(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
集約装置と、中継動作を行う無線通信装置と、当該中継動作を行う無線通信装置を介して集約装置と通信を行うエンドノードの無線通信装置とを備える無線通信システムにおいて、
上記集約装置として、請求項1に記載の集約装置を適用し、上記中継動作を行う無線通信装置と上記エンドノードの無線通信装置の総数がN個であることを特徴とする無線通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による集約装置
、無線通信システム、通信順番・ウェイク時間決定方法及び通信順番・ウェイク時間決定プログラムの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(A−1)実施形態の構成
実施形態の無線通信システムは、ツリートポロジーを採用している、センサネットワーク等に適用し得るマルチホップ無線ネットワークである。実施形態の無線通信システムは、コーディネータ、ルータ及びエンドノードの各無線通信装置をノードとして備えている。
【0017】
図1は、コーディネータ、ルータ及びエンドノードの内部構成を示すブロック図である。
図1は、ルータ及びエンドノードについては、1個ずつ代表させて示している。また、以下では、コーディネータからルータやエンドノードへの通信方向を下り方向、ルータやエンドノードからコーディネータへの通信方向を上り方向と呼ぶこともある。
【0018】
コーディネータ10は、当該無線通信システム1におけるデータの唯一の集約装置として設けられている。すなわち、ツリートポロジーのルートノードになっている。
図1において、コーディネータ10は、制御部11、第1の通信部12、第2の通信部13、記憶部14及び電源部15を有する。
【0019】
制御部11は、CPUやプログラムメモリ等を有するマイクロコンピュータ等で構成され、コーディネータ10の各部を制御すると共に、コーディネータ10としての機能を発揮するものである。
【0020】
制御部11は、リンク確立・経路確立のためのコーディネータ10としての機能部11a、無線通信システム1全体の同期をとるためのコーディネータ10としての機能部11b、配下の各ノード(ルータやエンドノード)からデータを収集する順番や省電力モードを解除している時間(ウェイク時間)を決定し、通知する機能部11c等を有する。例えば、機能部11bにはタイマ機能も含まれている。
【0021】
第1の通信部12は、当該コーディネータ10と中継ノードを介さないで直接通信する配下の各ノードと無線通信を行うものである。この実施形態の場合、変調方式や周波数帯には特徴がないので、その説明は省略する。
【0022】
第2の通信部13は、外部装置(例えば、有線の外部ネットワーク網)と通信するものである。第2の通信部13は、例えば、外部装置から与えられた下り方向のデータを受信し、外部装置へ上り方向のデータを送信する。
【0023】
記憶部14は、制御部11による作業を実施するための記憶部である。記憶部14は、コーディネータ特有の管理機能部分を実現するための記憶エリアを有する。記憶部14は、例えば、ツリー構造のデータを記憶する記憶エリア、配下の各ノードにおけるタイミングずれ情報若しくは同期のための修正情報を記憶する記憶エリア、配下の各ノードにおけるウェイク時間及びスリープ時間をとるタイミングを記憶する記憶エリア等を有する。
【0024】
電源部15は、外部電源から、当該コーディネータの各部に供給する動作電源を得るものである。
【0025】
ルータ20は、当該無線通信システム1における中継機能をも有するノードである。すなわち、ルータ20は、当該ルータ20を送信元、宛先としたデータ通信を実行することもあれば、他のノード(コーディネータ、ルータ若しくはエンドノード)を送信元、宛先としたデータ通信を中継することもあるものである。
図1において、ルータ20は、制御部21、第1の通信部22、第2の通信部23、記憶部24及び電源部25を有する。
【0026】
制御部21は、CPUやプログラムメモリ等を有するマイクロコンピュータ等で構成され、ルータ20の各部を制御すると共に、ルータ20としての機能を発揮するものである。
【0027】
制御部21は、リンク確立・経路確立のためのルータ20としての機能部21a、コーディネータ10側のタイマと同期をとるための機能部21b、コーディネータ10から指示された期間だけ省電力モードを解除させる機能部21c等を有する。例えば、機能部21cにはタイマ機能も含まれている。
【0028】
第1の通信部22は、当該ルータ20と中継ノードを介さないで直接通信する他のノードと無線通信を行うものである。他のノードは、下り方向の他のノードと上り方向の他のノードとがあり、下り方向の他のノードは複数あることもあり得る。
【0029】
第2の通信部23は、外部装置(例えば、有線の外部ネットワーク網やセンサデバイス)と通信するものである。第2の通信部23は、例えば、外部装置から与えられた上り方向のデータを受信し、外部装置へ下り方向のデータを送信する。
【0030】
記憶部24は、制御部21による作業を実施するための記憶部である。記憶部24は、ルータ特有の管理機能部分を実現するための記憶エリアを有する。記憶部24は、例えば、1ホップ転送が可能な周辺ノードの通信データを記憶する記憶エリア、コーディネータ10から通知された当該ルータ20のタイミングずれ情報を記憶する記憶エリア等を有する。なお、コーディネータ10から指示された省電力モードを解除する期間の情報は、上述した機能部21cが保持する。
【0031】
電源部25は、外部電源から、当該コーディネータの各部に供給する動作電源を得るものである。ルータ20の場合には、電源部25に代えて、電池を搭載したものであっても良い。
【0032】
この実施形態は、ルータ20も省電力モードを有することを特徴としている。因みに、従来のルータは、中継機能をも担っているため、省電力モードを有するものがなかった。ルータ20においては、省電力モードでは、アウェイクのタイミングを監視する制御部21の一部を除いて、ルータ20内の各部がスリープ状態となる。後述するように、ルータ20が省電力モードを有していても、当該ルータが中継する通信で不都合が生じることはない。
【0033】
エンドノード30は、当該無線通信システム1のツリートポロジーの末端としての通信のみを行うノードである。すなわち、エンドノード30は、自己を宛先とする下り方向のデータを受信するが、下り方向のデータを中継することはなく、自己を送信元とする上り方向のデータを送信するが、上り方向のデータを中継することもないものである。
図1において、エンドノード30は、制御部31、第1の通信部32、第2の通信部33、記憶部34及び電源部35を有する。
【0034】
制御部31は、CPUやプログラムメモリ等を有するマイクロコンピュータ等で構成され、エンドノード30の各部を制御すると共に、エンドノード30としての機能を発揮するものである。
【0035】
制御部31は、リンク確立・経路確立のためのエンドノード30としての機能部31a、コーディネータ10側のタイマと同期をとるための機能部31b、コーディネータ10から指示された期間だけ省電力モードを解除する機能部31c等を有する。例えば、機能部31cにはタイマ機能も含まれている。
【0036】
第1の通信部32は、当該エンドノード30と中継ノードを介さないで直接通信する他のノードと無線通信を行うものである。他のノードは、上り方向の他のノードである。
【0037】
第2の通信部33は、外部装置(例えば、有線の外部ネットワーク網やセンサデバイス)と通信するものである。第2の通信部33は、例えば、外部装置から与えられた上り方向のデータを受信し、外部装置へ下り方向のデータを送信する。
【0038】
記憶部34は、制御部31による作業を実施するための記憶部である。記憶部34は、エンドノード特有の管理機能部分を実現するための記憶エリアを有する。記憶部34は、例えば、コーディネータ10から通知された当該エンドノード30のタイミングずれ情報を記憶する記憶エリア等を有する。なお、コーディネータ10から指示された省電力モードを解除する期間の情報は、上述した機能部31cが保持する。
【0039】
電源部35は、外部電源から、当該コーディネータの各部に供給する動作電源を得るものである。エンドノード30の場合には、電源部35に代えて、電池を搭載したものであっても良い。
【0040】
エンドノード30は、省電力モードをとることもある。エンドノード30においては、省電力モードでは、アウェイクのタイミングを監視する制御部31の一部を除いて、エンドノード30内の各部がスリープ状態となる。後述するように、エンドノード30がウェイク状態では、当該エンドノード30を収容するルータ20(若しくはコーディネータ10)もウェイク状態であり、当該エンドノード30を送信元又は宛先とする通信が阻害されないようになされている。
【0041】
なお、ルータ20やエンドノード30は、ルータ専用の装置やエンドノード専用の装置と構成されたものであっても良い。また、同じ装置が、リンク確立・経路確立動作で中継機能をも担う場合にルータ20として機能し、中継機能を担わない場合にエンドノード30として機能するように構成されたものであっても良い。
【0042】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態の無線通信システム1の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0043】
まず、ツリートポロジーが
図2に示すトポロジーの場合を例に、実施形態の無線通信システム1の動作を説明する。
図2の例は、コーディネータCD(10)と5個のノードND−1〜ND−5とでなる無線通信システム1であり、最初に確立されたツリートポロジーが
図2(A)に示すトポロジーであり、その後の通信状況の変化によって、
図2(B)に示すトポロジーに変化したとする。
図2(A)に示すツリートポロジーでは、ノードND−2及びND−3がルータ(20)であって、ノードND−1、ND−4及びND−5がエンドノード(30)である。
図2(B)に示すツリートポロジーでは、ノードND−1及びND−3がルータ(20)であって、ノードND−2、ND−4及びND−5がエンドノード(30)である。
【0044】
図3は、コーディネータCDを含めた各ノードND−1〜ND−5のスリープ時間、ウェイク時間の変化を示すタイミングチャートである。なお、この実施形態の場合、コーディネータCDは常時ウェイク状態にある。
【0045】
実施形態の無線通信システム1は、1日1回(例えば午前0時)など所定周期で当該無線通信システム1の初期化を行う。また、ノードの増廃設を検知したときや、保守者からコーディネータCDに対して初期化指令が与えられたときなどにも、当該無線通信システム1の初期化を行う。
【0046】
無線通信システム1において、初期化処理に入ると、コーディネータCDの制御下で全てのノードND−1〜ND−5をウェイク状態にし、このような状況において、コーディネータCDの制御下で、全てのノードND−1〜ND−5が協働してリンク確立・経路確立動作が実行される(ステップS100)。この実施形態の場合、リンク確立・経路確立動作には特徴はなく、既存のリンク確立・経路確立方法を適用することができる。リンク確立・経路確立方法として、例えば、AODV(Ad hoc On−Demand Distance Vector)プロトコルを適用することができる。上述したように、最初のリンク確立・経路確立動作では、
図2(A)に示すツリートポロジーが形成されたとする。
【0047】
次に、無線通信システム1は、コーディネータCDの制御下で、全てのノードND−1〜ND−5のタイマをコーディネータCDのタイマに同期させる(ステップS101)。すなわち、コーディネータCDが各ノードのタイミングを設定(若しくは再設定)することにより、個々のノードのタイミングずれを解消させる。この実施形態の場合、タイマの同期化動作には特徴はなく、既存のタイマの同期化方法を適用することができる。コーディネータCDやノードND−1〜ND−5が搭載しているタイマの種類によっては(電波時計やGPSからの電波を利用しているタイマなど)、タイマの同期化動作を省略するようにしても良い。
【0048】
その後、コーディネータCDは、各ノードND−1〜ND−5からデータを収集する順序と、各ノードND−1〜ND−5からデータを1回ずつ収集するための全収集単位時間内における、各ノードND−1〜ND−5のウェイク時間のタイミングとを定め、定めたタイミング情報と、全収集単位時間の開始時刻の周期情報と、初回の全収集単位時間の開始時刻とを各ノードND−1〜ND−5にそれぞれ通知する(ステップS102)。この通知方法は、限定されるものではなく、例えば、マルチキャスト送信を適用することができる。各ノードは、例えば、マルチキャスト情報を受信し、初回の全収集単位時間の開始時刻と、全収集単位時間の開始時刻の周期情報と自己のウェイク時間のタイミングを設定したノードは、受信情報をさらにマルチキャスト送信し、その後、スリープ状態に移行する。但し、エンドノードがエンドノードであることを知得している場合であれば、マルチキャスト送信を省略しても良い。
【0049】
また、各ノードND−1〜ND−5からデータを収集する順序の情報は、コーディネータCDが内部で管理し、収集要求を送出する際に参照する。なお、各ノードが自律的に送信するシステムにしても良く、この場合には、各ノードND−1〜ND−5が、通知されたウェイク時間から送信タイミングを判断するようにしても良く、ウェイク時間内の送信タイミングをコーディネータCDが各ノードND−1〜ND−5に通知するようにしても良い。
【0050】
その後、最初の全収集単位時間になると、コーディネータCDは全てのノードND−1〜ND−5からデータを収集する(S103−1)。その後、一定周期で生じる全収集単位時間毎に、コーディネータCDは全てのノードND−1〜ND−5からデータを収集することを繰り返す(S103−2、…)。
【0051】
新たな初期化を行うタイミングになると、若しくは、コーディネータCDがノードの増廃設を検知すると、若しくは、保守者からコーディネータCDに対して初期化指令が与えられると、当該無線通信システム1は新たな初期化を開始する。
【0052】
このときも、上述と同様に、コーディネータCDの制御下で、全てのノードND−1〜ND−5が協働してリンク確立・経路確立動作を実行し(ステップS104)、コーディネータCDの制御下で、全てのノードND−1〜ND−5のタイマをコーディネータCDのタイマに同期させ(ステップS105)、コーディネータCDは、各ノードND−1〜ND−5からデータを収集する順序と、全収集単位時間内における、各ノードND−1〜ND−5のウェイク時間のタイミングとを定め、定めたタイミング情報と、全収集単位時間の開始時刻の周期情報と、初回の全収集単位時間の開始時刻とを各ノードND−1〜ND−5にそれぞれ通知する(ステップS106)。その後、新たな初期化処理後の最初の全収集単位時間になると、コーディネータCDは全てのノードND−1〜ND−5からデータを収集する(S107−1)。その後、一定周期で生じる全収集単位時間毎に、コーディネータCDは全てのノードND−1〜ND−5からデータを収集することを繰り返す。
【0053】
図3の後半部分は、ステップS104のリンク確立・経路確立動作で、
図2(B)に示すツリートポロジーが確立された場合を示している。
【0054】
この実施形態の場合、コーディネータCDがあるノードND−x(xは1〜5)にデータを要求し、それに応じて、ノードND−xがコーディネータCDにデータを返信する動作にも、マージンを含めた単位時間(以下、個別収集単位時間と呼ぶ)が定まっている。
図2の例の場合、ノード数は5であるので、全収集単位時間を、個別収集単位時間の5倍より長く設定する。例えば、個別収集単位時間を0.5秒(なお、この具体的な時間は、説明の便宜のために定めた時間である)に設定した場合に、マージンをも持たせて、全収集単位時間を2.5秒より長く選定する。例えば、全収集単位時間を5秒に設定する。このような場合、コーディネータCDは、初回の全収集単位時間の開始時刻XX時YY分ZZ秒と、全収集単位時間の開始時刻の周期「5秒」と、全収集単位時間内における各ノードのウェイク時間とを、全てのノードND−1〜ND−5に通知する。ウェイク時間は、該当するノードにだけ通知する。
【0055】
図2(A)に示すツリートポロジーが有効なとき(但し、個別収集単位時間が0.5秒であったとする)、全収集単位時間における開始時点からの経過時間で表すと、
図3のステップS103−1、S103−2に示すように、全収集単位時間内におけるノードND−1のウェイク時間は2.0秒〜2.5秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−2のウェイク時間は0.0秒〜2.0秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−3のウェイク時間は0.0秒〜1.0秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−4のウェイク時間は1.0秒〜1.5秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−5のウェイク時間は0.0秒〜0.5秒の期間である。
【0056】
図3のステップS103−1、S103−2において、エンドノードであるノードND−1は、個別収集時間と同じ時間長のウェイク時間2.0秒〜2.5秒の間で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信する。同様に、エンドノードであるノードND−4も、個別収集時間と同じ時間長のウェイク時間1.0秒〜1.5秒の間で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信し、エンドノードであるノードND−5も、個別収集時間と同じ時間長のウェイク時間0.0秒〜0.5秒の間で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信する。
【0057】
これに対して、
図3のステップS103−1、S103−2において、ルータであるノードND−2は、ウェイク時間0.0秒〜2.0秒のうちの最後の0.5秒間(1、5秒〜2.0秒の期間)で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信し、それ以前の0.0秒〜1.5秒のウェイク期間は中継動作を実行する。同様に、ルータであるノードND−3は、ウェイク時間0.0秒〜1.0秒のうちの最後の0.5秒間(0、5秒〜1.0秒の期間)で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信し、それ以前の0.0秒〜0.5秒のウェイク期間は中継動作を実行する。
【0058】
図3の前半では、以上のように、各ノードND−1〜ND−5は全収集単位時間内のコーディネータCDから指示された時間にウェイク状態となり、中継動作や収集要求に応じたデータの送信を行う。
【0059】
一方、
図2(B)に示すツリートポロジーが有効なとき、
図3のステップS107−1に示すように、全収集単位時間内におけるノードND−1のウェイク時間は0.0秒〜2.0秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−2のウェイク時間は2.0秒〜2.5秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−3のウェイク時間は0.0秒〜1.0秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−4のウェイク時間は1.0秒〜1.5秒の期間であり、全収集単位時間内におけるノードND−5のウェイク時間は0.0秒〜0.5秒の期間である。
【0060】
図3のステップS107−1において、エンドノードであるノードND−2は、個別収集時間と同じ時間長のウェイク時間2.0秒〜2.5秒の間で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信する。同様に、エンドノードであるノードND−4も、個別収集時間と同じ時間長のウェイク時間1.0秒〜1.5秒の間で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信し、エンドノードであるノードND−5も、個別収集時間と同じ時間長のウェイク時間0.0秒〜0.5秒の間で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信する。
【0061】
これに対して、
図3のステップS107−1において、ルータであるノードND−1は、ウェイク時間0.0秒〜2.0秒のうちの最後の0.5秒間(1、5秒〜2.0秒の期間)で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信し、それ以前の0.0秒〜1.5秒のウェイク期間は中継動作を実行する。同様に、ルータであるノードND−3は、ウェイク時間0.0秒〜1.0秒のうちの最後の0.5秒間(0、5秒〜1.0秒の期間)で、コーディネータCDからのデータ要求に応じて、コーディネータCDにデータを返信し、それ以前の0.0秒〜0.5秒のウェイク期間は中継動作を実行する。
【0062】
図3の後半でも、以上のように、各ノードND−1〜ND−5は全収集単位時間内のコーディネータCDから指示された時間にウェイク状態となり、中継動作や収集要求に応じたデータの送信を行う。
【0063】
次に、全収集単位時間内における、各ノードND−1〜ND−5からのデータの収集順序を定める処理を説明する。収集順序が定まった場合には、収集順序に基づいて、各ノードND−1〜ND−5のウェイク時間を後述するように定めることができる。以下に説明する決定処理は、中継ノードにおけるウェイク時間を最短にする方法となっている。
【0064】
図4は、各ノードからのデータの収集順序を定める処理を示すフローチャートである。
図5は、コーディネータCD(10)の制御部11が実行する、各ノードND−1〜ND−5からのデータの収集順序を定める処理で適用されるテーブルを示す説明図であり、
図5(A)は、
図2(A)のツリートポロジーの場合のテーブルであり、
図5(B)は、
図2(B)のツリートポロジーの場合のテーブルである。
図2のトポロジーは、収集順序を定める際の変化が乏しいので、以下の説明では、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、ノードを16個有するツリートポロジーを示しており(以下、ノードの符号としてND−1〜ND−16を用いる)、図7は、図6の各ノードND−1〜ND−16からのデータの収集順序を定める処理で適用されるテーブルを示す説明図である。
【0065】
ステップS201:全てのノードのそれぞれについて、ホップ数(コーディネータからのホップ数であっても良く、また、コーディネータからの転送で中継ノードを介する回数であっても良く、図
7は後者の場合を示している)と、下り方向に見て中継元であるホップ元を記述したテーブルを用意する。この用意された時点では、図
7の1列目から3列目が形成される。
【0066】
ステップS202:ホップ数の多い順から順番に番号を付与し、収集順序を仮決定する。なお、同一ホップ数のノードに対する順番をどのように振っても良いが、図
7の例ではノードの識別番号が若い方の順番を優先させている。図
7の4列目は、このステップS202の処理により形成された情報を示している。
【0067】
ステップS203:順番の確定処理が終了していないホップ数の中で、最も大きいホップ数を着目ホップ数とし、着目ホップ数のある1つのノードに着目し(順番が若い順に着目していく)、着目ノードとホップ元ノードと間の経路に着目する。そして、ホップ元ノードからの別の経路(下り方向の経路)があれば、その当該経路及び別の経路を優先させる。このようなホップ元ノードが共通な経路の優先処理によって、優先経路に係るノードの順番が繰り上げられ、非優先の経路に係るノードの順番は繰り下げられる
。
【0068】
なお、別の経路がない場合には、後述するステップS204の処理に直ちに移行する。
【0069】
ホップ数が「
4」であるノードND−
14又はND−15が着目ノードとなったとき
には、ホップ元ノー
ドからの別の経路がないので、ステップS20
3に直ちに移行する。
【0070】
仮に、ホップ数が「
3」であるノードND−
11が着目ノードとなったときには、ホップ元ノードND−
6からノードND−
12及びND−16への別の経路が存在するので、これら別の経路が
ノードND−7及びノードND−
10間の経路より優先される。
【0071】
ステップS204:優先経路の割り付けが終了したら(優先割り付けが不要な場合を含む)、ホップ元ノードの順番を、そのホップ元ノードからの全ての優先経路のノードに割り付けた最後の順番の次の順番に変
更する。ホップ元ノードの優先化により、ホップ元ノードの変更前の順番より若い順番だった他のノードの順番を1ずつ繰り下げる。
図7の「11R先行」と記載されている列は、ホップ数が「4」であるノードND−15及びND−16に対する、ステップS204の優先割り付けを行った後の順番の変更を示している。
図7の「6R先行」と記載されている列は、ホップ数が「3」であるノードが着目ノードとなった場合を示している。ノードND−16は、ステップS203の優先経路の割り付け処理により、ノードND−10より若い順番になった。また、ノードND−6は、当該ステップS204のホップ元ノードに対する優先化により、ノードND−10より若い順番になった。
【0074】
ステップS205:優先化されたホップ元ノードに至る経路、並びに、その経路と同じホップ元ノードを有する経路を優先させる。この際、ステップS203と同様に、優先経路内の最若番の経路に注目して優先順位を付与する。また、ノード選択において優先となる条件が複数発生することもあるが、この場合は、ホップ数が多い経路の処理を最優先させる
。
例えば、ホップ元ノードがノードND−6の場合には、このステップS205の処理により、ノードND−4から経路が優先される。その結果、図7の「4R先行」と記載されている列に示すように、ノードND−4の順番がノードND−10の順番より優先される。
【0076】
ステップS206:ホップ元ノードがコーディネータCDになるまで、ステップS203〜S205の処理を繰り返す。
【0077】
ステップS207:コーディネータCDに接続された全てのノード
との通信が完了するまで、ステップS203〜S206の処理を繰り返す。
【0078】
以上のような処理により、各ノードのウェイク時間を最短とすることができるデータの収集順番が決定される。
【0079】
各エンドノードは、全収集単位時間のうちの、そのエンドノードについて決定された順番の個別収集単位時間をウェイク時間とされる。
【0080】
各ルータのウェイク時間は、配下に位置するエンドノードの中の最も若い順番のエンドノードに割り当てられた個別収集単位時間の開始時刻を開始時刻とし、当該ルータの順番に割り当てられた個別収集単位時間の終了時刻を終了時刻とするように決定される
。
【0081】
図3の各ノードND−1〜ND−5のウェイク時間は、
図5(A)又は
図5(B)に示す決定順番に基づいて、以上のようにして定められたものである。
【0082】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、エンドノードだけでなく、中継ノードであるルータもスリープ時間とウェイク時間とを交互にとるようにしたので(言い換えると、ルータも間欠的な待ち受けを採用するようにしたので)、無線通信システム全体の省電力効果を従来より高めることができる。
【0083】
ルータが間欠的な待ち受けを採用しても、配下のノードからのデータ収集を考慮してウェイク時間を定めたので、スリープ時間とウェイク時間との切替え回数を最小限にすることができ、ルータ内の制御を簡単なものとすることができる。
【0084】
また、ノードの増廃設や通信経路の雑音等のために、ツリートポロジーに変更があったときも、コーディネータが新たなツリートポロジーに応じて、エンドノード及びルータのデータ収集順番やスリープ時間とウェイク時間とを新たに決定するようにしたので、上記効果を継続して発揮させることができる。
【0085】
さらに、全てのノードからのデータ収集に要する時間は、1つのノードからのデータ収集に要する時間のノード数倍で良く、無線通信システム全体の通信時間を短いものとすることができる。
【0086】
(B)他の実施形態
上記実施形態においては、各ノード(エンドノード及びルータ)のデータ収集順番などをコーディネータが決定するものを示したが、コーディネータに接続されている外部装置等が決定するようにしても良い。
【0087】
上記実施形態では、コーディネータと各ノードとの通信がデータ収集のための通信である場合を示したが、通信の目的はデータ収集に限定されるものではない。
【0088】
図3のステップS103−1やステップS107−1に示す各ノードでのウェイク時間の配列は、これに限定されるものではなく、
図3におけるものと対称なものであっても良い。例えば、ノードND−1のウェイク時間がノードND−2のウェイク時間より左側(早い時間側)にあるようにしても良い。
【0089】
上記実施形態では、コーディネータCDは常時ウェイクしているものを示したが、コーディネータCDもスリープするものであっても良い。例えば、相前後する全収集単位時間の間でスリープするようにしても良い。
図3で説明すると、ステップS103−1の収集動作とステップS103−2の収集動作との間で、コーディネータCDがスリープするようにしても良い。
【0090】
上記実施形態では、ホップ数が大きい方からデータの収集順番を定める場合を示したが、ホップ数が小さい方からデータの収集順番などを定めるようにしても良い。要は、
図2に示すようなツリートポロジーの場合に、
図3に示すようなウェイク時間と収集順番(収集タイミング)とを定めることができる方法であれば良い。
【0091】
図2(A)のツリートポロジーの場合を例に、ホップ数が小さい方からデータの収集順番などを定める方法を説明する。
【0092】
ノード数が5個であるので、5個の個別収集単位時間に各ノードを割り当てる。
【0093】
コーディネータをホップ元ノードとしているノードは、ノードND−1とノードND−2であり、ノードND−1に配下のノードはなく(配下のノード数が0)、ノードND−2に配下のノード数は3ノードである。そこで、5個の個別収集単位時間を、ノードND−1に1個、ノードND−2に4個割り当てる(4個は連続して割り当てる)。これにより、ノードND−1については、データの収集順番とウェイク時間とが決定される。また、4個連続した個別収集単位時間が割り当てられたノードND−2に関して、この4個連続した個別収集単位時間をウェイク時間に決定する。さらに、4個連続した個別収集単位時間の最後(若しくは最初)の個別収集単位時間を、ノードND−2についてのデータの収集順番に決定する。
【0094】
次に、配下にノードを有する次のホップ数に係るノードに着目する。
図2(A9の場合、該当するノードはノードND−2である。このノードND−2をホップ元ノードとしているノードは、ノードND−4とノードND−3である。ノードND−2に割り当てられた4個連続した個別収集単位時間のうち中継に供するのは、ノードND−2自体の収集用の個別収集単位時間を除外した3個連続した個別収集単位時間である。ノードND−4に配下のノードはなく(配下のノード数が0)、ノードND−3に配下のノード数は1ノードであるので、3個の個別収集単位時間を、ノードND−4に1個、ノードND−2に2個割り当てる(2個は連続して割り当てる)。これにより、ノードND−4については、データの収集順番とウェイク時間とが決定される。また、2個連続した個別収集単位時間が割り当てられたノードND−3に関して、この2個連続した個別収集単位時間をウェイク時間に決定する。また、2個連続した個別収集単位時間の最後(若しくは最初)の個別収集単位時間を、ノードND−3についてのデータの収集順番に決定する。
【0095】
この段階で、順番が決定されていない個別収集単位時間もノードも1個であるので、その空いていた個別収集単位時間を残っていたノードND−5に割り当てる。
【0096】
本発明が適用可能な無線ネットワークは限定されるものではなく、ツリートポロジーを採用しているものであれば良い。