特許第6558932号(P6558932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558932
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】電源コード収納装置を有する電気機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/00 20060101AFI20190805BHJP
   H01R 13/60 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H05K7/00 A
   H01R13/60
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-78367(P2015-78367)
(22)【出願日】2015年4月7日
(65)【公開番号】特開2016-201389(P2016-201389A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】安保 明
【審査官】 酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−175675(JP,U)
【文献】 実開昭52−143679(JP,U)
【文献】 実開平02−072588(JP,U)
【文献】 実開昭52−127215(JP,U)
【文献】 特開平04−267592(JP,A)
【文献】 実開昭60−037281(JP,U)
【文献】 特開2006−005070(JP,A)
【文献】 米国特許第05773757(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0179153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
H01R 13/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コードの巻付け部を備えた可動部材を有し、該可動部材は、その軸線方向に移動可能にハウジング内に収納され、可動部材を移動させることによって、巻付け部に電源コードを巻付け可能に可動部材がハウジングから突出し、その可動部材をハウジング内に移動させることにより、電源コードをハウジング内に収納する電源コード収納装置を備えた電気機器であって、巻付け部に巻き付けられた電源コードのプラグを保持するプラグ保持部が、可動部材の突出側端部に設けられ、可動部材がハウジング内に収納されたときに、電源コードと共にプラグもハウジングに収納可能であり、
電源コード収納装置は、前記可動部材と、外壁部材及びスリーブとから成り、外壁部材は、可動部材がその軸線方向に移動できるための空間部と、その空間部の周囲を覆う周壁と、可動部材をハウジングから突出させるための開口と、その開口と反対側の端部を覆う端壁とを有し、該端壁には、前記空間部に向かって延びるガイド支柱が設けられ、スリーブは、両端が開放された筒状に形成されその内部に挿通孔を有し、その挿通孔に前記ガイド支柱が挿通されて、該ガイド支柱に対し軸線方向に摺動可能であり、可動部材の巻付け部は、筒状に形成されその内部に挿通孔を有し、その挿通孔に前記スリーブが挿通されて、該スリーブに対し軸線方向に摺動可能であり、
巻付け部を電源コード巻付け可能にハウジングから引き出した状態において、ガイド支柱がスリーブに部分的に内接し、スリーブが巻付け部に部分的に内接して、可動部材が、スリーブを介してガイド支柱に連結され、
電源コード巻付け可能状態から、可動部材をハウジングの内部方向に一杯に移動させたときに、スリーブが移動してガイド支柱の外周面全体がスリーブに内接し、且つスリーブの外周面全体が可動部材に内接することにより、可動部材、電気コード及びプラグがハウジング内に収納されることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
保持されたプラグのプラグブレードの延びる方向が、巻付け部の軸線方向に対して垂直をなす請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
プラグが扁平に形成され、その扁平面が、巻付け部の軸線方向に対して垂直をなすようにプラグが保持される請求項2記載の電気機器。
【請求項4】
プラグがプラグ保持部に保持されたときに、プラグブレードがプラグ保持部の外周よりも外側に突出するようにプラグ保持部が形成され、可動部材がハウジング内に収納されたときに、プラグブレードを受ける凹所がハウジングに形成されている請求項2又は請求項3記載の電気機器。
【請求項5】
電気コード及びプラグがハウジングの表面から突出しないようにハウジング内に収納することができる請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の電気機器。
【請求項6】
電源コード収納装置は、電気機器本体とは独立した装置として構成され、電気機器本体に一体的に固定される請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドミキサーなどの電気機器であって、電源コードを電気機器本体に収納するための収納装置を備えた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電源コードを筒状の巻付け部に巻き付けて本体内に収納する電気機器が、特許文献1の図4に示されている。この電気機器では、巻付け部に巻き付けた電源コードのプラグを留め置く手段を有していない。したがって、本体に収納された電源コードの巻付けが緩みやすく、電気機器を移動させるときなどに、固定されていないプラグが揺れ動くことによって巻付けが徐々にほどける虞がある。また、前記図4の巻付け部の端部に取り付けられた止め板は、本体の中に収納できない構成であり、プラグとそのプラグを接続している電源コード端部も本体の中に収納できない構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4288208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電源コード収納装置の巻付け部に巻き付けた電源コードの巻付け状態を確実に維持することができると共に、電源コードやそれに取り付けられているプラグも電気機器の本体内に収納可能とすることもできる電気機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、電源コードの巻付け部を備えた可動部材を有し、該可動部材は、その軸線方向に移動可能にハウジング内に収納され、可動部材を移動させることによって、巻付け部に電源コードを巻付け可能に可動部材がハウジングから突出し、その可動部材をハウジング内に移動させることにより、電源コードをハウジング内に収納する電源コード収納装置を備えた電気機器であって、巻付け部に巻き付けられた電源コードのプラグを保持するプラグ保持部が、可動部材の突出側端部に設けられ、可動部材がハウジング内に収納されたときに、電源コードと共にプラグもハウジングに収納可能であり、電源コード収納装置は、前記可動部材と、外壁部材及びスリーブとから成り、外壁部材は、可動部材がその軸線方向に移動できるための空間部と、その空間部の周囲を覆う周壁と、可動部材をハウジングから突出させるための開口と、その開口と反対側の端部を覆う端壁とを有し、該端壁には、前記空間部に向かって延びるガイド支柱が設けられ、スリーブは、両端が開放された筒状に形成されその内部に挿通孔を有し、その挿通孔に前記ガイド支柱が挿通されて、該ガイド支柱に対し軸線方向に摺動可能であり、可動部材の巻付け部は、筒状に形成されその内部に挿通孔を有し、その挿通孔に前記スリーブが挿通されて、該スリーブに対し軸線方向に摺動可能であり、巻付け部を電源コード巻付け可能にハウジングから引き出した状態において、ガイド支柱がスリーブに部分的に内接し、スリーブが巻付け部に部分的に内接して、可動部材が、スリーブを介してガイド支柱に連結され、電源コード巻付け可能状態から、可動部材をハウジングの内部方向に一杯に移動させたときに、スリーブが移動してガイド支柱の外周面全体がスリーブに内接し、且つスリーブの外周面全体が可動部材に内接することにより、可動部材、電気コード及びプラグがハウジング内に収納される構成である。
【0006】
請求項2記載の発明は、保持されたプラグのプラグブレードの延びる方向が、巻付け部の軸線方向に対して垂直をなす構成である。
【0007】
請求項3記載の発明は、プラグが扁平に形成され、その扁平面が、巻付け部の軸線方向に対して垂直をなすようにプラグが保持される構成である。また、請求項4記載の発明は、プラグがプラグ保持部に保持されたときに、プラグブレードがプラグ保持部の外周よりも外側に突出するようにプラグ保持部が形成され、可動部材がハウジング内に収納されたときに、プラグブレードを受ける凹所がハウジングに形成されている構成である。さらに、請求項5記載の発明は、電気コード及びプラグがハウジングの表面から突出しないようにハウジング内に収納することができる構成である。
【0008】
請求項6記載の発明は、電源コード収納装置が、電気機器本体とは独立した装置として構成され、電気機器本体に一体的に固定される構成である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、巻付け部に巻き付けられた電源コードのプラグを保持するプラグ保持部が、可動部材に設けられている。したがって、プラグ保持部にプラグが保持されることにより、巻き付けられた電源コードの巻付けが緩むことを防止することができる。また、プラグ保持部が可動部材に設けられているので、可動部材の移動中に、巻き付けられている電源コードとプラグとが一緒に移動する。すなわち、プラグが本体に保持されていないので、移動中に電源コードがプラグを引っ張ることがなく、プラグが外れることがないのである。
【0010】
請求項2記載の発明は、保持されたプラグのプラグブレードの延びる方向が、巻付け部の軸線方向に対して垂直をなすので、プラグブレードが本体から外に向かって突出することがなく、邪魔にならず安全である。
【0011】
請求項3記載の発明は、プラグが扁平に形成され、その扁平面が、巻付け部の軸線方向に対して垂直をなすようにプラグが保持される。したがって、プラグが電気機器本体から大きく突出することがなく、プラグを本体内に完全に収納する場合でも、可動部材の移動範囲を少なくすることができる。また、請求項4記載の発明は、プラグがプラグ保持部に保持されたときに、プラグブレードがプラグ保持部の外周よりも外側に突出するようにプラグ保持部が形成されているので、プラグ保持部の大きさをプラグの全長よりも小さくすることができる。また、可動部材がハウジング内に収納されたときに、プラグブレードを受ける凹所がハウジングに形成されているので、電源コードと共にプラグもハウジングに収納することができる。さらに、請求項5記載の発明は、電気コード及びプラグがハウジングの表面から突出しないようにハウジング内に収納することができる構成である。したがって、電気コード及びプラグが収納されると邪魔にならない。また、電気コードが収納された面を底面として、電気機器を調理台などの上に立て置くことが可能となる。
【0012】
請求項6記載の発明は、電源コード収納装置が、電気機器本体とは独立した装置として構成され、電気機器本体に一体的に固定される。したがって、電源コード収納装置を独立した工程によって別体のものとして製造することにより、電気機器を組み立てる工程の最終段階でハウジングを組み立てる際に、電源コード収納装置をハウジングと一体的になるように簡単に組み込ませることができる。これにより、電源コード収納装置を電気機器本体に配備する工程を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の斜視図である。
図2図2は本発明の断面図である。
図3図3は電源コード収納装置の斜視図である。
図4図4は電源コード収納装置の分解図である。
図5図5は電源コード収納装置の外壁部材の斜視図である。
図6図6は電源コード収納装置の外壁部材の断面図である。
図7図7は電源コード収納装置のスリーブの断面図である。
図8図8は電源コード収納装置の可動部材の断面図である。
図9図9は可動部材の巻付け部が電源コード巻付け可能に引き出された状態を示す断面図である。
図10図10は可動部材の巻付け部までが収納された状態を示す断面図である。
図11図11は可動部材全体が電源コード収納装置に収納された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の電気機器はハンドミキサー1である。図2に示すように、ハンドミキサー1のハウジング2の中に電源コード収納装置3が取り付けられている。なお、ハウジング2の内部機構については省略されている。図4に示すように、電源コード収納装置3は、外壁部材4、スリーブ5、可動部材6とから成り、可動部材6は、巻付け部7とプラグ保持部8とで構成されている。そして、図3に示すように、電源コード収納装置3は、独立した装置として組み立てられている。図1に示すように、本実施形態のハンドミキサー1は、電源コード収納装置3がスイッチ52などの操作部から離れた位置に設けられているので、電源コードなどが操作部の操作の邪魔にならない。
【0015】
外壁部材4は、可動部材6がその巻付け部7の軸線方向に移動できるための空間部9と、その空間部9の周囲を覆う周壁10と、可動部材6をハウジング2から突出させるための開口11と、その開口11と反対側の端部を覆う端壁12とを有している。周壁10は円筒形に形成されているが、開口11に沿った周壁の一部を外側に大きく膨出させた膨出周壁18が形成され、その膨出周壁18で囲まれた空間部の前記端壁12側の面を壁13で塞ぐことにより、凹所14が形成されている。また、端壁12の中央から空間部9に向かって延びる筒状のガイド支柱15が端壁12に設けられている。ガイド支柱15の断面の外形はほぼ正六角形をなしている。この正六角形は、図4に示すように、対向する一対の辺が上下に来るように形成されている。そのため、ガイド支柱15は上面部16と下面部17を有する。そして、図6に示すように、ガイド支柱15の上面部16と下面部17の端部外面にはそれぞれ突部20,21が設けられている。これらの突部20,21は、後述するようにガイド支柱15に摺動可能に嵌められたスリーブ5の逸脱を防止するためのものである。なお、周壁10には溝19が形成されているが、これは、電源コード24を通すためのものである。すなわち、ハウジング2の、前記溝19と同じ位置に、その溝19と上下幅が等しく溝19よりもやや深い溝(図示せず。)が形成されている。そして、その深い溝の奥部に設けられた孔を通って、電源コード24が外に延びている。電源コード24を巻付け部7に巻き付けるときは、外に延びている電源コード24を、そのハウジング2の深い溝と周壁10の溝19を通して巻付け部7の方向に引っ張ってから巻き付ける。
【0016】
スリーブ5は筒状に形成されて挿通孔42を有している。スリーブ5の断面の外形はほぼ正六角形をなし、ガイド支柱15の断面の外形と同様に、対向する一対の辺が上下に来るように形成されている。挿通孔42の断面も同様に、対向する一対の辺が上下に来る正六角形をなしている。スリーブ5も、ガイド支柱15と同様に上面部22と下面部23を有している。スリーブ5の挿通孔42にガイド支柱15を挿通させることにより、スリーブ5はガイド支柱15に取り付けられ、ガイド支柱15上を摺動することができる。スリーブ5の挿通孔42の断面がほぼ正六角形で、それに内接するガイド支柱15の断面の外形もほぼ正六角形であるから、スリーブ5はガイド支柱15に対して軸線を中心に回転しない。図7に示すように、スリーブ5の上面部22と下面部23のプラグ保持部8側の端部外面にそれぞれ突部25,26が設けられている。また、その上面部22と下面部23の端壁12側の端部付近内面にそれぞれ段差部27,28が設けられている。スリーブ5がガイド支柱15上を摺動するときに、その段差部27,28が、ガイド支柱15の突部20,21に係止することにより、スリーブ5がガイド支柱15から逸脱しないのである。
【0017】
前述したように、可動部材6は、巻付け部7とプラグ保持部8とで構成されている。巻付け部7は筒状に形成され、巻付け部7の突出方向側の端部に小径フランジ29が設けられ、収納方向側の端部に大径フランジ30が設けられている。突出方向側のフランジを小径フランジとしたのは、図1に示した電源コード24の巻付け状態から、プラグ37を持って電源コード24を引き出すときに、電源コード24が小径フランジ29に引っ掛からないようにするためである。小径フランジ29の周囲の全周に亘って段差部36が設けられており、この段差部36に、プラグ保持部8の外壁46の端部47の内面が嵌合し且つ超音波で溶着され、プラグ保持部8は、小径フランジ29に結合されている。さらに、小径フランジ29には一対の嵌合突部48,48が設けられており、これにより、プラグ保持部8が上下逆に小径フランジ29に取り付けられようとしたときに、嵌合突部48,48が干渉して取付けを規制するので、上下逆に取り付けられることがない。図1に示すように、プラグ保持部8には、扁平なプラグ37をプラグブレード38が上向きの状態で両側から挟むように嵌合させるための嵌合溝39が形成されている。嵌合溝39の両側内面にそれぞれ指入れ凹部49、49が設けられている。この指入れ凹部49,49に例えば親指と人差し指を入れることにより、嵌合されているプラグ37を容易に抜くことができる。プラグ37の嵌合を確実にするために、プラグ37の樹脂部分はやや弾性を有するものが好ましい。また、その嵌合溝39で分割されたプラグ保持部8の端面40、40は面一である。嵌合溝39は、扁平なプラグ37を保持したときに、プラグ37が端面40,40から突出しないだけの深さを有している。したがって、可動部材6を完全に収納すれば、プラグ37を底にしてハンドミキサーを置いたときに、プラグ37が突出しないので、安定した状態で置くことができる。端面40,40の外周に沿って幅の狭いフランジ41,41が形成されており、収納されている可動部材6を引き出すときの指掛けとすることができるので、可動部材6を容易に引き出すことができる。
【0018】
可動部材6の巻付け部7は筒状に形成され、挿通孔31を有している。挿通孔31の突出方向側の端部は、プラグ保持部8によって塞がれている。筒状巻付け部7の断面の外形は円形であって、挿通孔31の断面はほぼ正六角形をなし、スリーブ5の断面の外形と同様に、対向する一対の辺が上下に来るように形成されている。巻付け部7にこのような挿通孔31が形成されることにより、巻付け部7は上面部32と下面部33を有している。図8に示すように、上面部32と下面部33の収納側寄りの内面に段差部34,35が設けられている。挿通孔31にはガイド支柱15に取り付けられているスリーブ5が摺動可能に挿通されている。すなわち、可動部材6は、スリーブ5を介してガイド支柱15に連結されている。可動部材6の挿通孔31の断面が正六角形をなし、スリーブ5の断面の外形が正六角形をなしているから、可動部材6はスリーブ5に対して軸線を中心に回転しない。スリーブ5と可動部材6が、外壁部材4の開口11から最も突出するように引き出されときに、前述したように、スリーブ5は、その段差部27,28が、ガイド支柱15の突部20,21に係止する。そして、可動部材6の段差部34,35が、スリーブ5の突部25,26に係止することにより、可動部材6がスリーブ5から逸脱しないのである。なお、可動部材6を着脱可能とすれば、電源コード24を巻き付けるときに、取り外した可動部材6のプラグ保持部8にプラグ37を嵌め、可動部材6を回しながら電源コード24を巻き付け、巻付けが完了したときに再度可動部材6を取り付けることができる。
【0019】
図2に示すように、外壁部材4の中にスリーブ5と可動部材6が組み込まれた電源コード収納装置3は、ハウジング2の中に嵌め込まれている。また、図1又は図2に示すように、外壁部材4の外周縁部43は、ハウジング2の表面と面一である。図9は、可動部材6の巻付け部7が電源コードを巻付け可能に引き出された状態を示す断面図であり、この状態から、プラグ保持部8を収納方向に押して巻付け部7までを外壁部材4の中に収納した状態が図10に示されている。この図10から明らかなように、可動部材6は収納方向へ移動しているが、スリーブ5は移動していない。これは、ガイド支柱15とスリーブ5との摺動摩擦よりも、スリーブ5と可動部材6との摺動摩擦の方が小さいので、可動部材6を最も突出させた状態から、プラグ保持部8を押して可動部材6を収納するときに、最初に可動部材6のみが移動し、移動の途中までスリーブ5は移動しないのである。ここからさらにプラグ保持部8を押して可動部材6を移動させると、可動部材6の挿通孔31の突出方向側の端部を塞いでいるプラグ保持部8によってスリーブ5が押されて収納方向側に移動する。そして、最終的に、図11に示す可動部材6の収納状態となる。この図から明らかなように、電源コードを全部引き出した状態で可動部材6のみを収納してハンドミキサーを使用することができる。また、図11の状態は、可動部材6の巻付け部7に巻き付けられた電源コード24がハウジング2内に収納される状態でもある。なお、ガイド支柱15とスリーブ5との摺動摩擦よりも、スリーブ5と可動部材6との摺動摩擦の方を大きくしたときは、最初に可動部材6とスリーブ5が一緒に移動するが、このような構成であっても差し支えない。次に、可動部材6が図11に示すように、外壁部材4の中に完全に収納されたときに、その可動部材6が外壁部材4から自然に抜け出すことを防止する構成について説明する。図4及び図8に示すように、巻付け部7の大径フランジ30の上端に突片44が設けられている。そして、図8に示すように、突片44の端部上面に山形の小突起50が設けられている。図5に示すように、外壁部材4の端壁12の上端に凹部45が形成されている。そして、その凹部45の上側に突部51が突出している。可動部材6が完全に収納されたときは、図11で示すように、大径フランジ30に設けられた突片44が、外壁部材4の凹部45から端壁12を越えて突出し、突片44の小突起50が、外壁部材4の突部51の端部に係止して可動部材6が外壁部材4から抜け出すことを規制するのである。図10に示すように、突片44が外壁部材4の中にあるときは、突片44が外壁部材4の周壁10に圧接して突片44は撓んだ状態であるが、突片44の小突起50が露出したときに、突片44は撓まない状態に戻り、そのときに係止するのである。
【0020】
なお、本発明は前述した構成に基づいて種々の態様をとることが可能である。例えば、電気機器はハンドミキサーに限定されるものでなく、ヘアドライヤーや電気アイロンなどの電源コードを有する多くの電気機器に適用できる。また、本発明は、可動部材6にプラグ保持部8を設けてプラグ37を固定することにより、可動部材6の巻付け部7に巻き付けた電源コード24の巻付け状態を確実に維持することも目的とするものであり、巻き付けた電源コード24がハウジング2内に完全に収納されず、一部が収納されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
可動部材6の巻付け部7に巻き付けられた電源コード24のプラグ37を保持するプラグ保持部8を、可動部材6に設けることにより、収納された電源コード24の巻付け状態を確実に維持することができる電気機器とすることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 ハンドミキサー、 2 ハウジング、 3 電源コード収納装置、 4 外壁部材、 5 スリーブ、 6 可動部材、 7 巻付け部、 8 プラグ保持部、 9 空間部、 10 周壁、 11 開口、 12 端壁、 13 壁、 14 凹所、 15 ガイド支柱、 16 上面部、 17 下面部、 18 膨出周壁、 19 溝、 20 突部、 21 突部、 22 上面部、 23 下面部、 24 電源コード、 25 突部、 26 突部、 27 段差部、 28 段差部、 29 小径フランジ、 30 大径フランジ、 31 挿通孔、 32 上面部、 33 下面部、 34 段差部、 35 段差部、 36 段差部、 37 プラグ、 38 プラグブレード、 39 嵌合溝、 40 端面、 41 フランジ、 42 挿通孔、 43 外周縁部、 44 突片、 45 凹部、 46 プラグ保持部の外壁、 47 端部、 48 嵌合突部、 49 指入れ凹部、 50 小突起、 51 突部、 52 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11