特許第6558895号(P6558895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558895
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】光量調節装置及び光学機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/10 20060101AFI20190805BHJP
   G03B 9/02 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G03B9/10 A
   G03B9/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-263312(P2014-263312)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-122148(P2016-122148A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】丸山 直昭
(72)【発明者】
【氏名】新井 克美
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−299033(JP,A)
【文献】 特開2009−182143(JP,A)
【文献】 特開2004−335602(JP,A)
【文献】 特開平06−059312(JP,A)
【文献】 特開2007−121895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/10
G03B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を通過させる開口部と、
前記開口部を開閉する方向に変位可能な羽根部材と、
前記羽根部材の孔に挿入され、前記羽根部材に回動力を付勢する駆動軸と、
前記羽根部材の孔に挿入され、前記羽根部材を、前記開口部を開閉する方向に回動自在に支持する支持軸と、
前記羽根部材の変位範囲を規制するストッパと、を備えた光量調節装置であって、
前記羽根部材は、
本体部と、
前記本体部の上に配設され、前記本体部よりも小さい面積を有する補強部と、
前記本体部と前記補強部との間に介在し、これらを接合する接合部と、を備え、
前記補強部は、前記羽根部材が前記光量調節装置の前記駆動軸、前記支持軸及び前記ストッパと当接する部位を構成すると共に、前記接合部は前記駆動軸、前記支持軸及び前記ストッパと接触しないように前記補強部の当接する部位よりも内側に引っ込んで形成されている、
ことを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光量調節装置であって、
前記接合部は、粘着剤、又は、両面テ−プにより形成される、
ことを特徴とする光量調節装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光量調節装置を備える、
ことを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光量調節装置及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ及び交換レンズ等の光学機器には、一般に、シャッタや絞り等の光量調節装置が搭載されている。光学機器は高画質化の要求が強く、これに伴い光量調節装置の動作の高速化が求められている。光量調節装置の動作を高速化するための1つの方法として、羽根部材を薄くして軽量化する方法がある。しかしながら、羽根部材を一様に薄くすると強度が低下し、羽根部材の移動範囲を規制するストッパ等に羽根部材が当接した際、当接部分が損傷する場合がある。特許文献1には羽根部材を遮光羽根とストッパ部材の積層体として構成し、部分的に厚肉とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−299033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、羽根部材を部分的に厚肉とすることにより、その強度を補強することができ、ストッパ等に対する当接部分の損傷を回避することができる。しかし、羽根部材を積層体として構成する場合には、層間を接合する接着剤や両面テープ等の接合層が必要となる。接合層の材料が、ストッパ等に付着すると、羽根部材の動作が不安定になる場合がある。
【0005】
本発明は、羽根部材の接合層により、羽根部材の動作が不安定になることを抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、例えば、光を通過させる開口部と、前記開口部を開閉する方向に変位可能な羽根部材と、前記羽根部材の孔に挿入され、前記羽根部材に回動力を付勢する駆動軸と、前記羽根部材の孔に挿入され、前記羽根部材を、前記開口部を開閉する方向に回動自在に支持する支持軸と、前記羽根部材の変位範囲を規制するストッパと、を備えた光量調節装置であって、前記羽根部材は、本体部と、前記本体部の上に配設され、前記本体部よりも小さい面積を有する補強部と、前記本体部と前記補強部との間に介在し、これらを接合する接合部と、を備え、前記補強部は、前記羽根部材が前記光量調節装置の前記駆動軸、前記支持軸及び前記ストッパと当接する部位を構成すると共に、前記接合部は前記駆動軸、前記支持軸及び前記ストッパと接触しないように前記補強部の当接する部位よりも内側に引っ込んで形成されている、ことを特徴とする光量調節装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、羽根部材の接合層により、羽根部材の動作が不安定になることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る光量調節装置の構成を示す正面図。
図2】羽根部材の本体層を構成する要素を示す正面図。
図3】羽根部材の補強層を構成する要素を示す正面図。
図4】羽根部材の補強層を構成する要素を示す正面図。
図5図1の光量調節装置の動作説明図。
図6図1の光量調節装置の部分断面図。
図7】本発明の一実施形態に係る光量調節装置の構成を示す正面図。
図8図7の光量調節装置の部分断面図。
図9】本発明の一実施形態に係る光量調節装置の構成を示す正面図。
図10図9のI-I線に沿う断面図。
図11図9のII-II線に沿う断面図。
図12】羽根部材の正面図。
図13図12の羽根部材を構成する要素の展開図。
図14】本発明の一実施形態に係る光学機器の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
図1及び図5は本発明の一実施形態に係る光量調節装置Aの構成を示す正面図である。また、図6は光量調節装置Aの部分断面図である。光量調節装置Aは、地板1と、羽根部材Wと、駆動機構DRと、カバー板7とを備える。
【0010】
地板1は、光を通過させる開口部1aを備え、羽根部材Wや駆動機構DRを支持する基板を構成している。本実施形態の場合、開口部1aは地板1の中央に形成された円形の孔である。カバー板7は地板1に対する羽根部材Wの脱落を防止するために、羽根部材Wにおける地板1とは反対側を覆っている。該カバー板7にも、地板1の開口部1aに対応する図示しない開口部が形成されている。
【0011】
羽根部材Wは開口部1aを開閉する方向に変位可能に設けられている。本実施形態の場合、羽根部材Wは回動により開口部1aを開閉する構成であるが、平行移動により開口部1aを開閉する構成であってもよい。
【0012】
羽根部材Wは孔Waを備え、この孔Waに地板1に設けられた支持軸1bが挿通することで、羽根部材Wは開口部1aの中心軸線と直交する方向に回動自在に支持されている。図1は羽根部材Wが開口部1aを開放する位置(開放位置と呼ぶ場合がある)にある場合を図示しており、羽根部材Wはこの開放位置から図5に示す開口部1aと重なる位置(閉鎖位置と呼ぶ場合がある)へ回動可能である。羽根部材Wがシャッタ羽根を構成する場合、閉鎖位置において羽根部材Wは開口部1aを遮光することができる。
【0013】
地板1には、また、羽根部材Wの変位範囲を規制するストッパ1d、1eが設けられている。ストッパ1d、1eは、羽根部材3と当接してその変位を規制し、羽根部材Wはストッパ1dとストッパ1eとの間の領域で回動可能となっている。ストッパ1dにより羽根部材Wの開放位置の規制を行い、ストッパ1eにより羽根部材Wの閉鎖位置の規制を行う。
【0014】
駆動機構DRは、駆動源となるアクチュエータ2と、駆動レバー2bとを備える。アクチュエータ2は例えばステッピングモータである。駆動レバー2bはアクチュエータ2の出力軸2aに固定されている。駆動レバー2bは羽根部材Wに回動力を付勢する駆動軸2cを備える。羽根部材Wは長孔状の溝Wbを備え、この溝Wbに駆動軸2cが挿通する。これにより、アクチュエータ2の作動によって駆動レバー2bが回動すると、駆動軸2cを介して羽根部材Wが回転軸1b回りで回動する。このとき、駆動軸2cは溝Wb内でその長手方向に移動する。
【0015】
羽根部材Wは、本体層3と、補強層5と、接合層6とを備える積層体である。図2は本体層3を構成する要素を示す正面図である。本体層3は、例えば、金属シートや樹脂シートにより形成され、その厚さは例えば、41μmである。本体層3は羽根部材Wの本体(例えば外形)を形成する層であり、開口部1aと重なる部分、孔Waを形成する孔3a、及び、溝Wbを形成する溝3bを備える層である。
【0016】
補強層5は本体層3よりも小さい面積を有し、本体層3を部分的に補強する層である。補強層5は本体層3に比べて、回転軸1b回りの慣性モーメントが小さくなるように、かつ、ストッパ部1d、1e、回転軸1bおよび駆動軸2cとの当接に対する強度が高くなるように形成されている。これにより羽根部材Wの軽量化を図りつつ、その強度も確保することができる。
【0017】
図3は補強層5を構成する要素を示す正面図である。補強層5は、例えば、金属シートや樹脂シートにより形成される。補強層5は、低反射性、滑り性等、本体層3に求められる性質を有していることが好ましいことから、本体層3と同じ材料であることが好ましい。
【0018】
補強層5は、羽根部材Wが光量調整装置Aの他の部分と当接する部位に配設される。他の部分としては、羽根部材Wが当接し得る全ての部分であってもよいし、羽根部材Wが当接し得る一部の部分であってもよい。他の部分のことを被当接部分と呼ぶ場合がある。本実施形態では、被当接部分として、支持軸1b、駆動軸2c、ストッパ1d、1eを想定している。このため、補強層5は、孔Waを形成する孔5a、溝Wbを形成する溝5b、ストッパ1d、1eに当接する周縁部5d、5eを備える。
【0019】
接合層6は本体層3と補強層5との間に介在し、これらを接合する。接合層6は、補強層5を本体層3に固定することができればその材質は特に限定せず、また、基材の有無も問われない。接合層6は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム系の材料を使用することができる。また、本体層3と補強層5の剛性が異なる場合などは、固定した際のソリを防止するために、固化の必要がない粘着剤を使用することが好ましい。例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系の粘着剤を使用することができる。また、両面テープのように、固化の必要がない粘着剤を基材の両面に設けたものであってもよい。
【0020】
本実施形態の場合、接合層6は両面テープのように基材を有するものを想定している。図4は接合層6を構成する要素の正面図である。接合層6は、補強層5と外形を略共通とするが、接合層6は被当接部分と接触しないように形成されている。本実施形態の場合、接合層6の周縁は補強層5の周縁のうち、被当接部分と当接する部分から離れている。
【0021】
具体的には、接合層6は、孔Waを形成する孔6a、溝Wbを形成する溝6bを備えるが、孔6a、溝6bは、仮想線で示す補強層5の孔5a、溝5bよりも大きく形成され、孔6a、溝6bの周縁は孔5a、溝5bの周縁よりも外側に離れている。また、接合層6の外形の周縁6d、6eは、仮想線で示す補強層5の周縁部5d、5eよりも内側に離れている。
【0022】
このため、接合層6が、支持軸1b、駆動軸2c、ストッパ1d、1eと接触して付着することを回避できる。図6を参照して説明すると、同図は羽根部材Wが開放位置にある場合を示している。図6の部分拡大図に示すように、羽根部材Wのうち、補強層5(及び本体層3)はストッパ1dに当接しているが、接合層6はその周縁6dがストッパ1dから離間しており、接合層6がストッパ1dに貼りつくことを防止できる。換言すると、補強層5が邪魔になって接合層6がストッパ1dに接触することができなくなっている。同様に、羽根部材Wのうち、補強層5(及び本体層3)は支持軸1bに当接しているが、接合層6は孔6aの周縁が支持軸1bから離間しており、接合層6が支持軸1bに貼りつくことを防止できる。図示しないが、駆動軸2cやストッパ1eと接合層6との関係も同様となる。
【0023】
こうして本実施形態では、接合層6が被当接部分に付着して羽根部材Wの動作が不安定になることを抑制することができる。
【0024】
次に、光量調節装置Aの動作について説明する。図1は、羽根部材Wが開口部1aに対して退避する開放位置にて停止している状態を示す。この状態では、本体層3および補強層5の周縁がストッパ部1dに当接し、アクチュエータ2の保持力(例えばステッピングモータのディテントトルク等)で開放位置を維持している。接合層6は、上記のとおり、ストッパ部1dに当接しない。
【0025】
この状態からアクチュエータ2を起動して駆動レバー2bを時計回り方向に回動させると、駆動軸2cが溝Wbを介して羽根部材Wを回転軸1b回りで反時計回り方向に回動させる。羽根部材Wが閉鎖位置に到達すると、羽根部材Wの周縁がストッパ部1eに当接して羽根部材W5の回動を停止させる。接合層6はストッパ部1dに当接しない。
【0026】
なお、図1に示すように、光量調節装置Aを開口部1aを光が通過する方向から見たとき(すなわち、光通過方向視において)、補強層5の面積は本体層3のそれよりも小さく、例えば羽根部材Wの面積の半分以下である。なお、光通過方向視とは、開口部1aの中心軸Oの方向から見たとき(中心軸方向視において)、と言い換えることができる。中心軸Oは、この光量調節装置がカメラや交換レンズ等の光学機器の撮像光学系内に組み込まれた場合には、該光学系の光軸に一致する。
【0027】
このような羽根部材Wの開閉動作の際、本実施形態では、本体層3や補強層5が、ストッパ部1d、1e、回転軸1bおよび駆動軸2cと当接する部分において、接合層6がストッパ部1d、1e、回転軸1bおよび駆動軸2cに接触しない構成である。したがって、接合層6がストッパ部1d、1e、回転軸1bおよび駆動軸2cへの貼りつきを防止できる。これにより、羽根部材Wを駆動する負荷が増加せず、羽根部材Wをより高速駆動可能な量調節装置Aを提供することができる。また、この光量調節装置Aを用いることで、より信頼性の高い光学機器を実現することができる。
【0028】
<第二実施形態>
第一実施形態では、接合層6の構成により、接合層6が被当接部分と接触しない構成としたが、被当接部分を接合層6と接触しないように形成してもよい。図7は本実施形態における光量調節装置Bの正面図、図8は光量調節装置Bの部分断面図である。光量調整装置Bの構成にうち、第一実施形態の光量調節装置Aの構成に相当する構成については同じ符号を付して説明を省略する。以下、異なる構成について説明する。
【0029】
本実施形態の場合、被当接部分には、接合層6との接触を回避する凹部が形成されている。具体的には、ストッパ部1d、1e、回転軸1bおよび駆動軸2cには、それぞれ、凹部1g、1h、1f、2dが形成されている。凹部1f、2dは回転軸1bおよび駆動軸2cの外周面をその軸周りに一周して形成されている。
【0030】
凹部1fを例にとって説明すると、図8の部分拡大図に示すように、凹部1fは、回転軸1bの周面のうち、接合層6と対向する部分に形成されている。凹部1fの幅は接合層6の厚さよりも僅かに大きく形成されている。これにより、本体層3及び補強層5が回転軸1bの周面に当接可能としつつ、接合層6が回転軸1bの周面と接触することを回避できる。
【0031】
本実施形態の場合、接合層6の周縁が本体層3や補強層5の周縁に一致しているが、第一実施形態のように、離間させてもよい。つまり、第一実施形態と第二実施形態とは互いに組み合わせてもよい。
【0032】
<第三実施形態>
羽根部材Wに、接合層6と被当接部分との間に介在して、これらの接触を阻止する接触阻止部を設けてもよい。図9は本実施形態の光量調節装置Cの構成を示す正面図、図10図9のI-I線に沿う断面図、図11図9のII-II線に沿う断面図、図12は羽根部材Wの正面図である。光量調整装置Cの構成にうち、第一実施形態の光量調節装置Aの構成に相当する構成については同じ符号を付して説明を省略する。以下、異なる構成について説明する。
【0033】
本実施形態の羽根部材Wは、補強層が必要最小限の範囲で形成されている。具体的には、羽根部材Wは補強層5c〜5eを備える。補強層5cは、駆動軸2cと羽根部材Wとの当接を補強する。補強層5dはストッパ1dと羽根部材Wとの当接を補強する。補強層5eはストッパ1eと羽根部材Wとの当接を補強する。支持軸1bは本実施形態の場合、羽根部材Wを補強すべき被当接部分としていない。
【0034】
本体層3と補強層5c〜5eとは接合層6で接合され、接合層6の周縁には接触阻止部8c〜8eが配設されている。本実施形態の場合、本体層3と補強層5c〜5eと接触阻止部8c〜8eとは、本体層3を構成する要素(基材)と一体的に形成されている。
【0035】
図13は本体層3を構成する基材3’の展開図である。基材3’は、部分3c〜3eを備える。これらの部分を破線で折り返すことで、図12に示すように、補強層5c〜5eと接触阻止部8c〜8eとが形成される。部分3cは補強層5cと接触阻止部8cとを形成する。部分3dは補強層5dと接触阻止部8dとを形成する。部分3eは補強層5eと接触阻止部8eとを形成する。基材3’を部分的に折り返すだけで、補強層5c〜5eと接触阻止部8c〜8eが形成されるので、比較的簡易に羽根部材Wを作成できる。
【0036】
接合層6は、折り返した部分3c〜3eの内側に形成され、本体層3と補強層5c〜5eとを接合する。接合層6の周縁のうち、被当接部分に沿う部分には、接触阻止部8c〜8eが存在するので、接合層6と被当接部分との接触を回避できる。図10の部分拡大図は、羽根部材Wがストッパ1dに当接した状態を示している。接合層6とストッパ1dの周面との間には接触阻止部8dが介在して、これらの接触を阻止している。図11は接合層6と駆動軸2cの周面との間に接触阻止部8cが介在して、これらの接触を阻止している状態を示している。
【0037】
こうして本実施形態では、接合層6が被当接部分に付着して羽根部材Wの動作が不安定になることを抑制することができる。本実施形態では、本体層3の基材3’により補強層5c〜5eと接触阻止部8c〜8eとを形成する構成としたが、これに限られない。例えば、本体層3と接触阻止部8c〜8eとを同一基材とし、補強層5c〜5eは別基材としてもよい。また、補強層5c〜5eと接触阻止部8c〜8eと同一基材とし、本体層3を別基材としてもよい。また、本体層3と、補強層5c〜5eと、接触阻止部8c〜8eとを全て別基材としてもよい。この場合、接合層6で本体層3と、補強層5c〜5eと、接触阻止部8c〜8eとを接合することが可能である。
【0038】
<第四実施形態>
本発明は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ及び交換レンズ等の光学機器に適用可能であり、これらの光学機器において、本発明の光量調節装置は、例えば、シャッタ、絞り、フィルタ可動機構として利用可能である。
【0039】
一例として、図14は本発明を適用したデジタルスチルカメラ310を模式的に示す。カメラ310は、鏡筒ユニット302を有する。該鏡筒ユニット302内には、撮像光学系の一部として光量調節装置300が組み込まれている。光量調節装置300としては、例えば、上述した光量調節装置A〜Cを採用可能である。
【0040】
光量調節装置300を含む撮像光学系を通った被写体からの光束は、撮像素子303の受光面上に被写体像を形成する。CCDセンサやCMOSセンサ等により構成される撮像素子303は被写体像を光電変換し、該撮像素子303からの出力信号を処理することで画像が生成される。撮像に際して、光量調節装置300が高速で開閉動作(シャッタ動作)することで、高画質の画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
A〜C:光量調節装置、W:羽根部材、1a:開口部、3:本体層、5:補強層、6:接合層、1b:支持軸、2c:駆動軸、1d及び1e:ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14