【文献】
中根正樹,ほか11名,気管吸引ガイドライン2013(成人で人工気道を有する患者のための),人工呼吸,2013年,第30巻,第1号,p.75−91
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記患者の気管支に異物が発生したと判断した場合、駆動部を制御して前記チューブ部の前記カテーテルを前記患者の気管支内部に移動させることを特徴とする請求項1に記載のサクション装置。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態に係るサクション装置について詳細に説明する。本発明は様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができる。以下では図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図面のうち同一の構成要素は可能な限りどこでも同一の符号で示していることに留意しなければならない。また、本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される公知機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
【0036】
図1は本発明の一実施形態に係るサクション装置の構造を示す分解斜視図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るサクション装置10は、カバー部20、駆動部30、貯蔵部40、センサ部50、真空計60、噴霧器70、入力部80、フィルタ90、スケール100、チューブ部110と制御部120を含む。
【0037】
カバー部20は、フロントカバー20a、リアカバー20b及びモータカバー20cを含み、フロントカバー20aには入力部80が備えられており、上部にはサクション装置10の電源をオンにするスイッチが備えられている。
【0038】
駆動部30はドライバ30a、ブラシレスモータ(BRUSHLESS DCモータ:BLDCモータ)30b、及びソレノイドバルブ30cを含み、貯蔵部40は食塩水容器40aと吸引容器40bを含み、センサ部50は質量流量計(MASS FLOW METER:MFM)センサ50aを含む。
【0039】
リアカバー20bはサクション装置10の後面に設けられ、フロントカバー20aに結合されてサクション装置10の内部装置を保護し、ノイズを遮断すると共に、外部汚染物質の流入を遮断する。
【0040】
モータカバー20cは二重ケースの構造で形成されており、中央にはスポンジが設けられている。二重ケース構造は、前記駆動部30からの騒音を遮断し、振動を低減するために採用する。モータカバー20cを有することで常にサクション装置10を使用する使用者に与える騒音や振動のストレスを低下する効果がある。
【0041】
ドライバ30aは制御部120から受信した信号を送信してBLDCモータ30bを制御する。ドライバ30aはBLDCモータ30bからの熱気とノイズの影響を低減するために、BLDCモータ30bとの距離を置いてケーブルで連結されており、モータカバー20cの外部に設けられている。
【0042】
BLDCモータ30bはドライバ30aに連結されて安定的に且つ周期的にポンピングを行う。BLDCモータ30bはサクション装置10の下端に設けられており、使用者の身体内部からの異物の吸引及び使用者の呼吸のための動力を提供する。BLDCモータ30bはブラシレスDC(BRUSHLESS DC)モータを使用する。
【0043】
BLDCモータ30bは既存のACモータとは異なり、使用者が望む圧力と流量(FLOW RATE)(NL/m)、及びモータの駆動周期を電流の増減により簡易に調節することができる。そのため、本発明に係るサクション装置10は、異物の有無に関わらず継続的な吸引駆動を行うものではなく、異物が発生する時にのみ選択的に吸引駆動を行うようになっている。
【0044】
また、BLDCモータ30bは熱に強く、ノイズが少ない。特に、ON/OFF時のアークの発生がないので、モータの寿命が通常のACモータに比べて3倍程度に長いと共に、小型化できるなどの技術的な利点がある。
【0045】
一方、本発明を実施するに当たっては、駆動部30にはカテーテル113aを通じて逆流して流入する汚物による汚染を防ぐために、汚物防止フィルタを装着することもできる。
【0046】
ソレノイドバルブ30cの内部通路にはその通路を遮断するロッドが備えられており、ソレノイドバルブ30cに備えられたコイルに電流が印加されると、コイル内部の円筒状の金属棒が電磁力によって上部に移動してロッドを上方に押し上げることで、ソレノイドバルブ30cが開放される。
【0047】
一方、コイルに供給される電流が遮断されて円筒金属棒が下方に移動すると、ロッドは重力により下降しながらソレノイドバルブの内部通路を遮断する。
【0048】
異物を吸引する場合に制御部120はソレノイドバルブ30cが閉鎖されるよう制御することで、異物を吸引する時、使用者に供給される酸素を含む空気が再びサクション装置10に吸引されることを防ぐ。
【0049】
ソレノイドバルブ30cはMFMセンサ50aと食塩水容器40a及び吸引容器40bとに全て連結されることができ、またはMFMセンサ50aと食塩水容器40a及び吸引容器40bとにそれぞれ結合された独立した3つのバルブで構成することもできる。
【0050】
説明の便宜上、本発明においてはMFMセンサ50aと食塩水容器40a及び吸引容器40bにそれぞれ連結される第1乃至第3ソレノイドバルブ30cに分けて説明する。
【0051】
貯蔵部40は食塩水容器40aと吸引容器40bを含む。食塩水容器40aは食塩水で満たされており、その下部にはスケール100を設けるための空間を確保することができるように、適切な大きさに製作する。食塩水容器40aは独自のモータを含んでいるので、異物を吸引する前に食塩水を供給して異物が吸引しやすい状態に作る。食塩水容器40aは食塩水の交換や清掃のために着脱可能に構成する。
【0052】
食塩水容器40aの下部にはスケール100と小型モータが備えられている。
【0053】
スケール100は食塩水容器40a内部の食塩水の重量を常に測定し、その重量が一定値以下になると、制御部120に信号を送る。制御部120は信号を受けて入力部80を通じて食塩水供給信号を表示する。
【0054】
食塩水容器40aは第1ソレノイドバルブ30cに連結される。従って、異物が吸引される前に第1ソレノイドバルブ30cが開放され、食塩水容器40aの食塩水は使用者の気管支内部に異物と混合されて異物の流動性を増加させる。
【0055】
また、食塩水容器40aは使用者の気管支に挿入されるカテーテル113aに連結され、独自のモータを使用して食塩水をカテーテル113aにポンピングすることで、カテーテル113aの殺菌や洗浄を行う。
【0056】
吸引容器40bはサクション装置10の側面内部に設けられており、吸引した異物を収容する。吸引容器40bの下部にはスケール100が設けられている。吸引容器40bはスケール100を設けるための空間を確保するために適切な容量に形成する。吸引容器40bは異物の処理や洗浄のために着脱可能に構成する。
【0057】
吸引容器40bは第2ソレノイドバルブ30cに結合される。従って、食塩水容器40a内部の食塩水により異物の流動性が増加すると、第1ソレノイドバルブ30cが閉鎖される。なお、第2ソレノイドバルブ30cが開放された状態で異物を吸引する。
【0058】
異物を吸引すると、第2ソレノイドバルブ30cは閉鎖され、MFMセンサ50aに連結された第3ソレノイドバルブ30cが開放される。センサ部50はMFMセンサ50aを含む。
【0059】
MFMセンサ50aはBLDCモータ30bの側面に設けられており、サイズが小さくて軽いので、サクション装置10の全体的な重量に及ぼす影響は少ない。MFMセンサ50aはガスの質量を基準に測定を行う。MFMセンサ50aは不変性の質量を直接測定するので、複雑な計算が不要であり、ガスの流量を正確に検出することが可能である。
【0060】
また、MFMセンサ50aは低流量のガスの測定に有利であり、ガスの体積や圧力を測定するものではないので、正確な値のガスの流量を測定することが可能である。そして、ガスの質量を測定する過程で振動を発生する装置を備えていないので、サクション装置10を使用する際に使用者の利便性が増大する効果がある。
【0061】
MFMセンサ50aは、主にCO2、Ar、メタン(methane)、水素(hydrogen)及び窒素(nitrogen)などの様々なガスの質量を測定することが可能である。具体的には、サクション装置10を使用する患者の呼吸からCO2の質量を検出して使用者の血液循環、呼気、吸気、肺活量や肺機能などの複合的なデータを測定して使用者の状態を把握することができる。
【0062】
このように、本発明に係るサクション装置10はMFMセンサ50aを備えることで、患者の健康状態の悪化による不安定な呼吸状態に関する情報を取得することができる。
【0063】
また、MFMセンサ50aは患者の日常の呼吸状態情報を測定することもできる。日常の呼吸状態情報とは、使用者が吐き出す空気の質量(吸気質量、呼気質量)または流量と分当たり呼吸数など、使用者の呼吸状態の全体的な状態情報を含む。
【0064】
一方、使用者の気管支に異物が発生すると、使用者が吐き出す空気の質量または流量が変化するようになる。この時、MFMセンサ50aは変化した使用者の吸気質量、呼気質量または流量と分当たり呼吸数の結果を制御部120に伝送し、制御部120はMFMセンサ50aの測定値に基づいてこれらの状態の変化を検知することができる。
【0065】
一方、本発明を実施するに当たっては、MFMセンサ50aを使用せず、使用者の喘ぎ声などの大きさを測定する音圧センサなどの圧力センサを使用することもできる。通常、気管支に発生した異物によって不便さを感じる患者は無意識のうちに唸りを発すようになる。音圧センサを用いる場合には、患者の喘ぎ声の大きさを測定して制御部120に伝送することで、患者の主観的状態を考慮した制御が可能である。
【0066】
一方、本発明を実施するに当たっては、センサ部50には水分がセンサ部50の内部に入ることを防ぐフィルタを装着することが好ましい。
【0067】
真空計60はサクション装置10の吸引圧力を表示するためにフロントカバー20aの前面に設けることが好ましい。もしサクション装置10の吸引圧力が異常に高くなると、使用者の呼吸器に損傷を与える恐れがあるので、真空計60をフロントカバーの前面に設けて、通常の圧力の有無を確認できるようにすることが好ましいからである。一方、本発明を実施するに当たって、真空計60は安全であり、エラーの少ないアナログ真空計を使用することが好ましい。
【0068】
噴霧器70はサクション装置10の側面外部に設けられており、噴霧器70は使用者の呼吸が困難な場合に、患者の気道に湿気を提供することで、使用者の呼吸状態を安定させるために使用する。
【0069】
入力部80はタッチパネル式ディスプレイを備え、入力部80が設けられた位置には、複数のボタンを配設して年齢別に呼吸段階の選択が可能にすることが好ましい。入力部80はタッチパネル式ディスプレイとして実現することで、使用者の直感的な選択が可能であり、別の難しい説明や操作方法について気を使う必要はない長所がある。
【0070】
フィルタ90は食塩水容器40aの前面に設けられており、使用者の身体内に入る空気を浄化する。
【0071】
スケール100は食塩水容器40aと吸引容器40bの下部に設けられて食塩水容器40aと吸引容器40bに入っている異物や食塩水の重量を測定する。
【0072】
食塩水容器40aの下部に設けられたスケール100の測定値が所定の基準値未満になる場合に、スケール100は重量未満である旨を知らせる重量未満信号を制御部120に伝送する。これによって制御部120は入力部80のタッチパネル式ディスプレイやスピーカーを通じて食塩水補充要求メッセージを出力する。
【0073】
一方、吸引容器40bの下部に設けられたスケール100の測定値が所定の基準値を超えると、スケール100は重量超過の状態である旨を知らせる重量超過信号を制御部120に伝送する。これによって制御部120は入力部80のタッチパネル式ディスプレイやスピーカーを通じて異物空き要求メッセージを出力する。
【0074】
チューブ部110はサクション装置10の外部に連結されて使用者の気管支内部に発生する異物を吸引する。
【0075】
制御部120はドライバ30aの上部に設けられる。制御部120はMFMセンサ50aから受信する日常の呼吸状態の情報を分析し、分析結果に基づいてドライバ30aにBLDCモータ30bを駆動させるための信号を送る。BLDCモータ30bはドライバ30aからの信号に基づいてポンピングを開始し、チューブ部110は使用者の気管支に発生する異物を吸引する。
【0076】
図2は
図1のサクション装置に含まれるチューブ部の構造を示す斜視図である。
図2を参照すると、チューブ部110はカテーテルリール113とチューブカバー114を含み、カテーテルリール113はカテーテル113a、ネジフレーム113b、カテーテルリールケース113c、ステッピングモータ113d及び汚物槽41を含む。
【0077】
カテーテル113aはネジフレーム113bに突出したネジ山の間を囲んで外嵌されており、ネジフレーム113bの回転方向に沿ってカテーテル113aがカテーテルリール113の外部に移動するか、再びカテーテルリール113の内部に戻るようになる。
【0078】
即ち、ネジフレーム113bはステッピングモータ113dに結合されてステッピングモータ113dの回転を通じて回転するようになり、カテーテルリールケース113cの内部に形成されたネジ山とネジフレーム113bが噛み合ってステッピングモータ113dの回転方向に沿って異なる方向に動くようになる。
【0079】
従って、カテーテル113aがネジフレーム113bの突出部の間に巻回されてカテーテル113aとネジフレーム113bとの間に張力と摩擦力が存在するようになる。この状態で、ステッピングモータ113dの回転によりネジフレーム113bが回転すると、カテーテル113aは張力と摩擦力によりネジフレーム113bの回転方向に沿って移動する。
【0080】
カテーテル113aの一端は、チューブカバー114の内部に配置されており、他端はカテーテルリール113を経て汚物槽41に連結される。そして、チューブカバー114はカテーテルリール113に連結された部分と気管支に向かう部分を除いて、外部に形成される4つの突出口を有する。 これらの突出口にはそれぞれMFMセンサ50a、食塩水容器40a、ネブルライザー及びフィルタ150が結合できる。
【0081】
食塩水は食塩水容器40aに連結される突出口を経てカテーテル113aの内部に供給されて、カテーテル113aの内部を殺菌や消毒し、及び異物を除去するようになっている。
【0082】
また、カテーテルリールケース113cに連結された3つの食塩水ホースは、食塩水容器40aから注入される食塩水を運搬してカテーテルリールケース113c内部のカテーテル113aの外表面とネジフレーム113bを殺菌及び洗浄する。
【0083】
フィルタ150は外部から流入される空気を浄化し、フィルタ150に結合された突出口にはフィルタ150を分離した後、人工呼吸器を連設することもできる。従って、吸引途中患者の呼吸器に不具合が生じた場合には、フィルタ150を分離して人工呼吸器を連結することで、患者の呼吸機能を回復させるなどの措置を取ることができる。
【0084】
一方、MFMセンサ50aはカテーテル113aの前方部分に連結されて患者が吐き出すガスの質量流量を測定し、制御部120はMFMセンサ50aから受信した測定値を分析して患者の気管支の状態を把握する。また、それに関する分析結果に基づいてステッピングモータ113dを駆動させて、カテーテル113aを患者の気管支に挿入したり気管支から引き出したりする。
【0085】
図3及び
図4は
図2のチューブ部に含まれるカテーテルリールの構造を示す分解斜視図である。
図3及び
図4を参照すると、カテーテルリール113はカテーテル113a、ネジフレーム113b、ステッピングモータ113d及びカテーテルリールケース113cを含む。
【0086】
カテーテル113aは非毒性のシリコンやゴムや弾性を有する高分子で形成することができ、ネジフレーム113bの突出部の間に巻回されて摩擦力と張力によって固定される。
【0087】
ステッピングモータ(Stepping Motor)113dはネジフレーム113bに結合され、ステッピングモータ113dの回転によりネジフレーム113bが回転する。
【0088】
ステッピングモータ113dは微細な角度で回転することができるので、患者の気管支内部にカテーテル113aをスムーズに挿入して気管支を損傷しないようにする。また、各個人毎に気管支に差があるため、患者の気管支に合わせてカテーテルの深さを個別に調整して設定することで、気管支の損傷を最小化する長所がある。
【0089】
カテーテル113aはステッピングモータ113dの駆動により気管支内部に移動して異物を吸い込み、ステッピングモータ113dの反対方向への駆動によりネジフレーム113bに巻回されて引っ張られる。
【0090】
このような過程でカテーテル113aの表面は気管支内部の異物により汚染されるようになり、これを洗浄するためにカテーテルリールケース113cの下部には3つの食塩水ホースを挿入するための孔が形成されている。
【0091】
図2及び
図3を参照すると、孔を通じて注入された食塩水によりカテーテル113aとネジフレーム113bに残っている異物を殺菌及び洗浄するようになる。また、カテーテル113aの内部に存在する異物を殺菌及び洗浄するために、食塩水がカテーテル113aの内部を通過して汚物槽41に移動する。
【0092】
図4を参照すると、ネジフレーム113bはネジ山状の突出部が形成されて突出部の間にカテーテル113aが巻回される。また、カテーテル113aとネジフレーム113b、カテーテルリールケース113c及びステッピングモータ113dは、それぞれ分解しやすい構造で取り付けられていて、いつでも異物を効果的に洗浄することができる。
【0093】
図5及び
図6は
図2のカテーテルリールがTチューブ151を通じて気管支に挿入される動作を示す分解斜視図である。
図5及び
図6を参照すると、センサ部50は気管支内の異物により変化した患者の日常の呼吸状態を検知し、制御部120はステッピングモータ113dを駆動する。
【0094】
ステッピングモータ113dが回転すると、カテーテル113aはTチューブ151を通じて患者の気管支に挿入される。この時、ステッピングモータ113dは患者の気管支に損傷を与えないように微細に回転しながらカテーテル113aを押し入れる。この時、Tチューブ151としては、患者に合う様々な種類のTチューブ151を使用することができる。
【0095】
そして、制御部120はカテーテル113aを通じて貯蔵部40内の食塩水を気管支に吸着された異物に注入して異物が離れやすいコロイド状態に変化するようにする。この時、制御部120はBLDCモータ30bを駆動させてカテーテル113aを経て吸引しやすい状態の異物を吸引する。
【0096】
カテーテル113aは気管支内部に挿入されて異物を吸い込んだ後、ステッピングモータ113dの逆回転を通じてネジフレーム113bに巻回されて気管支外部に移動する。
【0097】
気管支内部に挿入されたカテーテル113aがネジフレーム113bまで巻回されて入ると、BLDCモータ30bのポンピングによってカテーテルリールケース113cの外部に形成された孔を通じて食塩水が流入されてカテーテル113aの外部を洗浄する。
【0098】
また、カテーテル113aの内部にもBLDCモータ30bのポンピングによって食塩水が注入されて、カテーテル113aの内部に残っている異物も洗浄する。
【0099】
このように本発明によれば、カテーテル113aの内外部を洗浄することができるようになって、カテーテル113aの汚染による気管支の損傷を予防することができ、衛生上の理由で使い捨てでのみ使用したカテーテル113aを少なくとも1日間は再利用可能な状態に維持管理することができようになって、カテーテル113aの頻繁な交換によるコストを削減することができる。
【0100】
図7は
図1のサクション装置に含まれるチューブ部に連結できるTチューブの構造を示す斜視図である。
【0101】
図7を参照すると、Tチューブ151は第1カフ151a、第2カフ151b、第1のチューブ151c、第2のチューブ151d、第3のチューブ151e、第4チューブ151f及び第5のチューブ151gを含む。
【0102】
Tチューブ151はサクション装置10に連結されており、第1及び第2のカフ151a、151bを含んでいる。Tチューブ151は気管切開用チューブであり、使用者の首部を通過して使用者の気管支内部に位置する。Tチューブ151の第1及び第2のカフ151a、151bは注射器や空気注入装置により使用者の気管支で膨らまされて気管支内部を拡張させる機能を実行する。
【0103】
第1及び第2のカフ151a、151bは使用者の気管支に一つずつ順に一定の時間間隔を置いて膨らまされるようになる。一方、第1及び第2のカフ151a、151bは上下の位置で交互して順に膨張及び収縮するようになる、これは第1及び第2のカフ151a、151bの膨らんだ状態が続く場合、気管支の炎症や感染症が発生することができるからである。
【0104】
従って、本発明においては、第1及び第2のカフ151a、151bを一定の時間間隔で順に膨張/収縮させることで気管支の炎症や感染症を防ぐことができる。
【0105】
一方、第1及び第2のカフ151a、151bを交互して順に膨らまされるようにするために、それぞれの第3のチューブ151eと第2のチューブ151dが第1及び第2のカフ151a、151bにそれぞれ独立して連結されている。
【0106】
具体的には、第1カフ151aの一定の膨張時間が経過すると、第3のチューブ151eを用いて空気を抜き、第2のチューブ151dを用いて第2カフ151bに空気を入れて膨張させる。一定の時間間隔で前述の動作を繰り返すことで、使用者の気管支に炎症や感染症が誘発する可能性を低下し、使用者はTチューブ151を頻繁に交換する必要がなくなって、使用者の利便性が高くなる。
【0107】
一方、Tチューブ151は使用者の首部に加わる荷重を低減するために、細長いTチューブをまず連結した状態で、細長いTチューブにサクション装置10のチューブを連結することが好ましい。
【0108】
さらに、細長いTチューブの内部にはサクション装置10から外部に展開される第1のチューブ151cと第4チューブ151fが備えられ、これは使用者の気管支まで到達する。
【0109】
一方、MFMセンサ50aが使用者の分当たり呼吸数、呼気ガスの質量や流量などの日常の呼吸状態を測定して制御部120に伝送すると、制御部120は患者の状態を把握する。日常の呼吸状態の分析に基づいて患者の呼吸状態に異常があると判断すると、制御部120はBLDCモータ30bを駆動させて第3チューブ151eを通じて酸素を供給する。
【0110】
また、本発明を実施するに当たって、制御部120はブルートゥースモジュールやワイファイモジュールなどの無線通信装置を備えることで、使用者の日常の呼吸状態が急激に変化する場合、第5のチューブ151gを通じた簡易人工呼吸を作動させると同時に、保護者や医療スタッフに警告メッセージを送信することもできる。
【0111】
一方、第1のチューブ151c及び第4チューブ151fは使用者の気管支内部に発生する異物を吸い込む通路である。第1のチューブ151cは第1カフ151aが膨らまされている間、第1カフ151aの上部に形成される異物を吸い込み、第4チューブ151fは第1カフ151aの空気が抜けて収縮し、第2カフ151bが膨らまされている間、第2カフ151bの上部に発生する異物を吸い込む。
【0112】
このように、第1のチューブ151c及び第4チューブ151fによって第1カフ151aまたは第2のカフ151bが膨らまされている間、気管支に発生する異物が順に吸引される。
【0113】
食塩水容器40aの食塩水は第1のチューブ151c及び第4チューブ151fを通じて使用者の気管支に発生する唾液や痰、固い異物などの身体内部から発生する異物に少量ずつ噴霧される。食塩水を異物に噴霧すると、異物は流動性が増加する。従って、異物は第1のチューブ151c及び第4チューブ151fを通じた吸引力により簡易に吸い込まれていく。
【0114】
即ち、本発明においては、サクション装置10が吸引する前に第1のチューブ151c及び第4チューブ151fを通じて食塩水がまず異物と混合されて異物の流動性を増加させ、BLDCモータ30bが駆動して異物を吸引する。
【0115】
図8は
図1のサクション装置で他の方向から見た時の構造を示す分解斜視図である。
図8に示すように、本発明を実施するに当たって、サクション装置10は後面にUSB端子140と電源スイッチ130をさらに備えることもできる。
【0116】
USB端子140はノートパソコンやデスクトップPCなどの外部機器に連結されて使用者の日常の呼吸状態情報をリアルタイムで外部機器に伝送するために使用する。これにより、外部機器では日常の呼吸状態の情報を保存し、統計分析することができる。
【0117】
一方、電源スイッチ130はUSB端子140の下部に設けられてサクション装置10の電源をオンオフするに使用する。
【0118】
図9は
図1のサクション装置の入力部上の駆動画面を示す図である。
図9で確認できるように、本発明に係るサクション装置10は使用者の呼吸機能の改善のために肺機能を改善することができるネビュルライザー機能をさらに備えることもできる。
【0119】
ネビュルライザー機能は使用者の呼気と吸気の時間を段階的に増やしていく誘導する機能である。具体的には、患者の呼吸機能の改善のために噴霧器70を使用するか、噴霧器70を分離してチューブ部110に別途のネブルライザーを連結して使用することもできる。
【0120】
このようなネブルライザーの使用により、使用者は不規則な分当たり呼吸数と異常に高めた分当たり呼吸数を正常呼吸数に回復することができ、肺活量を改善することができる。
【0121】
一方、
図9を参照すると、入力部80のタッチパネル式ディスプレイは大きく、呼吸情報表示窓81と機器設定窓82を含む。呼吸情報表示窓81は分当たり呼吸数81a、1回呼吸量81bと時間当たり呼吸数81cを表示し、機器設定窓82には室内温度設定ボタン82a、呼吸数段階設定ボタン82b、調節ボタン82c、駆動時間設定ボタン82d、圧力設定ボタン82e、吸気時間設定ボタン82f、呼気時間設定ボタン82g、スタートボタン82hと簡易呼吸ボタン82iが備えられている。
【0122】
分当たり呼吸数81aは1分当たりの呼気と吸気の合計を示し、1回呼吸量81bは呼気や吸気時吐き出したり吸い込んだりするガスの量を示す。分当たり呼吸数81aと1回換気量81bは使用者から1分以内の短時間に測定することができる数値である。
【0123】
時間当たり呼吸数81cは時間当たり呼気と吸気の合計を示し、患者の状態が好転しているかどうかを確認できる数値である。
【0124】
室内温度82aは使用者がサクション装置10を使用する場所の現在の室内温度を示し、手術室や気管支の弱い使用者の状態を好転させるための場合に用いる重要な要素である。
【0125】
呼吸数段階設定ボタン82bは複数のボタンを有しており、使用者は自分の分当たりの呼吸数81aに基づいて呼吸数段階を選択する。呼吸数段階設定ボタン82bのいずれかを選択すると、使用者の分当たり呼吸数81aの半分に相当する回数で空気を噴射する。
【0126】
例えば、分当たり呼吸数が10回である呼吸数段階82bが選択されると、ネブルライザーは1分間5回の噴射を行う。従って、1回に6秒間呼気に合わせて5回噴射する。
【0127】
従って、使用者はサクション装置10のネブルライザー機能により空気が噴射される間、空気を吸い込むように誘導され、呼吸数等が増加するたびに徐々に呼気時間が長くなるので、肺活量が改善する。なお、不規則であり異常に長くなった分当たり呼吸数が正常に回復可能である。
【0128】
一方、本発明を実施するに当たって、呼吸数段階設定ボタン82bの数は3つに限定されず、複数のボタンを有することもできる。
【0129】
調節ボタン82cは圧力、時間などの設定値を入力するためのボタンであり、スタートボタン82dは設定が完了したサクション装置10の駆動を開始させるボタンである。
【0130】
駆動時間設定ボタン82dは使用者がサクション装置10を使用する時間を設定するボタンであり、使用者はこのボタンを用いて分単位でサクション装置10を使用する時間を入力することができる。
【0131】
圧力ボタン82eは使用者の呼吸器に噴霧される空気の圧力を設定するボタンであり、使用者はこのボタンを用いて一定の範囲の内で自由に圧力を設定することができる。
【0132】
吸気時間設定ボタン82fは使用者が吸う時間である吸気時間を設定するボタンであり、使用者はこのボタンを用いて吸気時間を1秒〜10秒の範囲内に秒単位で設定することができる。
【0133】
呼気時間設定ボタン82gは使用者が吐き出す時間である呼気時間を設定するボタンであり、使用者はこのボタンを用いて呼気時間を1秒〜10秒の範囲内に秒単位で設定することができる。
【0134】
スタートボタン82hは機器設定窓82で設定を終えた後、使用者がサクション装置10の駆動を開始するために使用するボタンである。
【0135】
簡易呼吸ボタン82iは使用者の呼吸状態を改善するか、使用者の呼吸状態が不規則であり、困難な場合に手動で使用するボタンである。しかし、本発明に係るサクション装置10では基本的にMFMセンサ50aが使用者の呼吸状態を測定して人工知能に簡易呼吸を開始する。
【0136】
従って、簡易呼吸ボタン82iは使用者の吸気時間を増加させる共に、肺機能を改善する目的で利用したり非常時に使用したりする。
【0139】
表1は年齢別に分けられた呼吸数段階設定ボタン82bでの呼吸数段階別分当たり呼吸数81aを示し、表2は流量増加段階に応じた噴射時間割合と圧力を示す。
【0140】
表1及び表2でのデータは本発明に係るサクション装置10に基本的な情報として入力されており、表1及び表2の数値は使用者が入力部80を通じて任意に変更することが可能である。
【0141】
表1を参照すると、呼吸数段階設定ボタン82bは年齢別に分けられ、それぞれの年齢に応じて、それぞれ異なる分当たり呼吸数81aを有する。
【0142】
表2を参照すると、流量増加段階は複数の段階を有することが可能であり、流量増加段階の間にはそれぞれ異なる時間が分単位で設定される。
【0143】
分当たり呼吸数81aは1分以内に行われる吸気及び呼気の合計を示し、流量増加段階とは、噴射時間割合が次の割合に進む段階を意味し、分単位から時間単位で設定が可能である。
【0144】
噴射時間割合とは、吸気中に噴霧器70が噴霧する時間の割合を示す。
【0145】
例えば、使用者が呼吸数段階82bで成人を選択し、流量増加段階の時間を1分に設定した場合、分当たり呼吸数81aが10回であれば、その中で吸気の回数は5回になる。
【0146】
従って、1回の吸気時間は6秒になる。この時、流量増加段階は1段階から開始し、1段階から2段階に進むためには設定した1分が掛かる。1段階での噴射時間割合は1であり、噴射時間割合が1の場合、吸気の時間6秒の間に噴霧器70が噴霧を行う。
【0147】
1分が経過して2段階に進むと、噴射時間割合は1.1になって吸気の時間6.6秒の間に噴霧器70が噴霧を行う。再び1分経過すると、3段階に進んで噴射時間割合は1.2になって吸気の時間、即ち空気の噴射時間が7.2秒に増加する。
【0148】
このように、噴射時間割合に応じて空気の噴射時間が噴射時間割合で段階的に増加することになり、使用者は数時間または数日にわたるサクション装置10の使用を通じて増加する空気の噴射時間に誘導されて自然に吸気の時間を延長させる。
【0149】
吸気時間を長く誘導させる機能はサクション装置10だけでなく、様々な種類のサクション装置にも適用することが可能である。
【0150】
そしてサクション装置10に限定されず、肺活量を増加させるための製品に適用することが可能であり、肺癌患者、運動選手、鼻炎患者、丹田や腹式呼吸を改善しようとする使用者、うつ病患者と精神科患者も使用することが可能である。
【0151】
肺癌患者の場合、正常に呼吸が可能な一部の肺機能を改善させ、血液循環をスムーズにして肺癌の治療に役立つことができる。
【0152】
運動選手は昼間の時間に運動して肺機能を強化し、睡眠中にもサクション装置10や吸気時間を長く誘導させる機能を通じて、肺機能を強化することができる長所がある。
【0153】
鼻炎患者にとっては吸気時間を長く誘導させる機能を通じて免疫力を向上し、体全体と鼻の血液循環をスムーズにして鼻炎の自己治療の効果がある。
【0154】
丹田や腹式呼吸を修練する使用者にとっては吸気時間を長く誘導させる機能を通じて、肺機能の改善と睡眠中にも腹式呼吸を誘導して、丹田と腹式呼吸による効果を増加させる。
【0155】
精神集中を要する学生や会社員にとっても吸気時間を長く誘導させる機能を通じて肺の機能を改善し、血液循環をスムーズにして集中して勉強することができると共に、健康にも良い効果がある。
【0156】
精神科患者の場合は安定した呼吸を誘導して脳の血液循環を改善し、肯定的な体調を作ることができる。従って、身体的な安定は精神的な安定を誘導して精神科患者の不安や抑うつなどを減少させる効果がある。
【0157】
一方、本発明を実施するに当たっては、センサ部50の検出値に応じた駆動(いわゆる、自動駆動モード)と独立して、
図9での入力部80を通じて医師などの管理者が設定した所定の時間周期(例えば、1時間)に応じて、チューブ部の気管支内部への移動及びチューブ部の吸引圧の増加を通じた異物の吸引過程が並行して繰り返し実行するように設定することもできる(いわゆる、半自動駆動モード)。
【0158】
これによれば、センサ部50での検出エラーが発生する場合にも、所定の時間周期に伴う異物の自動吸引が実行されることで、患者が危険な状態にさらされることを防ぐことができる。
【0159】
図10は
図1のサクション装置10の下部に設けられる第2貯蔵部11を示す分解斜視図である。
【0160】
図10を参照すると、第2貯蔵部11は吸引容器11a、感熱プリンタ11b、食塩水容器11c、電源部11dとモータ11eを含む。
【0161】
図1及び
図10を参照すると、吸引容器11aは
図1における吸引容器40bが汚物を収容する空間がない場合は、吸引容器11aに汚物を収容する。食塩水容器11cも
図1における食塩水容器40aの全ての食塩水を使用した場合、食塩水容器40aに食塩水を補充するための貯蔵容器として使用する。
【0162】
従って、吸引容器11aと食塩水容器11cは使用者が多く、頻繁に管理することが困難な場合に使用することができる長所がある。
【0163】
感熱プリンタ11bは吸引容器11aと食塩水容器11cとの間に備えられ、サクション装置10を使用した一定期間内の履歴や患者の呼吸状態、駆動時間、呼吸情報を印刷することができる。従って、印刷されたプリント物の情報を判断して使用する患者の現在状態を把握することができ、それに合わせた治療が可能である。
【0164】
電源部11dは感熱プリンタ11bの下部に設けられており、モータ11eに電力を供給する役割をする。電源部11dの下部にはモータ11eが備えられており、モータ11eは汚物を吸引容器11aに移動させたり、食塩水容器11c内部の食塩水をサクション装置10の食塩水容器40aに移動させたりするために駆動されてポンピングを行う。
【0165】
サクション装置10の使用頻度が高く、継続的に使用する病院や家庭で使用するサクション装置10には上述したような第2貯蔵部11をさらに備えることが好ましい。
【0166】
図11は
図1のサクション装置の駆動方法を示すブロック線図である。
【0167】
電源部11dは制御部120とドライバ30aに電力を供給し(S101)、MFMセンサ50aは使用者の呼気ガスの質量や流量などの日常の呼吸状態情報に関する測定値を制御部120に送信する(S102)。
【0168】
一方、制御部120はMFMセンサ50aの測定値を分析し、日常の呼吸状態を脱して異物が発生したと判断すると、ドライバ30aに駆動信号を送信する(S103)。
【0169】
ドライバ30aは制御部120の信号を受けてBLDCモータ30bに信号を送る(S104)。BLDCモータ30bはドライバ30aの信号を受けて駆動するようになる。この時、外部空気は水分フィルタを経てBLDCモータ30bに供給される(S105)。
【0170】
一方、カテーテルリール113を通じて移動するカテーテル113aがTチューブ151を通じて使用者の気管支内に低速で供給されて使用者の気管支に位置するようになり(S106)、カテーテルリール113を通じて異物を吸引する前に、異物の流動性を増加させるために食塩水容器40aに連結された第1ソレノイドバルブ30cが開放される(S107)。
【0171】
一方、食塩水容器40aに連結された小型モータが駆動されて食塩水容器40a内の食塩水を吸引し(S108)、食塩水容器40a内の食塩水が第1ソレノイドバルブ30cを経て第4管151fを通じて使用者の気管支に移動して異物の流動性を増加させる。
【0172】
なお、食塩水容器40aの下部にあるスケール100は食塩水容器内の食塩水の重量が所定の基準値未満になった場合には、制御部120に重量未満である旨を知らせる信号を送信する(S109)。
【0173】
第1ソレノイドバルブ30cが閉じられると、第3のチューブ151eに連結された第3ソレノイドバルブ30cも閉じられる(S110)。異物の流動性が増加した後には、第4チューブ151fを通じてBLDCモータ30bに連結された第2のソレノイドバルブ30cが開放される(S111)。
【0174】
第2ソレノイドバルブ30cが開放されると、異物は第4のチューブ151fと第2ソレノイドバルブ30cを通過して一定の圧力で吸引される。
【0175】
一方、吸引容器の下部に備えられたスケール100は異物の重量を測定し、所定の基準値を超えた場合には制御部120に重量超過である旨を知らせる信号を送信する(S112)。
【0176】
異物が一定の圧力で吸引されると、第2ソレノイドバルブ30cは閉鎖され、第3ソレノイドバルブ30cが開放され、患者は呼吸状態を維持する。一方、MFMセンサ50aは常に使用者の日常の呼吸状態を測定する(S113)。
【0177】
カテーテル113aを通じて異物が吸引されて吸引容器に全て移動すると、カテーテルリール113が駆動してカテーテル113aを牽引し、使用者の気管支からカテーテル113aが排出されると、食塩水でカテーテル113aの内部と外部を洗浄する(S114)。
【0178】
一方、以下では本発明の他の実施形態に係るサクション装置10の駆動原理を説明する。
【0179】
MFMセンサ50aが使用者の吸気と呼気ガスの質量や流量などの日常の呼吸状態情報に関する測定値を制御部120に送信する(S102)。それによって、制御部120はMFMセンサ50aから受信した測定値が所定の基準値を超えたか否かを判断する。
【0180】
本発明を実施するに当たって、所定の基準値は通常呼吸時の呼気ガスに関する測定値の2倍または3倍に相当する値の範囲に制御部120に設定することが好ましい。
【0181】
一方、基準値は入力部80を通じて使用者が直接入力することで設定することもできるが、本発明を実施するに当たっては、患者別にカスタマイズした基準値を設定する。そのために、最初サクション装置10の動作が開始した場合に、患者の通常呼吸時の呼気ガスに関する測定値の所定の時間の間、例えば、1分の平均値を算出する過程である、基準値設定モードを自動的に実行することが好ましい。
【0182】
即ち、制御部120は基準値設定モードを通じて、前記平均値の2倍または3倍に相当する値を基準値として設定及び保存する。
【0183】
一方、MFMセンサ50aから受信した測定値が基準値を超えた場合に制御部120はステッピングモータ113dに駆動信号を送信することで、カテーテル113aはTチューブ151を通じて使用者の気管支内に低速で移動するようになる。
【0184】
この場合に、制御部120はドライバ30aを通じてBLDCモータ30bに駆動信号を送信し、BLDCモータ30bはカテーテル113aの吸引端部に約10mmHg程度の吸引圧が発生するように駆動される。
【0185】
このように端部にわずかな初期吸引圧が加わった状態でカテーテル113aが予め設定した所定の移動距離だけ気管支内に低速で移動する間、気管支内部の異物にカテーテル113aの端部が係止される場合にカテーテル113aの端部に備えられた吸引孔が部分的に閉鎖されながら、カテーテル113a吸引端部での真空圧が瞬間的に増加する。
【0186】
このように、カテーテル113aの吸引端部で真空圧が所定の基準値(例えば、50mmHg)を超過する場合に、制御部120はドライバ30aを通じてBLDCモータ30bに駆動信号を送信することで、カテーテル113aの吸引端部に約150〜200mmHg程度の吸引圧が瞬間的に発生するようになる。
【0187】
これにより、カテーテル113aの端部に係止された異物はカテーテル113aを通じて吸引され、異物の吸引が完了することによって、カテーテル113a吸引端部での真空圧は所定の基準値未満で低下するようになる。
【0188】
この場合に、制御部120はドライバ30aを通じてBLDCモータ30bに駆動信号を送信することで、カテーテル113aの吸引端部の吸引圧が再び10mmHg程度になるようにする。
【0189】
制御部120には前記真空圧に対する前記所定の基準値が予め設定されており、使用者は入力部80を通じて基準値を個別に設定することもできる。
【0190】
一方、チューブ部110にはカテーテル113aの吸引端部での真空圧を測定する測定モジュールが備えられており、本発明を実施するに当たって、真空圧を測定する測定モジュールは
図2におけるチューブカバー114に備えられた突出口にMFMセンサ50aのような取付構造を用いて設けることが好ましい。
【0191】
一方、端部にわずかな初期吸引圧が加わった状態でカテーテル113aは予め設定した所定の移動距離だけ気管支内に低速で移動した後、同一の初期吸引圧が加わった状態で気管支の外に排出される。
【0192】
このように本発明においては、異常の呼吸が検出された場合にカテーテル113aの端部にわずかな吸引圧のみかかっている状態で、カテーテル113aを低速で気管支内部に挿入し、気管支から排出させる。この時、カテーテル113a吸引端部での真空圧が所定の基準値を超えた場合(即ち、異物が検出された場合)にのみ、カテーテル113aの吸引圧を一時的に増加させることで、カテーテル113aの吸引圧による患者の気管支の損傷や痛みを最小化することができるだけでなく、BLDCモータ30bからの電力消費を最小化することができる。
【0193】
図12は本発明の他の実施形態に係るサクション装置に備えられたチューブ部の構造を示す図である。
図12に示すように、本発明の他の実施形態に係るサクション装置10に備えられたチューブ部110は移動部111を含んでおり、移動部111には回転ホイール115、Oリング(O−ring)116、及びローラ部117が備えられている。
【0194】
円筒状の回転ホイール115には円周に沿って接触面が形成されており、カテーテル113aは円形の回転ホイール115の円周に形成された接触面に沿って巻回されている。円形の回転ホイール115がステッピングモータ113dによって正方向または逆方向に回転することで、カテーテル113aと接触する円筒状の回転ホイール115の接触面での摩擦力によりカテーテル113aは気管支内部に挿入されたり、チューブ部110に回収されたりする。
【0195】
一方、カテーテル113aと接触する円筒状の回転ホイール115の接触面での摩擦力が大きくなるほどステッピングモータ113dの回転量に応じたカテーテル113aの移動距離を精密に制御することができる。
【0196】
このために、
図12に示すように本発明においては、ローラ部117を設け、ローラ部117と回転ホイール115との間にはカテーテル113aを介在することで、ローラ部117から加えられる圧力によってカテーテル113aが回転ホイール115の接触面に強く密着される。それによって、カテーテル113aと接触する円筒状の回転ホイール115の接触面での摩擦力が増大するようにした。
【0197】
一方、ローラ部117がカテーテル113aを押圧する場合も、ローラ部117とカテーテル113aとの接触による摩擦は発生しないので、本発明では
図12のようなカテーテル113aの移送構造を通じてカテーテル113aの移動距離を精密に制御することができる。
【0198】
なお、本発明を実施するに当たっては、Oリング116とローラ部117との間の空間に、回転ホイール115の曲率と同一の曲率に沿ってカテーテル113aの外面殺菌用紫外線ランプやLEDランプを設けることで、カテーテル113aの殺菌処理が移動部111の内部でも行われるようにすることが好ましい。
【0199】
図13は
図12におけるチューブ部で他の方向から見た時の構造を示す斜視図である。
図13を参照すると、チューブ部110は
図12における移動部111と90°方向に隣接して設けられた収納部112を更に備えている。
【0200】
図12に示すように収納112にはカテーテル113aが収納保管されており、収納部112に収納されたカテーテル113aは回転ホイール115が反時計回りに回転することによって移動部111に供給され、回転ホイール115が時計回りに方向に回転する場合には、移動部111を通じて回収されたカテーテル113aが収納部112に収納保管される。
【0201】
一方、収納部112には食塩水投入口118が備えられており、食塩水投入口118を通じて収納部112の内部に供給される食塩水は収納部112の内部に収納保管されたカテーテル113aを洗浄及び殺菌処理する。
【0202】
図14は
図12に示したチューブ部と本体部との吸引時の結合構造を示す図である。本発明を実施するに当たっては、
図14に示すように移動部111と収納部112を含むチューブ部110をサクション装置10の本体部170と着脱可能に結合することで、サクション装置10の使用環境に応じた使用上の利便性を向上させることが好ましい。
【0203】
図15は本発明の他の実施形態に係るサクション装置に備えられたチューブ部の構造を示す図である。
図15に示すように、本発明を実施するに当たっては、回転ホイール115に巻回されることでカテーテル113aの曲がった角度を約90°程度に構成することで、
図12に比べてカテーテル113aの前後進移動がより容易になるようにすることが好ましい。
【0204】
図16は本発明の他の実施形態に係るサクション装置に備えられたチューブ部の内部構造を示す図である。
図16に示すように、本発明を実施するに当たっては、カテーテル流出入誘導部117aの内側端部にガイド部111aを設ける。この時、ガイド部111aは、流出入誘導部117aを通じて流出入するカテーテル113aの外側面と平行に設けられる。それによって、カテーテル113aがチューブ部110の内部で直線状態を維持できず、くねくねすることで回転ホイール115の回転によってカテーテル113aの移動距離が精密に制御できないことを防ぐことができる。
【0205】
図17は本発明の他の実施形態に係るサクション装置に備えられたチューブ部の回転ホイールの回転駆動構造を示す図である。
図17に示すように、本発明を実施するに当たっては、回転ホイール115の背面に、回転ホイール115を回転させる回転軸と回転ホイール115の結合部位での体積や重量を増大させる回転安定台115aを更に設けることで、回転ホイール115の回転駆動時に軸方向の揺れを最小化することが好ましい。
【0206】
一方、本発明を実施するに当たっては、本発明に係るサクション装置10に備えられた駆動部30を除去した状態で、大型病院の寝台上にサクション装置10を一括して取り付け、複数のサクション装置10からの異物を吸引するための動力を病院の機械室などに設けられた外部駆動源を通じて一括して供給することもできる。
【0207】
なお、この場合には、外部駆動源を通じて複数のサクション装置10に一括して加えられる異物の吸引圧をそれぞれの患者の状態に応じて調節できる減圧部を
図1に示した駆動部30の代わりに設けることが好ましい。
【0208】
以上では本発明の好ましい実施形態及び応用例について図示及び説明したが、本発明は前述した特定の実施形態及び応用例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることは勿論であり、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。