(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撹拌羽根は、断面中空形状の枠体と、前記枠体に取り付けられて前記枠体の枠内側に配置された網部と、を備えると共に、前記枠体の枠内側に臨む部位に前記エア供給口が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の混練機構。
前記撹拌羽根は、所定の回転方向に回転する回転軸に取り付けられた断面中空形状の枠体と、前記枠体に取り付けられて前記枠体の枠内側に配置された網部と、を備えると共に、前記枠体には前記回転軸の回転時に前記枠体が回転移動する側とは反対側に向く部位に前記エア供給口が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の混練機構。
撹拌槽と、前記撹拌槽の内容物を撹拌する撹拌羽根と、前記撹拌羽根にエア供給口が形成されて前記エア供給口から前記撹拌槽の中にエアの供給が可能なエア供給機構と、を用いた、発泡混合物の製造方法であって、
前記撹拌槽の中で粒子状骨材、水溶性バインダ、発泡剤及び水を前記撹拌羽根によって撹拌しながら前記エア供給機構によって前記エア供給口から前記撹拌槽の中にエアを供給する、発泡混合物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような技術では、流動性の良好な発泡混合物を得るまでに比較的時間を要する。なお、撹拌槽の充填ノズルに挿入した押込み棒からエアを吹出すことで砂の撹拌を促進しようとする技術があるが(例えば、引用文献2参照)、この技術ではエア吹出口の位置や数が充填ノズルの位置や数によって制限されるうえ、充填ノズルの近傍の砂の撹拌に寄与するものに過ぎない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、流動性の良好な発泡混合物を得るまでの時間を短縮することができる混練機構、造型装置及び発泡混合物の製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の混練機構は、粒子状骨材及び添加物を貯留する撹拌槽と、前記撹拌槽の中の粒子状骨材及び添加物を撹拌する撹拌羽根と、前記撹拌羽根にエア供給口が形成され、前記エア供給口から前記撹拌槽の中にエアの供給が可能なエア供給機構と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、撹拌槽の中に貯留された粒子状骨材及び添加物が撹拌羽根によって撹拌される。ここで、撹拌羽根にはエア供給口が形成されており、エア供給機構はエア供給口から撹拌槽の中にエアの供給が可能となっている。そして、粒子状骨材及び添加物が撹拌羽根によって撹拌されながら、エア供給口から撹拌槽の中にエアが供給されると、粒子状骨材及び添加物の中に効率的にエアを含ませることができるので、撹拌羽根からエアが供給されない場合と比べて、短時間の撹拌で流動性の良好な発泡混合物を得ることができる。
【0008】
請求項2に記載する本発明の混練機構は、請求項1に記載の構成において、前記エア供給機構のエア流通路には、前記撹拌槽の中に供給するエアを加湿する加湿機構が設けられている。
【0009】
上記構成によれば、エア供給機構のエア流通路に設けられた加湿機構が、撹拌槽の中に供給するエアを加湿する。そして、粒子状骨材及び添加物が撹拌羽根によって撹拌されながら、エア供給口から撹拌槽の中に加湿されたエアが供給されると、粒子状骨材及び添加物の混合物にはエアに加えて水分が供給されることになる。このため、例えば、撹拌槽の中の混合物の当初の水分比率が抑えられていてかつ撹拌中の混合物が乾燥し易い環境下にあっても、別途水分を補給することなく、混合物の乾燥を抑えることができるので、発泡が安定的に進行する。
【0010】
請求項3に記載する本発明の混練機構は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記撹拌羽根は、断面中空形状の枠体と、前記枠体に取り付けられて前記枠体の枠内側に配置された網部と、を備えると共に、前記枠体の枠内側に臨む部位に前記エア供給口が形成されている。
【0011】
上記構成によれば、撹拌羽根は枠体とその枠内側に配置された網部とを備えているので、撹拌時には、枠体の枠内側を通過させる粒子状骨材と添加物との混合物を網部によって細かく分断させて混合物の中にエアを含ませることができる。ここで、断面中空形状の枠体の枠内側に臨む部位にはエア供給口が形成されているため、枠体の枠内側を通過させる混合物にエアが吹き込まれるので、撹拌中の混合物の中に一層効率的にエアを含ませることができる。
【0012】
請求項4に記載する本発明の混練機構は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記撹拌羽根は、所定の回転方向に回転する回転軸に取り付けられた断面中空形状の枠体と、前記枠体に取り付けられて前記枠体の枠内側に配置された網部と、を備えると共に、前記枠体には前記回転軸の回転時に前記枠体が回転移動する側とは反対側に向く部位に前記エア供給口が形成されている。
【0013】
上記構成によれば、撹拌羽根は枠体とその枠内側に配置された網部とを備えているので、撹拌時には、枠体の枠内側を通過させる粒子状骨材と添加物との混合物を網部によって細かく分断させて混合物の中にエアを含ませることができる。ここで、断面中空形状の枠体は、所定の回転方向に回転する回転軸に取り付けられており、枠体には回転軸の回転時に枠体が回転移動する側とは反対側に向く部位にエア供給口が形成されている。このため、撹拌羽根による撹拌時には、枠体が回転移動する側とは反対側の領域に乱流が生じると共にそのような乱流が生じている領域にエアが吹き込まれるので、混合物の中に一層効率的にエアを含ませることができる。
【0014】
請求項5に記載する本発明の混練機構は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の構成において、軸線が鉛直方向に沿って設定されると共に下端部に前記撹拌羽根が取り付けられ、自身の軸線周りに回転可能に配置された回転軸と、前記回転軸の内部を通り、前記エア供給口から前記撹拌槽の中に供給するエアを流通させるチューブと、前記回転軸の上端部を上方側から覆うと共に、前記回転軸の上端部の外周側に配置された軸受を介して前記回転軸に連結されたジョイント部と、を有し、前記チューブが前記ジョイント部の下部及び側部を通って前記ジョイント部を貫通した状態で配置されて前記ジョイント部の側部に支持されている。
【0015】
上記構成によれば、撹拌羽根が下端部に取り付けられた回転軸は、自身の軸線周りに回転可能に配置されており、回転軸の上端部を上方側から覆うジョイント部は、回転軸の上端部の外周側に配置された軸受を介して回転軸に連結されている。このため、回転軸が自身の軸線周りに回転しても、ジョイント部は回転しない。また、エア供給口から撹拌槽の中に供給するエアを流通させるチューブは回転軸の内部を通っているが、当該チューブはジョイント部の下部及び側部を通ってジョイント部を貫通した状態で配置されてジョイント部の側部に支持されているので、チューブが回転軸と共に回転してもジョイント部がチューブを支持する位置は維持される。これにより、回転軸の回転時にチューブが絡まるのを防止することができる。
【0016】
請求項6に記載する本発明の混練機構は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記エア供給機構のエア流通路に圧力センサが配置されている。
【0017】
上記構成によれば、エア供給口が目詰まりしている場合にはエア供給口が目詰まりしていない場合よりも圧力センサの検出値が高くなるので、エア供給口の目詰まり状態を間接的に検出することができる。
【0018】
請求項7に記載する本発明の混練機構は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の構成において、前記エア供給口の直径が0.1mm〜0.3mmに設定されている。
【0019】
上記構成によれば、エア供給口の直径を0.1mm以上にすることで圧力損失が抑えられてエアの良好な吹き出しが可能となっており、また、エア供給口の直径を0.3mm以下にすることで撹拌後に撹拌羽根を撹拌槽の中から上方側に移動させる際に粒子状骨材がエア供給口からエア流通路に入り込むのを防止又は抑制することができる。
【0020】
請求項8に記載する本発明の造型装置は、一方の型と他方の型とで鋳型造型用空間を形成すると共に、上側に配置される上壁部に被充填口が貫通形成された金型と、前記撹拌槽の底部に充填口が貫通形成され、前記撹拌槽が、前記撹拌槽の中の粒子状骨材及び添加物を前記撹拌羽根によって撹拌可能な第一位置と、前記充填口が前記被充填口の直上となる第二位置と、の間で移動可能に配置された、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の混練機構と、前記第一位置に配置された状態の前記撹拌槽の前記充填口を閉塞する充填口閉塞機構と、前記第一位置に配置された状態の前記撹拌槽に粒子状骨材及び添加物を供給する材料供給部と、前記第二位置に配置された状態の前記撹拌槽の内容物を上方側から押圧する押圧機構と、を有する。
【0021】
上記構成によれば、第一位置に撹拌槽が配置された状態では、撹拌槽の底部の充填口が充填口閉塞機構によって閉塞され、材料供給部から撹拌槽に粒子状骨材及び添加物が供給される。そして、撹拌槽の中の粒子状骨材及び添加物が撹拌羽根によって撹拌されながら、エア供給口から撹拌槽の中にエアが供給されると、粒子状骨材及び添加物の中に効率的にエアを含ませることができ、短時間の撹拌で流動性の良好な発泡混合物を得ることができる。一方、撹拌槽の充填口が金型の上壁部の被充填口の直上となる第二位置に撹拌槽が配置された状態では、撹拌槽の内容物である発泡混合物が押圧機構によって上方側から押圧される。これにより、発泡混合物は、充填口及び被充填口を通った後、一方の型と他方の型とで形成された鋳型造型用空間に充填され、固化することで鋳型に造型される。
【0022】
請求項9に記載する本発明の発泡混合物の製造方法は、撹拌槽と、前記撹拌槽の内容物を撹拌する撹拌羽根と、前記撹拌羽根にエア供給口が形成されて前記エア供給口から前記撹拌槽の中にエアの供給が可能なエア供給機構と、を用いた、発泡混合物の製造方法であって、前記撹拌槽の中で粒子状骨材、水溶性バインダ、発泡剤及び水を前記撹拌羽根によって撹拌しながら前記エア供給機構によって前記エア供給口から前記撹拌槽の中にエアを供給する。
【0023】
上記構成によれば、撹拌槽の中で粒子状骨材、水溶性バインダ、発泡剤及び水を撹拌羽根によって撹拌しながら、撹拌羽根に形成されたエア供給口からエア供給機構によって撹拌槽の中にエアを供給する。これにより、粒子状骨材、水溶性バインダ、発泡剤及び水の混合物の中に効率的にエアを含ませることができるので、撹拌羽根からエアが供給されない場合と比べて、短時間の撹拌で流動性の良好な発泡混合物を得ることができる。
【0024】
請求項10に記載する本発明の発泡混合物の製造方法は、請求項9に記載の構成において、前記エア供給機構は、エアを加湿してから当該エアを前記エア供給口から前記撹拌槽の中に供給する。
【0025】
上記構成によれば、エア供給口から撹拌槽の中に加湿されたエアが供給される。このため、例えば、撹拌槽の中の混合物の当初の水分比率が抑えられていてかつ撹拌中の混合物が乾燥し易い環境下にあっても、別途水分を補給することなく、混合物の乾燥を抑えることができるので、発泡が安定的に進行する。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、流動性の良好な発泡混合物を得るまでの時間を短縮することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態に係る混練機構を備えた造型装置及び発泡混合物の製造方法について
図1〜
図5を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る造型装置10が概略正面図で示されている。
【0029】
(造型装置の全体構成)
まず、
図1に示される造型装置10の全体構成について概説する。
【0030】
造型装置10は、装置右側に混練機構12を有する。混練機構12は、粒子状骨材としての砂及び添加物を貯留する撹拌槽20(「混練槽」ともいう。)を備えると共に、撹拌槽20の中の内容物(砂及び添加物)を撹拌する撹拌羽根としての撹拌翼24(「混練翼」ともいう。)を備える。容器状とされた撹拌槽20の底部20Bには複数の充填口22が貫通形成されており、図中において撹拌槽20の下方側には充填口22を閉塞可能な充填口閉塞機構26が設けられている。また、混練機構12は、撹拌翼24を、撹拌槽20の内部に位置させる使用位置(
図1に示される位置)と、撹拌槽20の内部から上方側へ退避させる退避位置(図示省略)と、の間で(矢印Y方向に)移動させる混練翼移動機構28を備える。
【0031】
また、造型装置10は、混練機構12の撹拌槽20を装置左右方向に延びるフレーム部30に沿って(矢印X方向に)移動させるための水平移動機構32を備える。水平移動機構32は、撹拌翼24が退避位置に配置された状態で、撹拌槽20を、撹拌翼24の下方側となる第一位置としての混練用位置(
図1に示される位置と同じ位置)と、前記混練用位置よりも装置左側の第二位置としての充填用位置(図示省略)と、の間で移動させるための機構とされている。前記混練用位置は、撹拌槽20の中の砂及び添加物を撹拌翼24によって撹拌可能な位置に設定され、前記充填用位置は、いずれも後述する金型40と押圧機構16との間の位置に設定されている。
【0032】
また、造型装置10は、混練機構12よりも装置左側でかつ装置下部側に金型機構14を有する。金型機構14は、混練機構12で混練された発泡混合物を所定の形状に成形するための金型40を備える。また、金型機構14の直上側で装置上部には、押圧機構16(充填機構)が設けられている。押圧機構16は、撹拌槽20が前記充填用位置(図示省略)に配置された状態での当該撹拌槽20の内容物である発泡混合物を上方側から押圧して撹拌槽20の充填口22から金型40に発泡混合物を充填(射出)させるように構成されている。さらに、金型機構14よりも装置上方側かつ押圧機構16よりも装置下方側には、撹拌槽20の装置左側に鋳型押出機構18(上金型鋳型押出機構)が設けられている。鋳型押出機構18は、金型機構14と連動して金型40を開くことで金型40から鋳型を取り出すための機構とされる。また、鋳型押出機構18は、本実施形態では撹拌槽20に連結部19を介して装置左右方向に連結されており、撹拌槽20と共に装置左右方向に移動可能とされている。
【0033】
(各機構の概説)
次に、各機構について概説する。
【0034】
金型機構14では、金型40が一方の型としての上型42と他方の型としての下型44とで鋳型造型用空間を形成する。すなわち、本実施形態における金型40は、水平割の金型とされている。下型44は、昇降フレーム14Aの上面に取り付けられている。昇降フレーム14Aは、機台14Bの四隅部において装置上下方向に立設されたガイドロッド14Cに沿って昇降可能とされると共に、昇降フレーム14Aの下方側において上向きに設置されたシリンダ14Dのピストンロッド14D1に支持されている。すなわち、昇降フレーム14Aは、シリンダ14Dのピストンロッド14D1の伸縮に応じて昇降するようになっている。これに対して、上型42は、下型44の直上に配置され、ガイドロッド14Cに装着された支持機構部14Eに支持されている。また、上型42の上壁部42A(金型40において上側に配置される上壁部)には被充填口46が貫通形成されている。
【0035】
金型機構14の直上側で装置上部に設けられた押圧機構16は、フレーム部30の天井部30Aに設けられ、ピストン16Aを備える。このピストン16Aには複数の排気孔(図示省略)が貫通形成されている。また、ピストン16Aは、下向きのシリンダ16Bのピストンロッド16B1の下端部側に接続されており、シリンダ16Bの作動により上下動するようになっている。
【0036】
押圧機構16よりも装置下方側で撹拌槽20の装置左側に設けられた鋳型押出機構18は、鋳型押出用部材18Aを備える。鋳型押出用部材18Aには、複数の鋳型押出ピンが形成され、これらの鋳型押出ピンは、上型42に形成された被充填口46に挿入可能とされている。鋳型押出用部材18Aは、下向きのシリンダ18Bのピストンロッド18B1の下端部側に接続されており、シリンダ18Bの作動により上下動するようになっている。
【0037】
撹拌槽20及び鋳型押出機構18を装置左右方向に移動させるための水平移動機構32は、フレーム部30に装置左右方向に延びるガイド部32Aを備えると共に、ガイド部32Aに沿って走行可能な走行台車(図示省略)を備えている。すなわち、水平移動機構32は、前記走行台車がガイド部32Aに沿って走行(移動)することで、撹拌槽20及び鋳型押出機構18を移動させるようになっている。なお、フレーム部30は、前述したガイドロッド14Cの上端部に固定されている。また、撹拌槽20の前記充填用位置(図示省略)は、撹拌槽20の充填口22が上型42の被充填口46の直上となる位置とされている。また、図中では、鋳型押出機構18が金型40の直上から装置左側に退避した位置に配置された状態を二点鎖線で示している。
【0038】
混練機構12は、前述したように撹拌槽20を備えている。撹拌槽20は、上下方向を中心軸線方向とする筒状部20Aと、筒状部20Aの下端に固着されて筒状部20Aの下端側開口部を塞ぐ底部20Bと、を備えている。本実施形態では、撹拌槽20の容積は、金型40の鋳型造型用空間の容積よりもかなり大きく設定されている。また、筒状部20Aの上端側開口部には蓋48が配置可能とされている。
【0039】
また、混練機構12は、撹拌翼24を作動させるための混練翼作動機構50をフレーム部30の天井部30A側に備える。混練翼作動機構50は、撹拌翼24を回転させるための回転軸52を備え、その回転軸52が自身の軸線周りに回転可能に配置されかつ駆動力伝達部50Bを介してモータ50Mの出力軸に接続された構成となっている。すなわち、混練機構12は、撹拌槽20が混練用位置(
図1に示される撹拌槽20の位置と同じ位置)に配置された状態でモータ50Mが作動することで当該撹拌槽20の内容物を撹拌翼24が混練するようになっている。なお、回転軸52は、その軸線が鉛直方向に沿って設定されている。この回転軸52は、撹拌翼24に接続された翼側回転軸52Cと、駆動力伝達部50Bにより伝達された駆動力を受ける駆動側回転軸52Aと、翼側回転軸52Cと駆動側回転軸52Aとを連結する連結部52Bと、で構成されている。
【0040】
また、混練翼移動機構28は、下向きのシリンダ28Aと、シリンダ28Aの作動に応じて昇降する昇降台部28Bと、を備えている。昇降台部28Bは、軸受部28Cを介して駆動側回転軸52Aを回転可能に支持すると共に、他部材を介して蓋48及びモータ50Mを支持している。これにより、シリンダ28Aの作動に応じて撹拌翼24、蓋48及びモータ50Mが昇降する構成となっている。
【0041】
また、混練翼作動機構50の下方側に設けられた充填口閉塞機構26は、撹拌槽20の底部20Bの充填口22の閉塞用として止めピン26A(栓)を充填口22の数と同数備えている。止めピン26Aは、水平配置されたベースプレート26Bから上方側に突出している。また、ベースプレート26Bは、上向きのシリンダ26Cのピストンロッド26C1の上端部に取り付けられており、シリンダ26Cの作動により上下動するようになっている。そして、充填口閉塞機構26は、撹拌槽20が混練用位置(
図1に示される撹拌槽20の位置と同じ位置)に配置された状態での当該撹拌槽20の充填口22を止めピン26Aで閉塞することが可能とされている。なお、充填口閉塞機構26のシリンダ26Cは、部材を介してフレーム部30に支持されている。
【0042】
(混練機構の詳細説明)
次に、
図2を参照しながら混練機構12について更に説明する。
図2には、混練機構12の一部が模式的な概略構成図で示されている。
【0043】
図2に示されるように、混練機構12は、撹拌槽20が混練用位置(
図2に示される撹拌槽20の位置)に配置された状態において当該撹拌槽20に砂及び添加物(水溶性バインダ、発泡剤及び水)を供給する材料供給部54を備える。材料供給部54は、砂供給部56、バインダ供給部58、発泡剤供給部60、及び水供給部62を備える。
【0044】
砂供給部56は、砂を貯留すると共に砂を供給可能な砂供給装置56A(ブロック化して図示)を備えると共に、砂供給装置56Aにより供給された砂を受ける砂投入シュート56Bを備える。砂供給装置56Aは、図示しない開閉ゲートを備え、砂の供給量を調整できるようになっている。また、砂投入シュート56Bは、傾斜状とされ、その下端部が撹拌槽20の上端開口部の内側に配置されている。
【0045】
なお、粒子状骨材としての砂には、例えば、硅砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂等の他、各種の人工砂(いわゆる人工骨材)を適用することができる。
【0046】
バインダ供給部58は、水溶性バインダを貯留すると共にポンプで水溶性バインダを供給するバインダ供給装置58A(ブロック化して図示)を備えると共に、バインダ供給装置58Aに接続されたバインダ流通路58Bを備える。また、バインダ供給部58には、バインダ流通路58Bの下流側端部に取り付けられた弁装置58Cが蓋48に設置されている。弁装置58Cは、バインダ流通路58Bの下流側通路の開閉用とされた弁(図示省略)を備えると共に、前記弁を開閉させる開閉機構(図示省略)を備える。バインダ供給部58の下流側端部を構成する供給口58Dは、撹拌槽20の上方側に配置されて撹拌槽20の内側へ向けられている。
【0047】
発泡剤供給部60は、液状の発泡剤を貯留すると共にポンプで発泡剤を供給する発泡剤供給装置60A(ブロック化して図示)を備えると共に、発泡剤供給装置60Aに接続された発泡剤流通路60Bを備える。なお、本実施形態では、発泡剤供給装置60Aに貯留される液状の発泡剤には界面活性剤が添加されている。また、発泡剤供給部60には、発泡剤流通路60Bの下流側端部に取り付けられた弁装置60Cが設けられている。弁装置60Cは、発泡剤流通路60Bの下流側通路の開閉用とされた弁(図示省略)を備えると共に、前記弁を開閉させる開閉機構(図示省略)を備える。発泡剤供給部60の下流側端部を構成する供給口60Dは、撹拌槽20の上方側に配置されて撹拌槽20の内側へ向けられている。
【0048】
水供給部62は、水を貯留すると共にポンプで水を供給する水供給装置62A(ブロック化して図示)を備えると共に、水供給装置62Aに接続された水流通路62Bを備える。また、水供給部62には、水流通路62Bの下流側端部に取り付けられた弁装置62Cが蓋48に設置されている。弁装置62Cは、水流通路62Bの下流側通路の開閉用とされた弁(図示省略)を備えると共に、前記弁を開閉させる開閉機構(図示省略)を備える。水供給部62の下流側端部を構成する供給口62Dは、撹拌槽20の上方側に配置されて撹拌槽20の内側へ向けられている。
【0049】
一方、撹拌翼24は、回転軸52の下端部すなわち翼側回転軸52Cの下端部に取り付けられて断面中空形状でかつ矩形枠状の枠体24Aを備えると共に、枠体24Aに取り付けられて枠体24Aの枠内側に配置された網部24Bを備えている。撹拌翼24の網部24Bは、枠体24Aの枠内側の全域に設けられ、ワイヤで構成されて格子状の粗い網目を有している。また、撹拌翼24の枠体24Aは、その上部を構成して横方向に延びる上枠部24A1と、この上枠部24A1と平行に配置された下枠部24A2と、上枠部24A1及び下枠部24A2を繋いで互いに平行に配置される一対の側枠部24A3と、を備えている。上枠部24A1、下枠部24A2及び側枠部24A3は、各々の軸線に直交する断面形状が矩形状とされている。
【0050】
撹拌翼24の枠体24Aの枠内側に臨む部位24Iには、部分拡大図に示されるように、複数(一例として計20個)のエア供給口70が形成されている。エア供給口70は、本実施形態では一例として、下枠部24A2の両サイド側の部位及び側枠部24A3の下部に設定されている。また、エア供給口70の直径は、0.1mm〜0.3mmに設定されている。これらのエア供給口70は、エア供給機構64の一部を構成している。
【0051】
エア供給機構64は、エアを供給する図中右端に示されるコンプレッサ66(ブロック化して図示)を備えると共に、コンプレッサ66に接続されてコンプレッサ66との接続部からエア供給口70までエアを流通させるためのエア流通路68を備える。これにより、エア供給機構64は、エア供給口70から撹拌槽20の中にエアの供給が可能とされている。なお、撹拌槽20の中に供給するエアの圧力は、本実施形態では一例として0.1MPa〜0.5MPaとされている。エア供給機構64のエア流通路68は、コンプレッサ66と水タンク76とを繋ぐ第一チューブ74と、水タンク76と、水タンク76と枠体24Aとを繋ぐと共に回転軸52の内部を通る第二チューブ78と、枠体24Aと、で形成されている。
【0052】
水タンク76には水90が貯留されており、第一チューブ74の下流側端部は水90の中に配置され、第二チューブ78の上流側端部は水タンク76の天板部76A(すなわち水90よりも上方側)に配置されている。このような第一チューブ74、水タンク76及び第二チューブ78の配置構成により、撹拌槽20の中に供給するエアを加湿するようになっている(水散気による加湿)。すなわち、エア供給機構64のエア流通路68には、水タンク76を含んで構成された加湿機構72が設けられている。なお、撹拌槽20の中に供給するエアの湿度は、本実施形態では一例として50%〜100%とされている。
【0053】
また、第二チューブ78は、駆動側回転軸52Aの上方側でジョイント部92に装着されている。ジョイント部92は、回転軸52の上端部すなわち駆動側回転軸52Aの上端部を上方側から覆うと共に、部分拡大図に示されるように、駆動側回転軸52A(回転軸52)の上端部の外周側に配置された軸受94を介して駆動側回転軸52A(回転軸52)に連結されている。これにより、回転軸52が回転してもジョイント部92は回転しない構造になっている。そして、第二チューブ78がジョイント部92の下部の孔部及び側部の孔部を通ってジョイント部92を貫通した状態で配置されてジョイント部92の側部に支持されている。
【0054】
また、エア流通路68(本実施形態では一例として第一チューブ74で形成される通路)には、弁装置96が配置されている。弁装置96は、エア流通路68の所定部位の開閉用とされた弁(図示省略)を備えると共に、前記弁を開閉させる開閉機構(図示省略)を備える。また、エア流通路68(本実施形態では一例として第二チューブ78で形成される通路)には、圧力センサ98が配置されている。圧力センサ98は、エア流通路68における所定空間の圧力を測定する。
【0055】
(鋳型の造型)
次に、本実施形態の造型装置10(
図1参照)による砂鋳型(砂中子)の造型について概説する。
【0056】
まず、撹拌槽20が混練用位置(
図2に示される位置)に配置され、撹拌槽20の底部20Bの充填口22が充填口閉塞機構26(
図1参照)の止めピン26Aによって閉塞される。この混練用位置(
図2に示される位置)に配置された状態の撹拌槽20には、材料供給部54から砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水がそれぞれ供給される。そして、撹拌槽20の中の混合物a(砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水)が撹拌翼24によって撹拌されながら、エア供給機構64によってエア供給口70から撹拌槽20の中にエアが供給される。これにより、発泡混合物が得られる。
【0057】
一方、
図1に示される金型40は、シリンダ14Dの作動により下型44を上昇させることで、上型42及び下型44が合わせられてかつ所定の高さ位置に配置され(図示省略)、更に250℃程度に加熱される。
【0058】
これに対して、撹拌槽20は、その底部20Bの充填口22から止めピン26Aが抜かれる。また、混練翼移動機構28によって撹拌翼24が撹拌槽20の内部から上方側へ退避させられると共に蓋48も上方側へ退避させられる。次に、撹拌槽20及び鋳型押出機構18が水平移動機構32によって図中左側にスライド移動させられ、撹拌槽20の充填口22が上型42の上壁部42Aの被充填口46の真上となる位置(充填用位置)に撹拌槽20が配置させられる。
【0059】
この状態で撹拌槽20の内容物である発泡混合物が押圧機構16のピストン16Aによって上方側から押圧されると、発泡混合物は、撹拌槽20の充填口22及び上型42の被充填口46を通った後、上型42と下型44とで形成された鋳型造型用空間に充填(押圧射出)される。そして、加熱された金型40の熱により発泡混合物が乾燥して固化し、鋳型が造型される。
【0060】
次に、撹拌槽20及び鋳型押出機構18が水平移動機構32によって図中右側にスライド移動させられ、撹拌槽20が混練用位置に戻されると共に、鋳型押出機構18が上型42の直上に配置される。混練用位置に戻された撹拌槽20には、
図2に示されるように底部20Bの充填口22に止めピン26Aが挿入され、材料供給部54から砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水及がそれぞれ追加供給(補充)される。そして、撹拌槽20の中の混合物aが撹拌翼24によって撹拌されながらエア供給機構64によってエア供給口70から撹拌槽20の中にエアが供給されて次回の鋳型造型用の発泡混合物が製造される。一方、
図1に示される上型42の被充填口46には、鋳型押出機構18の鋳型押出用部材18Aの鋳型押出ピンが挿入されると共に下型44が下降する等して造型された鋳型が取り出される。
【0061】
(発泡混合物の製造方法及び混練機構の作用・効果)
次に、
図2を参照しながら発泡混合物の製造方法について説明すると共に、混練機構12の作用及び効果について説明する。
【0062】
本実施形態の発泡混合物の製造方法では、撹拌槽20の中で砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水を撹拌翼24によって撹拌しながらエア供給機構64によってエア供給口70から撹拌槽20の中にエアを供給する。これにより、砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水の混合物aの中に効率的にエアを含ませることができると共に、撹拌翼24の回転によってエアを均一的に分散させることができる。したがって、本実施形態の場合には、撹拌翼24からエアが供給されない場合と比べて、短時間の撹拌で流動性の良好な発泡混合物を得ることができる。
【0063】
また、本実施形態の混練機構12では、撹拌翼24は、枠体24Aと、その枠内側に配置された網部24Bと、を備えているので、撹拌時には、枠体24Aの枠内側を通過させる砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水の混合物aを網部24Bによって細かく分断させて混合物aの中にエアを含ませることができる。ここで、断面中空形状の枠体24Aの枠内側に臨む部位にはエア供給口70が形成されているため、枠体24Aの枠内側を通過させる混合物aにエアが吹き込まれるので、撹拌中の混合物aの中に一層効率的にエアを含ませることができる。
【0064】
また、本実施形態では、エア供給機構64は、加湿機構72でエアを加湿してから当該エアをエア供給口70から撹拌槽20の中に供給する。このため、例えば、撹拌槽20の中の混合物aの当初の水分比率が抑えられていてかつ撹拌中の混合物aが乾燥し易い環境下にあっても、別途水分を補給することなく、混合物aの乾燥を抑えることができるので、発泡が安定的に進行する。
【0065】
図4には、エア供給口から撹拌槽の中に加湿したエアが供給された場合と、エア供給口から撹拌槽の中に加湿しないエアが供給された場合とで、動粘測定結果(
図4(A))及び水分測定結果(
図4(B))を比較したグラフが示されている。なお、
図4(A)及び
図4(B)では、横軸は何回目の追加混練後の抜き取りであるか(詳細後述)を示しており、
図4(A)の縦軸は動粘測定した結果を示し、
図4(B)の縦軸は水分測定した結果を示している。なお、横軸の0は初期混練後の抜き取りを示している(後述)。
図4(A)のグラフにおいて、白抜き三角印は湿度100%に加湿したエアが供給された場合を示し、白抜き丸印は加湿しないエアが供給された場合を示す。また、
図4(B)のグラフにおいて、黒塗りの三角印は湿度100%に加湿したエアが供給された場合を示し、黒塗りの丸印は加湿しないエアが供給された場合を示す。
【0066】
図4に測定結果が示された実験の方法について説明する。まず、
図5を参照しながら実験のフローについて説明する。この実験では、最初に、材料(砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水)を約5kg(詳細後述)投入し(S1)、初期の混練(撹拌)を420秒行う(S2)。次に、砂等で構成される混合物を3.1kg分抜き取り(S3)、抜き取った混合物についての動粘測定及び水分測定を行う(S4)。なお、動粘測定については後述する。次に、砂等で構成される混合物(すなわち、砂、水溶性バインダ、発泡剤及び水)を3.1kg分補充し(S5)、追加の混練(撹拌)を45秒行う(S6)。その後はS3に戻り、S3〜S6を5回繰り返す。
【0067】
本実験では、砂としてはエスパール#90(山川産業株式会社製)、水溶性バインダとしては3号水ガラス、発泡剤としてはアデカホープYES−25(株式会社ADEKA製)が適用されている。砂の初期投入量は5kgである。また、水溶性バインダは砂に対して0.65wt%、発泡剤は砂に対して0.03wt%、水は砂に対して3.20wt%がそれぞれ供給される。また、エア供給口から供給するエアのエア流量は、8L/分とされている。また、エアを加湿する場合については、エア流通路に水量5Lの水タンク(
図2の水タンク76に相当するタンク)を2個設け、これら2個の水タンクを通ったエア(換言すれば水タンクを2回通ったエア)がエア供給口から供給されるようにした。なお、本実験時の外気温は6〜8℃、湿度は23%である。
【0068】
次に、
図3を参照しながら、動粘測定の方法について概説する。
図3には、動粘測定に用いる測定装置80が示されている。
【0069】
測定装置80は、内径50mmで中心軸が鉛直方向となるように配置される円筒部材82と、円筒部材82の中に入れられた測定対象の混合物bを上方側から押す円柱状の錘84と、円筒部材82の下端開口部82Aを支持して水平に配置されるベースプレート86と、を備える。そして、ベースプレート86には、円筒部材82の下端開口部82Aの中心部に対応する部位に小径の孔部86Aが貫通形成されている。
【0070】
測定時には、円筒部材82の中に混合物bを入れ、その後に混合物bの上に錘84を載せ、錘84で混合物bを上方側から押す。そして、円筒部材82に予め設定した上下二点間を混合物bが何秒で通り抜けるのかを測定する。
【0071】
図4(B)に示されるように、エア供給口から撹拌槽の中に加湿しないエアが供給された場合(黒塗りの丸印の場合)には、混合物における水分割合(%)が漸減した。これに対して、エア供給口から撹拌槽の中に加湿した湿度100%のエアが供給された場合(黒塗りの三角印の場合)には、混合物における水分割合(%)が2.90%プラスマイナス0.05%の範囲内に収まった。
【0072】
また、
図4(A)に示されるように、エア供給口から撹拌槽の中に加湿しないエアが供給された場合(白抜き丸印の場合)には、回数を重ねるごとに動粘測定値が徐々に増加する傾向(混練状態が徐々に悪化する傾向)にあった。これに対して、エア供給口から撹拌槽の中に加湿した湿度100%のエアが供給された場合(白抜き三角印の場合)には、動粘測定値が安定していること(混練状態が安定していること)が判る。
【0073】
図2に戻り、混練機構12の作用及び効果について説明すると、本実施形態では、撹拌翼24が下端部に取り付けられた回転軸52は、自身の軸線周りに回転可能に配置されており、回転軸52の上端部を上方側から覆うジョイント部92は、回転軸52の上端部の外周側に配置された軸受94を介して回転軸52に連結されている。このため、回転軸52が自身の軸線周りに回転しても、ジョイント部92は回転しない。また、エア供給口70から撹拌槽20の中に供給するエアを流通させる第二チューブ78は回転軸52の内部を通っているが、第二チューブ78はジョイント部92の下部及び側部を通ってジョイント部92を貫通した状態で配置されてジョイント部92の側部に支持されているので、第二チューブ78が回転軸52と共に回転してもジョイント部92が第二チューブ78を支持する位置は維持される。これにより、回転軸52の回転時に第二チューブ78が絡まるのを防止することができる。
【0074】
また、本実施形態では、エア供給機構64のエア流通路68に圧力センサ98が配置されている。このため、エア供給口70が目詰まりしている場合にはエア供給口70が目詰まりしていない場合よりも圧力センサ98の検出値が高くなるので、エア供給口70の目詰まり状態を間接的に検出することができる。
【0075】
また、本実施形態では、エア供給口70の直径が0.1mm〜0.3mmに設定されている。エア供給口70の直径を0.1mm以上にすることで圧力損失が抑えられてエアの良好な吹き出しが可能となっており、また、エア供給口70の直径を0.3mm以下にすることで撹拌後に撹拌翼24を撹拌槽20の中から上方側に移動させる際に砂がエア供給口70からエア流通路68に入り込むのを防止又は抑制することができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、流動性の良好な発泡混合物を得るまでの時間を短縮することができる。
【0077】
(実施形態の変形例)
次に、上記実施形態の変形例について、
図6を用いて説明する。
図6には、上記実施形態の変形例の要部が示されている。
図6(A)は変形例の要部の正面図を示し、
図6(B)は枠体の模式的な平面図を示す。これらの図に示されるように、この変形例は、上記実施形態の枠体24A(
図2参照)に代えて、枠体100Aを備える点で、上記実施形態とは異なる。他の構成は、上記実施形態と同様の構成となっている。なお、上記実施形態と同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図6(A)及び
図6(B)に示される撹拌羽根としての撹拌翼100は、上記実施形態の枠体24A(
図2参照)に代えて枠体100Aを備える点を除き、上記実施形態の撹拌翼24と同様の構成となっている。枠体100Aは、所定の回転方向(
図6(B)の矢印52R参照)に回転する回転軸52の下端部すなわち翼側回転軸52Cの下端部に取り付けられて断面中空形状でかつ矩形枠状に形成されている。
図6(A)に示されるように、枠体100Aは、上記実施形態の枠体24A(
図2参照)と同様に、上枠部100A1、下枠部100A2及び一対の側枠部100A3を備えており、上枠部100A1、下枠部100A2及び側枠部100A3は、各々の軸線に直交する断面形状が矩形状とされている。枠体100Aには、上記実施形態の枠体24A(
図2参照)と同様に網部24Bが取り付けられている。
【0079】
図6(A)及び
図6(B)に示されるように、枠体100Aには、回転軸52の回転時に枠体100Aが回転移動する側(
図6(B)の矢印100R参照)とは反対側に向く部位に複数のエア供給口102が形成されている。言い換えれば、回転軸52の回転方向52R(
図6(B)参照)とは反対側にエアが吹き出すようにエア供給口102が形成されている。なお、
図6(B)では、エア供給口102からのエアの吹き出し方向を矢印102Bで示す。エア供給口102は、本実施形態では一例として、
図6(A)に示される一対の側枠部100A3及び下枠部100A2の両サイド側の部位に設定されている。なお、エア供給口102の直径は、上記実施形態のエア供給口70(
図2参照)の直径と同様に設定されている。
【0080】
この変形例によれば、前述した第1実施形態とほぼ同様の作用及び効果が得られる。また、この変形例では、撹拌翼100による撹拌時には、
図6(B)に示される枠体100Aが回転移動する側(矢印100R参照)とは反対側の領域に乱流が生じると共にそのような乱流が生じている領域にエアが吹き込まれるので、混合物a(
図6(A)参照)の中に一層効率的にエアを含ませることができる。
【0081】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、
図2に示されるエア供給機構64のエア流通路68には、撹拌槽20の中に供給するエアを加湿する加湿機構72が設けられ、エア供給機構64は、エアを加湿してから当該エアをエア供給口70から撹拌槽20の中に供給しているが、例えば、多湿の環境下で混練機構が作動する場合や撹拌槽の蓋の密閉性が高い場合、あるいは撹拌中に別途水分を補給する場合や撹拌槽の中の混合物の当初の水分比率が高く設定されている場合等には、エア供給機構は、加湿機構を備えなくてもよく、加湿しないエアを撹拌槽の中に供給してもよい。
【0082】
また、撹拌槽の中に供給するエアを加湿する方法は、加熱蒸発散気、超音波加湿、水噴霧等のような上記実施形態以外の方法でもよい。
【0083】
また、上記実施形態等では、撹拌羽根としての撹拌翼24、100は、枠体24A、100A及び網部24Bを備えているが、撹拌羽根は、例えば、プロペラ型の撹拌羽根等のような他の撹拌羽根であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、エア流通路68に圧力センサ98が配置されているが、圧力センサの代わりに流量計を配置する構成でもよい。流量計を配置することにより、圧力センサと同じくエア供給口の目詰まり状態を検出することができる。また、これらの構成が好ましいが、エア流通路に圧力センサ及び流量計のいずれも配置しない構成も採り得る。
【0085】
また、上記実施形態では、エア供給口70、102の直径が0.1mm〜0.3mmに設定されており、このような構成が好ましいが、エア供給口の直径は必ずしも上記の設定に限定されるものではない。すなわち、エア供給口の直径や数は、適用される砂の粒子径、砂の粒子量、バインダの種類の違い等により適宜設定し得る。
【0086】
また、上記実施形態では、
図1に示される金型40は水平割の金型とされているが、上記実施形態の変形例として、金型は、垂直割の金型とされて一方の型と他方の型とで鋳型造型用空間を形成すると共に当該金型において上側に配置される上壁部に被充填口が貫通形成されている金型であってもよい。
【0087】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0088】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。