(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両本体に設けられたガイドレールに沿って、スライドドアをスライド可能に支持すると共に、前記スライドドアを自動開閉するための駆動装置に一端が連結されている開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端が連結されるローラユニットにおいて、
前記ガイドレールと前記スライドドアとに跨るように設けられ、前記車両本体とは反対側の端部で前記スライドドアを支持するブラケットと、
前記ブラケットに立設された支軸と、
前記支軸に回転自在に支持され、前記ガイドレール内を転動するローラと、
前記ブラケットの前記支軸が立設されている位置に配置され、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端を保持するケーブルホルダと、
前記ローラを挟んで前記ケーブルホルダとは反対側に配置されていると共に、該ケーブルホルダに一体的に設けられ、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルをガイドするケーブルガイドと、
を備え、
前記ケーブルホルダに、前記支軸を挿通可能なホルダ側貫通孔を形成し、
前記ケーブルガイドに、前記支軸を挿通可能なガイド側貫通孔を形成したことを特徴とするローラユニット。
前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、それぞれ前記ケーブルガイド上で交差させた状態で前記ケーブルガイドによってガイドされていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のローラユニット。
前記ケーブルガイドにより、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、これら開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端よりも前記ガイドレール側にオフセットされた形で配線されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のローラユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、ケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めるために取付けタブを設け、さらに、この取付けタブの剛性を高めるために加工に手間がかかるという課題がある。
また、手間がかかる加工を施すために、ローラユニットの組み付け性が悪化するばかりか、ローラユニットが大型化してしまうという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ケーブルに対する保持剛性を維持しつつ、組み付け性を向上できると共に、大型化を抑制できるローラユニットおよび車両用開閉体駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るローラユニットは、車両本体に設けられたガイドレールに沿って、スライドドアをスライド可能に支持すると共に、前記スライドドアを自動開閉するための駆動装置に一端が連結されている開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端が連結されるローラユニットにおいて、前記ガイドレールと前記スライドドアとに跨るように設けられ、前記車両本体とは反対側の端部で前記スライドドアを支持するブラケットと、前記ブラケットに立設された支軸と、前記支軸に回転自在に支持され、前記ガイドレール内を転動するローラと、前記ブラケットの前記支軸が立設されている位置に配置され、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端を保持するケーブルホルダと、前記ローラを挟んで前記ケーブルホルダとは反対側に配置されていると共に、該ケーブルホルダに一体的に設けられ、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルをガイドするケーブルガイドと、を備え、前記ケーブルホルダに、前記支軸を挿通可能なホルダ側貫通孔を形成し、前記ケーブルガイドに、前記支軸を挿通可能なガイド側貫通孔を形成したことを特徴とする。
【0010】
このように、ケーブルホルダとケーブルガイドとを一体的に設けることにより、各ケーブルにかかる張力をケーブルホルダとケーブルガイドの両者で受けることができる。このため、ローラユニットのケーブルに対する保持剛性を維持できる。
また、ケーブルホルダにホルダ側貫通孔を形成すると共に、ケーブルガイドにガイド側貫通孔を形成するので、ブラケットに一体化されたケーブルホルダおよびケーブルガイドをセットすると共に、ローラをセットした後、各貫通孔に支軸を挿通し、この支軸をブラケットに取付けることができる。このため、ローラユニットの組み付け性を向上できる。
さらに、支軸を避けるようにケーブルホルダやケーブルガイドを形成する必要がないので、これらケーブルホルダやケーブルガイドを小型化できる。
【0011】
本発明に係るローラユニットにおいて、少なくとも前記支軸の前記ケーブルガイド側の端部は、前記支軸の軸径よりも拡径形成されたかしめ部を有し、前記ガイド側貫通孔の孔径は、前記かしめ部の外径よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、支軸の端部を座屈変形させてかしめ部を形成するだけでブラケットに支軸およびローラを取り付けることができる。このため、ローラユニットの組み付け性をさらに向上できる。
また、ガイド側貫通孔の孔径が、かしめ部の外径よりも大きく設定されているので、ガイド側貫通孔を介してケーブルガイドの上から支軸を座屈変形させることができる。このため、ローラユニットの組み付け性を向上できる。
【0013】
本発明に係るローラユニットは、前記ケーブルガイドに、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルを配線するためのガイド溝を形成し、該ガイド溝上に前記ガイド側貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0014】
このように、ガイド溝とガイド側貫通孔とを同じ位置に形成することにより、ケーブルガイドをさらに小型化できる。
【0015】
本発明に係るローラユニットにおいて、前記ローラは、内輪と外輪とを有する転がり軸受であり、前記ケーブルホルダのホルダ側貫通孔の周囲に、前記内輪に当接すると共に前記ケーブルホルダと前記ローラとの間の隙間を確保するスペーサが設けられていることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、ローラをスムーズに転動させることができる。このため、効率よくローラユニットを動作させることができる。
【0017】
本発明に係るローラユニットにおいて、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、それぞれ前記ケーブルガイド上で交差させた状態で前記ケーブルガイドによってガイドされていることを特徴とする。
【0018】
このように構成することで、1つのケーブルガイドに1つのガイド溝を形成するだけで、このガイド溝に纏めて2つのケーブルを配線することができる。このため、ローラユニットを小型化できる。
【0019】
本発明に係るローラユニットにおいて、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端は、それぞれ柱状のケーブルエンドを備えており、前記ケーブルホルダは、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の張力がかかる側に配置されたケーブルエンド保持部と、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の前記ケーブルエンド保持部とは反対側に配置されたケーブルフックと、を備え、前記ケーブルエンド保持部と前記ケーブルフックとにより、各前記ケーブルエンドの外周部が挟持されていることを特徴とする。
【0020】
このように構成することで、ケーブルホルダに各ケーブルの他端を取り付ける作業を、容易化できる。
【0021】
本発明に係るローラユニットは、前記ケーブルガイドにより、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、これら開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端よりも前記ガイドレール側にオフセットされた形で配線されていることを特徴とする。
【0022】
このように構成することで、ガイドレールに各ケーブルを極力近づけることができる。
このため、ガイドレールに沿ってローラユニットがスライド移動する際、このスライド移動の途中でケーブルの配線経路長が変化してしまうことを抑制できる。
【0023】
本発明に係る車両用開閉体駆動装置は、上記に記載のローラユニットと、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々一端が連結されている前記駆動装置と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
このように構成することで、ガイドレールに沿ってローラユニットがスライド移動する際、このスライド移動の途中でケーブルの配線経路長が変化してしまうことを確実に抑制可能な車両用開閉体駆動装置を提供できる。
また、ケーブルに対する保持剛性を維持しつつ、組み付け性を向上できると共に、大型化を抑制可能な車両用開閉体駆動装置を提供できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ケーブルホルダとケーブルガイドとを一体的に設けることにより、各ケーブルにかかる張力をケーブルホルダとケーブルガイドの両者で受けることができる。このため、ローラユニットのケーブルに対する保持剛性を維持できる。
また、ケーブルホルダにホルダ側貫通孔を形成すると共に、ケーブルガイドにガイド側貫通孔を形成するので、ブラケットに一体化されたケーブルホルダおよびケーブルガイドをセットすると共に、ローラをセットした後、各貫通孔に支軸を挿通し、この支軸をブラケットに取付けることができる。このため、ローラユニットの組み付け性を向上できる。
さらに、支軸を避けるようにケーブルホルダやケーブルガイドを形成する必要がないので、これらケーブルホルダやケーブルガイドを小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
(車両)
図1は、本発明に係るスライドドア自動開閉装置110が搭載された車両100の側面図、
図2は、スライドドア103の車両本体101への取り付け構造を示す平面図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、車両100の地面側を単に下側、車両100の天井側を単に上側、車両100の進行方向前方を単に前方、進行方向後方を単に後方などと表現して説明する。
【0029】
図1に示すように、車両100の車両本体101には、側部に車両本体101の開口部102を開閉するためのスライドドア103が設けられている。このスライドドア103は、開口部102の上側に配置されているアッパーレール104と、開口部102の下側に配置されているロアーレール105と、開口部102の上下方向略中央であって、かつ後方側に配置されたセンターレール106と、にそれぞれスライド移動自在に支持されている。
【0030】
図2に示すように、センターレール106は、前後方向に延在する直線状の直線部106aと、直線部106aに対して車室内側に向かって湾曲形成された湾曲部106bとが一体成形されたものである。センターレール106は、湾曲部106bを前方側に向けた状態で車両本体101に固定されている。
なお、図示を省略するが、アッパーレール104、およびロアーレール105も前後方向に延在する直線部と、この直線部に対して車室内側に向かって湾曲形成された湾曲部とに、より構成されている。
【0031】
スライドドア103の後端部には、センターレール106に対応する箇所に、センターアーム107が設けられている。このセンターアーム107の先端が、ローラユニット1を介してセンターレール106にスライド自在に支持されている。
【0032】
なお、図示を省略するが、スライドドア103の前方には、上端部にアッパーアームが設けられている一方、下端部にロアーアームが設けられている。そして、アッパーレール104には、ローラユニットを介してアッパーアームの先端がスライド自在に支持されている。一方、ロアーレール105には、ローラユニットを介してロアーアームの先端がスライド自在に支持されている。これらアッパーレール104、およびロアーレール105に取り付けられるローラユニットとして、センターレール106に取り付けられているローラユニット1と同一構造のものを採用することができる。
【0033】
ここで、車両100には、スライドドア103を自動開閉するためのスライドドア自動開閉装置110が搭載されている。スライドドア自動開閉装置110は、いわゆるケーブル式の自動開閉装置であって、センターレール106の前後方向略中央であって、かつ車両本体101の内部に配置されている駆動ユニット111と、駆動ユニット111とローラユニット1の後部とを連結する開放用ケーブル112と、駆動ユニット111とローラユニット1の前部とを連結する閉塞用ケーブル113と、を備えている。
【0034】
また、センターレール106の後端には、開側プーリ114が設けられている。一方、センターレール106の前端には、閉側プーリ115が設けられている。
そして、開放用ケーブル112は、開側プーリ114を介して一端が駆動ユニット111に連結され、他端がローラユニット1に連結されるように両者1,111に跨って配線されている。一方、閉塞用ケーブル113は、閉側プーリ115を介して一端が駆動ユニット111に連結され、他端がローラユニット1に連結されるように両者1,111に跨って配線されている。
【0035】
駆動ユニット111は、電動モータ116と不図示のケーブル駆動機構と、電動モータ116の駆動制御を行うための制御装置117とを備えている。そして、制御装置117により制御された電動モータ116が正逆回転することにより、不図示のケーブル駆動機構が駆動し、開放用ケーブル112や閉塞用ケーブル113が牽引される。これにより、ローラユニット1を介し、各レール104〜16に沿ってスライドドア103がスライド移動する。そして、自動でスライドドア103の開閉動作が行われる。
【0036】
ここで、スライドドア103が開状態にあるとき、閉塞用ケーブル113が牽引されると、センターレール106の湾曲部106bにローラユニット1が案内されると共に、アッパーレール104、およびロアーレール105の湾曲部にローラユニット(何れも不図示)が案内される。そして、スライドドア103が車両本体1の外側から車室内側に斜めに引き込まれ、その後車両本体101の側面と面一となって閉じられる。
【0037】
(第1実施形態)
(ローラユニット)
図3は、ローラユニット1を上側からみた斜視図、
図4は、ローラユニット1を下側からみた側面図である。
図5は、ローラユニット1からホルダ・ガイド120を取り外した状態を、上側からみた斜視図であって、
図3に対応している。
図3〜
図5に示すように、ローラユニット1は、一端がセンターアーム107の先端に取り付けられたベースブラケット2を有している。ベースブラケット2は、金属板にプレス加工等を施して形成されたものであって、断面略L字状に形成されたベース本体3を有している。ベース本体3は、上下方向に沿って延在する縦壁3aと、この縦壁3aの下端から水平方向に沿って屈曲延出する横壁3bと、により構成されている。そして、縦壁3aを車両本体101側であるセンターレール106側に向けた状態で配置している。
【0038】
ベース本体3の横壁3bには、一側に上方に向かって立ち上がり壁4が屈曲延出され、さらに、この立ち上がり壁4の上端に、横壁3bと平行に、且つ対向するように舌片部5が屈曲延出されている。これら横壁3b、立ち上がり壁4、および舌片部5により断面略コの字状の受け入れ部6が形成され、ここに、スライドドア103から延びるセンターアーム107が収納される。
【0039】
また、横壁3bと舌片部5には、不図示のシャフトを上下方向に沿って挿入可能な挿通孔8が形成されている。そして、不図示のシャフトを介してベースブラケット2とセンターアーム107とが連結される。すなわち、センターアーム107に対してベースブラケット2がシャフト7を中心にして回転自在に取り付けられる。
【0040】
一方、縦壁3aの上端には、幅方向両端にセンターレール106側(
図3、
図5における紙面手前側)、つまり、車両本体101側(
図2参照)に向かって水平ローラ取付座9a,9bが屈曲延出されている。各水平ローラ取付座9a,9bには、それぞれセンターレール106に収納される水平ローラ(サブローラ)10a,10bが設けられている。各水平ローラ10a,10bは、いわゆる滑り軸受により構成されている。各水平ローラ10a,10bは、それぞれ水平ローラ取付座9a,9bから上側に向かって突設された支軸20a,20bに、回転自在に支持されている。
【0041】
また、縦壁3aの上端における幅方向略中央は、垂直ローラ取付座22とされている。垂直ローラ取付座22の一部は、若干上側に向かって突出している。この垂直ローラ取付座22には貫通孔24が形成されており、この貫通孔24に支軸23が挿通されている。支軸23は、縦壁3aからセンターレール106側に向かって突出している。そして、支軸23に垂直ローラ(メインローラ)21が回転自在に支持されている。垂直ローラ21は、いわゆる転がり軸受であって、内輪21aと、この内輪21aに対して回転可能に設けられた外輪21bと、を有している。
支軸23の両端には、それぞれ座屈変形させることにより形成されたかしめ部26が設けられている。これにより、ベースブラケット2からの支軸23の抜けが防止されると共に、支軸23からの垂直ローラ21の抜けが防止される。
【0042】
このように、ローラユニット1に設けられている水平ローラ10a,10bの支軸20a,20bと、垂直ローラ21の支軸23は、互いに略直交するように設けられている。すなわち、水平ローラ10a,10bは、ローラユニット1の水平方向の移動を規制しながらセンターレール106内を転動する。一方、垂直ローラ21は、ローラユニット1にかかる荷重を受け、この荷重をセンターレール106に伝達しながらセンターレール106内を転動する。
【0043】
また、ベース本体3の縦壁3aには、幅方向両端の水平ローラ取付座9a,9bよりも若干下側に、切り欠き部25が形成されている。この切欠き部25に係合するように、縦壁3aにホルダ・ガイド120が設けられている。ホルダ・ガイド120は、水平ローラ取付座9a,9bの下側に配置されている。
【0044】
(ホルダ・ガイド)
図6は、ホルダ・ガイド120の斜視図である。
同図に示すように、ホルダ・ガイド120は、樹脂により形成されたものである。また、ホルダ・ガイド120は、ベースブラケット2の縦壁3a側に配置されたケーブルホルダ11と、ケーブルホルダ11のセンターレール106側に配置されたケーブルガイド40と、が一体成形されたものである。
【0045】
(ケーブルホルダ)
ケーブルホルダ11は、開放用ケーブル112の他端に設けられている円柱状のケーブルエンド112a、および閉塞用ケーブル113の他端に設けられている円柱状のケーブルエンド113aを保持する機能を有している。
ケーブルホルダ11は、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されたホルダベース12を有している。なお、以下の説明では、ケーブルホルダ11の長手方向を単に長手方向と称し、ケーブルホルダ11の短手方向を単に短手方向と称して説明する場合がある。
【0046】
ホルダベース12の長手方向中央には、厚さ方向に貫通し、垂直ローラ21の支軸23を挿通可能な貫通孔32が形成されている。そして、貫通孔32に支軸23が挿通され、ホルダベース12のセンターレール106寄りに垂直ローラ21が配置される。
また、貫通孔32の内周縁には、リング状のスペーサ13がセンターレール106側に向かって突出形成されている。このスペーサ13は、ホルダベース12と垂直ローラ21との間の隙間Sを確保するためのものである。また、スペーサ13は、垂直ローラ21の内輪21aに当接するように形成されている。
【0047】
さらに、ホルダベース12の長手方向両端には、ベースブラケット2(ベース本体3)の縦壁3aに向かって脚部14,15が突設されている。これら脚部14,15が、縦壁3aに形成されている切欠き部25に挿入される。各脚部14,15の先端には上側に向かって延出する鉤部14a,15aが一体成形されている。これら鉤部14a,15aによって、縦壁3aの切欠き部25に挿入された各脚部14,15と、ベースブラケット2とが係合される。
【0048】
また、ホルダベース12の長手方向両端で、且つ短手方向両側には、それぞれ第1側壁12a、第2側壁12bが立設されている。短手方向で対向する第1側壁12aと第2側壁12bとの間の幅W1は、各ケーブル112,113を挿通可能な幅に設定されている。また、第1側壁12aおよび第2側壁12bの中央部には、それぞれ上下方向で貫通するケーブルエンド挿入孔16a,16bが形成されている。これらケーブルエンド挿入孔16a,16bに、各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113aが挿入される。
【0049】
2つの側壁12a,12bのうち、第2側壁12bには、ケーブルエンド挿入孔16bの車内外方向略中央よりもややスライドドア103側からホルダベース12の長手方向外側に向かって斜めに延出するスリット37が形成されている。このスリット37を介して各ケーブル112,113が2つの側壁12a,12bの間に挿入される。
ここで、各側壁12a,12bは、ケーブルエンド挿入孔16a,16bを中心に、ホルダベース12の長手方向中央側がケーブルエンド保持部34とされ、長手方向両端側がケーブルフック35とされている。なお、これらケーブルエンド保持部34とケーブルフック35の役割については後述する。
【0050】
(ケーブルガイド)
ケーブルガイド40は、ケーブルホルダ11に固定される各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113a側を案内するためのものである。ケーブルガイド40は、ケーブルホルダ11の長手方向に沿って長く形成され、且つケーブルホルダ11の両端に設けられた側壁12a,12bに跨るように形成されている。
そして、ケーブルホルダ11とケーブルガイド40とが一体成形され、これらケーブルホルダ11とケーブルガイド40とにより囲まれた開口部120aに、垂直ローラ21が配置される。すなわち、ケーブルガイド40は、垂直ローラ21を挟んでケーブルホルダ11とは反対側に配置されている。
【0051】
また、ケーブルガイド40は、センターレール106側が開口するように断面略コの字状に形成されている。すなわち、ケーブルガイド40は、底壁41と、底壁41の短手方向両側から立ち上がる2つの側壁43,44と、を有している。
2つの側壁43,44の間の幅W2は、ケーブルホルダ11の第1側壁12aと第2側壁12bとの間の幅W1と同一に設定されている。また、2つの側壁43,44は、それぞれケーブルホルダ11の各側壁12a,12bに滑らかに連なるように形成されている。そして、これら底壁41と側壁43,44とにより、ガイド溝42が形成される。このガイド溝42に、各ケーブル112,113が配線される
【0052】
さらに、2つの側壁43,44の長手方向略中央、つまり、垂直ローラ21と対向する位置には、互いに離間する方向に向かって膨出するように湾曲部43a,44aが形成されている。また、湾曲部43a,44aは、同一円上に沿って形成されている。これら湾曲部43a,44aに対応する位置の底壁41は切除されている。これによって、湾曲部43a,44aが開口部45を形成している。また、開口部45は、ガイド溝42上に形成された形になる。
【0053】
さらに、湾曲部43a,44aは、開口部45の開口面積が、支軸23のかしめ部26の面積よりも若干大きくなるように形成されている。これにより、開口部45を介し、垂直ローラ21の内輪21aの一部と垂直ローラ21を枢支する支軸23とがケーブルガイド40の外側に露出される。
【0054】
(ローラユニットの組付け方法およびローラユニットの作用)
次に、
図7〜
図9に基づいて、ローラユニット1の組付け方法およびローラユニット1の作用について説明する。
図7〜
図9は、ローラユニット1の組付け手順を示す説明図である。
まず、
図7に示すように、予めベースブラケット2に水平ローラ10a,10bを組み付けておく。
【0055】
そして、このようなベースブラケット2に、ホルダ・ガイド120を取り付ける。具体的には、ベースブラケット2の切欠き部25にホルダ・ガイド120の各脚部14,15を向け、切り欠き部25に各脚部14,15を挿入するようにしてホルダ・ガイド120を取り付ける。このとき、各脚部14,15に一体成形されている鉤部14a,15aによって、ベースブラケット2にホルダ・ガイド120が係合される。このため、ホルダ・ガイド120は、ベースブラケット2に対する取り付け状態が維持される。
【0056】
続いて、
図8に示すように、ホルダ・ガイド120の開口部120aに垂直ローラ21をセットする。この後、垂直ローラ21を枢支する支軸23を、ホルダ・ガイド120の開口部45と貫通孔32、垂直ローラ21、およびベースブラケット2の貫通孔24にそれぞれ挿通する。そして、支軸23の両端を、工具等を用いて座屈変形させ、かしめ部26を形成する。これにより、ベースブラケット2、ホルダ・ガイド120、および垂直ローラ21が、支軸23によって一体化される。
【0057】
このとき、ホルダ・ガイド120には、スペーサ13が一体成形されているので、支軸23の両端を座屈変形させた場合であっても、ホルダベース12と垂直ローラ21との間に、確実に隙間Sが形成される。
また、支軸23の端部を座屈変形させるにあたり、支軸23のベースブラケット2とは反対側端は、ホルダ・ガイド120のケーブルガイド40の上から工具等で支軸23の端部を押圧することになる。ここで、ケーブルガイド40には、湾曲部43a,44aによってかしめ部26が露出する程度の開口部45が形成されている。このため、ケーブルガイド40の上から容易に支軸23の端部を座屈変形させることができる。
【0058】
なお、支軸23の両端のうち、予め一方の端部を座屈変形させてかしめ部26を形成しておいてもよい。この場合、かしめ部26が形成されていない側の先端を、ホルダ・ガイド120の開口部45と貫通孔32、垂直ローラ21、およびベースブラケット2の貫通孔24にそれぞれ挿通していく。そして、この後、先端にかしめ部26を形成することで、ベースブラケット2、ホルダ・ガイド120、および垂直ローラ21が、支軸23によって一体化される。
【0059】
次に、
図9に示すように、ホルダ・ガイド120のケーブルエンド挿入孔16a,16bに、各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113aを挿入する。このとき、まず、ベースブラケット2を正規の向きとは上下逆向きにする。そして、対応するケーブル112,113の引出し方向側に位置するケーブルエンド挿入孔16a,16bのうち、スリット37が形成されている第2側壁12bのケーブルエンド挿入孔16bから各ケーブルエンド112a,113aを挿入する。
【0060】
この後、スリット37に各ケーブル112,113を通しながら第1側壁12aのケーブルエンド挿入孔16aまで各ケーブルエンド112a,113aを挿入していく。なお、この時点での各ケーブル112,113の引出し状態を、
図9における2点鎖線で示す。
続いて、ベースブラケット2を正規の向きに捻ることにより、ケーブルガイド40上で各ケーブル112,113が交差する(
図9において実線で示す)。そして、ケーブルガイド40のガイド溝42に、各ケーブル112,113が収納される。
【0061】
すなわち、
図9において、開放用ケーブル112は左方に引き出されており、この開放用ケーブル112のケーブルエンド112aは、ホルダ・ガイド120の右側のケーブルエンド挿入孔16a,16bに挿入されている。
一方、
図9において、閉塞用ケーブル113は右方に引き出されており、この閉塞用ケーブル113のケーブルエンド113aは、ホルダ・ガイド120の左側のケーブルエンド挿入孔16a,16bに挿入されている。そして、各ケーブルエンド112a,113aから引き出された各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差した形でガイド溝42に収納されている。
【0062】
ここで、ケーブルエンド挿入孔16a,16bに各ケーブルエンド112a,113aを挿入した状態では、ケーブルエンド挿入孔16a,16bに対して各ケーブルエンド112a,113aが回動自在になっている。このため、ベースブラケット2を正規の向きに捻る際、ケーブルエンド112a,113aが回動し、各ケーブル112,113が捩れることなく容易に交差させることができる。
【0063】
また、各ケーブル112,113の長さは、ベースブラケット2が正規の向き(ケーブルガイド40上で各ケーブル112,113が交差している状態)で寸法が規定されている。このため、ケーブルエンド挿入孔16a,16bにそれぞれケーブルエンド112a,113aを挿入する時点(ベースブラケット2の向きが上下逆向きになっている時点)では、各ケーブル112,113が緩んだ状態になっている。このため、各ケーブル112,1113に張力がかかっていない状態で、ケーブルエンド挿入孔16a,16bにそれぞれケーブルエンド112a,113aを挿入することができる。
【0064】
ケーブルホルダ11にケーブルエンド112a,113aを取り付け、ベースブラケット2の向きを正規の向きにした後、センターレール106にローラユニット1を取り付ける。これにより、ローラユニット1の組付けが完了する。
【0065】
このような構成のもと、各ケーブル112,113に張力がかかると、ケーブルガイド40が押圧され、さらに、この押圧力がケーブルホルダ11に伝達される。すなわち、ホルダ・ガイド120全体(ケーブルホルダ11およびケーブルガイド40)で各ケーブル112,113の張力を受けることになる。
【0066】
また、各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差しているので、各ケーブル112,113に張力がかかると、各ケーブルエンド112a,113aがケーブルエンド保持部34を押圧することになる。すなわち、ケーブルエンド保持部34は、ケーブルエンド112a,113aの荷重を受け、これらケーブルエンド112a,113aを保持している。一方、ケーブルフック35は、ケーブルエンド保持部34からのケーブルエンド112a,113aの抜けを防止するように機能している。
【0067】
このように上述の第1実施形態では、ケーブルホルダ11とケーブルガイド40とが一体的に設けられているので、これらケーブルホルダ11とケーブルガイド40との両者で各ケーブル112,113にかかる張力を受けることができる。このため、ローラユニット1の各ケーブル112,113に対する保持剛性を維持できる。
【0068】
また、ケーブルホルダ11に貫通孔32を形成すると共に、ケーブルガイド40に開口部45を形成するので、ベースブラケット2にホルダ・ガイド120を取り付けた後、これらベースブラケット2とホルダ・ガイド120に加え、垂直ローラ21を、支軸23を用いて一気に組み付けることができる。このため、ローラユニット1の組み付け性を向上できる。さらに、貫通孔32や開口部45が形成されているので、ケーブルホルダ11やケーブルガイド40を、支軸23を避けるように形成する必要がない。このため、ケーブルホルダ11やケーブルガイド40を小型化できる。
【0069】
また、ケーブルガイド40の湾曲部43a,44aは、開口部45の開口面積が、支軸23のかしめ部26の面積よりも若干大きくなるように形成されている。このため、支軸23の端部にかしめ部26形成する際、ケーブルガイド40の上から容易に支軸23の端部を座屈変形させることができる。また、仮に支軸23の端部に予めかしめ部26を形成しておいた場合であっても、ケーブルガイド40の上から開口部45を介して垂直ローラ21、ケーブルホルダ11の貫通孔32、およびベースブラケット2の貫通孔24にそれぞれ支軸23を挿通させることができる。このため、ローラユニット1の組み付け性をさらに向上できる。
【0070】
また、ケーブルガイド40の開口部45は、ガイド溝42上に形成されている。このように、開口部45とガイド溝42とを同じ位置に形成することにより、ケーブルガイド40を小型化できる。
さらに、ホルダ・ガイド120には、スペーサ13が一体成形されているので、支軸23の両端を座屈変形させた場合であっても、ホルダベース12と垂直ローラ21との間に、確実に隙間Sが形成される。しかも、スペーサ13は、垂直ローラ21の内輪21aに当接するように形成されている。このため、垂直ローラ21をスムーズに転動させることができ、効率よくローラユニット1を動作させることができる。
【0071】
また、各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差するように配線されている。このため、1つのケーブルガイド40に1つのガイド溝42を形成するだけで、このガイド溝42に纏めて2つのケーブル112,113を配線することができる。このため、ローラユニット1を小型化できる。
【0072】
さらに、ケーブルホルダ11に、ケーブルエンド挿入孔16a,16bを形成し、2つの側壁12a,12bに、それぞれケーブルエンド112a,113aの荷重を受けるケーブルエンド保持部34の機能と、ケーブルエンド保持部34からのケーブルエンド112a,113aの抜けを防止するケーブルフック35の機能と、を持たせている。このため、ケーブルホルダ11にかかる箇所の形状を簡素化できると共に、ケーブルホルダ11に各ケーブルエンド112a,113aを取り付ける作業を、容易化できる。
【0073】
また、ケーブルガイド40は、ケーブルエンド挿入孔16a,16bが形成されているケーブルフック35よりもセンターレール106側に配置されている。すなわち、ケーブルガイド40のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、ケーブルホルダ11のホルダベース12(ベースブラケット2)から離間する方向に向かってずれている。さらに換言すれば、ケーブルガイド40のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、センターレール106側にオフセットした形で配線されている。
このため、このセンターレール106に、各ケーブル112,113を極力近づけることができる。よって、センターレール106が直線部106aと湾曲部106bとにより構成されている場合であっても、ローラユニット1のスライド位置によって各ケーブル112,113の配線経路長が変化してしまうことを抑制できる。
【0074】
さらに、各ケーブル112,113の他端にそれぞれ円柱状のケーブルエンド112a,113aを設け、これらケーブルエンド112a,113aを介してホルダ・ガイド120と各ケーブル112,113とを連結させている。したがって、ケーブルホルダ11に対し、ケーブルエンド112a,113aの軸回りにこれらケーブルエンド112a,113aが回動自在となる。
【0075】
このため、ローラユニット1を組み付ける際、一旦ベースブラケット2を正規の向きとは上下逆向きとして、このベースブラケット2に各ケーブルエンド112a,113aを組み付けた後、ベースブラケット2を捻って正規の向きとすることができる。このように、ベースブラケット2を捻っても、各ケーブル112,113が捩れてしまうことを防止できる。よって、ホルダ・ガイド120に各ケーブルエンド112a,113aを組み付ける際、各ケーブル112,113を撓ませておくことができ、ローラユニット1の組付け作業を容易化できる。
【0076】
なお、上述の第1実施形態では、ベースブラケット2にホルダ・ガイド120を取り付けた後、垂直ローラ21をセットし、さらにその後に支軸23を組み付ける場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、各部の組付け手順は、任意に変更することが可能である。例えば、ベースブラケット2に予め支軸23を設けておいてもよい。
【0077】
(第2実施形態)
(ローラユニット)
次に、この発明の第2実施形態を
図10〜
図13に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明をする。
図10は、ローラユニット201を上側からみた斜視図であって、前述の
図3に対応している。
図11は、ローラユニット201を下側からみた斜視図である。
【0078】
図10、
図11に示すように、前述の第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態のホルダ・ガイド120の形状と第2実施形態のホルダ・ガイド220の形状とが異なる点にある。より具体的には、第2実施形態のホルダ・ガイド220は、ケーブルホルダ211とケーブルガイド240とがそれぞれ別体で構成されている。さらに、ケーブルホルダ211とケーブルガイド240は、それぞれ金属板にプレス加工を施すことにより形成されている。以下、ケーブルホルダ211とケーブルガイド240について詳述する。
【0079】
(ケーブルホルダ)
図12は、ケーブルホルダ211の斜視図である。
図10〜
図12に示すように、ケーブルホルダ211は、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されたホルダベース212を有している。ホルダベース212は、ベースブラケット2に溶接等によりベースブラケット2と一体化されている。また、ホルダベース212は断面略コの字状に形成されており、ベースブラケット2に接する底壁212aと、底壁212aの短手方向両側から立ち上がり形成された2つの側壁212b,212c(第1側壁212b、第2側壁212c)と、により構成されている。
【0080】
底壁212aの長手方向中央部は、上下方向に向かって若干膨出形成されたベース拡大部231となっている。このベース拡大部231に、肉厚方向に貫通する略長円形状の貫通孔232が形成されている。
また、各側壁212b,212cは、ベース拡大部231に対応する位置が大きく切り欠かれており、この側壁212b,212cの切り欠かれた箇所とベース拡大部231とが、垂直ローラ配置部233とされている。この垂直ローラ配置部233に、垂直ローラ21が配置される。垂直ローラ21を枢支する支軸23は、基端がホルダベース212の貫通孔232を介してベースブラケット2に固定されている。
【0081】
図10〜
図12に示すように、各側壁212b,212cの高さH1は、垂直ローラ21におけるセンターレール106側の端面の高さとほぼ同一となるように設定されている。また、各側壁212b,212c間の幅W2は、各ケーブル112,113を挿通可能な幅に設定されている。
【0082】
2つの側壁212b,212cのうち、上側に配置されている第1側壁212bは、平面視略四角状に形成されている。また、第1側壁212bの略中央に、ケーブルエンド112a,113aを挿入可能なケーブルエンド挿入孔236aが形成されている。そして、第1側壁212bは、ケーブルエンド挿入孔236aを中心に、長手方向中央側がケーブルエンド保持部234として機能している。一方、長手方向両端側がケーブルフック235として機能している。
【0083】
また、2つの側壁212b,212cのうち、下側に配置されている第2側壁212cは、上下方向平面視で略C字状に形成されている。第2側壁212cは、長手方向中央側に位置するケーブルエンド保持部234と、長手方向両端側に位置するケーブルフック235と、により構成されている。
さらに、第2側壁212cの内周側が、ケーブルエンド挿入孔236bとされている。また、ケーブルエンド保持部234およびケーブルフック235は、全体として略C字状になっているので、第2側壁212cのうち、ケーブルフック235を構成している箇所には、車幅方向略中央にスリット237が形成されている。
【0084】
このような構成のもと、第1側壁212bのケーブルエンド挿入孔236a、および第2側壁212cのケーブルエンド挿入孔236bに、カラー243が挿入される。カラー243には、各ケーブル112,113を挿通可能なスリット243aが形成されている。
そして、カラー243を介し、各ケーブルエンド挿入孔236a,236bに、ケーブルエンド112a,113aが挿入される。また、スリット237を介し、第2側壁212cの上下方向外側から内側に各ケーブル112,113が挿入される。そして、このように構成されたケーブルホルダ211に、ケーブルガイド240が取り付けられる。
【0085】
(ケーブルガイド)
図13は、ケーブルガイド240の斜視図である。
図10、
図11、
図13に示すように、ケーブルガイド240は、断面略L字状に形成された取付部241を有している。取付部241は、水平ローラ取付座9a,9bに面する横壁241aと、横壁241aの下側縁から下方に向かって屈曲延出する縦壁241bと、により構成されている。
【0086】
横壁241aは、2つの水平ローラ取付座9a,9b間に跨るように、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されている。横壁241aの水平ローラ取付座9a,9bと対向する箇所には、水平ローラ10a,10bを枢支する支軸20a,20bを挿通可能な貫通孔251が形成されている。各支軸20a,20bは、貫通孔251を介して横壁241aの上側に突出している。そして、支軸20a,20bによって水平ローラ取付座9a,9b(ベースブラケット2)と横壁241a(ケーブルガイド240)とが一体化されている。
【0087】
縦壁241bの長手方向略中央には、センターレール106側に向かって若干膨出された膨出部252が形成されている。さらに、この膨出部252に対応する箇所には、下方に向かって延出され、垂直ローラ21のセンターレール106側を覆うガイド部253が一体成形されている。換言すれば、ガイド部253は、垂直ローラ21を挟んでケーブルホルダ11とは反対側に配置されている。
【0088】
ガイド部253は、ケーブルホルダ211に固定される各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113a側を案内するためのものである。ガイド部253には、縦壁241bの長手方向に沿うガイド溝242が形成されている。このガイド溝242に、各ケーブル112,113が配線される。
また、膨出部252からガイド部253に至る間の略中央には、ガイド溝242に一部が重なるようにビード部254が形成されている。このビード部254は、縦壁241bおよびガイド部253の剛性を高めるためのものである。ビード部254は、車内外方向からみて円形状に形成されており、且つ垂直ローラ21側に若干凹むように形成されている。
【0089】
さらに、ガイド部253には、縦壁241bの長手方向両側に、テーパ部255a,255bが形成されている。2つのテーパ部255a,255bは、ベースブラケット2側に向かうに従って末広がりとなるように延出形成されている。テーパ部255a,255bを形成することにより、ケーブルエンド112a,113aから引き出される各ケーブル112,113が、ガイド部253のガイド溝242に滑らかに配線される。
【0090】
したがって、上述の第2実施形態によれば、ケーブルエンド112a,113aからガイド部253のガイド溝242に至る間で、各ケーブル112,113が無理に折り曲げられてしまうことを抑制できる。このため、各ケーブル112,113の損傷を防止できる。
また、ケーブルホルダ211とケーブルガイド240を、それぞれ金属板にプレス加工を施すことにより形成した場合であっても、1つのケーブルガイド240に1つのガイド溝242を形成するだけで、このガイド溝242に纏めて2つのケーブル112,113を配線することができる。このため、ローラユニット201を小型化できる。
【0091】
さらに、ケーブルホルダ211に、ケーブルエンド挿入孔236a,236bを形成し、2つの側壁212b,212cに、それぞれケーブルエンド112a,113aの荷重を受けるケーブルエンド保持部234の機能と、ケーブルエンド保持部234からのケーブルエンド112a,113aの抜けを防止するケーブルフック235の機能と、を持たせている。このため、ケーブルホルダ11にかかる箇所の形状を簡素化できると共に、ケーブルホルダ211に各ケーブルエンド112a,113aを取り付ける作業を、容易化できる。
【0092】
また、ケーブルガイド240には、ケーブルエンド挿入孔236a,236bが形成されている箇所よりもセンターレール106側に、ガイド部253が設けられている。このため、このセンターレール106に、各ケーブル112,113を極力近づけることができる。よって、センターレール106が直線部106aと湾曲部106bとで構成されている場合であっても、ローラユニット201のスライド位置によって各ケーブル112,113の配線経路長が変化してしまうことを抑制できる。
【0093】
さらに、ケーブルホルダ211とケーブルガイド240を、それぞれ金属板にプレス加工を施すことにより形成した場合であっても、ローラユニット201を組み付ける際、一旦ベースブラケット2を正規の向きとは上下逆向きとして、このベースブラケット2に各ケーブルエンド112a,113aを組み付けた後、ベースブラケット2を捻って正規の向きとすることができる。このため、ホルダ・ガイド220に各ケーブルエンド112a,113aを組み付ける際、各ケーブル112,113を撓ませておくことができ、ローラユニット201の組付け作業を容易化できる。
【0094】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0095】
例えば、上述の実施形態では、開放用ケーブル112の他端に円柱状のケーブルエンド112aを設け、閉塞用ケーブル113の他端に円柱状のケーブルエンド113aを設け、これらケーブルエンド112a,113aを、ケーブルホルダ11,211に取り付ける場合について説明した。しかしながら、ケーブルエンド112a,113aの形状は円柱状に限られるものではなく、ケーブルホルダ11,211に回動自在に各ケーブル112,113の他端が取り付けられるように構成されていればよい。例えば、円柱状に代えて球場のケーブルエンドを介し、ケーブルホルダ11,211に各ケーブル112,113の他端を取り付けてもよい。