特許第6558977号(P6558977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558977
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   H02M3/155 P
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-126935(P2015-126935)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-11931(P2017-11931A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 洋祐
【審査官】 小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−165570(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/078910(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力トランジスタと同期整流トランジスタをオン/オフさせて出力インダクタを駆動することにより入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力回路と、
前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧と所定の基準電圧との差分に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプと、
スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成回路と、
前記誤差電圧と前記スロープ電圧を比較して比較信号を生成するPWM[pulse width modulation]コンパレータと、
前記比較信号の入力を受けてパルス幅変調信号を生成する論理回路と、
前記パルス幅変調信号の入力を受けて前記スイッチング出力回路の駆動信号を生成するスイッチ駆動回路と、
前記出力インダクタに流れるインダクタ電流の逆流を検出して前記同期整流トランジスタを強制的にオフさせる逆流検出回路と、
を有し、
前記スロープ電圧生成回路は、前記出力トランジスタのオン期間中には前記スロープ電圧をリセットレベルから前記入力電圧に応じた傾きで上昇させ、前記出力トランジスタのオフ期間中には少なくともその一部の期間において前記スロープ電圧を前記リセットレベルではなく前記出力電圧に応じたオフセットレベルに維持することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記スロープ電圧生成回路は、
前記入力電圧に応じた第1電流をキャパシタに流して前記スロープ電圧を生成する充放電部と、
前記出力電圧に応じた第2電流を抵抗に流して前記スロープ電圧にオフセットを与えるオフセット部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記充放電部は、
電源端と前記スロープ電圧の出力端との間に接続されて前記入力電圧に応じた第1電流を生成する第1電流源と、
第1端が前記スロープ電圧の出力端に接続されたキャパシタと、
前記電源端と前記第1電流源との間に接続された第1スイッチと、
前記キャパシタの両端間に接続された第2スイッチと、
を含み、
前記オフセット部は、
第1端が前記キャパシタの第2端に接続されて第2端がバイアス電圧の印加端に接続された抵抗と、
前記電源端と前記抵抗の第1端との間に接続されて前記出力電圧に応じた第2電流を生成する第2電流源と、
前記抵抗の両端間に接続された第3スイッチと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第1スイッチは、前記出力トランジスタのオン期間中にオンされて前記出力トランジスタのオフ期間中にオフされ、前記第2スイッチは、前記出力トランジスタのオン期間中にオフされて前記出力トランジスタのオフ期間中にオンされることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記第3スイッチは、前記逆流検出回路の検出結果を受けて、前記インダクタ電流の逆流が検出されていないときにオンされて前記インダクタ電流の逆流が検出されているときにオフされることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記オフセット部は、前記抵抗の第1端と接地端との間に接続されて前記第2電流よりも小さい第3電流を生成する第3電流源をさらに含み、
前記第3スイッチは、前記逆流検出回路の検出結果を受けることなく、前記出力トランジスタのオン期間中にオンされて前記出力トランジスタのオフ期間中にオフされることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記エラーアンプ、前記スロープ電圧生成回路、前記PWMコンパレータ、及び、前記論理回路は、いずれも第1半導体装置に集積化されており、前記スイッチング出力回路、前記スイッチ駆動回路、及び、前記逆流検出回路は、いずれも第2半導体装置に集積化されていることを特徴とする請求項6に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記スイッチング出力回路は、降圧型、昇圧型、昇降圧型、若しくは、反転型であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置と、
前記スイッチング電源装置から出力電圧の供給を受けて動作する負荷と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記負荷は、CPU[central processing unit]であることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々なアプリケーションの電源として、PWM[pulse width modulation]駆動方式のスイッチング電源装置が広く一般的に利用されている。
【0003】
PWM駆動方式のスイッチング電源装置は、その電圧帰還ループを形成する回路要素として、一般に、出力電圧またはこれに応じた帰還電圧と所定の基準電圧との差分に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプと、スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成回路と、誤差電圧とスロープ電圧とを比較して出力トランジスタのオフタイミングを決定するPWMコンパレータと、を有する。
【0004】
また、従来のスイッチング電源装置には、軽負荷時におけるインダクタ電流の逆流を検出して同期整流トランジスタを強制的にオフさせる機能(いわゆる逆流遮断機能)を備えたものもある。
【0005】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4721905号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、逆流遮断機能を備えたスイッチング電源装置では、軽負荷時の効率を高めることができる反面、負荷急増時における誤差電圧の変動幅が大きく負荷応答性が悪い(出力電圧が目標値から大きく低下する)という課題があった。
【0008】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者によって見出された上記の課題に鑑み、負荷応答性の高いスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示されているスイッチング電源装置は、出力トランジスタと同期整流トランジスタをオン/オフさせて出力インダクタを駆動することにより入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力回路と、前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧と所定の基準電圧との差分に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプと、スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成回路と、前記誤差電圧と前記スロープ電圧を比較して比較信号を生成するPWMコンパレータと、前記比較信号の入力を受けてパルス幅変調信号を生成する論理回路と、前記パルス幅変調信号の入力を受けて前記スイッチング出力回路の駆動信号を生成するスイッチ駆動回路と、前記出力インダクタに流れるインダクタ電流の逆流を検出して前記同期整流トランジスタを強制的にオフさせる逆流検出回路と、を有し、前記スロープ電圧生成回路は、前記出力トランジスタのオン期間中には前記スロープ電圧をリセットレベルから前記入力電圧に応じた傾きで上昇させ、前記出力トランジスタのオフ期間中には少なくともその一部の期間において前記スロープ電圧を前記リセットレベルではなく前記出力電圧に応じたオフセットレベルに維持する構成(第1の構成)とされている。
【0010】
なお、第1の構成から成るスイッチング電源装置において、前記スロープ電圧生成回路は、前記入力電圧に応じた第1電流をキャパシタに流して前記スロープ電圧を生成する充放電部と、前記出力電圧に応じた第2電流を抵抗に流して前記スロープ電圧にオフセットを与えるオフセット部と、を含む構成(第2の構成)にするとよい。
【0011】
また、第2の構成から成るスイッチング電源装置において、前記充放電部は、電源端と前記スロープ電圧の出力端との間に接続されて前記入力電圧に応じた第1電流を生成する第1電流源と、第1端が前記スロープ電圧の出力端に接続されたキャパシタと、前記電源端と前記第1電流源との間に接続された第1スイッチと、前記キャパシタの両端間に接続された第2スイッチとを含み、前記オフセット部は、第1端が前記キャパシタの第2端に接続されて第2端がバイアス電圧の印加端に接続された抵抗と、前記電源端と前記抵抗の第1端との間に接続されて前記出力電圧に応じた第2電流を生成する第2電流源と、前記抵抗の両端間に接続された第3スイッチとを含む構成(第3の構成)にするとよい。
【0012】
また、第3の構成から成るスイッチング電源装置において、前記第1スイッチは、前記出力トランジスタのオン期間中にオンされて前記出力トランジスタのオフ期間中にオフされ、前記第2スイッチは、前記出力トランジスタのオン期間中にオフされて前記出力トランジスタのオフ期間中にオンされる構成(第4の構成)にするとよい。
【0013】
また、第3または第4の構成から成るスイッチング電源装置において、前記第3スイッチは、前記逆流検出回路の検出結果を受けて、前記インダクタ電流の逆流が検出されていないときにオンされて前記インダクタ電流の逆流が検出されているときにオフされる構成(第5の構成)にするとよい。
【0014】
また、第3または第4の構成から成るスイッチング電源装置において、前記オフセット部は、前記抵抗の第1端と接地端との間に接続されて前記第2電流よりも小さい第3電流を生成する第3電流源をさらに含み、前記第3スイッチは、前記逆流検出回路の検出結果を受けることなく、前記出力トランジスタのオン期間中にオンされて前記出力トランジスタのオフ期間中にオフされる構成(第6の構成)にするとよい。
【0015】
また、第6の構成から成るスイッチング電源装置において、前記エラーアンプ、前記スロープ電圧生成回路、前記PWMコンパレータ、及び、前記論理回路は、いずれも第1半導体装置に集積化されており、前記スイッチング出力回路、前記スイッチ駆動回路、及び前記逆流検出回路は、いずれも第2半導体装置に集積化されている構成(第7の構成)にするとよい。
【0016】
また、第1〜第7いずれかの構成から成るスイッチング電源装置において、前記スイッチング出力回路は、降圧型、昇圧型、昇降圧型、若しくは、反転型である構成(第8の構成)にするとよい。
【0017】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、第1〜第8いずれかの構成から成るスイッチング電源装置と、前記スイッチング電源装置から出力電圧の供給を受けて動作する負荷と、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0018】
なお、第9の構成から成る電子機器において、前記負荷はCPU[central processing unit]である構成(第10の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0019】
本明細書中に開示されているスイッチング電源装置によれば、負荷応答性を高めることができるので、負荷急増時であっても出力電圧を目標値に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】スイッチング電源装置の一構成例を示すブロック図
図2】パルス幅変調制御の一例を示すタイミングチャート
図3】逆流遮断動作の一例を示すタイミングチャート
図4】負荷急増時における出力変動の第1例を示すタイミングチャート
図5】オフセット機能を備えたスロープ電圧生成回路の入出力例を示すブロック図
図6】スロープ電圧生成回路の第1構成例を示す回路図
図7】負荷急増時における出力変動の第2例を示すタイミングチャート
図8】スロープ電圧生成回路の第2構成例を示す回路図
図9】半導体装置の分割バリエーションを示すテーブル
図10】スロープ電圧生成回路の第3構成例を示す回路図
図11】負荷急増時における出力変動の第3例を示すタイミングチャート
図12】動作原理説明用のタイミングチャート(軽負荷時:オフセットなし)
図13】動作原理説明用のタイミングチャート(軽負荷時:オフセットあり)
図14】スイッチング電源装置を搭載したデスクトップパソコンの外観図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<スイッチング電源装置>
図1は、スイッチング電源装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例のスイッチング電源装置100は、入力電圧Viから所望の出力電圧Voを生成して不図示の負荷(CPUなど)に供給するPWM駆動方式のDC/DCコンバータであり、スイッチング出力回路110と、帰還電圧生成回路120と、エラーアンプ130と、位相補償フィルタ140と、クロック信号生成回路150と、スロープ電圧生成回路160と、PWMコンパレータ170と、論理回路180と、スイッチ駆動回路190と、逆流検出回路Yとを有する。なお、スイッチング電源装置100には、上記した回路要素のほか、その他の保護回路(低入力誤動作防止回路や温度保護回路など)を適宜組み込んでも構わない。
【0022】
スイッチング出力回路110は、入力電圧Viを降圧して所望の出力電圧Voを生成する降圧型のスイッチング出力段であり、出力トランジスタ111と、同期整流トランジスタ112と、出力インダクタ113と、出力キャパシタ114と、を含む。
【0023】
出力トランジスタ111は、スイッチング出力段の上側スイッチとして機能するPMOSFET[P channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]である。出力トランジスタ111のソースは、入力電圧Viの印加端に接続されている。出力トランジスタ111のドレインは、出力インダクタ113の第1端に接続されている。出力トランジスタ111のゲートは、上側ゲート信号G1の印加端に接続されている。出力トランジスタ111は、上側ゲート信号G1がハイレベルであるときにオフし、上側ゲート信号G1がローレベルであるときにオンする。
【0024】
同期整流トランジスタ112は、スイッチング出力段の下側スイッチとして機能するNMOSFET[N channel type MOSFET]である。同期整流トランジスタ112のソースは、接地端(接地電圧GNDの印加端)に接続されている。同期整流トランジスタ112のドレインは、出力インダクタ113の第1端に接続されている。同期整流トランジスタ112のゲートは、下側ゲート信号G2の印加端に接続されている。同期整流トランジスタ112は、下側ゲート信号G2がハイレベルであるときにオンし、下側ゲート信号G2がローレベルであるときにオフする。
【0025】
出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112は、上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2に応じて相補的にオン/オフされる。このようなオン/オフ動作により、出力インダクタ113の第1端には、入力電圧Viと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される矩形波状のスイッチ電圧Vswが生成される。なお、上記した「相補的」という文言は、出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112のオン/オフ状態が完全に逆転している場合だけでなく、両トランジスタの同時オフ期間(デッドタイム)が設けられている場合も含む。
【0026】
出力インダクタ113と出力キャパシタ114は、スイッチ電圧Vswを整流ないし平滑して出力電圧Voを生成するLCフィルタを形成する。出力インダクタ113の第1端は、スイッチ電圧Vswの印加端に接続されている。出力インダクタ113の第2端と出力キャパシタ114の第1端は、いずれも出力電圧Voの印加端に接続されている。出力キャパシタ114の第2端は、接地端に接続されている。
【0027】
なお、スイッチング出力回路110の出力形式については、上記の降圧型に限らず、昇圧型、昇降圧型、並びに、反転型のいずれであっても構わない。また、スイッチング出力回路110の整流方式についても、上記の同期整流方式に限らず、同期整流トランジスタ112に代えて整流ダイオードを用いたダイオード整流方式を採用してもよい。
【0028】
また、スイッチング出力回路110に対して高電圧が印加される場合には、出力トランジスタ111や同期整流トランジスタ112として、それぞれ、パワーMOSFET、IGBT[insulated gate bipolar transistor]、及び、SiCトランジスタなどの高耐圧素子を用いるとよい。
【0029】
帰還電圧生成回路120は、出力電圧Voの印加端と接地端との間に直列接続された抵抗121及び122を含み、両抵抗間の接続ノードから出力電圧Voに応じた帰還電圧Vfb(出力電圧Voの分圧電圧)を出力する。なお、出力電圧Voがエラーアンプ130の入力ダイナミックレンジ内に収まっている場合には、帰還電圧生成回路120を省略して出力電圧Voをエラーアンプ130に直接入力しても構わない。
【0030】
エラーアンプ130は、反転入力端(−)に印加される帰還電圧Vfbと非反転入力端(+)に印加される基準電圧Vrefとの差分に応じた誤差電圧V1を生成する。誤差電圧V1は、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときに上昇し、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときに低下する。
【0031】
位相補償フィルタ140は、誤差電圧V1の印加端と接地端との間に直列接続された抵抗141とキャパシタ142を含み、誤差電圧V1の位相を補償してエラーアンプ130の発振を防止する。
【0032】
クロック信号生成回路150は、所定のスイッチング周波数fsw(=1/T)でパルス駆動されるクロック信号S1を生成する。
【0033】
スロープ電圧生成回路160は、クロック信号S1と比較信号S2の入力を受けて三角波状、鋸波状、若しくは、n次スロープ波状(例えばn=2)のスロープ電圧V2を生成する。スロープ電圧V2は、例えば、クロック信号S1の立下りエッジをトリガとして上昇を開始し、比較信号S2の立上りエッジをトリガとしてリセットレベル(バイアス電圧Vb)に立ち下げられる。
【0034】
PWMコンパレータ170は、反転入力端(−)に印加される誤差電圧V1と非反転入力端(+)に印加されるスロープ電圧V2とを比較して比較信号S2を生成する。比較信号S2は、スロープ電圧V2が誤差電圧V1よりも低いときにローレベルとなり、スロープ電圧V2が誤差電圧V1よりも高いときにハイレベルとなる。
【0035】
論理回路180は、セット端(S)に入力されるクロック信号S1とリセット端(R)に入力される比較信号S2に応じてパルス幅変調信号S3(以下PWM信号S3と呼ぶ)を生成するRSフリップフロップである。PWM信号S3は、例えば、クロック信号S1の立下りエッジでハイレベルにセットされ、比較信号S2の立上りエッジでローレベルにリセットされる。
【0036】
スイッチ駆動回路190は、PWM信号S3の入力を受けて上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2(スイッチング出力回路110の駆動信号に相当)を生成する。上側ゲート信号G1と下側ゲート信号G2は、基本的に、PWM信号S3がハイレベルであるときにローレベルとなり、PWM信号S3がローレベルであるときにハイレベルとなる。
【0037】
逆流検出回路Yは、インダクタ電流ILの逆流(出力インダクタ113から同期整流トランジスタ112を介して接地端に流れるインダクタ電流IL)を監視して逆流検出信号S4を生成する。逆流検出信号S4は、インダクタ電流ILの逆流が検出された時点でハイレベル(逆流検出時の論理レベル)にラッチされ、次周期における上側ゲート信号G1の立上りエッジでローレベル(逆流未検出時の論理レベル)にリセットされる。なお、インダクタ電流ILの逆流を監視する手法としては、例えば、同期整流トランジスタ112のオン期間中にスイッチ電圧Vswが負から正に切り替わるゼロクロスポイントを検出すればよい。スイッチ駆動回路190は、逆流検出信号S4がハイレベルであるときには、PWM信号S3に依ることなく同期整流トランジスタ112を強制的にオフするように下側ゲート信号G2を生成する。
【0038】
<パルス幅変調制御>
図2は、パルス幅変調制御の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、クロック信号S1、誤差電圧V1及びスロープ電圧V2、比較信号S2、並びに、PWM信号S3が描写されている。なお、本図では、PWMコンパレータ170に何ら内部遅延のない理想状態での挙動が描写されている。
【0039】
時刻t11において、クロック信号S1がローレベルに立ち下げられると、PWM信号S3がハイレベルにセットされる。その結果、スイッチング出力回路110の出力トランジスタ111がオンとなり、同期整流トランジスタ112がオフとなる。また、時刻t11において、クロック信号S1がローレベルに立ち下げられると、スロープ電圧V2が所定の傾きを持って上昇し始める。
【0040】
時刻t12において、スロープ電圧V2が誤差電圧V1よりも高くなり、比較信号S2がハイレベルに立ち上げられると、PWM信号S3がローレベルにリセットされる。その結果、スイッチング出力回路110の出力トランジスタ111がオフとなり、同期整流トランジスタ112がオンとなる。また、時刻t12において比較信号S2がハイレベルに立ち上げられると、スロープ電圧V2が速やかに放電される。
【0041】
上記のパルス幅変調制御により、PWM信号S3のハイレベル期間Ton1(出力トランジスタ111のオン期間)は、誤差電圧V1が高いほど長くなり、誤差電圧V1が低いほど短くなる。すなわち、PWM信号S3のデューティD(=Ton/T)は、誤差電圧V1が高いほど大きくなり、誤差電圧V1が低いほど小さくなる。
【0042】
なお、クロック信号S1が再びハイレベルに立ち上げられる時刻t13以降も、上記と同様のパルス幅変調制御が繰り返されることにより、スイッチング出力回路110の出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112が周期的にオン/オフされて出力インダクタ113が駆動されることにより所望の出力電圧Voが生成される。
【0043】
<逆流遮断動作>
図3は、逆流検出回路Yによる軽負荷時の省電力動作(逆流遮断動作)を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、上側ゲート信号G1、下側ゲート信号G2、逆流検出信号S4、インダクタ電流IL、及び、スイッチ電圧Vswが描写されている。
【0044】
時刻t21〜t22では、上側ゲート信号G1がハイレベルとされており、下側ゲート信号G2がローレベルとされているので、出力トランジスタ111がオンとなり、同期整流トランジスタ112がオフとなる。従って、時刻t21〜t22では、スイッチ電圧Vswがほぼ入力電圧Viまで上昇し、インダクタ電流ILが増大していく。
【0045】
時刻t22において、上側ゲート信号G1がローレベルに立ち下げられ、下側ゲート信号G2がハイレベルに立ち上げられると、出力トランジスタ111がオフとなり、同期整流トランジスタ112がオンとなる。従って、スイッチ電圧Vswが負電圧(=GND−IL×RON(=同期整流トランジスタ112のオン抵抗値))まで低下し、インダクタ電流ILが減少に転じる。
【0046】
ここで、負荷に流れる出力電流Ioが十分に大きい重負荷時には、出力インダクタ113に蓄えられているエネルギが大きいので、上側ゲート信号G1が再びハイレベルに立ち上げられる時刻t24まで、インダクタ電流ILはゼロ値を下回ることなく負荷に向けて流れ続け、スイッチ電圧Vswは負電圧に維持される。一方、負荷に流れる出力電流Ioが小さい軽負荷時には、出力インダクタ113に蓄えられているエネルギが少ないので、時刻t23において、インダクタ電流ILがゼロ値を下回り、同期整流トランジスタ112への逆流が発生してスイッチ電圧Vswの極性が負から正に切り替わる。このような状態では、出力キャパシタ114に蓄えられた電荷を接地端に捨てていることになるので、軽負荷時における効率低下の原因となる。
【0047】
そこで、スイッチング電源装置100は、逆流検出回路Yを用いてインダクタ電流ILの逆流(スイッチ電圧Vswの極性反転)を検出し、逆流検出信号S4のハイレベル期間(時刻t23〜t24)に同期整流トランジスタ112を強制的にオフさせる構成とされている。このような構成とすることにより、インダクタ電流ILの逆流を速やかに遮断することができるので、軽負荷時における効率低下を解消することが可能となる。
【0048】
しかしながら、上記の逆流遮断機能を備えたスイッチング電源装置100では、負荷急増時における出力電圧Voの低下量が大きくなる。以下では、逆流検出回路Yの導入に伴う負荷応答性の悪化原因について説明を行い、次いで、これを解消することのできるスロープ電圧生成回路160の構成及び動作について詳細に説明する。
【0049】
<負荷応答性の悪化原因>
図4は、負荷急増時における出力変動の第1例(スロープ電圧生成回路160が後述のオフセット機能を備えていない場合の挙動)を示すタイミングチャートであり、上から順に、クロック信号S1、誤差電圧V1(実線)及びスロープ電圧V2(一点鎖線)、比較信号S2、PWM信号S3、出力電流Io、インダクタ電流IL、逆流検出信号S4、スイッチ電圧Vsw、及び、出力電圧Voが描写されている。
【0050】
時刻t31〜t32、ないし、時刻t32〜t33のスイッチング周期では、図3の時刻t21〜t24と同じく、出力電流Ioが小さい軽負荷時の出力挙動が示されている。これらの各スイッチング周期では、同期整流トランジスタ112のオン期間(PWM信号S3のローレベル期間)にインダクタ電流ILがゼロ値を下回るので、逆流検出信号S4がハイレベルに立ち上がり、先述の逆流遮断動作が行われる。
【0051】
なお、本図の第1例では、スロープ電圧生成回路160に後述のオフセット機能が具備されていないので、出力トランジスタ111のオフ期間(PWM信号S3のローレベル期間)に亘り、スロープ電圧V2がリセットレベル(=バイアス電圧Vb)に維持されている。また、軽負荷時には出力トランジスタ111をオフさせても出力電圧Voがなかなか目標値を下回らなくなるので、誤差電圧V1が非常に低い電圧レベル(スロープ電圧V2のリセットレベル近傍)で変動している。
【0052】
時刻t33〜t34のスイッチング周期では、逆流遮断動作中の時刻txにおいて、出力電流Ioの急峻な増大(軽負荷から重負荷への遷移)が生じている。このとき、出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112はいずれもオフ状態とされている。従って、時刻tx以降、次のスイッチング周期が到来するまでの間、出力電流Ioの供給は、出力キャパシタ114に蓄えられた電荷のみで賄われる。その結果、時刻tx以降、出力電圧Voないしはスイッチ電圧Vswが時間の経過と共に低下していく。また、出力電圧Voの低下を反映して、誤差電圧V1は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分に応じた電圧レベルまで上昇し始める。
【0053】
時刻t34〜t35のスイッチング周期では、クロック信号S1の立下りエッジをトリガとしてPWM信号S3がハイレベルに立ち上がり、出力トランジスタ111がオンされるので、出力電圧Voが上昇に転じる。ただし、この時点では、誤差電圧V1が本来の電圧レベル(=帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分に応じた電圧レベル)に達していない。従って、スロープ電圧V2は、その上昇開始直後に誤差電圧V1を上回ってしまい、比較信号S2がハイレベルに立ち上がる。その結果、出力トランジスタ111のオン期間が本来よりも短くなるので、出力電圧Voを十分に引き上げることができなくなる。
【0054】
時刻t35〜t36、ないし、時刻t36〜t37のスイッチング周期においても、誤差電圧V1が本来の電圧レベルに達していないので、出力トランジスタ111のオン期間を十分に確保することができておらず、出力電圧Voの引き上げが不十分となっている。
【0055】
このように、逆流遮断機能を備えたスイッチング電源装置100では、軽負荷時に誤差電圧V1がスロープ電圧V2のリセットレベル近傍まで低下してしまうので、負荷急増時における誤差電圧V1の変動幅が大きくなり、延いては、負荷応答性が悪くなる。
【0056】
以下では、負荷応答性を改善するための手段として、オフセット機能を備えたスロープ電圧生成回路160を提案する。
【0057】
<スロープ電圧生成回路>
図5は、オフセット機能を備えたスロープ電圧生成回路160の入出力例を示すブロック図である。本図で示したように、オフセット機能を備えたスロープ電圧生成回路160は、クロック信号S1と比較信号S2のほかに、逆流検出信号S4と入力電圧Vi及び出力電圧Voの入力を受け付けて、スロープ電圧V2を生成する。
【0058】
より具体的に述べると、オフセット機能を備えたスロープ電圧生成回路160は、出力トランジスタ111のオン期間中にはスロープ電圧V2をリセットレベル(=バイアス電圧Vb)から入力電圧Viに応じた傾きで上昇させ、出力トランジスタ111のオフ期間中には少なくともその一部の期間においてスロープ電圧V2をリセットレベルではなく出力電圧Voに応じたオフセットレベルに維持するように、スロープ電圧V2を生成する。
【0059】
なお、クロック信号S1と比較信号S2に代えてPWM信号S3を入力したり、逆流検出信号S4の入力を省略したりすることも可能である。以下では、スロープ電圧生成回路160の構成及び動作について、具体例を挙げながら詳細に説明する。
【0060】
<第1構成例>
図6は、スロープ電圧生成回路160の第1構成例を示す回路図である。第1構成例のスロープ電圧生成回路160は、充放電部160Aとオフセット部160Bを含む。充放電部160Aは、電流源A1と、キャパシタA2と、スイッチA3及びA4と、論理回路A5とを含む。オフセット部160Bは、電流源B1と、抵抗B2と、スイッチB3と、インバータB4とを含む。
【0061】
電流源A1は、電源端とスロープ電圧V2の出力端との間に接続されており、入力電圧Viに応じた電流I1を生成する。電流I1は、入力電圧Viが高いほど大きくなり、入力電圧Viが低いほど小さくなる。
【0062】
キャパシタA2は、第1端がスロープ電圧V2の出力端に接続されている。スイッチA3がオンされてスイッチA4がオフされているときには、キャパシタA2が電流I1を用いて充電されるので、スロープ電圧V2が入力電圧Viに応じた傾きで上昇する。一方、スイッチA3がオフされてスイッチA4がオンされているときには、キャパシタA2の両端間がショートされるので、キャパシタA2に蓄えられていた電荷が放電される。
【0063】
スイッチA3は、電源端と電流源A1との間に接続されており、ゲート信号G11に応じてオン/オフされるPMOSFETである。スイッチA3は、ゲート信号G11のローレベル期間中(出力トランジスタ111のオン期間中)にオンされて、ゲート信号G11のハイレベル期間中(出力トランジスタ111のオフ期間中)にオフされる。
【0064】
スイッチA4は、キャパシタA2の両端間に接続されており、ゲート信号G12(本図の例ではゲート信号G11と同一)に応じてオン/オフされるNMOSFETである。スイッチA4は、ゲート信号G12のローレベル期間中(出力トランジスタ111のオン期間中)にオフされて、ゲート信号G12のハイレベル期間中(出力トランジスタ111のオフ期間中)にオンされる。
【0065】
論理回路A5は、セット端(S)に入力されるクロック信号S1とリセット端(R)に入力される比較信号S2に応じて、その反転出力端(QB)からゲート信号G11及びG12に相当する論理信号を出力するRSフリップフロップである。ゲート信号G11及びG12は、例えば、クロック信号S1の立下りエッジでローレベルにセットされ、比較信号S2の立上りエッジでハイレベルにリセットされる。
【0066】
電流源B1は、電源端と抵抗B2の第1端との間に接続されており、出力電圧Voに応じた電流I2を生成する。電流I2は、出力電圧Voが高いほど大きくなり、出力電圧Voが低いほど小さくなる。
【0067】
抵抗B2(抵抗値R)は、第1端がキャパシタA2の第2端に接続されており、第2端がバイアス電圧Vb(スロープ電圧V2のリセットレベル)の印加端に接続されている。スイッチB3がオフされているときには、電流源B1から抵抗B2を介してバイアス電圧Vbの印加端に至る経路で電流I2が流れる。従って、キャパシタA2の第2端には、バイアス電圧Vbに抵抗B2の両端間電圧(=I2×R)を足し合わせた電圧(=Vb+I2×R)が印加される。一方、スイッチB3がオンされているときには、抵抗B2の両端間がショートされるので、キャパシタA2の第2端にはバイアス電圧Vbが印加される。
【0068】
スイッチB3は、抵抗B2の両端間に接続されており、ゲート信号G13(本図の例では逆流検出信号S4の論理反転信号)に応じてオン/オフされるNMOSFETである。スイッチB3は、ゲート信号G13のハイレベル期間中(インダクタ電流ILの逆流が検出されていないとき)にオンされて、ゲート信号G13のローレベル期間中(インダクタ電流ILの逆流が検出されているとき)にオフされる。
【0069】
インバータB4は、逆流検出信号S4を論理反転させてゲート信号G13を生成する。
【0070】
なお、上記構成から成る充放電部160Aは、入力電圧Viに応じた電流I1をキャパシタA2に流してスロープ電圧V2を生成する。また、上記構成から成るオフセット部160Bは、出力電圧Voに応じた電流I2を抵抗B2に流してスロープ電圧V2にオフセット(=I2×R)を与える。
【0071】
図7は、負荷急増時における出力変動の第2例(第1構成例のスロープ電圧生成回路160を採用した場合の挙動)を示すタイミングチャートであり、上から順に、クロック信号S1、誤差電圧V1(実線)及びスロープ電圧V2(一点鎖線)、比較信号S2、PWM信号S3、出力電流Io、インダクタ電流IL、逆流検出信号S4、スイッチ電圧Vsw、及び、出力電圧Voが描写されている。
【0072】
時刻t41〜t42、ないし、時刻t42〜t43のスイッチング周期では、図3の時刻t21〜t24と同じく、出力電流Ioが小さい軽負荷時の出力挙動が示されている。これらの各スイッチング周期では、同期整流トランジスタ112のオン期間(PWM信号S3のローレベル期間)にインダクタ電流ILがゼロ値を下回るので、逆流検出信号S4がハイレベルに立ち上がり、先述の逆流遮断動作が行われる。
【0073】
なお、各スイッチング周期において、スロープ電圧V2は、クロック信号S1の立下りエッジをトリガとしてリセットレベル(=バイアス電圧Vb)から入力電圧Viに応じた傾きで上昇された後、比較信号S2の立上りエッジをトリガとして再びリセットレベルに引き下げられる。
【0074】
また、本図の第2例では、スロープ電圧生成回路160に先述のオフセット機能が具備されている。より具体的に述べると、スロープ電圧V2は、出力トランジスタ111のオフ期間(PWM信号S3のローレベル期間)のうち、インダクタ電流ILの逆流検出期間(逆流検出信号S4のハイレベル期間)に亘り、出力電圧Voに応じたオフセットレベルまで引き上げられる。
【0075】
なお、スロープ電圧V2の傾きは入力電圧Viに依存しており、スロープ電圧V2のオフセットレベルは出力電圧Voに依存している。従って、スロープ電圧V2が誤差電圧V1と交わる電圧レベル(スロープ高さ)と、スロープ電圧V2のオフセットレベルとを互いに一致させることができる。
【0076】
このようなオフセット動作により、誤差電圧V1を意図的に引き上げることができるので、軽負荷時においても誤差電圧V1がスロープ電圧V2のリセットレベル近傍まで低下しなくなる。
【0077】
時刻t43〜t44のスイッチング周期では、逆流遮断動作中の時刻tyにおいて、出力電流Ioの急峻な増大(軽負荷から重負荷への遷移)が生じている。このとき、出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112はいずれもオフ状態とされている。従って、時刻ty以降、次のスイッチング周期が到来するまでの間、出力電流Ioの供給は、出力キャパシタ114に蓄えられた電荷のみで賄われる。その結果、時刻ty以降、出力電圧Voないしはスイッチ電圧Vswが時間の経過と共に低下していく。また、出力電圧Voの低下を反映して、誤差電圧V1は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分に応じた電圧レベルまで上昇し始める。
【0078】
時刻t44〜t45のスイッチング周期では、クロック信号S1の立下りエッジをトリガとしてPWM信号S3がハイレベルに立ち上がり、出力トランジスタ111がオンされるので、出力電圧Voが上昇に転じる。また、この時点では、すでに誤差電圧V1が本来の電圧レベル(=帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分に応じた電圧レベル)に達している。従って、出力トランジスタ111のオン期間を十分に稼ぐことができるので、出力電圧Voをその目標値まで速やかに引き上げることが可能となる。
【0079】
時刻t45〜t46、ないし、時刻t46〜t47のスイッチング周期においても、誤差電圧V1はすでに本来の電圧レベルに達しているので、先のスイッチング周期に引き続いて、出力電圧Voを速やかに引き上げることが可能となる。
【0080】
このように、オフセット機能を備えたスロープ電圧生成回路160を導入することにより、軽負荷時には誤差電圧V1を意図的に引き上げておくことができるので、負荷急増時における誤差電圧V1の変動幅が小さくなり、延いては、負荷応答性が改善される。
【0081】
<第2構成例>
図8は、スロープ電圧生成回路160の第2構成例を示す回路図である。本図の第2構成例は、先出の第1構成例(図6)とほぼ同様の構成であるが、クロック信号S1と比較信号S2の入力を受けてゲート信号G11及びG12を生成する論理回路A5に代えて、PWM信号S3を論理反転させてゲート信号G11及びG12を生成するインバータA6を含む点に特徴を有する。このような構成を採用することにより、スロープ電圧生成回路160の回路規模を縮小することが可能となる。
【0082】
また、論理回路180の出力端(Q)からPWM信号S3の入力を受け付けるのではなく、反転出力端(QB)から反転PWM信号S3B(PWM信号S3の論理反転信号)の入力を受け付けてもよい。このような構成を採用すれば、インバータA6も不要となるので、さらなる回路規模の縮小を図ることが可能となる。
【0083】
<半導体装置の分割バリエーション>
図9は、半導体装置の分割バリエーションを示すテーブルである。(a)欄で示すように、スイッチング電源装置100を形成する回路ブロックがいずれも単一の半導体装置Zに集積化されている場合には、逆流検出回路Yからスロープ電圧生成回路160に対して半導体装置Zの内部で逆流検出信号S4を伝達することが可能である。従って、第1構成例(図6)や第2構成例(図8)のスロープ電圧生成回路160を採用するに当たり、半導体装置Zに外部端子を増設する必要はない。
【0084】
一方、スイッチング電源装置100が搭載されるアプリケーションによっては、(b)欄や(c)欄で示すように、スロープ電圧生成回路160、PWMコンパレータ170、及び、論理回路180などを集積化した制御用の半導体装置Z1(いわゆるコントローラIC)と、スイッチング出力回路110、スイッチ駆動回路190、及び、逆流検出回路Yなどを集積化した駆動用の半導体装置Z2(いわゆるドライバIC)とが分離されている場合もあり得る。
【0085】
このような場合、第1構成例(図6)や第2構成例(図8)のスロープ電圧生成回路160を採用しようとすると、(b)欄で示したように、半導体装置Z2側の逆流検出回路Yから半導体装置Z1側のスロープ電圧生成回路160に対して逆流検出信号S4を伝達するために、半導体装置Z1及びZ2の双方に外部端子を増設する必要が生じる。
【0086】
また、(c)欄で示したように、半導体装置Z2側の逆流検出回路Yとは別に、半導体装置Z1側にも同様の逆流検出回路Y’を別途設け、逆流検出回路Y’からスロープ電圧生成回路160に対して半導体装置Z1の内部で逆流検出信号S4’を伝達する構成も考えられる。ただし、このような構成を採用した場合であっても、半導体装置Z1には、スイッチ電圧Vswの入力を受け付けるための外部端子を増設しなければならない。
【0087】
上記を鑑みると、制御用の半導体装置Z1と駆動用の半導体装置Z2とが分離されているスイッチング電源装置100では、第1構成例(図6)や第2構成例(図8)のスロープ電圧生成回路160を採用することが難しい場合(外部端子の増設が許容されない場合など)も想定される。
【0088】
そこで、次の第3構成例では、逆流検出信号S4を用いることなく、先述のオフセット機能を実現することのできるスロープ電圧生成回路160の構成について提案する。
【0089】
<第3構成例>
図10は、スロープ電圧生成回路160の第3構成例を示す回路図である。第3構成例は、先出の第2構成例(図8)とほぼ同様の構成であるが、逆流検出信号S4の入力を受け付けるインバータB4が省略されておりPWM信号S3がゲート信号G13としてスイッチB3に入力されている点、及び、電流源B5が追加されている点に特徴を有する。
【0090】
スイッチB3は、そのゲート信号G13として、逆流検出信号S4(逆流検出回路Yの検出結果)の入力を受け付けるのではなく、PWM信号S3の入力を受け付けている。従って、スイッチB3は、出力トランジスタ111のオン期間中にオンされて、出力トランジスタ111のオフ期間中にオフされる。すなわち、出力トランジスタ111のオフ期間中には、その全部に亘ってスロープ電圧V2にオフセットが付与される。
【0091】
電流源B5は、抵抗B2の第1端と接地端との間に接続されており、電流I2よりも小さい電流I3を生成する。従って、スイッチB3がオフされているときには、電流I2から電流I3を差し引いた差分電流(=I2−I3)が抵抗B2に流れる。その結果、抵抗B2には、上記の差分電流に応じた両端間電圧(=(I2−I3)×R)が生じ、この両端間電圧がスロープ電圧V2に与えられるオフセットとなる。
【0092】
すなわち、第3構成例のオフセット(=(I2−I3)×R)は、第1構成例や第2構成例のオフセット(=I2×R)と比較して、抵抗B2に流れる電流の減少分(=I3×R)だけ引き下げられる。
【0093】
なお、図10では、第2構成例(図8)をベースとした例を挙げたが、第1構成例(図6)をベースとしても構わない。その場合には、逆流検出信号S4の入力を受け付けるインバータB4を省略した上で、論理回路A5の出力端(Q)から出力される信号(ゲート信号G11及びG12の論理反転信号に相当)をゲート信号G13としてスイッチB3に入力するか、或いは、インバータB4を省略することなく、逆流検出信号S4に代えて、論理回路A5の反転出力端(QB)から出力される信号(ゲート信号G11及びG12に相当)をインバータB4に入力すればよい。
【0094】
図11は、負荷急増時における出力変動の第3例(第3構成例のスロープ電圧生成回路160を採用した場合の挙動)を示すタイミングチャートであり、上から順に、クロック信号S1、誤差電圧V1(実線)及びスロープ電圧V2(一点鎖線)、比較信号S2、PWM信号S3、出力電流Io、インダクタ電流IL、逆流検出信号S4、スイッチ電圧Vsw、及び、出力電圧Voが描写されている。
【0095】
時刻t51〜t52、ないし、時刻t52〜t53のスイッチング周期では、図3の時刻t21〜t24と同じく、出力電流Ioが小さい軽負荷時の出力挙動が示されている。これらの各スイッチング周期では、同期整流トランジスタ112のオン期間(PWM信号S3のローレベル期間)にインダクタ電流ILがゼロ値を下回るので、逆流検出信号S4がハイレベルに立ち上がり、先述の逆流遮断動作が行われる。
【0096】
なお、各スイッチング周期において、スロープ電圧V2は、PWM信号S3の立上りエッジ(或いはクロック信号S1の立下りエッジ)をトリガとして一旦リセットレベル(=バイアス電圧Vb)に引き下げられた上で、入力電圧Viに応じた傾きで上昇され、その後、PWM信号S3の立下りエッジ(或いは比較信号S2の立上りエッジ)をトリガとして出力電圧Voに応じたバイアスレベルに維持される。
【0097】
なお、スロープ電圧V2の傾きは入力電圧Viに依存しており、スロープ電圧V2のオフセットレベルは出力電圧Voに依存している。従って、スロープ電圧V2が誤差電圧V1と交わる電圧レベル(スロープ高さ)と、スロープ電圧V2のオフセットレベルとを互いに一致させることができる。
【0098】
このようなオフセット動作により、誤差電圧V1を意図的に引き上げることができるので、軽負荷時においても誤差電圧V1がスロープ電圧V2のリセットレベル近傍まで低下しなくなる。
【0099】
時刻t53〜t54のスイッチング周期では、逆流遮断動作中の時刻tzにおいて、出力電流Ioの急峻な増大(軽負荷から重負荷への遷移)が生じている。このとき、出力トランジスタ111と同期整流トランジスタ112はいずれもオフ状態とされている。従って、時刻tz以降、次のスイッチング周期が到来するまでの間、出力電流Ioの供給は、出力キャパシタ114に蓄えられた電荷のみで賄われる。その結果、時刻tz以降、出力電圧Voないしはスイッチ電圧Vswが時間の経過と共に低下していく。また、出力電圧Voの低下を反映して、誤差電圧V1は、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分に応じた電圧レベルまで上昇し始める。
【0100】
時刻t54〜t55のスイッチング周期では、クロック信号S1の立下りエッジをトリガとしてPWM信号S3がハイレベルに立ち上がり、出力トランジスタ111がオンされるので、出力電圧Voが上昇に転じる。また、この時点では、誤差電圧V1がほぼ本来の電圧レベル(=帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分に応じた電圧レベル)に達している。従って、出力トランジスタ111のオン期間を十分に稼ぐことができるので、出力電圧Voをその目標値まで速やかに引き上げることが可能となる。
【0101】
時刻t55〜t56、ないし、時刻t56〜t57のスイッチング周期においては、誤差電圧V1がすでに本来の電圧レベルに達しているので、先のスイッチング周期に引き続いて、出力電圧Voを速やかに引き上げることが可能となる。
【0102】
このように、第3構成例のスロープ電圧生成回路160を採用すれば、先の第1構成例や第2構成例と同じく、軽負荷時には誤差電圧V1を意図的に引き上げておくことができるので、負荷急増時における誤差電圧V1の変動幅が小さくなり、延いては、負荷応答性が改善される。
【0103】
また、第3構成例のスロープ電圧生成回路160を採用すれば、逆流検出信号S4を用いることなく第1構成例や第2構成例と同等のオフセット機能を実現することができる。従って、制御用の半導体装置Z1と駆動用の半導体装置Z2とが分離されているスイッチング電源装置100(図9の(b)欄ないし(c)欄を参照)についても、外部端子の不要な増設を招くことなく、その負荷応答性を高めることが可能となる。
【0104】
<動作原理に関する補足説明>
図12及び図13は、それぞれ、動作原理に関する補足説明を行うためのタイミングチャートであり、上から順番に、クロック信号S1、誤差電圧V1及びスロープ電圧V2、スイッチ電圧Vsw、並びに、出力電圧Voが描写されている。なお、図12は軽負荷時(オフセットなし)の挙動であり、図13は軽負荷時(オフセットあり)の挙動である。
【0105】
出力電圧Voが目標値よりも高くなると誤差電圧V1が下がり、逆に、出力電圧Voが目標値よりも低くなると誤差電圧V1が上がる。
【0106】
また、クロック信号CLKのパルスエッジでスイッチ電圧Vswがローレベルからハイレベルに立ち上がり、誤差電圧V1とスロープ電圧V2が交差すると、スイッチ電圧Vswがハイレベルからローレベルに立ち下がる。ただし、誤差電圧V1がスロープ電圧V2よりも低い場合には、クロック信号CLKのパルスエッジが到来しても、スイッチ電圧Vswがローレベルからハイレベルに立ち上がることはない。
【0107】
図12に即して具体的に説明する。時刻t61〜t62、及び、時刻t64〜t65では、スイッチ電圧Vswがハイレベルとなり、出力電圧Voが上昇している。このとき、出力電圧Voが目標値よりも高くなると、誤差電圧V1が低下に転じる。なお、スロープ電圧V2にはオフセットが与えられていないので、スイッチ電圧Vswのパルス幅(ハイレベル期間)は細い。また、スロープ電圧V2自体も重負荷時のそれと比べて低くなる。
【0108】
時刻t63では、誤差電圧V1がスロープ電圧V2よりも低いので、クロック信号S1のパルスエッジが無視されている。その結果、出力電圧Voが目標値よりも低くなると、誤差電圧V1が上昇に転じる。
【0109】
次に、図13に即して具体的に説明する。時刻t71〜t72、及び、時刻t75〜t76では、スイッチ電圧Vswがハイレベルとなり、出力電圧Voが上昇している。このとき、出力電圧Voが目標値よりも高くなると、誤差電圧V1が低下に転じる。なお、スロープ電圧V2にはオフセットが与えられているので、図12と比べて、スイッチ電圧Vswのパルス幅(ハイレベル期間)が広がっていることが分かる。
【0110】
時刻t73、t74では、誤差電圧V1がスロープ電圧V2よりも低いので、クロック信号S1のパルスエッジが無視されている。その結果、出力電圧Voが目標値よりも低くなると、誤差電圧V1が上昇に転じる。
【0111】
<パソコンへの適用>
図14は、スイッチング電源装置100を搭載したパソコンの外観図である。本構成例のパソコン200は、本体ケース210と、液晶モニタ220と、キーボード230と、マウス240と、を有する。
【0112】
本体ケース210には、CPU211、メモリ212、光学ドライブ213、及び、ハードディスクドライブ214のほか、スイッチング電源装置100が収納されている。
【0113】
CPU211は、ハードディスクドライブ214に格納されたオペレーティングシステムや各種のアプリケーションプログラムを実行することにより、パソコン200の動作を統括的に制御する。
【0114】
メモリ212は、CPU211の作業領域(例えばプログラムの実行に際してタスクデータを格納する領域)として利用される。
【0115】
光学ドライブ213は、光ディスクのリード/ライトを行う。光ディスクとしては、CD[compact disc]、DVD[digital versatile disc]、及び、BD[Blu-ray(登録商標) disc]などを挙げることができる。
【0116】
ハードディスクドライブ214は、筐体内に密閉された磁気ディスクを用いてプログラムやデータを不揮発的に格納する大容量補助記憶装置の一つである。
【0117】
液晶モニタ220は、CPU211からの指示に基づいて映像を出力する。
【0118】
キーボード230及びマウス240は、ユーザの操作を受け付けるヒューマンインタフェイスデバイスの一つである。
【0119】
上記構成から成るパソコン200の電源手段として、先のスイッチング電源装置100を用いれば、例えば、CPU211がスリープ状態(軽負荷状態)から通常状態(重負荷状態)に復帰する場合であっても、出力電圧Voを所望値に維持することが可能となる。
【0120】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本明細書中に開示されている発明は、スイッチング電源装置全般(例えば、高い負荷応答性が求められるCPU用電源)に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0122】
100 スイッチング電源装置
110 スイッチング出力回路
111 出力トランジスタ
112 同期整流トランジスタ
113 出力インダクタ
114 出力キャパシタ
120 帰還電圧生成回路
121、122 抵抗
130 エラーアンプ
140 位相補償フィルタ
141 抵抗
142 キャパシタ
150 クロック信号生成回路
160 スロープ電圧生成回路
160A 充放電部
160B オフセット部
170 PWMコンパレータ
180 論理回路(RSフリップフロップ)
190 スイッチ駆動回路
200 パソコン
210 本体ケース
211 中央演算処理装置
212 メモリ
213 光学ドライブ
214 ハードディスクドライブ
220 液晶モニタ
230 キーボード
240 マウス
A1 電流源
A2 キャパシタ
A3、A4 スイッチ
A5 論理回路(RSフリップフロップ)
A6 インバータ
B1、B5 電流源
B2 抵抗
B3 スイッチ
B4 インバータ
Y、Y’ 逆流検出回路
Z、Z1、Z2 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図14