【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は従って、有利な特徴として横方向寸法(直径)が例えば数百ナノメートルのオーダーであり、垂直方向寸法が最大約10マイクロメートルであって、高さ/直径比が1〜30の範囲、典型的には約10であるナノワイヤ等のナノカラム型の個別素子を有するLEDの場合における輝度性能の観点から変動性を減らすことを意図している。
【0004】
近年、可視発光ダイオードが、例えばp−n接合を含み、且つ集合的に並列接続された垂直なInGaN/GaNナノワイヤに基づいている。
【0005】
ナノワイヤは、その潜在的な固有特性(良好な結晶品質、垂直自由表面における制約の緩和、良好な光抽出効率等)により、平面(2D)構造内で形成される従来のGaN系LEDで現在生じている困難さを緩和する極めて興味深い候補と考えられている。
【0006】
異なる成長技術に基づく2通りのナノワイヤLED方式が当業者に知られている。
【0007】
第1の方式は、分子線エピタキシ(MBE)により、軸構成にInGaN量子井戸を含むGaNナノワイヤをエピタキシ化するものである。これらのナノワイヤで作成された素子は、緑色スペクトル領域で興味深い結果を与える。1mm
2の処理済みチップは、100mAの直流電流に対して550nmで約10のμWを発光可能である。
【0008】
分子線(MBE)成長技術では、ランダムな核形成機構による若干の不均一性が生じるが、典型的には50nWの光電力が550nmで発光する単一ワイヤで得られ、これはすなわち1mm
2当たり10万個程度の発光ナノワイヤでは5mW/mm
2に相当する。
【0009】
より最近では、MOCVD(金属有機化学蒸着)成長技術により、ラジアルLED構造(核/殻構成)を含むInGaN/GaNナノワイヤの製造が可能になった。
【0010】
図1に、例えばシリコン基板とGaNナノワイヤとの間でメッシュ適合を生じさせることが可能な核形成層21で覆われた基板20の表面にナノワイヤNT
nが製造されるこの種の構成を示す。
【0011】
光導電部分を有するナノワイヤの構造は、典型的には10
19cm
−3のドーピング率でnドープされたGaN内の核22、各々が非ドープGaNおよびInGaNを交互になす層23、24を有する量子井戸構造、および最後に、典型的には10
19cm
−3のドーピング率でpドープされたGaN層25を含んでいる。核22と上部接点を絶縁するために絶縁誘電層26が設けられている。上部接点は、光導電構造の発光波長に対して透過的な導電性上層27により保護されている。
【0012】
このアプローチでは、LED構造が核/殻構成をなしていて、能動ゾーンの表面は2DナノワイヤLED方式よりも大きい。
【0013】
この特性から二つの利点が得られる。すなわち、発光面が拡大すると共に能動ゾーンにおける電流密度が減少する。技術的進歩の結果、MOCVDナノワイヤLEDの完全な構造がシリコン基板上に形成され、青色スペクトル領域(450nm)における電子発光が一体化されたナノワイヤの組で得られている。
【0014】
ナノワイヤ成長技術により、チップの表面ゾーンに、典型的には1mm
2の表面ゾーンの上に数十万個のカラムを形成することができる。
【0015】
ナノテクノロジーを利用するこのような本来の構造は、発光表面ゾーン、従って光束を増大させる利点をもたらす。
【0016】
サイズが極めて小さい、典型的には数百ナノメートルから最大10マイクロメートル程度のオーダーの個別素子を有するLEDの上述の状況において、本発明は、特に素子の輝度を調整可能にする一体型フォトダイオードセンサを含み、当該一体型センサから能動電子発光要素の制御電圧をきめ細かく制御する手段が設けられた電子発光素子を提案する。
【0017】
より具体的には、本発明の主題は、基板の表面上にナノワイヤの組を含む構造を含む電子発光素子であって、
−第1の電気的接点に接続されていて、いわゆる順電圧または電流源からの第1のいわゆる順電圧の作用の下で発光可能なナノワイヤを含む第1の一連のいわゆる発光用一次ナノワイヤと、
−第2の電気的接点に接続されていて、電圧または電流源からの第2のいわゆる逆電圧の制御下で、周辺光および/または前記一次ナノワイヤの一部により発せられた光の一部の作用の下で光電流を生成可能である、前記一次ナノワイヤに隣接する第2の一連のいわゆる検出用二次ナノワイヤと、
−前記いわゆる順電圧を前記光電流の関数として制御する手段とを含んでいることを特徴とする。
【0018】
好適には、第2のいわゆる逆電圧は電圧源から得られる。
【0019】
一次ナノワイヤに電力供給する電流源の場合、一次ナノワイヤは固定電流を生成し、生成された電流は典型的には約3Vであり得る所与の可変電圧に変換される。しかし、二次ナノワイヤの電源は通常、二次ナノワイヤにより生成された電流を測定すべく所与の電圧(典型的には0Vの以下)に維持される。
【0020】
本発明の一変型例によれば、当該素子は、前記電圧を調整すべく前記光電流を順電圧または電流源に注入する手段を含み、前記手段は、前記構造の外部にあって二次ナノワイヤにより生じた光電流I
phを所与の基準電流I
refと比較すると共に一次ナノワイヤの電圧を制御すべく前記順電圧または電流源に作用する電流コンパレータを含む回路を含んでいる。
【0021】
本発明の一変型例によれば、前記第2の一連のいわゆる検出用二次ナノワイヤは、周辺光の存在下で、ゼロまたは逆電圧の制御下で光電流I
phを生成可能な検出ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットを含み、前記素子は、前記構造の外部にあって二次ナノワイヤにより生じた光電流を閾値電流I
ph.sと比較して前記光電流値I
phが前記閾値電流値I
ph.s未満である場合は、スイッチを備えた電源を介して前記電子発光素子を起動する電流コンパレータを含む回路を含んでいる。
【0022】
本発明の一変型例によれば、前記ナノワイヤは、前記第1の電気的接点の1個を前記第2の電気的接点の1個から電気的に絶縁すべく前記一次ナノワイヤと前記二次ナノワイヤとの間で不連続である透明な導電層で覆われている。
【0023】
本発明の一変型例によれば、基板は、前記ナノワイヤを含む表面の反対側として定義される裏面に、前記第1の電気的接点の1個および前記第2の電気的接点の1個に共通の接点層を含んでいる。
【0024】
本発明の一変型例によれば、当該素子は、前記基板上に分布された二次ナノワイヤのサブセットを含んでいる。
【0025】
本発明の一変型例によれば、当該素子は、異なる波長λi
cで光子を発光しやすい一次ナノワイヤの複数のサブセットを含み、前記素子は、異なる波長λi
cでの発光の総和から生じた合成光を発する。
【0026】
本発明の一変型例によれば、当該素子は、二次ナノワイヤの複数のサブセットを含み、二次ナノワイヤの各サブセットは、前記波長λi
cで前記光子を捕捉可能なように波長λi
cで光子を発する一次ナノワイヤのサブセットに隣接している。
【0027】
本発明の一変型例によれば、前記ナノワイヤは、III−V族材料のヘテロ接合に基づく構造を有している。
【0028】
本発明の別の主題は、本発明による電子発光素子を制御する方法であって、
−電圧または電流源からの第2のいわゆる逆電圧の制御下で、周辺光および/または前記一次ナノワイヤの一部により発せられた光の一部の作用の下で二次ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットからの少なくとも1個の光電流を検出するステップと、
−いわゆる順電圧の作用の下で一次ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットを前記光電流の関数として制御するステップとを含んでいることを特徴とする。
【0029】
本発明の更に別の主題は、本発明による電子発光素子を制御する方法であって、前記検出ステップの前に、前記二次ナノワイヤにより自身の発光が部分的に捕捉されるいわゆる発光用一次ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットを制御するステップを含んでいることを特徴とする。
【0030】
本発明の別の主題は、本発明による電子発光素子の輝度を制御する方法であって、
−一次ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットに第1の初期電圧を印加するステップと、
−光電流を検出すべく二次ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットに逆電圧を印加するステップと、
−前記素子の輝度を調整すべく前記一次ナノワイヤに印加する制御電圧の決定に際して前記光電流を加味するステップとを含んでいることを特徴とする。
【0031】
本発明の更に別の主題は、本発明による電子発光素子の表面輝度の分布を制御する方法であって、
−一次ナノワイヤの複数のサブセットに第1の初期電圧を印加するステップと、
−二次ナノワイヤの各サブセットが、ある波長で光子を発光している一次ナノワイヤのサブセットに隣接し、前記二次ナノワイヤが、二次ナノワイヤのサブセット毎の光電流を検出すべく前記基板の全体にわたり分布されている状態で、二次ナノワイヤの複数のサブセットに逆電圧を印加するステップと、
−前記素子の輝度の表面分布を調整すべく前記二次ナノワイヤのサブセットに各々関連付けられた前記一次ナノワイヤのサブセットに印加する制御電圧の決定に際して前記光電流を加味するステップとを含んでいることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の主題は、異なる波長λi
cで発光するナノワイヤの複数のサブセットの発光から生じる合成光を発する本発明による電子発光素子の色を制御する方法であって、
−前記一次ナノワイヤのサブセットに第1の初期電圧を印加するステップと、
−二次ナノワイヤの各サブセットが、波長λi
cで光子を発する一次ナノワイヤのサブセットに、前記波長λi
cで前記光子を捕捉可能なように隣接している状態で、二次ナノワイヤの複数のサブセットに逆電圧を印加するステップと、
−前記素子の前記合成色を調整すべく前記二次ナノワイヤのサブセットに各々関連付けられた前記一次ナノワイヤのサブセットに印加する制御電圧の決定に際して前記光電流を加味するステップとを含んでいることを特徴とする。
【0033】
本発明の更に別の主題は、本発明による電子発光素子を制御する方法であって、
−光電流I
phを検出すべく二次ナノワイヤの少なくとも1個のサブセットに逆電圧を印加するステップと、
−前記光電流を電流閾値I
ph.sと比較するステップと、
−前記光電流値I
phが前記閾値電流I
ph.s未満である場合、前記電子発光素子を起動すべく一次ナノワイヤに順電圧の印加するステップとを含んでいることを特徴とする。
【0034】
非限定的な例および添付の図面で示す以下の説明を精査することにより本発明に対する理解が深まると共に他の利点も明らかになろう。