(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559152
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ドライバアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20190805BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-555340(P2016-555340)
(86)(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公表番号】特表2017-510237(P2017-510237A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2015053466
(87)【国際公開番号】WO2015149986
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】102014205957.7
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508187001
【氏名又は名称】レムフェルダー エレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Lemfoerder Electronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン・ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】エルトマン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】パーリト・アーヨイ
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−168226(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/137333(WO,A1)
【文献】
特開2011−068204(JP,A)
【文献】
特開2010−187435(JP,A)
【文献】
特開2013−098328(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0026957(US,A1)
【文献】
特開2004−166493(JP,A)
【文献】
特開2013−236114(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103153754(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバアセンブリ(100)であって、所定の数の半導体スイッチ(105)を備えたドライバアセンブリ(100)において、
これらの半導体スイッチ(105)の中の一つが、一つの円の線(125)内に配置され、残る半導体スイッチ(105)が、この円の線(125)上に配置されていることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のドライバアセンブリ(100)において、
該円の線(125)上に有る半導体スイッチ(105)が均等に分散されていることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドライバアセンブリ(100)において、
中央の半導体スイッチ(105)に対する円の線(125)上に有る半導体スイッチ(105)の間隔が同じ大きさであることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載のドライバアセンブリ(100)において、
全部で9個の半導体スイッチ(105)が配備され、本ドライバアセンブリ(100)が、三相同期モータ(210)を駆動するために三つのハーフブリッジ(305,310,315)を有し、
各ハーフブリッジ(305,310,315)が、高電位側スイッチ(320)、低電位側スイッチ(325)及びフェーズセパレータ(330)として互いに切り換えられる三つの半導体スイッチ(105)から構成され、
このフェーズセパレータ(330)が、高電位側スイッチ(320)と低電位側スイッチ(325)の間の中間タップを同期モータ(210)の相端子(215,220,225)と接続するように配備されている、
ことを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のドライバアセンブリ(100)において、
フェーズセパレータ(330)の三つの半導体スイッチ(105)が一列に配置されており、この列の一方の側に三つの高電位側スイッチ(320)が配置され、他方の側に三つの低電位側スイッチ(325)が配置されていることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一つに記載のドライバアセンブリ(100)において、
半導体スイッチ(105)が、同じピン配列の表面実装可能な構成部品であることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載のドライバアセンブリ(100)において、
半導体スイッチ(105)と当接するヒートシンク(135)が更に配備されていることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のドライバアセンブリ(100)において、
該ヒートシンク(135)が、二つの半導体スイッチ(105)の間の表面に有る電気接続部品(340)と当接する突起部(410)を有することを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のドライバアセンブリ(100)において、
半導体スイッチ(105)が動作時に同じ温度に熱せられるように、半導体スイッチ(105)の間に複数の突起部(410)が配備されていることを特徴とするドライバアセンブリ。
【請求項10】
請求項4から9までのいずれか一つに記載のドライバアセンブリ(100)において、
ハーフブリッジ(305,310,315)を制御する制御装置(205)が更に配備されており、この制御装置(205)は、更に、同期モータ(210)の相電圧又は相電流を監視して、計測された相電圧又は相電流が高電位側スイッチ(320)の中の一つ又は低電位側スイッチ(325)の中の一つの故障を示した場合に、フェーズセパレータ(330)を用いて同期モータ(210)を停止するように装備されていることを特徴とするドライバアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバアセンブリに関する。特に、本発明は、ドライバアセンブリの構成要素の排熱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のボードにおいて、制御機器は、それと繋がった電力消費体を制御するために、電流又は電圧を供給するように装備されている。例えば、それと繋がった同期モータの回転方向及び回転速度を制御するために、三相交流電圧を供給することができる。
【0003】
ドライバアセンブリは、同期モータに必要な電流又は必要な電圧を提供するために、複数の半導体スイッチを備えている。それらの半導体スイッチは、通常損失無しでは動作せず、そのため、それらから熱を放出しなければならない。それらの半導体スイッチへの配線を出来る限り短く直接敷設して、共通のヒートシンクを用いて冷却できるようにするために、それらの半導体スイッチは、通常マトリックス形状又はランダムに配置されている。半導体スイッチは、動作時に、その配置構成に応じて、互いに異なる大きさで熱せられ、その結果、異なる温度に晒される。その温度差によって、半導体スイッチは、電気的に異なる大きさの負荷を受ける可能性が有り、その結果、ドライバアセンブリの全体的な電気負荷能力が低減される可能性が有る。それらの半導体スイッチが異なる強さ又は速さで劣化する可能性も有り、そのため、それらの故障確率が相違することとなる。それによって、ドライバアセンブリ全体の故障確率を増大させる可能性が有る。更に、それらの半導体スイッチへの配線の長さが異なる可能性が有り、それによって、配線領域における電磁両立性(EMV)、インピーダンス又は電圧降下が不利な影響を受ける可能性も有る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、改善されたドライバアセンブリを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、独立請求項の特徴を有するドライバアセンブリを用いて、本課題を解決する。従属請求項は、有利な実施構成を表す。
【0006】
本発明によるドライバアセンブリは、所定の数の半導体スイッチを備え、これらの半導体スイッチの中の一つが一つの円の線内に配置され、残る半導体スイッチがその円の線上に配置される。それによって、半導体スイッチを動作時にほぼ均等に熱することができる。有利には、この一つの半導体スイッチが円の中心点と接して配置され、残る半導体スイッチがその中心点の周りの円の線上に配置される。これによって、半導体スイッチをほぼ均等に熱することを一層最適化できる。半導体スイッチの熱負荷をほぼ同じにすることができ、その結果、半導体スイッチの電気負荷能力も同じにすることができる。それによって、ドライバアセンブリ全体の電気負荷能力を全体として向上することができる。それに代わって、負荷能力が同じ場合に、半導体スイッチのサイズを小さくすることができる。熱負荷が同じであることによって、半導体スイッチは、同じ程度又は同じ速さで劣化することもでき、それによって、電気負荷能力を半導体スイッチの寿命に渡って等しくすることができる。それによって、ドライバアセンブリの電気負荷能力を長い目で見て安定化することができる。ドライバアセンブリの長期間の信頼性を向上することができる。それは、特に、安全に関して重要な部品の制御時に、例えば、自動車のボードにおける電気操舵支援時に有利である。
【0007】
有利には、円の線上に有る半導体スイッチは均等に分散される。そのために、円の線上において隣り合う半導体スイッチは、それぞれ中心点に関して同じ角度を成すことができる。この半導体スイッチの配置構成は、円の線上の位置又は別の半導体スイッチに対する位置を前述した通りに維持する任意の点を各半導体スイッチの表面に選択することによって、許容差を受け入れることが可能となる。別の実施構成では、半導体スイッチは、比肩可能な構造形状を有し、半導体スイッチの表面における点が比肩可能な形で選定される。例えば、この点は、それぞれ幾何学的な中心点又は動作中に最も熱せられる領域内に選定することができる。
【0008】
特に、この選定された点が最も熱せられる領域内に選定された場合、個々の半導体スイッチの回転整列形態を熱分布に関して任意に選定することができる。別の実施構成では、個々の半導体スイッチは、それらの輪郭の最小間隔に関しても互いに整列させることができる。これは、特に、半導体スイッチの表面が比較的大きく、表面が動作時に比較的均等に熱せられる場合に有利であるとすることができる。
【0009】
別の実施構成では、中央の半導体スイッチに対する円の線上に有る半導体スイッチの間隔を同じ大きさとすることができる。それによって、残る半導体スイッチからの最も大きな熱投入量に晒されると想定される中央の半導体スイッチの加熱を改善された形で調節することができる。そのようにして、これらの半導体スイッチの均一な温度を容易に実現することができる。
【0010】
特に有利な実施構成では、ドライバアセンブリは、三相同期モータを駆動するように装備される。そのために、ドライバアセンブリは、全部で9個の半導体スイッチから成る三つのハーフブリッジを有する。各ハーフブリッジは、高電位側スイッチ、低電位側スイッチ及びフェーズセパレータとして互いに切り換えられる三つの半導体スイッチから構成される。この場合、フェーズセパレータは、高電位側スイッチと低電位側スイッチの間の中央タップを同期モータの相端子と接続するように配備される。
【0011】
それによって、この追加のフェーズセパレータにより改善された制御能力を有する、同期モータを駆動するコンパクトで熱的に安定したドライバアセンブリを提示することができる。特に、例えば、誤動作状態が検出された場合に、フェーズセパレータを用いて、同期モータを停止することが可能となる。それによって、安全に関する、或いは安全に重要なシステムにおける同期モータは、その同期モータが短絡されてもおらず、電流も流れていない安全な状態に改善された形で移行させることができる。例えば、同期モータは、運転者が自動車に加える操舵力を増幅又は減衰させる役割を果たすことができる。この同期モータがフェーズセパレータを用いて停止された場合、操舵力を増幅することも減衰することもできなくなる。それによって、誤動作の場合でも、自動車の所定の操舵挙動を保証することができる。
【0012】
有利には、これらのフェーズセパレータの三つの半導体スイッチが一列に配置されて、その列の一方の側に三つの高電位側スイッチが配置され、他方の側に三つの低電位側スイッチが配置される。この場合、中央に有る半導体スイッチは必然的にフェーズセパレータとなる。それによって、ドライバアセンブリにおける熱分布の対称性を改善することができる。更に、個々の半導体スイッチの間の電気接続部をより容易に交差無しに敷設することができる。これらの接続部の改善された敷設によって、接続部の電磁適合性、インピーダンス及び固有抵抗を改善するか、或いは互いに等しくすることができる。それによって、ドライバアセンブリは、より精密に制御可能となるか、或いは雑音による影響をより受け難くすることができる。
【0013】
これらの半導体スイッチは、同じピン配列の表面実装可能な構成部品とすることができる。それによって、特に、最後に述べた配置構成の場合に、これらの半導体スイッチの間の配線の敷設を一層容易にすることができる。同期モータの相を流れる電流を案内する電気接続部を容易に交差無しに一つの面内に敷設することができる。それによって、これらの半導体スイッチに適合する回路支持体、例えば、導体配線路を取り付けた基板が、より容易に設計可能及び製造可能となる。更に、この回路支持体の加熱を改善された形で調節することができる。
【0014】
有利には、半導体スイッチと当接するヒートシンクが配備される。このヒートシンクは、特に、個々の半導体スイッチと接する円形の基礎面を有することができる。それによって、ドライバアセンブリに含まれる半導体スイッチが均等に冷却される円筒形状の配置構成を作り出すことができる。このヒートシンクは、それにより得られるユニットを別個に取り扱うことができるように、半導体スイッチに取り付けることができ、それによって、例えば、同期モータを制御する制御機器へのドライバアセンブリの組立プロセスを容易にすることができる。更に、このヒートシンク又はユニットの丸い形状を同期モータの円筒の形状に対応させることができ、その結果、このユニットの改善された形の省スペースな取り付けが可能となる。
【0015】
有利な実施構成では、ヒートシンクは、二つの半導体スイッチの間の表面に有る電気接続部品と当接する突起部を有する。上述した回路支持体の場合、例えば、この突起部を介して導体配線路を接触させることができる。この突起部は、一つの半導体スイッチから別の半導体スイッチへの熱投入量を電気接続部品を用いて低減又は補償することに寄与することができる。更に、この突起部は、ヒートシンクを回路支持体と改善された形で機械的に固定する役割を果たすことができる。
【0016】
半導体スイッチが動作時に同じ温度に熱せられるように、半導体スイッチの間に複数の突起部を配備することが特に有利である。これらの突起部のサイズ構成及び配置形態は、例えば、計算、シミュレーション又は試行錯誤により決定することができる。一つの突起部の体積が大きくなるほど、その放熱量がより大きくなり、その結果、突起部と接する接続部品により接続された二つの半導体スイッチを改善された形で互いに熱的に切り離すことができる。
【0017】
別の実施構成では、更に、ハーフブリッジを制御する制御装置が配備される。この制御装置は、同期モータの相電圧又は相電流を監視して、計測された相電圧又は相電流が高電位側スイッチの中の一つ又は低電位側スイッチの中の一つの故障を示した場合に、フェーズセパレータを用いて同期モータを停止するように装備される。それによって、誤動作の場合でも、ドライバアセンブリ、制御装置及び同期モータから成る構造グループを安全な状態に移行することができる。それは、特に、自動車のボードにおける上述した安全に関するシステム、例えば、操舵支援に対して有利であるとすることができる。
【0018】
ここで、添付図面と関連して、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ドライバアセンブリの半導体スイッチの配置構成図
【
図2】
図1のドライバアセンブリを有する構造グループの接続図
【
図3】
図1のドライバアセンブリの半導体スイッチの間の配線敷設図
【
図4】
図1のドライバアセンブリの一つの実施構成の側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、複数の半導体スイッチ105を備えたドライバアセンブリ100の模式的な平面図を図示している。これらの半導体スイッチ105は、有利には、特に、回路支持体115、例えば、基板の表面により形成される一つの面110内に配置された表面実装可能な構成部品である。これらの半導体スイッチは、例えば、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、MOSFET、サイリスタ、スイッチングダイオード又はIGBTから構成することができる。例として、9個の半導体スイッチ105が配備され、その電気的な構造は、以下において更に詳しく説明する。これらの半導体スイッチ105の中の一つが、円の線125の中心点120の領域に配置される一方、残る半導体スイッチは、その円の線125上に置かれる。
【0021】
一つの半導体スイッチ105の位置を決定するために、その輪郭内に一つの点130を選定することができ、その正確な位置を円の線125又は中心点120上に決定することができる。有利には、これらの半導体スイッチ105は、同じ輪郭を有し、これらの点130は、そのような対応する場所に選定される。これらの場所は、例えば、幾何学的又は熱的な考慮から、例えば、幾何学的な中心点又は最も大きく熱せられる点に選定することができる。
図1の図面では、これらの点130は、半導体スイッチにおいて、そのような点に対応するが、偏心形態で選定されている。この場合、中央の半導体スイッチ105の点130は中心点120に有る。残る8個の半導体スイッチ105の点は、円の線125上に均等に分散されており、その結果、隣り合う点130は、中心点120に関して、それぞれ360°/8=45°の角度を成す。
【0022】
有利には、半導体スイッチ105は、ヒートシンク135と熱的に連結される。このヒートシンク135は、有利には、半導体スイッチ105の表面に当接する丸い基礎面140を有する。別の実施構成では、この基礎面140は、円の線125上に配置された半導体スイッチ105と同じ数の頂点を有する正多角形とすることもできる。それによって、ドライバアセンブリ100は、そのドライバアセンブリ100により駆動可能な同期モータの終端区画の円筒の形状と一致可能なほぼ円筒の形状を有することができる。この終端区画の領域において、有利には、省スペースな形で、ドライバアセンブリ100を同期モータに配置することができる。特に、ドライバアセンブリ100は、この終端区画の軸方向の延伸部に配置することができ、それによって、ドライバアセンブリ100は、同期モータと別個に取扱可能なユニットを形成することができる。これらの同期モータとドライバアセンブリ100は、一つの共通の筐体内に配置することができる。
【0023】
ヒートシンク135は、放熱パッド、伝熱ペースト又はマイカディスクを用いて、熱的に改善された形で連結することができる。それによって、特に、半導体スイッチ105の電気端子がその表面に有る場合に有利となる、半導体スイッチ105とヒートシンク135の電気絶縁を実現することができる。それは、例えば、半導体スイッチ105としてドライバアセンブリ100において有利に使用される所謂ダイレクトFETの場合である。
【0024】
図2は、特に、自動車のボードにおいて動作する制御機器200を図示している。この制御機器200は、
図1のドライバアセンブリ100と制御装置205を有し、三相同期モータ210を制御するように装備されている。この同期モータ210は、特に、自動車のボードにおける安全に関する、或いは安全に重要な機能を動かすアクチュエータに配備することができる。例えば、自動車の操舵部は、同期モータ210により駆動される電気式操舵力増幅器を備えることができる。別の実施構成では、同期モータ210は、自動車のボードにおける別の装置を駆動するために、例えば、ウインドウ昇降器、電気式幌の駆動部又はシート調節装置のために配備することもできる。
【0025】
同期モータ210は、例えば、星形結線により構成されて、それぞれ同期モータ210の回転方向、回転速度又は回転トルクを制御するために、電流源又は電流シンクと接続するように装備された三つの相215〜225を有する。以下において、「相」との用語は、一般的に、図示された三相同期モータ210の三つの電気端子の中の一つに対して用いられる。
【0026】
これらの三つの相215〜225は、制御機器200と接続されている。制御装置205は、個々の相215〜225を所定の時間的な順序で正電位230又は負電位235と接続して、所定の回転運動又は所定の回転トルクを同期モータ210に設定する形でドライバアセンブリ100を駆動するように装備されている。
【0027】
更に、この制御装置205は、有利には、故障の場合を決定し、それに応じてドライバアセンブリ100を停止し、その結果、三つの相215〜225が電位230、235のどれとも互いに接続されないように装備される。
【0028】
そのために、相215〜225とドライバアセンブリ100の間の接続部に、それぞれセンサ240を配備することができる。このセンサ240は、各相215〜225に加わる電圧又は各相215〜225を流れる電流を計測するように装備することができる。別の実施構成では、二つのセンサ240だけが配備され、残る相215〜225の対応する測定値の決定が解析的に、特に、キルヒホッフの法則に基づき行なわれる。
【0029】
有利な実施構成では、センサ240は、相電流を計測するように装備される。そのために、センサ240は、シャントとも呼ばれる、各相215〜225を流れる電流が貫流する直列抵抗245を有する。ここで例として挙げた実施構成では、直列抵抗245を介して降下する電圧が、測定増幅器250を用いて計測され、その結果、相215〜225を流れる電流に比例する信号が得られる。この信号は、有利には、制御装置205により評価される。
【0030】
ドライバアセンブリ100の領域における誤動作は、例えば、相215〜225の中の一つが持続的に正電位230又は負電位235と接続されることを引き起こす可能性が有る。この場合、それに対応する相215〜225を流れる電流は、それに対応してドライバアセンブリ100を駆動すること無く確認することもできる。この誤動作は、相電圧の監視によっても検出することができる。
【0031】
別の実施構成では、同期モータ210の回転運動をサンプリングするために回転センサ245を配備することができる。この回転センサ245は、制御装置205と接続することができ、制御装置205は、回転センサ245の回転信号に応じて、相電流の時間的な順序を制御することができる。更に、この回転センサ245を用いて、例えば、機械的にブロックされて、その駆動と関係無く全体として回転しなくなるために、同期モータ210が相215〜225の駆動により期待される形態と異なる形で回転する誤動作を決定することができる。
【0032】
即ち、誤動作が確認された場合、制御装置205は、ドライバアセンブリ100を停止することができる。有利には、そのために、以下において詳しく説明する通り、相215〜225とドライバアセンブリ100の別の半導体スイッチ105の間の電気接続を遮断するように制御される専用の半導体スイッチ105がドライバアセンブリ100に配備される。
【0033】
図3は、
図2の制御機器200に関する
図1のドライバアセンブリ100の半導体スイッチ105の間の配線敷設例を図示している。この場合、
図1に図示された実施構成に対応する半導体スイッチ105の有利な配置構成が使用されている。ヒートシンク135の無い形で基板115の平面図が図示されている。電気接続部が模式的に図示されている。
【0034】
ここに図示された有利な実施構成では、9個の半導体スイッチ105が三つのハーフブリッジ305〜315として編成されている。各ハーフブリッジ305〜315は、三つの半導体スイッチ105から構成され、その中の一つは高電位側スイッチ320として使用され、一つは低電位側スイッチ325として使用され、一つはフェーズセパレータ330として使用される。一つのハーフブリッジ305〜315のフェーズセパレータ330は、相215〜225の中の一つとの切換可能な接続部を形成するように装備されている。このようにして、各相215〜225と切換可能な形で接続されたフェーズセパレータ330の端子は、正電位230に切り換えるために、高電位側スイッチ320の端子と接続され、負電位235に切り換えるために、低電位側スイッチ325の端子と接続されている。この場合、同じハーフブリッジ305〜315の高電位側スイッチ320と低電位側スイッチ325の同時接続は、通常相応の制御によって防止されている。
【0035】
半導体スイッチ105は、有利には、同じピン配列を有する。そのために、同じ形式の半導体スイッチ105を使用することができる。別の実施構成では、高電位側スイッチ320と低電位側スイッチ325の半導体スイッチ105は相補的な対を形成することができ、その場合、鏡面反転したピン配列が可能である。
【0036】
更に、半導体スイッチ105が表面実装可能であることが有利である。
図3の図面では、半導体スイッチは回路支持体115の表面に取り付けられている。これらの半導体スイッチ105は、特に、有利には、ダイレクトFETの構造形状で使用される電界効果トランジスタから構成することができる。
【0037】
図示された9個の半導体スイッチ105の各々は、有利には、別個に制御可能である。各半導体スイッチ105には、制御装置205と接続可能な制御端子335が配備されている。各半導体スイッチ105の別の二つの端子は、
図3において太い線により模式的に図示された接続部品340を用いて、上述した通り、互いに電気的に接続されている。有利には、半導体スイッチ105は、中心点120及び円の線125(両方とも図示されていない)に関して、三つのフェーズセパレータ330が一列に、或いは一つの直線上に有るように配置されている。この場合、フェーズセパレータ330の中の二つは、円の線125上に有り、第三のフェーズセパレータ330は、それらの間の線の中心点120の領域内に有る。有利には、高電位側スイッチ320は、この線の一方の側に、
図3では上側に配置される一方、低電位側スイッチ325は、他方の側に、
図3では下側に配置されている。この場合、高電位側スイッチ320も低電位側スイッチ325も円の線125上に有る。
【0038】
半導体スイッチ105の間、半導体スイッチ105と電位230及び235の間、並びに半導体スイッチ105と相215〜225の端子の間の接続は、
図3に図示されている通り、容易に交差無しに、かつ短い形でも実現することができる。制御端子335と制御装置205の間の接続は、周知の手法で容易に解くことができる。有利な実施構成では、制御端子335に繋がる全ての電気接続は、同期モータ210の相215〜225を流れる電流を案内する接続部品340と異なる面内に敷設されている。そのために、複数の面を有する回路支持体115を使用することができ、それらの面上に接続部品340を敷設することが可能である。図示された実施構成では、電流を案内する接続部品340が回路支持体115の上側に敷設される一方、スルーホールを用いて制御端子335と接触する接続部品は、回路支持体115の下側に敷設することができる。
【0039】
図4は、
図1のドライバアセンブリ100の実施構成の側面図を図示している。ヒートシンク135の基礎面140は、半導体スイッチ105の上方の表面と接している。有利には、ヒートシンク135と半導体スイッチ105の熱的な連結は、それらの間に挿入された熱伝導手段405を用いて行なわれる。この熱伝導手段405は、有利には、小さい熱抵抗を有し、有利には、半導体スイッチ105の上方の表面とヒートシンク135の基礎面の間の異なる厚さの隙間を埋めるように装備される。それによって、半導体スイッチ105の垂直方向の組立許容差を等しくすることができる。更に、この熱伝導手段405が電気絶縁性であるのが有利である。この熱伝導手段405は、例えば、放熱パッド、伝熱ペースト又はマイカディスクから構成することができる。
【0040】
ヒートシンク135は、接続部品340と当接するように装備された突起部410を備えることができる。この突起部410と接続部品340の間には、同じく熱伝導部品405を配備することができる。この突起部410を用いて、接続部品340を改善された形で冷却することができる。それによって、接続部品340に沿った半導体スイッチ105への熱投入量を低減することができる。特に、この突起部410を用いて、二つの半導体スイッチ105を互いに電気的に接続する接続部品340を冷却することができる。それによって、二つの半導体スイッチ105の断熱を改善することができる。
【0041】
突起部410の大きさ、位置及び形状は、半導体スイッチ105を動作時にほぼ均等に熱する形で半導体スイッチ105の間の熱の流れを調節するように選定することができる。半導体スイッチ105の対の間に複数の突起部410を配備することができ、これらの突起部410は異なる形状にすることができる。これらの突起部410の大きさと形状は、動作時に半導体スイッチ105が均等に熱せられることを保証するように選定することができる。
【0042】
一般的に、突起部410は、
図3において太い線により図示された、同期モータ210の相215〜225を流れる電流が貫流する接続部品340に対してのみ延びるのが有利である。
【符号の説明】
【0043】
100 ドライバアセンブリ
105 半導体スイッチ
110 面
115 回路支持体(基板)
120 中心点
125 円の線
130 点
135 ヒートシンク
140 基礎面
200 制御機器
205 制御装置
210 三相同期モータ
215 第一の相
220 第二の相
225 第三の相
230 正電位
235 負電位
240 センサ
245 直列抵抗(シャント)
250 測定増幅器
305 第一のハーフブリッジ
310 第二のハーフブリッジ
315 第三のハーフブリッジ
320 高電位側スイッチ
325 低電位側スイッチ
330 フェーズセパレータ
335 制御端子
340 接続部品
405 熱伝導手段
410 突起部