特許第6559121号(P6559121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559121
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】経皮送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/485 20060101AFI20190805BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20190805BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190805BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190805BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20190805BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20190805BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20190805BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20190805BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   A61K31/485
   A61K9/70 401
   A61K47/12
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K47/14
   A61K47/06
   A61K47/22
   A61P25/04
【請求項の数】28
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2016-517285(P2016-517285)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2016-520638(P2016-520638A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014061567
(87)【国際公開番号】WO2014195352
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年5月26日
(31)【優先権主張番号】61/830,975
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヒル
(72)【発明者】
【氏名】ガーブリエル・ヴァウアー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ザイベルツ
(72)【発明者】
【氏名】シュウ−ルン・ワインハイマー
【審査官】 新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/065740(WO,A1)
【文献】 特表2010−510259(JP,A)
【文献】 特表2009−539786(JP,A)
【文献】 特表2003−503445(JP,A)
【文献】 特表2005−518354(JP,A)
【文献】 特表2012−500787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含む、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムであって、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造が、
A) ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン含有感圧接着性層を含み、該接着性層が、
a) ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づく、少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 上記ブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.1%〜約8%の量のポリビニルピロリドン、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及びポリビニルピロリドンを含有する混合物が、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、
そしてここで該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は皮膚接触層である、上記経皮治療システム。
【請求項2】
ブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含む、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムであって、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造が、
A) ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン含有感圧接着性層を含み、該接着性層が、
a) ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づく、少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 可溶性ポリビニルピロリドン、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブ
リン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及びポリビニルピロリドンを含有する混合物が、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、かつ
該ブプレノルフィン含有感圧接着性層が皮膚接触層である、上記経皮治療システム。
【請求項3】
ポリビニルピロリドンが、少なくとも約5、又は少なくとも約10、又は少なくとも約15、又は少なくとも約20、又は少なくとも約50、又は少なくとも約80、のK値を有する、請求項2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
前記ブプレノルフィンが、ブプレノルフィン塩基の形態で存在し、かつ/又は前記カルボン酸がレブリン酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
前記ポリビニルピロリドンが、約0.1%〜約7%、又は約0.5%〜約5%、又は約1%〜約4%、又は約2%〜約3%、の量で存在する、請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
前記ブプレノルフィンがブプレノルフィン塩基の形態で存在し、前記カルボン酸がレブリン酸であり、前記ポリマーベースの感圧接着剤がポリシロキサンに基づくものであり、かつ約1%〜約4%の量で可溶性ポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
経皮治療システムに含有される前記ブプレノルフィンの量が、
ブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
ブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
ブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
ブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
ブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩
の範囲に及ぶ、請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層のサイズが、
約1cm2〜約4.8cm2、又は
約3cm2〜約9.5cm2、又は
約6cm2〜約19cm2、又は
約12cm2〜約28.5cm2、又は
約16cm2〜約38cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じる、請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層のサイズが、約1cm2〜約4.8cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じ、かつ経皮治療システムに含有される前記ブプレノルフィンの量が、ブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の範囲に及び
前記経皮治療システムが、被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって7,000pg.時/mlより多い平均AUCtを生じ、かつ/又は
経皮治療システムは、約168時間の投与にわたって約5μg/時の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は
ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、かつ比較臨床試験において試験された場合に経皮治療システムが、6.25cm2の放出面積を有する市販品BuTrans(R)と生物学的に同等であり、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項10】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層のサイズが約3cm2〜約9.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じ、かつ経皮治療システムに含有される前記ブプレノルフィンの量がブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の範囲に及び
前記経皮治療システムが、被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって14,000pg.時/mlより多い平均AUCtを生じ、かつ/又は
経皮治療システムは、約168時間の投与にわたって約10μg/時の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は
ブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、かつ比較臨床試験において試験された場合に経皮治療システムは、12.5cm2の放出面積を有する市販品BuTrans(R)と生物学的に同等であり、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項11】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層のサイズが、約6cm2〜約19cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じ、かつ経皮治療システムに含有される前記ブプレノルフィンの量が、ブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の範囲に及び、
前記経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって28,000pg.時/mlより多い平均AUCtを生じ、かつ/又は
経皮治療システムが、約168時間の投与にわたって約20μg/時の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は
ブプレノルフィンがブプレノルフィン塩基の形態で存在し、かつ比較臨床試験において試験された場合に経皮治療システムが、25cm2の放出面積を有する市販品BuTrans(R)と生物学的に同等であり、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項12】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層のサイズが約12cm2〜約28.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じ、かつ経皮治療システムに含有される前記ブプレノルフィンの量が、
ブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg又は等モル量のその薬学的に許容し
うる塩の範囲に及び、
前記経皮治療システムが、被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって42,000pg.時間/mlより多い平均AUCtを生じ、かつ/又は
経皮治療システムは、約168時間の投与にわたって約30μg/時間の名目平均放出時間を生じ、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項13】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層のサイズが、約16cm2〜約38cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じ、かつ経皮治療システムに含有される前記ブプレノルフィンの量が、
ブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の範囲に及び、
前記経皮治療システムが、被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって62,000pg.時/mlより多い平均AUCtを生じ、かつ/又は
経皮治療システムは、約168時間の投与にわたって約40μg/時の名目平均放出速度を生じ、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項14】
前記経皮治療システムが、被験体集団への単回用量投与後に約60時間〜約120時間の算術平均tmaxを生じ、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項15】
前記経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって1,700pg.時間/ml−cm2より多い放出面積あたりの平均AUCtを生じ、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項16】
前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層が、0.55mg/cm2より多いブプレノルフィン塩基若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項17】
カルボン酸がレブリン酸であり、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層が、ブプレノルフィン塩基の%量に基づいて、ブプレノルフィンの%量よりも少ない%量のレブリン酸を含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項18】
ブプレノルフィンがブプレノルフィン塩基の形態で存在し、かつ168時間の試験にわたって1.3μg/cm2−時間より大きい、採皮刀で採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ型拡散セルにおいて測定された平均累積皮膚浸透速度を生じ、かつ/又は168時間の期間にわたって220μg/cm2〜640μg/cm2の、採皮刀で採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ型拡散セルにおいて測定されたブプレノルフィン塩基の累積放出を生じ、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜17のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項19】
ブプレノルフィンがブプレノルフィン塩基の形態で存在し、かつフランツ型拡散セルにおいて採皮刀で採皮したヒト皮膚を用いて測定して、
最初の8時間に2μg/cm2〜10μg/cm2
8時間〜24時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
24時間〜32時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
32時間〜48時間に30μg/cm2〜120μg/cm2
48時間〜72時間に40μg/cm2〜150μg/cm2
72時間〜144時間に100μg/cm2〜300μg/cm2、そして
144時間〜168時間に30μg/cm2〜100μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非累積放出を生じ、
ここで、前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層において、前記ポリマーベースの感圧接着剤は、ポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであり、前記ブプレノルフィンは、6%〜20%の量で存在し、前記ポリビニルピロリドンは、0.1%〜7%の量で存在し、前記カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸、及びそれらの混合物からなる群より選択され、6%〜20%の量で存在する、
請求項1〜18のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項20】
各々が請求項1〜19のいずれか1項に記載される2〜5つの異なる経皮治療システムのセットであって、
第一の経皮治療システムは、約1cm2〜約4.8cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約19cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第四の経皮治療システムは、約12cm2〜約28.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生
じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約38cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有する、上記セット。
【請求項21】
ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、ブプレノルフィン含有感圧接着性層を皮膚接触層として含む代わりに、別の皮膚接触層を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項22】
ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層が、アスコルビルパルミテート、トコフェロール及びそのエステル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール又は没食子酸プロピルからなる群より選択される抗酸化剤を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項23】
抗酸化剤がアスコルビルパルミテートであり、かつブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.01〜約0.5%量で存在する、請求項22に記載の経皮治療システム。
【請求項24】
疼痛を処置するための、請求項1〜23のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項25】
経皮治療システムを、96時間より長い間、又は約168時間、患者の皮膚上に適用する、疼痛を処置するための、請求項1〜23のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項26】
ブプレノルフィン塩基及びカルボン酸を含む混合物の、ポリシロキサンに基づく感圧接着剤中で分散された沈着物を含む、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムの製造における、製造の間に沈着物サイズを制御するためのポリビニルピロリドンの使用。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムの製造方法であって、該方法は、
1. a) ブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
b) カルボン酸、
c) ポリビニルピロリドン、
d) ポリマーベースの感圧接着剤、及び
e) 溶媒
を含むブプレノルフィン含有接着性混合物を供給する工程、
2. 0時間と6日との間、該混合物を貯蔵する工程、
3. 該ブプレノルフィン含有接着性混合物を均質化する工程;
4. 0時間と6日との間、該均質化された混合物を貯蔵する工程、
5. 該ブプレノルフィン含有接着性混合物を、所望のコーティング乾燥質量を生じる量でローラー塗装機を使用してフィルム上にコーティングする工程、
6. 該コーティングされたブプレノルフィン含有接着性混合物を乾燥して、所望のコーティング乾燥質量を有するブプレノルフィン含有接着性層を得る工程、
7. 場合により、該ブプレノルフィン含有接着性層をバッキング層に積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得る工程、
8. 場合により、所望の放出面積を有するブプレノルフィン含有自己接着性層構造から個々のシステムを打ち抜く工程、及び
9. 場合により、バッキング層及び活性薬剤非含有感圧接着性層も含み、かつブプレ
ノルフィン含有自己接着性層構造の個々のシステムより大きい活性非含有自己接着性層構造を個々のシステムに接着させる工程、
を含む、上記方法。
【請求項28】
工程1において、ブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、カルボン酸はレブリン酸であり、かつポリビニルピロリドンと共にエタノールに溶解され、その後、ヘプタン中のポリシロキサンに基づくポリマーベースの感圧接着剤中に懸濁されてブプレノルフィン含有接着性混合物又はエマルジョンを生じる、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システム(TTS)、並びにその製造方法、使用、及びそれを用いる対応する処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
活性成分ブプレノルフィン (5R,6R,7R,9R,13S,14S)−17−シクロプロピルメチル−7−[(S)−3,3−ジメチル−2−ヒドロキシブタン−2−イル]−6−メトキシ−4,5−エポキシ−6,14−エタノモルフィナン−3−オール)は、高い効力を有する部分的に合成のアヘン剤である。癌患者は、およそ1mgの日用量で処置され得る。467.64ダルトンというそのかなり高い分子量にもかかわらず、これは現在では経皮投与に使用される。市販のTTS製品Norspan(R)(BuTrans(R)としても知られる)は、7日間の期間の間(約168時間)疼痛患者を処置するために十分に皮膚にブプレノルフィンを送達し、従って7日間の期間にわたってTTSの使用を可能にし、そして週に1回のTTS交換で固定投薬計画を可能にする。これは具体的には、利便性及び患者のコンプライアンスの観点から有益である。従って、疼痛薬の全体的な有効性が増強される。しかし、長い投与期間は、皮膚刺激を伴う問題を引き起こし得、これはTTSのかなりのサイズ(すなわち、放出面積)と組み合わさって問題となり得る。また、長期間にわたって適切な薬物送達を維持するための十分な駆動力を維持するために必要なTTS中の大量の過剰な薬物は費用がかかり、そして不正使用を受ける可能性を有する。
【0003】
従って、TTSの全体のサイズ(すなわち、放出面積)、さらには投与前のTTS中のブプレノルフィンの総量及び適切な使用後にTTSに残っている量、残留量も減らすことが望ましい。それにより、不正使用に利用可能な薬物の量(適切な使用の前後)、及び適切な使用後に廃棄される量の両方が減らされる。特許文献1は、特定のTTSサイズ、及び4日までの投与計画について承認された市販のTTS製品Transtec(R)と比較した薬物減少の量を記載する。従って、TTSは、いくら遅くとも4日後に交換される必要がある。Transtec(R)を週に2回、常に同じ日の特定の時点(例えば月曜日の朝及び木曜日の晩)に交換することが推奨される。
【0004】
しかし、利便性の理由から、例えばTranstec(R)により提供されるような3〜4日ごとの交換様式の代わりに、例えば市販品Norspan(R)により提供されるような週に1回の交換様式(7日投薬計画)を維持することが望ましい。
【0005】
7日間の投与期間の間の十分な放出速度の維持は、システムが薬物放出の変動性に対して特に感受性であるので特に困難である。投薬期間の初めのより高い薬物送達(「薬物バースト(drug burst)」としても知られる)についての寛容性は、初めの薬物損失が投薬期間の後、特に送達の3〜4日後の駆動力の損失をもたらすので、非常に限られる。
【0006】
従って開始時の薬物バースト及びこのようなシステムの変動性は、十分に制御される必要がある。
【0007】
本明細書中に引用される全ての参考文献及び刊行物は、あらゆる目的のためにそれら全体として参照により本明細書に加入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第2010/0119585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の目的及び要旨
疎水性感圧接着性層中で分散されたブプレノルフィン及びカルボン酸の沈着物(deposits)を含むマイクロリザーバー(microreservoir)システムは、7日の投与期間の間高い全体の放出速度を生じ、市販品Norspan(R)と比較してサイズ及び薬物含有量の減少を可能にする。しかし、いくつかのバッチの製造は、性能の高い変動を示す。これらのシステムは、高い性能を生じるが、接着剤(相2.)中の分散した沈着物(相1.)に起因して二相性である。いずれの理論にも拘束されることを望まないが、沈着物のサイズ及びサイズ分布が薬物送達に影響を及ぼすと考えられる。大きな沈着物の薬物放出は速すぎて、投薬期間の始めに望ましくないバーストを生じ、3〜4日後にシステムの不具合をもたらす。従って、沈着物のサイズ及びサイズ分布を十分に管理する必要がある。
【0010】
ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の経皮投与のための経皮治療システムを提供することが本発明の特定の実施態様の目的であり、これは、その中に含有される比較的少量のブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)及びブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の十分に再現可能な放出を生じること、特に約168時間(7日又は1週に相当する)の間疼痛緩和を生じるために適したブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の再現可能な放出を生じることを必要とする。
【0011】
ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の経皮投与のための経皮治療システムを提供することが本発明の特定の実施態様の目的であり、これは比較的小さな放出面積を必要とし、そしてブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の十分に再現可能な放出を生じ、特に、約168時間(7日又は1週に相当)の間疼痛緩和を提供するために適したブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の再現可能な放出を生じる。
【0012】
上記システムのための信頼できる製造方法を提供することが本発明の特定の実施態様の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的及びその他は本発明により達成され、これは一局面によれば、ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)の経皮投与のための経皮治療システムに関し、該経皮治療システムは、ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 該ブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.1%〜約8%の量の粘性増加物質、及び
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)が中で可溶化されて該粘性増加物質を含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及び粘性増加物質を含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで好ましくは該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0014】
1つの特定の局面によれば、本発明は、ブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含む、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムに関し、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 可溶性ポリビニルピロリドン、及び
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで好ましくは該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0015】
1つの特定の局面によれば、本発明は、ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造を含む、ブプレノルフィン塩基の経皮投与のための経皮治療システムに関し、該ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層上のブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) ポリシロキサンに基づく少なくとも1つの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基、
c) ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層の約1%〜約4%の量の可溶性ポリビニルピロリドン[ここで、ポリビニルピロリドンは少なくとも約80のK値を有する]、及び
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基が中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量のレブリン酸を含み、そしてここでレブリン酸、ブプレノルフィン塩基及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで好ましくは該ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0016】
さらなる局面によれば、本発明は、本発明に従う経皮治療システムを患者の皮膚に適用することにより患者において疼痛を処置する方法に関し、特に、本発明に従う経皮治療システムを患者の皮膚に約96時間より長く(又は4日より長く)、又は約120時間(又は5日間)、又は約144時間(又は6日間)又は約168時間(又は7日間若しくは1週間)適用することにより該患者において疼痛を処置する方法に関する。
【0017】
1つの特定の局面によれば、本発明は、患者の皮膚に約168時間(又は7日間若しくは1週間)経皮治療システムを適用することにより該患者において疼痛を処置する方法に関し、該経皮治療システムは、ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 該ブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.1%〜約8%の量の粘性増加物質、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン(例えば、ブプレノルフィン塩基)が中で可溶化されて該粘性増加物質を含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及び粘性増加物質を含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで好ましくは、該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0018】
1つの特定の局面によれば、本発明は、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムを患者の皮膚上に約168時間適用することにより、患者において疼痛を処置する方法に関し、該経皮治療システムはブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 可溶性ポリビニルピロリドン、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで好ましくは該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0019】
一局面によれば、本発明は、経皮治療システムを約168時間患者の皮膚に適用することにより該患者において疼痛を処置する方法に関し、該経皮治療システムはブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層上のブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) ポリシロキサンに基づく少なくとも1つの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基、
c) ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層の約1%〜約4%の量の可溶性ポリビニルピロリドン[ここでポリビニルピロリドンは少なくとも約80のK値を有する]、及び
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基が中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量のレブリン酸を含み、そしてここでレブリン酸、ブプレノルフィン塩基及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで該ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0020】
一局面によれば、本発明は、5つの異なる経皮治療システム、すなわち、第一、第二、第三、第四及び第五の経皮治療システムから選択される、ブプレノルフィン塩基の経皮投与のための2〜5つの異なる経皮治療システムのセットに関し、5つの異なる経皮治療システムはそれぞれブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層上のブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) ポリシロキサンに基づく少なくとも1つの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基、
c) ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層の約1%〜約4%の量の可溶性ポリビニルピロリドン[ここでポリビニルピロリドンは少なくとも約80のK値を有する]、及び
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基が中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量のレブリン酸を含み、そしてここでレブリン酸、ブプレノルフィン塩基及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで
第一の経皮治療システムは、約1cm2〜約4.8cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mgを含有し;
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mgを含有し;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約19cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mgを含有し;そして
第四の経皮治療システムは、約12cm2〜約28.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mgを含有し;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約38cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mgを含有し、
ここで5つの異なる経皮治療システムは、第一の経皮治療システムから第五の経皮治療システムへと増加する放出面積及びブプレノルフィンの量を有し、上記セットは、患者の皮膚上に約168時間該経皮治療システムのうちの1つを適用することにより疼痛を処置する方法における使用のためのものである。この段落に従う2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、上記の5つの異なる経皮治療システムと比較して、より小さいか、より大きいか、又は中間の放出面積及びブプレノルフィンの量を生じ得る1つ又はそれ以上のさらなる経皮治療システムにより拡大され得、好ましくは、2〜5つの異なる経皮治療システムは、約5cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、第二と第三の経皮治療システムの間の中間経皮治療システムを提供する。あるいは、上記の2〜5つの異なる経皮治療システムのセットのうちの1つの経皮治療システムは、このようなさらなる経皮治療システムにより置き換えられ得る。
【0021】
一局面によれば、本発明は、前の段落において記載された第一、第二、第三、第四及び第五の経皮治療システムから選択される少なくとも2つの経皮治療システムを含む経皮治療システムのセットに関する。1つの特定の局面によれば、少なくとも2つの経皮治療システムは、前の段落に記載される第一、第二、第三、第四及び第五の経皮治療システム、並びに約5cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mgの量の該ブプレノルフィンを含有するさらなる経皮治療システムから選択され得る。
【0022】
一局面によれば、本発明は、前の2つの段落に記載される第一、第二、第三、第四及び第五の経皮治療システムから適切な経皮治療システムを患者について選択し、そしてその後、約168時間該患者の皮膚上に該選択された経皮治療システムを適用することにより、該患者において疼痛を処置する方法に関する。1つの特定の局面によれば、本発明は、前の2つの段落に記載される第一、第二、第三、第四及び第五、及びさらなる経皮治療システムから適切な経皮治療システムを患者について選択し、そしてその後、約168時間該患者の皮膚上に該選択された経皮治療システムを適用することにより、該患者において疼痛を処置する方法に関する。
【0023】
1つの局面によれば、本発明は、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムに関し、ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、そして該経皮治療システムは、デルマトームから採皮された(dermatomed)ヒト皮膚を用いてフランツ型拡散セルにおいて測定して、
最初の8時間に2μg/cm2〜10μg/cm2
8時間〜24時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
24時間〜32時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
32時間〜48時間に30μg/cm2〜120μg/cm2
48時間〜72時間に40μg/cm2〜150μg/cm2
72時間〜144時間に100μg/cm2〜300μg/cm2、そして
144時間〜168時間に30μg/cm2〜100μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非蓄積(non−cumulative)放出を生じ、かつ
ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層上のブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層を含み、接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基、
c) 該ブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.1%〜約8%の量の粘性増加物質、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基が中で可溶化されて該粘性増加物質を含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン塩基及び粘性増加物質を含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで好ましくは該ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層は皮膚接触層であり、該経皮治療システムは、特に、患者の皮膚上に約168時間経皮治療システムを適用することにより疼痛を処置する方法における使用のためのものである。
【0024】
放出特徴は、
最初の8時間に0.25μg/cm2−時間〜1.25μg/cm2−時間、
8時間〜24時間に1.25μg/cm2−時間〜5.0μg/cm2−時間、
24時間〜32時間に2.5μg/cm2−時間〜10μg/cm−時間2
32時間〜48時間に1.25μg/cm2−時間〜5.0μg/cm2−時間、
48時間〜72時間に1.6μg/cm2−時間〜6.25μg/cm2−時間、
72時間〜144時間に1.3μg/cm2−時間〜4.2μg/cm2−時間、そして
144時間〜168時間に1.25μg/cm2−時間〜4.2μg/cm2−時間
の平均非累積皮膚浸透速度の観点からも記載され得る。
【0025】
一局面によれば、本発明は、ブプレノルフィンの経皮投与のためのブプレノルフィンを含む経皮治療システムに関し、ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、そして該経皮治療システムは、デルマトームから採皮したヒト皮膚を用いてフランツ型拡散セルにおいて測定して、
最初の8時間に2μg/cm2〜10μg/cm2
8時間〜24時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
24時間〜32時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
32時間〜48時間に30μg/cm2〜120μg/cm2
48時間〜72時間に40μg/cm2〜150μg/cm2
72時間〜144時間に100μg/cm2〜300μg/cm2、そして
144時間〜168時間に30μg/cm2〜100μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非累積放出を生じ、かつ
ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン塩基含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層上のプレノルフィン塩基含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基、
c) 可溶性ポリビニルピロリドン、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで該ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0026】
放出特徴は、
最初の8時間に0.25μg/cm2−時間〜1.25μg/cm2−時間、
8時間〜24時間に1.25μg/cm2−時間〜5.0μg/cm2−時間、
24時間〜32時間に2.5μg/cm2−時間〜10μg/cm−時間2
32時間〜48時間に1.25μg/cm2−時間〜5.0μg/cm2−時間、
48時間〜72時間に1.6μg/cm2−時間〜6.25μg/cm2−時間、
72時間〜144時間に1.3μg/cm2−時間〜4.2μg/cm2−時間、そして
144時間〜168時間に1.25μg/cm2−時間〜4.2μg/cm2−時間
の平均非累積皮膚浸透速度の観点からも記載され得る
1つの特定の局面によれば、本発明は、本発明に従うブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムの製造方法に関し、該方法は、
1. a) ブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
b) カルボン酸、
c) 粘性増加物質、
d) ポリマーベースの感圧接着剤、及び
e) 溶媒
を含むブプレノルフィン含有接着性混合物を供給する工程、
2. 0時間と6日との間、該混合物を貯蔵する工程、
3. 該ブプレノルフィン含有接着性混合物を、例えば少なくとも1000rpmの速度で均質化する工程;
4. 0時間と6日との間、該均質化された混合物を貯蔵する工程、
5. 該ブプレノルフィン含有接着性混合物を、所望のコーティング乾燥質量を生じる量でローラー塗装機を使用してフィルム上にコーティングする工程、
6. 該コーティングされたブプレノルフィン含有接着性混合物を乾燥して、所望のコーティング乾燥質量を有するブプレノルフィン含有接着性層を得る工程、
7. 場合により、該ブプレノルフィン含有接着性層をバッキング層に積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得る工程、
8. 場合により、所望の放出面積を有するブプレノルフィン含有自己接着性層構造から個々のシステムを打ち抜く工程、及び
9. 場合により、バッキング層及び活性薬剤非含有感圧接着性層も含み、かつブプレノルフィン含有自己接着性層構造の個々のシステムより大きい活性薬剤非含有自己接着性層構造を個々のシステムに接着させる工程、
を含み、
好ましくは、工程1において、ブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、カルボン酸はレブリン酸であり、そして粘性増加物質はポリビニルピロリドンであり、そして全て適切な溶媒(例えば、エタノール)中に溶解され、その後、適切な溶媒(例えば、ヘプタン)中のポリシロキサンに基づく感圧接着剤中に懸濁して、ブプレノルフィン含有接着性混合物又は溶液を得る。
【0027】
ブプレノルフィン、カルボン酸及び粘性増加物質を溶解するために有用な溶媒はアルコール類(例えば、エタノール)、アセトン及びメチルエチルケトンであり、エタノールが好ましい。ポリマーベースの感圧接着剤は、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、又は酢酸エチル、好ましくはヘプタンに溶解され得る。ブプレノルフィンのための溶媒は、好ましくはポリマーベースの感圧接着剤を溶解する限られた能力しか有していないか又は溶解する能力を有しておらず、そしてポリマーベースの感圧接着剤のための溶媒は、好ましくは(preferarrably)ブプレノルフィンを溶解する限られた能力しか有していないか又は溶解する能力を有していない。
【0028】
一局面によれば、本発明は、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムの製造におけるポリビニルピロリドンの使用に関し、該システムは、製造の間の沈着物のサイズを制御するために、ポリシロキサンに基づく感圧接着剤中に分散されたブプレノルフィン塩基及びカルボン酸を含む混合物の沈着物を含む。
【0029】
本発明の意義の範囲内で、用語「経皮治療システム」(又はTTS)は、患者の皮膚に適用される個々の単位全体を指し、そしてこれは、ブプレノルフィン含有自己接着性層構造及び場合によりブプレノルフィン含有自己接着性層構造の上部にさらなるより大きな活性非含有自己接着性層構造を含み、このTTSは、患者への活性ブプレノルフィンの経皮送達を生じる。貯蔵の間、このようなTTSは通常、再取り外し可能な保護層上に位置し、これは患者の皮膚表面への適用直前にこのTTSから取り外される。このようにして保護されたTTSは、ブリスター包装又は側方密封(side sealed)バッグ中で貯蔵され得る。
【0030】
本発明の意義の範囲内で、用語「ブプレノルフィン含有自己接着性層構造」は、活性薬剤の放出面積を生じる活性薬剤含有構造を指す。
【0031】
本発明の意義の範囲内で、「ポリマーベースの感圧接着剤」は、感圧接着剤の乾燥質量に基づいて75%〜100%の前記ポリマー、例えば75%〜100%のポリシロキサンを含有する感圧接着剤を指す。特定の実施態様によれば、感圧接着剤は、感圧接着剤の乾燥質量に基いて、80%〜100%、又は85%〜100%、又は90%〜100%、又は95%〜100%のポリマー(例えば、ポリシロキサン)を含有する。感圧接着剤は、特に、指圧で接着する材料であり、永久に粘着性であり、強い保持力を発揮し、そして残留物を残すことなく滑らかな表面から除去可能であるべきである。市販される有用なポリシロキサンに基づく感圧接着剤の例としては、標準的Bio−PSAシリーズ(7−4400、7−4500及び7−4600シリーズ)、アミン適合性(末端キャップされた)Bio−PSAシリーズ(7−4100、7−4200及び7−4300シリーズ)及びDow Corning製のSoft Skin Adhesivesシリーズ(7−9800)が挙げられる。ポリシロキサンに基づく好ましい感圧接着剤は、BIO−PSA 7−4201、BIO−PSA 7−4301及びBIO−PSA 7−4501を含むヘプタン溶媒和感圧接着剤である。
【0032】
本発明の意義の範囲内で、用語「さらなるより大きな活性薬剤非含有自己接着性層構造」は、活性薬剤を含まず、かつ活性薬剤を含有する構造よりも面積が大きく、そして皮膚に接着するさらなる面積を備えるが、活性薬剤の放出面積は備えず、そしてそれによりTTSの全体的な接着特性を増強する、自己接着性の層構造を指す。
【0033】
本発明の意義の範囲内で、用語「ブプレノルフィン含有感圧接着性層」及び「マトリックス層」は、同じ意味を有し、そして活性を有する(active in−)接着剤のマトリックス型構造中に活性薬剤(ブプレノルフィン)を含有する層を指す。成分の%量は固形物含有量を指す。
【0034】
本発明の意義の範囲内で、用語「皮膚接触層」は、投与の間患者の皮膚と直接接触しており、かつブプレノルフィン含有自己接着性層構造中に位置する/ブプレノルフィン含有自己接着性層構造と同一の広がりを持つ(co−extensive)、TTSの部分を指す「皮膚接触層」及びブプレノルフィン含有自己接着性層構造のサイズは、同一の広がりを持ち、かつ放出面積に相当する。
【0035】
本発明の意義の範囲内で、「分散された沈着物」に関連して使用される用語「沈着物(deposit)」は、識別可能な、例えば視覚的に識別可能な、感圧接着剤内の領域を指す。このような沈着物は、例えば、液滴である。視覚的に識別位可能な沈着物は、顕微鏡の使用により識別され得る。
【0036】
本発明の意義の範囲内で、用語「粘性増加物質」は、ブプレノルフィン及びカルボン酸の混合物に加えられた場合に、その混合物の粘性を増加させる物質を指す。
【0037】
本発明の意義の範囲内で、K値は、欧州薬局方及び米国薬局方モノグラフに従って「ポビドン」に対して水中でのポリビニルピロリドンの相対的粘度から計算された値を指す。
【0038】
本発明の意義の範囲内で、用語「可溶性ポリビニルピロリドン」は、少なくともエタノール中で、好ましくは水、ジエチレングリコール、メタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2−ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、プロピオン酸及び酢酸中でも、10%より多く溶解するポリビニルピロリドンを指す。このような可溶性ポリビニルピロリドンは、BASFによりKollidon 12 PF、Kollidon 17 PF、Kollidon 25、Kollidon 30及びKollidon 90 Fとして供給される。Kollidon 90 Fは実施例全体を通して使用される。
【0039】
本発明の意義の範囲内で、沈着物のサイズは、層構造の顕微鏡画像を使用して測定した沈着物の直径を指す。
【0040】
本発明の意義の範囲内で、用語「ローラー塗装機(roll coater)」は、一対の回転するローラー間のロール間隙(nip)における流量がそれによりコーティングされたフィルムの厚さ及び均一性の両方を制御するコーティングを生じる塗装機を指す。
【0041】
本発明の意義の範囲内で、「インビトロ溶解」は、欧州薬局方/米国薬局方の回転シリンダー装置を使用して、600ml脱気0.9%塩化ナトリウム溶液を32℃で50rpmで回転させて使用して決定される。0.5、2、8(又は5)及び24時間の時点で、サンプル4mlを取り出し、そして逆相HPLC法により55:45%体積/体積アセトニトリル:0.05Mリン酸二水素カリウム(pH3.5に調整)の移動相、及び220nmでのUV検出を使用して分析する。
【0042】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「平均累積皮膚浸透速度」はμg/cm2−時間で示され、そして放出の合計期間(例えば168時間)にわたってフランツ型拡散セルを用いて行われるインビトロ実験により測定した累積放出(μg/cm2)から、24時間の遅延時間を考慮に入れて、上記の放出合計期間(例えば168時間)に相当する時間数で割って計算される。
【0043】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「平均非累積皮膚浸透速度」はμg/cm2−時間で示され、そしてフランツ型拡散セルにおいて測定した特定のサンプル間隔の非累積放出(μg/cm2)から上記サンプル間隔の時間数で割って計算される。
【0044】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「累積放出」はμg/cm2で示され、そしてフランツ型拡散セルにおいて測定して、放出の合計期間(例えば、168時間)にわたって放出された総量に関連する。値は少なくとも3回の実験の平均値である。
【0045】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「非累積放出」はμg/cm2で示され、そしてフランツ型拡散セルで測定して、放出合計期間内の特定の経過時間で一定サンプル間隔で放出された量(例えば168時間の放出合計期間内の8時間から16時間までの8時間のサンプル間隔に対応する16時間の放出)に関連する。値は少なくとも3回の実験の平均値である。
【0046】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「平均放出速度」は、活性薬剤がヒト皮膚を通って血液系中に浸透する投与期間(例えば7日)にわたるμg/時間での平均放出速度を指し、そして臨床研究において上記投与期間にわたって得られたAUCに基づくものである。
【0047】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「名目平均放出速度」は、被験体の皮膚に7日間適用され、かつその平均放出速度が添付文書から公開で入手可能である市販の参照製品BuTrans(R)との比較により決定された指定された平均放出速度を指す。20mgブプレノルフィンを含有する25cm2放出面積のBuTrans(R)参照TTSの対応する公知の名目平均放出速度は20μg/時間である。平均放出速度は、TTSの放出面積のサイズに比例し、そして有効成分含有量(dosage strength)によってTTSを識別するために使用され得る。半分のサイズ(すなわち、放出面積12.5cm2)を有しブプレノルフィン10mgを含有するBuTrans(R) TTSは、公知の名目平均放出速度10μg/時間を生じる。放出面積6.25cm2のサイズを有しブプレノルフィン5mgを含有するBuTrans(R) TTSは、既知の名目平均放出速度5μg/時間を生じる。従って、放出面積50cm2のサイズを有しブプレノルフィン40mgを含有する対応するTTSは名目平均放出速度40μg/時間を生じると推測され得、そして放出面積37.5cm2のサイズを有しブプレノルフィン30mgを含有する対応するTTSは、名目平均放出速度30μg/時間を生じると推測され得、そして放出面積18.75cm2のサイズを有しブプレノルフィン15mgを含有する対応するTTSは名目平均放出速度15μg/時間を生じると推測され得る。名目平均放出速度は、参照TTS BuTrans(R)のフランツ型拡散セル皮膚浸透速度を、本発明に従うTTSのフランツ型拡散セル皮膚浸透速度と比較することにより、本発明に従うTTSに指定される。
【0048】
本発明の意義の範囲内で、「約168時間該患者の皮膚に適用することにより」の意味は、「約7日間又は1週間該患者の皮膚に適用することにより」に相当し、そしてこれは、週に1回の交換様式又は投薬レジメンを指す。同様に、約96時間は4日に相当し、約120時間は5日に相当し、そして約144時間は6日に相当する。用語「特定の期間患者の皮膚に適用すること」は、「特定の期間の投与」と同じ意味を有する。
【0049】
本発明の意義の範囲内で、用語「患者」は、処置の必要性が示唆される特定の症状(単数又は複数)の臨床症状を示したか、状態について予防的に(preventatively)若しくは予防的に処置されるか、又は処置されるべき状態と診断された被験体を指す。
【0050】
そうではないと示されていなければ、「%」は質量%を指す。
【0051】
本発明の意義の範囲内で、用語「活性(active)」、「活性薬剤」、及び同様のものに加えて用語「ブプレノルフィン」は、ブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩を指す。そうではないと示されていなければ、TTS中のブプレノルフィンの量はTTSの投与前のブプレノルフィンの量に関連する。投与後のTTSの中のブプレノルフィンの量は残留量として言及される。
【0052】
本発明の意義の範囲内で、放出面積のサイズ及び経皮治療システムに含有されるブプレノルフィンの量を特定する値及び範囲は、少なくとも3回の測定の平均値である。
【0053】
本発明の意義の範囲内で、用語「薬物動態パラメーター」は、臨床試験において、例えば活性薬剤TTS、例えばブプレノルフィン塩基 TTSの健常ヒト被験体への単回用量投与により得られた血漿曲線、例えばCmax、AUCt及びAUCINFを記載するパラメーターを指す。本発明に従うTTSの薬物動態性能は、国際出願PCT/IB2012/002973(例えば、PCT/IB2012/002973の69〜100頁を参照のこと)に開示されるブプレノルフィン含有マイクロリザーバーシステムの性能から推定され得る。個々の被験体の薬物動態パラメーターは、算術手段及び幾何学的手段、例えば平均Cmax、平均AUCt及び平均AUCINF、並びにさらなる統計データ、例えばそれぞれの標準偏差及び標準誤差、最小値、最大値、及び値のリストが順位付けされる場合には中間値(中央値)を使用してPCT/IB2012/002973においてまとめられている。本発明の文脈において、薬物動態パラメーター、例えば、平均Cmax、平均AUCt及び平均AUCINFは、そうではないと示されていなければ、幾何平均値を指す。臨床試験において特定のTTSについて得られた絶対平均値が試験ごとに特定の程度まで変動するということを除外することはできない。試験間の絶対平均値の比較を可能にするために、参照処方、例えば市販の参照製品BuTrans(R)又は将来は本発明に基づくいずれかの製品を内部標準として使用し得る。放出面積あたりのAUC、例えば、前後の試験におけるそれぞれの参照製品の放出面積あたりの平均AUCtの比較を使用して、試験ごとの差異を考慮に入れるための補正因子を得ることができる。PCT/IB2012/002973に記載される臨床試験において、市販の参照製品BuTrans(R)は、放出面積あたりのAUCt 1624.53 pg.時間/ml−cm2を生じる。疎水性感圧接着性層中で分散されたブプレノルフィン及びカルボン酸の沈着物を含むマイクロリザーバーシステムが、市販品BuTrans(R)と比較して放出面積あたりのAUCtの観点でより良好な性能を生じる、すなわち、PCT/IB2012/002973の実施例1及び2がそれぞれ2690.49pg.時間/ml−cm2及び2746.86pg.時間/ml−cm2の放出面積あたりのAUCtを生じるということが同じ試験で示された。従って、マイクロリザーバーシステムは、同じ試験において市販品BuTrans(R)よりも約1.7倍良好な性能を生じる。
【0054】
本発明に従う臨床試験は、臨床試験の調和国際会議(International Conference for Harmonization of Clinical Trials)(ICH)並びに全ての適用される地域の良き臨床上の基準(Good Clinical Practices)(GCP)及び規制に完全にのっとって行われた試験を指す。
【0055】
本発明の意義の範囲内で、用語「健常ヒト被験体」は、55kg〜100kgの範囲に及ぶ体重、及び18〜29の範囲に及ぶボディ・マス・インデックス(BMI)並びに正常な生理学的パラメーター、例えば血圧などを有する男性又は女性の被験体を指す。本発明の目的のための健常ヒト被験体は、ICHの推奨にもとづき、かつそれらに従う組み入れ及び排除基準に従って選択される。
【0056】
本発明の意義の範囲内で、用語「被験体集団」は、少なくとも10人の個々の健常ヒト被験体を指す。
【0057】
本発明の意義の範囲内で、用語「幾何平均」は、元の尺度に変換し戻された(backtransformed)対数変換されたデータの平均を指す。
【0058】
本発明の意義の範囲内で、用語「算術平均」は、全ての観測値の合計を観測の総数で割ったものを指す。
【0059】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「AUC」は、血漿濃度−時間曲線下の面積に相当する。AUC値は、血液循環中に吸収された活性薬剤の総量に比例し、それ故バイオアベイラビリティの基準である。
【0060】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「AUCt」はpg.時間/mlで示され、そして0時間から最後の測定可能な血漿濃度までの血漿濃度−時間曲線下の面積に関連し、そして線形台形法により計算される。
【0061】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「放出面積あたりの平均AUCt」はpg.時間/ml−cm2で示され、そして特定のTTSについて決定された幾何平均AUCt(pg.時間/ml)からそのTTSの放出面積で割って計算される。
【0062】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「AUCINF」はpg.時間/mlで示され、そして無限大まで外挿された血漿濃度−時間曲線下の面積に関連し、そして式:
【数1】
[ここでCLastは最後の測定可能な血漿濃度であり、そしてLambdaZは見掛けの終末期速度定数である]を使用して計算される。
【0063】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「Cmax」はpg/mlで示され、そして(and and)活性薬剤の最大の観測された血漿濃度に関連する。
【0064】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「tmax」は時間で示され、そしてCmax値に達する時点に関連する。換言すると、tmaxは最大の観測された血漿濃度の時点である。
【0065】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「LambdaZ」は1/時間で示され、そして見掛けの終末期速度定数に関連し、ここでLambdaZは終末期の間の対数濃度対時間のプロフィールの線形回帰の傾きの大きさである。
【0066】
本発明の意義の範囲内で、パラメーター「t1/2Z」は時間で示され、そして見掛けの血漿終末期半減期に関連し、一般的にはt1/2Z=(ln2)/LambdaZとして決定される。
【0067】
本発明の意義の範囲内で、用語「平均血漿濃度」はpg/mlで示され、そしてこれは各時点での活性薬剤、例えばブプレノルフィン塩基の個々の血漿濃度の平均である。
【0068】
本発明の意義の範囲内で、用語「生物学的に同等(bioequivalent)」は、ブプレノルフィンについてのCmax、AUCt、及びAUCINFの幾何平均値を生じるTTSを指すように規定され、ここで試験/参照の比について推定された90%信頼区間は80.00%〜125.00%の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、比較例1のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
図2A図2Aは、比較例2のブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像を示す。
図2B図2Bは、比較例2のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
図3A図3Aは、実施例3のブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像を示す。
図3B図3Bは、実施例3のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
図4A図4Aは、実施例4のブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像を示す。
図4B図4Bは、実施例4のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
図5図5は、比較例1の平均インビトロ溶解を示す。
図6図6は、比較例2の平均インビトロ溶解を示す。
図7図7は、実施例3の平均インビトロ溶解を示す。
図8図8は、実施例4の平均インビトロ溶解を示す。
図9図9は、比較例1及び2並びにNorspan(R)の平均非累積皮膚浸透速度を示す。
図10図10は、実施例6、7.1、8及びBuTrans(R)についての平均非累積皮膚浸透速度を示す。
図11図11は、実施例7.1、7.2及びBuTrans(R)についての平均非累積皮膚浸透速度を示す。
図12図12は、実施例7.2、5.2及びBuTrans(R)についての平均非累積皮膚浸透速度を示す。
図13図13は、経皮治療システムの(of the of)平均非累積皮膚浸透速度を示す。実施例5.2に従う経皮治療システムの放出面積は14cm2であり、そしてBuTrans(R)についての放出面積は25cm2である。実施例5.2についてのブプレノルフィン塩基の量は12.6mgであり、そしてBuTrans(R)についてのブプレノルフィン塩基の量は20mgである。
【発明を実施するための形態】
【0070】
詳細な説明
疎水性感圧接着性層中で分散されたブプレノルフィン及びカルボン酸の沈着物を含むマイクロリザーバーシステムは、7日間の投与期間の間、高い全体の放出速度を生じ、それにより市販品Norspan(R)と比較してTTSのサイズ及び薬物含有量の減少を可能にする。このようなシステムは、並行特許出願PCT/US2012/069242(PCT/IB2012/002973に対応、参照により本明細書に加入される)に記載される。特に、PCT/US2012/069242(PCT/IB2012/002973に対応)における実施例1〜4が参照される。しかし、いくつかのバッチの製造は、性能における高い変動性を示す。これらのシステムは高い性能を生じるが、接着剤(相2.)中に分散された沈着物(相1.)に起因して二相性である。いずれの理論にも拘束されることを望まないが、沈着物のサイズ及びサイズ分布が薬物送達に影響を及ぼすと考えられている。大きな沈着物の薬物放出は速すぎて、投薬期間の始めに望ましくないバーストを生じ、そして3〜4日後にシステムの失敗をもたらす。従って、沈着物のサイズ及びサイズ分布を十分に制御する必要性がある。
【0071】
本明細書に開示される市販の経皮製品の製造は、ブプレノルフィン含有感圧接着性層を形成するために連続的なコーティング及び乾燥プロセスを必要とする。このようなコーティングは、通常は十分なサイズの、乾燥区画が取り付けられたローラー塗装機を用いて達成される。コーティングしようとするブプレノルフィン含有混合物は、通常はバッチ式で製造され、次いで混合物をコーティングする塗装機の準備ができるまでいくらかの時間貯蔵される。通常の生産手順における混合物の製造と混合物のコーティングとの間の時間は、混合/均質化後に塊がコーティングステーションに移されて直接コーティングされる場合はほとんどゼロであり得、そして塗装機の不具合又は週末又は塗装プロセスの中断の他の理由の時間の間、混合物を貯蔵するために、数日、例えば4〜6日程度の長さであるかもしれない。従って、混合物は十分に安定でなければならない。二相、すなわち沈着物及び沈着物を取り囲む接着剤を含む、本明細書に記載されるマイクロリザーバーシステムは、個々の沈着物が融合してより大きな沈着物を形成することに起因して時間とともに変化し得る。従って、沈着物は、混合とコーティングの間の貯蔵時間の間融合を妨げられなければならない。
【0072】
さらに、ローラー塗装機でのコーティングの間にコーティング混合物に加えられるせん断力は、エリクセン塗装機を使用した場合のような実験室スケールのコーティング技術と異なりより高い。しかし商業スケールの製造には、ローラー塗装機は、必要な規模拡大及び必要な塗装精度を生じることが必要である。しかし、ローラー塗装機におけるせん断力は、沈着物のさらなる融合を引き起こす。従って、沈着物はローラー塗装機を使用するコーティングプロセスの間、融合を妨げられなければならない。
【0073】
TTS構造
本発明の特定の実施態様によれば、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムは、ブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
c) 該ブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.1%〜約8%の量の粘性増加物質、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該粘性増加物質を含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及び粘性増加物質を含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は好ましくは皮膚接触層である。
【0074】
いずれの理論にも拘束されることを望まないが、粘性増加物質は、製造の間の接着剤溶液(外相)内及び乾燥ブプレノルフィン含有層の貯蔵の間の、接着剤マトリックス(外相)内の沈着物(内相)の粘性を増加させると考えられている。
【0075】
有用な粘性増加物質は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び微結晶セルロースのようなセルロース誘導体、高分子量ポリアクリル酸及び/又はそれらの塩及び/又はエステルのようなそれらの誘導体、ポリビニルピロリドン、特に可溶性ポリビニルピロリドン、コロイド状シリコーン二酸化物、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キサンタンガム、ベントナイト、カラギーナン並びにグアーガムからなる群より選択され得る。好ましい粘性増加物質はポリビニルピロリドンである。
【0076】
本発明の特定の実施態様において、粘性増加物質は、ブプレノルフィン含有感圧接着性層の、約0.1%〜約7%の量、又は約0.5%〜約5%の量、好ましくは約1%〜約4%の量、より好ましくは約2%〜約3%の量で存在する。
【0077】
構造に関係する本発明の特定の独立した実施態様によれば、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムはブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン不透過性バッキング層上のブプレノルフィン含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) 少なくとも1つのポリマーベースの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩
c) 可溶性ポリビニルピロリドン、並びに
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィンが中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量の、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物からなる群より選択されるカルボン酸を含み、そしてここでカルボン酸、ブプレノルフィン及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで該ブプレノルフィン含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0078】
いずれの理論にも拘束されることを望まないが、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも50のK値、又は少なくとも80のK値を有するポリビニルピロリドンは特に、製造の間の接着剤溶液(外相)内及び乾燥ブプレノルフィン含有層の貯蔵の間の接着剤マトリックス(外相)内の沈着物(内相)の粘性を増加させる際に有益であると考えられる。それにより、沈着物が混合とコーティングとの間の貯蔵期間の間に融合することが妨げられるので、粘性の増加は有益である。
【0079】
本発明の特定の実施態様において、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムはブプレノルフィン含有自己接着性層構造を含み、該ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、
A) ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層、及び
B) 該ブプレノルフィン塩基不透過性バッキング層上のブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層を含み、該接着性層は、
a) ポリシロキサンに基づく少なくとも1つの感圧接着剤、
b) 鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基、
c) ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層の約1%〜約4%の量の可溶性ポリビニルピロリドン[ここでポリビニルピロリドンは少なくとも約80のK値を有する]、及び
d) 該鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基が中で可溶化されて該ポリビニルピロリドンを含む混合物を形成するために十分な量のレブリン酸を含み、そしてここでレブリン酸、ブプレノルフィン塩基及びポリビニルピロリドンを含有する混合物は、該感圧接着剤中で分散された沈着物を形成し、そして
ここで該ブプレノルフィン塩基含有感圧接着性層は皮膚接触層である。
【0080】
あるいは、本発明の特定の他の実施態様によれば、ブプレノルフィン含有感圧接着性層はさらなる皮膚接触層を含む。
【0081】
本発明の特定の実施態様によれば、TTSは、それに付着されたブプレノルフィン含有自己接着性層構造に加えて、経皮治療システム全体の接着特性を増強させるための、より大きな活性薬剤非含有自己接着性層構造、例えば、周辺接着剤又はオーバーレイ(overlying)接着剤を含む。該活性薬剤非含有自己接着性層構造はバッキング層も含む。特定の実施態様において、このさらなる層はベージュ色に着色される。ポリマーベースの感圧接着剤の活性薬剤非含有感圧接着性層は、例えばポリアクリレート又はポリシロキサンに基づく。該第二の活性薬剤非含有自己接着性層構造の面積は、TTSの全体のサイズを増大させるが、放出面積は増大させない。活性薬剤含有及び活性薬剤非含有自己接着性層構造中の感圧接着剤は、同じでも異なっていてもよい。活性薬剤非含有自己接着性層中の接着剤がブプレノルフィン含有層の接着剤と異なる場合、ポリアクリレートベース又はポリイソブチレンベースの感圧接着剤の群から選択される感圧接着剤を使用することができ、そしてポリアクリレートベースの感圧接着剤、特に、アクリレート−酢酸ビニルポリマーに基づく感圧接着剤、例えば、HenkelからDuro Tak(R)の商品名で入手可能なもの、例えばDuro Tak(R) 387 2051が好ましい。このような感圧接着剤は、酢酸エチル及びヘプタンの有機溶液で提供される。このような感圧接着剤は、20分で少なくとも約20N/25mm、そして24分で少なくとも約25N/25cm、そして1週間で少なくとも約30N/25mmの180°剥離を生じ、そして少なくとも15N/25mm2、又は少なくとも20N/25mm2、又は少なくとも22N/25mm2のループタックを生じる。
【0082】
活性薬剤
本発明に従うTTSは、鎮痛有効量のブプレノルフィン塩基又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含む。薬学的に許容しうる塩は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、マレイナート(maleinate)、シュウ酸塩、酢酸塩及び乳酸塩のような、当該分野で公知のものから選択され得る。本発明の好ましい実施態様によれば、活性薬剤はブプレノルフィン塩基の形態で含まれる。しかし用語ブプレノルフィン塩基は、ブプレノルフィン塩基とブプレノルフィン含有層の他の成分、例えばレブリン酸との間の錯体形成を含む相互作用を排除しない。
【0083】
鎮痛有効量は、ブプレノルフィン塩基約1mg〜約50mg、特に約2mg〜約30mg若しくは等モル量の薬学的に許容しうる塩、又はブプレノルフィン塩基約2mg〜約25mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩で変動し得る。特定の実施態様によれば、TTSは、ブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg、若しくは約3.5mg〜約8mg、若しくは約6.5mg〜約16mg、若しくは約11.5mg〜約24mg、若しくは約15mg〜約32mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を5つ異なる投薬量に従って含有し、又はTTSは、ブプレノルフィン塩基約1mg〜約4.5mg、若しくは約3mg、若しくは約4mg〜約9mg、若しくは約6mg、若しくは約8mg〜約14mg、若しくは約12mg、若しくは約15mg〜約20mg、若しくは約18mg若しくは約20mg〜約28mg、若しくは約24mg、若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を5つ異なる投薬量に従って含有する。さらなる投薬量が、より少ないか又はより多い量、例えば、ブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含有する経皮治療システムにより提供される。
【0084】
感圧接着剤
本発明のために使用される感圧接着剤はポリマーベースの感圧接着剤である。このようなポリマーベースの感圧接着剤は、例えばポリシロキサン又はポリイソブチレンに基づくものであってもよい。本発明には、ポリシロキサンベースの感圧接着剤が好ましい。このようなポリシロキサン接着剤は、他の有機感圧接着剤と異なり、抗酸化剤、安定剤、可塑剤、触媒又は他の潜在的に抽出可能な成分のような添加剤を必要としない。感圧接着剤は、湿った皮膚を含む様々な種類の皮膚に迅速に結合するための適切な粘着(tack)、適切な接着及び粘着(cohesive)性質、7日まで長続きする皮膚への接着、高度な可撓性、湿気に対する透過性、並びに多くの活性剤(actives)及びフィルム基材への適合性を備える。それらが十分なアミン抵抗性を備え、従ってアミンの存在下での増強された安定性を備えるということは可能である。このような感圧接着剤は、シラノール末端ブロックポリジメチルシロキサンのシリカ樹脂との縮合反応により、アミン安定性のために残留シラノール官能基がトリメチルシロキシ基でさらにキャップされているポリシロキサンを製造するレジンイン(resin−in)ポリマーの概念に基づく。ジメチコノール含有量は、粘弾性挙動の粘性成分に寄与し、そして接着剤の湿潤及び伸展特性に影響を及ぼす。樹脂は粘着付与(tackifying)及び強化剤として作用し、弾性成分に参加する。ジメチコノールと樹脂との間の正確なバランスは正確な接着特性を生じる。
【0085】
ポリシロキサンの接着強度は、所望の皮膚接触のために十分であり得る。本発明の特定の実施態様において、可塑剤又は粘着付与剤は、感圧接着性層の接着特性を改善するために処方に組み込まれる。個々の場合において、少量の粘着付与剤、例えばポリテルペン、ロジン誘導体、又はシリコーンオイルを加えることにより粘着を改善することは有利であり得る。好ましい実施態様において、粘着付与剤はシリコーンオイル(例えば、Dow Corning Corporation,Midland,Mich.から入手可能な360 Medical Fluid)である。
【0086】
感圧接着剤は、ヘプタン、酢酸エチル又は揮発性シリコーン溶液のような溶媒中で供給され使用される。本発明にはヘプタンが好ましい。固形物含有量は、通常60と80%との間である。
【0087】
本発明に従ってポリシロキサンに基づく好ましい感圧接着剤は、約150mPa sより大きい、又は約200mPa s〜約700mPa s、特に約350mPa s〜約600mPa s、より好ましくは約480mPa s〜約550mPa s、又は最も好ましくは約500mPa sまたあるいは約400mPa s〜約480mPa s、又は最も好ましくは約450mPa sの、25℃及び60%固形物含有量でヘプタン中での溶液粘度により特徴づけられる。命題(Theses)はまた、約1×109ポアズ未満、又は約1×105〜約9×108ポアズ、又はより好ましくは約1×105〜約1×107ポアズ、又は最も好ましくは約5×106ポアズ、またあるいは、より好ましくは約2×107〜約9×108ポアズ、又は最も好ましくは約1×108ポアズの、0.01rad/sで30℃での複素粘度により特徴づけられ得る。
【0088】
ポリシロキサンに基づく適切な感圧接着剤は、Dow Corning(R) BIO−PSA標準シリコーン接着剤から入手され得る。BIO−PSA 7 4301及びBIO−PSA 7 4201シリコーン接着剤が好ましい。特定の実施態様によれば、BIO−PSA 7 4301が好ましく、そして特定の他の実施態様によれば、BIO−PSA 7 4201が好ましい。過剰なコールドフローを避けるために、BIO−PSA 7 4201が好ましい。BIO−PSA 4201は25℃及びヘプタン中約60%固形物含有量で450mPaの溶液粘度、及び0.01rad/sで30℃にて1×108ポアズの複素粘度を有する。BIO−PSA 4301は、25℃及びヘプタン中約60%固形物含有量で500mPaの溶液粘度、並びに0.01rad/sで30℃にて5×106ポアズの複素粘度を有する。
【0089】
本発明のTTSの感圧接着性層は、上述の成分a)、b)、c)及びd)(すなわち、本明細書に記載される、ポリマーベースの感圧接着剤、ブプレノルフィン、粘性増加物質/ポリビニルピロリドン並びにオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びレブリン酸からなる群より選択されるカルボン酸)に加えて、例えば、可溶化剤、フィラー、粘着付与剤、活性薬剤の浸透性を増加させるという意味で角質層のバリア特性に影響を及ぼす物質、pH調整剤、及び保存料からなる群より選択される他の様々な賦形剤又は添加剤をさらに含み得る。
【0090】
活性薬剤の浸透性を増加させるという意味で角質層のバリア特性に影響を及ぼす物質は当業者に公知であり、そしてそれぞれの活性薬剤に適した物質は、必要である場合、浸透試験を用いて見出されなければならない。いくつかの例は、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールのような多価アルコール;オリーブオイル、スクアレン、及びラノリンのようなオイル;セチルエーテル及びオレイルエーテルのような脂肪エーテル;ミリスチン酸イソプロピルのような脂肪酸エステル;尿素及びアラントインのような尿素誘導体;ジメチルデシルホスホキシド(dimethyldecylphosphoxide)、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミン、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド(dimethylacetonide)、ジメチルスルホキシド、及びデシルメチルスルホキシド、及びジメチルホルムアミドのような極性溶媒;サリチル酸;アミノ酸;ニコチン酸ベンジル;並びにラウリル硫酸塩のような高分子量脂肪族表面活性剤である。他の薬剤としては、オレイン酸及びリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピル、及びパルミチン酸イソプロピルが挙げられる。特定の実施態様(ここで感圧接着性層は、本明細書に記載されるように、a) ポリマーベースの感圧接着剤、b)ブプレノルフィン、c)粘性増加物質/ポリビニルピロリドン及びd)カルボン酸としてレブリン酸又はリノレン酸又は両方の混合物を含む)によれば、本発明のTTSは、活性薬剤浸透性を増加させるという意味で角質層のバリア特性に影響を及ぼす物質としてオレイン酸及びリノール酸をさらに含み得る。
【0091】
前の段落に記載されるような物質は、TTSに含まれていてもよく、そして約1質量%〜約10質量%の量で存在し得る。しかし、本発明の好ましい実施態様において、このようなさらなる物質は、必須ではない。本発明の実施態様によれば、TTSは前の段落において記述されるようなさらなる物質を含まない。
【0092】
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸から選択されるカルボン酸に加えて、薬物の溶解度は、薬物の溶解度を増大させる薬剤を任意で加えることによりさらに変更することができ、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマー及びセルロース誘導体のような、経皮組成物中の薬物結晶化を防止する。
【0093】
シリカゲル、二酸化チタン、及び酸化亜鉛のようなフィラーは、凝集性及び接着強度のような特定の物理的パラメーターに望ましいやり方で影響を及ぼすためにポリマーと併せて使用され得る。
【0094】
さらなる1つ又はそれ以上の抗酸化剤が添加され得る。抗酸化剤は、トコフェロール、そのエステル、例えば酢酸α−トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、又は没食子酸プロピル、好ましくはパルミチン酸アスコルビルからなる群より選択され得る。抗酸化剤は、ブプレノルフィン含有感圧接着性層の約0.01〜約0.5%、例えば、0.05〜0.30、例えば、0.18%又は0.2%の量で都合よく存在し得る。
【0095】
ブプレノルフィン含有自己接着性層構造
本発明によれば、ブプレノルフィン含有自己接着性層構造は、ブプレノルフィン不透過性バッキング層、及びその上にコーティングされたブプレノルフィン含有感圧接着性層を含む。好ましい実施態様において、ブプレノルフィン含有自己接着性層構造はこれら2つの要素からなる。
【0096】
ブプレノルフィン含有感圧接着性層は、好ましくは、約6mg/cm2(約60g/m2)より大きく、若しくは約8mg/cm2(約80g/m2)より大きく、又は約6mg/cm2(約60g/m2)〜約14mg/cm2(約140g/m2)、若しくは約8mg/cm2(約80g/m2)〜約14mg/cm2(約140g/m2)の範囲に及ぶ乾燥質量でコーティングされ得る。詳細には、乾燥質量は、約10mg/cm2(約100g/m2)より大きいか、又は約10mg/cm2(約100g/m2)〜約13mg/cm2(約130g/m2)の範囲に及ぶか、又は約11.5mg/cm2(約115g/m2)〜約12.5mg/cm2(約125g/m2)の範囲に及ぶか、又は詳細には約12mg/cm2(約120g/m2)である。
【0097】
乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層は、好ましくはブプレノルフィン塩基を含有するが、等モル量の薬学的に許容しうる塩を含有し得る。本発明によれば、乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層の総乾燥質量に基づいて、好ましくは5%より多く、若しくは約6%より多く、若しくは約7%より多く、若しくは約8%より多く、若しくは約9%より多く、又は約6%〜約20%、若しくは約7%〜約20%、若しくは約8%〜約20%、若しくは約9%〜約20%、若しくは約6%〜約15%、若しくは約7%〜約15%、若しくは約8〜約15%、若しくは約9〜約15%のブプレノルフィン塩基又は等モル量の薬学的に許容しうる塩が、乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層中に含有される。特定の実施態様において、約10%ブプレノルフィン塩基が乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層中に含有される。
【0098】
好ましくは、TTSは、感圧接着性層中に、約0.55mg/cm2より多く、若しくは約0.6mg/cm2より多く、若しくは約0.7mg/cm2より多く、若しくは約0.8mg/cm2より多く、若しくは約0.9mg/cm2より多く、若しくは約1mg/cm2より多く、若しくは約1.1mg/cm2より多くのブプレノルフィン塩基、又は約0.55mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.6mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.7mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.8mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.9mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約1mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約1.1mg/cm2〜約2mg/cm2のブプレノルフィン塩基を含有し、又は約1.2mg/cm2のブプレノルフィン塩基を含有する。TTSはまた、等モル量の薬学的に許容しうる塩を含有し得る。
【0099】
ブプレノルフィンの所望の送達速度を生じるために、カルボン酸が存在する。カルボン酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、レブリン酸及びそれらの混合物を含むC3〜C24カルボン酸からなる群より選択され得、ここでレブリン酸が好ましい。あるいは、又はさらに、アルコール及びエステルからなる群より選択される物質が存在し得る。ブプレノルフィンは、カルボン酸、例えば、レブリン酸との混合物の状態で、例えば溶解されており、そしてこの混合物、例えば溶液は、マトリックス層中に小さな沈着物、例えば液滴の形態で分散される。その公知の物理化学特性、すなわちその低い溶解性、216℃というその比較的高い融点、及びその高い分子量を有するブプレノルフィンは容易に結晶化する傾向がある。この理由のために、少なくとも1つの酸性基を有する(あるいはアルコール性基又はエステル基を有する)可溶化剤を、ブプレノルフィンが医薬品形態の貯蔵の間に結晶化するのを防ぐために使用する。ブプレノルフィン及びレブリン酸は、ポリシロキサン中で非常に低い溶解度を有する。この結果として、ブプレノルフィンをレブリン酸中で可溶化し、そしてこの混合物を本明細書に記載されるポリシロキサンに基づいて製造されたマトリックス層中の小さいな沈着物(例えば、液滴)の形態で分散させることが可能である。
【0100】
レブリン酸は、接着剤の有機溶媒中に難溶性である。それ故、ブプレノルフィン及びレブリン酸の液体混合物は、分散を溶媒の除去後も保持しながら、接着剤の溶液中に分散され得る。この種のマトリックス層において、ブプレノルフィンの溶解度は実質的にはレブリン酸の量のみに依存する。
【0101】
ブプレノルフィン、例えばブプレノルフィン塩基、及びカルボン酸、例えばレブリン酸の分散混合物の量は、約40質量%までであり得、約25質量%又は約20質量%を超えないことが好ましく、そして約15%〜約25%、又は約15%〜約20%、又は約17%〜約20%の範囲に及ぶ。沈着物、例えば液滴のサイズ(直径)自体は、好ましくは約150μmを超えないべきであり、又は約1〜約150μm、好ましくは約1〜約50μm、又は約5〜約50μm、又は約1〜約25μm又は約5〜約25μmの範囲に及ぶ。好ましいサイズは、さらにマトリックス層の厚さに依存する。
【0102】
カルボン酸、例えばレブリン酸は、同様に皮膚を通して吸収され得るので、TTS中の量は、適用時間が経過するにつれて少なくなり、そしてブプレノルフィンの溶解度の減少に至る。結果として、減少に起因するブプレノルフィンの熱力学的活性の減少は、ブプレノルフィン/レブリン酸沈着物中の減少した薬物溶解度により補われる。
【0103】
本発明によれば、乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層は、乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層の総乾燥質量に基づいて、カルボン酸、例えばレブリン酸を約5%より多く、若しくは約6%より多く、若しくは約7%より多く、若しくは約8%より多く、若しくは約9%より多く、又は約6%〜約20%、若しくは約7%〜約20%、若しくは約8〜約20%、若しくは約9〜約20%、若しくは約5%〜約15%、若しくは約6%〜約15%、若しくは約6%〜約9%、若しくは約9%〜約15%含有する。特定の実施態様において、乾燥ブプレノルフィン含有感圧接着性層は、レブリン酸を約6%〜約11%、又はレブリン酸を約6%〜約9%若しくは約9%〜約15%、又はレブリン酸を約7%、又はレブリン酸を約10%含有する。特定の実施態様によれば、感圧接着性層は、同じ%量のレブリン酸及びブプレノルフィン塩基又は等モル量の薬学的に許容しうる塩を含有する。別の特定の実施態様によれば、感圧接着性層は、それが含有するブプレノルフィン塩基又は等モル量の薬学的に許容しうる塩の%量よりも少ない%量のレブリン酸を含有する。
【0104】
特定の実施態様によれば、感圧接着性層は、総乾燥質量に基づいて、約9%より多く約15%までのブプレノルフィン塩基及び約6%〜約9%レブリン酸又は約9%より多く約15%までのブプレノルフィン塩基及び約9%〜約15%レブリン酸を含有する。
【0105】
特定の実施態様によれば、感圧接着性層は、約10mg/cm2〜約14mg/cm2、若しくは約11.5mg/cm2〜約12.5mg/cm2の乾燥質量でコーティングされ、又は約12mg/cm2であり、そして乾燥感圧接着性層は、約7%〜約13%又は約8%〜約12%、又は約9%〜約11%又は約10%のブプレノルフィン塩基、及び約6%〜約8%、又は約7%レブリン酸を含有する。特定の実施態様において、乾燥感圧接着性層は、約12mg/cm2の乾燥質量を有し、そして約7%のレブリン酸及び約10%のプレノルフィン塩基を含有する。
【0106】
特定の他の実施態様によれば、感圧接着性層は、約10mg/cm2〜約14mg/cm2、若しくは約11.5mg/cm2〜約12.5mg/cm2の乾燥重量でコーティングされ、又は約12mg/cm2であり、そして乾燥感圧接着性層は、約7%〜約13%又は約8%〜約12%、又は約9%〜約11%又は約10%のブプレノルフィン塩基及び約8〜約12%又は約10%レブリン酸を含有する。特定の実施態様において、乾燥感圧接着性層は、約12mg/cm2の乾燥質量を有し、そして約10%レブリン酸及び約10%ブプレノルフィン塩基を含有する。
【0107】
上記によれば、TTSは、約0.55mg/cm2より多く、若しくは約0.6mg/cm2より多く、若しくは約0.7mg/cm2より多く、若しくは約0.8mg/cm2より多く、若しくは約0.9mg/cm2より多く、若しくは約1mg/cm2より多く、若しくは約1.1mg/cm2より多くのブプレノルフィン塩基、又は約0.6mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.7mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.8mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約0.9mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約1mg/cm2〜約2mg/cm2、若しくは約1.1mg/cm2〜約2mg/cm2のブプレノルフィン塩基を含有し、又は約1.2mg/cm2ブプレノルフィン塩基若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含有する。特定の実施態様において、ブプレノルフィン塩基が好ましい。特定の実施態様によれば、感圧接着性層は、同じ量のレブリン酸及びブプレノルフィン塩基を含有する。別の特定の実施態様によれば、感圧接着性層は、それが含有するブプレノルフィン塩基又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩よりも少ないレブリン酸を含有する。
【0108】
本発明の特定の実施態様によれば、ブプレノルフィン含有層中及び活性薬剤非含有層中の感圧接着剤は異なり、そして活性薬剤非含有層中の接着剤はポリアクリレートに基づく感圧接着剤である。特定の他の実施態様によれば、活性薬剤含有層及び活性薬剤非含有層中の接着剤は同じものであり、そしてポリシロキサンに基づくアミン抵抗性感圧接着剤である。特定の実施態様によれば、ポリシロキサンは、シラノール末端ブロック(endblocked)ポリジメチルシロキサンのシリカ樹脂との縮合反応の生成物であり、そして残留シラノール官能基はトリメチルシロキシ基でキャップされ、そして25℃及びヘプタン中約60%固形物含有量での約500mPa s又は約450mPa sの溶液粘度で特徴づけられる。特定の実施態様によれば、ブプレノルフィン含有感圧接着性層は約12mg/cm2の乾燥質量でコーティングされ、そして約10%ブプレノルフィン塩基及び約10%レブリン酸を含有する。
【0109】
特定の実施態様によれば、放出面積は約1cm2〜約38cm2の範囲に及び、又は25cm2未満若しくは22cm2未満であり、又は約1.5〜約25cm2、若しくは約1.5〜約22cm2、若しくは約1.5〜約20cm2の範囲に及び、又は約3cm2、若しくは約6cm2、若しくは約10cm2、若しくは約15cm2若しくは約20cm2である。
【0110】
特定の実施態様によれば、TTSは、ブプレノルフィン塩基約1mg〜約32mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又はブプレノルフィン塩基約1mg〜約28mg、若しくは約2mg〜約25mg、若しくは約2mg〜約24mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含有する。5つの異なる増加する有効成分含量(dosage strengths)を考慮すると、特定の場合におけるTTSは、好ましくは
a) ブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg、若しくは約1mg〜約4.5mg、好ましくは約1mg〜約3.5mg、若しくは約2mg〜約4mg、より好ましくは約1mg〜約3mg、若しくは約2.5mg〜約4mg、若しくは約3mg、若しくは当モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
b) ブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg、若しくは約4mg〜約9mg、好ましくは約3.5mg〜約7mg、若しくは約5mg〜約8mg、より好ましくは約3.5mg〜約6mg、若しくは約5mg〜約7mg、若しくは約6mg、若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
c) ブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg、若しくは約8mg〜約14mg、好ましくは約6.5mg〜約14mg、若しくは約10mg〜約14mg、より好ましくは約6.5mg〜約11mg、若しくは約11mg〜約13mg、若しくは約12mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
d) ブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg、若しくは約15mg〜約20mg、好ましくは約11.5mg〜約21mg、若しくは約16mg〜約19mg、より好ましくは約11.5mg〜約14mg、若しくは約17mg〜約19mg、若しくは約18mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩、又は
e) ブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg、若しくは約20mg〜約28mg、好ましくは約15mg〜約28mg、若しくは約21mg〜約26mg、より好ましくは約15mg〜約24mg、若しくは約22mg〜約25mg、若しくは約24mg、若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩
を含有する。
【0111】
それに応じて、放出面積は、約1cm2〜約38cm2、若しくは1.5cm2〜約24cm2の範囲に及び、又は1.5cm2〜約22cm2の範囲に及び、又は1.5cm2〜約20cm2の範囲に及び、そして5つの特定の好ましい有効成分含有量a)〜e)に関して、
a) 約1cm2〜約4.8cm2、若しくは約1.5cm2〜約5.5cm2、好ましくは約1cm2〜約4.5cm2、若しくは約2cm2〜約4cm2、より好ましくは約2.5cm2〜約4cm2、若しくは約2cm2〜約3cm2の範囲に及び、若しくは約2.5cm2であり、又は
b) 約3cm2〜約9.5cm2、若しくは約3cm2〜約9cm2、好ましくは約3cm2〜約9cm2、若しくは約4.5cm2〜約7.5cm2、より好ましくは約5cm2〜約8cm2、若しくは約4.5cm2〜約6cm2の範囲に及び、又は約5cm2であるか、又は
c) 約6cm2〜約19cm2、若しくは約6cm2〜約14cm2、好ましくは約6cm2〜約18cm2、若しくは約8cm2〜約12cm2、より好ましくは約10cm2〜約16cm2、若しくは約9cm2〜約11cm2の範囲に及ぶか若しくは約10cm2であり、又は
d) 約12cm2〜約28.5cm2、若しくは約13cm2〜約17cm2、好ましくは約12cm2〜約27cm2、若しくは約13cm2〜約16cm2、より好ましくは約17cm2〜約23cm2、若しくは約14cm2〜約16cm2の範囲に及ぶか若しくは約15cm2であり、又は
e) 約16cm2〜約38cm2、若しくは約16cm2〜約24cm2、若しくは好ましくは約16cm2〜約35cm2、若しくは約17cm2〜約22cm2、より好ましくは約23.5cm2〜約32cm2、若しくは約18cm2〜約21cm2の範囲に及ぶか若しくは約20cm2である。
【0112】
含有量(strength)b)とc)との間の有効成分含有量を生じるさらなるTTSは、ブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含有し、そして放出面積は約5cm2〜約14cm2、好ましくは約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ。
このような実施態様において、乾燥感圧接着性層は、好ましくはポリシロキサンに基づく感圧接着剤を含み、そして好ましくは約6mg/cm2、7.5mg/cm2、8mg/cm2、9mg/cm2、10.5mg/cm2、又は12mg/cm2の乾燥質量を有し、そして10%ブプレノルフィン塩基を含有する。
【0113】
特定の好ましい実施態様によれば、TTSは、5つの有効成分含有量a)〜e)に関して、以下の量のブプレノルフィン塩基又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩を含有し、そして以下の範囲に及ぶ対応する放出面積を生じる:
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【表5】
【0119】
含有量b)とc)との間の有効成分含有量を生じるさらなるTTSは、ブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を生じ、そして放出面積は約5cm2〜約14cm2の範囲に及ぶか、又は
ブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩を生じ、そして放出面積は約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ。
【0120】
経皮治療システムのセット
疼痛の処置のために、疼痛を適切に管理するブプレノルフィンの個々の用量に患者を用量設定する必要がある。個々の要件を満たすために、5つの異なる有効成分含有量が本発明に従って提供される。
【0121】
一局面によれば、本発明は、本発明に従う、2つ(第一及び第二、若しくは第二及び第三、若しくは第三及び第四、若しくは第四及び第五のTTS、又は5つの異なる有効成分含有量のうち2つのいずれかの他の組み合わせ)、3つ(第一〜第三、若しくは第二〜第四、若しくは第三〜第五のTTS、又は5つの異なる有効成分含有量のうち3つのいずれかの他の組み合わせ)、4つ(第一〜第四若しくは第二〜第五のTTS、又は5つの異なる有効成分含有量のうち4つのいずれかの他の組み合わせ)又は5つ(第一〜第五のTTS)の異なる経皮治療システムのセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約1cm2〜約4.8cm2、若しくは約1.5cm2〜約5.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg、若しくは約1mg〜約4.5mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9.5cm2又は約3cm2〜約9cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg若しくは約4mg〜約9mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約19cm2若しくは約6cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg若しくは約8mg〜約14mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第四の経皮治療システムは、約12cm2〜約28.5cm2若しくは約13cm2〜約17cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg若しくは約15mg〜約20mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約38cm2若しくは約16cm2〜約24cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg若しくは約20mg〜約28mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有する。この段落に従う2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、上記の5つの異なる経皮治療システムと比較して、より小さな、より大きな若しくは中間の放出面積及びブプレノルフィンの量を生じ得る1つ又はそれ以上のさらなる経皮治療システムにより拡大され、好ましくは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、約5cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有するさらなる経皮治療システムにより拡大され、これは第二の経皮治療システムと第三の経皮治療システムとの間の中間の経皮治療システムを提供する。あるいは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットのうちの1つの経皮治療システムは、このようなさらなる経皮治療システムで置き換えることができる。
【0122】
本発明はまた、経皮治療システムのセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約1cm2〜約4.5cm2、若しくは約2cm2〜約4cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg、若しくは約1mg〜約3.5mg、若しくは約2mg〜約4mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9cm2、若しくは約4.5cm2〜約7.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層
を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg、若しくは約3.5mg〜約7mg、若しくは約5mg〜約8mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約18cm2、若しくは約8cm2〜約12cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg、若しくは約6.5mg〜約14mg、若しくは約10mg〜約14mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第四の経皮治療システムは、約12cm2〜約27cm2、若しくは約13cm2〜約16cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約21mg、若しくは約11.5mg〜約24mg、若しくは約16mg〜約19mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約35cm2、若しくは約17cm2〜約22cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg、若しくは約15mg〜約28mg、若しくは約21mg〜約26mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有する。この段落に従う2〜5つの経皮治療システムのセットは、上記の5つの異なる経皮治療システムと比較して、より小さな、より大きな若しくは中間の放出面積及びブプレノルフィンの量を生じ得る1つ又はそれ以上のさらなる経皮治療システムにより拡大され得、好ましくは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有するさらなる経皮治療システムにより拡大され、これは第二の経皮治療システムと第三の経皮治療システムとの間の中間の経皮治療システムを提供する。あるいは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットのうちの1つの経皮治療システムは、このようなさらなる経皮治療システムで置き換えることができる。
【0123】
本発明はまた、異なる経皮治療システムのセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約2.5cm2〜約4cm2、若しくは約2cm2〜約3cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約3mg、若しくは約2.5mg〜約4mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第二の経皮治療システムは、約5cm2〜約8cm2、若しくは約4.5cm2〜約6cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約6mg、若しくは約5mg〜約7mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第三の経皮治療システムは、約10cm2〜約16cm2、若しくは約9cm2〜約11cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約11mg、若しくは約11mg〜約13m又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第四の経皮治療システムは、約17cm2〜約23cm2、若しくは約14cm2〜約16cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約14mg、若しくは約17mg〜約19mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有し;そして
第五の経皮治療システムは、約23.5cm2〜約32cm2、若しくは約18cm2〜約21cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約24mg、若しくは約22mg〜約25mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有する。この段落に従う2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、上記の5つの異なる経皮治療システムと比較して、より小さな、より大きな若しくは中間の放出面積及びブプレノルフィンの量を生じ得る1つ又はそれ以上のさらなる経皮治療システムにより拡大され得、好ましくは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの前記ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の前記ブプレノルフィンを含有するさらなる経皮治療システムにより拡大され、これは第二の経皮治療システムと第三の経皮治療システムとの間の中間の経皮治療システムを提供する。あるいは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットのうちの1つの経皮治療システムは、このようなさらなる経皮治療システムで置き換えることができる。
【0124】
本発明のさらなる局面において、以前の段落に記載される経皮治療システムのセットから選択される経皮治療システムが提供され、ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、そしてここで
第一の経皮治療システムは、比較臨床試験において試験された場合、約6.25cm2の放出面積を有し、かつ約168時間の投与にわたって約5μg/時間の名目平均放出速度を生じる参照製品と生物学的に同等であり、
第二の経皮治療システムは、比較臨床試験において試験された場合、約12.5cm2の放出面積を有し、かつ約168時間の投与にわたって約10μg/時間の名目平均放出速度を生じる参照製品と生物学的に同等であり、
第三の経皮治療システムは、比較臨床試験において試験された場合、約25cm2の放出面積を有し、かつ約168時間の投与にわたって約20μg/時間の名目平均放出速度を生じる参照製品と生物学的に同等であり、
第四の経皮治療システムは、比較臨床試験において試験された場合、約37.5cm2の放出面積を有し、かつ約168時間の投与にわたって約30μg/時間の名目平均放出速度を生じる参照製品と生物学的に同等であり、
第五の経皮治療システムは、比較臨床試験において試験された場合、約50cm2の放出面積を有し、かつ約168時間の投与にわたって約40μg/時間の名目平均放出速度を生じる参照製品と生物学的に同等であり、
さらなる経皮治療システムは、比較臨床試験において試験された場合、約18.75cm2の放出面積を有し、かつ約168時間の投与にわたって約15μg/時間の名目平均放出速度を生じる参照製品と生物学的に同等であり、
ここで参照製品は、以下の工程により製造される:
1. 2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸の自己架橋アクリレートコポリマーの47.83%ポリアクリレート溶液(溶媒:37:26:26:4:1の比の、酢酸エチル:ヘプタン:イソプロパノール:トルエン:アセチルアセトネート)1,139g、レブリン酸100g、オレイン酸オレイル150g、ポリビニルピロリドン100g、エタノール150g、酢酸エチル200g、及びブプレノルフィン塩基100gを混合して混合物を得る工程;
2. 工程1の混合物を約2時間撹拌し、そして全ての固形物の溶解を視覚的に管理し、一方で酢酸エチルにより可能な溶媒損失を再計量及び補充することにより蒸発損失を管理する工程;
3. その後、乾燥接着性層の単位面積あたりの質量が約80g/m2に達するようなやり方で透明ポリエステルフィルム上に混合物を塗布する工程[ここでポリエステルフィルムは、シリコン処理によって取り外し可能にされており、かつ保護層としての役目を果たす];
4. 加熱された空気を用いて乾燥することにより、該加熱された空気が湿性路(wet lane)上を流れて溶媒の蒸発を生じるが、レブリン酸の溶融及び接着性フィルムのポリエステルフォイルでのコーティングも生じて、工程3における透明ポリエステルフィルム上に塗布された混合物の溶媒を除去する工程;
5. 適切な切削工具を用いてそれぞれ6.25cm2、12.5cm2、18.75cm2、25cm2、37.5cm2及び50cm2の放出面積を穿孔し、そして個々のシステム間に残った縁部を除去する工程。
【0125】
一局面によれば、本発明は、以前の段落で第一の経皮治療システムとして記載された経皮治療システムに関し、ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、そして該システムは、比較臨床試験において試験された場合に、6.25cm2の放出面積を有する市販品BuTrans(R)(Norspan(R)としても知られる)と生物学的に同等である。
【0126】
一局面によれば、本発明は、以前の段落で第二の経皮治療システムとして記載された経皮治療システムに関し、ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、そして該システムは、比較臨床試験において試験された場合に、12.5cm2の放出面積を有する市販品BuTrans(R)(Norspan(R)としても知られる)と生物学的に同等である。
【0127】
一局面によれば、本発明は、以前の段落で第三の経皮治療システムとして記載された経皮治療システムに関し、ここでブプレノルフィンはブプレノルフィン塩基の形態で存在し、そして該システムは、比較臨床試験において試験された場合に、25cm2の放出面積を有する市販品BuTrans(R)(Norspan(R)としても知られる)と生物学的に同等である。
【0128】
一局面によれば、本発明は、以下から選択される、ブプレノルフィンの経皮投与のためのブプレノルフィンを含む経皮治療システムに関する:
約1cm2〜約4.8cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基1mg〜約4mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の該ブプレノルフィンの量を含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約5μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は7,000pg.時間/mlより高い、好ましくは8,000pg.時間/mlより大きい、若しくは7,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまで、若しくは8,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第一の経皮治療システム;
約3cm2〜約9.5cm2の放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約10μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は14,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは16,000pg.時間/mlより大きい、若しくは14,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまで、若しくは16,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第二の経皮治療システム;及び
約6cm2〜約19cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約20μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は28,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは32,000pg.時間/mlより大きい、若しくは28,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまで、若しくは32,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第三の経皮治療システム;及び
約12cm2〜約28.5cm2の範囲の放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約30μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は42,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは48,000pg.時間/mlより大きい、若しくは42,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまで、若しくは48,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第四の経皮治療システム;及び
約16cm2〜約38cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約40μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は62,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは64,000pg.時間/mlより大きい、若しくは62,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまで、若しくは64,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第五の経皮治療システム;及び
約5cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約15μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は22,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは24,000pg.時間/mlより大きい、若しくは22,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまで、若しくは24,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じるさらなる経皮治療システム。
【0129】
一局面によれば、本発明は、以下から選択される、ブプレノルフィンの経皮投与のための、ブプレノルフィンを含む経皮治療システムに関する:
約1cm2〜約4.5cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基1mg〜約4mg、若しくは1mg〜約3.5mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約5μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は7,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは8,000pg.時間/mlより大きい、若しくは7,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまで、若しくは8,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第一の経皮治療システム;
約3cm2〜約9cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg、若しくは約3.5mg〜約7mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約10μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は14,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは16,000pg.時間/mlより大きい、若しくは14,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまで、若しくは16,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第二の経皮治療システム;及び
約6cm2〜約18cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg、若しくは約6.5mg〜約14mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約20μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は28,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは32,000pg.時間/mlより大きい、若しくは28,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまで、若しくは32,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる第三の経皮治療システム;及び
約12cm2〜約27cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg、若しくは約11.5mg〜約21mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約30μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は42,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは48,000pg.時間/mlより大きい、若しくは42,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまで、若しくは48,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第四の経皮治療システム;及び
約16cm2〜約35cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg、若しくは約15mg〜約28mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約40μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は62,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは64,000pg.時間/mlより大きい、若しくは62,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまで、若しくは64,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第五の経皮治療システム;及び
約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約15μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は22,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは24,000pg.時間/mlより大きい、若しくは22,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまで、若しくは24,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、さらなる経皮治療システム。
【0130】
一局面によれば、本発明は、以下から選択される、ブプレノルフィンの経皮投与のための、ブプレノルフィンを含む経皮治療システムに関する:
約2.5cm2〜約4cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基1mg〜約3mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約5μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は7,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは8,000pg.時間/mlより大きい、若しくは7,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまで、若しくは8,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第一の経皮治療システム;
約5cm2〜約8cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約6mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約10μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は14,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは16,000pg.時間/mlより大きい、若しくは14,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまで、若しくは16,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第二の経皮治療システム;及び
約10cm2〜約16cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約11mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約20μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は28,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは32,000pg.時間/mlより大きい、若しくは28,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまで、若しくは32,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第三の経皮治療システム;及び
約17cm2〜約23cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約14mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約30μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は42,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは48,000pg.時間/mlより大きい、若しくは42,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまで、若しくは48,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第四の経皮治療システム;及び
約23.5cm2〜約32cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約24mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約40μg/時間の名目平均放出速度を生じ、かつ/又は62,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは64,000pg.時間/mlより大きい、若しくは62,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまで、若しくは64,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、第五の経皮治療システム;及び
約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ放出面積のサイズを備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ被験体集団への単回用量投与後に約168時間の投与にわたって、約15μg/時間の名目平均放出速を生じ、かつ/又は22,000pg.時間/ml、好ましくは24,000pg.時間/mlより大きい、若しくは22,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまで、若しくは24,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる、さらなる経皮治療システム。
【0131】
放出特徴
本発明によれば、TTSは、ヒト分層皮膚(split thickness skin)を使用して、フランツ型拡散セル(例えば、9mlフランツ型拡散セル)を用いて行われるインビトロ実験により決定される皮膚浸透速度によりさらに特徴づけられる。美容整形からの皮膚(女性乳房、出生日1989)を使用することができる。OECDガイドライン(2004年4月13日採用)に従って、インタクトな表皮を用いて、dermatoneを使用して800μmの厚さに皮膚を準備する。長期の試験(168時間)のため、800μm皮膚を、推奨された200〜400μmの皮膚の代わりに使用する。使用する受容体培地は抗細菌学的薬剤(antibacteriological agent)として0.1%塩分アジド(saline azide)を含むリン酸緩衝液pH 5.5であり、32±1°の温度で使用する。1.163cm2の面積を有する処方例を積層体から打ち抜き、そしてこの例では、市販品Norspan(R)の1.163cm2サンプルに対してそれぞれ試験した。フランツ型セルのアクセプター培地中のブプレノルフィンの濃度を測定する。
【0132】
本発明に従うTTSは、168時間の試験にわたって約1.3μg/cm2−時間より大きい、若しくは約1.5μg/cm2−時間より大きい、若しくは約1.7μg/cm2−時間より大きい平均累積皮膚浸透速度を生じ、又は168時間の試験にわたって約2μg/cm2−時間より大きい、若しくは168時間の試験にわたって約2.5μg/cm2−時間より大きい、若しくは168時間の試験にわたって2.7μg/cm2−時間より大きい、若しくは168時間の試験にわたって約3μg/cm2−時間より大きい平均累積皮膚浸透速度を生じ、又は168時間の試験にわたって約1.3μg/cm2−時間〜約4μg/cm2−時間、若しくは約1.7μg/cm2−時間〜約4μg/cm2−時間、若しくは約2μg/cm2−時間〜約4μg/cm2−時間、若しくは約2.5μg/cm2−時間〜約4μg/cm2−時間、若しくは約2.7μg/cm2−時間〜約4μg/cm2−時間、若しくは約3μg/cm2−時間〜約4μg/cm2−時間の平均累積皮膚浸透速度を生じる。市販品BuTrans(R)は、上記試験において168時間にわたって約1.7μg/cm2−時間の平均累積皮膚浸透速度を生じる。
【0133】
特定の実施態様によれば、TTSは、上述のフランツ型拡散セルにおいて測定して、168時間の期間にわたって約220μg/cm2〜約640μg/cm2、又は168時間の期間にわたって約400μg/cm2〜約640μg/cm2、若しくは約450μg/cm2〜約640μg/cm2、若しくは約500μg/cm2〜約640μg/cm2、若しくは約600μg/cm2〜約640μg/cm2の累積放出を生じる。市販品BuTrans(R)は、上記試験において約250.7μg/cm2の累積放出を生じる。図13に見ることができるように、比較皮膚浸透速度を、20mgブプレノルフィン塩基を含む25cm2 BuTrans(R) TTS及び14cm2の面積を有しかつ12.6mgブプレノルフィン塩基を含む本発明に従う実施例のTTSを使用して測定する。これは約44%の放出面積のサイズ減少及び使用されるブプレノルフィン塩基の量の約50%の減少に相当する。
【0134】
特定の実施態様によれば、TTSは、フランツ型拡散セルにおいて測定して、
最初の8時間に2μg/cm2〜10μg/cm2
8時間〜24時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
24時間〜32時間に20μg/cm2〜80μg/cm2
32時間〜48時間に30μg/cm2〜120μg/cm2
48時間〜72時間に40μg/cm2〜150μg/cm2
72時間〜144時間に100μg/cm2〜300μg/cm2、そして
144時間〜168時間に30μg/cm2〜100μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非累積放出を生じる。
【0135】
特定の実施態様によれば、TTSは、フランツ型拡散セルにおいて測定して、
最初の8時間に2μg/cm2〜6μg/cm2
8時間〜24時間に25μg/cm2〜60μg/cm2
24時間〜32時間に25μg/cm2〜60μg/cm2
32時間〜48時間に40μg/cm2〜100μg/cm2
48時間〜72時間に50μg/cm2〜140μg/cm2
72時間〜144時間に100μg/cm2〜280μg/cm2、そして
144時間〜168時間に30μg/cm2〜100μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非累積放出を生じる。
【0136】
特定の実施態様によれば、TTSは、フランツ型拡散セルにおいて測定して、
最初の8時間に3μg/cm2〜6μg/cm2
8時間〜24時間に30μg/cm2〜50μg/cm2
24時間〜32時間に30μg/cm2〜50μg/cm2
32時間〜48時間に60μg/cm2〜90μg/cm2
48時間〜72時間に100μg/cm2〜130μg/cm2
72時間〜144時間に200μg/cm2〜280μg/cm2、そして
144時間〜168時間に60μg/cm2〜100μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非累積放出を生じる。
【0137】
市販品BuTrans(R)は、同じ設定でフランツ型拡散セルにおいて測定して、
最初の8時間に2.1μg/cm2
8時間〜24時間に25.2μg/cm2
24時間〜32時間に19.4μg/cm2
32時間〜48時間に34.3μg/cm2
48時間〜72時間に48.2μg/cm2
72時間〜144時間に92.7μg/cm2、そして
144時間〜168時間に28.5μg/cm2
のブプレノルフィン塩基の非累積放出を生じる。
【0138】
処置方法/医学的用途
一局面によれば、本発明に従う上で詳細に記載される経皮治療システムは、疼痛を処置する方法における使用のためのものである。該方法は、特に、患者の皮膚上に約168時間(7日又は1週に対応する)TTSを適用することを含む。本発明に従う他の方法によれば、TTSは4日超に相当する約96時間より長く、又は5日に相当する約120時間及び6日に相当する約144時間適用され得る。約168時間の適用が好ましい。
【0139】
一局面によれば、本発明は、異なる有効成分含有量に対応し、かつ約168時間の投与にわたって、異なる名目平均放出速度及び/又は平均放出速度に対応する5つの異なる経皮治療システムのセットが使用される処置方法に関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約1.5cm2〜約5.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4.5mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約2.5〜約7.5μg/時間若しくは約4〜約6μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィン平均放出速度を生じ、かつ/又は約5μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約4mg〜約9mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約8〜約12μg/時間若しくは約9〜約11μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約10μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約8mg〜約14mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約15〜約25μg/時間若しくは約17〜約22μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約20μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第四の経皮治療システムは、約13cm2〜約17cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約20mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約26〜約35μg/時間若しくは約27〜約32μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約30μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約24cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約20mg〜約28mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約36〜約45μg/時間若しくは約38〜約42μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約40μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じる。
【0140】
本発明はまた、経皮治療システムのセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約2cm2〜約4cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約2mg〜約4mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約2.5〜約7.5μg/時間若しくは約4〜約6μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約5μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第二の経皮治療システムは、約4.5cm2〜約7.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5mg〜約8mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約8〜約12μg/時間若しくは約9〜約11μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約10μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第三の経皮治療システムは、約8cm2〜約12cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約10mg〜約14mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約15〜約25μg/時間若しくは約17〜約22μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約20μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第四の経皮治療システムは、約13cm2〜約16cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約16mg〜約19mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約26〜約35μg/時間若しくは約27〜約32μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約30μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第五の経皮治療システムは、約17cm2〜約22cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約21mg〜約26mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約36〜約45μg/時間若しくは約38〜約42μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約40μg/時間の名目平均放出速度を生じる。
【0141】
本発明はまた、異なる経皮治療(therapeutic)のセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約2cm2〜約3cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約2.5mg〜約4mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約2.5〜約7.5μg/時間若しくは約4〜約6μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約5μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第二の経皮治療システムは、約4.5cm2〜約6cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5mg〜約7mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約8〜約12μg/時間若しくは約9〜約11μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約10μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第三の経皮治療システムは、約9cm2〜約11cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11mg〜約13mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約15〜約25μg/時間若しくは約17〜約22μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約20μg/rhのブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第四の経皮治療システムは、約14cm2〜約16cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約17mg〜約19mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約26〜約35μg/時間若しくは約27〜約32μg/時間の範囲に及ぶか、若しくは約30μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ;そして
第五の経皮治療システムは、約18cm2〜約21cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約22mg〜約25mg又は等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、約36〜約45μg/時間若しくは約38〜約42μg/時間の範囲に及ぶブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約40μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じる。
【0142】
一局面によれば、本発明は、患者において疼痛を処置する方法に関し、ここで該患者は、異なる有効成分含有量に対応し、かつ約168時間の投与が使用される間にわたる異なる平均放出速度及び/若しくは平均放出速度に対応する、2つ(第一及び第二、若しくは第二及び第三、若しくは第三及び第四、若しくは第四及び第五のTTS、又は5つの異なる有効成分含有量のうちの2つのいずれか他の組み合わせ)、3つ(第一〜第三、若しくは第二〜第四、若しくは第三〜第五のTTS、又は5つの異なる有効成分含有量のうちの3つのいずれか他の組み合わせ)、4つ(第一〜第四若しくは第二〜第五のTTS、又は5つの異なる有効成分含有量のうちの4つのいずれか他の組み合わせ)又は5つ(第一〜第五のTTS)の異なる経皮治療システムのセットから適切に選択された1つのTTSで処置され、ここで:
第一の経皮治療システムは、約1cm2〜約4.8cm2の範囲にわたる放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約2μg/時間、若しくは約2.5〜約7.5μg/時間若しくは約4〜約6μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約5μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約6μg/時間、若しくは約8〜約12μg/時間若しくは約9〜約11μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約10μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約19cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約11μg/時間、若しくは約15〜約25μg/時間若しくは少なくとも約16μg/時間若しくは約17〜約22μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約20μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第四の経皮治療システムは、約12cm2〜約28.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約21μg/時間、若しくは約26〜約35μg/時間若しくは約27〜約32μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約30μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約38cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg若しくは当モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約31μg/時間、若しくは約36〜約45μg/時間若しくは約38〜約42μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約40μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じる。この段落に従う2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、約5cm2〜約14cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約11μg/時間、若しくは約12〜約18μg/時間若しくは約13.5〜約16.5μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約15μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じるさらなる経皮治療システムにより拡大され得る。あるいは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットの経皮治療システムは、上記経皮治療システムにより置き換えられ得る。
【0143】
本発明はまた、経皮治療システムのセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約1cm2〜約4.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約4mg、若しくは約1mg〜約3.5mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約2μg/時間、若しくは約2.5〜約7.5μg/時間若しくは約4〜約6μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約5μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第二の経皮治療システムは、約3cm2〜約9cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約8mg、若しくは約3.5mg〜約7mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約6μg/時間、若しくは約8〜約12μg/時間若しくは約9〜約11μg/時間の平均放出速度を生じ、かつ/又は約10μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第三の経皮治療システムは、約6cm2〜約18cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約16mg、若しくは約6.5mg〜約14mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約11μg/時間、若しくは約15〜約25μg/時間若しくは少なくとも約16μg/時間、約17〜約22μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約20μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第四の経皮治療システムは、約12cm2〜約27cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約24mg、若しくは約11.5mg〜約21mg若しくは当モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約21μg/時間、若しくは約26〜約35μg/時間若しくは約27〜約32μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約30μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第五の経皮治療システムは、約16cm2〜約35cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約32mg、若しくは約15mg〜約28mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約31μg/時間、若しくは約36〜約45μg/時間若しくは約38〜約42μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約40μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じる。この段落に従う2〜5つの異なる経皮治療システムのセットは、約5cm2〜約13.5cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約5.5mg〜約13mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約11μg/時間、若しくは約12〜約18μg/時間若しくは約13.5〜約16.5μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約15μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じるさらなる経皮治療システムにより拡大され得る。あるいは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットうちの経皮治療システムの1つは、上記経皮治療システムにより置き換えられ得る。あるいは、2〜5つの異なる経皮治療システムのセットのうちの1つの経皮治療システムは、上記経皮治療システムにより置き換えられ得る。
【0144】
本発明はまた、異なる経皮治療(transdermal therapeutic)のセットに関し、ここで:
第一の経皮治療システムは、約2.5cm2〜約4cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約1mg〜約3mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約2μg/時間、若しくは約2.5〜約7.5μg/時間若しくは約4〜約6μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約5μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第二の経皮治療システムは、約5cm2〜約8cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約3.5mg〜約6mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約6μg/時間、若しくは約8〜約12μg/時間若しくは約9〜約11μg/時間の平均放出速度を生じ、かつ/又は約10μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第三の経皮治療システムは、約10cm2〜約16cm2の放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約6.5mg〜約11mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約11μg/時間、若しくは約15〜約25μg/時間若しくは約17〜約22μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約20μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第四の経皮治療システムは、約17cm2〜約23cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約11.5mg〜約14mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約21μg/時間、若しくは約26〜約35μg/時間若しくは約27〜約32μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約30μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じ;そして
第五の経皮治療システムは、約23.5cm2〜約32cm2の範囲に及ぶ放出面積を生じるサイズの該ブプレノルフィン含有感圧接着性層を備え、かつブプレノルフィン塩基約15mg〜約24mg若しくは等モル量のその薬学的に許容しうる塩の量の該ブプレノルフィンを含有し、かつ約168時間の投与にわたって、少なくとも約31μg/時間、若しくは約36〜約45μg/時間若しくは約38〜約42μg/時間のブプレノルフィンの平均放出速度を生じ、かつ/又は約40μg/時間のブプレノルフィンの名目平均放出速度を生じる。
【0145】
一局面によれば、本発明は、患者において疼痛を処置する方法に関し、ここで患者は、以前の段落に記載される異なる経皮治療システムのセットから適切に選択されたTTSで処置され、ここで:
第一の経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、7,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは8,000pg.時間/mlより大きい、若しくは7,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまで、若しくは8,000pg.時間/mlより大きく約16,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じ;そして
第二の経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、14,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは16,000pg.時間/mlより大きい、若しくは14,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまで、若しくは16,000pg.時間/mlより大きく約32,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じ;そして
第三の経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、28,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは32,000pg.時間/mlより大きい、若しくは28,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまで、若しくは32,000pg.時間/mlより大きく約64,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じ;そして
第四の経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、42,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは48,000pg.時間/mlより大きい、若しくは42,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまで、若しくは48,000pg.時間/mlより大きく約96,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じ;そして
第五の経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、62,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは64,000pg.時間/mlより大きい、若しくは62,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまで、若しくは64,000pg.時間/mlより大きく約128,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じ;そして
さらなる経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、22,000pg.時間/mlより大きい、好ましくは24,000pg.時間/mlより大きい、若しくは22,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまで、若しくは24,000pg.時間/mlより大きく約48,000pg.時間/mlまでの平均AUCtを生じる。
【0146】
一局面によれば、本発明は、以前の段落に記載される処置方法に関し、ここで経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、1,700pg.時間/ml−cm2より大きい、若しくは1,900pg.時間/ml−cm2より大きい、若しくは2,300pg.時間/ml−cm2より大きい放出面積あたりの平均AUCtを生じ、又は被験体集団への単回用量投与後の約168時間の投与にわたって、1,700pg.時間/ml−cm2より大きく約5,000pg.時間/ml−cm2まで、若しくは1,900pg.時間/ml−cm2より大きく約5,000pg.時間/ml−cm2まで、若しくは2,300pg.時間/ml−cm2より大きく約5,000pg.時間/ml−cm2までの放出面積あたりの平均AUCtを生じる。
【0147】
一局面によれば、本発明は、以前の段落に記載される処置方法に関し、ここで経皮治療システムは、被験体集団への単回用量投与後、約60時間〜約120時間、好ましくは約66時間から108時間未満、又は約72時間〜約96時間の算術平均tmaxを生じる。
【0148】
製造方法
1つのさらなる局面によれば、本発明は、ブプレノルフィンの経皮投与のための経皮治療システムの製造方法に関し、該方法は、
1. a) ブプレノルフィン塩基又はその薬学的に許容しうる塩、
b) カルボン酸(例えば、レブリン酸)、
c) 粘性増加剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、
d) ポリマーベースの感圧接着剤、及び
e) 溶媒(例えば、ヘプタン及びエタノール)
を含むブプレノルフィン含有接着性混合物を供給する工程;
2. 0時間と6日との間、該混合物を貯蔵する工程;
3. 該ブプレノルフィン含有接着性混合物を、例えば少なくとも1000rpmの均質化速度で(例えばBECOMIX RW 30 Exを用いて)均質化する工程;
4. 0時間と6日との間、該均質化された混合物を貯蔵する工程、
5. 該均質化されたブプレノルフィン含有接着性混合物を、所望のコーティング乾燥質量を生じる量でローラー塗装機を使用してフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にコーティングする工程、
6. 該コーティングされたブプレノルフィン含有接着性混合物を乾燥して、所望のコーティング乾燥質量を有するブプレノルフィン含有接着性層を得る工程、
7. 場合により、該ブプレノルフィン含有接着性層をバッキング層(例えば、3MからのScotchpak 1220)に積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得る工程、
8. 場合により、所望の放出面積を有するブプレノルフィン含有自己接着性層構造から個々のシステムを打ち抜く工程、及び
9. 場合により、バッキング層及び活性薬剤非含有感圧接着性層も含み、かつブプレノルフィン含有自己接着性層構造の個々のシステムより大きい活性非含有自己接着性層構造を個々のシステムに接着させる工程
を含む。
【0149】
上記製造方法の工程1において、好ましくはブプレノルフィン塩基、レブリン酸及びポリビニルピロリドンを使用し、そしてエタノールに溶解して、その後、ヘプタン中のポリシロキサンに基づくポリマーベースの感圧接着剤中に懸濁して、ブプレノルフィン含有接着性混合物又はエマルションを得る。
【0150】
均質化により均質な混合物が得られ、これはより狭い沈着物サイズ分布を得るために役立つ。沈着物中の粘性増加物質と組み合わせて、沈着物のサイズ及びサイズ分布は、均質化とコーティングとの間の時間、及びコーティングの間変わらないままである。特に、この方法は市販品スケールに適している。
【0151】
例えば少なくとも1000rpmの均質化速度は、ホモジナイザー、例えば、動静翼(rotor−stator)ホモジナイザー(例えば、BECOMIX RW 30 Ex)を用いて適用され得る。本発明の特定の実施態様において、均質化速度は約1500rpm〜約3800rpm、又は約1500rpm〜約3000rpmである。好ましい均質化速度は約2000rpmである。
【実施例】
【0152】
本発明はここで添付の実施例を参照してより完全に記載される。しかし、当然のことながら、以下の記載は説明のためのみであり、いかなるようにも本発明の限定として解釈されるべきではない。
【0153】
比較例1
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成を以下の表1にまとめる。
【0154】
【表6】
【0155】
適切な容器中で、ブプレノルフィン7.00gを、ブプレノルフィンが完全に溶解してブプレノルフィン溶液を形成するまで撹拌することにより、レブリン酸4.90g、エタノール3.80g及びパルミチン酸アスコルビル0.175g中に溶解した。73質量%の固形物含有量を有するn−ヘプタン中の溶液の形態のポリシロキサン接着剤79.57g及びヘプタン4.56gを加えた。この混合物を撹拌して、ブプレノルフィン7%、固形物含有量70%を有するブプレノルフィン含有接着性混合物100.01gを得た(ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物)。
【0156】
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、ブプレノルフィン含有混合物が完成した後24時間未満内にポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にErichsen塗装機を使用してコーティングし、そして溶媒を約50℃で約8分間乾燥することにより除去した。
【0157】
溶媒の除去が約120g/m2のマトリックス層のコーティング質量を生じるようにコーティング厚さを選択した。これにより、このマトリックス層中10質量%のブプレノルフィン塩基、及び7質量%のレブリン酸が得られた。乾燥したフィルムをバッキング層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フォイル19μm)と積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得た。
【0158】
マトリックス層の顕微鏡画像を、Nikon S/N 237789顕微鏡を使用して撮影した。図1は実施例1のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
【0159】
比較例2
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成を以下の表2にまとめる。
【0160】
【表7】
【0161】
ステンレス鋼の容器中で、ブプレノルフィン1.890kgを、ブプレノルフィンが完全に溶解されるまで撹拌することによりレブリン酸1.323kg及びエタノール0.945kg中に溶解した。撹拌しながら、73質量%の固形物含有量を有するn−ヘプタン中の溶液の形態のポリシロキサン接着剤21.489kg及びヘプタン1.353kgを加えた。この混合物を撹拌して、ブプレノルフィン7%、固形物含有量70%を有するブプレノルフィン含有接着性混合物27kgを得た(ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物)。
【0162】
24時間以内に、ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、トンネル乾燥機、いくつかの乾燥セクション、巻き戻し(unwinding)及び積層ステーションを含むパイロットプラントローラー塗装機を使用して、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にコーティングした。約30〜50℃で乾燥することにより溶媒を除去した。マトリックス層は約8分の時点でトンネル乾燥機内に残ったままであった。溶媒の除去により、120g/m2のマトリックス層のコーティング質量を生じるようにコーティング厚さを選択した。これにより、このマトリックス層においてブプレノルフィン塩基10質量%及びレブリン酸7質量%という結果となった。乾燥したフィルムをバッキング層(例えば:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム 19μm)と積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得た。
【0163】
次いで個々のシステム(TTS)をブプレノルフィン含有自己接着性層構造から打ち抜いた。
【0164】
特定の実施態様において、上記のTTSは、好ましくは丸みを帯びた角を有し、活性成分を含有しない感圧接着性層を含む、より大きな表面積のさらなる自己接着性層を備えることができ、そして好ましくはベージュに着色されたバッキング層(オーバーテープ)を有する。これは、TTSが、その物理的特性のみに基いて、皮膚に十分に接着しない場合、及び/又はブプレノルフィン含有マトリックス層が、無駄を避ける目的のために、目立つ(pronounced)角(四角又は長方形の形状)を有する場合に、有利である。次いで、TTSを含めてオーバーテープを、オーバーテープを打ち抜くことによってのみ打ち抜き、そして一次包装材の袋に密封した。
【0165】
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像及びマトリックス層の顕微鏡画像を、Nikon S/N 237789顕微鏡を使用して撮影した。図2Aは比較例2のブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像を示し、そして図2Bは比較例2のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
【0166】
実施例3
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成を以下の表3にまとめる。
【0167】
【表8】
【0168】
適切な容器中で、ポリビニルピロリドン37.86g及びエタノール113.57gを溶解して25%PVP前溶液(pre−solution)を形成した。所定量のPVP前溶液、レブリン酸及びパルミチン酸アスコルビルを撹拌しながら懸濁し、その後、エタノール及びブプレノルフィンの残りの部分を加えて、溶液が形成されるまで撹拌することによりブプレノルフィン含有溶液を形成した。固形物含有量73質量%を有するn−ヘプタン中の溶液の形態のポリシロキサン接着剤82.50g及びヘプタン1.74gを加えた。この混合物を撹拌して、ブプレノルフィン6.8%、固形物含有量68%を有するブプレノルフィン含有接着性混合物109.67gを得た(ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物)。
【0169】
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、ブプレノルフィン含有混合物の完成後24時間未満内に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にErichsen塗装機を使用してコーティングし、そして最初の段階で室温で約10分間乾燥し、続いて60℃で約10分間第二の乾燥工程を行うことにより溶媒を除去した。
【0170】
溶媒の除去により約120g/m2のマトリックス層のコーティング質量を生じるようにコーティング厚さを選択した。これにより、このマトリックス層においてブプレノルフィン塩基10質量%、レブリン酸7質量%及びポリビニルピロリドン2.5質量%という結果となった。乾燥したフィルムをバッキング層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フォイル19μm)と積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得た。
【0171】
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像及びマトリックス層の顕微鏡画像を、Nikon S/N 237789顕微鏡を使用して撮影した。図3は、実施例3のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。図3Aは、実施例3のブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像を示し、そして図3Bは、実施例3のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
【0172】
実施例4
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成を以下の表4にまとめる。
【0173】
【表9】
【0174】
10l容器中で、ポリビニルピロリドン1.00kg及びエタノール3.00gを溶解して25% PVP前溶液を形成した。均質化/混合容器:Becomix LabミキサーRW 30 Exにおいて、PVP前溶液1.368kg、レブリン酸0.958kg、パルミチン酸アスコルビル0.027kg及びエタノール0.912kgの主要部分を撹拌することにより懸濁した。所定量のブプレノルフィンを秤量し、そして均質化/混合容器に加え、続いてエタノールの残りの部分でブプレノルフィンのために使用した秤量容器をすすいだ。この混合物を、ブプレノルフィン含有溶液が形成されるまで少なくとも1時間撹拌下に維持した。固形物含有量73質量%を有するn−ヘプタン中の溶液の形態のポリシロキサン接着剤15.048kg及びn−ヘプタン0.319kgを混合/均質化容器に加えた。この混合物を、ブプレノルフィン6.8%、固形物含有量68%を有するブプレノルフィン含有接着性混合物(ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物)が形成されるまで少なくとも2時間撹拌した。
【0175】
24時間以内に、ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、トンネル乾燥機、いくつかの乾燥セクション、巻き戻し及び積層ステーションを含むパイロットプラントローラー塗装機を使用して、ポリエチレンテレフタレートフォイル(例えば、3MからのScotchpak)上にコーティングした。溶媒を約30〜50℃で乾燥することにより除去した。マトリックス層は約8分の時点でトンネル乾燥機内に残っていた。溶媒の除去により120g/m2のマトリックス層のコーティング質量が生じるようにコーティング厚さを選択した。このマトリックス層においてブプレノルフィン塩基10質量%及びレブリン酸7質量%及びポリビニルピロリドン2.5質量%という結果となった。乾燥したフィルムをバッキング層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フォイル19μm)と積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得た。
【0176】
次いで個々のシステム(TTS)をブプレノルフィン含有自己接着性層構造から打ち抜いた。
【0177】
特定の実施態様において、上記のTTSは、好ましくは丸みを帯びた角を有し、活性成分を含有しない感圧接着性層を含む、より大きな表面積のさらなる自己接着性層を備えることができ、そして好ましくはベージュに着色されたバッキング層(オーバーテープ)を有する。これは、TTSが、その物理的特性のみに基いて、皮膚に十分に接着しない場合、及び/又はブプレノルフィン含有マトリックス層が、無駄を避ける目的のために、目立つ角(四角又は長方形の形状)を有する場合に、有利である。
【0178】
次いでTTSを含めてオーバーテープをオーバーテープを打ち抜くことのみにより打ち抜いて、一次包装材の袋に密封した。
【0179】
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像及びマトリックス層の顕微鏡画像を、Nikon S/N 237789顕微鏡を使用して撮影した。図4Aは、実施例4のブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の顕微鏡画像を示し、そして図4Bは、実施例4のマトリックス層の顕微鏡画像を示す。
【0180】
実施例5
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成及び製造方法は実施例4に記載のとおりであった。ブプレノルフィン含有混合物を形成する混合工程の後、ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にコーティングする前に、2000rpm〜2500rpmの均質化速度でさらに均質化した。
【0181】
実施例5において、マトリックス層の2つの異なるコーティング質量を有するフィルムを準備した:
【0182】
【表10】
【0183】
実施例6
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成を以下の表6にまとめる。
【0184】
【表11】
【0185】
10l容器中で、ポリビニルピロリドン1.00kg及びエタノール3.00gを溶解して25%PVP前溶液を形成した。均質化/混合容器:Becomix LabミキサーRW 30 Exにおいて、PVP前溶液0.716kg、レブリン酸1.002kg、パルミチン酸アスコルビル0.029kg及びエタノール0.478kgの主要部分を、撹拌することにより懸濁した。所定量のブプレノルフィンを秤量して均質化/混合容器に加え、続いてエタノールの残りの部分でブプレノルフィンのために使用した秤量容器をすすいだ。この混合物を、ブプレノルフィン含有溶液が形成されるまで少なくとも1時間撹拌下に維持した。固形物含有量73質量%を有するn−ヘプタン中の溶液の形態のポリシロキサン接着剤15.997kg及びn−ヘプタン0.346kgを混合/均質化容器に加えた。この混合物を、ブプレノルフィン7.2%、固形物含有量72%を有するブプレノルフィン含有接着性混合物(ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物)が形成されるまで少なくとも2時間撹拌した。
【0186】
24時間以内に、ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、トンネル乾燥機、いくつかの乾燥セクション、巻き戻し及び積層ステーションを含むパイロットプラントローラー塗装機を使用して、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にコーティングした。約30〜50℃で乾燥することにより溶媒を除去した。約8分の時点でマトリックス層はトンネル乾燥機内に残っていた。溶媒の除去により120g/m2の特定のコーティング質量が生じるようにコーティング厚さを選択した。
【0187】
これにより、このマトリックス層において、ブプレノルフィン塩基10質量%、レブリン酸7質量%、及びポリビニルピロリドン1.25質量%という結果となった。乾燥したフィルムをバッキング層(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フォイル19μm)と積層してブプレノルフィン含有自己接着性層構造を得た。
【0188】
次いで、個々のシステム(TTS)をブプレノルフィン含有自己接着性層構造から打ち抜いた。特定の実施態様において、上記のTTSは、好ましくは丸みを帯びた角を有し、活性成分を含有しない感圧接着性マトリックス層を含む、より大きな表面積のさらなる自己接着性層を備えていてもよく、そして好ましくは皮膚の色をしたバッキング層を有する。これは、TTSが、その物理的特性のみに基いて、皮膚に十分に接着しない場合、及び/又はブプレノルフィン含有マトリックス層が、無駄を避ける目的のために、目立つ角(四角又は長方形の形状)を有する場合に、有利である。
【0189】
次いでTTSを含めてオーバーテープを、オーバーテープを打ち抜くことのみによって打ち抜き、そして一次包装材の袋に密封した。
【0190】
実施例7
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成及び製造方法は実施例6に記載されるとおりであった。ブプレノルフィン含有混合物を形成する混合工程の後、ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にコーティングする前に2000rpm〜2500rpmの均質化速度でさらに均質化した。
【0191】
実施例7において、マトリックス層の2つの異なるコーティング質量を有するフィルムを準備した:
【0192】
【表12】
【0193】
実施例8
ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物の組成及び製造方法は実施例6に記載されるとおりであった。ブプレノルフィン含有混合物を形成する混合工程後、ブプレノルフィン塩基含有接着性混合物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、3MからのScotchpak)上にコーティングする前に、3500rpm−4000rpmの均質化速度でさらに均質化した。
【0194】
実施例9
実施例9において、比較例1及び2、並びに実施例3及び4のインビトロ溶解を欧州薬局方/米国薬局方の回転シリンダー装置を使用して決定した。TTSの裏部を両面接着テープを使用してシリンダー要素に固定した。剥離ライナーを除去した後、シリンダーを溶出溶媒(600ml、脱気0.9%塩化ナトリウム溶液、32℃)中に下ろし、そして50rpmで回転させた。0.5、2、8(又は5)及び24時間の時点で、4mlサンプルを取り出し、そして逆相HPLC法により55:45%体積/体積アセトニトリル:0.05Mリン酸二水素カリウム(pH3.5に調整)の移動相及び220nmでのUV検出を使用して分析した。結果を表8及び図5〜8に示す。
【0195】
【表13】
【0196】
実施例10
実施例10において、比較例1及び2並びにNorspan(R)のインビトロ皮膚浸透速度を、9mlフランツ型拡散セルを用いて行われたOECDガイドライン(2004年4月13日採用)に従うインビトロ実験により決定した。美容整形からのヒト分層皮膚(女性乳房、出生日1987)を使用した。全ての実施例、比較例1及び2並びに市販品Norspan(R)についてインタクトな表皮を用いて、dermatoneを使用して800μmの厚さに皮膚を準備した。1.163cm2の面積を有するダイカットを比較例1及び2から打ち抜き、そしてそれぞれを市販品Norspan(R)のダイカットに対して試験した。フランツ型セルの受容体培地(receptor medium)(抗細菌学的薬剤として0.1%塩分アジド(saline azide)を含むリン酸緩衝液pH5.5)中の32±1℃でのブプレノルフィンの濃度を測定した。結果を表9.1〜9.4及び図9に示す。
【0197】
【表14】
【0198】
【表15】
【0199】
【表16】
【0200】
【表17】
【0201】
実施例11
実施例11において、実施例5〜8及びBuTrans(R)のインビトロ皮膚浸透速度を、9mlフランツ型拡散セルを用いて行われたOECDガイドライン(2004年4月13日採用)に従うインビトロ実験により決定した。美容整形からのヒト分層皮膚(腹部領域からの女性サンプル、出生日1983)を使用した。全ての実施例5〜8及び市販品BuTrans(R)についてインタクトな表皮を用いて、dermatoneを使用して800μmの厚さに皮膚を準備した。1.163cm2の面積を有するダイカットを実施例5〜8から打ち抜き、そしてそれぞれを市販品BuTrans(R)のダイカットに対して試験した。フランツ型セルの受容体培地(receptor medium)(抗細菌学的薬剤として0.1%塩分アジド(saline azide)を含むリン酸緩衝液pH5.5)中の32±1℃でのブプレノルフィンの濃度を測定した。結果を表10.1〜10.7及び図10〜13に示す。
【0202】
【表18】
【0203】
【表19】
【0204】
【表20】
【0205】
【表21】
【0206】
【表22】
【0207】
【表23】
【0208】
【表24】
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13