(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558919
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】画面表示追随型簡易ペアリング
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20190805BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20190805BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
H04Q9/00 301E
H04M11/00 302
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-48899(P2015-48899)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-170235(P2016-170235A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】511043437
【氏名又は名称】株式会社コシダカホールディングス
(72)【発明者】
【氏名】腰▲高▼ 博
【審査官】
冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−213879(JP,A)
【文献】
特開2013−037148(JP,A)
【文献】
特開2014−077928(JP,A)
【文献】
特開2002−196770(JP,A)
【文献】
特開2014−130300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
H04Q 9/00−9/16
H04M 11/00−11/10
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを経由して、特定のカラオケ装置と、このカラオケ装置を操作する特定のリモコン端末装置として動作する利用者の多機能携帯端末とを、対応付けて接続して使用するネットワークカラオケシステムにおいて、
多機能携帯端末とカラオケ装置とはアクセスポイントを介したネットワークで接続され、多機能携帯端末がアクセスポイントに接続されるとカラオケ装置との通信が可能になり、カラオケ装置は表示画面に情報を複数回にわたって表示し、多機能携帯端末は上記情報に対応した入力を複数回にわたって利用者から受け付け、カラオケ装置は上記複数回の入力が正常なものである場合、多機能携帯端末を認証して当該カラオケ装置のリモコン端末とすることを特徴とするネットワークカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の多機能携帯端末をリモコンとして使用するカラオケシステムにおいて、多機能携帯端末とカラオケ装置との接続を速やかに行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のカラオケシステムは、高機能化が著しく、便利になって来ている反面、操作が複雑になってきており、これに伴いリモコンも高機能化してきている。
特にカラオケルームに設置してある専用のリモコンは、ボタン類が多く使い方がよくわからないなどの問題があった。そのため、使い慣れていないとボタン操作に時間がかかって歌う時間が少なくなってしまうことも多かった。
【0003】
一方で、誰もが携帯電話を持つ時代となり、さらにスマートフォン等の普及により、これら携帯電話に各種ソフトウエアを入れて楽しむ人も増えている。スマートフォンのソフトウエア開発環境も充実してきており、開発者も増えてきている。
【0004】
そこで、使い慣れた自分の多機能携帯端末等を使ってカラオケの操作を行いたいという要望が生じてきた。またカラオケの専用リモコンは業務用のため高価なものであり、カラオケ店としても、専用リモコンを設置する必要がなくなれば経費の節約になり、またリモコンの盗難防止、保守といった管理作業もなくなるため店にも喜ばれる。
【0005】
上記のような対応を行った既存のカラオケ装置は、例えばカラオケ室の表示装置にそのカラオケ装置固有の識別情報(二次元コードなど)が表示され、これを多機能携帯端末で撮影することで、そのカラオケ装置固有の識別情報を読み取り、その多機能携帯端末とカラオケ装置を「ペアリング」することにより当該カラオケ装置のリモコンとして使用できるようになるというもの等がある。
【0006】
しかし、上記の手順は利用者にとっては歌唱前の余計な手間であり、面倒に感じられた結果、多機能携帯端末を所持しているにもかかわらず、店の専用リモコンを使うことになってしまう恐れがある。
【0007】
また、上記のような店側の事情からなるべく利用者の多機能携帯端末を使ってほしいという本音があり何らかの対策が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-130300号公報
【特許文献2】特開2005-184039号公報
【特許文献3】特開2015-8454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、カラオケ装置のリモコンとして利用者の多機能携帯端末等を利用する、カラオケネットワークシステムを提供する。利用者のカラオケ利用単位として「セッション」を定義し、カラオケ利用開始時にセッションIDを通知し、終了時にこれを無効化する手段を設ける。利用者のカラオケ利用開始時にセッションIDを含むカラオケ識別情報を利用者の多機能携帯端末等に伝達し、その多機能携帯端末等とカラオケ室にあるカラオケ装置とのペアリングを行うことにより、利用者の多機能携帯端末等がセッション終了までの間、その特定のカラオケ装置のみと通信できるリモコン装置となる。
【0010】
特許文献2は、アクセスポイント、サービス端末、リモコンからなり、リモコンは、赤外線信号にリモコンのIPアドレスを載せて、サービス端末であるカラオケ端末に送る。カラオケ端末は、この赤外線信号から取り出したIPアドレスを用いて、LANおよび無線アクセスポイントを介したリモコンとの通信を行うというものである。
【0011】
特許文献3は、親装置と子装置との間の無線通信におけるペアリングを簡便にするために、リモコン装置を用い、当該リモコン装置より1回目のプッシュボタン押下により認証鍵1を含むペアリング命令を赤外線リモコン信号で子装置に送信する。子装置は受信した認証鍵1に基づいて生成した認証鍵2を無線LANで親装置に送信する。リモコン装置は2回目のプッシュボタン押下により認証鍵3を含むペアリング命令を赤外線リモコン信号で親装置に送信する。親装置は無線LANで受信した認証鍵2と赤外線リモコン信号で受信した認証鍵3を比較し一致すればペアリング承認を無線LANで子装置に送信する。子装置はペアリング承認を受信してペアリングを確立するというものである。
【0012】
特許文献1は本発明の発明者が先に出願したもので、この出願の実施例によると、利用者はカラオケ装置のモニタ画面に表示されたQRコード(登録商標)をカメラで撮影してWEPキーやカラオケ識別情報を入手して、カラオケ装置との間でWifi(登録商標)接続するというものである。しかし上記のようなQRコード(登録商標)を内蔵カメラで撮影するという方法は便利ではあるものの、一刻も早く歌い始めたいという利用者にとってまだ不満であり、できれば撮影等を省略して接続できればもっと使いやすくなる。
【0013】
特許文献2は、リモコンのIPアドレスを赤外線でカラオケ装置に伝えることによってリモコンとカラオケ装置の通信を実現しているが、リモコンとアクセスポイントとの接続に関し認証する仕組みは記述されていない。リモコンがIPアドレスを持っていることから、リモコンとアクセスポイントはすでに接続済みであるという前提である。
【0014】
特許文献3は、カラオケ装置を対象としたものではないが、親装置と子装置の他に赤外線リモコンをもち、鍵発生アルゴリズムと入力された認証鍵から他の鍵を発生させる鍵連鎖のアルゴリズムをリモコンと親装置の双方に持つ必要があり、既存の機能の応用では実現できない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1は、
ネットワークを経由して、特定のカラオケ装置と、このカラオケ装置を操作する特定のリモコン端末装置として動作する利用者の多機能携帯端末とを、対応付けて(ペアリング)接続して使用するネットワークカラオケシステムにおいて、
多機能携帯端末
とカラオケ装置とはアクセスポイントを介したネットワークで接続され、多機能携帯端末がアクセスポイントに接続されるとカラオケ装置との通信が可能になり、カラオケ装置は表示画面に情報を複数回にわたって表示し、多機能携帯端末は上記情報に対応した入力を複数回にわたって利用者から受け付け、カラオケ装置は上記複数回の入力が正常なものである場合、多機能携帯端末を認証して当該カラオケ装置のリモコン端末とすることを特徴とするネットワークカラオケシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】従来技術による簡単接続に係るシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のネットワーク接続イメージが
図1である。利用者のスマートフォン3は、AP1(アクセスポイント)を検出すると、接続確認のダイヤログメッセージを出し確認されると、AP1経由でカラオケ装置2との接続が可能となる。
従来技術でもっとも簡単なケースは
図2の例である。
図2において、カラオケ店のAP1は、認証を必要としない公開されたアクセスポイントのため、特定のアクセスポイント名を発見した場合、ユーザに対し確認のダイアログを出した後、そのまま接続する。
【0018】
この構成の欠点は、無線LANの接続範囲が広い為に、入室したカラオケ利用者以外の誰もが繋がってしまうことである。このため、AP1と繋がった後、カラオケ装置にログインする手順が必要となる。
図2の例ではカラオケ装置2とスマートフォン3との間に何らかの認証が必要になる。
【0019】
この点を改善したのが
図3の実施例である。
図3において
図2と同様、利用者のスマートフォン3はBeaconによりAP1(アクセスポイント)を検出すると、DHCPサーバ4にIPアドレスの発行を要求する。(DHCP Discovery)ここでDHCPサーバ4はIPアドレスをスマートフォン3に送り(DHCP Offer)AP1経由でカラオケ装置2との接続が可能となる。これにより、当該スマートフォン3がカラオケ装置2と通信できるようになる。
その後、カラオケ装置2のモニタ画面に表示された「文字」の入力を促す。これを見た利用者は表示された「文字」を利用者がスマートフォン3に入力し、これがカラオケ装置2で認証されると別の「文字」の入力を促す。これを複数回繰り返して認証が成功すると、正式にネットワークに参加できる。
本実施例では、数字を例としたが、スマートフォンにメニューを指定することで、色指定や画像指定など様々な入力パターンが考えられる。
【0020】
これにより、カラオケ利用者はカラオケ開始の際、簡単な操作で、スマートフォンをカラオケ装置のリモコンとして使用できるようになる。
【符号の説明】
【0021】
1・・・AP(アクセスポイント)
2・・・カラオケ装置
3・・・スマートフォン
4・・・DHCPサーバ