特許第6559161号(P6559161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559161
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】心臓組織の緊締
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】15
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2016-574042(P2016-574042)
(86)(22)【出願日】2015年6月14日
(65)【公表番号】特表2017-520313(P2017-520313A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】IB2015001196
(87)【国際公開番号】WO2015193728
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】62/014,397
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/131,636
(32)【優先日】2015年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317008300
【氏名又は名称】4テック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ギルモア、ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】デンティ、パオロ
(72)【発明者】
【氏名】グイドッティ、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ラティブ、モハメッド、アジーム
(72)【発明者】
【氏名】リン、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】マリンズ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マイサノ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ザーバタニー、デイヴィッド
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0090523(US,A1)
【文献】 特表2008−534085(JP,A)
【文献】 特表2013−517830(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0161041(US,A1)
【文献】 特表2016−508840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織アンカーシステム(10)を含む装置であって、前記組織アンカーシステム(10)は、
トルク伝達ツール(20)を有し、該トルク伝達ツールは、(a)遠位トルク伝達ヘッド(30)を含むトルク伝達ケーブル(28)と、(b)遠位トルク伝達ヘッド(30)の遠位端(34)に固定された遠位結合部(32)と、(c)遠位ばねデプレッサ(36)とを有し、
テザー(22)を有し、かつ、
組織アンカー(24)を有し、該組織アンカーは、(a)組織結合部(50)および(b)アンカーヘッド(52)を有し、
(i)該組織アンカーは、前記組織結合部(50)の近位部(54)に取り付けられ、かつ、
(ii)該組織アンカーは、
軸方向不動シャフト(56)を有し、該軸方向不動シャフトは、(a)前記組織結合部(50)の前記近位部(54)に対して軸方向に固定された遠位部(58)を有し、かつ、(b)近位結合部(62)を含む近位端(60)を有し、前記遠位結合部(32)および前記近位結合部(62)は、対応するインターロック面を形成する形状に形成されており、
ばね(70)を有し、
外側テザー固定部(80)を有し、
(a)該外側テザー固定部(80)は、横開口部(82)を形成する形状に形成され、該横開口部を通して前記テザー(22)が配置され、かつ、
(b)該外側テザー固定部(80)は、少なくとも部分的に径方向に、前記軸方向不動シャフト(56)および前記ばね(70)を取り囲んでおり、
前記組織アンカーシステム(10)は、
ロック解除状態になるように構成されており、該ロック解除状態では、(a)前記遠位結合部(32)および前記近位結合部(62)が互いにかみ合うように結合され、かつ、(b)前記遠位ばねデプレッサ(36)が前記ばね(70)を軸方向に圧縮された状態に抑制し、その状態で前記ばね(70)が前記テザー(22)の前記横開口部(82)を通した摺動を阻止せず、かつ、
ロック状態になるように構成されており、該ロック状態では、(a)前記遠位結合部(32)および前記近位結合部(62)が互いに結合されておらず、(b)前記遠位ばねデプレッサ(36)が前記ばね(70)を前記軸方向に圧縮された状態に抑制しておらず、かつ、(c)前記ばね(70)が軸方向に拡張した状態であり、その状態で前記ばね(70)が前記テザー(22)を前記外側テザー固定部(80)に対して押圧することにより前記横開口部(82)を通した前記テザー(22)の前記摺動を阻止する、
前記装置。
【請求項2】
前記ばね(70)の少なくとも一部は、径方向に前記軸方向不動シャフト(56)を取り囲んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記組織アンカーシステム(10)がロック状態である場合、前記ばね(70)は、前記テザー(22)を、前記外側テザー固定部(80)の前記横開口部(82)の周囲に対して押圧することにより、前記横開口部(82)を通した前記テザー(22)の前記摺動を阻止する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記組織アンカーシステム(10)はさらにロックワイヤ(110)を含み、
前記遠位トルク伝達ヘッド(30)を含む前記トルク伝達ケーブル(28)、前記遠位結合部(32)、前記近位結合部(62)、および前記軸方向不動シャフト(56)は、それらを貫通するそれぞれの導管(72、74、76、78)を形成する形状に形成され、それらの導管は互いに一直線状に整列するようにかつ前記組織アンカー(24)と同軸に配置され、
前記組織アンカーシステム(10)が前記ロック解除状態である場合、前記ロックワイヤ(110)の一部が前記導管(72、74、76、78)内に配置され、これにより前記遠位結合部(32)および前記近位結合部(62)同士の結合が分離されるのを阻止する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ロックワイヤ(110)が、鋭利な遠位先端(727)を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記アンカーヘッド(52)はさらに、前記ばね(70)の近位端(104)を含む前記ばね(70)の少なくとも一部(102)を覆うハンマーキャップ(100)を含み、
前記組織アンカーシステム(10)が前記ロック状態である場合、前記ばね(70)は、前記ハンマーキャップ(100)を前記外側テザー固定部(80)に対して押圧することによって、前記テザー(22)を前記外側テザー固定部(80)に対して押圧する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ハンマーキャップ(100)が、前記ばね(70)に固定されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記組織アンカーシステム(10)が前記ロック状態である場合、前記ばね(70)は前記ハンマーキャップ(100)を前記外側テザー固定部(80)の前記横開口部(82)の周囲(84)に対して押圧する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記外側テザー固定部(80)は前記組織結合部(50)および前記軸方向不動シャフト(56)に対して回動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記外側テザー固定部(80)は部分的なシリンダの形状に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記テザー(22、822)が、可撓性であり、かつ、
前記テザー(22、822)が直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
前記テザー(22、822)は中央縦軸(828)を有し、第1および第2の長手方向の位置(832A、832B)に、前記中央縦軸(828)に垂直な第1および第2の断面(850A、850B)を形成する形状に形成され、
前記第1および前記第2の断面(850A、850B)は、それぞれ第1および第2の線(852A、852B)を形成する、第1および第2の最大寸法を有しており、
前記第1および前記第2の断面(850A、850B)が前記中央縦軸(828)周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)前記第1および前記第2の線(852A、852B)は、少なくとも30度の角度で交差するようになっており、(b)前記第1および前記第2の断面(850A、850B)は、一致しないようになっている、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
第1の長手方向の位置(832A)および第2の長手方向の位置(832B)が、前記中央縦軸に沿って互いに10mm以内にある、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記角度は少なくとも60度である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1および前記第2の最大寸法は第1および第2の最大外寸であり、
前記第1および前記第2の断面(850A、850B)は、それぞれ前記第1および前記第2の最大外寸に垂直に測定した、それぞれ第1および第2の最大内寸を有しており、
前記第1および前記第2の最大内寸は、それぞれ、前記第1および前記第2の最大外寸の50%以下である、
請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記テザー(22、822)が直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
前記テザー(22、822)は、第3の長手方向の位置(832C)に、前記中央縦軸(828)に垂直な第3の断面を形成する形状に形成され、前記第2の長手方向の位置(832B)は前記中央縦軸(828)に沿って前記第1および前記第3の長手方向の位置(832A、832C)の長手方向の間であり、
前記第3の断面は第3の線を形成する第3の最大寸法を有しており、
前記第2および前記第3の断面が前記中央縦軸(828)周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)前記第2および前記第3の線は少なくとも30度の角度で交差するようになっており、(b)前記第2および前記第3の断面は一致しないようになっている、
請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、共に本願の被譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、(a)2014年6月19日に出願された米国仮特許出願第62/014,397号、および(b)2015年3月11日に出願された米国仮特許出願第62/131,636号の優先権を主張する。
【0002】
本発明のいくつかの適用は、大略的に弁形成術に関する。より詳しくは、本発明のいくつかの適用は、患者の房室弁の修復に関する。
【背景技術】
【0003】
機能的三尖弁閉鎖不全症(FTR)は、三尖弁の弁輪拡張、環形異常、肺高血圧症、左心室または右心室の機能障害、右心室の幾何学的配置、弁尖テザリングなどの、いくつかの病態生理学的な異常による影響を受ける。FTRのための治療の選択肢としては、主に外科的な治療がある。軽症から重症に亘る三尖弁閉鎖不全症の現在の有病者数は、米国内において1,600万人と推定されている。これらの内、三尖弁の手術を受けるのは年間8,000人であり、その殆どは左心の心臓弁の手術に関連するものである。
【0004】
虚血性心疾患は、乳頭筋の虚血性機能障害と、虚血性心疾患内に存在する左心室の拡張との組み合わせによる僧帽弁閉鎖不全を引き起こし、続いて、乳頭筋の変位および僧帽弁の弁輪拡張を引き起こす。
【0005】
僧帽弁の弁輪拡張は、弁が閉鎖されるときに弁膜が完全に接合することを妨げる。左心室から左心房への血液の僧帽弁逆流は、総心拍血液量を増加させるとともに心拍出量を減少させ、左心房の容量過負荷および圧力過負荷に次いで最終的に左心室を衰弱させる。
【0006】
僧帽弁閉鎖不全の患者の少なくとも30%は三尖弁の閉鎖不全を併発しているという報告がなされている。たとえば、Di Mauro et al.の“Mitral Valve surgery for functional mitral regurgitation: prognostic role of tricuspid regurgitation,” European Journal of Cardio−thoratic Surgery (2009)635−640、およびKing RM et al.の“Surgery for tricuspid regurgitation late after mitral valve replacement,” Circulation 1984;70:I193−7参照。
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの適用において、機能的三尖弁および/または僧帽弁閉鎖不全(FTRおよび/またはFMR)の経皮的治療を可能とするために、経皮的移植組織のテザー(tethers)を経腔的に締め付けるための技術が提供される。
【0008】
本発明のいくつかの適用において、組織アンカーシステムは、トルク伝達ツールと、テザー(a tether)と、組織アンカーとを含む。トルク伝達ツールは、心臓組織に組織アンカーを埋め込んで、その後テザーを組織アンカーに、テザーの組織アンカーに対する摺動を阻止するようにロックするように構成されている。典型的には、テザーは組織アンカーが心臓組織に埋め込まれた後に締め付けられ、テザーが締め付けられた後に、テザーが組織アンカーにロックされる。
【0009】
トルク伝達ツールは、(a)遠位トルク伝達ヘッドを含むトルク伝達ケーブルと、(b)遠位トルク伝達ヘッドの遠位端に固定された遠位結合部と、(c)遠位ばねデプレッサとを含む。組織アンカーは、(a)組織結合部と、(b)組織結合部の近位部に取り付けられた近位アンカーヘッドとを含む。アンカーヘッドは、軸方向不動シャフトとテザーロッキング機構とを含む。軸方向不動シャフトは、(a)組織結合部の近位部に対して軸方向に固定された遠位部と、(b)近位結合部を含む近位端とを有する。遠位および近位結合部は、対応するインターロック面を形成する形状に形成され、それにより遠位トルク伝達ヘッドの軸方向不動シャフトへの結合を容易にする。
【0010】
テザーロッキング機構は、ばねと、外側テザー固定部とを含む。外側テザー固定部は、(i)それを介してテザーを配置する横開口部を形成する形状に形成され、かつ(ii)少なくとも部分的に径方向に軸方向不動シャフトおよびばね(以下に説明するように設けられている場合は、ならびにハンマーキャップ)を取り囲んでいる。いくつかの適用のために、ばねの少なくとも一部は軸方向不動シャフトを径方向に取り囲んでいる。
【0011】
組織アンカーシステムは、以下の状態になるように構成されている:
・(a)遠位および近位の結合部が互いにかみ合うように結合され、(b)遠位ばねデプレッサがばねを軸方向に圧縮された状態に抑制し、ばねがテザーの横開口部を介した摺動を阻止しない、ロック解除状態、および
・(b)遠位および近位の結合部が互いに結合されておらず、(b)遠位ばねデプレッサがばねを軸方向に圧縮された状態に抑制しておらず、(c)ばねが軸方向に拡張した状態であり、ばねがテザーを横開口部の周囲に対してなど、外側テザー固定部に対して押圧することにより横開口部を介したテザーの摺動を阻止する、ロック状態。
【0012】
組織アンカーシステムがロック解除状態である場合、テザーロッキング機構もまたロック解除状態であり、この状態ではばねは横開口部を介したテザーの摺動を阻止しない。組織アンカーシステムがロック状態である場合、テザーロッキング機構もまたロック状態であり、この状態ではばねはテザーを横開口部の周囲に対してなど、外側テザー固定部に対して押圧することにより横開口部を介したテザーの摺動を阻止する。
【0013】
組織アンカーシステムはロック解除状態で心室内に前進する。組織アンカーは、組織アンカーシステムがロック解除状態である間、トルク伝達ケーブルを用いて、心臓組織に埋め込まれる。組織アンカーが埋め込まれた後、テザーに張力が印加される。張力が印加されると、テザーは、アンカーヘッドの外側テザー固定部の横開口部を介して前進する。心室内に張力の印加が発生し、処置のための空間ができ、医師は触覚的および視覚的な制御を得る。その後、遠位トルク伝達ヘッドおよびケーブルが組織アンカーの軸方向不動シャフトから分離され、それによりばねが拡張してテザーを外側テザー固定部に対して押圧することが可能となる。この押圧により、テザーが組織アンカーに対してロックされ、組織アンカーと1つ以上の他の埋め込まれた組織アンカーとの間の距離および張力が維持される。
【0014】
トルク伝達ケーブルは、したがって、以下の2つの機能を果たす:
・組織アンカーに回転力を印加することによって、心臓組織内に組織アンカーを埋め込むこと、および
・組織アンカーシステムをロック解除状態に維持して、テザーが組織アンカーに対して摺動可能となり、テザーへの張力の印加(および必要に応じて調節)を可能にすること。
【0015】
同様に、トルク伝達ケーブルを組織アンカーのアンカーヘッドの軸方向不動シャフトから分離することにより、同時に、(1)組織アンカーを解放し、(2)組織アンカーシステムをロック状態に切り替える。
【0016】
いくつかの適用のために、アンカーヘッドはさらに、ばねに固定され、ばねの近位端を含むばねの少なくとも一部を覆うハンマーキャップを含む。組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねは、ハンマーキャップを横開口部の周囲などの外側テザー固定部に対して押圧することによって、テザーを外側テザー固定部に対して押圧する。ハンマーキャップは、ばねでテザーのもつれを阻止してもよい。
【0017】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムはさらに、ロックワイヤを含む。トルク伝達ケーブル(遠位トルク伝達ヘッドを含む)、遠位結合部、近位結合部、および軸方向不動シャフトは、それらを貫通するそれぞれの導管を形成する形状に形成され、それらの導管は互いに対して放射状にかつ組織アンカーと同軸に配置される。組織アンカーシステムがロック解除状態である場合、ロックワイヤの一部が導管内に配置され、これにより遠位および近位の結合部同士の結合が分離されるのを阻止する。ロックワイヤの一部を導管から近位に引いて取り除くことにより、遠位および近位の結合部同士の結合を分離することが可能になる。
【0018】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムは三尖弁、または僧帽弁の修復のための処置に使用される。この処置は、トルク伝達ツール、テザー、および組織アンカーを含む組織アンカーシステムを含む、弁引張インプラントシステムを使用して実施される。この処置において、組織アンカーは第2の組織アンカーとして機能する。弁引張インプラントシステムはさらに第1の組織アンカーを含み、この第1の組織アンカーは典型的には、心筋組織を穿刺し心筋組織内に螺入する螺旋状組織結合部を含む。弁引張インプラントシステムにより、第1および第2の組織アンカーを別々に供給し、その後、本来の位置で結合することが可能になる。これにより、操作者の処置が簡素化され、固定位置へのより簡便なアクセスを提供する可能性のある、経大腿、経頚静脈、経橈骨動脈または経心尖のアプローチなどの、2つ以上の異なる血管からのアプローチを可能にする。
【0019】
本発明のいくつかの適用において、組織アンカーシステムは、組織アンカー、鋭利な遠位先端を有するロックシャフト、トルク伝達ツール、および、任意に、アンカーヘッドに結合されたテザーを含む。組織アンカーは、(a)螺旋状組織結合部の遠位端に延びる螺旋状組織結合部導管を形成し取り囲む形状に形成された螺旋状組織結合部、および(b)アンカーヘッドを含む。アンカーヘッドは、(i)螺旋状組織結合部の近位部に取り付けられ、(ii)内側壁部を有するヘッド結合導管を形成する形状に形成される。トルク伝達ツールは、組織アンカーを心臓組織内に埋め込むように構成され、トルク伝達ケーブル、遠位トルク伝達ヘッド、および結合部(球状であってもよい)を含む。遠位トルク伝達ヘッドは、トルク伝達ケーブルに固定され、チャンバを形成する形状に形成され、チャンバはチャンバの側壁を介した開窓部、ならびに近位および遠位のチャンバ端部開口部を形成する形状に形成される。結合部は、(i)組織アンカーシステムのいずれの構成要素にも固定されず、(ii)開窓部を通過するには大き過ぎるサイズであり、(iii)遠位のチャンバ端部開口部を通過するには大き過ぎるサイズである。
【0020】
トルク伝達ケーブルおよび遠位トルク伝達ヘッドは共にロックシャフト収容導管を形成する形状に形成され、この導管は(a)(i)トルク伝達ケーブル、(ii)チャンバ、および(iii)近位および遠位のチャンバ端部開口部を通過し、(b)螺旋状組織結合部導管と同軸である。組織アンカーシステムは、それぞれ遠位トルク伝達ヘッドがアンカーヘッドに係合しているおよび係合していない、係合状態および非係合状態になるように構成されている。
【0021】
組織アンカーシステムが係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、ロックシャフトは結合部が部分的にチャンバから開窓部を介してヘッド結合導管の内側壁部に対して突出することを抑制して、それにより遠位トルク伝達ヘッドをヘッド結合導管に対して軸方向に固定する。組織アンカーシステムが非係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内に配置されておらず、螺旋状組織結合部導管内に配置されておらず、結合部を抑制しない。
【0022】
いくつかの適用のために、ヘッド結合導管の内側壁部は結合用窪みを形成する形状に形成され、組織アンカーシステムが係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、ロックシャフトは結合部が部分的にチャンバから開窓部を介してヘッド結合導管の内側壁部の結合用窪み内に突出することを抑制する。
【0023】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールはさらに、貫通孔を形成する形状に形成された放射線不透過性のビードを含む深度測定ツールを含む。ビードは、螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置される。ロックシャフトが少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、組織アンカーシステムが係合状態である場合、ロックシャフトはビードの孔を通過し、ビードがロックシャフトおよび螺旋状組織結合部導管に沿って摺動可能になっている。
【0024】
本発明のいくつかの適用において、可撓性テザーが設けられている。テザーは、たとえば、2つ以上の本明細書に記載する組織アンカーなどの組織アンカーの間に張力を印加するために使用してもよい。テザーが直線状に引っ張られる場合、(a)テザーは中央縦軸を有し、第1および第2のブレードを形成する形状に形成され、これらのブレードは(i)第1および第2の長手方向の位置に、(ii)中央縦軸に沿って互いに10mm以内に配置され、(b)第1および第2のブレードはそれぞれ、最良適合平面を有し、それら平面は少なくとも60度などの少なくとも30度の角度で交差している。いくつかの適用のために、中央縦軸は第1および第2の最良適合平面に整列するか、または第1および第2の最良適合平面に平行である。
【0025】
本発明のいくつかの適用において、三尖弁−僧帽弁修復処置を提供する。この処置において、三尖弁および僧帽弁の両方が、心房中隔を通過するテザーを使用して同時に両方の弁に亘って張力を印加することによって修復される。この経カテーテルの修復処置は単一の弁引張インプラントシステムで両方の弁を締め付ける。これにより、他の方法では多数の処置を必要とする、あるいは少なくとも部分的に未処置のままとなる患者に対して、簡単かつ安価な処置が提供される。いくつかの適用のために、弁引張インプラントシステムは、トルク伝達ツール、テザー、および組織アンカーを含む上述の組織アンカーシステムを含む。この処置において、上述の組織アンカーは、第2の組織アンカーとして機能する。弁引張インプラントシステムはさらに、第1の組織アンカーを含む。あるいは、他の組織固定技術および/またはテザー引っ張り技術を使用してもよい。
【0026】
この三尖弁−僧帽弁修復処置において、弁引張インプラントシステムは典型的には、カテーテルを介して、ガイドワイヤを用いて、対象者の血管系を介して、経カテーテルで血管内に(典型的には経皮的に)導入される。カテーテルは右心房内に導入され、心房中隔の中隔部位を貫通する開口部が形成され、この開口部は典型的には、卵円窩から少なくとも10mmなどの、卵円窩から少なくとも5mmである。
【0027】
第1の組織アンカーを左心房の左心房部位に血管内で前進させ、部位は僧帽弁の弁輪上の僧帽弁輪部位、および僧帽弁輪部位の上方の左心房の壁部から成る部位群から選択される。典型的には、第1の組織アンカーを左心房内に前進させるために、カテーテルを開口部を介して前進させる。カテーテルを介して内側管を前進させてもよく、内側管を介して伝達ツールを前進させてもよい。
【0028】
第1の組織アンカーは左心房部位に埋め込まれる。いくつかの適用のために、僧帽弁輪部位は僧帽弁の後尖に周方向に対応している。たとえば、僧帽弁輪部位は、後尖の外側弁帆(P1)の1cm以内および/または中央弁帆(P2)の1cm以内の僧帽弁の弁輪部位に周方向に対応していてもよい。内側管は、これを使用する場合は、カテーテルから取り外され、カテーテルを右心房へ後退させる。対象者の身体の外側で、医師はその後、テザーの自由端を第2の組織アンカーの外側テザー固定部の横開口部に通し、組織アンカーシステムの伝達管の内腔に通す。テザーはこのように第1および第2の組織アンカーを結合する。
【0029】
第2の組織アンカーおよびトルク伝達ケーブルを含む組織アンカーシステムは、テザー上を伝達管を介して血管内に導入され、システム自体がカテーテルを介して前進する。組織アンカーシステムはロック解除状態で導入される(テザーロッキング機構もロック解除状態である)。伝達管の遠位端、および第2の組織アンカーは、三尖弁の弁輪上の三尖弁輪部位、および三尖弁輪部位の上方の右心房の壁部から成る部位群から選択される右心房の右心房部位に進められる。いくつかの適用のために、三尖弁輪部位は、(a)三尖弁の前後方向交連(APC)に対して2cm前方と(b)三尖弁の後中隔部心筋交連との間の三尖弁の弁輪部位に周方向に対応している。第2の組織アンカーは、トルク伝達ケーブルを回転させることによって三尖弁輪部位に埋め込まれる。
【0030】
三尖弁の開口部の寸法および僧帽弁の開口部の寸法は、テザーを引っ張ることによって左心房部位および右心房部位を接近させることによって縮小され、それにより逆流を減少させる。かかる引っ張りは、テザーの一部が第2の組織アンカーの外側テザー固定部の横開口部を介して引っ張られるように、テザーの自由端を近位に引っ張ることによって実施してもよい。
【0031】
張力が印加されると、トルク伝達ケーブル(遠位トルク伝達ヘッドを含む)は、ロックシャフトを取り除くことなどにより、第2の組織アンカーの軸方向不動シャフトから分離される。その結果、ばねが拡張し、テザーを外側テザー固定部に対して押圧する。この押圧により、テザーを組織アンカーに対してロックすることによって、組織アンカーシステムをロック状態に切り替える(およびテザーロッキング機構をロック状態に切り替える)。かかるロッキングにより、第2の組織アンカーと第1の組織アンカーとの間の距離および張力を維持する。
【0032】
いくつかの適用のために、処置はさらに、貫通する開口部を形成する形状に形成された環状補強部を、心房中隔の開口部内に配置することを含む。補強部は典型的には、第1の組織アンカーを埋め込んだ後で、かつ第2の組織アンカーを埋め込む前に供給され配置される。テザーは補強部の開口部を通過する。補強部は心房中隔の開口部に対するテザーの押圧力を供給し、それによりテザーによる切断などによる心房中隔への損傷を防止してもよい。
【0033】
したがって、本発明の適用に従い、方法が提供されており、当該方法は、
心房中隔の、卵円窩から少なくとも5mmの中隔部位を貫通する開口部を形成することと、
第1の組織アンカーを、僧帽弁の弁輪上の僧帽弁輪部位、および僧帽弁輪部位の上方の心臓の左心房の壁部から成る部位群から選択される、左心房部位に血管内で前進させることと、
左心房部位に第1の組織アンカーを埋め込むことと、
第2の組織アンカーを、三尖弁の弁輪上の三尖弁輪部位、および三尖弁輪部位の上方の心臓の右心房の壁部から成る部位群から選択される右心房部位に血管内で前進させることと、
右心房部位に第2の組織アンカーを埋め込むことと、
心房中隔の開口部を通過しかつ第1および第2の組織アンカーを結合するテザーを引っ張ることによって左心房部位および右心房部位を接近させることと、を含む。
【0034】
いくつかの適用のために、第1および第2の組織アンカーを血管内で前進させることは、第1および第2の組織アンカーを左心房部位および右心房部位にそれぞれ経皮的に前進させることを含む。
【0035】
いくつかの適用のために、僧帽弁輪部位は僧帽弁の後尖に周方向に対応している。
【0036】
いくつかの適用のために、僧帽弁輪部位は僧帽弁の弁輪部位に周方向に対応しており、以下のうちの少なくとも1つであることを特徴とする:弁輪部位は後尖の外側弁帆(P1)の1cm以内である、および弁輪部位は後尖の中央弁帆(P2)の1cm以内である。
【0037】
いくつかの適用のために、三尖弁輪部位は、右心房から見て、(a)三尖弁輪上の一点にまたはその一点に対して右回りであり三尖弁の前後方向交連(APC)に対して2cm左回りであり、かつ(b)三尖弁の後中隔部心筋交連の位置にまたはその位置に対して左回りである、三尖弁の弁輪部位に周方向に対応している。
【0038】
いくつかの適用のために、
僧帽弁輪部位は僧帽弁の後尖に周方向に対応しており、
三尖弁輪部位は、右心房から見て、(a)三尖弁輪上の一点にまたはその一点に対して右回りであり三尖弁の前後方向交連(APC)に対して2cm左回りであり、かつ(b)三尖弁の後中隔部心筋交連の位置にまたはその位置に対して左回りである、三尖弁の弁輪部位に周方向に対応している。
【0039】
いくつかの適用のために、中隔部位は卵円窩から少なくとも10mmである。いくつかの適用のために、中隔部位は卵円窩に対して前方である。いくつかの適用のために、中隔部位は卵円窩に対して頂上である。いくつかの適用のために、中隔部位は冠状静脈開口部に対して3mm〜20mm上位かつ前方であり、大動脈に対して3mm〜10mm後方である。
【0040】
いくつかの適用のために、第1および第2の組織アンカーを埋め込むこととテザーを引っ張ることは、心房中隔の開口部でテザーに形成される角度が少なくとも135度などの、少なくとも120度となるように第1および第2の組織アンカーを埋め込むこととテザーを引っ張ることを含む。いくつかの適用のために、角度は180度未満である。
【0041】
いくつかの適用のために、引っ張られたテザーを心臓の冠状面上に投影された場合は、投影された状態の角度は、少なくとも135度などの、少なくとも120度になる。いくつかの適用のために、投影された状態の角度は180度未満である。
【0042】
いくつかの適用のために、引っ張られたテザーを心臓の横断面上に投影させなければならない場合は、投影された状態の角度は、少なくとも135度などの、少なくとも120度になる。いくつかの適用のために、投影された状態の角度は180度未満である。
【0043】
いくつかの適用のために、第1および第2の組織アンカーを埋め込むこととテザーを引っ張ることは、(a)左心房内の心房中隔の開口部と第1の組織アンカーとの間の引っ張られたテザーの一部および(b)僧帽弁の弁輪によって形成される平面が30度未満の角度を形成するように第1および第2の組織アンカーを埋め込むこととテザーを引っ張ることを含む。
【0044】
いくつかの適用のために、第1および第2の組織アンカーを埋め込むこととテザーを引っ張ることは、(a)右心房内の心房中隔の開口部と第2の組織アンカーとの間の引っ張られたテザーの一部および(b)三尖弁の弁輪によって形成される平面が30度未満の角度を形成するように第1および第2の組織アンカーを埋め込むこととテザーを引っ張ることを含む。
【0045】
いくつかの適用のために、当該方法は、さらに、心房中隔の開口部内に、貫通する開口部を形成する形状に形成された環状補強部を配置することを含み、テザーは補強部の開口部を通過する。
【0046】
いくつかの適用のために、第2の組織アンカーを血管内で前進させることは、第1の組織アンカーを埋め込んだ後に第2の組織アンカーを血管内で前進させることを含む。いくつかの適用のために、第1の組織アンカーを血管内で前進させることは、第2の組織アンカーを埋め込んだ後に第1の組織アンカーを血管内で前進させることを含む。
【0047】
本発明の適用に従い、組織アンカーシステムを含む装置がさらに提供されており、装置は、
(a)遠位トルク伝達ヘッドを含むトルク伝達ケーブル、(b)遠位トルク伝達ヘッドの遠位端に固定された遠位結合部、および(c)遠位ばねデプレッサを含む、トルク伝達ツールと、
テザーと、
(a)組織結合部、および(b)アンカーヘッドを含む組織アンカーと、を含み、組織アンカーは(i)組織結合部の近位部に取り付けられ、(ii)
(a)組織結合部の近位部に対して軸方向に固定された遠位部を有し、(b)近位結合部を含む近位端を有する軸方向不動シャフトであって、遠位および近位の結合部が対応するインターロック面を形成する形状に形成されている軸方向不動シャフトと、
ばねと、
(a)それを介してテザーを配置する横開口部を形成する形状に形成され、(b)少なくとも部分的に径方向に軸方向不動シャフトおよびばねを取り囲む、外側テザー固定部と、を含み、
組織アンカーシステムは、
(a)遠位および近位の結合部が互いにかみ合うように結合され、(b)遠位ばねデプレッサがばねを軸方向に圧縮された状態に抑制し、その状態でばねがテザーの横開口部を介した摺動を阻止しない、ロック解除状態、および
(b)遠位および近位の結合部が互いに結合されておらず、(b)遠位ばねデプレッサがばねを軸方向に圧縮された状態に抑制しておらず、(c)ばねが軸方向に拡張した状態であり、その状態でばねがテザーを外側テザー固定部に対して押圧することにより横開口部を介したテザーの摺動を阻止する、ロック状態
になるように構成されている。
【0048】
いくつかの適用のために、ばねの少なくとも一部は径方向に軸方向不動シャフトを取り囲んでいる。
【0049】
いくつかの適用のために、ばねの少なくとも一部は螺旋状である。
【0050】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねはテザーを外側テザー固定部の横開口部の周囲に対して押圧することにより横開口部を介したテザーの摺動を阻止する。
【0051】
いくつかの適用のために、
組織アンカーシステムはさらにロックワイヤを含み、
遠位トルク伝達ヘッドを含むトルク伝達ケーブル、遠位結合部、近位結合部、および軸方向不動シャフトは、それらを貫通するそれぞれの導管を形成する形状に形成され、それらの導管は互いに対して放射状にかつ組織アンカーと同軸に配置され、
組織アンカーシステムがロック解除状態である場合、ロックワイヤの一部が導管内に配置され、これにより遠位および近位の結合部同士の結合が分離されるのを阻止する。
【0052】
いくつかの適用のために、
アンカーヘッドはさらに、ばねに固定され、ばねの近位端を含むばねの少なくとも一部を覆うハンマーキャップを含み、
組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねは、ハンマーキャップを外側テザー固定部に対して押圧することによって、テザーを外側テザー固定部に対して押圧する。
【0053】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねはハンマーキャップを外側テザー固定部の横開口部の周囲に対して押圧する。
【0054】
いくつかの適用のために、外側テザー固定部は組織結合部および軸方向不動シャフトに対して回動可能である。
【0055】
いくつかの適用のために、外側テザー固定部は部分的シリンダの形状に形成されている。
【0056】
いくつかの適用のために、組織アンカーは第1の組織アンカーであり、組織アンカーシステムはさらに、テザーを固定する第2の組織アンカーを含む。
【0057】
いくつかの適用のために、
トルク伝達ツールは第1のトルク伝達ツールであり、
トルク伝達ケーブルは第1のトルク伝達ケーブルであり、
遠位トルク伝達ヘッドは第1の遠位トルク伝達ヘッドであり、
遠位結合部は第1の遠位結合部であり、
遠位トルク伝達ヘッドの遠位端は第1のトルク伝達ヘッドの第1の遠位端であり、
遠位ばねデプレッサは第1の遠位ばねデプレッサであり、
組織結合部は第1の組織結合部であり、
アンカーヘッドは第1のアンカーヘッドであり、
組織結合部の近位部は第1の組織結合部の第1の近位部であり、
軸方向不動シャフトは第1の軸方向不動シャフトであり、
軸方向不動シャフトの遠位部は第1の軸方向不動シャフトの第1の遠位部であり、
軸方向不動シャフトの近位端は第1の軸方向不動シャフトの第1の近位端であり、
近位結合部は第1の近位結合部であり、
対応するインターロック面は第1の対応するインターロック面であり、
ばねは第1のばねであり、
外側テザー固定部は第1の外側テザー固定部であり、
横開口部は第1の横開口部であり、
組織アンカーシステムはさらに:
(a)第2の遠位トルク伝達ヘッドを含む第2のトルク伝達ケーブル、(b)第2の遠位トルク伝達ヘッドの第2の遠位端に固定された第2の遠位結合部、および(c)第2の遠位ばねデプレッサを含む、第2のトルク伝達ツールと、
(a)第2の組織結合部、および(b)第2のアンカーヘッドを含み、(i)第2の組織結合部の第2の近位部に取り付けられ、(ii)
(a)第2の組織結合部の第2の近位部に対して軸方向に固定された第2の遠位部を有し、(b)第2の近位結合部を含む第2の近位端を有する第2の軸方向不動シャフトであって、第2の遠位および第2の近位の結合部が対応する第2のインターロック面を形成する形状に形成されている第2の軸方向不動シャフトと、
第2のばねと、
(a)それを介してテザーを配置する第2の横開口部を形成する形状に形成され、(b)少なくとも部分的に径方向に第2の軸方向不動シャフトおよび第2のばねを取り囲む、第2の外側テザー固定部と、を含む第3の組織アンカーと、
を含み、
第2の組織アンカーシステムは、
(a)第2の遠位および第2の近位の結合部が互いにかみ合うように結合され、(b)第2の遠位ばねデプレッサが第2のばねを軸方向に圧縮された状態に抑制し、その状態で第2のばねがテザーの第2の横開口部を介した摺動を阻止しない、ロック解除状態、および
(b)第2の遠位および第2の近位の結合部が互いに結合されておらず、(b)第2の遠位ばねデプレッサが第2のばねを軸方向に圧縮された状態に抑制しておらず、(c)第2のばねが軸方向に拡張した状態であり、その状態で第2のばねがテザーを第2の外側テザー固定部に対して押圧することにより第2の横開口部を介したテザーの摺動を阻止する、ロック状態
になるように構成されている。
【0058】
本発明の適用に従い、組織アンカーシステムを含む装置がさらに提供されており、装置は、
(a)螺旋状組織結合部の遠位端に延びる螺旋状組織結合部導管を形成し取り囲む形状に形成された螺旋状組織結合部、および(b)(i)螺旋状組織結合部の近位部に取り付けられ、(ii)内側壁部を有するヘッド結合導管を形成する形状に形成されるアンカーヘッドを含む、組織アンカーと、
鋭利な遠位先端を有するロックシャフトと、
トルク伝達ツールであって、
(a)トルク伝達ケーブルと、
(b)遠位トルク伝達ヘッドであって、
(i)トルク伝達ケーブルに固定され、
(ii)チャンバを形成する形状に形成され、チャンバは、
(A)チャンバの側壁を介した開窓部を形成し、
(B)近位および遠位のチャンバ端部開口部を形成する形状に形成される、遠位トルク伝達ヘッドと、
(c)結合部であって、
(i)組織アンカーシステムのいずれの構成要素にも固定されず、
(ii)開窓部を通過するには大き過ぎるサイズであり、
(iii)遠位のチャンバ端部開口部を通過するには大き過ぎるサイズである、結合部と、を含む、トルク伝達ツールと、を含み、
トルク伝達ケーブルおよび遠位トルク伝達ヘッドは共にロックシャフト収容導管を形成する形状に形成され、ロックシャフト収容導管は、
(a)(i)トルク伝達ケーブル、(ii)チャンバ、および(iii)近位および遠位のチャンバ端部開口部を通過し、
(b)螺旋状組織結合部導管と同軸であり、
組織アンカーシステムは、それぞれ遠位トルク伝達ヘッドがアンカーヘッドに係合しているおよび係合していない、係合状態および非係合状態になるように構成されており、
組織アンカーシステムが:
係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、ロックシャフトは結合部が部分的にチャンバから開窓部を介してヘッド結合導管の内側壁部に対して突出することを抑制して、それにより遠位トルク伝達ヘッドをヘッド結合導管に対して軸方向にロックし、
非係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内に配置されておらず、螺旋状組織結合部導管内に配置されておらず、結合部を抑制しない。
【0059】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムはさらに、アンカーヘッドに結合されたテザーを含む。
【0060】
いくつかの適用のために、テザーはアンカーヘッドに固定されている。
【0061】
いくつかの適用のために、結合部は近位チャンバ端部開口部を通過するには大き過ぎるサイズである。
【0062】
いくつかの適用のために、結合部は球状である。
【0063】
いくつかの適用のために、結合部は0.3mm〜0.8mmの体積を有する。
【0064】
いくつかの適用のために、結合部は金属を含む。
【0065】
いくつかの適用のために、結合部はポリマーを含む。
【0066】
いくつかの適用のために、ポリマーはエラストマーを含む。
【0067】
いくつかの適用のために、ロックシャフトは1つ以上の長手方向に延びる溝を形成する形状に形成されている。
【0068】
いくつかの適用のために、ロックシャフトは1つ以上の長手方向に延びる平坦な表面を形成する形状に形成されている。
【0069】
いくつかの適用のために、ロックシャフトは、それぞれ異なる方向に面する、複数の長手方向に延びる平坦な表面を形成する形状に形成されている。
【0070】
いくつかの適用のために、
ヘッド結合導管の内側壁部は結合用窪みを形成する形状に形成され、
組織アンカーシステムが係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、ロックシャフトは結合部が部分的にチャンバから開窓部を介してヘッド結合導管の内側壁部の結合用窪み内に突出することを抑制する。
【0071】
いくつかの適用のために、
トルク伝達ツールはさらに、貫通孔を形成する形状に形成された放射線不透過性のビードを含む深度測定ツールを含み、
ビードは、螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、
ロックシャフトが少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、組織アンカーシステムが係合状態である場合、ロックシャフトはビードの孔を通過し、ビードがロックシャフトおよび螺旋状組織結合部導管に沿って摺動可能になっている。
【0072】
いくつかの適用のために、深度測定ツールはさらにビード結合ワイヤを含み、ビード結合ワイヤは、少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に配置され、ビードおよび遠位トルク伝達ヘッドの遠位部に固定され、それによりビードが螺旋状組織結合部導管の遠位端から抜け出るのを防止する。
【0073】
いくつかの適用のために、ビード結合ワイヤは螺旋状ばねの形状に形成される。
【0074】
本発明の適用に従い、無菌可撓性テザーを含む装置がさらに提供されており、テザーが直線状に引っ張られる場合、
テザーは中央縦軸を有し、第1および第2のブレードを形成する形状に形成され、これらのブレードは(a)第1および第2の長手方向の位置に、(b)中央縦軸に沿って互いに10mm以内に配置され、
第1および第2のブレードはそれぞれ、最良適合平面を有し、それら平面は少なくとも30度の角度で交差している。
【0075】
いくつかの適用のために、中央縦軸は第1および第2の最良適合平面に整列している。
【0076】
いくつかの適用のために、中央縦軸は第1および第2の最良適合平面に平行である。
【0077】
いくつかの適用のために、角度は少なくとも85度など、少なくとも60度である。
【0078】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードは、それぞれ、中央縦軸に垂直な第1および第2の最大寸法を有しており、寸法はそれぞれ0.25mm〜5mmである。
【0079】
いくつかの適用のために、
第1および第2のブレードは、それぞれ、中央縦軸に垂直な第1および第2の最大外寸を有しており、
第1および第2のブレードは、それぞれ、(a)第1および第2の最大外寸、および(b)中央縦軸に垂直にそれぞれ測定した第1および第2の最大内寸を有しており、
第1および第2の最大内寸は、それぞれ、第1および第2の最大外寸の50%以下である。
【0080】
いくつかの適用のために、第1および第2の最大外寸はそれぞれ0.25mm〜5mmである。いくつかの適用のために、第1および第2の最大内寸はそれぞれ少なくとも0.05mmである。
【0081】
いくつかの適用のために、テザーが直線状に引っ張られる場合、
テザーは、(a)第3の長手方向の位置に、(b)中央縦軸に沿って第2のブレードから10mm以内に配置された第3のブレードを形成する形状に形成され、第2の長手方向の位置は中央縦軸に沿って第1および第3の長手方向の位置の長手方向の間であり、
第3のブレードは第3の最良適合平面を有し、その平面は少なくとも30度の角度で第2の最良適合平面と交差している。
【0082】
いくつかの適用のために、第1のブレードは少なくとも0.25mmの断面積を有する少なくとも1つの平坦な平面状の表面部を形成する形状に形成されている。
【0083】
いくつかの適用のために、第1のブレードは、それぞれ少なくとも0.25mmの面積を有する少なくとも2つの非共平面の平坦な平面状の表面部を形成する形状に形成されている。
【0084】
いくつかの適用のために、少なくとも2つの平坦な平面状の表面部は互いに平行である。
【0085】
いくつかの適用のために、第2のブレードは少なくとも0.25mmの断面積を有する少なくとも1つの平坦な平面状の表面部を形成する形状に形成されている。
【0086】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードは、第1および第2の長手方向の位置で中央縦軸周りに異なる回転方向を有する、同じ形状を有している。
【0087】
いくつかの適用のために、テザーはポリマーを含む。
【0088】
いくつかの適用のために、テザーは、ポリマー/金属複合材料を含む。
【0089】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードはそれぞれ、中央縦軸に垂直に測定した第1および第2の最大断面積を有し、断面積はそれぞれ0.1〜20mmである。
【0090】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードはそれぞれ、0.05〜150mmの第1および第2の体積を有している。
【0091】
いくつかの適用のために、テザーの平均断面積は20mm未満である。
【0092】
いくつかの適用のために、テザーの最大断面積は20mm未満である。
【0093】
いくつかの適用のために、第1のブレードの長手方向縁部によって形成される平面と中央縦軸との間の角度は少なくとも60度である。
【0094】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードは、少なくとも0.25mmの長さのブレードの無い長手方向の隙間によって分離されている。
【0095】
いくつかの適用のために、装置はさらに、組織結合部とアンカーヘッドを含み、それを介してテザーが通過する開口部を形成する形状に形成された、組織アンカーを含む。
【0096】
いくつかの適用のために、組織アンカーはさらに、テザーの開口部を介した摺動を阻止するように構成されたばねを含む。
【0097】
本発明の適用に従い、無菌可撓性テザーを含む装置がさらに提供されており、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは中央縦軸を有し、中央縦軸に沿って互いに10mm以内の第1および第2の長手方向の位置に、中央縦軸に垂直な第1および第2の断面を形成する形状に形成され、
第1および第2の断面は、それぞれ第1および第2の線を形成する、第1および第2の最大寸法を有しており、
第1および第2の断面が中央縦軸周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)第1および第2の線は少なくとも30度の角度で交差し、(b)第1および第2の断面は一致しないであろう。
【0098】
いくつかの適用のために、角度は少なくとも60度である。
【0099】
いくつかの適用のために、角度は少なくとも85度である。
【0100】
いくつかの適用のために、第1および第2の最大寸法はそれぞれ0.25mm〜5mmである。
【0101】
いくつかの適用のために、
第1および第2の最大寸法は第1および第2の最大外寸であり、
第1および第2の断面は、それぞれ第1および第2の最大外寸に垂直に測定した、それぞれ第1および第2の最大内寸を有しており、
第1および第2の最大内寸は、それぞれ、第1および第2の最大外寸の50%以下である。
【0102】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは、第3の長手方向の位置に、中央縦軸に垂直な第3の断面を形成する形状に形成され、第2の長手方向の位置は中央縦軸に沿って第1および第3の長手方向の位置の長手方向の間であり、
第3の断面は第3の線を形成する第3の最大寸法を有しており、
第2および第3の断面が中央縦軸周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)第2および第3の線は少なくとも30度の角度で交差し、(b)第2および第3の断面は一致しないであろう。
【0103】
いくつかの適用のために、第1の断面の第1の周囲は、少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも1つの直線部分を形成する形状に形成されている。
【0104】
いくつかの適用のために、第1の周囲は、それぞれ少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも2つの非同軸の直線部分を形成する形状に形成されている。
【0105】
いくつかの適用のために、少なくとも2つの非同軸の直線部分は互いに平行である。
【0106】
いくつかの適用のために、第2の断面の第2の周囲は、少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも1つの直線部分を形成する形状に形成されている。
【0107】
いくつかの適用のために、第1および第2の断面は、第1および第2の長手方向の位置で中央縦軸周りに異なる回転方向を有する、同じ形状を有している。
【0108】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは、第1の長手方向の位置を含み、中央縦軸に沿って測定した少なくとも0.25mmの第1の長さを有する、第1の長手方向部分を形成する形状に形成され、
第1の長手方向部分は、それに沿ったすべての長手方向の位置に、(a)第1の断面を含み、(b)それぞれ第1の線を形成し、第1の線を含む、それぞれの第1の最大寸法を有する、第1の断面を有しており、
第1の断面が、中央縦軸周りの回転を保ちながら、第2の断面上に投影された場合は、(a)第1の線は、それぞれ少なくとも30度の、それぞれの角度で第2の線に交差し、(b)第1の断面は第2の断面と一致しないであろう。
【0109】
いくつかの適用のために、第1の断面は同じ形状を有している。
【0110】
いくつかの適用のために、形状は、第1の長手方向部分に沿って中央縦軸周りに同じ回転方向を有している。
【0111】
いくつかの適用のために、形状は、第1の長手方向部分に沿った少なくとも2つの長手方向の位置で、中央縦軸周りに異なる回転方向を有している。
【0112】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは、第2の長手方向の位置を含み、中央縦軸に沿って測定した少なくとも0.25mmの第2の長さを有する、第2の長手方向部分を形成する形状に形成され、
第2の長手方向部分は、それに沿ったすべての長手方向の位置に、(a)第2の断面を含み、(b)それぞれ第2の線を形成し、第2の線を含む、それぞれの第2の最大寸法を有する、第2の断面を有しており、
第2の断面が、中央縦軸周りの回転を保ちながら、第1の断面上に投影された場合は、(a)第2の線は、それぞれ少なくとも30度の、それぞれの角度で第1の線に交差し、(b)第2の断面は第1の断面と一致しないであろう。
【0113】
いくつかの適用のために、テザーはポリマーを含む。
【0114】
いくつかの適用のために、テザーは、ポリマー/金属複合材料を含む。
【0115】
いくつかの適用のために、第1および第2の断面は、それぞれ0.1〜20mmである第1および第2の面積をそれぞれ有している。
【0116】
いくつかの適用のために、テザーは、(a)第1および第2のブレードを含み、(b)テザーの長手方向部に沿って配置された、少なくとも3つのブレードを形成する形状に形成され、テザーの長手方向部に沿った平均断面積は20mm未満である。
【0117】
いくつかの適用のために、テザーは、(a)第1および第2のブレードを含み、(b)テザーの長手方向部に沿って配置された、少なくとも3つのブレードを形成する形状に形成され、テザーの最大断面積は20mm未満である。
【0118】
いくつかの適用のために、装置はさらに、組織結合部とアンカーヘッドを有し、それを介してテザーが通過する開口部を形成する形状に形成された組織アンカーを含む。
【0119】
いくつかの適用のために、組織アンカーはさらに、テザーの開口部を介した摺動を阻止するように構成されたばねを含む。
【0120】
本発明の適用に従い、方法がさらに提供されており、当該方法は、
(a)遠位トルク伝達ヘッドを含むトルク伝達ケーブル、(b)遠位トルク伝達ヘッドの遠位端に固定された遠位結合部、および(c)遠位ばねデプレッサを含む、組織アンカーシステムのトルク伝達ツールを提供することと、
組織アンカーシステムのテザーを提供することと、
(a)組織結合部、および(b)アンカーヘッドを含む、組織アンカーシステムの組織アンカーを提供することであって、組織アンカーは(i)組織結合部の近位部に取り付けられ、(ii)
(a)組織結合部の近位部に対して軸方向に固定された遠位部を有し、(b)近位結合部を含む近位端を有する軸方向不動シャフトであって、遠位および近位の結合部が対応するインターロック面を形成する形状に形成されている軸方向不動シャフトと、
ばねと、
(a)それを介してテザーを配置する横開口部を形成する形状に形成され、(b)少なくとも部分的に径方向に軸方向不動シャフトおよびばねを取り囲む、外側テザー固定部と、を含む、組織アンカーを提供することと、
組織アンカーシステムが、(a)遠位および近位の結合部が互いにかみ合うように結合され、(b)遠位ばねデプレッサがばねを軸方向に圧縮された状態に抑制し、その状態でばねがテザーの横開口部を介した摺動を阻止しない、ロック解除状態にある間に、組織アンカーシステムを対象者の身体内に前進させることと、
その後、トルク伝達ケーブルを使用して、組織アンカーを対象者の組織内に埋め込むことと、
その後、テザーに張力を印加することと、
その後、組織アンカーシステムを、(b)遠位および近位の結合部が互いに結合されておらず、(b)遠位ばねデプレッサがばねを軸方向に圧縮された状態に抑制しておらず、(c)ばねが軸方向に拡張した状態であり、その状態でばねがテザーを外側テザー固定部に対して押圧することにより横開口部を介したテザーの摺動を阻止する、ロック状態に切り替えることと、を含む。
【0121】
いくつかの適用のために、ばねの少なくとも一部は軸方向不動シャフトを径方向に取り囲んでいる。
【0122】
いくつかの適用のために、ばねの少なくとも一部は螺旋状である。
【0123】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねはテザーを外側テザー固定部の横開口部の周囲に対して押圧することにより横開口部を介したテザーの摺動を阻止する。
【0124】
いくつかの適用のために、
組織アンカーシステムはさらにロックワイヤを含み、
遠位トルク伝達ヘッドを含むトルク伝達ケーブル、遠位結合部、近位結合部、および軸方向不動シャフトは、それらを貫通するそれぞれの導管を形成する形状に形成され、それらの導管は互いに対して放射状にかつ組織アンカーと同軸に配置され、
組織アンカーシステムを前進させることは、ロックワイヤの一部が導管内に配置され、これにより遠位および近位の結合部同士の結合が分離されるのを阻止しながら、ロック解除状態である組織アンカーシステムを前進させることを含み、
組織アンカーシステムをロック状態に切り替えることは、ロックワイヤを導管から引き出すことを含む。
【0125】
いくつかの適用のために、
アンカーヘッドはさらに、ばねに固定され、ばねの近位端を含むばねの少なくとも一部を覆うハンマーキャップを含み、
組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねは、ハンマーキャップを外側テザー固定部に対して押圧することによって、テザーを外側テザー固定部に対して押圧する。
【0126】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステムがロック状態である場合、ばねはハンマーキャップを外側テザー固定部の横開口部の周囲に対して押圧する。
【0127】
いくつかの適用のために、外側テザー固定部は組織結合部および軸方向不動シャフトに対して回動可能である。
【0128】
いくつかの適用のために、外側テザー固定部は部分的シリンダの形状に形成されている。
【0129】
本発明の適用に従い、方法がさらに提供されており、当該方法は、
第1の組織アンカーを、血管内で前進させて、前心室壁上の部位、および後心室壁上の部位から成る部位群から選択される、第1の心室壁部位に埋め込むことと、
第2の組織アンカーを、血管内で前進させて、前心室壁上の第2の心室壁部位に埋め込むことと、
その後、第1および第2の組織アンカーの間のテザーを引っ張ることによって、第1および第2の心室壁部位を接近させることと、
その後、第3の組織アンカーを、血管内で前進させて、心室中隔上の第3の心室壁部位に埋め込むことと、
その後、第2および第3の組織アンカーの間のテザーを引っ張ることによって、(a)接近させた第1および第2の心室壁部位を、まとめて、(b)第3の心室壁部位と接近させることと、を含む。
【0130】
いくつかの適用のために、第1、第2、および第3の組織アンカーを、血管内で前進させることは、第1、第2、および第3の組織アンカーを、それぞれ、第1、第2、および第3の心室壁部位へ経皮的に前進させることを含む。
【0131】
いくつかの適用のために、第1の心室壁部位は前心室壁上にある。
【0132】
いくつかの適用のために、第1の心室壁部位は乳頭筋の高さより下方にある。
【0133】
いくつかの適用のために、第2の心室壁部位は自然調節帯と前壁との接合部の高さより上方または接合部にある。
【0134】
いくつかの適用のために、第2の心室壁部位は第1の心室壁部位から2.5cm以内にある。
【0135】
いくつかの適用のために、第3の心室壁部位は、心室流出路(RVOT)と、自然調節帯と心室中隔壁との接合部との間にある。
【0136】
いくつかの適用のために、第1および第2の心室壁部位を接近させることは、第1および第2の組織アンカーの間のテザーを引っ張った後に第2の組織アンカーのテザーロッキング機構をロック状態にすることを含む。
【0137】
いくつかの適用のために、(a)接近させた第1および第2の心室壁部位を、まとめて、(b)第3の心室壁部位と接近させることは、第2および第3の組織アンカーの間のテザーを引っ張った後に第3の組織アンカーのテザーロッキング機構をロック状態にすることを含む。
【0138】
いくつかの適用のために、テザーは導電性を有する。
【0139】
いくつかの適用のために、テザーは弾性を有する。
【0140】
本発明の適用に従い、方法がさらに提供されており、当該方法は、
組織アンカーシステムの組織アンカーを提供することであって、組織アンカーは(a)螺旋状組織結合部の遠位端に延びる螺旋状組織結合部導管を形成し取り囲む形状に形成された螺旋状組織結合部、および(b)アンカーヘッドを含み、アンカーヘッドは(i)螺旋状組織結合部の近位部に取り付けられ、(ii)内側壁部を有するヘッド結合導管を形成する形状に形成される、組織アンカーを提供することと、
鋭利な遠位先端を有する組織アンカーシステムのロックシャフトを提供することと、
組織アンカーシステムのトルク伝達ツールを提供することであって、トルク伝達ツールは(a)トルク伝達ケーブルと、(b)遠位トルク伝達ヘッドであって、(i)トルク伝達ケーブルに固定され、(ii)チャンバを形成する形状に形成され、チャンバは、(A)チャンバの側壁を介した開窓部を形成し、(B)近位および遠位のチャンバ端部開口部を形成する形状に形成される、遠位トルク伝達ヘッドと、(c)結合部であって、(i)組織アンカーシステムのいずれの構成要素にも固定されず、(ii)開窓部を通過するには大き過ぎるサイズであり、(iii)遠位のチャンバ端部開口部を通過するには大き過ぎるサイズである、結合部と、を含み、トルク伝達ケーブルおよび遠位トルク伝達ヘッドは共にロックシャフト収容導管を形成する形状に形成され、導管は、(a)(i)トルク伝達ケーブル、(ii)チャンバ、および(iii)近位および遠位のチャンバ端部開口部を通過し、(b)螺旋状組織結合部導管と同軸であり、組織アンカーシステムは、それぞれ遠位トルク伝達ヘッドがアンカーヘッドに係合しているおよび係合していない、係合状態および非係合状態になるように構成されている、トルク伝達ツールを提供することと、
組織アンカーシステムが係合状態であり、ロックシャフトがロックワイヤ収容導管内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、ロックシャフトが結合部が部分的にチャンバから開窓部を介してヘッド結合導管の内側壁部に対して突出することを抑制して、それにより遠位トルク伝達ヘッドをヘッド結合導管に対して軸方向に固定している間に、組織アンカーシステムを対象者の身体内に前進させることと、
その後、トルク伝達ケーブルを使用して、組織アンカーを対象者の組織内に埋め込むことと、
その後、ロックシャフトをロックワイヤ収容導管および螺旋状組織結合部導管から取り外して、ロックシャフトが結合部を抑制しないようにすることによって、組織アンカーシステムを非係合状態に切り替えることと、を含む。
【0141】
いくつかの適用のために、当該方法は、さらに、アンカーヘッドに結合された組織アンカーシステムのテザーを提供することを含む。
【0142】
いくつかの適用のために、テザーはアンカーヘッドに固定されている。
【0143】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールを提供することは、結合部が近位チャンバ端部開口部を通過するには大き過ぎるサイズであるトルク伝達ツールを提供することを含む。
【0144】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールを提供することは、結合部が球状であるトルク伝達ツールを提供することを含む。
【0145】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールを提供することは、結合部が0.3mm〜8mmの体積を有するトルク伝達ツールを提供することを含む。
【0146】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールを提供することは、結合部が金属を含むトルク伝達ツールを提供することを含む。
【0147】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールを提供することは、結合部がポリマーを含むトルク伝達ツールを提供することを含む。
【0148】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツールを提供することは、ポリマーがエラストマーを含むトルク伝達ツールを提供することを含む。
【0149】
いくつかの適用のために、ロックシャフトを提供することは、1つ以上の長手方向に延びる溝を形成する形状に形成されているロックシャフトを提供することを含む。
【0150】
いくつかの適用のために、ロックシャフトを提供することは、1つ以上の長手方向に延びる平坦な表面を形成する形状に形成されているロックシャフトを提供することを含む。
【0151】
いくつかの適用のために、ロックシャフトを提供することは、それぞれ異なる方向に面する、複数の長手方向に延びる平坦な表面を形成する形状に形成されているロックシャフトを提供することを含む。
【0152】
いくつかの適用のために、
組織アンカーを提供することは、ヘッド結合導管の内側壁部が結合用窪みを形成する形状に形成されている組織アンカーを提供することを含み、
組織アンカーシステムが係合状態である場合、ロックシャフトはロックワイヤ収容導管内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、ロックシャフトは結合部が部分的にチャンバから開窓部を介してヘッド結合導管の内側壁部の結合用窪み内に突出することを抑制する。
【0153】
いくつかの適用のために、
当該方法は、さらに、貫通孔を形成する形状に形成された放射線不透過性のビードを含むトルク伝達ツールの深度測定ツールを提供することを含み、
組織アンカーシステムを身体内に前進させることは、(a)ビードが螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、(b)ロックシャフトが少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に取り外し可能に配置され、組織アンカーシステムが係合状態であり、ロックシャフトがビードの孔を通過し、ビードがロックシャフトおよび螺旋状組織結合部導管に沿って摺動可能になっている間に、組織アンカーシステムを身体内に前進させることを含み、
組織アンカーを埋め込むことは、深度測定ツールが組織アンカーから取り外されるまでビードが組織の表面に接触し接触状態を保持するように、組織結合部を組織内に前進させることを含む。
【0154】
いくつかの適用のために、深度測定ツールを提供することは、少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管内に配置され、ビードおよび遠位トルク伝達ヘッドの遠位部に固定され、それによりビードが螺旋状組織結合部導管の遠位端から抜け出るのを防止するビード結合ワイヤをさらに含む、深度測定ツールを提供することを含む。
【0155】
いくつかの適用のために、ビード結合ワイヤは螺旋状ばねの形状に形成される。
【0156】
本発明の適用に従い、方法がさらに提供されており、当該方法は、
無菌可撓性テザーを提供することであって、テザーが直線状に引っ張られる場合(1)テザーは中央縦軸を有し、第1および第2のブレードを形成する形状に形成され、これらのブレードは(a)第1および第2の長手方向の位置に、(b)中央縦軸に沿って互いに10mm以内に配置され、(2)第1および第2のブレードはそれぞれ、最良適合平面を有し、それらは少なくとも30度の角度で交差している、菌可撓性テザーを提供することと、
テザーを対象者の身体内に埋め込むことと、を含む。
【0157】
いくつかの適用のために、テザーを埋め込むことは、
組織結合部およびアンカーヘッドを含み、それを介してテザーが通過する開口部を形成する形状に形成された、組織アンカーを提供することと、
組織アンカーを身体の組織内に埋め込むことと、を含む。
【0158】
いくつかの適用のために、組織アンカーはさらに、テザーの開口部を介した摺動を阻止するように構成されたばねを含む。
【0159】
いくつかの適用のために、
第1および第2のブレードは、少なくとも0.25mmの長さのブレードの無い長手方向の隙間によって分離されており、
当該方法は、さらに、(a)隙間が開口部内に入るまでテザーを引き、(b)テザーを回転させ、(c)テザーを所望の前進方向に引くことによって、アンカーヘッドの開口部に対してテザーを前進させることを含む。
【0160】
いくつかの適用のために、中央縦軸は第1および第2の最良適合平面に整列している。
【0161】
いくつかの適用のために、中央縦軸は第1および第2の最良適合平面に平行である。
【0162】
いくつかの適用のために、角度は少なくとも85度など、少なくとも60度である。
【0163】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードは、それぞれ、中央縦軸に垂直な第1および第2の最大寸法を有しており、寸法はそれぞれ0.25mm〜5mmである。
【0164】
いくつかの適用のために、
第1および第2のブレードは、それぞれ、中央縦軸に垂直な第1および第2の最大外寸を有しており、
第1および第2のブレードは、それぞれ、(a)第1および第2の最大外寸、および(b)中央縦軸に垂直にそれぞれ測定した第1および第2の最大内寸を有しており、
第1および第2の最大内寸は、それぞれ、第1および第2の最大外寸の50%以下である。
【0165】
いくつかの適用のために、第1および第2の最大外寸はそれぞれ0.25mm〜5mmである。
【0166】
いくつかの適用のために、第1および第2の最大内寸はそれぞれ少なくとも0.05mmである。
【0167】
いくつかの適用のために、テザーが直線状に引っ張られる場合、
テザーは、(a)第3の長手方向の位置に、(b)中央縦軸に沿って第2のブレードから10mm以内に配置された第3のブレードを形成する形状に形成され、第2の長手方向の位置は中央縦軸に沿って第1および第3の長手方向の位置の長手方向の間であり、
第3のブレードは第3の最良適合平面を有し、その平面は少なくとも30度の角度で第2の最良適合平面と交差している。
【0168】
いくつかの適用のために、第1のブレードは少なくとも0.25mmの断面積を有する少なくとも1つの平坦な平面状の表面部を形成する形状に形成されている。
【0169】
いくつかの適用のために、第1のブレードは、それぞれ少なくとも0.25mmの面積を有する少なくとも2つの非共平面の平坦な平面状の表面部を形成する形状に形成されている。
【0170】
いくつかの適用のために、少なくとも2つの平坦な平面状の表面部は互いに平行である。
【0171】
いくつかの適用のために、第2のブレードは少なくとも0.25mmの断面積を有する少なくとも1つの平坦な平面状の表面部を形成する形状に形成されている。
【0172】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードは、第1および第2の長手方向の位置で中央縦軸周りに異なる回転方向を有する、同じ形状を有している。
【0173】
いくつかの適用のために、テザーはポリマーを含む。
【0174】
いくつかの適用のために、テザーは、ポリマー/金属複合材料を含む。
【0175】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードはそれぞれ、中央縦軸に垂直に測定した第1および第2の最大断面積を有し、断面積はそれぞれ0.1〜20mmである。
【0176】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードはそれぞれ、0.05〜150mmの第1および第2の体積を有している。
【0177】
いくつかの適用のために、テザーの平均断面積は20mm未満である。
【0178】
いくつかの適用のために、テザーの最大断面積は20mm未満である。
【0179】
いくつかの適用のために、第1のブレードの長手方向縁部によって形成される平面と中央縦軸との間の角度は少なくとも60度である。
【0180】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレードは、少なくとも0.25mmの長さのブレードの無い長手方向の隙間によって分離されている。
【0181】
本発明の適用に従い、さらに別の方法が提供されており、当該方法は、
無菌可撓性テザーを提供することであって、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、(1)テザーは中央縦軸を有し、中央縦軸に沿って互いに10mm以内の第1および第2の長手方向の異なる位置に、中央縦軸に垂直な第1および第2の断面を形成する形状に形成され、(2)第1および第2の断面は、それぞれ第1および第2の線を形成する、第1および第2の最大寸法を有しており、(3)第1および第2の断面が中央縦軸周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)第1および第2の線は少なくとも30度の角度で交差し、(b)第1および第2の断面は一致しないであろう、無菌可撓性テザーを提供することと、
テザーを対象者の身体内に埋め込むことと、を含む。
【0182】
いくつかの適用のために、テザーを埋め込むことは、
組織結合部およびアンカーヘッドを含み、それを介してテザーが通過する開口部を形成する形状に形成された、組織アンカーを提供することと、
組織アンカーを身体の組織内に埋め込むことと、を含む。
【0183】
いくつかの適用のために、組織アンカーはさらに、テザーの開口部を介した摺動を阻止するように構成されたばねを含む。
【0184】
いくつかの適用のために、
第1および第2のブレードは、少なくとも0.25mmの長さのブレードの無い長手方向の隙間によって分離されており、
当該方法は、さらに、(a)隙間が開口部内に入るまでテザーを引き、(b)テザーを回転させ、(c)テザーを所望の前進方向に引くことによって、アンカーヘッドの開口部に対してテザーを前進させることを含む。
【0185】
いくつかの適用のために、角度は少なくとも85度などの、少なくとも60度である。
【0186】
いくつかの適用のために、第1および第2の最大寸法はそれぞれ0.25mm〜5mmである。
【0187】
いくつかの適用のために、
第1および第2の最大寸法は第1および第2の最大外寸であり、
第1および第2の断面は、それぞれ第1および第2の最大外寸に垂直に測定した、それぞれ第1および第2の最大内寸を有しており、
第1および第2の最大内寸は、それぞれ、第1および第2の最大外寸の50%以下である。
【0188】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは、第3の長手方向の位置に、中央縦軸に垂直な第3の断面を形成する形状に形成され、第2の長手方向の位置は中央縦軸に沿って第1および第3の長手方向の位置の長手方向の間であり、
第3の断面は第3の線を形成する第3の最大寸法を有しており、
第2および第3の断面が中央縦軸周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)第2および第3の線は少なくとも30度の角度で交差し、(b)第2および第3の断面は一致しないであろう。
【0189】
いくつかの適用のために、第1の断面の第1の周囲は、少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも1つの直線部分を形成する形状に形成されている。
【0190】
いくつかの適用のために、第1の周囲は、それぞれ少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも2つの非同軸の直線部分を形成する形状に形成されている。
【0191】
いくつかの適用のために、少なくとも2つの非同軸の直線部分は互いに平行である。
【0192】
いくつかの適用のために、第2の断面の第2の周囲は、少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも1つの直線部分を形成する形状に形成されている。
【0193】
いくつかの適用のために、第1および第2の断面は、第1および第2の長手方向の位置で中央縦軸周りに異なる回転方向を有する、同じ形状を有している。
【0194】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは、第1の長手方向の位置を含み、中央縦軸に沿って測定した少なくとも0.25mmの第1の長さを有する、第1の長手方向部分を形成する形状に形成され、
第1の長手方向部分は、それに沿ったすべての長手方向の位置に、(a)第1の断面を含み、(b)それぞれ第1の線を形成し、第1の線を含む、それぞれの第1の最大寸法を有する、第1の断面を有しており、
第1の断面が、中央縦軸周りの回転を保ちながら、第2の断面上に投影された場合は、(a)第1の線は、それぞれ少なくとも30度の、それぞれの角度で第2の線に交差し、(b)第1の断面は第2の断面と一致しないであろう。
【0195】
いくつかの適用のために、第1の断面は同じ形状を有している。
【0196】
いくつかの適用のために、形状は、第1の長手方向部分に沿って中央縦軸周りに同じ回転方向を有している。
【0197】
いくつかの適用のために、形状は、第1の長手方向部分に沿った少なくとも2つの長手方向の位置で、中央縦軸周りに異なる回転方向を有している。
【0198】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、
テザーは、第2の長手方向の位置を含み、中央縦軸に沿って測定した少なくとも0.25mmの第2の長さを有する、第2の長手方向部分を形成する形状に形成され、
第2の長手方向部分は、それに沿ったすべての長手方向の位置に、(a)第2の断面を含み、(b)それぞれ第2の線を形成し、第2の線を含む、それぞれの第2の最大寸法を有する、第2の断面を有しており、
第2の断面が、中央縦軸周りの回転を保ちながら、第1の断面上に投影された場合は、(a)第2の線は、それぞれ少なくとも30度の、それぞれの角度で第1の線に交差し、(b)第2の断面は第1の断面と一致しないであろう。
【0199】
いくつかの適用のために、テザーはポリマーを含む。
【0200】
いくつかの適用のために、テザーは、ポリマー/金属複合材料を含む。
【0201】
いくつかの適用のために、第1および第2の断面は、それぞれ0.1〜20mmである第1および第2の面積をそれぞれ有している。
【0202】
いくつかの適用のために、テザーは、(a)第1および第2のブレードを含み、(b)テザーの長手方向部に沿って配置された、少なくとも3つのブレードを形成する形状に形成され、テザーの長手方向部に沿った平均断面積は20mm未満である。
【0203】
いくつかの適用のために、テザーは、(a)第1および第2のブレードを含み、(b)テザーの長手方向部に沿って配置された、少なくとも3つのブレードを形成する形状に形成され、テザーの最大断面積は20mm未満である。
【0204】
本発明は、以下の図面と併せて、以下の詳細な説明によってより完全に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0205】
図1A図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図1B図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図1C図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図1D図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図1E図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図1F図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図2A図2A図2Bは、本発明の一適用による、ロック状態の図1A図1Fの組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図2B図2A図2Bは、本発明の一適用による、ロック状態の図1A図1Fの組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図3A図3Aは、本発明の一適用による、組織アンカーを模式的に示す図である。
図3B図3B図3Cは、それぞれ、本発明の一適用による、ロック解除状態およびロック状態の他の組織アンカーを模式的に示す図である。
図3C図3B図3Cは、それぞれ、本発明の一適用による、ロック解除状態およびロック状態の他の組織アンカーを模式的に示す図である。
図3D図3D図3Eは、それぞれ、本発明の一適用による、ロック解除状態およびロック状態のさらに他の組織アンカーを模式的に示す図である。
図3E図3D図3Eは、それぞれ、本発明の一適用による、ロック解除状態およびロック状態のさらに他の組織アンカーを模式的に示す図である。
図4A図4A図4Eは、本発明のそれぞれの適用による、図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムのテザーの摩擦向上機能を模式的に示す図である。
図4B図4A図4Eは、本発明のそれぞれの適用による、図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムのテザーの摩擦向上機能を模式的に示す図である。
図4C図4A図4Eは、本発明のそれぞれの適用による、図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムのテザーの摩擦向上機能を模式的に示す図である。
図4D図4A図4Eは、本発明のそれぞれの適用による、図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムのテザーの摩擦向上機能を模式的に示す図である。
図4E図4A図4Eは、本発明のそれぞれの適用による、図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムのテザーの摩擦向上機能を模式的に示す図である。
図5A図5A図5Dは、本発明の一適用による、右心房内で図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムを使用した三尖弁修復処置を模式的に示す図である。
図5B図5A図5Dは、本発明の一適用による、右心房内で図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムを使用した三尖弁修復処置を模式的に示す図である。
図5C図5A図5Dは、本発明の一適用による、右心房内で図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムを使用した三尖弁修復処置を模式的に示す図である。
図5D図5A図5Dは、本発明の一適用による、右心房内で図1A図1Fおよび図2A図2Bの組織アンカーシステムを使用した三尖弁修復処置を模式的に示す図である。
図6A図6A図6Eは、本発明の一適用による、三尖弁−僧帽弁修復処置を模式的に示す図である。
図6B図6A図6Eは、本発明の一適用による、三尖弁−僧帽弁修復処置を模式的に示す図である。
図6C図6A図6Eは、本発明の一適用による、三尖弁−僧帽弁修復処置を模式的に示す図である。
図6D図6A図6Eは、本発明の一適用による、三尖弁−僧帽弁修復処置を模式的に示す図である。
図6E図6A図6Eは、本発明の一適用による、三尖弁−僧帽弁修復処置を模式的に示す図である。
図7図7は、本発明の一適用による、図6A図6Eの三尖弁−僧帽弁修復処置が完了した心臓を模式的に示す図である。
図8図8は、本発明の一適用による、多数の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図9図9は、本発明の一適用による、三尖弁に適用された図8の多数の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図10A図10A図10Bは、本発明の一適用による、右心室に適用された図8の多数の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図10B図10A図10Bは、本発明の一適用による、右心室に適用された図8の多数の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図11A図11A図11Dは、本発明の一適用による、切断ツールを模式的に示す図である。
図11B図11A図11Dは、本発明の一適用による、切断ツールを模式的に示す図である。
図11C図11A図11Dは、本発明の一適用による、切断ツールを模式的に示す図である。
図11D図11A図11Dは、本発明の一適用による、切断ツールを模式的に示す図である。
図12A図12A図12Cは、本発明の一適用による、係合状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図12B図12A図12Cは、本発明の一適用による、係合状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図12C図12A図12Cは、本発明の一適用による、係合状態の組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図13A図13A図13Bおよび図14A図14Bは、本発明の一適用による、非係合状態の、図12A図12Cの組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図13B図13A図13Bおよび図14A図14Bは、本発明の一適用による、非係合状態の、図12A図12Cの組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図14A図13A図13Bおよび図14A図14Bは、本発明の一適用による、非係合状態の、図12A図12Cの組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図14B図13A図13Bおよび図14A図14Bは、本発明の一適用による、非係合状態の、図12A図12Cの組織アンカーシステムを模式的に示す図である。
図15図15は、本発明の一適用による、図12A図12Cの組織アンカーシステムの他の構成を模式的に示す図である。
図16A図16A図16Cは、本発明のそれぞれの適用による、図12A図14Bの組織アンカーシステムのトルク伝達ツールを使用した、図12A図14Bの組織アンカーシステムの組織アンカーの、2つの例示的な配置を模式的に示す図である。
図16B図16A図16Cは、本発明のそれぞれの適用による、図12A図14Bの組織アンカーシステムのトルク伝達ツールを使用した、図12A図14Bの組織アンカーシステムの組織アンカーの、2つの例示的な配置を模式的に示す図である。
図16C図16A図16Cは、本発明のそれぞれの適用による、図12A図14Bの組織アンカーシステムのトルク伝達ツールを使用した、図12A図14Bの組織アンカーシステムの組織アンカーの、2つの例示的な配置を模式的に示す図である。
図17A図17A図19は、本発明の一適用による、可撓性テザーを模式的に示す図である。
図17B図17A図19は、本発明の一適用による、可撓性テザーを模式的に示す図である。
図17C図17A図19は、本発明の一適用による、可撓性テザーを模式的に示す図である。
図18A図17A図19は、本発明の一適用による、可撓性テザーを模式的に示す図である。
図18B図17A図19は、本発明の一適用による、可撓性テザーを模式的に示す図である。
図19図17A図19は、本発明の一適用による、可撓性テザーを模式的に示す図である。
図20A図20A図20Cは、本発明の一適用による、図17A図19の可撓性テザーの断面を模式的に示す図である。
図20B図20A図20Cは、本発明の一適用による、図17A図19の可撓性テザーの断面を模式的に示す図である。
図20C図20A図20Cは、本発明の一適用による、図17A図19の可撓性テザーの断面を模式的に示す図である。
図21A図21A図21Cは、本発明の一適用による、図17A図19の可撓性テザーの他の構成を模式的に示す図である。
図21B図21A図21Cは、本発明の一適用による、図17A図19の可撓性テザーの他の構成を模式的に示す図である。
図21C図21A図21Cは、本発明の一適用による、図17A図19の可撓性テザーの他の構成を模式的に示す図である。
図22図22は、本発明の一適用による、図20A図20Cの可撓性テザーの一使用を模式的に示す図である。
図23A図23A図23Bは、本発明の一適用による、図21A図21Cの可撓性テザーの一使用を模式的に示す図である。
図23B図23A図23Bは、本発明の一適用による、図21A図21Cの可撓性テザーの一使用を模式的に示す図である。
図24A図24A図24Cは、本発明の一適用による、図21A図21Cに関して上述したテザーの一使用を模式的に示す図である。
図24B図24A図24Cは、本発明の一適用による、図21A図21Cに関して上述したテザーの一使用を模式的に示す図である。
図24C図24A図24Cは、本発明の一適用による、図21A図21Cに関して上述したテザーの一使用を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0206】
詳細な説明
図1A図1Fは、本発明の一適用による、ロック解除状態の組織アンカーシステム10を模式的に示す図である。図2A図2Bは、本発明の一適用による、ロック状態の組織アンカーシステム10を模式的に示す図である。組織アンカーシステム10は、トルク伝達ツール20、テザー22、および組織アンカー24を含む。トルク伝達ツール20は、心臓組織に組織アンカー24を埋め込み、その後、テザー22を組織アンカー24にロックして、組織アンカー24に対するテザー22の摺動を阻止するように構成されている。典型的には、テザー22は組織アンカー24が心臓組織に埋め込まれた後に引っ張られ、テザーが引っ張られた後にテザー22は組織アンカー24にロックされる。
【0207】
トルク伝達ツール20は、(a)遠位トルク伝達ヘッド30を含むトルク伝達ケーブル28、(b)遠位トルク伝達ヘッド30の遠位端34に固定された遠位結合部32、および(c)遠位ばねデプレッサ36を含む。
【0208】
組織アンカー24は、(a)組織結合部50、および(b)組織結合部50の近位部54に取り付けられた近位アンカーヘッド52を含む。いくつかの適用のために、組織結合部50は、心臓組織を穿刺し心臓組織内に螺入する螺旋状組織結合部を含む。いくつかの適用のために、組織結合部50は、参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月9日に出願された、PCT出願第PCT/IL2014/050027号に記載されている組織結合部の内の1つ以上の機能を実施するものである。
【0209】
アンカーヘッド52は、軸方向不動シャフト56およびテザーロッキング機構68を含む。軸方向不動シャフト56(図1D図1Fに最も良く示されている)は、(a)組織結合部50の近位部54に対して軸方向に固定された遠位部58、および(b)近位結合部62を含む近位端60を有する。遠位および近位結合部32および62は、対応するインターロック面を形成する形状に形成され、それにより遠位トルク伝達ヘッド30の軸方向不動シャフト56への結合を容易にする。
【0210】
テザーロッキング機構68は、
・ばね70(図1Dに最も良く示されている)(他の構成要素を明瞭に示すために、ばね70は図1E図1Fには図示しないが、ばねは実際には存在する)、および
・外側テザー固定部80を含み、外側テザー固定部は、(a)それを介してテザー22を配置する横開口部82を形成する形状に形成され、(b)少なくとも部分的に径方向に軸方向不動シャフト56およびばね70(以下に説明するように設けられている場合は、ならびにハンマーキャップ100)を取り囲んでいる。いくつかの適用のために、図示のように、外側テザー固定部80は部分的シリンダを形成する形状に形成されている。
【0211】
いくつかの適用のために、ばね70の少なくとも一部は、図1Dに示すように、軸方向不動シャフト56を径方向に取り囲んでいる。いくつかの適用のために、ばね70の少なくとも一部は、図1D図2A図2B、および図3Aに示すように、螺旋状であり(たとえば、図1Dおよび図2A図2Bに示すように、ばね全体が螺旋状である)、一方、他の適用のために、ばね70は、図3B図3Eを参照して後述するように、非螺旋状である。
【0212】
組織アンカーシステム10は、以下の状態になるように構成されている:
・(a)遠位および近位の結合部32および62が互いにかみ合うように結合され、(b)遠位ばねデプレッサ36がばね70を軸方向に圧縮された状態に抑制し、ばね70がテザー22の横開口部82を介した摺動を阻止しない、図1A図1Fに示す、ロック解除状態、および
・(b)遠位および近位の結合部32および62が互いに結合されておらず、(b)遠位ばねデプレッサ36がばね70を軸方向に圧縮された状態に抑制しておらず、(c)ばね70が軸方向に拡張した状態であり、ばね70が、テザー22を横開口部82の周囲84に対して、および/または、外側テザー固定部80の内側面に対してなど、外側テザー固定部80に対して押圧することにより横開口部82を介したテザー22の摺動を阻止する、図2A図2Bに示す、ロック状態。
【0213】
組織アンカーシステム10がロック解除状態である場合、テザーロッキング機構68もまたロック解除状態であり、この状態ではばね70は横開口部82を介したテザー22の摺動を阻止しない。組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザーロッキング機構68もまたロック状態であり、この状態ではばね70は、テザー22を横開口部82の周囲84に対して、および/または、外側テザー固定部80の内側面に対してなど、外側テザー固定部80に対して押圧することにより横開口部82を介したテザー22の摺動を阻止する。
【0214】
組織アンカーシステム10はロック解除状態で心臓内に前進する。組織アンカー24は、組織アンカーシステム10がロック解除状態である間、トルク伝達ケーブル28を用いて、心臓組織に埋め込まれる。組織アンカー24が埋め込まれた後、テザー22に張力が印加される。その後、トルク伝達ケーブル28(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)が組織アンカー24の軸方向不動シャフト56から分離され、それによりばね70が拡張してテザー22を外側テザー固定部80に対して押圧することが可能となる。この押圧により、図5Cおよび図6Eを参照して後述するように、テザー22が組織アンカー24に対してロックされ、組織アンカー24と1つ以上の他の埋め込まれた組織アンカーとの間の距離および張力が維持される。あるいは、組織アンカーシステム10は、対象者の心臓以外の組織に組織アンカー24を埋め込むために使用され、この場合、組織アンカーシステム10は、対象者の身体内の他の位置に前進させる。
【0215】
トルク伝達ケーブル28(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)は、したがって、以下の2つの機能を果たす:
・組織アンカー24に回転力を印加することによって、心臓組織内に組織アンカー24を埋め込むこと、および
・組織アンカーシステム10をロック解除状態に維持して、テザー22が組織アンカー24に対して摺動可能となり、テザーへの張力の印加(および必要に応じて調節)を可能にすること。
【0216】
同様に、トルク伝達ケーブル28(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)を組織アンカー24のアンカーヘッド52の軸方向不動シャフト56から分離することにより、同時に、(1)組織アンカー24を解放し、(2)組織アンカーシステムをロック状態に切り替える。
【0217】
いくつかの適用のために、図1A図1Cおよび図2A図2Bに示すように、アンカーヘッド52はさらに、ばね70に固定され、ばね70の近位端104を含むばね70の少なくとも一部102を覆うハンマーキャップ100を含む。(他の構成要素を明瞭に示すために、ハンマーキャップ100は図1D図1Fには図示しないが、ハンマーキャップは任意で存在する。)組織アンカーシステム10がロック状態である場合、ばね70は、ハンマーキャップ100を横開口部82の周囲84に対して、および/または、外側テザー固定部80の内側面に対してなど、外側テザー固定部80に対して押圧することによって、テザー22を外側テザー固定部80に対して押圧する。ハンマーキャップ100は、ばね70でテザー22のもつれを阻止してもよい。さらに、ハンマーキャップはねじの少なくとも一部を取り囲み、それによりばねをアンカーヘッドに結合するため、ハンマーキャップ100を提供することにより、ばね70の遠位端をアンカーヘッド52に溶接する必要をなくしてもよい。いくつかの適用のために、テザー22はハンマーキャップ100が外側テザー固定部80から近位に抜け出るのを防止する。あるいはまたはさらに、いくつかの適用のために、外側テザー固定部80の内側面から径方向内方に延びる、1つ以上の小さなピン108(図2Aに示す)を提供し、ピンはハンマーキャップが外側テザー固定部から近位に抜け出るのを防止する。
【0218】
いくつかの適用のために、組織アンカーシステム10はさらに、ロックワイヤ110を含む。トルク伝達ケーブル28(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)、遠位結合部32、近位結合部62、および軸方向不動シャフト56は、それらを貫通するそれぞれの導管72、74、76、および78を形成する形状に形成され、それらの導管は互いに対して放射状にかつ組織アンカー24と同軸に配置される。組織アンカーシステム10がロック解除状態である場合、ロックワイヤ110の一部が導管内に配置され、これにより遠位および近位の結合部32および62同士の結合が分離されるのを阻止する。ロックワイヤ110の一部を導管から近位に引いて取り除くことにより、遠位および近位の結合部32および62同士の結合を分離することが可能になる。
【0219】
いくつかの適用のために、ロックワイヤ110は鋭利な遠位先端727を形成する形状に形成されている。これらの適用のために、組織結合部50は典型的には螺旋状であり、ロックワイヤ110はまず、螺旋によって形成される導管内に取り外し可能に配置される。組織結合部50が組織に螺入されるにつれて、ロックワイヤ110はアンカーと一緒に組織内の一定の深さまで組織内に侵入し前進する。いくつかの適用のために、ロックワイヤが一定の深さまで侵入すると、ロックワイヤは僅かに引き戻される。典型的には、組織結合部50が完全に埋め込まれた後、ロックワイヤ110は組織から完全に引き抜かれ、対象者の身体内から取り除かれる。任意に、組織結合部の組織内への挿入を開始する前に組織結合部が組織の表面上を摺動することを阻止するために、組織結合部50の挿入前でも、ロックワイヤ110の鋭利な遠位先端727を組織内に僅かに挿入する。
【0220】
いくつかの適用のために、組織アンカー24を埋め込んだ後、特にテザー22を引っ張る間、テザー22への回動の自由度を提供するために、外側テザー固定部80は組織結合部50および軸方向不動シャフト56に対して回転可能である。この回動の自由度によりテザーがアンカーヘッド周りに巻き付くのを阻止し、テザーの他の組織アンカーに対する理想的な方向付けを容易にする。
【0221】
いくつかの適用のために、外側テザー固定部80は、少なくとも1mm、6mm以下、および/または、1mm〜6mmの外径を有する。いくつかの適用のために、組織アンカー24は、少なくとも2mm、8mm以下、および/または、2mm〜8mmの外径を有する。
【0222】
次に、本発明の一適用による、組織アンカー124を模式的に示す図である、図3Aを参照する。以下に説明すること以外は、組織アンカー124は大略的に組織アンカー24と同様であり、本明細書で説明するいずれの適用においても、組織アンカー24の代わりに組織アンカーシステム10に使用してもよい。組織アンカー124は、図3Aに示すように、組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザー22を横開口部82の周囲84に対して、および/または、外側テザー固定部80の内側面に対してなど、外側テザー固定部80に対して押圧する、近位面128を提供する形状に形成された、ばね126を含む。典型的には、ばね126の近位面128を提供しない少なくとも一部は螺旋状である。いくつかの適用のために、近位面128は円形である。近位面128は、組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザー22を外側テザー固定部80に対して押圧するハンマーヘッドとして機能してもよい。
【0223】
次に、それぞれ、本発明の一適用による、ロック解除状態およびロック状態の組織アンカー134を模式的に示す図である、図3B図3Cを参照する。以下に説明すること以外は、組織アンカー134は大略的に組織アンカー24と同様であり、本明細書で説明するいずれの適用においても、組織アンカー24の代わりに組織アンカーシステム10に使用してもよい。組織アンカー134は、(a)弾性バンド138を含むばね136、および(b)ハンマー部140を含む。ハンマー部140は、図3Cに示すように、組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザー22を横開口部82の周囲84に対して、および/または、外側テザー固定部80の内側面に対してなど、外側テザー固定部80に対して押圧する、近位面142を提供する形状に形成されている。ばね136の弾性バンド138およびハンマー部140は、弾性バンド138がハンマー部140の遠位端部に近位方向の力を印加するように構成されている。いくつかの適用のために、近位面142は円形である。近位面142は、組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザー22を外側テザー固定部80に対して押圧するハンマーヘッドとして機能してもよい。
【0224】
次に、それぞれ、本発明の一適用による、ロック解除状態およびロック状態の組織アンカー144を模式的に示す図である、図3D図3Eを参照する。以下に説明すること以外は、組織アンカー144は大略的に組織アンカー24と同様であり、本明細書で説明するいずれの適用においても、組織アンカー24の代わりに組織アンカーシステム10に使用してもよい。組織アンカー144は、(a)拡張可能な材料148を含むばね146、および(b)ハンマー部150を含む。たとえば、拡張可能な材料148は、材料の技術分野において公知の、拡張可能なエラストマー材料、発泡体(たとえば、発泡シリコーン)、またはスポンジを含んでもよい。ハンマー部150は、図3Eに示すように、組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザー22を横開口部82の周囲84に対して、および/または、外側テザー固定部80の内側面に対してなど、外側テザー固定部80に対して押圧する、近位面152を提供する形状に形成されている。ばね146の拡張可能な材料148およびハンマー部150は、拡張可能な材料148がハンマー部150の遠位端部に近位方向の力を印加するように構成されている。いくつかの適用のために、近位面142は円形である。近位面152は、組織アンカーシステム10がロック状態である場合、テザー22を外側テザー固定部80に対して押圧するハンマーヘッドとして機能してもよい。
【0225】
次に、本発明のそれぞれの適用による、テザー22の摩擦向上機能を模式的に示す図である、図4A図4Eを参照する。これらの機能は、本明細書に説明するいずれの構成においてもテザー22と使用してよい。摩擦向上機能は、組織アンカーシステム10がロック状態である(およびテザーロッキング機構68がロック状態である)場合、テザーと外側テザー固定部80との間の摩擦を高める。いくつかの適用のために、これらの摩擦向上機能は外側テザー固定部80の横開口部82を介したテザー22の一方向ラチェットを可能にする。
【0226】
これらの構成において、テザー22は典型的には、テザー22に沿って間隔(I)を空けて複数の固定突出部160が形成され、突出部は摩擦向上機能として機能する。いくつかの適用のために、テザー22に沿った固定突出部160の平均的な間隔は、少なくとも1mm、18mm以下、および/または、1mm〜18mm、たとえば、少なくとも3mm、18mm以下、および/または、3mm〜18mmである。いくつかの適用のために、固定突出部160の外径は、少なくとも0.3mm(たとえば、少なくとも1mmなど、少なくとも0.4mm)、6mm以下(1.25mm以下など)、および/または、0.4mm〜1.25mmなど、0.3mm〜6mmである。外径は典型的には、横開口部82の最大寸法未満である。いくつかの適用のために、テザー22は2個〜20個の固定突出部160を含む。
【0227】
いくつかの適用のために、突出部160はそれぞれ、図4Aに示すように、テザー22上のシリンダ168を含む。いくつかの適用のために、突出部160は、図4Bに示すように、テザー22上のそれぞれの結び目170によって形成されている。いくつかの適用のために、突出部160は、図4Cに示すように、テザー22上のそれぞれの円錐体172を含み、この構成は、外側テザー固定部80を介したテザーの順方向の移動を許可しつつ、後退方向の移動を制限するようにしてもよい。いくつかの適用のために、突出部160は、図4Dに示すように、テザー22上のそれぞれの目盛り174を含む。いくつかの適用のために、突出部160は、図4Eに示すように、テザー22上のそれぞれのビード176を含む。図4A図4C図4D、および図4Eを参照して説明する適用のいくつかのために、突出部が含む構成要素は、テザーの外面に圧着されている。図4A図4C図4D、および図4Eを参照して説明する適用のいくつかのために、突出部160は、特にテザー22に張力を印加する間、突出部160を横開口部82を介して前進させる際に、ユーザへのX線透視のフィードバックを向上する放射線不透過性材料を含む。
【0228】
次に、本発明の一適用による、右心房200内で組織アンカーシステム10を使用した三尖弁修復処置を模式的に示す図である、図5A図5Dを参照する。処置は、弁引張インプラントシステム202を使用して実施される。弁引張インプラントシステム202は、図1A図4Eを参照して上述したように、トルク伝達ツール20、テザー22、および組織アンカー24を含む、組織アンカーシステム10を含む。この処置において、組織アンカー24は第2の組織アンカー24として機能する。弁引張インプラントシステム202はさらに、典型的には、心筋組織を穿刺し心筋組織内に螺入する螺旋状組織結合部を含む、第1の組織アンカー204を含む。いくつかの適用のために、第1の組織アンカー204は、参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月9日に出願された、国際出願第PCT/IL2014/050027号に記載されている1つ以上の組織アンカーの技術を実施するものである。あるいは、第1の組織アンカー204は、心筋組織の一部を把持し圧搾して、心筋組織を穿刺しない、クリップ、ジョー、またはクランプを含む。いくつかの適用のために、第1の組織アンカー204のヘッド208は、組織アンカーを埋め込んだ後にテザー22への回動の自由度を提供するために、組織アンカー24の螺旋状組織結合部212に対して回転するように構成されたインターフェース210を含む。テザー22は、典型的には、テザー22がインターフェース210に対して摺動不可能となるようにインターフェース210に固定されている。
【0229】
弁引張インプラントシステム202はさらに、カテーテル206および第1の組織アンカー204を供給するためのツールを含む。いくつかの適用のために、ツールは、参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開公報第WO2013/011502号の図21および図22A図22Dを参照して記載されている技術に、必要な変更を加えて実施するものである。いくつかの適用のために、カテーテル206は、カテーテルの技術分野において公知のかじ取り機構を含む。
【0230】
弁引張インプラントシステム202は典型的には、(a)下肢の静脈を介して、下大静脈274を通して、右心房200内へ、(b)尺側皮静脈を介して、上大静脈276を通る鎖骨下静脈を通して、右心房200内へ、または(c)外頸静脈を介して、上大静脈276を通る鎖骨下静脈を通して、右心房200内へなど、ガイドワイヤの支援によってカテーテル206を介して、対象者の脈管構造を通して、経カテーテル的に血管内に(典型的には経皮的に)導入される。処置は、典型的には、X線透視法、経食道的、経胸壁心エコー法、ICE、および/または、心エコー検査など、撮像の支援により実施される。処置は、本願の被譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0035712号にその図1A図1Dを参照して記載されている技術に、必要な変更を加えて使用して、実施されてもよい。
【0231】
図5Aに示すように、第1の組織アンカー204は第1の心房部位292に埋め込まれる。典型的には、第1の心房部位292は、三尖弁207の弁輪283、および三尖弁207の弁輪283の上方の右心房200の壁部から成る部位群から選択される。いくつかの適用のために、第1の心房部位292は、右心房から見て、(a)後中隔部心筋交連217に対して1cm中隔の(すなわち、右回りの)位置である弁輪上の一点にまたは一点に対して左回りの位置、および(b)前後方向交連(APC)324に対して1cm前方の(すなわち、左回りの)位置である弁輪上の一点にまたは一点に対して右回りの位置である位置に周方向に対応する、弁輪283上の部位の1cm以内に配置されている。いくつかの適用のために、この位置は、(a)後中隔部心筋交連217の位置、(b)前後方向交連324の位置、または(c)後尖284に沿った位置であり、言い換えると、この位置は、右心房から見て、(a)後中隔部心筋交連217の位置またはこれに対して左回りの位置、および(b)前後方向交連324の位置またはこれに対して右回りの位置である。たとえば、この位置は以下の位置であってよい:
図5Aに示す、三尖弁207の後尖284の周方向中間点219、
・後中隔部心筋交連217(構成は図示せず)、または
・前後方向交連324(構成は図示せず)。
【0232】
上述の解剖学上の部位から1cmの方向は、弁輪周りの周方向、弁輪283の上方の右心房200の壁部の上方向、または弁輪周りの周方向と心房の壁部の上方向との組み合わせのいずれかであってもよい。
【0233】
あるいは、いくつかの適用のために、第1の組織アンカー204は、弁の高さより下方の心室の部位、典型的には弁の高さより3cm下方までの位置に埋め込まれる。この場合、テザー22は、弁の交連など、三尖弁207を通過してもよい。
【0234】
第1の組織アンカー204が第1の心房部位292に埋め込まれた後、埋め込みツールは対象者の身体から取り外され、典型的にはカテーテル206を本来の位置に残す。
【0235】
対象者の身体の外側で、医師はテザー22の自由端213を、第2の組織アンカー24の外側テザー固定部80の横開口部82に、その後、組織アンカーシステム10の伝達管214の内腔へ通す(図5Bに示す)。テザー22はこのように、第1および第2の組織アンカー204および24を結合する。弁引張インプラントシステム202は、カテーテル206を介したアンカー同士のこの遠隔結合を可能にする。
【0236】
図5Bに示すように、第2の組織アンカー24は、トルク伝達ツール20のトルク伝達ケーブル28を使用して、第2の心房部位293に埋め込まれる。第2の組織アンカー24およびトルク伝達ケーブル28を含む組織アンカーシステム10は、テザー22上を伝達管214を介して導入され、それ自体はカテーテル206を介して前進させられる。組織アンカーシステム10は、図1A図1Fを参照して上述したように、ロック解除状態で導入される(テザーロッキング機構68もロック解除状態である)。第2の心房部位293は、弁輪283、および弁輪283の上方の右心房200の壁部から成る部位群から選択される。いくつかの適用のために、第2の心房部位293は、右心房から見て、(a)中隔前方交連(SAC)290に対して1cm中隔の(すなわち、左回りの)位置である弁輪上の一点にまたは一点に対して右回りの位置、および(b)前後方向交連(APC)324に対して1cm後方の(すなわち、右回りの)位置である弁輪上の一点にまたは一点に対して左回りの位置である位置に周方向に対応する、弁輪283上の部位の1cm以内に配置されている。いくつかの適用のために、この位置は、(a)中隔前方交連(SAC)290の位置、(b)前後方向交連(APC)324の位置、または(c)前尖286に沿った位置であり、言い換えると、この位置は、右心房から見て、(a)中隔前方交連(SAC)290の位置またはこれに対して右回りの位置、および(b)前後方向交連(APC)324の位置またはこれに対して左回りの位置である。たとえば、この位置は以下の位置であってよい:
図5Bに示す、前尖286の周方向中間点221、
・中隔前方交連290(構成は図示せず)、または
・前後方向交連324(構成は図示せず)。
【0237】
上述の解剖学上の部位から1cmの方向は、弁輪周りの周方向、弁輪283の上方の右心房200の壁部の上方向、または弁輪周りの周方向と心房の壁部の上方向との組み合わせのいずれかであってもよい。
【0238】
第1および第2の心房部位292および293の位置は、上大静脈276からのアプローチを用いる場合などは、逆にしてもよい。
【0239】
第2の組織アンカー24は、(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)トルク伝達ケーブル28を回転させることによって、第2の心房部位293に埋め込まれる。
【0240】
三尖弁の開口部の大きさは、逆流を減少させるようにテザー22を引っ張ることによって縮小される。かかる引っ張りは、テザー22の一部が第2の組織アンカー24の外側テザー固定部80の横開口部82を介して引っ張られるように、テザー22の自由端213を近位に引っ張ることによって実施してもよい。組織アンカーシステム10は、この張力の印加を遠隔で、すなわち、カテーテル206を介して行うことを可能にする。
【0241】
図5Cに示すように、張力が印加されると、(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)トルク伝達ケーブル28は、ロックワイヤ110を取り除くことなどにより、第2の組織アンカー24の軸方向不動シャフト56から分離される。その結果、ばね70が拡張し、テザー22を外側テザー固定部80に対して押圧する。この押圧により、テザー22を組織アンカー24に対してロックすることによって、組織アンカーシステム10をロック状態に切り替える(およびテザーロッキング機構68をロック状態に切り替える)。かかるロッキングにより、第2の組織アンカー24と第1の組織アンカー204との間の距離および張力を維持する。
【0242】
図5Dに示すように、テザー22を引っ張った後、テザー22の余剰部分294が右心房200内で緩んだまま残る。この余剰部分が心房内で自由に動く状態のままにすることは典型的には望ましくない。いくつかの適用のために、テザー22の余剰部分294は、当該技術分野において公知の胸腔鏡用はさみなどの、切断ツール498を使用して、切断され、心房から取り除かれる。あるいは、余剰部分は図11A図11Dを参照して以下に説明する切断ツール600を使用して切断される。またあるいは、いくつかの適用のために、余剰部分294は、下大静脈274、上大静脈276、または冠静脈洞などの、右心房200の脈管構造内の所望の配置に固定される。
【0243】
弁引張インプラントシステム202により、第1および第2のアンカー204および24を別々に供給し、その後、本来の位置で結合することが可能になる。これにより、操作者の処置が簡素化され、固定位置へのより簡便なアクセスを提供する可能性のある、経大腿、経頚静脈、経橈骨動脈または経心尖のアプローチなどの、2つ以上の異なる血管からのアプローチを可能にする。
【0244】
弁引張インプラントシステム202および組織アンカーシステム10を、三尖弁を再構築するために使用されるものとして上述したが、図8を参照して後述するように、多数の組織アンカーシステム400などを使用して(たとえば、複数の組織アンカーを後方の弁輪に沿って埋め込んで)、必要な変更を加えて、僧帽弁を再構築するためにも使用してよい。
【0245】
次に、本発明の一適用による、三尖弁−僧帽弁修復処置を模式的に示す図である、図6A図6Eを参照する。この処置において、三尖弁および僧帽弁の両方を、心房中隔を貫通するテザーを使用して、両方の弁に亘り同時に張力を印加することにより、修復する。
【0246】
いくつかの適用のために、処置は、図5A図5Dを参照して上述した、弁引張インプラントシステム202を使用して実施される。あるいは、他の組織アンカーおよび/またはテザー引張技術を使用してもよい。弁引張インプラントシステム202を使用する適用のために、図5A図5Dを参照して上述したように、組織アンカー24は第2の組織アンカー24として機能し、弁引張インプラントシステム202は第1の組織アンカー204をさらに含む。あるいは、図12A図14Bを参照して後述するように、組織アンカー724を、または他の組織アンカーを、第1の組織アンカーとして使用してもよい。弁引張インプラントシステム202は典型的には、(a)下肢の静脈を介して、下大静脈を通して、右心房200内へ、(b)尺側皮静脈を介して、上大静脈を通る鎖骨下静脈を通して、右心房200内へ、または(c)外頸静脈を介して、上大静脈を通る鎖骨下静脈を通して、右心房200内へなど、ガイドワイヤの支援によってカテーテル206を介して、対象者の脈管構造を通して、経カテーテル的に血管内に(典型的には経皮的に)導入される。処置は、典型的には、X線透視法、経食道的、経胸壁心エコー法、ICE、および/または、心エコー検査など、撮像の支援により実施される。処置は、上述の米国特許出願公開第2012/0035712号にその図1A図1Dを参照して記載されている技術に、必要な変更を加えて使用して、実施されてもよい。
【0247】
カテーテル206が右心房200内に導入された後、心房中隔302の中隔部位304を貫通する開口部300が形成され、この開口部は典型的には、卵円窩から少なくとも10mmなどの、卵円窩から少なくとも5mmである(図7に示す)。
【0248】
図6Aに示すように、第1の組織アンカー204を左心房308の左心房部位306に血管内で前進させ、部位は僧帽弁310の弁輪上の僧帽弁輪部位307、および僧帽弁輪部位の上方の左心房308の壁部から成る部位群から選択される。典型的には、第1の組織アンカー204を左心房308内に前進させるために、カテーテル206を開口部300を介して前進させる。カテーテル206を介して内側管305を前進させてもよく、内側管305を介して伝達ツールを前進させてもよい。
【0249】
図6Bに示すように、第1の組織アンカー204は左心房部位306に埋め込まれる。いくつかの適用のために、僧帽弁輪部位307は僧帽弁の後尖312に周方向に対応している。たとえば、僧帽弁輪部位307は、後尖312の外側弁帆(P1)313の1cm以内および/または中央弁帆(P2)314の1cm以内の僧帽弁の弁輪部位に周方向に対応していてもよい。あるいは、第1の組織アンカー204は、心臓の左側壁を中隔に移動させるための固定部位として使用できる、心臓、心房、弁輪、乳頭部の左側の側壁または心臓もしくは弁の左側のあらゆる他の構造体のあらゆる部位に埋め込まれる。
【0250】
内側管305は、これを使用する場合は、カテーテル206から取り外され、カテーテル206を右心房200へ後退させる。上述のように、対象者の身体の外側で、医師はテザー22の自由端213を、第2の組織アンカー24の外側テザー固定部80の横開口部82に、その後、組織アンカーシステム10の伝達管214の内腔に通す(図5Bに示す)。テザー22はこのように第1および第2の組織アンカー204および24を結合する。弁引張インプラントシステム202は、カテーテル206を介したアンカー同士のこの遠隔結合を可能にする。
【0251】
図6Cに示すように、第2の組織アンカー24およびトルク伝達ケーブル28を含む組織アンカーシステム10は、テザー22上を伝達管214を介して血管内に導入され、システム自体がカテーテル206を介して前進する。組織アンカーシステム10は、図1A図1Fを参照して上述したように、ロック解除状態で導入される(テザーロッキング機構68もロック解除状態である)。伝達管214の遠位端、および第2の組織アンカー24は、三尖弁207の弁輪上の三尖弁輪部位322、および三尖弁輪部位322の上方の右心房200の壁部から成る部位群から選択される右心房200の右心房部位320に進められる。いくつかの適用のために、三尖弁輪部位322は、右心房から見て、(a)三尖弁207の前後方向交連(APC)324に対して2cm前方(すなわち、左回り)の三尖弁輪上の一点の位置または一点に対して右回りの位置、および(b)三尖弁207の後中隔部心筋交連217の位置または後中隔部心筋交連に対して1cm左回りの位置である、三尖弁の弁輪部位に周方向に対応している。あるいは、弁輪部位は、(a)中隔前方交連(SAC)290の位置または中隔前方交連に対して右回りの位置、および(b)後中隔部心筋交連217の位置または後中隔部心筋交連に対して左回りの位置である。あるいは、第2の組織アンカー24は、心臓の右側壁を中隔に移動させるための固定部位として使用できる、心臓、心房、弁輪、乳頭部の右側の側壁または心臓もしくは弁の右側のあらゆる他の構造体のあらゆる部位に埋め込まれる。
【0252】
図6Dに示すように、第2の組織アンカー24は、(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)トルク伝達ケーブル28を回転させることによって三尖弁輪部位322に埋め込まれる。
【0253】
三尖弁の開口部の寸法および僧帽弁の開口部の寸法は、テザー22を引っ張ることによって左心房部位306および右心房部位320を接近させることによって縮小され、それにより逆流を減少させる。かかる引っ張りは、図6Dに矢印で示すように、テザー22の一部が第2の組織アンカー24の外側テザー固定部80の横開口部82を介して引っ張られるように、テザー22の自由端213を近位に引っ張ることによって実施してもよい。組織アンカーシステム10は、遠隔による、すなわち、カテーテル206を介したこの張力の印加を可能にする。
【0254】
図6Eに示すように、張力が印加されると、(遠位トルク伝達ヘッド30を含む)トルク伝達ケーブル28は、ロックワイヤ110を取り除くことなどにより、第2の組織アンカー24の軸方向不動シャフト56から分離される。その結果、ばね70が拡張し、テザー22を外側テザー固定部80に対して押圧する。この押圧により、テザー22を第2の組織アンカー24に対してロックすることによって、組織アンカーシステム10をロック状態に切り替える(およびテザーロッキング機構68をロック状態に切り替える)。かかるロッキングにより、第2の組織アンカー24と第1の組織アンカー204との間の距離および張力を維持する。
【0255】
図5Dを参照して上述したように、テザー22を引っ張った後、テザー22の余剰部分294が右心房200内で緩んだまま残る。この余剰部分が心房内で自由に動く状態のままにすることは典型的には望ましくない。いくつかの適用のために、テザー22の余剰部分294は、当該技術分野において公知の胸腔鏡用はさみなどの、切断ツール498を使用して、切断され、心房から取り除かれる。あるいは、余剰部分は図11A図11Dを参照して以下に説明する切断ツール600を使用して切断される。またあるいは、いくつかの適用のために、余剰部分は、下大静脈274、上大静脈276、または冠静脈洞などの、右心房200の脈管構造内の所望の配置に固定される。
【0256】
いくつかの適用のために、図6A図6Eを参照して上述したように、第1の組織アンカー204を埋め込んだ後に、第2の組織アンカー24を右心房部位320へ血管内で前進させる。あるいは、いくつかの適用のために、第2の組織アンカー24を埋め込んだ後に、第1の組織アンカー204を左心房部位306へ血管内で前進させる。たとえば、第2の組織アンカー24にあらかじめ通したテザー22を用いた、複数アンカー伝達ツールを使用してもよい。
【0257】
次に、本発明の一適用による、図6A図6Eの三尖弁−僧帽弁修復処置が完了した(テザー22を両心房に亘り埋め込んだ後の)心臓を模式的に示す図である、図7を参照する。図面からわかるように、テザー22は心房中隔302の中隔部位304を貫通する開口部300を通過している。典型的には、中隔部位304は、卵円窩330から少なくとも10mmなどの、卵円窩から少なくとも5mmである。典型的には、中隔部位304は、2次中隔および/または1次中隔の近傍またはこれらの位置など、図7に示すように、卵円窩330に対して前方の位置、および/または、卵円窩に対して頂上の位置、および/または、卵円窩から大動脈に向かう位置である。請求項を含む本願において、「に対して頂上」とは、「心臓の頂点に向かう方向に」を意味する。
【0258】
典型的には、中隔部位304は、冠静脈洞開口部に対して、少なくとも3mm、20mm以下、および/または、3mm〜20mm(たとえば、10mm)上方でかつ前方、および/または、大動脈に対して、少なくとも3mm、15mm以下、および/または、3mm〜15mm(たとえば、5mm)後方である。
【0259】
図6Eおよび図7を参照する。開口部300の位置は、組織アンカーが埋め込まれ、テザー22が引っ張られた後に、心房中隔302の開口部300におけるテザー22の角度が理想的には可能な限り180度に近くなるように選択される。実際には、この角度は、少なくとも135度、または少なくとも150度、および/または、180度未満など(言い換えると、テザーは開口部300を通過する際、直線状ではない)、170度未満、たとえば、140度〜150度などの150度以下など、心房中隔に過度の押圧力がかかることを避けるために、少なくとも120度とすべきである。したがって、開口部300の位置は、心房中隔に対して上方過ぎず、後方過ぎない位置とすべきであり、たとえば、卵円窩330の位置であってはならない。開口部300におけるテザー22の角度の頂点350は、典型的には(図6Eからわかるように)少なくとも部分的に後方に、少なくとも部分的に上方に、および/または、(図7からわかるように)少なくとも部分的に頂上から離れる方向に向いている。
【0260】
いくつかの適用のために、(図7に模式的に示すように)引っ張られたテザー22を心臓の横断面上352に投影された場合は、投影された状態の角度(図6Eおよび図7にα(アルファ)と示す)は、少なくとも135度などの、少なくとも120度になる。理想的には、投影された状態の角度は可能な限り180度に近い角度であるが、実際には、投影された状態の角度は、170度以下、典型的には140度〜150度など、典型的には180度未満である(すなわち、テザー22は直線状ではない)。
【0261】
いくつかの適用のために、(図7に模式的に示すように)引っ張られたテザー22を心臓の冠状面354上に投影された場合は、投影された状態の角度(図7にβ(ベータ)と示す)は、少なくとも135度、たとえば、少なくとも140度などの、少なくとも120度になる。理想的には、投影された状態の角度は可能な限り180度に近い角度であるが、実際には、投影された状態の角度は、170度以下、典型的には150度〜170度など、典型的には180度未満である(すなわち、テザー22は直線状ではない)。
【0262】
いくつかの適用のために、図7に示すように、(a)左心房308内の心房中隔302(頂点340)の開口部300と第1の組織アンカー204との間の引っ張られたテザー22の一部342および(b)僧帽弁310の弁輪によって形成される平面344は、30度未満の角度γ(ガンマ)を形成する。同様に、いくつかの適用のために、図7に示すように、(a)右心房200内の心房中隔302(頂点340)の開口部300と第2の組織アンカー24との間の引っ張られたテザー22の一部346および(b)三尖弁207の弁輪によって形成される平面348は、30度未満の角度δ(デルタ)を形成する。
【0263】
いくつかの適用のために、図6A図6Eを参照して説明した処置はさらに、心房中隔302の開口部300内に、貫通する開口部を形成する形状に形成された環状補強部360を配置することを含む。補強部360は典型的には、第1の組織アンカー204を埋め込んだ後で、かつ第2の組織アンカー24を埋め込む前に、供給されて配置される。たとえば、補強部360はバルーン拡張型デバイスを使用して供給されてもよく、あるいは補強部360は自己拡張型であってもよい。テザー22は補強部360の開口部を通過する。補強部360は典型的には環状である。
【0264】
補強部360は心房中隔302の開口部300に対するテザー22の押圧力を分散し、それによりテザーによる切断などによって生じる心房中隔への損傷を防止してもよい。いくつかの適用のために、補強部360は一方向に対してより硬くなっており、より硬い方向を頂点350から遠いほうに面するようにして、すなわち、テザー22が心房中隔302の開口部300に対して最大の押圧力を印加する方向に向けて、心房中隔302の開口部300に配置される。補強部360はまた、任意で、開口部からカテーテル206を引き出すときに、心房中隔302の開口部300を閉じる、および/または、開口部300の大きさを縮小するように構成されていてもよい。たとえば、補強部360の径方向内側面は、組織成長を促進するように構成された材料を含んでいてもよい。
【0265】
いくつかの適用のために、環状補強部360は、ロック状態においてテザー22が環状補強部360を介して摺動することを阻止するように構成されたロッキング機構を含む。ロッキング機構は、上述のように、テザー22が引っ張られた後に、ロック解除状態からロック状態に切り替えられる。このロッキングにより、心房中隔302の開口部300と第1および第2の組織アンカーとの間のそれぞれの距離を固定し、房室弁の内の1つの弁輪の拡張および他の房室弁の大きさの対応する縮小を阻止する効果が得られる。典型的には、テザー22の負荷の少なくとも75%は第1および第2の組織アンカーが支え、負荷の25%以下はロック状態の環状補強部360が支え、それにより環状補強部360が心房中隔302を裂くまたは別様に傷つける可能性を削減する。
【0266】
本三尖弁−僧帽弁修復処置は、図6A図6Bを参照して、弁引張インプラントシステム202を使用して実施するとして説明したが、代わりに他の組織固定技術および/またはテザー引っ張り技術を使用してもよい。たとえば、以下に列挙され、参照により組み込まれる特許出願の1つ以上に記載された組織アンカー技術および/または引っ張り技術を使用してもよい。
【0267】
次に、本発明の一適用による、多数の組織アンカーシステム400を模式的に示す図である、図8を参照する。多数の組織アンカーシステム400は、テザー22によって結合され、本来の場所で締結された3つ以上の組織アンカーを含む。たとえば、図8に示すように、多数の組織アンカーシステム400は、第1、第2、および第3の組織アンカー420、422、および424を含み、第2の組織アンカー422がテザー22に沿って第1および第3の組織アンカー420および424の間に配置されるようにしてもよい。
【0268】
いくつかの適用のために、テザー22の端部430は第1の組織アンカー420のヘッド432に固定され、第1の組織アンカー420は、図1A図1F図2A図2B、および図3A図3Eを参照して上述したテザーロッキング機構68を含まない。第1の組織アンカー420は、たとえば、(a)(構成は図8に示さないが)図5A図5Dを参照して上述した組織アンカー204、または(b)(構成を図8に示す)図12A図14Bを参照して後述する組織アンカー724の機能のいずれかを実施したものでもよい。第2の組織アンカー422は、図1A図1F図2A図2B、および図3A図3Eを参照して上述した(テザーロッキング機構68を含む)組織アンカー24を含み、および/または、第3の組織アンカー424は、図1A図1F図2A図2B、および図3A図3Eを参照して上述した(テザーロッキング機構68を含む)組織アンカー24を含む。
【0269】
典型的には、組織アンカーはそれぞれ、別々の、それぞれの伝達ツールを使用して供給される。テザーロッキング機構68を含む組織アンカー(複数可)は、図1A図1F図2A図2B、および図5B図5Cを参照して上述したトルク伝達ツール20を使用して供給してもよく、テザーロッキング機構68を含まない組織アンカー(複数可)は、図5Aを参照して上述したツールの機能を実施したツール440を使用して供給してもよい。
【0270】
次に、本発明の一適用による、三尖弁207に適用された多数の組織アンカーシステム400を模式的に示す図である、図9を参照する。この例示的な配置において、第1の組織アンカー420は、前後方向交連(APC)324、または上述の他の右心房部位のいずれかなどの、第1の心房部位450に、最初に埋め込まれる。
【0271】
その後、第2の組織アンカー422が、後中隔部心筋交連217または上述の他の右心房部位のいずれかなどの、第2の心房部位452に埋め込まれる。テザー22は第1および第2の組織アンカー420および422の間で引っ張られ、それによりAPC324と後中隔部心筋交連217を互いに対して引き、その結果、少なくとも部分的に二尖化する。第2の組織アンカー422のテザーロッキング機構68は、上述のように、ロックされる。任意で、テザー22は、第2の組織アンカー422のヘッドを通過するテザーの一部に沿って摩擦向上機能をもう一組含む(図9には示さないが、図8には示す)。
【0272】
その後、第3の組織アンカー424が、中隔前方交連(SAC)290または上述の他の右心房部位のいずれかなどの、第3の心房部位454に埋め込まれる。テザー22は第2および第3の組織アンカー422および424の間で引っ張られ、それによりSAC290と後中隔部心筋交連217を(およびAPC324をある程度)互いに対して引く。第3の組織アンカー424のテザーロッキング機構68は、上述のように、ロックされる。余剰のテザー22は、上述のように、切断または固定される。
【0273】
APC324と後中隔部心筋交連217との間、およびSAC290と後中隔部心筋交連217との間をこのように引っ張ることにより、三尖弁の外周および直径が実質的に縮小される。
【0274】
あるいは、第2の組織アンカー422はテザーロッキング機構68を含まず、第3の組織アンカー424が埋め込まれた後に、APC324と後中隔部心筋交連217との間、およびSAC290と後中隔部心筋交連217との間に張力が印加され、その後第3の組織アンカー424のテザーロッキング機構68がロックされる。
【0275】
ただし、最初の2つのアンカーのみを使用して逆流の十分な削減が達成された場合などは、医師は処置の間に第3の組織アンカー424を埋め込まないことを決定してもよい。組織アンカーは、処置中に一度にテザー22上に通されるため、第3の組織アンカー424を埋め込まないことは可能である。
【0276】
本発明のいくつかの適用において、図5A図5D図6A図6E、および図7を参照して上述した弁引張インプラントシステム202は、左心室または右心室内の乳頭筋または心室の壁部などに埋め込まれた第1および第2の組織アンカー204および24の間に張力を印加することによって、病態的に拡張した心室腔の再構築、またはさらなる心室の拡張の削減のために使用される。この技術は、心室のポンピング効率を向上および/または三尖弁または僧帽弁の逆流の削減を行う可能性がある。右心室に使用された場合、この技術は第2の人工調節帯を生成すると考えられる可能性がある。
【0277】
本発明の一適用による、右心室500に適用された多数の組織アンカーシステム400を模式的に示す図である、図10A図10Bを参照する。この適用において、多数の組織アンカーシステム400は、図10Aに示すように、拡張した右心室500の処置に使用される。まず、第1の組織アンカー420を、右心室500内から、血管内で(たとえば、経皮的に)前進させ、典型的には乳頭筋の高さより下方の後壁または前壁上の、第1の心室壁部位510に埋め込む。その後、第2の組織アンカー422を、右心室500内から、血管内で(たとえば、経皮的に)前進させ、心室の拡張の程度によって、典型的には前壁上の、自然調節帯と前壁との接合部の高さよりも上方または接合部の位置であり、典型的には第1の心室壁部位510から2.5cm以下である、第2の心室壁部位512に埋め込む。テザー22を第1および第2の組織アンカー420および422の間で引っ張り、それにより第1および第2の心室壁部位510および512を接近させ、壁部をプリーツ状に折り重ねる。第2の組織アンカー422のテザーロッキング機構68は、上述のようにロックされる。その後、第3の組織アンカー424を、右心室500内から、血管内で(たとえば、経皮的に)前進させ、典型的には右心室流出路(RVOT)と、自然調節帯と心室間隔壁との接合部との間の、心室間隔壁520上の第3の心室壁部位514に埋め込む。テザー22を第2および第3の組織アンカー422および424の間で引っ張り、それにより(a)プリーツ状に折り重ねられた(接近させられた)第1および第2の心室壁部位510および512をまとめて、(b)第3の心室壁部位514と接近させる。第3の組織アンカー424のテザーロッキング機構68は、上述のようにロックされる。余剰のテザー22は、上述などのように、切断または固定される。この引っ張りによって、テザー22は人工調節帯として機能し、拡張期中に心室が膨らむ際の前壁の動きに抵抗することなどにより、心室拡張を削減する。
【0278】
あるいは、第2の組織アンカー422はテザーロッキング機構68を含まず、第3の組織アンカー424が埋め込まれた後に、第1および第2の心室壁部位510および512の間、およびこれらの部位と第3の心室壁部位514との間に張力が印加され、その後、第3の組織アンカー424のテザーロッキング機構68がロックされる。
【0279】
いくつかの適用のために、テザー22は、自然調節帯の固有の機能の1つを模倣して、心室間隔壁520の壁部から右心室500の前壁への自然の心臓の電気信号の伝導を容易にするために、導電性を有する。あるいはまたはさらに、いくつかの適用のために、テザー22は、右心室の拡張弛緩を容易にするために、弾性を有する。たとえば、テザー22は、収縮負荷下と比較して、拡張負荷下において、少なくとも10%、100%以下、および/または、10%〜100%伸張させるのに十分な弾性を有していてもよい。
【0280】
いくつかの適用のために、図10A図10Bを参照して上述した心室処置方法は、多数の組織アンカーシステム400の組織アンカー以外の組織アンカーを使用して実施される。これらの他の組織アンカーはテザーロッキング機構68を含まない。典型的には、これらの他の組織アンカーは、当該技術分野において公知の、それぞれの螺旋状の組織結合部を含む。いくつかの適用のために、国際出願第PCT/IL2014/050027号、および/または、本明細書に参照により組み込まれる他の特許出願の1つ以上に記載されている組織アンカーが使用される。
【0281】
次に、本発明の一適用による、切断ツール600を模式的に示す図である、図11A図11Dを参照する。切断ツール600は、上述のテザー22、または縫合糸などの、あらゆる他の細長部材などの細長部材610を切断するように構成されており、細長部材610は典型的には可撓性を有する。切断ツール600は、経カテーテル処置に使用されるように構成されている。切断ツール600はねじり力を用いて細長部材610を切断し、これにより上述の埋め込まれたアンカーなどのインプラントに張力をかけず、切断の高い制御性を提供する。
【0282】
切断ツール600は、外側管620および、外側管620内に入れ子になっている内側管622を含む。典型的には、内側管および外側管は共に筒状である。いくつかの適用のために、外側管620は、(ステンレススティールなどの)金属とナイロンなどの編組押出し材料を含み、および/または、内側管622は(ステンレススティールなどの)金属を含む。いくつかの適用のために、内側管622の近位端は、典型的には(ステンレススティールなどの)金属を含むトルクケーブルの遠位端に固定されている(たとえば、溶接されている)。内側管622は、内側管622の遠位端626を貫通する内側管遠位端(非側方の)開口部624を形成する形状に形成されている。内側管622はまた、典型的には、遠位端から3mm以内などの、遠位端626から5mm以内の最遠位部629を有する、内側管横開口部628を形成する形状に形成されている。典型的には、内側管横開口部628は1mm〜10mmの面積を有する。
【0283】
細長部材610は、図11A図11Cに示すように、切断される前に、内側管遠位端開口部624および内側管横開口部628の両方を通過する。
【0284】
外側管620は、外側管620の遠位端632を貫通する外側管遠位端(非側方の)開口部630を形成する形状に形成されている。外側管620はまた、遠位端632に延びる外側管横開口部634を形成する形状に形成されている。典型的には、外側管横開口部634の近位部640は第1の幅W1を有しており、この幅は外側管横開口部634の遠位部642の第2の幅W2より大きく(たとえば、少なくとも第2の幅W2の125%)なっており、遠位部642は遠位端632に延びている。第1および第2の幅W1およびW2は、外側管620周りの周方向に測定される。たとえば、第1の幅W1は少なくとも1.5mm、5mm以下、および/または、1.5mm〜5mmであってもよく、第2の幅W2は少なくとも0.5mm、1.25mm以下、および/または、0.5mm〜1.25mmであってもよい。第2の幅W2は、図11Bを参照して後述するように、細長部材の遠位部642の通過を可能にするために、細長部材610の直径Dより大きく(たとえば、少なくとも直径Dの125%)なっている。
【0285】
典型的には、外側管横開口部634の近位部640は少なくとも0.5mm、2mm以下、および/または、0.5mm〜2mmの第1の長さL1を有しており、外側管横開口部634の遠位部642は少なくとも0.5mm、2mm以下、および/または、0.5mm〜2mmの第2の長さL2を有している。第1および第2の長さL1およびL2は、外側管620の縦軸648に平行に測定される。
【0286】
外側管横開口部634の近位部640は、外側管620に沿って軸方向に延びる第1および第2の縁部650Aおよび650Bを有している。これらの縁部の一方または両方(典型的にはは両方)は、鋭利な切断刃を形成する形状に形成されている。
【0287】
外側管620は典型的には、少なくとも0.75mm、4mm以下、および/または、0.75mm〜4mmの内径を有しており、内側管622は典型的には、外側管620の内径の少なくとも90%、99%以下、および/または、90%〜99%、および/または、少なくとも0.65mm、3.95mm以下、および/または、0.65mm〜3.95mmの外径を有している。外側管620は典型的には、少なくとも20cm、200cm以下、および/または、20cm〜200cmの長さを有している。内側管622は典型的には、少なくとも1cm、200cm以下、および/または、1cm〜200cmの長さを有している(内側管が上述のようにトルクケーブルの遠位端に固定されている適用のために、内側管622は典型的には、少なくとも1cm、5cm以下、および/または、1cm〜5cmの長さを有しており、内側管622がトルクケーブルに結合されておらず、したがって体の外へ延びている適用のために、長さは典型的には、少なくとも20cm、200cm以下、および/または、20cm〜200cmである)。
【0288】
切断ツール600の使用中、細長部材610は、図11Aに示すように、内側管遠位端開口部624および内側管横開口部628の両方に通される。このように通すことは、細長部材の自由近位端を、自由端およびツールが対象者の身体の外側にある間に、ツールに通すことによって実施される。細長部材の近位部は、(典型的には、切断ツール600も通過するカテーテルを介して)対象者の身体外に向けて、外側管620の外面に近位的に大略的に並んで延びている。内側管622の遠位端626は、内側管622の遠位部が、典型的には少なくとも1mm、10mm以下、および/または、1mm〜10mm、外側管遠位端開口部630から外へ延びるように、外側管620の遠位端632に対して遠位になっている。内側管および外側管の、この相対的な軸方向の配置により、切断ツール600が細長部材に沿った所望の切断位置に前進させられる際の、細長部材610の自由な摺動が可能になる。内側管横開口部628の、すべてなどの、少なくとも一部は、外側管620の遠位端632に対して遠位に配置される。
【0289】
図11Bに示すように、内側管622を、内側管を近位に引き戻すおよび/または外側管を遠位に前進させることにより、外側管620に対して近位に移動させる。典型的には、細長部材610の一部は、かかる相対移動中に、外側管横開口部634の遠位部642を通過する。内側管横開口部628の遠位縁部660(この縁部は典型的には鈍い)は、細長部材610を外側管横開口部634の近位縁部662(この縁部は典型的には鈍い)に押し付けて、細長部材の近位部が、典型的には外側管620の外面に対して60度〜90度の角度で、切断ツール600から径方向外方に延びるようにする。(細長部材のかかる配置は、細長部材の自由な摺動を提供しなくなり、そのため、内側管はかかる自由な摺動を可能にするために、当初は外側管に対して遠位に配置される。)
【0290】
図11Cに示すように、内側管622を、内側管を回転することおよび/または外側管を回転することによって、外側管620に対して回転する。そのような回転によって、細長部材610を、外側管横開口部634の近位部640の鋭利な第1および第2の縁部650Aおよび650Bの内の1つに対して押し付ける。内側管622および外側管620に逆の回転方向にトルクをかけ、鋭利な刃先で細長部材610に剪断力を印加して、図11Dに示すように、鋭利な縁部に細長部材610を切断させる。このように、切断ツール600は、軸方向力ではなく、ねじり力によって切断を実施する。
【0291】
次に、本発明の一適用による、組織アンカーシステム710を模式的に示す図である、図12A図14Bを参照する。図12A図12Cは係合状態の組織アンカーシステム710を示し、図13A図13Bおよび図14A図14Bは非係合状態の組織アンカーシステム710を示す。組織アンカーシステム710は、トルク伝達ツール720、組織アンカー724、および典型的には鋭利な遠位先端727を形成する形状に形成されたロックシャフト726を含む。ロックシャフト726は、図1A図2Aを参照して上述したロックワイヤ110に多くの点で類似している。
【0292】
トルク伝達ツール720は、組織アンカー724を心臓組織内に埋め込むように構成され、トルク伝達ケーブル728を含み、トルク伝達ケーブルはトルク伝達ケーブル728に固定された遠位トルク伝達ヘッド730を含む。遠位トルク伝達ヘッド730は、チャンバ732を形成する形状に形成され、チャンバは(a)チャンバ732の側壁736を介した開窓部734、および(b)近位および遠位のチャンバ端部開口部738および740を形成する形状に形成されている。トルク伝達ツール720はさらに、結合部741を含み、結合部は、(a)組織アンカーシステム710のいずれの構成要素にも固定されず、(b)開窓部734を通過するには大き過ぎるサイズであり、(c)遠位のチャンバ端部開口部740を通過するには大き過ぎるサイズであり、任意に、(d)近位のチャンバ端部開口部738を通過するには大き過ぎるサイズである。いくつかの適用のために、開窓部734は少なくとも0.3mm、3mm以下、および/または、0.3mm〜3mmの最大寸法(たとえば、最大直径)Dを有し、および/または、遠位のチャンバ端部開口部740は少なくとも0.25mm、2.9mm以下、および/または、0.25mm〜2.9mmの最大寸法(たとえば、最大直径)DEOを有している。
【0293】
組織アンカー724は:
・螺旋状組織結合部750の遠位端753に延びる螺旋状組織結合部導管751を形成し取り囲む形状に形成された、螺旋状組織結合部750と、
・(a)螺旋状組織結合部750の近位部754に取り付けられ、(b)内側壁部758(図14Bに示す)を有するヘッド結合導管756を形成する形状に形成された、近位アンカーヘッド752と、を含む。螺旋状組織結合部750は心筋組織を穿刺し心筋組織内に螺入するように構成されている。
【0294】
ただし、組織アンカー724の近位アンカーヘッド752は典型的には、図1A図3Eを参照して上述した組織アンカー24の近位アンカーヘッド52よりも短い。アンカーヘッドをより短くすることにより、テザーを使用して張力を印加する場合、組織アンカー724を他の組織アンカーに、組織アンカー24で達成できるよりも、より近くに引くことを可能にする。さらに、2つの組織アンカー724を使用する場合、テザーを使用して張力を印加する場合、組織アンカー724を互いに対して、2つの組織アンカー24で達成できるよりも、よりいっそう近くに引くことができる。
【0295】
いくつかの適用のために、螺旋状組織結合部750は、参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月9日に出願された、PCT出願第PCT/IL2014/050027号に記載されている組織結合部の内の1つ以上の機能を実施するものである。
【0296】
典型的には、組織アンカーシステムはさらに、アンカーヘッド752に結合され(任意に、固定され)、典型的には組織アンカー724が心臓組織に埋め込まれた後に引っ張られる、テザー22を含む。
【0297】
トルク伝達ケーブル728および遠位トルク伝達ヘッド730は共にロックワイヤ収容導管760(図13Bおよび図14Bに示す)を形成する形状に形成されている。ロックワイヤ収容導管760は(i)トルク伝達ケーブル728、(ii)チャンバ732(および、典型的には、遠位トルク伝達ヘッド730全体)、および(iii)近位および遠位のチャンバ端部開口部738および740を通過する。さらに、ロックワイヤ収容導管760は典型的には、螺旋状組織結合部導管751と同軸である。
【0298】
組織アンカーシステム710は、それぞれ遠位トルク伝達ヘッド730がアンカーヘッド752に係合しているおよび係合していない、係合状態および非係合状態になるように構成されている。組織アンカーシステム710は:
・係合状態である場合、図12A図12Cに示すように、ロックシャフト726はロックワイヤ収容導管760内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管751内に取り外し可能に配置され、ロックシャフト726は結合部741が部分的にチャンバ732から開窓部734を介してヘッド結合導管756の内側壁部758に対して突出することを抑制して、それにより遠位トルク伝達ヘッド730をヘッド結合導管756に対して軸方向に固定し、
・非係合状態である場合、図13A図13Bおよび図14A図14Bに示すように、ロックシャフト726はロックワイヤ収容導管760内に配置されておらず、螺旋状組織結合部導管751内に配置されておらず、結合部741を抑制しない。
【0299】
上述のように、図13A図13Bおよび図14A図14Bは非係合状態の組織アンカーシステム710を示す。図13A図13Bにおいて、非係合状態の組織アンカーシステム710が示されており、遠位トルク伝達ヘッド730は未だアンカーヘッド752のヘッド結合導管756内にある。図面からわかるように、結合部741はヘッド結合導管756の内側壁部758から離脱し、結合部741がヘッド結合導管756に対して遠位トルク伝達ヘッド730を軸方向にロックしないようになっている。これにより、図14A図14Bに示すように、遠位トルク伝達ヘッド730をアンカーヘッド752のヘッド結合導管756から取り外すことが可能になる。ただし、図13A図13Bおよび図14A図14Bの両方に示すように、結合部741は、開窓部734を通過するには大き過ぎるサイズであり、かつ遠位のチャンバ端部開口部740、および、典型的には、近位のチャンバ端部開口部738を通過するには大き過ぎるサイズであるため、チャンバ732内に捕捉される。したがって、結合部741は患者の身体内に解放されることはできない。
【0300】
いくつかの適用のために、結合部741は(図示のように)球状であり、たとえば、少なくとも0.3mm、3mm以下、および/または、0.3mm〜3mmの直径DCEを有していてもよい。いくつかの適用のために、結合部741は少なくとも0.3mm、8mm以下、および/または、0.3mm〜8mmの体積を有していてもよい。いくつかの適用のために、結合部741は金属を含んでいてもよい。他の適用のために、結合部741はエラストマーなどのポリマーを含んでいてもよい。
【0301】
典型的には、ヘッド結合導管756の内側壁部758は結合用窪み762を形成する形状に形成されている。組織アンカーシステム710が係合状態である場合、ロックシャフト726はロックワイヤ収容導管760内および少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管751内に取り外し可能に配置され、ロックシャフト726は結合部741が部分的にチャンバ732から開窓部734を介してヘッド結合導管756の内側壁部758の結合用窪み762内に突出することを抑制する。
【0302】
いくつかの適用のために、トルク伝達ツール720はさらに、貫通孔768を形成する形状に形成された放射線不透過性のビード766を含む深度測定ツール764を含む(図13Bおよび図14Bに図示する)。ビード766は、螺旋状組織結合部導管751内に取り外し可能に配置される。ロックシャフト726が少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管751内に取り外し可能に配置され、組織アンカーシステム710が係合状態である場合、ロックシャフト726はビード766の孔768を通過し、ビード766がロックシャフト726および螺旋状組織結合部導管751に沿って摺動可能になっている。いくつかの適用のために、深度測定ツール764はさらにビード結合ワイヤ770を含み、ビード結合ワイヤは、少なくとも部分的に螺旋状組織結合部導管751内に取り外し可能に配置され、ビード766および遠位トルク伝達ヘッド730の遠位部772に固定され(図13Bおよび図14Aに図示する)、それにより(a)ビード766が螺旋状組織結合部導管751の遠位端774から抜け出るのを防止し、(b)遠位トルク伝達ヘッド730がアンカーヘッド752から取り外されたときに深度測定ツール764を組織アンカー724から取り外すことを容易にする。いくつかの適用のために、ビード結合ワイヤ770は、図示のような、螺旋状ばね776の形状に形成される。
【0303】
いくつかの適用のために、深度測定ツール764は、参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO2014/108903号に記載されている技術を実施するものである。たとえば、ビード766は心臓組織などの軟組織内への螺旋状組織結合部750の侵入の深さを示すマーカーとして機能する。回転すると、螺旋状組織結合部750は組織内に侵入し前進する。ビード766は組織内に侵入せず、したがって組織の表面に接触して残る。その結果、組織結合部が組織内に前進すると、ビードは静止状態で残り、組織アンカー724の近位端(およびアンカーヘッド752および遠位トルク伝達ヘッド730)に向かって移動する。言い換えると、組織アンカー742の近位端(およびアンカーヘッド752および遠位トルク伝達ヘッド730)は、組織アンカー742の中央縦軸に沿って測定して、ビード766に近づくように移動する。
【0304】
ビードおよびアンカーのより近位の部分(アンカーヘッド752など)はいずれも、撮像(たとえば、X線透視法、コンピュータ断層撮影法、心エコー検査、超音波検査、MRI)を使用して検視され、ビードと組織アンカー(たとえば、アンカーヘッド)の近位端との間の距離は、アンカーを心臓内へ前進させるときに、リアルタイムで推定され、監視される。ビードがヘッドからの所望の距離に到達した場合(ヘッド自体に到達するなど)、組織結合部は組織内に十分前進し、たとえば、螺入し、組織内に埋め込まれ、したがって医師はアンカーの回転を中止する。
【0305】
アンカーの組織内への前進を視覚化するためのこのような技術を使用しなければ、組織をX線透視画像などのいくつかの画像で見ることは困難であるため、いつ組織アンカーが組織内に完全に埋め込まれたかを確認することは多くの場合、困難である。その結果、組織アンカーは不注意に組織内に不十分に前進して、組織内への不十分な固定となる可能性、または組織内に過度に前進して、組織を裂くまたは別様に損傷する可能性がある。
【0306】
ビード766は(図示のような)球状または(図示しない)ディスク状などのあらゆる適切な形状であってよい。ビードの外径は、ビードと螺旋状組織結合部750との間にいくらかの摩擦を提供し、ビードが螺旋体内で自由浮遊することを防止するために、典型的には、螺旋状組織結合部750内の空間の内径よりもわずかに大きい。たとえば、ビードの外径は、空間の内径よりも少なくとも0.05ミクロン小さくてもよい。あるいはまたはさらに、ビードは、ビードと螺旋体との間にいくらかの摩擦を提供するコーティングを含み、コーティングは、ビードが螺旋体内を近位に移動するにつれて切り取られるようになっていてもよい。さらにあるいはまたはさらに、ビードおよびシャフトは、それらの間にいくらかの摩擦を提供するように構成されている。いくつかの適用のために、ビードの外径は1mm〜5mmであってもよい。
【0307】
図13A図13Bは、ビード766をアンカーヘッド752および遠位トルク伝達ヘッド730に可能な限り近づけて、軸方向に圧縮された螺旋状ばね776を示す。上述のように、ビード766が組織に対して押圧すると、かかる状態に到達する。図13A図13Bには組織は示していないが、それでも、ロックシャフト726の取り外し時およびその後に、ばねは典型的にはこの状態となり、この取り外しは、アンカーが組織内に埋め込まれ、組織がビードをアンカーヘッドに対して押し上げた後に実施されるため、図13A図13Bは軸方向に圧縮された螺旋状ばね776を示す。
【0308】
いくつかの適用のために、アンカーヘッド752は、典型的にはテザー22がそれを介して配置される横開口部782を形成する形状に形成されるテザー固定部780を形成する形状に形成される。いくつかの適用のために、組織アンカー724を埋め込んだ後、特にテザー22を引っ張る間、テザー22に回動の自由度を提供するために、テザー固定部780は螺旋状組織結合部750に対して回転可能である。この回動の自由度によりテザーがアンカーヘッド752周りに巻き付くのを阻止し、テザーの他の組織アンカーに対する理想的な方向付けを容易にする。
【0309】
組織アンカーシステム710は、係合状態で心臓内に前進させる。組織アンカー724は、組織アンカーシステム710が係合状態である間にトルク伝達ケーブル728を使用して、心臓組織内に埋め込まれる。典型的には、組織アンカー724が組織内にねじ込まれるにつれて、ロックワイヤ収容導管760および螺旋状組織結合部導管751内に配置されたロックシャフト726は、組織アンカーと一緒に組織内に侵入し、前進する。いくつかの適用のために、ロックシャフトが一定の深さまで侵入したときに、ロックシャフトを僅かに引き戻す。任意で、ロックシャフト726の鋭利な遠位先端727は、アンカーの組織内への挿入を開始する前にアンカーが組織の表面上を摺動することを防止するために、組織アンカー724の挿入前でも、組織内にわずかに挿入される。
【0310】
組織アンカー724が完全に埋め込まれた後、ロックシャフト726は、組織、螺旋状組織結合部導管751、およびロックワイヤ収容導管760から全体的に引き戻され、それにより、図13A図13Bおよび図14A図14Bを参照して上述したように、アンカーヘッド752からの遠位トルク伝達ヘッド730の係合解除を可能にする。深度測定ツール764は遠位トルク伝達ヘッド730に固定されているため、アンカーヘッド752から遠位トルク伝達ヘッド730を取り外すことにより、放射線不透過性のビード766を含む深度測定ツール764を組織アンカー724から取り外す。放射線不透過性のビード766を螺旋状組織結合部750内の空間から取り外すことにより、螺旋状組織結合部と心臓組織とのより大幅な一体化が可能となる。さらに、ビード結合ワイヤ770が上述のように螺旋状ばね776として形成される適用のために、放射線不透過性のビード766および螺旋状ばね776を取り外すことにより、放射線不透過性のビードおよびばねが螺旋状組織結合部内の空間で組織を長期間圧縮することを防止する。
【0311】
次に、本発明の一適用による、組織アンカーシステム710の他の構成を模式的に示す図である、図15を参照する。この構成において、ロックシャフト726は、図15に示す1つの溝778などの、1つ以上の長手方向に延びる溝778を形成する形状に形成されている。あるいは、いくつかの適用のために、ロックシャフト726は、それぞれ異なる方向に面する、複数の長手方向に延びる平坦な表面などの、1つ以上の長手方向に延びる平坦な表面を形成する形状に形成されている(たとえば、ロックシャフト726は六角形などの多角形の断面を有していてもよい)(構成は図示しない)。溝または平坦な表面は、シャフトと結合部との間により大きな接触面を提供することにより、結合部741をより良く着座および固定することを支援する。溝または平坦な表面はまた、シャフトと結合部との間の接触面を増加させる可能性のある、より大きな結合部741の使用を可能にする。溝または平坦な表面はまた、シャフトのトルク伝達ケーブルおよびアンカー724に対する回転を阻止してもよい。
【0312】
次に、本発明のそれぞれの適用による、トルク伝達ツール720を使用した組織アンカー724の3つの例示的な配置を模式的に示す図である、図16A図16Cを参照する。これらの配置は、図5A図5Dを参照して上述した技術に必要な変更を加えて、および/または、参照により以下に組み込まれる特許出願に記載された技術に必要な変更を加えて、使用することにより実施してもよい。
【0313】
図16Aに示す配置において、図12A図14Bを参照して上述した組織アンカー724は第1の心房部位790に配置するように示し、図1A図1F図2A図2B図3A図3E、および図5A図5Dを参照して上述した組織アンカー724は第2の心房部位792に配置するように示す。テザー22は組織アンカー724に関して上述したように引っ張られる。
【0314】
図16Bに示す配置において、図12A図14Bを参照して上述した2つの組織アンカー724は、それぞれ、第1および第2の心房部位790および792に配置するように示す。それぞれのテザー22は、組織アンカー724のヘッド部に固定され、テザー固定デバイス794によって引っ張られて結合される。たとえば、テザー固定デバイス794は、(a)本願の被譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、2014年10月28日に出願された、米国特許出願第14/525,668号の図6A図9を参照して説明されたテザー固定デバイス330、または(b)同出願第14/525,668号の図1図3を参照して説明されたテザー固定デバイス30を含んでいてもよい。上記出願第14/525,668号に説明されたテザー固定デバイスを配置するための技術を使用してもよい。あるいは、単一の組織アンカー724が配置され、第2の組織アンカーはテザー固定デバイス230に固定された第2の組織アンカー252Bを含み、これらはいずれも、上記出願第14/525,668号の図4A図5を参照して説明されている。
【0315】
図16Cに示す配置において、図12A図14Bを参照して上述した2つの組織アンカー724は、それぞれ、第1および第2の心房部位790および792に配置するように示す。テザー22は、図4A図4Eを参照して上述した固定突出部160を備えている。テザー22は、第1の心房部位790で組織アンカー724のヘッドに固定され、第2の心房部位792で組織アンカー724のヘッド752のテザー固定部780の横開口部782を通過する。典型的にはヘッド752とは別体のテザーロッキング部796が提供されている。テザー22はテザーロッキング部796を通過する。テザーロッキング部796は、固定突出部160のテザーロッキング部96を介した一方向の前進を可能にし、テザーロッキング部を介したテザーの逆方向の前進を抑制(典型的にはは阻止)する。その結果、矢印798で示す方向にテザーを引くことによってテザー22に張力を印加すると、1つ以上の固定突出部160は矢印798で示す方向にテザーロッキング部796を通過し、テザーロッキング部を介して逆方向に戻ることが阻止され、それによりテザーに印加される張力を維持する。固定突出部160は図16Cにおいてシリンダ168を含むように示しているが、固定突出部は代わりに、図4B図4Eを参照して上述した他の構成またはその他の構成を含んでいてもよい。
【0316】
次に、本発明の適用による、可撓性テザー822を模式的に示す図である、図17A図19を参照する。図17Cは、側方からまっすぐに続くテザー822を示している。図18A図18Bは、それぞれ図17Aの線XVIIA−XVIIAおよびXVIIB−XVIIBに沿って取られたテザー822の断面図である。図19は、例示目的のために互いの上に重ね合わされた図18A図18Bの断面図を示している。テザー822は、たとえば、本明細書および/または参照により組み込まれる以下の特許出願に記載の組織アンカーなどの、2つ以上の組織アンカー間の張力を印加するために使用されてもよい。典型的には保護パッケージ形態で提供される場合、典型的にはテザー822は、無菌である。
【0317】
テザー822は、少なくとも、図17A図19に示すように直線状でよりのない形状に引っ張られると、中央縦軸828を有し、第1および第2のブレード830Aおよび830B(ならびに、典型的には、少なくともいくらかより多くのブレード)を形成する形状に形成されており、これらのブレードは(a)第1および第2の長手方向の位置832Aおよび832Bに、(b)中央縦軸828に沿って互いに10mm以内に配置される。「互いに10mm以内」とは、軸に沿って互いに最も近いブレードのそれぞれの部分が互いに10mm以内であることを意味し、「10mm以内」とは、ブレードのそれぞれの長手方向中心間の距離を指すものではない。いくつかの適用のために、第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、(図17A図17Cに示すように)互いに触れるようになど、中央縦軸828に沿って互いに5mm以内に配置されている。
【0318】
第1および第2のブレード830Aおよび830Bはそれぞれ、最良適合平面834Aおよび834Bを有し、それら平面は、たとえば少なくとも85度、(図示のように)たとえば90度、のように、少なくとも60度などの、少なくとも30度の角度θ(シータ)で交差している。換言すれば、隣接する第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、少なくとも角度θ(シータ)で回転方向にオフセットされている。たとえば、角度θ(シータ)が90度である適用のために、ブレードは2つの回転位相を有すると考えることができ、一方、角度θ(シータ)が90度未満である他の適用のために、ブレードは3つ以上の回転位相を有すると考えることができる。典型的には、ブレードの各々は、大略的にブレードの最良適合平面と平行である2つの対向する大略的に平坦な外面を形成する。
【0319】
請求項を含む本願において使用されるように、テザー822の「ブレード」は、大略的に平坦な薄肉部または部分である。「ブレード」は、必ずしも鋭利な刃先を形成しておらず、実際には、ブレード830は大略的に、いかなる鋭利な刃先も形成してはいない。
【0320】
請求項を含む本願において使用されるように、所与のブレードの「最良適合平面」は、平面とブレードの体積の全ての点との間の距離の二乗最小和をもたらす平面である。請求項を含む本願において使用されるように、2つの線または2つの平面の間の角度は、2つの線または2つの平面の間の2つの補角のより小さいほうであり、または、2つの線または2つの平面が垂直である場合には90度に等しい。請求項を含む本願において使用されるように、「よりのない形状」とは、テザーがねじれていないことを意味し、すなわち、テザーがもしねじれていたとすれば発生する可能性があるような、反対方向の端部が転回し、以前は同じ直線および平面であった部分が螺旋曲線状に配置されているような、形状の変化がないことを意味する。
【0321】
請求項を含む本願において使用されるように、細長い構造の「中央縦軸」は、構造に沿った構造の横断面部分の全重心の集合である。したがってその断面部分は、構造に沿って走る中央縦軸に対して局所的に垂直である。(構造の断面が円形である場合は、重心は、円形断面部分の中心と一致する)。
【0322】
いくつかの適用のために、中央縦軸282は(図示のように)第1および第2の最良適合平面834Aおよび834Bに整列している。いくつかの他の適用のために、中央縦軸282は、第1および第2の最良適合平面834Aおよび834Bと平行である(構成は図示せず)。
【0323】
いくつかの適用のために、第1のブレード830Aの長手方向縁部836によって形成される平面と中央縦軸828との間の角度は、90度などの、少なくとも60度である。いくつかの適用のために、長手方向縁部は、平坦な部分を含むか、または完全に平坦である。第1のブレード830Aの他の縁部、および他のブレード830の縁部は、これらの特性の1つ以上を有していてもよい。
【0324】
第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、中央縦軸828に垂直な第1および第2の最大寸法DGAおよびDGBをそれぞれ有する。いくつかの適用のために、第1および第2の最大寸法DGAおよびDGBのそれぞれは、少なくとも0.25mm(たとえば、少なくとも0.5mm)、5mm以下、および/または、0.5mm〜5mmの間(たとえば、0.25mm〜5mmの間)である。
【0325】
いくつかの適用のために、第1および第2の最大寸法DGAおよびDGBは、第1および第2の最大外寸DGAおよびDGBであり、第1および第2のブレード830Aおよび830Bはそれぞれ、第1および第2の最大内寸DMAおよびDMBを有し、これらは(a)第1および第2の最大外寸DGAおよびDGBのそれぞれ、および(b)中央縦軸828に垂直に測定される。第1および第2の最大内寸DMAおよびDMBは典型的には、それぞれ第1および第2の最大外寸DGAおよびDGBの、10%以上(たとえば、25%以上)、90%以下(たとえば、50%以下)、および/または、25%〜50%の間などの10%〜90%の間である。いくつかの適用のために、第1および第2の最大内寸DMAおよびDMBのそれぞれは、少なくとも0.1mmなどの少なくとも0.05mm、または0.05mm(たとえば、0.1mm)〜3mmの間などの3mm以下である。
【0326】
図17Cに示すように、第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、第1および第2の長さLおよびLをそれぞれ有し、それらは、中央縦軸828に沿って測定される。いくつかの適用のために、第1および第2の長さLおよびLのそれぞれは、少なくとも0.25mm(たとえば、少なくとも0.5mm)、10mm以下(たとえば、5mm以下)、および/または、0.5mm〜5mmの間、典型的には1mm〜5mmの間のような、0.25mm〜10mmの間である。
【0327】
典型的には、テザー822は、少なくとも10個、30個以下、および/または、10個〜30個のブレード830などの、少なくとも2個、50個以下、および/または、2個〜50個のブレード830を形成する形状に形成されている。これらのブレード830は、第1および第2のブレード830Aおよび830Bと、第3のブレード830Cとを含み、これは、(a)第3の長手方向の位置832Cに、(b)中央縦軸828に沿って第2のブレード830Bから10mm以内に配置されている。第2の長手方向の位置832Bは、中央縦軸828に沿って第1および第3の長手方向の位置832Aおよび832Cの長手方向の間である。テザー822が直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、第3のブレード830Cは、第3の最良適合平面を有し、その平面は少なくとも30度の角度で第2の最良適合平面834Bと交差している。
【0328】
いくつかの適用のために、第1のブレード830Aは、(図18Aに示すように)少なくとも0.25mmの断面積を有する少なくとも1つの平坦な平面状の表面部840を形成する形状に形成されている。いくつかの適用のために、第1のブレード830Aは、それぞれ少なくとも0.25mmの面積を有する少なくとも2つの非共平面の平坦な平面状の表面部840および842を形成する形状に形成されている。いくつかの適用のために、少なくとも2つの平坦な平面状の表面部840および842は(図示のように)互いに平行である。いくつかの適用のために、第2のブレード830Bは、(図18Bに示すように)少なくとも0.25mmの断面積を有する少なくとも1つの平坦な平面状の表面部844を形成する形状に形成されている。
【0329】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、(図示のように)第1および第2の長手方向の位置832Aおよび832Bで中央縦軸828周りに異なる回転方向を有する、同じ形状を有している。他の適用のために、第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、異なる形状を有する(構成は図示せず)。
【0330】
いくつかの適用のために、テザー822は、ポリマーを含む。いくつかの適用のために、テザー822は、ポリマー/金属複合材料を含む。いくつかの適用のために、テザーは、X線透視下で可視であるように、放射線不透過性である。たとえば、金属は、貴金属や重金属を含んでいてもよい。放射線不透過性材料は、テザーの中に包埋されるか、または、テザーの中央縦軸に沿って走るワイヤなどの、構造中に埋め込まれた独立した層であってもよい。金属成分は、テザーの遠位端から近位端までにおいて、直径および/または材料が変化するように構成されてもよい。テザー複合体の近位部分は、効果的なトルク伝達を可能にするために剛性であるように構成されてもよく、テザーの遠位部分は、より可撓性を有し、たとえば、図11A図11Dを参照して上記に説明した切断ツール600または他の切断ツールを使用して、テザーの本来の位置での切断を可能にするように構成することができる。
【0331】
いくつかの適用のために、第1および第2のブレード830Aおよび830Bはそれぞれ、中央縦軸828に垂直に測定した第1および第2の最大断面積を有し、断面積はそれぞれ、少なくとも0.5mm、5mm以下、および/または、0.5mm〜5mmの間などの、少なくとも0.1mm、20mm以下、および/または、0.1mm〜20mmの間である。いくつかの適用のために、第1および第2の最大断面積は等しい。いくつかの適用のために、第1および第2のブレード830Aおよび830Bはそれぞれ、各々少なくとも0.25mm、15mm以下、および/または、0.25mm〜15mmの間などの、少なくとも0.05mm、150mm以下、および/または、0.05mm〜150mmの間の第1および第2の体積を有している。
【0332】
いくつかの適用のために、テザー822は、第1および第2のブレード830Aおよび830Bを含み、テザー822の長手方向部に沿って配置された、少なくとも3つのブレード830を形成する形状に形成されている。いくつかの適用のために、テザー822の長手方向部に沿った平均断面積は、4mm未満などの20mm未満であり、および/または、長手方向部に沿ったテザー822の最大断面積は20mm未満である。
【0333】
いくつかの適用のために、テザー822の長手方向部は、(a)ブレード830を形成する形状に形成されているブレードサブ部分、および(b)いかなるブレード830も形成する形状には形成されていない非ブレードサブ部分を含む。長手方向部は、中央縦軸828に対して垂直に測定された一定の断面積を有している。いくつかの適用のために、テザー822は、最初は円形の断面形状を有するテザーを用い、ブレード830を形成するように円形テザーの長手方向部を形状設定することによって製造される。いくつかの適用のために、形状設定には、図17A図17Cに示す形状を生成するために、円形テザーの平坦化およびねじれを含み、これにより、隣接ブレード間の界面での短いよりのある部分が含まれる。他の適用のために、形状設定には、図21A図21Cに示す形状を生成するために、円形テザーの部分を平坦化することが含まれる。
【0334】
いくつかの適用のために、ブレード830は、少なくとも40のショアD硬度を有する。テザーが1つ以上の非ブレードサブ部分を含むいくつかの適用のために、1つ以上の非ブレードサブ部分は、ブレード830と同じ硬度を有する。
【0335】
次に、本発明の適用による、テザー822の断面を模式的に示す図である、図20A図20Cを参照する。いくつかの適用のために、テザー822が直線状の(典型的にはよりのない)形状に引っ張られる場合、テザー822は中央縦軸828を有し、中央縦軸828に沿って互いに10mm以内の第1および第2の長手方向の異なる位置832Aおよび832Bに、中央縦軸828に垂直な第1および第2の断面850Aおよび850Bを形成する形状に形成される。第1および第2の断面850Aおよび850Bは、それぞれ第1および第2の線852Aおよび852Bを形成する、第1および第2の最大寸法DGAおよびDGBをそれぞれ有している。第1および第2の断面850Aおよび850Bが中央縦軸828周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)第1および第2の線852Aおよび852Bは、たとえば少なくとも85度、たとえば(図示のように)90度のような、少なくとも60度などの、少なくとも30度の角度ε(イプシロン)で交差すると考えられ、(b)第1および第2の断面850Aおよび850Bは一致しないと考えられる。
【0336】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、テザー822は、第3の長手方向の位置832Cに、中央縦軸828に垂直な第3の断面を形成する形状に形成される。第3の第2の断面は第3の線を形成する第3の最大寸法を有する。第2の断面850Bおよび第3の断面が中央縦軸828周りの回転を保ちながら、互いの上に投影された場合は、(a)第2および第3の線は少なくとも30度の角度で交差すると考えられ、(b)第2および第3の断面は一致しないと考えられる。
【0337】
いくつかの適用のために、第1の断面850Aの第1の周囲860Aは、少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも1つの直線部分862を形成する形状に形成されている。いくつかの適用のために、第1の周囲860Aは、それぞれ少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも2つの非同軸の直線部分862および864を形成する形状に形成されている。いくつかの適用のために、少なくとも2つの非同軸の直線部分862および864は(図示のように)互いに平行である。いくつかの適用のために、第2の断面850Bの第2の周囲860Bは、少なくとも0.5mmの長さを有する少なくとも1つの直線部分866を形成する形状に形成されている。
【0338】
いくつかの適用のために、第1および第2の断面850Aおよび850Bは、第1および第2の長手方向の位置832Aおよび832Bで中央縦軸828周りに異なる回転方向を有する、同じ形状を有している。
【0339】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、テザー822は、第1の長手方向の位置832Aを含み、少なくとも0.25mm(たとえば、少なくとも0.5mm)、10mm以下(たとえば、5mm以下)、および/または、0.5mm〜5mmの間、典型的には1mm〜5mmの間などの0.25mm〜10mmの間の第1の長さLを有する、(図17Cに示すような)第1の長手方向部分870Aを形成する形状に形成される。第1の長さLは、中央縦軸828に沿って測定され、第1のブレード830Aに関して上述した第1の長さLに対応する。第1の長手方向部分870Aは、それに沿ったすべての長手方向の位置に、(a)第1の断面850Aを含み、(b)それぞれ第1の線を形成し、第1の線852Aを含む、それぞれの第1の最大寸法を有する、第1の断面を有している。第1の断面が、中央縦軸828周りの回転を保ちながら、第2の断面850B上に投影された場合は、(a)第1の線は、それぞれ少なくとも30度の、それぞれの角度で第2の線852Bに交差すると考えられ、(b)第1の断面は第2の断面850Bと一致しないと考えられる。いくつかの適用のために、第1の断面は同じ形状を有している。いくつかの適用のために、形状は、第1の長手方向部分870Aに沿って中央縦軸828周りに同じ回転方向を有している。あるいは、いくつかの適用のために、形状は、第1の長手方向部分870Aに沿った少なくとも2つの長手方向の位置で、中央縦軸828周りに異なる回転方向を有している。
【0340】
いくつかの適用のために、テザーが直線状でよりのない形状に引っ張られる場合、テザー822は、第2の長手方向の位置832Bを含み、少なくとも0.25mm(たとえば、少なくとも0.5mm)、10mm以下(たとえば、5mm以下)、および/または、0.5mm〜5mmの間、典型的には1mm〜5mmの間などの0.25mm〜10mmの間の第2の長さLを有する、(図17Cに示すような)第2の長手方向部分870Bを形成する形状に形成される。第2の長さLは、中央縦軸828に沿って測定され、第2のブレード830Bに関して上述した第2の長さLに対応する。第2の長手方向部分870Bは、それに沿ったすべての長手方向の位置に、(a)第2の断面850Bを含み、(b)それぞれ第2の線を形成し、第2の線852Bを含む、それぞれの第2の最大寸法を有する、第2の断面を有している。第2の断面が、中央縦軸828周りの回転を保ちながら、第1の断面850A上に投影された場合は、(a)第2の線は、それぞれ少なくとも30度の、それぞれの角度で第1の線852Aに交差すると考えられ、(b)第2の断面は第1の断面850Aと一致しないと考えられる。
【0341】
いくつかの適用のために、第1および第2の断面850Aおよび850Bはそれぞれ、第1および第2の面積を有しており、それらの各々は、少なくとも0.05mm、15mm以下、および/または、0.05mm〜15mmの間である。
【0342】
次に、本発明の適用による、可撓性テザー822の他の構成を模式的に示す図である、図21A図21Cを参照する。図21Bは、側方からまっすぐに続くテザー822を示している。図21Cは、図21Aの線XXIC−XXICに沿って取られたテザー822の断面図である。この構成では、第1および第2のブレード830Aおよび830Bは、少なくとも0.25mmの長さのブレードの無い長手方向の隙間874によって分離されている。ブレードが隙間内に配置されていないため、テザー822は、したがって隙間に沿って狭くなっている。いくつかの適用のために、隙間874に沿ったテザー822は、断面が円形である。隙間874は、テザー822の長手方向に隣接するブレード830のすべてまたは一部の間に設けられていてもよい。この構成は、図23A図23Bを参照して以下に記載される技術を実施するために特に適切であり得る。
【0343】
次に、本発明の適用による、テザー822の一使用を模式的に示す図である、図22を参照する。図22において、組織アンカーシステム10がロック状態にある間に、テザー822は、組織アンカー24の横開口部82を通過する状態が示されている。組織アンカーシステム10と組織アンカー24は、図1A図3Eを参照して上記に記載されている。組織アンカーシステム10(およびそのテザーロッキング機構68)がロック状態にあるとき、ばね70(および、必要に応じて、ハンマーキャップ100)は、横開口部82の周囲84、および/または、外側テザー固定部80の内面に対してなど、外側テザー固定部80に対してテザー822を押圧することにより、横開口部82を介したテザー822の摺動を阻止する。
【0344】
アンカーシステム10がロック解除状態からロック状態に切り替わるとき、テザー822は、それに沿ったある長手方向の位置において、横開口部82(または外側テザー固定部80の内側面)の周囲84とばね70(またはハンマーキャップ100)の間で押圧される。ばね70(またはハンマーキャップ100)はテザー822に衝突し、長手方向の位置におけるブレード830(たとえばブレード830A)の対向する大略平坦な表面がそれぞれ、(a)横開口部82(または外側テザー固定部80の内側面)の周囲84と(b)ばね70(またはハンマーキャップ100)と接触するようにテザーを回転させる。この回転整列の結果として、2つの隣接するブレード830(たとえば、ブレード830Aおよび830B)は、図17A図19を参照して上述したように、たとえば少なくとも30度の角度θ(シータ)にて、中央縦軸828周りに、互いに対して整列する。
【0345】
矢印880で示す方向に張力がテザー822に対して印加される場合、張力の方向と反対である隣接ブレード830(たとえば、ブレード830B)は、(a)横開口部82(または外側テザー固定部80の内側面)の周囲84と(b)ばね70(またはハンマーキャップ100)に対して引っ張られる。この隣接ブレードの回転オフセット方向により、横開口部82(または外側テザー固定部80の内側面)の周囲84とばね70(またはハンマーキャップ100)との間の狭い空間を介した、この隣接ブレード(たとえば、ブレード830B)の通過が阻止される。
【0346】
次に、本発明の適用による、テザー822の他の使用を模式的に示す図である、図23A図23Bを参照する。図23A図23Bでは、図21A図21Cを参照して上述した構成において、テザー822が、組織アンカー724の横開口部782を通過するように示されている。横開口部782はかなり狭く、そのため、張力の方向の反対側にある隣接ブレード830(たとえば、ブレード830B)の角度がついた方向により、この隣接ブレード(たとえば、ブレード830B)の開口部を介した通過が阻止される。隣接ブレード830間のブレードのない長手方向の隙間874により、隣接ブレード(たとえば、ブレード830B)が開口部の周囲に接触する前に、1つのブレード830の完全な通過が可能となる。
【0347】
開口部782に対してテザー822を前進させるために、矢印880の方向または逆方向のいずれかにおいて、医師は、(a)隙間874の1つが開口部782内に入るまでテザー822を引っ張り、(b)矢印890で示すようにテザー822を回転させ、(c)前進の所望の方向にテザーを引っ張る。たとえば、図23Bは、矢印880で示す方向に前進させられた後のテザー822を示している。図から分かるように、張力の方向と反対である次の隣接ブレード830(たとえば、ブレード830C)の角度のついた方向により、この隣接ブレード(たとえば、ブレード830C)の開口部を介した通過を阻止する。テザー822は、少なくとも回転ツールの長手方向の位置から開口部782にトルクを伝達するのには十分に剛性である。
【0348】
次に、本発明の適用による、図21A図21Cに関して上述した構成のテザー822の一使用を模式的に示す図である、図24A図24Cを参照する。図24B図24Cは、図24Aの線XXIVB−XXIVBに沿った断面図である。図24A図24Cでは、テザー822は、組織アンカー24の横開口部82を通過するよう示されている。図24A図24Bは、組織アンカーシステム10がロック解除状態にある様子を示し、図24Cは、組織アンカーシステムがロック状態にある様子を示す。本構成では、横開口部82が垂直に配向されている、すなわち、アンカーの軸に平行な長軸を有する点以外は、組織アンカーシステム10と組織アンカー24は、図1A図3Eを参照して上記に記載されているとおりである。横開口部82は典型的には、垂直スロットとして形成される。
【0349】
アンカーシステム10がロック解除状態である場合、横開口部82は、ばね70(またはハンマーキャップ100)によって遮断されず、したがって、テザー822の通過が可能となる。開口部におけるブレード830が開口部と同じ向きを有する場合、テザー822は、横開口部82を通って前進することができるのみである。図23A図23Bを参照して上述したように、テザー822を、所望のレベルの張力へと開口部を通って前進させる。隣接ブレード830間のブレードの無い長手方向の隙間874により、隣接するブレードが横開口部82の周囲に接触する前に、1つのブレード830が完全に通過することが可能となる。
【0350】
アンカーシステム10がロック解除状態からロック状態に切り替わるとき、テザー822は、それに沿ったある長手方向の位置において、横開口部82(または外側テザー固定部80の内側面)の周囲とばね70(またはハンマーキャップ100)の間で押圧される。ばね70(またはハンマーキャップ100)はテザー822に衝突し、開口部82に隣接するブレードの両方(例えば、図24Cのブレード830Aおよび830B)が互いに実質的に平行になるようにテザーを回転させる。ブレード830Bはこのように、開口部82の長軸に対して垂直に配向され、張力が矢印880で示す方向にテザー822に対して印加されるときに、矢印880で示す方向への動きを抑制する。
【0351】
本発明の範囲は、本出願の被譲渡人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる以下の出願に記載の実施形態を含む。実施形態では、以下の出願の1つ以上に記載された技術および装置は、本明細書に記載の技術および装置と組み合わせられる。
・米国特許第8,475,525号として発行され、2010年1月22日に出願された米国特許出願第12/692,061号;
・米国特許第8,961,596号として発行され、2011年7月21日に出願された米国特許出願第13/188,175号;
・米国特許第8,961,594号として発行され、2012年5月31日に出願された米国特許出願第13/485,145号;
・米国特許出願公開第2013/0018459号として公開され、2012年7月19日に出願された米国特許出願第13/553,081号;
・米国特許出願公開第2013/0046380号として公開され、2012年10月19日に出願された米国特許出願第13/574,088号;
・米国特許出願公開第2014/0114390号として公開され、2013年12月30日に出願された米国特許出願第14/143,355号;
・2014年10月28日に出願された米国特許出願第14/525,668号;
・PCT公開公報第WO2011/089601号として公開され、2011年1月20日に出願された国際出願第PCT/IL2011/000064号;
・PCT公開公報第WO2013/011502号として公開され、2012年7月19日に出願された国際出願第PCT/IL2012/000282号;
・PCT公開公報第WO2013/179295号として公開され、2013年5月30日に出願された国際出願第PCT/IL2013/050470号;
・PCT公開公報第WO2014/108903号として公開され、2014年1月9日に出願された国際出願第PCT/IL2014/050027号;
・PCT公開公報第WO2014/141239号として公開され、2014年3月9日に出願された国際出願第PCT/IL2014/050233号;
・2014年10月28日に出願された国際出願第PCT/IB2014/002351号;
・2013年10月30日に出願された米国仮特許出願第61/897,491号;
・2013年10月30日に出願された米国仮特許出願第61/897,509号;
・2014年6月19日に出願された米国仮特許出願第62/014,397号。
【0352】
本発明が上記の本明細書に詳しく示し説明した内容に限定されないことは、当業者であれば理解するであろう。むしろ、本発明の範囲には、上述の説明を読んで当業者が発想し、かつ先行技術に存在しない、上述の様々な特徴の組み合わせおよび部分的組み合わせの両方、ならびにその変更および修正が含まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C