【実施例1】
【0015】
図1を参照して実施例1のボール型乾留炉10及びボール型乾留炉10による減容処理方法について説明する。ボール型乾留炉10は、原子力施設にて生じる放射能レベルが比較的に高い使用済みのイオン交換樹脂を減容処理する。ボール型乾留炉10は、第1容器12と、第1容器の横方向(x方向)に並列して配置された第2容器14と、第1容器12と第2容器14とを接続する配管16を備える。なお、ボール型乾留炉10は、「減容処理装置」の一例に相当する。
【0016】
第1容器12は、金属製であり、円筒部分と、円筒部分の下端(−z方向の端部)に接続される円錐台部分を有する。円錐台部分は、xy平面における断面の径が、下方に向かうにつれて縮径している。第1容器12は、乾留部20と、外部電気式のヒータ28と、イオン交換樹脂供給ノズル30と、排気口17と、過熱水蒸気供給ノズル32と、粉体貯留部36と、を有する。乾留部20は、第1容器12における上方に配置されており、粉体貯留部36は、第1容器12における下方(即ち、乾留部20の下方)に配置されている。
【0017】
乾留部20は、密閉式の反応容器21と、反応容器21内に充填されたセラミック製の複数のボール24と、ボール24を撹拌する撹拌翼26と、撹拌翼26を回転させる回転軸22を有する。反応容器21は、金属製の円筒形状をしており、室内の圧力を−0.5〜−10kPaに維持する圧力制御機構(図示省略)を備える。
【0018】
ヒータ28は、反応容器21の外周面にz方向に略等間隔で配置されている。ヒータ28により、反応容器21内の温度を所望の温度(約400〜700℃)に制御することができる。反応容器21のz方向の長さは、処理する放射性廃棄物の種類等に応じて適宜決定される。なお、撹拌翼26と回転軸22は「撹拌手段」の一例に相当する。なお、ヒータ28は「外部加熱手段」の一例に相当する。
【0019】
反応容器21の軸心部には回転軸22が設けられている。回転軸22は駆動モータ(図示省略)によって所定の速度(約0.1〜2.0rpm、好ましくは0.5rpm以上)で回転される。回転軸22には、螺旋状の撹拌翼26が取り付けられている。撹拌翼26は、その外縁が反応容器21の内周面近傍に位置し、その内縁が回転軸22との間に空間を空けて位置している。
【0020】
反応容器21内のボール24には、直径が10〜25mmの耐蝕性のあるセラミック製のボールが用いられる。しかしながら、ボール24の材質はこれに限られず、高ニッケル系合金であるハステロイ又はインコネル製であってもよい。撹拌翼26により撹拌されることで、ボール24は反応容器21内において下降と上昇を繰り返す。
【0021】
イオン交換樹脂供給ノズル30は、乾留部20の上端(詳細には、反応容器21の上端)に設けられており、原子力施設で生じるイオン交換樹脂を反応容器21内に供給する。反応容器21内に供給されたイオン交換樹脂は、ボール24の表面に付着して反応容器21内を移動する。即ち、イオン交換樹脂は、反応容器21の上端から下端に向かって搬送される。なお、イオン交換樹脂供給ノズル30は「放射性廃棄物供給手段」の一例に相当する。
【0022】
排気口17は、乾留部20の上端(詳細には、反応容器21の上端)に設けられている。反応容器21では、イオン交換樹脂を熱分解することにより排ガスが発生する(後述)。排気口17近傍の圧力は、反応容器21内の圧力よりも低い。このため、反応容器21で発生した排ガスは、排気口17に向かって流れ、排気口17から排気される。
【0023】
過熱水蒸気供給ノズル32は、粉体貯留部36に設けられている。粉体貯留部36は、乾留部20の下方に配置されており、反応容器21と連通している(後述)。排気口17近傍の圧力は、粉体貯留部36内の圧力よりも低い。このため、過熱水蒸気供給ノズル32から粉体貯留部36に供給された過熱水蒸気は、乾留部20の下端から反応容器21に流入し、反応容器21内を排気口17に向かって上昇する。反応容器21内では、過熱水蒸気がボール24の表面に付着したイオン交換樹脂と接触する。これにより、イオン交換樹脂が過熱水蒸気と反応して熱分解し、残渣と排ガスが発生する。なお、過熱水蒸気供給ノズル32は「過熱水蒸気供給手段」の一例に相当する。
【0024】
また、過熱水蒸気供給ノズル32から粉体貯留部36に供給される過熱水蒸気は、粉体貯留部36に貯留される残渣(後述)中の可燃分を熱分解する役割も果たす。このため、過熱水蒸気供給ノズル32から供給される過熱水蒸気の量は、イオン交換樹脂供給ノズル30から供給されるイオン交換樹脂と、粉体貯留部36に貯留される残渣中の可燃分との双方を熱分解するために理論上必要とされる過熱水蒸気の量と同等以上となるように制御される。これにより、反応容器21において過熱水蒸気の供給不足に起因してイオン交換樹脂の熱分解が不完全となることを回避できると共に、粉体貯留部36において残渣量をさらに低減できる。なお、過熱水蒸気が多めに供給され、その結果、イオン交換樹脂との反応に供しない過熱水蒸気(以下、未反応過熱水蒸気とも称する)が生じた場合は、その未反応過熱水蒸気は、排気口17から排気される。
【0025】
粉体貯留部36は、乾留部20の下方に配置されている。具体的には、反応容器21の下端には、反応容器21内にボール24を保持する保持板34が配置されており、粉体貯留部36は、この保持板34の下方に配置されている。保持板34は、ボール24の通過を禁止する一方、残渣及び過熱水蒸気の通過を許容する。これにより、反応容器21内に充填されたボール24が粉体貯留部36に落下することが防止される一方で、反応容器21内で生じた残渣が粉体貯留部36に移動できると共に、粉体貯留部36に供給された過熱水蒸気が反応容器21内に流入できる。
【0026】
イオン交換樹脂を熱分解することで発生する残渣は、主に酸化鉄により構成される粉体である。残渣の質量にはある程度のばらつきがある。以下では、残渣のうち、比較的に重い残渣を重残渣と称し、比較的に軽い残渣(即ち、重残渣以外の残渣)を軽残渣と称する。反応容器21の下端からは、保持板34を介して主に重残渣が粉体貯留部36に排出され、貯留される(後述)。一方、軽残渣の一部は、排ガスと共に排気口17から排出され、排気口17に接続された配管16を経由して第2容器14に移送される(後述)。
【0027】
粉体貯留部36の下部は円錐台形状をしており、その下端には開閉可能な開口部42が形成されている。開口部42は、ボール型乾留炉10でイオン交換樹脂を減容処理する際は閉じられ、減容処理を行わないときに開かれる。開口部42が開かれると、粉体貯留部36から外部に残渣を排出することができる。円錐台部分の軸線を含む任意の断面において、円錐台部分の壁面がxy平面となす角度は、重残渣の安息角以上となっている。このため、反応容器21の下端から排出される重残渣は、円錐台部分の壁面を滑って粉体貯留部36の下部に貯留される。もしくは、そのまま落下して粉体貯留部36の下部に貯留される。
【0028】
粉体貯留部36の外周面には、外部電気式ヒータ40がz方向に略等間隔に設けられている。上述したように、過熱水蒸気供給ノズル32から供給される過熱水蒸気は、粉体貯留部36に貯留された重残渣中の可燃分を熱分解するためにも用いられる。粉体貯留部36内の温度は、ヒータ40によって、重残渣中の可燃分を熱分解可能な温度(約400〜700℃)に制御される。粉体貯留部36においてさらに減容された重残渣は、開口部42から排出され、固化設備(図示省略)に送られる。
【0029】
第2容器14は、金属製であり、第1容器12と略同一の形状を有する。即ち、円筒部分と、円筒部分の下端に接続されていると共に、下方に向かうにつれて縮径する円錐台部分とを有する。第2容器14は、流入口18と、排ガス出口48と、フィルタ部44と、粉体貯留部50を有する。フィルタ部44は、第2容器14における上方に配置されており、粉体貯留部50は、第2容器14における下方(即ち、フィルタ部44の下方)に配置されている。
【0030】
流入口18は、粉体貯留部50の壁面に設けられている。流入口18からは、流入口18に接続された配管16(後述)を経由して、排気口17から排出された排ガス及び軽残渣(及び、場合によっては未反応過熱水蒸気)が粉体貯留部50に流入する。
【0031】
排ガス出口48は、フィルタ部44の上方の壁面に設置されている。排ガス出口48は排ガス処理装置(図示省略)に接続されている。排ガス処理装置は排ガスブロワを備えている。このため、排ガス出口48近傍の圧力は、排ガスブロワにより粉体貯留部50内の圧力よりも低くなっている。従って、粉体貯留部50に流入した排ガス及び軽残渣(及び、場合によっては未反応過熱水蒸気)は、第2容器14内を排ガス出口48に向かって上昇し、フィルタ部44に移動する。排ガス中の軽残渣は、フィルタ部44の表面に付着する。排ガス出口48からは、フィルタ部44で濾過された排ガス(後述)が排出され、排ガス処理装置に送られる。
【0032】
フィルタ部44は、焼結金属フィルタ46を有する。焼結金属フィルタ46は、フィルタ部44に移動した、軽残渣が混入した排ガスを濾過する。焼結金属フィルタ46には、使用に伴い軽残渣が付着するため、定期的に逆洗処理が行われる。軽残渣は、凝集した状態で付着しているため、その質量は、粉体貯留部50に移送された直後の軽残渣の質量よりも大きくなっている(以下、凝集した軽残渣を凝集軽残渣とも称する)。従って、逆洗処理により焼結金属フィルタ46から剥離された凝集軽残渣のうち比較的に重いものは、第2容器14内を排ガスが上昇する環境下であっても、自らの重みで下方に落下する。なお、本実施例では焼結金属フィルタを用いたが、これに限られず、例えばセラミックフィルタを用いてもよい。
【0033】
粉体貯留部50は、その下方に円錐台部分50aを有している。円錐台部分50aの下端には、開閉可能な開口部52が形成されている。開口部52は、開口部42と同様、ボール型乾留炉10でイオン交換樹脂を減容処理する際は閉じられ、減容処理を行わないときに開かれる。開口部52が開かれると、粉体貯留部50から外部に残渣(凝集軽残渣等)を排出することができる。粉体貯留部36と同様に、粉体貯留部50の円錐台部分50aの軸線を含む任意の断面において、円錐台部分50aの壁面がxy平面となす角度は、凝集軽残渣の安息角以上となっている。このため、逆洗処理によって焼結金属フィルタ46から落下した凝集軽残渣は、円錐台部分50aの壁面を滑って粉体貯留部50の下部に貯留される。もしくは、そのまま落下して粉体貯留部50の下部に貯留される。粉体貯留部50に貯留された凝集軽残渣は、開口部52から排出され、固化設備に送られる。
【0034】
配管16は、第1容器12と第2容器14を接続している。具体的には、配管16の一端は、第1容器12の排気口17に接続されており、配管16の他端は、流入口18に接続されている。乾留部20で生じた軽残渣は、排ガスと共に排気口17から排出され、配管16を経由して、流入口18から粉体貯留部50に流入する。
【0035】
次に、本実施例のボール型乾留炉10によりイオン交換樹脂を減容処理する方法について説明する。以下では、イオン交換樹脂の減容処理のフローについて主に説明し、上述した内容と重複する内容については詳細な説明を省略する。
【0036】
(イオン交換樹脂供給工程、過熱水蒸気供給工程、熱分解工程)
まず、イオン交換樹脂供給ノズル30から反応容器21の上端にイオン交換樹脂を供給する(イオン交換樹脂供給工程)と共に、過熱水蒸気供給ノズル32から粉体貯留部36を介して反応容器21の下端に過熱水蒸気を供給する(過熱水蒸気供給工程)。イオン交換樹脂及び過熱水蒸気の単位時間当たりの供給量は、制御装置(図示省略)によって制御される。反応容器21内では、イオン交換樹脂がその上端から下端まで搬送される過程で過熱水蒸気によって熱分解され、減容される(熱分解工程)。イオン交換樹脂が熱分解されると、残渣と排ガスが発生する。
【0037】
(重残渣貯留工程、移送工程)
反応容器21の下端からは、保持板34を通って、比較的に重い残渣(重残渣)が自らの重みで落下して粉体貯留部36に排出され、貯留される(重残渣貯留工程)。一方、比較的に軽い残渣(軽残渣)は、排ガスと共に排気口17から排出され、配管16を経由して、第2容器14の流入口18から粉体貯留部50に移送される(移送工程)。
【0038】
(濾過工程、凝集軽残渣貯留工程)
粉体貯留部50に移送された、軽残渣が混入した排ガスは、第2容器14内を上昇し、フィルタ部44において焼結金属フィルタ46によって濾過される(濾過工程)。濾過された排ガスは排ガス出口48から排ガス処理装置に送られる。濾過工程において排ガスから除去された軽残渣(凝集軽残渣)は、逆洗処理等を行うことで焼結金属フィルタ46から落下して粉体貯留部50に貯留される(凝集軽残渣貯留工程)。凝集軽残渣は、粉体貯留部50の開口部52から排出され固化設備に送られる。
【0039】
(重残渣熱分解工程)
上述した過熱水蒸気供給工程で粉体貯留部36に供給される過熱水蒸気は、重残渣貯留工程で粉体貯留部36に貯留される重残渣に含まれる可燃分を熱分解し、さらに減容する(重残渣熱分解工程)。熱分解後の重残渣は、粉体貯留部36の開口部42から排出され固化設備に送られる。
【0040】
実施例1のボール型乾留炉10では、反応容器21において、イオン交換樹脂が搬送される方向(即ち、下方向)と、過熱水蒸気が移動する方向(即ち、上方向)とが反対になり、イオン交換樹脂は過熱水蒸気と向流接触する。このため、イオン交換樹脂の搬送方向と過熱水蒸気の移動方向が同一である構成と比較して、イオン交換樹脂が過熱水蒸気と接触する接触率が向上し、結果として反応率が向上する。従って、イオン交換樹脂の熱分解をより促進でき、残渣量を低減することができる。
【0041】
また、イオン交換樹脂は、反応容器21内で熱分解されて残渣(重残渣、軽残渣)及び排ガスとなる。重残渣は自らの重みで反応容器21内を下方に落下するが、過熱水蒸気及び排ガスの流速を制御することにより、反応容器21内における重残渣の滞留時間を長くすることができる。これにより、重残渣中の可燃分を過熱水蒸気によってさらに熱分解することが可能となり、反応容器21内における減容率をさらに向上できる。なお、過熱水蒸気及び排ガスの流速は、排気口17の断面積や排ガス処理装置の吸気圧等を制御することによって、制御することができる。
【0042】
一方、軽残渣の一部は、排ガスと共に反応容器21内を排気口17に向かって上昇して排気口17から排出される。排ガス及び過熱水蒸気の流速を制御することにより、反応容器21内における軽残渣の滞留時間を長くすることができる。これにより、軽残渣中の可燃分を過熱水蒸気によってさらに熱分解することが可能となり、反応容器21内における減容率をさらに向上できる。この結果、第2容器14に移送される軽残渣量を低減でき、フィルタ部44における焼結金属フィルタ46の差圧上昇率を低減できる。このため、フィルタ部44を小型化できると共に、焼結金属フィルタ46を長期に亘って使用することができる。
【実施例2】
【0043】
次に、
図2を参照して実施例2について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。
【0044】
実施例2のボール型乾留炉110では、第2容器14が第1容器12の上方に配置されている。具体的には、第2容器14の開口部52が、第1容器12の排気口17の真上に位置している。実施例2の開口部52は、常時(即ち、減容処理の最中であっても)開口している。配管116は、上下方向に一直線状に延びており、その一端が排気口17に接続され、その他端が開口部52に接続されている。即ち、本実施例では、開口部52が流入口を兼ねている。なお、第2容器14の粉体貯留部50の円錐台部分50aは「縮径部」の一例に相当する。
【0045】
実施例2のボール型乾留炉110による減容処理方法では、凝集軽残渣貯留工程の代わりに、凝集軽残渣供給工程と、凝集軽残渣熱分解工程とが実施される。凝集軽残渣供給工程では、濾過工程において排ガスから除去された軽残渣(凝集軽残渣)が、逆洗処理等を行うことで焼結金属フィルタ46から落下し、粉体貯留部50の円錐台部分50aの壁面を滑り、配管116内を落下して、第1容器12の反応容器21内に供給される。凝集軽残渣熱分解工程では、凝集軽残渣供給工程により反応容器21内に供給された凝集軽残渣中の可燃分が過熱水蒸気によりさらに熱分解されて減容される。
【0046】
この構成によっても、実施例1のボール型乾留炉10と同様の作用効果を奏することができる。また、実施例2のボール型乾留炉110の構成によると、凝集軽残渣供給工程と、凝集軽残渣熱分解工程とが実施されるため、凝集軽残渣中の可燃分をさらに熱分解することが可能となり、残渣量をさらに低減することができる。
【0047】
さらに、実施例2のボール型乾留炉110では、配管116の他端は第2容器14の下端に形成された開口部52に接続されており、開口部52は流入口として機能する。ボール型乾留炉110で減容処理された残渣は、第1容器12の粉体貯留部36に貯留され、最終的に第1容器12の下端に形成された開口部42のみから排出される。この構成によると、分離型のボール型乾留炉の場合であっても(即ち、2つの容器12、14を備える場合であっても)、残渣が排出される排出口を開口部42の1箇所のみとすることができる。このため、排出口が容器毎に形成される構成と比較して、残渣の廃棄、回収処理を容易に行うことができる。
【0048】
なお、実施例2では、第2容器14の開口部52が、第1容器12の排気口17の真上に位置するように各容器12、14を配置したが、各容器12、14の配置の態様はこれに限られない。例えば、実施例2の開口部52の位置を、排気口17に対して水平方向にずらし、配管116が斜め方向に延びるように配置してもよい。この場合、配管116の軸線と鉛直線とを含む断面において、配管116の内壁面とxy平面とがなす角度は、凝集軽残渣の安息角以上であることが好ましい。この構成によっても、残渣量をさらに低減できる。即ち、逆洗処理等によってフィルタ部44から剥離される凝集軽残渣が、粉体貯留部50から配管116を経由して反応容器21に供給可能な構成であればよい。
【0049】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本明細書が開示する放射性廃棄物の減容処理装置及び減容処理方法は、上記の実施例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0050】
例えば、上記の実施例ではイオン交換樹脂が下方に向かって搬送されたが、搬送方向はこれに限られない。例えば、イオン交換樹脂は、水平方向における一端から他端に向かって搬送され、過熱水蒸気は、水平方向における他端から一端に向かって移動する構成であってもよい。
【0051】
また、上記の実施例ではボール型乾留炉を用いたが、乾留炉の種類はこれに限られず、例えば誘導加熱式乾留炉を用いてもよい。
【0052】
また、減容処理する放射性廃棄物はイオン交換樹脂に限られず、例えば原子力施設にて生じる放射性廃溶媒(例えば、燃料再処理工場の廃溶媒)を減容処理してもよい。
【0053】
また、乾留部20に過熱水蒸気供給ノズルを設置して、粉体貯留部36を介さずに、反応容器21に直接的に過熱水蒸気を供給してもよい。
【0054】
また、過熱水蒸気供給ノズル32から過熱水蒸気を多めに供給して、イオン交換樹脂との反応に供さない未反応過熱水蒸気が生じる構成を採用してもよい。この場合、未反応過熱水蒸気は排気口17から配管16を経由して第2容器14に移送され、粉体貯留部50において凝集軽残渣中の可燃分を熱分解するために用いられる。このため、残渣量をさらに低減できる。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。