【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「環境調和型製鉄プロセス技術開発(STEP2)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記夾雑物除去処理では、前記増速部は、前記開放状態のガス遮断部に対応する前記駆動装置を駆動させることで、前記開放状態のガス遮断部に対応する前記心棒を前記中間位置と前記開放位置との間で昇降させることを特徴とする、請求項3記載の触媒反応装置。
前記夾雑物除去処理では、前記増速部は、全ての前記原料ガス遮断部が最低1回以上前記開放状態となるように、前記開放状態となる前記原料ガス遮断部を切り替えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒反応装置。
前記増速部は、全ての前記原料ガス遮断部を同時に前記開放状態として触媒保持器の昇降を所定回数行い、その後、前記夾雑物除去処理を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒反応装置。
前記原料ガス供給部が原料ガス発生装置であるとともに、前記増速部は、全ての前記原料ガス遮断部を同時に前記閉塞状態とし、その後、前記夾雑物除去処理を行うことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒反応装置。
昇降中の前記触媒層内を通過する前記原料ガスの線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上に調整するガス流量調整部を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒反応装置。
全ての前記原料ガス遮断部を同時に前記開放状態として触媒保持器の昇降を所定回数行い、その後、前記夾雑物除去処理を行うことを特徴とする、請求項10記載の触媒反応方法。
前記原料ガス供給部が原料ガス発生装置であるとともに、全ての前記原料ガス遮断部を同時に前記閉塞状態とし、その後、前記夾雑物除去処理を行うことを特徴とする、請求項10または11に記載の触媒反応方法。
昇降中の前記触媒層内を通過する前記原料ガスの線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上に調整することを特徴とする、請求項10〜12のいずれか1項に記載の触媒反応方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2の装置では、夾雑物の生成速度が比較的小さい場合には、触媒層中に生成した夾雑物の過半を重力で落下させて触媒層から除去することができる。しかし、触媒層中での夾雑物の生成速度が特に大きくなる場合、夾雑物の生成速度が夾雑物の除去速度を上回り、触媒層中に残留した夾雑物が徐々に触媒層中に蓄積する場合がある。
【0009】
ところで、炭化水素(タールもその一種である)を触媒反応器で改質する技術においては、一般に吸熱反応である反応温度を維持するために外部から触媒に熱供給を行うとともに反応容器の内部も高温に維持する必要がある。反応容器の内部を高温に維持するための技術として、反応容器を細長い円筒形状にする技術が提案されている。この技術によれば、反応容器外面と触媒層中心部との距離が小さいため、反応容器外面を加熱して触媒層中心部における温度を所定の反応温度に維持する際に反応器外面温度を触媒層中心部での温度よりもわずかに高い温度まで加熱すればよい。このため、反応容器の温度を著しい高温にする必要がなく、比較的安価な材料を用いた装置にすることができ、また、触媒層内での温度差も比較的小さいので全ての触媒を好適な温度条件にて改質に供することができる。さらに、円筒形の反応容器では量産可能な汎用管を容器外壁に用いることができるので、平板を溶接等で加工して製作しなければならない矩形断面の反応容器に比べて安価に装置を製造できる。
【0010】
しかし、反応容器を細長い円筒形状にする場合、特に、タール含有ガスを改質する場合には、改質中に副生したコークが触媒層内に堆積して夾雑物となって通気抵抗となり、断面積当たりの流量(線速度LV)が細長い円筒形状では大きくなりがちであることと相まって原料ガスの通気を著しく阻害することがある。従って、コークを効率よく除去する必要がある。しかし、このような技術は従来、効果が不十分であった。例えば、特許文献2に開示された技術では、上述したように、夾雑物を効率よく除去できるとは言えなかった。このため、特許文献2の技術においては、断面積を円形とする代わりに、反応容器内でのLV値を変えることなく単一の反応器での断面積を大きく設定する(即ち、長辺の長い矩形断面にする)ことによって、コーク堆積による通気性悪化の影響を緩和していた。つまり、反応器の断面積が大きい場合には、反応容器の特定高さの断面において一部に閉塞(コークの過大な堆積)が生じても、それ以外の閉塞していない部分を通じて原料ガスを下流に流通させることができる。これに対して、円形断面の反応器(細長い円筒型の反応容器)では、伝熱性から規定される直径によって単一反応容器での断面積が制限される(必要な総断面積は反応容器の本数を複数設けて確保する)ので、特定部分に閉塞を生じると反応容器全体で通気できなくなってしまう。このように、単一の反応容器における断面積が小さいほど、コークの堆積による通気性の低下について不利である。このため、反応容器を細長い円筒形状とする技術は、触媒層内で夾雑物が堆積しにくいガス、例えば天然ガス等の改質に適用されるにとどまっていた。したがって、タール含有ガスを改質する触媒反応器では、単一の反応容器での断面積の大きな反応容器を使用する必要があり、結果として、反応容器を高温に維持するのに大きなコストがかかっていた。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、夾雑物を効率よく除去することができ、簡易に実現可能な、新規かつ改良された触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、一方の端部に原料ガス供給部に接続された原料ガス流入管を有し、他方の端部に複数に分岐された流入分岐管を有する、流入集合管と、複数の流入分岐管の各々に接続され、流入する原料ガスを触媒により改質して改質ガスを生成させる、複数の触媒反応器と、複数の触媒反応器の各々に供給される原料ガスを、各々の触媒反応器毎に独立して遮断可能に設置される複数の原料ガス遮断部と、一方の端部に複数の触媒反応器の各々で生成した改質ガスを通す複数に分岐された流出分岐管を有し、他方の端部に改質ガスを後段へ排出する改質ガス流出管を有する、流出集合管と、原料ガス遮断部の開閉動作および触媒反応器が備える触媒保持器の昇降動作を制御する反応器群制御部と、原料ガス供給部から供給される原料ガス流量を所定値に維持するための流量調整部と、いずれかの触媒反応器に原料ガス流れを集中して増速させるための増速部と、を備え、各々の触媒反応器は、反応容器と、反応容器内に収容され、反応容器の内壁面に接触する触媒層と、反応容器内で触媒層を触媒層の下面全体で保持するとともに、通気性を有する触媒保持器と、触媒層の上側及び下側のいずれかに設けられ、反応容器内に原料ガスを流入させる流入路と、触媒層の上側及び下側のうち、流入路が設けられる側の反対側に設けられ、原料ガスと触媒層との反応によって生成した改質ガスを反応容器から流出させる流出路と、触媒保持器を昇降させることが可能な駆動装置と、を備え、増速部は、流量調整部および反応器群制御部を用いて、原料ガス供給部から供給される原料ガス流量を所定値に維持するとともに、複数の原料ガス遮断部のうち、一部の原料ガス遮断部を開放状態又は一時的に閉塞状態を生じる開放状態とし、残りの原料ガス遮断部を閉塞状態として、開放状態又は一時的に閉塞状態を生じる開放状態の原料ガス遮断部が設置された触媒反応器に流入される原料ガスの流速を増速し、当該原料ガスの流速が増速されている触媒保持器の昇降中に触媒層中の夾雑物を除去する夾雑物除去処理を行うことを特徴とする、触媒反応装置が提供される。
【0013】
ここで、原料ガス遮断部は、反応容器の内壁面に設けられ、反応容器内の空間を仕切る弁座と、弁座を上下に貫通する通気孔と、通気孔を閉塞可能な弁体と、反応容器内に設けられ、弁体と、触媒保持器とを連結する心棒と、を備え、駆動装置は、心棒を、弁体が通気孔を閉塞する閉塞位置と、弁体が通気孔を開放する開放位置との間で昇降させることが可能であり、夾雑物除去処理では、増速部は、心棒を開放位置に移動させることで、原料ガス遮断部を開放状態とし、心棒を閉塞位置に移動させることで、原料ガス遮断部を閉塞状態としてもよい。
【0014】
また、駆動装置は、心棒を閉塞位置と開放位置との中間位置に停止可能であってもよい。
【0015】
また、夾雑物除去処理では、増速部は、開放状態のガス遮断部に対応する駆動装置を駆動させることで、開放状態のガス遮断部に対応する心棒を中間位置と開放位置との間で昇降させてもよい。
【0016】
また、夾雑物除去処理では、増速部は、全ての原料ガス遮断部が最低1回以上開放状態となるように、開放状態となる原料ガス遮断部を切り替えてもよい。
【0017】
また、増速部は、全ての原料ガス遮断部を同時に開放状態として触媒保持器の昇降を所定回数行い、その後、夾雑物除去処理を行ってもよい。
【0018】
また、原料ガス供給部が原料ガス発生装置であるとともに、増速部は、全ての原料ガス遮断部を同時に閉塞状態とし、その後、夾雑物除去処理を行ってもよい。
【0019】
また、昇降中の触媒層内を通過する原料ガスの線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上に調整するガス流量調整部を備えてもよい。
【0020】
また、原料ガスがタールを含有するとともに、夾雑物が触媒反応によって生じたコークであってもよい。
【0021】
本発明の他の観点によれば、上記触媒反応装置を用いた触媒反応方法であって、流量調整部および反応器群制御部を用いて、触媒保持器の昇降中に原料ガス供給部から供給される原料ガス流量を所定値に維持するとともに、複数の原料ガス遮断部のうち、一部の原料ガス遮断部を開放状態とし、残りの原料ガス遮断部を閉塞状態として触媒層中の夾雑物を除去する夾雑物除去処理を行うことを特徴とする、触媒反応方法が提供される。
【0022】
ここで、全ての原料ガス遮断部を同時に開放状態として触媒保持器の昇降を所定回数行い、その後、夾雑物除去処理を行ってもよい。
【0023】
また、原料ガス供給部が原料ガス発生装置であるとともに、全ての原料ガス遮断部を同時に閉塞状態とし、その後、夾雑物除去処理を行ってもよい。
【0024】
また、昇降中の触媒層内を通過する原料ガスの線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上に調整してもよい。
【0025】
また、原料ガスがタールを含有するとともに、夾雑物が触媒反応によって生じたコークであってもよい。
【0026】
(本発明の特徴1)
(従来技術1)特許文献2の技術について
単に触媒層を昇降させただけでは触媒層中の夾雑物を充分には除去できないことがある。
その理由は、発明者の調査の結果から、触媒保持器の直上には、昇降操作後に夾雑物が残留し易い部分のあることがわかったためである。この部位は触媒保持器とほぼ同一の運動を行うため、夾雑物の落下や飛散を促す、触媒粒子間の相対運動が小さい。また、触媒保持器が夾雑物の落下や飛散を妨げるため触媒保持器上に夾雑物が堆積する。これらの原因により、特許文献2に記載された技術では、夾雑物を充分に除去できないことがある。
【0027】
(従来技術2)静止した触媒層に高速気流を通気させる技術について
触媒層から夾雑物を除去する技術として、触媒層に高速気流を供給する技術も想定できる。しかし、この技術では、触媒層中の夾雑物は、ほとんど除去されない。その第1の理由は、触媒粒子間で生成し、触媒粒子間の空間ネック部寸法よりも大きく成長した夾雑物は、気流によってこのネック部を通過させることできないからである。第2の理由は、触媒層内の一部に比較的、通気し易い流路が形成されて、この流路沿いの夾雑物しか除去できないためである。しかも、こうして形成された流路は改質時に原料ガスの流路にもなるため、この流路において夾雑物生成速度に夾雑物の排出速度が追いつかず、やがてこの流路は閉塞する。この流路が閉塞した後には次に通気し易い部位に流路が形成されるが、新たな流路での通気抵抗は初期の流路での通気抵抗よりもはるかに大きなものなので、このような流路形成の繰り返しの結果、やがて触媒層全体が閉塞に至る。
【0028】
あるいは、非反応性の除去ガスを極めて高速(例えば、数十m/s)で触媒層を通気させれば、一定量の夾雑物を吹き飛ばして除去可能かもしれない。しかし、このような高速気流の通気時には触媒層内での圧力損失が過大となり、高温の反応装置である本発明の対象装置では設備保全上、許容できない。また、後述のように、このような高速気流は触媒をも飛散させる可能性があるので採用できない。
【0029】
(本発明の技術)
触媒層の昇降中に除去ガスを高速気流として触媒層に通気できる。ここで、高速気流とは、後述するコーク除去性能に関するLVの臨界値である0.2〜0.4m/s以上の気流を意味し、タールを含有するガスを改質する際の原料ガス流れでのLVは、通常、0.1m/s以下であるので高速気流ではない。また、本発明では、原料ガスを除去ガスとする。これによって、移動床や流動床に比べて触媒の破損や摩耗を抑えながら、触媒層中の夾雑物の大半を除去できる顕著な効果を発揮する。以下、その原理について説明する。
【0030】
従来技術2ではガス流路が固定されていたが、本発明では、触媒層昇降による触媒粒子間の相対位置変化によってガス流路が変化する。このため、本発明では、新たな流路沿いの夾雑物を除去できる。
【0031】
特に、触媒層下降時には、壁面摩擦の効果によって触媒層の上部は下部に遅れて下降する傾向になるので、触媒層の充填率が一時的に低下する。この際、触媒粒子間の平均的な間隙が拡大するため、気流の通過しにくい部位(例:触媒保持器直上の触媒等)にも気流が到達し、そこでの夾雑物を除去できる。尚、気流(原料ガス)の到達しにくい部位ではそもそも夾雑物の発生速度が小さいので、この部位で夾雑物除去を図る必要はないとの考えもありうる。しかし、実際には、気流の到達しにくい部位でも原料ガスの拡散等を通じて夾雑物は徐々に発生し、ここで発生した夾雑物は、この部位からあふれて隣接する気流の通気し易い部位に及んで、気流の通気し易い部位での通気抵抗を上昇させるので、気流の到達しにくい部位でも夾雑物を除去する必要性が存在する。
【0032】
触媒保持器の直上部分は、本来(静止時には)、通気のしにくい領域でもある。触媒層の昇降中であれば、ここへの除去ガスの通気も容易なため、触媒保持器直上の触媒粒子間に堆積した夾雑物も通気によって除去できる。
【0033】
(従来技術1+2の組み合わせの困難さについて)
本発明が対象とする、細長い円筒形等の直径(断面積)に対して高さの大きい(即ち、アスペクト比の大きい)触媒層での触媒昇降時には触媒に比較的大きな荷重が加わり、触媒強度上、悪影響を与える可能性があるので、触媒昇降は、間欠的に短時間、実施すべきである。このため、操業の大部分の時間では、触媒層は昇降せずに静止している。そして、触媒層を昇降させずに高速気流を生じさせた場合には、様々な問題が生じる。以下、高速気流を生じさせる方法ごとに問題点を説明する。
(1)原料ガスの流量を増大して高速気流を得る方法について
触媒量が同じであっても、原料ガスの流量を増大させることで原料ガスの空間速度(SV)が増大する。なお、本発明における流量は、体積流量を意味するものとする。このため、原料ガスの消費率(選択率)が低下する。したがって、反応特性上、問題がある。また、原料ガスの流量を増大させると、原料ガスの流速が大きくなる。したがって、触媒層中の夾雑物量が同じであっても通気抵抗が増大し、操業中により早く通気抵抗の許容上限に到達してしまう。
【0034】
夾雑物の堆積によって既に通気抵抗の大きくなった触媒層に無理に高速気流を供給すると、触媒層の上流−下流間で高い圧力差を生じる。そして、何らかの原因によって一部の夾雑物が短時間に飛散して通気抵抗が急減すると、この高い圧力差によって気流速が爆発的に増大し、触媒を飛散させる(上昇流の場合)惧れがある。
【0035】
(2)反応容器の断面を小さくして高速気流を得る方法について
反応容器の断面を小さくすると、原料ガスの流速が大きくなる。したがって、触媒層中の夾雑物量が同じであっても、通気抵抗が増大し、操業中により早く通気抵抗の許容上限に到達してしまう。
【0036】
(3)原料ガスに非反応性のガス等を混入して、高速気流を得る方法について
(1)と同様の問題がある。
【0037】
(4)そもそも、触媒層の昇降中に触媒層に除去ガスを供給すれば夾雑物の除去に劇的な効果が得られることは当業者に知られていなかった。気流搬送技術のように粒子間の間隙が極端に大きいケース(粒子が互いにほとんど接触しないケース)では気流がすべての粒子の周辺に流れることは公知であった。しかし、触媒粒子間の相対位置がわずかにしか変化しない触媒層昇降技術において、このわずかな相対位置変化が夾雑物周辺の気流に大きく影響して夾雑物を除去できることは、全く知られていなかった。
【0038】
実際、改質時に好適なSVに対応する低い線速度(LV)の除去ガスを触媒保持器昇降中に与えても、夾雑物除去性能にはほとんど影響しない。本発明では、触媒保持器昇降中に与える除去ガスのLVを臨界値以上とすることで、夾雑物除去性能を著しく向上できる。尚、本発明における各種ガスの線速度(LV[m/s])は、触媒層に投入されるガスの触媒層単位断面積当りの流量と定義される。触媒層の断面積がガスの進行方向で変化する場合、各種ガスの線速度は、触媒層入口における断面積を用いて算出される。また、各種ガスの空間速度(SV[1/h])は、触媒層体積当たりの原料ガス流量と定義するものとする。更にまた、LV、SV共に、ガスの標準状態に換算した値で定義するものとする。
【0039】
一方、既に閉塞した充填層(本発明では触媒層)を昇降させずに高速気流を供給しようとすると、気流供給の初期には夾雑物がほとんど除去されていないために充填層の上流―下流間で極端に大きな圧力差を与える必要があった。このため、高温の装置では強度上の問題を生じるとともに、一旦、一定量の夾雑物が除去されると通気抵抗が急減し、この大きな圧力差によって気流速が爆発的に上昇して触媒まで飛散させる問題を生じていた。このため、充填層に高速気流を供給することで夾雑物を除去する方法は好ましくないと考えられてきた。以上の理由により、昇降中の触媒層に高速気流を供給することは、何ら想定されるものではなかった。
【0040】
しかし、本発明では、閉塞した触媒層を昇降させることで触媒層昇降中に通気抵抗の小さい状態を作り出し、ここに除去ガスを供給する。これにより、夾雑物を除去するために高速気流を触媒層を通過させる際に高い圧力差を必要としない。したがって、上記のような問題を生じることがない。
【0041】
(昇降中の気流の影響に関する今回知見について)
後述実施例1での結果から、触媒層の昇降中に臨界値(下向き(負方向)に0.2m/s、または上向きに0.4m/s)以上の線速度(即ち、高速気流)の除去ガスを触媒層に供給すると触媒層中の夾雑物の大半を除去できることがわかった(
図13)。さらに、除去ガスの線速度は従来技術で想像されていたもの(例えば従来技術2における数十m/s)ほど高くなくてもよいこともわかった。
【0042】
これに対し、静止した触媒層に
図13の臨界値以上の高速気流を与えても、触媒層中の夾雑物除去について本発明ほどの効果は得られない。静止した触媒層に本発明での臨界値の約2倍の高速気流を通気する試験を行ったが、顕著なコーク除去効果は認められなかった。
【0043】
(本発明での工夫について)
触媒層の昇降に連動して昇降中に高速気流を供給するように気流を制御することで、夾雑物の除去性を向上させるとともに、非昇降時には好適なSV条件で原料ガスを処理することができる。
【0044】
(本発明の特徴2)
ところで、触媒反応容器の1台あたりの容積は、触媒反応容器の伝熱性及び通気性を確保する等の理由によって上限値が存在する。その一方で、大流量の原料ガスを処理したい場合には、原料ガスの流量及び原料ガスの改質に適した原料ガスの空間速度から定まる触媒反応容器の容積が上記上限値を超える場合がありうる。この場合、触媒反応器を複数用意し、これらに原料ガスを分散させて導入する必要がある。実際、工業的な天然ガス等の水蒸気改質設備では、数十から数百台の触媒反応器を並列に接続して原料ガスを処理するのが一般的である。ところが、触媒層中にコーク等の夾雑物が堆積して通気抵抗を上昇させうる触媒改質プロセス、特に、タールを含有するガスの改質プロセスにおいては、特許文献2におけるように、触媒層の通気抵抗上昇の悪影響を緩和する観点から単一の反応容器の断面積を大きく設定することが指向されていた。このため、コークが多量に堆積して閉塞に至るまでの長期間に渡って改質を行う際には、触媒反応器を並列に多数配置することは行われていなかった。しかし、単一の触媒反応器の断面積を極端に拡大することには設備技術上の問題が存在するので、処理可能な原料ガス流量の上限に制約が生じる。
【0045】
本発明では、このような原料ガス処理流量の上限を回避するために反応容器を複数並列に配置して同時に改質を行うものである。そして、本発明者は、本発明に係る触媒反応器(即ち、夾雑物の多量に発生する改質に供する触媒反応器)を例えば天然ガス改質プロセスにおけるがごとく単に並列接続しただけでは、いくつかの問題が生じることを見出した。そこで、まず、本発明に係る触媒反応器を並列接続した連結構造の例について説明し、その上で、問題点について説明する。
【0046】
図15は、本発明に係る触媒反応器2を複数台並列接続した連結構造の一例を示す。
図15に示す連結構造は、流入集合管101と、複数台の触媒反応器2と、流出集合管102とを備える。流入集合管101の一方の端部は単管の流入管101aとなっており、流入管101aは原料供給部となるコークス炉等の原料ガス発生装置に接続されている。流入集合管101の他方の端部は複数(この例ではN本)の流入分岐管101bに分岐している。そして、各流入分岐管101bに触媒反応器2が接続されている。例えば、流入分岐管101b−1に触媒反応器2−1が接続され、流入分岐管101b−2に触媒反応器2−2が接続され、流入分岐管101b−iに触媒反応器2−iが接続され、流入分岐管101b−Nに触媒反応器2−Nが接続されている。流入管101aに導入された原料ガスは、流入分岐管101bを通って各触媒反応器2に導入される。ここで、iは1〜Nの整数であり、Nは2以上の整数である。
【0047】
触媒反応器2は、少なくとも上記特徴1を有する反応器である。触媒反応器2に導入された原料ガスは、触媒反応器2内の触媒層を通過する際に改質され、改質ガスとなる。流出集合管102の一方の端部は単管の流出管102aとなっている。流出管102aは、例えば粉塵回収器等に接続される。流出集合管102の他方の端部は複数(この例ではN本)の流出分岐管102bに分岐している。そして、各流出分岐管102bに触媒反応器2が接続されている。例えば、流出分岐管102b−1に触媒反応器2−1が接続され、流出分岐管102b−2に触媒反応器2−2が接続され、流出分岐管102b−iに触媒反応器2−iが接続され、流出分岐管102b−Nに触媒反応器2−Nが接続されている。各触媒反応器2で発生した改質ガスは、流出分岐管102bを通って流出管102aに導入される。流出管102a内の改質ガスは、粉塵回収器等に導入される。
【0048】
ここで、上記連結構造における各パラメータを以下のように定義する。
Q
i:i番目の触媒反応器での原料ガス流量
(改質による流量変化は、簡単のためにここでは無視する)
Q
0:原料ガス所要流量(流入路101a内に存在する原料ガスの流量。原料ガス所要流量は、一定値となるように制御されるものとする)
r
i:i番目の触媒反応器での圧力損失係数
u
i:i番目の触媒反応器での原料ガスの平均流速(線速度)
S
i:i番目の触媒反応器での配管断面積(触媒反応容器の断面積)
P
in:流入圧力(流入管101aの内圧)
P
out:流出圧力(流出管102aの内圧)
ρ:原料ガスの密度
△P:圧損
添え字i,j:触媒反応器の連番(i,j=1〜N)
N:触媒反応器の総台数
【0049】
ガス流れが非圧縮性の範囲(即ち、音速よりも十分に遅い流れ)では、上記パラメータ間には、
Q
0=ΣQ
i(i=1〜N)
Q
i=S
iu
i
△P=r
iρu
i2/2
の関係があるので、△Pが一定の条件下では、
Q
i∝r
i−1/2
となる。r
iは、夾雑物による改質層のコーキングによって変化し、一般に改質時間の経過とともに夾雑物(コーク)の堆積量が増大するとr
iも増大する。
【0050】
まず、改質時(触媒層を昇降させない場合)のQ
iを考える。いま、擾乱として特定の触媒反応器2−jにおいて夾雑物によるコーキングが他の触媒反応器2よりも激しくなった結果、△r
j(=r
j−全触媒反応器2の圧力損失係数の算術平均値)>0となったと仮定する。この場合、△Q
j(=Q
j−全触媒反応器2の原料ガス流量の算術平均値)<0となり、Q
jは減少する。一般に夾雑物(コーキング)生成速度は原料ガス流量に比例することが知られているので、Q
jが減少すると夾雑物が比較的生じにくくなり、時間の経過ともに△r
jは減少する(他の触媒反応器2でのr
i増大速度の方が大きい)。即ち、原料ガスの改質時には、触媒反応器2間の流量差を自動的に小さくする機構が存在する。このため、夾雑物を生じるような触媒反応器2を並列配置した場合であっても、触媒反応器2間での流量ばらつきの問題は少ない。
【0051】
次に、原料ガスをQ
0の流量で通気しながら全ての触媒反応器2内で触媒保持器を昇降させるなどして各触媒層中の夾雑物の一部をそれぞれ除去した後、再び原料ガスをQ
0の流量で通気する際のQ
iについて考える。この場合、以下の問題1が生じる。
【0052】
(問題1)
特許文献2等のコーク除去操作を行った場合(除去操作中に原料ガスは、流しても、止めてもよい)、一般に、コーク除去操作後のコークの触媒層中での残留量は、触媒層間で大きく異なる(触媒反応器毎にr
iが異なる)ことがわかった。いま、擾乱として特定の触媒反応器2−jにおける夾雑物除去量が他の触媒反応器2よりも多い結果、△r
j<0となったと仮定する。この場合、どの触媒反応器においても△Pは同じなので、△Q
j>0となり、Q
jは増加する。S
jは一定なので、Q
jの増加は、u
jの増加と同義である。特徴1の結果から、LVの臨界値以上の条件で触媒昇降を行うと、u
jが大きいほど夾雑物除去量が多いので、u
jの増加する触媒反応器2−jでは、触媒層昇降中に△r
jはますます低下し、△Q
jは益々増加する。つまり、全ての触媒反応器2内で夾雑物の除去を行った場合、夾雑物の除去量が多い少数の触媒反応器2に原料ガスが集中して流入する。原料ガスの集中した触媒反応器ではLVの臨界値を超えうる。この結果、これらの触媒反応器2での夾雑物除去が進むとともに、それ以外の触媒反応器2では夾雑物の除去量は少なく、かつ、流量も少ない状態に取り残される。したがって、触媒反応器2間で原料ガスの流量が不均一となり、この結果、コーク除去操作後の改質時に触媒反応の不効率化の問題が生じる(問題1)。
【0053】
即ち、原料ガスの改質操業では、全ての触媒反応器2での原料ガスの空間速度が原料ガスの改質に好適な空間速度となることが指向される。しかし、触媒保持器の昇降を終了して再び原料ガスの改質操業に復帰した際には、少数の触媒反応器2では、原料ガスの空間速度が原料ガスの改質に好適な空間速度よりも過大となる。この結果、当該触媒反応器2では、改質ガス中に未反応の原料ガスが残留する割合が増大する。一方、それ以外の触媒反応器2では、原料ガスの空間速度が原料ガスの改質に好適な空間速度よりも過小となり、改質ガスの生産性が低下する。なお、このまま改質を続ければ、原料ガスの空間速度が大きい触媒反応器2ではより多くの夾雑物を生じる。したがって、各触媒反応器2での原料ガスの空間速度は、いずれは再び均一になる。しかし、上述のコーク除去操作時に発生する、触媒反応器2間でのu
iの差は極めて大きいので、原料ガスの空間速度が触媒反応器2間で均一になるためには多大な時間を要する。
【0054】
なお、本発明においても、一部の触媒反応器2内での原料ガスの線速度を増大させるが、上記のような意図的でない原料ガス流量の増大とは異なる。本発明は、予め対象として定めた特定の触媒反応器2内での原料ガスの流量を意図的に増大させるものである。これに対して、上記の意図的でない原料ガス流量の増大では、どの触媒反応器のu
iが増大するのかは不定であり、また、u
iの不足する触媒反応器に対してu
iを増大させることもできない。なお、本発明では、特定の触媒反応器2内での原料ガスの流量を意図的に減少させてもよい。
【0055】
(問題2)
なお、各触媒反応器2での夾雑物の除去量に十分注意して操業を行うことで、各触媒反応器2のr
iの擾乱を防ぐことができるかもしれない。この場合、問題1は生じない。しかし、このときには、Q
i=Q
0/Nとなるので、触媒層中で十分大きなu
iを生じる触媒反応器2が存在しない。したがって、反応装置全体として夾雑物の残留率が高くなり、原料ガス改質の効率が悪くなるという問題が生じる(問題2)。
【0056】
なお、コークが発生する改質プロセスにおける固定床を用いた触媒反応器の技術分野では、触媒反応器を並列接続し、これらの触媒反応器内に生じた夾雑物をオンラインで除去することは行われていなかった。したがって、上記の問題1、2は知られていなかった。
【0057】
そこで、本発明に係る連結構造では、
図1に示すように、触媒反応器2毎にガス遮断部3を設ける。ガス遮断部3は、流入分岐管101bと触媒反応器2との間に設けられる。例えば、ガス遮断部3−1は流入分岐管101b−1と触媒反応器2−1との間に設けられ、ガス遮断部3−2は流入分岐管101b−2と触媒反応器2−2との間に設けられ、ガス遮断部3−iは流入分岐管101b−iと触媒反応器2−iとの間に設けられ、ガス遮断部3−Nは流入分岐管101b−Nと触媒反応器2−Nとの間に設けられる。そして、本発明では、ガス遮断部3の開閉を各触媒反応器に対応するガス遮断部3毎に独立して行う。そして、夾雑物除去時に一部のガス遮断部3だけを開放状態とし、他のガス遮断部3を閉塞状態とすることで、原料ガスが集中する触媒反応器2を意図的に生じさせる。
【0058】
具体的には、原料ガスの改質時には、全てのガス遮断部3を開放状態(通気可能な状態)とする。したがって、原料ガスの改質は、
図15に示す連結構造と同様に行われる。一方、夾雑物除去時には、
図2に示すように、いずれかのガス遮断部3−j(
図2の例ではガス遮断部3−1)のみ開放状態とし、他のガス遮断部3を閉塞状態(通気不可能な状態)とする。集合流入管から触媒反応器全体に供給されるガス流量は所定の固定値Q
0となるように常に制御されるので、開放状態のガス遮断部3−jに対応する触媒反応器2−j(
図2の例では触媒反応器2−1)ではQ
j=Q
0となる。したがって、触媒反応器2−jでは、原料ガスの流量が十分に大きくなってLVを臨界値以上にしえるので、夾雑物を効率よく除去することができる。
【0059】
そして、本発明では、例えば、開放状態とするガス遮断部3を順次変更することで、全ての触媒反応器2でQ
j=Q
0とする。これにより、全ての触媒反応器2で高い夾雑物除去率を満足することができる。
【0060】
もちろん、夾雑物除去時に全てのガス遮断部3を開放状態とし、各触媒反応器2に大流量の原料ガスを導入することで、夾雑物を除去することも可能である。ただし、この処理を実現するためには、原料ガス供給部、ブロワ、冷却装置(ブロワ、冷却装置は流出集合管102の後段に接続される)の容量に十分な余力があることが必要である。この場合、ブロワの回転数を上昇させる等の処理によって、各触媒反応器2に大流量の原料ガスを導入することができる。ただし、短時間しか行われない夾雑物除去操業のためだけに大容量の設備を揃えることは、設備上の無駄が大きい。本発明を用いれば、各設備の容量を改質操業時に必要なだけの容量に設定したとしても、夾雑物除去時に各触媒反応器2に大流量の原料ガスを導入することができる。すなわち、ガス遮断部3を触媒反応器2毎に設置し、開放状態のガス遮断部3を順次切り替えることで、各触媒反応器2に大流量の原料ガスを導入することができる。したがって、より小型で簡易な設備で本発明を実現することができる。
【0061】
(本発明の特徴3)
図2に示す例では、ガス遮断部3は触媒反応器2の外部に設置されている。したがって、低温で凝縮する成分が含まれているガス(例えばタール含有ガス)を原料ガスとして使用する場合、ガス遮断部3を高温(例えば、700℃以上)に維持する必要がある。ガス遮断部3で低温凝縮成分が結露するのを抑制するためである。したがって、ガス遮断部3は耐熱性の高い高温弁等で構成される必要がある。さらに、ガス遮断部3を高温に維持するための加熱・保温装置を用意する必要もある。このため設備コストが増大する可能性がある。
【0062】
そこで、本発明の第2〜5の実施形態(後述)に係る発明では、元々、加熱されている触媒反応器内に弁体・弁座を設けるとともに、触媒層中の夾雑物を除去するための触媒保持器昇降装置(駆動装置)を弁体の昇降装置と兼用する。すなわち、触媒反応器2内を昇降する心棒に弁座・弁体・触媒保持器を固定する。そして、これらを心棒と一体的に昇降させる。したがって、ガス遮断部3を弁体・弁座等で構成する。本発明では、心棒を弁体が弁座の通気孔を閉塞する閉塞位置に移動させることで、ガス遮断部3を閉塞状態とし、心棒を弁体が弁座の通気孔を開放する開放位置に移動させることで、ガス遮断部3を開放状態とする。
【0063】
これにより、ガス遮断部3として高価な高温弁を使用する必要がなくなるので、本発明を安価に実現することができる。特に、ガス遮断部3は触媒反応器2毎に用意する必要があるため、ガス遮断部3の必要数が多くなりがちである。このため、これらの高温弁の省略は、設備費的に大きなメリットになる。さらに、本発明では、弁座、弁体の材料として触媒反応器と同様の材料を使用することができるので、この点でも触媒反応装置の製造コストが小さくなる。さらに、弁座、弁体は高温弁に比べて単純な構造となっているので、より高温に耐えることができる。例えば、高温弁の耐熱温度は800℃程度であるが、弁座、弁体の耐熱温度は900℃程度となりうる。
【0064】
(本発明の特徴4)
本発明の第2、4の実施形態(後述)に係る発明では、心棒の停止位置として、開放位置、閉塞位置の他に両者の中間位置を設定する。これにより、触媒層中の夾雑物を除去するための昇降操作と、原料ガスを遮断するための昇降操作とを切り分けて実施できる。例えば、心棒を閉塞位置に移動させることで、原料ガスを遮断することができる。また、心棒を中間位置と開放位置との間で昇降させることで、触媒層から夾雑物を除去することができる。この結果、開放状態(心棒が開放位置、または、中間位置)のガス遮断部3に対応する触媒反応器2には、大流量の原料ガスを継続して導入することができる。もし、中間位置を設けない場合には夾雑物除去時の上記のガス遮断部3−1は、心棒の開放位置と閉塞位置との間で往復運動させなければならない。この場合、ガス遮断部3−1の心棒が閉塞位置に位置するときには全てのガス遮断部が閉塞状態となるため一時的に原料ガス流れが停止し、夾雑物除去時には原料ガス流量が0とQ
0の間を振動することによって配管内に圧力変動を引き起こし、適切な制御を行わないと操業が不安定化するおそれがある。心棒に中間位置を設けることによって、触媒層から夾雑物を除去する際に常に原料ガス流量をQ
0に維持することが可能となり、その結果、流入路内圧と反応容器内圧とを均一にすることができる。したがって、触媒層から夾雑物を除去する際に、原料ガス供給配管系統をより安定させることができる。
【0065】
(本発明の特徴5)
本発明においては、夾雑物の除去ガスとして原料ガスを用いるが、この場合、原料ガスの流量をいかに上昇させるかが問題となる。原料ガス供給部が原料ガス発生装置である場合、原料ガス発生装置からの原料ガス発生量を急上昇させることは一般に困難なためである。本発明では、上述したように、一部のガス遮断部3だけを開放状態とすることで、開放状態に対応する触媒反応器2に大流量の原料ガスを導入する。さらに、本発明では、ガス発生炉のように時間当たりの原料ガス発生質量が常に一定であるガス発生装置を前提としたうえで、全てのガス遮断部3を一旦閉塞状態とする。すなわち、一旦原料ガスを全ての触媒反応器2から遮断する。これにより、ガス遮断部よりも上流の配管では発生した原料ガスが滞留するために流入管101aの内圧を高める。その後、一部のガス遮断部3を開放状態とすることで、さらに大流量の原料ガスを触媒反応器2に導入することができる。すなわち、流入管101aと触媒反応器2との大きな内圧差に起因する大きな原料ガス流量を一定時間発生させることができる。そして、本発明では、大流量の原料ガスが触媒反応器2に導入されている際に、触媒層を昇降させることができる。本発明では、上記のように、簡単な設備で上記の処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0066】
以上説明したように本発明によれば、夾雑物を効率よく除去することができ、簡易に実現可能な、新規かつ改良された触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0069】
<1.第1の実施形態>
(1.全体構成)
まず、
図3に基づいて、第1の実施形態に係る触媒反応装置1の全体構成について説明する。触媒反応装置1は、流入集合管101と、複数(
図3の例ではN個)の触媒反応器2と、複数(
図3の例ではN個)のガス遮断部3と、流出集合管102と、反応器群制御装置5と、増速装置(増速部)53と、粉塵回収器6と、冷却装置7と、流量調整部8と、ブロワ9とを備える。
【0070】
(原料ガス供給部)
原料ガス供給部100は、原料ガスを触媒反応器に供給するための装置である。原料ガス供給部100は、例えば原料ガス発生装置であってよい。原料ガス発生装置は、原料ガスを所定の速度で発生させ、発生した原料ガスを触媒反応器2(具体的には触媒反応器2が備える反応容器10)に供給するものである。原料ガス発生装置は、例えば、ガス発生炉(コークス炉等)である。あるいは、原料ガス供給部100は、原料ガスを貯留するガスホルダであってもよい。このとき、ガスホルダから供給される原料ガスは、加熱装置によって昇温した後に触媒反応器に供給される。
【0071】
(原料ガス)
原料ガスは、後述する触媒層43を通過する際に触媒層43によって改質されるものであれば特に制限されない。例えば、原料ガスは、炭化水素を含有するガス、タール含有ガスなどであってもよい。タール含有ガスは、少なくともタールを含有するガスであり、さらに炭化水素を含有していてもよい。原料ガスがタール含有ガスとなる場合、原料ガスの改質の際に副生するコークが夾雑物として触媒層43中に堆積し易い。したがって、原料ガスがタール含有ガスとなる場合、第1の実施形態の効果が顕著に現れやすい。炭化水素を含有するガスの例としては、天然ガス、LPG、ナフサ等が挙げられる。また、タール含有ガスの例としては、コークス炉ガス(石炭乾留ガス)、バイオマス乾留ガス等が挙げられる。また、原料ガスは、コークス炉等の原料ガス発生装置から高温で供給され、供給される原料ガスが改質反応温度(例えば800℃)に達していればそのまま、あるいは、達していなければさらに外部から加熱された後、触媒反応器2に供給される。加熱装置は、加熱区間A内に存在する構成要素、すなわち流入集合管101、触媒反応器2、ガス遮断部3、流出集合管102、及び粉塵回収器6を加熱する。加熱装置は、加熱区間A全体を内蔵する加熱炉であってよく、また、加熱区間A内の各装置を個別に囲う複数の加熱炉であってもよい。例えば、原料ガスがタール含有ガスとなる場合、加熱装置は、触媒反応器2を改質反応温度(例えば800℃)に維持するように加熱を行い、また、流入集合管101、ガス遮断部3、流出集合管102、及び粉塵回収器6を、タール含有ガスのタール分が凝縮しない程度の温度(例えば700℃以上)に維持するように加熱する。
【0072】
(流入集合管)
流入集合管101の一方の端部は、単管の流入管101aとなっている。流入管101aは、原料供給部(ここでは原料ガス発生装置)100に連結されている。流入集合管101の他方の端部は、複数(
図3の例ではN個)の流入分岐管101bに分岐されている。原料ガス供給部100から発生した原料ガスは、まず、流入管101aに導入される。その後、原料ガスは、各流入分岐管101bからガス遮断部3を経由して触媒反応器2内に導入される。原料ガス供給部100と流入管101aを複数設けてそれぞれ流入集合管101に接続してもよい。例えば、コークス炉の窯(原料ガス発生装置)ごとに流入管101aを設けて1本の流入集合管101に接続してよい。この場合、コークス炉は定期的に大気開放されるので、流入集合管が大気に開放されないように、流入管101aごとに高温弁を設け、コークス炉の窯が大気開放される都度、この窯に接続する流入管101aの高温弁を閉止する。
【0073】
(ガス遮断部)
ガス遮断部3は、触媒反応器2毎に設置される。具体的には、ガス遮断部3は、流入分岐管101bと触媒反応器2との間に設けられる。例えば、ガス遮断部3−1は流入分岐管101b−1と触媒反応器2−1との間に設けられ、ガス遮断部3−2は流入分岐管101b−2と触媒反応器2−2との間に設けられ、ガス遮断部3−iは流入分岐管101b−iと触媒反応器2−iとの間に設けられ、ガス遮断部3−Nは流入分岐管101b−Nと触媒反応器2−Nとの間に設けられる。ここで、第1の実施形態及び後述する各実施形態において、iは1〜Nの整数であり、Nは2以上の整数である。操業の安定性の観点から、Nは、3以上であることが好ましく、さらに、ガス流量を特定の触媒反応器に集中する際の効率の観点からは、Nは、5以上であることがより好ましい。そして、第1の実施形態では、ガス遮断部3の開閉をガス遮断部3毎に独立して行う。そして、夾雑物除去時に一部のガス遮断部3を開放状態とし、他のガス遮断部3を閉塞状態とすることで、原料ガスが集中する触媒反応器2を意図的に生じさせる。第1の実施形態では、ガス遮断部3は、例えば高温弁である。高温弁には市販の高温用ボール弁等を用いることができる。このように、第1の実施形態では、ガス遮断部3として高温弁が必要になるが、後述する第2の実施形態以降の実施形態では、高温弁は不要となる。尚、ガス遮断部3は、触媒反応器2の上流に設置されることが好ましいが、設計上の便宜等の理由があれば、ガス遮断部3を触媒反応器2と流出管102aの間に設けることもできる。
【0074】
(触媒反応器)
触媒反応器2は、原料ガス供給部100から発生した原料ガスを改質する。改質後の原料ガスは、改質ガスとして流出分岐管102bに導入される。触媒反応器2の詳細構成及び動作については後述する。
【0075】
(流出集合管)
流出集合管102の一方の端部は、単管の流出管102aとなっている。流出管102aは、粉塵回収器6に接続されている。流出集合管102の他方の端部は、複数の流出分岐管102bに分岐されており、各流出分岐管102bに触媒反応器2が接続されている。例えば、流出分岐管102b−1に触媒反応器2−1が接続され、流出分岐管102b−2に触媒反応器2−2が接続され、流出分岐管102b−iに触媒反応器2−iが接続され、流出分岐管102b−Nに触媒反応器2−Nが接続されている。各触媒反応器2で発生した改質ガスは、流出分岐管102bを通って流出集合管102経由で流出管102aに導入される。流出管102a内の改質ガスは、粉塵回収器6に導入される。
【0076】
(反応器群制御装置)
反応器群制御装置(反応器群制御部)5は、ガス遮断制御部51と、駆動制御部52とを備える。ガス遮断制御部51は、各ガス遮断部3に対してガス遮断部の開閉の指令を行う。ガス遮断部3にはそれぞれ独立に開閉可能な指令が与えられる。これにより、ガス遮断制御部51は、各触媒反応器2に導入される原料ガスを触媒反応器2毎に独立して遮断することができる。
【0077】
駆動制御部52は、触媒反応器2内の駆動装置49(
図4参照)に対して指令を行って駆動装置49を駆動することで、心棒および触媒保持器44を昇降させる。反応器群制御装置5ではガス遮断制御部51と駆動制御部52が協調して動作するようにガス遮断部と駆動装置への指令のタイミングを調整する。この指令タイミングを調整する方法は、ガス遮断部と駆動装置の動作の順序を予め定めたシーケンス制御等を用いればよい。なお、反応器群制御装置5は、CPU、ROM、RAM等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成によってガス遮断制御部51及び駆動制御部52を実現する。すなわち、ROMには、ガス遮断制御部51及び駆動制御部52を実現するためのプログラム等が記録される。CPUは、ROMに記録されたプログラムを読みだして実行する。RAMはCPUによる作業領域となるものである。
【0078】
(粉塵回収器)
粉塵回収器6は、改質ガス中の粉塵を除去・回収する装置である。粉塵が除去された改質ガスは冷却装置7に導入される。回収された粉塵(例えばコーク)は、燃料等に再使用されうる。冷却装置7としてスクラバを用いる際には、スクラバを粉塵回収に兼用することができる。したがって、この場合、独立した粉塵回収器6を省略してもよい。粉塵回収器6の具体例としては、サイクロン、インパクタ、バグフィルタ等が挙げられる。
【0079】
(冷却装置)
冷却装置7は、改質ガス中の凝縮成分(例えばタール等)を除去するとともに、改質ガスを後段の流量調整部8、及びガスホルダ200に供給可能な温度(例:80℃未満)まで冷却する。冷却装置7の具体例としては、熱交換器やスクラバが挙げられる。冷却された改質ガスは、流量調整部8の流量計81及び流量調整弁82を通ってブロワ9に導入される。
【0080】
(流量調整部)
流量調整部8は、全ての流入管101a内の原料ガスの流量を合計した原料ガス流量が目標値である所要原料ガス流量Q
0となるように調整する装置である。例えば、流量調整部8は、原料ガスの改質時には、改質時用の流量目標値を設定し、原料ガス流量をこの目標値に一致させるように制御する。同様に、夾雑物除去時には夾雑物除去時用の流量目標値を設定し、原料ガス流量を制御する。
【0081】
改質時用の原料ガス流量の目標値は、各触媒反応器2内において定めた原料ガスの改質に適した流量値を全触媒反応器について合計したものに設定できる。その結果、改質時には原料ガスの流量が原料ガスの改質に適した流量に制御される。
【0082】
夾雑物除去時の目標値は、増速を意図する触媒反応器におけるLVを臨界値以上とする観点および原料ガス発生装置やブロワ能力の観点を総合的に勘案して適宜定めればよく、例えば、原料ガス改質時の目標値と同じであってもよい。夾雑物除去時の目標値を改質時と同じにする場合、夾雑物除去時には原料ガスの流路は特定の触媒反応器に集中してこの触媒反応器における流量が増大するので触媒反応器における圧力損失が改質時よりも増大する可能性がある。従って、流量調整部8は、この増大した圧力損失に打ち克って原料ガスの流量を目標値に維持するように動作する。なお、夾雑物除去時の目標値は、各触媒反応器2内で夾雑物が効率よく除去できるのであれば、必ずしも原料ガス改質時の目標値と同じでなくてもよい。
【0083】
流量調整部8は、具体的には、例えば、流量計81と、流量調整弁82と、ブロワ9と、流量制御装置83とを備える。流量計81は、原料ガスの流量を求めるためのものであり、例えば、各流入管101aにそれぞれ設けて原料ガス流量を直接、測定してよく、あるいは、改質ガス流量を原料ガス流量に換算する前提で改質ガスの流量を測定してもよい。流量計81は、その測定値に関する測定情報を流量制御装置83に出力する。流量計81は、例えばオリフィス流量計であるが、これに限定されない。流量調整弁82は、改質ガスの流量を調整する弁であり、電動モータやエアシリンダ等の駆動装置を備える。流量調整弁には市販のものを用いることができる。流量制御装置83は、改質ガス流量の測定値を原料ガス流量に換算し、これを流量目標値と比較したうえで原料ガス流量を目標値に近づけるために必要な流量調整弁82の開度、または、ブロワ回転数を、PID制御理論等に基づいて演算し、演算結果を流量調整弁82、または、ブロワ9に指令する。改質ガス流量測定値を原料ガス流量に換算する方法としては、例えば、原料ガスが改質される際のガス増幅率(=改質ガス流量/原料ガス流量)を求めて原料ガスの目標値を換算する方法が挙げられる。ガス増幅率を求める方法は、例えば、流入集合管と流出集合管からサンプルガスをそれぞれ抽気してガス成分を分析し、この分析結果から得られるガス成分構成率の違いを用いてマテリアルバランス解析によって算出することができる。ガス成分の分析には、ガスクロマトグラフ分析装置を用いることができる。あるいは、より簡便な方法として、原料ガスの平均的な発生流量と改質ガスの平均的な回収流量との比を用いることもできる。
【0084】
ブロワの回転数がVVVF技術等によって変更可能な場合には、流量調整部8は、流量調整弁82を省略して、ブロワ回転数の制御のみによって流量を調整してもよい。特に、ブロワ9がプランジャー型等の容積型のブロワとなる場合、ブロワ回転数がほぼ一意に改質ガス流量を決定するので、ブロワ回転数のみの制御に適している。
【0085】
また、流量調整部8は、触媒反応器2の上流側、すなわち流入管101aに設けることもできる。この場合、流量調整部8は、原料ガスの流量測定値に直接、基づいて調整することになる。また、少なくとも流量調整弁82を高温に維持する必要がある。
【0086】
なお、流量制御装置83は、CPU、ROM、RAM等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成によって流量制御装置83の機能を実現する。すなわち、ROMには、流量制御装置83の機能を実現するためのプログラム等が記録される。CPUは、ROMに記録されたプログラムを読みだして実行する。RAMはCPUによる作業領域となるものである。
【0087】
(ブロワ)
流量調整部8の一部であるブロワ9は、冷却装置7によって冷却された改質ガスをガスホルダ200に供給する(送風する)。ブロワ9も特に制限されず、市販のターボ式・容積式のブロワであってもよい。
【0088】
(ガスホルダ)
ガスホルダ200は、ブロワ9から供給された改質ガスを貯留する。
【0089】
(増速装置)
増速装置53は、夾雑物除去時に、増速を意図する特定の触媒反応器においてLV値が臨界値以上である高速気流を発生させるために関連するハードおよびソフトを協調動作させるための制御装置である。増速装置53における高速気流を発生するためのハードおよびソフトの協調動作の一例を以下に説明する。
【0090】
増速装置53は、触媒反応器の圧力損失測定値に基づく差圧を監視し、差圧が所定値を超えた場合に触媒反応器における閉塞(または閉塞のおそれ)が発生したものと判定して夾雑物除去操作を開始する。この差圧の算出方法として、例えば、流入集合管101および流出集合管102にそれぞれ圧力計を設けてその測定値を増幅部に対して出力し、増幅部では、この2つの圧力計測定値の差を差圧(実質的に触媒反応器の圧力損失に相当する)として算出すればよい。圧力計には市販のダイヤフラム型圧力計等を用いることができる。夾雑物除去操作において、まず、増速装置53は、流量調整部に夾雑物除去時用の原料ガス流量目標値を指令して原料ガス流量を夾雑物除去時用の目標値に制御する。次に、増速装置53は、反応器群制御装置に対して指令して以下の動作を実行させる。即ち、第1の増速を意図する触媒反応器で心棒(触媒層)の昇降動作を開始させるともに、これ以外の全ての触媒反応器に対応するガス遮断部を閉塞位置とする。その結果、第1の増速を意図する触媒反応器に全ての原料ガス流量が集中してこの触媒反応器内に高速気流が生じ、この高速気流条件下で触媒層の昇降が行われ、第1の増速を意図する触媒反応器内の触媒層中の夾雑物が除去される。この間、増速装置53は、前記差圧を連続的に監視して差圧を算出し、差圧が所定値以下となった時点で第1の増速を意図する触媒反応器における閉塞が解消したものと判定し、この触媒反応器における心棒の昇降動作を終了する。これに引き続き、第2の増速を意図する触媒反応器に対応するガス遮断部を開放状態とした後、第2の増速を意図する触媒反応器の心棒を昇降を開始させる。第2の増速を意図する触媒反応器の心棒の昇降が開始した後、第1の増速を意図する触媒反応器に対応するガス遮断部を閉塞状態にする。その結果、第2の増速を意図する触媒反応器に全ての原料ガス流量が集中してこの触媒反応器内に高速気流が生じ、この高速気流条件下で触媒層の昇降が行われる。以降、同様の操作を残りの触媒反応器に対して順次、実施して全ての触媒反応器において高速気流下での触媒層昇降を行う。全ての触媒反応器での昇降操作が完了した後、増速装置53は、夾雑物除去作業を完了して改質操業を再開するために全ての触媒反応器に対応するガス遮断部を開放する指令を反応器群制御装置に対して出力するとともに、原料ガス流量が改質時の所要原料ガス流量となるように、流量調整部に対して指令を出力する。この後、改質操業は、改質終了操作がなされるか、あるいは、次に前記の差圧が所定値を超えるまで継続する。
【0091】
上記の夾雑物除去操業において、全ての触媒反応器での昇降操作が完了すると、全ての触媒反応器においてコークの残留量が微小となり、通気抵抗がどの触媒反応器においても等しく低い値に回復する。このため、夾雑物除去操業に引き続き行われる改質操業において、低い圧力損失で各触媒反応器に均等に原料ガスが流通し、改質を好適に行うことができる。また、夾雑物除去操業において上記の順序で触媒層の昇降とガス遮断部の開閉を動作させることによって、通気抵抗が極端に大きな触媒反応器に原料ガスが集中して通気することを避けることができ、夾雑物除去操業を安定に実施できる。なお、夾雑物除去操業時の所要原料ガス流量は、1つの触媒反応器にこの流量の原料ガスが通気する際にこの触媒層でのLVが臨界値を超えるように設定されるべきである。この観点からは、触媒反応器の台数Nが5以上の場合、一般的に、夾雑物除去時の原料ガス流量目標値は、改質時のものと同じ値でもよい。Nが5未満の場合、もし、夾雑物除去時に流量を集中する触媒層でのLV値が不足するようであれば、このLV値が臨界値以上となるように、夾雑物除去時の所要原料ガス流量を改質時のものよりも増大してもよい。
【0092】
ここで、夾雑物除去時における目標値は、原料ガスが集中する触媒反応器2内の線速度が、鉛直下向きに0.2m/s以上となるように設定されることが好ましい。この場合、夾雑物をより効率よく除去することができる。なお、
図4の例では、原料ガスは触媒反応器2内を鉛直下向きに通過するが、流入路41及び流出路42の設置位置を逆転させることで、原料ガスの流動方向を鉛直上向きとしてもよい。この場合、原料ガスの線速度は、鉛直上向きに0.4m/s以上であることが好ましい。
【0093】
増速装置53は、例えば、CPU、ROM、RAM等のハードウェア構成を備える。ROMには、上記の夾雑物除去シーケンスを実現するためのプログラム等が記録される。CPUは、ROMに記録されたプログラムを読みだして実行する。RAMはCPUによる作業領域となるものである。例えば、制御ソフトをインストールし、外部機器との入出力機能を備えた汎用パーソナルコンピュータ等を増速装置53に用いることができる。増速装置53、反応器群制御装置、並びに、流調弁制御装置は、いずれも制御ソフトをインストールし、外部機器との入出力機能を備えた汎用パーソナルコンピュータによって実現可能である。従って、これら個々の制御装置を個別に設ける代わりに、これら個々の制御装置の機能を統合した1つの制御ソフトの搭載された1台のパーソナルコンピュータを用いてもよい。また、これらいずれかの制御装置の機能を人間の操作で代用することもできる。
【0094】
このように、反応器群制御装置、流量調整部、並びに、増速装置は、いずれも各アクチュエータに対する入出力を有する計算機上のソフトウェアとして実現できる。本実施形態では、制御の個別機能を明確にするためにこれらの制御装置を個別に設けたが、上記の機能を満足する限り、これらの制御装置を統合して単一の装置(ソフトウェア)としてもよい。
【0095】
(2.触媒反応器の詳細構成)
つぎに、
図4に基づいて、第1の実施形態に係る触媒反応器2の詳細構成を説明する。
図9に示すように、触媒反応器2は、反応容器40と、流入路41と、流出路42と、触媒層43と、触媒保持器44と、心棒48と、駆動装置49とを備える。触媒保持器44は、互いに平行に配置された複数のロッド44aと、ロッド44aの端部間を連結するロッド固定具44bとを備える。これらの構成は、従来(例えば特許文献2)とほぼ同様の構成である。そこで、まず、従来と同様の構成について説明し、ついで、従来と異なる構成について説明する。
【0096】
(反応容器の形状)
反応容器40は、上下両端に開口を有し、これらの開口間に触媒を収納できるものであればどのような形状でもよい。上方の開口は、流入路41に通じており、触媒反応用の原料ガスの反応容器40への流入口に当たるものである。下方の開口は、流出路42に通じており、改質ガスの反応容器40からの流出口に当たるものである。反応容器40は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の反応容器を例に説明する。
【0097】
触媒反応器2の説明において、「容器の中心軸」とは、容器の水平断面の図心を鉛直方向に連ねたものと定義する。「反応容器の厚み」は、水平断面における反応容器の長さのうちの最小の長さに相当し、「反応容器の幅」は、水平平面における反応容器の長さのうちの最大の長さに相当する。容器が円筒の場合には、容器の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。
【0098】
(反応容器の材質)
反応容器40の材質は、触媒を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
【0099】
(反応容器の寸法)
反応容器40の厚みは、下限が塊状触媒の代表寸法(例:直径)以上でなければならない(例えば、10mm)。一般に触媒反応では発熱または吸熱があり、かつ、反応容器40の表面を通じてこれらの熱を外部と授受するため、反応容器40内部まで伝熱を確保するために、厚みには上限が存在する。上限の値は、反応熱・流量・伝熱特性等によってエンジニアリング的に定めればよい(例えば、200mm)。
【0100】
反応容器40の幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき触媒層体積、反応容器厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
【0101】
反応容器40の高さは、触媒層43の高さよりも大きくなければならない。一方、反応容器40高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
【0102】
(触媒保持器)
触媒穂軸44は、反応容器40内で触媒層43を触媒層43の下面全体で保持するとともに、通気性を有する。触媒保持器44には、網、パンチングメタル、複数の棒を用いて棒の間に空間を生じるように水平方向に各棒を互いに平行に並べて棒の両端を固定したもの等を用いることができる。
図4に示した触媒保持器44は、複数のロッド44aの両端をロッド固定具44bで固定して作製したものの例である。
【0103】
触媒保持器44の開口率が小さくなると、通気性や固体カーボンなどの通過性が悪化する。高開口率では、保持器で触媒を保持する部位が少なくなるで、保持器の強度が不足する。上記いずれかの形式の保持器の場合、触媒保持器44の開口率は30〜70%程度が好ましい。
【0104】
触媒保持器44の材質は、耐熱・耐腐食性・強度を備えた金属材料が好ましい。そのような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のNi合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
【0105】
(触媒層の駆動機構)
本発明では、触媒保持器44を昇降させることによってその上の触媒層43を反応容器40内で昇降させる。そのために、反応容器40には触媒保持器44を昇降させる駆動装置49が装備される。駆動装置49には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した昇降装置などの、一般的な駆動機構を用いることができる。触媒保持器44は、心棒48を用いて駆動装置49に結合される。駆動装置49を作動させると、保持器44の全体が反応容器40の軸線(反応容器40の中心軸)に沿って移動して、触媒層43の全体をやはり反応容器40の軸線に沿って上下に移動させる。
【0106】
少なくとも心棒48の触媒保持器44側の一部は反応容器40、または、流入路41、流出路42の内側に存在する必要がある。駆動装置49は、反応容器40の外部に設けることができる。反応容器40を例えば加熱炉などの加熱装置(図示せず)内に配置する場合には、駆動装置49を加熱装置外に設けることもできる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、心棒48が反応容器40を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
【0107】
駆動装置49全体を、
図4に示したように反応容器40内に設ける場合には、駆動装置49を、例えば反応容器40内の高温や腐食性物質から保護するために、耐熱・耐食性のものとする必要がある。これは、一例として、駆動装置49のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金製とすることによって実現できる。この場合、エアシリンダへの供給エア配管(図示せず)は反応容器40を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。
【0108】
(3.触媒層の昇降)
触媒保持器44の上面全体に触媒を充填して触媒層を形成する。このように形成された触媒層の側面は、反応容器40の内壁面に常に接触し続ける。触媒保持器を上昇させると触媒層には上向きに力が与えられ、触媒層側面では反応容器内壁面からの下向きの摩擦力を生じる。この結果、触媒層内では、壁面近傍の触媒では壁面の拘束が大きいために上方への移動量が触媒保持器の上昇量よりも平均的に小さくなるとともに、この部分での触媒粒子の充填率は上昇する。一方、壁面から遠い、触媒層の中心部では壁面の拘束がより弱いので、触媒層の上方への移動量は比較的大きく、この部分での触媒粒子の充填率の上昇はより小さい。この結果、触媒保持器の上昇中には、壁面近傍から中心にかけて触媒層のせん断変形を生じ、触媒層のいたるところで触媒粒子間の相対変位が発生する。この相対変位によって触媒粒子間の空間が変形するので、この空間に堆積していた副生コークは、破砕され、押し出されて触媒層外に排出されうる。このように、触媒保持器の上昇によって触媒層の平均充填率は上昇する。
【0109】
これに対して、触媒保持器の下降時には、触媒層の平均充填率は昇降開始前のレベルまで低下する。これは、触媒保持器の下降時には、壁面の拘束によって、下方の触媒層から順に徐々に落下するため触媒層の下降中には触媒粒子間の平均距離が増大し、この触媒間の位置関係の一部が触媒層の下降完了後まで維持されるため、触媒層の充填率が低下する。また、触媒層下降時の充填率の低下にともなう触媒粒子間隔の増大に伴って、粒子間に堆積した副生コークが移動して触媒外に排出されうる。この結果、触媒層の昇降を繰り返しても充填率が上昇し続けて最密充填に至ることはなく、長期間に渡ってコーク除去を継続できる。このように、触媒層の昇降操作によって、触媒層内に堆積したコークを除去することができる。即ち、この方法は、壁面摩擦を利用して触媒層の移動中に触媒層内に充填率分布を惹起することを利用したコーク除去方法である。また、この手法において触媒層からコークを除去するための原理は、触媒粒子間の空間を変形させることであるので、触媒層の昇降速度は必ずしも大きい必要はない。10mm/s程度の昇降速度で充分な効果が得られる。また、粒子間の相対変位量も粒子の寸法程度(例えば、10mm)でよい。この点で、粒子層から夾雑物を除去する他の方法、例えば、篩分けとは大きく異なる。篩分けにおいては、篩寸法に相当する大きな相対変位と、重力加速度の数倍程度の大きな加速度および数m/s程度の大速度が必須である。また、本発明が対象とするような高いアスペクト比の触媒層に単に大きな振動を与えても、粒子全体が同じ動きをするために粒子間の相対変位を生じず、篩分けの効果(コークの除去)は得られない。
【0110】
本発明では、触媒層昇降中の非定常で不安定な触媒粒子間の空間に高速気流を供給することによって、本来、通気できない空間に高速気流が到り、そこに堆積するコークの触媒表面からの離脱、触媒間空間からの気流搬送等の作用によって、上記の触媒層昇降単独でのコーク除去効果をさらに促進させることができる。
【0111】
保持器上昇時に、触媒保持器44の一部が触媒層43に食い込む場合があるので、触媒保持器44は上昇時だけでなく下降時も駆動することが好ましい。
【0112】
(保持器の昇降ストローク)
触媒間の相対運動を十分行うためには、触媒保持器44の昇降ストロークは大きいことが好ましい。例えば、触媒外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍程度の昇降ストロークであっても加振の効果は存在するので、触媒表面の固体カーボンなどの堆積物の除去効果は一定程度は得られる。とは言え、十分な堆積物除去効果を挙げるためには、触媒保持器44の昇降ストロークは触媒粒子の3層以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
【0113】
一方、昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器40および駆動装置49が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒外面の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
【0114】
(昇降速度)
触媒保持器44とともに触媒層43を上昇させるのに要する所要上昇力は、上昇速度が小さいほど小さい。10mm/sで保持器とともに触媒層を上昇させるときの所要上昇力は、1mm/sで上昇させる場合の2倍が必要であることがわかった。また、大きな上昇速度では、触媒が破壊しやすくなる。従って、上昇速度は小さいことが好ましい。但し、1mm/sで上昇させる場合と0.5mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の差は小さいので、1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、10mm/sの上昇速度であっても、触媒が破壊しないのであれば、適用してよい。
【0115】
前述のように、保持器の下降速度は大きいことが好ましい。特に、最下端での触媒の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で保持器を下降すれば、触媒は保持器から離脱して触媒間の拘束が小さくなり、触媒間の相対運動を大きくとれるので好ましい。但し、触媒の自由落下速度よりも極端に大きな速度で保持器を下降させても得られる効果に差はない。また、保持器の下降速度は、自由落下速度よりも十分小さくても充分な効果が得られる。これは、保持器上昇後の触媒層は反応容器内壁からの拘束によって、下端が開放されても直ちに自由落下することはなく、触媒層の下方から徐々に落下するため、落下速度がかなり遅くなることによるものである。従って、10mm/s程度の下降速度であっても、触媒層充填率の回復効果およびコークの除去効果は得られる。
【0116】
(流入路、流出路)
流入路41は、ガス遮断部3を介して流入分岐管101bに連結されている。したがって、流入路41には原料ガスが導入される。
図4中の矢印P1は原料ガスの流れを示す(触媒層中で下降流の場合)。流出路42は、流出分岐管102bが連結されている。流出路42には、改質ガスが導入される。その後、改質ガスは、流出分岐管102bを通って粉塵回収器6に導入される。
【0117】
(触媒層)
触媒層43は、後述する第2の実施形態と同様の触媒粒子で構成されればよい。ただし、後述する第2の実施形態と異なり、心棒48は触媒層43を貫通しない。このため、触媒層43のアスペクト比の定義及び好ましい範囲は第2の実施形態と異なる。具体的には、触媒層43のアスペクト比は、以下の数式(1)で定義される。
アスペクト比=触媒層43の高さ/触媒層43の厚さ(または、直径) (1)
ここで、数式(1)における触媒層43の厚さは、
図4における水平方向の代表寸法(触媒層(触媒反応容器)の水平断面内において、この水平断面の図心を通り、かつ両端が水平断面の外縁上に存在する直線の長さ)の最小の長さを意味する。例えば、水平断面が矩形の場合、厚みは短辺の長さである。特に、この水平断面が円形の場合、厚さは、直径を意味する。
【0118】
また、アスペクト比は、3.0以下であることが好ましい。アスペクト比の下限値は特に制限は無いが、触媒層43の高さは、触媒粒子の粒径の3倍以上であることが好ましい。また、触媒層43の昇降速度、昇降ストロークは、後述する第2の実施形態と同様であればよい。
【0119】
(4.運転方法)
次に、上記触媒反応装置1を用いた運転方法を説明する。
【0120】
(原料ガス改質時の運転方法)
原料ガスを改質する際には、各装置を以下の条件に設定して運転する。
全てのガス遮断部3を開放状態とする。心棒の駆動装置を上昇位置(心棒の駆動範囲の上端)、または、下降位置(心棒の駆動範囲の下端)に固定し、触媒層を常に静止させる。
流入管101a内での所要原料ガス流量は、各触媒反応器2内での原料ガスの空間速度が原料ガスの改質に適した空間速度となるように設定される。原料ガス流量の調整は流量調整部8によって行われる。
触媒反応器2内での原料ガスの空間速度は、以下の数式(2)で示される。
SV=[触媒反応器2内での原料ガス流量]/[触媒層体積] (2)
数式(2)において、触媒反応器2内での原料ガス流量は体積流量(m
3/s)であり、触媒層体積は、触媒層43の体積(m
3)を意味する。空間速度の具体的な数値は、ガスの標準状態に換算した値となっている。原料ガスの改質に適した空間速度は、原料ガスの種類によって異なるので、原料ガスの種類によって適宜設定すればよい。例えば原料ガス改質中の空間速度は、100(1/h)以上10000(1/h)以下程度が好ましい。
【0121】
(夾雑物除去時の運転方法)
夾雑物除去時には各装置を以下の手順で運転する。なお、
(1)流入管101a内での原料ガス流量を、所定の夾雑物除去時用の所要原料ガス流量(例えば、改質時と同じ所要原料ガス流量)に設定する。
(2)1番目の増速を意図する触媒反応器2−1の駆動装置を操作してこの反応器の心棒(触媒層)の昇降を開始する。
(3)1番目の増速を意図する触媒反応器2−1に対応するガス遮断部3−1を開放状態のままとし、他の全てのガス遮断部3を閉塞状態とする。なお、ガス遮断部3の開閉はガス遮断制御部51によって行われる。これにより、触媒反応器2−1内での原料ガス流量が原料ガス改質時のN倍となる。他の触媒反応器2内での原料ガス流量は0となる。ここで、流量調整部8では、より多くの質量のコークを触媒層から除去する観点からは、触媒反応器2−1内での原料ガスの線速度を0.2m/s以上の目標値に設定されることが好ましく、0.4m/s以上とすることがより好ましい(触媒層中の原料ガス流れが下降流の場合)。また、前記の臨界的なLV値0.2m/s以下の値であっても、改質時よりもLVを増大させることによって、特に細かいコーク(例えば、直径50μm未満)を飛散させる効果がある。特に細かいコークは、触媒層中に堆積するコーク全体に占める質量割合は数%程度以下と小さく、これを除去してもコーク除去の質量的な効果としてはさほど大きくない。しかし、触媒層中に特に小さいコークが一定量以上堆積すると、触媒保持器と反応容器の間の隙間に特に小さいコークが多量に挟まって触媒保持器の昇降操作の妨げになることがある。従って、前記臨界値以下のLV条件であっても、改質時よりも増速させることによって特に細かいコークの堆積量を減らすことによって作業性上のメリットが生じる。触媒反応器2−1内での原料ガスの線速度LVは、以下の数式(4)で示される。他の触媒反応器2内での線速度も同様に求められる。線速度の具体的な数値は、ガスの標準状態に換算した値となっている。
LV=[触媒反応器2−1内での原料ガス流量]/[反応容器40の水平断面積]
(4)
【0122】
このとき、例えば、原料ガス改質時に各触媒反応器2内に流れる原料ガスの線速度が0.05m/s、夾雑物除去時の原料ガス流量が改質時と同一、触媒反応器の台数N=10であった場合、夾雑物除去時に触媒反応器2−1内に流れる原料ガスの線速度は0.05*10=0.5m/sとなる。この線速度は、昇降中の触媒層中コークを除去するのに好適なLVの条件(LV≧0.2m/s)を満たす(改質時のLVは、この条件を満たしていない)。したがって、夾雑物除去時に夾雑物をより効率よく除去することができる。第1の実施形態では、ガス遮断制御部51が一部のガス遮断部3だけを開放状態とし、かつ、ガス流量調整部8がガスの線速度を調整することによって、触媒反応器2内に高い(0.2m/s以上の)線速度の原料ガス(高速気流)を流通させることができる。すなわち、心棒の駆動装置、ガス遮断部3、駆動装置制御装置、ガス遮断制御部51、流量調整部8、および増速装置等による協働によって、触媒反応器2内に高い(0.2m/s以上の)線速度の原料ガスを流通させることができる。
(4) (3)での触媒反応器2−1における触媒層昇降中の高速気流を通気する操作は、触媒反応器2−1においてコークの大半が除去される(すなわち、上述した差圧が所定値以下となる)か、あるいは、この操作を所定時間実施した後、終了する。この終了にあたっては、まず、2番目の増速を意図する触媒反応器2−2に対応するガス遮断部3−2を開放状態とし、次に、触媒反応器2−2で触媒層の昇降を開始する。この昇降が開始された後、触媒反応器2−1の昇降を停止するとともに、ガス遮断部3−1を閉塞状態にする。
(5)触媒反応器2−2において、(3)における触媒反応器2−1でと同様の夾雑物除去作業が行われる。触媒反応器2−2でのコーク除去が完了した後、触媒反応器2−2での夾雑物除去作業を終了する。
(6)以下、同様の作業を触媒反応器2−3以降、全ての触媒反応器に対して実施する。
(7)全ての触媒層で(6)が完了した後、全てのガス遮断部を開放して改質時に戻す。
【0123】
また、原料ガスの発生速度に対して触媒反応器台数Nが少ないために1台の触媒反応器に原料ガスを集中してもその触媒反応器内で臨界値以上のLVを得られない場合等には、以下のように流量調整部8及びガス遮断部を操作することで原料ガスの流量を一時的に大きくして臨界値以上のLVを触媒反応器内で確保してもよい。
【0124】
すなわち、ガス供給部としてガス発生炉等の常に一定の質量のガスを発生させるガス発生装置(例えばコークス炉)を前提として、全てのガス遮断部3を一旦閉塞状態とする。この場合、全ての触媒反応器2への原料ガスの流量が遮断される。したがって、流入管101a内にガス遮断弁が閉止している期間に発生した原料ガスが滞留するのでこの部分での内圧が高まる。一方、ガス遮断部3より下流では、ブロワ9が締め切り運転を行うことになるので、内圧が低下する。この状態を所定時間維持すれば、ガス遮断部3の上流と下流との間に大きな圧力差を生じさせることができる。そして、この状態でガス遮断部3−1を再度開放状態とすると、この大きな圧力差によって単に1台の触媒反応器に原料ガスを集中しただけの場合よりも大きな流量の原料ガスが一時的に触媒反応器2−1に導入される。すなわち、原料ガスの線速度を増速することができる。なお、開放状態とするガス遮断部3の数が少ないほど、増速の効果が大きくなるが、全てのガス遮断部3を一斉に開放状態とした場合であっても、一定の増速効果が得られる。この処理によれば、簡単な設備であっても(例えば、冷却装置7及びブロワ9が小容量の設備であっても)、大流量の原料ガスを触媒反応器2に導入することができる。
【0125】
また、触媒層の閉塞が特に激しい場合には、上記の特定の触媒反応器に原料ガスを集中して供給する方法を、閉塞反応器に対して直ちに始めるのには圧力損失が過大になることが予想される場合がある。そのような場合には、まず、全ての反応器の遮断装置を開状態として全ての触媒反応器で保持器昇降操作を所定回数(例えば、3回)行った後、上記の特定の触媒反応器に原料ガスを集中して供給すればよい。こうすることで、最初の保持器昇降によって、過大な圧力損失のもととなりうる堆積コークの一部は既に除去できているので、その後に流量を集中させる触媒反応器に原料ガスを供給しても、圧力損失が過大になることを避けられる。
【0126】
なお、上記の方法では、ガス遮断部3を1つずつ開放状態としたが、複数(ただしN未満)のガス遮断部3を同時に開放状態としてもよい。この場合、各触媒反応器2に導入される原料ガスの流量は減少するが、各触媒反応器において臨界値以上のLVを満足できれば、複数の触媒反応器2で同時に夾雑物を除去することができる。また、ガス遮断部3−1から開放状態としたが、他のガス遮断部3から開放状態としてもよい。
【0127】
さらに、第1の実施形態では、原料ガスを触媒層43の上方から触媒層43に導入する。すなわち、除去ガスとなる原料ガスを鉛直下向きに触媒層43に導入する。このため、触媒粒子に働く力は全て下方向の力となる。したがって、夾雑物をより効率よくかつ確実に除去することができる。
【0128】
<2.第2の実施形態>
(1.全体構成)
まず、
図5に基づいて、第2の実施形態に係る触媒反応装置1の全体構成について説明する。触媒反応装置1は、流入集合管101と、複数(
図3の例ではN個)の触媒反応器2a(2a−1、2a−2、・・・、2a−i、・・・2a−N)と、流出集合管102と、反応器群制御装置5aと、増速装置(増速部)53aと、粉塵回収器6と、冷却装置7と、流量調整部8とを備える。このように、第2の実施形態に係る触媒反応装置1は、第1の実施形態に係る触媒反応装置1からガス遮断部3を除き、触媒反応器2、反応器群制御装置5を触媒反応器2a、反応器群制御装置5aとしたものである。
【0129】
(触媒反応器)
触媒反応器2aは、触媒改質に関して触媒反応器2と同様の機能を有する。さらに、触媒反応器2aは、内部に弁座15、通気孔16、弁体17、及び心棒18を備えており(
図6参照)、これらがガス遮断部3aとして機能する。以下の説明において、触媒反応器2a−1内のガス遮断部3aをガス遮断部3a−1、触媒反応器2a−2内のガス遮断部3aをガス遮断部3a−2、触媒反応器2a−i内のガス遮断部3aをガス遮断部3a−i、触媒反応器2a−N内のガス遮断部3aをガス遮断部3a−Nと定義する。したがって、第2の実施形態に係る触媒反応装置1は、高温弁となるガス遮断部3が不要となるので、より低コストで実現可能となる。触媒反応器2aの詳細構成及び動作については後述する。
【0130】
(反応器群制御装置)
反応器群制御装置5aは、増速装置53aからの指令に基づいて、以下の処理を行う。すなわち、反応器群制御装置5aは、各ガス遮断部3aの開閉をガス遮断部3a毎に独立して行う。これにより、反応器群制御装置5aは、各触媒反応器2aに導入される原料ガスを触媒反応器2a毎に独立して遮断することができる。
【0131】
例えば、反応器群制御装置5aは、原料ガスの改質時には、全てのガス遮断部3aを開放状態とする。これにより、全ての触媒反応器2a内に、原料ガスの改質に適した流量の原料ガスを導入することができる。一方、反応器群制御装置5aは、夾雑物除去時には、一部のガス遮断部3aを開放状態とし、他のガス遮断部3aを閉塞状態とすることで、原料ガスが集中する触媒反応器2aを意図的に生じさせる。
【0132】
その後、反応器群制御装置5aは、全てのガス遮断部3aを開放状態とする。これにより、原料ガスの改質を行う。原料ガスの改質時には、全ての触媒反応器2aの原料ガス流量を同一の流量とすることができる。
【0133】
ここで、詳細は後述するが、反応器群制御装置5aは、触媒反応器2a内の駆動装置21(
図6参照)を駆動することで、心棒18を開放位置18aと閉塞位置18bとの間で昇降させる。これにより、反応器群制御装置5aは、ガス遮断部3aを開放状態または閉塞状態とする。さらに、反応器群制御装置5aは、心棒18を開放位置18aと中間位置18cとの間で昇降させることで、触媒保持器14(
図6参照)を昇降させ、夾雑物を除去する。このように、第2の実施形態では、心棒18を昇降させることで、ガス遮断部3aの開閉と、触媒保持器14の昇降(すなわち、触媒層13内の夾雑物の除去)とを行う。
【0134】
なお、反応器群制御装置5は、CPU、ROM、RAM等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成によって上述した機能が実現される。すなわち、ROMには、上述した機能を実現するためのプログラム等が記録される。CPUは、ROMに記録されたプログラムを読みだして実行する。RAMはCPUによる作業領域となるものである。
【0135】
(増速装置)
増速装置53aは、夾雑物除去時に、増速を意図する特定の触媒反応器においてLV値が臨界値以上である高速気流を発生させるために関連するハードおよびソフトを協調動作させるための制御装置である。増速装置53aによる具体的な構成及び処理は第1の実施形態と同様である。概略的には、増速装置53aは、反応器群制御装置5aを用いて、心棒18を開放位置18aと閉塞位置18bとの間で昇降させることで、ガス遮断部3aを開放状態または閉塞状態とする。また、増速装置53aは、反応器群制御装置5aを用いて、心棒18を開放位置18aと中間位置18cとの間で昇降させることで、夾雑物を除去する。
【0136】
(2.触媒反応器の詳細構成)
次に、触媒反応器2aの詳細構成を
図6〜
図9に基づいて説明する。
図6に示すように、触媒反応器2aは、反応容器10と、流入路11と、流出路12と、触媒層13と、触媒保持器14と、弁座15と、通気孔16と、弁体17と、心棒18と、断熱材19と、連結管20と、駆動装置21とを備える。
【0137】
(反応容器)
反応容器10は、触媒層13と、触媒保持器14と、弁座15と、通気孔16と、弁体17と、心棒18とを収容する円筒形状の部材である。反応容器10の形状を円筒形状とすることで、高温下でも半径方向(長さ方向に垂直な方向)の歪みが生じにくい。もちろん、設計上の便宜等の理由により、反応容器10の形状を他の形状としてもよい。例えば、反応容器10は、水平断面が正多角形となる角筒形状、水平断面が楕円となる楕円筒形状であってもよい。
【0138】
反応容器10の半径の下限値は、例えば、触媒層13を構成する触媒粒子の代表寸法(例:触媒直径)である(例えば、10mm)。一方、反応容器10の半径の上限値は、以下の観点で設定される。即ち、原料ガスは、触媒層13を通過することで改質される。そして、原料ガスを改質するためには、反応容器10内の温度を上述した改質温度以上に維持する必要がある。その一方、原料ガスの改質の際に起こる化学反応、すなわち触媒反応は、発熱または吸熱を伴うことが多い。したがって、反応容器10内の温度を改質温度以上に維持するためには、原料ガスの改質によって生じた熱を反応容器10外に放出し、あるいは原料ガスの改質に必要な熱を反応容器10内に供給する必要がある。そして、反応容器10の半径が大きすぎると、このような熱の授受が十分に行われない可能性がある。したがって、反応容器10の半径には、触媒反応に伴う熱の授受を十分に(すなわち、反応容器10内の温度を改質温度以上に維持することができる程度に)行うという観点と、壁面近傍の触媒を、触媒の失活をもたらす極端な高温に曝さないという観点から、上限値が存在する。具体的な上限値は、化学反応の反応熱・原料ガスの流量・反応容器10の伝熱特性等によってエンジニアリング的に設定されれば良い。上限値は、例えば200mm程度であってもよい。
【0139】
なお、触媒反応が吸熱反応となる場合、反応に必要な温度と熱は、上述した加熱装置から反応容器10に与えられてもよい。また、触媒反応が発熱反応となる場合、反応熱は、反応容器10の外部に設けられた冷媒流路(図示せず)に冷媒を流すことによって除去されてもよい。
【0140】
なお、反応容器10の半径が小さいほど、反応容器10の伝熱性が向上し、より低い触媒層平均温度で反応容器10内を改質温度以上に維持することができ(吸熱反応の場合)、設備をより安価にできる。この観点からは、反応容器10の半径は小さい方が好ましい。ただし、同一の空間速度SVを前提にすると、反応容器10の半径が小さいほど、反応容器10内の原料ガスの線速度が上昇する。したがって、原料ガスが触媒層13を通過する際の圧力損失が非常に大きくなってしまう。このため、反応容器半径を小さくするためには、夾雑物を効率よく除去して通気抵抗を低い値に維持する必要がある。本実施形態では、夾雑物を効率よく除去することができるので、反応容器10の半径を小さく(例えば、上述した下限値またはそれに近い値)とすることができる。この結果、例えば反応容器10を加熱する加熱装置として安価な装置(すなわち、小型で安価な構造材料を用いた装置)を使用することができる。
【0141】
反応容器10の高さは、触媒層13の高さ(触媒層13が複数層からなる場合、各触媒層13の高さの合計値)よりも大きければよい。一方、反応容器10の高さの上限値に関して、少なくとも機能上の制約はない。したがって、反応容器10の上限値は、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に設定されれば良い。上限値は、例えば、5000mmとなる。
【0142】
反応容器10の材質は、常温及び触媒反応の温度まで加熱された時のいずれにおいても、触媒層13を保持する強度、触媒反応に関与する流体(例えば原料ガス等)に対する耐熱・耐食性、反応生成物(例えば改質ガス、夾雑物)に対する耐汚染性を有するものであればどのような材質であってもよい。反応容器10の材質としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料等が挙げられる。
【0143】
また、後述するように、触媒層13は、反応容器10の内壁面に接触した状態で昇降(上下動)される。したがって、反応容器10の内壁面は、触媒層13の昇降時に触媒層13の移動の妨げにならないよう、なるべく平滑であることが好ましい。
【0144】
(流入路)
流入路11は、反応容器10の上端で反応容器10に連結されている。すなわち、反応容器10の上端には通気孔11aが形成されており、この通気孔11aを介して流入路11と反応容器10とが連結されている。流入路11は、流入分岐管101bに連結されており、原料ガス供給部100から発生した原料ガスを反応容器10内に導入する。矢印P1は、原料ガスの流動方向を示す。
【0145】
(流出路)
流出路12は、反応容器10の下端で反応容器10に連結されている。すなわち、反応容器10の下端には通気孔12aが形成されており、この通気孔12aを介して流出路12と反応容器10とが連結されている。流出路12は、流出分岐管102bに連結されており、反応容器10内で生成した改質ガスを粉塵回収器6に導入する。矢印P2は、改質ガスの流動方向を示す。
【0146】
流入路11及び流出路12は、触媒反応器2aの側方に配置されているので、触媒反応器2aを上下に貫通する心棒18との干渉を回避できる。ここで、各触媒反応器2aの流入路11及び流出路12を触媒反応器2a間で共有することで、触媒反応器2a同士を並列接続してもよい。その例を
図7に示す。なお、この例では、流入路11が流入管101aの役割を果たし、流入路11と通気孔11aとの連結部分が流入分岐管101bの役割を果たす。また、流出路12が流出管102aの役割を果たし、流出路12と通気孔12aとの連結部分が流出分岐管102bの役割を果たす。
【0147】
(触媒層)
触媒層13は、反応容器10内に設けられる。触媒層13は、触媒粒子が反応容器10内で触媒保持器14上に充填して積層されることで形成される。触媒粒子は、原料ガスの改質の触媒となるものであり、原料ガスは、触媒粒子に接触した際に改質される。例えば、触媒粒子上で触媒反応が起こることで、原料ガス中の水蒸気とタールガスが改質されて一酸化炭素ガスと水素ガスとコークが生じる。
【0148】
また、触媒層13は、反応容器10の内壁面に接触している。このため、触媒層13の昇降時には、壁面摩擦の効果によって触媒層13の上部は下部に遅れて下降する。したがって、触媒層13の充填率が一時的に低下する。この際、触媒粒子間の平均的な間隙が拡大するため、触媒層の静止時には除去ガスが通過しにくい部位(例:触媒保持器直上の触媒粒子等)にも除去ガスが到達し、そこでの夾雑物を除去できる。本発明では、触媒層13を昇降させる際に除去ガスを反応容器10内に導入するので、触媒層13内の夾雑物をより効率よく除去することができる。
【0149】
また、触媒層13は、反応容器10内で3層形成されている。そして、各層の触媒層13が触媒保持器14によって保持される。このように触媒層13を多層構造とすることで、各触媒保持器14に掛かる荷重を低減することができる。もちろん、触媒層13の層数は3層に限られず、2層であっても、4層以上であってもよい。また、触媒層13は単層であってもよい。ただし、この場合、触媒層13の荷重に耐えられる触媒保持器14を用意する必要がある。
【0150】
触媒層13を構成する触媒粒子は、原料ガスを改質(例えば、水蒸気改質やクラッキング)できる触媒であれば、どのようなものであってもよい。例えば、原料ガスがタール含有ガスとなる場合、触媒粒子としては、Ni−アルミナ系触媒、Ni−マグネシア−アルミナ系触媒等を用いることができる。また、触媒粒子の大きさは、後述する触媒保持器14の通気孔14cを通過しない程度の大きさであればよい。
【0151】
ここで、夾雑物がコークとなる場合、コークの直径は通常数十〜数百μm程度となる。したがって、触媒粒子を触媒保持器14上に残し、コークだけを触媒保持器14の通気孔14cから落下させるためには、触媒粒子は、例えば代表寸法(例えば直径、より詳細には球相当直径)が1〜100mm程度となる塊状触媒であることが好ましい。この場合、触媒層13を昇降させた際に、触媒粒子を触媒保持器14上により確実に残しつつ、夾雑物であるコークを触媒保持器14から落下させることができる。
【0152】
また、触媒層13の容積が一定となる条件の下では、触媒粒子の数が多いほど、触媒層13の総表面積は増大する。したがって、触媒反応の反応速度が増大する。そして、触媒粒子の形状が球または球に近い形状となる場合、一定の容積内に占める触媒粒子の数が増大しやすい。したがって、触媒粒子の形状はなるべく球に近いことが好ましい。あるいは、触媒粒子の形状は、触媒粒子の占有体積(触媒粒子の材料が占める体積と触媒粒子内の中空部分が占める体積との総和)に対する触媒粒子の表面積が大きくなる形状、例えば円筒形状、リング形状であってもよい。
【0153】
触媒層13のアスペクト比は、0.4〜2.5であることが好ましい。後述する実施例に示されるように、アスペクト比がこの範囲内の値となる場合に、コークをより効率よく除去することができるからである。なお、アスペクト比が0.4未満であり、かつ、触媒層13の昇降速度が小さい場合には、反応容器10の内壁面と触媒層13との摩擦による粒子撹拌効果(粒子間の相対運動)が観察されない。このため、本発明の原理によるコーク除去が困難になる(特に、粗大コーク粒子の破壊が困難になる)ことがわかった。また、各触媒層13の高さは、触媒粒子の代表寸法(直径等)の3倍以上であることが好ましい。
【0154】
ここで、第2の実施形態では、円筒形状の反応容器10の中心に心棒18が存在し、触媒層13の拘束(触媒層13との摩擦による拘束)は、反応容器10の内壁面および心棒18の側面の両方で発生する。このため、第2の実施形態におけるアスペクト比は、以下の数式(4)で定義される。
アスペクト比=触媒層13の高さ/(反応容器半径−心棒半径) (4)
ここで、触媒層13が複数層で形成される場合、数式(4)中の「触媒層13の高さ」は、各触媒層13の高さを意味する。したがって、触媒層13が複数層で形成される場合、触媒層13毎にアスペクト比が定義される。
【0155】
なお、後述するように、心棒18は反応容器10内に複数本設けられていてもよい。この場合、これらの心棒18の水平断面積を合計した面積に相当する等価円の半径を上式での心棒半径として用いればよい。
【0156】
(触媒保持器)
触媒保持器14は、触媒層13を保持する部材であり、触媒層13毎に設けられる。触媒保持器14は、後述する心棒18に固定され、心棒18と一体となって昇降する。
【0157】
触媒保持器14は、反応容器10内で触媒層13を触媒層13の下面全体で保持するとともに、通気性を有する。具体的には、触媒保持器14は、触媒粒子の落下を防ぎつつ、各種ガス(原料ガス及び改質ガス)を流通させる構造を有する必要がある。具体的には、触媒保持器14は、
図8に示すように、複数のリング状部材14aと、リング状部材14a同士を連結する連結部材14bとを備える。各リング状部材14aは、互いに直径が異なっており、連結部材14b上に同心円状に配置される。ここで、各リング状部材14aの中心点は、心棒18の中心軸上に配置される。また、リング状部材14aの断面(周方向に垂直な断面)形状は特に制限されないが、強度の観点から矩形であることが好ましい。また、リング状部材14a間には、通気孔14cが形成される。各種ガス及び夾雑物は、この通気孔14cを通過する。
【0158】
連結部材14bは、リング状部材14a同士を連結するとともに、これらを心棒18に固定させる。すなわち、連結部材14bは、心棒18から放射状に伸びる部材となっている。連結部材14bの断面(長さ方向に垂直な断面)形状も矩形であることが好ましい。リング状部材14a及び連結部材14bの断面積を大きくすることで、触媒保持器14の強度を大きくすることができる。
【0159】
触媒保持器14をこのような構成とすることで、触媒保持器14の強度を大幅に向上させることができる。すなわち、触媒層13の昇降時には、触媒保持器14に触媒層13から大きな反力を受けることがある。したがって、触媒保持器14は、強度の高い構造であることが好ましい。触媒保持器14は、例えば、反応容器10の水平断面形状と同じ形状に加工された網、パンチングメタル等であってもよい。
【0160】
なお、触媒保持器14の開口率が小さすぎると、通気性や夾雑物の通過性が悪化する。触媒保持器14の開口率が大きすぎると、触媒保持器14の強度が不足する。したがって、触媒保持器14の開口率には適切な範囲が存在する。上記の各構造例の場合、触媒保持器14の開口率は30〜70%程度であることが好ましい。ここで、触媒保持器14の開口率は、以下の数式(5)で求められる。
c=a/(a+b) (5)
ここで、aは通気孔14cの水平断面積の総和であり、bはリング状部材14aの水平断面積の総和であり、cは開口率である。
【0161】
触媒保持器14は、常温及び触媒反応の温度まで加熱された時のいずれにおいても、耐熱・耐腐食性・曲げやせん断に対する強度および靭性を備えた金属材料で構成されることが好ましい。このような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のニッケル合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
【0162】
(弁座、通気孔)
次に、弁座15は、
図6に示すように、反応容器10の内壁面に設けられている。弁座15は、反応容器10内の空間を水平方向に仕切る部材である。また、弁座15の中心部分には、弁座15を上下に貫通する通気孔16が形成されている。心棒18は通気孔16を貫通しており、原料ガスは、この通気孔16を通過することができる。すなわち、通気孔16の直径は、心棒18の直径よりも大きい。また、弁座15の下端面には、略円錐形状の切り欠きが形成されている。したがって、弁座15の下端面には凹形状が形成されている。弁座15の材質は触媒保持器14の材質と同様であればよい。
【0163】
(弁体)
弁体17は、心棒18と一体となって昇降する部材であり、円錐台形形状となっている。弁体17は、心棒18と一体となって昇降することで、通気孔16を開放、または閉塞することができる。例えば、弁体17は、
図9(b)の実線で示される位置(この位置は後述する開放位置18aに相当する)に存在する場合に、通気孔16を開放する。この場合、原料ガスは、通気孔16を通って触媒層13に到達することができる。一方、弁体17は、
図9(b)の二点鎖線で示される位置(この位置は後述する閉塞位置18bに相当する)に存在する場合に、通気孔16を閉塞する。この場合、弁座15及び弁体17によって流入路11と反応容器10内の触媒層13とが遮断されるので、原料ガスは触媒層13に到達することができない。すなわち、原料ガスの反応容器10への流通が遮断される。弁体17の材質は触媒保持器14の材質と同様であればよい。
【0164】
なお、
図9(a)の破線17dは、通気孔16を閉塞した弁体17の上端部を示し、破線17e及び
図9(b)中の直線17bは、通気孔16を閉塞した弁体17と弁座15との接触線を示す。この接触線は円形となる。
【0165】
このように、弁座15及び弁体17のいずれも軸対称形状(接触線17bが円形)となっている。このため、原料ガスの遮断性をより高めることができる。尚、設計上の便宜の理由等から、接触線17bが楕円形等のなめらかで角を持たない形状であってもよい。この場合、弁座15の水平断面形状及び弁体17の切り欠きの水平断面形状を楕円形等にすればよい。
【0166】
なお、
図9(b)から明らかな通り、弁体17が弁座15に接近するにつれて原料ガスの通気断面積が減少して通気抵抗が上昇する。このため、弁体17の上昇中であっても、原料ガス流量を徐々に減少させることができる。弁体17の側面傾斜を大きくすれば、原料ガスの流量の減少は弁体17の上昇が開始された後、早いタイミングで始まる。その後、原料ガスの流量は、弁体17が弁座15に接触する(すなわち通気孔16を閉塞する)まで続く。したがって、原料ガスの流量減少は、比較的長時間に渡って続く。一方、弁体17が弁座15に接触する直前まで原料ガスの流量を減少させたくない場合、弁体17の側面傾斜を小さく(すなわち水平面に近いように)設定すればよい。
【0167】
また、弁体17及び弁座15は、必ずしも原料ガスを完全に遮断しなくても良い場合がある。例えば、弁体17及び弁座15の接触時に、原料ガス流量が非接触時よりも単に十分小さくなればよい場合がある。即ち、例えば、特定の反応器で弁体−弁座の接触時に弁開放時の流量の1%相当のリークが生じたとする。このリーク流量は、ガスの遮蔽という観点からは問題視されうるものの、例えば、他の反応器にガス流量を集中させることが目的であれば、許容されうる(少なくとも、99%の遮蔽と100%の遮蔽との間の効果の差は、小さい)。この場合、弁体17及び弁座15の接触時に弁体17及び弁座15の間に隙間が生じてもよい。
【0168】
(心棒)
心棒18は、反応容器10内を上下に伸びる円柱または円筒形状の部材(すなわち、丸棒または円管)である。心棒18には、触媒保持器14及び弁体17が固定されており、触媒保持器14及び弁体17とともに昇降する。また、心棒18の上端部は、断熱材19を介して駆動装置21に連結されている。心棒18は、駆動装置21によって昇降する。具体的には、心棒18は、
図6(b)に示すように、弁体17が通気孔16を開放する開放位置18aと、
図6(c)に示すように、弁体17が通気孔16を閉塞する閉塞位置18bとの間を昇降する。
【0169】
さらに、心棒18は、夾雑物の除去時には、
図6(d)に示す中間位置18cと
図6(b)に示す開放位置18aとの間で昇降することが可能となっている。中間位置18cは、開放位置18aと閉塞位置18bとの間に設定される。
図6に示す例では、中間位置18cは、開放位置18aと閉塞位置18bとの中点に中間位置18cが設定されるが、他の位置に中間位置18cが設定されても良いことはもちろんである。
【0170】
中間位置の設定方法は特に制限されないが、例えば上述したエアシリンダ中の中間位置に相当する位置にリミットスイッチを設ける方法等が挙げられる。より具体的には、このようなリミットスイッチを有する3ポジション式のエアシリンダを駆動装置21として用いれば良い。また、複数の2ポジション型エアシリンダを直列に結合することで、3ポジション式のエアシリンダを実現してもよい。なお、中間位置の数は複数であってもよい。この場合、駆動装置21のポジション数は中間位置の数に応じて増大する。
【0171】
駆動装置21は、増速装置53aによる制御により、原料ガスの遮断時には心棒18を閉塞位置18bで停止させ、原料ガスの改質時には、心棒18を開放位置18aで停止させる。さらに、駆動装置21は、夾雑物の除去時には、心棒18を中間位置18cと開放位置18aとの間を昇降させる。駆動装置21の制御は、反応器群制御装置5aによって行われる。これにより、本実施形態では、原料ガスの流通を遮断させることなく触媒層13を昇降させることができる。すなわち、本実施形態では、心棒18を中間位置18cと開放位置18aとの間で昇降させる。
【0172】
心棒18の直径は、反応容器10の直径よりも十分小さいことが好ましい。例えば、心棒18の直径は、反応容器10の直径(内径)の0.7倍以下であることが好ましい。心棒18の直径の下限値は、例えば心棒18に要求される強度・剛性等によって設計的に設定されればよい。例えば、心棒18の直径の下限値は、10mm以上であってもよい。また、心棒18の水平断面は円形となるが、設計上の便宜等の理由から、心棒18の水平断面は、正多角形断面または楕円形断面等であってもよい。
【0173】
心棒18は、反応容器10の中心軸に設置されるか、なるべく反応容器10の中心軸に近い位置に設置されることが好ましい。この場合、触媒粒子の撹拌効果(粒子間の相対運動)が促進される。この理由は以下の通りである。すなわち、第1の実施形態では、心棒18が触媒層13を貫通するので、触媒層13と反応容器10の内壁面との摩擦による触媒粒子の拘束効果に加えて、触媒層13と心棒18の表面との摩擦による触媒粒子の拘束効果も期待できる。そして、心棒18の昇降時には、反応容器10の内壁面と心棒18の表面とが相対運動を行うため、反応容器10の内壁面と心棒18との間に挟まれた触媒層13全体により強いせん断力が与えられる。このため、触媒層13内での粒子間相対変位が増大する。
【0174】
ここで、第2の実施形態では、反応容器10と心棒18の水平断面はがともに円形であり、かつ、両者が同軸に配置される。このため、この粒子相対変位の促進効果は、触媒層13内の周方向に均一に与えられ、触媒層13全域でコーク除去効果を大きく増進することができる。
【0175】
一方、心棒18が触媒層13を貫通していても、心棒18の位置が反応容器10の中心軸から大きく離れている場合には、心棒18と反応容器10の内壁面との距離にバラ付きが生じる。すなわち、当該距離が過小となる部分が生じる。そして、この部分では、心棒18と反応容器10の内壁面との間の相対運動によって生じるせん断力が過大となる。したがって、この部分の触媒粒子が破損する可能性がある。従って、心棒18は、反応容器10の中心軸か、なるべくその近傍に配置されることが好ましい。なお、心棒18を反応容器10の内壁面近傍に配置する場合には、心棒18と内壁面との隙間が過小となる部分に触媒粒子を充填しないようにすることが好ましい。
【0176】
なお、心棒18は複数本存在してもよい。この場合、複数の心棒18は、反応容器10の中心軸から同一距離(半径)だけ離れた位置に配置されてもよい。また、心棒18の材質は、触媒保持器14と同様の材質であればよい。
【0177】
ここで、触媒粒子同士が十分に相対運動を行うためには、心棒18の昇降ストロークは大きいことが好ましい。もちろん、心棒18の昇降ストロークが触媒粒子の代表寸法の0.1倍程度であっても加振の効果は存在するので、夾雑物の除去効果はある程度得られる。しかし、夾雑物をより効率よく除去するためには、心棒18の昇降ストロークは、触媒粒子の代表寸法の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
【0178】
一方、心棒18の昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器10および駆動装置21が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒粒子の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
【0179】
心棒18の上昇速度は、なるべく小さいことが好ましい。その理由は以下の通りである。すなわち、触媒保持器14とともに触媒層13を上昇させるのに要する上昇力は、心棒18の上昇速度が小さいほど小さい。本発明者らの調査の結果、心棒18の上昇速度が10mm/sとなる時の所要上昇力は、心棒18を1mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の2倍程度となることがわかった。また、心棒18の上昇速度が大きくなるほど、触媒粒子が破壊されやすくなる。
【0180】
したがって、心棒18の上昇速度は小さいことが好ましい。但し、心棒18を1mm/sで上昇させるのに要する所要上昇力と、心棒18を0.5mm/sで上昇させるのに要する所要上昇力との差は小さいので、心棒18の上昇速度を1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、心棒18の上昇速度が10mm/sとなる場合であっても、触媒粒子が破壊されないのであれば、心棒18を10mm/s程度の上昇速度で上昇させてもよい。
【0181】
その一方で、心棒18の下降速度は大きいことが好ましい。特に、触媒層13の最下端での触媒粒子の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で心棒18を下降させた場合、触媒粒子は触媒保持器14から離脱する。この場合、触媒粒子間の拘束が小さくなり、触媒粒子間の相対運動を大きくとれる。したがって、触媒層13の最下端での触媒粒子の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で心棒18を下降させることが好ましい。但し、心棒18の下降速度を触媒粒子の自由落下速度よりも極端に大きくしても、得られる効果に差はない。また、保持器の下降速度は、自由落下速度よりも十分小さくても充分な効果が得られる。これは、保持器上昇後の触媒層は反応容器内壁からの拘束によって、下端が開放されても直ちに自由落下することはなく、触媒層の下方から徐々に落下するため、落下速度がかなり遅くなることによるものである。従って、10mm/s程度の下降速度であっても、触媒層充填率の回復効果およびコークの除去効果は得られる。
【0182】
上記のように、心棒18が開放位置18a(または中間位置18c)にある場合に、弁体17は弁座15と非接触であり、通気孔16が開放される。この場合、原料ガスが触媒反応器2a内に導入される。また、心棒18が閉塞位置18bにある場合に、弁体17は弁座15と接触し、通気孔16が閉塞する。この場合、原料ガスは触媒反応器2aから遮断される。したがって、弁座15、通気孔16、弁体17、及び心棒18によってガス遮断部3aが構成される。そして、心棒18が開放位置18a(または中間位置18c)にある際に、ガス遮断部3aは開放状態となり、心棒18が閉塞位置18bにある際に、ガス遮断部3aは閉塞状態となる。
【0183】
断熱材19は、心棒18の熱が駆動装置21に伝わりにくくするために設けられる部材である。断熱材19は、反応容器10の上端面10aを貫通し、連結管20内に伸びている。そして、断熱材19は、連結管20内で駆動装置21の駆動棒21aと連結されている。なお、断熱材19の下端部は、心棒18の昇降時に反応容器10内に配置される。これにより、心棒18の昇降中であっても、心棒18の熱が駆動装置21に伝わりにくくなる。断熱材19は、例えばセラミックス等で構成される。なお、断熱材19の構造としては、フランジ間に断熱材を挟む構造や、単に複数の金属板を軸方向に多数重ねる構造としてもよい。後者の場合、金属板間の接触熱抵抗を利用して軸方向の熱流束を抑制することができる。断熱材19は、高温用パッキンであってもよい。
【0184】
(連結管及び駆動装置)
連結管20は、反応容器10と駆動装置21とを連結する管状部材である。駆動装置21は、心棒18を開放位置18a、閉塞位置18b、中間位置18cとの間で昇降させる部材であり、駆動棒21aと、シリンダ22と、ピストン23とを備える。したがって、駆動装置21はいわゆる3ポジション型のエアシリンダを利用した昇降装置となっている。駆動棒21aは、断熱材19を介して心棒18に連結されている。シリンダ22は、ピストン23が収納される部材であり、ピストン23は、シリンダ22内に供給されるガスによってシリンダ22内を昇降する。ピストン23には、駆動棒21aが連結される。駆動棒21aは、ピストン23と連動して昇降する。これにより、駆動装置21は、心棒18を昇降させる。なお、ピストン23がシリンダ22の下端に到達した際に、心棒18は開放位置18aに到達し、ピストン23がシリンダ22の上端に達した際に、心棒18は閉塞位置18bに到達する。中間位置では18cでは、シリンダ上下の圧力をバランスさせて開放位置と閉塞位置間での所定の停止位置にシリンダを維持する。もちろん、駆動装置21は心棒18を上述した態様で昇降させることができればよいので、駆動機構はエアシリンダに限定されない。例えば、駆動装置21の駆動機構は、ラックピニオン等であってもよい。
【0185】
駆動装置21は、
図6に示されるように、反応容器10の外部に設けられる。さらに、駆動装置21は、加熱装置(反応容器10等を加熱する装置)内に配置されてもよい。この場合、駆動装置21を高温や腐食性物質から保護するために、駆動装置21を耐熱・耐食性が高い材質で構成することが好ましい。例えば、駆動装置21のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金で構成してもよい。この場合、エアシリンダにガスを供給する配管(図示せず)は反応容器10を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。なお、心棒18の上昇時に、触媒保持器14の一部が触媒層13に食い込んで自由落下しえなくなる場合があるので、駆動装置21は心棒18の上昇時だけでなく下降時も駆動されることが好ましい。なお、駆動装置21は、反応器群制御装置5aによる制御によって駆動する。
【0186】
(3.運転方法)
次に、上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法、すなわち触媒反応装置1の運転方法を説明する。
【0187】
(原料ガス改質時の運転方法)
原料ガスを改質する際には、各装置を以下の条件に設定して運転する。
全てのガス遮断部3を開放状態とする。心棒の駆動装置を開放位置に固定し、触媒層を常に静止させる。
流入管101a内での所要原料ガス流量は、各触媒反応器2内での原料ガスの空間速度が原料ガスの改質に適した空間速度となるように設定される。原料ガス流量の調整は流量調整部8によって行われる。
【0188】
(夾雑物除去時の運転方法)
夾雑物除去時には各装置を以下の手順で運転する。なお、
(1)流入管101a内での原料ガス流量を、所定の夾雑物除去時用の所要原料ガス流量(例えば、改質時と同じ所要原料ガス流量)に設定する。
(2)1番目の増速を意図する触媒反応器2a−1の駆動装置を操作してこの反応器の心棒(触媒層)の昇降を開始する。ここで、心棒18は、開放位置18aと中間位置18cとの間で昇降する。したがって、1番目の増速を意図する触媒反応器2a−1は常に開放状態とされる。
(3)1番目の増速を意図する触媒反応器2a−1に対応するガス遮断部3a−1を開放状態のままとし、他の全ての他のガス遮断部3aを閉塞状態とする。これにより、触媒反応器2a−1内での原料ガス流量が原料ガス改質時のN倍となる。他の触媒反応器2内での原料ガス流量は0となる。ここで、流量調整部8では、より多くの質量のコークを触媒層から除去する観点からは、触媒反応器2−1内での原料ガスの線速度が0.2m/s以上の目標値に設定されることが好ましく、0.4m/s以上とすることがより好ましい(触媒層中の原料ガス流れが下降流の場合)。また、前記の臨界的なLV値0.2m/s以下の値であっても、改質時よりもLVを増大させることによって、特に細かいコーク(例えば、直径50μm未満)を飛散させる効果がある。特に細かいコークは、触媒層中に堆積するコーク全体に占める質量割合は数%程度以下と小さく、これを除去してもコーク除去の質量的な効果としてはさほど大きくない。しかし、触媒層中に特に小さいコークが一定量以上堆積すると、触媒保持器と反応容器の間の隙間に特に小さいコークが多量に挟まって触媒保持器の昇降操作の妨げになることがある。従って、前記臨界値以下のLV条件であっても、改質時よりも増速させることによって特に細かいコークの堆積量を減らすことによって作業性上のメリットが生じる。
【0189】
(4)(3)での触媒反応器2a−1における触媒層昇降中の高速気流を通気する操作は、触媒反応器2a−1においてコークの大半が除去される(上述した差圧が所定値以下になる)か、あるいは、この操作を所定時間実施した後、終了する。この終了にあたっては、まず、2番目の増速を意図する触媒反応器2a−2に対応するガス遮断部3a−2を開放状態とし、次に、触媒反応器2a−2で触媒層の昇降を開始する。この昇降が開始された後、触媒反応器2a−1の昇降を停止するとともに、ガス遮断部3a−1を閉塞状態にする。
(5)触媒反応器2a−2において、(3)における触媒反応器2a−1でと同様の夾雑物除去作業が行われる。触媒反応器2a−2でのコーク除去が完了した後、触媒反応器2a−2での夾雑物除去作業を終了する。
(6)以下、同様の作業を触媒反応器2a−3以降、全ての触媒反応器に対して実施する。
(7)全ての触媒層で(6)が完了した後、全てのガス遮断部を開放して改質時に戻す。
【0190】
以上により、第2の実施形態に係る触媒反応装置1では、心棒18に触媒保持器14及び弁体17が固定されているので、これらは心棒18と一体となって昇降する。したがって、心棒18を昇降させることで、触媒層13を昇降させることができる。触媒層13は、反応容器10の内壁面及び心棒18の外周面との摩擦によって拘束されながら昇降するので、触媒粒子が撹拌される。すなわち、触媒粒子同士の相対位置が変動する。この結果、触媒粒子間に存在する夾雑物が除去される。
【0191】
さらに、心棒18は、弁体17が弁座15の通気孔16を閉塞する閉塞位置と、弁体17が通気孔16を開放する開放位置との間を昇降する。したがって、心棒18を昇降させることで、ガス遮断部3aを開放状態または閉塞状態とすることができる。さらに、心棒18は、夾雑物の除去時には、中間位置18cと開放位置18aとの間を昇降する。このため、心棒18の昇降中であっても、常に通気孔16が開放される。さらに、触媒層13の昇降中には、触媒反応器2a内に大流量の原料ガスが導入される。このため、原料ガスは、触媒層13内の夾雑物を効率よく除去することができる。特に、第2の実施形態では、触媒粒子間の相対位置の変動によってガス流路が変動するので、原料ガスは、新たなガス流路沿いに存在する夾雑物を除去することができる。
【0192】
特に、触媒層13の下降時には、上記摩擦の効果によって触媒層13の上部は下部に遅れて下降する。したがって、触媒層13の充填率が一時的に低下する。この際、触媒粒子間の平均的な間隙が拡大するため、原料ガスの通過しにくい部位(例:触媒保持器14直上の触媒粒子等)にも原料ガスが到達し、そこでの夾雑物を除去できる。尚、原料ガスの到達しにくい部位ではそもそも夾雑物の発生速度が小さいので、この部位で夾雑物除去を図る必要はないとの考えもありうる。しかし、実際には、原料ガスの到達しにくい部位でも原料ガスの拡散等を通じて夾雑物は徐々に発生する。そして、ここで発生した夾雑物は、この部位からあふれて隣接する部位、すなわち原料ガスの通気し易い部位に及び、この部位での通気抵抗を上昇させる。したがって、原料ガスの到達しにくい部位でも夾雑物を除去する必要性が存在する。
【0193】
触媒保持器14の直上部分は本来(静止時には)、通気のしにくい領域でもある。触媒層13の昇降中であれば、ここへの原料ガスの通気も容易なため、触媒保持器14の直上の触媒粒子間に堆積した夾雑物も原料ガスの通気によって除去できる。
【0194】
さらに、第2の実施形態では、原料ガスを触媒層13の上方から触媒層13に導入する。すなわち、除去ガスとなる原料ガスを鉛直下向きに触媒層13に導入する。このため、触媒粒子に働く力は全て下方向の力となる。したがって、夾雑物をより効率よくかつ確実に除去することができる。
【0195】
さらに、第2の実施形態では、弁座15及び弁体17によって原料ガスの反応容器10への導入及び遮断を切り替えることができる。したがって、原料ガスの反応容器10への導入及び遮断を切り替えるために別途の高温弁(第1の実施形態のガス遮断部3)を必要としない。さらに、弁座15及び弁体17は単純な構造となっているので、より高温に耐えることができる。例えば、高温弁の耐熱温度は800℃程度であるが、弁座、弁体の耐熱温度は900℃程度となりうる。
【0196】
また、第2の実施形態では、弁座15及び弁体17が触媒層13よりも原料ガス流通方向の上流側に存在するので、触媒層13から除去されて下流に流出する夾雑物が弁座15及び弁体17に堆積することがない。したがって、夾雑物によって弁座15及び弁体17の機能が阻害される(例えば通気孔16が夾雑物によって閉塞される等)ことがない。
【0197】
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
(1.全体構成)
第3の実施形態に係る触媒反応装置1は、第2の実施形態に係る触媒反応装置1の触媒反応器2aを
図10に示す触媒反応器2bに変更したものである。第3の実施形態に係る触媒反応器2bは、心棒18の停止位置から中間位置を除いた他は、第2の実施形態と同様の構成を有する。
図10(b)は心棒18の開放位置18aを示し、
図10(c)は心棒18の閉塞位置18bを示す。
【0198】
(3.触媒反応方法)
次に、上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法、すなわち触媒反応装置1の運転方法を説明する。
【0199】
(原料ガス改質時)
第2の実施形態と同様である。
【0200】
(夾雑物除去時)
原料ガスが集中している触媒反応器2bにおいて、心棒18を閉塞位置18bと開放位置18aとの間で昇降させる他は、第2の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態においては、夾雑物除去時に、心棒18を昇降させて増速を図る触媒反応器2bにおいて、一時的に閉塞状態を生じる開放状態が生じることとなる。3ポジション式の駆動装置を用いる実施形態2の装置に比べて、より汎用性の高い、2ポジション式の駆動装置を用いることができる点が本実施形態の利点である。
【0201】
第3の実施形態では、第2の実施形態と同様の効果が得られる。ただし、第3の実施形態では、夾雑物除去時に心棒18が断続的に閉塞位置18bに達する。この時に全ての触媒反応器2aにおいて原料ガス流れが一時的に遮断される。
【0202】
(夾雑物除去時の処理)
実施形態2に記載した夾雑物除去時の処理において、往復の心棒昇降運動を行う昇降位置における中間位置18cを閉塞位置18bに置き換えた処理とすることができる。このとき、原料ガスを集中させようとする触媒反応器の往復の昇降運動の上端状態では原料ガス供給は遮断されるので、流量調整部は、このタイミングでの原料ガス流量目標値を0に設定する。あるいは、原料ガス流量目標値を変更せず、ブロワ回転数や流量調整弁開度をこのタイミングの直前の値に保持してもよい。流量調整部がこのような処置を行わない場合、特に、心棒昇降の上端位置の保持時間が長い場合には、原料ガスの供給がない(即ち、原料ガス流量測定値が0)ので、流量制御装置から、原料ガス流量目標に流量を近づけようと、ブロワの回転数を上限まで上昇させるとともに流量調整弁を開放する指令がなされるので、心棒が上端位置から下降した瞬間に原料ガス流量目標値を大幅に上回る過大なガス流量を生じて操業が不安定化する可能性がある。
【0203】
あるいは、ガス発生炉等をガス供給部とする前提で、心棒昇降の上端位置をあえて長時間保持することによって、上昇端からの下降直後に触媒反応器内に臨界LV以上の高速気流を得て、夾雑物除去を促進することもできる。これは、心棒昇降の上端位置の保持期間中には、原料ガスが排出されないため原料発生炉内の圧力が高まり、触媒反応器出側との差圧が上昇する。この高い差圧を駆動力として、心棒昇降の上端位置から下降を始めた直後に、定常運転状態で得られる以上の原料ガス流量が生じ、触媒反応器内で高速気流を一時的に生じることができる。この方法は、流量調整部の設備能力が不足して、通常の方法では臨界LV以上の拘束気流を得られないようなプラントで有効である。
【0204】
なお、原料ガスの流量が大きすぎる場合、弁体17が通気孔16を閉塞する時間(心棒18が閉塞位置にとどまる時間)を十分に短くすることで、原料ガスの流量を小さくしてもよい。
【0205】
上記の方法によって原料ガスの流量が小さくなる理由は以下の通りである。すなわち、上述したように、弁体17が弁座15に近い位置に存在する場合、原料ガスの通気断面積が減少して通気抵抗が上昇する。このため、原料ガスの流量が小さくなる。ただし、弁体17が通気孔16を閉塞すると、流入路11の内圧が上昇する。そして、弁体17が通気孔16を閉塞する時間が長くなるほど、流入路11の内圧が上昇する。この場合、弁体17が通気孔16を開放すると、大量の原料ガスが反応容器10内に流れこむ。すなわち、原料ガスの流量が増大する。一方、弁体17が通気孔16を閉塞する時間を短くすれば、流入路11の内圧の上昇を抑えることができる。すなわち、弁体17が通気孔16を開放した際の原料ガスの流量増大を抑えることができる。この方法では、弁体17が通気孔16を閉塞する時間を十分に短くすることで、弁体17が通気孔16を開放した際の原料ガスの流量増大を抑える。そして、弁体17が弁座15の近傍に存在する際には、原料ガスの流量が減少する。したがって、この方法では、弁体17が弁座15の近傍に存在する際に、原料ガスの流量を小さくすることができる。もちろん、この方法だけでは原料ガスの流量が十分に小さくならない場合がある。この場合には、流量調整部8あるいはブロワ9の調整を上記の処理とともに行ってもよい。また、原料ガスの流量を小さくする場合であっても、原料ガスの線速度は0.2m/s以上であることが好ましい。
【0206】
(夾雑物除去時の処理の他の方法)
夾雑物除去時には、以下の処理を行ってもよい。
(1)j(jは1〜Nの整数)番目のガス遮断部3a−jを開放状態とし、他のガス遮断部3を閉塞状態とする。
(2)ガス遮断部3a−jを閉塞状態とするとともに、j’(j’は1〜Nの整数。j’≠j)番目のガス遮断部3a−j’を開放状態とする。これにより、触媒反応器2a−j、2a−j’内での原料ガス流量が原料ガス改質時の流量(=Q
0/N)よりも十分に大きくなる。
(3)上記(1)、(2)の処理を繰り返す。ここで、上記(1)、(2)の処理を繰り返すことで、触媒層13が昇降することになるので、夾雑物が除去される。
(4)触媒反応器2a−j、2a−j’の圧力損失が所定値以下に低下したら、触媒反応器2a−j、2a−j’の組み合わせを変更し、上記(1)〜(3)の処理を行う。
(5)(1)〜(4)の処理を全ての触媒反応器2aから夾雑物が除去されるまで行う。
(6)原料ガス改質時の処理に戻る。
この変形例によれば、心棒昇降の閉塞位置は、2つの触媒反応器の間で交互に現れるため、常に少なくともいずれか一方の触媒反応器では心棒が閉塞位置にないので、原料ガスの流通が完全に遮断されることなく、夾雑物の除去を行うことができる。その結果、原料ガスが全て遮断される期間が生じる上記の方法に比べて操業は不安点化しにくい利点がある。
【0207】
<4.第4の実施形態>
(1.全体構成)
第4の実施形態に係る触媒反応装置1は、第2の実施形態に係る触媒反応装置1の触媒反応器2aを
図11に示す触媒反応器2cに変更したものである。
【0208】
(2.触媒反応器の詳細構成)
次に、
図11に基づいて、第4の実施形態に係る触媒反応器2cの詳細構成について説明する。第4の実施形態に係る触媒反応器2cは、弁座15及び弁体17の設置位置が異なる他は、第2の実施形態と同様の構成を有する。
図11(b)は心棒18の開放位置18aを示し、
図11(c)は心棒18の閉塞位置18bを示し、
図11(d)は心棒18の中間位置18cを示す。
【0209】
第4の実施形態の弁体17は、心棒18の下端に設けられる。弁体17の形状は円錐形状となっている。一方、弁座15は、弁体17の下方に配置される。第4の実施形態では、ピストン23がシリンダ22の上端に到達した際に心棒18が開放位置18aに到達し、ピストン23がシリンダ22の下端に到達した際に、心棒18は閉塞位置18bに到達する。なお、
図11に示す駆動装置21は3ポジション型のエアシリンダであるが、第2の実施形態に示されるような2ポジション型のエアシリンダであってもよいことはもちろんである。
【0210】
(3.触媒反応方法)
第2の実施形態と同様である。
【0211】
第4の実施形態によれば、第2及び第3の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。駆動装置21が反応容器10の上方に設置される場合、全ての可動部(駆動装置21、触媒層13、触媒保持器14、弁体17、および心棒18等)を加熱装置の上方(すなわち反応容器10の上方)から抜き出せることが好ましい。この場合、触媒反応器2aの構造を単純化でき、かつ、メンテナンスが容易となるからである。
【0212】
すなわち、第2及び第3の実施形態では、弁座15が弁体17の上方で反応容器10に固定されているので、弁座15を反応容器10から取り外さないと、触媒層13、触媒保持器14、弁体17、及び心棒18を反応容器10から抜き出せない。このため、弁座15を反応容器10に着脱可能な構造とする必要がある。したがって、触媒反応器2aの構成が複雑化する。さらに、メンテナンスのたびに弁座15の取り外し及び組付けを行う必要があるので、メンテナンスの手間が増大する。
【0213】
これに対し、第4の実施形態では、弁座15が弁体17の下方に存在するので、弁座15を反応容器10内に固定したままで全ての可動部を反応容器10の上方から抜き出すことができる。したがって、弁座15を反応容器10に着脱可能な構造とする必要がない。このため、触媒反応器2aの構造が単純化される。さらに、メンテナンス時には弁座15を反応容器10から抜き出すことなく全ての可動部を反応容器10の上方から抜き出すことができる。したがって、メンテナンスの手間が低減される。
【0214】
なお、
図11に示される例では、弁体17及び弁座15が触媒層13の下方に配置され、流入路11が触媒層13の上方に配置される。したがって、仮に弁体17が通気孔16を閉塞したとしても、流入路11は反応容器10と連通している。したがって、流入路11に大気が流入した場合、仮に弁体17が通気孔16を閉塞したとしても、大気が流入路11から反応容器10内に流入する可能性がある。もちろん、原料ガス供給部100が大気に開放された後すぐに(すなわち、流入路11に原料ガスが残っている間に)、通気孔16を弁体17で閉塞することで、大気の反応容器10内への侵入はかなり高い確率で抑制できる。ただし、大気が反応容器10内に流入する可能性を完全には排除できない。
【0215】
そこで、流入路11を反応容器10の下方に設置し、流出路12を反応容器10の上方に設置してもよい。この場合、流入路11と触媒層13との間に弁体17及び弁座15が配置される。したがって、弁体17で通気孔16を閉塞することで、第2及び第3の実施形態と同様に、大気と触媒層13との接触をより確実に抑制することができる。
【0216】
なお、この場合、原料ガス改質時及び夾雑物除去時には、原料ガスは反応容器10内を鉛直上向きに向かって移動する。原料ガス改質時の原料ガスの好ましい空間速度は第2及び第3の実施形態と同様である。一方、夾雑物除去時の原料ガスの好ましい線速度は、0.4m/s以上となる。
【0217】
ここで、本発明者らの調査の結果、鉛直上向きに除去ガス(ここでは原料ガス)を供給すると、除去ガスによる上昇力と夾雑物自身の重力の釣り合う特定の寸法の夾雑物は、触媒層13中に残留することが判明した。
【0218】
これを避けるために、触媒層13昇降中に2種類以上の流量条件(例えば線速度)で除去ガスを供給することによって、この特定の寸法を変化させる。つまり、ある流量条件で上昇力と重力の釣り合う夾雑物が触媒層13中に残留したとしても、その夾雑物には、触媒層13の昇降中に変更された他の流量条件では、上昇力か重力のいずれかが優越して働く。この結果、夾雑物は、触媒層13中を移動し、触媒層13から排出される。
【0219】
すなわち、上昇力が重力より優越となる場合、夾雑物は触媒層13の上方へ飛散するが、重力が上昇力より優越となる場合、夾雑物は触媒層13の下方へ落下する。したがって、夾雑物の除去中には、ブロワ9の回転数を調整すること等により、2種以上の流量条件の原料ガスを反応容器10内に導入することが好ましい。
【0220】
なお、他の実施形態(第1、第2、第3、第5)の実施形態においても、流入路11を反応容器10の下方に設置し、流出路12を反応容器10の上方に設置した上で、上記の処理を行ってもよい。この場合、除去ガスの線速度は0.4m/s以上であることが好ましい。
【0221】
<5.第5の実施形態>
(1.全体構成)
第5の実施形態に係る触媒反応装置1は、第3の実施形態に係る触媒反応装置1の触媒反応器2bを
図12に示す触媒反応器2dに変更したものである。
【0222】
(2.触媒反応器の詳細構成)
つぎに、
図12に基づいて、第5の実施形態に係る触媒反応器2dの詳細構成を説明する。
図12に示すように、触媒反応器2dは、第1の実施形態に係る触媒反応器2に、弁座45、通気孔46、及び弁体47を追加したものである。また、心棒48及び駆動装置49の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0223】
(弁座、通気孔)
弁座45は、触媒保持器44と弁体47との間に設けられる。弁座45は、第2の実施形態の弁座15と同様の機能を有する。すなわち、弁座45は、反応容器40の内壁面に設けられている。弁座45は、反応容器40内の空間を水平方向に仕切る部材である。また、弁座45の中心部分には、弁座45を上下に貫通する通気孔46が形成されている。心棒48は通気孔46を貫通しており、原料ガスは、この通気孔46を通過することができる。すなわち、通気孔46の直径は、心棒48の直径よりも大きい。なお、弁座45の下端面には、弁座15と同様の略円錐形状の切り欠きが形成されていてもよい。上記以外の構成要件は弁座15と同様であればよい。
【0224】
(弁体)
弁体47は、第3の実施形態の弁体17と同様の部材である。すなわち、弁体47は、心棒48と一体となって昇降する部材であり、円錐台形形状となっている。弁体47は、心棒48と一体となって昇降することで、通気孔46を開放、または閉塞することができる。他の構成要件は弁体17と同様であればよい。
【0225】
(心棒)
心棒48は、反応容器40内を上下に伸びる円柱または円筒形状の部材(すなわち、丸棒または円管)である。心棒48には、触媒保持器44及び弁体47が固定されており、触媒保持器44及び弁体47とともに昇降する。具体的に、触媒保持器44は心棒48の上端に固定されており、弁体47は心棒48の側面に固定されている。心棒48は、駆動装置49によって昇降する。これにより、心棒18は、弁体47が通気孔46を開放する開放位置(
図12(a)、(c)は開放位置を示す)と、弁体47が通気孔46を閉塞する閉塞位置との間を昇降する。他の構成要件は心棒18と同様であればよい。すなわち、本実施形態においては、第3の実施形態と同様に、夾雑物除去時に、心棒18を昇降させて増速を図る触媒反応器2dにおいて、一時的に閉塞状態を生じる開放状態が生じることとなる。
【0226】
(駆動装置)
駆動装置49は第2〜第4の実施形態と同様の構成を有していればよい。すなわち、駆動装置49は、2ポジション型であっても、3ポジション型であってもよい。
【0227】
(3.触媒反応方法)
上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法は、第3の実施形態と同様である。
【実施例】
【0228】
(実施例1)
触媒層中の夾雑物に対する本発明の効果を検証するため、夾雑物を含有した触媒反応器中に原料ガスを模擬した模擬ガスを冷間で供給する冷間試験を実施した。
【0229】
(冷間試験条件)
(模擬ガス)
常温常圧の空気を使用した。この模擬ガスは、夾雑物を除去する除去ガス、すなわち、夾雑物除去時の原料ガスと同様の役割を有する。
【0230】
(触媒反応器)
図4に示す触媒反応器2を用いた。反応容器40の断面形状は、120mm厚×300mm幅の矩形断断面とした。また、触媒反応器2の流出路12に流量計及びブロワを接続した。流量計はブロワ出口に設置した。そして、流量計の計測値を用いてブロワの回転数を制御することで、模擬ガスの流量(線速度)を調整した。なお、ブロワの回転数制御は、いわゆるVVVF制御により行った。
【0231】
(触媒層)
実機用の触媒(φ15mm、Ni−アルミナ系触媒)を使用した。
アスペクト比:1.2
触媒層43の段数:垂直方向に1段
触媒量:3kg
触媒層の高さ:140mm
【0232】
(夾雑物)
コークス炉ガスの改質試験において発生したコーク(固体炭化水素)粉を回収し、夾雑物として使用した。触媒層43中に計150g/段の量(充填コーク質量)で予め触媒と均一に混合して供給した。
【0233】
(駆動装置)
15mmストローク、各試験で100往復
昇降速度:5mm/s(上昇時)、15mm/s(下降時)、往復操作周期:30s
【0234】
(夾雑物飛散量測定方法)
最下段の触媒層43の下方に電子天秤を配置して落下する夾雑物質量をリアルタイムで計測した。
【0235】
更に、流出管出側にサイクロンを設け、冷間試験中に定期的にこれを分解して貯留された夾雑物を回収し、この夾雑物質量を秤量して時系列的な夾雑物飛散量を算出した。試験終了後に反応容器10を分解して触媒を触媒中に残留した夾雑物とともに回収した。そして、これらを篩分けして夾雑物を触媒から分離した。その後、夾雑物を秤量することで、残留夾雑物質量を測定した。
【0236】
(模擬ガス流速)
LV: −0.4,−0.2,−0.1,0.1,0.2 ,0.4 m/sの条件でそれぞれ冷間試験を実施した。負符号は下向き流れ、正符号は上向き流れを示す。比較のため、流速0(特許文献2相当)の条件でも冷間試験を実施した。尚、石炭乾留ガス改質時の原料ガスのLVの絶対値は、触媒層中で約0.1m/s以下である。
【0237】
(試験結果)
試験結果を
図13に示す。夾雑物除去率(コーク除去率)は、下の数式(6)で定義する。
夾雑物除去率=1−(残留夾雑物質量/充填夾雑物質量) (6)
【0238】
上向き流れではLVの絶対値が0.4m/s以上の条件で、下向き流れではLVの絶対値が0.2m/s以上の条件で、従来技術(LV=0)よりも夾雑物の除去率が向上した。特に、下向き0.4m/sの条件で最大の除去率が得られた。
【0239】
LV=0の条件が従来技術(比較例)に、また、LVが0.4m/s以上または−0.2m/s以下が、本発明における好ましいLV条件(実施例)に該当する。石炭乾留ガス改質時等に好ましいSV条件から定まるLVは、一般に−0.1m/s以上0.1m/s以下の範囲に存在するので、原料ガスを特に増速せずに触媒層43の昇降を行っても、LV=0条件に比べて夾雑物除去性能が特に向上するわけではない。一方、原料ガスの改質時にはなしえない、LVが0.4m/s以上または−0.2m/s以下の条件を触媒層43の昇降時に発生させれば、夾雑物除去性能が大幅に向上することがわかった。
【0240】
なお、LV=0.2m/sとなる場合、夾雑物除去率は、LV=−0.1m/s〜0.1m/sとなる場合の夾雑物除去率よりも低くなっていた。しかしながら、サイクロンによって充填夾雑物質量の2質量%程度の夾雑物を回収できた。さらに、これらの夾雑物の直径を測定したところ、大半の夾雑物は、直径50μm未満の粒子であった。なお、夾雑物の直径に関して、篩分けによって分級した。したがって、LV=0.2m/sの条件では充填夾雑物のうち、直径50μm未満の微粒子を主体に約2質量%を上方に飛散させて触媒層から除去することができた。このような微粒子は、触媒保持器44と反応容器10内壁間の狭い隙間に侵入しやすく、触媒層43昇降の妨げになる場合があるので、触媒層43から除去することが好ましい。すなわち、LV=0.2m/sとなる場合、触媒層昇降の妨げになる場合がある微粒子を効率的に除去することができるといえる。LV=0.2m/sの条件は、改質時に好ましいSV条件にはならないことから、本発明を用いる必要があるといえる。
【0241】
また、
図14の本発明での夾雑物除去率(コーク除去率)の時間推移にみられるように、本発明では除去操作の初期(往復開始後5往復目までの期間)に最大の除去効果が得られ、また、末期(91回目〜100回目往復の期間)においても除去効果の持続することがわかった。なお、
図14中の夾雑物除去率は、夾雑物飛散量測定方法によって測定された飛散夾雑物質量(電子天秤によって測定された夾雑物の質量+サイクロンで回収された夾雑物の質量)の充填夾雑物質量に対する比率として算出した。
【0242】
上述した第1の実施形態では、一部のガス遮断部3だけを開放状態とすることで、触媒反応器2内の原料ガスの線速度を上述した好ましい値とすることができる。さらに、流量調整部8によって、原料ガスの線速度をさらに調整することができる。
【0243】
(実施例2)
実施例2では、ガス遮断部3aを内蔵する触媒反応器2aでも同様の結果が得られることを確認するために、以下の冷間試験を行った。
【0244】
(模擬ガス)
実施例1と同様のものを用いた。模擬ガス流量の制御も実施例1と同様に行った。
【0245】
(触媒反応器)
第2の実施形態に係る触媒反応器2a(
図6)を用いた。反応容器10の内径を200mmとした。また、触媒層13を5層(5段)構造とした。触媒粒子として、直径15mmのNi−アルミナ系触媒粒子を使用し、各層の触媒層13の質量を3kgとした。このとき、各触媒層13のアスペクト比は1.2であった。
【0246】
(夾雑物)
コークス炉ガスの改質試験において発生したコーク(固体炭化水素)粉を回収し、夾雑物として使用した。この夾雑物を、各触媒層13に150g/層(触媒層13の1層当りの質量)の割合で添加した。具体的には、この質量の夾雑物を触媒粒子と均一に混合し、混合物を用いて上述した触媒層13を形成した。
【0247】
(駆動装置)
駆動装置21として、3ポジション型エアシリンダを使用した。また駆動装置21を用いて、心棒18を中間位置18cと開放位置18aとの間で昇降させた。昇降ストローク(中間位置18cと開放位置18aとの間隔)を30mmとし、心棒18を100往復させた。心棒18の上昇時の速度は5mm/s、下降時の速度は15mm/sとした。
【0248】
(夾雑物飛散量測定方法)
流出路出側にサイクロンを設けた。そして、冷間試験中に定期的にサイクロンを分解し、サイクロン内に貯留された夾雑物を回収した。そして、夾雑物質量を秤量して時系列的な夾雑物飛散量を算出した。さらに、冷間試験終了後に触媒反応器2aを分解し、触媒層13を触媒層13内に残留した夾雑物とともに回収した。そして、触媒層13を篩分けして夾雑物を分離、回収した。そして、回収した夾雑物を秤量して残留夾雑物質量を測定した。そして、上述した数式(6)に基づいて、夾雑物除去率(コーク除去率)を算出した。
【0249】
(圧損測定方法)
触媒反応器2aの流入路11と流出路12にそれぞれ圧力計を設け、差圧を測定した。また、ブロワ出口に設けた流量計の計測値を調整して、反応容器10内の模擬ガスの線速度が所定値となるように設定した。具体的には、模擬ガスの線速度を下向きに0.2m/sとした。上記の夾雑物飛散量の試験を通じての積算値は、[充填夾雑物質量]−[残留夾雑物質量]の値とほぼ一致した。従って、特定の往復期間内に触媒層から飛散した夾雑物の大半を、当該往復期間に対応する上記の夾雑物飛散量として測定できた。特定往復期間における夾雑物飛散量を当該往復数(昇降サイクル数)で除したものを、第1の夾雑物飛散速度と定義する。
【0250】
(試験結果)
上記冷間試験の結果、100往復後の夾雑物除去率は、約95%以上であり、高い除去性能が得られた。また、夾雑物飛散量の時系列的な推移を見ると、試験末期(100往復直前)における第1の夾雑物飛散速度は、充填夾雑物質量の2質量%/昇降サイクル程度であった。これに対して、試験初期(6から10往復目)での夾雑物飛散量は、残留夾雑物質量の約3質量%/昇降サイクルであった。したがって、夾雑物除去効率(=第1の夾雑物飛散速度/夾雑物除去質量)は、試験末期であっても高い値に維持されることがわかった。すなわち、除去効果が長期に持続することがわかった。
【0251】
さらに、触媒層13の通気抵抗は、試験開始時に800Pa、試験終了時に10Pa未満となった。したがって、夾雑物が除去されたことによって通気抵抗(圧力損失)も大きく低下したこともわかった。
【0252】
さらに、冷間試験中に心棒18を閉塞位置18bで停止させる試験も行った。これにより、流入路11及び流出路12間で2000Paの圧力差が計測された。この結果、触媒反応器2aの閉止性を充分確保できることがわかった。また、この状態で心棒18を開放位置18aに移動させることで、大きな流量の原料ガスを反応容器10内に導入できることもわかった。
【0253】
上述した第2の実施形態では、一部のガス遮断部3aだけを開放状態とすることで、触媒反応器2内の原料ガスの線速度を上述した好ましい値とすることができる。さらに、流量調整部8によって、原料ガスの線速度をさらに調整することができる。
【0254】
(実施例3)
第5の実施形態に係る触媒反応器2dを用い、触媒層43のアスペクト比を実施例2の1/2に設定し、これ以外を実施例2と同様の条件で試験を行った。ここで、実施例3では、触媒層43の高さを反応容器40の内壁面間の距離(直径または厚さ)で除算することでアスペクト比を算出する。一方、実施例2では、触媒層13の高さを反応容器半径−心棒半径で除算することでアスペクト比を算出する。したがって、心棒直径が反応容器10の内径に比べて十分に小さいと仮定すると、実施例2でのアスペクト比の1/2倍のアスペクト比を実施例3で用いたときに、触媒層の寸法比(反応器内壁面間距離と触媒層高さの比)が概略一致することになる。
【0255】
その結果、本実施例3での夾雑物除去率は、約90%であった。実施例2での夾雑物除去率は、95%以上であり、本実施例3よりも高い夾雑物除去能力であった。このように、触媒層の寸法比が概略同じ場合であっても、筒状の触媒反応器2aの中心に心棒18を設け、この心棒18が触媒層13を貫通するように配置することによって、触媒昇降時の夾雑物除去性能を向上できることがわかった。
【0256】
(実施例4)
実施例4では、実施例2と同様の触媒反応器2aを用いて、以下の手順で冷間試験を行った。
(1)心棒18を開放位置18aで停止し、この状態で線速度が下向きに0.1m/sとなる模擬ガスを触媒層13に供給した。模擬ガスの線速度は、ブロワ9によって調整し、上記の線速度を維持した。
(2)次に、心棒18を閉塞位置18bに移動させた。
(3)心棒18を閉塞位置18bで30s保持した。
(4)心棒18を開放位置18aに戻した。
【0257】
(試験結果)
(2)の実施後、反応容器10内の模擬ガスの線速度はほぼ0となった。(3)の間、反応容器10内の圧力が10000Paまで上昇した。ブロワの能力限界のため、この値に保持された。(4)の後、反応容器10内の模擬ガスの線速度が急増して臨界値以上の値であるLV=0.5m/s(下向き)以上の流量を記録した後、当初のLV=0.1m/s(下向き)に復帰して流量は安定した。
【0258】
(比較例1)
比較例1では、実施例2と同様の触媒反応器2aを用いて冷間試験を行った。ただし、触媒層13の昇降は行わなかった。また、常時、模擬ガスが触媒層13を通過するように心棒18の位置を調整した。また、触媒層13の下に電子天秤を配置して夾雑物落下量の時間推移を測定した。併せて、流出路12にサイクロンを設け、飛散した夾雑物を回収・秤量した。
【0259】
(模擬ガス流速)
下向きに0.2m/sとした。
【0260】
(試験手順)
(1)反応容器10内を10分間通気し、通気完了後にサイクロンを分解して下流に流出した夾雑物を回収・秤量して、夾雑物飛散量および第2の夾雑物飛散速度(=飛散夾雑物質量/処理(通気)時間)を算出した。
(2)実施例1と同様の触媒層昇降を伴う冷間試験を実施(LV=0条件、100往復)し、サイクロンを用いた飛散夾雑物の回収、秤量を行い、合わせて電子天秤を用いた秤量を行った。
(3)(2)の試験完了後に再び(1)と同様の試験を実施し、飛散夾雑物質量の(2)からの増分(サイクロンからの回収量+(2)の試験後からの電子天秤計測値の増分)を算出した。
(1)(=「初期」)、(3)(=「初期後」)の操作が本比較例の主要部である。
【0261】
(試験結果)
試験初期での夾雑物除去率(上記(1)での累積夾雑物飛散量を上記の充填夾雑物質量除算した値)は、15%であり、実施例1に劣る。また、初期後(上記(3))には夾雑物飛散量は検出下限以下であって夾雑物の除去はほとんど認められず(夾雑物除去効率=0相当)、夾雑物除去効果は持続しない。従って、高速気流を単独で触媒層13に供給しても、高い夾雑物除去性能の得られないことがわかった。したがって、特定の触媒反応器2aに原料ガスを集中させたとしても、触媒層13を昇降させなければ本発明の効果は得られないことがわかった。また、上記試験手順(1)での通気を前半5分と後半5分とに分けて前半終了後および後半終了後に夾雑物飛散量と第2の夾雑物飛散速度の測定をそれぞれ実施する試験を別途、行った。このとき、後半での第2の夾雑物飛散速度は前半でのものの10%未満の値であった。従って、本比較例における初期での夾雑物飛散は、通気の最初期に集中しているので、通気時間をこれ以上増大しても夾雑物飛散量を大きく上昇させることは困難であることがわかった。
【0262】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。