(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559174
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】バーハンドル車両用ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B60T 7/04 20060101AFI20190805BHJP
B62L 3/04 20060101ALI20190805BHJP
B60T 11/06 20060101ALI20190805BHJP
B60T 7/06 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
B60T7/04 B
B62L3/04 C
B62L3/04 B
B60T11/06
B60T7/06 D
B60T7/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-61729(P2017-61729)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-162034(P2018-162034A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226677
【氏名又は名称】日信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】高柳 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−65459(JP,A)
【文献】
特開2015−160548(JP,A)
【文献】
特開2014−65457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/04
B60T 7/06
B60T 11/06
B62L 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定軸を中心に回動するブレーキペダルの操作によって、機械式の第1ブレーキを作動させると共に、液圧マスタシリンダを備えた連動機構を介して液圧式の第2ブレーキを連動して作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置において、
前記ブレーキペダルは、中間部が前記固定軸にて軸支され、前記固定軸から車体前方に延出するペダルアームと、前記固定軸の後方から車体上方に延出する伝達アームとを備え、
前記連動機構は、中間部が前記伝達アームの上部側外面に回動軸にて回動可能に軸支され、前記第1ブレーキを作動させる連繋手段を上端部に連結したイコライザレバーと、前記伝達アームの下部側外面に前記固定軸にて回動可能に軸支され、前記固定軸より下方に突出して、前記液圧マスタシリンダのピストンを押動するプッシュロッドを連結する作動腕を備えた液圧入力レバーとを備え、前記イコライザレバーと前記液圧入力レバーの何れか一方に、他方に向けて突出する連結ピンを突設すると共に、他方に前記連結ピンをスライド可能に挿入する上下方向に長いスライド孔を設け、
前記ブレーキペダルの操作により前記イコライザレバーを介して前記連繋手段が牽引されて前記第1ブレーキが作動し、さらに前記ブレーキペダルを操作することにより、前記液圧入力レバーが固定軸を中心に回動し、前記作動腕が前記プッシュロッドを押動して前記液圧マスタシリンダを作動させて前記第2ブレーキが連動して作動することを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記液圧入力レバーが回動するタイミングを遅延させるスプリングを設けたことを特徴とする請求項1記載のバーハンドル車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
前記スプリングは、車体と前記液圧入力レバーとの間に設けられることを特徴とする請求項2記載のバーハンドル車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記機械式の第1ブレーキを後輪に、前記液圧式の第2ブレーキを前輪にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のバーハンドル車両用ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車等のバーハンドル車両用ブレーキ装置に関し、詳しくは、ブレーキベダルの操作によって機械式ブレーキを作動させると共に、連動機構を介して液圧式ブレーキを連動して作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキベダルの操作によって機械式ブレーキを作動させると共に、連動機構を介して液圧式ブレーキを連動して作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置として、ブレーキペダルの中間部を固定軸により車体に回動可能に軸支し、固定軸から車体前方に延出するペダルアームと、固定軸の後方から車体上方に延出する伝達アームとを設け、伝達アームの上端部にイコライザレバーの中間部を回動可能に軸支し、イコライザレバーの上端部に、液圧式ブレーキに液圧を供給するマスタシリンダのプッシュロッドを連結すると共に、イコライザレバーの下端部に、機械式ブレーキを作動させるブレーキロッドを連結したものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5816600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のものでは、伝達アームよりも車体上方に突出したイコライザレバーの上端部にマスタシリンダのピストンが連結されていることから、マスタシリンダは固定軸から離れた位置に配置され、ブレーキペダル回りに配置される連動機構をコンパクトに収めることが難しかった。また、伝達アームの上部に設けられ、伝達アームとともに回動するイコライザレバーの上端部にマスタシリンダのプッシュロッドを連結していることから、プッシュロッドの揺動角が大きくなり、マスタシリンダのブーツやピストンに影響を及ぼす虞があった。
【0005】
そこで本発明は、連動機構のコンパクト化を図ると共に、連動用の液圧マスタシリンダの良好な作動を確保することができるバーハンドル車両用ブレーキ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のバーハンドル車両用ブレーキ装置は、固定軸を中心に回動するブレーキペダルの操作によって、機械式の第1ブレーキを作動させると共に、液圧マスタシリンダを備えた連動機構を介して液圧式の第2ブレーキを連動して作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置において、前記ブレーキペダルは、中間部が前記固定軸にて軸支され、前記固定軸から車体前方に延出するペダルアームと、前記固定軸の後方から車体上方に延出する伝達アームとを備え、前記連動機構は、中間部が前記伝達アームの上部側外面に回動軸にて回動可能に軸支され、前記第1ブレーキを作動させる連繋手段を上端部に連結したイコライザレバーと、前記伝達アームの下部側外面に前記固定軸にて回動可能に軸支され、前記固定軸より下方に突出して、前記液圧マスタシリンダのピストンを押動するプッシュロッドを連結する作動腕を備えた液圧入力レバーとを備え、前記イコライザレバーと前記液圧入力レバーの何れか一方に、他方に向けて突出する連結ピンを突設すると共に、他方に前記連結ピンをスライド可能に挿入する上下方向に長いスライド孔を設け、前記ブレーキペダルの操作により前記イコライザレバーを介して前記連繋手段が牽引されて前記第1ブレーキが作動し、さらに前記ブレーキペダルを操作することにより、前記液圧入力レバーが固定軸を中心に回動し、前記作動腕が前記プッシュロッドを押動して前記液圧マスタシリンダを作動させて前記第2ブレーキが連動して作動することを特徴としている。
【0007】
また、前記液圧入力レバーが回動するタイミングを遅延させるスプリングを設けると好ましい。さらに、前記スプリングは、車体と前記液圧入力レバーとの間に設けることができる。また、前記機械式の第1ブレーキを後輪に、前記液圧式の第2ブレーキを前輪にそれぞれ設けると好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバーハンドル車両用ブレーキ装置によれば、ブレーキペダルの固定軸の周囲に連動機構を配置することができ、連動機構のコンパクト化を図ることができる。また、連動機構の液圧マスタシリンダを固定軸に近接した位置に配置することにより、液圧マスタシリンダを作動させるプッシュロッドの揺動角を小さくすることができ、プッシュロッドを良好に作動させることができると共に、ブーツやプッシュロッドの耐久性の向上を図ることができる。
【0009】
また、車体と前記液圧入力レバーとの間に、該液圧入力レバーが回動するタイミングを遅延させるスプリングを設けたことにより、機械式ブレーキを確実に先行させて作動させることができ、操作フィーリングの向上を図ることができる。さらに、機械式の第1ブレーキを後輪に、液圧式の第2ブレーキを前輪にそれぞれ設けたことにより、ペダルの操作によって、後輪ブレーキを先行して作動させた後、前輪ブレーキを連動して作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態例を示すバーハンドル車両用ブレーキ装置の説明図である。
【
図2】同じくブレーキペダルと連動機構の一部断面正面図である。
【
図3】同じく軽入力状態のブレーキペダルと連動機構の一部断面正面図である。
【
図4】同じく高入力状態のブレーキペダルと連動機構の一部断面正面図である。
【
図5】同じくブレーキペダルと連動機構の分解斜視図である。
【
図6】本発明のブレーキペダルと連動機構とを備えたバーハンドル車両の正面図である。
【
図7】本発明の一形態例を示す前輪用液圧マスタシリンダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図7は本発明のバーハンドル車両用ブレーキ装置の一形態例を示す図で、
図1に示されるように、本形態例のバーハンドル車両用ブレーキ装置1は、液圧式の前輪ブレーキ2(本発明の第2ブレーキ)及び機械式の後輪ブレーキ3(本発明の第1ブレーキ)と、前輪ブレーキ用の操作レバー4と後輪ブレーキ用のブレーキペダル5と、ブレーキペダル5の周囲に設けられた連動機構6とを備えている。
【0012】
前輪ブレーキ2は、ディスクロータ2aとキャリパボディ2bとを備えたディスクブレーキが適用され、キャリパボディ2bには液圧配管7が接続されている。後輪ブレーキ3には、バックプレート3a内に一対のブレーキシュー3b,3bを対向配置し、両ブレーキシュー3b,3bをカム軸3cの回動によってアンカーピン3dを支点に拡開する内拡型のドラムブレーキが適用されており、カム軸3cに一端を固着したカムレバー3eには、ロッドから成る連繋手段8が接続されている。
【0013】
ブレーキペダル5は、中間部が固定軸9により車体に軸支され、固定軸9から車体前方に延出するペダルアーム5aと、固定軸9の後方から車体上方に延出する伝達アーム5bとを備え、ペダルアーム5aの先端部には足踏み部5cが設けられている。操作レバー4は、ハンドルバー10に取り付けられたリザーバ一体型の前輪用液圧マスタシリンダ11のシリンダボディに枢着されている。
【0014】
前輪用液圧マスタシリンダ11は、車体外側部に開口する有底の第1シリンダ孔11aと、第1シリンダ孔11aに内挿される第1ピストン11bと、第1シリンダ孔11aよりも車体前部側に設けられる連動用連通孔11cとを備えている。第1シリンダ孔11aと、第1ピストン11bに嵌着されたカップシール11dとの間には、第1液圧室11eが画成され、第1液圧室11eで昇圧された作動液は、ユニオンボルト及び前輪用液圧配管7aを介して前輪ブレーキ2に供給される。また、連動用連通孔11cは、一端がシリンダボディの外面に、他端が連動用液圧室11fにそれぞれ開口し、一端には、連動用ユニオンボルトを介して連動用液圧配管7bが連結されている。また、シリンダボディの上部には第1リザーバ11gが一体に設けられている。
【0015】
連動機構6は、前輪ブレーキ2に液圧を供給する連動用液圧マスタシリンダ12(本発明の液圧マスタシリンダ)と、中間部が伝達アーム5bの上端部外面に回動可能に軸支され、上端部に前記連繋手段8を連結したイコライザレバー13と、伝達アーム5bの下部側外面に前記固定軸9にて回動可能に軸支され、上部側がイコライザレバー13と回動可能に連結されると共に、固定軸9よりも下方に突出し、下端部に連動用液圧マスタシリンダ12を作動させる作動腕14aを突出させた液圧入力レバー14とを備えている。
【0016】
連動用液圧マスタシリンダ12は、ペダルアーム5aよりもやや車体後方に配置されたシリンダボディ12aに、車体前方側が開口したシリンダ孔12bと、該シリンダ孔12bに摺動可能に内挿されるプランジャ12cとを備えている。シリンダボディ12aのシリンダ孔底部側にはユニオンボス部12dが突設され、該ユニオンボス部12dにユニオン孔12eが形成されている。シリンダボディ12aの上部には、シリンダ孔12bに連通する液通孔12fを備えたボス部12gが突設され、該ボス部12gに、リザーバ15に連結されるコネクタ15aが取り付けられる。さらに、シリンダボディ12aの下部には、車体取付け用の取付ブラケット12h,12hが突設されると共に、シリンダ孔開口側には、プッシュロッド16の先端側が挿入される大径筒部12iが連設されている。
【0017】
シリンダ孔12bには、該シリンダ孔12bの内周に設けた第1カップシール12jと第2カップシール12kとを介してプランジャ12cが摺動可能に内挿され、シリンダ孔12bの底部と第1カップシール12jとの間に液圧室12mが画成される。プランジャ12cは、シリンダ孔底部側に開口した凹部12nを有する有底円筒状に形成され、シリンダ孔開口側の外面には、プランジャ12cを押動させる前記プッシュロッド16の先端が当接する球状凹部が形成されている。また、プランジャ12cの凹部12nの底面とシリンダ孔12bの底面との間には、非作動状態のプランジャ12cを予め設定された所定の初期位置に復帰させるリターンスプリング12pが配置されている。
【0018】
プッシュロッド16は、球状凹部に当接する半球状の大径頭部16aが、大径筒部12iからシリンダ孔12b内へ差し込まれ、大径筒部12iに係着した止め輪17とリテーナ18とで抜け止めされ、大径筒部12iから突出した外端部には、二股状に形成された連結部材19が取り付けられている。さらに、大径筒部12iから突出したプッシュロッド16の外端と止め輪17の外面との間には防塵用のブーツ20が嵌着されている。
【0019】
イコライザレバー13は、伝達アームの約2/3の長さを備えた縦長の板部材で形成され、中間部に第1ピン孔13aが穿設され、該第1ピン孔13aと前記伝達アーム5bの先端部に穿設したイコライザレバー連結孔5dとに亘ってカラー部材21を介して第1連結ピン22を挿通することにより、伝達アーム5bの先端部にイコライザレバー13が回動可能に連結される。イコライザレバー13の上端部には、第2ピン孔13bが穿設され、連繋手段8の端部に形成された二股状の連結腕8aに形成されたピン孔8b,8bと、前記第2ピン孔13bとに亘って第2連結ピン23を挿通することにより、イコライザレバー13の上端部に連繋手段8が連結される。さらに、イコライザレバー13の下端部には、車体外方に向けて第3連結ピン13c(本発明の連結ピン)が突設されている。
【0020】
液圧入力レバー14は、固定軸9の下部からイコライザレバー13の第1ピン孔13aの近傍に至るまでの長さを備えた縦長の板部材で形成され、下部に固定軸9の挿通孔14bが形成され、該挿通孔14bに固定軸9を挿通することにより、固定軸回りに回動可能に取り付けられる。液圧入力レバー14の上方には、第3連結ピン13cをスライド可能に挿入する上下方向に長いスライド孔14cが形成され、また、挿通孔14bよりも下方には前記作動腕14aが形成されている。作動腕14aには連結ピン挿通孔14dが穿設され、該連結ピン挿通孔14dと前記連結部材19に形成された挿通孔19a,19aとに亘って第4連結ピン24を挿通することにより、作動腕14aとプッシュロッド16とが連結される。さらに、挿通孔14bと作動腕14aとの間には、車体前方に向けて突出するスプリング取付腕14eが設けられ、該スプリング取付腕14eと車体との間に、液圧入力レバー14が回動するタイミングを遅延させるスプリング25が取り付けられている。
【0021】
上述のように形成されたバーハンドル車両用ブレーキ装置1は、操作レバー4が操作されると、前輪用液圧マスタシリンダ11で昇圧された作動液が、前輪用液圧配管7aを介して前輪ブレーキ2に供給され、前輪ブレーキ2を単独で作動させる。
【0022】
また、ブレーキペダル5が操作されると、
図2に示される非作動状態から、
図3に示されるように固定軸9を中心にブレーキペダル5が回動する。これに伴ってイコライザレバー13がブレーキペダル5の伝達アーム5bと共に回動し、連繋手段8が牽引されることにより、後輪ブレーキ3が作動される。この時、液圧入力レバー14は、後輪ブレーキ3からの反力や連動用液圧マスタシリンダ12のリターンスプリング12p、及び、スプリング25の弾発力により初期状態を維持することから、イコライザレバー13は、第3連結ピン13cがスライド孔14c内で初期位置を保持しながら第1連結ピン22を中心に回動して連繋手段8を牽引する。
【0023】
この状態から、さらにブレーキペダル5が操作されると、
図4に示されるように、イコライザレバー13がブレーキペダル5の伝達アーム5bと共にさらに回動し、連繋手段8がさらに牽引される。また、イコライザレバー13は第1連結ピン22を中心とした回動が限界となり、第3連結ピン13cがスライド孔14c内を僅かに移動しながらスライド孔14cを押圧して、液圧入力レバー14に伝達アーム5bと同一方向への回動力を発生させる。液圧入力レバー14は、後輪ブレーキ3からの反力や連動用液圧マスタシリンダ12のリターンスプリング12p、及び、スプリング25の弾発力に抗して伝達アーム5bと同一方向へ回動し始め、これに伴って作動腕14aがプッシュロッド16を押動し、連動用液圧マスタシリンダ12の液圧室12mに液圧を発生させる。この液圧は、ユニオン孔12eを介して連動用液圧配管7bに供給される。
【0024】
連動用液圧配管7bに供給された作動液は、連動用ユニオンボルト,連動用連通孔11cを介して連動用液圧室11fに供給される。これにより、第1ピストン11bがシリンダ孔底部側に移動し、第1液圧室11eに液圧が発生し、昇圧された作動液が前輪ブレーキ2に供給され、前輪ブレーキ2を連動して作動させる。なお、本形態例では、リターンスプリング12pとスプリング25との弾発力によって、液圧入力レバー14が回動するタイミングを遅延させ、後輪ブレーキ3を前輪ブレーキ2よりも確実に先行させて作動させる。
【0025】
このように形成されたバーハンドル車両用ブレーキ装置1によれば、ブレーキペダル5の固定軸9の周囲に連動機構6を配置することができ、連動機構6のコンパクト化を図ることができる。また、連動機構6の連動用液圧マスタシリンダ12を固定軸9に近接した位置に配置することにより、連動用液圧マスタシリンダ12を作動させるプッシュロッド16の揺動角を小さくすることができ、プッシュロッド16でプランジャ12cを良好に押動させることができると共に、ブーツ20やプッシュロッド16の耐久性の向上を図ることができる。また、車体と液圧入力レバー14との間に、液圧入力レバー14が回動するタイミングを遅延させるスプリング25を設けたことにより、機械式ブレーキの後輪ブレーキ3を確実に先行させて作動させることができ、操作フィーリングの向上を図ることができる。
【0026】
なお、本発明は上述の形態例に限るものではなく、連結ピンを液圧入力レバーに設け、スライド孔をイコライザレバーに形成するものでも良い。また、液圧式ブレーキや機械式ブレーキの構造は任意であり、液圧式ブレーキとして、ホイールシリンダを用いたドラムブレーキを用いても良く、機械式ブレーキとして、ピストンをメカニカルな機構で押動する形式のディスクブレーキを用いることもできる。さらに、連動機構に用いられる液圧マスタシリンダは、上述の形態例のように、カップシールをシリンダ孔側に設けたプランジャタイプのものに限らず、シール部材をピストン側に設けたピストンタイプの液圧マスタシリンダを適用することもできる。また、前輪用液圧マスタシリンダの構造も本形態例に限るものではなく任意である。さらに、機械式ブレーキを作動させる連繋手段として、ブレーキワイヤを用いるものでも良い。また、本形態例では、リターンスプリングと、車体と液圧入力レバーとの間に設けたスプリングとの弾発力によって、液圧入力レバーが回動するタイミングを遅延させているが、本発明はこれに限らず、車体と液圧入力レバーとの間に設けたスプリングを省略し、リターンスプリングの弾発力のみによって液圧入力レバーが回動するタイミングを遅延させるものでも良い。
【符号の説明】
【0027】
1…バーハンドル車両用ブレーキ装置、2…前輪ブレーキ、2a…ディスクロータ、2b…キャリパボディ、3…後輪ブレーキ、3a…バックプレート、3b…ブレーキシュー、3c…カム軸、4…操作レバー、5…ブレーキペダル、5a…ペダルアーム、5b…伝達アーム、5c…足踏み部、5d…イコライザレバー連結孔、6…連動機構、7a…前輪用液圧配管、7b…連動用液圧配管、8…連繋手段、8a…連結腕、8b…ピン孔、9…固定軸、10…ハンドルバー、11…前輪用液圧マスタシリンダ、11a…第1シリンダ孔、11b…第1ピストン、11c…連動用連通孔、11d…カップシール、11e…第1液圧室、11f…連動用液圧室、11g…第1リザーバ、12…連動用液圧マスタシリンダ、12a…シリンダボディ、12b…シリンダ孔、12c…プランジャ、12d…ユニオンボス部、12e…ユニオン孔、12f…液通孔、12g…ボス部、12h…取付ブラケット、12i…大径筒部、12j…第1カップシール、12k…第2カップシール、12m…液圧室、12n…凹部、13…イコライザレバー、13a…第1ピン孔、13b…第2ピン孔、13c…第3連結ピン、14…液圧入力レバー、14a…作動腕、14b…挿通孔、14c…スライド孔、14d…連結ピン挿通孔、14e…スプリング取付腕、15…リザーバ、15a…コネクタ、16…プッシュロッド、16a…大径頭部、17…止め輪、18…リテーナ、19…連結部材、19a…挿通孔、20…ブーツ、21…カラー部材、22…第1連結ピン、23…第2連結ピン、24…第4連結ピン、25…スプリング