特許第6559145号(P6559145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559145クロマトグラフィ用途に適したポンプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559145
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】クロマトグラフィ用途に適したポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20190805BHJP
   G01N 30/32 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G01N30/02 N
   G01N30/32 C
   G01N30/32 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-551176(P2016-551176)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公表番号】特表2017-505913(P2017-505913A)
(43)【公表日】2017年2月23日
(86)【国際出願番号】EP2015053058
(87)【国際公開番号】WO2015121402
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】14155323.0
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ボジック
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−032187(JP,A)
【文献】 特開2006−292392(JP,A)
【文献】 特開平11−133011(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0095145(US,A1)
【文献】 特表2008−507033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性流体用のポンプシステムであって、
第1のポンプ出口(21)を有する第1のポンプ(20)と、
第2のポンプ出口(31)を有する第2のポンプ(30)であって、第1のポンプ(20)に並列に配置される第2のポンプ(30)
を含み、
ここで、該第1のポンプ出口(21)と、該第2のポンプ出口(31)とは、主出口(48)と流体連通する結合部(40)で合流し、
第1のポンプの第1の出口圧力(p1)の測定値に基づいて、第2のポンプ(30)の第2の出口圧力(p2)を調節する制御部(50)であって、第2のポンプ(30)の第2の出口圧力(p2)を、第1のポンプ(20)の第1の出口圧力(p1)よりも低く調整および保持するように動作可能である制御部(50)
を含む、前記ポンプシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの逆止め弁(46)は、結合部(40)と、第2のポンプ出口(31)との間に配置される、請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
第1のポンプ(20)は、第1のポンプ入口(26)を含み、第2のポンプ(30)は、第2のポンプ入口(36)を含み、ここで、第1および第2のポンプ入口(26;36)は、圧縮性流体が少なくとも部分的に充填された収納リザーバ(102)と並列に連結可能である、請求項1または2に記載のポンプシステム。
【請求項4】
第2のポンプ(30)の第2の出口圧力(p2)と第1のポンプ(20)の第1の出口圧力(p1)との差が、所定の最小差を下回った場合、制御部(50)は、第2のポンプ(30)を停止状態にするか、または第2のポンプ(30)のポンプ出力およびポンプ容量の少なくとも一つを低下させるように動作可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項5】
制御部(50)は、第2のポンプ(30)の出口圧力(p2)を、第1のポンプ(20
)の出口圧力(p1)よりも1バールから10バール低いレベルに調整するように動作可能である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項6】
制御部(50)に連結され、結合部(40)上流の第1の出口(21)と流れ連通する、第1の圧力センサ(44)をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項7】
制御部(50)に連結され、結合部(40)上流の第2の出口(31)と流れ連通する、第2の圧力センサ(46)をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項8】
第1および第2のポンプ(20、30)は、非同期で駆動される、請求項1〜のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項9】
第2のポンプの最大体積流量は、第1のポンプ(20)の最大体積流量の20%未満、または15%未満、または10%未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポンプシステム。
【請求項10】
クロマトグラフィシステムであって、
少なくとも1種の溶媒を収納および/または準備するための少なくとも1つの収納リザーバ(102)と、
請求項1〜のいずれか1項に記載のポンプシステム(10)と、
少なくとも1つの検出または分析ユニット(112、114)と
を含む、前記クロマトグラフィシステム。
【請求項11】
ポンプシステム(10)が加圧CO2を供給するように動作可能である超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)システムとして設計された、請求項10に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポンプシステムを動作させる方法であって、
第1のポンプ(20)の第1のポンプ出口(21)で第1の出口圧力(p1)を測定する工程と、
第2の出口圧力(p2)は、第1の出口圧力(p1)よりも低く保持されるように、測定された該第1の出口圧力(p1)に基づいて、第2のポンプ(30)の第2のポンプ出口(31)で第2の出口圧力(p2)を調整する工程と
を含む、前記方法。
【請求項13】
第2の出口圧力(p2)は、第1の出口圧力(p1)よりも1バールから10バール低く保持される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2の出口圧力(p2)と第1の出口圧力(p1)との差が、所定の最小差を下回った場合、第2のポンプ(30)を停止状態にするか、または第2のポンプ(30)のポンプ出力およびポンプ容量の少なくとも一つを低下させる工程をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフィ用途に適したポンプシステムに関し、特に、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC:high−performance liquid chromatography)または超臨界流体クロマトグラフィ(SFC:super critical fluid chromatography)に適したポンプシステムに関する。一態様では、本発明は、クロマトグラフィシステムに関し、別の態様では、クロマトグラフィシステムに適したポンプシステムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界流体クロマトグラフィでは、超臨界流体を抽出溶媒として使用することによって、ある成分、すなわちマトリックス(matrix)から、別の成分、すなわちエクストラクタント(extractant)を分離することが可能である。SFCおよびHPLCによって、様々な物質を化学的に分析、識別し、定量化することができる。SFC用途において、二酸化炭素を超臨界流体として使用する場合、物質の抽出は、超臨界条件下で行わなければならない。二酸化炭素を超臨界流体として選択した場合、抽出は、31℃の臨界温度よりも高い温度、かつ74バールの臨界圧力よりも高い圧力で行わなければならない。
【0003】
クロマトグラフィカラム内部でCOまたはCO混合物を液体状態で保持するには、クロマトグラフィシステム全体を所定の(predefined)圧力レベルで保持しなければならない。この目的で、クロマトグラフィシステム内部の圧力を所定のレベルで保持するために、典型的には、クロマトグラフィカラムの下流、およびそれぞれの(respective)検出器の下流に背圧レギュレータが設けられる。クロマトグラフィカラムの上流には、典型的には、少なくとも1種の溶媒を加圧するための少なくとも1つのポンプを含む準備ステージ(preparation stage)が設けられる。
【0004】
HPLCまたはSFCクロマトグラフィ用途では、エタノールおよび/またはCOなどの溶媒を数百バール、典型的には400バールのレベルまで、さらには1000バールまたはそれよりも高く加圧しなければならない。こうした圧力範囲では、COなどの溶媒は、典型的には、比較的高い圧縮性を示す(exhibit)。往復ポンプなどの従来型ポンプを使用すると、典型的には、ポンプ出口で流体流に供給流の脈動が観察されることがある。
【0005】
図2には、2つのポンプヘッド22、24を有する複式ポンプの形の従来型ポンプ20が概略的に示されている。SFCシステムなどのクロマトグラフィ環境では、ポンプ20の入口26は、冷却器12に連結(connect)され、この冷却器12は、溶媒、例えば液体COが少なくとも部分的に充填された収納リザーバ(storage reservoir)102と流体連通する。冷却器12によって、液体溶媒を、明確に規定されたプロセス温度に予め冷却しておくことができる。2つのポンプヘッド22、24を有する往復ポンプ20は、入口26とポンプ出口21との間に並列して配置(arrange)されたポンプヘッド22、24の下流および上流に数個の逆止め弁23、25をさらに備える。
【0006】
動作時、各ポンプヘッド22、24は、ピストンを利用して動作し、このピストンは、ポンプヘッドの有効容積(available pump head volume)を増大させることによって入口26から入る流体を吸引し、次いでこの容積を減少させることによって流体を出口21に分注することを交互に行うカムによって駆動される。流動方向の制御は、吸引中(during)はポンプヘッド22、24を出口圧力から隔離し、分注中は入口圧力から隔離する逆止め弁23、25によって行われる。図2には複式型の配置のポンプ20が示されているが、他の幾何形状、したがって単一のポンプヘッドだけを有する単式ポンプ、または3つもしくは4つのポンプヘッドを有する三重式もしくは四重式ポンプも、クロマトグラフィ用途に一般に適用可能である。
【0007】
ポンプ20の出口21で生じる、流体流の経時的な脈動を図3に概略的に示す。グラフ60から分かるように、ポンプ20の出口21における、加圧液体の経時的な流量、したがって体積流量(flow volume)は、図3によるグラフの様々な流量低下61によって示されるように、最大流量の約5%まで低下することがある。流体流のこうした不可避的な変動または脈動によって、クロマトグラフィシステムの精度が制限される。
【0008】
特許文献1では、この問題が認識されている。当該文献には、流体の圧力を増大させるように動作する第1のポンプを含み、また、第1のポンプと直列に連結された第2のポンプを含む、加圧ポンプシステムが記載され、ここで、第2のポンプは、第1のポンプから加圧流体を受け取り、その流体を計量して第2のポンプの出口に供給する。第2のポンプが第1のポンプから受け取る流体の入口圧力は、第2のポンプの入口と出口との間を流れる流体の密度変化が最小限に抑えられるように、第2のポンプの出口における流体出口圧力付近で、またはそれよりも僅かに低く保持される。
【0009】
2つのポンプを直列に連結するには、両方のポンプとも、比較的大きい体積流量を供給できることが必要となる。さらに、この手法を用いると、特に増圧ポンプの排出速度を制御する必要があり、これにはかなりコストがかかり、手間もかかることになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第8215922(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、出口流において、供給流の脈動を低減または解消するように動作可能な、特にクロマトグラフィ用途に適した圧縮性流体用改良型ポンプシステムを提供することである。このポンプシステムは、かなり単純な構造を有し、かつ容易に制御可能でなければならない。さらに、本発明は、クロマトグラフィ用途に適した既存のポンプシステムに後付け可能な(retrofittable)ポンプシステムを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様では、COなどの圧縮性流体、特にクロマトグラフィ用途に適した溶媒用のポンプシステムが提案される。このポンプシステムは、第1のポンプ出口を有する第1のポンプを含む。このポンプシステムは、第2のポンプ出口を有する第2のポンプをさらに含む。第1のポンプ出口と、第2のポンプ出口とは、ポンプシステムの主出口と流体連通する結合部(junction)で合流する。言い換えれば、結合部の下流に主出口が設けられ、この主出口は、結合部のため第1のポンプ出口および第2のポンプ出口と流体連通する。
【0013】
このように、第1のポンプ出口から出た流体流と、第2のポンプ出口から出た流体流とは、結合部で合流し、さらに下流に、ポンプシステムの主出口へと、またはポンプシステムの主出口を通って送られる。
【0014】
さらに、このポンプシステムは、第1のポンプの第1の出口圧力p1の測定値に基づいて、第2のポンプの第2の出口圧力p2を調節する制御部を含む。第1および第2の出口圧力p1およびp2は、それぞれ第2のポンプおよび第1のポンプの出口圧力を指定する。さらに、第1のポンプ出口は、第1のポンプの唯一の出口であり、第2のポンプ出口は、第2のポンプの唯一の出口である。典型的には、第1および第2のポンプの各々は、第1または第2のポンプ出口としてそれぞれに指定される1つの出口を含む。
【0015】
制御部は、第1のポンプの出口圧力p1の測定値に基づいて、第2のポンプの出口圧力p2を調節するように動作可能であるので、第2のポンプが圧力制御によって調節され、それによって第1のポンプ出口の出口流における供給流の脈動を、第2のポンプによって有効に補償する、または少なくとも低減させることができる。ここで、第2のポンプは、第1のポンプの流量または体積流量よりも低減した流量を供給するように寸法設定かつ設計される。第2のポンプは、特に、第1のポンプの出口において流体流に圧力降下または流量低下が生じた特定の時点で、流体流を補助的に供給するように動作可能である。
【0016】
制御部は、特に、結合部下流の合計圧力および合計流量が所定のレベルを超えることを相殺し、防止するように、第2のポンプの第2の出口圧力を調節するように適用(adapted to)されている。したがって、第2のポンプの出口圧力の調節および/または制御は、結合部下流の体積流量を、クロマトグラフィ用途によって主出口下流に求められる所定のマージンまたはレベルの範囲内、典型的には所定の一定体積流量よりも低く保持する働きをする。
【0017】
第1のポンプは、典型的には主ポンプまたは増圧ポンプとして働き、作用するが、第2のポンプは、補助ポンプまたは分注ポンプとして作用し、働くことができ、この第2のポンプは、第1のポンプの供給流の脈動、すなわち第1のポンプの出口において頻繁に生じる圧力降下または供給流の低下を専ら補償するように適用され、設計されている。
【0018】
第1および/または第2のポンプの出口圧力を測定し、調節するとは、特に、第1および/または第2のポンプそれぞれの出口を流れるそれぞれの加圧流体の圧力を調節および/または測定することを意味する。
【0019】
第2のポンプは、特に、第1のポンプ出口の供給流の脈動を補償する働きをするので、第2のポンプの最大体積流量は、第1のポンプの最大体積流量ほど大きくする必要はない。したがって、第2のポンプの寸法は、第1のポンプの寸法に比べて遥かに小型にすることができる。実際上、第2のポンプにかかる費用は、第1のポンプの金銭的投資に比べてかなり低く抑えることができる。このように、このポンプシステムは、かなりコンパクト、かつ費用効率よく維持することができる。さらに、第1のポンプを搭載済みクロマトグラフィシステムのポンプによって置き換えてもよい。第1のポンプに、第2のポンプを結合部および制御部と共に付属させ、連結する(couple)ことによっても、既存のポンプシステムに第2のポンプを後付けして、本発明によるポンプシステムを設けることができる。
【0020】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの逆止め弁が、結合部と、第2のポンプ出口との間に配置される。この逆止め弁によって、流体が第1のポンプ出口から第2のポンプ出口の方へと流れるのを効果的に防止することができる。典型的には、逆止め弁は、第1のポンプ出口の圧力が降下して、第2のポンプ出口の圧力レベルを下回ると開く。これは、典型的には、図3に示す圧力降下61が生じた場合であり、典型的には、第1のポンプ出口の流体流の対応する低下にリンクしている。
【0021】
第1および第2のポンプ出口の結合部によって、主出口の流体流をかなり一定に、かつ圧力降下のないレベルで保持することができ、これは、第1のポンプ出口において生じるいかなる圧力降下または流体流の低下も、第2のポンプ出口の補足的な補償流体流によって補償することができるからである。ここで、結合部と、第2のポンプ出口との間の逆止め弁は、実質的に遅延のない動作を実現する多数の様々な形で実施可能である。このように、逆止め弁によって、第1のポンプ出口における圧力降下または流体流の低下は、第2のポンプ出口において第2のポンプによって供給される流体流によってほぼ即座に補償することができる。
【0022】
別の実施形態によれば、第1のポンプは、第1のポンプ入口を含む。第2のポンプも、第2のポンプ入口を含む。第1および第2のポンプ入口はどちらも、圧縮性流体が少なくとも部分的に充填された収納リザーバと並列に連結可能である。典型的には、第1および第2の入口は、全く同一の収納リザーバに連結可能、または実際に連結されている。収納リザーバと、第1および第2のポンプ入口との間には、圧縮性液体を、第1および/または第2のポンプによって加圧する前に所定の温度に予め冷却するための冷却器を設けることができる。どちらのポンプも全く同一の収納容器と流体連通するので、第1および第2のポンプは、クロマトグラフィ用途に適した同種の溶媒を加圧し、供給するように適用されている。
【0023】
言い換えれば、別の実施形態によれば、第1および第2のポンプは、互いに対して並列に配置される。したがって、貯蔵容器に供給された加圧流体は、第1のポンプを通り、結合部を通って主出口へと流れるか、または第2のポンプを介し、結合部を通って主出口へと流れることができる。第1および第2のポンプを、収納リザーバと主出口との間の流体経路に並列に配置することによって、流量が異なる、したがって費用効果の高い、第1のポンプと第2のポンプとで異なるポンプ構成を実現することができる。
【0024】
別の実施形態によれば、制御部は、第2のポンプの出口圧力を、第1のポンプの出口圧力よりも低く調整するように動作可能である。上記で既に述べたように、言及しているポンプの出口圧力とはいずれも、それぞれのポンプによって加圧された加圧流体の流体圧力を指すものである。第2のポンプの出口圧力を第1のポンプの出口圧力よりも少なくとも僅かに低く調整することによって、供給流の脈動のいかなる過剰補償も、有効に防止することができる。第2のポンプの動作圧力を、第1のポンプの所定の出口圧力よりも低く保持することによって、主出口における合計圧力を第1のポンプの所定の出口圧力よりも低く、またはその所定の出口圧力で保持することができる。
【0025】
第2のポンプの出口圧力の調整は、典型的には制御部によって実施され、制御部は、マイクロコントローラによって、またはPLC制御システム、または同様の制御システムもしくは制御ループによって実施することができる。第2のポンプの出口圧力の調整は、第1のポンプの実際に測定された出口圧力に依存して、第2のポンプを一時的にスイッチオンしたり、スイッチオフしたりすることを含むことができる。第1のポンプ出口の加圧流体流に圧力降下が生じた場合、かかる圧力降下は、ほぼ即座に検出されることになる。その結果、第2のポンプは、直ちに起動する(activate)ことになる。この例では、第2の出口圧力の調節または調整は、第2のポンプの出口圧力を動的に改変することによって、例えばポンプ容量またはポンプ出力を連続的に上昇および/または低下させることによって、等しく達成できることに留意されたい。
【0026】
代替例として、第2のポンプは、第2の出口圧力、したがって第2のポンプ出口内部の流体圧力の測定値に基づいて制御し、動作させることも考えられる。このように、制御部は、第2のポンプ出口においてかなり一定の圧力レベルをもたらすことができる。第1のポンプ出口の圧力レベルが降下して所定のレベルを下回った場合、結合部と第2のポンプ出口との間にある逆止め弁を開き、それによって第2の出口の圧力降下をもたらすことができ、それによって第2のポンプの調節ループが、第2のポンプの体積流量を増大させて、圧力降下を相殺し、第2のポンプ出口の流体圧力を所定の一定レベルで保持することができるように動作可能となる。
【0027】
別の実施形態では、制御部は、第2のポンプの出口圧力を調整するように動作可能であり、したがって第2の出口圧力p2を、第1のポンプの出口圧力p1よりも1バールから10バール低いレベルに調整することができる。本例では、第1のポンプの出口圧力は、第1のポンプのかなり一定の、所定の出口圧力に関し、かかる圧力は、主出口に連結され、そこから供給を受けるクロマトグラフィシステムが一般に必要とするものである。典型的な動作シナリオでは、第1のポンプは、数百バール、典型的には約400バール、さらにはそれよりも高い圧力をもたらす。次いで、第2のポンプの圧力は、第1のポンプの圧力レベルに比べて1〜10バール低い圧力レベルに調整され、調節される。第2のポンプの出口圧力p2を、第1のポンプの出口圧力p1の圧力レベルよりも僅かに低い圧力レベルに調整し、かつ第1および第2のポンプ出口を並列に配置しておくことによって、第1のポンプの供給流の脈動を、第2のポンプの作用によってほぼ完全に補償することができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、ポンプシステムは、制御部に連結され、結合部上流の第1のポンプ出口と流れ連通する、少なくとも第1の圧力センサを含む。第1の圧力センサによって、第1のポンプの出口圧力p1を第1のポンプ出口で測定することが可能となる。このように、制御部によって第1の出口圧力p1を常に監視することができる。
【0029】
さらなる実施形態では、ポンプシステムはまた、制御部に連結され、結合部上流の第2のポンプ出口と流れ連通する、少なくとも第2の圧力センサを含む。第2の圧力センサによって、第2のポンプの第2の出口圧力p2を測定することができる。第1および第2の圧力センサの信号を比較することによって、第1および第2のポンプ間の、したがって第1および第2のポンプ出口間の圧力差を求めることが可能となる。したがって、第2のポンプの動作をも調節するように適用された制御部によって、第1および第2の出口圧力p1−p2間の圧力差を所定のマージン、すなわちx2とx1の範囲内、典型的には1バールから10バールの間に保つことができる。
【0030】
制御部は第2の圧力センサと連結されているため、また、制御部は第2のポンプの動作を制御するようにその駆動部にも連結されているため、制御部、第2の圧力センサ、および第2のポンプは、制御ループとして配置され、または制御ループを形成(form)している。このように、ポンプシステムの動作中の、第2のポンプの動作および挙動は、明確に規定された所定の形で制御することができ、したがって第2のポンプによって供給される体積流量および圧力は、第1のポンプの圧力に追従することになる。このように、ポンプシステム、特に第2のポンプは、第1または主ポンプの流体流の脈動、流量変動、および/または動作モードの変更にも動的に反応することができる。
【0031】
一般に、第1および第2のポンプは、同等の型のものでよいが、同等の型のものである必要はない。第2のポンプは、第1のポンプの供給流の脈動を、広範な体積流量にわたっても有効に補償する働きをするので、第1および/または第2のポンプは、1つ、2つ、3つ、または4つのポンプヘッドをそれぞれ特色とする単式ポンプ、複式ポンプ、三重式ポンプ、または四重式ポンプとして実施されることが考えられる。第1および第2のポンプは、幾何形状および寸法が大幅に異なってもよい。さらに、供給流の脈動を補償するために、第1および第2のポンプが非同期で駆動されることが特に有利である。
【0032】
単独で考えると、第2のポンプも、連続モードで駆動される場合には供給流の脈動を示すことがある。第2のポンプの体積流量は、典型的には第1のポンプの体積流量よりも少ないので、第2のポンプの供給流の脈動が、第1のポンプの供給流の脈動と時間的に重ならないようにすると特に有利である。供給流の脈動がそのように互いに重なるのを回避するために、第1および第2のポンプが非同期で、または互いに独立して駆動されると有利である。
【0033】
別の実施形態によれば、第2のポンプの最大体積流量は、第1のポンプの最大体積流量の20%未満、または15%未満、または10%未満である。第2のポンプは、分注または補助ポンプとしてのみ作用し、第1のポンプ出口の流体流の供給流量ギャップを専ら補償する働きをするだけなので、大体積流量を供給する必要はない。典型的には、第2のポンプの体積流量は、第1のポンプの体積流量の10%から20%の間、典型的には10%から15%の間の範囲でよい。
【0034】
別の態様によれば、少なくとも1種の溶媒を収納および/または準備するための少なくとも1つの収納リザーバを有するクロマトグラフィシステムも、提供される。このクロマトグラフィシステムは、上述のポンプシステムをさらに含む。典型的な実施形態では、クロマトグラフィシステムはまた、クロマトグラフィカラムと、物質を分析、識別し、定量化するための少なくとも1つの検出または分析ユニットとを含む。
【0035】
さらなる態様では、クロマトグラフィシステムは、超臨界流体クロマトグラフィシステムとして、またはHPLCシステムとして設計され、ここで、そのポンプシステムは、加圧CO、またはエタノール、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、もしくは同様の溶媒などの他の圧縮性流体を供給するように動作可能である。
【0036】
この改良型ポンプシステムを用いると、クロマトグラフィシステムに入る溶媒流を、かなり一定した、脈動のない溶媒流として供給することができる。実際上、クロマトグラフィシステムの測定結果を、著しく改善することができる。
【0037】
さらなる態様では、変換キットが提供され、この変換キットによって、第1の、したがって主ポンプの供給流の脈動を補償するように、クロマトグラフィシステムの従来型ポンプシステムに、収納リザーバ、ならびにポンプシステムの主出口に並列に連結された第1および第2のポンプを後付けすることができる。この変換キットは、少なくとも第2のポンプ、結合部、および制御部を含む。したがって、第2のポンプは、分枝部中、または収納リザーバと主出口との間の流路に平行に延び、しかし第1のポンプを通って延びる流路中に配置されることになる。
【0038】
さらに、少なくとも1つ、典型的には2つの、すなわち上述の、変換キットに付属させてもよい第1および第2の圧力センサが、第1および第2のポンプの第1および第2のポンプ出口にそれぞれ配置されることになる。さらに、少なくとも第2のポンプは、その出口圧力p2を、第1のポンプの出口圧力p1よりも僅かに低い所定のレベルに調整するように、制御部によって動作し、制御される。
【0039】
変換キットによって、HPLCまたはSFCシステムなどのクロマトグラフィシステムの既存のポンプシステムに、かなりコスト効率がよく、かつ容易な形で後付けすることができる。
【0040】
別の態様では、上述のポンプシステムを動作させる方法が提供される。前記方法は、第1のポンプの第1のポンプ出口で第1の出口圧力p1を測定する工程と、測定された第1の出口圧力に基づいて、第2のポンプの第2のポンプ出口で第2の出口圧力を調整する工程とを含む。第2のポンプ出口の第2の出口圧力p2は、第1のポンプ出口の出口圧力よりも僅かに低く調整され、かつ/または保持される。このように、第2のポンプによって供給される体積流量は、第1のポンプによって生じる加圧流体流の頻繁な降下を専ら補償する働きをする。少なくとも第2のポンプが専ら圧力調整され、かつ第2の出口圧力p2が第1の出口圧力p1よりも少なくとも僅かに低いので、第1および第2のポンプによって、第1のポンプおよび第2のポンプの分枝部、または主出口で流体流を入念かつ量的に測定しなくとも、均質かつ一定の体積流量を供給することができる。
【0041】
本方法のさらなる実施形態では、第2の出口圧力p2は、第1の出口圧力p1よりも1バールから10バール低く保持される。典型的には、第1および第2のポンプの出口圧力レベルは、約数百バール、典型的にはSFC用途の場合約400バールである。しかし、第1および第2のポンプの出口圧力のレベルは1000バール程度まで高い場合も考えられる。また、ここでも、出口圧力p1とp2との圧力差は、1バールから10バールの間の範囲でよい。あるいは、第1および第2の出口圧力間の圧力差は、p1の合計圧力の0.25%から2.5%の間の範囲も考えられる。
【0042】
本発明は、ポンプシステム、かかるポンプシステムを含むクロマトグラフィシステム、およびかかるポンプシステムまたはクロマトグラフィシステムを動作させる方法にもそれぞれ等しく関連することに言及しておきたい。ポンプシステムに関して言及し、説明したいかなる特色、効果、および利点も、クロマトグラフィシステム、およびポンプシステムを動作させる方法にも等しくあてはまるものであり、その逆もまた同様である。
【0043】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な改変および変更を行うことができることが当業者には明白であろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用するいかなる参照符号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことに留意されたい。
【0044】
以下、一実施形態の様々な特色、態様、利点、および応用例(application scenario)について、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】SFCシステムとして実施されるクロマトグラフィシステムの概略図である。
図2】従来技術による従来型ポンプを有するSFCシステムの準備ステージを示す図である。
図3】従来技術によるポンプの体積流量を経時的に示す図である。
図4】本発明によるポンプシステムの一実施形態を示す図である。
図5図4によるポンプシステムの体積流量を経時的に示す図である。
図6図4によるポンプシステムを動作させる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1によるブロック図は、超臨界流体クロマトグラフィシステム100、特にかかるクロマトグラフィシステム100の準備ステージ106または108内のポンプシステム10の一実装形態を概略的に示した図である。例示の実施形態では、システム100は、溶媒として、メタノールに加えて超臨界COを使用している。図1に示すように、COは収納リザーバ102に供給され、メタノールは収納リザーバ104に供給される。CO収納リザーバ102は、準備ステージ106と流体連結する。準備ステージ106は、図4に示し、以下で説明するように、熱交換器12、すなわち冷却器12、およびポンプシステム10を含む。
【0047】
同様に、メタノール収納リザーバ104も、典型的にはそれぞれのポンプ、および熱交換器を含む、対応する準備ステージ108と流体連結する。準備ステージ108の下流には、典型的にはプローブ注入器109が設けられる。次いで、CO成分と、メタノール成分とは、プローブとともに混合され、クロマトグラフィカラム110に供給される。クロマトグラフィカラム110の下流には、少なくとも1つの検出または分析ユニット112、114が設けられる。
【0048】
例示のブロック図では、UV検出器112、および質量分光器114が設けられている。UV検出器112の下流には、背圧レギュレータ116、および熱交換器118がさらに設けられている。熱交換器118を出たエアゾールは、ガス−液体分離器119に供給される。CO成分は環境に放出されるが、メタノール成分は、フラクションコレクタ120に収集される。収集されたフラクションは、主フラクション122として自動的に収集することができ、余分なメタノールは廃棄されることになる。
【0049】
図4に示すポンプシステム10は、2つのポンプ、すなわち第1のポンプ20、および第2のポンプ30を含む。第1および第2のポンプ20、30は、並列に配置されている。第1のポンプ20は、第1のポンプ入口26を含み、この入口は、ポンプシステム10によって加圧予定の流体を収容している収納リザーバ102と直接流体連通する。収納リザーバ102と、第1および第2のポンプ20、30との間には、液体を所定の温度に予め冷却しておくための冷却器12が配置されている。ポンプ20は、例えば図2に示すように、従来技術で既知のポンプ20と同一でよい。本実施形態では、ポンプ20は、2つのポンプヘッド22、24を特色とする複式ポンプである。典型的には、ポンプヘッド22、24は、動作中のポンプ20の発熱を相殺するように冷却される。
【0050】
分注または補助ポンプとして作用する第2のポンプ30も、2つのポンプヘッド32、34を有する複式ポンプを含む。第1のポンプ20と同様に、第2のポンプ30も、ポンプヘッド32の下流および上流に逆止め弁33を含み、ポンプヘッド34の下流および上流にも逆止め弁35をさらに含む。複式ポンプ設計では、ポンプヘッド32と34とを並列に連結する必要がある。第2のポンプ30はまた、第1のポンプ20の第1のポンプ入口26に並列の第2のポンプ入口36を含む。図4に示すように、第1のポンプ入口26、すなわち第1のポンプ20の入口と、第2のポンプ入口36、すなわち第2のポンプ30のポンプ入口36とは、冷却器12および/または収納リザーバ102と個々に連結され、かつどちらも冷却器12および/または収納リザーバ102と流体連通する。あるいは、第1および第2のポンプ入口26、36が独立に収納リザーバ102に連結されることも考えられる。
【0051】
ポンプシステム10は、結合部40をさらに含み、本実施形態では、結合部40はT分岐部として設計されている。このように、第1のポンプ出口21、すなわち第1のポンプ20の出口21と、第2のポンプ出口31、すなわち第2のポンプ30の出口31とは、結合部40で合流している。第1および第2のポンプ出口21、31によって供給される流体流は、結合部40を経由して合流し、どちらも主出口48に案内(guide)され、ここから図1に示すクロマトグラフィシステム100に入る。図4に示すポンプシステム10は、準備ステージ106、108のうちの少なくとも一方に組み込むことができる。また、ポンプシステム10をクロマトグラフィシステム100の準備ステージ106、108の両方に組み込むことも考えられる。
【0052】
図4に示すポンプシステム10はまた、第1のポンプ20の出口圧力p1の測定値に基づいて、第2のポンプ30の第2の出口圧力p2を調節する制御部50を含む。出口圧力p2、p1を制御し、測定するために、2つの圧力センサ44、46が第1および第2のポンプ出口21、31にそれぞれ設けられている。第1の圧力センサ44は、第1のポンプ出口21の流体経路の、結合部40の上流であるが第1のポンプ20の下流に配置されている。第1の圧力センサ44によって、第1のポンプ20の出口圧力p1が検出可能かつ/または量的に測定可能である。第2のポンプ30がない場合、出口圧力p1は、図3のグラフ60に示した体積流量と同様に振る舞う。したがって、出口圧力は、大幅な降下61を周期的、または頻繁に受ける。
【0053】
第2のポンプ30の流体経路、したがって第2のポンプ出口31の下流であるが結合部40の上流に、逆止め弁42が設けられている。逆止め弁42は、加圧流体が第2のポンプ30の方へと第2のポンプ出口31に逆流するのを防止するだけでなく、第1のポンプ出口21の出口流の規則的な供給流の脈動61を実質的に補償する有効な手段となる。
【0054】
第1の出口圧力p1が降下して所定の閾値を下回った場合、逆止め弁42が少なくとも一時的に開き、したがって第2のポンプ30から出た補助的な流体流が結合部40に入り、主出口流が結合部40下流の主出口48へと、そこを通って流れるのに寄与することになる。第1のポンプ出口21の圧力が上昇して所定の通常レベルまで戻ると、第1のポンプ出口21と第2のポンプ出口31との間の瞬間圧力差p1−p2は下がり、所定の閾値を下回る。その結果、逆止め弁42は閉じる。
【0055】
逆止め弁42は、多くの様々な形で実施することができる。逆止め弁42は、付勢されたばね(spring)でよく、したがって完全に機械的に実施することができる。逆止め弁42はまた、例えば制御部50によって電気的に制御可能な電気機械弁または電磁弁として実施してもよい。
【0056】
既に述べたように、第2の圧力センサ46がまた、第2のポンプ出口31に設けられている。第2の圧力センサ46は、典型的には逆止め弁42の上流、したがって結合部40の上流に配置されている。第2の圧力センサ46によって、第2のポンプ30によって供給される第2の出口圧力p2を測定することができる。第1および第2の圧力センサ44、46はどちらも制御部50に連結されているので、制御部50は、第1および第2のポンプ出口21と31との間の圧力差p1−p2を求め、監視するように動作可能である。
【0057】
さらに、制御部50は、第2のポンプ30の駆動部37に連結されている。このように、制御部50によって、出口圧力、したがって第2の出口圧力p2を調整し調節することができる。第1の圧力センサ44によって第1の出口圧力p1を測定し、第2の圧力センサ46によって第2の出口圧力p2を測定することによって、制御部50は、第2の出口圧力p2を第1の出口圧力p1の圧力レベルよりも少なくとも僅かに低く保持するように動作可能である。このように、第2のポンプp2の動作は、供給流の脈動を有効に補償する働きをするが、第2の出口圧力p2の圧力レベルは常に第1の出口圧力p1の所定のレベルよりも低くなるので、主出口48における合計圧力は、第1のポンプ21の所定の圧力レベルを超えることはない。
【0058】
典型的には、第1の出口圧力p1と第2の出口圧力p2との間の差は、第1の出口圧力p1の0.25%から2.5%の間の範囲となるように調節される。
【0059】
図5のグラフ160と図3のグラフ60との比較から、第2のポンプ30を第1のポンプ20と並列に実装し、使用することによって、供給流の脈動、および主出口48の流れの圧力降下または体積流量低下61がたちまち低減していることが即座に明白である。図5のグラフ160から分かるように、経時的な体積流量は、典型的には、体積流量の全体レベルまたは第1の出口圧力p1の圧力レベルの1%〜5%未満のかなり小さい降下161またはリプルを示している。
【0060】
図6による流れ図200は、ポンプシステム10を動作させる方法の実装形態の方式をかなり簡易的に示している。第1の工程202において、少なくとも第2のポンプ30の第2の出口圧力p2が監視され、測定される。その後の工程204において、測定された第2の出口圧力p2が、第1のポンプ20の所定かつ一定の第1の出口圧力p1と比較される。測定された第2の出口圧力p2はまた、第1の圧力センサ44によって第1の出口31で実際に測定された第1の圧力p1と比較してもよい。第1の出口圧力p1と第2の出口圧力p2との間の圧力差p1−p2が所与の上限閾値x1を上回る場合、次の工程206で、第2のポンプ30が起動することになる。その結果、第2の出口圧力p2が上昇し、この出口圧力p2は工程202で測定されることになる。圧力差p1−p2がなおも大きすぎる場合、第1および第2の出口圧力p1とp2との間の圧力差が、x1よりも小さいが、p1とp2との間の圧力差の下限閾値を規定しているx2よりも大きいと工程204において判定されるまで、工程202、204、206のループが続く。
【0061】
次いで、本方法は工程208に続き、ここで第2の出口圧力p2が再び第1の出口圧力p1と比較される。しかし、工程204とは異なり、ここでは、出口圧力p1とp2との間の差が所与の最小閾値x2を上回るように制御し、そのようになっているかを判定する。典型的には、出口圧力p1とp2との間の圧力差は、1バールよりも大きくなければならず、または第1の出口圧力p1の0.25%よりも大きくなければならない。言い換えれば、工程208において、第2の出口圧力p2が第1の出口圧力p1よりも少なくとも1バール低いかのチェックが実施される。
【0062】
工程208において、第2の出口圧力p2が第1の出口圧力p1との最小差に近付いていると判定された場合、工程210において、第2のポンプ30が停止状態(deactivated)になる。
【0063】
第2の出口圧力p2が第1の出口圧力p1との所定の差の範囲内にある限り、したがって圧力差p1−p2がx2よりも大きいがx1よりは小さい限り、本方法は、工程202、204、208、および206のループを続ける。第2の出口圧力p2が、第1の出口圧力p1に近付き、したがって第1および第2の出力p1とp2との差が下がって所定の最小差x2を下回った場合、第2のポンプ30は、工程210において停止状態になる。
【0064】
第2のポンプ30を起動または停止させるのではなく、第2のポンプ30のポンプ動力またはポンプ容量をそれに応じて調整することもまた、一般に考えられる。
【符号の説明】
【0065】
10 ポンプシステム
12 冷却器
20 第1のポンプ
21 ポンプ出口
22 ポンプヘッド
23 逆止め弁
24 ポンプヘッド
25 逆止め弁
26 ポンプ入口
30 第2のポンプ
31 ポンプ出口
32 ポンプヘッド
33 逆止め弁
34 ポンプヘッド
35 逆止め弁
36 ポンプ入口
37 駆動部
40 結合部
42 逆止め弁
44 圧力センサ
46 圧力センサ
48 主出口
50 制御部
60 グラフ
61 降下
100 クロマトグラフィシステム
102 収納リザーバ
104 収納リザーバ
106 準備ステージ
108 準備ステージ
109 プローブ注入器
110 クロマトグラフィカラム
112 UV検出器
114 分光器
116 背圧レギュレータ
118 熱交換器
119 液体ガス分離器
120 フラクションコレクタ
122 主フラクション
160 グラフ
161 降下
図1
図2
図3
図4
図5
図6