(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、回動用モータ装置の回転軸、減速機構、および回転部材は、それぞれ歯車によって噛合わされることで、駆動伝達される。回動用モータ装置の回転軸、減速機構、および回転部材は、ベース部上に配置されているので、歯車の噛合せのために、回動用モータ装置と、減速機構および回転部材との相対位置を軸方向にずらす必要がある。このため、回動用モータ装置をベース部から嵩上げする必要があり、この分、パラレルロボットの高さ方向(軸方向)の寸法が大きくなってしまうという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、高さ方向の寸法を小さく設定でき、小型化が可能なロボット装置およびパラレルロボットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るロボット装置は、ベース部と、該ベース部
の一面側に設けられる伝達機構と、前記ベース部の他面側に設けられ
、前記伝達機構に回転力を伝達するモータ部と、前記ベース部の
一面側に設けられ、前記伝達機構を介して前記モータ部の回転力が入力される回転駆動機構と、
前記伝達機構と前記回転駆動機構の一端部との間に連結された第一のジョイント部と、前記回転駆動機構の他端部に連結された第二のジョイント部と、前記ベース部の一面側に設けられた複数の駆動部と、前記第二のジョイント部に連結される回転部と、前記回転部に対して回転自在に取り付けられる可動プレートと、前記駆動部に連結され、前記可動プレートに接続されたリンク機構と、を有し、前記ベース部に、前記モータ部の回転軸を挿通可能な貫通孔が形成されており、該貫通孔を介して前記回転軸と前記伝達機構とが連結されていることを特徴とする。
【0008】
このように、ベース部の同一面側(一面側)に伝達機構と回転駆動機構とを配置することにより、ベース部の他面側に配置される部品を減少できる。このため、ベース部の他面側への部品の突出高さを抑えることができ、結果的にロボット装置の高さ方向の寸法を小さく設定できる。
また、ベース部の同一面側(一面側)に伝達機構と回転駆動機構とを配置することにより、伝達機構からワークに至る間の距離、つまり、伝達機構から回転駆動機構のベース部とは反対側端に至る間の距離を短くできる。このため、回転駆動機構の長さを短く設定できる。この結果、回転駆動機構を支持する箇所、つまり、回転駆動機構の根元部や回転駆動機構と他の部品(例えば、可動
プレート)との連結箇所にかかる応力を小さくできる。よって、部品を小型化でき、ロボット装置全体を小型化できる。
また、ベース部の伝達機構が配置されている面とは反対側にモータ部を配置した場合であってもモータ部と伝達機構とを容易に連結させることができる。そして、ベース部の他面側からモータ部を嵩上げする必要もなく、ロボット装置の高さ方向の寸法を小さく設定できる。
【0011】
本発明に係るロボット装置において、
第一のジョイント部および前記第二のジョイント部は、前記回転駆動機構の
各前記端部
と、該端部に対応する前記伝達機構および前記回転部とに取り付けられる一対の連結部と、前記一対の連結部の間に設けられる中間部と、前記一対の連結部と前記中間部とを連結する位置規制ピンと、前記連結部および前記中間部の何れか一方に設けられ、前記位置規制ピンを回転可能に支持する転がり軸受と、前記位置規制ピンの周囲に設けられると共に、前記転がり軸受と前記連結部および前記中間部の何れか他方との間に設けられ、前記転がり軸受の内輪に当接するスペーサと、を備え、前記一対の連結部は、前記回転駆動機構の延在方向に対して交差する方向に延びる基部と、前記基部の両端から互いに対向する方向に向かって延出する一対の延出部と、を有し、各前記基部が、それぞれ前記回転駆動機構と前記
伝達機構および前記回転部とに別々に取り付けられ、前記位置規制ピンは、前記転がり軸受に挿通されるピン本体と、前記ピン本体の一端側に設けられ、前記転がり軸受の内輪に当接するフランジ部と、前記ピン本体の他端側に設けられる固定部と、を有し、前記連結部および前記中間部の何れか他方に、前記固定部と係止可能な被固定部を設けたことを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、モータ部の回転軸と、減速機構を構成する各歯車との軸間距離を短く設定することができる。このため、モータ部および減速機構の配置スペースを省スペース化でき、ロボット装置を小型化できる。
【0013】
本発明に係るロボット装置は、前記回転駆動機構の両端のうち、少なくとも一端には、前記回転駆動機構と被連結体とを連結するための自由継ぎ手部が設けられており、該自由継ぎ手部は、一方が前記回転駆動機構の端部に取り付けられ、他方が前記被連結体に取り付けられる一対の連結部と、前記一対の連結部の間に設けられる中間部と、前記一対の連結部と前記中間部とを連結する位置規制ピンと、前記連結部および前記中間部の何れか一方に設けられ、前記位置規制ピンを回転可能に支持する転がり軸受と、前記位置規制ピンの周囲に設けられると共に、前記転がり軸受と前記連結部および前記中間部の何れか他方との間に設けられ、前記転がり軸受の内輪に当接するスペーサと、を備え、前記一対の連結部は、前記回転駆動機構の延在方向に対して交差する方向に延びる基部と、前記基部の両端から互いに対向する方向に向かって延出する一対の延出部と、を有し、各前記基部が、それぞれ前記回転駆動機構と前記被連結体とに別々に取り付けられ、前記位置規制ピンは、前記転がり軸受に挿通されるピン本体と、前記ピン本体の一端側に設けられ、前記転がり軸受の内輪に当接するフランジ部と、前記ピン本体の他端側に設けられる固定部と、を有し、前記連結部および前記中間部の何れか他方に、前記固定部と係止可能な被固定部を設けたことを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、回転駆動機構と被連結体との連結箇所の可動域を大きくすることができる。このため、小型でありながら広い範囲にワークを搬送可能なロボット装置を提供できる。
【0015】
本発明に係るロボット装置において、前記固定部および前記被固定部は、ネジであることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、固定部および被固定部の何れか一方の交換が容易になる。このため、メンテナンス性の優れたロボット装置を提供できる。
【0017】
本発明に係るロボット装置において、前記スペーサは、前記位置規制ピン、前記連結部および前記中間部とは別体であることを特徴とする。
【0018】
このように構成することで、スペーサの摩耗状況等におじてスペーサのみを交換することができ、メンテナンス性の優れたロボット装置を提供できる。
【0019】
本発明に係るパラレルロボットは、上記に記載のロボット装置と、前記ベース部の他面側に設けられた3つの
前記リンク機構と、
を備え
たことを特徴とする。
【0020】
このように構成することで、高さ方向の寸法を小さく設定でき、小型化が可能なパラレルロボットを提供できる。
【0021】
本発明に係るパラレルロボットは、
前記3つのリンク機構の基端側に別々に連結されている3つの
前記駆動部を備えたことを特徴とする。
【0022】
このように構成することで、ベース部の他面側に空きスペースを大きく確保できる。このため、空きスペースを利用して例えば、ベース部にパラレルロボットを設置するための支持部材を取り付け易くすることができる。よって、小型化を図りつつ設置し易くすることが可能なパラレルロボットを提供できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ベース部の同一面側(一面側)に伝達機構と回転駆動機構とを配置することにより、ベース部の他面側に配置される部品を減少できる。このため、ベース部の他面側への部品の突出高さを抑えることができ、結果的にロボット装置の高さ方向の寸法を小さく設定できる。
また、ベース部の同一面側(一面側)に伝達機構と回転駆動機構とを配置することにより、伝達機構からワークに至る間の距離、つまり、伝達機構から回転駆動機構のベース部とは反対側端に至る間の距離を短くできる。このため、回転駆動機構の長さを短く設定できる。この結果、回転駆動機構を支持する箇所、つまり、回転駆動機構の根元部や回転駆動機構と他の部品(例えば、可動部)との連結箇所にかかる応力を小さくできる。よって、部品を小型化でき、ロボット装置全体を小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(パラレルロボット)
図1は、パラレルロボット1を斜め上からみた斜視図、
図2は、パラレルロボット1を斜め下からみた斜視図である。
図1、
図2に示すように、パラレルロボット1は、製品部品であるワークを3次元的に搬送させて製品を組み立てるためのものである。そして、不図示のスライドレールにスライド移動可能に設けられた複数のスライダ(不図示)に、それぞれパラレルロボット1が取り付けられている。スライドレールは、製造ライン(組み立てライン)に沿って水平に配設されている。
【0027】
なお、以下の説明では、パラレルロボット1のスライド移動方向(スライドレールの配設方向)をX方向と称し、鉛直方向をZ方向と称し、X方向、およびZ方向に直交する方向をY方向と称して説明する場合がある。さらに、以下の説明では、パラレルロボット1を設置した状態(スライドレールに取り付けた状態)で鉛直方向上側(例えば、
図1における上側)を単に上側、鉛直方向下側(例えば、
図1における下側)を単に下側と称して説明する。
【0028】
パラレルロボット1は、スライドレールのスライダ(何れも不図示)に取り付けられている板状のベースプレート8と、ベースプレート8の上面8aに固定されている回転駆動用モータ50と、回転駆動用モータ50に連結されている回転駆動機構51と、ベースプレート8の下面8bにブラケット9を介して固定されている3つの下部減速機付モータ10(10A〜10B)と、各下部減速機付モータ10にそれぞれ別々に連結されている3つのリンク機構11と、これら3つのリンク機構11の下部、および回転駆動機構51の下部に連結されている可動プレート12と、を主構成としている。
【0029】
(ベースプレート)
図3は、ベースプレート8を上面8a側からみた斜視図である。
同図に示すように、ベースプレート8は、面方向がX−Y平面に沿うように形成されている。また、ベースプレート8は、上面8aからみた平面が略三つ又状となるように形成されており、3つのX−Y平面に沿って突出する3つの凸部81a,81b,81cを有している。3つの凸部81a〜81cのうちの1つの凸部81bには、スライドレールのスライダ(何れも不図示)にベースプレート8を固定するためのボルト挿通孔82が形成されている。このボルト挿通孔82に不図示のボルトを挿通し、ボルトをスライダに螺入することによって、このスライダにベースプレート8が締結固定される。
【0030】
さらに、ベースプレート8の3つの凸部81a〜81cには、それぞれブラケット9を固定するためのボルト挿通孔83が形成されている。
また、ベースプレート8の径方向中央には、第1貫通孔84が形成されており、さらに、第1貫通孔84に隣接するように(凸部81b寄りに)第2貫通孔85が形成されている。これら第1貫通孔84、および第2貫通孔85は、ベースプレート8に回転駆動用モータ50を取り付けるためのものである。
【0031】
(回転駆動用モータ)
図4は、
図2の拡大図、
図5は、パラレルロボット1の回転駆動用モータ50付近の上面図であって、ベースプレート8を透過した図である。
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、回転駆動用モータ50は、回転駆動機構51を駆動するためのものであって、モータ部52とモータ部52の回転力を減速して出力する減速部53と、により構成されている。この減速部53に、回転駆動機構51が連結されている。
【0032】
モータ部52は、ベースプレート8の上面8aに配置されている。そして、回転軸52aが第2貫通孔85に挿通されている。ベースプレート8の上面8aには、第2貫通孔85に対応する位置に、モータ部52を受け入れる凹部8cが形成されている。
また、回転軸52aの先端は、第2貫通孔85を介してベースプレート8の下面8b側に突出している。この突出した箇所にピニオンギヤ86が取り付けられている。このピニオンギヤ86に減速部53が連結されている。
【0033】
(減速部、伝達機構)
減速部53は、ピニオンギヤ86に噛合され、このピニオンギヤ86よりも大径な平歯車87を有している。平歯車87は、一体化されたシャフト88に支持されている。シャフト88は、上端側が軸受ユニット89に回転自在に支持されている。軸受ユニット89は、ベースプレート8の上面8aに第1貫通孔84を閉塞するように設けられている。そして、第1貫通孔84の中心とシャフト88の軸心とが同軸上に配置される。また、シャフト88の下端側に平歯車87が挿通されている。
【0034】
シャフト88の両端は、それぞれ軸受ユニット89、および平歯車87から突出しており、この突出した両端にそれぞれベアリングナット90a,90bが螺着されている。これにより、シャフト88に対する平歯車87の軸方向への移動が規制される。
このように構成されたピニオンギヤ86、減速部53(シャフト88、平歯車87)は、モータ部52の回転を回転駆動機構51に伝達するための伝達機構80として構成されている。伝達機構80は、
図2に2点鎖線で示すカバー98によって覆われている。
【0035】
ここで、
図5に詳示するように、回転駆動用モータ50のモータ部52と減速部53の平歯車87は、ベースプレート8の厚さ方向(Z方向)において、一部が重なるように配置されている。
なお、以下の説明では、シャフト88の回転中心(平歯車87の回転中心)をC1とし、この回転中心C1回りを周方向と称して説明する場合がある。
【0036】
(ジョイント部)
図6は、ジョイント部100の縦断面図、
図7は、ジョイント部100を斜め上からみた斜視図である。
図4、
図6、
図7に示すように、シャフト88の下端88aには、ジョイント部100を介して回転駆動機構51が連結されている。
ジョイント部100は、略C字状に形成された一対の連結部101a,101b(第1連結部101a、第2連結部101b)を有している。これら一対の連結部101a,101bは、互いに開口側が対向するように配置されている。そして、一対の連結部101a,101bのうち、第1連結部101aの基端が、シャフト88の下端88aに固定され、第2連結部101bの基端が、回転駆動機構51の上端51aに固定されている。
【0037】
ここで、各連結部101a,101bの基本的構成は同一であるので、同一構成については第1連結部101aについてのみ説明し、第2連結部101bには第1連結部101aと同一符号を付して説明を省略する。なお、第1連結部101aと第2連結部101bとで構成の異なる点については、それぞれ説明する。
【0038】
第1連結部101aは、シャフト88の下端88aからシャフト88の延在方向に対して直交する方向に延びる略直方体状の基部102と、基部102の長手方向両端から互いに対向する方向に向かって延出する一対の延出部103と、が一体成形されたものである。基部102には、この基部102とシャフト88の下端88aとを連結するための固定部121が一体成形されている。
【0039】
固定部121は、シャフト88の下端88aを挿通可能な挿通孔121aがZ方向に沿って形成されている。固定部121には、挿通孔121aの中心を通るように、Y方向に沿って延びるピン123が設けられている。
シャフト88の下端88aには、ピン123に対応する位置に、このピン123を挿通可能な不図示の貫通孔が形成されている。これにより、固定部121と、この固定部121の挿通孔121aに挿通されたシャフト88の下端88aとの相対回転が規制される。
【0040】
また、固定部121には、X方向に沿ってスリット121bが形成されている。このスリット121bは、固定部121の一端から挿通孔121aに至る間に形成されている。このスリット121bにより、固定部121に2つの舌片部122a,122bが形成される。各舌片部122a,122bのうち、一方の舌片部122aの先端には、Y方向に沿うように不図示の雌ネジ部が刻設されている。また、他方の舌片部122bの先端には、不図示の雌ネジ部に対応する位置に、Y方向に沿うボルト挿通孔(不図示)が形成されている。
【0041】
そして、ボルト挿通孔にボルト124が挿入され、このボルト124が雌ネジ部に螺入される。ボルト124を締め付けていくと挿通孔121aが縮径変形し、これにより、固定部121(第1連結部101aの基部102)とシャフト88の下端88aとの固着力が高まる。そして、シャフト88の下端88aに対する第1連結部101aのガタツキを防止できる。すなわち、固定部121は、シャフト88の下端88aに第1連結部101aを固定するための、いわゆる割締め固定構造となっている。
【0042】
一方、第2連結部101bの基部102には、固定部121が一体成形されておらず、回転駆動機構51の上端51aに、基部102が直接固定されている。第2連結部101bの基部102は、回転駆動機構51の延在方向に対して直交する方向に延びるように略直方体状に形成されている。
【0043】
各延出部103には、それぞれ2つの転がり軸受104,105(第1転がり軸受104、第2転がり軸受105)が設けられている。これら2つの転がり軸受104,105は、延出部103の厚さ方向に同軸上に並んで配置されている。すなわち、一対の延出部103同士が対向している側(以下、延出部103の内側という場合もある)に、第1転がり軸受104が配置されている。また、一対の延出部103の内側とは反対側の外側に、第2転がり軸受105が配置されている。そして、これら転がり軸受104,105の一側面がそれぞれ延出部103から露出した状態になっている。
【0044】
また、各延出部103には、転がり軸受104,105を挟んで両側で、かつ各延出部103の厚さ方向両側に、それぞれ各転がり軸受104,105の外輪104a,105aを押えるためのストッパボルト106が螺着されている。各ストッパボルト106の頭部106aが、ワッシャ107を介して各転がり軸受104,105の外輪104a,105aを押えている。
【0045】
各転がり軸受104,105には、位置規制ピン108が挿通されている。位置規制ピン108は、転がり軸受104,105に挿通されるピン本体108aと、ピン本体108aの一端側に一体成形されているフランジ部(頭部)108bと、ピン本体108aの他端側に一体成形されている雄ネジ部108cと、からなる。雄ネジ部108cは、ピン本体108aに対して段差部108dを介して縮径形成されている。
【0046】
そして、2つの転がり軸受104,105のうち、第2転がり軸受105側(延出部103の外側)からこの第2転がり軸受105側に位置規制ピン108の雄ネジ部108cを向けた状態で、各転がり軸受104,105に位置規制ピン108を挿入している。位置規制ピン108を挿入した状態では、フランジ部108bがワッシャ109を介して第2転がり軸受105の内輪105bを押えた形になっている。
【0047】
このように構成された一対の連結部101a,101bは、Z方向(軸方向)からみてそれぞれの基部102が交差して十字となるように配置されている。一対の連結部101a,101bの延出部103の間、つまり、4つの延出部103の間には、中間駒110が設けられている。
中間駒110は、4つの側面110aが同一形状となるような直方体状に形成されたものであって、各側面110aが延出部103と対向するように配置されている。各側面110aには、中央部に雌ネジ部110bが刻設されている。そして、これら雌ネジ部110bに、位置規制ピン108の雄ネジ部108cが螺入される。
【0048】
また、中間駒110の各側面110aには、雌ネジ部110bに対応する位置にザグリ部110cが形成されている。このザグリ部110cに位置規制ピン108の段差部108dが挿入されて当接する。これにより、中間駒110の側面110aからの位置規制ピン108の突出量が決定する。
【0049】
さらに、各位置規制ピン108のピン本体108aには、各延出部103と中間駒110との間に、スペーサ111が外挿されている。スペーサ111の外径は、各転がり軸受104,105の内輪104b,105bの直径よりも若干大きくなる程度に設定されている。このため、スペーサ111の端面は、各延出部103の内側に配置された第1転がり軸受104の外輪104aおよび内輪104bのうち、内輪104bのみに当接する。
このようにジョイント部100を構成することにより、中間駒110に対し、一対の連結部101が対応する位置規制ピン108を中心にして回動可能に連結される。このため、一対の連結部101の相対的な可動域をできる限り大きく確保できる。
【0050】
(回転駆動機構)
ジョイント部100を介して減速部53のシャフト88に連結されている回転駆動機構51は、第2連結部101bの基部102に上端56aが固定されている直動ガイド56と、直動ガイド56にスライド移動可能、かつ相対回転不能に連結された回転アーム57と、を備えている。
直動ガイド56は、円筒状に形成されたものであって、内周面に不図示のスプラインが形成されている。そして、直動ガイド56内に下方から回転アーム57が挿入されている。
【0051】
回転アーム57の外周面には、直動ガイド56のスプラインに対応するように不図示のスプラインが形成されている。すなわち、直動ガイド56と回転アーム57は、スプライン嵌合されている。これにより、直動ガイド56に対して回転アーム57の回転が規制されると共に、直動ガイド56に対する回転アーム57の伸縮移動が可能になる。そして、この回転アーム57の下端57aに、ジョイント部100を介して可動プレート12が連結されている。
なお、回転アーム57の下端57aに設けられたジョイント部100も、直動ガイド56の上端56aに固定されたジョイント部100も、基本的構成は同一である。このため、回転アーム57の下端57aに設けられたジョイント部100についての説明を省略する。
【0052】
(下部減速機付モータ)
一方、
図1、
図2に示すように、ベースプレート8の下面8bに設けられている3つの下部減速機付モータ10は、3つのリンク機構11をそれぞれ別々に駆動するためのものであって、第1下部減速機付モータ10A、第2下部減速機付モータ10B、および第3下部減速機付モータ10Cの3つの下部減速機付モータ10A〜10Cからなる。
なお、3つの下部減速機付モータ10A〜10Cは、構成が全て同一であるので、以下の説明では、特に必要のない場合を除いて、第1下部減速機付モータ10A、第2下部減速機付モータ10B、および第3下部減速機付モータ10Cを総称して下部減速機付モータ10という。
【0053】
下部減速機付モータ10は、モータ部13とモータ部13の回転力を減速して出力する減速部14と、により構成されている。減速部14としては、例えば遊星歯車減速機構が用いられる。
このように構成された下部減速機付モータ10を支持するブラケット9は、略正方形の板状に形成されたもので、ベースプレート8の下面8bからZ方向下方に向かって立設されている。ブラケット9も、下部減速機付モータ10の個数に対応するように3つ設けられている。また、ブラケット9は、ベースプレート8に形成されているボルト挿通孔83(
図3参照)に対応するように配置され、Z方向からみて、ベースプレート8の回転中心C1に対して放射状となるように、かつ周方向に等間隔となるように配置されている。
【0054】
3つのブラケット9には、それぞれボルト挿通孔83に対応する箇所に不図示の雌ネジ部が刻設されている。そして、3つのブラケット9は、それぞれベースプレート8の上面8a側からボルト挿通孔83に挿入されたボルト75によって、ベースプレート8に締結固定されている。
【0055】
このようにベースプレート8に固定された3つのブラケット9の同一側面に、それぞれ3つの下部減速機付モータ10の各減速部14側の端面が取り付けられる。このため、下部減速機付モータ10は、出力軸14aが、X−Y平面(水平方向)、つまり、ベースプレート8の面方向に沿うように配置される。
このように配置された各下部減速機付モータ10の出力軸14aは、ブラケット9に形成されている不図示の貫通孔を介し、取り付けられている面とは反対側の面に突出している。
【0056】
(リンク機構)
各ブラケット9から突出している各下部減速機付モータ10の出力軸14aに、それぞれリンク機構11が取り付けられている。なお、リンク機構11は、構成が全て同一であるので、以下の説明では、1つのリンク機構11のみ説明し、他の2つのリンク機構11については同一符号を付して説明を省略する。
リンク機構11は、基端15aが出力軸14aに連結された第1アーム15と、第1アーム15の先端15b側に配置された第2アーム16と、第1アーム15の先端15bと第2アーム16の基端16aとを連結する第1連結部17と、を備えている。
【0057】
図4に詳示するように、第1アーム15は板状の部材により形成されたものであって、基端15a側には、下部減速機付モータ10の出力軸14aの先端(縮径部)を挿通可能な貫通孔19が形成されている。この貫通孔19に第1アーム15の基端15a側を挿入した状態で、ボルト21によって出力軸14aに第1アーム15が締結固定されている。これにより、3つの第1アーム15は、回転中心C1に対して放射状に配置され、かつ周方向に等間隔で配置される。
【0058】
図1、
図2、
図4に示すように、第1アーム15に第1連結部17を介して連結される第2アーム16は、第1アーム15の両側面15c,15dにそれぞれ配置された2つのアームバー26を有している。これらアームバー26の基端26aが、第2アーム16の基端16aとなる。
【0059】
図4に詳示するように、第1連結部17は、第1アーム15の先端15b側に、厚さ方向に貫通形成された貫通孔27と、貫通孔27に挿通される連結軸28と、各アームバー26の基端26aにそれぞれ設けられ、連結軸28に連結される2つの小連結部29と、を主構成としている。
小連結部29は、連結軸28を回転自在に支持するための転がり軸受31と、転がり軸受31が内嵌される略円環状の軸受ホルダ32と、軸受ホルダ32と各アームバー26の基端26aとを回動自在に連結する支持部33と、を備えている。
【0060】
軸受ホルダ32の外周面は、連結軸28の軸方向からみて正方形状に形成されている。一方、支持部33は、略U字状に形成されている。すなわち、支持部33は、アームバー26の基端26aに連結される基部35と、基部35の両側から軸受ホルダ32側に向かって延出する2つの爪部36とが一体成形されてなる。そして、軸受ホルダ32の対向する2つの側面に、それぞれ爪部36が配置される。つまり、これら2つの爪部36によって、軸受ホルダ32が挟持される。
【0061】
軸受ホルダ32の2つの爪部36に対応する側面には、それぞれ軸部37が突出形成されている。1つの軸受ホルダ32に形成された2つの軸部37は、同軸上に配置されている。また、2つの軸部37は、連結軸28に対して直交するように設けられる。
一方、支持部33の2つの爪部36には、それぞれ軸部37を挿通可能な軸孔38が形成されている。これにより、支持部33は、軸受ホルダ32に対し、連結軸28に直交する軸部37を中心にして回動自在に連結される。
【0062】
図1、
図2に示すように、第2アーム16の先端16b、つまり、各アームバー26の先端26bには、第2連結部18を介して可動プレート12が回動自在に連結されている。可動プレート12は、三つ又状に形成されたものであって、プレート本体42と、このプレート本体42の外周部に周方向に等間隔で一体成形された3つの凸部46と、により構成されている。そして、3つの凸部46に、それぞれ第2連結部18を介して各リンク機構11の下端(第2アーム16の先端16b)が連結されている。
なお、第2連結部18の基本的構成は、第1連結部17と同様である。このため、第2連結部18において、第1連結部17と同一構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
このように、ベースプレート8に、3つのリンク機構11を介して可動プレート12を連結することにより、パラレルメカニズムを構成する。そして、3つのリンク機構11を駆動させると、可動プレート12は、姿勢を変えることなく(水平方向に沿った状態のまま)、3次元方向(X−Y−Z方向)に可動する。
また、可動プレート12のプレート本体42には、中央の大部分に回転部44がプレート本体42の厚さ方向を軸として回転自在に取り付けられている。この回転部44が、ジョイント部100を介して回転アーム57の下端57aに連結されている。さらに、回転部44の下端に、不図示のハンドアームが取り付け可能とされており、ハンドアームによって不図示のワークが把持される。
【0064】
また、ベースプレート8の下面8bには、3つの凸部81a,81b,81cのうちの2つの凸部81a,81cの間に、不図示のワークを検出するためのカメラ70が、ブラケット71を介して取り付けられている。ブラケット71は、ベースプレート8の下面8bからY方向に沿って他側8d側に突出する水平ブラケット72と、水平ブラケット72の先端から垂設された縦ブラケット73と、により構成されている。そして、縦ブラケット73の下端にカメラ70が下向きに取り付けられている。
【0065】
(パラレルロボットの動作)
このような構成のもと、パラレルロボット1を作動させて製品を組み立てる際、まず、パラレルロボット1のカメラ70によって製品部品であるワークを撮像する。これにより、ワークの位置、向きを検出し、これら検出結果を信号として不図示の制御部に出力する。
不図示の制御部は、カメラ70による検出結果の信号に基づいて、パラレルロボット1の駆動制御を行う。具体的には、下部減速機付モータ10の駆動制御を行い、可動プレート12を所望の位置に移動させる。この後、回転駆動用モータ50の駆動制御を行い、可動プレート12に取付けられる不図示のハンドアームを所望の向きに変更し、このハンドアームによってワークを把持する。
【0066】
不図示のハンドアームによってワークを把持した後、不図示のスライドレールに沿ってパラレルロボット1が移動し、次工程にワークが搬送される。つまり、製造ラインの下流側に位置するパラレルロボット1に対応する位置に、ワークが搬送される。下流側に位置するパラレルロボット1は、上流側から搬送されたワークをカメラ70によって検出する。そして、上述したパラレルロボット1と同様の動作を行う。これを繰り返し行うことにより、製品が組み立てられる。
【0067】
(効果)
ここで、パラレルロボット1のベースプレート8には、下面8b側に、回転駆動用モータ50の回転力を回転駆動機構51に伝達するための伝達機構80が設けられている。このため、伝達機構80からワークに至る間の距離を短くできる。この結果、回転駆動機構51(直動ガイド56や回転アーム57)の長さを短く設定できる。よって、回転駆動機構を支持する箇所、つまり、ジョイント部100にかかる応力を小さくでき、パラレルロボット1全体を小型化できる。
【0068】
また、ベースプレート8の下面8b側に、伝達機構80や回転駆動機構51を配置するので、ベースプレート8の上面8aに配置される部品を減少できる。このため、ベースプレート8の上面8a側への部品の突出高さを抑えることができ、結果的にパラレルロボット1の高さ方向の寸法を小さく設定できる。
【0069】
さらに、ベースプレート8の下面8bに、リンク機構11を駆動するための下部減速機付モータ10を配置している。このため、ベースプレート8の上面8aに配置する部品が減少し、この上面8aの空きスペースを大きく確保できる。このため、空きスペースを利用して例えば、ベースプレート8の上面8aにパラレルロボット1を設置するための支持部材(例えば、不図示のスライダ)を取り付け易くすることができる。また、空きスペースを有効活用することで、パラレルロボット1の設置スペースを省スペース化できる。
【0070】
また、ベースプレート8に第2貫通孔85を形成し、この第2貫通孔85を介してベースプレート8の上面8aに配置された回転駆動用モータ50と、ベースプレート8の下面8bに配置された伝達機構80(平歯車87)とを連結するように構成している。このため、ベースプレート8を挟んで両側に配置された回転駆動用モータ50と伝達機構80との駆動伝達を容易、かつ省スペースで行うことができる。また、従来のように、回転駆動用モータ50を、ベースプレート8の上面8aに嵩上げする必要もなくなるので、パラレルロボット1の高さ方向の寸法を小さく設定できる。
【0071】
さらに、回転駆動用モータ50のモータ部52と減速部53の平歯車87は、ベースプレート8の厚さ方向(Z方向)において、一部が重なるように配置されている。このため、モータ部52の回転軸52aと、平歯車87との軸間距離を短く設定することができる。よって、回転駆動用モータ50および減速部53の配置スペースを省スペース化でき、ロボット装置を小型化できる。
【0072】
また、回転駆動機構51とシャフト88および可動プレート12とを連結するジョイント部100を、一対の連結部101a,101bと、中間駒110と、これら連結部101a,101bと中間駒110とを相対回転可能に連結する位置規制ピン108と、位置規制ピン108を回転自在に支持する転がり軸受104,105と、連結部101a,101bの延出部103と中間駒110との間に設けられるスペーサ111と、により構成している。このため、回転駆動機構51とシャフト88との可動域をできるかぎり大きくすることができ、小型でありながら広範囲にワークを搬送可能なパラレルロボット1を提供できる。
【0073】
さらに、中間駒110に雌ネジ部110bを刻設し、位置規制ピン108に雄ネジ部108cを設けることにより、中間駒110と位置規制ピン108との固定を締結固定としている。このため、位置規制ピン108の交換が容易になり、メンテナンス性の優れたパラレルロボット1を提供できる。
【0074】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、減速部53を構成する歯車が、平歯車87のみである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、複数の歯車により減速部53を構成してもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、ジョイント部100の固定部121に2つの舌片部122a,122bを形成し、一方の舌片部122aの先端に雌ネジ部(不図示)を刻設すると共に、他方の舌片部122bにボルト挿通孔(不図示)を形成した場合について説明した。そして、ボルト124を利用してシャフト88の下端88aにジョイント部100の第1連結部101aを固定する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、2つの舌片部122a,122bの両者にボルト挿通孔を形成してこれらボルト挿通孔にボルト124を挿通し、ボルト124の先端にナットを螺入して2つの舌片部122a,122bを締め付けるように構成してもよい。
さらに、固定部121を割締め固定構造とせずに、シャフト88の下端88aに固定部121を固定するように構成してもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、ジョイント部100の延出部103に2つの転がり軸受104,105を設ける一方、中間駒110に雌ネジ部110bを刻設し、位置規制ピン108によって各連結部101a,101bと中間駒110とを相対回転可能に連結した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、延出部103に雌ネジ部110bを刻設し、中間駒110に2つの転がり軸受104,105を設けてもよい。この場合、位置規制ピン108にフランジ部108bを形成せずに、延出部103の内側からこの延出部103に位置規制ピン108を締結固定する。
【0077】
さらに、延出部103、または中間駒110の何れか一方に2つの転がり軸受104,105をセットで設けず、2つの転がり軸受104,105のうちの何れか一方のみを設けるように構成してもよい。
また、延出部103、または中間駒110の何れか一方に位置規制ピン108を締結固定する構造としなくてもよい。延出部103、または中間駒110の何れか一方に位置規制ピン108が固定できればよい。例えば、延出部103、または中間駒110の何れか一方に位置規制ピン108を圧入固定としてもよい。