(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置調整手段は、前記第1撮影手段の前記撮影画像及び前記第2撮影手段の前記撮影画像の各々が選択され、前記操作スイッチが左右方向へ移動するように操作された場合に、前記第1撮影手段の前記撮影画像上の前記切り出し領域及び前記第2撮影手段の前記撮影画像上の前記切り出し領域の一方を前記操作スイッチの操作方向へ移動させ、他方を前記操作スイッチの操作方向とは反対方向へ移動させる請求項1記載の車両用電子ミラーシステム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1には、本実施の形態に係る車両用電子ミラーシステム(以下、電子ミラーシステムという)10の概略構成を示している。電子ミラーシステム10は、車両の右側後方を撮影する右後方カメラ(以下、右カメラという)12R、車両の左側後方を撮影する左後方カメラ(以下、左カメラという)12Lを備える。また、電子ミラーシステム10は、右カメラ12Rで撮影された映像を表示する右後方モニタ(以下、右モニタという)14R、左カメラ12Lで撮影された映像を表示する左後方モニタ(以下、左モニタという)14L、及びミラーシステムECU(Electronic Control Unit)16を備える。
【0028】
電子ミラーシステム10は、右カメラ12R、左カメラ12L、右モニタ14R、及び左モニタ14LがミラーシステムECU16に接続されている。本実施の形態において、右カメラ12Rは、第1撮影手段の一例として機能し、左カメラ12Lは、第2撮影手段の一例として機能し、右モニタ14Rは、第1表示手段の一例として機能し、左モニタ14Lは、第2表示手段の一例として機能する。なお、以下の説明では、右カメラ12R及び左カメラ12Lを総称する場合、カメラ12と言い、右モニタ14R及び左モニタ14Lを総称する場合、モニタ14と言う。また、電子ミラーシステム10は、カメラ12として、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を用いた一般的構成の撮影手段が適用され、モニタ14として、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスが用いられた一般的構成の表示手段が適用される。
【0029】
図2には、本実施の形態に係る車両18の概略平面図を示している。車両18は、一例として運転席が車両右側に位置している所謂右ハンドルとしている。なお、以下の説明では、車両前後方向の前方側を矢印Fr、後方側を矢印Re、車幅方向の右側を矢印Ri、車幅方向の左側を矢印Leで示す。また、以下の説明では、上下方向の上方側を矢印Up、下方側を矢印Dwで示す(
図3参照)。
【0030】
一般に、車両は、車外の後写鏡として、ドアミラー又はフェンダーミラーなどのアウターミラーを備えるが、本実施の形態に係る電子ミラーシステム10は、アウターミラーに替えて、又はアウターミラーと共に車両に設けられる。本実施の形態に係る車両18は、アウターミラーの一例としてドアミラー20(右側のドアミラー20R及び左側のドアミラー20L)を備え、電子ミラーシステム10は、一例としてドアミラー20を備える車両18に設けられる。なお、車両18は、アウターミラーとしてフェンダーミラーを備えても良く、電子ミラーシステム10は、ドアミラー及びフェンダーミラーなどのアウターミラーに替えて車両18に設けられても良い。
【0031】
電子ミラーシステム10は、例えば、車両18のドアミラー20Rの先端部に右カメラ12Rが取り付けられ、ドアミラー20Lの先端部に左カメラ12Lが取り付けられている。電子ミラーシステム10は、右カメラ12R及び左カメラ12Lの撮影領域(画角)が、車両18の車体側面及び車両18の車幅方向の最外端直下を含む予め定めた範囲となっている。右カメラ12R及び左カメラ12Lは、撮影領域内のカラー映像を撮影し、撮影したカラー映像の映像信号を出力する。なお、
図2では、右カメラ12R及び左カメラ12Lの車幅方向の撮影領域を二点鎖線で示し、モニタ14に表示される範囲の一例を斜線で示している。また、右カメラ12R及び左カメラ12Lは、車両上下方向に対しても路面から車両18の上方までの予め定めた領域が含まれる(図示省略)。
【0032】
図3には、車両18の車室前部の一例を示している。車両18は、車室前部にインストルメントパネル22が設けられている。インストルメントパネル22は、例えば、ステアリングホイール24を操舵する運転者の正面となる位置に、速度計などの各種計器(図示省略)等が配列されたメータクラスタパネル26が配置されている。本実施の形態では、一例として、インストルメントパネル22に、モニタ14を設けており、例えば、右モニタ14Rがメータクラスタパネル26の右側に配置され、左モニタ14Lがメータクラスタパネル26の左側に配置されている。なお、右モニタ14R及び左モニタ14Lの位置は、本実施の形態に限るものではない。右モニタ14R及び左モニタ14Lは、運転者の視界を妨げること無く、かつ右モニタ14Rに表示される映像が車両18の右側後方の映像であり、左モニタ14Lに表示される映像が車両18の左側後方の映像であることが運転者に無理なく認識し得る位置であれば任意の位置を適用することができる。
【0033】
図1に示すように、ミラーシステムECU16は、画像処理部30、切り出し部32、及び表示制御部34を含む。ミラーシステムECU16は、例えば、CPU、ROM、RAM等がバスによって接続された一般的構成のマイクロコンピュータ、入出力インターフェイス、不揮発性記憶媒体、及び各種のドライバ回路等を備える(何れも図示省略)。ミラーシステムECU16は、CPUがROM、及び不揮発性記憶媒体等に記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開したプログラムを実行する。
【0034】
ミラーシステムECU16は、CPUが、画像処理プログラム、切り出しプログラム、及び表示プログラムを実行することで、画像処理部30、切り出し部32、及び表示制御部34として機能する。また、ミラーシステムECU16は、データの書き替えが可能な不揮発性記憶媒体(以下、メモリ36という)が設けられている。
【0035】
電子ミラーシステム10は、右カメラ12R及び左カメラ12Lから出力される映像信号の各々が、画像処理部30に入力される。画像処理部30は、右カメラ12Rの映像信号に応じた画像及び左カメラ12Lの映像信号に応じた画像の各々に対して、階調補正、色調補正、輝度(明暗)補正、及びハレーション処理などの予め定められている画像処理を実行する。また、電子ミラーシステム10に設けられる画像処理部30は、撮影された画像の左右を反転する鏡像処理を行う。これにより、画像処理部30は、車両後方の画像がドアミラー20に映るのと同様の向きの画像(鏡面反射画像)となってモニタ14に表示されるようにしている。なお、以下では、左右が反転された鏡面反射画像を撮影画像として説明する。
【0036】
切り出し部32としては、右カメラ12Rの撮影画像に対する切り出し部32R、及び左カメラ12Lの撮影画像に対する切り出し部32Lが設けられている。右カメラ12Rの撮影画像は、画像処理された後、切り出し部32Rに入力され、左カメラ12Lの撮影画像は、画像処理された後、切り出し部32Lに入力される。本実施の形態において切り出し部32R、32Lは、位置調整手段の一例として機能する。また、右カメラ12Rの撮影画像は、第1撮影手段の撮影画像の一例として機能し、左カメラ12Lの撮影画像は、第2撮影手段の撮影画像の一例として機能する。
【0037】
切り出し部32Rは、撮影画像から右モニタ14Rに表示する画像領域(以下、切り出し領域という)を切り出して、右モニタ14Rに出力する。また、切り出し部32Lは、撮影画像から左モニタ14Lに表示する切り出し領域を切り出して、左モニタ14Lへ出力する。これにより、電子ミラーシステム10は、右カメラ12Rで撮影された撮影画像に応じた画像が右モニタ14Rに表示され、左カメラ12Lで撮影された撮影画像に応じた画像が左モニタ14Lに表示される。本実施の形態において、切り出し部32Rで切り出される切り出し領域は、第1撮影手段の撮影画像上の切り出し領域の一例として機能し、切り出し部32Lで切り出される切り出し領域は、第2撮影手段の撮影画像上の切り出し領域の一例として機能する。
【0038】
メモリ36としては、右モニタ14Rに表示する切り出し領域に対応するメモリ36R、及び左モニタ14Lに表示する切り出し領域に対応するメモリ36Lが設けられている。メモリ36Rには、切り出し部32Rに設定された切り出し領域の位置(切り出し位置)、及び切り出し領域のサイズ等を含む領域情報が記憶され、メモリ36Lには、切り出し部32Lに設定された切り出し領域の位置、及び切り出し領域のサイズ等を含む領域情報が記憶される。
【0039】
一方、
図4には、本実施の形態に係る操作パネル40の一例を示している。操作パネル40は、運転席側のドアアームレスト、インストルメントパネル、又はセンタコンソールなどの運転者が操作の容易な予め定められた位置に設けられる(図示省略)。本実施の形態では、ドアミラー20の一例として電動格納式ドアミラーが用いられている。ドアミラー20は、格納/復帰(展開)、及び鏡面の角度調整に操作パネル40が用いられる。
図1に示すように、電子ミラーシステム10は、ミラーシステムECU16に、操作パネル40が接続されている。電子ミラーシステム10は、一例として、カメラ12により撮影された撮影画像内で、モニタ14に表示する表示領域、即ち、切り出し部32で切り出す切り出し領域の位置調整に、操作パネル40を用いる。
【0040】
図4に示すように、操作パネル40には、切換スイッチ42、格納スイッチ44、及び複合スイッチ46が設けられている。切換スイッチ42は、操作パネル40を、ドアミラー20の操作に用いるか、電子ミラーシステム10に用いるかの切り換え用となっており、例えば、ミラー(Mirror)側(
図4の紙面左側)が押圧操作されることで、ドアミラー20のリモコンスイッチとして用いられ、モニタ(Monitor)側(
図4の紙面右側)が押圧操作されることで、電子ミラーシステム10の操作用となる。なお、ドアミラー20などのアウターミラーが設けられていない場合、切換スイッチ42は省略される。
【0041】
格納スイッチ44及び複合スイッチ46は、電動格納式ドアミラーに用いられる一般的構成が適用されている。ドアミラー20R、20Lは、格納スイッチ44の格納側(
図4の紙面下側)が押圧操作されることで、格納位置へ回動され、格納スイッチ44の復帰(展開)側(
図4の紙面上側)が押圧操作されることで、通常位置(展開位置)へ回動される。
【0042】
複合スイッチ46は、一例として、円形の操作スイッチ48、操作スイッチ48の下方右側(
図4の紙面下方右側)に配置された右選択スイッチ50R、及び操作スイッチ48の下方左側に配置された左選択スイッチ50Lが一体的に組付けられている。以下の説明では、右選択スイッチ50R及び左選択スイッチ50Lを総称する場合、選択スイッチ50と言う。
【0043】
ドアミラー20は、右選択スイッチ50Rが押圧操作されることで、ドアミラー20Rが操作スイッチ48の操作対象となり、左選択スイッチ50Lが押圧操作されることで、ドアミラー20Lが操作スイッチ48の操作対象となる。ドアミラー20は、操作スイッチ48の中心より上側の上部48Uが押圧操作されることで、鏡面の向きが上方へ向くように角度調整され、操作スイッチ48の中心よりも下側の下部48Dが押圧操作されることで、鏡面の向きが下方へ向くように角度調整される。また、ドアミラー20は、操作スイッチ48の中心よりも右側の右部48Rが押圧操作されることで、鏡面の向きが右方向へ向くように角度調整され、操作スイッチ48の中心よりも左側の左部48Lが押圧操作されることで、鏡面の向きが左方向へ向くように角度調整される。
【0044】
一方、
図1に示す電子ミラーシステム10は、操作パネル40の切換スイッチ42が電子ミラーシステム10用に切り換えられることで、格納スイッチ44及び複合スイッチ46の操作状態がミラーシステムECU16の表示制御部34に入力される。電子ミラーシステム10は、格納スイッチ44、及び複合スイッチ46(操作スイッチ48と選択スイッチ50)の操作に応じて、モニタ14の各々に表示する撮影画像上の切り出し領域の位置調整が行われる。本実施の形態において複合スイッチ46は、複合スイッチの一例として機能する。また、本実施の形態において操作スイッチ48は、操作スイッチの一例として機能し、右選択スイッチ50R及び左選択スイッチ50Lは、選択手段の一例として機能する。さらに、本実施の形態において、右選択スイッチ50R、及び左選択スイッチ50Lは、第1選択スイッチ及び第2選択スイッチの一例として機能する。さらに、本実施の形態に係る表示制御部34は、表示制御手段及び位置調整手段の一例として機能する。
【0045】
本実施の形態では、一例として選択スイッチ50の操作により調整対象とするモニタ14(右モニタ14R及び左モニタ14L)の選択、及び操作内容の選択が行われる。また、本実施の形態では、操作スイッチ48の操作により、撮影画像上において、モニタ14に表示される切り出し領域の位置調整が行われる。
【0046】
図5は、選択スイッチ50の操作に対する処理動作の一例を示している。ここで、「OFF」は、選択スイッチ50を操作しないことを示している。また、「短ON」は、選択スイッチ50の押圧操作の時間が予め設定している時間未満(例えば、2秒未満)とし、「長ON」は、選択スイッチ50の押圧操作の時間が予め設定している時間以上(例えば、2秒以上)とする所謂長押しとしている。以下の説明では、「短ON」を押圧操作とし、「長ON」を長押し操作として説明する。
【0047】
なお、
図5の操作パターンE、Hは、右選択スイッチ50R及び左選択スイッチ50Lが、同時にオン操作(「短ON」又は「長ON」)されるか、右選択スイッチ50R又は左選択スイッチ50Lの一方がオン操作(「短ON」又は「長ON」された後、他方がオン操作されることで選択される。
【0048】
また、操作パターンF、Gは、右選択スイッチ50R又は左選択スイッチ50Lの一方が「短ON」されて位置調整が行われることで、切り出し領域の移動方向及び移動量が記憶され、一方がON(「短ON」)されてこの状態で他方が「長ON」されること、一方の切り出し領域の移動方向及び移動量に応じて、他方の切り出し領域が移動される。
【0049】
なお、選択スイッチ50(右選択スッチ50R及び左選択スイッチ50L)は、LED等を用いたインジケータを備え、1回の押圧操作でオン状態となってインジケータが点灯し、オン状態となっているときに更に押圧操作されることでオフ状態となってインジケータが消灯するものであっても良い。インジケータを備えた選択スイッチ50が用いられる場合も、「短ON」は、選択スイッチ50の押圧操作の時間が予め設定している時間未満とし、「長ON」は、選択スイッチ50の押圧操作の時間が予め設定している時間以上とする。また、電子ミラーシステム10は、選択スイッチ50にインジケータを設けるか、インジケータに替えて、モニタ14に選択スイッチ50の操作状態が表示されても良い。モニタ14に表示される選択スイッチ50の表示は、例えば、選択スイッチ50の操作に応じて、選択された側のモニタ14に、選択されたことを示すアイコン等を表示するか、又は、モニタの表示領域の外周部に予め定めた色で縁取りするなどの各種の表示形態を適用しても良い。
【0050】
以下に、本実施の形態の作用として、
図6〜
図10を参照しながら、
図5の操作パターンに基づいた切り出し領域の調整処理を説明する。なお、
図6〜
図10は、一例を示すものであり、本実施の形態に係る電子ミラーシステム10の動作を限定するものではない。
【0051】
電子ミラーシステム10は、例えば、車両18に運転者が乗車したことを検知した場合、又は運転者がイグニッションスイッチをオンした場合などの予め定めたタイミングで動作を開始する。また、電子ミラーシステム10は、イグニッションスイッチがオフされた場合、イグニッションスイッチがオフされてから所定時間が経過した場合、又は運転者が降車した場合などの予め定められたタイミングで動作を終了する。
【0052】
なお、車両18が、スマートキーなどのワイヤレスキー(携帯機)を用いてドアの施錠及び解錠が行われるキーレスエントリーシステム等を備えている場合、電子ミラーシステム10は、キーレスエントリーシステムに連動して動作開始(起動)、及び動作終了を行うものであっても良い。キーレスエントリーシステムでは、スマートキー(商品名)などのワイヤレスキーを用いてドアの施錠及び解錠が行われる。車両18がキーレスエントリーシステムを備える場合、電子ミラーシステム10は、少なくともワイヤレスキーを用いたドアの施錠に連動させて動作を終了すれば良く、ワイヤレスキーを用いたドアの解錠に連動して動作を開始し、ワイヤレスキーを用いたドアの施錠に連動させて動作を終了しても良い。
【0053】
電子ミラーシステム10は、動作を開始することで、カメラ12で撮影した映像(撮影画像)から所定の領域(切り出し領域)を切り出し、切り出した切り出し領域をモニタ14に表示する。また、電子ミラーシステム10は、撮影画像上で切り出し領域を移動することで、モニタ14に表示する切り出し領域の位置を調整する。なお、電子ミラーシステム10は、動作の終了時にモニタ14に表示している切り出し領域を記憶し、記憶した動作の終了時の切り出し領域を、次の動作の開始時にモニタ14に表示する。
【0054】
図6には、切り出し領域の調整処理の一例を示す。切り出し領域の調整処理は、例えば、操作パネル40の切換スイッチ42が操作されて、操作パネル40が電子ミラーシステム10用に切り換えられることで開始される。また、切り出し領域の調整処理は、切換スイッチ42がドアミラー20側に操作された場合、又は電子ミラーシステム10が動作を停止した場合などの予め設定されているタイミングで終了する。
【0055】
図6のフローチャートの最初のステップ100では、操作パネル40の選択スイッチ50が操作されたか否かを確認する。選択スイッチ50が操作されると(選択スイッチ50に設けられた図示しないインジケータが点灯すると)、ステップ100で肯定判定されてステップ102へ移行する。ステップ102では、操作された選択スイッチ50の操作パターン、即ち、
図5に示す操作パターンA〜Hの何れの操作が実行されたかを判定する。
【0056】
ここで、
図6では、左選択スイッチ50Lが操作されず、右選択スイッチ50Rが押圧操作(短ON)されると、操作パターンAの操作が実行されたとして、ステップ104で肯定判定される。また、右選択スイッチ50Rが操作されず、左選択スイッチ50Lが押圧操作されると、操作パターンBの操作が実行されたとして、ステップ106で肯定判定される。本実施の形態において操作パターンA、Bの操作は、第1撮影手段又は第2撮影手段の撮影画像が選択された場合の一例として機能する。
【0057】
図7(A)は、操作パターンAに対応する処理の一例を示し、
図7(B)は、操作パターンBに対応する処理の一例を示している。なお、
図7(A)及び
図7(B)は、操作対象が異なるが同様の処理を行っており、同様の処理については同じステップ番号を付与している。
【0058】
図7(A)は、
図6のステップ104で肯定判定されることで実行され、ステップ120において右モニタ14Rの表示画像である右カメラ12Rの撮影画像を調整対象として、右カメラ12Rの撮影画像上の切り出し領域を調整するように設定する。即ち、右カメラ12Rの撮影画像を調整対象に設定し、右モニタ14Rに表示される切り出し領域の位置調整を行うように設定する。この後、ステップ122では、操作パネル40の操作スイッチ48が操作されたか否かを確認し、操作スイッチ48が操作されると、ステップ122で肯定判定してステップ124へ移行する。ステップ124では、操作スイッチ48の操作に応じて右カメラ12Rの撮影画像上における切り出し領域を上下方向及び左右方向へ移動する。
【0059】
また、ステップ126では、操作パネル40の格納スイッチ44が操作されたか否かを確認し、格納スイッチ44が操作されると、ステップ126で肯定判定してステップ128へ移行する。電子ミラーシステム10では、一例として格納スイッチ44を、切り出し領域の拡縮を行うためのズームスイッチとして用いており、ステップ128では、格納スイッチ44の操作に応じて、右カメラ12Rの撮影画像上の切り出し領域の拡縮を行う。なお、ドアミラー20などのアウターミラーが設けられていない場合、格納スイッチ44はズームスイッチのみとして用いられる。
【0060】
図7(B)は、
図6のステップ106で肯定判定されることで実行され、ステップ134において左モニタ14Lの表示画像とする左カメラ12Lの撮影画像を調整対象として、左カメラ12Lの撮影画像上の切り出し領域を調整するように設定する。この後、操作スイッチ48が操作されると、ステップ122で肯定判定してステップ124へ移行する。ステップ124では、操作スイッチ48の操作に応じて左カメラ12Lの撮影画像上における切り出し領域を上下方向及び左右方向へ移動する。また、ステップ126では、操作パネル40の格納スイッチ44が操作されたか否かを確認し、格納スイッチ44が操作されると、ステップ126で肯定判定してステップ128へ移行する。ステップ128では、格納スイッチ44の操作に応じて、左カメラ12Lの撮影画像上における切り出し領域の拡縮を行う。
【0061】
さらに、
図7(A)及び
図8(B)では、ステップ130で新たに選択スイッチ50が操作されたか否かを確認し、ステップ132では、処理を終了するか否かを確認している。ここで、新たに選択スイッチ50が操作されると、ステップ130で肯定判定する。また、新たに格納スイッチ44及び操作スイッチ48が操作されずに所定時間が経過するか、又は、操作パネル40の切換スイッチ42が操作されなどした場合に、ステップ132で肯定判定して切り出し領域の調整処理を終了する。
【0062】
図7(A)では、ステップ130で肯定判定されると、ステップ133へ移行し、選択スイッチ50の操作が左選択スイッチ50Lの長押し操作(長ON)か否かを確認し、左選択スイッチ50Lの長押し操作でなければ、
図6のステップ102へ移行する。また、
図7(B)では、ステップ130で肯定判定されると、ステップ135へ移行し、選択スイッチ50の操作が右選択スイッチ50Rの長押し操作(長ON)か否かを確認し、右選択スイッチ50Rの長押し操作でなければ、
図6のステップ102へ移行する。
【0063】
これに対して、
図7(A)では、選択スイッチ50の操作が左選択スイッチ50Lの長押し操作(長ON)であると、操作パターンGの操作が実行されたとして、ステップ133において肯定判定し、操作パターンGの処理を行うように設定する。また、
図7(B)では、選択スイッチ50の操作が右選択スイッチ50Rの長押し操作(長ON)であると、操作パターンFの操作が実行されたと判定して、ステップ135において肯定判定して操作パターンFの処理を行うように設定する。なお、操作パターンF、Gの処理については、後述する。
【0064】
図8(A)及び
図8(B)は、カメラ12により撮影された撮影画像60に対して、モニタ14に表示する画像となる切り出し領域62の一例を示している。なお、
図8(A)は、右カメラ12Rにより撮影された撮影画像60R、及び右モニタ14Rに表示される切り出し領域62Rを示し、
図8(B)は、左カメラ12Lにより撮影された撮影画像60L、及び左モニタ14Lに表示される切り出し領域62Lを示している。また、切り出し領域62の縦横比は、一例として、モニタ14の画面の縦横比に合わせられている。また、以下の説明では、撮影画像60R、60Lを総称する場合、撮影画像60と言い、切り出し領域62R、62Lを総称する場合、切り出し領域62と言う。
【0065】
本実施の形態に係る電子ミラーシステム10では、一例として、右カメラ12Rの撮影画像60Rと左カメラ12Lの撮影画像60Lとが、車両18の車体中心線を対象軸として左右対称となるように設定している。即ち、車両18の車幅方向中心線に対して撮影画像60R、60Lが左右対称となるように右カメラ12Rと左カメラ12Lとが取り付けられている。
【0066】
図8(A)及び
図8(B)に示すように、撮影画像60R及び撮影画像60Lは、車両18に対して左右対称位置となるように原点O
R、O
Lが設定されている。原点O
R、O
Lは、車両18に対して左右対称となる点であれば任意の点を適用することができ、例えば、車両18の車体上で左右対称となっている特徴点などを適用することができる。本実施の形態では、一例として、撮影画像60Rの中心点を原点0
Rとし、撮影画像60Lの中心点を原点0
Lとしている。
【0067】
撮影画像60Rは、原点O
Rで交差する座標軸として縦軸Y
R及び横軸X
Rが定められ、撮影画像60Lは、原点O
Lで交差する座標軸として縦軸Y
L及び横軸X
Lが定められている。縦軸Y
R、Y
Lは、鉛直方向(車両上下方向)に沿うように定められ、横軸X
R、X
Lは、水平方向(車両幅方向)に沿うように定められる。なお、原点O
R、O
L、縦軸Y
R、Y
L及び横軸X
R、X
Lは、モニタ14(右モニタ14R、及び左モニタ14L)に表示されない。
【0068】
図8(A)に示すように、撮影画像60R上の切り出し領域62Rの位置は、例えば、中心位置C
Rが撮影画像60Rに設定している座標軸により定まる座標(X、Y)で表される。また、
図8(B)に示すように、撮影画像60L上の切り出し領域62Lの位置は、例えば、中心位置C
Lが撮影画像60Lに設定している座標軸により定まる座標(X、Y)で表される。
図8(A)及び
図8(B)に示すように、本実施の形態では、一例として、原点O
R、O
Lに対する横軸X
R、X
Lの負側(−X
R、−X
L)を車両18側に設定している。これにより、切り出し領域62Rの中心位置C
Rと切り出し領域62Lの中心位置C
Lとが、同じ座標(X、Y)で表される場合、切り出し領域62R、62Lが車両18に対して左右対称となるようにしている。
【0069】
ここで、操作スイッチ48の上部48Uが押圧操作されると、切り出し領域62は、上方へ移動される。これにより、
図8(A)に示すように、撮影画像60R上では、上に移動された切り出し領域62R
Uが新たな切り出し領域(モニタ14に表示される切り出し領域)62Rとなり、
図8(B)に示すように、撮影画像60L上では、上に移動された切り出し領域62L
Uが新たな切り出し領域62Lとなる。また、操作スイッチ48の下部48Dが押圧操作されると、切り出し領域62は、下方へ移動される。これにより、
図8(A)に示すように、撮影画像60R上では、下に移動された切り出し領域62R
Dが、新たな切り出し領域62Rとなり、
図8(B)に示すように、撮影画像60L上では、下に移動された切り出し領域62L
Dが、新たな切り出し領域62Lとなる。
【0070】
さらに、操作スイッチ48の右部48Rが押圧操作されると、切り出し領域62は、右方向へ移動される。これにより、
図8(A)に示すように、撮影画像60R上では、右に移動された切り出し領域62R
Rが、新たな切り出し領域62Rとなり、
図8(B)に示すように、撮影画像60L上では、右に移動された切り出し領域62L
Rが、新たな切り出し領域62Lとなる。また、操作スイッチ48の左部48Lが押圧操作されると、切り出し領域62は、左方向へ移動される。これにより、
図8(A)に示すように、撮影画像60R上では、左に移動された切り出し領域62R
Lが、新たな切り出し領域62Rとなり、
図8(B)に示すように、撮影画像60L上では、左に移動された切り出し領域62L
Lが、新たな切り出し領域62Lとなる。
【0071】
なお、切り出し領域62の移動量は、操作スイッチ48の1回の押圧操作による移動量、及び操作スイッチ48が連続して押圧操作された場合の単位時間当たりの移動量が予め定められている。これにより、切り出し領域62は、操作スイッチ48の押圧操作の回数又は連続的に押圧操作された場合の連続時間に応じて移動される。
【0072】
電子ミラーシステム10は、操作スイッチ48の操作に応じて移動された切り出し領域62Rが、撮影画像60Rから切り出されて右モニタ14Rに表示され、切り出し領域62Lが、撮影画像60Lから切り出されて左モニタ14Lに表示される。
【0073】
なお、本実施の形態では、一例として、格納スイッチ44の上側(Zoom IN側)が押圧操作されると、切り出し領域62が縮小され、格納スイッチ44の下側(Zoom OUT側)が押圧操作されると、切り出し領域62が拡大される(図示省略)。切り出し領域62が縮小されることで、モニタ14には、切り出し領域を拡大した画像が表示され、切り出し領域62が拡大されることで、モニタ14には、切り出し領域を縮小した画像が表示される。本実施の形態において切り出し領域62の拡大率及び縮小率は、
格納スイッチ44の1回の押圧操作による変化率、及び
格納スイッチ44が連続して押圧操作された場合の単位時間当たりの変化率が予め定められており、
格納スイッチ44の押圧操作の回数又は連続的に押圧操作された場合の連続時間に応じて切り出し領域62の拡大又は縮小が行われる。
【0074】
また、右モニタ14Rと左モニタ14Lとの間で、表示される画像の大きさ、即ち、倍率が異なると、遠近感の把握が難しくなる。ここから、切り出し領域62の拡大、縮小を行う場合(格納スイッチ44が操作された場合)、操作パターンA、Bの何れにおいても切り出し領域62R、62Lの双方の拡縮が並行して行われることが好ましい。即ち、
図7(A)及び
図7(B)の一方においてステップ126、128が実行されると、
図7(A)及び
図7(B)の他方においてステップ126、128が並行して実行されても良い。これにより、右モニタ14Rの表示画像の大きさと、左モニタ14Lの表示画像の大きさとを常に同期させ、適切な遠近感の把握が可能となる。
【0075】
ここで、
図7(A)及び
図7(B)のステップ124では、選択スイッチ50が操作された時点の切り出し領域62の位置をスタート位置として保持する。また、ステップ124では、操作スイッチ48の操作により切り出し領域62が移動されると移動された位置を移動位置として保持することで、スタート位置に対する移動位置の方向(移動方向)及び移動量が定まる。ステップ124の処理では、操作スイッチ48の操作が繰り返されることで、移動位置を更新し、スタート位置に対する移動位置の移動方向及び移動量が定まるようにする。さらに、ステップ124の処理では、操作スイッチ48が操作されずに予め定めた時間が経過して操作パターンA又は、操作パターンBの処理が終了するか、選択スイッチ50が操作されると、そのときの移動位置を切り出し領域62のエンド位置として保持する。これにより、電子ミラーシステム10では、選択スイッチ50の操作に応じた切り出し領域の移動方向及び移動量が得られるようにしている。
【0076】
一方、
図6では、左選択スイッチ50Lが操作されず、右選択スイッチ50Rが長押し操作(長ON)されると、操作パターンCの操作が実行されたとして、ステップ108で肯定判定される。また、右選択スイッチ50Rが操作されず、左選択スイッチ50Lが長押し操作されると、操作パターンDの操作が実行されたとして、ステップ110で肯定判定される。さらに、右選択スイッチ50Rと左選択スイッチ50Lとが長押し操作されると、操作パターンHの操作が実行されたとして、ステップ114で肯定判定される。本実施の形態において操作パターンC、Dの操作は、切り出し領域の位置情報を記憶する記憶対象として第1撮影手段の撮影手段又は第2撮影手段の撮影画像が選択された場合の一例として機能する。また、本実施の形態において操作パターンHの操作は、記憶された位置情報に基づいた切り出し領域の位置調整の指示の一例として機能する。
【0077】
図9(A)には、操作パターンCに対応する処理の一例を示し、
図9(B)には、操作パターンDに対応する処理の一例を示し、
図9(C)には、操作パターンHに対応する処理の一例を示している。
【0078】
図9(A)は、
図6のステップ108で肯定判定されることで実行され、ステップ136において右モニタ14Rに表示している撮影画像60Rの切り出し領域62Rを対象に設定する。次のステップ138では、対象とした切り出し領域62Rの切り出し位置及びサイズを含む領域情報をメモリ36Rに格納する。また、
図9(B)は、
図6のステップ110で肯定判定されることで実行され、ステップ140において左モニタ14Lに表示している撮影画像60Lの切り出し領域62Lを対象に設定する。次のステップ142では、対象とした切り出し領域62Lの切り出し位置及びサイズを含む領域情報をメモリ36Lに格納する。本実施の形態において、メモリ36Rに記憶される領域情報に含まれる切り出し領域62Rの位置は、第1位置情報の一例として機能し、メモリ36Lに記憶される領域情報に含まれる切り出し領域62Lの位置は、第2位置情報の一例として機能する。
【0079】
図9(C)は、
図6のステップ114で肯定判定されると実行され、ステップ144において、メモリ36Rに記憶されている領域情報を読み出す。次のステップ146は、読み出した領域情報に基づき、撮影画像60Rの切り出し領域62Rの位置及びサイズを設定し、設定した位置へ切り出し領域62Rを移動させる。また、ステップ148では、メモリ36Lに記憶されている領域情報を読み出す。次のステップ150は、読み出した領域情報に基づき、撮影画像60Lの切り出し領域62Lの位置及びサイズを設定し、設定した位置へ切り出し領域62Lを移動させる。
【0080】
従って、電子ミラーシステム10は、選択スイッチ50に対して、操作パターンC、Dの操作が実行されることで、例えば、操作パネル40の操作スイッチ48等を用いて運転者が好みに合わせて調整した右モニタ14R及び左モニタ14Lの切り出し領域62R、62Lを特定する領域情報を、メモリ36R、36Lに記憶させておくことができる。また、電子ミラーシステム10は、選択スイッチ50に対して、操作パターンHの操作を実行することで、メモリ36R、36Lに記憶した領域情報に応じた切り出し領域62R、62Lを右モニタ14R及び左モニタ14Lの各々に表示することができる。なお、
図9(A)、
図9(B)、及び
図9(C)では、新たな選択スイッチ50の操作が行われると、ステップ130で肯定判定して、
図6のステップ102へ移行し、操作が終了したと判定される場合に、ステップ132で肯定判定して処理を終了する。
【0081】
一方、
図6では、選択スイッチ50の操作が、右選択スイッチ50Rと左選択スイッチ50Lとの押圧操作(短ON)であると、操作パターンEの操作が実行されたとして、ステップ112で肯定判定される。また、
図7(A)では、選択スイッチ50の操作が左選択スイッチ50Lの長押し操作であると、操作パターンGの操作が実行されたとして、ステップ133で肯定判定される。また、
図7(B)では、選択スイッチ50の操作が右選択スイッチ50Rの長押し操作であると、操作パターンHの操作が実行されたとして、ステップ135で肯定判定される。
【0082】
本実施の形態において操作パターンEの操作は、第1撮像手段及び第2撮像手段の各々の撮影画像が選択された場合の一例として機能する。また、本実施の形態において操作パターンF、Gの操作は、第1撮影手段及び第2撮影手段の撮影画像の一方が選択された状態で、第1撮影手段及び第2撮影手段の撮影画像の他方が選択された場合の一例として機能する。なお、操作パターンE及び上述した操作パターンHは、例えば、右選択スイッチ50R、及び左選択スイッチ50Lに優先順位を付けずに操作された状態を適用され、操作パターンF、Gは、例えば、右選択スイッチ50R、及び左選択スイッチ50Lの一方に優先順位を付けて操作された状態が適用される。また、操作パターンF、Gは、右選択スイッチ50R、及び左選択スイッチ50Lの一方がオン状態であれば良く、例えば、右選択スイッチ50R、及び左選択スイッチ50Lの一方がオンされていれば、操作スイッチ48の操作前に、右選択スイッチ50R及び左選択スイッチ50Lの他方が操作(本実施の形態では一例として長押し操作)された場合も適用される。
【0083】
図10(A)は、操作パターンFに対応する処理の一例を示し、
図10(B)は、操作パターンGに対応する処理の一例を示している。また、
図10(C)は、操作パターンEに対応する処理の一例を示している。
【0084】
図10(A)は、
図7(B)のステップ135で肯定判定されることで実行され、ステップ152において、左モニタ14Lに対して保持されている撮影画像60L上の切り出し領域62Lのスタート位置及びエンド位置を読み込む。次のステップ154では、読み込んだスタート位置及びエンド位置に基づき、切り出し領域62Lの移動方向及び移動量を求め、求めた移動方向及び移動量に合わせるように撮影画像60R上の切り出し領域62Rを移動する。また、
図10(B)は、
図7(B)のステップ133で肯定判定されることで実行され、ステップ156において、右モニタ14Rに対して保持されている撮影画像60R上の切り出し領域62Rのスタート位置及びエンド位置を読み込む。次のステップ158では、スタート位置及びエンド位置に基づき、切り出し領域62Rの移動方向及び移動量を求め、求めた移動方向及び移動量に合わせるように撮影画像60L上の切り出し領域62Lを移動する。
【0085】
本実施の形態に適用した電子ミラーシステム10は、一例として、車両18(車体)の中心線を対称線とするように撮影画像60R及び撮影画像60Lに座標軸を設定し、設定した座標軸を用いて切り出し領域62の切り出し位置が設定されている。ここで、操作パターンGにおいては、例えば、切り出し領域62Rが右方向へ移動された場合、切り出し領域62Lが右方向へ移動され、操作パターンFにおいては、例えば、切り出し領域62Lが左方向へ移動された場合、切り出し領域62Rが左方向へ移動される。従って、電子ミラーシステム10は、操作パターンF、Gの処理が行われることで、操作パターンA、Bの操作に基づいて、切り出し領域62R及び切り出し領域62Lの一方の移動方向及び移動量に、他方の移動方向及び移動量に合わせて移動される。
【0086】
一方、
図10(C)は、
図6のステップ112で肯定判定されることで実行され、ステップ160において、右モニタ14Rに表示される撮影画像60R上の切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示される撮影画像60L上の切り出し領域62Lの双方を調整対象に設定する。この後、ステップ162では、操作パネル40の操作スイッチ48が操作されたか否かを確認し、操作スイッチ48が操作されると、ステップ162で肯定判定してステップ164へ移行する。ステップ164では、操作スイッチ48の操作に応じて撮影画像60R上における切り出し領域62Rの位置、及び撮影画像60L上における切り出し領域62Lの位置を並行して移動する。
【0087】
また、ステップ166では、操作パネル40の格納スイッチ44が操作されたか否かを確認し、格納スイッチ44が操作されると、ステップ166で肯定判定してステップ168へ移行する。ステップ168では、格納スイッチ44の操作に応じて、撮影画像60R上の切り出し領域62R、及び撮影画像60L上の切り出し領域62Lの双方の拡縮を並行して行う。なお、
図10(A)、
図10(B)、及び
図10(C)は、新たに選択スイッチ50が操作されると、ステップ130で肯定判定して、
図6のステップ102へ移行し、操作が終了したと判定される場合に、ステップ132で肯定判定して処理を終了する。
【0088】
ここで、本実施の形態では、操作パターンEにおいて、操作スイッチ48の上部48Uが押圧操作されると、撮影画像60R上の切り出し領域62R、及び撮影画像60L上の切り出し領域62Lの各々を上方へ移動し、操作スイッチ48の下部48Dが押圧操作されると、撮影画像60R上の切り出し領域62R、及び撮影画像60L上の切り出し領域62Lの各々を下方へ移動する。
【0089】
また、電子ミラーシステム10は、左右の切り出し領域62R、62Lを並行して水平方向(車両幅方向)へ移動する場合、一例として、切り出し領域62R及び切り出し領域62Lの一方を基準として、他方を反対方向へ移動する。本実施の形態では、一例として、運転席側となる右モニタ14Rに表示される切り出し領域62Rを基準とし、操作スイッチ48の操作に応じた方向へ切り出し領域62Rを移動すると共に、切り出し領域62Lを切り出し領域62Rと反対方向へ移動する。
【0090】
これにより、操作パターンEにおいては、操作スイッチ48の右部48Rが押圧操作されると、撮影画像60R上の切り出し領域62Rが右方向へ移動され、撮影画像60L上の切り出し領域62Lが左方向へ移動される。また、操作パターンEにおいては、操作スイッチ48の左部48Lが押圧操作されると、撮影画像60R上の切り出し領域62Rが左方向へ移動され、撮影画像60L上の切り出し領域62Lが右方向へ移動される。即ち、電子ミラーシステム10は、右モニタ14Rに表示される切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示される切り出し領域62Lは、並行して車幅方向の内方側へ向くように移動されるか、並行して車幅方向の外方側へ向くように移動される。
【0091】
このように、電子ミラーシステム10は、右選択スイッチ50R及び左選択スイッチ50Lの操作状態の組み合わせ(操作パターン)に応じて、右モニタ14Rに表示する切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示する切り出し領域62Lに対する処理が行われる。この際、電子ミラーシステム10は、操作パターンF、Gの操作が実行されることで、切り出し領域62R及び切り出し領域62Lの一方が、切り出し領域62R及び切り出し領域62Lの他方に合わせられる。これにより、電子ミラーシステム10は、右モニタ14R及び左モニタ14Lに表示される出し領域62(62R、62L)の位置調整が容易に行われる。
【0092】
また、電子ミラーシステム10は、操作パターンA、Bの操作が実行されることで、右モニタ14Rに表示される切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示される切り出し領域62Lを別々に調整することができる。これにより、電子ミラーシステム10は、左右対称関係が保持されることなく、例えば、運転者の好みに応じて右モニタ14Rに表示する切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示する切り出し領域62Lの位置調整を行うことができる。
【0093】
さらに、電子ミラーシステム10は、操作パターンC、Dの操作が実行されることで、右モニタ14Rに表示されている切り出し領域62Rの領域情報をメモリ36Rに格納させ、左モニタ14Lに表示されている切り出し領域62Lの領域情報をメモリ36Lに格納させる。また、電子ミラーシステム10は、操作パターンHの操作が実行されることで、メモリ36Rに格納されている領域情報に基づいて、右モニタ14Rに表示する切り出し領域62Rが設定され、メモリ36Lに格納されている領域情報に基づいて、左モニタ14Lに表示する切り出し領域62Lが設定される。
【0094】
これにより、車両18の運転者が一時的に他の運転者に交代する場合に、交代前の運転者が設定した切り出し領域62R、62Lをメモリ36R、36Lに記憶させておくことができ、再度、車両18の運転を交代したときに、右モニタ14R、及び左モニタ14Lの表示を、前に設定した切り出し領域62R、62Lに戻すことが容易となる。
【0095】
また、電子ミラーシステム10は、操作パターンEの操作が実行されることで、右モニタ14Rに表示される切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示される切り出し領域62Lを並行して位置調整することができる。この際、電子ミラーシステム10は、右モニタ14Rに表示される切り出し領域62Rと左モニタ14Lに表示される切り出し領域62Lとが、並行して車幅方向の内方側、又は車幅方向の外方側へ移動される。
【0096】
これにより、電子ミラーシステム10は、運転者が右モニタ14R及び左モニタ14Lの一方を見ながら切り出し領域62を車幅方向に移動した場合でも、右モニタ14R及び左モニタ14Lの他方が、運転者の予期しない領域(運転者の意図しない領域)が表示されてしまうが抑制される。即ち、切り出し領域62R、62Lを、左右方向について同じ方向へ移動するようにした場合、一方のモニタ14に表示される画像を見ながら、車両が映るように、例えば、車両内方側へ移動すると、他方のモニタ14に車両が表示されなくなる。これにより、モニタ14に車両が表示されるように操作した運転者に違和感を生じさせてしまうことがある。電子ミラーシステム10は、切り出し領域62R、62Lを水平方向へ移動させる際、切り出し領域62R、62Lを並行して車幅方向の内方側、又は車幅方向の外方側へ移動されることで、一方のモニタ14を見ながら操作した運転者が、他方のモニタ14の表示に違和感を生じるのを防止できる。
【0097】
従って、本実施の形態に係る電子ミラーシステム10は、右モニタ14Rに表示する切り出し領域62R及び左モニタ14Lに表示する切り出し領域62Lの調整が極めて容易となる。また、電子ミラーシステム10は、運転者の好みに応じて右モニタ14Rに表示する切り出し領域62R、及び左モニタ14Lに表示する切り出し領域62Lを個別に調整することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、一例として、操作パターンF、Gにおいて、切り出し領域62R、62Lが水平方向について同方向へ移動するようにしたが、これに限らず、反対方向へ移動されるものであっても良い。即ち、操作パターンGにおいては、例えば、撮影画像60R上で切り出し領域62Rが右方向へ移動され、スタート位置に対してエンド位置が右方向となっている場合、切り出し領域62Lが左方向へ移動される。また、操作パターンFにおいては、例えば、撮影画像60L上で切り出し領域62Lが左方向へ移動され、スタート位置に対してエンド位置が左方向となっている場合、切り出し領域62Rが右方向へ移動される。これにより、電子ミラーシステム10は、操作パターンF、Gを実行した場合に、右モニタ14R及び左モニタ14Lの一方に表示される画像を、例えば、車体側に移動させたときに、右モニタ14R及び左モニタ14Lの他方に表示される画像が車体側に移動される。
【0099】
さらに、本実施の形態に係る電子ミラーシステム10は、電動格納式ドアミラーに用いられる格納スイッチ44及び複合スイッチ46を用いて、右モニタ14R及び左モニタ14Lに表示する切り出し領域62R、62Lの調整を行うことができる。従って、電子ミラーシステム10は、位置調整のための専用の操作スイッチ等を新たなに設計する必要がない。また、電子ミラーシステム10は、電動格納式ドアミラーの操作パネル40を用いることで、モニタ14に表示する切り出し領域の調整が容易となる。
【0100】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明の構成を限定するものではない。本発明は、第1撮影手段により撮影した車両右側後方の映像を第1表示手段に表示し、第2撮影手段により撮影した車両左側後方の映像を第2表示手段に表示する任意の構成に適用することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、メモリ36に一組の領域情報を記憶するように説明したが、これに限らず、メモリ36に、複数組みの領域情報を記憶するようにしても良い。例えば、メモリ36Rに複数組みの領域情報を記憶する場合、右選択スイッチ50Rを長押し押圧しながら、左選択スイッチ50Lを押圧操作するようにし、左選択スイッチ50Lの押圧操作が1回であれば第1の領域に切り出し領域62Rの領域情報を格納し、左選択スイッチ50Lの押圧操作が2回であれば第2の領域に切り出し領域62Rの領域情報を格納するなどの手法が適用可能である。また、メモリ36R、36Lに記憶している領域情報に基づいて切り出し領域62を調整する場合、例えば、右選択スイッチ50R及び左選択スイッチ50Lの1回の長押し操作で、第1の領域に格納している領域情報が読み出され、長押し操作を2回繰り返すことで、第2の領域に格納している領域情報が読み出されるなどの手法が適用可能である。
【0102】
さらに、本実施の形態に適用した操作パターンA〜Hは、選択手段の操作の組み合わせの一例を示すものであり、選択手段の操作は、操作パターンA〜操作パターンHに限らず、任意の組み合わせを適用することができる。