特許第6559138号(P6559138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559138ターボ機械の構成要素または一群の構成要素、および関連するターボ機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559138
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ターボ機械の構成要素または一群の構成要素、および関連するターボ機械
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/32 20060101AFI20190805BHJP
   F01D 5/14 20060101ALI20190805BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   F04D29/32 G
   F04D29/32 C
   F01D5/14
   F01D9/02 101
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-541046(P2016-541046)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-500487(P2017-500487A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】FR2014053437
(87)【国際公開番号】WO2015092306
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月15日
(31)【優先権主張番号】1362927
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マニエール,ビアニー・クリストフ・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ボルブレグト,マチュー・ジャン・リュック
(72)【発明者】
【氏名】ルーピィ,ガエタン・ジャン・マリー
(72)【発明者】
【氏名】モークレール,ポール・アンリ・ジョセフ
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−248402(JP,A)
【文献】 特開平04−262100(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01927723(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/32
F01D 5/14
F01D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1および第2の翼(3I、3E)と翼(3I、3E)が延びてゆくプラットフォーム(2)とを備えるターボ機械の部品(1)または一組の部品であって、プラットフォーム(2)は、第1翼(3I)の腹面と第2翼(3E)の背面との間に、各翼(3I、3E)の前縁(BA)の下流に延びる実質的に三角形の断面を有する複数のフィン(4)を画定する非軸対称形表面(S)を有し、各フィン(4)は、
‐前方位置が、翼(3I、3E)の前縁(BA)から後縁(BF)まで延びる翼(3I、3E)の弦の相対的長さの5%から35%の間に位置付けられるように、かつ
‐フィン(4)が第2翼(3E)の背面から離れる程、前記フィン(4)の前方位置は翼(3I、3E)の前縁(BA)から軸方向に離れるように、
フィン(4)が間に延びる表面(S)上の前方位置と後方位置とに関連付けられることを特徴とする、ターボ機械の部品(1)または一組の部品。
【請求項2】
各フィン(4)が、第1翼(3I)の腹面と第2翼(3E)の背面との間の距離の5%から20%の間から成る幅を有する、請求項1に記載の部品または一組の部品。
【請求項3】
各フィン(4)が0.3から1.3の間から成る高さ対幅の比率を有する、請求項1から2のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項4】
各フィン(4)が1mmから25mmの間から成る高さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項5】
各フィン(4)が、フィン(4)に沿って前方位置から後方位置に拡大する高さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項6】
各フィン(4)が第1および第2翼(3I、3E)の中央キャンバ線に対応するトラックを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項7】
各フィン(4)に関連付けられた後方位置が前記翼弦(3I、3E)の相対長さの50%から105%の間に位置付けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項8】
各フィン(4)に関連付けられた前方および後方位置がそれぞれ、第1翼(3I)の腹面と第2翼(3E)の背面との間の距離の10%から55%の間から成る距離を第2翼(3E)の背面から隔てて位置付けられる、請求項7に記載の部品または一組の部品。
【請求項9】
表面(S)が並んだ2つまたは3つのフィン(4)を画定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項10】
プラットフォーム(2)が、第1翼(3I)が延びてゆく第1プラットフォーム部位(2I)と第2翼(3E)が延びてゆく第2プラットフォーム部位(2E)とを備え、前記第1と第2のプラットフォーム部位(2I、2E)の間の連結部がフィン(4)を形成する、請求項1から9のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項11】
表面(S)が第1および第2端面(PS、PR)によって限定され、表面(S)は少なくとも1つのクラスC構造曲線(PC)において、それぞれが、各フィン(4)の前方位置と後方位置の間に位置決めされた端面(PS、PR)と実質的に平行な面に沿った第1翼(3I)の腹面と第2翼(3E)の背面との間の位置に応じて前記表面(S)の半径の値を表すクラスC構造曲線によって画定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項12】
各構造曲線(PC)が、データ処理手段によって、
(a)構造曲線(PC)を、第1翼(3I)の腹面と第2翼(3E)の背面との間の位置に応じて前記表面(S)の半径の値を表すクラスC曲線としてパラメータ化するステップにおいて、曲線は、
‐前記表面(S)が間に延びる2つの翼(3I、3E)の1つ1つの上にそれぞれがある2つの端制御点と、
‐端制御点同士間に位置付けられた少なくとも1つの中間制御点と、
‐少なくとも1つのスプラインと
によって画定され、
パラメータ化は少なくとも1つの制御点を定める1つまたは複数のパラメータによって実施されるステップと、
(b)前記曲線の前記パラメータの最適値を決定するステップと、を実施することによってモデル化されている、請求項11に記載の部品または一組の部品。
【請求項13】
プラットフォーム(2)が、複数の翼(3I、3E)が規則的に沿って位置決めされる環状形状を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の部品または一組の部品。
【請求項14】
プラットフォーム(2)が、連続した各対の翼(3I、3E)の間に同じ非軸対称表面(S)を有する、請求項13に記載の部品または一組の部品。
【請求項15】
翼付きディスクまたは圧縮機ステータ段である、請求項14に記載の部品または一組の部品。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の部品(1)または一組の部品を備えるターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翼と非軸対称形の表面を有するプラットフォームとを備えるターボ機械の部品に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の性能を常に向上させなくてはならないという必要性、とりわけ航空機装置、例えばターボジェットのロータ(即ち図1で示されるような半径方向に延びる羽根が取り付けられたハブによって形成されるアセンブリ)などの性能を常に向上させなくてはならないという必要性は、現在、コンピュータによるモデル作成ツールを使用することを余儀なくされている。
【0003】
これらのツールは、多数のシミュレーション計算を実行することによって、それらのある種の特徴を自動的に最適化することによって部品設計に役立っている。
【0004】
ロータまたはステータの幾何学的空気力学的および/または音響学的最適性を追求することによって現在、脈、即ち流体が流れる羽根同士間の一組の流路(言い換えれば羽根間セクション)で、局部的に非軸対称形の壁(即ち、回転軸に垂直な平面の断面は円形ではない)を有するハブの実現をもたらしている。そのことはそこで優勢な特定の状況を反映している。非軸対称形の脈は、3次元空間の一般的に環状の表面を画定する(ハブの「スライス」)。
【0005】
しかし、特にターボ機械の圧縮機段では、これらの幾何形状は尚も改良されることが可能であると認められている。実際、翼/壁の連結部は依然として二次流の(したがって圧縮機段内の大量損失の)部位のままであるが、それは、大きな境界層が圧縮機の上流から発達する壁の近接性と、翼の背面から隣接する翼の腹面に確立された圧力勾配とに起因する。
【0006】
これらの要素の組み合わせは、各翼の背面上に低エネルギー状態で流体の湧昇を発生させ、大きな渦という形で風下に顕在化され、それは損失の源である。壁付近には過度の偏向、上には縮小された偏向も観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
装置の効率に関して性能を向上させるように、しかし操作性も機械的強度も低下させずにこれらの問題を正すことを可能にする新たな幾何形状を利用可能にすることができれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このように本発明は、少なくとも第1および第2の翼と翼が延びてゆくプラットフォームとを備えるターボ機械の部品または一組の部品であって、プラットフォームは、第1翼の腹面と第2翼の背面との間に、各翼の前縁の下流に延びる実質的に三角形の断面を備えた複数のフィンを画定する非軸対称形表面を有し、各フィンは、
‐前方位置が、翼の前縁から後縁まで延びる翼弦の相対的長さの5%から35%の間に位置付けられるように、かつ
‐フィンが第2翼の背面から離れる程、前記フィンの前方位置は翼の前縁から軸方向に離れるように、
各フィンが間に延びる表面上の前方位置と後方位置とに関連付けられることを特徴とする、部品または一組の部品を提案する。
【0009】
部品の表面のこの特有の非軸対称幾何形状のフィン(複数)は空気力学的な分離を防止する。
【0010】
その結果として圧縮機段の操作性および効率が向上される。
【0011】
他の有利かつ非制限的な特色によると、
・各フィンは第1翼の腹面と第2翼の背面との間の距離の5%から20%の間から成る幅を有する。
・各フィンは0.3から1.3の間から成る高さ対幅の比率を有する。
・各フィンは1mmから25mmの間から成る高さを有する。
・各フィンは、フィンに沿って前方位置から後方位置に拡大する高さを有する。
・各フィンは、第1および第2翼の中央キャンバ線に対応するトラックを有する。
・各フィンに関連付けられた後方位置は、前記翼弦の相対長さの50%から105%の間に位置付けられる。
・各フィンに関連付けられた前方および後方位置はそれぞれ、第1翼の腹面と第2翼の背面との間の距離の10%から55%の間から成る距離を第2翼の背面から隔てて位置付けられる。
・表面は並んだ2つまたは3つのフィンを画定する。
・プラットフォームは、第1翼が延びてゆく第1プラットフォーム部位と第2翼が延びてゆく第2プラットフォーム部位とを備え、前記第1と第2のプラットフォーム部位間の連結部がフィンを形成する。
・表面は第1および第2端面によって限定され、表面は少なくとも1つのクラスC構造曲線において、それぞれが、各フィンの前方位置と後方位置の間に位置決めされた端面と実質的に平行な面に沿った第1翼の腹面と第2翼の背面との間の位置に応じて前記表面の半径の値を表すクラスC構造曲線によって画定される。
・各構造曲線は、データ処理手段によって、
(a)構造曲線を、第1翼の腹面と第2翼の背面との間の位置に応じて前記表面の半径の値を表すクラスC曲線としてパラメータ化するステップにおいて、曲線は、
‐前記表面が間に延びる2つの翼の1つ1つの上にそれぞれがある2つの端制御点と、
‐端制御点同士間に位置付けられた少なくとも1つの中間制御点と、
‐少なくとも1つのスプラインとによって画定され、
パラメータ化は少なくとも1つの制御点を定める1つまたは複数のパラメータによって実施されるステップと、
(b)前記曲線の前記パラメータの最適値を決定するステップにおいて、
・プラットフォームは、複数の翼が規則的に沿って位置決めされる環状形状を有し、
・プラットフォームは、連続した各対の翼の間に同じ非軸対称形表面を有し、
・部品は翼付きディスクまたは圧縮機ステータ段である、ステップと、
を実施することによってモデル化されている。
【0012】
第2の態様によると、本発明は第1の態様による部品を備えるターボ機械に関する。
【0013】
好ましい実施形態の後に続く説明を読めば、本発明の他の特色および利点が明らかにされる。この説明は添付図面を参照してここに与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】先に説明されたが、ターボ機械の例を示す図である。
図2】本発明による部品の好ましい実施形態を示す図である。
図3】本発明による部品のフィンの幾何形状の概略図である。
図4】本発明による単一部片のフィンを達成する構造の概略図である。
図5a】1つの幾何形状についての流れおよび摩擦線の観察結果を示す図である。
図5b】1つの幾何形状についての流れおよび摩擦線の観察結果を示す図である。
図5c】1つの幾何形状についての流れおよび摩擦線の観察結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2を参照すると、ターボ機械の本発明の部品1(それが単一部片でなければ一組の部品)は、少なくとも2つの連続した翼3E、3Iと翼3E、3Iが延びてゆくプラットフォーム2とを有する。プラットフォームという用語は本明細書では広く解釈され、一般的に翼3E、3Iが(半径方向に延びて)取り付けられそうな、空気が当たって循環する内/外壁を有するターボ機械の任意の要素を指す。
【0016】
特に、プラットフォーム2は単一部片であること(そのように部品1の翼全てを支持する)、あるいは単一の翼3E、3I(翼の1つの「根元」)をそれぞれが支持する複数の基本的部材から形成されて、図2に示された種類の羽根を構成することが可能である。特に、プラットフォーム2は、以下に説明される有利な実施形態で、翼3E、3Iのそれぞれにプラットフォーム部位2I、2Eを備えることが可能である。
【0017】
加えて、プラットフォーム2は、ハブを画定することによって部品1の半径方向内側壁(ガスがその周りを通る)の範囲を定めること、かつ/あるいは次いで部品1のケーシングを画定することによって部品1の半径方向外側壁(その内側をガスが通り、翼3I、3Eが中心に向かって延びる)の範囲を定めることが可能である。留意されるべきは、同じ部品1が同時にこれらの2つのタイプのプラットフォーム2を備えることが可能であるということである。言うまでもなく、説明されるように、部品1は様々なタイプであることが可能であり、特に、とりわけ二次流取り入れ口(OGV「出口案内翼」)ではロータ段(一体的な特性に依存する、もしくはアセンブリのものではないブリスク(「翼付きディスク」)またはインペラ)あるいはステータ段(固定または可動翼VSV(「可変ステータ翼」))である。既に導入されている図1を参照されたい。
【0018】
本説明の残りの部分では、OGV段の実施例が一例として使用されるが、当業者であれば、いかにそれを他のタイプの部品1に(例えば「ファン」、言い換えれば送風機に、または低圧圧縮機段に)置き換えるかを知っているであろう。
【0019】
プラットフォームの表面
本発明の部品1は、部品1のプラットフォーム2の表面Sの特殊な(非軸対称形の)幾何形状によって区別され、その有利なモデル化が図2で観察される。
【0020】
表面Sは2つの翼3E、3I(そのうち図2では一方のみ見ることができて、表面Sへのより充分な観察が可能になる。しかしいずれの場合も見えていない翼のトラックが観察される。)の間に延び、翼が表面を横方向に限定する。
【0021】
表面Sは、実際には部品1の周りで実質的にトロイダル形状を画定する大きな表面の一部位である。部品1の円周内の周期性を(限定する訳ではなく)想定すると(即ち翼3E、3Iが同一であり、均一に分配される場合)、壁は各対の翼3E、3Iの間に重複された複数の同一表面から成る。
【0022】
表面S’も図2で見られ、このようにそれらは表面Sの複製である。
【0023】
この図で見られるものとして、表面SとS’のそれぞれを半分2つに分割する線もある。この構造は、プラットフォーム2が複数の基礎部材から成り、それぞれが羽根を共に形成する翼3E、3Iを支持する根元である。このように、これらの翼根元(本説明の残りの部分では「プラットフォーム部位」と呼ばれる)はそれぞれ翼3E、3Iのいずれかの側に延び、そのことによって表面Sが2つの個別の翼根元に関連付けられた並置表面を備えるという事実が存在する。したがって部品1は、少なくとも2つから成る一組の並置羽根(翼/翼根元のアセンブリ)である。これらは、言い換えれば翼とは無関係な、「付けられた」プラットフォームとは対照的に「一体型」プラットフォームである考えられる(表面Sはその場合単一要素から成ることが可能である)。言うまでもなく、本発明はプラットフォーム2の特定の構造に限定されない。
【0024】
表面Sは上流で第1端面、つまり「分離平面」PSによって限定され、下流で第2端面、つまり「連結平面」PRによって限定され、それぞれが連続微分係数を備えた連続した軸対称形の輪郭を画定する(平面PRおよびPSのそれぞれと部品1の表面との交点に対応する曲線は一般的に閉じられ、ループを形成する)。表面Sは実質的に平行四辺形の形状を有し、2つの端面PSとPR、一対の連続した翼の2つの翼3Eと3Iの間を連続的に延びる。この翼対の一方の翼は第1翼3Iまたは腹面翼である。それは実際にはその腹面を表面Sに提示する。他方の翼は第2翼3E、または背面翼である。それは実際にはその腹面を表面Sに提示する。各「第2翼」3Eは、図2の表面S’などの隣接する表面の「第1翼」3Iである(各翼3E、3Iは腹面と背面を有することから)。
【0025】
表面Sは有利に、「構造平面」とも呼ばれる構造曲線PCによって画定される。各構造曲線PCは、端面PS、PRと実質的に平行な面に沿った第1翼3Iの腹面と第2翼3Eの背面との間の位置に応じて前記表面Sの半径の値を表すクラスC曲線である。
【0026】
半径によって意味されるのは、表面上の点と部品1の軸との間の距離である。したがって軸対称形表面は一定半径を有する。
【0027】
構造曲線PCは典型的にはスプライン、即ちパラメトリック多項式曲線であり、その中で好ましくはベジエ曲線が言及されることが可能である。
【0028】
フィン
本発明の部品の非軸対称形表面Sは、それが、翼3I、3Eそれぞれの前縁(BA)の下流に延びる実質的に三角形の断面を有する少なくとも複数のフィン4を画定するという点で注目に値する。ストリーム上には2つまたは3つのフィン4が存在することが好ましい(図2は2つのフィン4を使用して解決策を示すが、異なった可能性についても以下で説明がなされる)。
【0029】
部品の2つの翼の間でフィンを利用可能に有するという事実が知られている(例えば特許出願書である欧州特許第1927723号明細書、日本特許第6022002号明細書、米国特許第4023350号明細書を参照)。しかし、知られているフィンは一般的に平坦な「ストリップ」である。実際、これらの知られているフィン(一般的に多数型)は偶発的な流れと渦の発生とに対する障壁として作用する役目しか有さない。
【0030】
本発明のフィン4は、偶発的な流れの偏向を向上させ、背面に沿った流体の湧昇を回避することを目的とする。このやり方で、フィン4は圧縮機段の効率および操作性を向上させ、後続の段に対してより清潔/より均質な流体を準備する。
【0031】
特に、本発明のフィン4の前縁で渦度の拡大が現れるが、はるか下流では、横断渦の縮小が優勢になり、渦の度合いが最大6%分低減する。このように、少なくとも1つのフィン4を加えることは、後縁での分離を軽減する。これが、境界層での流れ上へのフィンの案内効果の直接的な結果である。より小さなエネルギーしか第2翼3Eの背面を打ち付けず、このようにストリーム線は、より大きな困難を伴ってしか起こり得ない。分離の高さは半分縮小されることが可能である(異なる実施形態との比較のため以下を参照されたい)。
【0032】
全ての場合において、フィン4は実質的に三角形状の断面を有する。それは、背面頂部によって角度付きまたは接線連結のいずれかで接合された2つの斜面をそれらが有することを意味する。2つの面自体は角度付きまたは接線連結のいずれかでストリーム(表面Sの残りの部分)に取り付けられる。図2で分かるように、各フィン4は面取り端部をさらに有することが可能である。
【0033】
各フィン4は、第1および第2翼3I、3Eの中央キャンバ線に対応するトラック(即ち軌道)を有することが好ましい。非常にしばしば、全ての翼が同じキャンバを有する。そのために全てのフィン4および翼3I、3Eが類似の曲線を有する訳であるが、言うまでもなく、本発明はこの事例に限定されない。
【0034】
このことは特に図3に現れており(翼3I、3Eのキャンバとフィン4のトラックとは各要素に示された平均線である)、図3は単独型のフィン4の概略を示す。
【0035】
留意されるべきは、フィン4は他の利点、即ちそれらが熱交換器として使用されて部品1の冷却をし易くすることが可能であるという利点も提供することである。
【0036】
寸法および位置
フィン4は有利に、第1翼3Iの腹面と第2翼3Eの背面との間の距離の5%から20%(好ましくは10%から15%)の間から成る幅を有する。本明細書で考慮される幅はフィン4の根元の最大幅(前方および後方面取部を除いて実質的に一定である)である。この幅と、第1翼3Iの腹面と第2翼3Eの背面との間の距離とは、端面PS、PRに平行な平面に沿ったところ(言い換えれば先に言及された構造曲線に沿ったところ)で最も良く分かる。それらは図2に見ることができ、図3で垂直方向に示される。
【0037】
各フィン4は、0.3から1.3の間から成る高さ対幅の比率を有することが好ましく、それは、圧縮機段の従来通りの寸法で、1mmから25mmの間から成る高さを与える。
【0038】
各フィン4は特に2つの端点によって画定される。それらは即ち表面S上の前方位置と後方位置とであり、それらの間にフィン4が延びる(特に翼3I、3Eのキャンバを辿って)。
【0039】
前方位置は、図3の参照シンボル内で座標XBAと座標YBAによって画定され、後方位置は座標XBFと座標YBFによって画定される。これらの座標はそれぞれにその位置の軸方向座標とアジマス座標である。
【0040】
第1座標Xは、翼3I、3Eの前縁BAから後縁BFに延びる、相対長さで表された翼3I、3Eの弦に沿った(軸方向)位置を指す(言い換えれば、X=0は翼3I、3Eの前縁BAとの位置合わせに対応し、X=1は後縁BFとの位置合わせに対応する)。
【0041】
優先的に、これらの位置は、
‐(軸方向の)前方位置が、翼3I、3Eの弦の相対長さの5%から35%の間(好ましくは15%から25%の間)に位置付けられ(即ちXBA∈[0.05,0.35])、
‐(軸方向の)後方位置が、翼3I、3Eの弦の相対長さの50%から105%の間(好ましくは70%から85%の間)に位置付けられる(即ちXBF∈[0.5,1.05])、のようなものである。
【0042】
フィン4は翼3I、3Eの前縁BAと後縁BFの間に必ずしも含まれる訳ではなく、後縁BFの下流に軸方向に延びることが可能であるということが留意されよう。
【0043】
第2座標Yは、第2翼3Eの背面から第1翼3Iの腹面に延びる、相対長さで表されたチャネル幅に沿った(アジマス)位置を指す(言い換えれば、Y=0は第2翼3Eの背面に対する点に対応し、Y=1は第1翼3Iの腹面に対する点に対応する)。
【0044】
これらの位置は、フィン4に関連付けられた前方および後方位置のそれぞれが、チャネル幅の10%から55%の間に含まれる距離を第2翼3Eの背面からの隔てて位置付けられる(即ちYBA,YBF∈[0.1,0.55])ことが好ましい。したがってフィン(複数)4はストリーム内で心合わせされることが可能であるが、好ましくは第2翼3Eの背面により近い。
【0045】
一般的に、フィン4が第2翼3Eの背面から離れるほど、前記フィン4の(軸方向)前方位置は翼3I、3Eの前縁BAから離れる。言い換えれば、背面からスタートして、XBAが増大するにつれて、フィンは段付きとなる。
【0046】
この幾何形状は、入射流偏向効果の漸進的な増幅を可能にし、そのことは、観察される流体の湧昇が背面に沿って漸進的であり、流体の移行は腹面から背面に向かって起こるという範囲では望ましい(以下に説明される図5aを参照)。このようにフィン4への段付けはストリームの底部付近の流れの均一性を向上させ、分離の高さをさらに縮小する。
【0047】
各フィン4は、前方位置から後方位置へ、即ち軸方向位置が増大するにつれて、フィン4に沿って拡大する高さを有することが同様に好ましい。フィン4の段付けと相関関係があるフィン4の高さの漸進性は、ストリームの底付近の流れの均一性と分離高さの縮小とをも向上させる。フィンの高さは、特に軸方向位置に対して直線的または二次曲線的変化を有することが可能である。
【0048】
留意されるべきは、フィン4の最大高さは、第2翼3Eの背面からの距離と共に縮小することが可能であって、フィン4の段付けと変化可能な高さとの複合効果を増幅させるようになるということである。
【0049】
フィンの数
2つのフィン4で最良の結果が得られる。3つのフィン4を超過しないことが望ましい。
【0050】
2つのフィンを使用する場合、これらはプラットフォーム2の部位2I、2Eのそれぞれの中央内に配置されることが可能であるが(図2で分かるように)、好ましくは、フィン4はむしろストリームの背面側上に存在するべきである。例えば、第1フィンはアジマス位置YBA,YBF∈[0.2,0.25]に関連付けられることが可能であり、第2フィンはアジマス位置YBA,YBF∈[0.5,0.55]に関連付けられることが可能である。
【0051】
フィン4の1つがストリームの中央内に位置決めされる場合には(フィン4に関連付けられる前方および後方位置は、第2翼3Eの背面からチャネル幅の約50%の距離を隔てて位置付けられる)、プラットフォーム2の構造を使用してこのフィン4を再構成することが可能である。このように、プラットフォーム2が、第1翼3Iが延びてゆく第1プラットフォーム部位2Iと第2翼3Eが延びてゆく第2プラットフォーム部位2Eとを備える場合、プラットフォーム2の2つの部位2I、2E間の連結はフィン4のトラックに対応するように設けられることが可能である。
【0052】
次いでプラットフォーム間の適切な形状の突き出た連結部がフィンを形成することが可能である(他方のフィン4を示さない図4で分かるように)。
【0053】
この解決法は多数の利点を有する。それは、知られている部品に対してそれがいくつかの修正しか必要とせず、プラットフォーム2の部位同士間により大きな接線隙間ができるのを可能にすることによって、組み立て/解体をし易くすることが可能なことによる。
【0054】
代替方法として、または補足として、少なくとも1つのフィン4が表面S内に内在し、構造曲線PCの使用がそれらを画定することを可能にする(単一フィン4の場合にも、それが連結部から得られなければ該当する)。例えば図2で分かるように、少なくとも3つの構造曲線が使用されることが好ましい。図2では7つある。即ち1つの前方曲線(それは先に規定された前方点を通過する)と、少なくとも1つの中央曲線と、後方曲線(これも先に規定された後方点を通過する)とである。中央曲線(複数)(その数は様々であることができる)は有利に規則的な間隔で位置決めされる。第1および第2中央曲線は、フィン4の1つの面取部と本体との間の接合部に位置決めされることが可能である。1つのフィン4の後方曲線は別の中央曲線となる、等々が可能である。
【0055】
後方曲線は便利に連結平面PSと区別ができなくなり得る(フィン4は後縁を超えて延びる)ということが留意される。他方、任意のフィン4の上流または下流に位置決めされる(したがってそれを画定することに寄与しない)他の構造曲線が存在することが可能である。
【0056】
このように各構造曲線PCは複数の制御点によって画定される(フィン4の前方位置と後方位置の間に位置決めされた各構造曲線PCに対してフィン4ごとに、端と中間の制御点、少なくとも1つ中間制御点(さらに中央曲線には2つの中間制御点)が必要とされる。)制御点を定めるパラメータ(複数)は、点の横座標と、点の縦座標と、その点における曲線に対する接線の方向と、その点における曲線に対する半接線にそれぞれが関連付けられた1つ(端制御点の場合には、曲線の定義域内の半接線しか、点に依存して左または右に、考慮に入れられることが可能でない)または2つ(中間制御点の場合)の張力係数とのいずれかから選択される。
【0057】
端制御点の位置は翼3I、3Eによって制約される。他方、これらの点における曲線に対する接線の方向(言い換えれば微分係数)が表面Sの勾配、特にフィン4のフランクの勾配(したがってその幅および高さ)をチェックすることを可能にする。
【0058】
表面のモデル化
構造曲線PCを使用した表面の画定は、部品1の自動的最適化をし易くする。
【0059】
このように各構造曲線PCは、
(a)構造曲線PCを、第1翼3Iの腹面と第2翼3Eの背面との間の位置に応じて前記表面Sの半径の値を表すクラスC曲線としてパラメータ化することにおいて、曲線は、
‐前記表面Sが間に延びる2つの翼3E、3Iの1つ1つの上にそれぞれがある2つの端制御点と、
‐端制御点同士間に位置付けられた少なくとも1つの(有利には2つの)中間制御点と、
‐少なくとも1つのスプラインとによって画定され、
パラメータ化は、少なくとも1つの制御点を定める1つまたは複数のパラメータによって実施される、パラメータ化と、
(b)前記曲線の前記パラメータの最適値の決定と、を適切に実施することによってモデル化されることが可能である。
【0060】
これらのステップは、データ処理手段(例えばスーパーコンピュータ)を備えるコンピュータ装置によって実施される。
【0061】
端または中間制御点のある種のパラメータ、例えば接線の斜め間隔は、望まれる勾配条件を満たすように固定される。
【0062】
各曲線のモデル化中に、最適化されるべき基準として多数の基準が選択されることが可能である。例として、機械的負荷に対する耐性、周波数応答、翼3Eおよび3Iの変位などの機械的特性と、効率、圧力上昇、流れ容量、またはポンピングマージンなどの空気力学的特性とを最大化することを試みることが可能である。
【0063】
その目的のために、最適化しようとする法則をパラメータ化すること、即ちそこからN個の入力パラメータの関数を作り出すことが必要である。そうすると最適化は、これらの様々なパラメータを制約条件で変化させて(一般的にはランダムに)、最後に所定の基準に対してそれらの最適な値を決定することから成る。すると決定された中継点からの補間によって「平滑化された」曲線が得られる。
【0064】
必要な計算の数が問題の入力パラメータの数に直接リンクされる(直線的にまたは指数関数的に)。
【0065】
多数の方法が知られているが、仏国特許第1353439号明細書に説明されたものと類似の方法が実施されるのが好ましく、それは高いコンピューティングパワーを消費しないで優れたモデル化の品質を可能にしながら、なおかつルンゲ現象(表面の行き過ぎた「起伏」)を制限する。
【0066】
留意されるべきは、翼3E、3Iが、特にこれもスプラインおよびユーザ制御点を使用して、特殊なモデル化の対象であり得る連結曲線を通してプラットフォーム2に連結されるということである。
【0067】
フィンの効果
第2翼2Eの背面に沿って流れおよび摩擦ラインが観察される。即ち、フィンのない幾何形状(図5a)、単一フィンを有する非軸対称の幾何形状(図5b)、2つのフィンを有する非軸対称の幾何形状(図5c)である。
【0068】
図5b、殊に5cに明確に見えるのが、分離高さの縮小であり、それは33%分下落している。渦度の増大は1つのフィンに対して2.3%、2つのフィンに対して3.8%に到達し、したがって0.2〜0.3パーセントの効率性の増大が生じる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c