特許第6559003号(P6559003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559003
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】カラオケ装置及びカラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20190805BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G10K15/04 302D
   G09G5/36 520N
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-150926(P2015-150926)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-32706(P2017-32706A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政之
(72)【発明者】
【氏名】永木 朗
【審査官】 鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−007291(JP,A)
【文献】 特開2010−124429(JP,A)
【文献】 特開2001−103468(JP,A)
【文献】 特開平10−161680(JP,A)
【文献】 特開2000−224581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00−15/04
G09G 5/377
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ楽曲の演奏中、複数の情報を装置側表示部に表示可能なカラオケ装置、サーバ、及びカラオケ歌唱に利用可能なユーザー端末を含むカラオケシステムであって、
前記情報はそれぞれ、当該情報を前記表示部に表示させる位置を示す座標データ及び当該情報を前記表示部に表示させるタイミングを示すタイミングデータを有し、
前記カラオケ装置は、
前記座標データ及び前記タイミングデータに基づいて、前記情報同士の表示領域が重複するかを判定する判定部と、
前記表示領域が重複すると判定された場合、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させる装置側表示制御部と、
を有し、
前記カラオケ装置または前記サーバの少なくとも一方は、前記透過率に関するデータをカラオケ楽曲毎に記憶する記憶部を有し、
前記ユーザー端末は、
あるカラオケ楽曲を演奏する場合に、前記サーバを介して受信した当該カラオケ楽曲に対応する前記透過率に関するデータに基づいて透過率を調整した複数の情報を、端末側表示部に表示させる端末側表示制御部を有することを特徴とするカラオケシステム。
【請求項2】
前記カラオケ装置は、
前記表示領域が重複すると判定された場合、前記座標データに基づいて重複する範囲を算出する算出部を有し、
前記装置側表示制御部は、前記重複する範囲において、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させることを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記表示領域が重複する情報が3つ以上ある場合、前記装置側表示制御部は、最も優先度の高い情報以外の情報の透過率を上げて表示させることを特徴とする請求項1又は2記載のカラオケシステム。
【請求項4】
前記装置側表示制御部は、前記表示領域が重複する情報を優先度に応じて異なる透過率で表示させることを特徴とする請求項3記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置及びカラオケシステムに関する。
【0002】
カラオケ歌唱を行う歌唱者に対し、歌詞テロップ、歌唱補助用のコンテンツ、ゲーム等、様々な情報を提供するカラオケ装置がある。
【0003】
一般的に、これらの情報はカラオケ装置の表示画面に表示される。しかし、表示画面のサイズは限られているため、複数の情報全てを表示しようとする場合、情報同士が重複してしまい見難くなるという問題がある。
【0004】
このような情報の重複を解決するため、たとえば、歌詞テロップの表示領域とアプリケーションの表示領域とが重複する場合、歌詞テロップの表示領域を移動させる技術を利用することが考えられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−215255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術を用いる場合、同じ楽曲を歌唱する場合であってもアプリケーションの有無で歌詞テロップの表示領域が異なる。つまり、歌詞テロップの位置が固定されていないため、歌唱者が歌詞を把握し難く感じることがある。
【0007】
また、特許文献1の構成においてアプリケーションが表示される場合、一画面に表示される歌詞テロップ(文字列)が少なくなる。一方、アプリケーションは補助的に確認できればよく、歌詞テロップを主として表示する方が好ましいと考える歌唱者もいる。すなわち、歌唱者によって重視する情報は異なるため、各歌唱者が重視する情報を他の情報よりも見やすく表示することが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、歌唱者が希望する情報を優先的に見やすく提示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係るカラオケ装置は、カラオケ楽曲の演奏中、複数の情報を表示部に表示可能なカラオケ装置である。前記情報はそれぞれ、当該情報を前記表示部に表示させる位置を示す座標データ及び当該情報を前記表示部に表示させるタイミングを示すタイミングデータを有する。カラオケ装置は、判定部と表示制御部とを有する。判定部は、前記座標データ及び前記タイミングデータに基づいて、前記情報同士の表示領域が重複するかを判定する。表示制御部は、前記表示領域が重複すると判定された場合、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係るカラオケ装置は、請求項1記載のカラオケ装置であって、前記表示領域が重複すると判定された場合、前記座標データに基づいて重複する範囲を算出する算出部を有する。また、前記表示制御部は、前記重複する範囲において、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係るカラオケ装置は、請求項1又は2記載のカラオケ装置であって、前記表示領域が重複する情報が3つ以上ある場合、前記表示制御部は、最も優先度の高い情報以外の情報の透過率を上げて表示させる。
【0012】
また、上記課題を解決するために、請求項4に係るカラオケ装置は、請求項3記載のカラオケ装置であって、前記表示制御部は、前記表示領域が重複する情報を優先度に応じて異なる透過率で表示させる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、請求項5に係るカラオケシステムは、カラオケ楽曲の演奏中、複数の情報を装置側表示部に表示可能なカラオケ装置、サーバ、及びカラオケ歌唱に利用可能なユーザー端末を含むカラオケシステムである。前記情報はそれぞれ、当該情報を前記表示部に表示させる位置を示す座標データ及び当該情報を前記表示部に表示させるタイミングを示すタイミングデータを有する。前記カラオケ装置は、判定部と装置側表示制御部とを有する。判定部は、前記座標データ及び前記タイミングデータに基づいて、前記情報同士の表示領域が重複するかを判定する。装置側表示制御部は、前記表示領域が重複すると判定された場合、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させる。前記カラオケ装置または前記サーバの少なくとも一方は、前記透過率に関するデータをカラオケ楽曲毎に記憶する記憶部を有する。前記ユーザー端末は、あるカラオケ楽曲を演奏する場合に、前記サーバを介して受信した当該カラオケ楽曲に対応する前記透過率に関するデータに基づいて透過率を調整した複数の情報を、端末側表示部に表示させる端末側表示制御部を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歌唱者が希望する情報を優先的に見やすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るカラオケ装置の概略を示す図である。
図2】第1実施形態に係るカラオケ本体のハードウェア構成例を示す図である。
図3】第1実施形態に係るカラオケ本体のソフトウェア構成例を示す図である。
図4A】第1実施形態に係るリモコン装置のディスプレイを示す図である。
図4B】第1実施形態に係るリモコン装置のディスプレイを示す図である。
図5】第1実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係るカラオケ本体のソフトウェア構成例を示す図である。
図7】第3実施形態に係るカラオケシステムの概略を示す図である。
図8】第3実施形態に係るユーザー端末のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
図1図5を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置1について説明する。
【0017】
==カラオケ装置==
(ハードウェア構成)
カラオケ装置1は、カラオケ演奏及び歌唱者が歌唱を行うための装置である。図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0018】
スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は歌唱者の音声(歌唱音声)をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。歌唱者はリモコン装置50を用いてカラオケ装置1の起動、楽曲の予約等を行うことができる。
【0019】
カラオケ本体10は、選択された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された歌唱音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。図2はカラオケ本体10のハードウェア構成例を示す図である。カラオケ本体10は、制御部11、通信部12、記憶部13、音響処理部14、表示処理部15及び操作部16を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0020】
制御部11は、CPU11aおよびメモリ11bを備える。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。
【0021】
通信部12は、ルーター(図示なし)を介してカラオケ本体10を通信回線に接続するためのインタフェースを提供する。
【0022】
記憶部13は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。
【0023】
記憶部13は、複数の楽曲データを記憶する。楽曲データは、カラオケ装置1によりカラオケ演奏を行うためのデータである。カラオケ装置1が楽曲データに基づいて楽曲を演奏することにより、歌唱者はカラオケの歌唱が可能となる。楽曲データは、楽曲毎に所定のID(楽曲ID)が付与されている。
【0024】
楽曲データは、MIDIデータ、リファレンスデータ、歌詞データ等が含まれる。MIDIデータは、電子楽器の音源を自動演奏させるためのカラオケ演奏データであり、時系列のノート情報によって構成される。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準となるデータであり、ヴォーカルの音高を表す時系列の音高情報によって構成されている。
【0025】
歌詞データは、カラオケ楽曲に対応する歌詞テロップを表示装置30等に表示させるためのデータである。歌詞データは楽曲毎に予め設定されている。
【0026】
具体的に、歌詞データは、文字データ、座標データ、及びタイミングデータを含む。文字データは、MIDIデータによる演奏に伴って表示される歌詞テロップを構成する具体的な文字の種類(ひらがなの「あ」、漢字の「山」等)を示す。座標データは、各文字を表示させる位置(たとえば、表示画面においてXYで規定される座標値)を示す。タイミングデータは、各文字を表示させるタイミング(開始時間、消去時間)を示す。なお、歌詞データは、各文字の種類(独唱、デュエット曲のパート、ルビ等)を分別するための種別コードや、文字の表示色を示す色データ等を含んでいてもよい。
【0027】
また、記憶部13は、カラオケ演奏時に表示装置30に表示される背景画像やキャラクタ等の映像データを記憶する。映像データは楽曲毎に設定されている。各映像データは、背景画像やキャラクタ等を構成する画像データ、座標データ(背景画像やキャラクタを表示させる位置)及びタイミングデータ(背景画像やキャラクタを表示させる時間、消去する時間)を含む。
【0028】
更に、記憶部13は、各種コンテンツに対応するアイコンデータを記憶する。カラオケ装置1は、歌唱評価用や歌唱補助用コンテンツのプログラムを実行することができる。記憶部13は各コンテンツに対応するアイコンデータを記憶している。アイコンデータは、歌唱者がリモコン装置50等を介して、所定のコンテンツを選択することにより、カラオケ楽曲の演奏に伴って表示装置30等に表示される。
【0029】
アイコンは、たとえば、楽曲のメロディラインをバー表示により視認可能とする「見えるガイドメロディ」、カラオケ楽曲全体における現在の演奏区間を示す「演奏区間アイコン」、楽曲に含まれる「しゃくり」や「こぶし」といった歌唱テクニックの数を示す「テクニック数表示アイコン」等がある。各アイコンデータは、アイコンを構成する画像データ、座標データ及びタイミングデータが含まれている。
【0030】
歌詞データに基づいて表示される歌詞テロップ、映像データに基づいて表示される背景画像やキャラクタ等の映像、アイコンデータに基づいて表示される各種アイコンは、「(表示部に表示可能な)複数の情報」の一例である。
【0031】
なお、本実施形態に係るカラオケ装置1において使用される楽曲データや映像データ等は、記憶部13に記憶されているものではなく、サーバ(図示なし)から直接取得したデータであってもよい。
【0032】
音響処理部14は、制御部11の制御に基づき、カラオケ楽曲に対する演奏の制御およびマイク40を通じて入力された音声信号の処理を行う。音響処理部14は、たとえばMIDI音源、ミキサ、アンプ(いずれも図示なし)を含む。MIDI音源は、楽曲データに基づいて楽音信号を生成する。ミキサは、当該音楽信号およびマイク40から出力される音声信号を適当な比率でミキシングしてアンプに出力する。アンプは、ミキサからのミキシング信号を増幅し、放音信号としてスピーカ20へ出力する。これにより、スピーカ20からは放音信号に基づくカラオケ演奏音およびマイク40からの歌唱音声が放音される。
【0033】
表示処理部15は、制御部11の制御に基づき、表示装置30等における各種表示に関する処理を行う。たとえば、表示処理部15は、カラオケ演奏時における背景映像に歌詞テロップや各種アイコンが重ねられた映像を表示装置30等に表示させる制御を行う。また、本実施形態に係る表示処理部15は、制御部11の制御に基づき、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示装置30やリモコン装置50のディスプレイに表示させる(詳細は後述)。表示装置30やリモコン装置50のディスプレイは「表示部」の一例である。
【0034】
操作部16は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、歌唱者によるカラオケ装置1のパネルスイッチあるいはリモコン装置50の操作に応じて予約信号、中止信号などの操作信号を制御部11に対して出力する。制御部11は、操作部16からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0035】
(ソフトウェア構成)
図3はカラオケ本体10のソフトウェア構成例を示す図である。カラオケ本体10は、判定部100及び透過率調整部200を備える。制御部11は、所定のプログラムを実行することにより、判定部100及び透過率調整部200として機能する。
【0036】
[判定部]
判定部100は、座標データ及びタイミングデータに基づいて、情報同士の表示領域が重複するかを判定する。
【0037】
たとえば、歌詞テロップの表示領域とテクニック数表示アイコンの表示領域とが重複するかを判定する例について説明する。
【0038】
まず、判定部100は、各情報が有するタイミングデータに基づいて、表示されるタイミングが同じ歌詞テロップ(歌詞テロップを構成する文字)及びアイコンがあるかどうかを確認する。
【0039】
表示されるタイミングが同じ情報がある場合、判定部100は、表示されるタイミングが同じ文字の座標値を座標データから求める。同様に、判定部100は、表示されるタイミングが同じアイコンの座標値を座標データから求める。判定部100は、これらの座標値を比較することにより、歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンの表示領域が重複するかを判定する。
【0040】
たとえば、表示画面の座標が(X:Y)=(0〜1000:0〜1000)で規定されるとする。ここで、歌詞テロップの座標データが(100〜900:100〜600)であり、テクニック数表示アイコンの座標データが(100〜400:500〜700)であったとする。この場合、少なくとも座標(100〜400:500〜600)の範囲では、2つの情報が重複することになる。
【0041】
なお、上記では、2つの情報について表示領域が重複するかを判定する例について述べたがこれに限られない。情報が3つ以上ある場合であっても、判定部100は、各情報について表示領域が重複するかを判定する。たとえば、情報I1、情報I2、情報I3がある場合、判定部100は、情報I1と情報I2の表示領域の重複、情報I1と情報I3の表示領域の重複、情報I2と情報I3の表示領域の重複、情報I1〜情報I3の表示領域の重複をそれぞれ判定する。
【0042】
[透過率調整部]
透過率調整部200は、表示領域が重複すると判定された場合、表示処理部15を制御し、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させる。透過率調整部200及び表示処理部15は「表示制御部」の一例である。
【0043】
各種情報に対する優先度は予め設定することができる。優先度の設定例について図4A及び図4Bを参照して説明する。
【0044】
リモコン装置50を用いて楽曲Aを予約すると、リモコン装置50のディスプレイには楽曲Aについて詳細設定画面(図4A参照)が表示される。
【0045】
詳細設定画面においては、表示させる情報を選択するオプション設定(歌詞テロップ有無、背景画像有無、見えるガイドメロディ有無、テクニック数表示有無、演奏区間表示有無等)が可能である。図4Aでは、表示させる情報として歌詞テロップ及びテクニック数表示を選択した例を示す。
【0046】
そして、優先度設定ボタンを選択することにより表示される優先度設定画面において、オプション設定した情報に対する優先度を設定することができる(図4B参照)。図4Bでは、歌詞テロップの優先度をテクニック数表示の優先度よりも高く設定した例を示す。
【0047】
上記のように優先度が設定された場合、透過率調整部200は、まず表示画面の奥側のレイヤから順に優先順位が高く設定された情報を割り当てる。具体的には、透過率調整部200は、表示画面の最も奥側のレイヤに「歌詞テロップ」を割り当て、次のレイヤ(歌詞テロップを割り当てたレイヤよりも手前側のレイヤ)に「テクニック数表示アイコン」を割り当てる。このように、種類が異なる情報は異なるレイヤに割り当てられる。
【0048】
次に、優先度が設定された情報について判定部100により表示領域が重複すると判定された場合、透過率調整部200は、優先度の低い情報(上述の例でいえばテクニック数表示アイコン)について、重複しない領域も含めた全体を予め設定された透過率(通常の透過率よりも低い透過率)となるよう調整する。
【0049】
そして、カラオケ楽曲の演奏に合わせ、透過率調整部200は、表示処理部15を制御し、歌詞テロップは通常の透過率(0%)で表示させつつ、テクニック数表示アイコンは透過率を上げて(たとえば50%)表示させる。
【0050】
なお、透過率の調整は、演奏前の処理として予め行っておいてもよいし、カラオケ楽曲の演奏に合わせてリアルタイムに行ってもよい。
【0051】
また、表示領域が重複する情報が3つ以上ある場合、透過率調整部200は、表示処理部15を制御し、最も優先度の高い情報以外の情報の透過率を上げて表示させることも可能である。たとえば、歌詞テロップ、見えるガイドメロディ、演奏区間の順で優先度が設定されている場合、透過率調整部200は、見えるガイドメロディアイコン及び演奏区間アイコンの透過率を歌詞テロップの透過率よりも上げて表示させる。
【0052】
更に、透過率調整部200は、表示処理部15を制御し、表示領域が重複する情報を優先度に応じて異なる透過率で表示させてもよい。たとえば、歌詞テロップ、見えるガイドメロディ、演奏区間の順で優先度が設定されている場合、透過率調整部200は、歌詞テロップの透過率を0%、見えるガイドメロディアイコンの透過率を50%、演奏区間アイコンの透過率を70%として表示させてもよい。
【0053】
==カラオケ装置1の動作について==
次に、図5を参照して本実施形態に係るカラオケ装置1の動作の具体例について述べる。図5は、カラオケ装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0054】
歌唱者は、リモコン装置50を介し楽曲を選択する。その際、楽曲の演奏中に表示装置30に表示させることが可能な複数の情報の中から所望の情報を選択する(表示する情報の選択。ステップ10)。
【0055】
次に、歌唱者は、リモコン装置50を介し表示する情報について優先度を設定する(優先度の設定。ステップ11)。リモコン装置50は、選択された楽曲に対応する楽曲ID、ステップ10で選択された情報、及びステップ11で設定された優先度をカラオケ本体10に送信する。なお、ステップ10で選択された情報が一つの場合には、ステップ11以降の処理は行う必要がない。
【0056】
判定部100は、ステップ10で選択された情報が有する座標値データ及びタイミングデータに基づいて、情報同士の表示領域が重複するかを判定する(重複判定。ステップ12)。
【0057】
情報同士の表示領域が重複すると判定された場合(ステップ12でYの場合)、透過率調整部200は、重複する表示領域について、ステップ11で予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げる処理を行う(透過率を調整する。ステップ13)。
【0058】
一方、情報同士の表示領域が重複しないと判定された場合(ステップ12でNの場合)、透過率調整部200は、各情報の透過率を変更する処理は行わない。
【0059】
透過率調整部200は、表示処理部15を制御し、楽曲の演奏に合わせて、ステップ13で調整された透過率に基づきステップ10で選択された情報を表示させる。或いは、透過率調整部200は、表示処理部15を制御し、ステップ10で選択された情報それぞれを同じ透過率で表示させる(情報の表示。ステップ14)。
【0060】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置1によれば、複数の情報を表示画面に表示させる場合において、歌唱者が希望する情報を優先的に見やすく提示できる。すなわち、各情報に設定された優先度に基づき、優先度が低く設定された情報の透過率を上げることにより、優先度が高く設定された情報をより見やすく表示できる。優先度が低く設定された情報は、その歌唱者にとっては補助的な位置付けの情報である。よって、透過率を上げることにより多少見難くなったとしても、歌唱者にとっては大きな問題とはならない。また、複数の情報が重複する場合であっても、情報の表示位置自体は固定されているため、表示位置の変更により情報を把握し難く感じることもない。
【0061】
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態に係るカラオケ装置1について説明する。第1実施形態では、情報同士の表示領域が重複すると判定された場合に、優先度の低い方の情報全体の透過率を上げて表示させる例について述べた。一方、本実施形態では、優先度の低い情報のうち、優先度の高い情報と重複する範囲のみ透過率を上げて表示させる例について述べる。なお、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0062】
(ソフトウェア構成)
図6はカラオケ本体10のソフトウェア構成例を示す図である。本実施形態に係るカラオケ本体10は、判定部100、透過率調整部200、及び算出部300を備える。
【0063】
制御部11は、所定のプログラムを実行することにより、判定部100、透過率調整部200、及び算出部300として機能する。判定部100は第1実施形態と同様の処理を行う。
【0064】
算出部300は、判定部100において情報同士の表示領域が重複すると判定された場合、それら情報の座標データに基づいて重複する範囲を算出する。たとえば段落[0040]の例において、算出部300は、座標データから2つの情報が重複する範囲である(X:Y)=(100〜400:500〜600)を算出する。
【0065】
本実施形態に係る透過率調整部200は、表示処理部15を制御し、算出部300で算出された重複する範囲において、予め設定された優先度が低い方の情報の透過率を上げて表示させる。たとえば段落[0040]の例において、透過率調整部200は、重複する範囲である(X:Y)=(100〜400:500〜600)については、優先度の低いテクニック数表示アイコンの透過率を上げて表示させる。一方、透過率調整部200は、それ以外の範囲((X:Y)=(100〜400:601〜700))で表示されるテクニック数表示アイコンについては透過率を変えずに表示させる(歌詞テロップと同じ透過率で表示させる)。
【0066】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置1によれば、重複している表示領域のみの透過率を変えるだけであるため、重複していない領域については優先度の低い情報であっても見やすくすることができる。
【0067】
<第3実施形態>
図7及び図8を参照して、第3実施形態に係るカラオケシステム1000について説明する。本実施形態におけるカラオケシステム1000は、第1実施形態または第2実施形態のカラオケ装置1により得られた透過率に関するデータを活用するためのシステムである。なお、第1実施形態等と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0068】
家庭等でも気軽にカラオケ歌唱が楽しめるよう、カラオケ演奏が可能なユーザー端末(家庭用ゲーム機等)が普及している。しかし、ユーザー端末は、一般にメモリの制約があるため大量のデータを記憶することができない。そこで、サーバ側で予め楽曲データと歌詞データ及び背景画像データに基づくストリーミングデータを構築しておき、ユーザー端末からのリクエスト要求に応じて、対象楽曲のストリーミングデータをユーザー端末に送信する。ユーザー端末では、サーバから送信されてくるストリーミングデータを用いて音声を出力し、また背景画像及び歌詞テロップの映像を表示させる。この場合、ユーザー端末は歌詞データを持たない。従って、ダウンロード等で予めユーザー端末に記憶されているプログラムに基づいた他のコンテンツ(見えるガイドメロディ等)を、歌詞テロップに重畳表示させる場合であっても、ユーザー端末は、上記実施形態に係るカラオケ装置1のように優先度に応じて情報の透過率を変える処理を行うことができない。
【0069】
一方、ユーザー端末を用いてカラオケ歌唱を行う場合であっても、歌唱者が希望する情報を優先的に見やすく提示することが求められる。たとえば、カラオケ店で歌唱した歌唱者が自宅でも同様の情報を表示させて歌唱練習を行う場合等である。
【0070】
図7は、本実施形態に係るカラオケシステム1000を示す。カラオケシステム1000は、カラオケ装置1、サーバS、ユーザー端末Uを含んで構成される。カラオケ装置1は、カラオケ店舗の各カラオケルーム等に設置される。カラオケ装置1の詳細な構成は第1実施形態等と同様である。ユーザー端末Uは、たとえば家庭用ゲーム機等、歌唱者が個人で所有できる機器である。カラオケ装置1、サーバS、及びユーザー端末Uは、ネットワークNを介して通信可能となっている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線である。
【0071】
ここで、カラオケ装置1において、ログイン済みの歌唱者が楽曲Aを歌唱する際に表示させる情報として歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンを選択するとともに、歌詞テロップの優先度を高く設定し、楽曲Aの演奏時に選択された情報と設定された優先度に応じて透過率の値が調整されたとする。この場合、カラオケ装置1は、楽曲Aと、選択された情報の透過率に関するデータ(情報の種類、各情報の優先度、及び各情報において調整された時系列の透過率の値)を対応付けて記憶部13に記憶する。そして、歌唱者がカラオケ装置1にてログアウトを行うと、当該データはサーバSにアップロードされて所定の記憶部に記憶される。このように楽曲に対して、選択された情報の種類、及び各情報に設定された優先度毎に、各情報における調整された時系列の透過率の値がサーバSに蓄積される。
【0072】
本実施形態におけるカラオケ装置1の表示装置30またはリモコン装置50のディスプレイは「装置側表示部」の一例であり、表示処理部15及び透過率調整部200は「装置側表示制御部」の一例である。
【0073】
==ユーザー端末==
(ハードウェア構成)
図8に示す通り、ユーザー端末Uは、制御部U1、通信部U2、記憶部U3、端末側表示部U4を有する。制御部U1は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。本実施形態では、制御部U1は、所定のプログラムを実行することにより、端末側表示制御部U10として機能する。
【0074】
通信部U2は、ルーター(図示なし)を介してユーザー端末UをネットワークNに接続するためのインタフェースを提供する。
【0075】
記憶部U3は、ユーザー端末Uで利用する各種のデータ(たとえば、各種コンテンツのプログラムやアイコンデータ)を記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。
【0076】
端末側表示部U4は制御部U1からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。
【0077】
ここで、歌唱者が自宅でユーザー端末Uを使用して楽曲Aの歌唱を行う例について述べる。また、サーバSの所定の記憶部には、楽曲Aに対し、選択された情報の種類、各情報に設定された優先度、各情報における調整された時系列の透過率の値が、透過率に関するデータとして関連付けられて記憶されている。具体的には情報の種類として歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンが、また優先度として歌詞テロップの優先度の方が高いこと、更に歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンにおける調整された時系列の透過率の値とが関連付けられて記憶されているとする。
【0078】
この場合、歌唱者は、まずユーザー端末Uのインターフェースを利用して楽曲Aを選択する。また、端末側表示部U4に表示させる情報として、歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンを選択するとともに、歌詞テロップの優先度を高く設定して楽曲Aのリクエストを行う。
【0079】
ユーザー端末Uは、歌唱者からのリクエスト要求に応じてサーバSにアクセスし、楽曲Aに対応付けられた情報の種類が歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンであり、歌詞テロップの優先度の方が高い透過率に関するデータを受信する。
【0080】
端末側表示制御部U10は、カラオケ楽曲Aを演奏する場合に、サーバSを介して受信した上記情報の透過率に関するデータに基づいて歌詞テロップ及びテクニック数表示アイコンにおける透過率を調整した情報を、端末側表示部U4に表示させる。具体的には、端末側表示制御部U10は、透過率に関するデータに基づき、歌詞テロップとテクニック数表示アイコンが重複するタイミングでは、テクニック数表示アイコンの透過率を上げて端末側表示部U4に表示させる。すなわち、端末側表示部U4に表示される各情報は、カラオケ装置1で表示される情報と同じ透過率で表示される。
【0081】
このように、本実施形態に係るカラオケシステム1000によれば、カラオケ装置1で得られた透過率に関するデータを利用することにより、ユーザー端末Uのように一部の情報に関するデータを直接持たない端末であっても、カラオケ装置1と同様に歌唱者が希望する情報を優先的に見やすく表示することができる。
【0082】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 カラオケ装置
10 カラオケ本体
11 制御部
13 記憶部
30 表示装置
50 リモコン装置
100 判定部
200 透過率調整部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8