特許第6559164号(P6559164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルアグ アモテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559164
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】火工技術用点火剤
(51)【国際特許分類】
   C06B 43/00 20060101AFI20190805BHJP
   C06C 7/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   C06B43/00
   C06C7/00
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-575851(P2016-575851)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公表番号】特表2017-524638(P2017-524638A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2015064729
(87)【国際公開番号】WO2016001161
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】102014009807.9
(32)【優先日】2014年7月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506207886
【氏名又は名称】ルアグ アモテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RUAG Ammotec GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ ブライ
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ ホシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ ラヴレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ジーモン レヒナー
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102010036950(DE,A1)
【文献】 英国特許出願公告第00195344(GB,A)
【文献】 特表2008−542175(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2377840(EP,A2)
【文献】 米国特許第04566921(US,A)
【文献】 SHUNGUAN Z. et al.,A new green primary explosive:zinc 5,5'-azotetrazole,PROCEEDING OF THE THIRTY-EIGHTH INTERNATIONAL PYROTECHNICS SEMINAR,米国,2012年 6月15日,p.696-704
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C06B
C06C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火工技術用点火剤において、前記火工技術用点火剤が、Zn2+(C102−)(CO2−)、Zn2+(C102−(CO2−)、Zn2+(C102−(CO2−)(OH、Zn2+(C102−)(OHまたはZn2+(C102−(OH(上記式中、
(C102−)は以下の構造:
【化1】
を有するアゾテトラゾレートジアニオンである
含有し、ここで塩基性アゾテトラゾレート成分の割合が30〜100質量%であり、かつ添加剤若しくは複数の添加剤の混合物が0〜70質量%含有されていることを特徴とする前記火工技術用点火剤。
【請求項2】
請求項1に記載の火工技術用点火剤において、添加剤として、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又はアンモニウムの硝酸塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は亜鉛の過酸化物のうち1つ若しくは複数から選択される酸化剤を10〜60質量%含有することを特徴とする前記火工技術用点火剤。
【請求項3】
請求項1に記載の火工技術用点火剤において、添加剤として、鋭感剤を0〜10質量%含有することを特徴とする前記火工技術用点火剤。
【請求項4】
請求項1に記載の火工技術用点火剤において、添加剤として、アルミニウム、硫化アンチモン、ケイ化カルシウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、グラファイト、活性炭、カーボンブラックのうち1つ若しくは複数から選択される還元剤、又は摩擦材を0〜20質量%含有することを特徴とする前記火工技術用点火剤。
【請求項5】
請求項1に記載の火工技術用点火剤において、添加剤として、セルロース及びその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリビニルアセテート、及びコポリマーのうち1つ若しくは複数から選択されるバインダーを0.1〜5質量%含有することを特徴とする前記火工技術用点火剤。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の火工技術用点火剤の使用であって、機械的、電気的、又は光電子的な点火システムにおける前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は火工技術用点火剤である。
【0002】
本発明の文脈における火工技術用点火剤とは、火工技術(点火もしくは着火)効果を発揮できる物質又は物質混合物である。
【0003】
本発明の対象は殊に、機械式、電気式又は光電子式の点火システムにおいて使用可能な火工技術用点火剤である。
【0004】
独国特許出願公開第102010025104号明細書(DE102010025104A1)の明細書から、5,5’−アゾテトラゾールの鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩、カドミウム塩、若しくはグアニル尿素塩と、少なくとも1つの5,5’−アゾテトラゾレート及び少なくとも1つのビステトラゾールイルトリアセネート又は少なくとも1つの5,5’−アゾテトラゾールの別の金属塩若しくはグアニル尿素塩からの混合物とを含む5,5’−アゾテトラゾレート系爆薬が公知である。この明細書に記載されている塩は中性である(つまり、酸性でも塩基性でもない)。独国特許出願公開第102010025104号明細書(DE102010025104A1)の明細書によれば、5,5’−アゾテトラゾールの亜鉛塩及びクロム塩は貯蔵性がない。さらに、テトラセン含有火工品混合物の熱安定性は十分でないという問題がある。というのもテトラセンは、既に120℃で分解するからである。
【0005】
本発明の課題は、さらなる火工技術用点火剤を提供することであった。本発明のさらなる課題は、機械式、電気式、又は光電子式の点火システムにおいて使用することができる火工技術用点火剤を提供することであった。
【0006】
前記課題は驚くべきことに、本発明により請求項1に記載されている特徴により解決される。
【0007】
本発明のさらなる態様は、従属請求項に示されている。
【0008】
驚くべきことに、以下の一般実験式:
m+(C102−(CO2−(OH
(上記式中、
Mは21〜80の範囲の原子番号を有する周期表第3〜12族の元素であり、
(C102−)は以下の構造:
【化1】
を有するアゾテトラゾレートジアニオンであり、
mはカチオンの価数であり、
nは1〜6の整数であり、
pは1〜4の整数であり、
qは0〜8の整数であり、
rは0〜4の整数であり、かつq+r≠0である)
を有する5,5’−アゾテトラゾールの塩基性塩を含有する火工技術用点火剤が発見されたのであり、
ここで塩基性アゾテトラゾレート成分の割合は30〜100質量%であり、かつ添加剤若しくは複数の添加剤の混合物が0〜70質量%含有されている。本発明による新規の塩基性アゾテトラゾレート化合物は、180℃〜240℃の範囲にある爆発温度、0.1N〜1.0Nの摩擦感度、及び0.1J〜0.5Jの衝撃感度を有する。本発明による塩基性アゾテトラゾレート化合物は熱安定性である。71℃で貯蔵しても、28日後に、本発明による塩基性アゾテトラゾレート化合物、ここでは殊に亜鉛化合物の分解は示されない。
【0009】
好適には、火工技術用点火剤は、添加剤として、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又はアンモニウムの硝酸塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は亜鉛の過酸化物のうち1つ若しくは複数から選択される酸化剤を10〜60質量%含有する。
【0010】
特に好ましくは、火工技術用点火剤は、添加剤として、鋭感剤、好適にはテトラセンを0〜10質量%含有する。
【0011】
好適には、本発明による火工技術用点火剤は、添加剤として、アルミニウム、硫化アンチモン、ケイ化カルシウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、グラファイト、活性炭、カーボンブラックのうち1つ若しくは複数から選択される還元剤、又は摩擦材、好適にはガラス破砕物を0〜20質量%含有する。
【0012】
特に好ましくは、火工技術用点火剤は、添加剤として、セルロース及びその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリビニルアセテート、及びコポリマーのうち1つ若しくは複数から選択されるバインダーを0.1〜5質量%含有する。
【0013】
極めて特に好ましくは、火工技術用点火剤は、以下のもの:
Zn2+(C102−)(CO2−)、
Zn2+(C102−(CO2−)、
Zn2+(C102−(CO2−)(OH
Zn2+(C102−)(OH、及び/又は
Zn2+(C102−(OH
を含有する。
【0014】
本発明による火工技術用点火剤は、機械式、電気式、又は光電子式の点火システムにおいて使用される。
【0015】
添加剤として、以下の1〜5を使用することができる:
1.アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩(例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、又は硝酸アンモニウム)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は亜鉛の過酸化物から成る群より選択された酸化剤(単独又は混合物で)、
2.ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロセルロースという高エネルギーの添加物質(単独又は混合物で)
3.アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、グラファイト、活性炭、カーボンブラックから成る群より選択される還元剤(単独又は混合物で)
4.セルロース、並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリビニルアセテート、コポリマーからなる群より選択されるバインダー(単独又は混合物で)
5.酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ケイ酸塩、シリカゲル、ケイ酸(例えば、Aerosil(Degussa社))、窒化ホウ素から成る群より選択される燃焼調整剤、安定化剤、及び加工助剤(単独又は混合物で)。
【0016】
これらの物質は、鉛及びバリウム不含であること、高い着火力、短い反応時間、及び相応する感度において優れている。これらの特性によって、安全な点火に必要とされる爆発物の量を削減することができる。
【0017】
表1では、選択した実施例の分解温度、摩擦感度、及び衝撃感度が示されている。摩擦感度及び衝撃感度の測定は、BAM−Bericht142(1987)に記載されている連邦材料試験研究所(BAM)の手法に従って行い、分解温度の測定は、示差走査熱量計(DSC)(Mettler社)を用いて、毎分10Kの加熱速度で行った。
【0018】
本発明の対象は、詳細には以下のものである:
・以下の一般実験式:
m+(C102−(CO2−(OH
(上記式中、
Mは21〜80の範囲の原子番号を有する周期表第3〜12族の元素であり、
(C102−)は以下の構造:
【化2】
を有するアゾテトラゾレートジアニオンであり、
mはカチオンの価数であり、
nは1〜6の整数であり、
pは1〜4の整数であり、
qは0〜8の整数であり、
rは0〜4の整数であり、かつq+r≠0である)
を有する5,5’−アゾテトラゾールの塩基性塩を含有する火工技術用点火剤であり、ここで塩基性アゾテトラゾレート成分の割合は30〜100質量%であり、かつ添加剤若しくは複数の添加剤の混合物が0〜70質量%含有されている;
・添加剤として、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又はアンモニウムの硝酸塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及び/又は亜鉛の過酸化物のうち1つ若しくは複数から選択される酸化剤を10〜60質量%含有する火工技術用点火剤;
・添加剤として、鋭感剤、好適にはテトラセンを0〜10質量%含有する火工技術用点火剤;
・添加剤として、アルミニウム、硫化アンチモン、ケイ化カルシウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、グラファイト、活性炭、カーボンブラックのうち1つ若しくは複数から選択される還元剤、又は摩擦材、好適にはガラス破砕物を0〜20質量%含有する火工技術用点火剤;
・添加剤として、セルロース及びその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリビニルアセテート、及びコポリマーのうち1つ若しくは複数から選択されるバインダーを0.1〜5質量%含有する火工技術用点火剤;
・Zn2+(C102−)(CO2−)を含有する火工技術用点火剤;
・Zn2+(C102−(CO2−)を含有する火工技術用点火剤;
・Zn2+(C102−(CO2−)(OHを含有する火工技術用点火剤;
・Zn2+(C102−)(OHを含有する火工技術用点火剤;
・Zn2+(C102−(OHを含有する火工技術用点火剤;
・機械式、電気式、又は光電子式の点火システムにおける火工技術用点火剤の使用。
【0019】
本発明を、以下の実施例によってより詳細に説明するが、本発明がこれらに制限されることはない:
表1には、5種類の異なった5,5’−アゾテトラゾールの塩基性塩の組成が挙げられている。
【表1】