(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記間隔調整手段として、前記洗浄ヘッドと前記被洗浄体との間の距離を一定に調整するために、前記洗浄ヘッドを構成する覆いの外周部分から前記被洗浄体に向けて気体を噴出して覆いの外周部分と被洗浄体との距離を一定に調整することを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の被洗浄体の異物除去装置。
請求項3において、覆いの外周部分と被洗浄体との間の距離を一定に保持すると共に、併せて、噴出した気体により被洗浄体上の洗浄液を乾燥させることを特徴とする被洗浄体の異物除去装置。
前記洗浄ヘッドを収納する覆いの外周部分あるいは覆に連結した部分にガス噴出口を設け、被洗浄体上の洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥させることを特徴とする請求項1から請
求項8のいずれかに記載の被洗浄体の異物除去装置。
前記被洗浄体に向けて1あるいは複数のノズルから気体を噴出してベルヌーイの原理により当該被洗浄体を非接触で保持して搬送するための1あるいは複数のベルヌーイチャックを備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の被洗浄体の異物除去装置。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の1実施例構成図を示す。
【0027】
図1の(a)は模式的に表した側面図を示し、
図1の(b)は模式的に表した底面図を示す。
【0028】
図1において、被洗浄体1は、洗浄液で洗浄対象となる基板であって、例えばウェハー、ガラス基板などの基板であり、表面が平坦、あるいは平坦ではあるが前工程で表面に露光・現像などされて微小なパターンが形成された後の基板であり、処理などにより表面に異物がありこれを洗浄液で洗浄する対象の基板である。
【0029】
洗浄ヘッド2は、吸引穴3、噴出穴4、シール性を持つ覆い5などから構成されるヘッドであって、被洗浄体1に非接触状態で保持されるものであり(後述する)、吸引穴3から真空吸引されたことに対応して噴出穴4から洗浄液が噴出して対面して配置した被洗浄体1を洗浄するためのものである。
【0030】
吸引穴3は、真空ポンプ11で洗浄液を真空吸引するものである。
【0031】
噴出穴4は、吸引穴3から真空吸引されたことに対応して、洗浄液を対面して配置した被洗浄体1に向けて噴出するものである。
【0032】
覆い5は、洗浄ヘッド2を構成するものであって、吸引穴3、噴出穴4などを覆うもの、かつ、被洗浄体1との距離をベルヌーイの原理により非接触状態で一定距離に保持するためのものである(後述する)。この覆い5にはシール性があり、洗浄液が洗浄ヘッド2内に収まり外に飛び散らないようになっている。
【0033】
支持手段6は、洗浄ヘッド2を空中の所定位置に保持(固定)するもの(例えば脚)である。
【0034】
搬送系7は、洗浄ヘッド2を固定し、被洗浄体1を非接触で搬送するものである(後述する)。尚、逆に、被洗浄体1を固定にし、洗浄ヘッド2を被洗浄体1に非接触で搬送するようにしてもよい。
【0035】
真空ポンプ11は、吸引穴3を真空排気する真空排気系であって、液体(各種洗浄液)、気体(空気など)を真空排気するポンプである。
【0036】
フィルタ12は、真空ポンプ11で真空排気した洗浄液中の異物を除去し、異物除去した後の洗浄液を再循環させるためのものである。これにより、洗浄液を再利用して当該洗浄液の量を必要最小限に減らすことが可能となる。
【0037】
配管13は、真空ポンプ11、フィルタ12などの間をつなぐ配管である。尚、図示しないが、各種バルブや流量調整弁などは必要に応じて配置する。
【0038】
次に、
図1の構成およびその動作について説明する。
【0039】
(1)
図1は、洗浄液に含まれる異物を除去するためのフィルター12、フィルター12を通過した洗浄液を被洗浄物表面に供給するための液体噴出穴4、洗浄液を回収するための液体噴出口周辺部に取り囲むように設けられた吸引穴3、吸引穴3から強力に洗浄液を吸い込む真空ポンプ11で構成されており、上記各部品は被洗浄体1と一体となってアドホック流路を形成する。特に、被洗浄体1の近傍に配置される洗浄ヘッド2の全体は床等から伸びる支柱あるいは既設装置から伸びる支持手段6によって空中に支持されている。洗浄ヘッド2と被洗浄体1との間隔が最適になるように調整する手段を有する(後述するベルヌーイ原理を利用した調整手段参照))。
【0040】
(2)被洗浄体1が洗浄ヘッド2の近傍に配置されてアドホック流路を形成し、真空ポンプ11によって吸引穴3から真空吸引されることにより噴出穴4から洗浄液が噴出する。洗浄液は表面張力の作用で被洗浄体1の表面を膜状に覆いながら洗浄作用を被洗浄体1の表面にもたらした後、吸引穴3からすべて回収する。このようにすることで、大気中でありながら、液体洗浄液が洗浄を必要とする被洗浄体1の局部的な表面にだけに供給することが可能であり、かつ、洗浄後に洗浄液が被洗浄体1に残らないように出来る。
【0041】
(3)洗浄液は、通常の液体洗浄で利用する純水、オゾン水、酸化還元水、機能水、過酸化水素水、アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶剤、酸、アルカリ水溶液、液体二酸化炭素などの超流動液体、あるいは二酸化炭素を溶かした水溶液、アンモニアガスを溶かしたアンモニア水、塩酸や硫酸、硝酸等の無機酸、TMAH等4級アンモニウム水溶液、有機酸、あるいは王水、RCA、ピラニア洗浄液等の混酸、フッ酸、水酸化アルカリ等のアルカリなどを利用することが出来る。必要に応じて、界面活性剤やキレート剤、pH調整剤、粘度調整剤などを含ませることも出来る。洗浄液の粘度あるいは表面張力を最適化することで、洗浄液残渣を洗浄液の残渣を最小限に減少させることが出来る。
【0042】
(4)水溶液(洗浄液)の中に気体を吹き込んでマイクロバブルが生じるようにバブリングしても良い。被洗浄体1上の有機物の除去のためにオゾンのマイクロバブルを利用しても良い。反応速度を所望の速度に調整するために、液体加温あるいは冷却しても良い。液体をエアロゾル状態に冷却して半固体としたものを用いても良い。水滴あるいは水蒸気を超音速で被洗浄体に照射する2流体ジェット法を用いても良い。
【0043】
(5)また、洗浄液を組み合わせて洗浄を行うことも出来る。1つの洗浄ヘッド2を用いる場合には、時分割で異なる洗浄液を用いることが出来る。例えば、最初に有機洗浄を行い、続いて、純水洗浄を行うなどである。これらは、予め、洗浄液を別々の容器に準備しておき、コンピュータからの指令によって、電磁弁を用いて図示外の配管(流路)13を切り替えることによって実現できる。
【0044】
(6)別の方法としては、独立した洗浄ヘッド2を複数用意して、それぞれに異なった洗浄液が供給されるようにして置き、コンピュータから指令を与えて、その順番に処理されるようにすることで実現できる。例えば、最初の洗浄ヘッド2では有機溶剤で洗浄を行い、その後に別の洗浄ヘッド2で純水洗浄を行い、最後に乾燥させる等の方法が実現できる。用いた複数の洗浄液が混ざらないように、別々の吸入口から回収される。
【0045】
(7)洗浄液は、使い捨てにしても良いし、異物あるいは洗浄液に溶け込んだ異物溶解物を除去するために適切なフィルター12あるいは化学反応、物理反応チャンバーを含む循環経路を設けて異物あるいは溶解物を除去し、何回も繰り返し使用することもできる。もちろん、洗浄液が正常な状態にあるかどうかを検査するための汚れセンサー、pHセンサー、電気伝導度センサー類を付けておくことが望ましい。センサーの出力値を正常値と比較しセンサーが異常値を示せば新しい洗浄液に交換する。
【0046】
(8)機能水を作るための電解チャンバーや電磁波照射装置を流路に含めても良い。ゼータ―電位の制御機構を入れることもできる。本発明を利用すれば、大気中において従来、水槽で行われてきた次のプロセスにふさわしい表面状態を用意できるために必要な措置を講ずることが出来る。
【0047】
(9)アドホック流路を形成する洗浄ヘッド2の表面は、洗浄後に被洗浄体1の表面に液体が残らないように、テフロン(登録商標)等の撥水性材料あるいは接触角が150度を超えるような超撥水性材料である、飽和フルオロアルキル基(特にトリフルオロメチル基 CF3-) アルキルシリル基 フルオロシリル基 長鎖アルキル基などで構成されることが望ましい。表面を昆虫の羽のように微細加工してロータス効果等の超撥水性を持たせても良い。多孔性金属錯体と呼ばれるナノ細孔がある多孔性材料を用いても良い。超撥水材料のセルフクリーニング効果により洗浄ヘッド自身を常にきれいに保つこともできる。洗浄液噴出穴4の内側を親水性にすることによって、真空ポンプの吸引力が働かない場合も洗浄ヘッド2に洗浄液を保持し、被洗浄体2が無い場合に洗浄液が下に垂れないように出来る。
【0048】
(11)被洗浄体1の有無を確認するためのセンサーを持っており、被洗浄体1が
図1の装置に供せられた時に初めて、真空ポンプ11にスイッチが入り洗浄液が噴出する。実際には、洗浄液を供給する側には、大きな圧力は加えずに、噴出穴4の周辺にある吸引穴3の側を真空に引くことによって、洗浄液を被洗浄体1に誘導する。つまり、吸引穴3、洗浄液噴出穴4および覆い5が被洗浄体1とある間隔になって、アドホック流路が確立された場合にのみ、洗浄液に対して真空吸引が働き、洗浄液が噴出穴4から噴出する。これにより、不用意な洗浄液の漏れを自動的に防いでいる。
【0049】
(12)洗浄液が被洗浄体1に供給された状態で、被洗浄体1をローラー等の搬送手段(搬送系7)により、順次移動(左右あるいは上下に移動)させることで、被洗浄体1の表面を洗浄することが出来る。搬送系移動速度は、洗浄体液の表面張力によって、洗浄ヘッド2に液体が収まり、被洗浄体1に付着したまま移動しないような速度以下で使用するのが望ましい(後述する
図11とその説明参照)。もちろん、逆に洗浄ヘッド2を移動させても良い。
【0050】
(13)搬送系7はローラーである必要は無く、汚れが搬送系7から被洗浄体1に移らないように、ベルヌーイ効果をもちいた、非接触搬送系を用いるほうが良い。洗浄ヘッド2は空間のどの向きにあっても稼働するので、搬送系7は水平だけでなく、斜めあるいは垂直等自由に配置しても良い。特に、被洗浄体を垂直に保持して洗浄を行うと、洗浄液は表面張力によって、非常にきれいに被洗浄体から取り除くことができる。
【0051】
以下
図2から
図14を用いて順次詳細に説明する。
【0052】
図2は、本発明の詳細構成図を示す。
図2は、
図1の洗浄ヘッド2および被洗浄体1との間で形成されるアドホック流路の様子を分かり易く拡大したものである。図中の1、2、3、4は
図1の同じ番号のものと同一であるので、説明を省略する。
【0053】
図2において、OUTは、真空ポンプ11で真空吸引する様子を示す。
【0054】
INは、真空ポンプ11でOUTから真空吸引したことに対応して、洗浄液が被洗浄体1に向けて噴射する様子を示す。
【0055】
洗浄液吸引穴3、洗浄液噴出穴4を含む内側を親水性処理14した様子を模式的に示す。
【0056】
洗浄液が外に漏れないように噴出穴4の周辺部を気密性が高くなるように取り囲んだ部分に撥水性14とし、洗浄液吸引穴3、洗浄液噴出穴4は親水性とする。
【0057】
このようにすると図示のように、表面張力で洗浄液が内側に留まり、外側に流出しないようにできる。
【0058】
次に、
図2の構成およびその動作を説明する。
【0059】
(1)洗浄ヘッド2は被洗浄体1からの距離が異なる2つの水平な表面を持ち、それぞれ第1のギャップ16、第2のギャップ17を形成する。
【0060】
(2)洗浄ヘッド2の中央の洗浄液噴出穴4の周辺に設けられた洗浄液吸入穴3から真空ポンプ11で吸引することで洗浄液が被洗浄体1の表面に噴出(供給)されるが、洗浄液が洗浄ヘッド2の外に飛び散らないように、洗浄液が溜まる第2のギャップ17は周辺部の第1のギャップ16と比較して少し深くなっており、表面張力で洗浄液が中心部に引き戻されるようになって洗浄液が外にこぼれないように成っている。第2のギャップ17の内側領域を親水性14すると更によい。このようにすると、被洗浄体1が無くなった際に、液が垂れるのを防止できる。被洗浄体1と洗浄ヘッド2の表面との距離は数ミクロンから数mmの間にあり、被洗浄体1に洗浄ヘッド2は非接触保持されている。洗浄ヘッド2と被洗浄体1との距離は洗浄液循環および洗浄効果が最適になるように自動調整されている。
【0061】
図3は、本発明の詳細構成図(その2)を示す。
【0062】
図3の(a)は側面図を示し、
図3の(b)は底面図を示す。
図3中の1、2、3、4、OUT,INは
図1、
図2の同じ番号,記号のものと同一であるので、説明を省略する。
【0063】
図3において、レーザー光線18は、洗浄液に照射するレーザー光線である。
【0064】
ピエゾジェット19は、図示外のピエゾ圧電素子を用いて洗浄液を霧状入射しつつ真空吸引によって噴射された洗浄液である。
【0065】
次に、
図3の構成およびその動作を説明する。
【0066】
(1)
図3は、洗浄液を供給するのに、ピエゾ圧電素子を用い、例えばインクジェットプリンターに利用されている非常に高速かつ、ピコリットルからマイクロリットルと超微量の洗浄液を被洗浄体1の表面に噴射して液洗浄すると共に、真空排気して当該液洗浄液を吸引して除去することが出来る。プリンターと同様に洗浄液の噴射量や付着場所をコンピュータに予め記録しておき、その情報を元にピエゾ圧電素子を駆動して洗浄液を噴出してその局所部分のみ液洗浄すると共に真空排気して洗浄液を除去することにより任意のパターンのみの液洗浄を行うことが出来る。つまり、従来の液洗浄の概念には無い、被洗浄体1上の洗浄位置を指定して、非常に小さな局所部分のみを液洗浄して真空排気により当該洗浄液の除去を実現できる。
【0067】
(2)従って、検査装置などによって、汚れている場所が予め判明している場合には、その場所を指定することで、その場所だけを局所的に液洗浄して洗浄液を除去することが可能となる。これにより、洗浄液の使用量の削減、真空で液を吸い込むときの負荷を小さくすることが出来る。大量の液体中で洗浄すると表面張力で破壊されてしまうこともあるが、本方法では、液の付着量が非常に少ないため、被洗浄体1の破壊を防止できる効果もある。洗浄が必要のない場所に洗浄液が触れないので、被洗浄体1が痛むのを防止できる。
【0068】
(2)同様に、洗浄液噴出原理として熱を用いたバブルジェット(登録商標)機構を用いても良い。
【0069】
(3)また、局所洗浄効果を高めるために、図示したように、洗浄液が被洗浄体1と接触する場所を透明な部材にして、被洗浄体1の指定箇所のみをレーザー光線18などで照射して所望温度に洗浄液を加熱してもよい。洗浄は化学反応なので、10度温度が上昇するごとに洗浄速度はおおよそ2倍速くなる。洗浄反応を促進する特定の波長の光を当てても良い。あるいは、熱としてではなく、光化学反応を加速する波長の光を当てても良い。
【0070】
図4は、本発明の詳細構成図(その3)を示す。
【0071】
図4の(a)は側面図を示し、
図4の(b)は底面図を示す。
図3中の1、2、3、4、OUT,INは
図1、
図2、
図3の同じ番号,記号のものと同一であるので、説明を省略する。
【0072】
図4において、超音波振動子20は、被洗浄体1に噴射した洗浄液に超音波振動を印加して洗浄力を高めるためのものであって、図では被洗浄体1の下側および上側の両側に設けたものである。尚、上側あるいは下側のみでもよい。
【0073】
次に、
図4の構成および動作を説明する。
【0074】
(1)
図4は、液浸状態で超音波洗浄を行う構成例を示す。超音波洗浄は機械式時計(ムーブメント)やメガネなどの洗浄で知られているように、強力な超音波振動を加えることで、被洗浄体1に付着した異物を洗浄液中に除去(放出)する方法である。
【0075】
(2)本発明は、大気中でありながら、液体(洗浄液)が被洗浄体1に膜状に直接触れるため、超音波は容易に被洗浄体1に到達し、非常に効率の良い洗浄を行うことが出来る。超音波の振動数は洗浄目的によって最適なものを選択することが出来る。例えば、油汚れが目的であれば、キャビテーション作用が起こりやすい数十キロヘルツ(28KHz)の周波数を選び、ダメージが入ると困る場合には、100KHz以上の周波数を用いて洗浄を行う。この周波数はパターンの無い、ガラス基板やシリコン基板の洗浄に向いている。サブミクロンの異物を除去するためには1MHz以上のメガソニック領域の超音波を用いると効率的に異物を除去できる。ガラスマスクの洗浄に向いている。
【0076】
(3)本発明は、洗浄液が被洗浄体1の表面でいわば膜状なので、超音波のエネルギーが表面の異物だけに有効に効く。そのため、被洗浄物1にフォトレジスト等のアスペクト比が高い微細な加工がしてある場合でも、それを破壊することなく、洗浄を行うことが可能である。特に、局所的に洗浄液を被洗浄体1に噴射する場合には、その効果が顕著である。
【0077】
(4)超音波洗浄に用いる音波の周波数は、洗浄むらを防止するため、時間経過に伴って変化させることが望ましい。周波数を変化させるともっとも洗浄効果が高い場所を移動させることが可能となり均一に洗浄が出来る。加えるパワー(例えば数10Wから数百W)は、被洗浄体1の丈夫さと異物の付着力により一番良い結果が得られるように実験で求めて調整する。従来の洗浄槽による超音波洗浄とは異なり、被洗浄体1の表面近傍数mmの位置に直接に超音波振動子20を配置して超音波を加えることも出来るので、より直接的な超音波印加が可能で、省エネルギーで洗浄力アップが実現できる。
【0078】
図5は、本発明の詳細構成図(その4)を示す。
【0079】
図5の(a)は側面図を示し、
図5の(b)は底面図を示し、
図5の(c)は上面図(部分)を示す。
図5中の1、2、3、4、20、OUT,INは
図1、
図2、
図3、
図4の同じ番号,記号のものと同一であるので、説明を省略する。
【0080】
図5において、ガス噴出口21は、イオナイザー212でイオン化されたガス(あるいはイオン化されていないガス)を被洗浄体1に図示のようにエアーナイフを形成するように斜めに噴射し、被洗浄体1上の洗浄液を残渣が残らないように吹き飛ばすと共に乾燥させるためのガス(気体)を噴出する口である。
【0081】
ガスソース211は、噴射するガスを格納したボンベなどある。
【0082】
イオナイザー212は、ガスソース211から取り込んだガスをイオン化するものである。
【0083】
次に、
図5の構成および動作を説明する。
【0084】
(1)
図5は、洗浄後の被洗浄体1の表面を乾燥させるために、洗浄ヘッド2の周辺部にガス噴出口21を設けた構成例を示す。ガス噴出口21には適当な圧力と流量あるいは温度を用い、洗浄で用いた液体(洗浄液)を完全に吹き飛ばすあるいは/および乾燥させる。これにより、被洗浄体1は完全に乾燥され、洗浄液は残らない。温風を用いても良いし、異物の再付着を防止するために、イオナイザー212で発生したイオンガスを吹き付けて、被洗浄体1の表面の帯電を防止しても良い。
【0085】
(2)洗浄液と大気との境界線にガスが当たるように装置全体を取り囲んでエアカーテンを形成するようにガス噴出口21を配置する。洗浄装置は、必ずしも1方向にだけ移動するとは限らず、場合によっては、左右方向、上下方向に自由に動くことがある。本発明の様にガス噴射口21が配置されていれば、どちらに移動した場合にも、確実に洗浄液を被洗浄体1の表面から除去できる。ガス噴射口21から噴出するガスシャワーに用いる気体は、空気でも良いし、乾燥窒素でも良い。熱をかけることで被洗浄体1に変質が起こる場合は、不活性ガスを利用することも出来る(必要に応じてガスソース211を準備する)。
【0086】
(3)洗浄後の被洗浄体1に表面に赤外線等のハイパワーレーザー光線を当てて、被洗浄体1の表面温度を上昇させて、洗浄液を乾燥させる方法も利用できる。
【0087】
図6は、本発明の詳細構成図(その5)を示す。
【0088】
図6の(a)は側面図を示し、
図6の(b)は底面図を示す。
図6中の1、2、3、4、21、OUT,INは
図1、
図2、
図3、
図4、
図5の同じ番号,記号のものと同一であるので、説明を省略する。
図6は、被洗浄体1の面積が広く、これに対応して洗浄ヘッド2をアレイ化した例を示す。
【0089】
図6において、洗浄ヘッド2のアレイ化は、図示のように、洗浄液噴出穴4を複数設け、その外側に洗浄液噴出穴4を取り囲むように洗浄液吸入穴3を設けた例を示す。
【0090】
次に、
図6の構成および動作を説明する。
【0091】
(1)
図6は、面積の広い被洗浄体1を洗浄する構成例を示す。被洗浄体1の広い面積に対応するには、洗浄ヘッド2を千鳥足状に並列に並べる、あるいは、アレイ化することが望ましい。
【0092】
(2)
図6では、6は1つの洗浄ヘッド2に3つの液体噴出穴4を設けた例を示している。液体の噴出穴4と吸引穴3はペアであると考えてアレイ化を行っている。洗浄ヘッド2は、洗浄液吸入穴3から液体(洗浄液)を強烈に吸い込むことによって洗浄液噴出穴4から洗浄液が被洗浄体1に向けて噴射される仕組みになっている。洗浄体1の洗浄対象の面積が広くなっても液体の噴出力を場所に関係なく一定に保つためには、液体吸入穴3を洗浄ヘッド2の全体の周辺部に持つより、液体噴射穴4の近くに設けた方が有利である。
図6では、それぞれの液体噴射穴4の周りに液体吸入穴3を設け、安定した大きな洗浄液吸入が実現できるようにしてある。
【0093】
(3)被洗浄体1を乾燥させるためのガス噴射口21は、洗浄液体1とは圧力の交換が無いようにギャップを広く取り、気流が外側に向かうようにすることで自由に設置可能なので、洗浄液領域を囲むように洗浄ヘッド2の周辺部に設けた。洗浄ヘッド2の周辺部を一周するように設けたことで、洗浄液は洗浄ヘッド2から被洗浄体1が遠ざかる際に、ガスが吹き付けられ十分に乾燥が行われる。エアカーテンの効果もあり、洗浄液はガス領域できちんと分離される。もっと一度に洗浄できる面積を増やしたい場合は、液体の噴出穴4と吸引穴3のペアを増加させることで実現出来る。もちろん、搬送方向に対して、洗浄抜けが無いように小さな洗浄ヘッド2を千鳥足状に配置することで、広い面積をカバーすればよい。
【0094】
図7は、本発明の詳細構成図(その6)を示す。
【0095】
図7の(a)は側面図を示し、
図7の(b)は底面図を示す。
図7中の1、2、3、4、21、OUT,INは
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6の同じ番号,記号のものと同一であるので、説明を省略する。
図7は、被洗浄体1を両面から同時に液洗浄する例を示す。
【0096】
図7において、洗浄ヘッド2は、該
図7で、上側および下側に2組を設け、被洗浄体1の上側の面および下側の面を同時にそれぞれ液洗浄するものである。
【0097】
次に、
図7の構成および動作を説明する。
【0098】
(1)
図7は、被洗浄体1を上下両面から挟んで両面を同時洗浄する例を示す。
【0099】
(2)被洗浄体1は通常の半導体基板の様に片面のみ用いるものばかりでなく、マイクロマシニング用のウェハーのように両面を利用するものもある。液晶用のガラスも両面を利用するものがあるため、基板(被洗浄体1)の両面を同時にクリーニング出来ることが望ましい。
図7では、図示のように上下に洗浄ヘッド2を配置して、両面同時クリーニングを実現している。
【0100】
(3)被洗浄体1を上下対称に両面から挟むと、洗浄液の表面張力が被洗浄体1の両面に対して均等に加わるため、被洗浄体1は自動的に上下2つの洗浄ヘッド2の丁度中心に来る。この場合、搬送系(図示のベルヌーイ搬送ロボット22)に対して宙に浮いているような状態になるため、搬送系は非常に小さな力で被洗浄体1を移動させることが出来る。図示のベルヌーイ搬送ロボット22で用いたベルヌーイチャック法などでは非常に使いやすい。このようにすると被洗浄体1はどこにも接触していないため、両面が洗浄されたまま保持移動することが出来る。
【0101】
(4)同様の機構を被洗浄体1の側面を洗浄するためにも利用できる。側面も同時洗浄したい場合には、上下左右の4方向から4組の洗浄ヘッド2を被洗浄体1に同時に当てることで実現できる。側面だけを洗浄したい場合は、側面のみに洗浄ヘッド2を設けることで実現できる。
【0102】
図8は、本発明の詳細構成図(その7)を示す。
【0103】
図8の(a)は側面図を示し、
図8の(b)は底面図を示す。
図8中の1、2、3、4、21は
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7の同じ番号,記号のものと同一であるので、説明を省略する。
図8は、ベルヌーイチャック23とリニアモーター等の並進移動装置とを設けたベルヌーイリニア搬送ロボット24を設け、これに被洗浄体1を載せるものである。
【0104】
図8において、ベルヌーイリニア搬送ロボット24は、リニア搬送機構と、ベルヌーイチャック23とから構成され、非接触で被洗浄体1を搬送(
図8では右方向あるいは左方向に搬送)するものである。
【0105】
ベルヌーイチャック23は、
図9で後述するように、ガスを被接触体1に向けて噴射してそのときのガスの噴射気流により、ガス噴射口と被接触体1とが一定距離に保持されるベルヌーイの原理を利用したチャックである(公知)。
【0106】
次に、
図8の構成および動作を説明する。
【0107】
(1)
図8は、ベルヌーイチャック23をリニアモーター等の並進移動装置(公知)に付けて、その上に被洗浄体1を載せるようにしたものである。既述した
図7のロボット22のハンドを搬送手段として用いた場合、被洗浄体1が小さい場合、あるいは搬送距離が短い場合は、容易に搬送できる。しかしながら被洗浄体1が大きくなると、大きなストロークのロボット22のハンドが必要となり、ハンドの機械強度を保つために、装置が非常に大掛かりになり、パワーも必要とするため効率が悪い。
図8は、並進移動が可能なリニアモーター等の搬送装置の上にベルヌーイチャック23を取り付けて、その上に被洗浄物1を置くようにしたので、非常に大きな被洗浄物1の場合でも、容易にギャップを正確に保ったまま並進搬送することが出来る。
【0108】
図9は、本発明の詳細構成図(その8)を示す。
図9は、非接触搬送系の例を示す。
【0109】
図9において、ベルヌーイチャック23は、図示外のノズルからガス供給27を受けた高圧ガスを噴射し、対面して載置した被洗浄体1を非接触で保持したり、搬送したりするものである。
【0110】
切換え弁25は、ガス供給27から供給された高圧ガスをコンピュータ26から指示されたベルヌーイチャック23に供給するものである。
【0111】
コンピュータ26は、被洗浄体1の搬送などを行う際に、所定の順番でガス供給27からの高圧ガスを、切換え弁25をONあるいはOFFに制御して供給し、被洗浄体1を搬送などするものである。
【0112】
次に、
図9の構成および動作を説明する。
【0113】
(1)
図9は、ベルヌーイチャックを用いた非接触搬送系の構成例を示す。図示したように、小さなベルヌーイチャック23を同一平面内に沢山敷き詰めておき、それぞれのベルヌーイチャック23が任意のタイミングおよび位置で動作できるようにしておく。この状態で、被洗浄体1が搬送されている方向から順番にノズルからベルヌーイ気体噴出を開始し、被洗浄体1が通過した場所はオフにするようにコンピュータ26で切換え弁25を制御する。このようにすると、ベルヌーイチャック23はベルヌーイ効果で捕捉している被洗浄体1の力が最も強く働いている位置が順番にずれていき、それに伴って被洗浄体1が移動するため、非接触で被洗浄体1を搬送することが出来る。
【0114】
(2)また、多孔質の穴から圧縮気体を噴き上げて、被洗浄体1の表面に流体膜を作り、平板を中空に支えて運ぶエアベアリング技術なども利用できる。これらに使用するガスはHEPAあるいはULPAフィルターなどを通してゴミが無いようにしておくのは言うまでもない。また、これら自身が静電気を起こさないように、イオナイザー等で帯電制御を行うのは言うまでもない。前者は静的な流体膜を作る例であったが、超音波を利用して動的に被洗浄体1の表面に流体膜を作り搬送する方法もある。旋回流あるいはサイクロンを用いて、搬送を行う方式もあり、これも非接触移動手段として利用できる。
【0115】
図10は、本発明の詳細構成図(その9)を示す。
【0116】
図10の(a)はチャック23の模式図を示し、
図10の(b)はウェハー(被洗浄体)1とチャック23との関係を模式的に示し、
図10の(c)はチャック23とパッド28とウェハー(被洗浄体)1との関係を模式図に示す。
【0117】
図10に示すように、既述したベルヌーイチャック23は、高圧エアーを図示のようにパッド28のノズルからウェハー(被洗浄体)1に向けて噴射すると、噴射口とウェハー(被洗浄体)1との間の距離を一定に保持する、ベルヌーイの原理を利用したものであって、具体的には図示のような構成で実現できる。
【0118】
次に、
図11から
図14を用い、吸入穴3から洗浄液を真空吸引したことに対応して、噴出穴4から噴出した洗浄液が被洗浄体1に噴射して洗浄した後、当該被洗浄体1上の洗浄液を除去(乾燥)するときの構成、動作について詳細に説明する。
【0119】
図11は、本発明の動作説明フローチャート(その1)を示す。
【0120】
図11において、S1は、液体の高さを測定する。これは、例えば
図2の液面31の高さを測定する。
図2の例では、搬送方向が右から左の方向であるから、左側の後端の液面の高さ(図示の洗浄ヘッド2と被洗浄体1との間の液面の、洗浄ヘッド1の左先端からの高さ)を測定する。
【0121】
S2は、噴出圧力あるいは被洗浄体1の移動速度を調整する。
【0122】
S3は、範囲内か判別する。YESの場合には、終了する。NOの場合には、S1以降を繰り返す。
【0123】
以上によって、例えば
図2の被洗浄体1が右方向に搬送している場合に、洗浄ヘッド2の後端から液面31までの高さを測定し(S1)、実験で求めた適切な高さの範囲内になる(S3のYES)ように、噴出圧力(
図5のガス噴出口21の噴出圧力)あるいは被洗浄体1の移動速度(
図2、
図5の被洗浄体1の移動速度)を調整する(S2)。これにより、
図2、
図5などで被洗浄体1を右方向に移動させる速度(あるいはガス噴出口21の圧力)を適切に調整し、表面張力による液面31が適切な範囲に自動調整され、洗浄後の洗浄液を全部、吸引穴3から真空吸引し、洗浄後の洗浄液が被洗浄体1上に残る事態を防止し、乾燥ムラの発生などを防止できる。
【0124】
図12は、本発明の動作説明フローチャート(その2)を示す。
【0125】
図12において、S11は、所定角度からブローする。
【0126】
S12は、ブロー位置を移動させて均一にブローする。
【0127】
S13は、均一にブローか判別する。YESの場合には、S14に進む。NOの場合には、S12に戻り繰り返す。
【0128】
S14は、板(被洗浄体1)を動かす。
【0129】
例えば、既述した
図5の(c)に示すように、ガス噴出口21から斜め方向に被洗浄体1に向けてガスを噴射し、洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥させる(S11)。そして、ガス噴出口21を振って被洗浄体1を均一にブローし、被洗浄体1上の洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥することを均一に行う(S12)。均一にブローを被洗浄体1に行ったら(S13のYES),被洗浄体(板)を次の位置に移動させる(S14)。
【0130】
以上によって、
図5に示すように、洗浄ヘッド2から洗浄液を被洗浄体1に噴射して洗浄した後、ガス噴射口21からガスを噴射しつつ噴射位置を移動させてブローし、洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥し、被洗浄体1に残さを残さす綺麗に乾燥させることが可能となる。
【0131】
図13は、本発明の動作説明フローチャート(その3)を示す。
【0132】
図13において、S21は、モップ、ブラシで散らす。
【0133】
S22は、きれいになったか判別する。YESの場合には、S23に進む。NOの場合には、S21に戻り繰り返す。
【0134】
S23は、被洗浄体を移動する。
【0135】
以上によって、例えば
図1の被洗浄体1が右方向に搬送している場合に、洗浄ヘッド2の右側の洗浄後の後端部分で、図示外のモップ、ブラシで残存の洗浄液をふき取ったり、散らしたりすると共に図示外のガスを噴射して乾燥させ、図示外の被洗浄体1上の微細粒子検出機構(例えば弱いレーザー光線を照射してそのときに表面の散乱度合を検出してこれが所定範囲内できれいになったか判別する機構など)で検出し、所定範囲内になって綺麗な状態になったと判定された場合には、板(被洗浄体1)を次の位置に搬送することにより、洗浄後の洗浄液が被洗浄体1上に残る事態を軽減し、乾燥ムラの発生などを防止できる。
【0136】
図14は、本発明の他の実施例構成図を示す。
図14は、
図1から
図8で既述した洗浄ヘッド2の覆い5を、半球状あるいは半円筒状にし、吸引穴3から図示外の真空ポンプ11で真空排気したことに対応して、複数のジェットノズル(噴射穴)4から被洗浄体1に向けて異なる角度から洗浄液(洗浄液あるいは蒸気8、あるいは両者の混合)を噴射し、凹凸のある被洗浄体1の表面上の異物を確実に除去するための例を示す。蒸気には、イソプロピルアルコール等を用いることができる。