【文献】
SUAREZ-QUIROZ Mirna Leonor et al.,Isolation of green coffee chlorogenic acids using activated carbon,Journal of Food Composition and Analysis,2014年 2月,33 (1),55-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記活性炭(A)と前記活性炭(B)との細孔容積の差[(B)−(A)]が0.5〜1.5mL/gである、請求項1記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
第3の工程において、第2の工程により得られた溶液に活性炭(A)と活性炭(B)を別々に接触させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
第3の工程において、第2の工程により得られた溶液に活性炭(A)を接触後、活性炭(B)を接触させる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
前記第1の工程において、酸性白土、活性白土及びろ過助剤から選ばれる1種又は2種以上を添加する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
前記第2の工程後、前記第3の工程前に、又は前記第3の工程後に、活性炭処理前又は活性炭処理後の溶液のpH(20℃)を0.2〜3.8に調整する工程を備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
前記第3の工程に係る活性炭(A)の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、0.4〜2.0質量倍である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
前記第3の工程に係る活性炭(B)の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、0.1〜0.8質量倍である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法について説明する。
本発明の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法は、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程とを備えるものである。以下、各工程について詳細に説明する。
【0010】
(第1の工程)
第1の工程は、原料クロロゲン酸類含有組成物を有機溶媒水溶液に分散又は溶解する工程である。
【0011】
原料クロロゲン酸類含有組成物としては、クロロゲン酸類が含まれていれば特に限定されないが、例えば、クロロゲン酸類を含む植物の抽出物を使用することができる。このような植物抽出物としては、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ、南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等から抽出されたものが挙げられる。なお、抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法及び条件を採用することができる。これらの中でも、原料クロロゲン酸類含有組成物としては、クロロゲン酸類含量等の点から、コーヒー豆の抽出物が好ましい。また、抽出に使用するコーヒー豆は、クロロゲン酸類の含量等の点から、生コーヒー豆、浅焙煎コーヒー豆が好ましく、生コーヒー豆が更に好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値は、クロロゲン酸類含量の点から、27以上が好ましく、29以上がより好ましく、35以上が更に好ましく、45以上が殊更に好ましく、また風味の観点から、62未満が好ましく、60以下がより好ましく、55以下が更に好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値の範囲としては、好ましくは27以上62未満、より好ましくは27以上60以下、更に好ましくは29以上55以下、より更に好ましくは35以上55以下、殊更に好ましくは45以上55以下である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。
【0012】
コーヒーの木の種類は、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種のいずれでもよい。また、コーヒー豆の産地は特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グアテマラ、ベトナム等が挙げられる。なお、コーヒー豆の豆種及び産地は嗜好性に応じて適宜選択することが可能であり、また豆種又は産地の異なるコーヒー豆を2種以上使用しても構わない。また、焙煎度の異なるコーヒー豆を2種以上使用することも可能である。焙煎度の異なるコーヒー豆を使用する場合、L値が上記範囲外のものを用いても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内となるように適宜組み合わせて使用することが好ましい。L値の平均値は、コーヒー豆のL値に、当該コーヒー豆の含有質量比率を乗じた値の総和として求められる。なお、コーヒー豆からの抽出方法及び抽出条件は特に限定されないが、例えば、特開昭58−138347号公報、特開昭59−51763号公報、特開昭62−111671号公報、特開平5−236918号公報等に記載の方法を採用することができる。
また、原料クロロゲン酸類含有組成物として市販のクロロゲン酸類含有製剤を使用してもよく、例えば、フレーバーホルダーRC(長谷川香料株式会社製)が挙げられる。なお、原料クロロゲン酸類含有組成物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体等の種々のものが挙げられる。
【0013】
ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸を併せての総称であり、クロロゲン酸類の含有量は上記6種の合計量に基づいて定義される。
【0014】
原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類の含有量は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、そして70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。かかる固形分中のクロロゲン酸類の含有量の範囲としては、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは25〜50質量%である。ここで、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
【0015】
原料クロロゲン酸類含有組成物の分散又は溶解に使用する有機溶媒水溶液中の有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステルが挙げられる。これらの中でも、アルコール、ケトンの親水性有機溶媒が好ましく、食品への使用を考慮すると、アルコールがより好ましく、エタノールが更に好ましい。
【0016】
有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、色相の安定性の向上、濁りの抑制の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上がより更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率の点から、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、70質量%以下がより更に好ましい。かかる有機溶媒濃度の範囲としては、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20〜85質量%、更に好ましくは30〜75質量%、より更に好ましくは40〜70質量%である。
【0017】
有機溶媒水溶液の濃度調整方法としては、例えば、有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が上記範囲内となるように有機溶媒と水を混合する方法、原料クロロゲン酸類含有組成物を水に溶解後、有機溶媒を添加して有機溶媒濃度を上記範囲内に調整する方法、原料クロロゲン酸類含有組成物を有機溶媒に懸濁後、徐々に水を添加して有機溶媒濃度を上記範囲内に調整する方法等が挙げられる。
【0018】
有機溶媒水溶液の使用量は、クロロゲン酸類の回収率及び色相の安定性の向上、濁りの抑制の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して、1質量倍以上が好ましく、2質量倍以上がより好ましく、3質量倍以上が更に好ましく、そして40質量倍以下が好ましく、20質量倍以下がより好ましく、10質量倍以下が更に好ましい。かかる有機溶媒水溶液の使用量の範囲としては、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは3〜10質量部である。
【0019】
本工程においては、原料クロロゲン酸類含有組成物と有機溶媒水溶液とを混合して分散液又は溶解液を調製する際に、酸性白土、活性白土及びろ過助剤から選ばれる少なくとも1種を混合してもよい。
【0020】
酸性白土又は活性白土としては、ともに一般的な化学成分として、SiO
2、Al
2O
3、Fe
2O
3、CaO、MgO等を含有するものであれば特に限定されないが、SiO
2/Al
2O
3の質量比が3〜12のものが好ましく、4〜9のものが更に好ましい。また、Fe
2O
3を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性を変化させることができる。
【0021】
酸性白土及び活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m
2/gが好ましい。また、pH(5%サスペンジョン、20℃)は、2.5〜8が好ましく、3.6〜7が更に好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
本工程においては、酸性白土及び活性白土のうち、酸性白土が好適に使用される。
【0022】
酸性白土及び活性白土の使用量は、クロロゲン酸類の回収率及び色相の安定性の向上、濁りの抑制の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましく、そして200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下が更に好ましい。酸性白土及び活性白土の使用量の範囲としては、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部、更に好ましくは30〜100質量部である。
【0023】
ろ過助剤としては、食品工業の分野で通常使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、珪藻土、セルロース及びこれらを組み合わせたものを挙げることができる。
ろ過助剤の使用量は、クロロゲン酸類の回収率の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましく、そして30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。ろ過助剤の使用量の範囲としては、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは3〜20質量部である。
【0024】
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程により得られた分散液又は溶解液中の析出物を除去する工程である。
【0025】
析出物の除去方法としては、食品工業の分野で通常使用されている方法を採用することができるが、例えば、ろ紙ろ過、遠心分離、膜ろ過等の固液分離が挙げられる。固液分離は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて行うことができる。
【0026】
ろ紙ろ過においては、ろ紙上にろ過助剤をプレコートしてもよく、ろ過助剤としては前述と同様のものを挙げられる。ろ過助剤の使用量は、前述と同様の使用量を採用することができる。また、加圧ろ過、吸引ろ過等のろ過方法も採用することもできる。
【0027】
遠心分離に用いる遠心分離機としては、分離板型、円筒型、デカンター型等の一般的な機器を使用することができる。遠心分離する際の温度は、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、好ましくは5〜70℃、更に好ましくは10〜40℃である。また、回転数と時間は適宜設定可能であるが、例えば、分離板型の場合、回転数は、好ましくは2000〜10000r/min、より好ましくは2500〜9000r/min、更に好ましくは3000〜8000r/minであり、時間は、好ましくは0.2〜75分、より好ましくは0.5〜60分、更に好ましくは1〜30分である。
【0028】
膜ろ過による処理条件としては、一般的なろ過条件で処理することができる。膜孔径は、色相の安定性向上、濁り抑制の観点から、及びクロロゲン酸類の回収率、ろ過効率の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましく、0.2μm以上が更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率、ろ過効率の観点から、及び色相の安定性向上、濁り抑制の観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、2μm以下が更に好ましい。かかる膜孔径の範囲としては、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.15〜5μm、更に好ましくは0.2〜2μmである。なお、膜孔径の測定方法としては、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法等を用いた一般的な測定方法が挙げられるが、バブルポイント試験で求めた値を用いることが好ましい。膜ろ過で使用する膜の材質としては、例えば、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等が挙げることができる。
【0029】
(第3の工程)
第3の工程は、第2の工程により得られた溶液に、細孔容積が0.3〜1.0mL/gの活性炭(A)と、該活性炭(A)よりも細孔容積の大きい活性炭(B)と含む活性炭と接触させる工程である。ここで「細孔容積」とは、活性炭が有する細孔の容積の総量をいい、その物性値は窒素ガス吸着法に基づくものである。
【0030】
活性炭の細孔容積の測定は、一般的な窒素ガス吸着法で測定された値を用いることができる。 例えば、測定装置として、アサップ2020(マイクロメリックス社製)、又はオートソープ3B(カンタークローム社製)が挙げられる。
【0031】
活性炭(A)は、細孔容積が0.3〜1.0mL/gであるが、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、0.33mL/g以上が好ましく、0.37mL/g以上がより好ましく、0.40mL/g以上が更に好ましく、0.43mL/g以上がより更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率の観点から、0.94mL/g以下が好ましく、0.64mL/g以下がより好ましく、0.60mL/g以下が更に好ましく、0.55mL/g以下がより更に好ましい。活性炭(A)の細孔容積の範囲としては、好ましくは0.33〜0.94mL/g、より好ましくは0.37〜0.64mL/g、更に好ましくは0.40〜0.60mL/g、より更に好ましくは0.43〜0.55mL/gである。
【0032】
活性炭(B)は、活性炭(A)よりも細孔容積が大きいものであれば、細孔容積が前記範囲内であっても構わない。活性炭(B)の細孔容積は、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、1.0mL/g以上が好ましく、1.2mL/g以上がより好ましく、1.3mL/g以上が更に好ましく、1.4mL/g以上がより更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率の観点から、2.0mL/g以下が好ましく、1.8mL/g以下がより好ましく、1.7mL/g以下が更に好ましく、1.6mL/g以下がより更に好ましい。活性炭(B)の細孔容積の範囲としては、好ましくは1.0〜2.0mL/g、より好ましくは1.2〜1.8mL/g、更に好ましくは1.3〜1.7mL/g、より更に好ましくは1.4〜1.7mL/g、殊更に好ましくは1.4〜1.6mL/gである。
【0033】
活性炭(A)と活性炭(B)との細孔容積の差[(B)−(A)]は0.1〜1.5mL/gであるが、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、0.5mL/g以上が好ましく、0.7mL/g以上がより好ましく、0.9mL/g以上が更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率の観点から、1.4mL/g以下が好ましく、1.3mL/g以下がより好ましく、1.2mL/g以下が更に好ましく、1.1mL/g以下がより更に好ましい。かかる細孔容積の差[(B)−(A)]の範囲としては、好ましくは0.5〜1.5mL/g、より好ましくは0.5〜1.4mL/g、更に好ましくは0.7〜1.3mL/g、より更に好ましくは0.9〜1.2mL/g、殊更に好ましくは0.9〜1.1mL/gである。
【0034】
また、活性炭(A)と活性炭(B)との細孔容積の比率[(B)/(A)]は、クロロゲン酸類の回収率の観点から、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましく、3.1以上がより更に好ましく、また色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、4.0以下が好ましく、3.7以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましく、3.3以下がより更に好ましい。かかる比率[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2.0〜3.7、更に好ましくは2.5〜3.5、より更に好ましくは3.1〜3.3であり、また1.5〜3.5であってもよい。
【0035】
活性炭の由来原料としては、一般に食品工業用に使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、木質(例えば、オガコ)、石炭、ヤシ殻等の各種の有機物原料を挙げることができる。また、水蒸気等のガスや薬品により賦活した活性炭を用いてもよい。また、活性炭の形状は、粉末状、粒状及び繊維状のいずれでもよく、適宜選択することができる。
【0036】
本発明においては、前述の有機物原料を炭化して活性炭を製造し、所望の細孔容積を有するものを採取して使用してもよいが、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、粒状白鷺WH2C SS、粒状白鷺WH2C LSS、粒状白鷺KL(以上、日本エンバイロケミカルズ社製)、クラレコールGW、クラレコールGWH、クラレコールGLC(以上、クラレケミカル社製)、M20−SWC(三菱化学カルゴン社製)、太閤SGP(フタムラ化学社製)等を挙げることができる。
【0037】
活性炭との接触方法は、例えば、バッチ式、連続式等を挙げることができる。中でも、生産効率の観点から、カラムに活性炭を充填して連続的に通過させる連続式が好ましい。連続式の場合、全活性炭容量に対する空間速度(SV)は、0.05[h
-1]以上が好ましく、0.15[h
-1]以上がより好ましく、0.2[h
-1]以上が更に好ましく、そして10[h
-1]以下が好ましく、5[h
-1]以下がより好ましく、1[h
-1]以下が更に好ましい。かかる空間速度(SV)の範囲としては、好ましくは0.05〜10[h
-1]、より好ましくは0.15〜5[h
-1]、更に好ましくは0.2〜1[h
-1]である。また、全活性炭容量に対する通液倍数(BV)は、0.5[v/v]以上が好ましく、1.0[v/v]以上がより好ましく、1.5[v/v]以上が更に好ましく、そして20[v/v]以下が好ましく、10[v/v]以下がより好ましく、5.0[v/v]以下が更に好ましい。かかる通液倍数(BV)としては、好ましくは0.5〜20[v/v]、より好ましくは1.0〜10[v/v]、更に好ましくは1.5〜5.0[v/v]である。
【0038】
また、第2の工程により得られた溶液に、活性炭(A)及び活性炭(B)を混合して接触させても、活性炭(A)及び活性炭(B)を別々に接触させてもよいが、活性炭(A)及び活性炭(B)を別々に接触させることが好ましく、濁り抑制、とりわけ低温での濁り抑制の観点から、活性炭(A)を接触後、活性炭(B)を接触させることが更に好ましい。
更に、活性炭(A)及び活性炭(B)を別々に連続式で接触させる場合、活性炭(A)及び活性炭(B)を別個のカラムに充填しても、同一カラム内に活性炭(A)及び活性炭(B)をそれぞれ層状に積層して充填してもよい。その場合、通液方向に対して、上流側に活性炭(A)を、下流側に活性炭(B)を仕込むことが好ましい。
【0039】
活性炭(A)の使用量は、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、0.2質量倍以上が好ましく、0.4質量倍以上がより好ましく、0.5質量倍以上が更に好ましく、0.6質量倍以上がより更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率の観点から、2.0質量倍以下が好ましく、1.7質量倍以下がより好ましく、1.5質量倍以下が更に好ましく、1.2質量倍以下がより更に好ましい。活性炭(A)の使用量の範囲としては、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、好ましくは0.2〜2.0質量倍、より好ましくは0.4〜2.0質量倍、更に好ましくは0.4〜1.7質量倍、より更に好ましくは0.5〜1.5質量倍、殊更に好ましくは0.6〜1.2質量倍である。
【0040】
活性炭(B)の使用量は、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、0.1質量倍以上が好ましく、0.15質量倍以上がより好ましく、0.2質量倍以上が更に好ましく、またクロロゲン酸類の回収率の観点から、0.8質量倍以下が好ましく、0.6質量倍以下がより好ましく、0.4質量倍以下が更に好ましい。活性炭(B)の使用量の範囲としては、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、好ましくは0.1〜0.8質量倍、より好ましくは0.15〜0.6質量倍、更に好ましくは0.2〜0.4質量倍である。
【0041】
活性炭(A)と活性炭(B)との質量比[(B)/(A)]は、クロロゲン酸類の回収率の観点から、0.1以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.2以上が更に好ましく、0.25以上がより更に好ましく、また色相の安定性の向上及び濁りの抑制の観点から、2.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.7以下が更に好ましく、0.6以下がより更に好ましく、0.5以下がより更に好ましく、0.4以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.1〜0.7、更に好ましくは0.15〜0.7、より更に好ましくは0.2〜0.6、より更に好ましくは0.25〜0.5、殊更に好ましくは0.25〜0.4であり、また0.1〜0.5であってもよい。
【0042】
活性炭との接触温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上が更に好ましく、そして60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。かかる接触温度の範囲としては、好ましくは0〜60℃、より好ましくは10〜50℃、更に好ましくは15〜40℃である。
【0043】
また、活性炭との接触前に、第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類の濃度を調整してもよい。第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類濃度は、クロロゲン酸類の回収率及び色相の安定性の向上、濁りの抑制の観点から、2.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、3.5質量%以上が更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましく、そして7質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、5.5質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましい。かかるクロロゲン酸類濃度の範囲としては、好ましくは2.5〜7質量%、より好ましくは3〜6質量%、更に好ましくは3.5〜5.5質量%、更に好ましくは4〜5質量%である。なお、濃度調整方法としては、例えば、固液分離の際に、より具体的には固液分離の途中又は後に、水及び有機溶媒から選ばれる1種又は2種を用いてクロロゲン酸類濃度を上記範囲内に調整する方法が挙げられる。
【0044】
更に、活性炭と接触させる際に、又は活性炭と接触後に、酸性飲料としたときの色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、活性炭処理前又は処理後の溶液のpH(20℃)を0〜4に調整することができる。pH(20℃)は、色相の安定性向上、濁りの抑制の観点から、強酸性から弱酸性が好ましく、0.2以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましく、1.5以上がより更に好ましく、そして3.8以下が好ましく、3.6以下がより好ましく、3.4以下が更に好ましく、3.2以下がより更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは0.2〜3.8、より好ましくは0.7〜3.6、更に好ましくは1.0〜3.4、より更に好ましくは1.5〜3.2である。
【0045】
pH調整方法としては、例えば、活性炭処理前又は処理後の溶液に酸を添加する方法、又は活性炭処理前又は処理後の溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法等が挙げられる。pH調整は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて行うことができる。
pH調整に使用する酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸、燐酸、塩酸等の無機酸又はそれらの塩が挙げられる。
また、カチオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を有するカチオン交換樹脂が挙げられ、中でもスルホン酸基を有するカチオン交換樹脂が好ましい。市販品として、例えば、アンバーライト200CT、アンバーライトIR120B、アンバーライトIR124、アンバーライトIR118(以上、オルガノ社(供給元:米国ローム&ハース社))、ダイヤイオンSK1B、ダイヤイオンSK1BH、ダイヤイオンSK102、ダイヤイオンPK208、ダイヤイオンPK212(以上、三菱化学社製)等を挙げることができる。カチオン交換樹脂の使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分質量に対して、好ましくは0.1〜10mL/g、より好ましくは0.2〜5mL/g、更に好ましくは0.3〜2mL/gである。
中でも、pH調整方法としては、H形に交換されたカチオン交換樹脂に接触させる方法が好ましい。
【0046】
カチオン交換樹脂との接触方法としては、バッチ式、連続式等が挙げられるが、中でも、生産効率の観点から、カラムにカチオン交換樹脂を充填して連続的に通過させる連続式が好ましい。連続式の場合、活性炭とカチオン交換樹脂とを別個のカラムに充填して処理しても、また活性炭とカチオン交換樹脂とを同一カラム内に充填して処理することもできる。
【0047】
また、活性炭との接触後、活性炭処理液を固液分離に供してもよい。固液分離としては、例えば、ろ紙ろ過、遠心分離、膜ろ過等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて行うことができる。具体的な操作方法は、第2の工程において説明したとおりである。
【0048】
このようにして本発明の精製クロロゲン酸類含有組成物を得ることができるが、精製クロロゲン酸類含有組成物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体等の種々のものが挙げられる。
【0049】
精製クロロゲン酸類含有組成物は、濃縮液とすることができる。濃縮法としては、常圧にて溶媒の蒸発を行う常圧濃縮法、減圧にて溶媒の蒸発を行う減圧濃縮法、膜分離により溶媒を除去する膜濃縮法等が挙げられるが、減圧濃縮法が作業効率と品質維持の点で好ましい。濃縮時の温度は、20〜70℃が好ましく、25〜65℃がより好ましく、30〜60℃が更に好ましい。
また、精製クロロゲン酸類含有組成物の製品形態として固体の場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により粉体化することができる。
【0050】
本発明の製造方法により得られた精製クロロゲン酸類含有組成物は、下記の特性(i)〜(v)を具備することができる。
(i)精製クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類濃度6質量%に調整したときの製造後の濁度(6質量%に調整した直後の濁度)を、好ましくは200NTU以下、より好ましくは100NTU以下、更に好ましくは40NTU以下、より更に好ましくは20NTU以下とすることができる。ここで、本明細書において「濁度」とは、実施例に記載の方法により測定したものをいう。また、「NTU」とは、ホルマジン濁度標準を使用したホルマジン濁度の測定単位である。
(ii)精製クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類濃度6質量%に調整し、5℃で12時間保存した後の濁度を、好ましくは500NTU以下、より好ましくは200NTU以下、更に好ましくは100NTU以下、更に好ましくは40NTU以下、より更に好ましくは20NTU以下とすることができる。
(iii)精製クロロゲン酸類含有組成物は、風味の観点から、固形分中にクロロゲン酸類を、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは25〜75質量%、更に好ましくは40〜70質量%含有することができる。
(iv)精製クロロゲン酸類含有組成物は、カフェインとクロロゲン酸類との質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)を、風味の観点から、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.005以下、更に好ましくは0.002以下とすることができる。なお、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比の下限は特に限定されず、0であってもよい。
(v)精製クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類濃度を0.064質量%に調整したときのLab表色系におけるb値を、好ましくは0〜2.0、より好ましくは0〜1.0、更に好ましくは0〜0.8、より更に好ましくは0〜0.5とすることができる。
ここで、本明細書において「b値」とは、色をLab表色系で表現したときに色相、彩度を表す座標値の一つであって、黄色方向の彩度を示す座標値である。
【0051】
上記実施形態に関し、本発明は更に以下の製造方法を開示する。
<1>
原料クロロゲン酸類含有組成物を有機溶媒水溶液に分散又は溶解する第1の工程と、
該第1の工程により得られた分散液又は溶解液中の析出物を除去する第2の工程と、
該第2の工程により得られた溶液に、細孔容積が0.3〜1.0mL/gの活性炭(A)と、該活性炭(A)よりも細孔容積の大きい活性炭(B)と含む活性炭と接触させる第3の工程
を備え、
活性炭(A)と活性炭(B)との細孔容積の差[(B)−(A)]が0.1〜1.5mL/gである、精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0052】
<2>
前記原料クロロゲン酸類含有組成物が、好ましくはヒマワリ種子、リンゴ未熟果、コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ、南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、及びブドウ科植物から選ばれる1種又は2種以上の植物の抽出物であり、より好ましくはコーヒー豆であり、更に好ましくは生コーヒー豆、及び浅焙煎コーヒー豆から選ばれる1種又は2種の抽出物であり、より更に好ましくは生コーヒー豆の抽出物である、前記<1>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<3>
前記浅焙煎コーヒー豆のL値が、好ましくは27以上、より好ましくは29以上、更に好ましくは35以上、より更に好ましくは45以上であって、好ましくは62未満、より好ましくは60以下、更に好ましくは55以下である、前記<2>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<4>
前記浅焙煎コーヒー豆のL値が、好ましくは27以上62未満、より好ましくは27以上60以下、更に好ましくは29以上55以下、より更に好ましくは35以上55以下、殊更に好ましくは35以上55以下である、前記<2>又は<3>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<5>
前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類の含有量が、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であって、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<6>
前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類の含有量が、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは25〜50質量%である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<7>
前記有機溶媒水溶液中の有機溶媒が、好ましくはアルコール、ケトン及びエステルから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはアルコール及びケトンから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくはアルコール、より更に好ましくはエタノールである、前記<1>〜<6>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<8>
前記有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であって、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<9>
前記有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度が、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20〜85質量%、更に好ましくは30〜75質量%、より更に好ましくは40〜70質量%である、前記<1>〜<8>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<10>
前記有機溶媒水溶液の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して、好ましくは1質量倍以上、より好ましくは2質量倍以上、更に好ましくは3質量倍以上であって、好ましくは40質量倍以下、より好ましくは20質量倍以下、更に好ましくは10質量倍以下である、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0053】
<11>
前記有機溶媒水溶液の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは3〜10質量部である、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<12>
前記第1の工程において、好ましくは酸性白土、活性白土及びろ過助剤から選ばれる1種又は2種以上を添加する、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<13>
前記酸性白土及び活性白土の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であって、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である、前記<12>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<14>
前記酸性白土及び活性白土の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部、更に好ましくは30〜100質量部である、前記<12>又は<13>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<15>
前記第2の工程に係る析出物の除去方法が、好ましくはろ紙ろ過、遠心分離、及び膜ろ過から選ばれる1種又は2種以上の固液分離である、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<16>
前記第2の工程に係る析出物の除去方法がろ紙ろ過である場合、好ましくはろ紙上にろ過助剤をプレコートする、前記<15>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<17>
前記ろ過助剤が、好ましくは珪藻土、セルロース又はこれらを組み合わせである、前記<12>又は<16>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<18>
前記ろ過助剤の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であって、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である、前記<12>、<16>又は<17>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<19>
前記ろ過助剤の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜25質量部、更に好ましくは3〜20質量部である、前記<12>、<16>〜<18>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<20>
前記第2の工程に係る析出物の除去方法が遠心分離である場合、遠心分離する際の温度が、好ましくは5〜70℃、更に好ましくは10〜40℃である、前記<15>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0054】
<21>
前記第2の工程に係る析出物の除去方法が遠心分離である場合、遠心分離の回転数が、好ましくは2000〜10000r/min、より好ましくは2500〜9000r/min、更に好ましくは3000〜8000r/minであり、時間が、好ましくは0.2〜75分、より好ましくは0.5〜60分、更に好ましくは1〜30分である、前記<15>又は<20>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<22>
前記第2の工程に係る析出物の除去方法が膜ろ過である場合、膜孔径が、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下である、前記<15>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<23>
前記第2の工程に係る析出物の除去方法が膜ろ過である場合、膜孔径が、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.15〜5μm、更に好ましくは0.2〜2μmである、前記<15>又は<22>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<24>
前記膜ろ過で使用する膜の材質が、好ましくは高分子膜、セラミック膜、又はステンレス膜である、前記<15>、<22>又は<23>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<25>
前記第3の工程で使用する活性炭の細孔容積が、好ましくは窒素ガス吸着法に基づくものである、前記<1>〜<24>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<26>
前記活性炭(A)の細孔容積が、好ましくは0.33mL/g以上、より好ましくは0.37mL/g以上、更に好ましくは0.40mL/g以上、より更に好ましくは0.43mL/g以上であって、好ましくは0.94mL/g以下、より好ましくは0.64mL/g以下、更に好ましくは0.60mL/g以下、より更に好ましくは0.55mL/g以下である、前記<1>〜<25>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<27>
前記活性炭(A)の細孔容積が、好ましくは0.33〜0.94mL/g、より好ましくは0.37〜0.64mL/g、更に好ましくは0.40〜0.60mL/g、より更に好ましくは0.43〜0.55mL/gである、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<28>
前記活性炭(B)の細孔容積が、好ましくは1.0mL/g以上、より好ましくは1.2mL/g以上、更に好ましくは1.3mL/g以上、より更に好ましくは1.4mL/g以上であって、好ましくは2.0mL/g以下、より好ましくは1.8mL/g以下、更に好ましくは1.7mL/g以下、より更に好ましくは1.6mL/g以下である、前記<1>〜<27>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<29>
前記活性炭(B)の細孔容積が、好ましくは1.0〜2.0mL/g、より好ましくは1.2〜1.8mL/g、更に好ましくは1.3〜1.7mL/g、より更に好ましくは1.4〜1.7mL/g、殊更に好ましくは1.4〜1.6mL/gである、前記<1>〜<28>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<30>
前記細孔容積の差[(B)−(A)]が、好ましくは0.5mL/g以上、より好ましくは0.7mL/g以上、更に好ましくは0.9mL/g以上であって、好ましくは1.4mL/g以下、より好ましくは1.3mL/g以下、更に好ましくは1.2mL/g以下、より更に好ましくは1.1mL/g以下である、前記<1>〜<29>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0055】
<31>
前記細孔容積の差[(B)−(A)]が、好ましくは0.5〜1.5mL/g、より好ましくは0.5〜1.4mL/g、更に好ましくは0.7〜1.3mL/g、より更に好ましくは0.9〜1.2mL/g、殊更に好ましくは0.9〜1.1mL/gである、前記<1>〜<30>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<32>
前記活性炭(A)と前記活性炭(B)との細孔容積の比率[(B)/(A)]が、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは2.5以上、より更に好ましくは3.1以上であって、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.7以下、更に好ましくは3.5以下、より更に好ましくは3.3以下である、前記<1>〜<31>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<33>
前記活性炭(A)と前記活性炭(B)との細孔容積の比率[(B)/(A)]が、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2.0〜3.7、更に好ましくは2.5〜3.5、より更に好ましくは3.1〜3.3であり、また1.5〜3.5であってもよい、前記<1>〜<32>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<34>
前記第3の工程で使用する活性炭の由来原料が、好ましくは木質(例えば、オガコ)、石炭、及びヤシ殻から選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<33>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<35>
前記第3の工程で使用する活性炭が、好ましくは賦活活性炭であり、より好ましくはガス賦活活性炭又は薬品賦活活性炭である、前記<1>〜<34>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<36>
前記第3の工程で使用する活性炭の形状が、好ましくは粉末状、粒状又は繊維状である、前記<1>〜<35>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<37>
前記第3の工程に係る活性炭との接触方法が、好ましくはバッチ式、又は連続式であり、より好まくはカラムに活性炭を充填して連続的に通過させる連続式である、前記<1>〜<36>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<38>
前記第3の工程に係る活性炭との接触方法が連続式である場合、全活性炭容量に対する空間速度(SV)が、好ましくは0.05[h
-1]以上、より好ましくは0.15[h
-1]以上、更に好ましくは0.2[h
-1]以上であって、好ましくは10[h
-1]以下、より好ましくは5[h
-1]以下、更に好ましくは1[h
-1]以下である、前記<37>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<39>
前記第3の工程に係る活性炭との接触方法が連続式である場合、全活性炭容量に対する空間速度(SV)が、好ましくは0.05〜10[h
-1]、より好ましくは0.15〜5[h
-1]、更に好ましくは0.2〜1[h
-1]である、前記<37>又は<38>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<40>
前記第3の工程に係る活性炭との接触方法が連続式である場合、全活性炭容量に対する通液倍数(BV)が、好ましくは0.5[v/v]以上、より好ましくは1.0[v/v]以上、更に好ましくは1.5[v/v]以上であって、好ましくは20[v/v]以下、より好ましくは10[v/v]以下、更に好ましくは5.0[v/v]以下である、前記<37>〜<39>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0056】
<41>
前記第3の工程に係る活性炭との接触方法が連続式である場合、全活性炭容量に対する通液倍数(BV)が、好ましくは0.5〜20[v/v]、より好ましくは1.0〜10[v/v]、更に好ましくは1.5〜5.0[v/v]である、前記<37>〜<40>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<42>
前記第3の工程において、前記第2の工程により得られた溶液に、好ましくは活性炭(A)及び活性炭(B)を別々に接触させる、より好ましくは活性炭(A)を接触後、活性炭(B)を接触させる、前記<1>〜<41>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<43>
前記第3の工程において、前記第2の工程により得られた溶液の通液方向に対して、好ましくは上流側に活性炭(A)を、下流側に活性炭(B)を仕込む、前記<1>〜<42>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<44>
前記第3の工程に係る活性炭(A)の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、好ましくは0.2質量倍以上、より好ましくは0.4質量倍以上、更に好ましくは0.5質量倍以上、より更に好ましくは0.6質量倍以上であって、好ましくは2.0質量倍以下、より好ましくは1.7質量倍以下、更に好ましくは1.5質量倍以下、より更に好ましくは1.2質量倍以下である、前記<1>〜<43>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<45>
前記第3の工程に係る活性炭(A)の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、好ましくは0.2〜2.0質量倍、より好ましくは0.4〜2.0質量倍、更に好ましくは0.4〜1.7質量倍、より更に好ましくは0.5〜1.5質量倍、殊更に好ましくは0.6〜1.2質量倍である、前記<1>〜<44>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<46>
前記第3の工程に係る活性炭(B)の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、好ましくは0.1質量倍以上、より好ましくは0.15質量倍以上、更に好ましくは0.2質量倍以上であって、好ましくは0.8質量倍以下、より好ましくは0.6質量倍以下、更に好ましくは0.4質量倍以下である、前記<1>〜<45>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<47>
前記第3の工程に係る活性炭(B)の使用量が、前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して、好ましくは0.1〜0.8質量倍、より好ましくは0.15〜0.6質量倍、更に好ましくは0.2〜0.4質量倍である、前記<1>〜<46>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<48>
前記第3の工程に係る活性炭(A)と前記活性炭(B)との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上、より更に好ましくは0.25以上であって、好ましくは1.0以下、よりが好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下、より更に好ましくは0.5以下、殊更に好ましくは0.4以下である、前記<1>〜<47>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<49>
前記第3の工程に係る活性炭(A)と前記活性炭(B)との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.1〜0.7、更に好ましくは0.15〜0.7、より更に好ましくは0.2〜0.6、より更に好ましくは0.25〜0.5、殊更に好ましくは0.25〜0.4であり、また0.1〜0.5であってもよい、前記<1>〜<48>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<50>
前記第3の工程に係る活性炭との接触温度が、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上であって、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である、前記<1>〜<49>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0057】
<51>
前記第3の工程に係る活性炭との接触温度が、好ましくは0〜60℃、より好ましくは10〜50℃、更に好ましくは15〜40℃である、前記<1>〜<50>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<52>
前記第3の工程の前に、前記第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類の濃度を調整する工程を備える、前記<1>〜<51>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<53>
前記第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類濃度を、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは3.5質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であって、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5.5質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下に調整する、前記<52>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<54>
前記第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類濃度を、好ましくは2.5〜7質量%、より好ましくは3〜6質量%、更に好ましくは3.5〜5.5質量%、更に好ましくは4〜5質量%に調整する、前記<52>又は<53>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<55>
前記第2の工程後、前記第3の工程前に、又は前記第3の工程後に、活性炭処理前又は活性炭処理後の溶液のpH(20℃)を、好ましくは0以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.7以上、より更に好ましくは1.0以上、殊更に好ましくは1.5以上であって、好ましくは4以下、より好ましくは3.8以下、更に好ましくは3.6以下、より更に好ましくは3.4以下、殊更に好ましくは3.2以下に調整する工程を備える、前記<1>〜<54>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<56>
前記第2の工程後、前記第3の工程前に、又は前記第3の工程後に、活性炭処理前又は活性炭処理後の溶液のpH(20℃)を、好ましくは0.2〜3.8、より好ましくは0.7〜3.6、更に好ましくは1.0〜3.4、より更に好ましくは1.5〜3.2に調整する工程を備える、前記<1>〜<55>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<57>
pH調整方法が、好ましくは活性炭処理前又は活性炭処理後の溶液に酸を添加する方法、又は活性炭処理前又は活性炭処理後の溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法であり、更に好ましくは活性炭処理前又は処理後の溶液をH型のカチオン交換樹脂に接触させる方法である、前記<55>又は<56>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<58>
前記カチオン交換樹脂の使用量が、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分質量に対して、好ましくは0.1〜10mL/g、より好ましくは0.2〜5mL/g、更に好ましくは0.3〜2mL/gである、前記<57>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<59>
前記カチオン交換樹脂との接触方法が、好ましくはバッチ式、又は連続式であり、より好ましくはカラムにカチオン交換樹脂を充填して連続的に通過させる連続式である、前記<57>又は<58>記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<60>
前記第3の工程後、好ましくは活性炭処理液を、ろ紙ろ過、遠心分離、及び膜ろ過から選ばれる1種又は2種以上の固液分離に供する工程を備える、前記<1>〜<59>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【0058】
<61>
精製クロロゲン酸類含有組成物の形態が、好ましくは液体、スラリー、半固体、又は固体である、前記<1>〜<60>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<62>
精製クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類濃度6質量%に調整したときの製造後の濁度が、好ましくは200NTU以下、より好ましくは100NTU以下、更に好ましくは40NTU以下、より更に好ましくは20NTU以下である、前記<1>〜<61>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<63>
精製クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類濃度6質量%に調整し、5℃で12時間保存した後の濁度が、好ましくは500NTU以下、より好ましくは200NTU以下、更に好ましくは100NTU以下、更に好ましくは40NTU以下、より更に好ましくは20NTU以下である、前記<1>〜<62>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<64>
精製クロロゲン酸類含有組成物は、固形分中のクロロゲン酸類の含有量が、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは25〜75質量%、更に好ましくは40〜70質量%である、前記<1>〜<63>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<65>
精製クロロゲン酸類含有組成物は、カフェインとクロロゲン酸類との質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)が、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.005以下、更に好ましくは0.002以下であり、また0であってもよい、前記<1>〜<64>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<66>
精製クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類濃度を0.064質量%に調整したときのLab表色系におけるb値が、好ましくは0〜2.0、より好ましくは0〜1.0、更に好ましくは0〜0.8、より更に好ましくは0〜0.5である、前記<1>〜<65>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
<67>
クロロゲン酸類が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは上記6種すべてである、前記<1>〜<66>のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法。
【実施例】
【0059】
1.クロロゲン酸類及びカフェインの分析
(分析機器)
HPLC(日立製作所(株)製)を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・送液ユニット(デガッサ内蔵):L−2130
・オートサンプラ(クーラー付):L−2200
・カラムオーブン:L−2300
・分離カラム:Cadenza CD-C18、Size:4.6 mm i.d.×150 mm、3 μm(インタクト株式会社)
・検出器(紫外可視吸光光度計):L−2420
【0060】
(分析条件)
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・紫外線吸光光度計検出波長:325nm(クロロゲン酸類)、270nm(カフェイン)
・溶離液A:0.05mol/L酢酸、0.01mol/L酢酸ナトリウム、及び0.1mmol/L 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDPO)を含有する5%アセトニトリル
・溶離液B:アセトニトリル
【0061】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
【0062】
(1)クロロゲン酸類のリテンションタイム
・3−カフェオイルキナ酸(3−CQA):5.2min
・5−カフェオイルキナ酸(5−CQA):8.7min
・4−カフェオイルキナ酸(4−CQA):11.2min
・3−フェリルキナ酸(3−FQA):12.6min
・5−フェリルキナ酸(5−FQA):19.1min
・4−フェリルキナ酸(4−FQA):20.9min
ここで求めたarea%から5−CQAを標準物質とし、質量%を求めた。
【0063】
(2)カフェインのリテンションタイム
・カフェイン:18.8min
ここで求めたarea%から試薬カフェインを標準物質とし質量%を求めた。
【0064】
2.L値の測定
試料を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
【0065】
3.色相の分析
実施例及び比較例で得られた精製クロロゲン酸類含有組成物を、前記溶離液A(0.05mol/L酢酸、0.01mol/L酢酸ナトリウム、及び0.1mmol/L HEDPOを含有する5%アセトニトリル)でクロロゲン酸類濃度0.064質量%に希釈した。その後、分光光度計(Spectro Color Meter ZE2000、NIPPON DENSHOKU社製)を使用し、試料を光路長10mmの石英セルに入れて製造後の精製クロロゲン酸類含有組成物のLab表色系のb値を測定した。
【0066】
4.濁度の分析
実施例及び比較例で得られた精製クロロゲン酸類含有組成物を、イオン交換水でクロロゲン酸類濃度6質量%に希釈した。その後、25℃において、製造後の精製クロロゲン酸類含有組成物の濁度(6質量%に希釈した直後の濁度)、及び5℃の恒温槽に12時間保管した後の精製クロロゲン酸類含有組成物の濁度を、濁度計(Turbidimeter/TN-100 EUTECH INSTRUMENTS社製)を用いて測定した。
【0067】
5.細孔容積、比表面積の分析
実施例及び比較例で用いた活性炭の細孔容積、酸性白土の比表面積を、120℃以上の真空下で十分に脱気した後、アサップ2020(マイクロメリックス社製)を用いて、77Kの窒素ガスを用いて測定した。
【0068】
本実施例で使用した活性炭は、表1のとおりである。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1
(原料クロロゲン酸類含有組成物の調製)
ロブスタ種のコーヒー生豆を熱水にて抽出し、得られた抽出液をスプレードライにて乾燥し、原料クロロゲン酸類含有組成物を得た。原料クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類含有量が29.1質量%、カフェイン含有量が8.8質量%、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比が0.302であった。
(第1の工程)
原料クロロゲン酸類含有組成物394gを、エタノール濃度60質量%のエタノール水溶液1575g、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製、比表面積95m
2/g)197g、ろ過助剤(ソルカフロック、新日鉱プロキュアメント社製)67gと混合することにより分散液2233gを得た。なお、有機溶媒水溶液の使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分に対して4質量倍であった。また、酸性白土の使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して50質量部であった。
(第2の工程)
次に、分散液2233gと、エタノール濃度60質量%のエタノール水溶液800gを、プレコート剤〔珪藻土(シリカ100FA、中央シリカ製)25.5gとろ過助剤(ソルカフロック、新日鉱プロキュアメント社製)25.5gの混合物〕を堆積させた2号濾紙にてろ過し、ろ液2430gを回収した。以下、この溶液を「第2工程で得られた溶液」と称する。この「第2工程で得られた溶液」は、クロロゲン酸類含有量が4.3質量%、カフェイン含有量が0.86質量%、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比が0.201、pHが5.8、クロロゲン酸濃度0.064質量%に希釈した溶液のb値が3.06であった。
(第3の工程)
次に、活性炭A(GWH、クラレコール社製)を105.6mL(43.3g)充填したカラム、活性炭B(GLC、クラレコール社製)を35.6mL(8.5g)充填したカラム、及びH型カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を24.5mL充填したカラムに、25℃にて「第2工程で得られた溶液」259gとエタノール濃度60質量%の有機溶媒水溶液157gを順に通液して「カラム処理液」を回収した。活性炭Aの使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して1.45質量倍であり、活性炭Bの使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して0.29質量倍であった。H型カチオン交換樹脂の使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分質量に対して0.83mL/gであった。
次に、「カラム処理液」を孔径0.2μmのフィルタにてろ過した後、ロータリーエバポレータにてエタノールを留去して「精製クロロゲン酸類含有組成物」を29.5g得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表2に示す。
【0071】
実施例2〜4及び比較例1、2
第3の工程において、活性炭の種類を表2に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製クロロゲン酸類組成物を得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表2に示す。
【0072】
実施例5
実施例1と同様の操作により「第2工程で得られた溶液」を得た。この「第2工程で得られた溶液」は、クロロゲン酸類含有量が4.1質量%、カフェイン含有量が0.81質量%、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比が0.197、pHが6.0、クロロゲン酸濃度0.064質量%に希釈した溶液のb値が3.11であった。
次に、活性炭A(LSS、日本エンバイロケミカルズ社製)を115.6mL(45.1g)充填したカラム、活性炭B(SGP、フタムラ化学社製)を58.1mL(8.7g)充填したカラム、及びH型カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を25.7mL充填したカラムに、25℃にて「固液分離後のろ液」259gとエタノール濃度60質量%の有機溶媒水溶液180gを順に通液して「カラム処理液」を回収した。活性炭Aの使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して1.56質量倍であり、活性炭Bの使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して0.31質量倍であった。H型カチオン交換樹脂の使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分質量に対して0.89(mL/g)であった。
次に、「カラム処理液」を孔径0.2μmのフィルタにてろ過した後、ロータリーエバポレータにてエタノールを留去して「精製クロロゲン酸類含有組成物」を23.4g得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表2に示す。
【0073】
実施例6〜8及び比較例3、4
第3の工程において、活性炭の種類を表1に示すものに変更したこと以外は、実施例5と同様の操作により精製クロロゲン酸類組成物を得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表2に示す。
【0074】
実施例9
第3の工程において、活性炭A(GW、クラレケミカル社製)を107.5mL(45.2g)、活性炭B(SGP、フタムラ化学社製)を58.1mL(8.7g)混合した混合物を充填したカラム、及びH型カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を25.7mL充填したカラムに、25℃にて「第2工程で得られた溶液」259gとエタノール濃度60質量%の有機溶媒水溶液177gを順に通液して「カラム処理液」を回収したこと以外は、実施例5と同様の操作により精製クロロゲン酸類組成物を得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表2に示す。
【0075】
比較例5
第3の工程において、活性炭(SGP、フタムラ化学社製)を54.8mL(8.2g)充填したカラム、及びH型カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を24.3mL充填したカラムに、25℃にて「第2工程で得られた溶液」257gとエタノール濃度60質量%の有機溶媒水溶液95gを順に通液して「カラム処理液」を回収したこと以外は、実施例5と同様の操作により精製クロロゲン酸類組成物を得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
実施例10
実施例1と同様の操作により「第2工程で得られた溶液」を得た。この「第2工程で得られた溶液」は、クロロゲン酸類含有量が4.5質量%、カフェイン含有量が0.92質量%、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比が0.204、pHが6.0、クロロゲン酸濃度0.064質量%に希釈した溶液のb値が3.50であった。
次に、活性炭(GW、クラレコール社製)を101.4mL(42.6g)充填したカラム、活性炭B(SGP、フタムラ化学社製)を54.8mL(8.2g)充填したカラム、及びH型カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を24.3mL充填したカラムに、25℃にて「第2工程で得られた溶液」257gとエタノール濃度60質量%の有機溶媒水溶液178gを順に通液して「カラム処理液」を回収した。活性炭Aの使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して1.31質量倍であり、活性炭Bの使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して0.26質量倍であった。H型カチオン交換樹脂の使用量は、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分質量に対して0.75(mL/g)であった。
次に、「カラム処理液」を孔径0.2μmのフィルタにてろ過した後、ロータリーエバポレータにてエタノールを留去して「精製クロロゲン酸類含有組成物」を42.5g得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表3に示す。
【0078】
実施例11〜15
第3の工程において、活性炭の種類及び添加量を表3に示すものに変更したこと以外は、実施例10と同様の操作により精製クロロゲン酸類組成物を得た。得られた精製クロロゲン酸類組成物について分析を行った。その結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
表2、3から、本願発明に係る第1の工程から第3の工程を必須とし、第3の工程において細孔容積の制御された特定の活性炭を使用することにより、クロロゲン酸類含量を損なうことなく、クロロゲン酸類濃度を飲料の至適濃度に希釈して酸性飲料とした場合にも色調が良好で、製造後の濁りが抑制され、かつカフェインも低減された精製クロロゲン酸類含有組成物を製造できることがわかる。