(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、豚の体重を推定した上で、推定した体重の中から誤差の少ない体重をユーザ等に提供する場合について説明する。ただし、体重を推定する対象(以降、「推定対象」とも表す。)は、豚に限られず、例えば、牛、馬、羊、鶏等の種々の家畜であっても良い。また、体重の推定対象は、家畜だけでなく、例えば、野生の動物であっても良い。
【0011】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る体重出力システム1について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る体重出力システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る体重出力システム1には、体重の推定及び出力を行う体重出力装置10と、体重の推定対象である豚Pを撮影するカメラ装置20とが含まれる。体重出力装置10とカメラ装置20とは、例えば、無線又は有線により通信可能に接続されている。
【0013】
カメラ装置20は、豚Pを撮影するための撮影エリアAの真上に設置されている。カメラ装置20は、撮影エリアA内の豚Pを真上から撮影することで、撮影画像を生成する。なお、カメラ装置20は、例えば、1頭の豚Pを所定の回数連続して撮影(又は、所定の時間の間、連続して撮影)することで、複数の撮影画像を生成する。
【0014】
体重出力装置10は、カメラ装置20が生成した撮影画像から豚Pの体重を推定した上で、推定した体重の中から誤差の少ない体重を出力することで、当該体重をユーザに提供するコンピュータである。
【0015】
体重出力装置10には、体重出力処理部100と、比率・体重記憶部110と、最適比率記憶部120とが含まれる。体重出力処理部は、体重出力装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU(Central Processing Unit)に実行させる処理により実現される。また、比率・体重記憶部110及び最適比率記憶部120は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等を用いて実現可能である。なお、比率・体重記憶部110及び最適比率記憶部120の少なくとも一方が、体重出力装置10とネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
【0016】
体重出力装置10は、体重出力処理部100により、撮影画像における豚Pを示す領域の面積から体重を推定すると共に、当該領域の縦横比率を算出し、これら体重及び縦横比率を関連付けて比率・体重記憶部110に記憶させる。そして、体重出力装置10は、体重出力処理部100により、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率を参照して、比率・体重記憶部110に記憶されている体重のうち、最適比率に最も近い縦横比率が関連付けられている体重を出力する。
【0017】
これにより、本実施形態に係る体重出力システム1は、最も誤差が少ない体重をユーザ等に提供することができる。
【0018】
最適比率とは、推定された体重の誤差が最も少なくなる縦横比率のことである。最適比率は、例えば、経験則又は実験によって予め決定される。なお、最適比率は、例えば、動物の種類(例えば、豚や牛、馬等)によっても異なり得るし、同一種類の動物であっても品種(例えば、ヨークシャー種、ランドレース種等)によっても異なり得る。
【0019】
なお、
図1に示す体重出力システム1の構成は一例であって、他の構成であっても良い。例えば、体重出力装置10は、複数台のコンピュータで構成されていても良い。また、体重出力装置10は、複数台のカメラ装置20と通信可能に接続されていても良い。
【0020】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る体重出力処理部100の機能構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る体重出力処理部100の機能構成の一例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係る体重出力処理部100には、取得部101と、面積算出部102と、比率算出部103と、体重推定部104と、特定部105と、出力部106とが含まれる。
【0022】
取得部101は、カメラ装置20が生成した撮影画像を取得する。取得された撮影画像には、当該撮影画像を識別する識別情報(すなわち、画像ID)が付与される。
【0023】
面積算出部102は、取得部101により取得された撮影画像における推定対象(すなわち、豚P)を示す領域の面積を算出する。
【0024】
比率算出部103は、取得部101により取得された撮影画像における当該領域の縦横比率(指標値の一例)を算出する。当該領域の縦及び横それぞれの長さと、算出された縦横比率とは、画像IDと関連付けて比率・体重記憶部110に記憶される。
【0025】
体重推定部104は、面積算出部102により算出された面積から、推定対象の体重を推定する。推定された体重は、画像IDと関連付けて(すなわち、縦及び横それぞれの長さ並びに縦横比率とも関連付けて)比率・体重記憶部110に記憶される。
【0026】
カメラ装置20により生成された複数の撮影画像に対して、取得部101による撮影画像の取得と、面積算出部102による面積の算出と、比率算出部103による縦横比率の算出と、体重推定部104による体重の推定とがそれぞれ行われる。したがって、1頭の豚Pに対して、複数の体重及び縦横比率等が関連付けて比率・体重記憶部110に記憶される。
【0027】
特定部105は、比率・体重記憶部110に記憶されている体重のうち、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率に最も近い縦横比率が関連付けられている体重を特定する。
【0028】
出力部106は、特定部105により特定された体重を出力する。これにより、体重推定部104により推定された体重のうち、誤差が最も少ない体重が出力される。なお、出力部106は、出力先として、例えば、体重出力装置10のディスプレイ等に体重を出力(表示)しても良いし、HDDやSDD等の記憶装置に体重を出力(保存)しても良い。また、出力先として、ネットワークを介して他の装置等に出力(送信)しても良い。
【0029】
<体重出力処理>
以降では、推定対象である豚Pの体重を推定した上で、推定した体重のうち、誤差が最も少ない体重を出力する処理について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態に係る体重出力処理の一例を示すフローチャートである。
【0030】
ステップS101:取得部101は、カメラ装置20が生成した撮影画像を取得する。取得された撮影画像には、画像IDが付与される。
【0031】
なお、カメラ装置20から撮影画像を取得する場合に限られず、取得部101は、例えば、HDDやSSD等の記憶装置に予め記憶されている撮影画像を取得しても良い。
【0032】
ステップS102:面積算出部102は、取得部101により取得された撮影画像における豚Pを示す領域の面積を算出する。
【0033】
例えば、取得部101により、
図6に示す撮影画像Gが取得されたものとする。この場合、面積算出部102は、当該撮影画像Gにおける豚Pを示す領域Qの面積を算出する。なお、面積としては、例えば、当該領域Qに含まれる画素数とすれば良い。
【0034】
ステップS103:比率算出部103は、取得部101により取得された撮影画像における豚Pを示す領域の縦横比率を算出する。そして、比率算出部103は、当該領域の縦及び横それぞれの長さと、縦横比率とを画像IDと関連付けて比率・体重記憶部110に記憶する。
【0035】
例えば、上記と同様に、取得部101により、
図6に示す撮影画像Gが取得されたものとする。この場合、まず、比率算出部103は、領域Qを含む最小の四角形(矩形)である境界Bを特定する。次に、比率算出部103は、特定した境界Bの横(長辺)の長さに対する縦(短辺)の長さの比率を縦横比率として算出する。そして、比率算出部103は、境界Bの横(長辺)の長さと、境界Bの縦(短辺)の長さと、算出した縦横比率とを画像IDと関連付けて比率・体重記憶部110に記憶する。
【0036】
なお、
図6に示す例では、境界Bが四角形(長方形)である場合について説明したが、境界Bは、例えば、領域Qを含む最小の多角形等であっても良い。この場合、比率算出部103は、縦横比率の代わりに、例えば、境界Bの長さ(すなわち、多角形の周の長さ)等を算出すれば良い。
【0037】
ステップS104:体重推定部104は、面積算出部102により算出された面積から豚Pの体重を推定する。面積から体重を推定する方法は、例えば、特開平6−3181号公報に開示されている方法を用いれば良い。
【0038】
そして、体重推定部104は、推定した体重を画像IDと関連付けて比率・体重記憶部110に記憶する。
【0039】
以上のステップS101〜ステップS104の処理は、1頭の豚Pに対して、所定の回数(又は所定の時間の間)、繰り返し実行される。これにより、複数の撮影画像に対して、それぞれ画像IDが付与され、それぞれの画像IDに対して縦横比率及び体重等が関連付けて比率・体重記憶部110に記憶される。
【0040】
ここで、上記のステップS101〜ステップS104の処理が100回繰り返し実行された場合における比率・体重記憶部110を
図5に示す。
図5に示すように、この場合、比率・体重記憶部110には、画像ID「001」〜「100」に対して、縦の長さと、横の長さと、縦横比率と、体重とがそれぞれ関連付けられている。
【0041】
なお、比率・体重記憶部110には、少なくとも縦横比率と体重とが関連付けて記憶されていれば良い。したがって、例えば、比率・体重記憶部110には、縦の長さや横の長さ等が記憶されていなくても良い。
【0042】
このように、1頭の豚Pに対して、上記のステップS101〜ステップS104の処理が繰り返し実行されることで、複数の体重(の推定値)と、当該体重に対応する縦横比率とが関連付けられる。
【0043】
ステップS105:特定部105は、比率・体重記憶部110に記憶されている体重のうち、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率に最も近い縦横比率が関連付けられている体重を特定する。
【0044】
例えば、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率が「2.0」である場合、特定部105は、
図5に示す比率・体重記憶部110に記憶されている体重のうち、縦横比率「2.0」に関連付けられている体重「113.6」を特定する。このように特定された体重が、誤差が最も少ない体重である。
【0045】
なお、特定部105は、比率・体重記憶部110に記憶されている体重のうち、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率から所定の範囲内(例えば、「1.9」〜「2.1」等)にある縦横比率が関連付けられている体重を特定しても良い。これにより、最適比率の所定の範囲内に複数の縦横比率が含まれる場合、これら複数の縦横比率にそれぞれ対応付けられた複数の体重を特定することができる。
【0046】
また、上記のステップS103で、縦横比率の代わりに、例えば、境界Bの長さ等が算出された場合、最適比率の代わりに、境界Bの最適な長さ等が用いられる。
【0047】
ステップS106:出力部106は、特定部105により特定された体重を出力する。これにより、体重推定部104により推定された体重のうち、誤差が最も少ない体重が出力される。
【0048】
以上により、本実施形態に係る体重出力システム1では、体重の推定対象である豚Pを撮影した撮影画像から推定される体重のうち、誤差が最も少ない体重をユーザ等に提示することができる。なお、複数の豚Pの体重を推定及び出力する場合は、豚P毎に、上記のステップS101〜ステップS106の処理を行えば良い。
【0049】
図3に示す体重出力処理では、複数の画像それぞれについてステップS101〜ステップS104を繰り返し実行した後、最適比率に最も近い縦横比率が対応付けられている体重を特定した(ステップS105)が、これに限られない。例えば、複数の画像それぞれについてステップS101〜ステップS105を繰り返し実行し、当該繰り返し中に、最適比率と所定の範囲内にある縦横比率があった場合、当該縦横比率に対応付けられている体重を出力するようにしても良い。
【0050】
また、上記のステップS105を繰り返し実行して複数の体重を特定した上で、これら複数の体重について、平均の算出や分散の算出等の統計的な処理を行うことで、最終的な体重を特定しても良い。より具体的には、例えば、上記のステップS105をN回繰り返し実行して、最適比率に近い上位N件の縦横比率にそれぞれ関連付けられているN件の体重を特定する。そして、これらN件の体重に対して統計的な処理を行った結果(例えば、N件の体重の平均値等)を、最終的な体重としても良い。
【0051】
本実施形態に係る体重出力システム1では、カメラ装置20により、撮影エリアA内の豚Pを真上から撮影する場合について説明したが、これに限られない。カメラ装置20は、例えば、撮影エリアA内の豚Pを斜め上方から撮影しても良いし、真横から撮影しても良い。ただし、この場合、最適比率記憶部120に記憶される最適比率の値は、撮影方向に応じて異なり得る。
【0052】
<推定対象の面積及び縦横比率の算出の他の例>
ここで、上記のステップS101において、取得部101により取得された撮影画像Gに含まれる領域Qに対して、所定の画像処理が行われても良い。例えば、
図6に示すように、領域Qを加工して、豚Pの頭部に相当する部分の領域を除去した領域Q´としても良い。この場合、上記のステップS102では、領域Q´の面積が算出される。
【0053】
また、この場合、
図6に示すように、上記のステップS103では、領域Q´を含む最小の四角形である境界B´を特定される。したがって、上記のステップS103では、境界B´の縦横比率が算出される。
【0054】
このように、豚Pの頭部に相当する部分の領域を除去するような画像処理を行っても良い。又は、頭部のうち耳の部分に相当する領域や尻尾に相当する部分の領域等を除去するような画像処理を行っても良い。このような画像処理を行うことで、より誤差の少ない体重を出力することができる。これは、頭部や耳、尻尾等は、カメラ装置20で撮影する際に動くため、誤差の発生に影響するためである。
【0055】
<体重出力処理の他の例>
以降では、体重出力処理の他の例について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係る体重出力処理の他の例を示すフローチャートである。なお、
図7のステップS201〜ステップS202は、
図3のステップS101〜ステップS102とそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0056】
ステップS203:特定部105は、比率算出部103により算出された縦横比率と、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率とが一致するか否かを判定する。
【0057】
比率算出部103により算出された縦横比率と、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率とが一致すると判定された場合、ステップS204に進む。一方で、比率算出部103により算出された縦横比率と、最適比率記憶部120に記憶されている最適比率とが一致すると判定されなかった場合、ステップS201に戻る。これにより、比率算出部103により算出された縦横比率が、最適比率と一致するまで、ステップS201〜ステップS203が繰り返し実行される。
【0058】
なお、上記のステップS203では、比率算出部103により算出された縦横比率と、最適比率とが一致するか否かを判定したが、これに限られず、例えば、比率算出部103により算出された縦横比率が、最適比率から所定の範囲内である否かを判定しても良い。これにより、最適比率に近い縦横比率が算出された場合に、ステップS204以降の処理を実行することができる。
【0059】
ステップS204:面積算出部102は、上記のステップS203で判定された縦横比率(すなわち、例えば、最適比率と一致する縦横比率)の算出に用いられた撮影画像における豚Pを示す領域の面積を算出する。なお、面積の算出は、例えば、上記のステップS203の前に行われても良い。
【0060】
ステップS205:体重推定部104は、
図3のステップS104と同様に、面積算出部102により算出された面積から豚Pの体重を推定する。
【0061】
ステップS206:出力部106は、体重推定部104により推定された体重を出力する。これにより、最適比率と一致する縦横比率が算出された場合(又は、最適比率に近い縦横比率が算出された場合)に、当該縦横比率の算出に用いられた撮影画像から豚Pの体重を推定及び出力することができる。したがって、この場合、
図3の体重出力処理と異なり、撮影画像毎に、豚Pの体重を推定及び記憶しておく必要がなく、より簡易に豚Pの体重を得ることができる。
【0062】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。