(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記散乱防止グリッドは、前記X線撮像デバイスを使用する前記対象の撮像の間、前記対象の矢状面と実質的に平行な第1の方向に沿って移動するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
前記散乱防止グリッドは、前記X線撮像デバイスを使用する前記対象の撮像の間、前記対象の冠状面と実質的に平行な第2の方向に沿って移動するようにさらに構成されている、請求項1、3、または9に記載の装置。
前記散乱防止グリッドは、トモシンセシスモードで動作する前記X線撮像デバイスを使用する前記対象の撮像の間、結果として生じる画像中のモアレパターンを低減させるために有効な軌道に沿い、かつ前記モアレパターンを低減させるために有効な速度で移動するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
前記散乱防止グリッドは、前記モアレパターンを低減させるために必要とされる運動距離を制限するために、少なくとも70隔壁/cmの密度を有する、請求項11または12に記載の装置。
前記散乱防止グリッドは、前記X線検出器に結合され、それによって、前記散乱防止グリッドは、前記トモシンセシスモードでの撮像の間、前記X線検出器とともに移動する、請求項18に記載の装置。
前記散乱防止グリッドは、前記トモシンセシスモードでの撮像の間、結果として生じる画像中のモアレパターンを低減させるために有効な軌道に沿い、かつ前記モアレパターンを低減させるために有効な速度で移動するようにさらに構成されている、請求項17に記載の装置。
前記モータは、台形プロファイルおよび正弦波プロファイルのうちの1つである速度プロファイルで前記散乱防止グリッドを移動させるようにさらに構成されている、請求項25に記載の装置。
前記プラットフォームは、前記胸部を圧迫するように構成されている圧迫構造と、前記胸部を前記X線源と前記X線検出器との間に固定するように構成されている固定構造とのうちの少なくとも1つを含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
散乱防止グリッドは、多くの場合、画像に及ぼす散乱放射の画像劣化影響を低減させるために、放射線撮像において使用される。定常散乱防止グリッドは、例えば、X線検出器の画素パターンへの散乱防止グリッドパターンの干渉により、特に、デジタルX線検出器において問題となる、モアレパターンアーチファクトを生じさせ得る。したがって、結果として生じる画像は、画質を劣化させる、モアレパターン化またはグリッド線アーチファクトを呈する。放射線撮像における使用のための散乱防止グリッドの非限定的実施例として、米国特許出願公開第2012/0170711号ならびに米国特許第7,418,076号および第7,715,524号(それぞれ、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)が挙げられる。
【0009】
本開示の側面および実施形態は、2Dおよび3Dマンモグラフィにおける使用のために、モアレパターンの低減または補正もまた可能にする、X線散乱低減システムおよび方法を提供することを対象とする。いくつかの実施形態では、散乱防止グリッドは、X線ばく露の間、X線検出器に対して移動し、モアレパターンをぼけさせ得る。種々の実施形態では、モアレパターンはまた、画像処理技法を使用して低減され得る。
【0010】
本開示の一側面によると、散乱防止グリッドの運動は、トモシンセシス撮像システムにおける使用に対して特有の課題を呈し、それがトモシンセシス撮像のための散乱防止グリッドの使用を妨げることが理解される。例えば、散乱防止グリッドの運動は、X線ばく露信号と同期されなければならない。しかしながら、従来の2Dマンモグラフィとは対照的に、トモシンセシス撮像は、胸部の複数のX線投影画像を得ることを伴い、X線投影画像の各々は、胸部に対するX線源の複数の角変位の各々における短いX線ばく露時間の間に得られる。したがって、散乱防止グリッドは、トモシンセシス撮像のX線ばく露に対応する非常に短持続時間の間に、モアレパターンを低減させるために有効な距離を移動しなければならない。さらに、トモシンセシス撮像システムは、典型的には、散乱防止グリッドが撮像の間に移動し得る距離に厳しい空間的制約を課す。
【0011】
本明細書に提示される種々の側面および実施形態は、前述の課題に対処する。種々の実施形態では、散乱防止グリッドは、隔壁または積層とも称される、薄細片を含む。隔壁は、鉛等の放射線不透過性材料または高X線吸収材料から作製され得、隙間によって分離され得る。隙間は、炭素ファイバまたはアルミニウム等の放射線透過性材料または低X線減衰材料から作製され得る。従来の散乱防止グリッドとは対照的に、本明細書に開示される散乱防止グリッドの実施形態は、散乱防止グリッドの各隔壁が、撮像の間、対象の冠状面と実質的に平行な軸に沿って、長さ方向に向けられるように、X線撮像デバイス、より具体的には、トモシンセシス撮像デバイスに対して位置付けられるように構成され得る。いくつかの実施形態では、散乱防止グリッドは、撮像の間、対象の矢状面と実質的に平行な方向に沿って移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、散乱防止グリッドは、典型的には、30〜50隔壁/cmの範囲内の隔壁密度を有する、従来の散乱防止グリッドとは対照的に、少なくとも70隔壁/cmのグリッド線密度とも称される、隔壁密度を有し得る。本明細書に開示される種々の実施形態は、散乱防止グリッドが、トモシンセシス撮像のX線ばく露と同期した持続時間内に、かつ結果として生じる画像内のモアレパターンを低減させるように構成される向きにおいて、従来の散乱防止グリッドと比較して、比較的に短い距離を移動することを可能にする。
【0012】
本明細書で論じられる方法および装置の実施形態は以下の説明に記載される、または付随の図面に図示される構成要素の構造および配列の詳細に用途が限定されないことを理解されたい。本方法および装置は、他の実施形態にも実装可能であり、かつ種々の方法で実践または実施可能である。具体的実装の実施例が、例証目的のためだけに本明細書に提供されるが、限定として意図されるものではない。特に、任意の1つ以上の実施形態に関連して論じられる作用、要素、および特徴は、任意の他の実施形態における類似の役割から除去されることを意図するものではない。
【0013】
また、本明細書で使用される用語および専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定と見なされるべきではない。単数形で言及される本明細書のシステムおよび方法の実施形態または要素または作用の任意の言及はまた、複数のこれらの要素を含む実施形態を包含し得、本明細書の任意の実施形態または要素または作用における複数形の任意の言及はまた、単一要素のみを含む実施形態を包含し得る。本明細書では、「含む(including)」、「備えている(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、およびその変形例の使用は、その後に列挙されるアイテムおよびその均等物ならびに付加的アイテムを包含することを意味する。「または(or)」の言及は、「or」を使用して説明される任意の用語が、説明される用語の1つ、2つ以上、および全部のいずれかを示し得るということの含有として解釈され得る。
【0014】
便宜上、かつ例証を明確にするために、適切な場合、参照番号は、対応または類似する要素あるいはステップを示すために図間で繰り返され得ることを理解されたい。
【0015】
ここで図面を参照すると、
図1Aは、本開示の側面に従って構成される散乱防止グリッド104を有するトモシンセシス撮像装置102を使用して、対象100の胸部の撮像の断面側面図を図示する。いくつかの実施形態では、トモシンセシス撮像装置102はさらに、例えば、特許文書第US7,831,296号、第US2011/0216879号、および第US2012/0219111号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、2Dマンモグラフィモードで動作可能であり得る。
【0016】
トモシンセシス撮像装置102は、X線管とも称される、X線源106を含む。X線源106は、例えば、線108によって示されるように、X線ビームを対象100の胸部に向かって送達するように構成される。2Dマンモグラフィモードでは、X線源は、X線ばく露の間、固定位置からX線ビームを方向付け得る。トモシンセシスモードでは、X線源は、
図4Aから4Cを参照して以下にさらに図示および説明されるように、対象100の胸部の上方の弧等の経路に沿って移動し得る。トモシンセシス撮像装置102はさらに、撮像されている胸部を通して伝送されるX線を受信するように位置付けられる、X線検出器110を含む。いくつかの実施形態では、検出器は、デジタルX線検出器であり得る。2Dマンモグラフィ撮像では、X線検出器110は、静止し得る。トモシンセシスモードでは、X線検出器110は、
図4Aから4Cを参照して以下にさらに図示および説明されるように、X線源106の運動に対して相互的な経路に沿って移動または回転し、それによって、その向きをX線源に向かって維持し得る。
【0017】
トモシンセシス撮像装置102はさらに、対象100の胸部をX線源106とX線検出器110との間に位置付けるように構成される、プラットフォーム112を含む。プラットフォーム112は、X線源106とX線検出器110との間に位置付けられ、対象100の胸部のトモシンセシス撮像の間、X線源およびX線検出器のうちの少なくとも1つがプラットフォームの周りを回転するに場合、静止したままである。トモシンセシス撮像装置102はさらに、撮像のために、胸部を圧迫および固定するように構成される、固定構造114を含む。胸部は、対象の運動を低減させ、また、散乱を低減させ、胸部内の重複構造を分離させ、撮像される胸部の厚さをより均一にし、より均一なX線ばく露を提供するように圧迫され得る。プラットフォーム112および固定構造114は、
図1Aを参照すると、別個の要素として説明されたが、プラットフォームおよび固定構造は、統合された要素として提供され得る。
【0018】
図1Aはさらに、対象100の身体面を図示する。
図1Aにおける対象100の断面図は、対象の矢状面と平行な面にある。矢状面は、対象100を右および左部分に分割する、縦断面である。矢状面は、
図1Aに示されるように、y−軸122およびz−軸124を含む、y−z平面と平行である。x−軸(
図1Aには図示されないが、
図4Bおよび4Cを参照して以下にさらに図示および説明される)は、ページの外へ延び、y−z平面に直交する。対象100の冠状面126は、対象を正面および背面部分に分割する、別の縦断面である。
図1Aに破線によって示される、冠状面126は、z−軸124およびx−軸を含む、x−z平面と平行である。対象100の横断面128は、対象を上および下部分に分割する、水平平面である。
図1Aに破線によって示される、横断面128は、y−軸122およびx−軸を含む、x−y平面と平行である。矢状面、冠状面126、および横断面128は、互に直交し、それぞれ、y−z平面、x−z平面およびx−y平面と平行である。
【0019】
身体面の言及は、散乱防止グリッドの向きおよび運動を説明するために、本明細書で使用される。散乱防止グリッドは、X線撮像装置のアームの位置に対して固定され得、散乱防止グリッド運動は、身体面に対して位置付けられ得る、アームのデカルト座標に基づいて説明され得ることを理解されたい。
【0020】
トモシンセシス撮像装置102は、複数の隔壁116を有する、散乱防止グリッド104を含む。散乱防止グリッド104は、少なくとも70隔壁/cmの隔壁密度を有する。散乱防止グリッド104は、プラットフォーム112とX線検出器110との間に位置付けられ、撮像の間、胸部組織によって散乱されるX線がX線検出器110に到達することを低減させるように構成される。散乱防止グリッド104は、複数の隔壁の各隔壁116が、冠状面126(または、x−z平面)と実質的に平行な方向に沿って延びるように、トモシンセシス撮像装置102に対して位置付けられる。ある実施形態では、複数の隔壁は、冠状面と正確に平行であるか、冠状面に対して若干角度がずれるか(但し、概して、その平面内にある)、またはそれらのある組み合わせであり得る。例証目的のために、実施例として、患者の胸壁に最も近い隔壁は、冠状面と正確に平行であり得る一方、胸壁から最も遠い隔壁は、冠状面に対して若干角度がずれ得る(但し、概して、その平面内にある)。別の実施例では、患者の胸壁に最も近い隔壁は、冠状面に対して若干角度がずれ得る(但し、概して、その平面内にある)一方、胸壁から最も遠い隔壁は、冠状面と正確に平行であり得る。
図1Aは、隔壁の高さおよび厚さを図示する、隔壁116の側面図を示す。しかしながら、隔壁116は、
図3Aを参照して以下にさらに図示および説明されるように、冠状面126と平行な軸に沿って延びる、長さを有する。胸部撮像の場合、冠状面126と実質的に平行な方向に沿った隔壁116の向きは、対象100の胸壁と実質的に平行な隔壁に対応し得る。冠状面126と実質的に平行な方向に沿って長さ方向に延びる隔壁の構成は、トモシンセシス撮像の間、散乱防止グリッドを通した伝送を最大限にする。ある実施形態では、隔壁は、胸壁に最も近い隔壁が、胸壁から最も遠い隔壁と同一の整列を有しないように、例えば、X線源に集束させられる。加えて、または代替として、散乱防止グリッド104の上面の隔壁は、互に略平行である。
【0021】
図1Bは、散乱防止グリッド104の移動をさらに図示する、対象100の胸部を撮像するための同一の実施形態を示す。示されるように、散乱防止グリッドは、X線検出器110に対して移動させられる。散乱防止グリッド104は、矢状面(または、y−z平面)と実質的に平行な方向に沿って移動する。前述のように、X線検出器に対する散乱防止グリッドの運動は、結果として生じる画像内のモアレパターンを低減させることが可能である。種々の実施形態では、矢状面と実質的に平行な方向に沿った散乱防止グリッドの運動は、グリッド線のぼけ(モアレパターン)を最大限にし、グリッド線の強度を低減させる。
【0022】
X線検出器110は、いくつかの撮像モードの間、静止し得るが、X線検出器は、トモシンセシス撮像の間、X線源が移動するにつれて、その向きをX線源に向かって維持するように移動させられ得る。散乱防止グリッド104の運動はさらに、X線検出器110の運動に結合され得る。例えば、散乱防止グリッド104は、X線検出器110に堅く取り付けられ得る。したがって、散乱防止グリッドは、X線検出器が移動すると、X線検出器とともに移動し得る。例えば、トモシンセシス撮像の間、散乱防止グリッドは、X線検出器とともに移動または回転し、その向きをX線源106の焦点に向かって維持する一方、同時に、X線検出器に対して移動し、モアレパターンを低減させ得る。種々の実施形態では、散乱防止グリッド104は、隔壁116が冠状面126と実質的に平行な方向に沿ってその向きを維持しながら、X線検出器110とともに移動し得る。例えば、X線検出器110は、散乱防止グリッド104とともに、隔壁116が冠状面126と平行な長さ方向を維持しながら、y−軸122と平行な軸の周りを回転し得る(例えば、
図4Cに示されるように)。他の実施形態では、散乱防止グリッドは、X線検出器とともに移動または回転しないこともある。さらに他の実施形態では、散乱防止グリッドは、トモシンセシス撮像の間、静止し得る。例えば、散乱防止グリッドは、静止したプラットフォームに結合され得る。
【0023】
散乱防止グリッド104はさらに、撮像の間、対象100の冠状面126と実質的に平行な第2の方向に沿って移動するように構成される。種々の実施形態では、散乱防止グリッドは、対象100の矢状面と実質的に平行な第1の方向および冠状面126と実質的に平行な第2の方向のうちの少なくとも1つに沿って移動し得る。例えば、x−軸に沿った散乱防止グリッドの運動は、y−軸に沿った運動と併せて、円形および/または楕円形運動を可能にする。隔壁が胸壁(冠状面)と若干平行がずれている場合、円形運動または楕円形運動はさらに、グリッド線をぼけさせ、モアレパターンを低減させ得る。
【0024】
散乱防止グリッド104は、結果として生じる画像内のモアレパターンの低減を可能にする、軌道に沿って移動し得る。散乱防止グリッドの運動軌道は、線形、円形、または楕円形であり得る。さらに、散乱防止グリッド104は、トモシンセシス撮像の間、モアレパターンを低減させるために有効な速度で移動し得る。速度プロファイルは、散乱防止グリッドの速度変動を最小限にし、それによって、グリッド線を低減させ得る。速度プロファイルは、正弦波プロファイルおよび台形プロファイルのうちの1つであり得る。正弦波プロファイルは、運動アルゴリズムを単純化し得る。例えば、
図5を参照して以下にさらに図示および説明されるような回転式モータが、正弦波プロファイルを提供するために使用され得る。回転式モータシャフトの一定速度は、例えば、x−軸および/またはy−軸の方向に正弦波プロファイルを産生し得る。台形プロファイルは、正弦波プロファイルと比較して、グリッド線をぼけさせるのにより効果的であり得る。しかしながら、台形プロファイルは、回転式モータにおいて採用することが困難であり得、代わりに、
図6を参照して以下にさらに図示および説明されるような線形モータによって提供され得る。散乱防止グリッド104の運動は、散乱防止グリッドが、複数のトモシンセシスばく露の各ばく露の間、モアレパターンの低減を可能にする軌道に沿って移動するように、トモシンセシス撮像の間、X線ばく露と同期され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、散乱防止グリッド104は、部分的または完全のいずれかにおいて、後退可能であり得、および/またはプラットフォーム112とX線検出器110との間の撮像領域から除去され得るように分断可能であり得、および/または散乱防止グリッド104は、異なる構成を有する別のグリッドと交換され得る。例えば、散乱防止グリッド104は、2Dマンモグラフィモードにおける動作のために、撮像領域の外側に後退され、および/または分断され得、トモシンセシスモードにおける動作のために、撮像領域の中に戻され得る。加えて、随意に、散乱防止グリッド104は、2Dマンモグラフィモードで使用され得る。概して、マルチモードマンモグラフィシステムの場合、散乱防止グリッドは、ばく露の間、静止しているかまたは移動するかのいずれかのあるモードに対して視野内にあり、および/または別のモード、例えば、2Dマンモグラフィモード、拡大モード等に対して視野外にあり得る。種々の実施形態では、散乱防止グリッド104は、
図2から6を参照して説明される特徴等、本明細書に開示される1つ以上の特徴に従って構成され得る。
【0026】
図2Aは、複数の隔壁202を有する、従来の散乱防止グリッド200の上面図である。隔壁202は、線形であり、
図1および2の両方に示される、y−軸122と平行な長さ方向に延びる。
図2Aに示されるx−軸204は、
図1では、見えない。散乱防止グリッド200が、従来の2Dマンモグラフィシステムと併用されるとき、散乱防止グリッド200の隔壁202は、隔壁116が冠状面と平行な方向に沿って延びる、散乱防止グリッド104の構成とは対照的に、冠状面126と垂直である。
【0027】
図2Bは、第1の一連の隔壁208と、第1の一連の隔壁と垂直に延びる第2の一連の隔壁210とを有する、従来のセル状散乱防止グリッド206の上面図である。隔壁208および210は、x−軸204およびy−軸122に対して非ゼロ角度で向けられ、それによって、網目状パターンを生成する。
図2Aおよび2Bを参照すると、従来の散乱防止グリッド200および206は、典型的には、2Dマンモグラフィ撮像システムにおいて使用される。しかしながら、前述のように、これらの従来のグリッドは、トモシンセシス撮像に関連付けられた課題に対処しない。
【0028】
図2Cは、
図1を参照して図示および前述された散乱防止グリッド104の上面図を示す。
図2Cはさらに、隔壁116の長さを図示する。
図2Cでは、隔壁116は、x−軸204の方向に沿って長さ方向に延びるように示される(x−軸は、
図1の断面図では見えない)。より一般的には、隔壁116は、冠状面126(または、x−z平面)と実質的に平行な任意の軸の方向に沿って長さ方向に延び得る。散乱防止グリッドは、1/(d+t)に等しい隔壁密度によって特徴付けられ得、式中、dは、隣接する隔壁間の距離であり、tは、隔壁の厚さである。ある側面の散乱防止グリッド104の隔壁密度は、約100隔壁/cmである。他の実施形態では、隔壁密度は、典型的には、30〜50隔壁/cmの範囲内の隔壁密度を有する、従来の散乱防止グリッドとは対照的に、少なくとも70隔壁/cm、好ましくは、約100隔壁/cmであり得る。より高い隔壁密度は、結果として生じる画像内のモアレパターンを低減させるために、従来の散乱防止グリッドと比較して、散乱防止グリッドが比較的に短い距離を移動することを可能にする。これは、典型的には、散乱防止グリッドが撮像の間に移動し得る距離に厳しい空間制約を課すトモシンセシス撮像システムにおける散乱防止グリッドの使用を可能にする。散乱防止グリッド104の隔壁密度の増加は、前述のように、トモシンセシス撮像に対する利点を有するが、h/dによって画定される隔壁の密度および/またはグリッド比率の増加(hは、隔壁高さであり、dは、隔壁間の距離である)はまた、X線検出器に到達する主要X線の低減をもたらし得、これは、撮像されている対象への増加放射線線量の送達を必要とすることに留意されたい。
【0029】
図3Aは、
図1の直交軸x、y、およびzによって画定される同一の基準座標系に対する散乱防止グリッドの向きをさらに図示する、複数の隔壁116を有する、散乱防止グリッド104の斜視図を示す。
図1の冠状面126は、x−軸204およびz−軸124を含む、x−z平面と平行であり、
図1の対象100の矢状面は、y−軸122およびz−軸124を含む、y−z平面と平行である。各隔壁116は、それぞれの長さl、高さh、および厚さtを有する、薄細片である。各隔壁116は、x−z平面または冠状面126と平行なそれぞれの軸に沿って長さ方向に延びるように
図3Aに示される。隣接する隔壁は、距離dだけ分離される。隔壁間の隙間は、低X線減衰材料を含み得る。いくつかの実施形態では、散乱防止グリッドは、アルミニウムまたは別の低X線減衰材料から作製される支持体を含み得る。
【0030】
図3Bは、隣接する隔壁間の距離dをさらに図示する、隔壁116を有する、散乱防止グリッド104の側面図を示す。
図3Aおよび3Bでは、散乱防止グリッド104の隔壁116は、平行構成で配列されて示され、隔壁は、互に平行である。例えば、
図3Aは、他の隔壁の平面と平行な各隔壁116の長さおよび高さによって画定される平面を示す。他の実施形態では、散乱防止グリッドは、集束構成で配列される隔壁を有し得、隔壁は、実質的に、
図1のX線源106等のX線源の焦点に向かって集束する。この場合、隔壁の高さおよび長さによって画定される平面は、互に平行ではなく、代わりに、角度が若干ずれ、X線源の焦点からX線検出器へのX線ビームの発散に一致するように向けられ得る。散乱防止グリッドの隔壁の集束は、X線源の焦点から生じる経路に沿って、主要X線の通過を可能にし、他の経路に沿って進行する散乱X線を遮断する。トモシンセシス撮像の間、集束構成で配列される隔壁を有する散乱防止グリッドは、隔壁がX線源の焦点に向かって集束させられたままであるように、X線源の移動に一致して移動させられ得る。集束隔壁を有する散乱防止グリッドはまた、本開示の側面によると、隔壁を撮像されている対象の冠状面と平行な方向に沿って長さ方向に延び得ることを理解されたい。
【0031】
図4Aは、X線源106と、X線検出器110と、プラットフォーム112と、プラットフォーム112とX線検出器110との間に位置付けられる散乱防止グリッド104とを含む、
図1のトモシンセシス撮像装置102の断面側面図を示す。
図4Aはさらに、X線源106によって放出され、圧縮された胸部402(圧縮構造は、
図4Aに図示せず)を通して伝送される、円錐形X線ビーム400を図示する。前述のように、散乱防止グリッド104は、隔壁が、集束構成で配列され、例えば、X線源と散乱防止グリッドとの間の距離を考慮して、X線源106の焦点からX線検出器110へのX線ビーム400の発散に一致するように構成され得る。
【0032】
図4Bは、圧縮された胸部402の上方に位置付けられ、中心軸404と整列される、X線源106をさらに図示する、
図1および4Aのトモシンセシス撮像装置102の正面図である。X線検出器110および散乱防止グリッド104は、x−y平面(または、
図1の横断面128)と平行に向けられる。散乱防止グリッド104は、x−z平面(または、
図1の冠状面126)と平行な方向に沿って長さ方向に延びる隔壁を有する。隔壁はさらに、X線源106の焦点に向かって集束させられ得る。
図4Bはさらに、トモシンセシス撮像装置102のコリメータ406を図示する。コリメータ406は、X線源106とプラットフォーム112との間に位置付けられ、撮像されるべき胸部402のみ照射するように、X線ビーム400を制限し、制限されたX線ビーム408をもたらすように構成される。コリメータ406の使用は、撮像されない対象の部分の照射を回避し、結果として生じる画像へのコンプトン散乱X線の寄与をさらに低減させる。
【0033】
図4Cは、X線源106の移動と、X線検出器110および散乱防止グリッド104の相互的な移動とをさらに図示する、
図1、4A、および4Bのトモシンセシス撮像装置102の正面図である。トモシンセシス撮像装置102が、2Dマンモグラフィモードで動作しているとき、X線源106は、静止しており、
図4Bの中心軸404と整列された位置等、X線源の固定位置に対応する画像が、得られる。トモシンセシス撮像装置102が、トモシンセシスモードで動作するとき、複数のX線画像が、X線源106およびX線検出器110が固定かつ圧迫された胸部402に対して移動するにつれて撮影される。
図4Cは、中心軸404に対してある角度で位置付けられたX線源106を示す。
図4Cはさらに、X線検出器110および散乱防止グリッド104が、X線源106に向けられたままであるように、中心軸404の周りを回転させられることを示す。散乱防止104の隔壁は、散乱防止グリッドがX線検出器110とともに移動するにつれて、x−z平面(または、冠状面126)と実質的に平行なままであり得る。X線検出器110の運動に結合されている散乱防止グリッドの運動に加え、散乱防止グリッド104はさらに、例えば、
図1Bを参照して説明および図示されるように、X線検出器に対して移動し得る。いくつかの実施形態では、散乱防止グリッド104は、X線検出器110とともに回転し得、X線検出器に対して平行移動し得る。例えば、X線検出器110は、トモシンセシス撮像のために、各X線ばく露の間、X線ばく露間のX線源106の異なる角位置に一致するように回転し得、モアレパターンを低減させるように、X線検出器に対して移動し得る。他の実施形態では、散乱防止グリッドは、トモシンセシス撮像の間、X線検出器に合わせて移動する必要はない。例えば、散乱防止グリッドは、静止したままであり得、またはX線検出器と異なる速度で移動し得るか、またはX線検出器と異なる方向に移動し得る。
【0034】
X線源の単一の軸外中心位置106のみ、
図4Cに図示されるが、実際は、画像データは、X線源106のはるかに多数の位置の各々において、例えば、中心軸404に対して−15°〜+15°まで延びる弧の1°毎に、撮影される。いくつかの実施形態では、画像データの撮影は、X線源106、散乱防止グリッド104、およびX線検出器110が、ある位置から次の位置へ移動後、それらのそれぞれの位置に停止されている間に生じ得る。すなわち、X線源106、散乱防止グリッド104、およびX線検出器110に対応する各位置において、X線源106は、励起され、コリメートされたX線ビームを放出し、胸部402のそれぞれの画像を得る。他の実施形態では、X線源106、X線検出器110、および散乱防止グリッド104のうちの1つまたは全部の運動は、連続的であり得、それぞれの組の画像データが、連続運動のわずかなインクリメント、例えば、X線源106の運動の0.1°〜0.5°の弧にわたって蓄積される。さらに、
図4Cは、その向きをX線源106に向かって維持するためのX線検出器110の回転を図示するが、他の実施形態では、X線検出器は、例えば、平行であり、かつプラットフォーム112から同一の距離のまま、線形に移動し得る。さらに他の実施形態では、X線検出器110は、X線源106と同一方向に回転する。X線検出器110の回転は、X線源106と同期し、かつ角度比例する。トモシンセシスの間、X線検出器110は、±15°のX線源106の回転の場合、1/3.5の率、すなわち、±4.3°で回転し得る。X線源106が駆動されると、X線検出器110が、ギヤ機構を通して追従する。他の実施形態では、X線源106およびX線検出器110の回転は、
図8において以下に説明されるシステムにおけるように、コントローラを介して協調され得る。
【0035】
本明細書に説明されるシステムは、X線源およびX線検出器の一方または両方に対して散乱防止グリッドの移動を可能にする。例えば、
図1Aおよび1Bを参照すると、散乱防止グリッド116は、z−軸124と平行な軸に沿って移動し得る(すなわち、X線源106により近いまたはそこからより遠い)。別の実施形態では、散乱防止グリッド116は、y−軸122と平行な軸に沿って移動し得る(すなわち、患者110により近いまたはそこからより遠い)。代替として、または加えて、散乱防止グリッド116は、x−軸(図示せず)と平行な軸に沿って移動し得る(すなわち、患者100に対して並列)。例えば、前述の
図4Cに描写されるようなy−軸またはx−軸の周りの枢動移動もまた、想定される。
図4Bに描写される中心軸404の周りの回転移動もまた、所望に応じて、利用され得る。
【0036】
特定の平面または軸に対する移動を可能にする、例示的システムおよび構造が、以下にさらに詳細に説明される。ある軸に沿った散乱防止グリッドの移動は、トモシンセシスと併用されるとき、特に所望の結果を示し得る。単一のモータが、以下の実施例では描写されるが、複数のモータまたはアクチュエータが、特定の用途に対する要求または所望に応じて、散乱防止グリッドと併用され、その要素を任意の方向に移動させ得る。加えて、モータは、複数自由度を有する連結部または他の要素を駆動し、本明細書に定義される任意の平面または軸に対して、所望に応じて散乱防止グリッドを移動させ得る。ギヤシステムが、検出器およびエミッタの一方または両方に対する移動の速度を制御するために利用され得る。
【0037】
図5は、X線散乱を低減させるための装置500の一実施形態の斜視図である。装置500は、本明細書に開示される1つ以上の特徴に従って構成され得る、散乱防止グリッド502を含む。例えば、散乱防止グリッドは、各隔壁がx−z平面(または、
図1の冠状面126)と平行な方向に沿って長さ方向に延びる、複数の隔壁を有し得る。装置500はさらに、モータ504を含む。いくつかの実施形態では、モータ504は、ステッパモータまたはサーボモータであり得る。偏心器506は、中心からずれた位置において、モータ504に結合される。さらに、散乱防止グリッド502は、細長い開口部508を含む。細長い開口部508は、隔壁の長さと実質的に平行な方向に沿って細長である。偏心器506は、細長いスロット508を通して挿入される。開口部508は、細長であるので、偏心器506が細長いスロット508を通して挿入された場合、少なくとも1つの間隙が生成される。偏心器506が回転するにつれて、散乱防止グリッド502は、y−z平面と略平行(または、
図1の矢状面と平行)方向に沿って前後に移動する。この場合、散乱防止グリッド502は、y−軸122の方向に沿って前後に移動するであろう。偏心器506が細長いスロット508を通して挿入された場合に生成される間隙は、散乱防止グリッドが、x−軸204の方向に沿って移動することを防止する。しかしながら、他の実施形態では、モータ504は、x−軸204に沿って運動を可能にするように、散乱防止グリッド502に結合され得る。散乱防止グリッドに接続された偏心器を利用するモータは、本明細書に説明される任意の平面または軸に対して、任意の所望方向に散乱防止グリッドを移動させるように、所望に応じて向けられ得る。
【0038】
図5のモータ504等の回転式モータが、正弦波速度プロファイルを提供するために使用され得る。種々の実施形態では、回転式モータシャフトの一定速度は、例えば、x−軸および/またはy−軸の方向に、正弦波プロファイルを産生し得る。種々の実施形態では、回転式ステッパモータが、正弦波プロファイルを提供するためのコスト効果的機構であり得る。
【0039】
一実施形態では、
図1の散乱防止グリッド104は、
図5の装置500および散乱防止グリッド502に従って構成され得る。したがって、散乱防止グリッド502は、
図1の対象100の矢状面と実質的に平行な第1の方向に沿って移動するように構成され得、さらに、冠状面126と実質的に平行な第2の方向に沿って移動するように構成され得る。
【0040】
図6は、X線散乱を低減させるための装置600の別の実施形態の斜視図である。装置600は、本明細書に開示される1つ以上の特徴に従って構成され得る、散乱防止グリッド602を含む。装置600はさらに、機構606によって、散乱防止グリッドに結合されるモータ604を含む。種々の実施形態では、モータ604は、線形モータ、ステッパモータ、圧電モータ、または音声コイルであり得る。モータ604は、散乱防止グリッドを
図1における対象100の矢状面と平行な方向等の方向に沿って前後に平行移動ささせるように構成され得る。種々の実施形態では、
図6のモータ604等の線形モータが、正弦波プロファイルと比較して、グリッド線をぼかすのにより効果的であり得る、台形プロファイルを提供するために使用され得る。しかしながら、線形モータは、回転式モータと比較して、より高価であり得る。利用されるモータのタイプにかかわらず、そのようなモータは、所望に応じて、散乱防止グリッドに接続され、本明細書に説明される任意の平面または軸に対して、散乱防止グリッドを任意の所望の方向に移動させ得る。
【0041】
種々の実施形態では、モータ(
図5のモータ504または
図6のモータ604等)は、正弦波プロファイルおよび台形プロファイルの一方である、速度プロファイルで散乱防止グリッドを移動させるように構成され得、トモシンセシス撮像モードのX線ばく露持続時間と同期され得る。
図5および6を参照して前述のように、正弦波プロファイルは、例えば、
図5に示されるような回転式モータを使用することによって、実装がより容易かつコスト効果的となり得る。台形プロファイルは、例えば、
図6に示されるような線形モータを使用することによって、実装がより高価となり得る。しかしながら、台形プロファイルは、正弦波プロファイルと比較して、モアレパターンをより効果的に低減させ得る。
【0042】
図7は、マンモグラフィシステム、例えば、統合されたマルチモードマンモグラフィシステムのために散乱防止グリッドを後退させるモータが、トモシンセシス画像取得のためのばく露の間、散乱防止グリッドに運動を付与する、同一のモータである、本発明の実施形態を図示する。散乱防止グリッド700(隔壁は図示せず)は、グリッドキャリッジ702に結合される。散乱防止グリッド700およびグリッドキャリッジ702は、モータ704に結合される。そのような結合の非限定的実施例の1つとして、ナット708を介して、グリッドキャリッジ702に結合される、送りねじ706が挙げられる。モータ704をグリッドキャリッジ706に結合するための他の公知の機械的配列も、利用されることができる。本明細書に論じられるように、あるモード708では、モータ704は、散乱防止グリッド700を視野から完全に後退させることができる。代替として、モータ704は、ばく露の場合、視野内に完全に存在しないように、散乱防止グリッド700を部分的に後退させることができる。別のモード708では、モータは、トモシンセシス画像取得等の画像取得のためのばく露の間、散乱防止グリッド700を移動させる。
【0043】
図8は、トモシンセシス撮像システム800内のX線散乱を低減させるためのシステムを描写する。本システムは、X線エミッタ802と、検出器804と、散乱防止グリッド806とを含む。これらの構成の各々は、それぞれ、位置センサ802a、804a、806aを含む。加えて、各構成要素は、それぞれ、1つ以上のアクチュエータまたはモータ802b、804b、806bによって、作動させられ得る(例えば、線形に、回転可能に、枢動可能に等、移動させられる)。位置、向き、移動の速度等を示す信号が、3つの構成要素802、804、806のいずれかを作動させ得るコントローラ808に送信される。したがって、コントローラは、各構成要素の位置を他の構成要素の1つ以上に対して判定し、信号を種々のアクチュエータに送信し、要求または所望に応じて、各構成要素を移動させる。
【0044】
図9は、トモシンセシスシステム内のX線散乱を低減させるための方法900を描写する。一実施形態では、X線散乱を低減させる方法900は、本明細書に開示される1つ以上の特徴に従って構成される散乱防止グリッドをトモシンセシス撮像デバイス等のX線撮像装置に対して位置付けることを含み得る。特に、本方法は散乱防止グリッドを、例えば、
図1および4に示されるように、トモシンセシス撮像装置のX線源とX線検出器との間に位置付けることを含み得る(動作902)。本方法はさらに、
図1から4を参照して図示および前述されるように、胸部のトモシンセシス撮像の間、散乱防止グリッドの複数の隔壁の各隔壁を対象の冠状面と実質的に平行なそれぞれの軸に沿って長さ方向に配向することを含み得る(動作904)。いくつかの実施形態では、散乱防止グリッドは、少なくとも70隔壁/cmの隔壁密度を有し得る。隔壁は、X線源に対して平行構成または集束構成で配列され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、例えば、
図1に示されるように、固定または圧迫構造を使用して、対象の胸部の固定および圧迫のうちの少なくとも1つを行なうこと含み得る(動作906)。
【0046】
種々の実施形態では、X線散乱を低減させる方法はまた、結果として生じる画像内のモアレパターンを低減させることを包含し得る。したがって、X線散乱を低減させる方法はさらに、散乱防止グリッドが、トモシンセシス撮像の間、X線検出器またはエミッタとともに移動するように、散乱防止の運動をX線検出器またはエミッタのものに結合することを含み得る(動作908)。結合されると、散乱防止グリッドは、X線検出器またはエミッタの一方または両方に対して移動させられ得る(動作910)。種々の実施形態では、散乱防止グリッドの移動は、散乱防止グリッドの回転または平行移動を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、
図1Bに示されるように、トモシンセシス撮像の間、対象の矢状面と実質的に平行な第1の方向に沿って散乱防止グリッドを移動させることを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、トモシンセシス撮像の間、対象の冠状面と実質的に平行な第2の方向に散乱防止グリッドを移動させることを含み得る。種々の実施形態では、散乱防止グリッドの移動は、散乱防止グリッドを結果として生じる画像中のモアレパターンを低減させるために有効な速度で移動させることを含み得る。例えば、速度プロファイルは、台形プロファイルおよび正弦波プロファイルのうちの1つであり得る。従来の散乱防止グリッドと比較して比較的に高隔壁密度を伴う散乱防止グリッドの使用はさらに、各X線ばく露の間、トモシンセシス撮像装置の制限内のわずかな距離のみ移動させながら、散乱防止グリッドがモアレパターンを効果的に低減させることを可能にするであろう。
【0047】
種々の実施形態では、X線撮像装置は、2Dおよび3Dモードの両方で動作可能であるように構成される、統合されたマンモグラフィおよびトモシンセシス装置であり得る。いくつかの実施形態では、X線散乱を低減させる方法は、2Dおよび3Dモードの両方における撮像のために、本明細書に開示される側面に従って構成される同一の散乱防止グリッドの使用を含み得る。他の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される側面に従って構成される散乱防止グリッドを後退させること、または2Dマンモグラフィモードにおける撮像のために、散乱防止グリッドを従来の散乱防止グリッドと切り替えることを含み得る。
【0048】
少なくとも一実施形態のいくつかの側面が前述されたが、種々の改変、修正、および改良が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、かつ本開示の範囲内であることが意図される。故に、前述の説明および図面は、一例にすぎず、本開示の範囲は、添付の請求項の適切な構成およびその均等物から判定されるべきである。