等を含んでよい。電子マネーに関する情報は、電子マネーの残高を含んでよい。
【0096】
情報処理装置210と、電界通信端末120とは、第1実施形態で説明した原理と同様の原理により、電界通信を行うことができる。
【0097】
次に、制御部211が実行する処理の詳細について説明する。図13は、情報処理装置210の制御部211による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0098】
電界通信端末120を装着したユーザが、操作部212に対して操作を実行したとする。この場合、操作部212は、実行された操作に関する内容を示す信号を制御部211に出力する。制御部211は、操作部212から出力された信号を取得することにより、操作部に対して実行された操作を検知する(ステップS21)。これにより、制御部211は、例えばタッチパネル216として構成される操作部212において、どの領域が操作(タッチ)されたかを検知できる。タッチパネル216には、例えば所定の処理を実行させるための入力ボタンが表示されている。制御部211は、タッチパネル216において操作が行われた領域を検知することにより、ユーザにより選択された入力ボタンを特定できる。
【0099】
情報処理装置210は、ユーザが操作部212を操作した際に、人体を伝送媒体として、電界通信端末120と電界通信を実行する。制御部211は、電界通信により、電界通信端末120から、記憶部123に記憶された所定の情報を取得する(ステップS22)。
【0100】
そして、制御部211は、ステップS21で検知した操作、およびステップS22で取得した情報に基づき、所定の処理を実行する(ステップS23)。
【0101】
ステップS23における所定の処理の一例について説明する。例えば、ユーザが、タッチパネル216において、商品を検索または選択するための入力ボタンをタッチする操作を行ったとする。この場合、制御部211は、ステップS21において、ユーザが、商品を検索または選択するための入力ボタンを操作したことを検知できる。また、制御部211は、ステップS22の電界通信において、電界通信端末120から、所定の情報として、購入履歴に関する情報を取得できる。この場合、制御部211は、商品を検索または選択するための入力ボタンの操作、および、購入履歴に関する情報に基づき、ステップS23において、所定の処理として、取得した情報(ここでは購入履歴に関する情報)に応じた内容の情報を、タッチパネル216に表示する処理を実行できる。ここでの例では、制御部211は、所定の処理として、例えばユーザに購入を推奨する商品を検索して、タッチパネル216に表示する処理を実行できる。購入を推奨する商品は、例えば、ユーザが過去に購入した商品に類似する商品、または、ユーザが過去に購入した商品を購入した別のユーザが購入したことがある商品を含んでよい。購入を推奨する商品の検索は、例えば制御部211が自ら実行してよい。購入を推奨する商品の検索は、情報処理装置210から通信部214を介して購入履歴に関する情報を受信した外部装置が実行してもよい。この場合、制御部211は、外部装置から受信した検索結果を、タッチパネル216に表示することができる。
【0102】
ユーザが商品を検索または選択するための入力ボタンを操作した場合、ユーザは、商品を購入しようとしていると考えられる。この場合に、上述のようにユーザの購入履歴に基づいて商品を表示することにより、ユーザが購入する可能性の高い商品をタッチパネル216に表示することができる。そのため、ユーザにとっては、購入したいと考える商品の情報が表示されやすくなる。また、商品の販売者にとっては、ユーザに購入してもらえる可能性が高い商品をユーザに提示することができる。そのため、本実施形態に係る情報処理システム2によれば、ユーザおよび販売者の双方にとって、有用性を向上させることができる。
【0103】
ステップS23における所定の処理の他の一例について説明する。例えば、ユーザが、購入を希望する商品を選択し終えて、タッチパネル216において、商品を購入するための入力ボタンをタッチする操作を行ったとする。この場合、制御部211は、ステップS21において、ユーザが、商品を購入するための入力ボタンを操作したことを検知できる。また、制御部211は、ステップS22の電界通信において、電界通信端末120から、所定の情報として、電子マネーに関する情報を取得できる。この場合、制御部211は、商品を購入するための入力ボタンの操作、および、電子マネーに関する情報に基づき、ステップS23において、所定の処理として、電子マネーを用いた電子決済を行うことができる。すなわち、ユーザは、商品を購入するための入力ボタンを操作することにより、決済を行うことができる。例えば、従来公知のICカードを用いて決済を行うシステムでは、ユーザが商品を購入するための入力ボタンを操作した後、リーダライタに、電子マネーに関する情報が格納されたICカードをかざして、決済を行っていた。つまり、ユーザにとっては、商品を購入するために、ユーザが商品を購入するための入力ボタンを操作した後、ICカードをかざすという動作が必要であった。しかしながら、本実施形態に係る情報処理システム2によれば、上述のように、商品を購入するための入力ボタンを操作したときに、情報処理装置210が電界通信により電界通信端末120に格納された情報にアクセスし、電子決済を行うことができる。そのため、ユーザにとっては、例えばICカードをかざす等の電子決済をするための動作を行うことなく、電子決済を済ませることができる。そのため、本実施形態に係る情報処理システム2によれば、有用性を向上させることができる。
【0104】
(第3実施形態)
図14は、本発明の第3実施形態に係る情報処理システム3の概略図である。情報処理システム3は、情報処理装置310と、電界通信端末120とを備える。電界通信端末120の構成は、第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0105】
本実施形態において、情報処理装置310は、ユーザの生体情報を取得する。生体情報は、例えばユーザの指紋に関する情報(以下、「指紋データ」ともいう)である。すなわち、情報処理装置310は、ユーザの指紋データを読み取ることが可能な生体情報取得部312を備える指紋読取装置により実現されていてよい。なお、生体情報は、ユーザの指紋データに限られない。例えば、生体情報は、ユーザの手のひらまたは指の静脈パターン等、他のユーザの生体に関する情報であってよい。本実施形態では、生体情報が指紋データであるとして、以下説明する。
【0106】
情報処理装置310は、電界信号を用いた電界通信可能に構成されている。情報処理装置310内の通信モジュール315の入出力端子は、例えば情報処理装置310の本体に接続され、これにより、情報処理装置310は電界通信の結合電極として動作する。すなわち、情報処理装置310と、電界通信端末120とは、誘電体である人体(ユーザ)を伝送媒体として、電界通信を行うことができる。従って、電界通信端末120を装着したユーザが、情報処理装置310に触れたときに、電界通信が実行される。情報処理装置310は、その一部、例えば生体情報取得部312のみが、電界通信可能に構成されていてもよい。
【0107】
図15は、図14の情報処理装置310の概略構成を示す機能ブロック図である。図15に示すように、情報処理装置310は、制御部311と、生体情報取得部312と、記憶部313と、通信モジュール315とを備える。
【0108】
制御部311は、情報処理装置310の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置310の全体を制御および管理するプロセッサである。制御部311は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、例えば記憶部313または外部の記憶媒体に格納される。
【0109】
制御部311は、生体情報取得部312により取得した生体情報が生体情報に関する情報を満たすと判定し、且つ、電界通信により取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する。本実施形態では、所定の処理がユーザの認証成功処理であるとして、以下説明する。認証成功処理は、例えばユーザの認証が成功したことを示す情報を出力する処理を含んでよい。ただし、所定の処理は、ユーザの認証成功処理に限られない。制御部311が実行する処理の詳細については、後述する。
【0110】
生体情報取得部312は、ユーザの生体情報を取得する。本実施形態では、生体情報取得部312は、ユーザの指紋データを取得可能な指紋センサにより構成されている。生体情報取得部312は、例えば、光学式または半導体式(例えば、静電式、感熱式または電界式)等の公知の指紋センサにより構成される。生体情報取得部312は、取得した生体情報を制御部311に送信する。ユーザは、例えば生体情報取得部312に指を接触させることにより、生体情報取得部312に生体情報を読み取らせることができる。生体情報取得部312は、通信モジュール315により、電界通信端末120と電界通信可能に構成されている。
【0111】
記憶部313および通信モジュール315の構成および機能については、それぞれ第1実施形態における記憶部113および通信モジュール115と同様であってよいため、ここではその詳細な説明を省略する。なお、本実施形態では、記憶部313には、認証を行う電界通信端末120のIDと、当該IDに対応付けられたユーザの指紋データとが対応付けられて、記憶されている。
【0112】
情報処理装置310と、電界通信端末120とは、第1実施形態で説明した原理と同様の原理により、電界通信を行うことができる。
【0113】
次に、制御部311が実行する処理の詳細について説明する。図16は、情報処理装置310の制御部311による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0114】
電界通信端末120を装着したユーザが、生体情報取得部312に指を接触させたとする。この場合、生体情報取得部312は、接触された指から生体情報を取得し、取得した生体情報を制御部311に送信する。制御部311は、生体情報取得部312から生体情報を取得する(ステップS31)。
【0115】
情報処理装置310は、ユーザが生体情報取得部312に指を接触させた際に、人体を伝送媒体として、電界通信端末120と電界通信を実行する。制御部311は、電界通信により、電界通信端末120から、記憶部123に記憶された所定の情報を取得する(ステップS32)。ここでは、所定の情報が、電界通信端末120のID、すなわちユーザに対応付けられたIDであるとして説明する。
【0116】
制御部311は、ステップS31で取得した生体情報と、ステップS32で取得した情報とに基づき、所定の処理として、ユーザの認証を行うことができる。
【0117】
すなわち、制御部311は、ステップS31で取得した生体情報が、生体情報に関する条件を満たすか否かを判定する(ステップS33)。生体情報に関する条件は、例えば、生体情報が情報処理装置310の記憶部313に予め記憶されたユーザの生体情報と一致するか否かを判定するための条件である。
【0118】
例えば、制御部311は、ステップS33において、取得した生体情報が記憶部313に予め記憶されたユーザの生体情報と一致するか否かを判定する。制御部311は、取得した生体情報が記憶部313に予め記憶されたユーザの生体情報と一致する場合、生体情報に関する条件を満たすと判定する。この場合、生体情報取得部312に指を接触させたユーザが、予め登録された正当なユーザであると判定できる。制御部311は、取得した生体情報が記憶部313に予め記憶されたユーザの生体情報と一致しない場合、生体情報に関する条件を満たさないと判定する。この場合、生体情報取得部312に指を接触させたユーザが、予め登録されていない不正なユーザであると判定できる。
【0119】
制御部311は、生体情報が生体に関する条件を満たすと判定した場合(ステップS33のYes)、ステップS32で取得した情報が、取得情報に関する条件を満たすか否かを判定する(ステップS34)。取得情報に関する条件は、例えば、認証を行うために、電界通信端末120から取得した情報が、予め登録等された情報と一致するか否かを判定するための条件である。制御部311は、取得情報に関する条件の判定において、ステップS31で取得した生体情報に対応付けられたIDと、ステップS32で取得した電界通信端末120のIDとが一致するか否かを判定してもよい。
【0120】
制御部311は、ステップS31で取得した生体情報に対応付けられたIDと、ステップS32で取得した電界通信端末120のIDとが一致する場合、生体情報に関する条件が満たすと判定できる。この場合、予め登録された正当なユーザが、自分の電界通信端末120を装着して、生体情報取得部312に指を接触させていると判断できる。一方、制御部311は、ステップS31で取得した生体情報に対応付けられたIDと、ステップS32で取得した電界通信端末120のIDとが一致しない場合、取得条件に関する条件を満たさないと判定する。この場合、ユーザが装着している電界通信端末120が、予め登録されていないか、または、登録されていても、当該電界通信端末120に対応付けられていないユーザが装着していると判定できる。
【0121】
制御部311は、取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合(ステップS34のYes)、所定の処理を実行する(ステップS35)。所定の処理は、例えばユーザの認証成功処理である。
【0122】
一方、制御部311は、生体情報が生体に関する条件を満たさないと判定した場合(ステップS33のNo)、ステップS35における所定の処理を実行することなく、このフローを終了する。また、制御部311は、取得した情報が取得情報に関する条件を満たさないと判定した場合(ステップS34のNo)、ステップS35における所定の処理を実行することなく、このフローを終了する。
【0123】
情報処理装置310は、多様な装置に実装されることにより、多様な用途に活用され得る。例えば、情報処理装置310が現金自動預け払い機(ATM:Automated/Automatic Teller Machine)に実装された場合、ATMは、情報処理装置310が認証成功処理を行った場合に、金融取引を実行可能な状態に制御されてよい。また、例えば、情報処理装置310が、部屋または建物等の入口に設けられるセキュリティ装置に実行された場合、情報処理装置310が認証成功処理を行った場合に、当該部屋または建物の入口の鍵が解錠されてよい。情報処理装置310は、ここで示した例の他、本人確認を求める任意の装置に実装されてよい。
【0124】
このように、本実施形態に係る情報処理システム3によれば、情報処理装置310は、生体情報取得部312により取得した生体情報が生体に関する条件を満たすと判定し、且つ、電界通信により取得した情報が取得情報に関する条件を満たすと判定した場合に、所定の処理を実行する。そのため、情報処理装置310は、生体に関する条件および取得情報に関する条件の少なくとも一方が満たされない場合に、所定の処理を実行しない。このように、情報処理装置310は、複数の条件が満たされた場合に所定の処理を実行するため、1つの条件のみで所定の処理を実行する場合と比較して、安全性(セキュリティ)が高まる。しかも、情報処理装置310は、ユーザが生体情報取得部312に指を接触させた際に、生体情報を取得するとともに、電界通信端末120にアクセスして情報を取得する。すなわち、ユーザが1つの動作を行っている間に、上記複数の条件で使用される複数の情報を取得できる。そのため、ユーザにとっては、認証を行うために求められる動作が1つであり、ユーザに対して煩わしさを感じさせにくい。このように、情報処理システム3によれば、ユーザに対して煩わしさを与えにくく、しかも安全性を高めることができるため、有用性を向上させることができる。
【0125】
情報処理装置310によれば、不正なユーザが他のユーザの電界通信端末120を装着して、情報処理装置310を用いて認証を行おうとしても、生体情報に関する条件が満たされないため、所定の処理が実行されない。また、情報処理装置310によれば、不正なユーザが他のユーザの指紋を不正に取得した場合であっても、当該他のユーザの電界通信端末120を用いなければ所定の処理が実行されない。このように、情報処理装置310によれば、生体情報または電界通信端末120が不正に使用されたとしても、所定の処理が実行されないため、一方が不正に使用された場合に処理が実行される場合と比較して、安全性が高まる。
【0126】
本実施形態の説明において、情報処理装置310の記憶部313に、認証を行う電界通信端末120のIDと、当該IDに対応付けられたユーザの指紋データとが対応付けられて、記憶されていると説明した。しかしながら、ユーザの指紋データは、必ずしも情報処理装置310の記憶部313に記憶されていなくてもよい。ユーザの指紋データは、例えば電界通信端末120の記憶部123に記憶されていてもよい。
【0127】
この場合、情報処理装置310は、ステップS32において、電界通信端末120から、IDを取得するとともに、生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される指紋データを取得する。情報処理装置310は、ステップS33において、ステップS31で生体情報取得部312から取得した指紋データと、ステップS32で電界通信端末120から取得したユーザの指紋データとを比較することにより、生体に関する条件が満たされるか否かを判定することができる。このような構成によっても、情報処理システム3は、上述のように、ユーザに対して煩わしさを与えにくく、しかも安全性を高めることができるため、有用性を向上させることができる。
【0128】
このように、生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報が電界通信端末120に記憶され、情報処理装置310が、生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を電界通信により取得する場合、情報処理装置310は、生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を記憶部313に記憶する必要がない。そのため、例えば、悪意のある第三者が、ユーザの個人情報である指紋データ等の生体に関する条件を満たすか否かを判定するために使用される情報を情報処理装置310から、取得することを防止することができる。これにより、情報処理装置310の管理者にとっても、ユーザの個人情報である指紋データ等を管理する負担を軽減することができる。また、情報処理システム3を使用しようとするユーザにとっても、情報処理システム3の使用にあたり、予め自分の指紋データ等を登録するという負担を軽減することができる。このようにして、さらに有用性を向上することができる。
【0129】
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態に係る情報処理システム4の概略図である。情報処理システム4は、情報処理装置410と、電界通信端末120とを備える。
【0130】
本実施形態において、電界通信端末120は、ICチップ付きクレジットカードに相当する機能を有する。例えば、ユーザは、電界通信端末120を用いて、クレジットカード会社による代行決済を行うことができる。電界通信端末120の記憶部123には、ICチップ付きクレジットカードが有する情報に相当する情報が記憶されている。例えば、記憶部123には、ユーザの会員番号および有効期限等が記憶されていてよい。なお、電界通信端末120が備える各機能部は、第1実施形態と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0131】
本実施形態において、情報処理装置410は、クレジットカードの有効性を確認するために、例えばクレジットカード会社に対して照会を行う信用照会端末により構成される。情報処理装置410は、例えば数値入力用のキー(「テンキー」とも呼ばれる)により構成される操作部412を備える。情報処理装置410の操作部412は、例えば購入した商品の代金の決済を行う際に、PIN(Personal Identification Number)コードの入力を行う場合に用いられる。
【0132】
情報処理装置410は、電界信号を用いた電界通信可能に構成されている。情報処理装置410内の通信モジュール415の入出力端子は、例えば情報処理装置410の本体に接続され、これにより、情報処理装置410は電界通信の結合電極として動作する。すなわち、情報処理装置410と、電界通信端末120とは、誘電体である人体(ユーザ)を伝送媒体として、電界通信を行うことができる。従って、電界通信端末120を装着したユーザが、情報処理装置410に触れたときに、電界通信が実行される。情報処理装置410は、その一部、例えば操作部412のみが、電界通信可能に構成されていてもよい。
【0133】
図18は、図17の情報処理装置410の概略構成を示す機能ブロック図である。図18に示すように、情報処理装置410は、制御部411と、操作部412と、記憶部413と、通信部414と、通信モジュール415とを備える。
【0134】
制御部411は、情報処理装置410の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置410の全体を制御および管理するプロセッサである。制御部411は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、例えば記憶部413または外部の記憶媒体に格納される。
【0135】
制御部411は、操作部412に対して所定の処理が実行されてことを検知した場合に、電界通信により電界通信端末120から取得した情報を用いて、所定の処理を実行する。制御部411が実行する処理の詳細については、後述する。
【0136】
操作部412は、ユーザの操作を受け付ける。本実施形態では、操作部412は、例えばテンキーにより構成されている。なお、操作部412はテンキーに限られず、ユーザの操作を受け付け可能な任意の部材により構成されていてよい。
【0137】
通信部414は、例えばサーバ等の外部装置と有線通信または無線通信を行うことにより、各種情報の送受信を行う。通信部414は、例えば、金融機関が管理するサーバと通信を行う。
【0138】
記憶部413および通信モジュール415の構成および機能については、それぞれ第1実施形態における記憶部113および通信モジュール115と同様であってよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0139】
情報処理装置410と、電界通信端末120とは、第1実施形態で説明した原理と同様の原理により、電界通信を行うことができる。
【0140】
次に、制御部411が実行する処理の詳細について説明する。図19は、情報処理装置410の制御部411による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0141】
電界通信端末120を装着したユーザが、商品の代金の決済を行うにあたり、操作部412に対してPINコードを入力する操作を実行したとする。この場合、操作部412は、実行された操作に関する内容を示す信号を制御部411に出力する。制御部411は、操作部412から出力された信号を取得することにより、操作部412に対して実行された操作を検知する(ステップS41)。これにより、制御部411は、入力されたPINコードを認識できる。
【0142】
情報処理装置410は、ユーザが操作部412を操作した際に、人体を伝送媒体として、電界通信端末120と電界通信を実行する。制御部411は、電界通信により、電界通信端末120から、記憶部123に記憶された所定の情報を取得する(ステップS42)。所定の情報は、例えば、上述したユーザの会員番号等である。
【0143】
次に、制御部411は、通信部414を介して、信用照会に関する情報を、金融機関が管理するサーバに送信する(ステップS43)。信用照会に関する情報は、例えば、ステップS41においてユーザの操作により入力された情報(例えばPINコード)、およびステップS42において電界通信端末120から取得した情報(例えば会員番号)を含んでよい。信用照会に関する情報は、例えば、別途入力された、ユーザが購入しようとする商品の代金を含んでもよい。
【0144】
信用照会に関する情報を受信したサーバは、例えば、カードの代わりとして機能する電界通信端末120が有効であるか否か、および商品の代金が与信限度額を超えないか等の信用照会を行い、信用照会の結果を情報処理装置410に送信する。情報処理装置410は、通信部414を介して信用照会の結果を受信する(ステップS44)。
【0145】
制御部411は、信用照会の結果に基づいて、所定の処理を実行する(ステップS45)。所定の処理は、例えば代金の決済処理である。
【0146】
従来、クレジットカードにより決済を行う場合には、信用照会端末にクレジットカードの情報を読み取らせるために、例えばユーザが店員にクレジットカードを手渡す場合があった。この場合、カードの情報がスキミングされる等により、店員等に取得される可能性があった。これに対し、本実施形態に係る情報処理システム4によれば、代金の決済にあたり、ユーザは、クレジットカードに相当する機能を有する電界通信端末120を装着したまま、PINコードを入力する際に、電界通信によって、信用照会端末により構成された情報処理装置410に情報を読み取らせることができる。そのため、本実施形態に係る情報処理システム4によれば、第三者により情報が取得される可能性を低減できる。これにより、安全性を高めることができる。また、仮に、PINコードを入力する際に、第三者にPINコードを盗み見られたとしても、当該第三者は電界通信端末120を装着した状態でなければ、クレジット決済を行うことができない。そのため、正当なユーザ以外により、クレジット決済が行われる危険性を低減することができる。
【0147】
以上、実施形態を参照しながら、本発明について詳説した。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者であれば、該実施形態の修正や代用を成し得る。すなわち、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0148】
また、本明細書の記載は、本明細書に記載される発明の全てを意味するものではない。換言すれば、本明細書の記載は、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加されたりする発明の存在を否定するものではない。
【0149】
本明細書においては、例示という形態で本発明を開示したのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。
【0150】
例えば、上記第1乃至第4実施形態において、電界通信端末120は、磁界通信可能な非接触ICカードを挿脱可能なカードホルダを含んで構成されてもよい。図20は、電界通信端末の一変形例の概略構成を示す機能ブロック図であり、非接触ICカード520が挿入された状態のカードホルダ520の機能ブロック図である。
【0151】
カードホルダ520は、第1乃至第4実施形態における電界通信端末120の本体121に対応する。カードホルダ520には、装着部122が取り付けられ、人体に着脱可能に構成される。カードホルダ520は、非接触ICカード530を挿入可能に構成された挿入部(溝)を有する。ユーザは、非接触ICカード530を挿入部に挿入した状態で、カードホルダ520を使用する。
【0152】
非接触ICカード530は、カード型の磁界通信装置であり、磁界通信によりリーダライタと情報を送受信することができる。非接触ICカード530は、所定の情報を記憶するとともに非接触ICカード530における磁界通信処理を制御するICチップ531と、磁界信号によりリーダライタと通信可能な磁界アンテナ532とを備える。非接触ICカード530のユーザは、非接触ICカード530を、リーダライタの通信位置にかざすことにより、磁界通信を行うことができる。
【0153】
カードホルダ520は、磁界アンテナ522と、マッチング回路(共振回路)524と、第1結合電極525と、第2結合電極526とを備える。
【0154】
磁界アンテナ522は、カードホルダ520において、非接触ICカード530の挿入部への挿入状態で、非接触ICカード530の磁界アンテナ532からの磁界信号を受信可能な位置に配置される。磁界アンテナ522は、マッチング回路524に接続されている。磁界アンテナ522では、磁界アンテナ532から送信される磁界信号が受信されると、受信した磁界信号に基づいてマッチング回路524に供給される制御信号が生成される。磁界アンテナ522で生成された制御信号は、マッチング回路524に供給される。
【0155】
マッチング回路524は、磁界アンテナ522に接続される。マッチング回路524は、インピーダンスを整合させるための回路である。マッチング回路524は、例えばコンデンサおよびインダクタ等を組み合わせた公知のLC回路として構成することができる。マッチング回路524は、第1結合電極525および第2結合電極526に接続されている。
【0156】
第1結合電極525および第2結合電極526は、電界通信端末120の第1結合電極125および第2結合電極126に対応する。第1結合電極525および第2結合電極526は、ユーザがカードホルダ520を装着した状態においてユーザ(人体)と接触する位置に配置される。すなわち、第1結合電極525および第2結合電極526は、ユーザがカードホルダ520を装着した状態において、ユーザと電気的に結合された状態となる。
【0157】
ユーザは、非接触ICカード530が挿入されたカードホルダ520を装着して、第1乃至第4実施形態で説明した情報処理装置に触ると、カードホルダ520において非接触ICカード530の磁界信号が電界信号に変換され、第1結合電極525に結合した部位よりも末端側が伝送媒体として機能し、第2結合電極526に結合した部位よりも胴体側が端末線路として機能する。これにより、第1乃至第4実施形態における情報処理システムに対応するシステムが実現される。
【0158】
また、非接触ICカード530を挿脱可能に構成することにより、ユーザは、非接触ICカード530により磁界通信を実行させるか、非接触ICカード530をカードホルダ520に挿入して電界通信を実行させるかを選択することができる。
【符号の説明】
【0159】
1、2、3、4 情報処理システム
110、210、310、410 情報処理装置
111、211、311、411 制御部
112、212、412 操作部
113、123、213、313、413 記憶部
114 表示部
115、215、315、415 通信モジュール
116 送受信機
116a 第1入出力端子
116b 第2入出力端子
117 端末線路
117a、117b 端部
120 電界通信端末
121 本体
122 装着部
124 送受信機
125、525 第1結合電極
126、526 第2結合電極
130 伝送媒体
214、414 通信部
216 タッチパネル
312 生体情報取得部
520 カードホルダ
522、532 磁界アンテナ
524 マッチング回路
531 ICチップ
700 誘電体
700a 第1領域
700b 第2領域
710a 第1底面
710b 第2底面
720 人体
720a 末端側
720b 胴体側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20