(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に引用される特許文献及び非特許文献の全ての開示は、引用によりその全体として本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書では、用語「発明」又は「開示された発明」は、限定的なものではなく、請求項に定義され、又は本明細書に記載される本発明のいずれにも全般的に当てはまる。これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0021】
用語「ポリα−1,3−グルカン」、「α−1,3−グルカンポリマー」、及び「グルカンポリマー」は、本明細書において互換的に使用される。ポリα−1,3−グルカンは、グリコシド連結により互いに結合しているグルコースモノマー単位(例:グルコシド結合)を含むポリマーであって、少なくとも約50%のグリコシド連結がα−1,3−グリコシド連結であるポリマーである。ポリα−1,3−グルカンは、多糖の1種である。ポリα−1,3−グルカンの構造は、以下の通り表すことができる。
【化4】
【0022】
本明細書においてポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の調製に利用できるポリα−1,3−グルカンは、化学的方法を利用して調製できる。或いは、それは、ポリα−1,3−グルカンを産生する真菌などの種々の生物からの抽出により調製できる。さらに別法としては、例えば、米国特許第7,000,000号明細書並びに米国特許出願公開第2013/0244288号明細書及び同第2013/0244287号明細書(全て引用により本明細書に組み込まれる)に記載の通り、ポリα−1,3−グルカンは、1種以上のグルコシルトランスフェラーゼ(gtf)酵素(例えば、gtfJ)を利用してスクロースから酵素的に製造できる。
【0023】
用語「グルコシルトランスフェラーゼ酵素」、「gtf酵素」、「gtf酵素触媒」、「gtf」、及び「グルカンスクラーゼ」は、本明細書において互換的に使用される。本明細書でのgtf酵素の活性は、基質であるスクロースの反応を触媒して、生成物であるポリα−1,3−グルカン及びフルクトースを生み出す。gtf反応の他の生成物(副生成物)は、グルコース(グルコースが、グルコシル−gtf酵素中間複合体から加水分解される場合)、種々の可溶性オリゴ糖(例えばDP2−DP7)、及びロイクロース(グルコシル−gtf酵素中間複合体のグルコースがフルクトースに結合している場合)を含み得る。ロイクロースは、α−1,5連結により結合しているグルコースとフルクトースから構成される二糖である。野生型形態のグルコシルトランスフェラーゼ酵素は、一般的に(N末端からC末端の方向に)、シグナルペプチド、可変ドメイン、触媒ドメイン、及びグルカン結合ドメインを含む。本明細書でのgtfは、CAZy(Carbohydrate−Active EnZymes)データベース(Cantarel et al.,Nucleic Acids Res.37:D233−238,2009)に従って、グリコシドヒドロラーゼファミリー70(GH70)に分類される。
【0024】
本明細書においてポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を調製するのに使用されるポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマー単位の間の、α−1,3であるグリコシド連結のパーセンテージは、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又は50%と100%の間の任意の整数値)である。したがって、そのような実施形態において、ポリα−1,3−グルカンは、約50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%(又は0%と50%の間の任意の整数値)のα−1,3でないグリコシド連結を有する。
【0025】
本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造するのに使用されるポリα−1,3−グルカンは、好ましくは直鎖/非分岐型である。特定の実施形態において、ポリα−1,3−グルカンは、分岐点が全くないか、又は、ポリマー中のグリコシド連結のパーセントとして約10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%の分岐点を有する。分岐点の例には、ムタンポリマーに存在するものなどのα−1,6分岐点がある。
【0026】
用語「グリコシド連結」及び「グリコシド結合」は本明細書において互換的に使用され、炭水化物(糖)分子を、別な炭水化物などの別な基に結合させる共有結合の種類を指す。本明細書での用語「α−1,3−グリコシド連結」は、α−D−グルコース分子を、隣接するα−D−グルコース環の炭素1及び3を介して互いに結合させる共有結合の種類を指す。この連結は、先に与えられたポリα−1,3−グルカン構造中に示されている。本明細書では、「α−D−グルコース」は、「グルコース」と称される。
【0027】
用語「ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物」、「ポリα−1,3−グルカンエーテル」、及び「ポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体」は本明細書において互換的に使用される。本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、以下の構造により表すことができる。
【化5】
この構造の式に関して、nは少なくとも6でよく、各Rは、独立に、水素原子(H)でも、正電荷を帯びた有機基でもよい。本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する。本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が1種類以上の正電荷を帯びた有機基を有することを仮定すると、これらの化合物は、「カチオン性」であると考えることができる。
【0028】
ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、基礎構造−C
G−O−C−を含むことに基づいて、本明細書において「エーテル」と呼ばれるが、「−C
G−」はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位の炭素2、4、又は6を表し、「−C−」は正電荷を帯びた有機基に含まれる。
【0029】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、合成された人工化合物である。
【0030】
本明細書での「正電荷を帯びた有機基」基は、1つ以上の水素が別な原子又は官能基により置換されている1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)(すなわち「置換されているアルキル基」)であって、1つ以上の置換が正電荷を帯びた基によるものを指す。正電荷を帯びた有機基が、正電荷を帯びた基による置換の他に置換を有する場合、そのような追加の置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(それにより、アルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基、及び/又は追加の正電荷を帯びた基によることがある。正電荷を帯びた有機基は、1つ以上の正電荷を帯びた基を含むので、正味の正の電荷を有する。
【0031】
用語「正電荷を帯びた基」、「正電荷を帯びたイオン性基」、及び「カチオン性基」は、本明細書において互換的に使用される。正電荷を帯びた基は、カチオン(正電荷を帯びたイオン)を含む。正電荷を帯びた基の例には、置換されているアンモニウム基、カルボカチオン基、及びアシルカチオン基がある。
【0032】
本明細書の「正電荷を帯びた」組成物は、典型的には、電子よりもプロトンを多く有し、他の正電荷を帯びた物質とは反発するが、負に帯電した物質に引き寄せられる。
【0033】
用語「置換されているアンモニウム基」、」「置換されているアンモニウムイオン」、及び「置換されているアンモニウムカチオン」は、本明細書において互換的に使用される。本明細書の置換されているアンモニウム基は構造Iを含む:
【化6】
。
構造I中のR
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、若しくはアルカリール基を表す。構造I中の炭素原子(C)は、正電荷を帯びた有機基の1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)の一部である。炭素原子は、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーに直接エーテル結合しているか、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している2つ以上の炭素原子の鎖の一部である。構造I中の炭素原子は、−CH
2−にも、−CH−にも(Hが、ヒドロキシ基などの別の基により置換されている場合)、−C−にも(両方のHが置換されている場合)なり得る。
【0034】
置換されているアンモニウム基は、構造I中のR
2、R
3、及びR
4の組成次第で「一級アンモニウム基」にも、「二級アンモニウム基」にも、「三級アンモニウム基」にも、「四級アンモニウム」基にもなり得る。本明細書の一級アンモニウム基は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれが水素原子である(すなわち−C−NH
3+)構造Iを指す。本明細書の二級アンモニウム基は、R
2とR
3のそれぞれが水素原子であり、R
4が、アルキル、アリール、又はシクロアルキル基である構造Iを指す。本明細書の三級アンモニウム基は、R
2が水素原子であり、R
3とR
4のそれぞれがアルキル、アリール、又はシクロアルキル基である構造Iを指す。本明細書の四級アンモニウム基は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれが、アルキル、アリール、又はシクロアルキル基である(すなわち、R
2と、R
3と、R
4のいずれも水素原子でない)構造Iを指す。
【0035】
本明細書の四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテルは、例えば、トリアルキルアンモニウム基(R
2と、R
3と、R
4のそれぞれがアルキル基である場合)を含み得る。トリメチルアンモニウム基は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれがメチル基であるトリアルキルアンモニウム基の一例である。この命名法において「四級」により意味される第四のメンバー(すなわちR
1)が、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している正電荷を帯びた有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが、理解されるだろう。
【0036】
四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の一例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンである。このエーテル化合物の正電荷を帯びた有機基は、構造IIとして表すことができる:
【化7】
(式中、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれはメチル基である)。構造IIは、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基の一例である。
【0037】
本明細書の「ヒドロキシアルキル」基は、アルキル基の1つ以上の水素原子がヒドロキシル基により置換されている、置換されているアルキル基を指す。ヒドロキシアルキル基の一例は、ヒドロキシプロピル基である。構造IIはヒドロキシプロピル基を含む。
【0038】
本明細書での「ハライド」は、1つ以上のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を含む化合物を指す。本明細書でのハライドは、フルオリド、クロリド、ブロミド、又はヨージドなど1つ以上のハライド基を含む化合物を指すことがある。ハライド基は、エーテル化剤の反応性基として作用し得る。
【0039】
用語「反応物」、「反応組成物」、及び「エーテル化反応物」は本明細書において互換的に使用され、少なくともポリα−1,3−グルカン及びエーテル化剤を含む反応物を指す。これらの成分は、典型的には、アルカリ水酸化物水溶液に溶解及び/又は混合される。反応物は、エーテル化剤が、ポリα−1,3−グルカンのグルコース単位の1つ以上のヒドロキシル基を正電荷を帯びた有機基によりエーテル化するのに好適な条件(例えば、時間、温度)下に置かれ、それによりポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が生じる。
【0040】
本明細書での用語「アルカリ条件」は、少なくとも11又は12の溶液又は混合物のpHを指す。アルカリ条件は、アルカリ水酸化物を溶液又は混合物に溶解させるなど、当技術分野に公知であるどのような手段によっても調製できる。
【0041】
用語「エーテル化剤」及び「アルキル化剤」は本明細書において互換的に使用される。本明細書でのエーテル化剤は、ポリα−1,3−グルカンの1つ以上のグルコース単位の1つ以上のヒドロキシル基を正電荷を帯びた有機基によりエーテル化するのに使用できる作用剤を指す。そのため、エーテル化剤は正電荷を帯びた有機基を含む。
【0042】
本明細書での用語「ポリα−1,3−グルカンスラリー」は、グルコシルトランスフェラーゼ酵素反応物の成分、例えば、ポリα−1,3−グルカン、スクロース、1種以上のグルコシルトランスフェラーゼ酵素、グルコース、及びフルクトースを含む水性混合物を指す。本組成物は、ポリα−1,3−グルカンがその中に溶解しないためスラリーである。
【0043】
本明細書の用語「ポリα−1,3−グルカンウェットケーキ」は、スラリーから分離され水又は水溶液で洗浄されたポリα−1,3−グルカンを指す。ポリα−1,3−グルカンは、ウェットケーキを調製する場合に完全には乾燥されない。
【0044】
本明細書での用語「置換度」(DoS)は、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の各モノマー単位(グルコース)中で置換されたヒドロキシル基の平均数を指す。ポリα−1,3−グルカンの各モノマー単位には3つのヒドロキシル基があるため、本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の置換度は3以下になり得る。
【0045】
本明細書での用語「モル置換数」(M.S.)は、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物のモノマー単位当たりの正電荷を帯びた有機基のモル数を指す。或いは、M.S.は、ポリα−1,3−グルカン中の各モノマー単位との反応に使用されるエーテル化剤の平均モル数を指すことがある(そのため、M.S.は、エーテル化剤の誘導体化の程度を説明することがある)。ポリα−1,3−グルカンのM.S.値が上限値を有し得ないことに留意される。例えば、ヒドロキシル基を含む正電荷を帯びた有機基(例えば、ヒドロキシエチル又はヒドロキシプロピル)がポリα−1,3−グルカンにエーテル化された場合、有機基のヒドロキシル基はさらに反応を受けて、さらなる正電荷を帯びた有機基をポリα−1,3−グルカンに結合させることがある。
【0046】
本明細書の用語「架橋」は、1つ以上のポリマー分子中の2つの隣接する原子を結合する化学結合、原子、又は原子団を指す。架橋されたポリα−1,3−グルカンエーテルを含む組成物において、架橋は少なくとも2つのポリα−1,3−グルカンエーテル分子間であり得る(すなわち分子間架橋)ことを理解されたい。分子内架橋もあり得る。本明細書での「架橋剤」は、架橋を作り出すことができる原子又は化合物である。
【0047】
本明細書の「水性組成物」は、例えば、溶媒が少なくとも約20wt%の水であり、ポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む溶液又は混合物を指す。本明細書の水性組成物の例は水溶液及び親水コロイドである。
【0048】
用語「親水コロイド」と「ハイドロゲル」は、本明細書において互換的に使用される。親水コロイドは、水が分散媒であるコロイド系を指す。本明細書の「コロイド」は、別な物質全体に微視的に分散している物質を指す。したがって、本明細書の親水コロイドは、水又は水溶液中のポリα−1,3−グルカン及び/又は1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の分散液、乳液、混合物、又は溶液も指し得る。
【0049】
本明細書の用語「水溶液」は、溶媒が水である溶液を指す。本明細書のポリα−1,3−グルカン及び/又は1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、水溶液中に、分散していても、混合していても、且つ/又は溶解していてもよい。水溶液は、本明細書の親水コロイドの分散媒として機能できる。
【0050】
用語「分散剤(dispersant)」と「分散剤(dispersion agent)」は、ある物質の別な物質中の分散液の形成及び安定化を促進する物質を指すように本明細書において互換的に使用される。本明細書の「分散液」は、水性組成物全体に散乱又は均一に散乱している1種以上の粒子(例えば、本明細書に開示されるパーソナルケア製品、医薬製品、食品製品、家庭用品、又は工業製品のあらゆる成分)を含む水性組成物を指す。ポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が、本明細書に開示される水性組成物中で分散剤として作用できると考えられている。
【0051】
本明細書の用語「粘度」は、流体又は親水コロイドなどの水性組成物が、それを流動させる傾向がある力に抵抗する程度の尺度を指す。本明細書で使用できる粘度の種々の単位には、センチポイズ(cPs)及びパスカル秒(Pa・秒)がある。センチポイズはポイズの100分の1である。1ポイズは0.100kg・m
−1・s
−1に等しい。そのため、本明細書での用語「粘度調整剤(viscosity−modifier」と「粘度調整剤(viscosity−modifying agent)」は、流体又は水性組成物の粘度を変更/調整できるあらゆるものを指す。
【0052】
本明細書での用語「ずり流動化挙動」は、せん断速度の増加に伴う親水コロイド又は水溶液の粘度の低下を指す。本明細書での用語「ずり粘稠化挙動」は、せん断速度の増加に伴う親水コロイド又は水溶液の粘度の増加を指す。本明細書の「せん断速度」は、漸進性のせん断変形が親水コロイド又は水溶液に加えられる速度を指す。せん断変形は、回転して加えることができる。
【0053】
水性組成物の粘度を増加させる方法に関する本明細書での用語「接触させること」は、水性組成物をポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物と合わせることに至るあらゆる作用を指す。接触は、例えば、溶解、混合、振とう、又は均質化などの当技術分野に公知であるあらゆる手段により実施できる。
【0054】
用語「布地」、「生地」、及び「布」は、天然繊維及び/又は人工繊維のネットワークを有する織られた材料を意味するように、本明細書において互換的に使用される。そのような繊維は、例えば、糸でも紡ぎ糸でもよい。
【0055】
本明細書の「衣類手入れ組成物」は、何らかの方法で布地を処理するのに好適なあらゆる組成物である。そのような組成物の例には、洗濯洗剤及び柔軟仕上げ剤がある。
【0056】
用語「重質洗剤」と「万能洗剤」は、任意の温度で白色及び有色の生地の通常の洗浄に有用な洗剤を指すように、本明細書において互換的に使用される。用語「軽質洗剤」又は「おしゃれ着洗剤」は、ビスコース、ウール、絹、マイクロファイバー、又は特殊な手入れを要する他の布地などのデリケートな布地の手入れに有用な洗剤を指すように、本明細書において互換的に使用される。「特殊な手入れ」は、例えば、過剰な水を使用する、低い撹拌を利用する、且つ/又は漂白剤を使用しない条件を含み得る。
【0057】
本明細書の「オーラルケア組成物」は、歯(dental)(歯(teeth))表面及び/又は歯肉表面など、口腔内の柔らかい又は硬い表面を処理するのに好適なあらゆる組成物である。
【0058】
本明細書の用語「吸着」は、材料の表面への化合物(例えば、ポリα−1,3−グルカンエーテル)の密着を指す。
【0059】
本明細書でのポリα−1,3−グルカン及びポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の「分子量」は、数平均分子量(M
n)としても、重量平均分子量(M
w)としても表すことができる。或いは、分子量は、ダルトン、グラム/モル、DPw(重量平均重合度)、又はDPn(数平均重合度)としても表すことができる。これらの分子量測定値を計算するために、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、又はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの様々な手段が当技術分野に公知である。
【0060】
用語「体積によるパーセント」、「体積パーセント」、「vol%」、及び「v/v%」は本明細書において互換的に使用される。溶液中の溶質の体積によるパーセントは、式:[(溶質の体積)/(溶液の体積)]×100%を利用して決定できる。
【0061】
用語「重量によるパーセント」、「重量パーセンテージ(wt%)」、及び「重量−重量パーセンテージ(%w/w)」は本明細書において互換的に使用される。重量によるパーセントは、組成物、混合物、又は溶液中に含まれる質量基準の物質のパーセンテージを指す。
【0062】
用語「増加した」、「増大した」、及び「向上した」は本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、元の量若しくは活性よりもわずかに多い量若しくは活性、又は、元の量若しくは活性に比べて大過剰である量若しくは活性など、及びその間の全ての量若しくは活性を含む、より多くの量又は活性を指す。或いは、これらの用語は、例えば、増加した量又は活性が比較される量又は活性より、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、又は200%(又は1%と200%の間の任意の整数)多い量又は活性を指すことがある。
【0063】
新たなポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体及びそのような誘導体を調製する方法の開発は、種々の用途におけるその潜在的な有用性を仮定すると望ましい。親水コロイド又は水性組成物の粘度及びレオロジー調整剤としてのポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体の応用可能性を理解することに深い関心がある。
【0064】
開示される発明の実施形態は、以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む組成物に関する:
【化8】
。この構造の式に関して、nは少なくとも6でよく、各Rは、独立に、Hでも、正電荷を帯びた有機基でもよい。さらに、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する。
【0065】
重大なことに、本発明のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、それが加えられる水溶液の粘度を調整できる。この粘度調整作用は、レオロジー調整作用と結びついていることが多い。さらに、本明細書の親水コロイド又は水溶液を表面(例えば、布地表面)と接触させる場合、1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は表面に吸着する。
【0066】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の置換度(DoS)は、或いは、約0.2から約2.0でよい。さらに或いは、DoSは、少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3.0でよい。本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が約0.05から約3.0の置換度を有し、エーテルであることに基づいて、化合物のR基が水素だけにはなり得ないことが、当業者には理解されるだろう。
【0067】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位の間の、α−1,3であるグリコシド連結のパーセンテージは、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(或いは、50%と100%の間のあらゆる整数)である。したがって、そのような実施形態において、化合物は、約50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%(或いは、0%と50%の間のあらゆる整数)のα−1,3でないグリコシド連結を有する。
【0068】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の骨格は、好ましくは直鎖/非分岐である。特定の実施形態において、化合物は、分岐点を全く持たないか、又はポリマー中のグリコシド連結のパーセントとして、約10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%の分岐点を有する。分岐点の例には、α−1,6分岐点がある。
【0069】
特定の実施形態におけるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の式は、少なくとも6のn値を有し得る。或いは、nは、例えば、少なくとも25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、又は4000(或いは、25と4000の間のあらゆる整数)の値を有し得る。さらに他の例におけるnの値は、25〜250、50〜250、75〜250、100〜250、150〜250、200〜250、25〜200、50〜200、75〜200、100〜200、150〜200、25〜150、50〜150、75〜150、100〜150、25〜100、50〜100、75〜100、25〜75、50〜75、又は25〜50の範囲になり得る。
【0070】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の分子量は、数平均分子量(M
n)としても、重量平均分子量(M
w)としても測定できる。或いは、分子量は、ダルトン又はグラム/モルで測定できる。化合物のポリα−1,3−グルカンポリマー成分のDP
w(重量平均重合度)又はDP
n(数平均重合度)に言及することも有用なことがある。
【0071】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物のM
n又はM
wは、少なくとも約1000になり得る。或いは、M
n又はM
wは、少なくとも約1000から約600000になり得る。さらに或いは、M
n又はM
wは、例えば、少なくとも約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000、75000、100000、150000、200000、250000、300000、350000、400000、450000、500000、550000、又は600000(或いは、2000と600000の間のあらゆる整数)になり得る。
【0072】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の式における各R基は、独立に、Hでも、正電荷を帯びた有機基でもよい。先に定義された通り、正電荷を帯びた有機基は、1つ以上の水素が別な原子又は官能基により置換されており、1つ以上の置換が正電荷を帯びた基によるものである1つ以上の炭素の鎖を含む。
【0073】
正電荷を帯びた基は、例えば、置換されているアンモニウム基であり得る。置換されているアンモニウム基の例は、一級、二級、三級、及び四級アンモニウム基である。構造Iは、構造I中のR
2、R
3、及びR
4の組成に応じて、一級、二級、三級、又は四級アンモニウム基を描写する。構造I中のR
2と、R
3と、R
4のそれぞれは、独立に、水素原子、又はアルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、若しくはアルカリール基を表す。或いは、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれは、独立に、水素原子又はアルキル基を表し得る。本明細書のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、又はデシル基でよい。R
2、R
3、及びR
4の2又は3つがアルキル基である場合、それらは、同じアルキル基でも異なるアルキル基でもよい。
【0074】
本明細書の「一級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物」は、アンモニウム基を有する正電荷を帯びた有機基を含み得る。この例において、正電荷を帯びた有機基は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれが水素原子である構造Iを含む。そのような正電荷を帯びた有機基の非限定的な例は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれが水素原子である場合の構造IIにより表される。一級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の例は、簡略的に、アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテルと表すことができる。上記命名法において「一級」により意味される第一のメンバー(すなわちR
1)が、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している正電荷を帯びた有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるだろう。
【0075】
本明細書の「二級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物」は、例えば、モノアルキルアンモニウム基を有する正電荷を帯びた有機基を含み得る。この例において、正電荷を帯びた有機基は、R
2とR
3のそれぞれが水素原子であり、R
4がアルキル基である構造Iを含む。そのような正電荷を帯びた有機基の非限定的な例は、R
2とR
3のそれぞれが水素原子であり、R
4がアルキル基である場合の構造IIにより表される。二級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の例は、本明細書において、簡略的に、モノアルキルアンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル(例えば、モノメチル−、モノエチル−、モノプロピル−、モノブチル−、モノペンチル−、モノへキシル−、モノヘプチル−、モノオクチル−、モノノニル−、又はモノデシル−アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル)と表すことができる。上記命名法における「二級」により意味される第二のメンバー(すなわちR
1)が、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している正電荷を帯びた有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるだろう。
【0076】
本明細書の「三級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物」は、例えば、ジアルキルアンモニウム基を有する正電荷を帯びた有機基を含み得る。この例において、正電荷を帯びた有機基は、R
2が水素原子であり、R
3とR
4のそれぞれがアルキル基である構造Iを含む。そのような正電荷を帯びた有機基の非限定的な例は、R
2が水素原子であり、R
3とR
4のそれぞれがアルキル基である場合の構造IIにより表される。三級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の例は、簡略的に、ジアルキルアンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル(例えば、ジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−、ジブチル−、ジペンチル−、ジヘキシル−、ジヘプチル−、ジオクチル−、ジノニル−、又はジデシル−アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル)と表すことができる。上記命名法における「三級」により意味される第三のメンバー(すなわちR
1)が、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している正電荷を帯びた有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるだろう。
【0077】
本明細書の「四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物」は、例えば、トリアルキルアンモニウム基を有する正電荷を帯びた有機基を含み得る。この例において、正電荷を帯びた有機基は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれがアルキル基である構造Iを含む。そのような正電荷を帯びた有機基の非限定的な例は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれがアルキル基である場合の構造IIにより表される。四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の例は、簡略的に、トリアルキルアンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル(例えば、トリメチル−、トリエチル−、トリプロピル−、トリブチル−、トリペンチル−、トリヘキシル−、トリヘプチル−、トリオクチル−、トリノニル−、又はトリデシル−アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル)と表すことができる。上記命名法における「四級」により意味される「第四のメンバー」(すなわちR
1)が、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している正電荷を帯びた有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるだろう。
【0078】
本明細書の正電荷を帯びた基として作用できる置換されているアンモニウム基の追加の非限定的な例は、R
2と、R
3と、R
4のそれぞれが、独立に、水素原子;メチル、エチル、若しくはプロピル基などのアルキル基;フェニル若しくはナフチル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;アルカリール基;又はシクロアルキル基を表す場合の構造Iにおいて表される。R
2と、R
3と、R
4のそれぞれは、例えば、アミノ基又はヒドロキシル基をさらに含み得る。
【0079】
構造Iにより表される置換されているアンモニウム基中の窒素原子は、正電荷を帯びた有機基に含まれている1つ以上の炭素の鎖に結合している。この1つ以上の炭素の鎖(「炭素鎖」)はポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合しており、置換されているアンモニウム基の窒素原子による置換の他に1つ以上の置換を有し得る。本明細書の炭素鎖に、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素があり得る。説明すると、構造IIの炭素鎖は、長さが3つの炭素原子である。
【0080】
正電荷を帯びた基による置換の他に置換を有さない正電荷を帯びた有機基の炭素鎖の例には、−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−、及び−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−がある。これらの例のそれぞれにおいて、鎖の最初の炭素原子がポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合しており、鎖の最後の炭素原子が正電荷を帯びた基に結合している。正電荷を帯びた基が置換されているアンモニウム基である場合、これらの例のそれぞれの鎖の最後の炭素原子は、構造IにおいてCにより表される。
【0081】
正電荷を帯びた有機基の炭素鎖が、正電荷を帯びた基による置換の他に置換を有する場合、そのような追加の置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(それにより、アルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、及び/又は追加の正電荷を帯びた基によることがある。正電荷を帯びた基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に結合する。
【0082】
ヒドロキシル基による1つ以上の置換を有する本明細書の炭素鎖の例には、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル)基及びジヒドロキシアルキル(例えば、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、ジヒドロキシブチル、ジヒドロキシペンチル)基がある。ヒドロキシアルキル及びジヒドロキシアルキル(ジオール)炭素鎖の例には、−CH(OH)−、−CH(OH)CH
2−、−C(OH)
2CH
2−、−CH
2CH(OH)CH
2−、−CH(OH)CH
2CH
2−、−CH(OH)CH(OH)CH
2−、−CH
2CH
2CH(OH
)CH
2−、−CH
2CH(OH)CH
2CH
2−、−CH(OH)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(OH)CH(OH)CH
2−、−CH(OH)CH(OH)CH
2CH
2−、及び−CH(OH)CH
2CH(OH)CH
2−がある。これらの例のそれぞれにおいて、鎖の最初の炭素原子はポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合しており、鎖の最後の炭素原子は正電荷を帯びた基に結合している。正電荷を帯びた基が置換されているアンモニウム基である場合、これらの例のそれぞれにおける鎖の最後の炭素原子は、構造IにおけるCにより表される。
【0083】
アルキル基による1つ以上の置換を有する本明細書の炭素鎖の例には、1つ以上の置換基メチル、エチル、及び/又はプロピル基を有する鎖がある。メチルアルキル基の例には、−CH(CH
3)CH
2CH
2−及び−CH
2CH(CH
3)CH
2−があり、どちらもメチル置換を有するプロピル基である。これらの例のそれぞれにおいて、鎖の最初の炭素原子は、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合しており、鎖の最後の炭素原子は正電荷を帯びた基に結合している。正電荷を帯びた基が置換されているアンモニウム基である場合、これらの例のそれぞれにおける鎖の最後の炭素原子は、構造IにおけるCにより表される。
【0084】
本明細書に開示される特定の実施形態におけるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、1種類の正電荷を帯びた有機基をR基として含み得る。例えば、ポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合した1種以上の正電荷を帯びた有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基であり得る(構造II);そのため、この特定の例におけるR基は、独立に、水素及びトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基であろう。
【0085】
或いは、本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、2種類以上の異なる正電荷を帯びた有機基をR基として含み得る。
【0086】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、例えば、少なくとも1種の非イオン性有機基及び少なくとも1種のアニオン性基を有し得る。別の例として、本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、少なくとも1種の非イオン性有機基及び少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基を有し得る。
【0087】
開示される発明は、以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む親水コロイド又は水溶液にも関する:
【化9】
。この構造の式に関して、nは少なくとも6でよく、各Rは、独立に、Hでも、正電荷を帯びた有機基でもよい。さらに、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する。ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む親水コロイド又は水溶液は、少なくとも約10センチポイズ(cPs)の粘度を有する。親水
コロイド又は水溶液中のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、本明細書に開示されるエーテル化合物のいずれでもよい。
【0088】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む親水コロイド又は水溶液は、少なくとも約10cPsの粘度を有する。或いは、本明細書の親水コロイド又は水溶液は、例えば、少なくとも約100、250、500、750、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、10500、11000、12000、13000、14000、15000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、又は100000cPs(或いは、100と100000cPsの間のあらゆる整数)を有する。
【0089】
粘度は、例えば、約3℃と約110℃の間(或いは、3と110℃の間にあらゆる整数)のあらゆる温度の親水コロイド又は水溶液で測定できる。或いは、粘度は、約4℃と30℃、又は約20℃と25℃の間の温度で測定できる。粘度は、大気圧(約760トル)でも、他のあらゆる高い圧力又は低い圧力でも測定できる。
【0090】
本明細書に開示される親水コロイド又は水溶液の粘度は、粘度計又はレオメーターを使用しても、当技術分野に公知である他のあらゆる手段を利用しても測定できる。レオメーターを利用して、ずり流動化挙動又はずり粘稠化挙動を示す本発明の親水コロイド及び水溶液(すなわち、流動状態により変化する粘度を有する液体)の粘度を測定できることが当業者により理解されるだろう。そのような実施形態の粘度は、例えば、約10から1000rpm(毎分回転数)(或いは、10と1000rpmの間のあらゆる整数)の回転せん断速度で測定できる。或いは、粘度は、約10、60、150、250、又は600rpmの回転せん断速度で測定できる。
【0091】
本明細書に開示される親水コロイド又は水溶液のpHは、約2.0と約12.0の間であり得る。或いは、pHは、約2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0;又は5.0と約12.0の間;又は約4.0と約8.0の間;又は約3.0と11.0の間であり得る。特定の実施形態において、親水コロイド又は水溶液の粘度は、約3.0と11.0の間のpHで大きくは変動しない。
【0092】
親水コロイド又は水溶液などの本明細書の水性組成物は、少なくとも約20wt%の水を有する溶媒を含み得る。他の実施形態において、溶媒は、例えば、少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、又は100wt%の水(或いは、20と100wt%の間のあらゆる整数)である。
【0093】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、親水コロイド又は水溶液中に、例えば、少なくとも約0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.2%、1.4%、1.6%、1.8%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、又は30%の重量パーセンテージ(wt%)で存在し得る。
【0094】
本明細書の親水コロイド又は水溶液は、1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物に加え、他の成分を含み得る。例えば、親水コロイド又は水溶液は、ナトリウム塩(例えば、NaCl、Na
2SO
4)などの1種以上の塩を含み得る。塩の他の非限定的な例には、(i)アルミニウム、アンモニウム、バリウム、カルシウム、クロム(II又はIII)、銅(I又はII)、鉄(II又はIII)、水素、鉛(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(II又はIII)、水銀(I又はII)、カリウム、銀、ナトリウムストロンチウム、スズ(II又はIV)、又は亜鉛カチオン、及び(ii)アセタート、ボラート、ブロマート、ブロミド、カーボナート、クロラート、クロリド、クロライト、クロマート、シアナミド、シアニド、ジクロマート、二水素ホスファート、フェリシアニド、フェロシアニド、フルオリド、水素カーボナート、水素ホスファート、水素スルファート、水素スルフィド、水素スルファイト、ヒドリド、ヒドロキシド、ヒポクロライト、ヨーダート、ヨージド、ニトラート、ニトリド、ニトライト、オキサラート、オキシド、ペルクロラート、ペルマンガナート、ペルオキシド、ホスファート、ホスフィド、ホスファイト、シリケート、スタンナート、スタンナイト、スルファート、スルフィド、スルファイト、タルトラート、又はチオシアナートアニオンを有するものがある。そのため、例えば、上記(i)のカチオン及び上記(ii)のアニオンを有するあらゆる塩が、親水コロイド又は水溶液に存在し得る。塩は、親水コロイド又は水溶液中に、例えば、約0.01%から約10.00%(或いは、0.01と10.00の間のあらゆる100分の1の増分で)の重量%で存在し得る。
【0095】
本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、親水コロイド又は水溶液中でカチオン性形態である。本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物のカチオン性基は、親水コロイド又は水溶液に存在し得る塩アニオンと相互作用し得る。そのような塩アニオンは、上記で(ii)に列記したもののいずれでもよい(例えば、塩化物アニオン)。
【0096】
代替実施形態において、本明細書のポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む組成物は、非水性(例えば、乾燥組成物)であり得る。そのような実施形態の例には、粉末、顆粒、マイクロカプセル、フレーク、又は粒子状物質の他のあらゆる形態がある。他の例には、ペレット、バー、粒、ビーズ、タブレット、スティック、又は他の集塊などのより大きい組成物がある。本明細書の非水性又は乾燥組成物は、典型的には、その中に含まれる3、2、1、0.5、又は0.1wt%未満の水を有する。
【0097】
開示される組成物の特定の実施形態に含まれるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、当技術分野に公知であるどのような手段により架橋されていてもよい。そのような架橋はホウ酸架橋でよく、その場合、ホウ酸は、例えば、あらゆるホウ素含有化合物由来である(例えば、ホウ酸、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩、Polybor(登録商標)などのポリマー性化合物、ホウ酸、アルカリホウ酸塩のポリマー性化合物)。或いは、架橋は、チタン又はジルコニウムなどの多価金属により与えられてもよい。チタン架橋は、例えば、乳酸チタンアンモニウム、チタントリエタノールアミン、チタンアセチルアセトナート、及びチタンのポリヒドロキシ錯体などのチタンIV含有化合物を利用して与えられ得る。ジルコニウム架橋は、例えば、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムトリエタノールアミン、乳酸ジルコニウムジイソプロピルアミン、及びジルコニウムのポリヒドロキシ錯体などのジルコニウムIV含有化合物を利用して与えられ得る。さらに或いは、架橋は、引用により全て本明細書に組み込まれている米国特許第4462917号明細書、同第4464270号明細書、同第4477360号明細書、及び同第4799550号明細書に記載されている任意の架橋剤により提供できる。架橋剤(例えば、ホウ酸)は、本明細書の水性組成物中に、例えば、約0.2%から20wt%、又は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、若しくは20wt%の濃度で存在してよい。
【0098】
本明細書に開示される架橋されているポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、典型的には、その架橋されていない対応物に比べて、水溶液中で高い粘度を有する。さらに、架橋されているポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、その架橋されていない対応物に比べて、増加したずり粘稠化挙動を有し得る。
【0099】
本明細書の組成物は、任意選択で、1種以上の活性酵素を含み得る。好適な酵素の非限定的な例には、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、金属含有脂肪分解酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、βグルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、及びアミラーゼがある。酵素が含まれる場合、本明細書の組成物に、例えば、約0.0001〜0.1wt%(例えば、0.01〜0.03wt%)の活性酵素(例えば、純粋な酵素タンパク質として計算される)で含まれてよい。
【0100】
1種以上のセルラーゼ酵素は、任意選択で、本明細書に開示される組成物に含まれていてよい。本明細書のセルラーゼは、エンドセルラーゼ活性(EC 3.2.1.4)、エキソセルラーゼ活性(EC 3.2.1.91)、又はセロビアーゼ活性(EC 3.2.1.21)を有し得る。本明細書のセルラーゼは、セルラーゼ活性を維持するための好適な条件下で活性を有する「活性セルラーゼ」である。そのような好適な条件を決定することは、当技術分野の技量内にある。セルロースを分解できることに加え、セルラーゼは、特定の実施形態において、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル誘導体も分解できる。セルラーゼに対して安定でないと思われるセルロースエーテル誘導体の例は、米国特許第7012053号明細書、同第7056880号明細書、同第6579840号明細書、同第7534759号明細書、及び同第7576048号明細書に開示されている。
【0101】
本明細書のセルラーゼは、細菌又は真菌などのあらゆる微生物源から誘導できる。化学修飾セルラーゼ又はタンパク質操作変異体セルラーゼが含まれる。好適なセルラーゼには、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、トリコデルマ属(Trichoderma)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、及びアクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼがあるがこれらに限定されない。他の例として、セルラーゼは、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、又はフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)から誘導できる。これら及び他のセルラーゼは、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4435307号明細書、同第5648263号明細書、同第5691178号明細書、同第5776757号明細書、及び同第7604974号明細書に開示されている。例示的なトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)セルラーゼは、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4689297号明細書、同第5814501号明細書、同第5324649号明細書、並びに国際公開第92/06221号パンフレット及び同第92/06165号パンフレットに開示されている。例示的なバシラス(Bacillus)セルラーゼは、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6562612号明細書に開示されている。前記のいずれかなどのセルラーゼは、好ましくは、N末端シグナルペプチドを欠く成熟型である。本明細書に有用な市販のセルラーゼには、CELLUZYME(登録商標)及びCAREZYME(登録商標)(Novozymes A/S);CLAZINASE(登録商標)及びPURADAX(登録商標)HA(DuPont Industrial Biosciences)、並びにKAC−500(B)(登録商標)(花王株式会社)がある。
【0102】
或いは、本明細書のセルラーゼは、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4435307号明細書、同第5776757号明細書、及び同第7604974号明細書に記載のものなど、当技術分野に公知であるあらゆる手段により製造できる。例えば、セルラーゼは、微生物又は真菌の非相同発現系などの非相同発現系において、遺伝子組み換えにより製造できる。非相同発現系の例には、細菌(例えば、エシェリキア・コリ(E.coli)、バシラス属菌(Bacillus sp.))及び真核生物の系がある。真核生物の系は、例えば、酵母(例えば、ピキア属菌(Pichia sp.)、サッカロミケス属菌(Saccharomyces sp.))又は真菌(例えば、T.リーゼイ(T.reesei)などのトリコデルマ属菌(Trichoderma sp.)、A.ニガー(A.niger)などのアスペルギルス属菌(Aspergillus species))発現系を利用できる。
【0103】
1種以上のセルラーゼを、開示される組成物を調製する際に、成分として直接加えることができる。或いは、1種以上のセルラーゼを、開示される組成物に、間接的に(意図せずに)与えてもよい。例えば、セルラーゼは、組成物の調製に利用される非セルラーゼ酵素調製物中に存在することにより、本明細書の組成物に与えられ得る。セルラーゼが間接的に与えられる組成物中のセルラーゼは、例えば、約0.1〜10ppb(例えば、1ppm未満)で存在してよい。セルロースエーテル化合物の代りにポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を使用することによる本明細書の組成物の利益は、バックグラウンドセルラーゼ活性を持ち得る非セルラーゼ酵素調製物を、グルカンエーテルの所望の効果がバックグラウンドセルラーゼ活性により打ち消されるという心配なく、使用できることである。
【0104】
特定の実施形態におけるセルラーゼは耐熱性であり得る。セルラーゼ耐熱性は、高温(例えば、約60〜70℃)に、ある期間(例えば、約30〜60分)曝露された後で活性を維持する酵素の能力を指す。セルラーゼの耐熱性は、定義された条件下でセルラーゼ活性の半分が失われる、分、時間、又は日で与えられるその半減期(t1/2)により測定できる。
【0105】
特定の実施形態におけるセルラーゼは、広範囲のpH値(例えば、約7.0から約11.0のpHなどの中性又はアルカリ性pH)に対して安定であり得る。そのような酵素は、そのようなpH条件下で所定の期間(例えば、少なくとも約15分、30分、又は1時間)安定なままでいることができる。
【0106】
例えば、少なくとも1種、2種、又はそれ以上のセルラーゼが組成物に含まれてよい。本明細書の組成物中のセルラーゼの総量は、典型的には、組成物中でセルラーゼを使用する目的に好適な量(「有効量」)である。例えば、セルロース含有布地の感触及び/又は外観を改善することを意図する組成物中のセルラーゼの有効量は、布地の感触に測定できる改善を生み出す量である(例えば、布地のなめらかさ及び/若しくは外観を改善する、且つ/又は布地の外観の鮮明さを減少させる傾向がある毛玉及び繊維を除く)。別の例として、本明細書の布地ストーンウォッシュ加工組成物中のセルラーゼの有効量は、(例えば、縫い目の中及び布地パネルに着古して色あせた様子を生み出す)所望の効果を与える量である。本明細書の組成物中のセルラーゼの量は、例えば、組成物が利用されるプロセスパラメーター(例えば、装置、温度、時間など)及びセルラーゼ活性にも依存し得る。布地が処理される水性組成物中のセルラーゼの有効濃度は、当業者により容易に決定できる。衣類手入れプロセスにおいて、セルラーゼは、布地が処理される水性組成物(例えば、洗浄液)中に、例えば、最低で約0.01〜0.1ppm総セルラーゼタンパク質、又は約0.1〜10ppb総セルラーゼタンパク質(例えば、1ppm未満)から、最高で約100、200、500、1000、2000、3000、4000、又は5000ppm総セルラーゼタンパク質の濃度で存在し得る。
【0107】
本明細書のポリα−1,3グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテルは、セルラーゼによる分解に対してほとんど又は完全に安定(耐性)である。例えば、1種以上のセルラーゼによるポリα−1,3グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の分解パーセントは、10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%、又は0%である。そのような分解パーセントは、例えば、ある期間(例えば、約24時間)のセルラーゼによる処理の前後のポリマーの分子量を比較することにより決定できる。
【0108】
本発明の親水コロイド及び水溶液はずり流動化挙動又はずり粘稠化挙動を有し得る。ずり流動化挙動は、せん断速度の増加に伴う親水コロイド又は水溶液の粘度の低下として観察され、ずり粘稠化挙動は、せん断速度の増加に伴う親水コロイド又は水溶液の粘度の増加として観察される。本明細書の水溶液のずり流動化挙動又はずり粘稠化挙動の調整は、ポリα−1,3−グルカンエーテル組成物の水性組成物への混合による。そのため、本発明の1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を水性液体組成物に加えて、そのレオロジー的プロファイルを調整できる(すなわち、水性液体、溶液、又は混合物の流動性が調整される)。また、本発明の1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を水性組成物に加えて、その粘度を調整できる。
【0109】
本発明の親水コロイド及び水溶液のレオロジー的性質は、増加する回転せん断速度(例えば、約10rpmから約250rpm)にわたり粘度を測定することにより観察できる。例えば、本明細書に開示される親水コロイド又は水溶液のずり流動化挙動は、回転せん断速度が、約10rpmから60rpmに、10rpmから150rpmに、10rpmから250rpmに、60rpmから150rpmに、60rpmから250rpmに、又は150rpmから250rpmに増加するにつれて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%(或いは、5%と95%の間のあらゆる整数)の粘度(cPs)の低下として観察できる。別な例として、本明細書に開示される親水コロイド又は水溶液のずり粘稠化挙動は、回転せん断速度が、約10rpmから60rpmに、10rpmから150rpmに、10rpmから250rpmに、60rpmから150rpmに、60rpmから250rpmに、又は150rpmから250rpmに増加するにつれて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、又は200%(或いは、5%と200%の間のあらゆる整数)の粘度(cPs)の増加として観察できる。
【0110】
本明細書に開示される親水コロイド又は水溶液は、パーソナルケア製品、医薬製品、食品製品、家庭用品、若しくは工業製品の形態であり得るか、且つ/又はそれに含まれ得る。本明細書のポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、これらの製品のそれぞれにおいて、増粘剤及び/又は分散剤として使用できる。そのような増粘剤は、望まれる場合、その開示が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第8541041号明細書に開示されているものなど、1種以上の他の種類の増粘剤と共に使用できる。
【0111】
本明細書のパーソナルケア製品は特別に限定されず、例えば、スキンケア組成物、化粧組成物、抗真菌性組成物、及び抗菌性組成物がある。本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、ローション、クリーム、ペースト、香油、軟膏、ポマード、ゲル、液体、これらの組み合わせなどの形態であり得る。本明細書に開示されるパーソナルケア製品は、望まれる場合、少なくとも1種の有効成分を含み得る。有効成分は、一般的に、意図される薬理学的作用を起こす成分であると認識されている。
【0112】
特定の実施形態において、スキンケア製品は、水分の欠如に関連した皮膚の損傷に対処するために、皮膚に塗布できる。スキンケア製品を使用して、皮膚の外観(例えば、カサカサの、ひび割れた、及び/又は赤い皮膚の外観を減少させる)及び/又は皮膚の手触り(例えば、皮膚の柔らかさ及び微細さを向上させながら、皮膚のざらざら及び/又は乾燥を減少させる)にも対処できる。スキンケア製品は、典型的には、酸化亜鉛、ペトロラタム、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、ハードファット、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリン、又はコロイド状オートミール、及びこれらの組み合わせなど、皮膚病の治療若しくは予防のための、化粧効果を与えるための、又は皮膚に保湿の利益を与えるための少なくとも1種の有効成分を含み得る。スキンケア製品は、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、グリコスフィンゴリピド、尿素、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、乳酸ナトリウム、又はピロリドンカルボン酸ナトリウムなどの1種以上の天然保湿因子を含み得る。スキンケア製品に含まれ得る他の成分には、非限定的に、グリセリド、杏仁油、キャノーラ油、スクアラン、スクアレン、ココナツ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、紅花油、ゴマ油、シアバター、大豆油、スイートアーモンドオイル、ヒマワリ油、ティーツリーオイル、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸、及び橙皮油がある。
【0113】
本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、メーキャップ、口紅、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップライナー、リップグロス、他の化粧品、サンスクリーン、サンブロック、マニキュア、ムース、ヘアスプレー、スタイリングジェル、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、ボディーウォッシュ、フェースウォッシュ、シャンプー、ヘアコンディショナー(洗い流さない又は洗い流す)、クリームリンス、毛染め剤、ヘアカラー製品、髪の艶出し製品、ヘアセラム、髪の癖毛防止製品、髪の枝毛修復製品、リップバーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ボディスプレー、石鹸、ボディスクラブ、エクスフォリアント、アストリンゼント、スクラッフィングローション、脱毛剤、パーマ液、フケ防止製剤、発汗抑制剤組成物、防臭剤、髭剃り製品、髭剃り前用の製品、髭剃り後用の製品、クレンジング液、皮膚ジェル、リンス、歯磨き組成物、練り歯磨き、又は口内洗浄剤の形態でもあり得る。
【0114】
本明細書の医薬製品は、例えば、乳剤、液体、エリキシル剤、ゲル剤、懸濁剤、液剤、クリーム剤、又は軟膏剤の形態であり得る。また、本明細書の医薬製品は、抗菌性又は抗真菌性組成物など本明細書に開示されるパーソナルケア製品のいずれの形態でもよい。医薬製品は、1種以上の薬学的に許容できる担体、希釈剤、及び/又は薬学的に許容できる塩をさらに含み得る。本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、カプセル、カプセル材料、錠剤コーティング中にも、医薬品及び薬物の賦形剤としても使用できる。
【0115】
本明細書の食品製品の非限定的な例には、野菜、肉、及びソイパティ;改良されたシーフード;改良されたチーズスティック;クリームスープ;グレービーソース及びソース;サラダドレッシング;マヨネーズ;オニオンリング;ジャム、ゼリー、及びシロップ;パイの中身;フレンチフライ及び成形フライなどのポテト製品;フライ食品、パンケーキ/ワッフル、及びケーキ用のたね;ペットフード;飲料;フローズンデザート;アイスクリーム;カッテージチーズ、ヨーグルト、チーズ、及びサワークリームなどの発酵乳製品;ケーキのアイシング及びグレーズ;ホイップされたトッピング;発酵した及び発酵していない焼き菓子などがある。
【0116】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物、親水コロイド、並びに水性組成物を使用して、食品製品(又は、あらゆるパーソナルケア製品、医薬製品、若しくは工業製品)に以下の物性の1つ以上を与えることができる:例えば、増稠、凍結/解凍安定性、潤滑性、水分保持及び放出、触感、粘稠性、形状保持、乳化、結合、懸濁、分散、及びゲル化。本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、典型的には、食品製品に、例えば約0.01から約5wt%のレベルで使用できる。
【0117】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、食料品又は他の摂取可能な材料(例えば、腸内医薬調製物)に、望ましい程度の増稠及び/又は分散を与える量で含まれ得る。例えば、製品中のポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の濃度又は量は、重量基準で、約0.1〜3wt%、0.1〜4wt%、0.1〜5wt%、又は0.1〜10wt%になり得る。
【0118】
本明細書の家庭製品及び/又は工業製品は、例えば、乾式壁テープジョイント化合物;モルタル;グラウト;セメントプラスター;スプレープラスター;セメントスタッコ;接着剤;ペースト;壁/天井テクスチャライザー;テープ成形、押出成形、射出成形、及びセラミックスの結合剤及び処理助剤;殺虫剤、除草剤、及び肥料用のスプレー接着剤及び懸濁/分散助剤;柔軟仕上げ剤及び洗濯洗剤などの衣類手入れ製品;硬質表面クリーナー;消臭剤;ポリマーエマルション;水性ゲルなどのゲル;界面活性剤溶液;水性塗料などの塗料;保護コーティング;接着剤;シーラント及び封止剤;水性インクなどのインク;金属加工油剤;電気めっき、リン酸塩処理、亜鉛めっき、及び/又は一般的な金属洗浄操作に使用されるエマルション系金属洗浄流体;油圧油(例えば、ボーリング作業の水圧破砕に使用されるもの);並びに水性鉱物スラリーの形態であり得る。
【0119】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、パーソナルケア製品、医薬製品、家庭用品、又は工業製品中に、例えば、望まれる程度の増稠又は分散を与える量で含まれ得る。製品中のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の濃度又は量の例は、重量基準で、約0.1〜3wt%、1〜2wt%、1.5〜2.5wt%、2.0wt%、0.1〜4wt%、0.1〜5wt%、又は0.1〜10wt%になり得る。
【0120】
本明細書に開示される組成物は、衣類手入れ組成物の形態でもあり得る。本明細書の衣類手入れ組成物は、例えば、手洗い、洗濯機洗い、並びに/又は衣類の漬け置き及び/若しくは前処理などの他の目的に使用できる。衣類手入れ組成物は、例えば、洗濯洗剤;柔軟仕上げ剤;あらゆる洗浄時、すすぎ時、又は乾燥機に入れる製品;一回量包装;又はスプレーの形態をとり得る。液体形態の衣類手入れ組成物は、本明細書に開示される水性組成物の形態でよい。他の態様において、衣類手入れ組成物は、粒状洗剤又は乾燥機に入れる衣類柔軟剤シートなどの乾燥形態であり得る。本明細書の衣類手入れ組成物の他の非限定的な例には下記がある:粒状又は粉末形態の万能又は重質洗浄剤;液体、ゲル、又はペースト形態の万能又は重質洗浄剤;液体又は乾燥おしゃれ着(例えば、デリケートな衣類)洗剤;漂白添加剤、「しみ取りスティック」、又は前処理剤などの洗濯補助剤;乾燥若しくは湿ったふき取り布、パッド、又はスポンジなどの支持層が付いた製品;スプレー及びミスト。
【0121】
本明細書の洗剤組成物は、粉末、顆粒、ペースト、バー、一回量包装、又は液体などのあらゆる有用な形態でよい。液体洗剤は、典型的には約70wt%までの水及び0wt%から約30wt%の有機溶媒を含む水性でよい。それは、わずか約30wt%の水を含むコンパクトゲルタイプの形態でもよい。
【0122】
本明細書の洗剤組成物は、典型的には、1種以上の界面活性剤を含むが、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、洗剤組成物の約0.1重量%から約60重量%のレベルで存在し、代替実施形態において、レベルは約1重量%から約50重量%であり、なおさらなる実施形態において、レベルは約5重量%から約40重量%である。洗剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩(脂肪族アルコール硫酸塩)(AS)、アルコールエトキシ硫酸塩(AEOS又はAES)、二級アルカンスルホン酸塩(SAS)、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸、又は石鹸などのアニオン性界面活性剤を通常0wt%から約50wt%含む。さらに、洗剤組成物は、任意選択で、アルコールエトキシラート(AEO又はAE)、カルボキシル化アルコールエトキシラート、ノニルフェノールエトキシラート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば、引用により本明細書に組み込まれる国際公開第92/06154号パンフレットに記載される)などの非イオン性界面活性剤を0wt%から約40wt%含み得る。
【0123】
本明細書の洗剤組成物は、典型的には、1種以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含む。少なくとも1種のビルダーを組み込むいくつかの実施形態において、洗浄組成物は、少なくとも組成物の約1重量%、約3重量%から約60重量%、又はさらには約5重量%から約40重量%のビルダーを含む。ビルダーには、ポリリン酸のアルカリ金属、アンモニウム、及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケート、ポリカルボキシラート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシラート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロトリ酢酸などのポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム、及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸などのポリカルボキシラート、並びにこれらの可溶性塩があるが、これらに限定されない。実際に、あらゆる好適なビルダーが、本発明の種々の実施形態に使用されることが企図される。洗剤ビルダー又は錯化剤の例には、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキル−又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、HoechstのSKS−6)がある。洗剤は、ビルダー無添加、すなわち洗剤ビルダーを基本的に含まないこともある。
【0124】
いくつかの実施形態において、クエン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びナトリウムトリポリホスパート(tripolyphospate)六水和物、トリポリリン酸カリウム、及び混合トリポリリン酸ナトリウム及びカリウムなど)などのビルダーは、水溶性硬度イオン錯体(例えば、封鎖性ビルダー)を形成する。あらゆる好適なビルダーが、当技術分野に公知であるものを含み(例えば、欧州特許第2100949号明細書参照)本発明に使用されることが企図される。
【0125】
いくつかの実施形態において、本明細書に使用されるビルダーには、リン酸塩ビルダー及び非リン酸塩ビルダーがある。いくつかの実施形態において、ビルダーはリン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態において、ビルダーは非リン酸塩ビルダーである。存在する場合、ビルダーは、組成物の0.1重量%から80重量%、又は5重量%から60重量%、又は10重量%から50重量%のレベルで使用される。いくつかの実施形態において、製品は、リン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。好適なリン酸塩ビルダーには、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩、又はオリゴマー性ポリリン酸塩があり、これらの化合物のナトリウム塩を含むアルカリ金属塩が含まれる。いくつかの実施形態において、ビルダーはトリポリリン酸ナトリウム(STPP)であり得る。さらに、組成物は、炭酸塩及び/又はクエン酸塩、好ましくは、中性pH組成物を得るのを助けるクエン酸塩を含み得る。他の好適な非リン酸塩ビルダーには、ポリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマー並びにその部分的又は完全に中和された塩、モノマー性ポリカルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸、及びそれらの塩がある。いくつかの実施形態において、上述の化合物の塩には、アンモニウム及び/又はアルカリ金属塩、すなわち、ナトリウム塩を含む、リチウム、ナトリウム、及びカリウム塩がある。好適なポリカルボン酸には、非環式、脂環式、複素環式、及び芳香族のカルボン酸があり、いくつかの実施形態において、それらは、いくつかの場合に、互いにわずか2つの炭素原子だけそれぞれの場合に離れている少なくとも2つのカルボキシル基を含み得る。
【0126】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1種のキレート剤を含み得る。好適なキレート剤には、銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤、並びにこれらの混合物があるが、これらに限定されない。少なくとも1種のキレート剤が使用される実施形態において、組成物は、組成物の約0.1重量%から約15重量%、又はさらには約3.0重量%から約10重量%のキレート剤を含む。
【0127】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1種の沈澱助剤を含み得る。好適な沈澱助剤には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシラート、ポリテレフタル酸などの汚れ放出ポリマー、カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルガイト(atapulgite)、イライト、ベントナイト、ハロイサイトなどの粘土、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0128】
本明細書の洗剤組成物は、1種以上の移染防止剤を含み得る。好適なポリマー性移染防止剤には、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物があるが、これらに限定されない。追加の移染防止剤には、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、及び/又はこれらの混合物;エチレン−ジアミン−四酢酸(EDTA)を例とするキレート剤;ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP);ヒドロキシ−エタンジホスホン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’−ジコハク酸(EDDS);メチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDTA);2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(HPNO);又はメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N−二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA);ニトリロトリ酢酸(NTA);4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸;クエン酸及びそのあらゆる塩;N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミン四プロピオン酸(EDTP)、及びその誘導体があり、単独でも、上記のいずれかと組み合わせても使用できる。少なくとも1種の移染防止剤が使用される実施形態において、本明細書の組成物は、組成物の約0.0001重量%から約10重量%、約0.01重量%から約5重量%、又はさらには約0.1重量%から約3重量%を含み得る。
【0129】
本明細書の洗剤組成物は、ケイ酸塩を含み得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び/又は結晶性フィロシリケート)が用いられる。いくつかの実施形態において、ケイ酸塩は、組成物の約1重量%から約20重量%のレベルで存在する。いくつかの実施形態において、ケイ酸塩は、組成物の約5重量%から約15重量%のレベルで存在する。
【0130】
本明細書の洗剤組成物は、分散剤を含み得る。好適な水溶性有機物質には、ポリカルボン酸が、互いから2つ以下の炭素原子だけ離れている少なくとも2つのカルボキシル基を含むホモポリマー性若しくはコポリマー性の酸又はそれらの酸があるが、これらに限定されない。
【0131】
本明細書の洗剤組成物は、さらに、1種以上の酵素を含み得る。酵素の例には、任意の組み合わせで、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、金属含有脂肪分解酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ガラクトシダーゼ、ガラクタナーゼ、カタラーゼ、カラギナーゼ(carageenases)、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プルラナーゼ、ラムノガラクトウロナーゼ(rhamnogalactouronases)、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、金属プロテアーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼ、及び/又はアミラーゼがある。
【0132】
先に開示されたあらゆるセルラーゼは、開示される洗剤組成物における使用に企図される。好適なセルラーゼには、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ(例えば、米国特許第4435307号明細書参照)があるが、これに限定されない。本明細書での使用に企図される例示的なセルラーゼは、生地のための色彩保護の利点を有するものである。色彩保護の利点を与えるセルラーゼの例は、全て引用により本明細書に組み込まれる欧州特許第0495257号明細書、欧州特許第0531372号明細書、欧州特許第531315号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、国際公開第94/07998号パンフレット;国際公開第98/12307号パンフレット;国際公開第95/24471号パンフレット、国際公開第98/08940号パンフレット、並びに米国特許第5457046号明細書、同第5686593号明細書、及び同第5763254号明細書に開示されている。洗剤に有用な市販のセルラーゼの例には、CELLUSOFT(登録商標)、CELLUCLEAN(登録商標)、CELLUZYME(登録商標)、及びCAREZYME(登録商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S);CLAZINASE(登録商標)、PURADAX HA(登録商標)、及びREVITALENZ(商標)(DuPont Industrial Biosciences);BIOTOUCH(登録商標)(AB Enzymes);並びにKAC−500(B)(商標)(花王株式会社)がある。追加のセルラーゼは、例えば、米国特許第7595182号明細書、米国特許第8569033号明細書、米国特許第7138263号明細書、米国特許第3844890号明細書、米国特許第4435307号明細書、米国特許第4435307号明細書、及び英国特許第2095275号明細書に開示されている。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の洗剤組成物は、1種以上の酵素を、それぞれ組成物の約0.00001重量%から約10重量%のレベルで含むことがあり、及び組成物の重量で洗浄添加物質の残りを含み得る。本発明のいくつかの他の実施形態において、洗剤組成物は、各酵素を、組成物の約0.0001重量%から約10重量%、約0.001重量%から約5重量%、約0.001重量%から約2重量%、約0.005重量%から約0.5重量%の酵素のレベルで含む。
【0134】
好適なプロテアーゼには、動物、植物、又は微生物由来のものがある。いくつかの実施形態において、微生物のプロテアーゼが使用される。いくつかの実施形態において、化学修飾又は遺伝子操作された変異体が含まれる。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼである。アルカリ性プロテアーゼの例には、スブチリシン、特にバシラス(Bacillus)から誘導されたものがある(例えば、スブチリシン、レンツス、アミロリケファシエンス、スブチリシンカールスバーグ、スブチリシン309、スブチリシン147、及びスブチリシン168)。追加の例には、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許第RE34606号明細書、同第5955340号明細書、同第5700676号明細書、同第6312936号明細書、及び同第6482628号明細書に記載されている変異体プロテアーゼがある。追加のプロテアーゼの例には、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ由来)、及び国際公開第89/06270号パンフレットに記載のフザリウム(Fusarium)プロテアーゼがあるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、市販のプロテアーゼ酵素には、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、PREFERENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P100、P110、P280)、EFFECTENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000、P1050、P2000)、EXCELLENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000)、ULTIMASE(登録商標)、及びPURAFAST(商標)(Genencor);ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)及びESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAP(商標)及びBLAP(商標)バリアント(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien,Duesseldorf,Germany)、並びにKAP(B.アルカノフィルス(B.alkalophilus)スブチリシン;花王株式会社、東京、日本)があるが、これらに限定されない。種々のプロテアーゼは、国際公開第95/23221号パンフレット、国際公開第92/21760号パンフレット、国際公開第09/149200号パンフレット、国際公開第09/149144号パンフレット、国際公開第09/149145号パンフレット、国際公開第11/072099号パンフレット、国際公開第10/056640号パンフレット、国際公開第10/056653号パンフレット、国際公開第11/140364号パンフレット、国際公開第12/151534号パンフレット、米国特許出願公開第2008/0090747号明細書、及び米国特許第5801039号明細書、同第5340735号明細書、同第5500364号明細書、同第5855625号明細書、同第RE34606号明細書、同第5955340号、同第5700676号明細書、同第6312936号明細書、同第6482628号明細書、同第8530219号明細書、並びに種々の他の特許に記載されている。いくつかのさらなる実施形態において、全て引用により本明細書に組み込まれる国際公開第1999014341号パンフレット、国際公開第1999033960号パンフレット、国際公開第1999014342号パンフレット、国際公開第1999034003号パンフレット、国際公開第2007044993号パンフレット、国際公開第2009058303号パンフレット、及び国際公開第2009058661号パンフレットに記載される中性金属プロテアーゼを非限定的に含む中性金属プロテアーゼは、本発明に使用される。例示的な金属プロテアーゼには、nprE、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)に発現される組換え型中性金属プロテアーゼ(例えば、国際公開第07/044993号パンフレット参照)、及びPMN、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来の精製された中性金属プロテアーゼがある。
【0135】
好適なマンナナーゼには、細菌又は真菌由来のものがあるが、これらに限定されない。化学修飾又は遺伝子操作された変異体が、いくつかの実施形態において含まれる。本発明に使用される種々のマンナナーゼが公知である(例えば、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6566114号明細書、同第6602842号明細書、及び同第6440991号明細書参照)。本発明に使用される市販のマンナナーゼには、MANNASTAR(登録商標)、PURABRITE(商標)、及びMANNAWAY(登録商標)があるが、これらに限定されない。
【0136】
好適なリパーゼには、細菌又は真菌由来のものがある。化学修飾、タンパク質分解的修飾、又はタンパク質操作変異体が含まれる。有用なリパーゼの例には、フミコラ(Humicola)属(例えば、H.ラヌギノサ(H.lanuginosa)、欧州特許第258068号明細書及び欧州特許第305216号明細書;H.インソレンス(H.insolens)、国際公開第96/13580号パンフレット)、シュードモナス(Pseudomonas)属(例えば、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)、欧州特許第218272号明細書;P.セパシア(P.cepacia)、欧州特許第331376号明細書;P.スタッツェリ(P.stutzeri)、GB1372034号明細書;P.フルオレッセンス(P.fluorescens)及びシュードモナス(Pseudomonas)属菌株SD 705、国際公開第95/06720号パンフレット及び国際公開第96/27002号パンフレット;P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)、国際公開第96/12012号パンフレット);及びバシラス(Bacillus)属(例えば、B.サチリス(B.subtilis)、Dartois et al.,Biochemica et Biophysica Acta 1131:253−360;B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、JP64/744992号明細書;B.プミルス(B.pumilus)、国際公開第91/16422号パンフレット)がある。さらに、ペニシリウム・カメンベルティ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchi et al.,Gene 103:61−67[1991]参照)、ゲオトリクム・カンジドゥム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimada et al.,J.Biochem.,106:383−388[1989]参照)、並びにR.デレマ(R.delemar)リパーゼ(Hass et al.,Gene 109:117−113[1991]参照)、R.ニベウス(R.niveus)リパーゼ(Kugimiya et al.,Biosci.Biotech.Biochem.56:716−719[1992])、及びR.オリザエ(R.oryzae)リパーゼなどの種々のリゾプスリパーゼを含むがこれらに限定されない、いくつかのクローニングされたリパーゼが、本発明のいくつかの実施形態において使用される。本明細書において有用な追加のリパーゼには、例えば、国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、欧州特許第407225号明細書及び欧州特許第260105号明細書に開示されているものがある。シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)から誘導されたクチナーゼ(国際公開第88/09367号パンフレット参照)及びフザリウム・ソラニピシ(Fusarium solani pisi)から誘導されたクチナーゼ(国際公開第90/09446号パンフレット参照)を含むがこれらに限定されないクチナーゼなどの他の種類のリパーゼポリペプチド酵素も、本発明のいくつかの実施形態において使用される。本明細書において有用な特定の市販のリパーゼ酵素の例には、M1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(Genencor);LIPEX(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)、及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes);並びにLIPASE P(商標)「Amano」(天野製薬株式会社、日本)がある。
【0137】
好適なポリエステラーゼには、例えば、国際公開第01/34899号パンフレット、国際公開第01/14629号パンフレット、及び米国特許第6933140号明細書に開示されているものがある。
【0138】
本明細書の洗剤組成物は、2,6−β−D−フルクタンヒドロラーゼも含み得るが、これは、家庭用及び/又は工業用生地/洗濯物に存在する特定のバイオフィルムを除去/洗浄するのに有効である。
【0139】
好適なアミラーゼには、細菌又は真菌由来のものがあるが、これらに限定されない。化学修飾又は遺伝子操作された変異体が、いくつかの実施形態において含まれる。本発明に使用されるアミラーゼには、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)から誘導されたα−アミラーゼ(例えば、英国特許第1296839号明細書参照)があるが、これに限定されない。追加の好適なアミラーゼには、全て引用により本明細書に組み込まれる国際公開第9510603号パンフレット、国際公開第9526397号パンフレット、国際公開第9623874号パンフレット、国際公開第9623873号パンフレット、国際公開第9741213号パンフレット、国際公開第9919467号パンフレット、国際公開第0060060号パンフレット、国際公開第0029560号パンフレット、国際公開第9923211号パンフレット、国際公開第9946399号パンフレット、国際公開第0060058号パンフレット、国際公開第0060059号パンフレット、国際公開第9942567号パンフレット、国際公開第0114532号パンフレット、国際公開第02092797号パンフレット、国際公開第0166712号パンフレット、国際公開第0188107号パンフレット、国際公開第0196537号パンフレット、国際公開第0210355号パンフレット、国際公開第9402597号パンフレット、国際公開第0231124号パンフレット、国際公開第9943793号パンフレット、国際公開第9943794号パンフレット、国際公開第2004113551号パンフレット、国際公開第2005001064号パンフレット、国際公開第2005003311号パンフレット、国際公開第0164852号パンフレット、国際公開第2006063594号パンフレット、国際公開第2006066594号パンフレット、国際公開第2006066596号パンフレット、国際公開第2006012899号パンフレット、国際公開第2008092919号パンフレット、国際公開第2008000825号パンフレット、国際公開第2005018336号パンフレット、国際公開第2005066338号パンフレット、国際公開第2009140504号パンフレット、国際公開第2005019443号パンフレット、国際公開第2010091221号パンフレット、国際公開第2010088447号パンフレット、国際公開第0134784号パンフレット、国際公開第2006012902号パンフレット、国際公開第2006031554号パンフレット、国際公開第2006136161号パンフレット、国際公開第2008101894号パンフレット、国際公開第2010059413号パンフレット、国際公開第2011098531号パンフレット、国際公開第2011080352号パンフレット、国際公開第2011080353号パンフレット、国際公開第2011080354号パンフレット、国際公開第2011082425号パンフレット、国際公開第2011082429号パンフレット、国際公開第2011076123号パンフレット、国際公開第2011087836号パンフレット、国際公開第2011076897号パンフレット、国際公開第94183314号パンフレット、国際公開第9535382号パンフレット、国際公開第9909183号パンフレット、国際公開第9826078号パンフレット、国際公開第9902702号パンフレット、国際公開第9743424号パンフレット、国際公開第9929876号パンフレット、国際公開第9100353号パンフレット、国際公開第9605295号パンフレット、国際公開第9630481号パンフレット、国際公開第9710342号パンフレット、国際公開第2008088493号パンフレット、国際公開第2009149419号パンフレット、国際公開第2009061381号パンフレット、国際公開第2009100102号パンフレット、国際公開第2010104675号パンフレット、国際公開第2010117511号パンフレット、及び国際公開第2010115021号パンフレットに開示されているものがある。
【0140】
好適なアミラーゼには、例えば、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、NATALASE(登録商標)、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、及びBAN(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S);RAPIDASE(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、及びPREFERENZ(商標)(DuPont Industrial Biosciences)などの市販のアミラーゼがある。
【0141】
組成物中の使用に企図される好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、植物、細菌、又は真菌由来のものがある。化学修飾、又はタンパク質操作された変異体が含まれる。本明細書において有用なペルオキシダーゼの例には、コプリヌス(Coprinus)属由来のもの(例えば、C.シネレウス(C.cinereus)、国際公開第93/24618号パンフレット、国際公開第95/10602号パンフレット、及び国際公開第98/15257号パンフレット)、並びに国際公開第2005056782号パンフレット、国際公開第2007106293号パンフレット、国際公開第2008063400号パンフレット、国際公開第2008106214号パンフレット、及び国際公開第2008106215号パンフレットに引用されているものがある。本明細書において有用な市販のペルオキシダーゼには、例えば、GUARDZYME(商標)(Novo Nordisk A/S及びNovozymes A/S)がある。
【0142】
いくつかの実施形態において、ペルオキシダーゼは、過酸化水素又はその源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、又は過硫酸塩)との組み合わせで、本発明の組成物に使用される。いくつかの代替実施形態において、オキシダーゼは酸素との組み合わせで使用される。両種類の酵素は、好ましくは促進剤と共に(例えば、国際公開第94/12621号パンフレット及び国際公開第95/01426号パンフレット参照)、「溶液漂白」(すなわち、複数の布地が洗液中で一緒に洗浄される場合に、染められた布地から生地染料が別な布地に移ることを防ぐため)に使用される。好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、植物、細菌、又は真菌由来のものがあるが、これらに限定されない。化学修飾、又は遺伝子操作された変異体が、いくつかの実施形態において含まれる。
【0143】
本明細書の洗剤組成物に含まれ得る酵素は、従来の安定剤、例えば、プロピレングリコール又はグリセロールなどのポリオール;糖又は糖アルコール;乳酸;ホウ酸又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)を使用して安定化することができる。
【0144】
本明細書の洗剤組成物は、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキル−又はアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩又は層状ケイ酸塩(例えば、HoechstのSKS−6)などの、約1wt%から約65wt%の洗剤ビルダー又は錯化剤を含み得る。洗剤は、ビルダー無添加、すなわち、洗剤ビルダーを基本的に含まないこともある。
【0145】
特定の実施形態における洗剤組成物は、1種以上の他の種類のポリマーを、ポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の他に含み得る。本明細書において有用な他の種類のポリマーには、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリラートなどのポリカルボキシラート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びラウリルメタクリラート/アクリル酸コポリマーがある。
【0146】
本明細書の洗剤組成物は、漂白系を含み得る。例えば、漂白系は、過ホウ酸塩又は過炭酸塩などのH
2O
2源を含み得るが、これを、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキシベンゼンスルホナート(NOBS)などの過酸形成漂白アクチベーターと組み合わせることができる。或いは、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミド、又はスルホンタイプのペルオキシ酸)を含み得る。さらに或いは、漂白系は、例えば、国際公開第2005/056783号パンフレットに記載される系など、ペルヒドロラーゼを含む酵素漂白系であってもよい。
【0147】
本明細書の洗剤組成物は、柔軟仕上げ剤、粘土、起泡力増進剤、泡抑制剤、腐食防止剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、又は香料などの従来の洗剤成分も含んでよい。本明細書の洗剤組成物のpH(使用濃度の水溶液中で測定)は、通常中性又はアルカリ性である(例えば、約7.0から約11.0のpH)。
【0148】
本明細書に開示される目的に適合させることができる特定の形態の洗剤組成物は、例えば、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20090209445A1号明細書、米国特許出願公開第20100081598A1号明細書、米国特許第7001878B2号明細書、欧州特許第1504994B1号明細書、国際公開第2001085888A2号パンフレット、国際公開第2003089562A1号パンフレット、国際公開第2009098659A1号パンフレット、国際公開第2009098660A1号パンフレット、国際公開第2009112992A1号パンフレット、国際公開第2009124160A1号パンフレット、国際公開第2009152031A1号パンフレット、国際公開第2010059483A1号パンフレット、国際公開第2010088112A1号パンフレット、国際公開第2010090915A1号パンフレット、国際公開第2010135238A1号パンフレット、国際公開第2011094687A1号パンフレット、国際公開第2011094690A1号パンフレット、国際公
開第2011127102A1号パンフレット、国際公開第2011163428A1号パンフレット、国際公開第2008000567A1号パンフレット、国際公開第2006045391A1号パンフレット、国際公開第2006007911A1号パンフレット、国際公開第2012027404A1号パンフレット、欧州特許第1740690B1号明細書、国際公開第2012059336A1号パンフレット、米国特許第6730646B1号明細書、国際公開第2008087426A1号パンフレット、国際公開第2010116139A1号パンフレット、及び国際公開第2012104613A1号パンフレットに開示されている。
【0149】
本明細書の洗濯洗剤組成物は、任意選択で、重質(万能)洗濯洗剤組成物であり得る。例示的な重質洗濯洗剤組成物は、アニオン性洗浄性界面活性剤(直鎖又は分岐鎖又はランダム鎖の、置換又は非置換のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシ化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、及びこれらの混合物の群から選択される)及び、任意選択で非イオン性界面活性剤(直鎖又は分岐鎖又はランダム鎖の、置換又は非置換のアルキルアルコキシ化アルコール、例えば、C8〜C18アルキルエトキシ化アルコール、及び/又はC6〜C12アルキルフェノールアルコキシラートの群から選択される)を含む洗浄性界面活性剤(10%〜40% wt/wt)を含み、アニオン性洗浄性界面活性剤(6.0から9の親水指数(HIc)を有する)と非イオン性洗浄性界面活性剤との重量比は、1:1を超える。好適な洗浄性界面活性剤には、カチオン性洗浄性界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及び/又はこれらの混合物の群から選択される);双極性イオン及び/又は両性の洗浄性界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインの群から選択される);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物もある。
【0150】
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、両親媒性アルコキシ化油脂洗浄ポリマー(0.05wt%〜10wt%の範囲のアルコキシ化ポリアルキレンイミンなど、分岐鎖の親水性及び疎水性を有するアルコキシ化ポリマーの群から選択される)及び/又はランダムグラフトポリマー(典型的には、以下からなる群から選択されるモノマーを含む親水性骨格:不飽和C1〜C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロールなどの飽和ポリアルコール、及びこれらの混合物;並びに、以下からなる群から選択される疎水性側鎖を含む:C4〜C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1〜C6モノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C6アルキルエステル、及びこれらの混合物からなる界面活性作用増強ポリマーを任意選択で含み得る。
【0151】
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、汚れ放出ポリマー(アニオン性末端キャップ化ポリエステル、例えばSRP1、糖、ジカルボン酸、ポリオール、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のモノマー単位をランダム又はブロック配置で含むポリマー、エチレンテレフタラート系ポリマー及びランダム又はブロック配置のそのコポリマー、例えばREPEL−O−TEX SF、SF−2 AND SRP6、TEXCARE SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300 AND SRN325、MARLOQUEST SLを含む)、アクリル酸、マレイン酸(又は無水マレイン酸)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、及びそのあらゆる混合物から選択される少なくとも1種のモノマーを含むポリマーなどのカルボキシラートポリマー、ビニルピロリドンホモポリマー、及び/又はポリエチレングリコール、分子量が500から100,000Daの範囲)を含む再付着防止ポリマー(0.1wt%から10wt%);並びにポリマー性カルボキシラート(マレアート/アクリラートランダムコポリマー又はポリアクリラートホモポリマーなど)などの追加のポリマーを任意選択で含み得る。
【0152】
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12〜C24脂肪酸(0wt%から10wt%);本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の他の沈澱助剤(その例には、多糖類、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド(DADMAC)、及びDAD MACと、ビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハライド、及びこれらの混合物とのランダム又はブロック配置のコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性スターチ、カチオン性ポリアシルアミド、並びにこれらの混合物がある)を任意選択でさらに含み得る。
【0153】
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、並びに/又はこれらの混合物を例とする移染防止剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’−ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(HPNO)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N−二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸、クエン酸及びそのあらゆる塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミン四プロピオン酸(EDTP)、及びその誘導体を例とするキレート剤を、任意選択でさらに含み得る。
【0154】
重質洗濯洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、シリコーン又は脂肪酸系の泡抑制剤;色相染料、カルシウム及びマグネシウムカチオン、視覚シグナリング成分、消泡剤(0.001wt%から約4.0wt%)、並びに/又は、ジグリセリド及びトリグリセリド、エチレングリコールジステアラート、微結晶性セルロース、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ゲランガム、及びこれらの混合物)からなる群から選択されるストラクチュラント/増粘剤(0.01wt%から5wt%)を任意選択で含み得る。そのようなストラクチュラント/増粘剤は、洗剤に含まれる1種以上のポリα−1,3−グルカン化合物に付け加えられるものだろう。
【0155】
本明細書の洗剤は、例えば、重質乾燥/固形洗濯洗剤組成物の形態であり得る。そのような洗剤は、下記を含み得る:(i)洗浄性界面活性剤、例えば、本明細書に開示されるあらゆるアニオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示されるあらゆる非イオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示されるあらゆるカチオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示されるあらゆる双極性イオン及び/又は両性洗浄性界面活性剤、あらゆる両性界面活性剤、あらゆる半極性非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物など;(ii)ビルダー、例えば、あらゆるリン酸塩不含ビルダー(例えば、0wt%から10wt%未満の範囲のゼオライトビルダー)、あらゆるリン酸塩ビルダー(例えば、0wt%から10wt%未満の範囲のトリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩、及びニトリロトリ酢酸、あらゆるケイ酸塩(例えば、0wt%から10wt%未満の範囲のケイ酸ナトリウム若しくはカリウム又はメタケイ酸塩ナトリウム);あらゆる炭酸塩(例えば、0wt%から80wt%未満の範囲の炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム)、並びにこれらの混合物など;(iii)漂白剤、例えば、あらゆる光漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料、及びこれらの混合物)、あらゆる疎水性又は親水性漂白アクチベーター(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホナート、デカノイルオキシベンゼンスルホナート、デカノイルオキシ安息香酸、及びこれらの塩、3,5,5−トリメチ(trimethy)ヘキサノイルオキシベンゼンスルホナート、テトラアセチルエチレンジアミン−TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホナート−NOBS、ニトリルクワット、及びこれらの混合物)、過酸化水素のあらゆる源(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、又は過ケイ酸塩の一水和又は四水和物ナトリウム塩を例とする無機過酸化水素化物塩)、あらゆる予備形成した親水性及び/又は疎水性の過酸(例えば、過カルボン酸及びその塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、過硫酸及び塩、並びにそれらの混合物);並びに/又は(iv)あらゆる他の成分、例えば、漂白触媒(例えば、イミニウムカチオン及びポリイオン、イミニウム双極性イオン、修飾アミン、修飾アミンオキシド、N−スルホニルイミン、N−ホスホニルイミン、N−アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環式糖ケトン、及びこれらの混合物を例とするイミン漂白増強剤)、及び金属含有漂白触媒(例えば、亜鉛又はアルミニウムなどの補助金属カチオン及びEDTA、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)などの封鎖剤に加えて、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン)。
【0156】
本明細書に開示される組成物は、食器洗い洗剤組成物の形態であり得る。食器洗い洗剤の例には、自動食器洗い洗剤(典型的には、食洗機に使用される)及び手洗い食器洗剤がある。食器洗い洗剤組成物は、例えば、本明細書に開示されるあらゆる乾燥又は液体/水性形態でよい。食器洗い洗剤組成物の特定の実施形態において含まれ得る成分には、例えば、リン酸塩;酸素系又は塩素系の漂白剤;非イオン性界面活性剤;アルカリ塩(例えば、メタケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム);本明細書に開示されるあらゆる活性酵素;腐食防止剤(例えば、ケイ酸ナトリウム);消泡剤;セラミックスからの艶及び模様の除去を緩徐化する添加剤;香料;固化防止剤(粒状洗剤において);スターチ(タブレット系の洗剤において);ゲル化剤(液体/ゲル系の洗剤において);及び/又は砂(粉末洗剤)の1つ以上がある。
【0157】
自動食洗機洗剤又は液体食器洗い洗剤などの食器洗い洗剤は、(i)0から10wt%の量で存在する、あらゆるエトキシ化非イオン性界面活性剤、アルコールアルコキシ化界面活性剤、エポキシキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール、又はアミンオキシド界面活性剤を含む非イオン性界面活性剤;(ii)あらゆるリン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩、他のオリゴマー性ポリリン酸塩、トリポリリン酸ナトリウム−STPP)、あらゆるリン酸塩不含ビルダー(例えば、メチルグリシン二酢酸[MGDA]及びその塩又は誘導体、グルタミン酸−N,N−二酢酸[GLDA]及びその塩又は誘導体、イミノジコハク酸(IDS)及びその塩又は誘導体、カルボキシメチルイヌリン及びその塩又は誘導体、ニトリロトリ酢酸[NTA]、ジエチレントリアミン五酢酸[DTPA]、B−アラニン二酢酸[B−ADA]及びその塩を含むアミノ酸系化合物)、ポリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマー並びに部分的又は完全に中和されたその塩、0.5wt%から50wt%の範囲のモノマー性ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸並びにその塩、又は約0.1wt%から約50wt%の範囲のスルホン化/カルボキシル化ポリマーを含む約5〜60wt%の範囲のビルダー;(iii)約0.1wt%から約10wt%の範囲の乾燥助剤(例えば、任意選択で3から6の官能基−典型的には、重縮合につながる酸、アルコール又はエステル官能基を有するさらなるモノマーを有する、ポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、ポリカーボナート−、ポリウレタン−及び/又はポリウレア−ポリオルガノシロキサン化合物又はその前駆体化合物、特に、反応性環状炭酸塩及び尿素タイプのもの);(iv)約1wt%から約20wt%のケイ酸塩(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び結晶性フィロシリケートなどのケイ酸ナトリウム又はカリウム);(v)無機漂白剤(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩などの過酸化水素化物塩)、及び/又は有機漂白剤(例えば、ジアシル−及びテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸などの有機ペルオキシ酸);(vi)漂白アクチベーター(例えば、約0.1wt%から約10wt%の範囲の有機過酸前駆体)、及び/又は漂白触媒(例えば、マンガントリアザシクロノナン及び関連錯体;Co、Cu、Mn、及びFeビスピリジルアミン及び関連錯体;並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連錯体);(vii)約0.1wt%から5wt%の範囲の金属手入れ剤(例えば、ベンザトリアゾール(benzatriazoles)、金属塩、及び錯体、及び/又はケイ酸塩);並びに/又は(viii)自動食器洗い洗剤組成物のグラムあたり約0.01から5.0mgの活性酵素の範囲の本明細書に開示されるあらゆる活性酵素及び酵素安定剤成分(例えば、オリゴ糖、多糖類、及び無機二価金属塩)を含み得る。
【0158】
少なくとも1種のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンなどの四級アンモニウムポリα−1,3−グルカン)を含む洗剤製剤の種々の例が以下に開示される(1〜19)。
1)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約7〜12wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約1〜4wt%のアルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜18アルコール、1〜2エチレンオキシド[EO])又はアルキル硫酸塩(例えば、C16〜18);約5〜9wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C14〜15アルコール);約14〜20wt%の炭酸ナトリウム;約2〜6wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約15〜22wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約0〜6wt%の硫酸ナトリウム;約0〜15wt%のクエン酸ナトリウム/クエン酸;約11〜18wt%の過ホウ酸ナトリウム;約2〜6wt%のTAED;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約0〜3wt%の他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤、光漂白剤)。
【0159】
2)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約6〜11wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約1〜3wt%のアルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜18アルコール、1〜2EO)又はアルキル硫酸塩(例えば、C16〜18);約5〜9wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C14〜15アルコール);約15〜21wt%の炭酸ナトリウム;約1〜4wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約24〜34wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約4〜10wt%の硫酸ナトリウム;約0〜15wt%のクエン酸ナトリウム/クエン酸;約11〜18wt%の過ホウ酸ナトリウム;約2〜6wt%のTAED;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜6wt%の他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤、光漂白剤)。
【0160】
3)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約5〜9wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約7〜14wt%のアルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜18アルコール、7EO);約1〜3wt%の脂肪酸(例えば、C16−22脂肪酸)としての石鹸;約10〜17wt%の炭酸ナトリウム;約3〜9wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約23〜33wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約0〜4wt%の硫酸ナトリウム;約8〜16wt%の過ホウ酸ナトリウム;約2〜8wt%のTAED;約0〜1wt%のホスホナート(例えば、EDTMPA);約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約0〜3wt%の他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤)。
【0161】
4)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約8〜12wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約10〜25wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C12〜18アルコール、7EO);約14〜22wt%の炭酸ナトリウム;約1〜5wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約25〜35wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約0〜10wt%の硫酸ナトリウム;約8〜16wt%の過ホウ酸ナトリウム;約2〜8wt%のTAED;約0〜1wt%のホスホナート(例えば、EDTMPA);約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜3wt%の他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PVP、PEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料)。
【0162】
5)以下を含む、水性液体洗剤組成物:約15〜21wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約12〜18wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C12〜18アルコール、7EO;又はC12〜15アルコール、5EO);約3〜13wt%の脂肪酸(例えば、オレイン酸)としての石鹸;約0〜13wt%のアルケニルコハク酸(C12〜14);約8〜18wt%のアミノエタノール;約2〜8wt%のクエン酸;約0〜3wt%のホスホナート;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約0〜3wt%の他のポリマー(例えば、PVP、PEG);約0〜2wt%のホウ酸塩;約0〜3wt%のエタノール;約8〜14wt%のプロピレングリコール;任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤)。
【0163】
6)以下を含む、水性構造液体洗剤組成物:約15〜21wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約3〜9wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C12〜18アルコール、7EO;又はC12〜15アルコール、5EO);約3〜10wt%の脂肪酸(例えば、オレイン酸)としての石鹸;約14〜22wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約9〜18wt%のクエン酸カリウム;約0〜2wt%のホウ酸塩;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約0〜3wt%の他のポリマー(例えば、PVP、PEG);約0〜3wt%のエタノール;約0〜3wt%のアンカリングポリマー(例えば、ラウリルメタクリラート/アクリル酸コポリマー、モル比25:1、MW 3800);約0〜5wt%のグリセロール;任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、分散剤、泡抑制剤、香料、蛍光増白剤)。
【0164】
7)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約5〜10wt%の脂肪族アルコール硫酸塩、約3〜9wt%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド;約0〜3wt%の脂肪酸としての石鹸;約5〜10wt%の炭酸ナトリウム;約1〜4wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約20〜40wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約2〜8wt%の硫酸ナトリウム;約12〜18wt%の過ホウ酸ナトリウム;約2〜7wt%のTAED;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜5wt%の他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、泡抑制剤、香料)。
【0165】
8)顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約8〜14wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約5〜11wt%のエトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド;約0〜3wt%の脂肪酸としての石鹸;約4〜10wt%の炭酸ナトリウム;約1〜4wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約30〜50wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約3〜11wt%の硫酸ナトリウム;約5〜12wt%のクエン酸ナトリウム;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜5wt%の他のポリマー(例えば、PVP、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、PEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、泡抑制剤、香料)。
【0166】
9)顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約6〜12wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約1〜4wt%の非イオン性界面活性剤;約2〜6wt%の脂肪酸としての石鹸;約14〜22wt%の炭酸ナトリウム;約18〜32wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約5〜20wt%の硫酸ナトリウム;約3〜8wt%のクエン酸ナトリウム;約4〜9wt%の過ホウ酸ナトリウム;約1〜5wt%の漂白アクチベーター(例えば、NOBS又はTAED);約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜5wt%の他のポリマー(例えば、ポリカルボキシラート又はPEG);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、香料)。
【0167】
10)以下を含む、水性液体洗剤組成物:約15〜23wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約8〜15wt%のアルコールエトキシ硫酸塩(例えば、C12〜15アルコール、2〜3EO);約3〜9wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C12〜15アルコール、7EO;又はC12〜15アルコール、5EO);約0〜3wt%の脂肪酸(例えば、ラウリン酸)としての石鹸;約1〜5wt%のアミノエタノール;約5〜10wt%のクエン酸ナトリウム;約2〜6wt%のハイドロトロープ(例えば、トルエンスルホン酸ナトリウム);約0〜2wt%のホウ酸塩;約1wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜3wt%のエタノール;約2〜5wt%のプロピレングリコール;任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、分散剤、香料、蛍光増白剤)。
【0168】
11)以下を含む、水性液体洗剤組成物:約20〜32wt%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(酸として計算);約6〜12wt%のアルコールエトキシラート(例えば、C12〜15アルコール、7EO;又はC12〜15アルコール、5EO);約2〜6wt%のアミノエタノール;約8〜14wt%のクエン酸;約1〜3wt%のホウ酸塩;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約1〜3wt%のエタノール;約2〜5wt%のプロピレングリコール;約0〜3wt%の他のポリマー(例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、ラウリルメタクリラート/アクリル酸コポリマーなどのアンカリングポリマー);約3〜8wt%のグリセロール;任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、ハイドロトロープ、分散剤、香料、蛍光増白剤)。
【0169】
12)少なくとも600g/Lのかさ密度を有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約25〜40wt%のアニオン性界面活性剤(例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルカンスルホン酸塩、石鹸);約1〜10wt%の非イオン性界面活性剤(例えば、アルコールエトキシラート);約8〜25wt%の炭酸ナトリウム;約5〜15wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約0〜5wt%の硫酸ナトリウム;約15〜28wt%のゼオライト(NaAlSiO
4);約0〜20wt%の過ホウ酸ナトリウム;約0〜5wt%の漂白アクチベーター(例えば、TAED又はNOBS);約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜3wt%の微量成分(例えば、香料、蛍光増白剤)。
【0170】
13)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩の全て又は一部が、C12〜C18アルキル硫酸塩に置換されている、上記(1)〜(12)に記載の洗剤組成物。
【0171】
14)少なくとも600g/Lのかさ高さを有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約9〜15wt%のC12〜C18アルキル硫酸塩;約3〜6wt%のアルコールエトキシラート;約1〜5wt%のポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド;約10〜20wt%のゼオライト(例えば、NaAlSiO
4);約10〜20wt%の層状二ケイ酸塩(例えば、HoechstのSK56);約3〜12wt%の炭酸ナトリウム;0〜6wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約4〜8wt%のクエン酸ナトリウム;約13〜22wt%の過炭酸ナトリウム;約3〜8wt%のTAED;約2wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約0〜5wt%の他のポリマー(例えば、ポリカルボキシラート及びPVP);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜5wt%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、光漂白剤、香料、泡抑制剤)。
【0172】
15)少なくとも600g/Lのかさ高さを有する顆粒として製剤された、以下を含む洗剤組成物:約4〜8wt%のC12〜C18アルキル硫酸塩;約11〜15wt%のアルコールエトキシラート;約1〜4wt%の石鹸;約35〜45wt%のゼオライトMAP又はゼオライトA;約2〜8wt%の炭酸ナトリウム;0〜4wt%の可溶性ケイ酸塩(例えば、Na
2O2SiO
2);約13〜22wt%の過炭酸ナトリウム;約1〜8wt%のTAED;約3wt%までのポリα−1,3−グルカンエーテル;約0〜3wt%の他のポリマー(例えば、ポリカルボキシラート及びPVP);任意選択で、約0.0001〜0.1wt%の酵素(純粋な酵素タンパク質として計算);及び約0〜3wt%の微量成分(例えば、蛍光増白剤、ホスホナート、香料)。
【0173】
16)安定化された又はカプセル化された過酸を、追加成分か、既に明示された漂白系の代替として含む、上記(1)〜(15)に記載の洗剤製剤。
【0174】
17)過ホウ酸塩が過炭酸塩に置換されている、上記(1)、(3)、(7)、(9)、及び(12)に記載の洗剤組成物。
【0175】
18)マンガン触媒をさらに含む、上記(1)、(3)、(7)、(9)、(12)、(14)、及び(15)に記載の洗剤組成物。マンガン触媒は、例えば、引用により本明細書に組み込まれるHage et al.(1994,Nature 369:637−639)により記載された化合物の1つである。
【0176】
19)液体非イオン性界面活性剤(例えば、直鎖アルコキシ化一級アルコール)、ビルダー系(例えば、リン酸塩)、ポリα−1,3−グルカンエーテル、任意選択で酵素、及びアルカリを含む、非水性洗剤液体として製剤された洗剤組成物。洗剤は、アニオン性界面活性剤及び/又は漂白系も含み得る。
【0177】
多くの市販の洗剤製剤を、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含むように適合させることができると考えられる。例には、PUREX(登録商標)ULTRAPACKS(Henkel)、FINISH(登録商標)QUANTUM(Reckitt Benckiser)、CLOROX(商標)2 PACKS(Clorox)、OXICLEAN MAX FORCE POWER PAKS(Church & Dwight)、TIDE(登録商標)STAIN RELEASE、CASCADE(登録商標)ACTIONPACS、及びTIDE(登録商標)PODS(商標)(Procter & Gamble)がある。
【0178】
本明細書に開示される組成物は、オーラルケア組成物の形態であり得る。オーラルケア組成物の例には、歯磨き、練り歯磨き、マウスウォッシュ、マウスリンス、チューイングガム、及びある形態のオーラルケア(例えば、穴[虫歯]、歯肉炎、プラーク、歯石、及び/又は歯周病の治療又は予防)を提供する可食ストリップがある。オーラルケア組成物は、「口腔面」を処理するためでもあり得るが、口腔面は、舌の表面、硬口蓋及び軟口蓋、頬側粘膜、歯肉、並びに歯の表面を含む、口腔内のあらゆる柔らかい又は硬い表面を包含する。本明細書の「歯の表面」は、例えば、天然歯の表面又は歯冠、金冠、充填材、ブリッジ、義歯、若しくは歯科インプラントを含む人工の歯の硬い表面である。
【0179】
オーラルケア組成物に含まれる1種以上のポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、典型的には、増粘剤及び/又は分散剤としてその中に提供され、それらは、組成物に所望の粘稠性及び/又は舌触りを与えるのに有用になり得る。本明細書のオーラルケア組成物は、例えば、約0.01〜15.0wt%(例えば、約0.1〜10wt%又は約0.1〜5.0wt%、約0.1〜2.0wt%)の1種以上の本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカン及び/又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンなどの四級アンモニウムポリα−1,3−グルカン)を含み得る。例えば、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン(例えば、L−カラギーナン)、天然ゴム(例えば、カラヤ、キサンタン、アラビアゴム、トラガカント)、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム、又はコロイダルシリカなどの、1種以上の他の増粘剤及び/又は分散剤も、本明細書のオーラルケア組成物に与えられていてよい。
【0180】
本明細書のオーラルケアは、例えば、練り歯磨きでも他の歯磨きでもよい。そのような組成物並びに本明細書のあらゆる他のオーラルケア組成物は、非限定的に、う歯予防剤、抗菌剤又は抗菌剤、歯石予防剤又は歯石制御剤、界面活性剤、研磨剤、pH調整剤、発泡調整剤、保水剤、香味剤、甘味剤、顔料/着色剤、美白剤、及び/又は他の好適な成分の1つ以上をさらに含み得る。1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を加えることができるオーラルケア組成物の例は、引用により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0134025号明細書、同第2002/0022006号明細書、及び同第2008/0057007号明細書に開示されている。
【0181】
本明細書のう歯予防剤は、経口的に許容できるフッ化物イオンの源でよい。フッ化物イオンの好適な源には、例えば、フッ化物塩、モノフルオロリン酸塩、及びフルオロケイ酸塩、並びにオラフルル(N’−オクタデシルトリメチレンジアミン−N,N,N’−トリス(2−エタノール)−ジヒドロフルオリド)を含むフッ化アミンがある。う歯予防剤は、例えば、合計で約100〜20000ppm、約200〜5000ppm、又は約500〜2500ppmのフッ化物イオンを組成物に与える量で存在してよい。フッ化ナトリウムがフッ化物イオンの唯一の源であるオーラルケア組成物において、例えば、約0.01〜5.0wt%、約0.05〜1.0wt%、又は約0.1〜0.5wt%の量のフッ化ナトリウムが組成物に存在してよい。
【0182】
本明細書のオーラルケア組成物における使用に好適な抗微生物剤又は抗菌剤には、例えば、フェノール系化合物(例えば、4−アリルカテコール;ベンジルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、及びプロピルパラベンなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル;2−ベンジルフェノール;ブチル化ヒドロキシアニソール;ブチル化ヒドロキシトルエン;カプサイシン;カルバクロール;クレオソール;オイゲノール;グアイアコール;ヘキサクロロフェン及びブロモクロロフェンなどのハロゲン化ビスフェノール;4−ヘキシルレゾルシノール;8−ヒドロキシキノリン及びその塩;サリチル酸メンチル、サリチル酸メチル、及びサリチル酸フェニルなどのサリチル酸エステル;フェノール;ピロカテコール;サリチルアニリド;チモール;トリクロサン及びトリクロサンモノホスファートなどのハロゲン化ジフェニルエーテル化合物)、銅(II)化合物(例えば、塩化銅(II)、フッ化銅、硫酸銅、及び水酸化銅)、亜鉛イオン源(例えば、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリシン亜鉛、酸化亜鉛、及び硫酸亜鉛)、フタル酸及びその塩(例えば、フタル酸一カリウムマグネシウム)、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、ドミフェンブロミド、塩化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム)、ヨウ素、スルホンアミド、ビスビグアニド(例えば、アレキシジン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンジグルコン酸塩)、ピペリジノ誘導体(例えば、デルモピノール、オクタピノール)、マグノリアエキス、ブドウ種子エキス、ローズマリーエキス、メントール、ゲラニオール、シトラール、オイカリプトール、抗生物質(例えば、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン)、並びに/又は引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5776435号明細書に開示されている抗菌剤がある。1種以上の抗微生物剤は、任意選択で、例えば、約0.01〜10wt%(例えば、0.1〜3wt%)で、開示されるオーラルケア組成物に存在してよい。
【0183】
本明細書のオーラルケア組成物における使用に好適な歯石予防剤又は歯石制御剤には、例えば、リン酸塩及びポリリン酸塩(例えば、ピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、ポリオレフィンスルホン酸塩、ポリオレフィンリン酸塩、二リン酸塩(例えば、アザシクロへプタン−2,2−ジホスホン酸などのアザシクロアルカン−2,2−ジホスホナート)、N−メチルアザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(EHDP)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホナート、及び/又はホスホノアルカンカルボン酸及びその塩(例えば、そのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩)がある。有用な無機リン酸塩及びポリリン酸塩には、例えば、一塩基性、二塩基性、及び三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸塩、モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラ−ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、又はナトリウムがカリウム若しくはアンモニウムに替えられたこれらのいずれかがある。特定の実施形態における他の有用な歯石予防剤には、アニオン性ポリカルボキシラートポリマー(例えば、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーなどの、アクリル酸、メタクリル酸、及び無水マレイン酸のポリマー又はコポリマー)がある。さらに他の有用な歯石予防剤には、ヒドロキシカルボン酸(例えば、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、グルタル酸、及びシュウ酸、並びにその塩)及びアミノポリカルボン酸(例えば、EDTA)などの金属封鎖剤がある。1種以上の歯石予防剤又は歯石制御剤は、任意選択で、例えば、約0.01〜50wt%(例えば、約0.05〜25wt%又は約0.1〜15wt%)で、開示されるオーラルケア組成物に存在してよい。
【0184】
本明細書のオーラルケア組成物における使用に好適な界面活性剤は、例えば、アニオン性でも、非イオン性でも、両性でもよい。好適なアニオン性界面活性剤には、非限定的に、C
8〜20アルキル硫酸、C
8〜20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシナート、及びタウラートの水溶性塩がある。アニオン性界面活性剤の例には、ラウリル硫酸
ナトリウム、ココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシンナトリウム、ラウリルイソエチオン酸(isoethionate)ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがある。好適な非イオン性界面活性剤には、非限定的に、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪族アルコールエトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、三級アミンオキシド、三級ホスフィンオキシド、及びジアルキルスルホキシドがある。好適な両性界面活性剤には、非限定的に、カルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、又はホスホナートなどのアニオン性基を有するC
8〜20脂肪族二級及び三級アミンの誘導体がある。好適な両性界面活性剤の例は、ココアミドプロピル(cocoamidopropyl)ベタインである。1種以上の界面活性剤は、任意選択で、例えば、約0.01〜10wt%(例えば、約0.05〜5.0wt%又は約0.1〜2.0wt%)の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。
【0185】
本明細書のオーラルケア組成物における使用に好適な研磨剤は、例えば、シリカ(例えば、シリカゲル、含水シリカ、沈降シリカ)、アルミナ、不溶性リン酸塩、炭酸カルシウム、及び樹脂性研磨剤(例えば、尿素−ホルムアルデヒド縮合生成物)を含み得る。本明細書の研磨剤として有用な不溶性リン酸塩の例は、オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩、及びピロリン酸塩であり、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、β−ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び不溶性ポリメタリン酸ナトリウムがある。1種以上の研磨剤は、任意選択で、例えば、約5〜70wt%(例えば、約10〜56wt%又は約15〜30wt%)の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。特定の実施形態における研磨剤の平均粒径は、約0.1〜30ミクロン(例えば、約1〜20ミクロン又は約5〜15ミクロン)である。
【0186】
特定の実施形態におけるオーラルケア組成物は、少なくとも1種のpH調整剤を含み得る。そのような作用物質は、組成物のpHを、約2〜10のpH範囲(例えば、約2〜8、3〜9、4〜8、5〜7、6〜10、又は7〜9の範囲のpH)に酸性化し、より塩基性にし、又は緩衝するように選択することができる。本明細書に有用なpH調整剤の例には、非限定的に、カルボン酸、リン酸、及びスルホン酸;酸性塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、リンゴ酸一ナトリウム);アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウムなどの炭酸塩);ホウ酸塩;ケイ酸塩;リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩);並びにイミダゾールがある。
【0187】
本明細書のオーラルケア組成物における使用に好適な発泡調整剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)でよい。例えば、平均分子量が約200000〜7000000(例えば、約500000〜5000000又は約1000000〜2500000)であるものを含む高分子量PEGが好適である。1種以上のPEGは、任意選択で、例えば、約0.1〜10wt%(例えば、約0.2〜5.0wt%又は約0.25〜2.0wt%)の総量で、開示されたオーラルケア組成物に存在する。
【0188】
特定の実施形態におけるオーラルケア組成物は、少なくとも1種の保水剤を含み得る。特定の実施形態における保水剤は、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、又は低分子量PEGなどの多価アルコールであり得る。最適な保水剤は、本明細書において甘味剤としても作用し得る。1種以上の保水剤は、任意選択で、例えば、約1.0〜70wt%(例えば、約1.0〜50wt%、約2〜25wt%、又は約5〜15wt%)の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。
【0189】
天然又は人工の甘味剤は、任意選択で、本明細書のオーラルケア組成物に含まれてよい。好適な甘味剤の例には、デキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ(例えば、高果糖コーンシロップ又は固形コーンシロップ)、デンプン部分加水分解物、加水分解水添デンプン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリン及びその塩、ジペプチド系の強力な甘味剤、及びシクラマートがある。1種以上の甘味剤は、任意選択で、例えば、約0.005〜5.0wt%の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。
【0190】
天然又は人工の香味剤は、任意選択で、本明細書のオーラルケア組成物に含まれてよい。好適な香味剤の例には、バニリン;セージ;マジョラム;パセリオイル;スペアミントオイル;シナモンオイル;ウィンターグリーンのオイル(サリチル酸メチル);ハッカ油;クローブオイル;ベイ油;アニス油;ユーカリオイル;かんきつ油;果実油;レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アプリコット、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴ、チェリー、又はパイナップルから誘導されたものなどのエッセンス;コーヒー、ココア、コラ、ピーナッツ、又はアーモンドなどの豆又はナッツ由来の香り;並びに吸着及びカプセル化された香味剤がある。冷却又は温熱効果を含む、香り及び/又は他の感覚効果を口内に与える成分も本明細書の香味剤の中に包含される。そのような成分には、非限定的に、メントール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、カンファー、ユーカリオイル、オイカリプトール、アネトール、オイゲノール、カシア、オキサノン、Irisone(登録商標)、プロペニルグアイエトール(guaiethol)、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミン(carboxamine)、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、3−(1−メントキシ)−プロパン−1,2−ジオール、シンナムアルデヒドグリセロールアセタール(CGA)、及びメントングリセロールアセタール(MGA)がある。1種以上の香味剤は、任意選択で、例えば、約0.01〜5.0wt%(例えば、約0.1〜2.5wt%)の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。
【0191】
特定の実施形態におけるオーラルケア組成物は、少なくとも1種の炭酸水素塩を含み得る。例えば、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、及び炭酸水素アンモニウムを含む、あらゆる経口的に許容できる炭酸水素塩を使用できる。1種以上の炭酸水素塩は、任意選択で、例えば、約0.1〜50wt%(例えば、約1〜20wt%)の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。
【0192】
特定の実施形態におけるオーラルケア組成物は、少なくとも1種の美白剤及び/又は着色剤を含み得る。好適な美白剤は、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第8540971号明細書に開示されているもののいずれかなどのペルオキシド化合物である。本明細書の好適な着色剤には、例えば、顔料、染料、レーキ、及び真珠光沢剤などの特定の光沢又は反射力を付与する作用物質がある。本明細書において有用な着色剤の具体例には、タルク;マイカ;炭酸マグネシウム;炭酸カルシウム;ケイ酸マグネシウム;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;シリカ;二酸化チタン;酸化亜鉛;赤色、黄色、茶色、及び黒色酸化鉄;鉄アンモニウムフェロシアニド;マンガンバイオレット;ウルトラマリン;チタン化マイカ;及びオキシ塩化ビスマスがある。1種以上の着色剤は、任意選択で、例えば、約0.001〜20wt%(例えば、約0.01〜10wt%又は約0.1〜5.0wt%)の総量で、開示されるオーラルケア組成物に存在する。
【0193】
本明細書の経口組成物に任意選択で含まれ得る追加成分には、例えば、1種以上の酵素(上記)、ビタミン類、及び付着防止剤がある。本明細書において有用なビタミン類の例には、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB5、及び葉酸がある。好適な付着防止剤の例には、ソルブロール、フィシン、及びクオラムセンシング阻害剤がある。
【0194】
開示される発明は、水性組成物の粘度を増加させる方法にも関する。この方法は、本明細書に開示される1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を水性組成物と接触させることを含む。この工程は、水性組成物の粘度の増加をもたらす。この方法に使用されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、以下の構造により表すことができる。
【化10】
この構造の式に関して、nは少なくとも6でよく、各Rは、独立に、Hでも正電荷を帯びた有機基でもよい。さらに、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する。本明細書に開示されるあらゆる親水コロイド及び水溶液は、この方法を利用して製造できる。
【0195】
本明細書の水性組成物は、例えば、水(例えば、脱イオン水)、水溶液、又は親水コロイドであり得る。約20〜25℃で測定された接触工程前の水性組成物の粘度は、例えば、約0〜10000cPs(或いは0〜10000cPsの間のあらゆる整数)であり得る。特定の実施形態において水性組成物は親水コロイドなどになり得るので、方法を利用して、既に粘性がある水性組成物の粘度を増加させ得ることも明らかなはずである。
【0196】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を水性組成物と接触させると、特定の実施形態において、水性組成物の粘度が増加する。この粘度増加は、接触工程前の水性組成物の粘度に比べて、例えば、少なくとも約1%、10%、100%、1000%、100000%、又は1000000%(或いは1%と1000000%の間のあらゆる整数)の増加であり得る。水性組成物が接触工程前にほとんど又は全く粘度を持たない場合に、非常に大きい粘度増加パーセントが、開示される方法により得られることが明らかなはずである。
【0197】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を水性組成物と接触させると、特定の実施形態において、水性組成物のずり流動化挙動又はずり粘稠化挙動が増加する。そのため、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、これらの実施形態において、レオロジー的に水性組成物を調整する。ずり流動化又はずり粘稠化挙動の増加は、接触工程前の水性組成物のずり流動化又はずり粘稠化挙動に比べて、例えば、少なくとも約1%、10%、100%、1000%、100000%、又は1000000%(或いは1%と1000000%の間のあらゆる整数)の増加であり得る。水性組成物が、接触工程前に、ほとんど又は全くレオロジー的挙動を有さない場合に、非常に大きいレオロジー調整の増加パーセントが、開示される方法により得られることが明らかなはずである。
【0198】
接触工程は、本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を、当技術分野に公知である任意の手段により、水性組成物に混合又は溶解させることにより実施できる。例えば、混合又は溶解は、手作業でも、機械(例えば、工業用ミキサー又はブレンダー、オービタルシェーカー、撹拌プレート、ホモジェナイザー、超音波処理器、ビーズミル)によっても実施できる。混合又は溶解は、特定の実施形態において均質化工程を含み得る。均質化(並びにあらゆる他の種類の混合)は、約5から60、5から30、10から60、10から30、5から15、若しくは10から15秒(或いは5と60秒の間のあらゆる整数)、又はポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を水性組成物と混合するのに必要なさらに長い期間実施できる。ホモジェナイザーを、例えば、約5000から30000rpm、10000から30000rpm、15000から30000rpm、15000から25000rpm、又は20000rpm(或いは5000と30000rpmの間のあらゆる整数)で使用できる。均質化工程を利用して調製された本明細書に開示される親水コロイド及び水溶液は、均質化された親水コロイド及び水溶液と称され得る。
【0199】
ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が水性組成物と混合されるか、水性混合物中に溶解された後、生じた水性組成物は、濾過しても、濾過しなくてもよい。例えば、均質化工程により調製された水性組成物は、濾過してもしなくてもよい。
【0200】
上記方法の特定の実施形態を利用して、家庭用品(例えば、洗濯洗剤、衣類柔軟剤、食洗機洗剤)、パーソナルケア製品(例えば、練り歯磨きなどの水含有歯磨き)、又は工業製品などの本明細書に開示される水性組成物を調製できる。
【0201】
開示される発明は、材料を処理する方法にも関する。この方法は、材料を、少なくとも1種の本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む水性組成物と接触させることを含む。この方法に使用されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、以下の構造により表される。
【化11】
この構造の式に関して、nは少なくとも6でよく、各Rは、独立に、Hでも正電荷を帯びた有機基でもよい。さらに、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する。
【0202】
本明細書の接触方法において水性組成物と接触させられる材料は、特定の実施形態において布地を含む。本明細書の布地は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、又はこれらのあらゆる組み合わせを含み得る。本明細書の半合成繊維は、化学的に誘導体化された天然の材料を使用して製造され、その例はレーヨンである。本明細書の布地種類の非限定的な例には、(i)綿(例えば、広幅生地、キャンバス、シャンブレー、シュニール、チンツ、コーデュロイ、クレトン、ダマスク、デニム、フランネル、ギンガム、ジャカード、ニット、マトラッセ、オックスフォード、パーケル、ポプリン、プリセ、綿じゅす、シアサッカー、シーア、テリー織、綾織、ベルベット)、レーヨン(例えば、ビスコース、モダール、リヨセル)、亜麻糸、及びTencel(登録商標)などのセルロース繊維でできた布地;(ii)絹、ウール、及び関連する哺乳類の繊維などのタンパク質性繊維でできた布地;(iii)ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの合成繊維でできた布地;(iv)ジュート、フラックス、ラミー、コイア、カポック、サイザル、ヘニケン、アバカ、麻、及びサンヘンプから得た長い植物性繊維でできた布地;並びに(v)(i)〜(iv)の布地のあらゆる組み合わせがある。複数の繊維の種類の組み合わせ(例えば、天然と合成)を含む布地には、例えば、綿繊維とポリエステルの両方を有するものがある。本明細書の1種以上の布地を含む材料/物品には、例えば、衣類、カーテン、ドレープ、室内装飾材料、敷物類、ベッドリネン、バスリネン、テーブルクロス、寝袋、テント、自動車内装などがある。天然繊維及び/又は合成繊維を含む他の材料には、例えば、不織布、詰め物、紙、及びフォームがある。
【0203】
布地と接触させられる水性組成物は、例えば、衣類手入れ組成物(例えば、洗濯洗剤、衣類柔軟剤)であり得る。そのため、特定の実施形態における処理方法は、衣類手入れ組成物をその中に利用する場合、衣類手入れ方法又は洗濯方法であると考えられ得る。本明細書の衣類手入れ組成物は、以下の衣類手入れ利点(すなわち表面実在効果)の1つ以上をもたらし得る:しわの除去、しわの減少、防しわ性、布地の摩耗の減少、布地の耐摩耗性、布地の毛玉減少、布地の色の維持、布地の退色減少、布地の色回復、布地の汚れ減少、布地の汚れ放出、布地の形状保持、布地のなめらかさ増大、布地上の汚れの再付着防止、洗濯物の灰色化防止、布地の風合い/感触改善、及び/又は布地の縮み減少。
【0204】
本明細書の衣類手入れ方法又は洗濯方法を実施する条件(例えば、時間、温度、洗液/すすぎ体積)の例は、引用により本明細書に組み込まれる国際公開第1997/003161号パンフレット並びに米国特許第4794661号明細書、同第4580421号明細書、及び同第5945394号明細書に開示されている。他の例において、布地を含む材料は、本明細書の水性組成物と、(i)少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、又は120分間;(ii)少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95℃の温度で(例えば、洗濯物洗浄又はすすぎに関して:約15〜30℃の「低」温、約30〜50℃の「中」温、約50〜95℃の「高」温);(iii)約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12のpHで(例えば、約2〜12、又は約3〜11のpH範囲);(iv)少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、又は4.0wt%の塩(例えば、NaCl)濃度で;或いは(i)〜(iv)のあらゆる組み合わせで接触させることができる。
【0205】
衣類手入れ方法又は洗濯方法における接触工程は、例えば、洗浄、漬け置き、及び/又はすすぎ工程のいずれも含み得る。なおさらなる実施形態における材料又は布地の接触は、有効量の本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を、布地又は材料に溶解する、混合する、振とうする、噴霧する、処理する、浸す、流す、その上又は中に注ぐ、合わせる、塗る、コーティングする、当てる、それに付ける、且つ/又はそれに伝えることなど、当技術分野に公知であるあらゆる手段により実施できる。なおさらなる実施形態において、接触を利用して、表面実在効果を与えるように布地を処理できる。本明細書では、用語「布地風合い」又は「感触」は、肉体的、生理学的、心理学的、社会的、又はこれらのあらゆる組み合わせであり得る、布地に対する人間の触覚の感覚応答を指す。一実施形態において、布地の風合いは、相対的な風合い値を測定するためのPhabrOmeter(登録商標)System(Nu Cybertek,Inc.Davis,CAから市販)(American Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC test method“202−2012,Relative Hand Value of Textiles:Instrumental Method”))を利用して測定できる。
【0206】
布地を含む材料を処理する特定の実施形態において、水性組成物のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物成分(複数可)は布地に吸着する。この特徴は、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンなどの四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル化合物)を、(その粘度調整効果に加えて)本明細書に開示される布地手入れ組成物における再付着防止剤及び/又は灰色化防止剤として有用にすると考えられる。本明細書の再付着防止剤又は灰色化防止剤は、汚れが除去された後に、洗浄水中で汚れが衣類に再び沈着するのを防ぐのに役立つ。1種以上の本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の布地への吸着が布地の機械的性質を増強することがさらに企図される。
【0207】
以下の実施例は、四級アンモニウムポリα−1,3−グルカン(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン)などのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が、天然の布地(綿、クレトン)と合成の布地(ポリエステル)の両方並びにそのブレンド(ポリエステル/クレトン)に吸着できることを表す。この結果は、カルボキシメチルセルロース(CMC)が、ポリエステル及びポリエステル/綿ブレンドに吸着しないか、又はごくわずかしか吸着しないことを考えると注目に値する(例えば、欧州特許出願公開第0035478号明細書参照)。そのため、本明細書の処理方法の特定の実施形態において、カチオン性ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンなどの四級アンモニウムポリα−1,3−グルカン)は、天然繊維(例えば、綿)及び/又は合成繊維(例えば、ポリエステル)を含む材料に吸着する。そのような吸着は、任意選択で、例えば、約1〜2wt%の塩(例えば、NaCl)、及び/又は約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、若しくは9.5のpHの条件下であり得る。
【0208】
ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の本明細書の布地への吸着は、例えば、以下の実施例に開示される方法に従って測定できる。或いは、吸着は、比色定量技法を利用して(例えば、Dubois et al.,1956,Anal.Chem.28:350−356;Zemljic et al.,2006,Lenzinger Berichte 85:68−76;両方とも引用により本明細書に組み込まれる)、又は当技術分野に公知であるあらゆる他の方法を利用して測定できる。
【0209】
上記の処理方法において接触させることができる他の材料には、食器洗剤(例えば、自動食器洗い洗剤又は手洗い食器洗剤)により処理できる表面がある。そのような材料の例には、セラミック材料、陶磁器、金属、ガラス、プラスティック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木から作られた皿、グラス、ポット、平鍋、オーブン皿、台所用品、及び平皿類(本明細書において、集合的に「食卓用器具」と称される)の表面がある。そのため、特定の実施形態における処理方法は、例えば、食器洗浄方法又は食卓用器具洗浄方法と考えることができる。本明細書の食器洗浄又は食卓用器具洗浄方法を実施する条件(例えば、時間、温度、洗浄体積)の例は、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第8575083号明細書に開示されている。他の例において、食卓用器具物品は、布地を含む材料を接触させることに関して先に開示された条件のいずれかなど、好適なセットの条件下で、本明細書の水性組成物と接触させることができる。
【0210】
上記処理方法において接触させることができる他の材料には、舌の表面、硬口蓋及び軟口蓋、頬側粘膜、歯肉、及び歯の表面(例えば、天然歯又は歯冠、金冠、充填材、ブリッジ、義歯、若しくは歯科インプラントなどの人工歯の硬い表面)を含む、口腔内の柔らかい又は硬い表面などの口腔面がある。そのため、特定の実施形態における処理方法は、例えば、オーラルケア方法又は歯の手入れ方法と考えられ得る。口腔面を本明細書の水性組成物と接触させる条件(例えば、時間、温度)は、そのような接触を行う意図された目的に好適でなくてはならない。処理方法において接触させることができる他の表面には、皮膚、髪、又は爪などの外皮系の表面もある。
【0211】
そのため、開示される発明の特定の実施形態は、本明細書のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む材料(例えば、布地)に関する。そのような材料は、例えば、開示される材料処理方法に従って製造できる。材料は、グルカンエーテル化合物が材料の表面に吸着するか、又は他の方法で接触する場合に、特定の実施形態においてグルカンエーテル化合物を含み得る。
【0212】
本明細書の材料を処理する方法の特定の実施形態は乾燥工程をさらに含み、そこで、材料が、水性組成物との接触後に乾燥される。乾燥工程は、接触工程の後に直接にでも、接触工程に続き得る1つ以上の追加の工程の後でも実施できる(例えば、本明細書の水性組成物中での洗浄後、例えば水中でのすすぎの後の布地の乾燥)。乾燥は、例えば、風乾(例えば、約20〜25℃)又は少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、170、175、180、若しくは200℃の温度でなど当技術分野に公知であるいくつかの手段のいずれによっても実施できる。本明細書の乾燥された材料には、典型的には、3未満、2、1、0.5、又は0.1wt%の水が含まれている。布地は、任意選択の乾燥工程を実施するために好ましい材料である。
【0213】
本明細書の処理方法に使用される水性組成物は、上記の実施形態中又は以下の実施例中など、本明細書に開示されるあらゆる水性組成物でよい。そのため、水性組成物のポリα−1,3−グルカンエーテル成分は、本明細書に開示されるいずれでもよい。水性組成物の例には、洗剤(例えば、洗濯洗剤又は食器洗剤)、及び練り歯磨きなどの水含有歯磨きがある。
【0214】
開示される発明は、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造する方法にも関する。この方法は、ポリα−1,3−グルカンを、アルカリ条件下での反応物中で、正電荷を帯びた有機基を含む少なくとも1種のエーテル化剤と接触させることを含み、正電荷を帯びた有機基はポリα−1,3−グルカンにエーテル化されて、それにより以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が製造される:
【化12】
(式中
(i)nは少なくとも6であり、
(ii)各Rは、独立に、H又は正電荷を帯びた有機基であり、且つ
(iii)化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する)。
この方法により製造されるポリα−1,3−グルカンエーテルは、任意選択で、単離できる。この方法は、エーテル化反応を含むと考えることができる。
【0215】
ポリα−1,3−グルカンは、アルカリ条件下での反応物中で、正電荷を帯びた有機基を含む少なくとも1種のエーテル化剤と接触させられる。この工程は、例えば、ポリα−1,3−グルカンを溶媒及び1種以上のアルカリ水酸化物と接触させて溶液又は混合物を与えることにより、最初にアルカリ条件を準備することにより実施できる。このように、反応のアルカリ条件は、アルカリ水酸化物溶液を含み得る。アルカリ条件のpHは、少なくとも約11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、又は13.0であり得る。
【0216】
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、及び/又は水酸化テトラエチルアンモニウムなど、様々なアルカリ水酸化物を使用できる。ポリα−1,3−グルカン及び溶媒を含む調合物中のアルカリ水酸化物の濃度は、約1〜70wt%、5〜50wt%、10〜50wt%、10〜40wt%、又は10〜30wt%(又は1と70wt%の間の任意の整数)になり得る。或いは、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水酸化物の濃度は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30wt%になり得る。アルカリ条件を準備するために使用されるアルカリ水酸化物は、完全な水溶液中でも、エタノール又はイソプロパノールなどの1種以上の水溶性有機溶媒を含む水溶液中でもよい。或いは、アルカリ水酸化物を固体として加えて、アルカリ条件を与えることができる。
【0217】
反応物を調製する際に任意選択で含まれてよい様々な有機溶媒には、例えば、アルコール、アセトン、ジオキサン、イソプロパノール及びトルエンがある。これらの溶媒はいずれも、ポリα−1,3−グルカンを溶解しない。トルエン又はイソプロパノールを、特定の実施形態において使用できる。有機溶媒を加えるのは、アルカリ水酸化物の添加の前でも後でもよい。ポリα−1,3−グルカン及びアルカリ水酸化物を含む調合物中の有機溶媒(例えば、イソプロパノール又はトルエン)の濃度は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は90wt%(又は10と90wt%の間の任意の整数)になり得る。
【0218】
或いは、ポリα−1,3−グルカンを溶解できる溶媒を、反応物調製の際に使用できる。これらの溶媒には、塩化リチウム(LiCl)/N,N−ジメチル−アセトアミド(DMAc)、SO
2/ジエチルアミン(DEA)/ジメチルスルホキシド(DMSO)、LiCl/1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)/N
2O
4、DMSO/テトラブチル−アンモニウムフルオリド三水和物(TBAF)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)、Ni(トレン)(OH)
2[トレン1/4トリス(2−アミノエチル)アミン]水溶液及びLiClO
4・3H
2Oのメルト、NaOH/尿素水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、ギ酸、及びイオン液体があるが、これらに限定されない。
【0219】
ポリα−1,3−グルカンを、混合により、溶媒及び1種以上のアルカリ水酸化物と接触させることができる。そのような混合は、これらの成分を互いに加える間にでも、その後にでも実施できる。混合は、例えば、手作業の混合、オーバーヘッドミキサーを使用する混合、磁気撹拌子を使用する混合、又は振とうにより実施できる。特定の実施形態において、ポリα−1,3−グルカンを、溶媒及び/又はアルカリ水酸化物との混合の前に、最初に水又は水溶液に混合できる。
【0220】
ポリα−1,3−グルカン、溶媒、及び1種以上のアルカリ水酸化物を互いに接触させた後、生じた組成物を、任意選択で、周囲温度で、最長14日間保つことができる。本明細書での用語「周囲温度」は、約15〜30℃又は20〜25℃(又は15と30℃の間の任意の整数)の温度を指す。或いは、組成物を、還流あり又は還流なしで、約30℃から約150℃(又は30と150℃の間の任意の整数)の温度で、最長約48時間加熱することができる。特定の実施形態における組成物は、約55℃で約30分間又は60分間加熱できる。このように、ポリα−1,3−グルカン、溶媒、及び1種以上のアルカリ水酸化物を互いに混合して得られた組成物は、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60℃で、約30〜90分間加熱できる。
【0221】
ポリα−1,3−グルカン、溶媒、及び1種以上のアルカリ水酸化物を互いに接触させた後、生じた組成物を、(温度処理工程を適用して、又は適用せずに)任意選択で濾過できる。そのような濾過は、漏斗、遠心分離機、プレスフィルター、又は当技術分野に公知である、固体から液体を除去できる任意の他の方法及び/若しくは装置を利用して実施できる。濾過はアルカリ水酸化物の多くを除去するだろうが、濾過されたポリα−1,3−グルカンはアルカリ性のままであり(すなわち苛性処理されたポリα−1,3−グルカン)、それによりアルカリ条件を与えるだろう。
【0222】
正電荷を帯びた有機基を含むエーテル化剤を、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造する本明細書での方法において、アルカリ条件下での反応物においてポリα−1,3−グルカンと接触させてもよい。例えば、エーテル化剤は、上述の通りポリα−1,3−グルカン、溶媒、及び1種以上のアルカリ水酸化物を互いに接触させて調製された組成物に加えることができる。或いは、エーテル化剤を、アルカリ条件を準備する時に含めることができる(例えば、エーテル化剤を、アルカリ水酸化物との混合の前にポリα−1,3−グルカン及び溶媒と混合できる)。
【0223】
本明細書のエーテル化剤は、ポリα−1,3−グルカンのグルコース単位の1つ以上のヒドロキシル基を、上記で定義された正電荷を帯びた有機基とエーテル化するのに使用できる作用物質を指す。1種以上のエーテル化剤が反応に使用され得る。
【0224】
エーテル化剤は、ポリα−1,3−グルカンを、正電荷を帯びた有機基とエーテル化できるものであり得るが、ここで、正電荷を帯びた有機基の炭素鎖は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による置換のみを有する。そのようなエーテル化剤の例には、硫酸ジアルキル、炭酸ジアルキル、ハロゲン化アルキル(例えば、塩化アルキル)、ヨードアルカン、アルキルトリフラート(アルキルトリフルオロメタンスルホナート)、及びアルキルフルオロスルホナートがあり、ここで、これら作用物質のそれぞれのアルキル基(複数可)は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による1つ以上の置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例には、硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、塩化メチル、ヨードメタン、メチルトリフラート、及びメチルフルオロスルホナートがあり、ここで、これら作用物質のそれぞれのメチル基(複数可)は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例には、硫酸ジエチル、炭酸ジエチル、塩化エチル、ヨードエタン、エチルトリフラート、及びエチルフルオロスルホナートがあり、ここで、これら作用物質のそれぞれのエチル基(複数可)は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例には、硫酸ジプロピル、炭酸ジプロピル、塩化プロピル、ヨードプロパン、プロピルトリフラート、及びプロピルフルオロスルホナートがあり、ここで、これら作用物質のそれぞれのプロピル基(複数可)は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による1つ以上の置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例には、硫酸ジブチル、炭酸ジブチル、塩化ブチル、ヨードブタン、及びブチルトリフラートがあり、ここで、これら作用物質のそれぞれのブチル基(複数可)は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による1つ以上の置換を有する。
【0225】
エーテル化剤は、ポリα−1,3−グルカンを、正電荷を帯びた有機基とエーテル化できるものであり得るが、ここで、正電荷を帯びた有機基の炭素鎖は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による置換の他に置換(例えば、ヒドロキシル基)を有する。そのようなエーテル化剤の例には、ヒドロキシプロピルハライド及びヒドロキシブチルハライドなどのヒドロキシアルキルハライド(例えば、ヒドロキシアルキルクロリド)があり、ここで、これら作用物質のそれぞれの末端炭素は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による置換を有する。例は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムである。そのようなエーテル化剤の他の例には、プロピレンオキシド(例えば、1,2−プロピレンオキシド)及びブチレンオキシド(例えば、1,2−ブチレンオキシド;2,3−ブチレンオキシド)などのアルキレンオキシドがあり、これら作用物質のそれぞれの末端炭素は、正電荷を帯びた基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換されているアンモニウム基)による置換を有する。
【0226】
前記エーテル化剤の例のいずれかに含まれる置換されているアンモニウム基は、一級でも、二級でも、三級でも、四級アンモニウム基でもよい。二級、三級、及び四級アンモニウム基の例は構造Iに表されており、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル、エチル、プロピル、若しくはブチル基などのアルキル基を表す。
【0227】
本明細書のエーテル化剤は、典型的には、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、又はヨウ化物塩として提供され得る(前記ハライドのそれぞれがアニオンとして作用する場合)。
【0228】
本明細書に開示されるエーテル化剤のいずれを組み合わせて、2種以上の異なる正電荷を帯びた有機基を有するポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造してもよい。そのような2種以上のエーテル化剤を、同時に反応に使用しても、連続的に反応に使用してもよい。連続的に使用する場合、以下に開示される温度処理(例えば、加熱)工程のいずれも、任意選択で、各添加の間に利用できる。正電荷を帯びた有機基のそれぞれの所望のDoSを制御するために、エーテル化剤の連続的な導入を選択できる。一般的に、あるエーテル化剤がエーテル生成物中に形成する正電荷を帯びた有機基が、付加すべき別な正電荷を帯びた有機基のDoSに比べて高いDoSで望まれる場合、その特定のエーテル化剤が最初に使用されるだろう。
【0229】
アルカリ条件下での反応物中でポリα−1,3−グルカンと接触させるべきエーテル化剤の量は、製造されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物中で要求される置換度に基づいて決定できる。本明細書で製造されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物中の各モノマー単位上のエーテル置換基の量は、核磁気共鳴(NMR)分光法を利用して決定できる。ポリα−1,3−グルカンのモル置換(MS)値には上限がない。一般に、エーテル化剤は、ポリα−1,3−グルカンのモルあたり少なくとも約0.05モルの量で使用できる。使用できるエーテル化剤の量に上限はない。
【0230】
本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造する反応は、任意選択で、パーリアクター、オートクレーブ、シェーカーチューブなどの圧力容器、又は当技術分野に周知である他の圧力容器で実施できる。シェーカーチューブは、特定の実施形態における反応の実施に使用される。
【0231】
本明細書での反応物は、任意選択で、アルカリ条件下でポリα−1,3−グルカンをエーテル化剤と接触させる工程の後に加熱できる。反応温度及びそのような温度を適用する時間は、幅広い限度内で変えることができる。例えば、反応物を、任意選択で、周囲温度で最長14日間維持することができる。或いは、反応物を、還流あり又は還流なしで、約25℃から約200℃(又は、25と200℃の間の任意の整数)に加熱できる。反応時間は、それに対応して、低温でより長い時間及び高温でより短い時間など、変えることができる。
【0232】
四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン)を製造する特定の実施形態において、反応物を、約55℃で約1.5時間加熱できる。このように、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンなどの四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテルを製造するための反応物を、任意選択で、例えば、約50〜60℃に約1〜2時間加熱できる。そのような反応物は、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムをエーテル化剤として含み得る。
【0233】
任意選択で、本明細書の反応物を、加熱しながら、又は加熱なしで、不活性ガスの下に維持できる。本明細書では、用語「不活性ガス」は、本明細書での反応物を調製するために開示されたものなど、1組の所与の条件の下で化学反応を受けない気体を指す。
【0234】
本明細書に開示される反応物の成分の全てを同時に混合して、所望の反応温度にすることができ、そこで、所望のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物が形成されるまで、撹拌しながら、又は撹拌なしで前記温度が維持される。或いは、混合された成分を、上述の通り周囲温度のままにすることができる。
【0235】
エーテル化の後、反応物のpHを中性化できる。反応物の中和は、1種以上の酸を利用して実施できる。本明細書での用語「中性pH」は、実質的に酸性でも塩基性でもないpH(例えば、約6〜8、又は約6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、若しくは8.0のpH)を指す。この目的に使用できる種々の酸には、硫酸、酢酸、塩化水素酸、硝酸、任意の鉱(無機)酸、任意の有機酸、又はこれらの酸の任意の混合物があるが、これらに限定されない。
【0236】
本明細書の反応物中に製造されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を、任意選択で、前記化合物を容易に溶解しない液体で、1回以上洗浄できる。例えば、ポリα−1,3−グルカンエーテルを、エーテル化合物の溶解度(洗浄には溶解度がないことが望ましい)に応じて、アルコール、アセトン、芳香族化合物、又はこれらの組み合わせで洗浄できる。ポリα−1,3−グルカンエーテル生成物を、例えばメタノール又はエタノールを含む水溶液で1回以上洗浄できる。例えば、70〜95wt%エタノールを使用して、生成物を洗浄できる。ポリα−1,3−グルカンエーテル生成物を、別な実施形態において、メタノール:アセトン(例えば、60:40)溶液で洗浄できる。
【0237】
開示される反応において製造されるポリα−1,3−グルカンエーテルは、単離できる。この工程は、中和工程及び/又は漏斗、遠心分離機、加圧濾過機、若しくは当技術分野に公知である固体からの液体の分離を可能にする他のあらゆる方法若しくは装置を利用する洗浄工程の前にでも、後にでも実施できる。例えば、ブフナー漏斗を利用して、ポリα−1,3−グルカンエーテル生成物を単離できる。単離されたポリα−1,3−グルカンエーテル生成物を、真空乾燥、風乾、又は凍結乾燥など、当技術分野に公知であるあらゆる方法を利用して乾燥できる。
【0238】
上記のエーテル化反応のいずれも、ポリα−1,3−グルカンエーテル生成物を、さらなる修飾のための出発物質として使用して繰り返すことができる。この手法は、正電荷を帯びた有機基のDoSを増加させること、及び/又は1種以上の異なる正電荷を帯びた有機基をエーテル生成物に付加することのために好適になり得る。また、この手法は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)及び/又はヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル)などの正電荷を帯びていない1種以上の有機基を付加するのに好適になり得る。正電荷を帯びた基による置換のない上記のエーテル化剤のいずれも、この目的に使用できる。
【0239】
ポリα−1,3−グルカンエーテル生成物の構造、分子量、及び置換度は、NMR分光法及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)など、当技術分野に公知である種々の生理化学的分析を利用して確認できる。
【0240】
本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を調製するために使用されるポリα−1,3−グルカンのグルコースモノマー単位の間の、α−1,3であるグリコシド連結のパーセンテージは、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%(又は50%と100%の間の任意の整数値)である。したがって、そのような実施形態において、ポリα−1,3−グルカンは、約50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%(又は0%と50%の間の任意の整数値)のα−1,3でないグリコシド連結を有する。
【0241】
本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を調製するのに使用されるポリα−1,3−グルカンは、好ましくは直鎖/非分岐型である。特定の実施形態において、ポリα−1,3−グルカンは分岐点を全く有さないか、ポリマー中のグリコシド連結のパーセントとして約10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の分岐点を有する。分岐点の例には、α−1,6分岐点がある。
【0242】
本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を調製するのに使用されるポリα−1,3−グルカンのM
n又はM
wは、少なくとも約1000から約600000になり得る。さらに或いは、M
n又はM
wは、例えば、少なくとも約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000、75000、100000、150000、200000、250000、300000、350000、400000、450000、500000、550000、又は、600000(又は2000と600000の間の任意の整数)になり得る。
【0243】
本明細書でのポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を調製するのに使用されるポリα−1,3−グルカンは、1種以上のグルコシルトランスフェラーゼ(gtf)酵素を利用して、スクロースから酵素的に製造することができる。この酵素反応のポリα−1,3−グルカン生成物を精製してから、開示されたプロセスを利用しそれを使用してエーテルを調製できる。或いは、gtf反応のポリα−1,3−グルカン生成物は、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を調製するために、加工をほとんど又は全くせずに使用できる。
【0244】
ポリα−1,3−グルカンスラリーを、本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造する上記プロセスのいずれにおいても直接使用できる。本明細書では、「ポリα−1,3−グルカンスラリー」は、gtf酵素反応物の成分を含む混合物を指す。gtf酵素反応物は、ポリα−1,3−グルカン自体に加えて、種々の成分、例えば、スクロース、1種以上のgtf酵素、グルコース、フルクトース、ロイクロース、緩衝剤、FermaSure(登録商標)、可溶性オリゴ糖、オリゴ糖プライマー、細菌酵素抽出成分、ホウ酸塩、水酸化ナトリウム、塩化水素酸、細胞溶解物、タンパク質、及び/又は核酸などを含み得る。最小限では、gtf酵素反応物の成分は、ポリα−1,3−グルカン自体に加えて、例えば、スクロース、1種以上のgtf酵素、グルコース、及びフルクトースを含み得る。別な例において、gtf酵素反応物の成分は、ポリα−1,3−グルカン自体に加えて、スクロース、1種以上のgtf酵素、グルコース、フルクトース、ロイクロース、及び可溶性オリゴ糖(及び任意選択で細菌酵素抽出成分)を含み得る。ポリα−1,3−グルカンが、本明細書に開示されるスラリー中にある場合、精製も洗浄もされていないことが当然明らかだろう。スラリーが、完結したgtf酵素反応物、又は観測可能な量のポリα−1,3−グルカンが製造されたgtf酵素反応物を表すことも明らかであろうが、それは、水性反応環境(例えば、5〜7のpHを有する)中で不溶性であるので固体を形成する。ポリα−1,3−グルカンスラリーは、例えば、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7,000,000号明細書又は米国特許出願公開第2013/0244288号明細書及び同第2013/0244287号明細書に開示されるgtf反応を準備することにより調製できる。ポリα−1,3−グルカンスラリーを、四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン)などの本明細書のあらゆるエーテル化合物を製造するための反応物に入れることができる。
【0245】
或いは、ポリα−1,3−グルカンのウェットケーキを、本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造する上記プロセスのいずれにも直接使用できる。本明細書での「ポリα−1,3−グルカンのウェットケーキ」は、スラリーから分離され(例えば、濾過され)、水又は水溶液で洗浄されたポリα−1,3−グルカンを意味する。ウェットケーキは、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又はより多い回数洗浄できる。ポリα−1,3−グルカンは、ウェットケーキを調製する場合には乾燥されない。ウェットケーキは、洗浄されたポリα−1,3−グルカンによる水の保持を仮定して「ウェット」と称される。
【0246】
ポリα−1,3−グルカンのウェットケーキは、濾過器又は遠心分離機など、液体から固体を分離する当技術分野に公知である任意の装置を利用して調製できる。例えば、スラリー中のポリα−1,3−グルカン固体を、濾紙上の濾過網を使用してブフナー漏斗上で回収できる。濾過されたウェットケーキを、1回以上水(例えば、脱イオン水)に再懸濁させ濾過して、スクロース、フルクトース、及びロイクロースなどのスラリーの可溶性成分を除去できる。ウェットケーキを調製する別な例として、スラリーからのポリα−1,3−グルカン固体を、遠心分離によりペレットして回収し、水(例えば、脱イオン水)に再懸濁させ、さらに1回以上再ペレット化及び再懸濁をすることができる。ポリα−1,3−グルカンウェットケーキを、四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル(例えば、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン)など、本明細書での任意のエーテル化合物を製造する反応物に入れることができる。
【0247】
本明細書に開示されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、当技術分野に公知であるあらゆる手段により架橋されていてよい。そのような架橋は、同じポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の間でも、2種以上の異なるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の間でもよい。また、架橋は、分子間及び/又は分子内でよい。
【0248】
架橋されたポリα−1,3−グルカンエーテル化合物は、例えば、以下の通り調製できる。1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を、水又は水溶液に溶解させて、エーテル化合物の0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10wt%溶液を調製できる。ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を、温度を上げること、手作業の混合、及び/又は均質化(上述の通り)など、当技術分野に公知であるあらゆるプロセスを利用して溶解又は混合できる。
【0249】
次に、架橋剤を、ポリα−1,3−グルカンエーテル溶液又は混合物に溶解させる。生じた溶液中の架橋剤の濃度は、約0.2から20wt%、又は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、若しくは20wt%でよい。
【0250】
好適な架橋剤の例は、ホウ素含有化合物及びチタン又はジルコニウムなどの多価金属である。ホウ素含有化合物には、例えば、ホウ酸、二ホウ酸塩、四ホウ酸塩、五ホウ酸塩、Polybor(登録商標)などのポリマー性化合物、ホウ酸のポリマー性化合物、及びアルカリホウ酸塩がある。これらの作用物質を使用して、ポリα−1,3−グルカンエーテル分子間にホウ酸架橋を作ることができる。チタン架橋は、チタンIV含有化合物(例えば、乳酸チタンアンモニウム、チタントリエタノールアミン、チタンアセチルアセトナート、チタンのポリヒドロキシ錯体)を架橋剤として使用して作ることができる。ジルコニウム架橋は、ジルコニウムIV含有化合物(例えば、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムトリエタノールアミン、乳酸ジルコニウムジイソプロピルアミン、ジルコニウムのポリヒドロキシ錯体)を架橋剤として使用して作ることができる。本明細書において有用な架橋剤の他の例は、全て引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4462917号明細書、同第4464270号明細書、同第4477360号明細書、及び同第4799550号明細書に記載されている。
【0251】
架橋剤とポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の両方を含む溶液又は混合物のpHは、アルカリ性(例えば、8、8.5、9、9.5、又は10のpH)であるように調整できる。pHの調整は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水酸化物の濃水溶液によるなど、当技術分野に公知であるあらゆる手段により行うことができる。アルカリpHで1種以上のポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む溶液又は混合物に架橋剤を溶解させると、ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物の架橋が起こる。
【実施例】
【0252】
開示された発明は、以下の実施例においてさらに定義される。これらの実施例が、本発明の特定の好ましい態様を示すものの、説明のためにのみ与えられることを理解されたい。上記の議論及びこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確かめることができ、その趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明の種々の変更及び改良を行って、それを種々の用途及び条件に適合させることができる。
【0253】
ポリα−1,3−グルカンの調製
ポリα−1,3−グルカンは、gtfJ酵素調製物を利用して、引用により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0244288号明細書に記載の通り調製した。
【0254】
ポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体のモル置換数を決定するための
1H核磁気共鳴(NMR)法
およそ30mgのポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体を、化学天秤上でバイアルに量り入れた。バイアルを天秤から取り出し、1.0mLの重水をバイアルに加えた。磁気撹拌子をバイアルに加え、混合物を撹拌して固体を懸濁させた。次いで、重水素化硫酸(D
2O中50%v/v)、1.0mLをバイアルに加え、ポリマーを脱重合し可溶化するために、混合物を90℃で1時間加熱した。溶液を室温に放冷し、次いで、ガラスピペットを使用して、0.8mL分の溶液を5mmのNMRチューブに移した。定量的な
1H NMRスペクトルを、5−mm Autoswitchable Quadプローブを備えたAgilent VNMRS 400 MHz NMR分光計を利用して取得した。スペクトル周波数399.945MHzで、スペクトルウィンドウ6410.3Hz、取得時間3.744秒、パルス間の遅延10秒、及び64パルスを利用して、スペクトルを得た。時間ドメインデータを、0.50Hzの指数関数的乗算を利用して変換した。
【0255】
重合度の決定
重合度(DP)を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定した。SEC分析のため、乾燥したポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体を、リン酸緩衝食塩水(PBS)(0.02〜0.2mg/mL)に溶解させた。利用したクロマトグラフィーシステムは、3つのオンライン検出器:Watersの示差屈折計410、Wyatt Technologies(Santa Barbara,CA)のマルチアングル光散乱光度計Heleos(商標)8+、及びWyatt Technologiesの示差毛細管粘度計(differential capillary viscometer)ViscoStar(商標)と接続している、Waters Corporation(Milford,MA)のAlliance(商標)2695液体クロマトグラフであった。SECに使用したカラムは、水溶性ポリマー用の2つのTosoh Haas Bioscience TSK GMPW
XL g3K及びg4K G3000PW及びG4000PWポリマーカラムであった。移動相はPBSであった。利用したクロマトグラフの条件は、カラム及び検出器区画で30℃、試料及び注入器区画で30℃、0.5mL/分の流量、及び100μLの注入体積であった。データ整理に使用したソフトウェアパッケージは、WyattのAstraバージョン6であった(カラム較正のついた三重検出法(triple detection method))。
【0256】
均質化
均質化を、IKA ULTRA TURRAX T25 Digital Homogenizer(IKA,Wilmington,NC)を使用して実施した。
【0257】
実施例1
四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンの調製
この実施例は、四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体の製造を説明する。具体的には、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンを製造した。
【0258】
10gのポリα−1,3−グルカン(M
w[重量平均分子量]=168,000)を、温度モニタリングのための熱電対、及び再循環浴に接続した冷却管、並びに磁気撹拌子を備えた容積500mLの丸底フラスコ中で、100mLのイソプロパノールに加えた。30mLの水酸化ナトリウム(17.5%溶液)を、この調製物に滴加し、次いで、それをホットプレート上で25℃に加熱した。調製物を1時間撹拌してから、温度を55℃に上げた。次いで、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロリド(31.25g)を加えて反応物を与え、それを55℃で1.5時間維持してから、90%酢酸で中和した。このように形成された固体(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン)を真空濾過により回収し、エタノール(95%)で4回洗浄し、真空下で20〜25℃で乾燥させ、NMR及びSECにより分析して、分子量及びDoSを決定した。
【0259】
トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンの追加試料を、上記プロセスに従うが特定のプロセス変動を加えて合成した。具体的には、種々のM
wを有するポリα−1,3−グルカン試料を出発物質として使用し、異なる量のエーテル化剤(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロリド)を使用した。また、反応時間(エーテル化剤の添加開始から中和の終わりまで)を変えた。表1は、これらの種々のプロセス変動及び四級アンモニウムグルカンエーテル生成物の得られたDoS測定値を列記する。
【0260】
【表1】
【0261】
このように、四級アンモニウムグルカンエーテル誘導体、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンを調製し、単離した。
【0262】
実施例2
四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンの粘度に対するせん断速度の影響
この実施例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンの粘度に対するせん断速度の影響を説明する。このグルカンエーテル誘導体がずり流動化挙動を示すことが示される。このように、液体へのトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンの添加により、液体のレオロジー的挙動を調整できる。
【0263】
トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンの種々の試料を、実施例1に記載の通り調製した。各試料の2wt%溶液を調製するために、1gの試料を49gの脱イオン水に加えた。次いで、各調製物を12〜15秒間20,000rpmで均質化して、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン試料を水に溶解させた。
【0264】
種々のせん断速度での各2wt%四級アンモニウムグルカン溶液の粘度を決定するために、各溶液を、温度(20℃)を制御する再循環浴及びULA(超低速アダプター)スピンドルとアダプターセットを備えたBrookfield DV III+Rheometerを利用して、種々のせん断速度に付した。せん断速度を、10から250rpmに増加する勾配プログラムを利用して増加させ、せん断速度を、ULAスピンドルとアダプターに関して20秒ごとに4.9 1/s増加させた。実験の結果を表2に列記する。
【0265】
【表2】
【0266】
表2にまとめた結果は、四級アンモニウムポリα−1,3−グルカン溶液のそれぞれの粘度が、せん断速度の増加と共に減少することを示す。この観察は、これらの溶液がずり流動化挙動を示すことを意味する。
【0267】
このように、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカンは、水溶液に溶解している場合、溶液の粘度だけでなく、溶液のレオロジー的性質も調整する。したがって、この四級アンモニウムグルカンを水性液体に加えて、そのレオロジープロファイルを調整できる。
【0268】
実施例3
UV吸収を利用するダイレクトレッド80染料の較正曲線の作成
この実施例は、ポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体の布地表面への吸着の相対レベルを決定するのに有用な較正曲線の作成を開示する。
【0269】
ダイレクトレッド80染料を使用して、既知濃度(ppm)の溶液を作製した。これらの溶液の吸光度を、520又は620nmでLAMOTTE SMART2 Colorimeterを使用して測定した。布地試料に曝露された溶液の染料濃度を決定するのに使用できるように、吸収情報をプロットした。各較正曲線の濃度及び吸光度を表3に与える。
【0270】
【表3】
【0271】
このように、ポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体の布地表面への吸着の相対レベルを決定するのに有用な較正曲線を準備した。この較正曲線を実施例4で使用した。
【0272】
実施例4
種々の布地への四級アンモニウムポリα−1,3−グルカンエーテルの吸着
この実施例は、異なる種類の布地への四級アンモニウムポリα−1,3−グルカン(トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン)の吸着の程度の試験を開示する。
【0273】
トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα−1,3−グルカン(試料1F、表1)の0.07wt%溶液を、0.105gのポリマーを149.89gの脱イオン水に溶解させることにより作成した。この溶液を、この溶液を、ポリマー及び他の成分の濃度が異なるいくつかのアリコートに分けた(表4)。そのような他の成分は、pHを調整するための酸(希塩酸)若しくは塩基(水酸化ナトリウム)又はNaCl塩であった。
【0274】
【表4】
【0275】
4種の異なる布地種類(クレトン、ポリエステル、65:35ポリエステル/クレトン、晒し木綿)を切って、0.17gの小片にした。各小片を、48ウェル細胞培養プレートの2mLウェルに入れた。各布地試料を、全体で36の試料(ポリマーを含まない対照溶液が各布地試験に含まれた)で、上記溶液のそれぞれ(表4)の1mLに曝露させた。布地試料を、少なくとも30分間ポリマー溶液中に静置した。布地試料をポリマー溶液から除き、脱イオン水中で少なくとも1分間すすいで、結合していないポリマーを除いた。次いで、一定の乾燥度が得られるまで、布地試料を、60℃で少なくとも30分間乾燥させた。乾燥後に、布地試料を秤量し、きれいな48ウェル細胞培養プレートの2mLウェルに個別に入れた。次いで、布地試料を1mLの250ppmダイレクトレッド80染料溶液に曝露させた。試料を、少なくとも15分間染料溶液に入れたままにした。各布地試料を染料溶液から除き、その後染料溶液を10倍希釈した。
【0276】
希釈した溶液の吸光度を測定し、対照試料と比較した。布地に吸着したグルカンポリマーの相対的尺度を、実施例3でダイレクトレッド80染料に関して作成した較正曲線に基づいて計算した。具体的には、対照(ポリマーに曝露されていない布地)と比べた、ポリマーに曝露された布地試料のUV吸光度の違いは、布地に吸着されたポリマーの相対的尺度を表す。このUV吸光度の違いは、布地に結合した染料の量(対照に結合した染料の量と比較して)としても表すことができ、それは較正曲線を利用して計算した(すなわち、UV吸光度を染料のppmに変換した)。表5は、「染料(ppm)」を与える;正の値は、対照布地に結合した染料の量よりも多い染料の量を表し、負の値は、対照布地に結合した染料の量よりも少ない染料の量を表す。正の値は、グルカンエーテル化合物が布地表面に吸着したことを反映する。
【0277】
【表5】
【0278】
表5のデータは、四級アンモニウムグルカンポリマーが、異なる塩及びpH条件下で種々の種類の布地に吸着し得ることを示す。この吸着は、ポリマーへの曝露後に布地をすすいだ場合でも起こる。グルカンエーテルが、綿に吸着するのに加え、ポリエステル及びポリエステル/クレトンブレンドに吸着できたことは注目に値する。
このように、水性組成物中のポリα−1,3−グルカンエーテル誘導体は布地に吸着できる。
【0279】
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む組成物:
【化13】
(式中
(i)nは少なくとも6であり、
(ii)各Rは、独立に、H又は正電荷を帯びた有機基であり、且つ
(iii)前記化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する)。
2.少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基が、置換されているアンモニウム基を含む、上記1に記載の組成物。
3.前記正電荷を帯びた有機基が、トリメチルアンモニウム基を含む、上記2に記載の組成物。
4.前記正電荷を帯びた有機基が、四級アンモニウム基である、上記2に記載の組成物。5.少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基が、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を含む、上記1に記載の組成物。
6.少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基が、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基である、上記5に記載の組成物。
7.ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造する方法であって、
(a)ポリα−1,3−グルカンを、アルカリ条件下での反応物中で、正電荷を帯びた有機基を含む少なくとも1種のエーテル化剤と接触させ、少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基が前記ポリα−1,3−グルカンにエーテル化されて、それにより以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を製造すること:
【化14】
(式中
(i)nは少なくとも6であり、
(ii)各Rは、独立に、H又は正電荷を帯びた有機基であり、且つ
(iii)前記化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する);及び
(b)任意選択で、工程(a)で製造された前記ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を単離すること
を含む方法。
8.前記アルカリ条件がアルカリ水酸化物溶液を含む、上記7に記載の方法。
9.前記反応物が有機溶媒を含む、上記7に記載の方法。
10.前記有機溶媒がイソプロパノールである、上記9に記載の方法。
11.工程(a)が、
(i)前記反応物を加熱すること;及び/又は
(ii)前記反応物のpHを中和すること
をさらに含む、上記7に記載の方法。
12.少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基が、置換されているアンモニウム基を含む、上記7に記載の方法。
13.少なくとも1種の正電荷を帯びた有機基が、トリメチルアンモニウム基を含む、上記12に記載の方法。
14.以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む親水コロイド又は水溶液:
【化15】
(式中
(i)nは少なくとも6であり、
(ii)各Rは、独立に、H又は正電荷を帯びた有機基であり、
(iii)前記化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有し、且つ
(iv)前記親水コロイド又は水溶液は、少なくとも約10cPsの粘度を有する)。
15.水性組成物の粘度を増加させる方法であって、
ポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を前記水性組成物と接触させることを含み、前記水性組成物の粘度が前記化合物により増加し、
前記化合物が以下の構造により表される方法:
【化16】
(式中
(i)nは少なくとも6であり、
(ii)各Rは、独立に、H又は正電荷を帯びた有機基であり、且つ
(iii)前記化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する)。
16.材料を処理する方法であって、
材料を、以下の構造により表されるポリα−1,3−グルカンエーテル化合物を含む水性組成物と接触させることを含む方法:
【化17】
(式中
(i)nは少なくとも6であり、
(ii)各Rは、独立に、H又は正電荷を帯びた有機基であり、且つ
(iii)前記化合物は、約0.05から約3.0の置換度を有する)。